説明

文字画像用記録再生装置

【目的】文字情報を効率的に符号化することを目的とする。
【構成】2は入力した文字などの副画像信号をランレングス符号化などにより符号化する副画像符号化器である。5は符号化された各信号を合成し記録データとして記録媒体1に出力するマルチプレクス回路である。6は再生信号を分離するデータ分離回路である。7はデータ分離回路6から出力された副画像信号を復号化する副画像復号化器である。10は主画像復号器8にて復号化を行う際、画像を一時的に記録するためのフレームメモリ10である。11は復号化した副画像の輪郭を処理する輪郭処理回路である。12は主画像復号器8および輪郭処理回路11からの出力データを重畳し、映像信号として出力するデータ重畳回路である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディジタル・ビデオ機器等における文字情報の表示に係り、文字画像用記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術として、通常のビデオ映像情報に加え、映画の字幕やカラオケの歌詞、ニュースのテロップやキャプションなどの文字情報だけで構成される副映像情報の符号化として、文字画像データを主画像データに貼り込んだ後に符号化する方法があった。
【0003】この符号化方法は、複合時の文字表示に特殊な操作や回路が不要であり、文字形状や大きさに制約がなく、文字飾りや読み仮名づけも可能であるという特徴があった。しかし、データ圧縮率の高い低ビットレートの動画像圧縮では歪みが目立ち、文字のサイズが小さい場合解読に困難であるという問題があった。また、これらの歪みを低減するためには圧縮効率が低下してしまうという問題があった。
【0004】また、その他の符号化方法として、主画像データとは別に、JIS規格などのコードデータ形式で符号化する方法があった。この符号化方法は、画像圧縮を行っても文字部分には歪みが発生しないという特徴があるが、複合時の文字表示にキャラクタ発生器が必要となり、主画像との重ね合わせと同期処理を行わなければならないという問題があった。また、文字形状や大きさに自由度が無く、キャラクタ発生器で発生できない文字は表示できないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の文字画像用記録装置における符号化方式によれば、文字画像データを主画像に張り込んだ後に符号化する方法では、歪みが目立ち、圧縮効率が低下するという欠点があった。また、主画像とは別に、コードデータ形式で符号化する方法では、利用できる文字に制約が多いといった欠点があった。そこで、この発明は上記欠点を除去し、文字情報を効率的に符号化することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明では、ディジタル方式の動画を記録再生する際、文字データを副画像として主画像とは別に符号化する文字データ符号化手段と、モノクロのビットマップ化した単純形状の前記文字データから、ビット変化位置を2次元的に検出する検出手段と、前記検出手段によって前記文字データの輪郭を抽出し、前記輪郭と前記文字データの背景および前記文字データの3領域に展開する手段とを具備している。
【0007】
【作用】このように構成されたものにおいては、モノクロのビットマップ化した文字データから、ビット変化位置を2次元的に検出し、文字データの輪郭を抽出し、この輪郭と文字データの背景と文字データの3領域に分割して輪郭処理することにより、文字情報を効率的に符号化することができる。
【0008】
【実施例】この発明の実施例を図面を参照し、詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例を示す文字画像用記録再生装置の構成図である。復号化装置A、ディスクなどの記録媒体1および復号化装置Bから構成する。2は入力した文字などの副画像信号をランレングス符号化などにより符号化する副画像符号化器、3は入力した主画像信号をランレングス符号化などにより符号化する主画像符号化器、4は入力した音声信号をランレングス符号化などにより符号化する音声符号化器である。5は副画像符号化器2、主画像符号化器3および音声符号化器4により符号化された各信号を合成し記録データとして記録媒体1に出力するマルチプレクス回路である。
【0009】6は記録媒体1から再生した再生信号を、副画像信号、主画像信号および音声信号に分離するデータ分離回路である。7はデータ分離回路6から出力された副画像信号を復号化する副画像復号化器である。8はデータ分離回路6から出力された主画像信号を復号化する主画像復号器である。9はデータ分離回路6から出力された音声信号を復号化し、音声信号として出力する音声復号器である。10は主画像復号器8にて復号化を行う際、画像を一時的に記録するためのフレームメモリ10である。11は副画像復号器8にて復号化した副画像の輪郭を処理する輪郭処理回路である。12は主画像復号器8および輪郭処理回路11からの出力データを重畳し、映像信号として出力するデータ重畳回路である。
【0010】この実施例を具体的な例を用いて説明する。図2は副画像信号に含まれる文字ビットパターンである。副画像符号化器2において、入力した副画像信号をランレングス符号化などで可逆圧縮処理を行う。
【0011】マルチプレクス回路5にて、主画像符号化器3および音声符号化器4により、それぞれ符号化された主画像符号化信号および音声符号化信号と合成する。合成した信号は記録データとしてディスクなどの記録媒体1に記録する。
【0012】記録媒体1から再生した記録データはデータ分離回路6において、副画像信号、主画像信号およびお音声信号に分離し、それぞれ副画像復号器7、主画像復号器8および音声復号器9に入力する。副画像復号器7において符号化された副画像データを復号化し、図2に示すモノクロのビットマップであるビットパターンに展開する。
【0013】復号化された副画像信号は輪郭処理回路11に入力する。モノクロのビットパターンの文字画像を水平方向にスキャンして、図3に黒丸で示すビットパターンの変化点を探す。背景のビットマップから文字のビットマップへ変化する変化点では、変化点の手前のビット位置に、文字のビットマップから背景のビットマップに変化する変化点では変化点の次のビット位置を文字輪郭ビットとして探し出しマークする。
【0014】次に、文字画像を垂直方向にスキャンして、図4に黒丸で示すビットパターンの変化点を探す。背景のビットマップから文字のビットマップへ変化する変化点および背景のビットマップから文字のビットマップまたは文字輪郭のビットマップに変化する変化点では、変化点の手前のビット位置を文字輪郭ビットとして探し出しマークする。また、文字のビットマップから背景のビットマップへ変化する変化点および文字輪郭のビットマップから背景のビットマップへ変化する変化点では、変化点の次のビット位置を文字輪郭ビットとして探し出しマークする。
【0015】これにより、元来単純形状であった文字データの輪郭に沿って図4に黒丸示すような1ビット厚の縁取り領域を作ることができる。輪郭処理された3値の副画像信号は、データ重畳回路12に入力し、主画像復号器8において復号された主画像信号と重畳され、映像出力として出力する。
【0016】音声信号は、音声復号器9において復号化し、音声出力として出力する。文字画像は、利用者が文字を読み取るための時間が必要であるから、画面更新速度に上限があり、一般的な画面更新時間は数秒以上であることが多い。従って、文字画像データは、主画像1フレーム単位で付与せずに複数のフレームの主画像に対して文字画像を1枚添付する。ここでは、文字画像データを添付する際の主画像の単位として、MPEGにおけるGOP単位とする。
【0017】この実施例においては、符号化時の画像がモノクロ・ビットマップの2値のデータであるのに対し、復号化した画像では輪郭抽出処理によって3値データに展開することができる。
【0018】図5はこの発明の他の実施例を示す文字画像用記録再生装置の構成図である。図1の実施例と同様の構成には同一の番号を付して説明する。復号化装置A、ディスクなどの記録媒体1および復号化装置Cから構成する。13は入力した文字などの文字コードをランレングス符号化などにより符号化する文字コード符号化器、3は入力した主画像信号をランレングス符号化などにより符号化する主画像符号化器、4は入力した音声信号をランレングス符号化などにより符号化する音声符号化器である。5は文字コード符号化器14、主画像符号化器3および音声符号化器4により符号化された各信号を合成し記録データとして記録媒体1に出力するマルチプレクス回路である。
【0019】6は記録媒体1から再生した再生信号を、文字コード、主画像信号および音声信号に分離するデータ分離回路である。14はデータ分離回路6から出力された文字コードを復号化する文字コード復号器である。8はデータ分離回路6から出力された主画像信号を復号化する主画像復号器である。9はデータ分離回路6から出力された音声信号を復号化し、音声信号として出力する音声復号器である。10は主画像復号器8にて復号化を行う際、画像を一時的に記録するためのフレームメモリである。15は文字のキャラクターを発生する文字発生器である。16は文字コード復号器14にて復号化した文字を一時的に記録する副画像用メモリである。11は副画像用メモリ16にメモリされた副画像データの輪郭を処理する輪郭処理回路である。12は主画像復号器8および副画像用メモリ16からの出力データを重畳し、映像信号として出力するデータ重畳回路である。
【0020】この実施例を具体的な例を用いて説明する。文字コード符号化器13において、入力した文字コードをランレングス符号化などで可逆圧縮処理を行う。マルチプレクス回路5にて、主画像符号化器3および音声符号化器4により、それぞれ符号化された主画像復号化信号および音声復号化信号と合成する。合成した信号は記録データとしてディスクなどの記録媒体1に記録する。
【0021】記録媒体1から再生した記録データは、データ分離回路6において、文字コード、主画像信号および音声信号に分離する。文字コード復号器14において符号化された文字コードを復号化し、文字発生器15より該当する文字を読み込み副画像用メモリ16に文字画像データとして出力する。
【0022】副画像用メモリ16から出力された文字画像データは、輪郭処理回路11に入力する。モノクロのビットパターンの文字画像を水平方向にスキャンして、図3に黒丸で示すビットパターンの変化点を探す。背景のビットマップから文字のビットマップへ変化する変化点では、変化点の手前のビット位置に、文字のビットマップから背景のビットマップに変化する変化点では変化点の次のビット位置を文字輪郭ビットとして探し出しマークする。
【0023】次に、文字画像を垂直方向にスキャンして、図4に黒丸で示すビットパターンの変化点を探す。背景のビットマップから文字のビットマップへ変化する変化点および背景のビットマップから文字のビットマップまたは文字輪郭のビットマップに変化する変化点では、変化点の手前のビット位置を文字輪郭ビットとして探し出しマークする。また、文字のビットマップから背景のビットマップへ変化する変化点および文字輪郭のビットマップから背景のビットマップへ変化する変化点では、変化点の次のビット位置を文字輪郭ビットとして探し出しマークする。
【0024】これにより、元来単純形状であった文字データの輪郭に沿って図4に黒丸示すような1ビット厚の縁取り領域を作ることができる。輪郭処理された3値の副画像信号は、データ重畳回路12に入力し、主画像復号器8において復号された主画像信号と重畳され、映像出力として出力する。
【0025】音声信号は、音声復号器9において復号化し、音声出力として出力する。この実施例では、文字発生器15を用いて文字画像データを作成しているが、輪郭処理回路11において、2値のデータから輪郭のデータを含めた3値のデータを作成することにより、文字発生器15の文字パターンの記憶容量を少なくすることができる。
【0026】図6はこの発明のその他の実施例を示す文字ビットマップの説明図である。この実施例は図1に示す実施例と同様の構成である。図6において、61は第1の文字色である白、62は第2の文字色である緑、63は文字の輪郭色である黒、64は背景色である透明を示す。65は副画像画面の左端からの色変化オフセットを示す。色変化オフセット65は、制御データとして副画像データに付加しておく。
【0027】カラオケの歌詞などを画面に表示する際、現在の位置を示すため表示した文字の色を変化させることがある。この場合、実際の文字情報の更新間隔以上に、現在の歌詞の位置を示すための文字変化間隔が短い。
【0028】この実施例では、色変化オフセット65の位置で文字色の変化位置を検出することにより、主画像委フレームと同じ時間単位で文字色を変化することができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、2値のデータである副画像を可逆圧縮し、輪郭処理において3値のデータに変換することにより、副画像である文字情報を効率的に符号化することができるばかりでなく、文字、輪郭および背景の3色を使い分けて使用することで、文字色の変化にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示す文字画像用記録再生装置の構成図である。
【図2】 図1の実施例の副画像信号に含まれる文字ビットパターン図である。
【図3】 図1の実施例における水平スキャン後の文字ビットパターン図である。
【図4】 図1の実施例における垂直スキャン後の文字ビットパターン図である。
【図5】 この発明の他の実施例を示す文字画像用記録再生装置の構成図である。
【図6】 この発明のその他の実施例を示す文字ビットマップの説明図である。
【符号の説明】
1…記録媒体、2…副画像符号化器、3…主画像符号化器、4…音声符号化器、5…マルチプレクス回路、6…データ分離回路、7…副画像復号器、8…主画像復号器、9…音声復号器、10…フレームメモリ、11…輪郭処理回路、12…データ重畳回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディジタル方式の動画を記録再生する際、文字データを副画像として主画像とは別に符号化する文字データ符号化手段と、モノクロのビットマップ化した単純形状の前記文字データから、ビット変化位置を2次元的に検出する検出手段と、前記検出手段によって前記文字データの輪郭を抽出し、前記輪郭と前記文字データの背景および前記文字データの3領域に展開する手段とを具備したことを特徴とする文字画像用記録再生装置。
【請求項2】 前記文字データに、画像端からの距離で表現した制御データを付加する制御データ付加手段と、前記制御データにより、前記文字データの色変化に伴う画面更新を行う画面更新手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の文字画像用記録再生装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図6】
image rotate


【図5】
image rotate