説明

整髪方法

【課題】慣れない人(たとえば新米の美容師)であっても、失敗無く重さと軽さの混在した髪型が作れ、髪に外力が加わっても崩れにくく、仮に崩れても再整髪が簡単で、しかもべたつき感の無い整髪方法の提供。
【解決手段】自己選択粘着性を有する整髪剤を霧状に頭髪に適用した後、当該適用部分の頭髪に力を加える整髪方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪方法に関する。
【背景技術】
【0002】
整髪剤において、ヘアスタイルのセット保持力を高めるためには、セット用ポリマーや油剤の配合量を増加させるのが一般的である。しかし、セット用ポリマーの配合量を単純に増やすと、整髪した頭髪が硬く、ごわつく原因となる。またセット用ポリマーを単純に配合した毛髪化粧料では、整髪した後、ヘアスタイルが一度崩れると再整髪できないのが一般的である。一方、ワックスのように、油剤を配合した毛髪化粧料の場合は、ヘアスタイルが崩れた後に再整髪することは可能であるが、セット保持力はセット用ポリマーに比べて極めて低く、セット保持力を上げるために油剤量を増やすと、整髪した頭髪がべたつく原因となる。
【0003】
一方、特定の整髪剤を用いて特定の髪型を作る整髪方法については、目的や髪型に応じて種々の提案がされている。例えば特許文献1には、ふわっと軽いまとまりが得られる整髪方法についての開示がある。この整髪方法によれば、粘着力の強いエアゾール式整髪剤を用いて整髪を行うため、ヘアスタイルを長時間保持することができ、ヘアスタイルが一度崩れても再度整髪を行うことができ、しかも持ち上げた髪の内側に整髪剤を適用するのでべたつきやごわつきがない。しかし、この整髪方法では、エアゾール式毛髪化粧料の粘着力の高さ故に、これを適用した後の髪に触れることは、結局は手にべたつきく原因となるため、極力避けるべきである。実際、特許文献1の明細書中には、指でつまんで整えることは開示されているものの、これは最終的な微調整のための必要最小限の整髪にすぎない。
【0004】
また特許文献2には、ふんわりしたスタイルを長時間持続させる方法、具体的には「お団子状ヘア」を作る整髪方法についての開示がある。この整髪方法によれば、固着力の強いエアゾール式毛髪化粧料を用いて整髪を行うため、一般的には大量のピンで留めて固定しないと形状の維持が難しいお団子状ヘアを、数箇所のピン止めだけで長時間維持することができる。特許文献2の整髪方法としては、(A)髪の交差を増大させることで髪の体積を増大させることと、(B)特定値以上の皮膜強度を有するエアゾール式毛髪化粧料を適用することとが必須要件として開示されており、(A)と(B)の順番はどちらが先であってもよいとされている。ただし、特許文献2に用いられるエアゾール式毛髪化粧料は、一旦髪型を固定した後、ヘアスタイルが一度崩れると再整髪できないタイプのものであるので、仮に(B)が先であってもエアゾール式毛髪化粧料が乾燥して固定される前に(A)を行わなければならないという制約がある。よって(A)を先に行うのが基本である。実際、実施例に具体的に開示されているのは、(A)が先で(B)が後である。また、(B)の後に「おくれ毛から飛び出している毛を軽く押さえて整える」ことが開示されているが、髪の毛の数本程度を対象にしているのであって、髪の束を対象にしているのではない。
【0005】
以上のことから分かるように、エアゾール式毛髪化粧料を髪に適用した後は、適用した髪に触らないのが基本であり、触るにしてもごく一部の範囲に限られていたり、特定の制約の下で触るにとどめたりするのが、従来の常識であった。
【0006】
ところで、髪型には流行があり、例えば近年では「重めのスタイルに軽さをブレンドした」多少のまとまり感のある髪型(例えば、非特許文献1のp.62〜67に記載の「あいまいヘア」。ただし一般的には、当該髪型について様々な用語が使われている。)が流行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-7347号公報
【特許文献2】特開2010-1287号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】springヘア&ビューティ2009年春号,p.62〜67
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1に開示されているような、重さと軽さの混在した適度にまとまり感のある髪型を作るには、熟練した美容師の技能が必要となる。慣れない人がこの記事を見ただけで、すぐに髪型を再現することは極めて難しい。加えて、この髪型は一般的にワックスの粘着力によって作るものであるため、熟練した美容師により作られた理想の髪型であっても、髪にわずかな外力が加わっても崩れてしまい、髪型を戻すには再び熟練した美容師の技が必要となってしまう。しかもワックスの粘着力によるべたつき感が生じることは避けられない。
【0010】
そこで本発明は、慣れない人(たとえば新米の美容師)であっても、失敗無く、重さと軽さの混在した髪型が作れ、髪に外力が加わっても崩れにくく、仮に崩れても再整髪が簡単で、しかもべたつき感の無い整髪方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、自己選択粘着性を有する霧状整髪剤を用いた上で、従来の常識に反し、適用した範囲に対して力を加えることで、意外にも上述の課題を解決できることを見出した。
【0012】
すなわち本発明は、自己選択粘着性を有する整髪剤を霧状に頭髪に適用した後、当該適用部分の頭髪に力を加える整髪方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の整髪方法は、慣れない人(たとえば新米の美容師)であっても、失敗無く、重さと軽さの混在した髪型を作ることができ、髪に外力が加わっても崩れにくく、仮に崩れても再整髪が簡単で、しかもべたつき感も無いものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】整髪後の毛束の毛髪密度を示すイメージ図である。
【図2】くせ付け後、毛髪同士の交差点を増大させた後、整髪を行った場合のイメージ図である。
【図3】ストレート毛に整髪を行った場合のイメージ図である。
【図4】本発明の整髪方法のイメージ図である。
【図5】一般的な粘着系ポリマーによる霧状整髪剤を用いて本発明と同様に整髪した場合のイメージ図である。
【図6】一般的な固着系ポリマーによる霧状整髪剤を用いて本発明と同様に整髪した場合のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔整髪剤〕
本発明で使用する整髪剤は、整髪剤全体として以下に定義される自己選択粘着性を有するものであれば、どのようなものであってもよい。例えば後述の一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテルポリカーボネートのほか、特開2008-162945号公報に開示された特定のポリカーボネート構造を有するポリマー、特開2009-062482号公報に開示されたポリエーテルポリエステル構造を有するポリマーなどを整髪剤中に含有させることにより、整髪剤に自己選択粘着性を付与することができる。その上で、自己選択粘着性を阻害しない範囲で整髪剤全体の処方を決定すればよい。
【0016】
(自己選択粘着性)
本発明において、整髪剤の「自己選択粘着性」とは、以下に示す測定方法により求められる、整髪剤同士の粘着性を示す物性値を「自着力」、測定対象整髪剤とこれ以外の他者との粘着性を示す物性値を「他着力」としたとき、他着力/自着力の相対比が0.7以下であることをいう。他着力/自着力は、好ましくは0.5以下であり、更に好ましくは0.3以下である。また、自着力が200gf以上の範囲にあることが望ましい。更に好ましくは自着力が200gf以上であって、他着力が140gf以下、より好ましくは120gf以下、更に好ましくは100gf以下である。
【0017】
<粘着性(他着力及び自着力)の測定方法>
測定対象の整髪剤全体の溶媒(エアゾール式の場合には噴射剤も)を、一度全て蒸発させる。残った固形物を全て溶解しうる揮発性の溶媒(例えばトルエン)に全て溶解させて20質量%溶液とする。この溶液をPET製シート上に、バーコーターで溶液の厚さ500μmにキャストし、60℃12時間加熱後、25℃50%RHで1日放置する。タッキングテスター(レスカ社,TACIIUC-2006)を用い、上記シートと、タッキングテスターのプローブに取り付けた各種材料との粘着力を測定する。
【0018】
測定条件は、プローブ降下速度600mm/sec、プローブ押し付け荷重200gf、押し付け時間0.5secとした。プローブ先端に、圧子面積8mm2のポリプロピレン製円板(エンジニアリングテストサービス社のテストピース:三菱化学ノーブレンNH-8)を取り付けて粘着力を測定し、得られた値を「他着力」とした。一方、測定対象整髪剤を、前述と同様に全て溶解しうる揮発性の溶媒(例えばトルエン)に溶かし、PET製シート上にキャストして乾燥したものを、圧子面積8mm2の円板とし、これをプローブ先端に取り付けて粘着力を測定し、得られた値を「自着力」とした。
【0019】
(ポリエーテルポリカーボネート)
本発明で用いる整髪剤は、当該整髪剤に自己選択粘着性を付与することができるどのようなポリマーをも含有させることができるが、例えば一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテルポリカーボネートを含有することが好ましい。
【0020】
【化1】

【0021】
〔式中、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは平均値で5〜1000の数を示し、pは平均値で5〜100の数を示し、(n×p)個のAOは同一でも異なってもよい。〕
【0022】
一般式(1)において、(n×p)個のAOは、少なくとも2種以上のアルキレンオキシ基からなることが好ましい。また、Aは炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、(n×p)個のAOがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の組み合わせからなることが更に好ましい。また、(AO)nが異なるアルキレンオキシ基からなる場合、これらはブロック構造でも、ランダム構造でもよいが、ランダム構造であるのがより好ましい。
【0023】
一般式(1)において、nは、アルキレンオキシ基の平均付加モル数を示す5〜1000の数であり、10〜500の数が好ましい。pは[(AO)nCOO]基の平均繰り返し数を示す5〜100の数であり、5〜50の数が好ましい。
【0024】
ポリエーテルポリカーボネートは、下記(イ)又は(ロ)に示す方法により製造することができ、(イ)の方法が好ましい。
(イ)炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する工程を有する方法。
(ロ)ホスゲンとポリエーテルジオールを反応させる工程を有する方法。
【0025】
(イ)の方法において、ポリエーテルポリカーボネートの製造に用いられる炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられ、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニルが好ましい。
【0026】
ポリエーテルポリカーボネートの製造に用いられるポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体が好ましく、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合により得られるランダム共重合体がより好ましい。ポリエーテルジオールとして市販品を用いることもでき、例えばアデカポリエーテルPR-3005、3007、PR-5007(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
【0027】
当該ポリエーテルジオールの数平均分子量は、水やアルコールへの良好な溶解性を得る観点から、200〜50,000が好ましく、400〜20,000がより好ましい。
【0028】
ポリエーテルポリカーボネートの製造に際しては、ポリエーテルジオール以外に、他のポリオールを共存させてもよい。他のポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、テトラメチレングリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等の芳香族基含有ジオール等が挙げられる。
【0029】
炭酸エステルとポリエーテルジオールとのエステル交換の際に、他のポリオールとして、上記のグリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等を共存させた場合には、得られるポリエーテルポリカーボネート中にはこれら他のポリオールから導かれる構造部分が含まれることになる。この場合、そのような構造部分は、前述の(AO)nと同様に、ブロック構造でも、ランダム構造でもよい。
【0030】
全ポリオールに対するポリエーテルジオールの割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
【0031】
炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する際の炭酸エステルとポリエーテルジオールとの反応モル比は、1/0.9〜1/1.1が好ましく、1/0.95〜1/1.05がより好ましい。
【0032】
炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する際には、通常のエステル交換反応触媒が使用できる。このような触媒としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びそれらのアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等が挙げられる。また、亜鉛、アルミニウム、スズ、チタン、鉛、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、マンガン、ジルコニウム等の金属のアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等を用いることもできる。また、トリエチルアミン、イミダゾール等の有機塩基化合物を用いることもできる。これらの触媒の中では、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属のアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等、スズ、チタン等の金属のアルコキシド、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等が好ましい。
【0033】
炭酸エステルとポリエーテルジオールのエステル交換反応における反応温度は、100〜300℃が好ましく、120〜250℃がより好ましく、120〜200℃が更に好ましい。反応圧力は常圧でもよいが、減圧下が好ましい。
【0034】
エステル交換反応は、炭酸エステルとポリエーテルジオールと触媒を仕込み、上記温度で攪拌し、炭酸エステルから脱離するアルコールを反応系外へ除去することが望ましい。常圧の場合、窒素などの不活性気体を流通させることで脱離アルコールを効果的に除去することができる。減圧の場合、揮発する脱離アルコールを容易に系外に除去することができる。
【0035】
エステル交換により得られた生成物は、低分子量成分を除く精製工程に付することが好ましい。低分子量成分を除くことにより、他着力(他のものに対する粘着力)を低下させることができ、べたつき性の少ないより優れた霧状整髪剤を得ることができる。
【0036】
低分子量成分の除去は、例えば溶媒精製により行うことができる。より具体的には、エステル交換反応により得られた生成物を水溶性溶媒に溶解し、疎水性溶媒を添加することで低分子量成分の少ないポリエーテルポリカーボネートを析出させることができる。
【0037】
水溶性溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン等が例示され、エタノールが好ましい。疎水性溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒が例示され、ヘキサンが好ましい。水溶性溶媒に対する疎水性溶媒の添加量を調節することにより、求める分子量分布のポリエーテルポリカーボネートを得ることができる。水溶性溶媒に対する疎水性溶媒の添加量は、0.1〜50容量倍が好ましく、0.5〜10容量倍がより好ましい。
【0038】
ポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量は、良好な自己選択粘着性の観点から、5万以上が好ましく、7万以上がより好ましく、10万以上が更に好ましい。また、霧状整髪剤への配合のしやすさ、洗髪時の洗浄性等の観点から、100万以下が好ましく、70万以下がより好ましく、50万以下が更に好ましい。
【0039】
なお、ポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量及び前述のポリエーテルジオールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいうものとする。より具体的には、GPC装置として、商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で求めるものとする。
【0040】
<平均分子量の測定方法>
・サンプル濃度:0.25質量%(クロロホルム溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:クロロホルム
・流速:1.0mL/min
・測定温度:40℃
・カラム:商品名「K-G」(1本)+商品名「K-804L」(2本)(以上、Shodex社)
・検出器:示差屈折計(GPC装置 商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社)に付属)
・ポリスチレン標準サンプル:「TSKstandard POLYSTYRENE F-10」(分子量10.2万)、F-1(1.02万)、A-1000(870)(以上、東ソー社)、及び「POLYSTYRENE STANDARD」(分子量90万、3万;西尾工業社)
【0041】
ポリエーテルポリカーボネートが、前述の自己選択粘着性を備える場合、室温において、粘着力がほとんど無いか、又は低くありながら、粘着部位同士が接着すると非常に強い粘着及び再接着が可能となる。
【0042】
従来の再整髪可能なエアゾール化粧料では、粘着力により毛髪を固定するので、毛髪に付着させる霧状の粒子1個1個の粒径が大きすぎるとべたつきの原因となる。これに対し整髪剤に自己選択粘着性を付与することができるポリマーは、そのポリマー自身が良好な自己選択粘着性を有するため、粒子の大きさにかかわらずべたつきを生じない。このことから、本発明で使用する整髪剤においては、霧状に噴出させた際に、整髪剤が毛髪化粧料の分野で一般的に用いられる霧状の範囲の粒子にさえなればよく、粒子径については特に調整する必要が無い。
【0043】
また、より高い整髪性や再整髪性を得るためには、粘着剤が毛髪との間で強く保持されることが好ましい。霧状整髪剤では、毛髪に塗布した際、ポリマーは溶剤によって可塑化された状態で毛髪上に付着し、細かい凹凸にも入り込むことができる。その後の溶剤が揮発する過程でポリマーが毛髪上に固定される。
【0044】
本発明で使用する整髪剤に自己選択粘着性を付与することができるポリマーの含有量(エアゾール式の場合は原液中の含有量。以下同じ。)は、良好なセット保持力を有するものとする観点から、合計で0.5〜15質量%、更には1〜10質量%、特に2〜7質量%が好ましい。
【0045】
(他のセット用ポリマー)
本発明で用いる整髪剤において、更に他のセット用ポリマーを任意成分として加えることで、更にセット保持力を向上させることもできる。かかるセット用ポリマーとしては、特開平2-180911号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、特開平8-291206号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ユカフォーマーR205(三菱化学社)、RAMレジン(大阪有機化学社)等の(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、ダイヤフォーマーZ-712(三菱化学社)等の(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、ダイヤフィックスC-601(三菱化学社)等の(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー、プラスサイズL-9540B(互応化学社)等の(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、ウルトラホールド8、同Strong(以上、BASF社)等のアクリル酸/アクリル酸アミド/アルキル酸エチル共重合体、ルビフレックスSilk(BASF社)等のアクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコーン共重合体、ルビセットP.U.R.(BASF社)等のポリウレタン、ルビスコールプラス(BASF社)等のポリビニルカプロラクタム、ルビマー100P、同30E(以上、BASF社)等のアクリル酸アルキル共重合体、アンフォーマーSH-701、同28-4910、同LV-71、同LV-47(以上、ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、アンフォーマーV-42(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、レジン28-2930(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー、ダイナムX(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等のポリウレタン-14・AMP-アクリレーツコポリマー、ガフカット440(ISP社)等の(ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート)コポリマーの硫酸ジエチル4級化物(ポリクオタニウム-11)、ガフカット HS-100(ISP社)等のビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)のメチル4級化物(ポリクオタニウム-28)、ガントレッツES-225(ISP社)等の(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、アクアフレックスSF-40(ISP社)等の(PVP/ビニルカプロラクタム/アクリル酸DMAPA)コポリマー、アクアフレックスFX-64(ISP社)等の(イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミド)コポリマー、スタイリーゼW-20(ISP社)等の(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/メタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(ポリクオタニウム-55)、スタイリーゼCC-10(ISP社)等の(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー、PVP/VA735(ISP社)やルビスコールVA64P(BASF社)等の(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)コポリマーなどが挙げられる。
【0046】
これらセット用ポリマーは、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、整髪剤の自己選択粘着性を阻害しないようにしつつ、セット力を向上させる観点から、本発明で用いる整髪剤中の0.5〜20質量%、更に1〜15質量%、更に1.5〜10質量%であるのが好ましい。
【0047】
(媒体)
溶媒(支持媒体)としては、水、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、ラクトン類等を使用することができ、これらは単独で又は混合して用いることができる。これらのうち、汎用性の観点から、水、エタノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
【0048】
(任意成分)
本発明で用いる整髪剤中には、上記成分のほかに、本発明の効果を妨げない限度内(0.1〜10質量%)で、化粧料用油剤を添加することができる。このような化粧料用油剤としては、ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油等のグリセライド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル酸のエステル類;流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル等のシリコーン誘導体;ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。更にこれらの化粧料用油剤を乳化安定化するために乳化剤を添加することができる。乳化剤としてはアニオン性、両性、カチオン性、非イオン性のいずれの界面活性剤も使用することができる。
【0049】
更に、本発明で用いる整髪剤には、商品価値を高めるために香料や色素、毛髪化粧料の経日的変質防止のために防腐剤や酸化防止剤を添加することができ、また、更に必要に応じて、グリセリン、プロピレングリコール等の調湿剤、硬化剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、有色染料、染料定着剤、噴射剤等を添加することもできる。
【0050】
(剤型)
本発明で用いる整髪剤の剤型としては、整髪剤を霧状に適用できるものであればよく、エアゾール式、ノンエアゾール式のいずれでもよい。
【0051】
エアゾール式霧状整髪剤は、以上の整髪剤を噴射剤と共に耐圧容器に充填することにより製造される。噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。噴射剤の量は、良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るために、原液と噴射剤の質量比で、原液/噴射剤=5/95〜99/1、特に20/80〜95/5の範囲が好ましい。また、耐圧容器内の圧力が良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るためには、25℃の温度で0.12〜0.45MPaになるように調整するのが好ましい。
ノンエアゾール式霧状整髪剤は、以上の整髪剤をポンプスプレー容器やトリガー式スプレー容器に充填することにより製造される。
【0052】
〔整髪方法〕
(重さと軽さの混在した髪型)
本明細書における「重さと軽さの混在した髪型」とは、「重めのスタイルに軽さをブレンドした髪型」のことであり、具体的には非特許文献1のp.62〜67の範囲の記事の写真に示されるような髪型が該当する、このような髪型を微視的にみると図1に示すように重過ぎず、軽すぎない程度の束になっている。図1に示すように、ヘアワックスを用いて整髪すると、整髪後の毛束は密着感が強い、重たい印象のものとなってしまう。また、従来の霧状整髪剤を用いた整髪の場合、ヘアスタイルを作ってからスプレーし、その後は髪に触ることはないので、ふんわりとはなるが、軽い感じとなりすぎる。
【0053】
(適用する頭髪の準備)
適用する頭髪は、全ての工程を行う前に、以下の状態にしておくことが好ましい。
1)乱れを直しておくことが好ましい。
2)適用する霧状整髪剤以外の整髪剤は付着していないことが好ましく、付着している場合には、予め洗い流しておくことが好ましい。
3)頭髪に適用する整髪剤の霧状粒子を頭髪に点として定着させることと、隣り合う頭髪同士を適度な距離に置くことで適度なふんわり感をもたせる観点から、適用する頭髪は乾いていることが好ましい。よってシャンプー等により濡れた髪は、タオルによりタオルドライさせるのみならず、ドライヤーにより完全に水分を蒸発させておくことが好ましい。
霧状の整髪剤を濡れた髪に適用すると整髪剤の粒子が広がり、折角霧状に適用した意味が薄れることとなる。また髪が濡れていると髪同士がぴったりとくっついてしまい、以下の操作を行っても重さと軽さの混在した髪型が作りにくくなってしまう。
【0054】
(毛髪同士を交差させる)
整髪剤を霧状に頭髪に適用するに際しては、適用する以前の段階から適用部分の頭髪に力を加える際までのいずれかの時期に、毛髪同士を交差させる処理を行っておくことが好ましい。ここで「毛髪同士を交差させる」とは、毛髪同士が交差した部分(以下、交差点という)の数を増大させることをいう。これにより、霧状の整髪剤が髪の交差点に適用される確率が高くなる。このような髪の交差点に適用された整髪剤の粒子は毛髪同士を固定するのに貢献するため、一層整髪しやすくなる(図2参照)。
【0055】
「毛髪同士を交差させる」ことと「整髪剤を霧状に適用した適用部分に力を加える」ことを併用することにより、一層簡便に美しく束感を出す(重さと軽さの混在した髪型を作る)ことができる。簡便に美しく束感を出す観点から、髪のキューティクルの向きが順方向になるようにして交差点を増大させることが一層好ましい。髪のキューティクルの向きが逆方向になるように交差させると、一部の毛の毛先が毛の付け根方向に向くこととなる。この場合、髪を交差させることにはなるが、力を加えても逆方向に向いた髪の反発力により、まとまり感のある髪型を作る上で妨げとなることがある。
【0056】
毛髪同士を交差させる時期は、整髪剤を霧状に頭髪に適用する以前の段階から適用部分の頭髪に力を加える際までの間であればいずれの時期であってもよい(力を加えるタイミングと同時でもよい)。簡便かつ交差点の数を増やしやすい観点から、整髪剤を霧状に適用する時点と同時またはそれより前のいずれかの時期がより好ましい。
【0057】
毛髪同士を交差させる方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
1)毛束ごと持ち上げ束を少量ずつ手から離していく(例えば、散らす)
2)毛束を上下や左右に裂く
3)霧状整髪剤を適用した適用部分に力を加える(すなわち後述する適用部分の頭髪全体に力を加えること自体が毛髪同士を交差させることにもなる)
【0058】
(髪へのくせ付け)
図2に示されるように、上記の「毛髪同士を交差させる工程」を行う前に、髪へのくせ付けをしておくと、図3に示すようなくせ付けのされていないストレート毛に比べ、交差点を増大させやすくなるため一層好ましい。このような髪へのくせ付けの例としては、以下のような処理が挙げられる。
・ブラシブロー(ブラシで髪をとかしながらハンドドライヤーで熱風を当て、根元を立ち上げたり、内巻きや外巻き(外はね)などのくせをつけたりする)
・ハンドブロー/フィンガーブロー(ハンドドライヤーと手ぐしを使って根元を立ち上げたり、毛流れをつけたり、ウェーブをつけたりする)
・スクランチブロー(髪をてのひらに軽く握りこみ、そこへハンドドライヤーで熱風を当て、ウェーブ、カールなどのくせをつける)
・カール用アイロン(コテ)で髪を巻き、根元の立ち上げ、内巻き、外巻き(外はね)、カール、ウェーブなどのくせをつける
・クシ、ブラシ付きドライヤーで髪をとかしながら、根元の立ち上げ、カール、ウェーブ、内巻きや外巻き(外はね)などのくせをつける
・(ホット)カーラーを巻き、カール、ウェーブなどのくせをつける
【0059】
(整髪剤の適用)
整髪剤を霧状に頭髪に適用するに際しては、髪を持ち上げ、持ち上げた内側から整髪剤を適用することが髪全体にまんべんなく適用できる観点から好ましい。
【0060】
本発明において、頭髪に対する整髪剤の適用量は、髪へ適用する整髪剤の乾燥残分として3〜80mg/cm2、更に5〜60mg/cm2、特に7〜50mg/cm2であるのが、重さと軽さの混在した髪型を作りやすいので好ましい。ここで髪に対してスプレーする整髪剤の乾燥残分は、ガラス板に対して噴射して40℃で60分間乾燥させたときの質量増加分と、噴射量との関係を事前に求めておき、噴射量から換算するものとする。そして噴射された乾燥残分は全て髪へ塗布されたものする。
【0061】
自己選択粘着性を有する整髪剤を頭髪に霧状に適用し終わってから適用部分の頭髪に力を加えるまでの間隔は、直後であっても数時間までの時間が経過した後であってもよい。自己選択粘着性を有する整髪剤を頭髪に霧状に適用して最初の整髪を効率良く行う観点から、適用が完了して5分以内、更には1分以内、更には30秒以内に力を加えることが好ましい。
【0062】
(適用部分の頭髪に力を加える)
整髪剤を霧状に適用した部分の頭髪に力を加える方法としては、どのような手段であってもよい。具体的には、手や道具を用いて、以下のような動作を行うことを含む概念である。
・握る
・握り込む
・揉む
・揉み込む
・掴む
・捻る(ねじる/ひねる)
・毛束毎にねじる
・捻って握る
・丸める
・毛先から丸める
・摘みながらすべらせる
・擦る
・擦り合わせる
・しごく
・隣合う毛髪同士の位置をずらす(例えば長さ方向にずらす)
・手グシを通す
・握りながら手グシを通す
【0063】
これらの中でも、慣れない人でも失敗無く重さと軽さの混在した髪型を効率的に作ることができる観点から、整髪剤を霧状に適用した部分の全般にわたり力を加えることが好ましい。ここで本明細書において「全般にわたり力を加える」という用語は、「意図して限られた範囲に力を加える」、「部分的に力を加える」を排除する概念であって、例えば「一部分をつまむ」といった概念を排除する概念である。また範囲を限定せず、積極的に全体を意図していれば、意図せずごく限られた範囲に力が加わっていなくてもよい概念である。
【0064】
また、慣れない人でも失敗無く重さと軽さの混在した髪型を効率的に作ることができる観点から、力を一度に加える対象は、後れ毛などの1本1本の毛髪ではなく、髪の毛の束であることが好ましい。ここで本明細書において「束」とは、髪の毛3本以下、更には5本以下、更には7本以下を排除する概念である。また、ひとまとめに握ったときに直径が3mm以上、更には5mm以上、更には10mm以上であって、片手で握れる範囲であるものを指す概念である。
【0065】
このようにすることで、図4に示すように、自己選択粘着性を有するポリマーの適用位置同士が適度に接することで髪が程よく束になり、自己選択粘着性を有するポリマーがポリマー以外の部分に接してもほとんど接着しないので、程よく軽さが残る髪型となる。これに対し、従来知られている粘着力の強い霧状整髪剤(粘着系ヘアスプレー)を用いて本発明と同様に整髪を行うと、まとまり感の強い重い感じの髪型となり、またべたつきも生じる(図5)。また従来知られている固着力の強い霧状整髪剤(固着系ヘアスプレー)を用いて本発明と同様に整髪を行うと、握るなどの外力が加わることで固化した整髪剤粒子が破壊され、髪型は崩れてしまうことになる(図6)。
【0066】
また、以上のように整髪剤を霧状に頭髪に適用し、適用部分の頭髪全体に力を加える整髪方法を行った後、更に整髪剤を霧状に頭髪の表面に適用することにより、べたつかずに、かつ得られた重さの軽さの混在した髪型のセット保持力を一層向上させることができる。
【実施例】
【0067】
合成例1
攪拌機、分留コンデンサー及び温度計を取り付けた反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー(数平均分子量5000、水酸基価22.0mgKOH/g、株式会社ADEKA製、商品名アデカポリエーテルPR-5007)27.1g(0.005モル)、炭酸ジフェニル1.15g(0.005モル)及び炭酸セシウム4mg(0.01ミリモル)を入れた。
【0068】
反応容器内を攪拌しながら160℃まで昇温し、そのまま2時間加熱し続けて、反応により生成するフェノールを系外へ排出した。更に真空ポンプを用いて減圧吸引を開始し、180℃まで徐々に温度を上げながら約4時間反応を行って、ポリエーテルポリカーボネートを得た(以下ポリエーテルポリカーボネート1という)。このポリエーテルポリカーボネート1の重量平均分子量は、180,000であった。
また、他着力は106gf、自着力は233gfであり、他着力/自着力は0.45であった。
【0069】
実施例1〜4、比較例1〜4
常法に従って、以下に示す各組成のヘアスプレー原液と噴射剤を、噴射剤/原液=50/50(質量比)で、下記バルブ及びボタンを備えたエアゾール容器に充填して、エアゾール式ヘアスプレーを製造した(実施例1〜4,比較例2,3)。また、比較例1として下記処方のヘアワックスを用いた。
【0070】
(整髪方法)
ビューラックス社のウイッグ(型番:No.775s)をあご下10cmに揃えて毛先をレイヤーカットした後、毛先を内側に巻くようにブローしたものを用意した。髪全体を6等分して毛束とした後、各毛束についてそれぞれを持ち上げて少量ずつ離しながら(一束あたり3秒の速度で)各整髪剤を内側から霧状に適用した。髪全体への適用量としては乾燥残分として0.15gとした。適用後、髪全体を手で揉み込むことで髪を交差させつつ、力を加えることで髪に適用したポリマーの適用位置同士が適度に接するようにした。その後、更に髪の表面全体に対して同一の整髪剤を乾燥残分として0.05g適用した。
重さと軽さの混在した髪型の作りやすさ、べたつきのなさを評価(官能評価)した。また、25℃、90%Rhの環境下で6時間経過後のセット保持力を評価し、その後再び整髪し再整髪力についても評価した。
なお、比較例1では、同一のウイッグに対して、乾燥固形分として0.5g分のワックスを一旦両手で広げた後、両手でまんべんなく髪に適用した。比較例4として、実施例4と同じヘアスプレーを使用して、ウイッグへの適用後、毛束を握らない以外は同様に整髪を行い、同様に評価した。
この結果を表1に示す。
【0071】
(評価基準)
◎:良い
○:やや良い
△:やや悪い
×:悪い
【0072】
バルブ:ステム径φ0.4mm,ハウジング径φ0.6mm×ベーパータップ径φ0.4mm
ボタン:口径φ0.60mm(メカニカルブレークアップ付き)(三谷バルブ社)
【0073】
(実施例1)
原液 (質量%)
ポリカーボネートポリエステル
(特開2008-162945号公報の合成例1のポリマー) 6
γ-カプロラクトン 75
エタノール 残量
計 100
噴射剤
DME
【0074】
(実施例2)
原液 (質量%)
ポリエーテルポリエステル
(特開2009-062482号公報の合成例17のポリマー) 7.5
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.20MPa)/DME(30/70)
【0075】
(実施例3)
原液 (質量%)
合成例1のポリエーテルポリカーボネート1 7.5
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.20MPa)/DME(30/70)
【0076】
(実施例4、比較例4)
原液 (質量%)
合成例1のポリエーテルポリカーボネート1 7.5
プラスサイズL-2700(互応化学社) 0.6
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.20MPa)/DME(30/70)
【0077】
(比較例1)ワックス
(質量%)
セタノール 6.0
ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 4.0
イソステアリルグリセリルエーテル 0.5
流動パラフィン 5.0
マイクロクリスタリンワックス 3.0
ワセリン 1.0
エデト酸二ナトリウム 適量
精製水 残量
計 100
【0078】
(比較例2)固着系の霧状整髪剤
原液 (質量%)
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP 7.5
濃グリセリン 0.1
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.30MPa)
【0079】
(比較例3)粘着系の霧状整髪剤(特許文献1;特開2009-7347号公報の実施例8)
原液 (質量%)
ユカフォーマーM-75(三菱化学社;固形分として) 2.85
イソステアリルグリセリルエーテル 6.65
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.15MPa)
【0080】
【表1】

【0081】
実施例はいずれも重さと軽さの混在した髪型の作りやすさが良好であった。比較例は項目によっては評価が高いが、いずれも上記髪型の作りやすさの評価が低く、本発明の目的に合致するものではなかった。
【0082】
処方例1
常法に従って下記処方のヘアスプレー原液を調製し、噴射剤としてのDMEと共に、原液/噴射剤(質量比)=50/50で、実施例1〜4と同じエアゾール容器に充填した。
原液 (質量%)
合成例1のポリエーテルポリカーボネート1 6.9
プラスサイズL-2700(互応化学社) 0.6
精製水 残量
【0083】
得られたヘアスプレーを髪に塗布し、毛束を握り、重さと軽さの混在した髪型の作りやすさ、べたつきのなさを評価した。また、25℃、90%Rhの環境下で6時間経過後のセット保持力を評価し、その後再び整髪し再整髪力についても評価した。その結果、いずれの評価も高いものであった。
【0084】
処方例2
常法に従って下記処方の毛髪化粧料を調製し、容器に封入してポンプスプレーとした(吉野工業所製のY-150のスプレイヤーを使用)。
(質量%)
合成例1のポリエーテルポリカーボネート1 3.5
プラスサイズL-2700(互応化学社) 0.3
精製水 残量
【0085】
得られたポンプスプレーを髪に塗布し、毛束を握り、重さと軽さの混在した髪型の作りやすさ、べたつきのなさを評価した。また、25℃、90%Rhの環境下で6時間経過後のセット保持力を評価し、その後再び整髪し再整髪力についても評価した。その結果、いずれの評価も高いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己選択粘着性を有する整髪剤を霧状に頭髪に適用した後、当該適用部分の頭髪に力を加える整髪方法。
【請求項2】
整髪剤を霧状に頭髪に適用する以前の段階から適用部分の頭髪に力を加える際までのいずれかの時期に、毛髪同士を交差させる請求項1記載の整髪方法。
【請求項3】
整髪剤を霧状に頭髪に適用する際に、髪を持ち上げ、持ち上げた内側から適用する請求項1又は2のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項4】
整髪剤を霧状に頭髪に適用した後に、更に当該整髪剤を霧状に頭髪の表面に適用する請求項1〜3のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項5】
整髪剤が、エアゾール式である請求項1〜4のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項6】
整髪剤が、ノンエアゾール式である請求項1〜4のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項7】
頭髪に対する整髪剤の適用量が、整髪剤の乾燥残分として、3〜80mg/cm2である請求項1〜6のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項8】
頭髪に力を加える対象が、自己選択粘着性を有する整髪剤を霧状に頭髪に適用した髪の毛の束である請求項1〜7のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項9】
頭髪に力を加える範囲が、自己選択粘着性を有する整髪剤の適用部分の全般にわたるものである請求項1〜8のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項10】
整髪剤の適用部分の頭髪に力を加える方法が、手や道具を用いて、頭髪を握る、握り込む、揉む、揉み込む、掴む、捻る(ねじる/ひねる)、毛束毎にねじる、捻って握る、丸める、毛先から丸める、摘みながらすべらせる、擦る、擦り合わせる、しごく、隣合う髪同士の位置をずらす、手グシを通す、又は握りながら手グシを通すことによるものである請求項1〜9のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項11】
自己選択粘着性を有する整髪剤が、一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテルポリカーボネートを含有するものである請求項1〜10のいずれかに記載の整髪方法。
【化1】

〔式中、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは平均値で5〜1000の数を示し、pは平均値で5〜100の数を示し、(n×p)個のAOは同一でも異なってもよい。〕

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−251919(P2011−251919A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125283(P2010−125283)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】