説明

整理券発行装置および整理券発行システム

【課題】顧客に会員登録の負担をかけることなく、整理券を利用して顧客別の購買情報などを蓄積し、販促や顧客情報データベースの構築に役立てること。
【解決手段】整理券発行装置1は、整理券4を発行する際に、各整理券4に固有の識別情報をバーコード化したバーコード6を生成し、これを整理番号5と共に整理券4に印刷する。整理券4を持った顧客が精算するとき、レジのPOS端末2でバーコード6を読み取り、識別情報と精算情報とを対応づけて顧客情報データベース31に蓄積する。次回の来店時に顧客が以前の整理券4を持参して、整理券発行装置1のバーコードリーダー12でバーコード6をスキャンすると、整理券発行装置1は、識別情報に基づいて顧客情報データベース31を検索し、検索結果に基づいて顧客の消費傾向を判断して消費傾向に合致する広告や特典情報を選定し、今回発行する整理券4に印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗などにおいて来店順にサービスを受けられるようにするために整理券を発行する整理券発行装置および整理券発行システムに関する。
【0002】
従来から、飲食店や銀行などの店舗において、来店した利用者がボタンを押すと受け付け順に自動で整理券を発行する整理券発行装置が設置されている。この種の整理券発行装置において、販促やサービス向上のため、受け付け時に広告などを表示したり、整理券に広告や待ち時間の間に利用できる情報を印刷することが行われている。特許文献1には、この種の整理券が開示されている。
【0003】
特許文献1の整理券は、整理番号の他に、整理券固有の通し番号、2次元バーコード、スクラッチシール、店舗を想起させる香り、などが付されており、スクラッチシールによってくじや占いなどを提供したり、通し番号と当たり番号とが一致した場合には賞品や特別なサービスなどを提供することができる。また、2次元バーコードによって店舗のウェブサイトへアクセスさせ、ウェブサイト上で待ち時間を退屈せずに過ごすためのコンテンツを表示したり、販促のためのコンテンツを表示する。あるいは、これらのコンテンツ(例えば、クイズ、占い、くじ、地域情報、プレゼント、サービスポイントなど)の一部を整理券に印刷しておき、残りのコンテンツには2次元バーコードを読み込むとアクセスできるようになっている。
【0004】
また、特許文献2には、整理券の発行システムを販促やサービス向上に利用する自動受付システムが開示されている。特許文献2の自動受付システムは、整理券(受付札)を発行する際に発行装置が顧客を撮像するなどして顧客特定情報を取得し、受付時刻などの情報と共にサーバーに送信する。受付担当員は、サーバーに蓄積された情報に基づき、待ち時間中の顧客に対して、待ち時間に応じたサービスや来店目的に応じたセールスを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−178999号公報
【特許文献2】特開2009−122871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、従来から、小売店を中心に、顧客に会員登録を促し、登録すると会員カードを発行し、来店時に会員カードを提示するとポイントなどを付与するとともに顧客別の購買データを収集し、購買データに基づいて販促のためのクーポンなどを発行するものがある。このような顧客データ収集システムは、会員カード発行のためにコストがかかる上、会員登録の手間や個人情報の開示が顧客に敬遠されるため、期待したほどには販促効果が得られないおそれがある。
【0007】
一方、上記のような整理券は、顧客に負担を与えることなく顧客に対して発行できるものの、顧客データの収集機能はなく、顧客ごとに最適なサービスや販促情報を提供できるものではない。特許文献2の自動発行システムは、整理券発行装置で顧客特定情報(撮影画像など)を取得して、整理番号と顧客特定情報とを対応付けてサーバーに送信するものの、この顧客特定情報は店舗内で整理券を持った顧客を特定するためにしか用いられておらず、顧客データを継続的に蓄積することはできない。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、顧客に会員登録の負担をかけることなく、整理券を利用して各顧客のデータを蓄積し、サービス向上や販促に役立てることが可能な整理券発行装置および整理券発行システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の整理券発行装置は、
整理券発行操作が行われたことに基づき、受付順を示す整理番号、および、各整理券を特定するための識別情報を印刷した整理券を発行する整理券発行手段と、
以前に発行した前記整理券に印刷されている前記識別情報を入力するための第1の識別情報入力手段と、
前記整理券発行手段による新たな整理券の発行に際して、前記第1の識別情報入力手段から前記識別情報が入力された場合に、当該識別情報に対応づけられた顧客情報を予め設定したデータベースから検索し、当該顧客情報を反映させた販促情報を前記新たな整理券に印刷するか、もしくは、当該販促情報を印刷した別の印刷物を前記新たな整理券と共に発行する販促情報印刷手段を有することを特徴としている。
【0010】
本発明は、このように、整理券を発行する際に、整理番号だけでなく、各整理券に固有の識別情報を整理券の持ち主に付与することができる。また、整理券発行装置に識別情報の入力手段を設けており、新たな整理券の発行の際に、以前に発行した整理券を持参していれば、これに印刷された識別情報を入力できる。そして、入力した識別情報に基づき、以前の整理券に関連付けられた顧客情報(例えば、以前に来店したときに受けたサービスや購買内容など)をデータベースから検索し、検索結果を反映させた販促情報を決定して、新たに発行する整理券と共に顧客に付与することができる。このように、整理券を媒介として以前の利用時の情報などを参照できるようにすれば、顧客に会員登録などの負担をかけることなく、また、会員カードの発行コストをかけることなく、顧客にとって利用価値の高い情報の提供や効果的な宣伝を行うことができる。
【0011】
本発明において、前記販促情報は、前記整理券もしくは前記別の印刷物に印刷される広告もしくは特典情報である。このように、以前の利用時の情報を反映させた広告を印刷することにより、広告効果を高めることができる。また、以前の利用時の情報を反映させた特典情報を印刷することにより、顧客にとって利用価値の高い特典情報を提供できる。
【0012】
また、本発明において、前記整理券発行手段は、前記識別情報をバーコードもしくは2次元コードに変換して印刷するものとし、前記第1の識別情報入力手段として、バーコードもしくは2次元コードを読み取るためのバーコードリーダーを用いることができる。このようにすると、ワンタッチで識別情報を正確に入力できる。
【0013】
ここで、前記整理券発行手段は、前記整理番号と共に、当該整理番号に対する予測待ち時間の表示サイトにアクセスするためのアクセス情報を前記整理券に印刷することができる。このようにすると、顧客が予測待ち時間を随時確認できるため、待ち時間による不満を抑制できる。
【0014】
また、前記データベースに、前記整理券を持った利用者が精算を行ったことに伴い、当該整理券から読み取った前記識別情報を精算情報と対応付けて登録しておき、前記顧客情報として前記精算情報を用いることができる。このように、整理番号順にサービスを受けたり買い物を行った後、精算時にその時持っている整理券の識別情報を精算情報と対応付けてデータベースに蓄積しておくことにより、この時の精算情報を整理券に基づいて検索することが可能になる。すなわち、整理券を利用して顧客に識別番号を付与して顧客データを蓄積できると共に、以前の整理券を持参することで以前の精算情報を反映させた特典の付与や宣伝を行うことができる。
【0015】
次に、本発明は、上記の整理券発行装置、および、当該整理券発行装置と通信可能な情報処理装置を有する整理券発行システムであって、
前記情報処理装置は、精算機あるいは当該精算機を統括するサーバーであり、
前記精算機は、前記整理券に印刷されている前記識別情報を入力するための第2の識別情報入力手段を備え、
前記整理券発行装置または前記情報処理装置は、
前記精算機において精算が行われる際に、前記第2の識別情報入力手段から前記識別情報の入力が行われると、当該入力された識別情報を精算情報と対応づけて前記データベースに登録するデータベース管理手段を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明では、このように、精算機に識別情報を入力するための入力手段を設けたため、精算時に精算情報と識別情報とを対応づけ、この精算機を統括管理するサーバーもしくは整理券発行装置に記憶させたデータベースに登録することができる。すなわち、整理券を持った顧客が精算を行う毎にデータベースに顧客情報を蓄積できる。また、以前の整理券を利用してデータベースから以前の精算情報を検索できる。このように、整理券を媒介として、精算情報の蓄積および以前の精算情報を利用した販促情報の付与を行うことができるため、顧客に会員登録などの負担をかけることなく、また、会員カードの発行コストをかけることなく、顧客にとって利用価値の高い情報の提供や効果的な宣伝を行うことができる。
【0017】
本発明において、前記データベース管理手段は、前記整理券発行装置による新たな整理券の発行が行われる際に、前記第1の識別情報入力手段から前記識別情報が入力されると、当該入力された識別情報と、前記新たな整理券に印刷される前記識別情報とを対応づけて前記データベースに登録することが望ましい。このように、識別番号同士を対応づけてデータベースに登録すれば、整理券を介して同じ顧客の情報を関連付けることができる。従って、顧客に会員登録の負担をかけることなく、顧客別の消費傾向などが蓄積されたデータベースを構築できる。これにより、前回の整理券に対応づけられた顧客情報だけでなく、それ以前の顧客情報までも検索可能となり、より利用価値が高い情報の提供や、より効果的な宣伝を行うことができる。
【0018】
この場合に、前記販促情報印刷手段は、前記整理券発行装置による新たな整理券の発行が行われる際に、前記第1の識別情報入力手段から前記識別情報が入力されると、当該入力された識別情報に対応づけられた全ての顧客情報を前記データベースから検索して、当該全ての顧客情報を反映させた前記販促情報を、前記新たな整理券、もしくは、当該新たな整理券と共に発行される別の印刷物に印刷することができる。このように、以前の来店時の情報を全て利用することにより、より利用価値が高い情報の提供や、より効果的な宣伝が可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、整理券を媒介として以前の利用時の情報を反映させた販促情報を印刷できるため、顧客に会員登録などの負担をかけることなく、また、会員カードの発行コストをかけることなく、顧客にとって利用価値の高い情報の提供や効果的な宣伝を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した整理券発行システムの概略構成図である。
【図2】整理券発行装置により印刷される整理券の説明図である。
【図3】整理券発行装置の制御ブロック図である。
【図4】POS端末の制御ブロック図である。
【図5】POSサーバーの制御ブロック図である。
【図6】整理券の発行処理および整理券を用いた顧客情報の蓄積処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を飲食店などの店舗にて利用される整理券発行装置および整理券発行システムに適用した場合の実施の形態を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は整理券発行システムの概略構成図である。整理券発行システムAは、店舗の入り口付近に設置された整理券発行装置1と、店舗のレジコーナーに設置されたPOS端末2(精算機)と、有線あるいは無線のネットワークを介してPOS端末2の統括管理を行うPOSサーバー3(サーバー/情報処理装置)を有している。POSサーバー3と整理券発行装置1は、有線あるいは無線のネットワークを介して通信可能に構成されている。
【0023】
(整理券)
図2は、整理券発行装置1により印刷される整理券の説明図である。整理券4の上部には、その発行順を示す整理番号5が数字で印刷されている。一方、整理番号5の下方には、この整理券4を特定するための識別情報をバーコード化したバーコード6が印刷されている。整理券発行装置1は、整理券4を発行する毎に、各整理券4に対して固有の識別情報を生成し、これをバーコード化して印刷している。識別情報は、例えば、文字や記号、数字などの配列によって構成することができる。また、整理券4における整理番号5およびバーコード6の印刷箇所を除いた余白部分は、広告や特典情報などの販促情報を印刷するための販促情報印刷領域7として用いられている。
【0024】
(整理券発行装置)
図3は整理券発行装置1の制御ブロック図である。整理券発行装置1は、整理券を印刷するための印刷機構10(整理券発行手段の一部/販促情報印刷手段の一部)と、来店客に対する案内表示を行うとともに整理券4の発行のための操作入力を受け付けるタッチパネル式のディスプレイ11と、整理券4に印刷されたバーコード6を読み取るためのバーコードリーダー12(第1の識別情報入力手段の一部)と、POSサーバー3等と通信を行うための通信モジュール13を備えている。また、整理券発行装置1は、これらの各構成を含めた整理券発行装置1の各部を統括制御するための制御部14を備えている。
【0025】
制御部14は、CPU、ROM、RAM等を中心に構成されている。制御部14は、印刷機構10による整理券4の発行動作を制御する整理券発行制御部15(整理券発行手段の一部)、バーコードリーダー12による読取動作を制御するバーコード読取制御部16(第1の識別情報入力手段の一部)、整理券4への販促情報の印刷動作を制御する販促情報印刷制御部17(販促情報印刷手段の一部)、等を備えている。整理券発行制御部15、バーコード読取制御部16、販促情報印刷制御部17による各機能は、それぞれ、制御部14のROM等に記憶された制御プログラムに基づくCPU等の処理によって実現されている。
【0026】
整理券発行制御部15は、来店した顧客がタッチパネル式のディスプレイ11において「整理券発行」を指示する入力操作を行うと、これに基づいて整理券4を印刷するための印刷データを生成し、印刷データに基づいて印刷機構10を制御して整理券4を発行する。整理券発行制御部15は、このとき、整理券4への整理番号5の印刷処理に加えて、各整理券4に対する固有の識別情報の生成処理、および、これをバーコード化して印刷する処理を行う。
【0027】
バーコード読取制御部16は、来店した顧客によるディスプレイ11あるいはバーコードリーダー12の操作に基づき、顧客が持参した整理券4をバーコードリーダー12でスキャンしてバーコード6を読み取る処理を行う。バーコード読取制御部16は、読み取ったバーコード情報を販促情報印刷制御部17に受け渡す。
【0028】
販促情報印刷制御部17は、バーコード読取制御部16からバーコード情報が供給されると、このバーコード情報に含まれる識別情報(整理券4に固有の識別情報)をPOSサーバー3に送信し、POSサーバー3から戻ってきた情報(後述する顧客情報データベース31から検索した情報)に基づき、販促情報印刷領域7に印刷する内容を決定する。このとき、販促情報印刷制御部17は、予め設定された各種の販促情報の中から印刷すべきものを選択する。選択肢となる販促情報は、整理券発行装置1内に記憶させておくか、あるいは、POSサーバー3内に記憶させておくことができる。印刷すべき販促情報を決定すると、決定したとおりに整理券4への印刷を行うために、印刷内容を整理券発行制御部15に受け渡す。
【0029】
顧客情報データベース31は、後述するように、各整理券4に固有の識別情報を、この整理券4を持った顧客が精算を行ったときの精算情報と対応づけて登録したものである。従って、整理券4から読み取った識別情報に基づいて顧客情報データベース31を検索することにより、この整理券4を持参した顧客の以前の精算情報をPOSサーバー3から取得できる。販促情報印刷制御部17は、取得した精算情報に基づいて顧客の消費傾向を判断し、予め設定しておいた各種の販促情報の中から、消費傾向に合致するものを選択して、今回発行する整理券4への印刷内容として決定することができる。これにより、販促効果が高く、顧客満足度の向上に寄与する販促情報を整理券4に印刷することができる。
【0030】
整理券発行制御部15では、販促情報印刷制御部17から印刷内容(決定した販促情報)を受け取った場合には、整理番号5およびバーコード6を所定の位置にレイアウトし、更に、受け取った販促情報を販促情報印刷領域7にレイアウトした印刷データを生成し、これに基づいて整理券4を印刷する。
【0031】
(POSシステム)
図4はPOS端末2の制御ブロック図である。POS端末2は、顧客が飲食あるいは購入した商品の精算金額を集計し、その精算処理を行う。精算処理にあたって、POS端末2は、POSサーバー3から必要に応じて情報を取得すると共に、精算情報をPOSサーバー3に送信する。POS端末2は、一般的なレジ端末が備える各種の構成を備えており、特に、商品や注文票に付されたバーコード、あるいは、整理券4に付されたバーコード6等を読み取るためのバーコードリーダー20(第2の識別情報入力手段の一部)を備えている。また、POS端末2の各部を統括制御する制御部21は、一般的な精算処理を行うために必要な各種の処理機能に加えて、バーコードリーダー20による読取動作を制御するバーコード読取制御部22(第2の識別情報入力手段の一部)、および、整理券4から読み取ったバーコード情報(すなわち、その整理券に固有の識別情報)を精算情報と共にPOSサーバー3に送信するバーコード情報送信部23を備えている。
【0032】
図5はPOSサーバー3の制御ブロック図である。POSサーバー3は、POS端末2の側から送信される情報に基づき、精算処理に必要な情報をPOS端末2に供給すると共に、POS端末2から受信した精算情報に基づき、売り上げや在庫情報を管理する。POSサーバー3は、CPU、ROM、RAMなどを備える制御部30を中心に構成された汎用のコンピューター装置であり、キーボードやマウスなどの入力手段(図示省略)ならびに液晶ディスプレイなどの表示手段(図示省略)を備えている。制御部30のROM内には、商品データやその価格などが登録された商品データベース(図示省略)と共に、POS端末2から受信した上記の識別情報および精算情報を対応付けて登録した顧客情報データベース31が記憶されている。制御部30は、顧客情報データベース31への情報登録および登録情報の管理を行うためのデータベース管理部32(データベース管理手段)を備えている。
【0033】
(整理券を利用した販促情報の提供および顧客情報の蓄積)
図6(a)は整理券4の発行処理のフローチャートであり、図6(b)は整理券4を用いた顧客情報の蓄積処理のフローチャートである。上述したように、整理券発行装置1は店舗の入り口において、整理券発行のための案内画面を表示した状態で待機している。整理券発行装置1の制御部14は、来店した顧客等によって「整理券発行」を指示する旨の入力操作が行われると、図6(a)のフローチャートの処理を開始する。
【0034】
まず、ステップS1において、制御部14は、ディスプレイ11に、以前の整理券4を持参している場合には、その整理券4のバーコード6をバーコードリーダー12によって読み取ることを促す表示を行う。例えば、以前の整理券4のバーコード情報を入力すると、お得な情報を整理券に印刷する旨の表示を行う。顧客が以前の整理券4を持参しており、バーコード6を読み取る場合には、ステップS2に進む。
【0035】
ステップS2では、バーコード読取制御部16が、顧客の操作に基づき、バーコードリーダー12によって顧客が持参したバーコード6をスキャンしてバーコード情報を読み取る処理を行う。続いて、ステップS3に進み、販促情報印刷制御部17が、読み取ったバーコード情報に基づき、顧客が持参した整理券4の識別情報に対応付けられた精算情報をPOSサーバー3から検索する。すなわち、読み取ったバーコード情報に含まれる識別情報をPOSサーバー3に送信し、POSサーバー3内の顧客情報データベース31を検索して、送信した識別情報に対応づけられた精算情報をPOSサーバー3から取得する。そして、ステップS4に進む。
【0036】
ステップS4では、販促情報印刷制御部17が、取得した精算情報に基づき、予め設定しておいた各種の販促情報(広告情報や特典情報)の中からいずれかを選択する。例えば、精算情報の中に子供向けの商品やメニューが含まれていた場合には、子供向けの商品やメニューについての広告情報を選択する。そして、選択した広告情報(例えば、広告のイメージデータ)を、今回発行する整理券4に印刷するために、整理券発行制御部15に受け渡す。そして、ステップS5に進む。
【0037】
ステップS5では、整理券発行制御部15が、整理券4の発行履歴に基づいて整理番号5を決定すると共に、この整理券4を特定するための識別情報を生成してバーコード6に変換する。そして、整理番号5、バーコード6、および広告イメージデータをレイアウトした印刷データを生成し、印刷データに基づいて印刷機構10を制御して、整理券4を印刷する。印刷済みの整理券4は、整理券発行装置1の前面等に形成した整理券出口から排出される。これにより、以前の整理券4を持参した顧客に対して、広告を印刷した整理券4が発行される。
【0038】
一方、顧客が以前の整理券4を持参しておらず、バーコード6の読み取りを行わない場合には、ステップS2に進まず、ステップS6に進む。ステップS6では、整理券発行制御部15が、整理番号5の決定と、識別情報の生成およびバーコード6への変換を行う。そして、整理番号5およびバーコード6を予め設定した印刷位置にレイアウトすると共に、販促情報印刷領域7については、予め設定した全顧客に共通の広告情報や店舗のロゴなどをレイアウトするか、あるいは、空白のままとし、印刷データを生成する。そして、整理券4を発行する。
【0039】
整理券4を受け取った顧客は、整理番号5に従って店舗内に案内される。例えば、飲食店の場合には、案内担当員が整理券4を受け取って顧客をテーブルに案内すると共に、整理券を注文票と共に当該テーブル担当の店員に渡す。店員は、担当テーブルの注文をとった後、注文票と整理券4をクリップ等で留めて顧客に渡し、精算時にレジに持参するように顧客に依頼する。なお、案内担当員が、整理券4を捨てずにレジに持参するように顧客に口頭で頼み、店員は注文票のみを渡すようにしてもよい。
【0040】
本実施形態では、POS端末2において精算を行うとき、図6(b)のフローチャートの処理を行い、整理券4に基づいて顧客情報を蓄積する処理を行う。精算を開始すると、まず、ステップS11において、レジ担当員が、顧客が持参した注文票に基づき、POS端末2において通常の精算のための処理を行う。例えば、POS端末2にメニューや商品の入力を行い、適宜POSサーバー3から情報を取得して精算金額を集計し、現金の入金や釣銭の排出、あるいはクレジットカードによる決済処理などを行う。
【0041】
ステップS12では、レジ担当員が、顧客から受け取った整理券4のバーコード6をバーコードリーダー20で読み取るための操作を行う。これにより、バーコード読取制御部22によるバーコード情報の読み取り処理が行われると共に、バーコード情報送信部23が、読み取ったバーコード情報(識別情報)を、今回の精算情報と共にPOSサーバー3に送信する。
【0042】
続いて、ステップS13では、POSサーバー3のデータベース管理部32が、受信した識別情報および精算情報を関連付けて顧客情報データベース31に登録する。これにより、顧客情報データベース31に新たな顧客情報が蓄積される。
【0043】
以上のように、本実施形態では、整理券4を発行する際に、整理番号5だけでなく、各整理券4に固有の識別情報を整理券4の持ち主に付与することができる。また、整理券発行装置1に識別情報をワンタッチで読み取るためのバーコードリーダー12を設けており、新たな整理券4の発行の際に、以前に発行した整理券4を持参していれば、これに印刷された識別情報を顧客が簡単に入力できる。そして、入力した識別情報に基づき、以前の整理券4に関連付けられた顧客情報(例えば、以前に来店したときに受けたサービスや購買内容など)をPOSサーバー3内の顧客情報データベース31から検索し、検索結果を反映させた販促情報を決定して、新たに発行する整理券4に印刷することができる。このように、整理券4を媒介として以前の利用時の情報などを参照できるようにすれば、顧客に会員登録などの負担をかけることなく、また、会員カードの発行コストをかけることなく、効果的な宣伝や、顧客満足度が向上するような特典の提供、および、顧客情報の蓄積を行うことができる。
【0044】
(改変例)
(1)上記実施形態では、以前の整理券4を持参したときは、今回印刷する整理券4の余白に前回の精算情報を反映させた広告情報を印刷しているが、広告の代わりに、前回の精算情報を反映させた特典情報を印刷することもできる。あるいは、今回印刷する整理券4と共に、広告情報や特典情報を印刷した別の印刷物を発行してもよい。例えば、今回の整理券4と共にクーポン券を発行することができる。
【0045】
(2)各整理番号5に対する予測待ち時間を表示する待ち時間表示サイトをインターネット上に開設し、各整理券4に、この待ち時間表示サイトにアクセスするための情報を印刷しておいてもよい。例えば、携帯電話等で読み取り可能な2次元コードを各整理券4に印刷しておき、顧客が携帯電話のバーコードリーダーで手持ちの整理券4に印刷された2次元コードを読み取ると、自動的に待ち時間表示サイトにアクセスして、手持ちの整理券4の予測待ち時間を確認できるようにすることができる。待ち時間表示サイトの表示は店舗のサーバー等において管理し、店員が顧客をテーブルに案内する毎にそのテーブル番号および整理券番号等を入力することにより、随時待ち時間を更新することができる。このようにすると、待ち時間中の顧客の不満を軽減させることができる。なお、待ち時間中に利用可能な他の各種の情報を整理券4に印刷しておいてもよい。
【0046】
(3)上記実施形態は、以前の整理券4を持参すると、その整理券4による利用時の精算情報のみを参照できるものであり、直前の利用時の消費傾向に合致する販促情報を印刷するものであったが、整理券4を媒介として過去の精算情報を順次対応づけて顧客情報データベース31に登録することもできる。例えば、整理券発行装置1において以前の整理券4の識別番号が読み込まれ、これに基づいて販促情報を印刷した新たな整理券4を発行したときは、新たな整理券4の発行のために生成した識別番号と、以前の整理券4の識別番号とを対応付けてPOSサーバー3に送信し、これらを対応づけて顧客情報データベース31に登録する。これにより、整理券4の発行毎に付与された識別番号を媒介として、同じ顧客の精算情報同士を関連付けて蓄積することができる。
【0047】
このようにすると、顧客が来店毎に前回の整理券4を持参した場合には、会員登録などの負担なしで、顧客別の消費傾向などが蓄積されたデータベースを構築できると共に、顧客の来店時に、その顧客の以前の精算情報をさかのぼって全て検索可能となる。従って、データベースから検索可能な全ての情報を利用することにより、その顧客の消費傾向をより的確に把握できる。これにより、より販促効果の高い広告を印刷でき、顧客にとってより利用価値が高い特典を提供できる。
【0048】
(4)顧客情報データベース31への登録情報として、精算情報以外の情報を登録してもよい。例えば、来店日時を自動で登録し、来店時間帯に合致した販促情報を印刷することができる。あるいは、性別や人数などを登録し、これらの属性に基づいて印刷すべき販促情報を決定することもできる。
【0049】
(5)以前の整理券4を持参すると特典が受けられる旨の案内を、整理券発行装置1に表示すると共に整理券4自体にも印刷しておき、これにより、顧客に対して整理券4の持参を促すことができる。特典の内容としては、クーポンの発行などが考えられる。また、整理券4を持参するごとに来店ポイントが蓄積され、一定のポイント数に到達すると特典が受けられるようにしてもよい。この場合、蓄積したポイント情報をバーコード情報に含めることもできる。このようにすると、顧客に対して、整理券4を保管させ、継続して整理券4を持参させるための動機づけを行うことができる。
【0050】
(6)上記実施形態では、整理券4の発行時に整理券発行装置1において広告や特典情報を印刷するのみであったが、POS端末2においても整理券4からバーコード6を読み取る処理を行うため、POS端末2において読み取った識別情報に基づいて顧客情報データベース31を検索し、広告やクーポンなどを印刷して顧客に渡すこともできる。
【0051】
(7)上記実施形態は、POSサーバー3に顧客情報データベース31を記憶させたものであったが、POS端末2あるいは整理券発行装置1に、顧客情報データベース31およびこれを管理するためのデータベース管理手段を設けることもできる。
【0052】
(8)上記実施形態は、整理券4に固有の識別情報をバーコードに変換して印刷したものであったが、2次元コードなどの他の形態に変換して印刷してもよい。
【0053】
(9)上記実施形態では、精算時にPOS端末2において整理券4からバーコード6を読み取っていたが、テーブルへの案内時に案内担当員が顧客から整理券4を受け取って持参する端末などでバーコード6を読み取り、読み取ったバーコード情報をテーブル番号に対応づけてPOS端末2に送信することもできる。この場合には、POS端末2において該当するテーブル番号の精算を行うとき、テーブル番号を介して、案内時に受信したバーコード情報と精算情報とを対応付けてPOSサーバー3に送信する。よって、精算時に整理券4の提示を求めることなく、顧客情報を蓄積できる。
【符号の説明】
【0054】
1…整理券発行装置、2…POS端末(精算機)、3…POSサーバー(サーバー/情報処理装置)、4…整理券、5…整理番号、6…バーコード、7…販促情報印刷領域、10…印刷機構(整理券発行手段の一部/販促情報印刷手段の一部)、11…ディスプレイ、12…バーコードリーダー(第1の識別情報入力手段の一部)、13…通信モジュール、14…制御部、15…整理券発行制御部(整理券発行手段の一部)、16…バーコード読取制御部(第1の識別情報入力手段の一部)、17…販促情報印刷制御部(販促情報印刷手段の一部)、20…バーコードリーダー(第2の識別情報入力手段の一部)、21…制御部、22…バーコード読取制御部(第2の識別情報入力手段の一部)、23…バーコード情報送信部、30…制御部、31…顧客情報データベース、32…データベース管理部(データベース管理手段)、A…整理券発行システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
整理券発行操作が行われたことに基づき、受付順を示す整理番号、および、各整理券を特定するための識別情報を印刷した整理券を発行する整理券発行手段と、
以前に発行した前記整理券に印刷されている前記識別情報を入力するための第1の識別情報入力手段と、
前記整理券発行手段による新たな整理券の発行に際して、前記第1の識別情報入力手段から前記識別情報が入力された場合に、当該識別情報に対応づけられた顧客情報を予め設定したデータベースから検索し、当該顧客情報を反映させた販促情報を前記新たな整理券に印刷するか、もしくは、当該販促情報を印刷した別の印刷物を前記新たな整理券と共に発行する販促情報印刷手段を有することを特徴とする整理券発行装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記販促情報は、前記整理券もしくは前記別の印刷物に印刷される広告もしくは特典情報であることを特徴とする整理券発行装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記整理券発行手段は、前記識別情報をバーコードもしくは2次元コードに変換して印刷し、
前記第1の識別情報入力手段は、バーコードもしくは2次元コードを読み取るためのバーコードリーダーであることを特徴とする整理券発行装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの項において、
前記整理券発行手段は、前記整理番号と共に、当該整理番号に対する予測待ち時間の表示サイトにアクセスするためのアクセス情報を前記整理券に印刷することを特徴とする整理券発行装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの項において、
前記データベースは、前記整理券を持った利用者が精算を行ったことに伴い、当該整理券から読み取った前記識別情報を精算情報と対応付けて登録したものであり、
前記顧客情報は前記精算情報であることを特徴とする整理券発行装置。
【請求項6】
請求項5に記載の整理券発行装置、および、当該整理券発行装置と通信可能な情報処理装置を有する整理券発行システムであって、
前記情報処理装置は、精算機あるいは当該精算機を統括するサーバーであり、
前記精算機は、前記整理券に印刷されている前記識別情報を入力するための第2の識別情報入力手段を備え、
前記整理券発行装置または前記情報処理装置は、
前記精算機において精算が行われる際に、前記第2の識別情報入力手段から前記識別情報の入力が行われると、当該入力された識別情報を精算情報と対応づけて前記データベースに登録するデータベース管理手段を備えることを特徴とする整理券発行システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記データベース管理手段は、
前記整理券発行装置による新たな整理券の発行が行われる際に、前記第1の識別情報入力手段から前記識別情報が入力されると、当該入力された識別情報と、前記新たな整理券に印刷される前記識別情報とを対応づけて前記データベースに登録することを特徴とする整理券発行システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記販促情報印刷手段は、
前記整理券発行装置による新たな整理券の発行が行われる際に、前記第1の識別情報入力手段から前記識別情報が入力されると、当該入力された識別情報に対応づけられた全ての顧客情報を前記データベースから検索して、当該全ての顧客情報を反映させた前記販促情報を、前記新たな整理券、もしくは、当該新たな整理券と共に発行される別の印刷物に印刷することを特徴とする整理券発行システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate