説明

文字読み取り内容検証装置

【目的】 検証すべき表示部に表示する画像を、実際に読み取りを行った帳票上のイメージと近似するように、文字の大きさや文字の記入位置等を制御して、帳票と比較しながら内容検証を行う作業を容易にした。
【構成】 帳票1上の文字を文字読み取り部3によって読み取る際に、その各文字の帳票上の文字位置と文字サイズとを同時に識別する。その結果は表示制御部30に送られ、表示制御部30は文字認識結果と文字位置や文字サイズに関する情報を利用して、表示部8に元の帳票1に近似するような画像を認識結果として表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帳票上の文字を光学的に読み取り、これを電気信号に変換した後、文字認識を行う場合に、その認識結果と帳票とを見比べて、その内容の検証をすることを容易にした文字読み取り内容検証装置に関する。
【0002】
【従来の技術】伝票やその他各種の帳票に記載された事項を情報処理装置に取り込むために、文字読み取り装置が広く使用されている。この文字読み取り装置は、帳票上の文字を光学的に読み取り、イメージ信号として受け入れ、その中に含まれる文字のイメージを切り出してパターンマッチング等の方法により認識し、文字コードを得る。こうして認識した結果は、読み取り誤りが生じていないかどうかを点検するために、ディスプレイ等に表示して実際の帳票との比較が行われる。
【0003】図2に、このような目的に使用される従来の文字読み取り内容検証装置ブロック図を示す。図において、帳票1にはいくつかの文字枠2が設けられ、ここに所定の情報が文字や記号によって書き込まれている。文字読み取り部3は、このような帳票1上の文字を光学的に読み取るためのイメージラインセンサ等から構成される。この文字読み取り部3の出力は文字認識部4に送り込まれ、ここで認識された結果が表示部8に表示される。
【0004】文字認識部4には、パターン切り出し部5と、辞書6及び照合部7が設けられている。パターン切り出し部5は帳票1上の文字を含む領域について、そのイメージを切り出し、1文字毎に分解したりする処理を行う部分である。辞書6には文字を認識するための標準的なパターンが格納されている。照合部7はパターン切り出し部5の出力と辞書6の出力とを比較し、一致した場合にはその文字コードを得る。こうして得られた結果は、図示しない別の情報処理装置に送り込まれる。なお、このような認識結果の検証のために、その認識結果が表示部8に送られ、表示画面12に表示される。
【0005】この表示部8はディスプレイ等から構成されるが、その隣にスタンド11が配置され、ここに読み取りの対象となった帳票1が吊り下げられる。オペレータは、この帳票1の記載と表示部8の表示画面12に表示された内容を■、■、■の順に比較し、認識結果が正しい場合と誤っている場合、それぞれ必要な事項をキーボード13を用いて入力する。従来、上記のような構成の装置によって文字読み取り内容の検証が行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような従来の文字読み取り内容検証装置には次のような解決すべき課題があった。図2に示すように、通常、帳票1上のいくつかの文字枠2に記載された文字は、それぞれ別々に認識され、その結果が表示部8の表示画面12に表示される。この場合、その表示方法は、認識された結果を示す文字と、その記入位置を示す情報■〜■等となる。従って、オペレータは表示部8の隣に配置された帳票1を眺めながら、文字が書かれている場所と認識結果を見比べて内容の検証を行う。
【0007】しかしながら、帳票1に記入された様々な形の手書き文字と表示部8に表示された文字を交互に見比べるのは作業能率も悪く、疲労度も高くなる。即ち、表示画面12に表示された文字が帳票1のどの部分に記入されていたかを探索する作業は、記入された項目が多ければ多いほど煩雑になる。本発明は以上の点に着目してなされたもので、検証すべき表示部に表示する画像を、実際に読み取りを行った帳票上のイメージと近似するように、文字の大きさや文字の記入位置等を制御して、帳票と比較しながら内容検証を行う作業を容易にした文字読み取り内容検証装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の文字読み取り内容検証装置は、帳票上の文字を光学的に読み取り、電気信号に変換する文字読み取り部と、前記文字読み取り部の出力信号を辞書と照合して、文字の認識を行なう文字認識部と、前記認識対象となった各文字の前記帳票上の文字位置と文字サイズに関する情報を受け入れて、対応する文字の文字位置と文字サイズが前記帳票に近似するように、前記認識結果を表示部へ表示する表示制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】この装置は、帳票上の文字を文字読み取り部によって読み取る際に、その各文字の帳票上の文字位置と文字サイズとを同時に識別する。その結果は表示制御部に送られ、表示制御部は文字認識結果と文字位置や文字サイズに関する情報を利用して、表示部に元の帳票に近似するような画像を認識結果として表示する。
【0010】
【実施例】以下、本発明を図の実施例を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の文字読み取り内容検証装置実施例を示すブロック図である。図の装置は、帳票1上の文字を光学的に読み取るために文字読み取り部3を備え、その出力は文字認識部20と表示制御部30により処理されて表示部8に表示される構成となっている。文字読み取り部3はイメージラインセンサ等から構成される。帳票1には、例えば文字枠2の中に「A」という文字が記入されているものとする。なお、この文字枠2の左側には、その文字の種類等を示すデータ種別表示15が印刷されている。
【0011】文字認識部20には、パターン切り出し部21、辞書22、照合部23、文字位置識別部24及び文字サイズ識別部25が設けられている。パターン切り出し部21は、文字読み取り部3により得られたイメージ信号の中から1文字分ずつその文字パターンを切り出す部分である。照合部23は、パターン切り出し部21の出力と辞書22に格納された標準パターンとを比較し、文字コードを得る部分である。これらの部分の構成は従来装置と同様である。
【0012】一方、本発明の装置にはこの他に文字位置認識部24が設けられ、これは帳票1の上で文字「A」がどの位置に記入されているかを識別する部分である。具体的には、図1の帳票1に記入したように、「A」という文字の記入された文字枠2の1つの頂点、例えば左上の頂点の座標Pnoと、切り出された文字自身のイメージの左上頂点の座標Pni等を識別し保持しておく動作を行う。文字サイズ識別部25は、帳票1に記入された文字「A」のx方向のサイズxiとy方向のサイズyiとを検出し保持しておく動作を行う部分である。
【0013】文字認識部20は、このようにして読み取られた文字の文字コードの他、文字位置と文字サイズに関する情報を表示制御部30に向け出力する構成となっている。表示制御部30は、後で説明するような構成及び処理によって、表示部8に対し必要な情報を送り、帳票1とその対応する文字の文字位置や文字サイズが近似するような画像を表示画面12に表示する制御を行う。表示部8やキーボード13及びスタンド11と帳票1の関係等は従来装置と同様で、オペレータはスタンド11に吊り下げられた帳票1と、表示画面12に表示された帳票を見比べ、文字読み取り内容の検証を行う。
【0014】ここで明らかなように、本発明の装置によれば、帳票1とその内容を読み取って表示画面12に表示された帳票のイメージが非常に近似しており、それぞれ対応する位置の文字を比較することによって、その読み取り結果の検証が容易に行われる構成となっている。図3に、上記のような本発明の表示制御部ブロック図を示す。図に示すように、表示制御部30は、例えばイメージプロセッサ31と、ページメモリ32と、文字フォント33及び文字コード指定部34、文字位置指定部35、文字サイズ指定部36、その他のパラメータ指定部37等から構成される。
【0015】イメージプロセッサ31は、図1に示す文字認識部22から入力した文字コードを元に文字フォント33に格納された文字パターンを取り出し、これを適当な大きさに拡大縮小して、所定の位置に表示するよう制御するためのプロセッサから構成される。ページメモリ32は、表示部8の表示画面12に表示するべきイメージを1ページ分格納するためのメモリである。文字コード指定部34は、図1に示す文字認識部20から受け入れた文字コードを格納しておくレジスタ等から構成される。文字位置指定部35は、図1に示す文字認識部20から入力する文字位置に関する情報を格納しておくレジスタ等から構成される。文字サイズ指定部36は、図1R>1に示した文字認識部20から受け入れられた文字サイズに関する情報を格納しておくレジスタ等から構成される。その他のパラメータ指定部37は、表示部8に文字を表示するための、その他必要なパラメータ、例えば表示色等の情報を格納するためのレジスタである。
【0016】以上の構成によりイメージプロセッサ31は、文字コード指定部34に保持された文字コードを読み取り、文字フォント33から該当する文字のイメージを受け入れる。そして、文字サイズ指定部36に保持された文字サイズに関する情報を受け入れて、その文字のイメージを所定の大きさまで拡大し、あるいは縮小する。更に、イメージプロセッサ31は文字位置指定部35に保持された文字位置に関する情報を受け取り、図3の表示部8に示したように、文字「A」を表示すべき座標Dniを求める。文字「A」は、その結果、幅xi、高さyiの大きさでこの座標Dniの位置の表示される。なお、この実施例では文字読み取り内容の検証を更に容易にするために、文字「A」を記入した文字枠2も、その表示位置Dnoを求めることにより表示している。
【0017】本発明は以上の実施例に限定されない。文字読み取り内容を表示部に表示する方法は、元の帳票とその文字位置や文字サイズが近似するようなものであればよく、例えば上記のように文字枠も併せて表示したり、あるいは各文字の色等を検証し易いような配色に選定するようにしても差し支えない。また、表示方法は表示部8に帳票全体を表示してもよいし、帳票の一部分だけを表示しながらスクロールするようにしてもよい。従って、表示する画像の大きさによって文字の大きさも伸縮することが好ましく、また必ずしも元の帳票と全く同一の大きさにしなくても、予め用意されたフォントの中から比較的大きさの近いフォントを呼び出して使用するようにしても差し支えない。
【0018】
【発明の効果】以上説明した本発明の文字読み取り内容検証装置は、帳票上の文字を文字読み取り部によって読み取って、辞書と照合し認識を行った場合に、その認識対象となった帳票の各文字の文字位置と文字サイズが近似するように表示部に表示する構成としたので、認識内容と帳票上の文字との対応関係が見やすく、検証作業を高速化し、オペレータの疲労を軽減させることができる。これにより、この種の作業の作業効率を向上させ、漢字かな混じりの手書き文字等を大量かつ高速に認識処理しなければならないような受注発注データ入力作業等を効率化することができる。また、入力データの誤りを防止するために特に厳密な検証が必要な数値処理等の分野において、作業能率を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の文字読み取り内容検証装置実施例を示すブロック図である。
【図2】従来の文字読み取り内容検証装置ブロック図である。
【図3】本発明の装置の表示制御部ブロック図である。
【符号の説明】
1 帳票
3 文字読み取り部
8 表示部
12 表示画面
20 文字認識部
30 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 帳票上の文字を光学的に読み取り、電気信号に変換する文字読み取り部と、前記文字読み取り部の出力信号を辞書と照合して、文字の認識を行なう文字認識部と、前記認識対象となった各文字の前記帳票上の文字位置と文字サイズに関する情報を受け入れて、対応する文字の文字位置と文字サイズが前記帳票に近似するように、前記認識結果を表示部へ表示する表示制御部とを備えたことを特徴とする文字読み取り内容検証装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開平7−49925
【公開日】平成7年(1995)2月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−215300
【出願日】平成5年(1993)8月6日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)