説明

整髪料

【課題】固形油を配合した水中油乳化型の整髪料において、使用時のべたつきがなく、ごわつきのない柔軟な仕上がりでありながら、セット力及びセット力の持続性に優れ、洗髪性や経時安定性も良好な整髪料を提供すること。
【解決手段】 次の成分(a)〜(d);(a)ポリアクリレート−2 クロスポリマー、(b)アニオン性界面活性剤、(c)固形油、(d)水を配合し、水中油乳化型組成物であることを特徴とする整髪料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアクリル系共重合体、アニオン性界面活性剤、固形油、水とを含有した水中油乳化型組成物である整髪料に関するものであり、更に詳しくは、べたつきがなく柔軟な仕上がりでありながら、高いセット力とその持続性を有し、且つ洗髪時の落とし易さ(洗髪性)、経時安定性に優れる整髪料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、整髪料には、ヘアスタイルを固定したり、保持するために、皮膜形成性の高分子や油性成分が毛髪セット剤として用いられてきた。例えば、皮膜形成性の高分子の場合、アニオン性、両性、カチオン性、非イオン性等の各種の高分子が用いられ、ヘアスプレー、ヘアムース、カーラーローション、ヘアジェルなど製品の特徴に応じて、単独で、あるいは組合せて用いられてきた。このような皮膜形成性の高分子は、優れたセット力を付与することができるが、一方で、形成される皮膜が固く、ごわつきやきしみ感などが生じる場合があった。油性成分は、高分子程のセット力はないものの、皮膜を形成しないため、固さやごわつきが少なく、また、ツヤを付与する効果もあり、有用な毛髪セット剤として、特に乳化剤型のものに多く用いられてきた。中でも、固形油は、ヘアスタイルが崩れた際の戻し易さ;再整髪性に優れることより、乳化剤型の整髪料(例えば、特許文献1〜3参照)に多く用いられてきている。
【0003】
しかしながら、より高いセット力を求めて固形油を多く配合すると、組成物が固くなり過ぎて使用時に指で取れない場合や、べたつき感が生じたり、セット力の持続性が損なわれる場合があった。このため、油性成分を配合した乳化剤型の整髪料において、べたつき感などの感触改良のために皮膜形成性の高分子化合物を併用する検討(例えば、特許文献4参照)がなされてきた。
【特許文献1】特開平10−45546号公報
【特許文献2】特開平11−124316号公報
【特許文献3】特開2004−67622号公報
【特許文献4】特開2004−182612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、皮膜形成性の高分子を併用することで、セット力を上げることはできても、固形油によるべたつき感はうまく抑制できない場合があり、また、洗髪時に一度の洗い流しでは十分に落としきれない場合があった。
従ってべたつきやごわつきがなく柔軟な仕上がりでありながら、高いセット力を有してヘアスタイルが持続し、また、洗髪時の落とし易さにも優れる整髪料の開発が望まれていた。
また、固形状の整髪料の場合には、使用時、系が固くなり過ぎることなく指で簡単に取れる固さのものが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、特定のアクリル系共重合体を、アニオン性界面活性剤、固形油、水と配合することにより、使用時のべたつきがなく、柔軟な仕上がり(高分子特有の固さやごわつきのない仕上がり)でありながら、高いセット力とその持続性を有し、且つ洗髪性に優れた整髪料を得ることができ、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(a)〜(d);
(a)ポリアクリレート−2 クロスポリマー
(b)アニオン性界面活性剤
(c)固形油
(d)水
を配合し、水中油乳化型組成物であることを特徴とする整髪料を提供するものである。
【0007】
また、成分(b)のアニオン性界面活性剤が、アシルメチルタウリン塩、アシルアミノ酸塩、脂肪酸塩から選ばれる1種又は2種以上であり、対塩基がナトリウム、カリウム、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記整髪料を提供するものである。そして、成分(a)の配合量が0.5〜10質量%、成分(b)の配合量が0.1〜5質量%、成分(c)の配合量が1〜20質量%であることを特徴とする前記何れかの整髪料を提供するものである。さらに、成分(e)として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上を配合することを特徴とする前記何れかの整髪料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の整髪料は、使用時のべたつきがなく、仕上がりは高分子特有のごわつきや固さがなく柔軟でありながら高いセット力とその持続性を有し、しかも、洗髪性に優れ経時安定性も良好なものである。また本発明の整髪料は、毛髪セット剤として有用な固形油を多く配合した固形状のものでも、使用時、指で取り易い固さで、使用し易いという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の整髪料に用いられる成分(a)のポリアクリレート−2 クロスポリマーは、毛髪に塗布した場合、後述する成分(c)の固形油によるべたつき感を低減し、べたつきやごわつきのない柔軟な仕上がりを付与しつつ、高いセット力とセット力の持続性を出し、また固形状の整髪料においては、使用時の取れ易さを出す目的で配合されるものである。
【0010】
本発明の成分(a)のポリアクリレート−2 クロスポリマーは、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)に登録された原料である。市販品としては、成分(a)のポリアクリレート−2 クロスポリマーを30%(固形分)含むFixate Superhold Polymer(Noveon社製)がある。
【0011】
本発明の整髪料における成分(a)の配合量は、0.5〜10質量%(以下、単に「%」と略す)が好ましく1〜5%がより好ましい。成分(a)をこの範囲で配合すると、後述する成分(c)の固形油によるべたつき感を抑えることができ、従来の皮膜形成性の高分子では得難い柔軟な仕上がりでありながら、高いセット力とその持続性に優れた整髪料を得ることができる。また、固形状の整髪料であっても、系が固くなり過ぎることがなく弾力感のある固さで、使用時に指で取り易いものとなる。
【0012】
本発明の整髪料に用いられる成分(b)のアニオン性界面活性剤は、水中油乳化型組成物の乳化剤として、また、洗髪時の整髪料の落ち(洗髪性)を良くする目的で配合されるものである。成分(b)としては、通常化粧料に使用されるものであれば特には限定されず、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸の塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、N−アシルアルキルタウリン塩、N−アシルタウリン塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等が例示することができ、必要に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪酸の塩、ココイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ミリストイルタウリン塩、パルミトイルメチルタウリン塩、ステアロイルメチルタウリン塩などのN−アシルメチルタウリン塩、N−ステアロイル−L−グルタミン酸塩、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸塩などのN−アシルアミノ酸塩から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
更に上記塩の対塩基としては、ナトリウム、カリウム、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンから選ばれる1種又は2種以上であることがより好ましい。
上記(b)のアニオン性界面活性剤は、塩として配合しても良いし、対塩基と別々に配合し、組成物中で塩とし、アニオン性界面活性剤としても良い。
【0013】
本発明の整髪料における成分(b)の配合量は、塩としての配合量で0.1〜5%が好ましく、優れた使用感を得るには、0.5〜3%がより好ましい。成分(b)をこの範囲で配合すると、良好に乳化することができ、また、洗髪性にも優れる整髪料を得ることができる。
【0014】
本発明の整髪料に用いられる成分(c)の固形油は、セット力、セット力の持続性、再整髪性を付与するために配合されるもので、常温で固形状の油で、通常化粧料に使用可能なものであれば特に制限されず、炭化水素類、エステル類、ロウ類、油脂類、高級アルコール等が使用できる。具体的には、固形パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、ムルチワックス、ミツロウ、ゲイロウ、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、シア脂等を例示することができ、必要に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、固形パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ムルチワックス、ミツロウが好ましい。
【0015】
成分(c)は、本発明の整髪料において、セット力、セット力の持続性、再整髪性を付与するだけでなく、成分(a)のポリアクリレート−2 クロスポリマーと併用することで、成分(c)を高配合しても、成分(c)により生ずるべたつきを抑えながら、優れたセット力とセット力の持続性を発現することができる。
【0016】
本発明における成分(c)の配合量は、1〜20%が好ましく、優れた使用感を得るには、2〜15%がより好ましい。成分(c)をこの範囲で配合すると、成分(c)によるべたつきを抑えつつ、優れたセット力とセット力の持続性、再整髪性を有する整髪料を得ることができる。
【0017】
本発明の整髪料における成分(d)水は、水中油乳化型組成物を構成する上で必須の成分である。成分(d)の配合量は、上記成分(a)〜(c)、或いは下記成分(e)や他の任意に配合可能な成分とのバランスで適宜決められる。
【0018】
本発明の整髪料には、更に成分(e)として、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上を配合することも可能である。成分(e)は、固形油を多く配合した場合に生ずるおそれのある低温での固化などの経時安定性の懸念を改善させることを目的に配合されるものである。具体的には、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、グリセリン脂肪酸エステルとしては、親油型モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、親油型モノオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.)などが挙げられ、必要に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
成分(e)の配合量は、特に限定はないが、より経時安定の良いものを得るには0.01〜8%が好ましく、0.1〜5%がより好ましい。
【0019】
本発明の整髪料には、上記成分(a)〜(e)以外の通常、化粧料に使用される成分、成分(c)の固形油以外の室温で液状またはペースト状の炭化水素油、エステル油、高級アルコール、ワックス等の油剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、成分(e)以外のノニオン性界面活性剤、紫外線吸収剤、成分(a)以外の高分子、増粘剤、多価アルコール、糖類、低級アルコール等の水性成分、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤、清涼剤、ビタミン類、美容成分、香料、粉体等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0020】
成分(c)の固形油以外の室温で液状またはペースト状油剤としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン等の炭化水素油、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、カプリン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2ーエチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸2ーエチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、2ーエチルヘキサン酸セチル、2ーエチルヘキサン酸セトステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソペラルゴン酸2ーエチルヘキシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソパルミチン酸2ーエチルヘキシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリン酸グリセリル、トリ2ーエチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2ーエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等のエステル油、ヤシ油、オリーブ油、米胚芽油、米ヌカ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油、オリーブ油、アボカド油、サフラワー油、サンフラワー油等の植物油脂、ホホバ油などの液状ワックス、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、パーフルオロデカン等のフッ素系油等を例示することができる。
【0021】
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤として、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等、両性界面活性剤としては、脂肪酸アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン等、非イオン性界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ポリオキシプロ等が挙げられる。
【0022】
水溶性高分子としては、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムチン、デルマタン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸から選ばれるムコ多糖類及びその塩、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリエチレンイミン、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子等がある。また、セット剤として汎用されるアニオン性高分子としては、例えばアクリル酸・アクリル酸エチル・N−tert−ブチルアクリルアミド共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等を例示することができる。また両性高分子としては、N−メタクリロイルエチルN,N−ジメチルアンモニウム・α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル・アクリル酸オクチルアミド共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体等を例示することができる。カチオン性高分子としては、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体ジエチル硫酸塩、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化グリシジルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体等が例示することができる。非イオン性高分子としては、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等を例示することができる。
【0023】
水性成分としては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、エチルアルコール、イソプロパノール等の低級アルコール等がある。
【0024】
抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられ、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0025】
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等、清涼剤としては、L−メントール、カンフル等が挙げられる。
【0026】
ビタミン類としては、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、リノレン酸及びその誘導体等のビタミンF類;フィトナジオン、メナキノン、メナジオン、メナジオール等のビタミンK類;エリオシトリン、ヘスペリジン等のビタミンP類;その他、ビオチン、カルチニン、フェルラ酸等が挙げられる。
【0027】
粉体としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状、等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができる。
【0028】
本発明の整髪料の製造方法は、特に限定されず、常法により水中油型乳化組成物調製すれば良いが、例えば、成分(b)及び(c)を加熱混合し、これに加熱した成分(d)を加え乳化し、冷却後、成分(a)を均一混合して、水中油乳化型の組成物を得る方法などが挙げられる。
【0029】
かくして得られる本発明の水中油乳化型の整髪料は、固形状、クリーム状、乳液状、白濁ローション状等として実施可能であり、ヘアワックス、ヘアクリーム、ヘアミルク、ヘアトリートメント、枝毛コート剤、或いは噴射剤を用いてヘアフォーム等として、アウトバスの整髪料に利用が可能であるが、固形状乃至クリーム状のヘアワックス、ヘアクリームが、本願効果であるべたつきやごわつきがなく柔軟な仕上がりでありながら、高いセット力を発現する効果に優れ、より好ましい。さらに、固形状のものの場合、固形状でありながら、系が固くなり過ぎることがなく、使用時に指で取り易い弾力感のある固さのものとなる。
【0030】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0031】
発明品1〜11及び比較品1〜7:整髪料
表1に示す整髪料を下記製造方法により調製し、イ)指への取れ易さ、(ロ)使用時のべたつきのなさ、(ハ)仕上がりの柔軟性、(ニ)仕上がり時のセット力、(ホ)3時間後のセット力の持続性、(ヘ)洗髪性、(ト)経時安定性の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
(製造方法)
A:成分1〜7を80℃に加熱し、混合する。
B:成分8〜9、15〜16を80℃に加熱し、混合する。
C:BにAを添加し、乳化する。
D:Cを冷却する。
E:Dに成分10〜14を順次添加し、均一混合して、整髪料を得た。
【0034】
〔評価項目(イ)〜(ヘ)の評価方法〕
化粧品評価専門パネル20名に、本発明品及び比較品の整髪料を使用してもらい、(イ)指への取れ易さ、(ロ)使用時のべたつきのなさ、(ハ)仕上がりの柔軟性、(ニ)仕上がり時のセット力、(ホ)3時間後のセット力の持続性の各項目について、各自が以下の評価基準(A)に従って5段階に官能評価し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準(B)に従って判定した。
(ヘ)の洗髪性については、本発明品及び比較品の整髪料を使用してもらい、(ホ)の3時間後のセット力の持続性を評価した後、下記参考調製例のシャンプーAで洗髪してもらい、1回の洗髪での整髪料の落とし易さを(イ)〜(ホ)同様、評価基準(A)に従って5段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を判定基準(B)に従って判定した。
【0035】
参考調製例:シャンプーA
下記処方及び製法でシャンプーAを調製した。
(成分) (%)
(1)テトラデセンスルホン酸ナトリウム 10
(2)ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 6
(3)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 4
(4)ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン 3
(5)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 6
(6)1,3−ブチレングリコール 2
(7)カチオン化グァーガム 1
(8)エデト酸二ナトリウム 0.2
(9)防腐剤 0.1
(10)香料 0.1
(11)精製水 残量
(製法)
成分(1)〜(11)を70℃で均一に加熱混合し、後に冷却する。
【0036】
評価基準(A):
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準(B):
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0037】
〔(ト)経時安定性の評価方法〕
表1、表2の整髪料を50℃、5℃の恒温槽にセットし、2ヶ月間経過後の外観変化(分離、ブツの発生)を目視にて観察し、以下の判定基準を用いて判定した。
判定基準(C):
[評価] :[判 定]
外観の変化は全く見られない : ◎
外観の変化はほとんど見られない : ○
若干の分離、ブツが見られる : △
分離、ブツが見られる : ×
【0038】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明品1〜11の整髪料は、比較品1〜7に比べ、いずれも弾力感のある組成物で指に取れ易く、使用時のべたつきのなさ、仕上がりの柔軟性、仕上がり時のセット力に優れ、3時間後のセット力の持続性、洗髪性、経時安定性にも優れた良好なものであった。
一方、成分(a)を配合していない比較品1は、使用時の指への取れやすさ、べたつきのなさ、及び仕上がりの柔軟性に劣るものであった。成分(a)の代わりに整髪料の汎用されるノニオン性の高分子を配合した比較品2は、セット力やその持続性は優れるものの使用時の指への取れが悪く、使用時にべたついて、仕上がりの柔軟性に劣るものであったため、このノニオン性の整髪用の高分子の配合量を減らしてみたところ(比較品3)、使用時のべたつきは若干良くなるものの十分ではなく、使用時の指への取れやすさ、仕上がりの柔軟性は依然として劣るものであった。更に、成分(a)の代わりにアニオン性の整髪用の高分子を配合した比較品4においても、同様に指への取れ易さ、使用時のべたつきのなさ、仕上がりの柔軟性に劣るものであった。
成分(b)を配合していない比較品5は、取れやすさやべたつきのなさ、仕上がりの柔軟性は良いものの、洗髪性が悪く、経時安定性にも劣るものであった。
また、成分(c)を配合していない比較品6は、整髪料としてのセット力に欠けるものであり、さらに成分(c)を配合せず、代わりにペースト油を配合した比較品7も、同様に取れやすさやべたつきのなさ、仕上がりの柔軟性は良いものの、3時間後のセット力の持続性に欠けるものであった。
【実施例2】
【0039】
実施例2:ヘアワックス
(成分) (%)
1.N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 1
2.グリセリン 5
3.メチルパラベン 0.1
4.1,3−ブチレングリコール 5
5.セチルアルコール 1
6.ステアリルアルコール 1
7.パラフィンワックス 3
8.キャンデリラワックス 2
9.マイクロクリスタリンワックス 1
10.流動パラフィン 0.5
11.パルミチン酸セチル 0.5
12.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5
13.ポリアクリレート−2 クロスポリマー(注1) 2
14.水酸化ナトリウム 0.3
15.エタノール 3
16.香料 0.5
17.精製水 残量
【0040】
(製造方法)
A:成分1〜4、17を80℃に加熱し、混合する。
B:成分5〜12を80℃に加熱し、混合する。
C:AにBを添加し、乳化する。
D:Cを冷却する。
E:Dに成分13〜16を順次添加し、均一混合して、ヘアワックスを得た。
【0041】
本発明の実施品である実施例2のヘアワックスは、使用時、弾力感のある柔らかな感触で指で取り易い固さで、べたつきがなく、ごわつきのない柔軟な仕上がりになり、セット力及びセット力の持続性、更にはその洗髪性、経時安定性ともに優れたものであった。
【実施例3】
【0042】
実施例3:ヘアクリーム
(成分) (%)
1.N−ステアロイル−L−グルタミン酸 0.7
2.ジプロピレングリコール 5
3.メチルパラベン 0.1
4.1,3−ブチレングリコール 5
5.ベヘニルアルコール 0.3
6.ミリスチルアルコール 0.2
7.ミツロウ 1
8.カルナウバワックス 0.5
9.セレシンワックス 0.5
10.シア脂 0.5
11.ジメチコン(10mPa・s) 0.5
12.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.5
13.ポリアクリレート−2 クロスポリマー(注1) 1
14.エタノール 5
15.香料 0.1
16.モノエタノールアミン 0.3
17.精製水 残量
【0043】
(製造方法)
A:成分1〜12を80℃に加熱し、混合する。
B:成分16〜17を80℃に加熱し、混合する。
C:BにAを添加し、乳化する。
D:Cを冷却する。
E:Dに成分13〜15を順次添加し、均一混合して、ヘアクリームを得た。
【0044】
本発明の実施品である実施例3のヘアクリームは、使用時のべたつきのなさ、仕上がりの柔軟性、仕上がり時のセット力、セット力の持続性、洗髪性、経時安定性とも優れたものであった。
【実施例4】
【0045】
実施例4:ヘアクリーム
(成分) (%)
1.ステアリン酸 1.5
2.パラフィンワックス 5
3.ムルチワックス 0.1
4.モノステアリン酸グリセリル 0.5
5.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
6.セトステアリルアルコール 1
7.ミツロウ 1
8.メチルフェニルポリシロキサン 0.5
9.アミノ変性シリコーンエマルジョン(注4) 0.5
10.PEG−60ブチルアモジメチコンエマルジョン(注5) 0.5
11.ポリアクリレート−2 クロスポリマー(注1) 1.5
12.プロピレングリコール 5
13.エタノール 2
14.1,2−ペンタンジオール 0.1
15.カチオン化ヒアルロン酸 0.1
16.香料 0.1
17.トリエタノールアミン 1.6
18.精製水 残量
注4:SM8904C(東レ・ダウコーニング社製)(アミノ変性シリコーンを40%含有)
注5:SILSTYLE 401(日本ユニカー社製)(PEG−60ブチルアモジメチコン21.5%含有)
【0046】
(製造方法)
A:成分1〜8を80℃に加熱し、混合する。
B:成分17〜18を80℃に加熱し、混合する。
C:BにAを添加し、乳化する。
D:Cを冷却する。
E:Dに成分9〜16を順次添加し、均一混合して、ヘアクリームを得た。
【0047】
本発明の実施品である実施例4のヘアクリームは、使用時のべたつきがなく、仕上がりは高分子特有のごわつきや固さがなく柔軟でありながら、優れたセット力とその持続性を有し、洗髪性、経時安定性にも優れたものであった。
以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(d);
(a)ポリアクリレート−2 クロスポリマー
(b)アニオン性界面活性剤
(c)固形油
(d)水
を配合し、水中油乳化型組成物であることを特徴とする整髪料。
【請求項2】
成分(b)のアニオン性界面活性剤が、アシルメチルタウリン塩、アシルアミノ酸塩、脂肪酸塩から選ばれる1種又は2種以上であり、対塩基がナトリウム、カリウム、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の整髪料。
【請求項3】
成分(a)の配合量が0.5〜10質量%、成分(b)の配合量が0.1〜5質量%、成分(c)の配合量が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の整髪料。
【請求項4】
更に、成分(e)として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上を配合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項記載の整髪料。

【公開番号】特開2010−229070(P2010−229070A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77792(P2009−77792)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】