説明

文字入力装置、文字入力装置の制御方法、制御プログラム、及び記録媒体

【課題】文字入力に伴うユーザの操作負担を軽減する。
【解決手段】ユーザが文字入力装置11の入力面に対して行った閉曲線状の軌跡の入力操作を検出する操作検出部54と、操作検出部54が検出した閉曲線状の軌跡の入力操作と連動して、入力文字決定エリア20に表示する1つの候補文字列を順次入れ替えながら、複数の候補文字列を表示する入力候補生成部55および候補出力制御部61と、確定文字列を選択するユーザの操作があったとき、候補文字列表示手段が入力文字決定エリアに表示している候補文字列を確定文字列とする制御部5とを備えるとともに、少なくとも1つの候補文字列をそれぞれ含む複数の候補文字列群から、1つの候補文字列群を選択する入力文字種切替部57を備え、入力候補生成部55および候補出力制御部61は、入力文字種切替部57によって選択された候補文字列群から、表示する複数の候補文字列を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力に伴うユーザの操作負担を軽減できる文字入力装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の操作はボタンを介したハードウェア的なものではなく、タッチパネルを介したソフトウェア的なものが主流である。特に、いわゆるスマートフォンをはじめとする携帯型の情報端末では、必要最小限の機能を担うハードウェアインターフェースを配置しただけのものが多く、そのキーの数は減少する傾向にある。ソフトウェアキーで入力インターフェースを実現すれば、キーが増加しても製造コストや機器の重量は増加することがなく、柔軟にインターフェースの設計を行えるからである。
【0003】
文字入力はユーザの操作負担が大きいため、インターフェース改善の要請が大きく、これを軽減する試みが広く行われている。ここで、ソフトウェアインターフェースを大きく表示するために表示画面を大きくすれば、機器の筐体も大きくなるため、特に携帯型の情報端末において重要な携帯性を損なう。一方で、限られた表示領域に合わせて使用できる操作キーを限定すれば、インターフェースとしての操作性を損なう。したがって、携帯性と操作性とを両立させることが課題の焦点となる。
【0004】
下記の特許文献1には、座標指定により文字を選択することで、簡単に文字を入力できるタッチ式文字入力装置に関する技術が開示されている。この発明によれば、ユーザが入力しようとする文字を正確に押下できなかった場合に、誤った入力文字を簡単に修正できる。すなわち、限られた領域に多数のキーを配置することでユーザの操作エラーが多発することを想定し、修正を容易にすることで操作性の改善を図るものである。
【0005】
また、下記の特許文献2には、多機能な情報処理装置において項目を効率よく選択するためのユーザインターフェースに関する技術が開示されている。さらに、下記の特許文献3には、少ない操作部材で文字入力や編集操作を高い操作性で実現するための情報入力装置等に関する技術が開示されている。すなわち、上記2つの従来技術は、操作性を維持しつつ入力に必要となる操作回数や操作キーの数を減らすものである。
【0006】
一方で、文字入力の操作負担を軽減するための工夫として、予測入力が知られている。これは、ユーザが入力しようとする文字列を、その入力途中で判明する当該文字列の先頭文字列から推測し、その候補を一覧提示してユーザが所望の文字列を選択できるようにすることで、文字入力に必要な操作回数を減らす機能である(以下、この推測された文字列を「候補文字列」と称する)。例えば、ユーザが「ha」と入力した時点で、「have」、「happy」、「hard」、「happen」など、先頭に「ha」をもつ単語を表示し、ユーザが候補のうちの1つを選択することで残りの文字入力を省略できる。仮名漢字変換が必要となる日本語入力においては特に重要な機能であり、「あ」と入力した時点で「青空」、「秋」、「暖かい」、「亜」、「阿」などの候補を表示する。この候補は、ユーザの入力履歴や前後にある単語の配列などに基づいて抽出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−545802号公報(平成21年12月24日公開)
【特許文献2】特開2007−316760号公報(平成19年12月6日公開)
【特許文献3】特開2010−39768号公報(平成22年2月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術では、表示領域の限られた情報端末で予測入力やこれを伴う仮名漢字変換を行う場合に、候補文字列を効率よく一覧提示することができない。すなわち、入力しようとする文字列を予測入力で補完する場合、所望の入力文字に対応する選択候補を一覧形式でユーザに提示する必要があるが、携帯性が重視される端末では表示領域が小さいため一覧が困難である。
【0009】
適切に一覧提示できなければ、文字の選択位置が入力しようとする候補文字列を通り過ぎてしまい、修正のために余計な操作が増えるなどの不便が考えられる。上記の先行文献に記載の発明は、入力しようとする文字入力そのものを補助することで軽減を図るインターフェースに関するものであり、候補文字列を一覧する場合を想定して、限られた表示領域への提示方法を工夫するものではない。
【0010】
また、上記の予測入力には、候補文字列を選択するための操作性にも課題がある。すなわち、特に携帯型の端末は片手で操作することが多く、候補の中から1つを選択するという簡単な操作でも負担が大きくなるため、この選択操作は単純であることが望ましい。予測入力は従来の情報端末でも使われているが、前述の通り一覧やその表示に工夫がなされていないだけでなく、候補文字列を選択するためには複雑な操作が必要となっていた。
【0011】
さらに、例えば「あ」という入力文字に対する候補文字列として、熟語を構成する漢字からなる「青空」、「秋」等、単漢字である「亜」、「唖」等、カタカナの「ア」などが考えられるところ、こうした異なる種類の候補文字列を混在させると、例えば各文字種で表示できる候補文字列の数が限定されるという問題もある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示領域の限られた電子機器に対して文字入力を行う場合に、候補文字列を効率よく一覧表示するとともに、前記選択の操作は片手で行えるほど単純かつ直感的であることにより、入力負担の軽い文字入力装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の文字入力装置は、
(1)ユーザが入力した文字列に基づいて、確定文字列の候補として推測した複数の候補文字列を、当該複数の候補文字列から確定文字列をユーザが選択可能に表示する文字入力装置であって、
(2)入力面に対してユーザが行った閉曲線状の軌跡の入力操作を検出する操作検出手段と、
(3)前記操作検出手段が検出した前記閉曲線状の軌跡の入力操作と連動して、前記入力文字決定エリアに表示する1つの候補文字列を順次入れ替えながら、前記複数の候補文字列を表示する候補文字列表示手段と、
(4)前記確定文字列を選択するユーザの操作があったとき、前記候補文字列表示手段が前記入力文字決定エリアに表示している候補文字列を前記確定文字列とする文字列確定手段とを備えるとともに、
(5)少なくとも1つの前記候補文字列をそれぞれ含む複数の候補文字列群から、1つの候補文字列群を選択する候補文字列群切替手段を備え、
(6)前記候補文字列表示手段は、前記候補文字列群切替手段によって選択された候補文字列群から、表示する前記複数の候補文字列を抽出することを特徴としている。
【0014】
また、上記の課題を解決するために、本発明の文字入力装置の制御方法は、
(1)ユーザが入力した文字列に基づいて、確定文字列の候補として推測した複数の候補文字列を、当該複数の候補文字列から確定文字列をユーザが選択可能に表示する文字入力装置の制御方法であって、
(2)入力面に対してユーザが行った閉曲線状の軌跡の入力操作を検出する操作検出ステップと、
(3)前記操作検出ステップにて検出した前記閉曲線状の軌跡の入力操作と連動して、前記入力文字決定エリアに表示する1つの候補文字列を順次入れ替えながら、前記複数の候補文字列を表示する候補文字列表示ステップと、
(4)前記確定文字列を選択するユーザの操作があったとき、前記候補文字列表示ステップにて前記入力文字決定エリアに表示している候補文字列を前記確定文字列とする文字列確定ステップとを含むとともに、
(5)少なくとも1つの前記候補文字列をそれぞれ含む複数の候補文字列群から、1つの候補文字列群を選択する候補文字列群切替ステップを含み、
(6)前記候補文字列表示ステップにて、前記候補文字列群切替ステップにて選択された候補文字列群から、表示する前記複数の候補文字列を抽出することを特徴としている。
【0015】
限られた表示領域しか持たない携帯型の電子機器に文字入力を行う場合、候補文字列を効率よく提示するとともに、それを簡単に選択できるようにする必要がある。すなわち、携帯性と操作性とを両立させる優れたインターフェースが不可欠である。
【0016】
上記の構成によれば、操作を行うユーザの指やスタイラスなどの指示具(以下、単に「指示具」と称する)を入力面に接触させたまま円を描くように閉曲線状の軌跡を描いて動かすことにより(以下、この操作を「回転操作」と称する。また、時計回り/反時計回りのうちいずれか一方向の回転操作を「順方向の回転操作」、順方向とは反対方向の回転操作を「逆方向の回転操作」と称する)、候補文字列の一覧が順次入れ替えられて表示される。
【0017】
これにより、入力しようとする文字列を選択できるまでの操作量を瞬時に把握できるように、候補文字列を効率よくユーザに一覧提示できる。また、候補文字列を選択するための回転操作は、片手で行えるほど単純かつ直感的である。したがって、特に携帯性が重要となる電子機器において、ユーザの文字入力の負担を軽減できる。
【0018】
さらに、ユーザは複数ある候補文字列群のうちの1つの候補文字列群から抽出された複数の候補文字列に対してのみ、確定文字列を選択する操作を行う。すなわち、すべての可能な候補文字列を選択可能な表示対象とするのではなく、ある候補文字列群に含まれる候補文字列のみを対象とする。したがって、限られた表示領域を有効に活用した候補文字列の表示を行うことができる。
【0019】
そして、前記文字入力装置では、
(1)前記候補文字列群は文字種ごとに設定されていることが望ましい。
【0020】
上記の構成によれば、候補文字列が文字種ごとに複数の候補文字列群に分類されているため、ユーザは異なる文字種の候補文字列を簡単に入力できる。
【0021】
また、前記候補文字列群切替手段は、
(1)ユーザが行った前記入力面を素早く弾く操作を検出したとき、前記候補文字列群を切り替えることが望ましい。
【0022】
異なる種類の候補文字列を混在させることによる上記の問題に対し、入力しようとする文字種と同じ文字種からなる候補文字だけを提示することが考えられる。しかし、例えば入力しようとする文字列が入力頻度の高い文字列であるにもかかわらず、選択している入力文字種が当該文字列のものと異なるために、その候補文字列として表示されないという別の問題が考えられる。また、異なる文字種に属する文字列を入力するためには、現在入力中の文字列を確定させて候補文字列の提示を消し、所定のキーを操作して当該文字種へ切り替え、さらに所望の文字列を入力するという3つのステップを踏む必要があり、操作が煩雑になりやすい。
【0023】
上記の構成によれば、入力面を素早く弾く(いわゆるフリック)操作により、操作対象とする候補文字列群を切り替えることができるため、文字入力の途中であっても、ユーザは入力しようとする文字列に対応する候補文字列群を簡単に選択できる。
【0024】
また、前記候補文字列表示手段は、
(1)前記候補文字列群切替手段によって選択された候補文字列群から抽出した前記複数の候補文字列とともに、他の候補文字列群を示す標識情報を、該標識情報をユーザが選択することにより、該標識情報が示す候補文字列群に切り替え可能に表示することが望ましい。
【0025】
上記の構成によれば、各候補文字列群の標識情報(例えば、候補文字列群の属性)が候補文字列とともに表示され、ユーザはこの標識情報を選択操作することで候補文字列群を切り替えることができる。したがって、ユーザは入力しようとする文字列に対応する候補文字列群を簡単に選択できる。
【0026】
なお、上記文字入力装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記文字入力装置の各手段として動作させることにより、上記文字入力装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の文字入力装置は、ユーザが入力した文字列に基づいて、確定文字列の候補として推測した複数の候補文字列を、当該複数の候補文字列から確定文字列をユーザが選択可能に表示する文字入力装置であって、入力面に対してユーザが行った閉曲線状の軌跡の入力操作を検出する操作検出手段と、前記操作検出手段が検出した前記閉曲線状の軌跡の入力操作と連動して、前記入力文字決定エリアに表示する1つの候補文字列を順次入れ替えながら、前記複数の候補文字列を表示する候補文字列表示手段と、前記確定文字列を選択するユーザの操作があったとき、前記候補文字列表示手段が前記入力文字決定エリアに表示している候補文字列を前記確定文字列とする文字列確定手段とを備えるとともに、少なくとも1つの前記候補文字列をそれぞれ含む複数の候補文字列群から、1つの候補文字列群を選択する候補文字列群切替手段を備え、前記候補文字列表示手段は、前記候補文字列群切替手段によって選択された候補文字列群から、表示する前記複数の候補文字列を抽出する構成である。
【0028】
また、本発明の文字入力装置の制御方法は、ユーザが入力した文字列に基づいて、確定文字列の候補として推測した複数の候補文字列を、当該複数の候補文字列から確定文字列をユーザが選択可能に表示する文字入力装置の制御方法であって、入力面に対してユーザが行った閉曲線状の軌跡の入力操作を検出する操作検出ステップと、前記操作検出ステップにて検出した前記閉曲線状の軌跡の入力操作と連動して、前記入力文字決定エリアに表示する1つの候補文字列を順次入れ替えながら、前記複数の候補文字列を表示する候補文字列表示ステップと、前記確定文字列を選択するユーザの操作があったとき、前記候補文字列表示ステップにて前記入力文字決定エリアに表示している候補文字列を前記確定文字列とする文字列確定ステップとを含むとともに、少なくとも1つの前記候補文字列をそれぞれ含む複数の候補文字列群から、1つの候補文字列群を選択する候補文字列群切替ステップを含み、前記候補文字列表示ステップにて、前記候補文字列群切替ステップにて選択された候補文字列群から、表示する前記複数の候補文字列を抽出する方法である。
【0029】
したがって、表示領域の限られた電子機器に対して文字入力を行う場合に、入力しようとする文字列を選択できるまでの操作回数をユーザが瞬時に把握できるように、候補文字列を効率よく一覧表示することができるとともに、前記選択の操作は片手で行えるほど単純かつ直感的であるため、ユーザの文字入力の負担は軽くて済むという効果を奏する。
【0030】
さらに、ユーザは複数ある候補文字列群のうちの1つの候補文字列群から抽出された複数の候補文字列に対してのみ、確定文字列を選択する操作を行う。すなわち、すべての可能な候補文字列を選択可能な表示対象とするのではなく、ある候補文字列群に含まれる候補文字列のみを対象とする。したがって、限られた表示領域を有効に活用した候補文字列の表示を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係る文字入力装置を内蔵した携帯情報端末の要部構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、上記携帯情報端末に表示される文字入力画面の一例であり、(b)は、ユーザが右手で上記携帯情報端末を把持し、日本語入力用のテンキーを右手の親指によるタッチ操作で「あ」を入力したことにより、入力が未確定の文字列が表示されている入力画面の一例であり、(c)は、続いて「か」を入力したことにより、入力が未確定の文字列が表示されている入力画面の一例である。
【図3】(a)は、候補文字列を一覧提示する画面の一例であり、(b)は、選択インターフェースが表示された後、ユーザが表示画面の任意の位置で指示具を回転操作すると、選択インターフェースがこの動きに合わせて回転する様子を表す。
【図4】(a)は、「天気」と入力すべきところを、ユーザが誤って「転機」と入力してしまった場合に表示される入力画面の一例であり、(b)は、前記誤記部分に係る文字列が反転表示された入力画面の一例であり、(c)は、「てんき」に対応する候補文字列を一覧提示する画面の一例である。
【図5】携帯情報端末の外観例を2つ表したものである。
【図6】選択インターフェースとして可能なものを例示しており、(a)は、回転軸を水平にしたドラムの外周上に候補文字列が配置され、回転操作に合わせてこのドラムが上から下へ回転することにより一覧提示する選択インターフェースを、(b)は、回転軸を垂直にしたドラムの外周上に候補文字列が配置され、回転操作に合わせてこのドラムが右から左へ回転することにより一覧提示する選択インターフェースを、(c)は、各候補文字列を表示したパネルを奥行きが伴うよう円弧状に配置し、最も手前のパネルに表示された文字を入力文字決定エリア上の候補文字列として、回転操作に合わせてパネルを右から左へ円弧に沿って入れ替えるように表示する選択インターフェースを表す。
【図7】上記携帯情報端末が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の異なる実施の形態に係る文字入力装置を内蔵した携帯情報端末の要部構成を示すブロック図である。
【図9】(a)は、「あ」に関係する候補文字列の選択インターフェースを表示させた入力画面の一例であり、(b)は、候補文字列としてあげられた「暖かい」という文字列が入力文字決定エリア上になるように操作した場合の入力画面の一例であり、(c)は、選択インターフェースが画面中央右側に表示され、入力文字決定エリアは2時の方向に配置されていることを表しており、(d)は、選択インターフェースが画面左下に表示され、入力文字決定エリアは8時の方向に配置されていることを表しており、(e)は、選択インターフェースが画面右下に表示され、入力文字決定エリアは4時の方向に配置されていることを表す。
【図10】(a)は、選択インターフェースaの中心から垂直上方へ伸ばした線の先に、入力文字決定エリアを配置する場合を示したものであり、(b)および(c)は、それぞれ選択インターフェースの中心から垂直上方へ伸ばした線と、当該中心から入力文字決定エリアへ伸ばした線との位置関係を、これらの線がなす角によって示したものであり、(d)は、選択インターフェースの表示位置が、入力文字決定エリアを中心として、上記なす角によって決定されることを示したものである。
【図11】入力文字決定エリアの一例を表す。
【図12】上記携帯情報端末が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】選択インターフェース表示位置決定部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】本発明のさらに異なる実施の形態に係る文字入力装置を内蔵した携帯情報端末の要部構成を示すブロック図である。
【図15】上記携帯情報端末に表示される、文字入力画面の一例である。
【図16】上記文字入力装置において切替可能な選択インターフェースの一例であり、(a)は漢字熟語変換のための選択インターフェース、(b)は単漢字変換のための選択インターフェース、(c)は英数字と記号のための選択インターフェース、(d)は英語入力のための選択インターフェース、および(e)は中国語入力のための選択インターフェースを表す。
【図17】最前面の選択インターフェースに文字種を示す記号がタグに表示されており、タグを選択するとそのタグの選択インターフェースに切り替えられることを表す。
【図18】上記携帯情報端末が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1について、図1〜図7に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、文字入力装置11を内蔵した電子機器として、携帯情報端末100を想定する。また、その説明においては日本語入力用のテンキー21を用いた文字入力を想定するが、Qwerty配列の英語キーボードなど、各種言語に対応したソフトウェアキーボードであってよい。したがって、予測入力は日本語の仮名漢字変換のみならず、その他の外国語における入力補完も対象となる。
【0033】
〔概要〕
本実施の形態に係る文字入力装置11の概要について、図2に基づいて説明する。図2(a)は、文字入力装置11を内蔵した携帯情報端末100(図1および5参照)に表示される入力画面22の一例である。また、同図(b)および(c)は、ユーザが右手で携帯情報端末100を把持し、タッチパネルを備えた携帯情報端末100の表示画面に表示された日本語入力用テンキー21を、これを把持した右手の親指でタッチ操作することで、最初に「あ」を入力し(同図(b))、続いて「か」を入力したことにより(同図(c))、入力が未確定の文字列が表示されている入力画面22の一例である。
【0034】
なお、同図に表されているキーのうち、「確定」と示されるキーは文字入力を確定させるキーである。すなわち、このキーを押下することにより、入力が未確定の文字列は、入力が確定されて画面に表示される。また、「クリア」と示されるキーは入力済みの文字のうち直近の1文字を消去するキーである。
【0035】
次に、予測入力を行う場合の候補文字列の一覧提示について、図3に基づいて説明する。図3(a)は、ユーザが「あ」に対応するキーを長押ししたときに表示される、候補文字列を一覧提示する画面の一例である。本実施の形態では、表示画面の任意の位置を長押しすると、同図(a)のように、円形の候補文字列を一覧提示するためのインターフェース(以下、「選択インターフェース」と称する)が表示される。例えば、「あ」を短押しし、その後に「か」を長押しした場合は、「あか」に関係する候補文字列が同図(a)と同様に表示される。言い換えると、長押しの時点までに入力された文字列が予測入力の対象となり、その候補文字列が選択インターフェース1に表示される。
【0036】
図3(b)は、この選択インターフェース1が表示された後、ユーザが表示画面の任意の位置で回転操作(閉曲線状の軌跡の入力操作)することにより、選択インターフェース1がこの動きに合わせて時計回り/反時計回りに回転する様子を表す。ここで、この回転操作は、選択インターフェース1上で行われる必要はないことに注意する。すなわち、ユーザは日本語入力用テンキー21の入力しようとする文字に対応するキーを長押しし、選択インターフェース1が表示されると、そのまま回転操作に移ることができる。これにより、長押ししたキーから選択インターフェース1の上まで指を動かす必要がないため、ユーザの操作負担を軽減できる。
【0037】
同図(a)および(b)に表された選択インターフェース1の内部にある小円は、入力文字決定エリア20である。すなわち、候補文字列を載せた選択インターフェース1が回転操作と連動して回転することにより、入力文字決定エリア20上の候補文字列が入れ替わる。このとき、この入れ替わりに合わせて、入力画面22における未確定の入力文字も候補文字列に置き換えられて表示される。ユーザは所望の候補文字列が入力文字決定エリア20上に配置されるよう選択インターフェース1を回転させ、確定キーを押下することにより、文字列を選択および入力する。
【0038】
同図(b)では、「あ」キーを押下して未確定の文字列「あ」を入力し、そのまま当該キーを押し続けたことにより長押し操作が検出されて選択インターフェース1が表示され、続く回転操作で「暖かい」という候補文字列を入力文字決定エリア20と一致させることで、入力画面22にも未確定の文字列として「暖かい」が表示されている。
【0039】
次に、確定済みの文字列(確定文字列)の範囲を指定し、当該指定された範囲(選択範囲)に含まれる文字列を再入力することについて、図4に基づいて説明する。図4(a)は、「天気」と入力すべきところを、ユーザが誤って「転機」と入力してしまった場合に表示される入力画面22の一例である。また、同図(b)は、ユーザが前記誤記の部分を選択することにより、当該部分に係る文字列が反転表示された入力画面22の一例である。さらに、同図(c)は、ユーザが当該部分を長押しすることにより、「てんき」に対応する候補文字列を一覧提示する画面の一例である。図示のように、指定した範囲の文字列に対応する候補文字列を再度一覧提示することにより、ユーザは確定済みの文字列を簡単に修正できる。
【0040】
なお、上で説明した図2、3、および4では、文字入力を行うアプリケーションとしていわゆる「メモ帳」のような入力画面22を示したが、文字入力が必要となる状況であればどのような入力画面でもよい。例えば、ウェブブラウザ等において一行のテキストを入力するためのテキストボックスなどでも動作可能であり、本実施の形態は文字入力の状況やアプリケーションの種類などには限定されない。
【0041】
〔携帯情報端末100の外観〕
本実施の形態に係る携帯情報端末100の外観について、図5に基づいて説明する。図5は、本実施の形態に係る携帯情報端末100の外観例を2つ表したものである。携帯情報端末100は、表示部2、操作スイッチ7、およびキー入力部8を含む。
【0042】
携帯情報端末100aと携帯情報端末100bとの違いは、キー入力部8の有無である。携帯情報端末100aでは、表示部2はタッチパネル(入力面)としてユーザの入力を受け付ける入力装置を兼ねるため、キー入力部8は不要である。一方、携帯情報端末100bではキー入力部8によって入力を受け付けることができるため、表示部2がタッチパネルである必要はない。
【0043】
〔携帯情報端末100の構成〕
本実施の形態に係る携帯情報端末100の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、携帯情報端末100の要部構成を示すブロック図である。図示のように、携帯情報端末100は、文字入力装置11、表示部2、および記憶部3を含む。
【0044】
文字入力装置11は、入力部4、制御部(文字列確定手段)5、および出力制御部6を含む。制御部5は、長押し入力検出部51、選択範囲検出部(選択範囲検出手段)52、選択範囲文字列取得部(選択範囲文字列取得手段)53、回転操作検出部(操作検出手段)54、および入力候補生成部(候補文字列表示手段)55を含み、出力制御部6は、候補出力制御部(候補文字列表示手段)61、および文字出力制御部62を含む。なお、本実施の形態に直接関係のない部分、例えば通話や画像撮影などを実現する部分は構成の説明およびブロック図から省略した。
【0045】
以下、文字入力装置11(入力部4、制御部5、長押し入力検出部51、選択範囲検出部52、選択範囲文字列取得部53、回転操作検出部54、入力候補生成部55、出力制御部6、候補出力制御部61、文字出力制御部62)、表示部2、記憶部3の順序で各構成が担う機能を説明する。
【0046】
(文字入力装置11)
文字入力装置11は、ユーザからの文字列の入力操作を受け付け、入力された文字列を携帯情報端末100へ出力する装置である。ここで、文字列とは、文字(世界各国で使用される言語文字をすべて含む)、数字、または記号のうち少なくとも1つを含む集合(書式および表示形式を含む)をいう。なお、本実施の形態では、文字入力装置11が携帯情報端末100の内部に含まれる構成としたが、文字入力装置11と携帯情報端末100とを通信可能とし、外部に設置された文字入力装置11を介してユーザから入力された文字列を携帯情報端末100へ出力する構成にしてもよい。
【0047】
入力部4は、ユーザからの操作を検出する装置であり、前述したように、本実施の形態ではタッチパネルとして実現できる。すなわち、入力部4はタッチパネルに対するタッチ操作を検知し、その位置を示す情報(例えば2次元座標)を制御部5に出力する。
【0048】
制御部5は、表示部2に表示されている操作画面に応じて、入力部4に対する入力操作の内容を判断する。具体的には、制御部5は、入力部4から受信する表示部2の表示面に対するタッチが検出された位置を示す情報と、そのときに表示部2に表示されている日本語入力用テンキー(入力用インターフェース)21の画像とに応じて入力された文字列を識別する。また、制御部5は、ユーザによる確定キーの押下を検出したときは、入力文字決定エリア20上の候補文字列を、入力が確定された文字列として文字出力制御部62に出力する。
【0049】
長押し入力検出部51は、ユーザが入力部4に対して行う操作が、キーの長押し操作であるか否かを判断する。具体的には、入力部4から所定の時間間隔で入力される位置情報が、その入力が開始されてから所定の時間以上変化しなかった場合、長押し入力検出部51はキーの長押し操作が行われたと判断し、入力候補生成部55に長押し操作が行われるまでに入力された文字情報(例えばキャラクターコード)を出力する。他方、所定の時間が経過するまでに、入力部4からの位置情報の入力が途切れたり、位置情報が変化したりした場合、長押し入力検出部51は長押し入力が行われなかったと判断する。
【0050】
選択範囲検出部52は、ユーザが入力部4に対して行う操作が、表示領域の一部または全部を選択する操作であるか否かを判断する。具体的には、入力部4の表面に指示具が接触したまま、入力部4から所定の時間間隔で入力される位置情報が変化している(いわゆるドラッグ操作)か否かを判断する。そして、上記操作で特定される矩形の少なくとも1つの対角線上にある2つの頂点の位置情報を、選択範囲文字列取得部53に出力する。
【0051】
選択範囲文字列取得部53は、上記選択範囲に含まれるデータの文字情報を取得することで、その範囲に文字が含まれているか否かを判断し、文字が含まれている場合は当該文字情報を入力候補生成部55へ出力する。
【0052】
回転操作検出部54は、入力部4上で回転操作が行われているか否かを判断する。具体的には、入力部4から所定の時間間隔で入力される位置情報が、所定の大きさの矩形内部で円形の軌道を描くように変化する場合、回転操作が行われていると判断するとともに、その回転方向(時計回り/反時計回り)と速度(位置情報の単位時間あたりの変化量)とを入力候補生成部55へ出力する。
【0053】
入力候補生成部55は、ユーザが入力しようとする文字列を、その入力途中で判明する当該文字列の先頭文字列から推測し、これをユーザに提示すべき候補文字列として候補出力制御部61へ出力する。この候補文字列を推測する手法としては、例えば記憶部3に記憶されたユーザの入力履歴、各単語の入力頻度、前後にある単語の配列、または文法上の規則に基づいて抽出するなどの従来技術でもよい。
【0054】
出力制御部6は、未確定の入力文字が残っているか否かを判断する。具体的には、例えばユーザから文字入力があるたびにその文字をスタックへプッシュし、クリアキーの押下による文字削除があるたびにスタックからポップして当該文字を消去すれば、スタックに蓄積された文字数をカウントすることにより上記判断が可能である。
【0055】
候補出力制御部61は、表示部2に選択インターフェース1を表示させる。具体的には、制御部5から入力されたタッチ検出の位置情報および入力文字と、入力候補生成部55から入力された候補文字列の集合に基づいて、当該候補文字列を円形に配置して一覧提示する選択インターフェース1を表す出力信号を表示部2に出力する。また、出力信号を停止することで、表示させた選択インターフェース1を表示部2から消去する。
【0056】
文字出力制御部62は、制御部5から入力された入力文字を表示するための出力信号を、表示部2に出力する。また、クリアキーの押下により、未確定のまま残されている入力文字のうち直近の1文字を削除するための出力信号を、表示部2に出力する。
【0057】
(表示部2)
表示部2は、文字や画像などを表示する装置である。出力制御部6、候補出力制御部61、文字出力制御部62から入力される信号を処理して表示する機能さえあれば装置の種類は限定されず、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイで構成できる。なお、図1においては、ユーザからの入力を受け付ける入力部4と、機器の出力をユーザへ提示する表示部2とを分離して示しているが(例えば、図5で示した携帯情報端末100bのような構成)、液晶の表示画面がタッチパネルを備えることで入力装置としての機能を兼ねることができ、両者は一体の装置として実現できる(例えば、同図で示した携帯情報端末100aのような構成)。
【0058】
(記憶部3)
記憶部3は、入力候補生成部55が用いる入力候補データを記憶した不揮発性の記憶装置であり、例えば半導体メモリ、ハードディスク、DVD等で構成できる。なお、本実施の形態では、記憶部3は携帯情報端末100に内蔵される装置として図1に示しているが、携帯情報端末100の外部に接続された外部記憶装置として実現されてもよい。
【0059】
〔選択インターフェースの表示/非表示〕
先に概説したように、ユーザが文字入力を行っている(未確定の入力文字が存在する)場合に、長押し入力検出部51がキーの長押しを検出すると、入力候補生成部55が長押しの時点までに入力された文字列を対象とする候補文字列を生成する。本実施の形態では、これを選択インターフェース1上に表示することで一覧提示する。すなわち、長押し入力検出部51が、短押しと長押しとを区別し、長押し操作をトリガーとして選択インターフェース1を表示する。
【0060】
ユーザが確定キーを押下すると、入力文字決定エリア20上にあった候補文字列が選択され、その入力が確定し、選択インターフェース1は非表示となる。ここで、確定キーの押下を介さず、回転操作を行っていた指示具をタッチパネルから離した時点で候補文字列の選択と入力の確定を行い、選択インターフェース1を非表示にしてもよい。これにより、確定キーを押下するための操作ステップ数を削減できる。
【0061】
選択インターフェース1が表示された状態でクリアキーを押下すると、文字出力制御部62が未確定の入力文字のうち直近の1文字を削除し、候補出力制御部61が選択インターフェース1を非表示にして、長押し入力検出部51が再び長押し操作を待機する。なお、クリアキーによる文字削除で未確定の入力文字が1文字も残らない場合は、文字入力の待機状態まで戻る。
【0062】
順方向の回転操作により入力文字決定エリア20を通過した各候補文字列を、選択インターフェース1上の表示から順次消去するようにしてもよい。これにより、限られた表示領域において、後続の候補文字列を十分に表示できるだけの表示枠を確保できる。
【0063】
一方で、入力文字決定エリア20を通過した候補文字列のうち、例えば直近の候補文字列は選択インターフェース1上から消去せずに残しておいてもよい。これにより、逆方向の回転操作によって候補文字列を巻き戻して表示させる場合、1回の逆方向の回転操作によって入力文字決定エリア20上に表示される候補文字列を、ユーザが予測できる。
【0064】
また、候補文字列が入力文字決定エリア20から遠いほど、言い換えれば、その候補文字列を入力文字決定エリア20上に表示するまでに必要な回転操作の回数が多いほど、選択インターフェース1上でその候補文字列を薄く表示するようにしてもよい。
【0065】
さらに、入力部4に接触する指示具の位置に応じて、選択インターフェース1の所定の表示位置を変化させたり、ユーザの視線(指示具の接触位置から推測できる)を遮蔽すると考えられる範囲には選択インターフェース1を表示させないようにしたりしてもよい。例えば、右手(または右手に把持したスタイラス等)での入力を想定した場合、入力部4に対する接触位置を座標の原点として第4象限(x≧0、y≦0)に相当する範囲には、選択インターフェース1を表示しないようにしてもよい。または、左手(または左手に把持したスタイラス等)での入力を想定した場合、入力部4に対する接触位置を座標の原点として第3象限(x≦0、y≦0)に相当する範囲には、選択インターフェース1を表示しないようにしてもよい。このとき、ユーザは自身の利き手(入力操作に使用する手)を設定できるようにすればよい。
【0066】
〔選択インターフェースの形状〕
選択インターフェースの形状について、図6に基づいて説明する。図6は、選択インターフェースの形状として可能なものを例示している。
【0067】
ここまで、選択インターフェースの形状は円形であることを前提に説明してきたが、表示領域の限られた電子機器に対して文字入力を行う場合に候補文字列を一覧提示できれば、その形状は円形に限られない。例えば、図6(a)のように、回転軸を水平にしたドラム30の外周上に候補文字列が配置され、回転操作に合わせてドラムが上から下へ回転することにより一覧提示してもよい。この場合、確定キーの押下により、ドラム外周上の中央に設けられた入力文字決定エリア20上の候補文字列が選択され、入力が確定する。
【0068】
または、図6(b)のように、回転軸を垂直にしたドラムの外周上に候補文字列が配置され、回転操作に合わせてこのドラムが右から左へ回転することにより一覧提示してもよい。さらに、図6(c)のように、各候補文字列を表示したパネルを奥行きが伴うよう円弧状に配置し、最も手前のパネルに表示された文字を入力文字決定エリア20上の候補文字列として、回転操作に合わせてパネルを右から左へ円弧に沿って入れ替えるように表示してもよい。この場合、選択インターフェース31自体を3D画像とすることで、よりユーザに分かりやすく表示できる。
【0069】
なお、選択インターフェースの表示に関するパラメータは、所定の値を用いてもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。上記パラメータとしては、例えば円形やドラム形の選択インターフェースの直径、内部に表示される候補文字列のフォントの大きさなどがある。
【0070】
または、候補文字列の数に応じて、円形、ドラム形状、または円弧の選択インターフェースの直径が変化するようにしてもよい。ただし、多数の候補文字列がある場合であっても表示する領域の大きさには上限があるため、渦を巻くように候補文字列を表示することで、多くの候補文字列を表示できるようにしてもよい。または、選択インターフェースに表示する候補文字列の上限数を、ユーザが設定できるようにしてもよい。この場合、例えば5個、10個、15個などの数値を、ユーザがラジオボタン等を用いた設定画面から入力できるようにすればよい。
【0071】
〔選択インターフェースの回転操作〕
先に概説したように、選択インターフェース1が表示された後、ユーザが表示部2の任意の位置で回転操作を行うことにより、この選択インターフェース1が回転操作と連動して時計回り/反時計回りに回転する。
【0072】
回転操作は、選択インターフェース1を表示させるキー長押し操作のまま表示部2から指示具を離さずに行ってもよいし、当該長押し操作の後で表示部2から一度指示具を離し、確定キーを押下しないよう指示具を表示部2に再度接触させ、その位置で行ってもよい。したがって、例えば「あ」で長押しした後は、その後に「あ」に対応するキーからずれたとしても回転操作を行える。すなわち、回転操作する表示部2上の位置は任意である。
【0073】
逆方向の回転操作により、順方向の回転操作に対応する回転方向とは逆方向に選択インターフェース1を回転させることで、候補文字列を巻き戻して表示してもよい。このとき、先に説明した図3(a)に例示されるように、入力文字決定エリア20上にある候補文字列がそのリストの先頭に位置することにより、それより前に候補文字列が存在しない場合、逆方向の回転操作に対応して選択インターフェース1を回転させないようにしてもよい。または、逆方向の回転操作により、候補文字列のリストにおいて最後尾に位置する候補文字列を表示してもよい。これにより、特に候補文字列の数が多い場合に、最後尾の候補文字列が入力文字決定エリア上に表示されるまで、ユーザは延々と順方向の回転操作を続ける必要がなくなる。
【0074】
なお、指示具の回転速度と選択インターフェース1の回転速度との対応関係は、ユーザが任意に設定できる。すなわち、例えば指示具を速く回転させても、選択インターフェース1は遅く回転するといった設定ができる。また、指示具の回転方向と選択インターフェース1の回転方向との対応関係も、ユーザが任意に設定できる。すなわち、順方向の回転操作に対して、選択インターフェース1を時計回りに回転させるか、反時計回りに回転させるかについて、ユーザは所定の設定画面から設定できる。
【0075】
〔確定済み文字列の再入力〕
先に概説したように、ユーザは確定済みの文字列を指定し、その指定部分を長押しして選択インターフェース1を表示させることにより、当該指定部分に含まれる文字列の候補文字列を再選択できる。ここで表示される選択インターフェースの表示スタイルやその回転操作の方法は、前述と同様である。
【0076】
なお、日本語の仮名を別の漢字に再変換したい場合、例えば「転機」を「天気」へ再変換したい場合であれば、まず「転機」の仮名である「てんき」に戻し、これに対する候補文字列を選択インターフェース1により提示する。漢字を仮名に戻す方法は、従来技術でも可能である。
【0077】
〔携帯情報端末100が実行する処理〕
携帯情報端末100が実行する処理の流れを、図7に基づいて説明する。図7は、携帯情報端末100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
まず、入力部4が、ユーザからのタッチパネルに対するタッチ操作を検知し、その位置を示す情報を制御部5へ出力することにより処理が開始する(図7における「開始」)。制御部5は、入力内容を識別することにより、ユーザの操作が文字入力のための操作であるか否かを判断する(S1)。
【0079】
識別した入力内容が文字情報であることにより、当該タッチ操作は文字入力の操作であると制御部5が判断した場合(S1においてYES)、長押し入力検出部51は、その操作がキーの長押し操作であるか否かを判断する(S2)。長押し操作であると判断する場合(S2においてYES)、長押し入力検出部51は、長押し操作が行われるまでに入力された文字情報を入力候補生成部55へ出力する。他方、長押し操作でないと判断する場合(S2においてNO)、短押し操作によって文字入力が行われたとして、長押し入力検出部51は当該文字を文字出力制御部62へ出力する。文字出力制御部62は、当該入力文字を表示するための出力信号を表示部2に出力し(S4)、再び入力部4がユーザのタッチ操作を待機する(図7における「終了」)。
【0080】
一方、S1において、識別した入力内容が文字情報でないことにより、当該タッチ操作は文字入力の操作でないと制御部5が判断した場合(S1においてNO)、選択範囲検出部52はその入力操作が表示領域の一部または全部を選択する操作であるか否かを判断する(S5)。選択操作であると判断する場合(S5においてYES)、選択された矩形の2つの頂点の位置情報を、選択範囲文字列取得部53に出力し、長押し入力検出部51に制御を移す。他方、選択操作でないと判断する場合(S5においてNO)、再び入力部4がユーザの操作を待機する(図7における「終了」)。
【0081】
長押し入力検出部51は、選択された範囲における入力操作がキーの長押し操作を伴うか否かを判断する(S6)。すなわち、表示領域の一部または全部を選択した後、入力を検出した最後の位置における操作が長押し操作であるか否かを判断する。長押し操作であると判断する場合(S6においてYES)、選択範囲文字列取得部53は選択範囲に文字が含まれているか否かを判断する(S7)。選択範囲文字列取得部53が、その範囲に文字列が含まれると判断する場合(S7においてYES)、選択範囲に含まれる文字列を取得し(S8)、入力候補生成部55へ取得した文字列を出力する。一方、長押し操作でないと判断する場合(S6においてNO)、および選択範囲に文字列は含まれないと判断する場合(S7においてNO)、再び入力部4がユーザのタッチ操作を待機する(図7における「終了」)。
【0082】
次に、入力候補生成部55は、長押し入力検出部51または選択範囲文字列取得部53から入力された文字列にしたがって、ユーザに一覧提示すべき候補文字列の集合を生成し(S3)、これを候補出力制御部61へ出力する。候補出力制御部61は、制御部5から入力されたタッチ検出の位置情報および入力文字と、入力候補生成部55から入力された候補文字列の集合とから、当該候補文字列を円形に配置して一覧提示する選択インターフェース1を表す出力信号を表示部2に出力し(S9)、制御を制御部5へ戻す。
【0083】
制御部5は、ユーザからのタッチ操作があるまで待機する。ユーザから行われた操作入力が確定キーの押下である場合(S10においてYES)、制御部5は入力文字決定エリア20上の候補文字列を、入力が確定された文字列として文字出力制御部62に出力する。文字出力制御部62は、当該入力文字を表示するための出力信号を表示部2に出力し(S4)、再び入力部4がユーザのタッチ操作を待機する(図7における「終了」)。一方、確定キーの押下でない場合(S10においてNO)、回転操作検出部54はその操作が回転操作に該当するか否かを判断する(S11)。回転操作に該当しないと判断する場合(S11においてNO)、制御部5はその操作がクリアキーの押下であるか否かを判断する(S12)。
【0084】
クリアキーの押下であると判断する場合(S12においてYES)、制御部5は文字出力制御部62に制御を移す。文字出力制御部62は、未確定のまま残されている入力文字を1文字削除する(S13)。同時に、出力制御部6は、入力文字が残っているか否かを判断する(S14)。入力文字が残っている場合は、その文字に対するさらなる操作が可能なため、候補出力制御部61は選択インターフェース1を表示させるための出力信号を、表示部2へ出力することを停止し、長押し入力検出部51へ制御を移す。長押し入力検出部51は、ユーザからキーの長押し操作があるまで待機する(S2)。一方、入力文字が残っていない場合は、再び入力部4がユーザのタッチ操作を待機する(図7における「終了」)。一方、クリアキーの押下であると判断しない場合(S12においてNO)、制御部5は再度ユーザからのタッチ操作があるまで待機する。
【0085】
他方、回転操作検出部54が回転操作に該当すると判断する場合(S11においてYES)、その回転方向と速度とを入力候補生成部55へ出力する。入力候補生成部55は、回転操作に応じて再び入力候補を生成し(S3)、候補出力制御部61が選択インターフェース1を回転させ、入力候補を再表示する(S9)。
【0086】
〔携帯情報端末100の効果〕
表示領域の限られた携帯情報端末100に対して文字入力を行う場合に、入力しようとする文字列を選択できるまでの操作回数をユーザが瞬時に把握できるように、候補文字列を効率よく一覧表示することができるとともに、前記選択の操作は片手で行えるほど単純かつ直感的であるため、ユーザの文字入力の負担は軽くて済む。
【0087】
〔実施の形態2〕
続いて、本発明の実施の形態2について、図8〜図13に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、文字入力装置12を内蔵した電子機器として、携帯情報端末200を想定する。また、実施の形態1と同様に、ソフトウェアキーボードは日本語入力用テンキー21に限られず、予測入力は外国語における入力補完も対象となる。さらに、以下では前述した実施の形態1に追加される構成のみについて説明する。すなわち、実施の形態1で記載された構成等は、実施の形態2にも含まれる。
【0088】
〔概要〕
本実施の形態に係る文字入力装置12の概要について、図9に基づいて説明する。図9は、文字入力装置12を内蔵した携帯情報端末200(図8参照)に表示される、文字入力画面の一例である。
【0089】
前述した実施の形態1においては、選択インターフェース1は表示部2の中央に表示され、その入力文字決定エリア20は選択インターフェース1の中心から垂直上方へ伸ばした線の先(12時の方向)で固定されていた。このように選択インターフェース1の表示位置を固定すると、例えば操作する指示具で選択インターフェースが遮蔽されたり、入力済みの文字列と表示が重なったりすることが考えられ、これにより機器の操作性が悪化するおそれがある。
【0090】
図示されるように、本実施の形態では、選択インターフェース1が表示領域からはみ出さない範囲で、選択インターフェース1と指示具や入力済みの文字列とができるだけ重なって表示されないように、その表示位置を決定する。また、図示のように、入力文字決定エリア20が入力画面における文字入力先となるように、選択インターフェース1における入力文字決定エリア20の配置も決定する。
【0091】
図9(a)は、文頭で「あ」に対応するテンキーを長押しすることにより、「あ」に関係する候補文字列の選択インターフェース1を表示させた入力画面の一例である。ここでは、入力文字決定エリア20が画面左上にある入力先と一致し、かつ選択インターフェース1が上記所定の条件を満たすように選択インターフェース1が表示されるため、選択インターフェース1は画面左上に表示され、入力文字決定エリア20は選択インターフェース1において9時の方向に配置されている。同図(b)は、選択インターフェース1を回転させることにより、候補文字列としてあげられた「暖かい」という文字列が入力文字決定エリア上になるように操作した場合の入力画面の一例である。前述と同様に、選択インターフェース1が画面中央右側に表示され、入力文字決定エリア20は選択インターフェース1において11時の方向に配置されている。
【0092】
同様に、同図(c)では、選択インターフェース1は画面中央右側に表示され、入力文字決定エリア20は2時の方向に配置されている。同図(d)では、選択インターフェース1は画面左下に表示され、入力文字決定エリア20は8時の方向に配置されている。同図(e)では、選択インターフェース1は画面右下に表示され、入力文字決定エリア20は4時の方向に配置されている。
【0093】
なお、所定の条件を満たし得る表示位置が存在しない場合は、あらかじめ決められた位置に選択インターフェース1を表示する。具体的な処理手順は、以下で述べる。
【0094】
〔携帯情報端末200の構成〕
本実施の形態に係る携帯情報端末200の構成について、図8に基づいて説明する。図8は、前記携帯情報端末200の要部構成を示すブロック図である。図示のように、携帯情報端末200は、文字入力装置12、表示部2、および記憶部3を含む。
【0095】
文字入力装置12は、入力部4、制御部5、および出力制御部6を含む。制御部5は、長押し入力検出部51、選択範囲検出部52、選択範囲文字列取得部53、回転操作検出部54、入力候補生成部55、および選択インターフェース表示位置決定部(表示位置決定手段)56を含み、出力制御部6は、候補出力制御部61、および文字出力制御部62を含む。
【0096】
なお、前述と同様に、本実施の形態に直接関係のない部分は構成の説明およびブロック図から省略した。また、入力部と出力部を一体の装置として実現できる点も同様である。さらに、前述した携帯情報端末100に含まれる構成と同一の構成には同一の符号を付すことにより説明を省略するため、選択インターフェース表示位置決定部56が担う機能のみを説明する。
【0097】
選択インターフェース表示位置決定部56は、選択インターフェース1を表示する表示部2における表示位置と、選択インターフェース1における入力文字決定エリア20の配置位置とを決定し、その表示に必要な情報(例えば、選択インターフェース1中心の位置情報)を候補出力制御部61に出力する(位置等を決定する具体的な手順は後述する)。このとき、候補出力制御部61は、制御部5から入力されたタッチ検出の位置情報および入力文字、入力候補生成部55から入力された候補文字列の集合、および選択インターフェース表示位置決定部56から入力された情報に基づいて、選択インターフェース1を表す出力信号を表示部2に出力する。
【0098】
なお、ユーザは選択インターフェース表示位置決定部56の動作/非動作を、設定により切り替えることができる。すなわち、動作を有効化した場合は本実施の形態に示す携帯情報端末200となり、選択インターフェース1の表示位置は入力先に合わせて最適な位置に表示される。一方、動作を無効化した場合は前述した携帯情報端末100となり、選択インターフェース1の表示位置は、例えばあらかじめ設定しておいた位置やユーザが任意に設定した位置に固定されるようにできる。
【0099】
〔選択インターフェース1の表示位置の決定〕
入力画面において、選択インターフェース1を表示する位置を決定する方法について、図10に基づいて説明する。図10(a)は、選択インターフェース1aの中心から垂直上方へ伸ばした線の先(12時の方向)に、入力文字決定エリア20を配置する場合を示したものである。また、同図(b)および(c)は、それぞれ選択インターフェース1bおよび1cの中心から垂直上方へ伸ばした線と、当該中心から入力文字決定エリア20へ伸ばした線との位置関係を、これらの線がなす角θ、θによって示したものである。さらに、同図(d)は、選択インターフェース1の表示位置が、入力文字決定エリア20を中心として、上記なす角によって決定されることを示したものである。なお、以下より、上記なす角の任意の値をθ(0°≦θ<360°)とする。
【0100】
選択インターフェース表示位置決定部56は、まず選択インターフェース1における入力文字決定エリア20を図10(a)に示す配置、すなわちθ=0°の配置で、入力文字決定エリア20が入力画面における文字入力先となるように選択インターフェース1を表示させた場合に、選択インターフェース1が指示具および確定済みの文字列と重複するか否かを判定する。具体的には、なす角θ、文字入力先の位置情報、および選択インターフェース1の半径(または直径)からその表示範囲を特定し、この範囲に含まれるデータを取得する。
【0101】
次に、選択インターフェース1の表示範囲は表示部2の表示範囲に含まれるか否か、当該範囲に指示具が示す位置情報が含まれるか否か、および当該取得したデータに確定済みの文字情報が含まれるか否かの3点を判断する。選択インターフェース1が表示範囲に含まれており、選択インターフェース1を表示する範囲に指示具と確定済みの文字列とが含まれないと判断できる場合、選択インターフェース表示位置決定部56は当該範囲に表示することを決定し、その時点におけるなす角θを候補出力制御部61へ出力する。上記の条件を1つでも満たさない場合、選択インターフェース表示位置決定部56は当該範囲に表示しないことを決定し、θの値を所定の量だけ増やして再度上記3点を判断する。
【0102】
このように、選択インターフェース表示位置決定部56は、θを所定量だけインクリメントしながら上記3点の判断を行い、最初にすべての条件を満たした表示範囲に選択インターフェース1を表示することを決定する。図10(d)は、この決定手順を模式的に示している。
【0103】
なお、いかなるθに対しても上記3つの条件を適当に満たさない場合、選択インターフェース表示位置決定部56は、ユーザに提示する候補文字列の数を所定の数だけ減らし、選択インターフェース1の表示範囲を小さくした上で、再度θ=0°の配置から上記3つの条件を満たすθを探索する。選択インターフェース1の表示範囲を小さくする方法としては、例えば円形で表される選択インターフェース1の直径を所定のポイント数だけ小さくすることが考えられる。このとき、選択インターフェース1が小さくなりすぎないように、直径に対して下限値を設けてもよい。
【0104】
上記のように選択インターフェース1の表示範囲を下限値まで小さくしても、なお上記3つの条件を適当に満たさない場合など、適切なθが発見できないことが考えられる。こうした事態を回避するために、所定の処理でθが決定できない場合は、あらかじめ決められたθで選択インターフェース1を表示してもよい。例えば、表示部2の表示領域を上下左右に4分割したときの左上領域に文字入力先がある場合は、θ=60°(10時の方向)とする。すなわち、左から右へ文字を横書きする場合に、文字入力先に基づいて確定済みの文字列と最も重複が少ないと予想されるθを設定すればよい。同様に、例えば右上領域に文字入力先がある場合は、θ=300°(2時の方向)とする。
【0105】
また、上記において、選択インターフェースの表示範囲に指示具が示す位置情報が含まれる(選択インターフェースと指示具とが重複する)とは、長押しを行った指示具の入力部4に対する接触位置(位置情報)が、当該長押し操作によって表示された選択インターフェースの表示範囲に含まれることをいう。ここで、選択インターフェースと指示具とが重複すると、指示具によって選択インターフェースが遮蔽されて見にくくなり、機器の操作性が悪化するおそれがある。そこで、上記のように、長押しを行った指示具の入力部4に対する接触位置(位置情報)を含まないように、選択インターフェースを表示することにより、指示具との重複を回避することができ、操作性を落とすことがない。
【0106】
また、確定済みの文字列と重複してしまう選択インターフェース1の一部分を、透過表示してもよい。文字が透けて見えることで、文字入力のし易さが向上する。
【0107】
〔入力文字決定エリア20の変形例〕
入力文字決定エリア20の変形例を、図11に基づいて説明する。図11は、入力文字決定エリア20の一例を表す。図示のように、入力文字決定エリア20を選択インターフェース1から飛び出た矩形にすることで、文字入力先と一致させやすい。また、ユーザが文字入力を行っているテキスト行から選択インターフェース1をずらすことができるため、確定済みの文字列との重複部分は少なくて済む。なお、入力文字決定エリア20の形状は、選択インターフェース1から文字の入力先の領域まで突出した形状であればよく、図11のような矩形に限定されない。
【0108】
〔携帯情報端末200が実行する処理〕
携帯情報端末200が実行する処理の流れを、図12に基づいて説明する。図12は、携帯情報端末200が実行する処理の一例を示すフローチャートである。ここで、携帯情報端末200が実行する処理は、図7を参照して説明した携帯情報端末100が実行する処理と大部分が同一であり、同一の処理については同一の符号を付すことにより説明を省略する。したがって、以下では入力候補表示位置決定処理(図12においてS15、および図13)のみ説明する。
【0109】
選択インターフェース表示位置決定部56が実行する入力候補表示位置決定処理の流れを、図13に基づいて説明する。図13は、図12のS15において、選択インターフェース表示位置決定部56が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0110】
選択インターフェース表示位置決定部56は、まずθ=0°として初期化を行う(S21)。次に、設定されたθに基づいて、入力文字決定エリア20が入力画面における文字入力先となるように選択インターフェース1を表示させた場合の表示範囲と、当該範囲に含まれるデータとを取得する(S22)。
【0111】
次に、当該範囲は表示部2の表示範囲に含まれるか否か(S23)、当該範囲に指示具が示す位置情報が含まれるか否か(S24)、および当該取得したデータに確定済みの文字情報が含まれるか否か(S25)を順番に判断する。これらの条件をすべて適当に満たす場合(S23においてYES、S24においてNO、S25においてNO)、その時点でのなす角θを候補出力制御部61に出力する。
【0112】
一方、これらの条件を1つでも適当に満たさない場合(S23においてNO、S24においてYES、S25においてYES)、選択インターフェース表示位置決定部56はθの値を所定量(ここでは、例として1°としている)だけインクリメントする(S26)。そして、θの値が360°でない場合(S27においてNO)、インクリメントしたθに基づいて再度上記の条件を判断する。他方、θの値が360°でこれ以上判断の余地がない場合(S27においてYES)、選択インターフェース表示位置決定部56は、選択インターフェース1の直径を小さくすることでその表示範囲を狭めた上で(S28においてYES)、上記の処理を再度繰り返す。
【0113】
一方、これ以上選択インターフェース1の表示範囲を狭めることができない場合は(S28においてNO)、なす角θにあらかじめ決められた値を設定し(S29)、これを候補出力制御部61に出力する。
【0114】
〔携帯情報端末200の効果〕
表示領域の限られた携帯情報端末200に対して文字入力を行う場合に、入力しようとする文字列を選択できるまでの操作回数をユーザが瞬時に把握できるように、候補文字列を効率よく一覧表示することができる。このとき、一覧表示するための選択インターフェース1の表示位置を、指示具および文字入力先の位置に基づき、入力操作の邪魔にならないような最適な位置とすることができる。また、前記選択の操作は片手で行えるほど単純かつ直感的であるため、ユーザの文字入力の負担は軽くて済む。
【0115】
〔実施の形態3〕
最後に、本発明の実施の形態3について、図14〜図18に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、文字入力装置13を内蔵した電子機器として、携帯情報端末300を想定する。また、実施の形態1と同様に、ソフトウェアキーボードは日本語入力用テンキー21に限られず、予測入力は外国語における入力補完も対象となる。さらに、以下では前述した実施の形態1および2に追加される構成のみについて説明する。すなわち、実施の形態1および2で記載された構成等は、実施の形態3にも含まれる。
【0116】
〔概要〕
本実施の形態に係る文字入力装置13の概要について、図15に基づいて説明する。図15は、文字入力装置13を内蔵した携帯情報端末300(図14参照)に表示される、文字入力画面の一例である。
【0117】
本実施の形態では、各文字種に対応する選択インターフェースをそれぞれ生成し、これらを簡単に切り替えられることをユーザが認識できるように表示する。図示される例では、4種類の文字種にそれぞれ対応する4つの選択インターフェース32〜36を重ねて表示することで、ユーザは異なる文字種に候補文字列があることが把握できる。また、所定の操作にしたがって、入力しようとする文字種に対応する選択インターフェース32〜36を切り替えて使用できることが分かる。
【0118】
ここで、ユーザが文字入力している途中で(未確定の入力文字が存在するときに)、別の文字種に属する文字列を入力するために、当該入力中の文字列を確定させて選択インターフェースの表示を消す必要はない。すなわち、図示される例では、ユーザは「あ」を入力したまま未確定であるが、ここから確定キーを押下して入力を確定させ、文字種を切り替えてから再度入力を行うという多段階の操作は必要ない。図示の状態から別の文字種に対応する選択インターフェースが最前面に表示されるように、簡単な切替操作を行うだけでよい。
【0119】
次に、選択インターフェースの種類について、図16に基づいて説明する。図16は、文字入力装置13において切替可能な選択インターフェースの一例であり、(a)は漢字熟語変換のための選択インターフェース32、(b)は単漢字変換のための選択インターフェース33、(c)は英数字と記号のための選択インターフェース34、(d)は英語入力のための選択インターフェース35、および(e)は中国語入力のための選択インターフェース36を表す。同図で例示されるように、文字種で分類して候補文字列を提示することにより、ユーザは入力しようとする文字種へ切り替えられることが直感的に把握できることに加え、各候補文字列へアクセスするために必要な操作負担を増やすことなく、より多くの候補文字列を提示することができる。ただし、候補文字列を分類する基準は文字種に限定されず、任意の基準で分類できる。
【0120】
なお、ここで文字種とは、各言語で使用される文字(例えば、日本語の場合はひらがな、カタカナ、および漢字、英語の場合はアルファベット、中国語の場合はピンイン文字である)、数字、記号などの種類をいう。
【0121】
〔携帯情報端末300の構成〕
本実施の形態に係る携帯情報端末300の構成について、図14に基づいて説明する。図14は、前記携帯情報端末300の要部構成を示すブロック図である。図示のように、携帯情報端末300は、文字入力装置13、表示部2、および記憶部3を含む。
【0122】
文字入力装置13は、入力部4、制御部5、および出力制御部6を含む。制御部5は、長押し入力検出部51、選択範囲検出部52、選択範囲文字列取得部53、回転操作検出部54、入力候補生成部55、および入力文字種切替部(候補文字列群切替手段)57を含み、出力制御部6は、候補出力制御部61、および文字出力制御部62を含む。
【0123】
なお、前述と同様に、本実施の形態に直接関係のない部分は構成の説明およびブロック図から省略した。また、入力部と出力部を一体の装置として実現できる点も同様である。さらに、前述した携帯情報端末100に含まれる構成と同一の構成には同一の符号を付すことにより説明を省略するため、入力文字種切替部57が担う機能のみを説明する。
【0124】
入力文字種切替部57は、ユーザによる切り替え操作を検出し、これに基づいて複数ある選択インターフェース1を切り替え、切り替えられた文字種についての情報を入力候補生成部55へ出力する。このとき、入力候補生成部55は、文字種についての情報に基づいて、これに対応する候補文字列を候補出力制御部61へ出力する。
【0125】
なお、ユーザは入力文字種切替部57の動作/非動作を、設定により切り替えることができる。すなわち、動作を有効化した場合は本実施の形態に示す携帯情報端末300となり、それぞれの文字種に対応する選択インターフェース32〜36が切り替え可能なように表示される。一方、動作を無効化した場合は前述した実施の形態1に示す携帯情報端末100となり、異なる文字種の候補文字列が単一の選択インターフェース1上に混在して提示される。
【0126】
また、ユーザが回転操作を行うことにより、ある選択インターフェースにおいて最後尾に位置する候補文字列が入力文字決定エリア20を通過した後は、自動的に後続の選択インターフェースへ切り替わるようにしてもよい。言い換えれば、入力文字種切替部57は、ユーザから明示的な切替操作を検出しなくとも、操作中の選択インターフェースの候補文字列がすべて提示されたときは、別の文字種に対応する選択インターフェースへ切り替えるようにできる。または、実施の形態1で例示したように、同じ選択インターフェース内の先頭に位置する候補文字列を再提示してもよいし、最後尾の候補文字列より後へは順方向の回転操作を禁止するようにしてもよい。こうした動作は、ユーザが任意に設定できる。
【0127】
〔異なる文字種が存在することの明示〕
異なる文字種が存在することをユーザへ明示する別の方法について、図17に基づいて説明する。図17は、各選択インターフェース32〜36に、文字種を示す記号がタグ(標識情報)37に表示されており、所望のタグ37を選択すると、そのタグ37に対応する選択インターフェースに切り替えられることを表す。これにより、各文字種に対応する選択インターフェースが存在し、これらを簡単に切り替えられることをユーザは認識できる。
【0128】
すなわち、候補文字列が文字種を基準にして複数の選択インターフェース32〜36に分類されており、これらを切り替えて入力可能であることがユーザに示すことができればよく、図17に例示したタグによるデザインだけでなく、さまざまな設計が考えられる。
【0129】
〔文字種の切り替え操作〕
選択インターフェース32〜36の切り替え操作は、入力文字種切替部57が検出可能な信号と対応付けられたものであれば何でもよい。例えば、タッチパネル(表示部2、入力部4)を素早く弾く(いわゆるフリック)操作により切り替えてもよいし、携帯情報端末300が加速度センサを備える場合は端末本体を振る(いわゆるシェイク)操作により切り替えてもよい。これらの場合、フリックやシェイクの方向と、切り替え方向とを適当に対応付けることにより、順方向/逆方向の切り替えを設定することもできる。
【0130】
また、どの文字種へ切り替えできるように表示するかについても設定できる。例えば、ユーザは漢字熟語変換、単漢字変換、英数字と記号、英語、中国語など、文字入力装置13で入力可能な文字種のうち、実際の入力操作においていずれを切替可能とするかを、任意の画面から設定できるようにしてもよい。
【0131】
〔携帯情報端末300が実行する処理〕
携帯情報端末300が実行する処理の流れを、図18に基づいて説明する。図18は、携帯情報端末300が実行する処理の一例を示すフローチャートである。ここで、携帯情報端末300が実行する処理は、図7を参照して説明した携帯情報端末100が実行する処理と大部分が同一であり、同一の処理については同一の符号を付すことにより説明を省略する。したがって、以下では入力文字種切替部57が行う処理(図18においてS16、およびS17)のみ説明する。
【0132】
回転操作検出部54は、ユーザによる操作が回転操作に該当しないと判断する場合(S11においてNO)、入力文字種切替部57へ制御を移す。入力文字種切替部57は、当該操作が入力文字種の変更を行う操作に該当すると判断する場合(S16においてYES)、変更を指定された文字種に対応する信号を入力候補生成部55へ出力し(S17)、これに制御を移す。
【0133】
一方、入力文字種切替部57は、当該操作が入力文字種の変更を行う操作に該当しないと判断する場合(S16においてNO)、その操作がクリアキーの押下であるか否かを判断するために(S12)、制御部5へ制御を移す。
【0134】
〔文字入力装置300の効果〕
表示領域の限られた携帯情報端末300に対して文字入力を行う場合に、入力しようとする文字列を選択できるまでの操作回数をユーザが瞬時に把握できるように、候補文字列を効率よく一覧表示することができる。この一覧表示では、文字種を分類の基準にして候補文字列が複数の選択インターフェース32〜36に分類されており、これらを切り替えて入力可能であることをユーザに示すことができる。前記選択の操作、および前記切り替えの操作は片手で行えるほど単純かつ直感的であるため、ユーザの文字入力の負担は軽くて済む。
【0135】
〔ソフトウェアによる実現例〕
最後に、文字入力装置11、文字入力装置12、および文字入力装置13の各ブロック、特に制御部5は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0136】
後者の場合、文字入力装置11、文字入力装置12、および文字入力装置13は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである文字入力装置11、文字入力装置12、および文字入力装置13の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記文字入力装置11、上記文字入力装置12、および上記文字入力装置13に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0137】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0138】
また、文字入力装置11、文字入力装置12、および文字入力装置13を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、文字入力が必要となる電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0140】
1 選択インターフェース
2 表示部
3 記憶部
4 入力部(入力面)
5 制御部(文字列確定手段)
6 出力制御部
7 操作スイッチ
8 キー入力部
11 文字入力装置
12 文字入力装置
13 文字入力装置
20 入力文字決定エリア
21 日本語入力用テンキー
22 入力画面
31 選択インターフェース
32 選択インターフェース
33 選択インターフェース
34 選択インターフェース
35 選択インターフェース
36 選択インターフェース
37 タグ(標識情報)
51 長押し入力検出部(操作検出手段)
52 選択範囲検出部(選択範囲検出手段)
53 選択範囲文字列取得部(選択範囲文字列取得手段)
54 回転操作検出部(操作検出手段)
55 入力候補生成部(候補文字列表示手段)
56 選択インターフェース表示位置決定部(表示位置決定手段)
57 入力文字種切替部(候補文字列群切替手段)
61 候補出力制御部(候補文字列表示手段)
62 文字出力制御部
100 携帯情報端末
200 携帯情報端末
300 携帯情報端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが入力した文字列に基づいて、確定文字列の候補として推測した複数の候補文字列を、当該複数の候補文字列から確定文字列をユーザが選択可能に表示する文字入力装置であって、
入力面に対してユーザが行った閉曲線状の軌跡の入力操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段が検出した前記閉曲線状の軌跡の入力操作と連動して、入力文字決定エリアに表示する1つの候補文字列を順次入れ替えながら、前記複数の候補文字列を表示する候補文字列表示手段と、
前記確定文字列を選択するユーザの操作があったとき、前記候補文字列表示手段が前記入力文字決定エリアに表示している候補文字列を前記確定文字列とする文字列確定手段とを備えるとともに、
少なくとも1つの前記候補文字列をそれぞれ含む複数の候補文字列群から、1つの候補文字列群を選択する候補文字列群切替手段を備え、
前記候補文字列表示手段は、前記候補文字列群切替手段によって選択された候補文字列群から、表示する前記複数の候補文字列を抽出することを特徴とする文字入力装置。
【請求項2】
前記候補文字列群は文字種ごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記候補文字列群切替手段は、ユーザが行った前記入力面を素早く弾く操作を検出したとき、前記候補文字列群を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
前記候補文字列表示手段は、前記候補文字列群切替手段によって選択された候補文字列群から抽出した前記複数の候補文字列とともに、他の候補文字列群を示す標識情報を、該標識情報をユーザが選択することにより、前記候補文字列表示手段が前記複数の候補文字列を抽出する候補文字列群を、該標識情報が示す候補文字列群に切り替え可能に表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の文字入力装置。
【請求項5】
ユーザが入力した文字列に基づいて、確定文字列の候補として推測した複数の候補文字列を、当該複数の候補文字列から確定文字列をユーザが選択可能に表示する文字入力装置の制御方法であって、
入力面に対してユーザが行った閉曲線状の軌跡の入力操作を検出する操作検出ステップと、
前記操作検出ステップにて検出した前記閉曲線状の軌跡の入力操作と連動して、入力文字決定エリアに表示する1つの候補文字列を順次入れ替えながら、前記複数の候補文字列を表示する候補文字列表示ステップと、
前記確定文字列を選択するユーザの操作があったとき、前記候補文字列表示ステップにて前記入力文字決定エリアに表示している候補文字列を前記確定文字列とする文字列確定ステップとを含むとともに、
少なくとも1つの前記候補文字列をそれぞれ含む複数の候補文字列群から、1つの候補文字列群を選択する候補文字列群切替ステップを含み、
前記候補文字列表示ステップにて、前記候補文字列群切替ステップにて選択された候補文字列群から、表示する前記複数の候補文字列を抽出することを特徴とする文字入力装置の制御方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の文字入力装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを前記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−3803(P2013−3803A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133653(P2011−133653)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】