説明

敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニット

【課題】突起形成体の裏面を歩行面に接着させるにあたって、両面間に入り込んでしまう空気が効果的に外部に抜き出るようにする。
【解決手段】一端部を一対の棒状支持体1、1の一方への連接部2aとし、かつ、他端部を一対の棒状支持体1、1の他方への連接部2aとして、この一対の棒状支持体1、1間に架け渡し状に備えられる一又は二以上の突起形成体2とを備えている。突起形成体2は、その裏面2cを接着剤Sにより歩行面Mに接着される接着面2dとしていると共に、連接部2aにおいて、突起形成体2と棒状支持体1とを切り離し可能に構成してある。突起形成体2に、その表面2bと裏面2cとを連絡する小孔2eが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歩行面に敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の棒状支持体と、この一対の棒状支持体間に連接部において切り離しを可能とした状態で架け渡し状に備えられる突起形成体とを備えており、この突起形成体の裏面を歩行面に接着させた後、前記切り離しをなして歩行面上に残された突起形成体によって視覚障害者誘導用突起を形成させるようにした突起ユニットとして、本出願人の開示にかかる特許文献1記載のものがある。
【0003】
かかる突起ユニットにあっては、前記突起形成体の裏面(接着面)を湾曲させてるようにしており、この裏面を歩行面に接着させるにあたりこの裏面と歩行面との間に空気が入り込み難いようにしている。
【0004】
しかし、かかる突起ユニットにあっては、前記両面間に空気ができるだけ入り込まないようにできるものの、この両面間に全く空気が入り込まないようにできるものではなく、入り込んでしまった空気はこの両面間に残ってしまう。これは接着面積の減少を招くものとなる。
【特許文献1】特開2004−176529号公報(第9頁段落番号0066および0067)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の突起ユニットを構成する突起形成体の裏面を歩行面に接着させるにあたって、両面間に入り込んでしまう空気が効果的に外部に抜き出るようにして、この両面の接着面積を最大限確保できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、この発明にあっては、敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニットが以下の(1)〜(5)の構成を備えたものとしている。
(1)一対の棒状支持体と、
(2)一端部を一対の棒状支持体の一方への連接部とし、かつ、他端部を一対の棒状支持体の他方への連接部として、この一対の棒状支持体間に架け渡し状に備えられる一又は二以上の突起形成体とを備えており、
(3)突起形成体は、その裏面を接着剤により歩行面に接着される接着面としていると共に、
(4)連接部において、突起形成体と棒状支持体とを切り離し可能に構成してあり、
(5)しかも、突起形成体に、その表面と裏面とを連絡する小孔が形成されている。
【0007】
かかる構成によれば、棒状支持体を把持した状態で、歩行面に突起ユニットを、突起形成体の接着面を下にして配置させると共に、接着剤によりこの接着面を歩行面に接着させることにより、突起形成体を歩行面の所定の位置に、突起形成体の向き、ないし、配列を一対の棒状支持体によって確保させた状態で、容易に止着させることができる。そして、この止着の後、前記連接部において突起形成体と棒状支持体とを切り離すことによって、前記のように止着された突起形成体によって視覚障害者誘導用突起を歩行面に適切に備え付けさせることができる。
【0008】
また、かかる突起形成体には、その表面と裏面とを連絡する小孔が形成されていることから、歩行面に接着剤を塗布した後、突起形成体の裏面をこの接着剤の塗布された歩行面に前記接着のために押し付けた際に両面間に入り込んだ空気を前記小孔を通じてこの両面間から外部に逃し出し、かかる両面間にできる限り空気が残されないようにすることができる。また、接着剤に揮発性溶剤が含まれている場合には、この接着剤からその硬化までの間に生じるガスを同様に前記小孔を通じてこの両面間から外部に逃し出し、かかる両面間にできる限りこうしたガスが留まらないようにすることができる。この結果、前記両面間に前記空気などに起因した間隙などができる限り生じないようにすることができ、突起形成体を歩行面に、強固かつ仕上がり良く、固定させることができる。
【0009】
前記突起形成体の裏面に、この裏面側における小孔の孔口に続くように延び、かつ、この孔口に連通した溝を形成させておくこともある。
【0010】
このようにした場合、突起形成体の裏面と歩行面との間に入り込んだ前記空気などをこの溝を通じて小孔に導いて外部に逃し出させることができ、両面の各所においてこうした空気などが残留しないようにすることができる。
【0011】
前記溝が毛細管現象を生じさせる溝幅を持つようにしておくこともある。
【0012】
このようにした場合、溝に接着剤を行き渡らせるようにすることができ、このように溝に入り込んで硬化される接着剤によって突起形成体の裏面と歩行面との接着状態をより強固なものとすることができる。
【0013】
前記突起形成体の表面に、滑り止めの突起を形成させておくこともある。
【0014】
このようにした場合、視覚障害者誘導用突起となる突起形成体に歩行面の滑り止め機能を併せ持たせることができる。
【0015】
前記突起形成体を、連接片を介して隣り合う点状突起体に連接された点状突起となる複数の点状突起体から構成しておくこともある。
【0016】
このようにした場合、歩行面に突起ユニットを前記のように接着させた後、連接部において突起形成体と棒状支持体とを切り離すことによって、歩行面に容易かつ適切に複数の点状突起を備え付けさせることができる。
【0017】
突起形成体を、線状突起となる線状突起体から構成しておくこともある。
【0018】
このようにした場合、歩行面に突起ユニットを前記のように接着させた後、連接部において突起形成体と棒状支持体とを切り離すことによって、歩行面に容易かつ適切に線状突起を備え付けさせることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明にかかる突起ユニットによれば、この突起ユニットを構成する突起形成体の裏面を歩行面に接着させるにあたって、両面間に入り込んでしまう空気を効果的に外部に抜き出させることができ、この両面の接着面積を最大限に確保して歩行面に突起形成体を強固に固定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1ないし図16に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について、説明する。
【0021】
なお、ここで図1ないし図4は、この実施の形態にかかる突起ユニットYをそれぞれ示しており、また、図7ないし図9は、かかる突起ユニットYにおける突起形成体2を構成する複数の点状突起体21、21…の一つをそれぞれ示している。また、図5および図6は、突起ユニットYを歩行面Mに備え付けさせる各工程を理解しやすいように示しており、図5、図6の順でこの備え付け作業が進行する。
【0022】
また、図10ないし図16は、図1ないし図9に示される突起ユニットYと構成の一部を異ならせる突起ユニットYの他の例の一つを示している。かかる突起ユニットYは図14に示されるように歩行面Mに接着剤Sを介して接着された後、図15に示されるように、棒状支持体1と突起形成体2を切り離すと共に、突起形成体2を構成する各点状突起体21同士を切り離して最終的に歩行面Mに設置される。
【0023】
この実施の形態にかかる突起ユニットYは、歩行面Mに敷設されて視覚障害者誘導用突起Tを形成させるものである。
【0024】
歩行面Mとしては、舗装された歩道の舗装面、横断歩道の舗装面、駅の通路の通路面、駅のプラットホームの縁面などが予定される。
【0025】
かかる突起ユニットYは、一対の棒状支持体1、1と、一又は二以上の突起形成体2とを備えている。
【0026】
突起形成体2は、一端部を一対の棒状支持体1、1の一方への連接部2aとし、かつ、他端部を一対の棒状支持体1、1の他方への連接部2aとして、この一対の棒状支持体1、1間に架け渡し状に備えられている。
【0027】
また、かかる突起形成体2は、その裏面2cを接着剤Sにより歩行面Mに接着される接着面2dとしている。接着剤Sとしては、通常の接着剤Sのほか、接着効果を持った塗料、塗料と接着剤Sとを混ぜたもの、接着剤Sに顔料などを混ぜて塗料としての機能を併せ持たせた接着剤Sなどを用いることができる。
【0028】
また、前記連接部2aにおいて、突起形成体2と棒状支持体1とを切り離すことができるようになっている。
【0029】
これにより、この実施の形態にかかる突起ユニットYによれば、棒状支持体11を把持した状態で、歩行面Mに突起ユニットYを、突起形成体2の接着面2dを下にして配置させると共に、接着剤Sによりこの接着面2dを歩行面Mに接着させることにより、突起形成体2を歩行面Mの所定の位置に、突起形成体2の向き、ないし、配列を一対の棒状支持体1、1によって確保させた状態で、容易に止着させることができる。そして、この止着の後、前記連接部2aにおいて突起形成体2と棒状支持体1とを切り離すことによって、前記のように止着された突起形成体2によって視覚障害者誘導用突起Tを歩行面Mに適切に備え付けさせることができる。
【0030】
図示の例では、かかる突起ユニットYを、プラスチック材料を用いた射出成形により形成されたプラスチック成形品としてある。このように突起ユニットYを構成した場合、突起ユニットYを容易かつ低廉に提供できると共に、突起ユニットYを軽量化させて前記歩行面Mへの設置作業を一層容易になせるようにすることができる。
【0031】
かかる速乾性の接着剤Sとしては、突起ユニットYをプラスチック材料により構成した場合には、例えば、メタクリル樹脂液と各種顔料からなる調整した粘性を有する主剤を過酸化物で硬化させるようにしたものなどを用いることができる。
【0032】
突起形成体2を、連接片210を介して隣り合う点状突起体21に連接された点状突起となる複数の点状突起体21、21…から構成しておけば、歩行面Mに突起ユニットYを前記のように接着させた後、連接部2aにおいて突起形成体2と棒状支持体1とを切り離すことによって、歩行面Mに容易かつ適切に複数の点状突起を備え付けさせることができる。
【0033】
また、突起形成体2を、線状突起となる線状突起体22から構成しておけば、歩行面Mに突起ユニットYを前記のように接着させた後、連接部2aにおいて突起形成体2と棒状支持体1とを切り離すことによって、歩行面Mに容易かつ適切に線状突起を備え付けさせることができる。
【0034】
また、かかる突起形成体2には、その表面2bと裏面2cとを連絡する小孔2eが形成されている。
【0035】
これにより、この実施の形態にあっては、歩行面Mに接着剤Sを塗布した後、突起形成体2の裏面2cをこの接着剤Sの塗布された歩行面Mに前記接着のために押し付けた際に両面2c、M間に入り込んだ空気を前記小孔2eを通じてこの両面2c、M間から外部に逃し出し、かかる両面2c、M間にできる限り空気が残されないようにすることができる。また、接着剤Sに揮発性溶剤が含まれている場合には、この接着剤Sからその硬化までの間に生じるガスを同様に前記小孔2eを通じてこの両面2c、M間から外部に逃し出し、かかる両面2c、M間にできる限りこうしたガスが留まらないようにすることができる。この結果、前記両面2c、M間に前記空気などに起因した間隙などができる限り生じないようにすることができ、突起形成体2を歩行面Mに、強固かつ仕上がり良く、固定させることができる。
【0036】
また、この実施の形態にあっては、突起形成体2の裏面2cに、この裏面2c側における小孔2eの孔口に続くように延び、かつ、この孔口に連通した溝2fが形成されている。
【0037】
これにより、この実施の形態にあっては、突起形成体2の裏面2cと歩行面Mとの間に入り込んだ前記空気などをこの溝2fを通じて小孔2eに導いて外部に逃し出させることができ、両面2c、Mの各所においてこうした空気などが残留しないようにすることができる。
【0038】
また、この実施の形態にあっては、かかる溝2fが毛細管現象を生じさせる溝幅を持つようになっている。
【0039】
これにより、この実施の形態にあっては、溝2fに接着剤Sを行き渡らせるようにすることができ、このように溝2fに入り込んで硬化される接着剤Sによって突起形成体2の裏面2cと歩行面Mとの接着状態をより強固なものとすることができる。
【0040】
また、この実施の形態にあっては、突起形成体2の表面2bに、滑り止めの突起2gが形成してある。
【0041】
これにより、この実施の形態にあっては、視覚障害者誘導用突起Tとなる突起形成体2に歩行面Mの滑り止め機能を併せ持たせることができる。
【0042】
この実施の形態にあっては、突起2gは、突起形成体2の表面2bに下端を一体に連接させて上方に突き出す短寸の柱状をなすように構成されており、かつ、柱上面を巡る縁部2g’をエッジ状にしていることから、滑り止め機能を効果的に発揮するものとなっている。
【0043】
(第一の実施の形態)
図1ないし図9に示される例にあっては、突起形成体2を、前記点状突起2gとなる複数の点状突起体21、21…によって構成させている。
【0044】
かかる例にあっては、突起ユニットYを構成する一対の棒状支持体1、1は、一方の棒状支持体1と他方の棒状支持体1とがほぼ平行をなすように、形成されている。
【0045】
そして、このように配される一対の棒状支持体1、1の間に、五つの突起形成体2、2…が架け渡し状に備えられている。
【0046】
各突起形成体2はいずれも、複数の点状突起体21、21…から構成されている。具体的には、これらの点状突起体21が、棒状支持体1の長さ方向にほぼ直交する向きにおいて真っ直ぐに配列されるように、隣合う点状突起体21同士を連接片210によって連接させ合わせることにより、一つの突起形成体2が形成されている。
【0047】
そして、このように構成される突起形成体2の一端側にある点状突起体21と一対の棒状支持体1、1の一方とを連接片211を介して連接させると共に、かかる突起形成体2の他端側にある点状突起体21と一対の棒状支持体1、1の他方とを連接片211を介して連接させることにより、一対の棒状支持体1、1の間に各突起形成体2が架け渡し状に備えられるようにしてある。
【0048】
かかる例にあっては、各突起形成体2はほぼ同寸、同形をなすように構成されている。また、突起形成体2を構成する複数の点状突起体21、21…は、いずれも、隣り合う点状突起体21の間のピッチをほぼ等しくするように、前記連接片210によって隣り合う点状突起体21に連接させ合わされている。また、五つの突起形成体2における隣り合う突起形成体2間の間隔は、いずれも、ほぼ等しくなるようにしてある。
【0049】
また、この例では、このように配列される五つの突起形成体2によって、一対の棒状支持体1、1間に配される複数の点状突起体21、21…は、この棒状支持体1とほぼ平行をなすに仮想の直線と、この棒状支持体1にほぼ直交する仮想の直線とが交叉する交点にそれぞれ配されるようになっている。すなわち、この例では、一対の棒状支持体1、1間に架け渡し状に配される五つの突起形成体2、2…によって、この一対の棒状支持体1、1の間に、碁盤目状に点状突起体21が配列されるようになっている。
【0050】
これによりこの例にあっては、突起ユニットYを前記のように歩行面Mに接着させることにより、この歩行面Mに複数の点状突起体21、21…を正確な碁盤目状をなすように簡単に備え付けさせることができ、これにより、この歩行面Mに並行配列の点状突起を形成させることができる。五つ突起形成体2、2…における点状突起体21の配列をずらせば、歩行面Mに千鳥配列の点状突起を形成させることも容易になすことができる。
【0051】
また、この例にあっては、一つの突起形成体2を構成する複数の点状突起体21、21…を連接させ合う前記連接片210は、
隣り合う点状突起体21の一方に下端210bを切離可能に連接させて上方に延びる一方腕210aと、
隣り合う点状突起体21の他方に下端210bを切離可能に連接させて上方に延びる他方腕210aとを備えた構成としてある。
【0052】
具体的には、この例にあっては、一方腕210aと他方腕210aとは、これらの上端間に亘る上部接続片210cによって接合させ合わされている。この例では、この上部接続片210cは、水平方向に沿って延びる棒状をなすように構成されている。一方腕210aと他方腕210aも真っ直ぐな棒状をなすように構成されているが、この例では、両腕210a、210a共に、その上端側に近付くに連れて次第にその下端210bを連接させている点状突起体21から離れ出す向きにやや傾斜するようにして上方に延びるように形成されている。
【0053】
この例では、突起形成体2を構成する各点状突起体21はいずれも、平面視の状態においてほぼ円形の外郭形状を有するように構成されている。また、各点状突起体21はいずれも、接着面となる円形の裏面2cと、この裏面2cよりも小径の円形の表面2bとを有している。また、この裏面2cと表面2bとの間の側面を周回状をなすテーパー面としている。
【0054】
そして、この例では、かかる点状突起体21の略中心に前記小孔2eが形成されている。かかる小孔2eは、点状突起体21の裏面2cから表面2bに向かうに連れて次第にその孔径を小さくするように構成されている。また、この点状突起体21の裏面2cには、この裏面2c側の小孔2eの孔口から放射方向に延びる複数の溝2f、2f…が形成されている。この例では、各溝2fは、点状突起体21の中心に向かうに連れて次第に深まるように形成されている。また、各溝2f間は、平坦な面となっている。
【0055】
また、この例にあっては、棒状支持体1の裏面が、突起形成体2の接着面2dよりも上方に位置されるように、棒状支持体1と突起形成体2の連接部2aとが、連接片211を介して連接されるようにしてある。
【0056】
具体的には、この例にあっては、一対の棒状支持体1、1間に架け渡し状に配される五つの突起形成体2、2…の裏面2cが、仮想の一つの平面上に位置されるようになっていると共に、一対の棒状支持体1、1の裏面が、この仮想の一つの平面よりも上方に位置される他の仮想の一つの平面上に位置されるようになっている。
【0057】
また、隣り合う点状突起体21同士を連接させる連接片210における前記上部接続片210cの裏面も、一対の棒状支持体1、1の裏面2cが位置される他の仮想の一つの平面上に位置されるようになっている。
【0058】
それと共に、突起形成体2の端部、つまり、連接部2aと、棒状支持体1とが、突起形成体2の端部から斜めに上方に延びるように形成された連接片211により連接されるようにしてある。この例にあっては、連接片211の上端と棒状支持体1とは、さらに、水平方向に延びる棒状連接片211aを介して、連接され合わされている。
【0059】
これにより、この例にあっては、棒状支持体1を把持した状態で、接着剤Sを塗布した歩行面Mに、突起形成体2の接着面2dを押し付けさせるようにセッティングする作業をスムースに行うことができる。
【0060】
この例にあっては、このように突起形成体2を歩行面Mにセッティングして止着した後、前記のように形成された連接片211の下端211bと突起形成体2の端部との接し合う箇所を切断するようにしている。(図5から図6)
【0061】
また、この例では、このように突起形成体2を歩行面Mに止着させた後、さらに、この突起形成体2を構成する隣り合う点状突起体21を連接させ合わせる前記連接片210とこの点状突起体21とを、この連接片210の一方腕210aの下端210bと、この連接片210の他方腕210aの下端210bとでそれぞれ切り離して、歩行面Mにこの点状突起体21のみが残されるようにすることができる。すなわち、この例では、かかる連接片210は、両腕210a、210aの下端210bを点状突起体21に連接させて上方に位置されることから、歩行面Mには接着されることはなく、突起形成体2を歩行面Mに止着させた後、支障なくかかる切り離しをなすことができる。
【0062】
また、かかる連接片210は、前記両腕210a、210aを有することから、この両腕210a、210a間の間隔を若干広げ、あるいは、狭める変形を許容させることができ、これによって、歩行面Mに若干の凹凸がある場合でも、突起形成体2を歩行面Mにセッティングするにあたり、こうした凹凸にかかわらず各点状突起体21の接着面2dがいずれも歩行面Mに対し密着するように、各点状突起体21の接着面2dを若干傾かせる調整をなすことができる。かかる変形の許容は、典型的には、突起ユニットYをプラスチック材料を用いた射出成型品とすることで容易に確保することができる。
【0063】
なお、この例にあっては、一対の棒状支持体1、1の一端間と、他端端間に、それぞれ、棒状接続体212が架け渡し状に形成されており、この一対の棒状支持体1、1と棒状接続体212によって形成された方形の枠状体によって、前記五つの突起形成体2、2…が支持されるようになっている。
【0064】
(第二の実施の形態)
図10ないし図16に示される例にあっては、突起形成体2を、前記線状突起となる複数の線状突起体22、22…によって構成させている。
【0065】
かかる例にあっては、突起ユニットYを構成する一対の棒状支持体1、1は、一方の棒状支持体1と他方の棒状支持体1とがほぼ平行をなすように、形成されている。
【0066】
そして、このように配される一対の棒状支持体1、1の間に、四つの突起形成体2、2…が架け渡し状に備えられている。
【0067】
各突起形成体2はいずれも、棒状支持体1の長さ方向にほぼ直交する向きに長さ方向を沿わせた棒状をなすように構成されている。
【0068】
そして、このように構成される突起形成体2の一端(連接部2a)と一対の棒状支持体1、1の一方とを連接片220を介して連接させると共に、かかる突起形成体2の他端(連接部2a)と一対の棒状支持体1、1の他方とを連接片220を介して連接させることにより、一対の棒状支持体1、1の間に各突起形成体2が架け渡し状に備えられるようにしてある。
【0069】
かかる例にあっては、各突起形成体2はほぼ同寸、同形をなすように構成されている。また、四つの突起形成体2、2…における隣り合う突起形成体2間の間隔は、いずれも、ほぼ等しくなるようにしてある。
【0070】
各突起形成体2は、いずれも裏面2cを接着面2dとすると共に、表面2bよりも裏面2cを幅広にするように構成されており、幅方向の断面形状をほぼ台形状としている。
【0071】
また、この例にあっては、各突起形成体2は、ほぼ同寸、同形の三つの線状突起形成体221に区分されており、中央の線状突起形成体221の一端と右側の線状突起形成体221の一端とをヒンジ状接続片222によって接続させると共に、中央の線状突起形成体221の他端と左側の線状突起形成体221の一端とをヒンジ状接続片222によって接続させることにより、これらの線状突起形成体221によって突起形成体2を形作るようにしている。
【0072】
具体的には、中央の線状突起形成体221の幅方向に沿った辺部と長さ方向に沿った両辺部との間の両隅部であって、この中央の線状突起形成体221の裏面2c側と、
左右の線状突起形成体221の幅方向に沿った辺部と長さ方向に沿った両辺部との間の両隅部であって、この左右の線状突起形成体221の裏面2c側とが、前記ヒンジ状接続片222によって接続されるようにしてある。
【0073】
これにより、この例にあっては、かかるヒンジ状接続片222を屈曲させることにより、突起形成体2を構成する各線状突起形成体221の裏面2c、つまり、接着面2dを若干傾かせることができ、歩行面Mへのセッティングにあたって、この歩行面Mに若干の凹凸がある場合でも、こうした凹凸にかかわらず各突起形成体2を構成する各線状突起形成体221の接着面2dがいずれも歩行面Mに対し密着するようにすることができる。
【0074】
かかるヒンジ状接続片222を屈曲可能とすることは、典型的には、突起ユニットYをプラスチック材料を用いた射出成型品とすることで容易に確保することができる。
【0075】
この例にあっても、突起ユニットYを前記のように歩行面Mに接着させることにより、この歩行面Mに複数の線状突起体22を簡単に備え付けさせることができ、これにより、この歩行面Mに複数の線状突起を所定の配列で形成させることができる。
【0076】
そして、この例では、かかる線状突起体22の幅方向略中程の位置に、複数の小孔2eが、隣り合う小孔2eとの間にこの線状突起体22の長さ方向において略等しい間隔を開けるようにして、形成されている。かかる小孔2eは、線状突起体22の裏面2cから表面2bに向かうに連れて次第にその孔径を小さくするように構成されている。
【0077】
また、この線状突起体22の裏面2cには、この線状突起体22の幅方向に沿った複数の第一の溝2f’、2f’…が、隣り合う第一の溝2f’との間にこの線状突起体22の長さ方向において略等しい間隔を開けるようにして、形成されている。また、隣り合う第一の溝2f’同士は、線状突起体22の幅方向略中程の位置において、この線状突起体22の長さ方向に沿って延びる第二の溝2f”によって連通され合わされている。
【0078】
また、この例では、第一の溝2f’の一部に前記小孔2eの孔口が臨まされるようになっている。また、第一の溝2f’は、線状突起体22の幅方向略中程の位置に近づくに連れて次第に深まるように形成されている。また、第二の溝2f”は、前記小孔2eの孔口に近づくに連れて次第に深まるように形成されている。
【0079】
また、この例にあっては、棒状支持体1の裏面が、突起形成体2の接着面2dよりも上方に位置されるように、棒状支持体1と突起形成体2の連接部2aとが、連接片220を介して連接されるようにしてある。
【0080】
具体的には、この例にあっては、一対の棒状支持体1、1間に架け渡し状に配される四つの突起形成体2、2…の裏面2cが、仮想の一つの平面上に位置されるようになっていると共に、一対の棒状支持体1、1の裏面が、この仮想の一つの平面よりも上方に位置される他の仮想の一つの平面上に位置されるようになっている。
【0081】
それと共に、突起形成体2の端部、つまり、連接部2aと、棒状支持体1とが、突起形成体2の端部から斜めに上方に延びるように形成された連接片220により連接されるようにしてある。
【0082】
これにより、この例にあっては、棒状支持体1を把持した状態で、接着剤Sを塗布した歩行面Mに、突起形成体2の接着面2dを押し付けさせるようにセッティングする作業をスムースに行うことができる。
【0083】
そしてこの例にあっては、このように突起形成体2を歩行面Mにセッティングして止着した後、前記のように形成された連接片220の下端220aと突起形成体2の端部との接し合う箇所を切断するようにしている。(図14から図15)
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第一の実施の形態にかかる突起ユニットYの平面図
【図2】同側面図(図1の右側から見た図)
【図3】同底面図
【図4】同側面図(図1の下側から見た図)
【図5】第一の実施の形態にかかる突起ユニットYによる視覚障害者誘導用突起Tの敷設工程の一部を示す構成図
【図6】図5に示される工程に続いてなされる、突起ユニットYによる視覚障害者誘導用突起Tの敷設工程の一部を示す構成図
【図7】同要部平面図
【図8】同一部破断要部側面図
【図9】同要部底面図
【図10】第二の実施の形態にかかる突起ユニットYの平面図
【図11】同一部破断側面図(図10の右側から見た図)
【図12】同底面図
【図13】同一部破断側面図(図10の下側から見た図)
【図14】第二の実施の形態にかかる突起ユニットYによる視覚障害者誘導用突起Tの敷設工程の一部を示す構成図
【図15】図14に示される工程に続いてなされる、突起ユニットYによる視覚障害者誘導用突起Tの敷設工程の一部を示す構成図
【図16】第二の実施の形態にかかる突起ユニットYの要部拡大断面図
【符号の説明】
【0085】
Y 突起ユニット
M 歩行面
S 接着剤
1 棒状支持体
2 突起形成体
2a 連接部
2b 表面
2c 裏面
2d 接着面
2e 小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の棒状支持体と、
一端部を一対の棒状支持体の一方への連接部とし、かつ、他端部を一対の棒状支持体の他方への連接部として、この一対の棒状支持体間に架け渡し状に備えられる一又は二以上の突起形成体とを備えており、
突起形成体は、その裏面を接着剤により歩行面に接着される接着面としていると共に、
連接部において、突起形成体と棒状支持体とを切り離し可能に構成してあり、
しかも、突起形成体に、その表面と裏面とを連絡する小孔が形成されていることを特徴とする敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニット。
【請求項2】
突起形成体の裏面に、この裏面側における小孔の孔口に続くように延び、かつ、この孔口に連通した溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニット。
【請求項3】
溝が毛細管現象を生じさせる溝幅を持つようになっていることを特徴とする請求項2記載の敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニット。
【請求項4】
突起形成体の表面に、滑り止めの突起が形成してあることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニット。
【請求項5】
突起形成体が、連接片を介して隣り合う点状突起体に連接された点状突起となる複数の点状突起体から構成してあることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニット。
【請求項6】
突起形成体が、線状突起となる線状突起体から構成してあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の敷設されて視覚障害者誘導用突起を形成させる突起ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−138085(P2006−138085A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327113(P2004−327113)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(391011157)株式会社トウペ (8)
【出願人】(592176756)三協化成産業株式会社 (4)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】