説明

文字入力支援装置、文字入力支援方法及び文字入力支援プログラム

【課題】効率的に文字を入力するための文字入力支援装置、文字入力支援方法及び文字入力支援プログラムを提供する。
【解決手段】携帯電話端末10の制御部20は、キーが選択された場合、第1キーに基いて行要素(子音)を特定する。そして、更にキーが選択された場合、制御部20は、新たに選択されたキー入力ボタン42が第1キーと同じかどうかについての判定処理を実行する。第1キーと同じキー入力ボタン42が選択された場合、制御部20は、音韻変更処理を実行する。第1キーと異なるキーが選択された場合、携帯電話端末10の制御部20は、
第1キーの周辺に設定された第2キー領域を特定する。そして、この第2キー領域内のキー入力ボタン42が選択された場合、制御部20は、第1キーに対する第2キーの位置により段要素(母音)を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、五十音文字を入力する場合に用いる文字入力支援装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、デスクトップ端末等において文字を入力する場合には、キーボードを用いることが多い。このキーボードにおいては、ひらがな入力やローマ字入力により、文字を入力することができる。また、小型の携帯電話端末のように簡易なユーザーインターフェイスにおいて入力を行なう場合もある。このような端末においては、多数のキーをレイアウトすることが不可能であることから、電話番号入力用のテンキーに複数のひらがなを割当て、この電話番号入力用のテンキーを用いて文字入力が行なわれている。
【0003】
このようなテンキーを用いた文字入力方式としては、マルチタップ方式、ポケベル(登録商標)方式、単語予測型の文字入力方式等が提案されている。
ここで、マルチタップ方式は、0〜9の各数字のテンキーに、「あ行」、「が行」等の行要素を割り当て、各キーの押下回数により、「あ→い→う→…」等のように段要素を遷移させて入力文字を選択する方式である。
【0004】
また、ポケベル(登録商標)方式は、2つの数字入力で1つの文字を表示させる。例えば、「あ」は11、「い」は12、「う」は13、「え」は14、「お」は15、そして、「か」は21、「き」は22…のように、常に2つの数字キーの組み合わせで、かな文字1文字を表現する。
【0005】
また、方向を入力するパッドを利用して、文字入力におけるキー操作の回数を減らし、ユーザに対する文字入力操作の負担を軽減するための技術も検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献に記載された技術では、携帯電話装置は、数字と文字の入力を併用するキーを含むキー群と、上下左右の四方向を入力する十字操作キーとを備えている。まず、所望の行の文字入力を行なうために、キー群のうち所望の文字を含む行の先頭文字を付したキーを押下し、さらに十字操作キー用いて段要素を特定する。
【0006】
また、携帯電話機におけるテンキーにセンサを設けた携帯電話機も検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。この文献に記載された技術では、各テンキーに少なくとも5ケ所の位置に対応してセンサを設ける。例えば、「1」のキーには、この5ケ所の位置におけるセンサに対応して「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」に対応する情報が割り振られている。この「1」のキーにおけるセンサの「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」に対応する位置の動作により「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」が特定される。
【0007】
また、単語予測型の文字入力方式により、キーを押す回数を減少させる技術も検討されている(例えば、特許文献3を参照。)。この文献に記載された技術では、選び出したい単語を構成する各文字が含まれている入力キーを順番に入力し、入力された兼用文字群より発生するすべての文字列の組み合わせを導き出す。そして、その中から単語として成立する文字列を選び出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−297596号公報(第1頁、図2)
【特許文献2】特開2005−244264号公報(第1頁、図2〜図11)
【特許文献3】特開2003−22157号公報(第1頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、マルチタップ方式では、「お段」を選択するためには、少なくとも5回の押下が必要になる。また、ポケベル(登録商標)方式では、五十音に対応した二桁の数字を記憶しておく必要がある。
【0010】
特許文献1においては、行の文字入力の後で十字操作キーを操作する必要があり、配置によっては操作が煩雑になる。特許文献2において、特殊なハードウエアが必要であり、汎用的な端末において利用することができない。
【0011】
また、特許文献3においては、辞書において適切な単語が登録されていない場合には変換が困難である。特に特殊な単語を用いた文章の場合には、予定していない単語が候補として出力されるため、かえって文字入力が煩雑になることがある。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、効率的に文字を入力するための文字入力支援装置、文字入力支援方法及び文字入力支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1キーに対して第2キーのキー入力手段の配置を決定する情報を記憶したキー情報記憶手段と、複数のキー入力手段を備えた操作部と、キー入力手段の選択に応じて、行要素と段要素とから構成された五十音文字を特定する制御手段とを備えた文字入力支援装置であって、前記制御手段が、操作部のキー入力手段において選択された第1キーにより行要素を特定する手段と、前記第1キーの選択に引き続き、キー入力手段の選択により第2キーを特定した場合、前記キー情報記憶手段に記録された第1キーと第2キーとの位置関係に基いて段要素を特定し、前記特定した行要素と段要素とにより五十音文字を特定する手段とを備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の文字入力支援装置において、第1キーに対して、連続した位置の各キー入力手段に段要素を特定するための第2キーを配置したことを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の文字入力支援装置において、第1キーの周囲の各キー入力手段に段要素を特定するための第2キーを配置したことを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の文字入力支援装置において、前記第1キーのキー入力手段が連続して選択された場合には、この連続回数に応じて濁音又は半濁音を設定することを要旨とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、第1キーに対して第2キーのキー入力手段の配置を決定する情報を記憶したキー情報記憶手段と、複数のキー入力手段を備えた操作部と、キー入力手段の選択に応じて、行要素と段要素とから構成された五十音文字を特定する制御手段とを備えた文字入力支援装置を用いて文字入力を支援する方法であって、前記制御手段が、操作部のキー入力手段において選択された第1キーにより行要素を特定する段階と、前記第1キーの選択に引き続き、キー入力手段の選択により第2キーを特定した場合、前記キー情報記憶手段に記録された第1キーと第2キーとの位置関係に基いて段要素を特定し、前記特定した行要素と段要素とにより五十音文字を特定する段階とを実行することを要旨とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、第1キーに対して第2キーのキー入力手段の配置を決定する情報を記憶したキー情報記憶手段と、複数のキー入力手段を備えた操作部と、キー入力手段の選択に応じて、行要素と段要素とから構成された五十音文字を特定する制御手段とを備えた文字入力支援装置を用いて文字入力を支援するプログラムであって、前記制御手段を、操作部のキー入力手段において選択された第1キーにより行要素を特定する手段、前記第1キーの選択に引き続き、キー入力手段の選択により第2キーを特定した場合、前記キー情報記憶手段に記録された第1キーと第2キーとの位置関係に基いて段要素を特定し、前記特定した行要素と段要素とにより五十音文字を特定する手段として機能させることを要旨とする。
【0018】
(作用)
請求項1、5又は6に記載の発明によれば、制御手段が、操作部のキー入力手段において選択された第1キーにより行要素を特定する。そして、第1キーの選択に引き続き、キー入力手段の選択により第2キーを特定した場合、キー情報記憶手段に記録された第1キーと第2キーとの位置関係に基いて段要素を特定し、特定した行要素と段要素とにより五十音文字を特定する。これにより、第1キーと第2キーの位置関係という情報を用いて、五十音文字を特定することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、第1キーに対して、連続した位置の各キー入力手段に段要素を特定するための第2キーを配置する。これにより、キー入力手段の連続した操作により、第2キーを選択することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、第1キーの周囲の各キー入力手段に段要素を特定するための第2キーを配置する。これにより、第1キーの選択後に第2キーを選択するための操作を少なくすることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、第1キーのキー入力手段が連続して選択された場合には、この連続回数に応じて濁音又は半濁音を設定する。これにより、濁音や半濁音のように、五十音に関連した文字についても選択することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率的に文字を入力するための文字入力支援装置、文字入力支援方法及び文字入力支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】本実施形態の処理手順の説明図。
【図3】本実施形態の第1キーと第2キーとの関係の説明図であって、(a)は第1キーの選択、(b)は「か行」の第2キーの配置、(c)は「が行」の第2キーの配置の説明図。
【図4】本実施形態の第2キーの配置の説明図であって、(a)は「あ行」、(b)は「か行」、(c)は「さ行」、(d)は「た行」、(e)は「な行」、(f)は「は行」の説明図。
【図5】本実施形態の第2キーの配置の説明図であって、(a)は「ま行」、(b)は「や行」、(c)は「ら行」、(d)は「わ行」の説明図。
【図6】本実施形態の音韻変更処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図6に従って説明する。本実施形態では、
利用者が、図1に示す携帯電話端末10において、文字を入力する場合に用いる文字入力支援装置、文字入力支援方法及び文字入力支援プログラムとして説明する。
【0025】
携帯電話端末10は、簡易な入力手段を備えたモバイルコンピュータ端末である。この携帯電話端末10は、図1に示すように、制御部20、表示部30、操作部40、通信部50等を備える。
【0026】
通信部50は、携帯電話網に接続して通信を行なう場合に用いられる。
操作部40は、ダイヤル番号ボタン、セレクタボタン41、キー入力手段としてのキー入力ボタン42等から構成されている。
【0027】
そして、この携帯電話端末10は、通常の電話モードの他に、電子メールの送受信を行なうためのメールモード、ウェブページの表示を行なうためのブラウザモード、そして各種プログラムの実行処理を行なうプログラム実行モードを有する。各モード(例えば、電話モード)から他のモード(例えば、プログラム実行モード)に切り替える場合には、セレクタボタン41を用いる。
【0028】
表示部30には、携帯電話端末10が受信した電子メールやウェブページが表示される。そして、例えば、電子メールを作成する場合には、操作部40により入力された文字が表示される。
【0029】
携帯電話端末10のセレクタボタン41は、ポインタ移動機能とクリック機能とを有する。セレクタボタン41の周辺部の一部を押下することによりポインタを移動させることができ、セレクタボタン41の中央部を押下することにより、ポインタが示している項目を選択することができる。
【0030】
制御部20は、CPU、RAM、ROM等からなる制御手段により構成されており、入力制御部21やアプリケーション処理部25を備える。そして、携帯電話端末10内の記憶手段には、電子メールやウェブブラウザ等の各種アプリケーションプログラムや文字入力支援プログラムが格納される。電子メールやウェブブラウザを利用する場合には、アプリケーション処理部25において各種アプリケーションプログラムを実行させる。
【0031】
この入力制御部21は、メモリ215を備えており、文字入力支援プログラムが起動されることにより、入力処理手段211、変換処理手段212、確定処理手段213等の各手段として機能する。そして、入力制御部21は、入力支援情報記憶部23、辞書記憶部24を用いて、後述する文字入力に関する処理手順(入力処理段階、変換処理段階、確定処理段階等の処理)を実行する。
【0032】
入力支援情報記憶部23には、第1キーテーブルや音韻テーブル、第2キー決定順位テーブルが格納されている。
この第1キーテーブルには、「1」〜「0」の10個のキー入力ボタン42に対応する行要素(子音)が記録されている。具体的には、「1」には「あ行」、「2」には「か行」…「0」には「わ行」が対応付けられている。
【0033】
音韻テーブルには、図6に示すように、各行要素に対して、濁音や半濁音の有無を判定するための値が記録されている。具体的には、濁音や半濁音がなく清音のみの行要素(あ行、な行、ま行、ら行、や行、わ行)には「1」が記録されている。清音の他に濁音のみが存在する行要素(か行、さ行、た行)には「2」が記録されている。清音の他に濁音、半濁音が存在する行要素(は行)には「3」が記録されている。
【0034】
第2キー決定順位テーブルはキー情報記憶手段として機能し、第1キーに対して、第2キーの配置を決定するためのルールを記憶している。本実施形態においては、第1キーを含む周囲の2行(第1キーに対して横に並んだ1段とその上の1段)の6個のキー入力ボタン42を用いて、第2キーの配置を決定する。具体的には、第1キーに対して時計回りの方向で、第2キーの各キー入力ボタン42の配置が決定される。すなわち、第1キーに対して左側にキー入力ボタン42がある限り、順次、左側のキー入力ボタン42に「あ段」以降の段要素を設定する。左側にキー入力ボタン42がない場合には、上側のキー入力ボタン42に段要素を設定する。上側のキー入力ボタン42に第2キーを設定した場合には、後続の段要素を右側のキー入力ボタン42に設定する。右側にキー入力ボタン42がない場合には、下側のキー入力ボタン42に段要素を設定する。
【0035】
辞書記憶部24には、入力された五十音文字(ひらがな文字)の文字列を用いて変換される漢字等の単語が記録される。この辞書記憶部24においては、各単語に対して、この単語が選択された選択回数が関連付けられている。この選択回数を用いることにより、選択頻度の高い単語を優先的に変換候補として出力することができる。
【0036】
メモリ215は、第1キー記憶領域、音韻記憶領域、候補記憶領域、入力文字記憶領域を備えている。
第1キー記憶領域には、操作部40において選択されたキー入力ボタンの値が記録される。この値により、「あ行」〜「わ行」の各行要素が決定される。
【0037】
音韻記憶領域には、第1キーが連続して選択された場合に、その連続回数が記録される。この連続回数に基づいて、音韻(清音、濁音や半濁音)を決定することができる。
候補記憶領域には、第1キー記憶領域に記録された値及び音韻記憶領域に記録された値によって特定される行要素を特定するための識別情報が記録される。
【0038】
入力文字記憶領域には、単語の確定入力が行なわれるまでに、順次、特定された五十音文字(ひらがな文字)が記憶される。
入力処理手段211は、操作部40において入力された指示を取得する処理を実行する。そして、入力処理手段211は、選択された第1キーや第2キーに関する情報をメモリ215に記録する。
【0039】
変換処理手段212は、入力された文字列に対応する単語候補を出力する処理を実行する。具体的には、変換処理手段212は、辞書記憶部24を用いて、入力された文字列が先頭に含まれる単語(変換候補)を検索する。そして、変換処理手段212は、選択回数の順番に変換候補を並び替えて、表示部30に出力する。
【0040】
確定処理手段213は、表示部30に出力された変換候補の中で選択された単語を確定する処理を実行する。そして、確定処理手段213は、選択された単語をアプリケーション処理部25に引き渡す。アプリケーション処理部25は、取得した単語を用いて、各種アプリケーションプログラム処理を実行する。
【0041】
次に、本実施形態における文字入力処理について、図2〜図6に従って説明する。
まず、利用者は、携帯電話端末10のアプリケーションプログラムを起動する。この場合、携帯電話端末10は、文字入力支援プログラムを起動する。
【0042】
ここで、携帯電話端末10の制御部20は、キーの選択処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、入力制御部21の入力処理手段211は、「1」〜「0」のキー入力ボタン42において選択されたキー情報を取得する。この場合、メモリ215の第1キー記憶領域がリセット状態の場合には、第1キー操作として扱い、第1キー記憶領域に取
得したキー情報を記録する。更に、入力処理手段211は、音韻記憶領域に連続回数を記録する。初めて第1キーが選択された場合には、連続回数として音韻記憶領域に「1」を記録する。
【0043】
次に、携帯電話端末10の制御部20は、第1キーに基いて行要素(子音)の特定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、入力制御部21の入力処理手段211は、入力支援情報記憶部23に記憶された第1キーテーブルを用いて、取得した「1」〜「0」に対応する行要素を特定する。例えば、第1キーとして「2」のキー入力ボタン42が選択された場合には、「か行」を特定する識別情報が記録される。また、第1キーとして「6」のキー入力ボタン42が選択された場合には「は行」を特定する識別情報が記録される。また、初めて第1キーが選択された場合には、音韻記憶領域には「1」が記録されており、清音を特定する。そして、入力処理手段211は、候補記憶領域に、特定した行要素及び音韻(ここでは、清音)に対応する行要素識別情報を候補記憶領域に記録する。そして、入力処理手段211は、特定した行要素を表示部30に出力する。
【0044】
次に、携帯電話端末10の制御部20は、キーの選択処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、入力制御部21の入力処理手段211は、「1」〜「0」、「*」、「#」のキー入力ボタン42の選択を受け付ける。
【0045】
ここで、携帯電話端末10の制御部20は、新たに選択されたキー入力ボタン42が第1キーと同じかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、入力制御部21の入力処理手段211は、新たに取得したキー情報と、メモリ215の第1キー記憶領域に記憶されている値(第1キー情報)とを比較する。第1キー記憶領域に記録されている値と一致する場合には、第1キーが再選択されたと判定する。
【0046】
第1キーと同じキー入力ボタン42が選択された場合(ステップS1−4において「YES」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、音韻変更処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、入力制御部21の入力処理手段211は、メモリ215の音韻記憶領域に「1」を加算する。この場合、入力処理手段211は、メモリ215の音韻記憶領域に記録された値を、音韻テーブルに記録された値により除算する。そして、入力処理手段211は剰余を用いて、清音、濁音、半濁音を決定する。ここで、剰余が「0」の場合には清音、「1」の場合には濁音、「2」の場合には半濁音とする。
【0047】
図6に示すように、音韻テーブルにおいて「1」が設定されている行要素については、剰余が常に「0」になるため清音になる。音韻テーブルにおいて「2」が設定されている行要素については、剰余が「0」の場合には清音、「1」の場合には濁音とする。音韻テーブルにおいて「3」が設定されている行要素については、剰余が「0」の場合には清音、「1」の場合には濁音、「2」の場合には半濁音とする。
【0048】
そして、入力処理手段211は、候補記憶領域に、行要素及び音韻(清音、濁音又は半濁音)に対応する行要素識別情報を候補記憶領域に記録する。例えば、第1キーとして「2」のキー入力ボタン42が選択され、剰余が「1」の場合には「が行」を特定する識別情報が記録される。また、第1キーとして「6」のキー入力ボタン42が選択され、剰余が「2」の場合には「ぱ行」を特定する識別情報が記録される。
【0049】
一方、第1キーと異なるキーが選択された場合(ステップS1−4において「NO」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、第1キーに対して設定された第2キー領域内で選択されたかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、入力制御部21の入力処理手段211は、第1キーの周辺に設定された第2キー領域を特定する。この場合、第1キーを出発点として第2キー領域を設定する。この第2キー領
域は、入力支援情報記憶部23に記憶された第2キー決定順位テーブルに記録されたルールを用いて、第2キーの配置を特定する。
【0050】
例えば、図3(a)に示すように第1キーにおいて「2」が選択され、「か行」が特定された場合には、図3(b)に示すように「かきくけこ」の配置が決定される。ここで、第1キーと同じキー入力ボタン42が、再度、選択された場合(ステップS1−4において「YES」の場合)には、図3(c)に示すように音韻変更処理が行なわれ、「が行」となる。また、図4(a)〜(f)、図5(a)〜(d)には、それぞれ「あ行」〜「わ行」までの第2キーの配置を示している。
【0051】
第1キーに対して第2キー領域内のキー入力ボタン42が選択された場合(ステップS1−6において「YES」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、第1キーに対する第2キーの位置により段要素(母音)の特定処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、入力制御部21の入力処理手段211は、選択された第2キーに基づいて段要素を特定し、行要素(子音)及び段要素(母音)に対応する五十音文字(ひらがな文字)を決定する。そして、入力処理手段211は、決定した五十音文字を、メモリ215の入力文字記憶領域に記録する。そして、入力処理手段211は、メモリ215の第1キー記憶領域、音韻記憶領域、候補記憶領域をリセットして、第1キー、第2キーの入力を最初からやり直す。
【0052】
なお、第1キーに対して第2キー領域外のキー入力ボタン42が選択された場合(ステップS1−6において「NO」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、キーの選択処理(ステップS1−3)から再度やり直す。
【0053】
そして、変換処理手段212は、入力文字記憶領域に記録された文字列に基づいて、これらの文字列を含む単語を辞書記憶部24から抽出し、変換候補として表示部30に出力する。
【0054】
変換候補の中に所望の単語が含まれていない場合には、利用者は、五十音文字の入力を継続する。この場合、携帯電話端末10の制御部20は、ステップS1−1からの処理を繰り返す。
【0055】
一方、変換候補の中に所望の単語が含まれている場合には、利用者は、セレクタボタン41を用いて、変換候補の中から所望の単語を選択する。単語が選択された場合、確定処理手段213は、選択された単語をアプリケーション処理部25に引き渡す。そして、確定処理手段213は、メモリ215の入力文字記憶領域をリセットする。
【0056】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1) 上記実施形態では、本実施形態においては、第1キーを含む周囲の2行(横2段)のキー入力ボタン42に第2キーの各キー入力ボタン42の配置を決定する。第1キーと異なるキーが選択された場合(ステップS1−4において「NO」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、第1キーに対して第2キーの位置が選択されたかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−6)。第1キーに対して第2キー領域内のキー入力ボタン42が選択された場合(ステップS1−6において「YES」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、第1キーに対する第2キーの位置により段要素(母音)の特定処理を実行する(ステップS1−7)。これにより、2回の選択により、五十音文字を入力することができる。ここで、第2キーは、第1キーに対して周囲の連続した位置のキー入力ボタン42に設定されるため、第2キー入力のための指の移動距離が短く、効率的な入力を行なうことができる。特に、公知のテンキー配列においては、2行に6個のキーが含まれる。従って、この6個のキー入力ボタン42により、行要素(1個)と段要
素(5個)の割当を行なうことができる。
【0057】
(2) 上記実施形態では、携帯電話端末10の制御部20は、新たに選択されたキー入力ボタン42が第1キーと同じかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−4)。第1キーと同じキー入力ボタン42が選択された場合(ステップS1−4において「YES」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、音韻変更処理を実行する(ステップS1−5)。これにより、濁音や半濁音を設定することができる。特に、この設定においても第1キーのキー入力ボタン42を用いるため、指を移動させる必要がなく、効率的な入力を行なうことができる。
【0058】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・ 上記実施形態では、携帯電話端末に限定されるものではなく、第1キー、第2キーにより多様なコードを特定する装置に適用することができる。
【0059】
・ 上記実施形態では、第2キー決定順位テーブルには、第1キーに対して、第2キーの配置を決定するためのルールが記憶されている。本実施形態においては、第1キーを含む周囲の2行のキー入力ボタン42を用いて第2キーの配置を決定する。具体的には、第1キーに対して時計回りの方向で、第2キーの各キー入力ボタン42の配置が決定される。ここで、第2キーは第1キーの周囲に設定されていればよく、時計回りの方向に限定されるものではない。
【0060】
・ 上記実施形態では、第2キー決定順位テーブルには、第1キーに対して、第2キーの配置を決定するためのルールが記憶されている。ここで、第1キーと第2キーとの組み合わせによって、五十音文字を特定する組み合わせテーブルを記録させておいてもよい。この場合には、入力処理手段211は、特定した第1キーと第2キーとの組み合わせに基づいて、選択された五十音文字を特定する。
【0061】
・ 上記実施形態では、第1キーと同じキー入力ボタン42が選択された場合(ステップS1−4において「YES」の場合)、携帯電話端末10の制御部20は、音韻変更処理を実行する(ステップS1−5)。ここで、音韻の変更方法はこれに限定されるものではない。例えば、第1キーのキー入力ボタン42の長押しにより、順次、「清音→濁音→半濁音」の変更を繰り返し、長押しを停止したときの音韻を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…携帯電話端末、20…制御部、21…入力制御部、211…入力処理手段、212…変換処理手段、213…確定処理手段、215…メモリ、23…入力支援情報記憶部、24…辞書記憶部、25…アプリケーション処理部、30…表示部、40…操作部、41…セレクタボタン、42…キー入力ボタン、50…通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キーに対して第2キーのキー入力手段の配置を決定する情報を記憶したキー情報記憶手段と、
複数のキー入力手段を備えた操作部と、
キー入力手段の選択に応じて、行要素と段要素とから構成された五十音文字を特定する制御手段とを備えた文字入力支援装置であって、
前記制御手段が、
操作部のキー入力手段において選択された第1キーにより行要素を特定する手段と、
前記第1キーの選択に引き続き、キー入力手段の選択により第2キーを特定した場合、前記キー情報記憶手段に記録された第1キーと第2キーとの位置関係に基づいて段要素を特定し、前記特定した行要素と段要素とにより五十音文字を特定する手段と
を備えたことを特徴とする文字入力支援装置。
【請求項2】
第1キーに対して、連続した位置の各キー入力手段に段要素を特定するための第2キーを配置したことを特徴とする請求項1に記載の文字入力支援装置。
【請求項3】
第1キーの周囲の各キー入力手段に段要素を特定するための第2キーを配置したことを特徴とする請求項2に記載の文字入力支援装置。
【請求項4】
前記第1キーのキー入力手段が連続して選択された場合には、この連続回数に応じて濁音又は半濁音を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の文字入力支援装置。
【請求項5】
第1キーに対して第2キーのキー入力手段の配置を決定する情報を記憶したキー情報記憶手段と、
複数のキー入力手段を備えた操作部と、
キー入力手段の選択に応じて、行要素と段要素とから構成された五十音文字を特定する制御手段とを備えた文字入力支援装置を用いて文字入力を支援する方法であって、
前記制御手段が、
操作部のキー入力手段において選択された第1キーにより行要素を特定する段階と、
前記第1キーの選択に引き続き、キー入力手段の選択により第2キーを特定した場合、前記キー情報記憶手段に記録された第1キーと第2キーとの位置関係に基づいて段要素を特定し、前記特定した行要素と段要素とにより五十音文字を特定する段階と
を実行することを特徴とする文字入力支援方法。
【請求項6】
第1キーに対して第2キーのキー入力手段の配置を決定する情報を記憶したキー情報記憶手段と、
複数のキー入力手段を備えた操作部と、
キー入力手段の選択に応じて、行要素と段要素とから構成された五十音文字を特定する制御手段とを備えた文字入力支援装置を用いて文字入力を支援するプログラムであって、
前記制御手段を、
操作部のキー入力手段において選択された第1キーにより行要素を特定する手段、
前記第1キーの選択に引き続き、キー入力手段の選択により第2キーを特定した場合、前記キー情報記憶手段に記録された第1キーと第2キーとの位置関係に基づいて段要素を特定し、前記特定した行要素と段要素とにより五十音文字を特定する手段
として機能させることを特徴とする文字入力支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−211653(P2011−211653A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79728(P2010−79728)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【Fターム(参考)】