説明

整髪方法

【課題】髪の嵩を増しふわっとした状態に整髪することができる整髪方法の提供。
【解決手段】次の工程1及び工程2を含む整髪方法。
工程1:頭を直立状態から傾け、髪が頭皮から離れた状態にする工程
工程2:自己選択粘着性を有する霧状整髪剤を頭髪に適用する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の整髪における重要な事項の一つに、頭髪をふわっとさせたいという要望がある。具体的には、頭頂部、後頭部、及び鉢回りの髪の嵩を増して見せたいという要望である。この要望に対して整髪剤供給会社は、髪の嵩を増すための、及び増した嵩を保持するための技術を研究しているが、いまだに十分な成果が見られないのが現状である。
【0003】
整髪剤において、髪の嵩を増すことを目的としてヘアスタイルのセット力、及びセット保持力をより高めるためには、セット用ポリマーや油剤の配合量を従来よりも増加させるのが一般的である。しかし、セット用ポリマーの配合量を単純に増やすと、整髪した頭髪が硬く、ごわつく原因となる。またセット用ポリマーを単純に配合した毛髪化粧料では、整髪した後、ヘアスタイルが一度崩れると再整髪できないという問題がある。一方、ヘアワックスのように、油剤を配合した整髪剤の場合は、ヘアスタイルが崩れた後に再整髪することは可能であるが、そのセット保持力はセット用ポリマーに比べて極めて低く、セット保持力を上げるために油剤量を増やすと、整髪した頭髪がべたつく原因となる。
【0004】
一方、特定の整髪剤を用いて特定の髪型を作る整髪方法については、目的や髪型に応じて種々の提案がされている。例えば特許文献1には、ふわっと軽いまとまりが得られる整髪方法についての開示がある。この整髪方法によれば、粘着力の強いエアゾール式整髪剤を用いて整髪を行うため、ヘアスタイルを長時間保持することができ、ヘアスタイルが一度崩れても再度整髪を行うことができ、しかも持ち上げた髪の内側に整髪剤を適用するのでべたつきやごわつきがない。しかし、毛束ごとに手で持ち上げて塗布するため、髪と髪が十分にずれておらず、熟練者でないと局所的に剤がついてしまうことで過度な束化が発生し、結果として不自然なヘアスタイルになってしまう。
【0005】
また特許文献2には、ふんわりしたスタイルを長時間持続させる方法、具体的には「お団子状ヘア」を作る整髪方法についての開示がある。この整髪方法によれば、固着力の強いエアゾール式毛髪化粧料を用いて整髪を行うため、一般的には大量のピンで留めて固定しないと形状の維持が難しいお団子状ヘアを、数箇所のピン止めだけで長時間維持することができる。しかし、この毛髪化粧料は粘着性を有していないので一度崩れると再整髪はできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-7347号公報
【特許文献2】特開2010-1287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
嵩を増したヘアスタイルを作り、これを保持しにくい原因を改めて考察すると、次のようになる。すなわち、通常頭皮から生えている髪は頭皮に対して垂直ではなく、重力方向に傾いて倒れて生えているため、おのずと髪と髪は長軸方向が揃うように重なりあっており、ロングヘアの場合には、上から頭皮、顔、首、肩、鎖骨、胸に寄り添うように重力方向に向かって流れて重なり合うことで嵩が少なくなっている。
【0008】
従って、整髪によって髪の嵩を増すには、この重なり合いをずらして髪を配置しなおし、それを持続させることが必要であり、これを効果的に行うことのできる整髪剤と整髪方法が必要であるが、そのような整髪剤と整髪方法はいまだ開発されていないのが現状である。
【0009】
従って本発明は、髪の嵩を増しふわっとした状態に整髪することができる整髪方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
嵩を増したヘアスタイルを作るために、これまでは油剤やセットポリマーを含む整髪剤を頭髪につけて、髪を持ち上げたり揉み込んだりして髪の重なりを減らす、言い換えれば髪を浮かそうとしていたが、そういった手順では髪は十分に浮くことがなく、不十分な状態で整髪剤が毛髪の間を接着するので、十分にふんわりとした状態に仕上げることができなかった。また、作ったヘアスタイルを保持するために、セットポリマーや油剤を増量するに従って、髪と指の間での接着も強力に起こってしまい、髪と指との接着が整髪を妨げることも嵩を十分に増し得ない原因の一つである。
【0011】
更に、整髪剤のつけ方にも課題がある。崩れにくいふんわりとした自然な髪型を作るためには、髪に整髪剤をまんべんなく点状に塗布することが必要である。もし、整髪剤が点ではなく面/線状塗布されてしまうと髪が束化してしまい、自然ではなくなり、ふんわりもしづらくなってしまう。また、点状に塗布できても斑(まだら)であれば、固定剤がついていない場所は当然崩れ、整髪剤がついた一部のみがふんわりしてしまい、不自然となる。そこで熟練者は髪を持ち上げ髪の内側にも塗布することで、ふんわりさせたい場所全体に剤を点状にまんべんなく塗布している。しかし、慣れていない人には難しく、往々にして偏って付く状態になってしまっている。
【0012】
以上の考察を元に、髪の嵩を増すという目的を達成するうえで、髪を十分に浮かせた状態の実現、及びその髪を触って整髪する際に毛髪同士は強力に接着するが毛髪と指との間は接着しない整髪剤の使用、この2つの課題を解決することが必要であるとの結論に至った。
【0013】
本発明者らは、髪の位置を十分にずらす方法として頭を傾けること、毛髪同士を強力に接着しながらも髪と指とは接着しない整髪剤として自己選択粘着性を有する整髪剤を用いること、の双方を組み合わせることで、髪の嵩を増す整髪が可能となることを見出した。
【0014】
本発明は、次の工程1及び工程2を含む整髪方法を提供するものである。
工程1:頭を直立状態から傾け、髪が頭皮から離れた状態にする工程
工程2:自己選択粘着性を有する霧状整髪剤を頭髪に適用する工程
【発明の効果】
【0015】
本発明の整髪方法によれば、髪の嵩を増し、ふんわりとした状態に整髪することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔整髪手順〕
頭髪は極端に短くなければ(5cm以上)毛先方向に行くに従ってその自重で重力方向を向いた状態となる。その結果、頭髪は毛先方向に行くに従って折り重なっており、髪と髪の空間は乏しくなる。そこで、頭部を傾けると傾けた側の髪は頭皮から離れた状態となる。そうすると髪と髪の重なりが解消され、髪と髪の空間が増大する。更にここで手や櫛を入れるか、又は頭を振るなどして髪のからまりをほどくと更に髪と髪の重なりが解消され、髪と髪の間の空間は増大する。そこへ霧状スタイリング剤を毛先側から髪の隙間に向かって吹き込むように塗布すれば髪の根元〜毛先、内側〜外側とまんべんなく行き届くことになり、頭を元に戻すと過度な束がない自然なふんわりとした嵩が生じる。その後は手やブラシ、櫛などで整えて好みの形に整える。また、この適用する剤に自己選択粘着性ポリマーを用いることで外力に強く、また仮に崩れたとしても再整髪が可能でベタツキのないものとなる。
【0017】
<整髪する頭髪の準備>
整髪する頭髪は、全ての工程を行う前に、以下の状態にしておくことが好ましい。
1)適用する霧状整髪剤以外の整髪剤が付着していないことが好ましい。この場合、洗い流さないトリートメント剤はここでいう整髪剤には含まれない。
2)頭髪に適用する整髪剤の霧状粒子を頭髪に点として定着させることと、隣り合う頭髪同士を適度な距離に置くことで適度なふんわり感をもたせる観点から、適用する頭髪は乾いていることが好ましい。よって洗浄等により濡れた髪は、タオルによる拭き取りに加えて、ドライヤーにより完全に水分を蒸発させておくことが好ましい。
【0018】
<髪の形付け>
工程1の「頭を傾ける工程」を行う前に、髪の形付けをしておくと、髪の嵩を増す目的のために一層好ましい。このような髪への形付けの例としては、以下のような処理が挙げられる。
【0019】
・ブラシブロー(ブラシで髪をとかしながらハンドドライヤーで熱風を当て、根元を立ち上げたり、内巻きや外巻き(外はね)などのくせをつけたりする)
・ハンドブロー/フィンガーブロー(ハンドドライヤーと手ぐしを使って根元を立ち上げたり、毛流れをつけたり、ウェーブをつけたりする)
・スクランチブロー(髪をてのひらに軽く握りこみ、そこへハンドドライヤーで熱風を当て、ウェーブ、カールなどのくせをつける)
・カール用アイロン(コテ)で髪を巻き、根元の立ち上げ、内巻き、外巻き(外はね)、カール、ウェーブなどのくせをつける
・クシ、ブラシ付きドライヤーで髪をとかしながら、根元の立ち上げ、カール、ウェーブ、内巻きや外巻き(外はね)などのくせをつける
・(ホット)カーラーを巻き、カール、ウェーブなどのくせをつける
【0020】
<工程1:頭を直立状態から傾け、髪が頭皮から離れた状態にする工程>
頭を傾ける角度は、直立状態における首から頭頂部に向かう線分の向きを基準とし、傾けた状態での首から頭頂部に向かう線分の角度が90度以上が好ましい。この動作によって、直立したときの髪の状態に比べて、髪は頭皮や顔から離れて髪の位置が浮いた状態となり、髪の嵩を増すのに有利である。
【0021】
頭を傾ける角度は、十分に髪を浮かせ嵩を増したスタイルを作るのに適した状態とするともに、めまいなどを起こさず整髪を快適に行うことができる観点から、90度以上180度以下が好ましく、110度以上180度以下が更に好ましく、120度以上170度以下が特に好ましい。
【0022】
頭を傾ける方向は、顔の向いている方向を前方とすれば、前方、側方及び後方のいずれでもよい。前記の角度は直立した状態を基準として記述しているが、実際の動作は必ずしも立っている状態に制限されるものではなく、立っていても、椅子に座っていても、床に座っていても、中腰に立っていても、膝立ちになっていても構わない。
【0023】
頭を傾ける動作の速さには特に制限はないが、ある程度の髪の散逸が起こる速度とするとともに、めまいなどを起こさず整髪を快適に行うことができる観点から、頭を傾ける動作に掛かる時間が0.3秒以上3秒以下が好ましく、0.5秒以上2秒以下がより好ましく、0.6秒以上1.5秒以下が特に好ましい。この頭を傾ける動作は、直立の状態から緩やかにお辞儀をするような動作でもよく、勢いをつけて頭を振り降ろすような動作でもよい。
【0024】
頭を傾ける回数に特に制限はないが、快適に整髪行動に移ることができるようにする観点から、3回以下が好ましく、2回以下が更に好ましく、1回が特に好ましい。複数回の場合には続けて繰り返して構わないし、後述する整髪剤の塗布を交えて行ってもよい。
【0025】
この頭を傾ける動作の直後に、傾けた状態で頭を振ってもよい。振る方向は、顎と喉を近づけたり遠ざけたりする方向でも構わないし、首を軸に顔を左右に振る方向でも構わないし、これらが混在していても構わないが、首を軸に顔を左右に振る方向が特に好ましい。
【0026】
頭を傾ける動作は、手も道具も添えていない頭を上述のように傾けてもよいし、くし、手、ブラシ等で髪をとかしながら傾けてもよいし、傾けてからくし、手、ブラシ等で髪をとかしてもよい。これらの中で、頭を傾けてから手で髪を揺すってほぐすように散逸させるのが特に好ましい。
【0027】
<工程2:霧状整髪剤の適用>
本工程は、前記の工程1の後に行ってもよいし、工程1の前に行ってもよい。工程1の後に工程2を行う場合、工程2の霧状整髪剤の塗布は、頭を傾けた状態のまま行ってもよいし、傾けた頭を直立状態に戻してから行ってもよい。工程2の後に工程1を行う場合、工程2の霧状整髪剤の塗布は、頭を直立状態にしたまま行い、続いて工程1を行ってから頭を直立状態に戻せばよい。工程1の頭を傾ける動作の前、あるいはその後に霧状整髪剤を頭髪に適用するに際しては、髪を手やブラシで持ち上げて髪の内側に整髪剤を塗布することが、髪全体にまんべんなく適用できる観点から好ましい。
【0028】
頭を傾けた状態で霧状整髪剤を頭髪に適用する場合には、頭を傾けることによってできている髪の隙間に剤を吹き込むように噴射することが好ましく、このときの噴射の方向は特に限定されない。また、頭を傾けた状態で霧状整髪剤を吹きつけ、頭を直立状態に戻してからもう一度霧状整髪剤を吹き付けても構わない。この、もう一度吹き付ける際には、髪を持ち上げて吹き付けるよりも、髪の外側から吹きつけることが、頭を傾けることによって作った髪の嵩を壊さないようにする観点から好ましい。
【0029】
本発明において、頭髪に対する整髪剤の適用量は、髪へ適用する整髪剤の乾燥残分として3〜80mg/cm2、更に5〜60mg/cm2、特に7〜50mg/cm2であるのが好ましい。ここで髪に対してスプレーする整髪剤の乾燥残分は、ガラス板に対して噴射して40℃で60分間乾燥させたときの質量増加分と、噴射量との関係を事前に求めておき、噴射量から換算するものとする。そして噴射された乾燥残分は全て髪へ塗布されたものとする。
【0030】
<霧状整髪剤適用後の整髪>
整髪剤を霧状に適用した後の整髪方法は特に限定されないが、例えば以下のような動作を行うことを含む。
・握る
・握り込む
・揉む
・揉み込む
・掴む
・捻る(ねじる/ひねる)
・毛束毎にねじる
・捻って握る
・丸める
・毛先から丸める
・摘みながらすべらせる
・擦る
・擦り合わせる
・しごく
・隣合う毛髪同士の位置をずらす(例えば長さ方向にずらす)
・手グシを通す
・握りながら手グシを通す
【0031】
<霧状整髪剤>
本発明で使用する霧状整髪剤は、整髪剤全体として以下に定義される自己選択粘着性を有するものであれば、どのようなものであってもよい。例えば後述の一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテルポリカーボネートのほか、特開2008-162945号公報に開示された特定のポリカーボネート構造を有するポリマー、特開2009-062482号公報に開示されたポリエーテルポリエステル構造を有するポリマーなどを整髪剤中に含有させることにより、整髪剤に自己選択粘着性を付与することができる。その上で、自己選択粘着性を阻害しない範囲で整髪剤全体の処方を決定すればよい。
【0032】
(自己選択粘着性)
本発明において、整髪剤の「自己選択粘着性」とは、以下に示す測定方法により求められる、整髪剤同士の粘着性を示す物性値を「自着力」、測定対象整髪剤とこれ以外の他者との粘着性を示す物性値を「他着力」としたとき、他着力/自着力の相対比が0.7以下であることをいう。他着力/自着力は、好ましくは0.5以下であり、更に好ましくは0.3以下である。また、自着力が200gf以上の範囲にあることが望ましい。更に好ましくは自着力が200gf以上であって、他着力が140gf以下、より好ましくは120gf以下、更に好ましくは100gf以下である。
【0033】
<粘着性(他着力及び自着力)の測定方法>
測定対象の整髪剤全体の溶媒(エアゾール式の場合には噴射剤も)を、一度全て蒸発させる。残った固形物を全て溶解しうる揮発性の溶媒(例えばトルエン)に全て溶解させて20質量%溶液とする。この溶液をPET製シート上に、バーコーターで溶液の厚さ500μmにキャストし、60℃12時間加熱後、25℃50%RHで1日放置する。タッキングテスター(レスカ社,TACIIUC-2006)を用い、上記シートと、タッキングテスターのプローブに取り付けた各種材料との粘着力を測定する。
【0034】
測定条件は、プローブ降下速度600mm/sec、プローブ押し付け荷重200gf、押し付け時間を0.5secとした。プローブ先端に、圧子面積8mm2のポリプロピレン製円板(エンジニアリングテストサービス社のテストピース:三菱化学ノーブレンNH-8)を取り付けて粘着力を測定し、得られた値を「他着力」とした。一方、測定対象整髪剤を、前述と同様に全て溶解しうる揮発性の溶媒(例えばトルエン)に溶かし、PET製シート上にキャストして乾燥したものを、圧子面積8mm2の円板とし、これをプローブ先端に取り付けて粘着力を測定し、得られた値を「自着力」とした。
【0035】
(ポリエーテルポリカーボネート)
本発明で用いる霧状整髪剤は、当該整髪剤に自己選択粘着性を付与することができるどのようなポリマーをも含有させることができるが、例えば一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテルポリカーボネートを含有することが好ましい。
【0036】
【化1】

【0037】
〔式中、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは平均値で5〜1000の数を示し、pは平均値で5〜100の数を示し、(n×p)個のAOは同一でも異なってもよい。〕
【0038】
一般式(1)において、(n×p)個のAOは、少なくとも2種以上のアルキレンオキシ基からなることが好ましい。また、Aは炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、(n×p)個のAOがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の組み合わせからなることが更に好ましい。また、(AO)nが異なるアルキレンオキシ基からなる場合、これらはブロック構造でも、ランダム構造でもよいが、ランダム構造であるのがより好ましい。
【0039】
一般式(1)において、nは、アルキレンオキシ基の平均付加モル数を示す5〜1000の数であり、10〜500の数が好ましい。pは[(AO)nCOO]基の平均繰り返し数を示す5〜100の数であり、5〜50の数が好ましい。
【0040】
ポリエーテルポリカーボネートは、下記(イ)又は(ロ)に示す方法により製造することができ、(イ)の方法が好ましい。
(イ)炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する工程を有する方法。
(ロ)ホスゲンとポリエーテルジオールを反応させる工程を有する方法。
【0041】
(イ)の方法において、ポリエーテルポリカーボネートの製造に用いられる炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられ、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニルが好ましい。
【0042】
ポリエーテルポリカーボネートの製造に用いられるポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体が好ましく、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合により得られるランダム共重合体がより好ましい。ポリエーテルジオールとして市販品を用いることもでき、例えばアデカポリエーテルPR-3005、3007、PR-5007(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
【0043】
当該ポリエーテルジオールの数平均分子量は、水やアルコールへの良好な溶解性を得る観点から、200〜50,000が好ましく、400〜20,000がより好ましい。
【0044】
ポリエーテルポリカーボネートの製造に際しては、ポリエーテルジオール以外に、他のポリオールを共存させてもよい。他のポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、テトラメチレングリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等の芳香族基含有ジオール等が挙げられる。
【0045】
炭酸エステルとポリエーテルジオールとのエステル交換の際に、他のポリオールとして、上記のグリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等を共存させた場合には、得られるポリエーテルポリカーボネート中にはこれら他のポリオールから導かれる構造部分が含まれることになる。この場合、そのような構造部分は、前述の(AO)nと同様に、ブロック構造でも、ランダム構造でもよい。
【0046】
全ポリオールに対するポリエーテルジオールの割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
【0047】
炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する際の炭酸エステルとポリエーテルジオールとの反応モル比は、1/0.9〜1/1.1が好ましく、1/0.95〜1/1.05がより好ましい。
【0048】
炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する際には、通常のエステル交換反応触媒が使用できる。このような触媒としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びそれらのアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等が挙げられる。また、亜鉛、アルミニウム、スズ、チタン、鉛、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、マンガン、ジルコニウム等の金属のアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等を用いることもできる。また、トリエチルアミン、イミダゾール等の有機塩基化合物を用いることもできる。これらの触媒の中では、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属のアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等、スズ、チタン等の金属のアルコキシド、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等が好ましい。
【0049】
炭酸エステルとポリエーテルジオールのエステル交換反応における反応温度は、100〜300℃が好ましく、120〜250℃がより好ましく、120〜200℃が更に好ましい。反応圧力は常圧でもよいが、減圧下が好ましい。
【0050】
エステル交換反応は、炭酸エステルとポリエーテルジオールと触媒を仕込み、上記温度で攪拌し、炭酸エステルから脱離するアルコールを反応系外へ除去することが望ましい。常圧の場合、窒素などの不活性気体を流通させることで脱離アルコールを効果的に除去することができる。減圧の場合、揮発する脱離アルコールを容易に系外に除去することができる。
【0051】
エステル交換により得られた生成物は、低分子量成分を除く精製工程に付することが好ましい。低分子量成分を除くことにより、他着力(他のものに対する粘着力)を低下させることができ、べたつき性の少ないより優れた霧状整髪剤を得ることができる。
【0052】
低分子量成分の除去は、例えば溶媒精製により行うことができる。より具体的には、エステル交換反応により得られた生成物を水溶性溶媒に溶解し、疎水性溶媒を添加することで低分子量成分の少ないポリエーテルポリカーボネートを析出させることができる。
【0053】
水溶性溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン等が例示され、エタノールが好ましい。疎水性溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒が例示され、ヘキサンが好ましい。水溶性溶媒に対する疎水性溶媒の添加量を調節することにより、求める分子量分布のポリエーテルポリカーボネートを得ることができる。水溶性溶媒に対する疎水性溶媒の添加量は、0.1〜50容量倍が好ましく、0.5〜10容量倍がより好ましい。
【0054】
ポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量は、良好な自己選択粘着性の観点から、5万以上が好ましく、7万以上がより好ましく、10万以上が更に好ましい。また、霧状整髪剤への配合のしやすさ、洗髪時の洗浄性等の観点から、100万以下が好ましく、70万以下がより好ましく、50万以下が更に好ましい。
【0055】
なお、ポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量及び前述のポリエーテルジオールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいうものとする。より具体的には、GPC装置として、商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で求めるものとする。
【0056】
<平均分子量の測定方法>
・サンプル濃度:0.25質量%(クロロホルム溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:クロロホルム
・流速:1.0mL/min
・測定温度:40℃
・カラム:商品名「K-G」(1本)+商品名「K-804L」(2本)(以上、Shodex社)
・検出器:示差屈折計(GPC装置 商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社)に付属)
・ポリスチレン標準サンプル:「TSKstandard POLYSTYRENE F-10」(分子量10.2万)、F-1(1.02万)、A-1000(870)(以上、東ソー社)、及び「POLYSTYRENE STANDARD」(分子量90万、3万;西尾工業社)
【0057】
ポリエーテルポリカーボネートが、前述の自己選択粘着性を備える場合、室温において、粘着力がほとんど無いか、又は低くありながら、粘着部位同士が接着すると非常に強い粘着及び再接着が可能となる。
【0058】
従来の再整髪可能なエアゾール化粧料では、粘着力により毛髪を固定するので、毛髪に付着させる霧状の粒子1個1個の粒径が大きすぎるとべたつきの原因となる。これに対し整髪剤に自己選択粘着性を付与することができるポリマーは、そのポリマー自身が良好な自己選択粘着性を有するため、粒子の大きさにかかわらずべたつきを生じない。このことから、本発明で使用する霧状整髪剤においては、霧状に噴出させた際に、整髪剤が毛髪化粧料の分野で一般的に用いられる霧状の範囲の粒子にさえなればよく、粒子径については特に調整する必要が無い。
【0059】
また、より高い整髪性や再整髪性を得るためには、粘着剤が毛髪との間で強く保持されることが好ましい。霧状整髪剤では、毛髪に塗布した際、ポリマーは溶剤によって可塑化された状態で毛髪上に付着し、細かい凹凸にも入り込むことができる。その後の溶剤が揮発する過程でポリマーが毛髪上に固定される。
【0060】
本発明で使用する霧状整髪剤に自己選択粘着性を付与することができるポリマーの含有量(エアゾール式の場合は原液中の含有量。以下同じ。)は、良好なセット保持力を有するものとする観点から、合計で0.5〜15質量%、更には1〜10質量%、特に2〜7質量%が好ましい。
【0061】
(他のセット用ポリマー)
本発明で用いる霧状整髪剤において、更に他のセット用ポリマーを任意成分として加えることで、更にセット保持力を向上させることもできる。かかるセット用ポリマーとしては、特開平2-180911号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、特開平8-291206号公報に記載のアルキルアクリルアミド/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ユカフォーマーR205(三菱化学社)、RAMレジン(大阪有機化学社)等の(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、ダイヤフォーマーZ-712(三菱化学社)等の(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、ダイヤフィックスC-601(三菱化学社)等の(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー、プラスサイズL-9540B(互応化学社)等の(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、ウルトラホールド8、同Strong(以上、BASF社)等のアクリル酸/アクリル酸アミド/アルキル酸エチル共重合体、ルビフレックスSilk(BASF社)等のアクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコーン共重合体、ルビセットP.U.R.(BASF社)等のポリウレタン、ルビスコールプラス(BASF社)等のポリビニルカプロラクタム、ルビマー100P、同30E(以上、BASF社)等のアクリル酸アルキル共重合体、アンフォーマーSH-701、同28-4910、同LV-71、同LV-47(以上、ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、アンフォーマーV-42(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、レジン28-2930(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等の(酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー、ダイナムX(ナショナル・スターチ&ケミカル社)等のポリウレタン-14・AMP-アクリレーツコポリマー、ガフカット440(ISP社)等の(ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート)コポリマーの硫酸ジエチル4級化物(ポリクオタニウム-11)、ガフカット HS-100(ISP社)等のビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)のメチル4級化物(ポリクオタニウム-28)、ガントレッツES-225(ISP社)等の(ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル)コポリマー、アクアフレックスSF-40(ISP社)等の(PVP/ビニルカプロラクタム/アクリル酸DMAPA)コポリマー、アクアフレックスFX-64(ISP社)等の(イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミド)コポリマー、スタイリーゼW-20(ISP社)等の(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/メタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(ポリクオタニウム-55)、スタイリーゼCC-10(ISP社)等の(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー、PVP/VA735(ISP社)やルビスコールVA64P(BASF社)等の(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)コポリマーなどが挙げられる。
【0062】
これらセット用ポリマーは、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、整髪剤の自己選択粘着性を阻害しないようにしつつ、セット力を向上させる観点から、本発明で用いる整髪剤中の0.5〜20質量%、更に1〜15質量%、更に1.5〜10質量%であるのが好ましい。
【0063】
(媒体)
溶媒(支持媒体)としては、水、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、ラクトン類等を使用することができ、これらは単独で又は混合して用いることができる。これらのうち、汎用性の観点から、水、エタノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
【0064】
(任意成分)
本発明で用いる霧状整髪剤中には、上記成分のほかに、本発明の効果を妨げない限度内(0.1〜10質量%)で、化粧料用油剤を添加することができる。このような化粧料用油剤としては、ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油等のグリセライド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル酸のエステル類;流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル等のシリコーン誘導体;ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。更にこれらの化粧料用油剤を乳化安定化するために乳化剤を添加することができる。乳化剤としてはアニオン性、両性、カチオン性、非イオン性のいずれの界面活性剤も使用することができる。
【0065】
更に、本発明で用いる整髪剤には、商品価値を高めるために香料や色素、毛髪化粧料の経日的変質防止のために防腐剤や酸化防止剤を添加することができ、また、更に必要に応じて、グリセリン、プロピレングリコール等の調湿剤、硬化剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、有色染料、染料定着剤、噴射剤等を添加することもできる。
【0066】
(剤型)
本発明で用いる整髪剤の剤型としては、整髪剤を霧状に適用できるものであればよく、エアゾール式、ノンエアゾール式のいずれでもよい。
【0067】
エアゾール式霧状整髪剤は、以上の整髪剤を噴射剤と共に耐圧容器に充填することにより製造される。噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。噴射剤の量は、良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るために、原液と噴射剤の質量比で、原液/噴射剤=5/95〜99/1、特に20/80〜95/5の範囲が好ましい。また、耐圧容器内の圧力が良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るためには、25℃の温度で0.12〜0.45MPaになるように調整するのが好ましい。
【0068】
ノンエアゾール式霧状整髪剤は、以上の整髪剤をポンプスプレー容器やトリガー式スプレー容器に充填することにより製造される。
【実施例】
【0069】
合成例1
攪拌機、分留コンデンサー及び温度計を取り付けた反応容器に、エチレンオキシドとプ
ロピレンオキシドのランダムコポリマー(数平均分子量5000、水酸基価22.0mgKOH/g、株式会社ADEKA製、商品名アデカポリエーテルPR-5007)27.1g(0.005モル)、炭酸ジフェニル1.15g(0.005モル)及び炭酸セシウム4mg(0.01ミリモル)を入れた。
反応容器内を攪拌しながら160℃まで昇温し、そのまま2時間加熱し続けて、反応により生成するフェノールを系外へ排出した。更に真空ポンプを用いて減圧吸引を開始し、180℃まで徐々に温度を上げながら約4時間反応を行って、ポリエーテルポリカーボネートを得た(以下ポリエーテルポリカーボネート1という)。このポリエーテルポリカーボネート1の重量平均分子量は、180,000であった。
また、他着力は106gf、自着力は233gfであり、他着力/自着力は0.45であった。
【0070】
実施例1〜9,比較例1〜8
常法に従って、以下に示す各組成のヘアスプレー原液と噴射剤を、噴射剤/原液=50/50(質量比)で、下記バルブ及びボタンを備えたエアゾール容器に充填して、整髪剤1〜4及び比較整髪剤2〜3のエアゾール式ヘアスプレーを製造した。
バルブ:ステム径φ0.4mm,ハウジング径φ0.6mm×ベーパータップ径φ0.4mm
ボタン:口径φ0.60mm(メカニカルブレークアップ付き)(三谷バルブ社)
また、比較整髪剤1として後述の処方のヘアワックスを用いた。
【0071】
整髪剤1(ヘアスプレー)
原液 (質量%)
ポリカーボネートポリエステル
(特開2008-162945号公報の合成例1のポリマー) 6
γ-カプロラクトン 7.5
エタノール 残量
計 100
噴射剤
ジメチルエーテル(DME)
【0072】
整髪剤2(ヘアスプレー)
原液 (質量%)
ポリエーテルポリエステル
(特開2009-062482号公報の合成例17のポリマー) 7.5
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.20MPa)/DME(30/70)
【0073】
整髪剤3(ヘアスプレー)
原液 (質量%)
合成例1のポリエーテルポリカーボネート1 7.5
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.20MPa)/DME(30/70)
【0074】
整髪剤4(ヘアスプレー)
原液 (質量%)
合成例1のポリエーテルポリカーボネート1 7.5
プラスサイズL-2700(互応化学社) 0.6
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.20MPa)/DME(30/70)
【0075】
比較整髪剤1(ヘアワックス)
(質量%)
セタノール 6.0
ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 4.0
イソステアリルグリセリルエーテル 0.5
流動パラフィン 5.0
マイクロクリスタリンワックス 3.0
ワセリン 1.0
エデト酸二ナトリウム 適量
精製水 残量
計 100
【0076】
比較整髪剤2(粘着しない性質のヘアスプレー)
原液 (質量%)
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP 7.5
濃グリセリン 0.1
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.30MPa)
【0077】
比較整髪例3(粘着する性質のヘアスプレー(特許文献1;特開2009-7347号公報の実施例8))
原液 (質量%)
ユカフォーマーM-75(三菱化学社;固形分として) 2.85
イソステアリルグリセリルエーテル 6.65
エタノール 残量
計 100
噴射剤
LPG(0.15MPa)
【0078】
(整髪方法)
表1及び2に示す整髪剤と手順の組合せにより、整髪を行った。
ビューラックス社のウイッグ(型番:No.775s)をあご下10cmに揃えて毛先をレイヤーカットした後、毛先を内側に巻くようにブローしたものを用意した。髪全体への適用量としては乾燥残分として0.15gとした。適用後、髪全体を手で揉み込むことで髪を交差させつつ、力を加えることで髪に適用したポリマーの適用位置同士が適度に接するようにした。その後、更に髪の表面全体に対して同一の整髪剤を乾燥残分として0.05g適用した。
【0079】
ふんわりとしたヘアスタイルの作り易さ、べたつきの無さ、セット保持力及び再整髪力について、以下の評価基準に従って評価した。この結果を表3及び4に示す。
(評価基準)
◎:良い
○:やや良い
△:やや悪い
×:悪い
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
処方例1
常法に従って下記処方の毛髪化粧料を調製し、容器に封入してポンプスプレーとした(
吉野工業所製のY-150のスプレイヤーを使用)。
(質量%)
合成例1のポリエーテルポリカーボネート1 3.5
プラスサイズL-2700(互応化学社) 0.3
精製水 残量
ウイッグをお辞儀をするような速度で前に110度傾け、ここに上記の毛髪化粧料を塗布し、そしてウイッグを戻してから手で髪を整えて、ふんわりとしたヘアスタイルを作った。その結果、ふんわりとしたスタイルの作り易さは◎、べたつきの無さは◎、セット保持力は○、再整髪力は◎であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程1及び工程2を含む整髪方法。
工程1:頭を直立状態から傾け、髪が頭皮から離れた状態にする工程
工程2:自己選択粘着性を有する霧状整髪剤を頭髪に適用する工程
【請求項2】
先に工程1を行ってから頭を直立状態に戻し、続いて工程2を行う請求項1記載の整髪方法。
【請求項3】
先に工程1を行い、頭を傾けた状態で工程2を行う請求項1記載の整髪方法。
【請求項4】
頭を直立状態にしたまま工程2を行い、続いて工程1を行ってから頭を直立状態に戻す請求項1記載の整髪方法。
【請求項5】
霧状整髪剤が、エアゾール式である請求項1〜4のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項6】
霧状整髪剤が、ノンエアゾール式である請求項1〜4のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項7】
頭髪に対する霧状整髪剤の適用量が、霧状整髪剤の乾燥残分として、3〜80mg/cm2である請求項1〜6のいずれかに記載の整髪方法。
【請求項8】
自己選択粘着性を有する整髪剤が、一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテ
ルポリカーボネートを含有するものである請求項1〜8のいずれかに記載の整髪方法。
【化1】

〔式中、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは平均値で5〜1000の数を示し、p
は平均値で5〜100の数を示し、(n×p)個のAOは同一でも異なってもよい。〕

【公開番号】特開2012−140350(P2012−140350A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292857(P2010−292857)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】