敷石舗装システム
【課題】歩行者が実際に涼感を体感できるとともに、水の存在を視覚して涼感を得ることができる敷石舗装システムを提供する。
【解決手段】路盤12上に多数の舗装パネル14を、隣接する舗装パネル14間に間隙16を形成した状態で敷設する。路盤12と舗装パネル14との間には、間隙16に連通する配水路13を形成する。配水路13に水を供給することにより、その水が各舗装パネル14間の間隙16を介して、舗装パネル14の表面側に滲み出すようにする。各舗装パネル14の上面外縁部14aを上面中央部14bより低くなるように形成して、水が各舗装パネル14の上面外縁部14aに薄く溜まるようにする。
【解決手段】路盤12上に多数の舗装パネル14を、隣接する舗装パネル14間に間隙16を形成した状態で敷設する。路盤12と舗装パネル14との間には、間隙16に連通する配水路13を形成する。配水路13に水を供給することにより、その水が各舗装パネル14間の間隙16を介して、舗装パネル14の表面側に滲み出すようにする。各舗装パネル14の上面外縁部14aを上面中央部14bより低くなるように形成して、水が各舗装パネル14の上面外縁部14aに薄く溜まるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、舗道や広場等として具体化することができ、特に、水が存在する涼空間を実現できるようにした敷石舗装システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、涼空間をつくるための敷石舗装システムとしては、例えば特許文献1〜4に開示されるような構成が提案されている。
特許文献1に記載の構成では、土路盤の上面にコンクリート舗装版と、帯状をなすとともに微細ひび割れを有する吸水性セメント硬化体とが敷設されている。そして、吸水性セメント硬化体の微細ひび割れを介して、吸水性セメント硬化体の下面側から上面側への水の移動が行われるように構成されている。この構成により、晴天時には、土路盤に保有された水が微細ひび割れを介して吸水性セメント硬化体の上面に吸い上げられ、その水が蒸発する際の気化熱により、ヒートアイランド現象が抑制されるとしている。
【0003】
また、特許文献2に記載の構成では、路盤の上面に不透水層が形成され、その不透水層の上面には保水材を混入した保水部としての骨材層が設けられている。骨材層の上面には保水材が敷設され、その保水材の上面には路面を構成する保水性ブロック及び透水性ブロックが混在状態で設置されている。そして、雨天時には、雨水が透水性ブロックを通して骨材層に浸透する。これに対して、晴天時には、骨材層に保有された水が保水性ブロックの表面から蒸発して、その気化熱により路面の温度上昇が抑制されるとしている。
【0004】
さらに、特許文献3に記載の構成では、路床の上面に砕石等よりなる路盤層が敷設され、その路盤層の上面には発泡ガラス粒子を含有する粒状材料よりなる保水層が敷設されている。保水層の上面には透水性を有するブロック状の表面層が敷設されている。そして、雨天時には、雨水が透水性を有する表面層を通過して保水層に浸透する。これに対して、晴天時には、保水層に保有された水が表面層から蒸発して、その気化熱により路面の温度上昇が抑制されるとしている。
【0005】
また、特許文献4に記載の構成では、路床の上面に多数の樹脂製貯水部材よりなる貯水層が形成され、その貯水層の上面には導水シートが敷設されている。導水シートの上面にはサンドクッション層を介して多数のブロックが敷設され、各ブロック間には目地砂が充填されている。そして、雨天時には、雨水がサンドクッション層を通して貯水層に浸透する。これに対して、晴天時には、貯水層に保有された水がサンドクッション層から滲み出して目地砂から蒸発し、その気化熱により地表面の冷却効果を得ることができるとしている。
【特許文献1】特開2006−118128号公報
【特許文献2】特開2006−283447号公報
【特許文献3】特開2008−19557号公報
【特許文献4】特開2008−88714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、これらの従来構成においては、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1〜4に記載の構成では、路面からの水の蒸発に伴う気化熱によって、路面の温度上昇が抑制されるようになっているものの、路面上に水は存在しない。このため、歩行者が水の存在を視覚して、その視覚を通して涼感を得ることはできない。また、特許文献1〜4に記載の構成においては、いずれも、保水機能あるいは透水機能を有する表面層やブロック等の微細ひび割れや細隙を通して水分が蒸散される構成であるため、言い換えれば、毛細管を通して水分が蒸散される構成であるため、実際に蒸散される水量は多くなく、路面に水面が存在する場合と比較すると、冷却効果はほとんど期待し得ない。特に、特許文献1や特許文献4は、水が帯状の吸水性セメント硬化体や目地の部分から蒸散されるものであるため、その蒸散面積は広くなく、冷却効果がさらに低いものである。加えて、特許文献1〜4においては、蒸散される水分量は、保水材等に保持された水分量に依存されるため、気温や湿度等に応じて蒸散水分量をコントロールすることができず、天候や歩行者数等の変動要因に応じて快適な涼感空間を実現することは事実上困難である。加えて、視覚的な涼感を出すために、路面に散水を行ったとしても、散水された水は微細ひび割れ等から吸収されてしまうため、涼感演出は短時間で消滅する。
【0007】
しかも、水分蒸散が不要な場合にも、雨や朝露等によって前記微細ひび割れ等に水分が保持される。そして、この水分が保持された状態においては、その部分に塵埃や泥等が付着して汚れやすく、このような場合には、歩行者に対して不快感や不潔感が与えられる。また、冬期においては、微細ひび割れ等に保持された水分が凍結により膨張して、路面が損傷するおそれがある。
【0008】
なお、特許文献2においては、舗装表面のブロック間に開放された間隙が形成されているが、その間隙の底部は吸水材により形成されている。このため、この間隙は吸水材から蒸散される水蒸気を通過させるのみで、冷却効果の向上にはほとんど寄与しない。
【0009】
さらに、特許文献1〜4において、微細ひび割れや細隙には、塵埃や瀝青等の油分によって目詰まりしやすく、従ってこのような場合は水を蒸散する機能が低下される。このため、路面の清掃においては、清掃車の回転ブラシによって圧力が作用すると目詰まりのおそれがあり、このような清掃車を用いた清掃を安易に行うことはできない。このため、このような路面の洗浄には、通常コストの嵩む高圧水の噴射による洗浄が行われる。
【0010】
加えて、特許文献1〜4においては、吸水性セメント硬化体等は、吸水機能はあるものの、大量の水を排水することはできない。従って、舗道の路面には排水のための勾配をつける必要があり、この勾配のために歩行しやすさが妨げられるおそれがあった。
【0011】
さらに、特許文献2及び3に開示されているような透水性を有するポーラスなブロックは、舗装材としての高級感が乏しいばかりでなく、汚れやすく、上質なグレード感を確保することは困難である。
【0012】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、歩行者が快適な涼感を実際に体感できるだけではなく、水の存在を直接に視覚して涼感を得ることができ、しかも水遊びも可能な敷石舗装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、この発明は、路盤上に多数の非透水性の舗装パネルをそれらの間に開放状態の間隙を形成した状態で敷設して舗道を形成し、前記間隙を水源に接続したことを特徴としている。なお、ここで、舗道とは、舗装パネルが敷設された歩行可能なところを指し、従って、舗道だけではなく、広場,公園,桟橋等を含む。
【0014】
従って、舗装パネル間の間隙内に水を供給することにより、その水がこの間隙から滲み出して、各舗装パネルの表面を濡れた状態に保つことができる。そして、この舗装パネルの表面からの水の蒸発に伴う気化熱だけではなく、間隙内に供給された水の温度により、路面の温度上昇を抑制することができて、歩行者に対して実際に体感できる涼空間を提供することができる。また、路面上に水が直接に存在するため、歩行者に対して視覚面においても涼空間を提供することができる。さらに、冬季等において、前記間隙内に対する水の供給を停止した場合には、舗道を水の存在しない通常の路面として用いることができる。また、間隙に対する水の供給を増加することにより、舗装パネル上に水を水盤状態に張ることができて、路面を水の遊び場として用いることもできる。さらに、舗装パネル間に間隙が形成されているため、舗道の排水が円滑になり、舗道の排水用の勾配が不要になる。従って、舗装パネルを濡れた状態にするための水や、遊び場にするための水の使用量を少なくすることができる。加えて、舗装パネルとして、吸水性や保水性を有するポーラスな材質ものを使用する必要がないため、高級な仕上げ感を有する舗道を形成できる。
【0015】
また、前記の構成において、前記各舗装パネルの上面外縁部を上面中央部より低く形成するとよい。このように構成した場合には、間隙内に水を供給したとき、その水を歩行者に支障のない程度で、各舗装パネルの上面外縁部のみに薄く溜めることができる。従って、路面に水を薄く張った場合、その水が網目状をなして景観が向上するとともに、歩行者は水の存在しないところを歩行できる。
【0016】
さらに、前記の構成において、前記舗道に開渠または暗渠を付設するとともに、前記間隙を前記開渠または暗渠に連結するとよい。このように構成した場合には、開渠または暗渠を介して間隙に水を供給することができるとともに、開渠に流れる水によって視覚的な涼感を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、この発明によれば、歩行者が実際に快適な涼感を体感できることに加えて、水の存在を視覚して涼感を得ることができ、しかも水遊びも可能になるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態の敷石舗装システムを、図1〜図6に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、路床11上にコンクリート等よりなる路盤12が形成されている。路盤12の上面には、複数の溝状の配水路13が路盤12の長手方向に所定間隔をおくとともに幅方向へ平行に延びるように形成されている。路盤12の上面には、非定形の多数の舗装パネル14が固着層15を介して乱貼り状態で敷設されている。以上のようにして舗道10が構成されている。前記各舗装パネル14は、御影石、鉄平石等の自然石あるいは自然石を模した人造石であって、透水性及び保水性を有しないものが用いられている。ここで、透水性及び保水性を有しない自然石あるいは人造石とは、たとえ水分がわずかに浸透する材質であっても、その浸透速度が遅いものを指す。すなわち湿度60%の常温において、石表面に付着した水分が乾燥する速度より浸透速度が遅く、従って、実際には水分がほとんど保持することができないもの、例えばポーラスな材質ではないものを指す。そして、図3に示すように、各舗装パネル14は、その上面外縁部14aが上面中央部14bよりも低くなるように形成されている。隣接する各舗装パネル14間には全体として網目状に連続する間隙16が形成され、この間隙16は路盤12上の前記配水路13と連通されている。この間隙16の幅は、数mm〜30mm程度が好ましい。
【0019】
図1及び図2に示すように、前記舗道10の一側部には、緩い勾配の開渠としての浅瀬水路17が並設されている。従って、浅瀬水路17には自然な水の流れが形成される。各配水路13の一端部は浅瀬水路17の上部と連通されている。前記舗道10の側壁10a及び浅瀬水路17の外壁17aは前記舗装パネル14の上面より高く形成されている。
【0020】
舗道10の他側部には土壌部19が並設されており、この土壌部19には樹木や草花等の植え込み18が設けられている。従って、土壌部19はグリーンベルト状を呈する。
次に、敷石舗装システムの給排水構成について説明する。
【0021】
図4に示すように、前記浅瀬水路17の近傍には水源としての貯水槽21が設置されている。この貯水槽21は、その内部に日光が差し込まない構成になっていて、槽21内に藻等が繁茂したり、プランクトンが繁殖したりしないようになっている。貯水槽21と浅瀬水路17の上流部との間には給水配管22が連結され、その給水配管22中には給水量を調整可能にした給水ポンプ23が接続されている。そして、この給水ポンプ23の作動により、貯水槽21内に貯留された水が給水配管22を介して浅瀬水路17内に供給される。そして、浅瀬水路17内の水位が一定以上に上昇した状態において、この浅瀬水路17内の水が路盤12と舗装パネル14との間の各配水路13内に導かれる。これによって、配水路13内の水が各舗装パネル14間の間隙16から、舗装パネル14の表面側に滲み出すようになっている。前記浅瀬水路17の下流部と貯水槽21との間には、浅瀬水路17から貯水槽21に水を戻すための第1排水配管24が連結され、その第1排水配管24中には流量制御弁25が接続されている。
【0022】
そして、前記給水ポンプ23の給水量及び前記流量制御弁25の開度がそれぞれ適宜調整されることにより、貯水槽21と浅瀬水路17との間において水が循環し、その水が浅瀬水路17内を流れる。また給水ポンプ23の給水量及び流量制御弁25の開度の少なくとも一方が加減されることにより、浅瀬水路17における水位が調整され、各配水路13を介して各舗装パネル14間の間隙16から、舗装パネル14の表面に滲み出す水の量が調整される。なお、図4は模式図であって、便宜上浅瀬水路17を舗道10の両側に描いている。
【0023】
また、前記排水配管24は、浅瀬水路17を介して雨水を集めるための集水渠として機能する。そして、雨天時には、流量制御弁25が適宜に調整されることにより、前記間隙16から配水路13内に流入した雨水が、あるいは浅瀬水路17に直接降下した雨水が浅瀬水路17及び第1排水配管24を介して貯水槽21内に収集される。浅瀬水路17には開閉弁(図示しない)を備えた第2排水配管26が接続されている。そして、通常時は前記開閉弁が閉じられて第2排水配管26は閉鎖される。一方、豪雨時等においては、前記開閉弁が開放されて第2排水配管26を介して、浅瀬水路17内の水が図示しない公共雨水管渠等に排出される。
【0024】
前記貯水槽21には、その内部に貯留された水の量を検出するための水位センサ27が設けられている。貯水槽21には水道水補給配管28が接続され、その水道水補給配管28中には開閉弁29が設けられている。そして、水位センサ27により検出された貯水槽21内の水の量が所定値よりも低下したときには、開閉弁29が開放されることにより、水道水が水道水補給配管28を介して貯水槽21内に補給される。貯水槽21には開閉弁31を備えた第3排水配管32が接続され、開閉弁31の開放により、貯水槽21内の貯水が前記公共雨水管渠等に排出される。貯水槽21には、濾過装置30が接続されている。そして、貯水槽21内の水が濾過装置30により濾過されて塵や砂等、各種の不純物が除去される。貯水槽21の上部には、オーバーフロー管35が接続され、貯水槽21内の水位が満水近くまで上昇したときに、溢水がこのオーバーフロー管35から前記公共雨水管渠等に流される。
【0025】
さて、舗道10の涼空間は以下のようにして実現される。すなわち、給水ポンプ23が作動されると、貯水槽21内の水が給水配管22を介して浅瀬水路17内に供給される。それとともに、浅瀬水路17内の水が排水配管24を介して貯水槽21に戻される。このとき、水位センサ27からの検出信号に従って給水ポンプ23による給水量及び流量制御弁25の開度が調節されて、貯水槽21内の水位が設定水位に維持される。このため、浅瀬水路17を流れる水の量、すなわち水位も設定値に保たれ、その浅瀬水路17内の水が路盤12と舗装パネル14との間の各配水路13内に導かれるとともに、その配水路13から各舗装パネル14間の間隙16を通して舗装パネル14の表面に滲み出す。
【0026】
この場合、図5に示すように、各舗装パネル14の上面外縁部14aが上面中央部14bよりも低くなるように形成されているため、舗装パネル14の表面に滲み出した水は、歩行者に支障のない程度で、各舗装パネル14の上面外縁部14aのみに全体として網目状をなすように薄く溜めることができる。そして、この舗装パネル14の上面外縁部14aに溜まった水が蒸発して気化熱を奪い、また水の温度が舗装パネル14に伝わることにより、舗装パネル14等が冷却される。このため、路面及びその周囲の空間の温度上昇が抑制される。従って、歩行者に対して涼空間を提供することができるとともに、舗装パネル14の表面側に水面が存在することによって、歩行者に対して視覚的にも快適な涼感を与えることができる。しかも、舗道10の隣には、浅瀬水路17によるせせらぎが存在するため、視覚的な涼感をさらにかもし出すことができるとともに、せせらぎの水の音により、聴覚的な涼感を与えることもできる。
【0027】
また、流量制御弁25の開度を絞った状態で、給水ポンプ23が作動されると、浅瀬水路17の水量が増加して、間隙16から舗装パネル14の表面に滲み出す水の量が多くすることができる。このため、図6に実線で示すように、舗装パネル14上に水が例えば子供のくるぶし程度の浅い水位に張られて、水盤が形成され、路面を水の遊び場として用いることができる。なおこの場合、流量制御弁25の開度を加減することにより、図6に鎖線で示すように、舗装パネル14上の水位を自在に調整することができる。
【0028】
さらに、給水ポンプ23を停止させると、貯水槽21から浅瀬水路17に水が供給されなくなる。従って、図3に示すように、配水路13から間隙16を通して舗装パネル14の表面に水が滲み出さなくなって、水の存在しない通常の舗道10となる。
【0029】
従って、第1実施形態においては、以下の効果がある。
(1) この実施形態においては、配水路13内から各舗装パネル14間の間隙16を通して滲み出す水により、各舗装パネル14の表面を濡れた状態に保つことができて、歩行者に対して体感だけではなく視覚的にも涼空間を提供することができる。しかも、前述の特許文献1〜4とは異なり、毛細管現象により微細ひび割れや細隙を浸透してきた水分が蒸発するのではなく、実際に存在する水面から蒸発するために、蒸発水分量が充分で、路面を適切に冷却できる。従って、ヒートアイランドの発生防止に有効である。加えて、間隙16から滲み出す水は、全体として美観を呈する網目状をなすため、舗道10の景観向上と涼感向上に有効である。しかも、歩行者は水の存在しないところを歩行することで、水に濡れることなく水面を歩いているような感覚を得ることできて、快適な歩行感を得ることができる。
【0030】
(2) この実施形態においては、給水ポンプ23や流量制御弁25の動作を制御するのみで、路面側の水量を自在にコントロールできる。従って、天候や歩行者数等に応じて舗道10及びその空間の冷却度合いを自在に調節できる。しかも、前述のように路面全体に水を張って水遊びのエリアをつくることができるばかりでなく、冬期においては、路面全体に張った水を自然凍結させて、スケーティングエリアとすることも可能である。また、路面側の水を必要としないときには、浅瀬水路17の水位を下げて配水路13から排水することにより、通常の舗道と同様に乾燥状態にすることができる。
【0031】
(3) この実施形態においては、各舗装パネル14の上面外縁部14aが上面中央部14bよりも低くなるように形成されている。このため、配水路13内から間隙16を通して舗装パネル14の表面に滲み出す水を、歩行者に支障のない程度で、舗装パネル14の上面外縁部14aのみに薄く層状に溜めることができる。
【0032】
(4)この実施形態においては、舗道10に沿って、配水路13と連通する浅瀬水路17が設けられている。このため、浅瀬水路17を利用して配水路13に水を供給することができ、配水のための構成を簡素化できる。
【0033】
(5)この実施形態においては、前記のように舗道10に沿って、浅瀬水路17が設けられている。このため、舗道10が水辺に位置することになり、浅瀬水路17に流れる水によって視覚的な涼感を一層高めることができるとともに、浅瀬水路17を流れるせせらぎの水音によって聴覚面からも涼感を得ることができる。
【0034】
(6) この実施形態においては、前記のように舗道10に沿って、前記浅瀬水路17が設けられるだけではなく、その浅瀬水路17の反対側に植え込み18のある土壌部19が設けられている。このため、舗道10の周囲は水と緑のビオトープ様の空間となり、歩行者に対して涼感だけではなく、石畳みのある緑の景観の楽しみを与えることもできる。
【0035】
(7) この実施形態においては、舗道10の路面側の水は間隙16,配水路13及び浅瀬水路17を介して排出することができる。従って、舗道10の路面における排水用の勾配が不要になり、歩行に適する水平な面を長くあるいは広く形成することができる。また、路面に勾配を付ける必要がないため、路面を網目状に濡らしたり、路面に水盤を形成したりする場合、その使用水量を少なくすることができる。逆に、路面に勾配が存在する場合は、高いところに位置する路面が水面から露出することがあるため、水量を多くする必要がある。
【0036】
(8) この実施形態においては、舗道10に微細ひび割れや細隙が存在しないため、路面が目詰まりすることはなく、従って、舗道10上の冷却機能が損なわれることは発生し得ない。また、高圧洗浄等を用いて路面の清掃を目詰まりしないように行う必要がなく、その清掃を清掃車等を用いて容易かつ低コストで行うことができる。
【0037】
(9) この実施形態においては、前述のように舗道10に微細ひび割れや細隙が存在しないため、冬期において微細ひび割れや細隙の内部に浸入した水の凍結によって舗道10が破損するようなおそれとは無縁である。
【0038】
(10) この実施形態においては、同じく前述のように舗道10に微細ひび割れや細隙が存在しないため、その微細ひび割れや細隙に吸収された水分によって路面に塵埃や泥等が付着することを防止できる。従って、路面を清潔に保つことができる。
【0039】
(11) この実施形態においては、舗装パネル14に透水性や保水性の機能を持たせる必要がない。このため、舗装パネルとして、ポーラスな材質のものを使用することが不要で、高級感があって、汚れにくい、上質なグレード感を確保することができる。
【0040】
(12) この実施形態において、貯水槽21には、浅瀬水路17や排水配管24等を介して雨水が集められる。従って、貯水槽21に貯留された雨水を舗道10の冷却と景観向上とに利用でき、ランニングコストの低減に寄与できる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を説明する。なお、この第2実施形態以降の各実施形態においては、前記第1実施形態と異なる構成及び作用を中心に説明する。
【0042】
さて、この第2実施形態においては、図7に示すように、各舗装パネル14の下面外周縁に凹部33が形成されている。そして、複数の舗装パネル14が相互間の間隙16を設けた状態で路盤12上に敷設されることにより、隣接する舗装パネル14の凹部33と路盤12の上面との間に、間隙16と連通する配水路13が形成される。
【0043】
(第3実施形態)
第3実施形態においては、図8に示すように、各舗装パネル14の下面に両端を舗装パネル14の外周端面に開口した凹溝34が形成されている。そして、複数の舗装パネル14が間隙16を設けた状態で路盤12上に敷設されることにより、各舗装パネル14の凹溝34が間隙16と連通する。従って、凹溝34が配水路の機能を果たし、凹溝34を通じて間隙16に水が行き渡る。
【0044】
(第4実施形態)
第4実施形態においては、前記各実施形態における浅瀬水路17は設けられていない。また、この第4実施形態においては、図9に示すように、路床11及び路盤12に、給水ポンプ(図示しない)を有する給水配管22及び流量制御弁(図示しない)を有する第1排水配管24が埋設され、それらの配管22,24の複数の端末22a,24aが間隙16に開口している。そして、水源としての貯水槽21からの間隙16に対する水の供給が給水配管22及びその端末22aを介して行われるとともに、間隙16からの排水が第1排水配管24の端末24aからその第1排水配管24を通して行われる。
【0045】
(第5実施形態)
第5実施形態においては、図10に示すように、各舗装パネル14を四角形の定形パネルにより構成し、それらの各舗装パネル14が間隙16をおいて整列状態で敷設されている。この舗装パネル14は、三角形,五角形,六角形等の四角形以外の定形パネルであってもよい。
【0046】
(第6実施形態)
第6実施形態においては、図11に示すように、前記第5実施形態と同様に、各舗装パネル14を定形パネルにより構成し、それらの各舗装パネル14が間隙16をおいて整列状態で敷設されている。また、この第6実施形態においては、各舗装パネル14の底面(裏面)に両端を舗装パネル14の外周端面に開口するとともに、交差した凹溝34が形成されている。従って、この凹溝34は、各舗装パネル14間の間隙16と連通する。この第6実施形態においても、前記図8の第3実施形態と同様に、凹溝34が前記第1実施形態の配水路の機能を果たし、凹溝34を通じて間隙16に水が行き渡る。
【0047】
(第7実施形態)
第7実施形態は、図12に示すように、敷石舗装が幅の広い舗道10あるいは広場において具体化する場合に適する。そのため、この第7実施形態においては、前記各実施形態の浅瀬水路17に変えて、暗渠17が設けられている。この暗渠17は、舗装パネル14により閉蓋され、舗道10または広場の中央部や隅部等の適当位置に巡らされる。この暗渠17は必要に応じて単数条または複数条設けられ、さらには必要に応じて交叉されて、分岐または合流される。この暗渠17は前記配水路13と連通している。なお、図7においては、構成を明瞭にするために配水路13と第2排水配管26とが重複して描いてあるが、それらは同一高さに位置していても実際には重複することはない。この第7実施形態においては、前記実施形態のような効果を得ることができる。また、この第7実施形態においては、適当位置に暗渠17を設ける構成あるため、広場空間等のように広い面積の敷石舗装を実現する場合に適する。そして、このように広い面積の敷石舗装であっても、排水のための勾配が不要であるため、多量の水を要することなく、冷却を行うことが可能となる。
【0048】
(第8実施形態)
第8実施形態は、図13に示すように、前記第7実施形態における供給配管22と排水配管24とが共通化されて兼用された構成である。すなわち、給排水配管54は、貯水槽21の貯水部と浅瀬水路17の底部との間に接続されている。この給排水配管54の一部は、給水側配管54aと排水側配管54bとの並列回路により構成されている。そして、前記給水側配管54aに給水ポンプ23が接続され、排水側配管54bに排水制御弁25が接続されている。そして、浅瀬水路17に対する給水が行われる場合は、排水制御弁25が閉鎖された状態でポンプ23が作動される。これによって、貯水槽21内の水が給排水配管54の貯水槽側,給水側配管54a及び給排水配管54の浅瀬水路17側を通って浅瀬水路17に供給される。また、浅瀬水路17からの排水は、排水制御弁25が開放された状態において、給排水配管54の浅瀬水路17側,排水側配管54b及び給排水配管54の貯水槽側を介して貯水槽21側に高低差を利用して流される。
【0049】
従って、この第8実施形態においては、ポンプ23及び排水制御弁25の部分を除いて給水配管と排水配管とが兼用されるため、配管の全長を短くでき、設備コストを低減できる。このコスト低減効果は、システムが大規模化するほど発揮される。
【0050】
(変更例)
なお、この実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
【0051】
・ 前記第1実施形態において配水路13を設けない構成とすること。このように構成した場合は、舗装パネル14間の間隙16を浅瀬水路17に直接連通させる。
・ 敷石舗装システムの舗道10を同様な構成の広場とすること。
【0052】
・ 浅瀬水路17に代えて、前記間隙16と連通可能な池を設け、この池の水位を調節することにより、間隙16から水が滲み出すように構成すること。
・ 前記第1実施形態のような給水ポンプ23により水を供給する貯水槽21を設けることなく、浅瀬水路17より高い位置に雨水を貯留する水源としてのタンクあるいは貯水池を設け、そのタンクあるいは貯水池から自然落下する水を浅瀬水路17及び配水路13に流すように構成すること。
【0053】
・ 浅瀬水路17を舗道10の両側に設けたり、舗道10と交差させたり、舗道10の中央部に設けたりすること。
・ 配水路13を前記実施形態とは異なる形状、例えば平面格子状,蛇行状に形成すること。
【0054】
・ 間隙16内に砕石や粒の大きな砂を充填すること。この場合、間隙16内の水位の上昇が毛細管現象による水位の上昇より速く、また、水位の下降が水分の蒸発によることなく重力によって行われるように、砕石や砂粒子として大きめのものを用いてそれらの間の隙間を広く確保する必要がある。このように、間隙16内に砕石等を充填すれば、歩行者にとって間隙16の存在がほぼ実質的に無視できるレベルになり、歩行しやすくなり、歩行者がハイヒールを履いていても、そのヒールがとられるおそれを防止できる。この場合、間隙16の幅が広いほど、その間隙16内に充填される砕石等として大きめのものが用いられ、間隙16の幅が30mm程度では、小豆大のものが用いられる。
【0055】
・ 間隙16内に合成樹脂製あるいは金属製の蓋体を嵌め込むこと。この蓋体には、水が毛細管現象等によることなく円滑に通過するための大きめの孔や切欠きを設ける必要がある。このようにすれば、前記砕石等を充填した場合と同様に歩行者は間隙16の存在をほぼ実質的に無視することができる。
【0056】
・ 舗装パネル14として、上面外縁部を上面中央部より低く形成することなく、全体をほぼ同一水平面に位置する粗面で構成し、ほぼフラットな上面形状にすること。このように構成しても、前記粗面に水が保持されて、前記実施形態と同様に涼感確保効果や良好な歩行感を得ることができる。
【0057】
(他の技術的思想)
前記各実施形態及び変更例から把握され、請求項に記載の技術的思想以外の技術的思想を以下に述べる。
【0058】
(A) 路盤と舗装パネルとの間に舗装パネル間の間隙と連通した配水路を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装システム。
このようにすれば、間隙に水を配水路を通して円滑に供給できる。
【0059】
(B) 舗装パネルが敷設される路盤に配水路を形成したことを特徴とする前記技術的思想(A)項に記載の敷石舗装システム。
(C) 配水路の端部を浅瀬水路に連結したことを特徴とする前記技術的思想(B)項に記載の敷石舗装システム。
【0060】
このようにすれば、浅瀬水路を利用して間隙に対する水の供給及び間隙からの水の排出を行うことができる。
(D) 舗装パネルの裏面に配水路を形成したことを特徴とする前記技術的思想(A)項に記載の敷石舗装システム。
【0061】
(E) 植え込み用の土壌部を並設したことを特徴とする請求項1〜3,前記他の技術的思想(A)〜(D)項のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装システム。
このようにすれば、景観を向上できる。
【0062】
(F) 貯水槽と、その貯水槽の水を浅瀬水路に供給するための供給路と、浅瀬水路の水を貯水槽に排出するための排水路とを備えた請求項3,前記技術的思想(A)〜(E)項のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装システム。
【0063】
このようにすれば、貯水槽と浅瀬水路との間において水を循環させることができるとともに、浅瀬水路を介して雨水を集めて貯水槽に貯留できる。
(G) 貯水槽と浅瀬水路との間の供給路及び排水路を共通化したことを特徴とする前記技術思想(F)項に記載の敷石舗装システム。
【0064】
このように構成すれば、貯水槽と浅瀬水路との間の配管の全長を短くできる。
(H) 貯水槽内の水を濾過するための濾過装置を設けたことを特徴とする前記技術的思想(F)または(G)項に記載の敷石舗装システム。
【0065】
このようにすれば、貯水槽内の水から砂等を除去できて、給水ポンプ等の不具合を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の敷石舗装システムを示す部分平面図。
【図2】図1の2−2線における部分断面図。
【図3】図2の3−3線における部分拡大断面図。
【図4】敷石舗装システムに対する給排水構成を示す概略図。
【図5】図3の敷石舗装システムに水を供給した状態を示す部分断面図。
【図6】図5の場合とは異なった水位まで水を供給した状態を示す部分断面図。
【図7】第2実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図8】第3実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図9】第4実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図10】第5実施形態の敷石舗装システムを示す部分平面面図。
【図11】第6実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図12】第7実施形態の敷石舗装システムを示す概略図。
【図13】第8実施形態の敷石舗装システムを示す概略図。
【符号の説明】
【0067】
10…舗道、12…路盤、14…舗装パネル、14a…上面外縁部、14b…上面中央部、16…間隙、17…開渠としての浅瀬水路、17…暗渠。
【技術分野】
【0001】
この発明は、舗道や広場等として具体化することができ、特に、水が存在する涼空間を実現できるようにした敷石舗装システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、涼空間をつくるための敷石舗装システムとしては、例えば特許文献1〜4に開示されるような構成が提案されている。
特許文献1に記載の構成では、土路盤の上面にコンクリート舗装版と、帯状をなすとともに微細ひび割れを有する吸水性セメント硬化体とが敷設されている。そして、吸水性セメント硬化体の微細ひび割れを介して、吸水性セメント硬化体の下面側から上面側への水の移動が行われるように構成されている。この構成により、晴天時には、土路盤に保有された水が微細ひび割れを介して吸水性セメント硬化体の上面に吸い上げられ、その水が蒸発する際の気化熱により、ヒートアイランド現象が抑制されるとしている。
【0003】
また、特許文献2に記載の構成では、路盤の上面に不透水層が形成され、その不透水層の上面には保水材を混入した保水部としての骨材層が設けられている。骨材層の上面には保水材が敷設され、その保水材の上面には路面を構成する保水性ブロック及び透水性ブロックが混在状態で設置されている。そして、雨天時には、雨水が透水性ブロックを通して骨材層に浸透する。これに対して、晴天時には、骨材層に保有された水が保水性ブロックの表面から蒸発して、その気化熱により路面の温度上昇が抑制されるとしている。
【0004】
さらに、特許文献3に記載の構成では、路床の上面に砕石等よりなる路盤層が敷設され、その路盤層の上面には発泡ガラス粒子を含有する粒状材料よりなる保水層が敷設されている。保水層の上面には透水性を有するブロック状の表面層が敷設されている。そして、雨天時には、雨水が透水性を有する表面層を通過して保水層に浸透する。これに対して、晴天時には、保水層に保有された水が表面層から蒸発して、その気化熱により路面の温度上昇が抑制されるとしている。
【0005】
また、特許文献4に記載の構成では、路床の上面に多数の樹脂製貯水部材よりなる貯水層が形成され、その貯水層の上面には導水シートが敷設されている。導水シートの上面にはサンドクッション層を介して多数のブロックが敷設され、各ブロック間には目地砂が充填されている。そして、雨天時には、雨水がサンドクッション層を通して貯水層に浸透する。これに対して、晴天時には、貯水層に保有された水がサンドクッション層から滲み出して目地砂から蒸発し、その気化熱により地表面の冷却効果を得ることができるとしている。
【特許文献1】特開2006−118128号公報
【特許文献2】特開2006−283447号公報
【特許文献3】特開2008−19557号公報
【特許文献4】特開2008−88714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、これらの従来構成においては、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1〜4に記載の構成では、路面からの水の蒸発に伴う気化熱によって、路面の温度上昇が抑制されるようになっているものの、路面上に水は存在しない。このため、歩行者が水の存在を視覚して、その視覚を通して涼感を得ることはできない。また、特許文献1〜4に記載の構成においては、いずれも、保水機能あるいは透水機能を有する表面層やブロック等の微細ひび割れや細隙を通して水分が蒸散される構成であるため、言い換えれば、毛細管を通して水分が蒸散される構成であるため、実際に蒸散される水量は多くなく、路面に水面が存在する場合と比較すると、冷却効果はほとんど期待し得ない。特に、特許文献1や特許文献4は、水が帯状の吸水性セメント硬化体や目地の部分から蒸散されるものであるため、その蒸散面積は広くなく、冷却効果がさらに低いものである。加えて、特許文献1〜4においては、蒸散される水分量は、保水材等に保持された水分量に依存されるため、気温や湿度等に応じて蒸散水分量をコントロールすることができず、天候や歩行者数等の変動要因に応じて快適な涼感空間を実現することは事実上困難である。加えて、視覚的な涼感を出すために、路面に散水を行ったとしても、散水された水は微細ひび割れ等から吸収されてしまうため、涼感演出は短時間で消滅する。
【0007】
しかも、水分蒸散が不要な場合にも、雨や朝露等によって前記微細ひび割れ等に水分が保持される。そして、この水分が保持された状態においては、その部分に塵埃や泥等が付着して汚れやすく、このような場合には、歩行者に対して不快感や不潔感が与えられる。また、冬期においては、微細ひび割れ等に保持された水分が凍結により膨張して、路面が損傷するおそれがある。
【0008】
なお、特許文献2においては、舗装表面のブロック間に開放された間隙が形成されているが、その間隙の底部は吸水材により形成されている。このため、この間隙は吸水材から蒸散される水蒸気を通過させるのみで、冷却効果の向上にはほとんど寄与しない。
【0009】
さらに、特許文献1〜4において、微細ひび割れや細隙には、塵埃や瀝青等の油分によって目詰まりしやすく、従ってこのような場合は水を蒸散する機能が低下される。このため、路面の清掃においては、清掃車の回転ブラシによって圧力が作用すると目詰まりのおそれがあり、このような清掃車を用いた清掃を安易に行うことはできない。このため、このような路面の洗浄には、通常コストの嵩む高圧水の噴射による洗浄が行われる。
【0010】
加えて、特許文献1〜4においては、吸水性セメント硬化体等は、吸水機能はあるものの、大量の水を排水することはできない。従って、舗道の路面には排水のための勾配をつける必要があり、この勾配のために歩行しやすさが妨げられるおそれがあった。
【0011】
さらに、特許文献2及び3に開示されているような透水性を有するポーラスなブロックは、舗装材としての高級感が乏しいばかりでなく、汚れやすく、上質なグレード感を確保することは困難である。
【0012】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、歩行者が快適な涼感を実際に体感できるだけではなく、水の存在を直接に視覚して涼感を得ることができ、しかも水遊びも可能な敷石舗装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、この発明は、路盤上に多数の非透水性の舗装パネルをそれらの間に開放状態の間隙を形成した状態で敷設して舗道を形成し、前記間隙を水源に接続したことを特徴としている。なお、ここで、舗道とは、舗装パネルが敷設された歩行可能なところを指し、従って、舗道だけではなく、広場,公園,桟橋等を含む。
【0014】
従って、舗装パネル間の間隙内に水を供給することにより、その水がこの間隙から滲み出して、各舗装パネルの表面を濡れた状態に保つことができる。そして、この舗装パネルの表面からの水の蒸発に伴う気化熱だけではなく、間隙内に供給された水の温度により、路面の温度上昇を抑制することができて、歩行者に対して実際に体感できる涼空間を提供することができる。また、路面上に水が直接に存在するため、歩行者に対して視覚面においても涼空間を提供することができる。さらに、冬季等において、前記間隙内に対する水の供給を停止した場合には、舗道を水の存在しない通常の路面として用いることができる。また、間隙に対する水の供給を増加することにより、舗装パネル上に水を水盤状態に張ることができて、路面を水の遊び場として用いることもできる。さらに、舗装パネル間に間隙が形成されているため、舗道の排水が円滑になり、舗道の排水用の勾配が不要になる。従って、舗装パネルを濡れた状態にするための水や、遊び場にするための水の使用量を少なくすることができる。加えて、舗装パネルとして、吸水性や保水性を有するポーラスな材質ものを使用する必要がないため、高級な仕上げ感を有する舗道を形成できる。
【0015】
また、前記の構成において、前記各舗装パネルの上面外縁部を上面中央部より低く形成するとよい。このように構成した場合には、間隙内に水を供給したとき、その水を歩行者に支障のない程度で、各舗装パネルの上面外縁部のみに薄く溜めることができる。従って、路面に水を薄く張った場合、その水が網目状をなして景観が向上するとともに、歩行者は水の存在しないところを歩行できる。
【0016】
さらに、前記の構成において、前記舗道に開渠または暗渠を付設するとともに、前記間隙を前記開渠または暗渠に連結するとよい。このように構成した場合には、開渠または暗渠を介して間隙に水を供給することができるとともに、開渠に流れる水によって視覚的な涼感を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、この発明によれば、歩行者が実際に快適な涼感を体感できることに加えて、水の存在を視覚して涼感を得ることができ、しかも水遊びも可能になるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態の敷石舗装システムを、図1〜図6に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、路床11上にコンクリート等よりなる路盤12が形成されている。路盤12の上面には、複数の溝状の配水路13が路盤12の長手方向に所定間隔をおくとともに幅方向へ平行に延びるように形成されている。路盤12の上面には、非定形の多数の舗装パネル14が固着層15を介して乱貼り状態で敷設されている。以上のようにして舗道10が構成されている。前記各舗装パネル14は、御影石、鉄平石等の自然石あるいは自然石を模した人造石であって、透水性及び保水性を有しないものが用いられている。ここで、透水性及び保水性を有しない自然石あるいは人造石とは、たとえ水分がわずかに浸透する材質であっても、その浸透速度が遅いものを指す。すなわち湿度60%の常温において、石表面に付着した水分が乾燥する速度より浸透速度が遅く、従って、実際には水分がほとんど保持することができないもの、例えばポーラスな材質ではないものを指す。そして、図3に示すように、各舗装パネル14は、その上面外縁部14aが上面中央部14bよりも低くなるように形成されている。隣接する各舗装パネル14間には全体として網目状に連続する間隙16が形成され、この間隙16は路盤12上の前記配水路13と連通されている。この間隙16の幅は、数mm〜30mm程度が好ましい。
【0019】
図1及び図2に示すように、前記舗道10の一側部には、緩い勾配の開渠としての浅瀬水路17が並設されている。従って、浅瀬水路17には自然な水の流れが形成される。各配水路13の一端部は浅瀬水路17の上部と連通されている。前記舗道10の側壁10a及び浅瀬水路17の外壁17aは前記舗装パネル14の上面より高く形成されている。
【0020】
舗道10の他側部には土壌部19が並設されており、この土壌部19には樹木や草花等の植え込み18が設けられている。従って、土壌部19はグリーンベルト状を呈する。
次に、敷石舗装システムの給排水構成について説明する。
【0021】
図4に示すように、前記浅瀬水路17の近傍には水源としての貯水槽21が設置されている。この貯水槽21は、その内部に日光が差し込まない構成になっていて、槽21内に藻等が繁茂したり、プランクトンが繁殖したりしないようになっている。貯水槽21と浅瀬水路17の上流部との間には給水配管22が連結され、その給水配管22中には給水量を調整可能にした給水ポンプ23が接続されている。そして、この給水ポンプ23の作動により、貯水槽21内に貯留された水が給水配管22を介して浅瀬水路17内に供給される。そして、浅瀬水路17内の水位が一定以上に上昇した状態において、この浅瀬水路17内の水が路盤12と舗装パネル14との間の各配水路13内に導かれる。これによって、配水路13内の水が各舗装パネル14間の間隙16から、舗装パネル14の表面側に滲み出すようになっている。前記浅瀬水路17の下流部と貯水槽21との間には、浅瀬水路17から貯水槽21に水を戻すための第1排水配管24が連結され、その第1排水配管24中には流量制御弁25が接続されている。
【0022】
そして、前記給水ポンプ23の給水量及び前記流量制御弁25の開度がそれぞれ適宜調整されることにより、貯水槽21と浅瀬水路17との間において水が循環し、その水が浅瀬水路17内を流れる。また給水ポンプ23の給水量及び流量制御弁25の開度の少なくとも一方が加減されることにより、浅瀬水路17における水位が調整され、各配水路13を介して各舗装パネル14間の間隙16から、舗装パネル14の表面に滲み出す水の量が調整される。なお、図4は模式図であって、便宜上浅瀬水路17を舗道10の両側に描いている。
【0023】
また、前記排水配管24は、浅瀬水路17を介して雨水を集めるための集水渠として機能する。そして、雨天時には、流量制御弁25が適宜に調整されることにより、前記間隙16から配水路13内に流入した雨水が、あるいは浅瀬水路17に直接降下した雨水が浅瀬水路17及び第1排水配管24を介して貯水槽21内に収集される。浅瀬水路17には開閉弁(図示しない)を備えた第2排水配管26が接続されている。そして、通常時は前記開閉弁が閉じられて第2排水配管26は閉鎖される。一方、豪雨時等においては、前記開閉弁が開放されて第2排水配管26を介して、浅瀬水路17内の水が図示しない公共雨水管渠等に排出される。
【0024】
前記貯水槽21には、その内部に貯留された水の量を検出するための水位センサ27が設けられている。貯水槽21には水道水補給配管28が接続され、その水道水補給配管28中には開閉弁29が設けられている。そして、水位センサ27により検出された貯水槽21内の水の量が所定値よりも低下したときには、開閉弁29が開放されることにより、水道水が水道水補給配管28を介して貯水槽21内に補給される。貯水槽21には開閉弁31を備えた第3排水配管32が接続され、開閉弁31の開放により、貯水槽21内の貯水が前記公共雨水管渠等に排出される。貯水槽21には、濾過装置30が接続されている。そして、貯水槽21内の水が濾過装置30により濾過されて塵や砂等、各種の不純物が除去される。貯水槽21の上部には、オーバーフロー管35が接続され、貯水槽21内の水位が満水近くまで上昇したときに、溢水がこのオーバーフロー管35から前記公共雨水管渠等に流される。
【0025】
さて、舗道10の涼空間は以下のようにして実現される。すなわち、給水ポンプ23が作動されると、貯水槽21内の水が給水配管22を介して浅瀬水路17内に供給される。それとともに、浅瀬水路17内の水が排水配管24を介して貯水槽21に戻される。このとき、水位センサ27からの検出信号に従って給水ポンプ23による給水量及び流量制御弁25の開度が調節されて、貯水槽21内の水位が設定水位に維持される。このため、浅瀬水路17を流れる水の量、すなわち水位も設定値に保たれ、その浅瀬水路17内の水が路盤12と舗装パネル14との間の各配水路13内に導かれるとともに、その配水路13から各舗装パネル14間の間隙16を通して舗装パネル14の表面に滲み出す。
【0026】
この場合、図5に示すように、各舗装パネル14の上面外縁部14aが上面中央部14bよりも低くなるように形成されているため、舗装パネル14の表面に滲み出した水は、歩行者に支障のない程度で、各舗装パネル14の上面外縁部14aのみに全体として網目状をなすように薄く溜めることができる。そして、この舗装パネル14の上面外縁部14aに溜まった水が蒸発して気化熱を奪い、また水の温度が舗装パネル14に伝わることにより、舗装パネル14等が冷却される。このため、路面及びその周囲の空間の温度上昇が抑制される。従って、歩行者に対して涼空間を提供することができるとともに、舗装パネル14の表面側に水面が存在することによって、歩行者に対して視覚的にも快適な涼感を与えることができる。しかも、舗道10の隣には、浅瀬水路17によるせせらぎが存在するため、視覚的な涼感をさらにかもし出すことができるとともに、せせらぎの水の音により、聴覚的な涼感を与えることもできる。
【0027】
また、流量制御弁25の開度を絞った状態で、給水ポンプ23が作動されると、浅瀬水路17の水量が増加して、間隙16から舗装パネル14の表面に滲み出す水の量が多くすることができる。このため、図6に実線で示すように、舗装パネル14上に水が例えば子供のくるぶし程度の浅い水位に張られて、水盤が形成され、路面を水の遊び場として用いることができる。なおこの場合、流量制御弁25の開度を加減することにより、図6に鎖線で示すように、舗装パネル14上の水位を自在に調整することができる。
【0028】
さらに、給水ポンプ23を停止させると、貯水槽21から浅瀬水路17に水が供給されなくなる。従って、図3に示すように、配水路13から間隙16を通して舗装パネル14の表面に水が滲み出さなくなって、水の存在しない通常の舗道10となる。
【0029】
従って、第1実施形態においては、以下の効果がある。
(1) この実施形態においては、配水路13内から各舗装パネル14間の間隙16を通して滲み出す水により、各舗装パネル14の表面を濡れた状態に保つことができて、歩行者に対して体感だけではなく視覚的にも涼空間を提供することができる。しかも、前述の特許文献1〜4とは異なり、毛細管現象により微細ひび割れや細隙を浸透してきた水分が蒸発するのではなく、実際に存在する水面から蒸発するために、蒸発水分量が充分で、路面を適切に冷却できる。従って、ヒートアイランドの発生防止に有効である。加えて、間隙16から滲み出す水は、全体として美観を呈する網目状をなすため、舗道10の景観向上と涼感向上に有効である。しかも、歩行者は水の存在しないところを歩行することで、水に濡れることなく水面を歩いているような感覚を得ることできて、快適な歩行感を得ることができる。
【0030】
(2) この実施形態においては、給水ポンプ23や流量制御弁25の動作を制御するのみで、路面側の水量を自在にコントロールできる。従って、天候や歩行者数等に応じて舗道10及びその空間の冷却度合いを自在に調節できる。しかも、前述のように路面全体に水を張って水遊びのエリアをつくることができるばかりでなく、冬期においては、路面全体に張った水を自然凍結させて、スケーティングエリアとすることも可能である。また、路面側の水を必要としないときには、浅瀬水路17の水位を下げて配水路13から排水することにより、通常の舗道と同様に乾燥状態にすることができる。
【0031】
(3) この実施形態においては、各舗装パネル14の上面外縁部14aが上面中央部14bよりも低くなるように形成されている。このため、配水路13内から間隙16を通して舗装パネル14の表面に滲み出す水を、歩行者に支障のない程度で、舗装パネル14の上面外縁部14aのみに薄く層状に溜めることができる。
【0032】
(4)この実施形態においては、舗道10に沿って、配水路13と連通する浅瀬水路17が設けられている。このため、浅瀬水路17を利用して配水路13に水を供給することができ、配水のための構成を簡素化できる。
【0033】
(5)この実施形態においては、前記のように舗道10に沿って、浅瀬水路17が設けられている。このため、舗道10が水辺に位置することになり、浅瀬水路17に流れる水によって視覚的な涼感を一層高めることができるとともに、浅瀬水路17を流れるせせらぎの水音によって聴覚面からも涼感を得ることができる。
【0034】
(6) この実施形態においては、前記のように舗道10に沿って、前記浅瀬水路17が設けられるだけではなく、その浅瀬水路17の反対側に植え込み18のある土壌部19が設けられている。このため、舗道10の周囲は水と緑のビオトープ様の空間となり、歩行者に対して涼感だけではなく、石畳みのある緑の景観の楽しみを与えることもできる。
【0035】
(7) この実施形態においては、舗道10の路面側の水は間隙16,配水路13及び浅瀬水路17を介して排出することができる。従って、舗道10の路面における排水用の勾配が不要になり、歩行に適する水平な面を長くあるいは広く形成することができる。また、路面に勾配を付ける必要がないため、路面を網目状に濡らしたり、路面に水盤を形成したりする場合、その使用水量を少なくすることができる。逆に、路面に勾配が存在する場合は、高いところに位置する路面が水面から露出することがあるため、水量を多くする必要がある。
【0036】
(8) この実施形態においては、舗道10に微細ひび割れや細隙が存在しないため、路面が目詰まりすることはなく、従って、舗道10上の冷却機能が損なわれることは発生し得ない。また、高圧洗浄等を用いて路面の清掃を目詰まりしないように行う必要がなく、その清掃を清掃車等を用いて容易かつ低コストで行うことができる。
【0037】
(9) この実施形態においては、前述のように舗道10に微細ひび割れや細隙が存在しないため、冬期において微細ひび割れや細隙の内部に浸入した水の凍結によって舗道10が破損するようなおそれとは無縁である。
【0038】
(10) この実施形態においては、同じく前述のように舗道10に微細ひび割れや細隙が存在しないため、その微細ひび割れや細隙に吸収された水分によって路面に塵埃や泥等が付着することを防止できる。従って、路面を清潔に保つことができる。
【0039】
(11) この実施形態においては、舗装パネル14に透水性や保水性の機能を持たせる必要がない。このため、舗装パネルとして、ポーラスな材質のものを使用することが不要で、高級感があって、汚れにくい、上質なグレード感を確保することができる。
【0040】
(12) この実施形態において、貯水槽21には、浅瀬水路17や排水配管24等を介して雨水が集められる。従って、貯水槽21に貯留された雨水を舗道10の冷却と景観向上とに利用でき、ランニングコストの低減に寄与できる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を説明する。なお、この第2実施形態以降の各実施形態においては、前記第1実施形態と異なる構成及び作用を中心に説明する。
【0042】
さて、この第2実施形態においては、図7に示すように、各舗装パネル14の下面外周縁に凹部33が形成されている。そして、複数の舗装パネル14が相互間の間隙16を設けた状態で路盤12上に敷設されることにより、隣接する舗装パネル14の凹部33と路盤12の上面との間に、間隙16と連通する配水路13が形成される。
【0043】
(第3実施形態)
第3実施形態においては、図8に示すように、各舗装パネル14の下面に両端を舗装パネル14の外周端面に開口した凹溝34が形成されている。そして、複数の舗装パネル14が間隙16を設けた状態で路盤12上に敷設されることにより、各舗装パネル14の凹溝34が間隙16と連通する。従って、凹溝34が配水路の機能を果たし、凹溝34を通じて間隙16に水が行き渡る。
【0044】
(第4実施形態)
第4実施形態においては、前記各実施形態における浅瀬水路17は設けられていない。また、この第4実施形態においては、図9に示すように、路床11及び路盤12に、給水ポンプ(図示しない)を有する給水配管22及び流量制御弁(図示しない)を有する第1排水配管24が埋設され、それらの配管22,24の複数の端末22a,24aが間隙16に開口している。そして、水源としての貯水槽21からの間隙16に対する水の供給が給水配管22及びその端末22aを介して行われるとともに、間隙16からの排水が第1排水配管24の端末24aからその第1排水配管24を通して行われる。
【0045】
(第5実施形態)
第5実施形態においては、図10に示すように、各舗装パネル14を四角形の定形パネルにより構成し、それらの各舗装パネル14が間隙16をおいて整列状態で敷設されている。この舗装パネル14は、三角形,五角形,六角形等の四角形以外の定形パネルであってもよい。
【0046】
(第6実施形態)
第6実施形態においては、図11に示すように、前記第5実施形態と同様に、各舗装パネル14を定形パネルにより構成し、それらの各舗装パネル14が間隙16をおいて整列状態で敷設されている。また、この第6実施形態においては、各舗装パネル14の底面(裏面)に両端を舗装パネル14の外周端面に開口するとともに、交差した凹溝34が形成されている。従って、この凹溝34は、各舗装パネル14間の間隙16と連通する。この第6実施形態においても、前記図8の第3実施形態と同様に、凹溝34が前記第1実施形態の配水路の機能を果たし、凹溝34を通じて間隙16に水が行き渡る。
【0047】
(第7実施形態)
第7実施形態は、図12に示すように、敷石舗装が幅の広い舗道10あるいは広場において具体化する場合に適する。そのため、この第7実施形態においては、前記各実施形態の浅瀬水路17に変えて、暗渠17が設けられている。この暗渠17は、舗装パネル14により閉蓋され、舗道10または広場の中央部や隅部等の適当位置に巡らされる。この暗渠17は必要に応じて単数条または複数条設けられ、さらには必要に応じて交叉されて、分岐または合流される。この暗渠17は前記配水路13と連通している。なお、図7においては、構成を明瞭にするために配水路13と第2排水配管26とが重複して描いてあるが、それらは同一高さに位置していても実際には重複することはない。この第7実施形態においては、前記実施形態のような効果を得ることができる。また、この第7実施形態においては、適当位置に暗渠17を設ける構成あるため、広場空間等のように広い面積の敷石舗装を実現する場合に適する。そして、このように広い面積の敷石舗装であっても、排水のための勾配が不要であるため、多量の水を要することなく、冷却を行うことが可能となる。
【0048】
(第8実施形態)
第8実施形態は、図13に示すように、前記第7実施形態における供給配管22と排水配管24とが共通化されて兼用された構成である。すなわち、給排水配管54は、貯水槽21の貯水部と浅瀬水路17の底部との間に接続されている。この給排水配管54の一部は、給水側配管54aと排水側配管54bとの並列回路により構成されている。そして、前記給水側配管54aに給水ポンプ23が接続され、排水側配管54bに排水制御弁25が接続されている。そして、浅瀬水路17に対する給水が行われる場合は、排水制御弁25が閉鎖された状態でポンプ23が作動される。これによって、貯水槽21内の水が給排水配管54の貯水槽側,給水側配管54a及び給排水配管54の浅瀬水路17側を通って浅瀬水路17に供給される。また、浅瀬水路17からの排水は、排水制御弁25が開放された状態において、給排水配管54の浅瀬水路17側,排水側配管54b及び給排水配管54の貯水槽側を介して貯水槽21側に高低差を利用して流される。
【0049】
従って、この第8実施形態においては、ポンプ23及び排水制御弁25の部分を除いて給水配管と排水配管とが兼用されるため、配管の全長を短くでき、設備コストを低減できる。このコスト低減効果は、システムが大規模化するほど発揮される。
【0050】
(変更例)
なお、この実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
【0051】
・ 前記第1実施形態において配水路13を設けない構成とすること。このように構成した場合は、舗装パネル14間の間隙16を浅瀬水路17に直接連通させる。
・ 敷石舗装システムの舗道10を同様な構成の広場とすること。
【0052】
・ 浅瀬水路17に代えて、前記間隙16と連通可能な池を設け、この池の水位を調節することにより、間隙16から水が滲み出すように構成すること。
・ 前記第1実施形態のような給水ポンプ23により水を供給する貯水槽21を設けることなく、浅瀬水路17より高い位置に雨水を貯留する水源としてのタンクあるいは貯水池を設け、そのタンクあるいは貯水池から自然落下する水を浅瀬水路17及び配水路13に流すように構成すること。
【0053】
・ 浅瀬水路17を舗道10の両側に設けたり、舗道10と交差させたり、舗道10の中央部に設けたりすること。
・ 配水路13を前記実施形態とは異なる形状、例えば平面格子状,蛇行状に形成すること。
【0054】
・ 間隙16内に砕石や粒の大きな砂を充填すること。この場合、間隙16内の水位の上昇が毛細管現象による水位の上昇より速く、また、水位の下降が水分の蒸発によることなく重力によって行われるように、砕石や砂粒子として大きめのものを用いてそれらの間の隙間を広く確保する必要がある。このように、間隙16内に砕石等を充填すれば、歩行者にとって間隙16の存在がほぼ実質的に無視できるレベルになり、歩行しやすくなり、歩行者がハイヒールを履いていても、そのヒールがとられるおそれを防止できる。この場合、間隙16の幅が広いほど、その間隙16内に充填される砕石等として大きめのものが用いられ、間隙16の幅が30mm程度では、小豆大のものが用いられる。
【0055】
・ 間隙16内に合成樹脂製あるいは金属製の蓋体を嵌め込むこと。この蓋体には、水が毛細管現象等によることなく円滑に通過するための大きめの孔や切欠きを設ける必要がある。このようにすれば、前記砕石等を充填した場合と同様に歩行者は間隙16の存在をほぼ実質的に無視することができる。
【0056】
・ 舗装パネル14として、上面外縁部を上面中央部より低く形成することなく、全体をほぼ同一水平面に位置する粗面で構成し、ほぼフラットな上面形状にすること。このように構成しても、前記粗面に水が保持されて、前記実施形態と同様に涼感確保効果や良好な歩行感を得ることができる。
【0057】
(他の技術的思想)
前記各実施形態及び変更例から把握され、請求項に記載の技術的思想以外の技術的思想を以下に述べる。
【0058】
(A) 路盤と舗装パネルとの間に舗装パネル間の間隙と連通した配水路を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装システム。
このようにすれば、間隙に水を配水路を通して円滑に供給できる。
【0059】
(B) 舗装パネルが敷設される路盤に配水路を形成したことを特徴とする前記技術的思想(A)項に記載の敷石舗装システム。
(C) 配水路の端部を浅瀬水路に連結したことを特徴とする前記技術的思想(B)項に記載の敷石舗装システム。
【0060】
このようにすれば、浅瀬水路を利用して間隙に対する水の供給及び間隙からの水の排出を行うことができる。
(D) 舗装パネルの裏面に配水路を形成したことを特徴とする前記技術的思想(A)項に記載の敷石舗装システム。
【0061】
(E) 植え込み用の土壌部を並設したことを特徴とする請求項1〜3,前記他の技術的思想(A)〜(D)項のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装システム。
このようにすれば、景観を向上できる。
【0062】
(F) 貯水槽と、その貯水槽の水を浅瀬水路に供給するための供給路と、浅瀬水路の水を貯水槽に排出するための排水路とを備えた請求項3,前記技術的思想(A)〜(E)項のうちのいずれか一項に記載の敷石舗装システム。
【0063】
このようにすれば、貯水槽と浅瀬水路との間において水を循環させることができるとともに、浅瀬水路を介して雨水を集めて貯水槽に貯留できる。
(G) 貯水槽と浅瀬水路との間の供給路及び排水路を共通化したことを特徴とする前記技術思想(F)項に記載の敷石舗装システム。
【0064】
このように構成すれば、貯水槽と浅瀬水路との間の配管の全長を短くできる。
(H) 貯水槽内の水を濾過するための濾過装置を設けたことを特徴とする前記技術的思想(F)または(G)項に記載の敷石舗装システム。
【0065】
このようにすれば、貯水槽内の水から砂等を除去できて、給水ポンプ等の不具合を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の敷石舗装システムを示す部分平面図。
【図2】図1の2−2線における部分断面図。
【図3】図2の3−3線における部分拡大断面図。
【図4】敷石舗装システムに対する給排水構成を示す概略図。
【図5】図3の敷石舗装システムに水を供給した状態を示す部分断面図。
【図6】図5の場合とは異なった水位まで水を供給した状態を示す部分断面図。
【図7】第2実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図8】第3実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図9】第4実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図10】第5実施形態の敷石舗装システムを示す部分平面面図。
【図11】第6実施形態の敷石舗装システムを示す部分断面図。
【図12】第7実施形態の敷石舗装システムを示す概略図。
【図13】第8実施形態の敷石舗装システムを示す概略図。
【符号の説明】
【0067】
10…舗道、12…路盤、14…舗装パネル、14a…上面外縁部、14b…上面中央部、16…間隙、17…開渠としての浅瀬水路、17…暗渠。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路盤上に多数の非透水性の舗装パネルをそれらの間に開放状態の間隙を形成した状態で敷設して舗道を形成し、前記間隙を水源に接続したことを特徴とする敷石舗装システム。
【請求項2】
前記各舗装パネルの上面外縁部を上面中央部より低く形成したことを特徴とする請求項1に記載の敷石舗装システム。
【請求項3】
前記舗道に開渠または暗渠を付設するとともに、前記間隙を前記開渠または暗渠に連結したことを特徴とする請求項1または2に記載の敷石舗装システム。
【請求項1】
路盤上に多数の非透水性の舗装パネルをそれらの間に開放状態の間隙を形成した状態で敷設して舗道を形成し、前記間隙を水源に接続したことを特徴とする敷石舗装システム。
【請求項2】
前記各舗装パネルの上面外縁部を上面中央部より低く形成したことを特徴とする請求項1に記載の敷石舗装システム。
【請求項3】
前記舗道に開渠または暗渠を付設するとともに、前記間隙を前記開渠または暗渠に連結したことを特徴とする請求項1または2に記載の敷石舗装システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−95903(P2010−95903A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267543(P2008−267543)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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