説明

文字情報照会システム及び文字情報照会方法

【課題】 医療情報識別子と文字種識別子とを関連付けたデータベースを備え、そのデータベースを参照してクライアント端末が受信可能となるように文字種をサーバが変換する構成としたので、文字化けなどが生じることなく各クライアント端末で医療情報を認識できる文字情報照会システムを提供する。
【解決手段】 複数のクライアント端末2と共にネットワーク接続された文字情報管理サーバ1は、医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それらに対応した複数の文字種の医療情報とが記憶されたデータベース14と、クライアント端末2から送信された医療情報識別子及び文字種識別子に基づき、データベース14を検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得し、その医療情報を当該クライアント端末2に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設等における各種医療情報を含んだ文字データを扱うシステムに関するもので、特に、ネットワーク上の複数の装置間で複数種類の文字データのやり取りを行う文字情報照会システム及び文字情報照会方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療施設内のIT化及び使用される機器のシステム化にともない、各種医療情報をネットワーク上の複数(特にマルチベンダ)の装置(モダリティ)間で交換し、かつ各々の装置上で必要な処理が正しく行われることが求められている。
【0003】
前記装置において処理される情報には多くの文字データが含まれているが、それら文字データには、ASCII文字、半角カナ、漢字、ひらがな、カタカナなど複数の文字種が使用され得る。
【0004】
文字の符号化には複数のコード体系が存在し、HL7(Health Level Seven)やDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)等の医療情報の標準規格においても、複数の文字種(文字コード)の使用が認められており、ネットワーク上の複数の装置間でこれらのデータを通信する仕組みが定義されている。
【0005】
また、IHE(Integrating the Healthcare Enterprise)では、HIS(病院情報システム)、RIS(放射線部門情報システム)、モダリティ、PACSといった役割の異なる各種装置間でも、医療情報をシームレスに伝達し合うことが提唱されており、IHE Technical Framework(Revision 5.5)には、前記HL7及びDICOMでの定義に基づいて各種文字情報が扱われることが明記されている。
【0006】
以上のような定義によって、各種文字コードを含むデータをネットワーク上で通信することは可能とされていながらも、現状では、医療施設内で使用されている各種装置が扱える文字種(文字コード)が制限されている。
【0007】
従って、所定の文字コードを含む医療情報について、一の装置では当該文字コードを認識するが、他の装置では当該文字コードを認識しないといった問題が生じてくる。このような場合、前記一の装置から送信された当該医療情報を前記他の装置が受信すると、前記他の装置において正しい処理が行われないという問題がある。具体的には、前記他の装置において、必要な情報を認識できなかったり、表示できなかったり、その他の装置に対して適正に当該医療情報を伝達できないといった重大な問題が発生する。
【0008】
例えば、ASCII文字等のシングルバイト文字しかサポートしていない一の装置が、漢字等のマルチバイト文字を含むデータを受信した場合、必要な情報が正しく表示されず(いわゆる文字化け)、検査の実施や結果参照等の医療行為に支障をきたすばかりか、誤認により重大な医療ミスを引き起こす恐れもある。
【0009】
また、ユーザが、前記一の装置を用いて「好み」の文字種で医療情報を参照したくても、その文字種について当該装置が対応していなければ、表示することは不可能であった。
【0010】
例えば、ユーザが患者名を漢字で参照したい場合であっても、受信した医療情報としての患者名がASCII文字のみの場合には、装置上で表示される患者名はASCII文字表記のみとなる。
【0011】
このような問題を解決するために、端末間において文字情報(文字種)を変換することができる医療画像検索システムが開示されている(例えば、特許文献1)。
【0012】
【特許文献1】特開2000−285129号公報(段落〔0015〕−〔0032〕、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、検索要求元及び画像データベース(アーカイブ装置)が使用する各文字種に適応するように、画像プロキシ装置が文字種の変換を行っている。また、文字情報の変換方法について具体的に記載されていないが、カナ文字とローマ字の変換にはいくつかの方式があり、例えば、「シ」を「SHI」と表記する場合や、「SI」と表記する場合といったように、変換される文字が異なるという問題がある。
【0014】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、各装置が扱える文字種の制限により、受信した医療情報が正しく処理できない、もしくは、ユーザの好みの文字種で表示されないといった問題を、文字種毎に対応するデータベースを複数設けることなく解決することによってコスト低減を実現する文字情報照会システム及び文字情報照会方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための、請求項1記載の発明に係る文字情報照会システムは、文字情報管理サーバと複数のクライアント端末とがネットワーク接続され、前記クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行う文字情報照会システムであって、前記文字情報管理サーバは、前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースと、クライアント端末から送信された医療情報識別子及び文字種識別子に基づいて、前記データベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得する検索手段とを備え、取得した医療情報を当該クライアント端末に送信することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するための、請求項2記載の発明に係る文字情報照会システムは、請求項1に記載の文字情報照会システムにおいて、前記クライアント端末は、前記ネットワークを介して、文字情報としての医療情報を特定する医療情報識別子を他のクライアント端末から送受信する通信手段と、受信した医療情報に文字情報が含まれているか否かを判定する判定手段と、受信した医療情報に文字情報が含まれていると、前記判定手段により判定された場合に、他のクライアント端末から送信された医療情報に対して、文字種を選択するための処理文字種選択手段と、医療情報識別子と選択された文字種識別子とに基づいて前記文字情報管理サーバに医療情報の検索を要求し、その検索結果として受信した医療情報を他のクライアント端末に送信する際に、送信する医療情報の文字種を選択する送信文字種選択手段とを有することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するための、請求項3記載の発明に係る文字情報照会システムは、文字情報管理サーバと複数のクライアント端末とがネットワーク接続され、前記文字情報管理サーバを介して前記クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行う文字情報照会システムであって、前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースと、クライアント端末の識別情報及びそのクライアント端末が認識可能な文字種を組み合わせたテーブルとが前記文字情報管理サーバに設けられ、前記文字情報管理サーバは、一のクライアント端末から送信された医療情報識別子の送信先を特定する送信ヘッダに基づいて前記テーブルを検索することによって送信先である他のクライアント端末の識別情報及びその他のクライアント端末が認識可能な文字種識別子を特定すると共に、その文字識別子及び前記医療情報識別子に基づいて前記データベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得する検索手段とを備え、取得した医療情報を前記他のクライアント端末に送信することを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するための、請求項4記載の発明に係る文字情報照会システムは、請求項1〜3の何れかに記載の文字情報照会システムにおいて、前記医療情報識別子が、医療情報としての患者を特定する患者IDであることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するための、請求項5記載の発明に係る文字情報照会システムは、請求項1〜3の何れかに記載の文字情報照会システムにおいて、前記医療情報識別子が、医療情報としての検査部位を特定する部位コードであることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するための、請求項6記載の発明に係る文字情報照会方法は、クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行うために、複数のクライアント端末と共にネットワーク接続された前記文字情報管理サーバが、クライアント端末から送信された医療情報識別子及び文字種識別子に基づいて、前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得し、その取得した医療情報を当該クライアント端末に送信することを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するための、請求項7記載の発明に係る文字情報照会方法は、クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行うために、複数のクライアント端末と共にネットワーク接続された前記文字情報管理サーバが、一のクライアント端末から送信された医療情報識別子の送信先を特定する送信ヘッダに基づいて、クライアント端末の識別情報及びそのクライアント端末が認識可能な文字種を組み合わせたテーブルを検索することによって送信先である他のクライアント端末の識別情報及びその他のクライアント端末が認識可能な文字種識別子を特定すると共に、その文字識別子及び前記医療情報識別子に基づいて、前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得し、取得した医療情報を前記他のクライアント端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、医療情報識別子と文字種識別子とを関連付けたデータベースを備え、そのデータベースを参照してクライアント端末が受信可能となるように文字種をサーバが変換する構成としたので、文字種毎に対応するデータベースを複数設けることなく、低コストで正確に処理することが可能となる。また、各装置のユーザが好みの文字種で情報を参照することが可能となる。結果として、ユーザのストレス軽減や医療ミスの低減などへの効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る文字情報照会システムの第1の実施形態における文字情報管理サーバとクライアント端末との構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明に係る文字情報照会方法の第1の実施形態における動作を示すフローチャートである。
【0025】
図1に示すように、本発明に係る医療文字情報照会システムは、医療施設内の情報ネットワーク上に構築され、文字情報管理サーバ1(以下、サーバ1と称する)と、文字情報照会クライアント端末2(以下、クライアント端末2と称する)から構成される。
【0026】
サーバ1は、ネットワーク5に対して各種情報を送受信する通信手段11と、データ検索手段12と、データ管理手段13と、データベース14と、データ入力手段15とを有し、データ検索手段12及びデータ管理手段13がCPU20を構成する。
【0027】
また、クライアント2は、ネットワーク5に対して各種情報を送受信する通信手段21と、処理文字種選択手段22と、データ処理手段23と、送信文字種選択手段24と、判定手段25とを有し、処理文字種選択手段22、データ処理手段23、送信文字種選択手段24及び判定手段25がCPU20を構成する。
【0028】
サーバ1は、単独の機器として設置することも可能であるが、病院情報システム(HIS)や各部門情報システム(RIS等)の機能を持つ機器にバンドルされてもよい。
【0029】
クライアント端末2は、CTや、MRIなどのモダリティ装置、画像参照用ワークステーション、レポート作成システム、画像管理サーバ、HISやRIS等の情報システム等、医療情報を扱うあらゆる機器内に設置することが可能である。
【0030】
以下、本発明に係る医療文字情報照会方法の動作について図2を参照して説明する。図2に示すように、本発明に係る医療文字情報照会方法は、各種医用機器が扱うあらゆる文字データを有する医療情報に対して適用可能であるが、本実施形態の説明では、医療情報として「患者名」を例にとって説明する。
【0031】
(準備過程)
まず、サーバ1のデータ入力手段15により、患者名が複数の文字種で入力され、データ管理手段13によって管理されるデータベース14に登録される(S1)。具体的には、患者を特定する患者ID(本請求項にいう医療情報識別子)に対して複数の文字種で患者名(本請求項にいう医療情報)が入力されることとなり、文字種の異なる患者名毎に文字種ID(本請求項にいう文字種識別子)が割り当てられている。
【0032】
本実施形態では、データ入力手段15を用いて、「Yamada^Taro(ASCII文字)」、「ヤマダ^タロウ(半角カナ)」、「やまだ^たろう(ひらがな)」、「ヤマダ^タロウ(カタカナ)」及び「山田^太郎(漢字)」がデータベース14に登録されるものとする。
【0033】
ここで、キャラット文字(^)は「姓」と「名」の区切りを表すものとする。また、患者を一意に識別するための医療情報識別子として「患者ID」も併せて登録する。本実施形態では、上記患者に対して患者ID「19991210」が登録されるものとする。
【0034】
また、前記データベース14に登録される各文字種に応じて、文字種識別子も登録される。例えば、「ISO_IR_6(ASCII)」、「ISO_IR_13(半角カナ)」、「ISO_2022_IR_87_H(ひらがな)」、「ISO_2022_IR_87_K(カタカナ)」及び「ISO_2022_IR_87_KN(漢字)」というように、各文字種に対して文字種識別子が割り当てられる。
【0035】
次に、クライアント端末2aの通信手段21がネットワーク5を経由するか又はオフラインで医療情報を受信する(S2)。
【0036】
次に、受信した医療情報に文字情報(本実施形態では患者名)が含まれているか否かをクライアント2aの判定手段25が判定し、この判定手段25により当該医療情報に文字情報(本実施形態では患者名)が含まれていた場合には、処理文字種選択手段22によって文字種が選択される(S3)。
【0037】
選択する文字種は設定により医療情報の項目毎に予め決めておいても良いし、処理可能な文字種の中から任意の文字種をユーザに選択させるようにしてもよい。
【0038】
本実施形態では、受信した医療情報「ヤマダ^タロウ(半角カナ)」に対し、文字種として「ASCII文字」が選択されたものとする。
【0039】
ここで、受信した医療情報(半角カナのみ)にASCII文字が含まれていないことから、通信手段21は、必要なキーワード(本実施形態では、患者を一意に識別する医療情報識別子としての患者ID「19991210」)と、文字種を表す識別子(本実施形態では、ASCII文字を識別する文字種ID「ISO_IR_6」)を検索条件として、サーバ1に医療情報の検索要求を送信する(S4)。
【0040】
クライアント端末2aから送られた検索要求は、サーバ1の通信手段11によって受信され(S5)、当該要求に含まれた検索条件(本実施形態では患者ID「19991210」及び文字種ID「ISO_IR_6」)がデータ検索手段12へ伝えられる。
【0041】
データ検索手段12は、与えられた検索条件を元にデータ管理手段13によって管理されるデータベース14を検索する(S6)。本実施形態では、患者名データ「Yamada^Taro(ASCII文字)」が検索結果として得られたものとする。その検索のプロセスとしては、まず、患者ID「19991210」で分類される項目を検索し、次にその分類の中の文字種ID「ISO_IR_6」を見に行き、該当する患者名「Yamada^Taro」を取得するのである。
【0042】
その後、検索結果としての医療情報は、通信手段11によってクライアント端末2aへ送信される(S7)。サーバ1から送信された検索結果は、クライアント端末2aの通信手段21によって受信され、当該検索結果としての医療情報を表示する(S8)等、データ処理手段23によって処理される。
【0043】
さらに、該当する医療情報(本実施形態では患者名)を他の装置に送信する場合(S9−Yes)には、送信文字種選択手段24によって文字種が選択される(S10)。
【0044】
選択する文字種は、受信したオリジナルデータのままか、データ処理手段23が処理した文字種のどちらかを選択でき、どちらを選択するかは設定により医療情報の項目毎に予め決めておいても良いし、その場でユーザに選択させるようにすることもできる。
【0045】
本実施形態では、受信したオリジナルデータ「ヤマダ^タロウ(半角カナ)」が選択されたものとする。
【0046】
通信手段11は、該当する医療情報(本実施形態では患者名)を、送信文字種選択手段24によって選択された文字種(本実施形態では半角カナ)で、クライアント端末2bに送信する(S11)。
【0047】
以降、医療情報は、複数のクライアント端末2a,2b間でやり取りされるが、サーバ1は複数のクライアント端末2a,2bからの要求に1台で応えられるようになっているものとする。
【0048】
半角カナの文字種が選択された医療情報を受信(S12)したクライアント端末2bは、ユーザが処理文字種選択手段22を用いることによって文字種が選択される(S13)。
【0049】
この場合においても、選択する文字種は設定により医療情報の項目毎に予め決めておいても良いし、処理可能な文字種の中から任意の文字種をユーザに選択させるようにしてもよい。
【0050】
本実施形態では、受信した医療情報「ヤマダ^タロウ(半角カナ)」に対し、文字種として「漢字」が選択されたものとする。
【0051】
すなわち、受信した医療情報(半角カナ)に漢字が含まれていないことから、クライアント端末2bの通信手段21は、必要なキーワード(本実施形態では、患者を一意に識別する医療情報識別子としての患者ID「19991210」)と、文字種を表す識別子(本実施形態では、漢字を識別する文字種ID「ISO_2022_IR_87_KN」)を検索条件として、サーバ1に医療情報の検索要求を送信する(S14)。
【0052】
クライアント端末2bから送られた検索要求は、サーバ1の通信手段11によって受信され(S15)、当該要求に含まれた検索条件(本実施形態では患者ID「19991210」及び文字種ID「ISO_2022_IR_87_KN」)がデータ検索手段12へ伝えられる。
【0053】
データ検索手段12は、与えられた検索条件を元にデータ管理手段13によって管理されるデータベース14を検索する(S16)。本実施形態では、患者名データ「山田^太郎(漢字)」が検索結果として得られたものとする。その検索のプロセスとしては、まず、患者ID「19991210」で分類される項目を検索し、次にその分類の中の文字種ID「ISO_2022_IR_87_KN」を見に行き、該当する患者名「山田^太郎」を取得するのである。
【0054】
その後、検索結果としての医療情報は、通信手段11によってクライアント端末2bへ送信される(S17)。サーバ1から送信された検索結果は、クライアント端末2bの通信手段21によって受信され、当該検索結果としての医療情報を表示する(S18)等、データ処理手段23によって処理される。
【0055】
このようにして、複数のクライアント端末2間で医療情報を送受信する際、受信した医療情報が、当該クライアント端末2で認識できない文字種であった場合に、受信した医療情報の医療情報識別子と、当該クライアント端末2で認識できる文字種(文字種識別子)とをサーバ1に送信し、当該クライアント端末2で認識可能な医療情報をサーバ1から受信するようにしたので、受信した医療情報が正しく処理できない、又は、ユーザの好みの文字種で表示されない、といった問題を解決することができる。特に、本発明では、当該問題を解決するにあたり、文字種毎に対応するデータベースを複数設ける構成としていないので、コスト低減を実現することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
図3は、本発明に係る文字情報照会システムの第2の実施形態の構成を示すブロック図である。また、図4は、本発明に係る文字情報照会方法の第2の実施形態における動作を示すフローチャートである。本実施形態は、上述の実施形態のように、クライアント端末2からの要求に応じてサーバ1が文字種の変換を行うのではなく、医療情報を送受信するクライアント端末2間に介在するゲートウェイ装置を備えた構成としている。
【0057】
図3に示すように、本実施形態では、漢字データを扱うことのできる漢字対応機器3(例えば、RIS3)と、漢字データを扱うことのできない漢字非対応機器4(例えば、画像検査装置4)との間で、検査部位に関する情報をやり取りする場面を想定する。
【0058】
サーバ1のデータベース14には、検査部位を識別するコードと、それに対する文字データである部位名称がASCII文字と漢字でそれぞれ登録されているものとする。
【0059】
漢字対応機器3から依頼検査部位情報を漢字非対応機器4に送信する場合、漢字対応機器3の画面上では依頼検査部位「胸部」が漢字で正しく表示されるが、当該文字データ(医療情報)をそのまま漢字非対応機器4に送信しても、漢字非対応機器4の画面上では漢字が表示できない。
【0060】
そこで、漢字非対応機器4に直接送信せずに、文字情報照会クライアントゲートウェイ100(以下、ゲートウェイ100)を介して送信する。以下、データの流れについて図3及び図4を参照して説明する。ここで、ゲートウェイ100は、クライアント端末2と同様の端末である。
【0061】
図3及び図4に示すように、まず、検査部位「胸部」と、それを一意に識別する部位コード「251200」が、漢字対応機器3からゲートウェイ100に送信される(S21)。この「部位コード」が本発明における医療情報識別子に該当し、「検査部位」が医療情報に該当する。
【0062】
ゲートウェイ100のCPU101は、これらの情報を受信したことを契機に、当該情報のヘッダを参照して宛先(すなわち、漢字非対応機器4)を特定すると共に、ゲートウェイ100のデータベース102に格納されている「文字種変換テーブル」を参照して、漢字非対応機器4へ送信するデータの文字種はASCIIであると判断する(S22)。ここで、前記ヘッダは、データの先頭に付加されるデータ自体に関する情報である。例えば、データがパケットという単位に分割されて送受信された場合、当該パケットの先頭には送信元や送信先、パケットの大きさなど、パケット自体に関する情報が付加される。このパケットの先頭に付加される情報がヘッダである。
【0063】
その後、このようにして特定された部位コード「251200」とASCII文字の文字種ID「ISO_IR_6」とをキーとしてサーバ1に検索要求を送信する(S23)。
【0064】
ここで、前記文字変換ルールとは、ゲートウェイ100に接続された各クライアント端末2の識別情報と、各クライアント端末2が認識する文字種とを関連付けたテーブルであり、データベース102に予めユーザによって入力される情報である。
【0065】
なお、漢字対応機器3からゲートウェイ100に送信される情報としては、「医療情報識別子」である「部位コード」のみでよいが、送信元のクライアント端末2(漢字対応機器3及び漢字非対応機器4を含む)が「文字種変換テーブル」に含まれていない場合もあるので、そのテーブル情報としての情報量を充実させるために、「部位コード」と共に「検査部位」又は「文字種ID」が送信されることが好ましい。
【0066】
サーバ1は、検索要求を受信すると、与えられたキーから検査部位名称「CHEST」を検索し、検索結果としての医療情報をゲートウェイ100に送信する(S24)。
【0067】
ゲートウェイ100は、検索結果として受信した医療情報を本来の受け取り先である漢字非対応機器4へ送信する(S25)。
【0068】
漢字非対応機器4は、ASCII文字で表記された検査部位「CHEST」を正しく表示することができる(S26)。
【0069】
さらに、漢字非対応機器4から漢字対応機器3へ検査部位としての医療情報を送信する場合には、ASCII文字で表記された検査部位「CHEST&ABDOMEN」を漢字対応機器3に直接送信せずに、ゲートウェイ100を介して送信する。
【0070】
すなわち、検査部位「CHEST&ABDOMEN」とそれを一意に識別する部位コード「301612」が、漢字非対応機器4からゲートウェイ100に送信される(S27)。
【0071】
ゲートウェイ100のCPU101は、これらの情報を受信したことを契機に、当該情報のヘッダを参照して宛先(漢字対応機器3)を特定すると共に、データベース102に予め格納されている「文字種変換テーブル」により、漢字対応機器3へ送信するデータの文字種は漢字であると判断する(S28)。
【0072】
その後、このようにして特定された部位コード「301612」と漢字の文字種ID「ISO_2022_IR_87_KN」とをキーとしてサーバ1に検索要求を送信する(S29)。
【0073】
サーバ1は、検索要求を受信すると、与えられたキーから検査部位名称「胸腹部」を検索し、検索結果としてゲートウェイ100に送信する(S30)。
【0074】
ゲートウェイ100は、検索結果として受信した医療情報を本来の受け取り先である漢字対応機器3へ送信する(S31)。漢字対応機器3は、実施検査部位「胸腹部」を漢字で表示することができる(S32)。
【0075】
本実施形態では、サーバ1とゲートウェイ装置100とを別体としたが、ゲートウェイ装置100の機能をサーバ1が備えてもよい。具体的には、ゲートウェイ装置100のCPU101の機能をサーバ1のCPU10が担い、データベース102に記憶された文字種変換テーブルがデータベース14に記憶されてもよい。
【0076】
上述の各実施形態は、本発明の一例であり、本発明は各実施の形態に限定されることはない。上述の各実施の形態では、文字データとしてそれぞれ「患者名」「検査部位名称」を例にとって説明したが、本発明の適用範囲はこれらに限るものではなく、あらゆる文字データに適用でき、本発明によって得られる効果と同様な効果を得ることができる。また、この他であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る文字情報照会システムの第1の実施形態における構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る文字情報照会方法の第1の実施形態におけるサーバとクライアント端末とのデータのやり取りを示すフローチャート。
【図3】本発明に係る文字情報照会システムの第2の実施形態における構成を示すブロック図。
【図4】本発明に係る文字情報照会方法の第2の実施形態におけるゲートウェイ装置とクライアント端末とのデータのやり取りを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0078】
1 文字情報管理サーバ
2 クライアント端末
3 漢字対応機器
4 漢字非対応機器
5 ネットワーク
10 CPU
11 通信手段
12 データ検索手段
13 データ管理手段
14 データベース
15 データ入力手段
21 通信手段
22 処理文字種選択手段
23 データ処理手段
24 送信文字種選択手段
25 判定手段
100 ゲートウェイ装置
101 CPU
102 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字情報管理サーバと複数のクライアント端末とがネットワーク接続され、前記クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行う文字情報照会システムであって、
前記文字情報管理サーバは、
前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースと、
クライアント端末から送信された医療情報識別子及び文字種識別子に基づいて、前記データベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得する検索手段とを備え、取得した医療情報を当該クライアント端末に送信することを特徴とする文字情報照会システム。
【請求項2】
前記クライアント端末は、
前記ネットワークを介して、文字情報としての医療情報を特定する医療情報識別子を他のクライアント端末から送受信する通信手段と、
受信した医療情報に文字情報が含まれているか否かを判定する判定手段と、
受信した医療情報に文字情報が含まれていると、前記判定手段により判定された場合に、他のクライアント端末から送信された医療情報に対して、文字種を選択するための処理文字種選択手段と、
医療情報識別子と選択された文字種識別子とに基づいて前記文字情報管理サーバに医療情報の検索を要求し、その検索結果として受信した医療情報を他のクライアント端末に送信する際に、送信する医療情報の文字種を選択する送信文字種選択手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の文字情報照会システム。
【請求項3】
文字情報管理サーバと複数のクライアント端末とがネットワーク接続され、前記文字情報管理サーバを介して前記クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行う文字情報照会システムであって、
前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースと、
クライアント端末の識別情報及びそのクライアント端末が認識可能な文字種を組み合わせたテーブルとが前記文字情報管理サーバに設けられ、
前記文字情報管理サーバは、
一のクライアント端末から送信された医療情報識別子の送信先を特定する送信ヘッダに基づいて前記テーブルを検索することによって送信先である他のクライアント端末の識別情報及びその他のクライアント端末が認識可能な文字種識別子を特定すると共に、その文字識別子及び前記医療情報識別子に基づいて前記データベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得する検索手段とを備え、取得した医療情報を前記他のクライアント端末に送信することを特徴とする文字情報照会システム。
【請求項4】
前記医療情報識別子が、医療情報としての患者を特定する患者IDであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の文字情報照会システム。
【請求項5】
前記医療情報識別子が、医療情報としての検査部位を特定する部位コードであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の文字情報照会システム。
【請求項6】
クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行うために、複数のクライアント端末と共にネットワーク接続された前記文字情報管理サーバが、
クライアント端末から送信された医療情報識別子及び文字種識別子に基づいて、
前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得し、その取得した医療情報を当該クライアント端末に送信することを特徴とする文字情報照会方法。
【請求項7】
クライアント端末間で文字情報としての医療情報の送受信を行うために、複数のクライアント端末と共にネットワーク接続された前記文字情報管理サーバが、
一のクライアント端末から送信された医療情報識別子の送信先を特定する送信ヘッダに基づいて、クライアント端末の識別情報及びそのクライアント端末が認識可能な文字種を組み合わせたテーブルを検索することによって送信先である他のクライアント端末の識別情報及びその他のクライアント端末が認識可能な文字種識別子を特定すると共に、その文字識別子及び前記医療情報識別子に基づいて、前記医療情報を特定する医療情報識別子と、複数の文字種識別子と、それら複数の文字種識別子に対応した複数の文字種で表された前記医療情報とが予め記憶されたデータベースを検索することによって、前記文字種識別子に対応する文字種で表された医療情報を取得し、取得した医療情報を前記他のクライアント端末に送信することを特徴とする文字情報照会方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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