説明

敷きマット、およびその形成方法

【課題】敷きマットの上面に人が寝たり座ったりしたときでも良好な通気性が維持されて、寝心地や座り心地が良好に保たれるようにする。
【解決手段】敷きマットは、三次元的にジグザグ状に屈曲して互いに絡み合わされた樹脂製の弾性細線材13により構成されたマット7を備える。マット7の上下面のうち、少なくともいずれか一方の面に通気用溝14を形成し、この通気用溝14の横断面を山形形状、もしくは円弧凹形状にする。通気用溝を格子状に形成する。マットにおける通気用溝の形成部分、非形成部分にかかわらず、平面視での単位面積当りの上記細線材の質量をほぼ一定とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その上面に人が寝たり座ったりしたときでも、内部における通気性が良好に保たれるようにした敷きマット、およびその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記敷きマットには、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、敷きマットは、水平に平坦に延びる通気性および弾性を有するマットを備えている。このマットには、その平面視の一端部側から熱交換機により空気が供給されるようになっており、この空気は上記マットの内部を流動した後、他端部から排出されるようになっている。
【0003】
そして、上記マットの内部を流動する空気と、上記敷きマットの上面に寝たり座ったりした人との間で熱交換が行われて、上記敷きマットへの寝心地や座り心地が向上させられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−174636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、敷きマットでは、その上面に人が寝たり座ったりすると、上記マットの一部分が人から与えられる外力により厚さ方向で収縮するよう弾性変形して、その部分の通気性が阻害されるおそれがある。そして、このように通気性が阻害されたとすると、上記した空気と人との間における熱交換が不十分となって、良好な寝心地や座り心地が確保し難くなるという不都合を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、敷きマットの上面に人が寝たり座ったりしたときでも良好な通気性が維持されて、寝心地や座り心地が良好に保たれるようにすることである。
【0007】
請求項1の発明は、三次元的にジグザグ状に屈曲して互いに絡み合わされた樹脂製の弾性細線材13により構成されたマット7を備えた敷きマットにおいて、
上記マット7の上下面のうち、少なくともいずれか一方の面に通気用溝14を形成し、この通気用溝14の横断面を山形形状、もしくは円弧凹形状にし、
上記マット7,8における通気用溝14の形成部分、非形成部分にかかわらず、平面視での単位面積当りの上記細線材13の質量をほぼ一定としたことを特徴とする敷きマットである。
【0008】
請求項2の発明は、上記通気用溝14を格子状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の敷きマットである。
【0009】
請求項3の発明は、上記マット7の上下面のうち、少なくともいずれか一方の面を形成する外部層17における上記細線材13の密度を、内部層18におけるそれよりも大きくしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の敷きマットである。
【0010】
請求項4の発明は、上記マット7,8において通気用溝14を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に重ね合わされ、この面の静摩擦係数よりも大きい静摩擦係数を有する可撓性の平坦体9を設けたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の敷きマットである。
【0011】
請求項5の発明は、上記マット7,8において通気用溝14を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に滑り止め加工を施したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の敷きマットである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1に記載の敷きマットの形成方法であって、
平坦な板形状のマット7,8の所望面に対し、上記通気用溝14を転写した形状の押し金型を加熱して押接し、上記細線材13を熱可塑させて上記通気用溝14を形成することを特徴とする敷きマットの形成方法。
【0013】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明による効果は、次の如くである。
【0015】
請求項1の発明は、三次元的にジグザグ状に屈曲して互いに絡み合わされた樹脂製の弾性細線材により構成されたマットを備えた敷きマットにおいて、
上記マットの上下面のうち、少なくともいずれか一方の面に通気用溝を形成している。
【0016】
このため、上記敷きマットの上面に人が寝たり座ったりすることにより、この敷きマットのマットの一部分が人から与えられる外力により、厚さ方向で収縮するよう弾性変形したとしても、このマットに形成された通気用溝により、良好な通気性が維持される。よって、敷きマットの上面での寝心地や座り心地が良好に保たれる。
【0017】
また、上記通気用溝の横断面を山形形状、もしくは円弧凹形状にしている。
【0018】
このため、上記敷きマットの面方向で、通気用溝の溝幅の中央部分と通気用溝の非形成部分との互いの遷移部では、マットの厚さ寸法は徐々に変化することとなって、この遷移部の弾性や剛性が徐々に変化する。よって、上記したように、マットに通気用溝を形成したとしても、この通気用溝が、敷きマット上の人に与える違和感は小さく抑制されて、上記寝心地等は良好に保たれる。
【0019】
また、上記マットにおける通気用溝の形成部分、非形成部分にかかわらず、平面視での単位面積当りの上記細線材の質量をほぼ一定としている。
【0020】
このため、上記敷きマットの平面視でのマットの各部における弾性や剛性は、全体的により均一に維持される。よって、上記したように、マットに通気用溝を形成したとしても、この通気用溝が、敷きマット上の人に与える違和感は小さく抑制されて、上記寝心地等は良好に保たれる。
【0021】
請求項2の発明は、上記通気用溝を格子状に形成している。
【0022】
このため、上記敷きマットの良好な通気性が方向性なく、かつ、より確実に維持される。
【0023】
請求項3の発明は、上記マットの上下面のうち、少なくともいずれか一方の面を形成する外部層における上記細線材の密度を、内部層におけるそれよりも大きくしている。
【0024】
ここで、上記のようにマットの外部層の細線材の密度を大きくすると、その分、外部層の剛性が向上する。このため、例えば、第1に、密度の大きい外部層に通気用溝を形成してやれば、上記敷きマットの一部分に与えられる外力によりマットが弾性変形したとしても、上記通気用溝が変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0025】
また、第2に、密度が小さいままとされた外部層に通気用溝を形成した場合、この外部層をマットの下面側にし、密度の大きい外部層を上面側にしてやれば、密度が大きく剛性が向上した上面側の外部層への外力は、この外部層で分散されて上記下面側の外部層に対し、より広く伝達される。よって、この外部層に形成された通気用溝が上記外力により変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0026】
即ち、上記のように外部層における密度を内部層におけるそれよりも大きくすると、この構成を種々利用することにより、種々の作用が生じる。このため、敷きマットの適用の自由度が向上する。
【0027】
請求項4の発明は、上記マットにおいて通気用溝を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に重ね合わされ、この面の静摩擦係数よりも大きい静摩擦係数を有する可撓性の平坦体を設けている。
【0028】
このため、上記マットが外力を与えられ、通気用溝が変形しようとするとき、この通気用溝の両開口縁が互いに離れようとすることは、上記平坦体との間で生じる摩擦力により防止される。よって、上記通気用溝が上記外力により変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0029】
請求項5の発明は、上記マットにおいて通気用溝を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に滑り止め加工を施している。
【0030】
このため、上記マットが外力を与えられ、通気用溝が変形しようとするとき、この通気用溝の両開口縁が互いに離れようとすることは、上記滑り止め加工により防止される。よって、上記通気用溝が上記外力により変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0031】
請求項6の発明は、請求項1に記載の敷きマットの形成方法であって、
平坦な板形状のマットの所望面に対し、上記通気用溝を転写した形状の押し金型を加熱して押接し、上記細線材を熱可塑させて上記通気用溝を形成するようにしている。
【0032】
このため、上記形成方法によれば、請求項1に記載の敷きマットが確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】マット装置の全体斜視部分破断図である。
【図2】図1のII−II線矢視拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の敷きマットに関し、敷きマットの上面に人が寝たり座ったりしたときでも良好な通気性が維持されて、寝心地や座り心地が良好に保たれるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0035】
即ち、敷きマットは、三次元的にジグザグ状に屈曲して互いに絡み合わされた樹脂製の弾性細線材により構成されたマットを備えている。上記マットの上下面のうち、少なくともいずれか一方の面に通気用溝を形成し、この通気用溝の横断面を山形形状、もしくは円弧凹形状にしている。また、上記マットにおける通気用溝の形成部分、非形成部分にかかわらず、平面視での単位面積当りの上記細線材の質量をほぼ一定としている。
【実施例】
【0036】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0037】
図において、符号1は、空気流動式のマット装置であり、このマット装置1は、通気性のある敷きマット2と、この敷きマット2の内部に熱交換用の空気3を供給して、流動させる熱交換機4とを備えている。
【0038】
上記敷きマット2は、水平かつ平坦に延び、通気性および弾性を有して上、下に重ねられる上、下部マット7,8と、これら上、下部マット7,8の間に介在される可撓性の平坦体9と、これら7〜9を全体的に開閉可能に覆う非通気性のカバー体10とを備えている。
【0039】
上記各マット7,8、平坦体9、およびカバー体10は、平面視でほぼ同形同大の長方形状をなしている。上記各マット7,8の幅、長さ、厚さは、50〜70cm、170〜190cm、20〜50cmとされる。但し、この数値や、以下に説明の各数値は、これらに限定されるものではない。
【0040】
上記各マット7,8は、単数もしくは複数のポリエステル樹脂製の弾性細線材13を三次元的にジグザグ状に屈曲させて互いに絡み合わせたものである。また、これら各マット7,8に所定の通気性を確保する上で、空隙率は80%以上とされている。また、これら各マット7,8に対するその厚さ方向における外力を2000N/mとした場合、弾性変形後の厚さ/元の厚さ=60%以上とされている。
【0041】
上記上部マット7の下面には、その幅方向と長手方向とにそれぞれ直線的に延びる複数の通気用溝14が形成されている。これら通気用溝14は、それぞれ互いに平行に延び、10〜15cmのピッチで互いに並設され、つまり、これら通気用溝14は、平面視で格子状に形成されている。なお、上記通気用溝14は単に縞形状となるよう配置してもよい。また、上記各通気用溝14の長手方向各部の横断面は互いに同形同大の山形形状とされている。これら横断面における溝幅寸法Wは1.5〜3cm、溝高さ寸法Hは1〜2cmとされる。
【0042】
なお、上記各通気用溝14の横断面は、図2中二点鎖線で示すように円弧凹形状であってもよい。また、上記下部マット8の上面に、図2中二点鎖線で示すように、上記通気用溝14の横断面と同形同大の通気用溝14を、これら通気用溝14,14同士が互いに対向するよう形成してもよい。また、図示しないが、上記のような通気用溝14を上部マット7の上面や下部マット8の上、下面に形成してもよい。また、上記通気用溝14を通り、マット7,8をその厚さ方向で貫通する貫通孔を上記通気用溝14の格子状の交差部や、長手方向に所定ピッチで形成してもよい。
【0043】
上記各マット7,8は、上記通気用溝14の形成部分、非形成部分にかかわらず、平面視での単位面積当りの上記細線材13の質量(gr/m)がほぼ一定とされている。
【0044】
上記の場合、各通気用溝14の形成方法は、例えば、平坦な板形状のマット7,8の所望面に対し、上記通気用溝14を転写した形状の押し金型を加熱して押接し、細線材13を熱可塑させる、というものである。
【0045】
上記各マット7,8の上下面のうち、少なくともいずれか一方の面を形成する外部層17における上記細線材13の密度(gr/cm)は、内部層18におけるそれよりも大きくされている。
【0046】
上記した密度の異なる各マット7,8の形成方法は、例えば、第1に、平坦な板形状のマット7,8の所望面に平坦な押し金型を加熱して押接し、上記外部層17の細線材13を熱可塑させて厚さ方向に少し収縮させる、というものである。また、第2に、上記外部層17と内部層18とを個別に形成して互いに重ね合わせる、というものである。
【0047】
前記平坦体9は、滑り止め体であって、上記マット7,8における通気用溝14を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に重ね合わされ、この面の静摩擦係数よりも大きい静摩擦係数を有する網体20とされている。
【0048】
上記網体20は、高強力ポリエステル樹脂製繊維により形成された網体基材21の表面に、軟質の塩化ビニル等樹脂製の滑り止め材22を強固にコーティングしたものである。上記網体20の縦、横の密度(本/cm)は3〜7とされている。これにより、この網体20に良好な通気性が確保される。また、単位面積当りの質量(gr/m)は450〜550とされている。また、上記滑り止め材22の静摩擦係数は0.7以上とされるが、1.0以上であることがより好ましい。ここで、この静摩擦係数の測定は、JIS K7125を準用して判定したものである。
【0049】
なお、上記平坦体9は、表面に滑り止め材22をコーティングするなどして静摩擦係数を大きくしたシートやマットであってもよい。また、上記マット7,8において通気用溝14を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に上記滑り止め材22をコーティングすることにより滑り止め加工を施してもよい。
【0050】
また、上記敷きマット2は、上、下部マット7,8のうち、いずれか一方のみを備えるものであってもよい。
【0051】
前記カバー体10は、非通気性の樹脂繊維シート製であるが、人体の湿気を透過させて上記マット7,8側に吸湿させる一方、人体の温度を放熱させる作用を有するものである。
【0052】
上記マット装置1における熱交換機4を作動させれば、この熱交換機4から吐出される空気3は、上記敷きマット2の長手方向の一端部内に供給される。上記空気3は、上記敷きマット2の内部の各マット7,8の内部と各通気用溝14とを流動して、敷きマット2の長手方向の他端部内から大気に排出され、もしくは、上記熱交換機4に戻される。
【0053】
そして、上記各マット7,8の内部を流動する空気3と、上記敷きマット2の上面に寝たり座ったりした人との間で熱交換が行われて、上記敷きマット2への寝心地や座り心地が向上させられるようになっている。
【0054】
上記構成によれば、三次元的にジグザグ状に屈曲して互いに絡み合わされた樹脂製の弾性細線材13により構成されたマット7を備えた敷きマットにおいて、
上記マット7の上下面のうち、少なくともいずれか一方の面に通気用溝14を形成している。
【0055】
このため、上記敷きマット2の上面に人が寝たり座ったりすることにより、この敷きマット2のマット7,8の一部分が人から与えられる外力により、厚さ方向で収縮するよう弾性変形したとしても、このマット7,8に形成された通気用溝14により、良好な通気性が維持される。よって、敷きマット2の上面での寝心地や座り心地が良好に保たれる。
【0056】
また、上記通気用溝14の横断面を山形形状、もしくは円弧凹形状にしている。
【0057】
このため、上記敷きマット2の面方向で、通気用溝14の溝幅の中央部分24と通気用溝14の非形成部分との互いの遷移部25では、マット7,8の厚さ寸法は徐々に変化することとなって、この遷移部25の弾性や剛性が徐々に変化する。よって、上記したように、マット7,8に通気用溝14を形成したとしても、この通気用溝14が、敷きマット2上の人に与える違和感は小さく抑制されて、上記寝心地等は良好に保たれる。
【0058】
また、前記したように、通気用溝14を格子状に形成している。
【0059】
このため、上記敷きマット2の良好な通気性が方向性なく、かつ、より確実に維持される。
【0060】
また、前記したように、マット7,8における通気用溝14の形成部分、非形成部分にかかわらず、平面視での単位面積当りの上記細線材13の質量をほぼ一定としている。
【0061】
このため、上記敷きマット2の平面視でのマット7,8の各部における弾性や剛性は、全体的により均一に維持される。よって、上記したように、マット7,8に通気用溝14を形成したとしても、この通気用溝14が、敷きマット2上の人に与える違和感は小さく抑制されて、上記寝心地等は良好に保たれる。
【0062】
また、前記したように、マット7の上下面のうち、少なくともいずれか一方の面を形成する外部層17における上記細線材13の密度を、内部層18におけるそれよりも大きくしている。
【0063】
ここで、上記のようにマット7,8の外部層17の細線材13の密度を大きくすると、その分、外部層17の剛性が向上する。このため、例えば、第1に、密度の大きい外部層17に通気用溝14を形成してやれば、上記敷きマット2の一部分に与えられる外力によりマット7,8が弾性変形したとしても、上記通気用溝14が変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0064】
また、第2に、密度が小さいままとされた外部層17に通気用溝14を形成した場合、この外部層17をマット7,8の下面側にし、密度の大きい外部層17を上面側にしてやれば、密度が大きく剛性が向上した上面側の外部層17への外力は、この外部層17で分散されて上記下面側の外部層17に対し、より広く伝達される。よって、この外部層17に形成された通気用溝14が上記外力により変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0065】
即ち、上記のように外部層17における密度を内部層18におけるそれよりも大きくすると、この構成を種々利用することにより、種々の作用が生じる。このため、敷きマット2の適用の自由度が向上する。
【0066】
また、前記したように、マット7,8において通気用溝14を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に重ね合わされ、この面の静摩擦係数よりも大きい静摩擦係数を有する可撓性の平坦体9を設けている。
【0067】
このため、上記マット7,8が外力を与えられ、通気用溝14が変形しようとするとき、この通気用溝14の両開口縁が互いに離れようとすることは、上記平坦体9との間で生じる摩擦力により防止される。よって、上記通気用溝14が上記外力により変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0068】
また、前記したように、マット7,8において通気用溝14を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に滑り止め加工を施している。
【0069】
このため、上記マット7,8が外力を与えられ、通気用溝14が変形しようとするとき、この通気用溝14の両開口縁が互いに離れようとすることは、上記滑り止め加工により防止される。よって、上記通気用溝14が上記外力により変形することは抑制されて、良好な通気性が維持される。
【0070】
なお、上記平坦体9は、次のような構造のものであってもよい。即ち、平坦体9は、平面視でハニカム形状となるよう紐材により形成された上、下網体と、上下方向に延びてこれら上、下網体を互いに連結する多数の樹脂製の弾性細線材とを備えている。上記各網体は、それぞれ平面視で互いに同形同大の6角形状をなす上記紐材製の枠体を多数有し、これら枠体は水平方向に規則正しく連設され、かつ、互いに一体的に連結されている。なお、上記したハニカム形状を形成する枠体は、厳密な6角形である必要はなく、この枠体は4角形状であってもよい。
【0071】
また、一つの使用態様として、上記通気用溝14を形成したか否かにかかわらず、上記マット7,8の上、下面に上記したハニカム形状の平坦体9をそれぞれ重ね合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 マット装置
2 敷きマット
3 空気
4 熱交換機
7 マット
8 マット
9 平坦体
10 カバー体
13 細線材
14 通気用溝
17 外部層
18 内部層
20 網体
25 遷移部
W 溝幅寸法
H 溝高さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元的にジグザグ状に屈曲して互いに絡み合わされた樹脂製の弾性細線材により構成されたマットを備えた敷きマットにおいて、
上記マットの上下面のうち、少なくともいずれか一方の面に通気用溝を形成し、この通気用溝の横断面を山形形状、もしくは円弧凹形状にし、
上記マットにおける通気用溝の形成部分、非形成部分にかかわらず、平面視での単位面積当りの上記細線材の質量をほぼ一定としたことを特徴とする敷きマット。
【請求項2】
上記通気用溝を格子状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の敷きマット。
【請求項3】
上記マットの上下面のうち、少なくともいずれか一方の面を形成する外部層における上記細線材の密度を、内部層におけるそれよりも大きくしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の敷きマット。
【請求項4】
上記マットにおいて通気用溝を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に重ね合わされ、この面の静摩擦係数よりも大きい静摩擦係数を有する可撓性の平坦体を設けたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の敷きマット。
【請求項5】
上記マットにおいて通気用溝を形成した面のうち、少なくともいずれかの面に滑り止め加工を施したことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の敷きマット。
【請求項6】
請求項6の発明は、請求項1に記載の敷きマットの形成方法であって、
平坦な板形状のマットの所望面に対し、上記通気用溝を転写した形状の押し金型を加熱して押接し、上記細線材を熱可塑させて上記通気用溝を形成することを特徴とする敷きマットの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−75233(P2013−75233A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−17085(P2013−17085)
【出願日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【分割の表示】特願2007−279519(P2007−279519)の分割
【原出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【出願人】(000003160)東洋紡株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】