説明

整髪料洗浄剤及びその使用方法

【課題】
整髪料の洗浄効果が高く、毛髪に滑らかさを与える整髪料洗浄剤及びその使用方法を提供する。
【解決手段】
(a)IOBが0.6〜1.5の水溶性油分と、
(b)カチオン性高分子と、
(c)金属イオン封鎖剤とを含む整髪料洗浄剤。
前記水溶性油分は、ランダム型アルキレンオキシド誘導体及びコハク酸ジエトキシエチルから選択される1種または2種以上であり、カチオン性高分子は、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−7から選択される1種または2種以上であり、金属イオン封鎖剤が、ヒドロキシエタンジフォスホン酸類、エデト酸塩、N−アシルエチレンジアミントリ酢酸塩から選択される1種または2種以上であることが好適である。
さらにクエン酸及びトリエタノールアミンを含むことが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整髪料洗浄剤及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
整髪料とは、ヘアスタイルを整え、セットしたヘアスタイルを持続させると共に、毛髪に潤いを与えるために用いられる製品である。整髪料としては、セット樹脂膜により整髪するフォーム、ヘアスプレー、ジェル、セットローションと、常温で固形もしくはペースト状の油脂を用いることにより整髪するヘアスチック、ポマード、ヘアクリーム等がある。
これらの整髪料は、通常のシャンプーでは落としにくいが、毛髪に残存していると、洗髪後の仕上がり感が悪くなるため、十分に整髪料を落としきるよう複数回洗髪を行なうことが必要とされていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、繰り返し洗髪することは、頭皮・毛髪からの必要以上の脱脂や、ダメージ増加につながっていた。さらには、ダメージヘアの増加に伴い、毛髪のダメージ部分への金属イオンの付着による毛髪のゴワツキが懸念されている。
また、繰り返しのシャンプーが必要であることは、コスト面でも個人あるいはヘアサロン店に影響を及ぼすことから対策が必要とされていた。
これらの事情により、一度で整髪料を落とすことのできる洗浄料、あるいはシャンプーでの洗髪前に用いられる洗浄剤が必要とされているが、これまで存在しなかった。
本発明は、前述の課題に鑑み行われたものであり、整髪料の洗浄効果が高く、毛髪に滑らかさを与える整髪料洗浄剤及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために本発明者等が検討を行った結果、特定の水溶性油分、カチオン性高分子、及び金属イオン封鎖剤とを配合することにより、洗浄効果が高く、毛髪に滑らかさを与える整髪料洗浄剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の整髪料洗浄剤は、
(a)IOBが0.6〜1.5の水溶性油分と、
(b)カチオン性高分子と、
(c)金属イオン封鎖剤とを含むことを特徴とする。
【0005】
前記水溶性油分は、下記式(I)で示されるランダム型アルキレンオキシド誘導体及びコハク酸ジエトキシエチルから選択される1種または2種以上であることが好適である。
(化1)
O−[(AO)(EO)]−R (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は20〜80質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加している。R,Rは、同一もしくは異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子であり、RおよびRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合は0.15以下である。)
【0006】
カチオン性高分子は、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−7から選択される1種または2種以上であることが好適である。
金属イオン封鎖剤が、ヒドロキシエタンジフォスホン酸類、エデト酸塩、N−アシルエチレンジアミントリ酢酸塩から選択される1種または2種以上であることが好適である。
前記整髪料洗浄剤において、さらにクエン酸及びトリエタノールアミンを含むことが好適である。
また、本発明の整髪料洗浄剤の使用方法は、整髪料が塗布された毛髪に、請求項1〜4のいずれかに記載の整髪料洗浄剤を、毛髪が渇いた状態で塗布し、水洗することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の水溶性油分、カチオン性高分子、及び金属イオン封鎖剤とを配合することにより、洗浄効果が高く、毛髪に滑らかさを与える整髪料洗浄剤を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
(a)水溶性油分
本発明において用いられる水溶性油分は、IOB(無機性値/有機性値)が0.6〜1.5のものである。IOBが0.6未満であると、洗浄効果等が劣り、仕上がり感が悪くなる。
このような水溶性油分としては、ランダム型アルキレンオキシド誘導体及びコハク酸ジエトキシエチルから選択される1種または2種以上の組み合わせが好ましい。
水溶性油分の配合量としては、0.5〜20質量%、特に1〜20質量%が望ましい。0.5質量%未満だと本発明の効果が十分でなく、20質量%以上では液の粘性が高くなり過ぎて使用しにくくなる。
【0009】
ランダム型アルキレンオキシド誘導体は、下記式(I)で示される。
(化2)
O−[(AO)/(EO)]−R (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、20〜80質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加している。R,Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子であり、RおよびRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である。)
【0010】
上記式(I)において、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。
mは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、好ましくは2≦m≦41である。nはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦n≦70、好ましくは14≦n≦55である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基またはオキシエチレン基が0であるとなめらかさが落ち、70を越えるとべたつき感がでてくる傾向がある。
【0011】
また、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が、20〜80質量%であることが好ましい。オキシエチレン基の割合が20質量%未満であるとなめらかさに劣る傾向にあり、80質量%を超えると使用後べたつきを生じる傾向にある。
オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基はランダム状に付加しており、エチレンオキシドおよび炭素数3〜4のアルキレンオキシドの付加する順序は、特に指定されない。ランダム状のものはブロック状のものと比較して使用感触に優れている。
なお、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、[(EO)/(PO)]はランダム状結合を表し、以下このように略して記載することがある。
【0012】
及びRは炭素数1〜4の炭化水素基もしくは水素原子で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基である。炭素数5以上の炭化水素基では親水性が低下し、うるおい感が低下する。R,Rは、同一であっても異なっていても良い。
およびRはそれぞれ同種のものを用いても、炭素数1〜4の炭化水素基と水素原子とが混在しても、異種の炭素数1〜4の炭化水素基が混在してもよい。ただし、RおよびRの炭化水素基のうち、炭化水素基と水素原子の存在割合は、炭化水素基の数(X)に対する水素原子の数(Y)の割合Y/Xが0.15以下、好ましくは0.06以下である。Y/Xの割合が0.15を越えると、べたつき感がでてくる。
【0013】
本発明のアルキレンオキシド誘導体としては、具体的にはPOE(14)POP(7)ジメチルエーテル(IOB 1.19)、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル(IOB 0.90)、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル(IOB
1.20)、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル(IOB 0.90)等が挙げられる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。
【0014】
本発明のアルキレンオキシド誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシドおよび炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。以下、アルキレンオキシド誘導体の合成例について示す。
【0015】
<合成例 ランダム型アルキレンオキシド誘導体>
ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル
CHO[(EO)10/(PO)10]CH(ランダムポリマー)
プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド440gとプロピレンオキシド522gの混合物を滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行ない、前記ランダム型アルキレンオキシド誘導体を得た。
【0016】
<参考合成例 ブロック型アルキレンオキシド誘導体>
ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル
CHO[(EO)10(PO)10]CH(ブロックポリマー)
プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりプロピレンオキシド522gを滴下させ、2時間攪拌した。ひきつづき滴下装置によりエチレンオキシド440gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行ない、前記ブロック型アルキレンオキシド誘導体を得た。
塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が110、得られた化合物の水酸基価が0.3、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.003であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【0017】
(b)カチオン性高分子
カチオン性高分子としては、具体的には塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプンやカチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2やポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−7等が使用でき、1種または2種以上の組み合わせが好ましい。
カチオン性高分子の配合量としては、0.1〜1質量%が望ましい。0.1質量%未満だと洗浄効果が弱まり、1質量%以上では液の粘性が高くなり過ぎて使用しにくくなる。
【0018】
(c)金属イオン封鎖剤
金属イオン封鎖剤としては、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩等のヒドロキシエタンジフォスホン酸類;エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム等のエデト酸類;ラウロイルエチレンジアミントリ酢酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチルトリ酢酸3ナトリウム等のN−アシルエチレンジアミントリ酢酸塩等を用いることが好ましく、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
金属イオン封鎖剤の配合量としては、0.1〜3.0質量%が望ましい。0.1質量%未満だと液の粘性が低くなり過ぎて使用しにくくなったり、仕上がり感が劣ったりすることがあり、3.0質量%以上でも仕上がり感が劣ったりすることがある。
他に、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を併用することもできる。特にクエン酸/トリエタノールアミンの組み合わせなどにより、pH6〜8程度に調整することで、製品安定性が良好に保つことができるため好ましい。
【0019】
本発明の整髪料洗浄剤には上記必須成分の他、通常化粧品や医薬部外品の毛髪化粧料に用いられる成分を配合することができ常法に応じて製造される。
本発明の整髪料洗浄剤の使用方法としては、整髪料がついた毛髪に、シャンプー前の渇いた状態で塗布後、水洗する。湿った状態でも使用できるが、事前に毛髪を湿らせる手間がかかることや、効果の点から、毛髪が渇いた状態で用いることが好ましい。
【0020】
使用形態としては、トリガー付きティスペンサー容器に充填してスプレーやミストとして、適量を毛髪に噴霧して使用する他にも、金属イオン封鎖剤にN−アシルエチレンジアミントリ酢酸塩を使用する場合には、ポンプフォーマー容器で泡状にして使用する事もできる。
整髪料洗浄剤を使用後、通常のシャンプーで洗髪することが好ましい。本整髪料洗浄剤で整髪料を予め落としているので、シャンプーでの洗髪は複数回を必要とせず、またシャンプーの起泡性が向上する。
シャンプー後、さらにリンスやトリートメント、ヘアコンディショナー等を使用することが好ましい。本整髪料洗浄剤を予め使用することにより、これらの仕上がり感が向上する。
以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
初めに実施例で用いた評価試験方法及び評価基準について説明する。
〔手順〕
1.整髪料(ジェレイド ファイバーインワックスNTM:(株)資生堂社製)を毛髪に均一に塗布する。
2.乾いた状態のままで、試料をスプレーにて毛髪に塗布する(3g/10cm)。
3.指で軽くマッサージしてからシャワーで流す。
4.市販シャンプーを用いて洗髪する。
5.市販ヘアコンディショナーを塗布後、洗い流す。
ヘアカラー・パーマ使用の専門パネル(n=10)にて、0.5ポイント刻みで評価を行ない、平均を求めた。各項目平均点1点以上を合格、1点未満を不合格とする。
【0022】
評価(1):使いやすさ
手順2における整髪料洗浄剤の使いやすさを評価する。
均一に広がる・液だれしない:2点
広がらない/広がりすぎる・液だれする:0点
評価(2):洗浄効果・滑らかさ
手順3における整髪料の洗浄効果と、毛髪の滑らかさを評価する。
落ちた・滑らか:2点
やや残り感あり・ややきしむ、ゴワつく:1点
落ちない・きしむ、ゴワつく:0点
【0023】
評価(3):シャンプーの泡立ち
手順4におけるシャンプーの泡立ちを評価する。
よく泡立つ:2点
やや泡立ちが悪い:1点
泡立ちが悪い:0点
評価(4):仕上がり感
手順5における仕上がり感を評価する。
なめらか・しなやか:2点
きしみ・ゴワツキがある:0点
【0024】
(5)製品安定性
経時(製造後、室温で一ヶ月保存)での外観
◎:透明
○:カスミ感
×:2層分離・沈殿
【0025】
下記表1に記載した配合組成よりなる試料について、上記評価(1)〜(5)について評価試験を行なった。結果を表1に示す。
(表1)

(製造方法)
精製水でカチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2を加熱溶解後、その他の成分を加えて透明溶解確認する。
【0026】
水溶性油分であるアルキレンオキシド誘導体やコハク酸ジエトキシエチルが配合されていない試験例1−13〜1−17では、洗浄効果・滑らかさ等が得られなかった。
また、カチオン性高分子であるカチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプンあるいはポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−7が配合されていない試験例1−11では、洗浄効果や製品安定性等がかなり劣った。
また、本発明の金属封鎖剤であるラウロイルエチレンジアミントリ酢酸塩やエデト酸塩を含まない試験例1−12は、使いやすさや仕上がり感の点でやや劣るものであった。
【0027】
これに対し、本発明の整髪料洗浄剤である試験例1−1〜1−10では、いずれの評価においても優れているものであった。特にクエン酸/トリエタノールアミンを含む試験例1−1〜1−3では、製品安定性がさらに改善された。
以上のように(a)IOBが0.6〜1.5の水溶性油分、(b)カチオン性高分子及び(c)金属封鎖剤を配合することにより、整髪料の洗浄効果が高く、毛髪に滑らかさを与える整髪料洗浄剤が得られることが明らかとなった。
【0028】
次に、(a)水溶性油分及び(b)カチオン性高分子の好適な配合量について検討した。下記表2に記載した配合組成よりなる試料について、上記評価(1)〜(5)について評価試験を行なった。結果を表2に示す。
(表2)

(製造方法)
精製水でカチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2を加熱溶解後、その他の成分を加えて透明溶解確認する。
【0029】
水溶性油分を0.5〜20質量%、特に1〜20質量%配合した場合、(1)〜(4)のいずれの評価においても優れたものとなった。20質量%を超えると、試料の粘性が高くなり均一に広がりにくかった。
また、カチオン性高分子を0.1〜1質量%配合した場合、(1)〜(5)のいずれの評価においても優れたものとなった。1質量%を超えると、試料の粘性が高くなり均一に広がりにくかった。
【0030】
以上の結果から、(a)IOBが0.6〜1.5の水溶性油分の配合量は、0.5〜20質量%、特に1〜20質量%が好ましく、(b)カチオン性高分子の配合量は、0.1〜1質量%が好ましいことが確認された。
さらに本発明者らが検討したところ、(c)金属イオン封鎖剤の好適な配合量は、0.1〜3.0質量%であることがわかった。
以下、本発明にかかる整髪料洗浄剤のその他の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例の整髪料洗浄剤は、いずれも整髪料の洗浄効果が高く、毛髪に滑らかさを与えるものであった。
【実施例2】
【0031】
ポンプフォーマータイプの整髪料洗浄剤
(質量%)
(1)ジプロピレングリコール 6.0
(2)CH3O[(EO)55/(PO)28]CH3 6.0
(3)カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2 0.3
(4)クエン酸ナトリウム 0.2
(5)メチルパラベン 0.2
(6)フェノキシエタノール 0.5
(7)ラウロイルエチレンジアミントリ酢酸ナトリウム液(30%) 1.0
(8)香料 0.1
(9)精製水 85.7
(製造方法)
3を9に溶解する。これに5を1で溶解してから加え、70℃に加熱して透明溶解確認をする。
【実施例3】
【0032】
スプレータイプの整髪料洗浄剤
(質量%)
(1)ソルビトール 7.0
(2)コハク酸ジエトキシエチル 3.0
(3)塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン液(24%) 2.0
(4)クエン酸ナトリウム 0.1
(5)安息香酸ナトリウム 0.1
(6)メチルパラベン 0.1
(7)フェノキシエタノール 0.3
(8)ヒドロキシエタンジフォスホン酸 0.3
(9)香料 0.1
(10)精製水 87.0
(製造方法)
すべての配合成分を70℃で混合して、透明溶解確認後に冷却する。
【実施例4】
【0033】
パール様外観シャンプー
(質量%)
(1)CH3O[(EO)14/(PO)7]CH3 2.0
(2)ココイルメチルタウリンナトリウム液(30%) 16.0
(3)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液(30%) 14.0
(4)ラウロイルグリコール酢酸ナトリウム液(30%) 5.0
(5)ラウロイルエチレンジアミントリ酢酸ナトリウム液(30%) 1.2
(6)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド
0.3
(7)ジステアリン酸グリコール 2.0
(8)カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2 0.3
(9)マーコート550TM(ポリオクタニウム−7の8%水溶液) 3.0
(10)塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン液(24%) 1.5
(11)クエン酸 0.2
(12)ジメチコン 0.6
(13)安息香酸ナトリウム 0.1
(14)フェノキシエタノール 0.3
(15)香料 0.4
(16)精製水 50.0
(製造方法)
常法により作成。
【実施例5】
【0034】
透明系シャンプー
(質量%)
(1)1,3−ブチレングリコール
6.0
(2)CH3O[(EO)55/(PO)28]CH3 10.0
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム液(30%) 25.0
(4)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液 15.0
(5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド
0.5
(6)カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2 0.1
(7)塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン液(24%) 2.0
(8)ラウリルグリコール酢酸ナトリウム液(30%) 0.3
(9)クエン酸 0.2
(10)安息香酸ナトリウム 0.1
(11)フェノキシエタノール 0.3
(12)香料 0.5
(13)精製水 40.0
(製造方法)
常法により作成。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)IOBが0.6〜1.5の水溶性油分と、
(b)カチオン性高分子と、
(c)金属イオン封鎖剤とを含む整髪料洗浄剤。
【請求項2】
請求項1に記載の整髪料洗浄剤において、前記水溶性油分が、下記式(I)で示されるランダム型アルキレンオキシド誘導体及びコハク酸ジエトキシエチルから選択される1種または2種以上であることを特徴とする整髪料洗浄剤。
(化1)
O−[(AO)(EO)]−R (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は20〜80質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加している。R,Rは、同一もしくは異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子であり、RおよびRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合は0.15以下である。)
【請求項3】
請求項1又は2に記載の整髪料洗浄剤において、カチオン性高分子が、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース−2、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−7から選択される1種または2種以上であることを特徴とする整髪料洗浄剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の整髪料洗浄剤において、金属イオン封鎖剤が、ヒドロキシエタンジフォスホン酸類、エデト酸塩、N−アシルエチレンジアミントリ酢酸塩から選択される1種または2種以上であることを特徴とする整髪料洗浄剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の整髪料洗浄剤において、さらにクエン酸及びトリエタノールアミンを含むことを特徴とする整髪料洗浄剤。
【請求項6】
整髪料が塗布された毛髪に、請求項1〜5のいずれかに記載の整髪料洗浄剤を、毛髪が渇いた状態で塗布し、水洗することを特徴とする整髪料洗浄剤の使用方法。

【公開番号】特開2006−1861(P2006−1861A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178145(P2004−178145)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】