説明

文字入力支援装置及び方法

【課題】かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携を実現する。
【解決手段】読みなどの文字列が入力されたとき、かな漢字変換とは別に、所定のウェブサーバへ検索要求を送信し、データベース検索結果として関連情報を受信し、かな漢字変換における変換候補表示欄に表示する。これにより、辞書登録の負担無しで、またデータベース検索の操作を別途行わなくても、データの充実した検索データベースをかな漢字変換と同じユーザインタフェースで容易に活用可能となり、かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携を図るものである。
【背景技術】
【0002】
ウェブ(WWW)上では、ウェブサーバによるデータベース検索のサービスが各種提供されている。その代表として、いわゆるカテゴリ検索(例えば、非特許文献1参照)のほか、ウェブ検索やネット検索などと呼ばれるものがある(例えば、非特許文献2参照)。この種のデータベース検索のサービスでは、無数の語に対応する関連情報の膨大な検索データベースが構築されている。
【0003】
ところで、日本など言語圏によっては、パーソナルコンピュータ(PC)などでの文字入力で、入力された読みを漢字などの語に変換するかな漢字変換の機能を用いる。かな漢字変換は、変換前後の読みと語を対応付けて登録した変換辞書を用いるもので、日本語入力システム、IME、FEPなどとも呼ばれるが、本出願では、変換前後の文字は仮名や漢字には限らず、中国語など他の言語における同種の変換機能も含む概念とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ヤフー株式会社、「Yahoo!カテゴリ」、[online]、[2010年1月28日検索]、インターネット〈URL: http://dir.yahoo.co.jp/>
【非特許文献2】ヤフー株式会社、「Yahoo! JAPAN」、[online]、[2010年1月28日検索]、インターネット〈URL: http://www.yahoo.co.jp/>
【非特許文献3】奥野 陽、「Social IME」、[online]、[2010年1月28日検索]、インターネット〈URL: http://www.social-ime.com>
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−82850号公報
【特許文献2】特開2008−242817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のデータベース検索とかな漢字変換は、相互に別個独立であって、連携が困難という課題があった。特にかな漢字変換は、ウェブ以外の例えば文書作成などでも用いられるが、かな漢字変換で参照するデータは変換用に作成された変換辞書であって、膨大なデータを対象としたデータベース検索には記録されているデータ数が遠く及ばない。
【0007】
この結果、変換した語でウェブ検索をするなら、事前にウェブブラウザで検索サイトなりを表示しその入力欄にカーソルを置いた状態で、かな漢字変換で変換した語を確定した後、さらに検索操作をしなければならず、使い勝手に柔軟性がなかった。また、作成中の文書などに、その文書中で変換した入力語に関連する情報を含める操作はもっと煩雑となる。すなわち、ブラウザを立ち上げて検索サイトにアクセスし、変換した語をコピーや貼り付けして検索し、さらにその結果画面から必要な情報を、コピーや貼り付けなどの操作でもとの文書に組み込まなければならない。
【0008】
このような連携の弱さに対し、変換辞書の登録内容を充実させる対応も考えられる。しかし、辞書登録は、ユーザ自身が行うにしろ、かな漢字変換機能の提供者などが行うにしろ、既存の検索データベースの活用ではなく一から行うもので効率が悪く、特に続々誕生する新語の登録など作業負担が大きかった。この負担を軽減するため、多数のユーザがPCに専用のかな漢字変換機能を導入し、サーバの変換辞書を共有する例もあるが(例えば、非特許文献3参照)、改めて辞書登録する労力に頼る点で、かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携を実現するものではなかった。
【0009】
他のアプローチとして、サーバに置いた変換辞書に、文字列の読みに対応するウェブページのURLを記録しておき、入力された読みに応じたURLを変換候補に含めて表示する提案もあったが(例えば、特許文献1参照)、やはり改めて辞書登録する労力に頼るもので、データベース検索に及ぶものでもなかった。また、かな漢字変換する場面での操作効率化に関しては、文字入力ごとに変換結果の候補を絞り込んで表示する予測変換機能も提案されているが(例えば、特許文献2参照)、あくまで入力している文字列と変換候補に関わるもので、入力文字列の関連情報を提示するなど、データベース検索との連携に関係するものではなかった。
【0010】
上記の課題に対し、本発明の目的は、かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)は、文字入力支援装置であって、文字列の入力を受け付ける文字列受付手段と、入力された入力文字列を読みとして対応する語にかな漢字変換するかな漢字変換手段と、前記かな漢字変換にかかる前記入力文字列又は語が所定の文字列か否かを判定する文字列判定手段と、前記文字列判定手段が前記所定の文字列と判定した前記入力文字列又は語に基づく関連情報の検索要求を、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバへ送信する検索要求手段と、前記検索要求に応じた検索結果として関連情報を受信する結果受信手段と、受信した前記関連情報を前記かな漢字変換における変換候補表示欄に出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記態様を方法として捉えた態様(2)は、文字入力支援方法であって、コンピュータが、文字列の入力を受け付ける文字列受付ステップと、コンピュータが、入力された入力文字列を読みとして対応する語にかな漢字変換するかな漢字変換ステップと、コンピュータが、前記かな漢字変換にかかる前記入力文字列又は語が所定の文字列か否かを判定する文字列判定ステップと、コンピュータが、前記文字列判定ステップで前記所定の文字列と判定された前記入力文字列又は語に基づく関連情報の検索要求を、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバへ送信する検索要求ステップと、コンピュータが、前記検索要求に応じた検索結果として関連情報を受信する結果受信ステップと、コンピュータが、受信した前記関連情報を前記かな漢字変換における変換候補表示欄に出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記態様をコンピュータ・プログラムとして捉えた態様(3)は、文字入力支援プログラムであって、コンピュータを制御することにより、文字列の入力を受け付ける文字列受付ステップと、入力された入力文字列を読みとして対応する語にかな漢字変換するかな漢字変換ステップと、前記かな漢字変換にかかる前記入力文字列又は語が所定の文字列か否かを判定する文字列判定ステップと、前記文字列判定ステップで前記所定の文字列と判定された前記入力文字列又は語に基づく関連情報の検索要求を、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバへ送信する検索要求ステップと、前記検索要求に応じた検索結果として関連情報を受信する結果受信ステップと、受信した前記関連情報を前記かな漢字変換における変換候補表示欄に出力する出力ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0014】
上記のように本発明では、読みなどの文字列が入力されたとき、かな漢字変換とは別に、所定のウェブサーバへ検索要求を送信し、データベース検索結果として関連情報を受信し、かな漢字変換における変換候補表示欄に表示する。これにより、辞書登録の負担無しで、またデータベース検索の操作を別途行わなくても、データの充実した検索データベースをかな漢字変換と同じユーザインタフェースで容易に活用可能となり、かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携が実現できる。
【0015】
本発明の他の態様は、上記いずれかの態様において、前記かな漢字変換手段は、前記かな漢字変換において、前記入力文字列を読みとして対応する語の変換候補を一又は二以上取得し、前記文字列判定手段は、前記語の変換候補が所定の品詞である場合に前記所定の文字列と判定し、前記検索要求手段は、前記かな漢字変換手段が前記変換候補を取得することを契機として、その文字列に基づく前記検索要求を前記ウェブサーバへ送信し、前記出力手段は、前記かな漢字変換手段により取得された前記変換候補とともに、前記結果受信手段により受信された前記関連情報を、前記変換候補表示欄に表示することを特徴とする。
【0016】
このように、変換候補が固有名詞など所定の品詞の場合に、データベース検索で得た関連情報を変換候補と同様に表示することにより、ユーザインタフェースにおける一覧性、簡明性、一貫性が実現し、選択操作も容易になるので、優れた使い勝手が得られる。
【0017】
本発明の他の態様は、上記いずれかの態様において、前記かな漢字変換手段は、所定の変換指示操作が入力されたときに前記かな漢字変換を開始し、前記文字列判定手段は、前記変換指示操作の前に前記入力文字列の文字入力が所定時間停止したときに、予め所定の記憶手段に記憶している文字列のいずれかに前記入力文字列が一致するか判断し一致した場合に前記所定の文字列と判定し、前記検索要求手段は、そのときまでに入力されている入力文字列に基づく前記検索要求を前記ウェブサーバへ送信することを特徴とする。
【0018】
このように、文字入力のタイピングが暫し止まったときに、入力された部分までの文字列が所定の文字列の場合にデータベース検索を要求しその結果を受信して表示することにより、ユーザが残りの入力内容を思案しているときに関連情報を表示してユーザの情報取得を円滑にすることができる。
【0019】
本発明の他の態様は、上記いずれかの態様に記載の文字入力支援装置と、関連情報を記憶している検索データベースを有し、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバと、を有する情報処理システムにおいて、前記関連情報ごとに、前記文字入力支援装置で出力に関する数量を計測する計測手段と、計測された前記数量を、対応する関連情報と対応付けて記憶する数量記憶手段と、前記数量記憶手段に記憶されている数量に基づいて、関連情報に関する課金のための処理を行う課金処理手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
このように、関連情報に関しユーザ端末すなわち文字入力支援装置における出力回数などの数量を計測して記録し、その数量に応じた課金の処理を行なうことにより、関連情報が広告の場合にその広告料を広告主に従量課金したり、関連情報が有料コンテンツの場合に利用料をユーザに従量課金するなど、事業運営を効果的に支援できる。
【0021】
なお、上記の各態様とは異なるカテゴリ(装置に対し方法、方法に対しプログラムなど)や、以下に説明するさらに具体的な各態様も、本発明に含まれる。前記の異なるカテゴリの場合、構成等の表現について「手段」を「ステップ」のようにカテゴリに応じた読み替えを適宜行うものとする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の第1実施形態で用いる情報(データ)を例示する図。
【図3】本発明の第1実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第1実施形態における画面表示の一例を示す図。
【図5】本発明の第1実施形態における画面表示の一例を示す図。
【図6】本発明の第2実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図7】本発明の第2実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第2実施形態における画面表示の一例を示す図。
【図9】本発明の第2実施形態における画面表示の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」と呼ぶ)について、図に沿って説明する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項については適宜省略する。
【0025】
〔1.第1実施形態の構成〕
第1実施形態は、図1(構成図)に示すように、端末Tと、検索サーバKと、を通信ネットワークN(インターネットや携帯電話網など)経由で組み合わせて実現する情報処理システムに関する。このうち、端末Tは、本発明における文字入力支援装置の機能を有するユーザ端末で、例えば、パーソナル・コンピュータ(PC)、スマートフォン、携帯電話端末装置などである。この端末Tを、図1では単純な模式として一つ示すが、ユーザ数に応じて多数用いることができる。この第1実施形態は、かな漢字変換の際、所定の品詞について関連情報を表示する例で、辞書と変換機能をクライアント側である端末Tに置く構成例を兼ねる。
【0026】
また、検索サーバKは、関連情報を記憶している検索データベース27を有し、データベース検索サービスを提供するウェブサーバである。この検索サーバKは、一般的なコンピュータの構成として少なくとも、CPUなどの演算制御部5と、外部記憶装置(HDD等)や主メモリ等の記憶装置6と、通信ネットワークNとの通信手段7(LANアダプタなど)と、を有する。また、端末Tは、検索サーバKに準じたコンピュータの構成(5〜7)に加え、さらに、タッチパネル、マウスや入力スイッチなどの入力装置3と、液晶表示パネルなどの表示装置4と、を有する。端末Tと検索サーバKの間の通信(図中、破線矢印で示す)は、通信ネットワークNを通じて行う。
【0027】
また、端末T及び検索サーバKでは、それぞれ、記憶装置6に予め記憶(インストール)した図示しない所定のコンピュータ・プログラムが演算制御部5を制御することで、図1に示す各手段などの要素(12,13,41,43など)を実現する。そして、これら各要素を実現するプログラムの機能態様や形式は自由である。
【0028】
例えば、端末Tのプログラムは、かな漢字変換と本発明に特有の機能の双方を一つの日本語入力システムで実現する態様のほか、既存のかな漢字変換機能と連携して本発明に特有の機能を実現するプログラムの態様も考えられる。また、プログラムの形式も、常駐プログラム、デバイスドライバ、JavaScript(登録商標)等のスクリプトなどのほか、リッチ・インターネット・コンテンツ用のインタラクティブ動画ファイル(SilverlightやFlashなど。但しそれぞれ登録商標)、ウィジェットやツールバーなどの機能やモジュール、プラグインなど任意である。
【0029】
また、そのような所定のコンピュータ・プログラムで実現される各要素のうち、情報の記憶手段は、記憶装置6において各種のデータベース(「DB」とも表す)やファイル、データ構造体、配列等の変数、システム設定値など任意の形式で実現できる。
【0030】
これら記憶手段のうち、端末Tの変換辞書記憶手段30は、かなの読みなど変換前の文字列と、単語や熟語など変換後の語やその品詞などを対照した、いわゆる変換辞書データを記憶しているもので、従来と同様でよい。また、検索サーバKの検索データベース27は、与えられた文字列に対応する関連情報として、カテゴリ検索やウェブ検索などに用いるインデックスデータ(索引データ)などを記憶している記憶手段である。
【0031】
図2はその一例で、階層的に構成されたカテゴリ別に、索引語に対応する関連情報として、サイト名とURLとのペアが、一組以上(図2の例では2組ずつ)対応付けられている。なお、具体的なデータ構成は自由であり、図2左側に階層的に例示したカテゴリを、表の項目(カラム)に含めたり、関連情報としてサマリ(要約)などの項目を加えてもよい。
【0032】
このように関連情報が対応付けられる索引語などの文字列は、かな漢字変換前の読み等の文字列でもよいし、変換後の単語熟語などの語や、フレーズなどでもよい。また、そのような文字列に対応付けられる関連情報としては、ディスプレイ広告や文字広告などのいわゆるウェブ広告、WWWからクロール(読み込み)したウェブページ内容やその一部(所謂スニペットなど)、画像、動画や、それらのURLなど、具体的には自由である。なお、記憶手段以外の各手段は、以下のような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段である。
【0033】
〔2.第1実施形態の作用〕
上記のように構成した第1実施形態の作用に関し、端末側での処理(S12〜S19)と、検索サーバでの処理(S26〜S30)と、を図3のフローチャートに示す。ここで例として、「ラトナ」というスーパーマーケットのチェーンが著名であると仮定し、ユーザが、図4に例示するように、あるウェブページの入力欄を縦棒状のカーソルCで選択し、かな漢字変換する読みとして「ふくおかのらとな」と入力したうえ、所定の変換操作を行う場合を考える。図4の表示例では、入力文字列「ふくおかのらとな」について、変換が済んでいないことを破線の下線が示している。
【0034】
〔2−1.変換候補の取得〕
端末Tにおいて、上記のような文字列の入力と所定の変換操作を文字列受付手段12が受け付けると(ステップS12)、かな漢字変換手段13が、入力された入力文字列「ふくおかのらとな」について、適宜文節に区分するなどした上、それが読みとして対応している語にかな漢字変換する(ステップS13)。かな漢字変換の際、かな漢字変換手段13は、変換辞書記憶手段30を参照することにより、その入力文字列が読みとして対応している語の変換候補を一又は二以上取得するものとする(ステップS13)。
【0035】
ここでは、入力文字列が「ふくおかの」「らとな」という二文節に区分され、それぞれに対し「福岡の」「ラトナ」という変換候補が取得され、合わせて「福岡のラトナ」と表示できるものとする。そして、かな漢字変換手段13が上記のように変換候補を取得することを契機として、検索要求手段16は、かな漢字変換にかかる入力文字列又は語が所定の文字列か否かの判定を経て、その文字列に基づく検索要求を検索サーバKへ送信する。
【0036】
〔2−2.文字列の判定〕
すなわち、かな漢字変換手段13が上記のように変換候補を取得すると(ステップS13)、文字列判定手段14が、かな漢字変換にかかる入力文字列又は語が所定の文字列か否かを判定する(ステップS14)。ここでは、文字列判定手段14は、かな漢字変換で取得された語の変換候補に所定の品詞(例えば固有名詞や地域名称など)の候補が含まれている場合に、前記所定の文字列と判定するものとする(ステップS15:「YES」)。この場合、上記の「福岡の」「ラトナ」の例では、「ラトナ」の品詞が固有名詞であるため、所定の文字列と判定される。
【0037】
〔2−3.検索要求の送信〕
上記のように所定の文字列と判定された入力文字列又は語については(ステップS15:「YES」)、検索要求手段16が、その入力文字列又は語に基づく関連情報の検索要求を、API(Application Programming Interface)などの通信により検索サーバKへ送信する(ステップS16)。ここで、上の例において、入力文字列は「ふくおかのらとな」であり、文節に区分した状態では「ふくおかの」「らとな」、変換された語は「福岡の」「ラトナ」であるが、これらのうち送信する検索要求に含めるキーワードは、どの組合せでも、一語でも二語でもよい。
【0038】
すなわち、多くのウェブ検索のシステムでは、字種は適宜変換してデータベース検索を行い、また、「ふくおか」『の』のような接続詞は適宜無視してデータベース検索を行う。したがって、上記の例で、例えば二語を組み合わせた検索要求を送信する場合、変換前の入力文字列「ふくおか」+「らとな」であっても、変換された語の「福岡」+「ラトナ」であっても、さらには「福岡」+「らとな」であって、通常、結果は大差ないので、これらの詳細については実施の目的や状況に応じて任意に定めてよい。
【0039】
〔2−4.関連情報の表示〕
上記のように送信された検索要求に対しては、それを検索サーバKの検索手段41が受信し(ステップS26)、それを基に検索データベース27を検索し、その検索結果として関連情報を送信する(ステップS27)。この送信された関連情報は、端末Tの結果受信手段17が検索結果として受信し(ステップS17)、このように結果受信手段17により受信された関連情報を出力手段18が、かな漢字変換における変換候補表示欄に、かな漢字変換手段13により取得された変換候補とともに表示して出力する(ステップS18)。
【0040】
例えば、図5の例では、入力文字列「ふくおかのらとな」の近傍に変換候補表示欄Dが表示され、「1」の欄には、かな漢字変換による変換候補「福岡のラトナ」が表示されている。一方、「2」の欄には関連情報の一項目として、「ラトナスーパー福岡店」のURLが「http://www.latona・・・」である旨が表示され、「3」の欄には、関連情報の別の一項目として、「ラトナスーパー福岡店の地図」のURLが「http://map.yahoo・・・35.585・・・」である旨が表示されている。
【0041】
〔2−5.情報選択に応じた動作〕
これら変換候補表示欄Dの表示内容については、出力手段18が、ユーザの操作に応じて、かな漢字変換結果の確定又は関連情報の処理を行う。例えば、ユーザがマウスポインタPなどの操作で、かな漢字変換による変換候補「福岡のラトナ」(「1」の欄)を選択すれば、それを確定して入力欄Eに入力できる。一方、図5にグレー(網点)で示すように、関連情報の項目を選択した場合、関連情報がどのように処理されるかについては実施にあたり任意に定めてよい。
【0042】
例えば、「2」の欄の関連情報「ラトナスーパー福岡店」「http://www.latona・・・」を選択した場合、それら文字列がその時点におけるカーソル位置(例えば入力欄E)に文字列として入力される態様でもよいし、端末Tのクリップボードなど一時記憶領域にコピーされる態様でもよいし、ウェブブラウザが動作してそのURLに接続しウェブページを表示する態様でもよい。
【0043】
〔2−6.出力回数等の計測と課金処理〕
また、上記のように端末Tで出力された回数など、関連情報の出力に関する数量については、検索サーバKの計測手段43が個々の関連情報ごとに計測し、計測された前記数量を、対応する関連情報と対応付けて数量記憶手段45に記憶させる(ステップS28)。そして、課金処理要求操作がされたときや夜間バッチ予定時刻など所定のタイミングで(ステップS29:「YES」)、課金処理手段47が、数量記憶手段45に記憶されている数量に基づいて、関連情報に関する課金のための処理を行う(ステップS30)。
【0044】
なお、関連情報の「出力に関する数量」は、端末Tの変換候補表示欄に表示された出力回数に限らず、表示されていた時間や、クリック等でそのURLに遷移した回数、資料請求数や成約金額などのいわゆるコンバージョンの数量など、任意に選択できる。また、例えば端末Tでの出力回数は、端末Tの出力手段18などから何らかの動作情報を送信させそれを検索サーバKの計測手段43で受信して確認してもよいし、検索サーバKから送信した関連情報は端末Tで出力されたとみなしてカウントしてもよい。また、出力回数等の計測や課金処理に関する手段(43,45,47)は、検索サーバK以外の例えば課金サーバなど他の装置として実現してもよい。
【0045】
〔3.第1実施形態の効果〕
以上のように、第1実施形態では、読みなどの文字列が入力されたとき、かな漢字変換とは別に、所定のウェブサーバへ検索要求を送信し、データベース検索結果として関連情報を受信し、かな漢字変換における変換候補表示欄に表示する(例えば図5)。これにより、辞書登録の負担無しで、またデータベース検索の操作を別途行わなくても、データの充実した検索データベースをかな漢字変換と同じユーザインタフェースで容易に活用可能となり、かな漢字変換とデータベース検索の効果的な連携が実現できる。
【0046】
特に、上記のように第1実施形態では、変換候補が固有名詞など所定の品詞の場合に、データベース検索で得た関連情報を変換候補と同様に表示することにより、ユーザインタフェースにおける一覧性、簡明性、一貫性が実現し、選択操作も容易になるので、優れた使い勝手が得られる。
【0047】
さらに、上記のように第1実施形態では、計測手段43、課金処理手段47などにより、関連情報についてユーザ端末すなわち文字入力支援装置における出力回数などの数量を計測して記録し、その数量に応じた課金の処理を行なう。これにより、例えば、関連情報がカテゴリ検索の登録内容で、メーカーやサービス事業者などがアクセスを誘導したい自らのウェブサイトなどを登録しているような場合、その登録の申請者に課金することが考えられる。同様に、関連情報が広告の場合にその広告料を広告主に従量課金したり、関連情報がユーザの需要に応じる有料コンテンツの場合に利用料をユーザに従量課金するなど、第1実施形態によれば、事業運営を効果的に支援できる。
【0048】
なお、第1実施形態では、入力文字列の語への変換を各端末Tで行うことにより、変換サーバなどを別途設置及び管理する必要がなく、構成が簡易で済む。
【0049】
〔4.第2実施形態〕
次に、かな漢字変換の対象とする文字列の入力がしばらく止まったときに関連情報を表示する例を示す(第2実施形態)。この第2実施形態における情報処理システムは、辞書と変換機能をサーバに置く構成例を兼ね、図6に示すように、変換サーバHを含んでいる。この変換サーバHは、かな漢字変換機能を通信ネットワークN経由で各端末Tに提供するサーバ装置である。
【0050】
この第2実施形態における処理手順を図7のフローチャートに示す。すなわち、第2実施形態では、端末Tのかな漢字変換手段131は、文字列の入力を待ち受けている状態において(ステップS121)、リターンキー操作など所定の変換指示操作が入力されたときに(ステップS122:「YES」)かな漢字変換を開始する(ステップS131)。このかな漢字変換に際し、端末Tは、第1実施形態(図1)に示したような変換辞書記憶手段(図1における符号30)を持たない。
【0051】
代りに、端末Tのかな漢字変換手段131は、かな漢字変換の変換候補を取得する際(ステップS131)、入力文字列を含む変換要求を通信ネットワークN経由で変換サーバHに送る。変換サーバHでは変換応答手段132が、変換要求を受信し、変換要求に含まれる入力文字列を基に、図1の変換辞書記憶手段30に準じた変換辞書記憶手段133を参照することにより、対応する語に変換し端末Tに送信する(ステップS132)。端末Tのかな漢字変換手段131は、取得した変換候補を画面表示しそれに対応するユーザの操作に応じて変換結果を確定する(ステップS139)。
【0052】
また、第2実施形態において、文字列判定手段140は、上記のような変換指示操作の前に(ステップS122:「NO」)入力文字列の文字入力が所定時間停止すると(ステップS141:「YES」)、その時点までに入力されている入力文字列が、予め所定の文字列記憶手段35に記憶している文字列(「対象文字列」と呼ぶこととする)のいずれかに一致するか判断し、一致した場合に所定の文字列と判定する(ステップS142)。「一致」の基準や範囲については、字種の相違は不問としたり、入力文字列が対象文字列を含む場合を含めるなど、自由に定めてよい。
【0053】
一例として、「カルナ」という自動車の車種が著名であると仮定する。そして、図8のような入力画面の入力欄Eにカーソルを置いた状態で、ユーザが入力文字列として「かるな」まで入力したところで、さらに何と入力すべきかすぐ判断できず、変換指示操作をすることなく操作を停止したものとする。このような文字入力の停止時間が所定時間(例えば、1秒、2秒など)に達し(ステップS141)、かつ、「かるな」という文字列が文字列記憶手段35に記憶されている場合、所定の文字列と判定され(ステップS142:「YES」)、検索要求手段163は、そのときまでに入力されている入力文字列に基づく検索要求を検索サーバKへ送信する(ステップS16)。
【0054】
これに続く動作は、変換候補が存在しない点を除けば、第1実施形態に準じたものである。すなわち、結果受信手段17が受信した関連情報を(ステップS17)、出力手段18が変換候補表示欄Dに表示して出力し(ステップS181・(図9))、選択の操作に応じてカーソル位置への入力、一時記憶又はウェブアクセスなど、関連情報の処理が行われる(ステップS191)。
【0055】
上記のように第2実施形態では、文字入力のタイピングが暫し止まったときに、入力された部分までの文字列が所定の文字列の場合にデータベース検索を要求しその結果を受信して表示することにより、ユーザが残りの入力内容を思案しているときに関連情報を表示してユーザの情報取得を円滑にすることができる。
【0056】
また、第2実施形態では、入力文字列の語への変換を変換サーバHで行うことにより、各ユーザの辞書登録内容の成果をユーザ間で共有可能となり、少ないユーザの負担でかな漢字変換の精度が向上できる。
【0057】
〔5.他の実施形態〕
なお、上記各実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、上記実施形態の特に端末T、検索サーバKならびに変換サーバHについて示した手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず、ワイヤードロジック等に基づく電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。また、各構成図、データの図、フローチャートの図などは例示に過ぎず、各要素の有無、その順序や具体的内容などは適宜変更可能である。
【0058】
例えば、第2実施形態でも、第1実施形態で示したように変換候補の品詞を判断して検索要求を送信する構成(図3のステップS13〜S15)を併用することは、もちろん差し支えない。また、変換サーバHを用いた第2実施形態の構成を第1実施形態に適用したり、逆に、端末T上に変換辞書を置いた第1実施形態の構成を第2実施形態に適用してもよい。また、第2実施形態では、かな漢字変換の対象とする文字列の入力がしばらく止まったときに関連情報を表示する例を示したが、他に、文字列の入力中に、例えばTabキーなど所定のキー操作を行った場合に関連情報を表示するようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の装置(特に検索サーバK、変換サーバH)は、それぞれ、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、個々の記憶手段を別個独立のサーバ装置やシステムで実現する構成も一般的である。また、本発明の装置(特に検索サーバK、変換サーバH)の機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。また、本発明は、端末T単独での装置、方法やコンピュータ・プログラムなどとして把握してもよい。
【符号の説明】
【0060】
3 入力装置
4 表示装置
5 演算制御部
6 記憶装置
7 通信手段
12 文字列受付手段
13,131 かな漢字変換手段
14,140 文字列判定手段
16,163 検索要求手段
17 結果受信手段
18 出力手段
27 検索データベース
30,133 変換辞書記憶手段
35 文字列記憶手段
41 検索手段
43 計測手段
45 数量記憶手段
47 課金処理手段
132 変換応答手段
C カーソル
D 変換候補表示欄
E 入力欄
H 変換サーバ
K 検索サーバ
N 通信ネットワーク
P マウスポインタ
T 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字列の入力を受け付ける文字列受付手段と、
入力された入力文字列を読みとして対応する語にかな漢字変換するかな漢字変換手段と、
前記かな漢字変換にかかる前記入力文字列又は語が所定の文字列か否かを判定する文字列判定手段と、
前記文字列判定手段が前記所定の文字列と判定した前記入力文字列又は語に基づく関連情報の検索要求を、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバへ送信する検索要求手段と、
前記検索要求に応じた検索結果として関連情報を受信する結果受信手段と、
受信した前記関連情報を前記かな漢字変換における変換候補表示欄に出力する出力手段と、
を有することを特徴とする文字入力支援装置。
【請求項2】
前記かな漢字変換手段は、前記かな漢字変換において、前記入力文字列を読みとして対応する語の変換候補を一又は二以上取得し、
前記文字列判定手段は、前記語の変換候補が所定の品詞である場合に前記所定の文字列と判定し、
前記検索要求手段は、前記かな漢字変換手段が前記変換候補を取得することを契機として、その文字列に基づく前記検索要求を前記ウェブサーバへ送信し、
前記出力手段は、前記かな漢字変換手段により取得された前記変換候補とともに、前記結果受信手段により受信された前記関連情報を、前記変換候補表示欄に表示する
ことを特徴とする請求項1記載の文字入力支援装置。
【請求項3】
前記かな漢字変換手段は、所定の変換指示操作が入力されたときに前記かな漢字変換を開始し、
前記文字列判定手段は、前記変換指示操作の前に前記入力文字列の文字入力が所定時間停止したときに、予め所定の記憶手段に記憶している文字列のいずれかに前記入力文字列が一致するか判断し一致した場合に前記所定の文字列と判定し、
前記検索要求手段は、そのときまでに入力されている入力文字列に基づく前記検索要求を前記ウェブサーバへ送信する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の文字入力支援装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の文字入力支援装置と、
関連情報を記憶している検索データベースを有し、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバと、
を有する情報処理システムにおいて、
前記関連情報ごとに、前記文字入力支援装置で出力に関する数量を計測する計測手段と、
計測された前記数量を、対応する関連情報と対応付けて記憶する数量記憶手段と、
前記数量記憶手段に記憶されている数量に基づいて、関連情報に関する課金のための処理を行う課金処理手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
コンピュータが、文字列の入力を受け付ける文字列受付ステップと、
コンピュータが、入力された入力文字列を読みとして対応する語にかな漢字変換するかな漢字変換ステップと、
コンピュータが、前記かな漢字変換にかかる前記入力文字列又は語が所定の文字列か否かを判定する文字列判定ステップと、
コンピュータが、前記文字列判定ステップで前記所定の文字列と判定された前記入力文字列又は語に基づく関連情報の検索要求を、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバへ送信する検索要求ステップと、
コンピュータが、前記検索要求に応じた検索結果として関連情報を受信する結果受信ステップと、
コンピュータが、受信した前記関連情報を前記かな漢字変換における変換候補表示欄に出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする文字入力支援方法。
【請求項6】
コンピュータを制御することにより、
文字列の入力を受け付ける文字列受付ステップと、
入力された入力文字列を読みとして対応する語にかな漢字変換するかな漢字変換ステップと、
前記かな漢字変換にかかる前記入力文字列又は語が所定の文字列か否かを判定する文字列判定ステップと、
前記文字列判定ステップで前記所定の文字列と判定された前記入力文字列又は語に基づく関連情報の検索要求を、データベース検索サービスを提供する所定のウェブサーバへ送信する検索要求ステップと、
前記検索要求に応じた検索結果として関連情報を受信する結果受信ステップと、
受信した前記関連情報を前記かな漢字変換における変換候補表示欄に出力する出力ステップと、
を実行させることを特徴とする文字入力支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−164869(P2011−164869A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26022(P2010−26022)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】