文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラム
【課題】文書中に散在する複数の要素(文字列・画像・動画・音声・他文書へのハイパーリンクなど)を容易かつ直感的に階層化できるようにする。
【解決手段】文書を構成する複数の要素は、ツリー表示エリア400にあるような論理的な上下関係を有するものとする。図中、エレメント表示エリア401の枠領域401aには要素「AAAAA」をルートとする部分木中の各要素が、枠領域401bには要素「FFFFF」をルートとする部分木中の各要素が、それぞれ入れ子状に表示される。この画面でたとえば枠領域401aを枠領域401bにドラッグ&ドロップすると、枠領域401a内の部分木を、枠領域401b内の部分木のルートの直下に組み入れることができる。すなわち、「FFFFF」と「AAAAA」との関係は親子、「GGGGG」と「AAAAA」との関係は兄弟に、それぞれ変更される。
【解決手段】文書を構成する複数の要素は、ツリー表示エリア400にあるような論理的な上下関係を有するものとする。図中、エレメント表示エリア401の枠領域401aには要素「AAAAA」をルートとする部分木中の各要素が、枠領域401bには要素「FFFFF」をルートとする部分木中の各要素が、それぞれ入れ子状に表示される。この画面でたとえば枠領域401aを枠領域401bにドラッグ&ドロップすると、枠領域401a内の部分木を、枠領域401b内の部分木のルートの直下に組み入れることができる。すなわち、「FFFFF」と「AAAAA」との関係は親子、「GGGGG」と「AAAAA」との関係は兄弟に、それぞれ変更される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワープロソフトなどで作成される電子文書は、たとえば章や節、本文や注釈といった、論理的に上下関係にある複数の要素から構成されることが多い。そして、たとえば本文は12ポイントでインデントなし、注釈は10ポイントで4カラム分インデントというように、構成要素ごとに独自の書式が設定されることが多く、この書式の差異によって、文書の論理的な構造をある程度把握することが可能である。
【0003】
しかしながら書式は、必ずしも文書の論理構造に厳密に対応しているわけではなく、また紙と違って画面上では、書式の微妙な差異は識別しづらいことが多い。さらに、書式だけでは個々の要素は区別できても、要素間の上下関係までは明確でないことも多い。
【0004】
そこで本出願人は、本出願人が製造・販売するワープロソフト「一太郎(登録商標)2004」において、図17に示すように文書内の各段落(二つの改行間の文字列)を、あらかじめ設定された論理的なランクの高低に応じて、段階的に字下げして表示することを提案している(特願2003−403842)。
【0005】
図中、文書ウィンドウ1702内のライン1702aの位置から開始する段落(「コンセプト」や「ポイント」など)は、ランク1が設定されている段落である。また、ライン1702bの位置から開始する段落(「1.考える道具として新しい進化を目指す」「2.かな漢字変換プログラムとの連携」など)はランク2、ライン1702cの位置から開始する段落(「「考える道具」」など)はランク3が、それぞれ設定されている段落である。なお、ランクの設定されていない段落は一律に、ライン1702d以降に配置される。このように画面左から右へ向かって、ランクの高いものから低いものへとツリー状に段落が表示されるので、段落間の上下関係を直感的に把握することができる。
【0006】
また、アウトライン記号1702e・1702f・1702gをクリックすることで、当該記号の付された段落とそのすべての子段落(もしあれば)とを一括して範囲指定することができる。そしてその状態で、アウトライン記号1702e・1702f・1702gを上下方向へドラッグ&ドロップすると、指定された範囲をドロップ先へ一括して移動することができる。また、アウトライン記号1702e・1702f・1702gを左右方向へドラッグ&ドロップすると、指定された範囲に設定されているランクを、段落間の相対的な上下関係は維持したまま、ドラッグ量に比例してシフトすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来技術においては、たとえば段落A以下に、文書内に散在する複数の段落B〜Dを組み入れたい場合、まず段落Bの出現箇所を表示させ、そのアウトライン記号をクリックして段落Aまでドラッグ&ドロップした後、同様に段落Aから段落Cの出現箇所まで往復し、さらに段落Aから段落Dの出現箇所まで往復するというように、文書ウィンドウ1702のスクロールを頻繁に繰り返さなければならなかった。
【0008】
また、段落の移動後にランクを設定し直さなければならないことも多かった。たとえば図中、「製品概要」を「コンセプト」と「「考える道具」」との間にランク2の段落として組み入れるには、そのアウトライン記号を(1)下方向にドラッグ&ドロップして「コンセプト」と「「考える道具」」との間に移動した後、さらに(2)左方向にドラッグ&ドロップして本文→ランク2にシフトするという、2段階の操作が必要であった(移動した段落自体のランクを付け替える場合)。
【0009】
また、たとえば図中「「文書作成プロセス」の進化。」を「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」の下位の段落としてその直後に組み入れるには、(1)「「文書作成プロセス」の進化。」のアウトライン記号を下方向にドラッグ&ドロップして「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」の直後に移動した後、さらに(2)「「考える道具」」および「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」のアウトライン記号を左方向にドラッグ&ドロップしてそれぞれランク3→ランク1、本文→ランク2にシフトするという、これも2段階の操作が必要であった(移動した段落以外の段落のランクを付け替える場合)。
【0010】
このように従来技術では、先に複数の段落を入力した後、見出しとなる段落の下に複数の段落をまとめて徐々にこれらを階層化してゆくような場合に、しばしば操作が煩雑になってしまうという問題点があった。
【0011】
この発明は上述した従来技術による問題点を解消するため、文書中に散在する複数の要素を容易かつ直感的に階層化することが可能な文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる文書作成装置は、論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成装置において、表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示手段と、前記表示手段により表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知手段と、前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動手段と、前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この請求項1の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0014】
また、請求項2の発明にかかる文書作成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記表示手段が、前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明によれば、文書を構成する複数の要素はそれぞれ枠で囲まれて入れ子状に表示される。
【0016】
また、請求項3の発明にかかる文書表示装置は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記第1の枠領域が前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、前記第2の枠領域が前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)にドラッグ&ドロップするだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0018】
また、請求項4の発明にかかる文書作成装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の発明において、前記要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする。
【0019】
この請求項4の発明によれば、要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクのいずれであるかを問わず、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0020】
また、請求項5の発明にかかる文書作成方法は、論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成方法において、表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示工程と、前記表示工程で表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知工程と、前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動工程と、前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
この請求項5の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0022】
また、請求項6の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項5に記載の発明において、前記表示工程では、前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする。
【0023】
この請求項6の発明によれば、文書を構成する複数の要素はそれぞれ枠で囲まれて入れ子状に表示される。
【0024】
また、請求項7の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項5または請求項6に記載の発明において、前記第1の枠領域が前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、前記第2の枠領域が前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする。
【0025】
この請求項7の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)にドラッグ&ドロップするだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0026】
また、請求項8の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項5〜請求項7のいずれか一つに記載の発明において、前記要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする。
【0027】
この請求項8の発明によれば、要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクのいずれであるかを問わず、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0028】
また、請求項9の発明にかかる文書作成プログラムによれば、前記請求項5〜請求項8のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムによれば、文書中に散在する複数の要素を容易かつ直感的に階層化することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
図1は、この発明の実施の形態にかかる文書作成装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。図中、101は装置全体を制御するCPUを、102は基本入出力プログラムなどを記憶したROMを、103はCPU101のワークエリアとして使用されるRAMを、それぞれ示している。
【0032】
また、104はCPU101の制御にしたがってHD(ハードディスク)105に対するデータのリード/ライトを制御するHDD(ハードディスクドライブ)を、105はHDD104の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶するHDを、それぞれ示している。また、106はCPU101の制御にしたがってFD(フレキシブルディスク)107に対するデータのリード/ライトを制御するFDD(フレキシブルディスクドライブ)を、107はFDD106の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する着脱自在のFDを、それぞれ示している。
【0033】
また、108はCPU101の制御にしたがってCD−RWやCD−R、あるいはCD−ROM109に対するデータのリード/ライトを制御するCD−RWドライブを、109はCD−RWドライブ108の制御にしたがって読み書きされるデータを記憶する着脱自在のCD−RW、CD−RあるいはCD−ROMを、それぞれ示している。
【0034】
また、110はカーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データを表示するディスプレイを、111は文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボードを、112は各種指示の選択や実行、処理対象の選択、マウスポインタの移動などを行うマウスを、それぞれ示している。
【0035】
また、113は通信ケーブル114を介してLANやWANに接続され、当該ネットワークとCPU101とのインターフェースとして機能するネットワークI/Fを、100は上記各部を接続するためのバスを、それぞれ示している。
【0036】
次に、図2はこの発明の実施の形態にかかる文書作成装置の構成を機能的に示す説明図である。図中、200は編集中文書記憶部であり、編集中の文書(後述する画面表示部201により表示中の文書)のデータを一時的に保持する機能部である。
【0037】
上記文書は本出願人が製造・販売する「一太郎(登録商標)」により作成され、文字列・画像・動画・音声・他文書へのハイパーリンクなどといった複数の要素(以下では「エレメント」という)から構成されるものとする。また、各エレメントには「一太郎(登録商標)」でいう「ランク」が設定され、これによりエレメント間の論理的な上下関係を特定できるものとする。図3は、編集中文書の構造の一例を模式的に示す説明図である。図示するツリーを、ルートである当該文書自身(図中「文書1」)から深さ優先で先行順に巡回したときの各ノードの順序(図中丸数字)が、当該文書中での各エレメントの出現順序となる。なお、以下ではあるエレメントの直上のエレメントを「親エレメント」、直下のエレメントを「子エレメント」、共通の親エレメントを持つ同一階層のエレメントを「兄弟エレメント」という。
【0038】
なお、実際の「一太郎(登録商標)」では上から順に「ランク1」「ランク2」・・・「ランク6」「ランク7」「ランクなし」の8段階のランクを設定可能であるが、説明の便宜上、以下ではランクの種類には「大見出し」「小見出し」「本文」の3つしかないものとする。
【0039】
図2の説明に戻り、次に201は画面表示部であり、図4に示すような2ペイン構成のUI(ユーザ・インターフェース)画面により、編集中文書記憶部200内の編集中文書を表示する機能部である。図中、400はツリー表示エリア、401はエレメント表示エリアである。
【0040】
ツリー表示エリア400内のツリーは、図3のツリーと意味的に同一である(ノードのインデント位置が論理的な上下関係を、ノードの順序が文書中での先後関係を、それぞれ意味するよう表現形式を変更したのみ)。図中、行頭に黒の三角印400aが付加されたノードはランクが見出し(大見出しまたは小見出し)のエレメント、行頭に白の丸印400bが付加されたノードはランクが本文のエレメントである。
【0041】
一方、エレメント表示エリア401では、ツリー表示エリア400で選択中のノード(図示する例では「文書1」)に接続する各部分木ごとに枠領域401a・401b・・・が用意され、その中に各部分木を構成するエレメントの内容が表示される。たとえば図中、枠領域401aは「文書1」の直下の「AAAAA」をルートとする部分木用であり、枠領域401bは同「FFFFF」をルートとする部分木用である。
【0042】
なお、図示するように子エレメントはその親エレメントの中に、さらに枠で囲まれて入れ子状に(再帰的に、といってもよい)表示される。また、エレメントの内容が文字列の場合は、枠内に表示可能な文字数の範囲で当該文字列が表示され、エレメントの内容が画像・動画・音声の場合はファイル名やアイコン、サムネイルなどが、ハイパーリンクの場合はリンク先へジャンプするためのショートカットアイコンなどが、それぞれ簡易的に表示される。このようにエレメント表示エリア401では、各エレメントの内容がそのままでなく、所定サイズの枠内に表示可能となるまでいわば間引かれて表示されるので、一覧性が向上するとともに文書中の表示範囲を拡大することが可能である。
【0043】
なお、図4は部分木内のすべてのエレメントの内容を表示する例であるが、たとえば図5に示すように見出しだけを表示したり、あるいは入れ子の回数に上限Nを設け、入れ子がN重の範囲で表示可能なエレメントだけを表示したりするようにしてもよい。
【0044】
また、たとえば図4のツリー表示エリア400で「文書1」の代わりに「AAAAA」が選択された場合は、画面表示部201は図4の画面を図6のように再表示する。図示するようにエレメント表示エリア401には、ツリー表示エリア400で選択中の「AAAAA」を親エレメントとする4つの子エレメントの内容が、各子エレメントをルートとする部分木用の枠領域601a・601b・601c・601dにそれぞれ表示される。
【0045】
図2の説明に戻り、次に202はエレメント挿入部であり、ユーザが新規エレメントの挿入を指示した場合に、編集中文書記憶部200内の編集中文書に当該エレメントのデータ(文字列・画像・動画・音声・他文書へのショートカットなど)を挿入する機能部である。また、203はランク設定部であり、エレメントの入力時/移動時に当該エレメントのランクを設定/再設定する機能部である。
【0046】
たとえば図7は、新規文書作成開始時のUI画面の一例である。ツリー表示エリア400のカーソル700a位置、あるいはエレメント表示エリア401の新規入力エリア701aにたとえば文字列を入力すると、エレメント挿入部202が上記文書に上記文字列を挿入するとともに、画面表示部201が上記文書を再表示する結果、カーソル700a位置および新規入力エリア701aに上記文字列がエコー表示される。次に、ユーザがたとえば「Enter」キーを押下することで1エレメントの入力完了を通知すると、図8のようにカーソル700aは次行に、新規入力エリア701aは右隣に、それぞれ移動して次のエレメントの入力が可能となるので、同様に文字入力とその完了通知とを繰り返すことで、文書中に複数のエレメントを挿入できる。
【0047】
なおユーザが特に指定しない限り、新規エレメントは文書中でその直前に位置するエレメントのランクを継承する(ランク設定部203は新規エレメントに直前のエレメントと同一のランクを設定する。なお、直前のエレメントがない場合は一律に本文とする)ので、入力とその完了通知との繰り返しで連続的に挿入されたエレメントのランクはいずれも同一となる。
【0048】
エレメントのランクを指定するには、ツリー表示エリア400ではたとえば「Tab」キーあるいは「Shift+Tab」キーを使用する。すなわちランク設定部203は、カーソル700aが位置しているエレメントのランクを、「Tab」キーが押下されるごとに「本文→大見出し→小見出し→本文」のように、「Shift+Tab」キーが押下されるごとに「本文→小見出し→大見出し→本文」のように、それぞれ切り替える。たとえば図8のツリー表示エリア400で「Tab」キーを一回押下すると、画面表示部201は図9に示すように、ツリー表示エリア400のカーソル700aを大見出しのインデント位置(本文のインデント位置よりも左側)に移動するとともに、その直前に見出しを意味する黒の三角印400aを表示する。その後カーソル位置に文字列を入力することで、当該文字列を内容とするエレメントを、大見出しとして文書中に挿入できる。
【0049】
一方、エレメント表示エリア401でランクを指定するには、たとえば図10に示すようにエレメント表示エリア401で右クリックして開くメニュー1001aから「新規作成−見出し」を選択する。上記操作を検知すると、画面表示部201は図9のように、直前のエレメントより一つ上のランクのエレメントを入力するための新規入力エリア901a(同一ランクのエレメントを入力するための新規入力エリア701aとは、枠の形状の差異により区別される)を表示するので、ここに文字列などを入力することで、文書中に一つ上のランクのエレメントを挿入できる。
【0050】
また、図11に示すように枠領域ごとの操作ボタン1101aを押下すると、画面表示部201は直前のエレメントより一つ下のランクのエレメントを入力するための新規入力エリア1101bを表示するので、ここに文字列などを入力することで、文書中に一つ下のランクのエレメントを挿入できる。なお、ツリー表示エリア400で大見出し「AAAAA」の入力完了後、「Shift+Tab」キーを一回押下することでも同様の画面となる。
【0051】
図2の説明に戻り、次に204はエレメント移動部であり、既存のエレメントの文書中での位置を変更する機能部である。エレメントの移動には、以下で説明するように(1)エレメントのランクの再設定を伴わない場合と(2)伴う場合との2種類がある。
【0052】
(1)ランクの再設定を伴わないエレメントの移動
図3に示したような構造の編集中文書で、たとえば文書頭から2番目の「BBBBB」と3番目の「CCCCC」とを4番目の「DDDDD」の後ろに回したいときは、図6の画面で枠領域601a・601bを選択して、枠領域601cの右側の余白あるいは枠領域601dの左側の余白にドラッグ&ドロップする。
【0053】
図12は上記操作により、エレメント移動部204のツリー再構成部204aで再構成された図3のツリー、図13は上記操作の直後の画面である。この場合はエレメントの文書中での位置が入れ替わるだけで、エレメントのランクには変化がない(同一階層内でのエレメントの交換となる)。ちなみに図17に示した従来技術において、アウトライン記号を上下方向へドラッグ&ドロップすることにより行う段落の移動は、いずれもこの(1)に該当する。
【0054】
(2)ランクの再設定を伴うエレメントの移動
一方、図3の文書でたとえば文書頭から2番目の「BBBBB」と3番目の「CCCCC」とを4番目の「DDDDD」の下位に組み入れたいときは、図6の画面で枠領域601a・601bを選択して、枠領域601cにドラッグ&ドロップする。これにより、枠領域601a・601b内の各部分木は、枠領域601c内の部分木のルート直下につなぎ替えられる。
【0055】
図14は上記操作により、エレメント移動部204のツリー再構成部204aで再構成された図3のツリー、図15は上記操作の直後の画面である。図3/図6では子エレメントを持てない本文だった「DDDDD」が、図14/図15では子エレメントを持てる小見出しに繰り上がり、さらに「DDDDD」の兄弟エレメントである「EEEEE」も、連鎖的に本文から小見出しに繰り上がっていることが分かる(「EEEEE」のランクを繰り上げない場合、ドラッグ&ドロップされていない「EEEEE」まで「DDDDD」の子エレメントとなってしまい、「DDDDD」と「EEEEE」との兄弟関係が維持されない)。この場合はエレメントの文書中での位置が入れ替わるとともに、エレメント移動部204からの指示を受けたランク設定部203により、再構成の前後でランクの変化したエレメントにつき再構成後のランクが再設定される。
【0056】
この(2)のような移動は、図17に示した従来技術にはなかったものである。すなわち従来技術では、上述のようにエレメントの移動とランクの再設定との2段階の操作を必要としたが、本発明ではたとえば「製品概要」の枠領域を「コンセプト」の枠領域にドラッグ&ドロップしたり、あるいは「「文書作成プロセス」の進化」の枠領域を「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」の枠領域にドラッグ&ドロップしたりするだけで、ランクの付け替えまでが自動的に行われる。
【0057】
なお、本実施の形態のようにランクが「大見出し」「小見出し」「本文」の3段階しかない場合、再構成後のツリーの深さが3を超えるような移動はエラーとなる。たとえば図4の画面で、枠領域401aを枠領域401bへドラッグ&ドロップすることは許されるが、逆に枠領域401bを枠領域401aへドラッグ&ドロップすることは許されない。これは前者の操作が、図3のツリーで「AAAAA」をルートとする部分木を「FFFFF」の直下に組み入れることを意味し、「AAAAA」のランクを大見出しから小見出しに変更すればツリーの深さを3以内に抑制できるのに対して、後者の操作は「FFFFF」をルートとする部分木を「AAAAA」の直下に組み入れることを意味し、ツリーの深さが4となることを避けられないためである。
【0058】
次に、図16はこの発明の実施の形態にかかる文書作成装置における、文書作成処理の手順を示すフローチャートである。図示する処理の開始に先立って、画面上には編集中文書記憶部200内の編集中文書が、たとえば図4のように表示されているものとする。
【0059】
そしてユーザが新規エレメントのデータを入力すると(ステップS1601:Yes)、画面表示部201からの指示を受けたエレメント挿入部202が、編集中文書記憶部200内の編集中文書に上記データを挿入する(ステップS1602)。また、同じく画面表示部201からの指示を受けたランク設定部203が、上記データのランクを上記文書中に設定する(ステップS1603)。なお、このときランク設定部203は、ユーザが特にランクを指定していた場合は当該ランクを、特に指定がなければ直前のエレメントのランクを、それぞれ新規エレメントのランクとして設定する。その後、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0060】
また、図4の画面でユーザがエレメントを選択してその移動を指示すると(ステップS1601:No、ステップS1604:Yes)、画面表示部201からの指示を受けたエレメント移動部204は、まずそのツリー再構成部204aにより、ユーザの指示どおりエレメントを移動させたと仮定して図3のツリーを再構成する(ステップS1605)。
【0061】
そして、再構成後のツリーの深さが所定値を超える場合(ステップS1606:No)はエラーとする(ステップS1607)一方、深さが所定値以内の場合(ステップS1606:Yes)は、編集中文書記憶部200内の編集中文書で、指定されたデータを指定された位置に移動する(ステップS1608)。さらに、ツリーの再構成の前後でランクの変化するエレメントがあった場合は(ステップS1609:Yes)、ランク設定部203に指示して、上記エレメントのランクを再構成後のツリーにおけるランクで上書きさせ(ステップS1610)、その後、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0062】
なお、ユーザの操作が新規エレメントの入力でも、既存のエレメントの移動でもなかった場合は(ステップS1601:No、ステップS1604:No)、各操作に対応するその他の処理を行い(ステップS1611)、その後、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0063】
以上説明した実施の形態によれば、あるエレメントの下に他のエレメントを集めて階層化したい場合に、逐一他のエレメントの出現箇所を検索したり、エレメントごとにランクを付け直したりしなくても、画面上のエレメント(の枠領域)を親となるべきエレメント(の枠領域)にドラッグ&ドロップするだけでよい。すなわち、既入力のデータをツリー状に階層化したり、いったん階層化したツリーを組み替えたりする作業が容易なので、先にデータのみをフラットに入力しておき、後から文書構成を洗練しつつ、考えをボトムアップ的にまとめ上げてゆくことができる。
【0064】
なお、本実施の形態で説明した文書作成方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、HD105、FD107、CD−RW/CD−R/CD−ROM109、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムは、論理的な上下関係を有する複数の要素からなる電子文書の作成に有用であり、特にある要素を別の要素の下に組み入れるといった、文書構造の組み替えが文書作成中にしばしば発生する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置の構成を機能的に示す説明図である。
【図3】文書を構成するエレメントの階層構造の一例を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置の、UI(ユーザ・インターフェース)画面の一例を示す説明図である。
【図5】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(エレメントのうち見出しのみを表示する場合)。
【図6】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(ツリーで他のノードを選択した場合)。
【図7】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(新規文書作成開始時)。
【図8】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(1エレメント入力完了時)。
【図9】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(直前のエレメントより一つ上のランクのエレメントを挿入する場合)。
【図10】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(エレメント表示エリア401で右クリックメニューを開いた場合)。
【図11】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(直前のエレメントより一つ下のランクのエレメントを挿入する場合)。
【図12】文書を構成するエレメントの階層構造の他の一例を示す説明図である(ランクの再設定を伴わないエレメントの移動後)。
【図13】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(図6で枠領域601aおよび601bを枠領域601cの右側の余白あるいは枠領域601dの左側の余白にドラッグ&ドロップした場合)。
【図14】文書を構成するエレメントの階層構造の他の一例を示す説明図である(ランクの再設定を伴うエレメントの移動後)。
【図15】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(図6で枠領域601aおよび601bを枠領域601cにドラッグ&ドロップした場合)。
【図16】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置における、文書作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】従来技術(一太郎(登録商標)2004)における文書の表示の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
100 バス
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 FDD
107 FD
108 CD−RWドライブ
109 CD−RW/CD−R/CD−ROM
110 ディスプレイ
111 キーボード
112 マウス
113 ネットワークI/F
114 通信ケーブル
200 編集中文書記憶部
201 画面表示部
202 エレメント挿入部
203 ランク設定部
204 エレメント移動部
204a ツリー再構成部
【技術分野】
【0001】
この発明は、論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワープロソフトなどで作成される電子文書は、たとえば章や節、本文や注釈といった、論理的に上下関係にある複数の要素から構成されることが多い。そして、たとえば本文は12ポイントでインデントなし、注釈は10ポイントで4カラム分インデントというように、構成要素ごとに独自の書式が設定されることが多く、この書式の差異によって、文書の論理的な構造をある程度把握することが可能である。
【0003】
しかしながら書式は、必ずしも文書の論理構造に厳密に対応しているわけではなく、また紙と違って画面上では、書式の微妙な差異は識別しづらいことが多い。さらに、書式だけでは個々の要素は区別できても、要素間の上下関係までは明確でないことも多い。
【0004】
そこで本出願人は、本出願人が製造・販売するワープロソフト「一太郎(登録商標)2004」において、図17に示すように文書内の各段落(二つの改行間の文字列)を、あらかじめ設定された論理的なランクの高低に応じて、段階的に字下げして表示することを提案している(特願2003−403842)。
【0005】
図中、文書ウィンドウ1702内のライン1702aの位置から開始する段落(「コンセプト」や「ポイント」など)は、ランク1が設定されている段落である。また、ライン1702bの位置から開始する段落(「1.考える道具として新しい進化を目指す」「2.かな漢字変換プログラムとの連携」など)はランク2、ライン1702cの位置から開始する段落(「「考える道具」」など)はランク3が、それぞれ設定されている段落である。なお、ランクの設定されていない段落は一律に、ライン1702d以降に配置される。このように画面左から右へ向かって、ランクの高いものから低いものへとツリー状に段落が表示されるので、段落間の上下関係を直感的に把握することができる。
【0006】
また、アウトライン記号1702e・1702f・1702gをクリックすることで、当該記号の付された段落とそのすべての子段落(もしあれば)とを一括して範囲指定することができる。そしてその状態で、アウトライン記号1702e・1702f・1702gを上下方向へドラッグ&ドロップすると、指定された範囲をドロップ先へ一括して移動することができる。また、アウトライン記号1702e・1702f・1702gを左右方向へドラッグ&ドロップすると、指定された範囲に設定されているランクを、段落間の相対的な上下関係は維持したまま、ドラッグ量に比例してシフトすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来技術においては、たとえば段落A以下に、文書内に散在する複数の段落B〜Dを組み入れたい場合、まず段落Bの出現箇所を表示させ、そのアウトライン記号をクリックして段落Aまでドラッグ&ドロップした後、同様に段落Aから段落Cの出現箇所まで往復し、さらに段落Aから段落Dの出現箇所まで往復するというように、文書ウィンドウ1702のスクロールを頻繁に繰り返さなければならなかった。
【0008】
また、段落の移動後にランクを設定し直さなければならないことも多かった。たとえば図中、「製品概要」を「コンセプト」と「「考える道具」」との間にランク2の段落として組み入れるには、そのアウトライン記号を(1)下方向にドラッグ&ドロップして「コンセプト」と「「考える道具」」との間に移動した後、さらに(2)左方向にドラッグ&ドロップして本文→ランク2にシフトするという、2段階の操作が必要であった(移動した段落自体のランクを付け替える場合)。
【0009】
また、たとえば図中「「文書作成プロセス」の進化。」を「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」の下位の段落としてその直後に組み入れるには、(1)「「文書作成プロセス」の進化。」のアウトライン記号を下方向にドラッグ&ドロップして「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」の直後に移動した後、さらに(2)「「考える道具」」および「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」のアウトライン記号を左方向にドラッグ&ドロップしてそれぞれランク3→ランク1、本文→ランク2にシフトするという、これも2段階の操作が必要であった(移動した段落以外の段落のランクを付け替える場合)。
【0010】
このように従来技術では、先に複数の段落を入力した後、見出しとなる段落の下に複数の段落をまとめて徐々にこれらを階層化してゆくような場合に、しばしば操作が煩雑になってしまうという問題点があった。
【0011】
この発明は上述した従来技術による問題点を解消するため、文書中に散在する複数の要素を容易かつ直感的に階層化することが可能な文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる文書作成装置は、論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成装置において、表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示手段と、前記表示手段により表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知手段と、前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動手段と、前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この請求項1の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0014】
また、請求項2の発明にかかる文書作成装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記表示手段が、前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする。
【0015】
この請求項2の発明によれば、文書を構成する複数の要素はそれぞれ枠で囲まれて入れ子状に表示される。
【0016】
また、請求項3の発明にかかる文書表示装置は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記第1の枠領域が前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、前記第2の枠領域が前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする。
【0017】
この請求項3の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)にドラッグ&ドロップするだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0018】
また、請求項4の発明にかかる文書作成装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の発明において、前記要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする。
【0019】
この請求項4の発明によれば、要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクのいずれであるかを問わず、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0020】
また、請求項5の発明にかかる文書作成方法は、論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成方法において、表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示工程と、前記表示工程で表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知工程と、前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動工程と、前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
この請求項5の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0022】
また、請求項6の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項5に記載の発明において、前記表示工程では、前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする。
【0023】
この請求項6の発明によれば、文書を構成する複数の要素はそれぞれ枠で囲まれて入れ子状に表示される。
【0024】
また、請求項7の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項5または請求項6に記載の発明において、前記第1の枠領域が前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、前記第2の枠領域が前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする。
【0025】
この請求項7の発明によれば、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)にドラッグ&ドロップするだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0026】
また、請求項8の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項5〜請求項7のいずれか一つに記載の発明において、前記要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする。
【0027】
この請求項8の発明によれば、要素が文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクのいずれであるかを問わず、要素1(を表示中の第1の枠領域)とその親となるべき要素2(を表示中の第2の枠領域)とを指定するだけで、要素1を要素2より文書末側に、かつ要素2より論理的に下位の要素として組み入れることができる。
【0028】
また、請求項9の発明にかかる文書作成プログラムによれば、前記請求項5〜請求項8のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムによれば、文書中に散在する複数の要素を容易かつ直感的に階層化することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
図1は、この発明の実施の形態にかかる文書作成装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。図中、101は装置全体を制御するCPUを、102は基本入出力プログラムなどを記憶したROMを、103はCPU101のワークエリアとして使用されるRAMを、それぞれ示している。
【0032】
また、104はCPU101の制御にしたがってHD(ハードディスク)105に対するデータのリード/ライトを制御するHDD(ハードディスクドライブ)を、105はHDD104の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶するHDを、それぞれ示している。また、106はCPU101の制御にしたがってFD(フレキシブルディスク)107に対するデータのリード/ライトを制御するFDD(フレキシブルディスクドライブ)を、107はFDD106の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する着脱自在のFDを、それぞれ示している。
【0033】
また、108はCPU101の制御にしたがってCD−RWやCD−R、あるいはCD−ROM109に対するデータのリード/ライトを制御するCD−RWドライブを、109はCD−RWドライブ108の制御にしたがって読み書きされるデータを記憶する着脱自在のCD−RW、CD−RあるいはCD−ROMを、それぞれ示している。
【0034】
また、110はカーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データを表示するディスプレイを、111は文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボードを、112は各種指示の選択や実行、処理対象の選択、マウスポインタの移動などを行うマウスを、それぞれ示している。
【0035】
また、113は通信ケーブル114を介してLANやWANに接続され、当該ネットワークとCPU101とのインターフェースとして機能するネットワークI/Fを、100は上記各部を接続するためのバスを、それぞれ示している。
【0036】
次に、図2はこの発明の実施の形態にかかる文書作成装置の構成を機能的に示す説明図である。図中、200は編集中文書記憶部であり、編集中の文書(後述する画面表示部201により表示中の文書)のデータを一時的に保持する機能部である。
【0037】
上記文書は本出願人が製造・販売する「一太郎(登録商標)」により作成され、文字列・画像・動画・音声・他文書へのハイパーリンクなどといった複数の要素(以下では「エレメント」という)から構成されるものとする。また、各エレメントには「一太郎(登録商標)」でいう「ランク」が設定され、これによりエレメント間の論理的な上下関係を特定できるものとする。図3は、編集中文書の構造の一例を模式的に示す説明図である。図示するツリーを、ルートである当該文書自身(図中「文書1」)から深さ優先で先行順に巡回したときの各ノードの順序(図中丸数字)が、当該文書中での各エレメントの出現順序となる。なお、以下ではあるエレメントの直上のエレメントを「親エレメント」、直下のエレメントを「子エレメント」、共通の親エレメントを持つ同一階層のエレメントを「兄弟エレメント」という。
【0038】
なお、実際の「一太郎(登録商標)」では上から順に「ランク1」「ランク2」・・・「ランク6」「ランク7」「ランクなし」の8段階のランクを設定可能であるが、説明の便宜上、以下ではランクの種類には「大見出し」「小見出し」「本文」の3つしかないものとする。
【0039】
図2の説明に戻り、次に201は画面表示部であり、図4に示すような2ペイン構成のUI(ユーザ・インターフェース)画面により、編集中文書記憶部200内の編集中文書を表示する機能部である。図中、400はツリー表示エリア、401はエレメント表示エリアである。
【0040】
ツリー表示エリア400内のツリーは、図3のツリーと意味的に同一である(ノードのインデント位置が論理的な上下関係を、ノードの順序が文書中での先後関係を、それぞれ意味するよう表現形式を変更したのみ)。図中、行頭に黒の三角印400aが付加されたノードはランクが見出し(大見出しまたは小見出し)のエレメント、行頭に白の丸印400bが付加されたノードはランクが本文のエレメントである。
【0041】
一方、エレメント表示エリア401では、ツリー表示エリア400で選択中のノード(図示する例では「文書1」)に接続する各部分木ごとに枠領域401a・401b・・・が用意され、その中に各部分木を構成するエレメントの内容が表示される。たとえば図中、枠領域401aは「文書1」の直下の「AAAAA」をルートとする部分木用であり、枠領域401bは同「FFFFF」をルートとする部分木用である。
【0042】
なお、図示するように子エレメントはその親エレメントの中に、さらに枠で囲まれて入れ子状に(再帰的に、といってもよい)表示される。また、エレメントの内容が文字列の場合は、枠内に表示可能な文字数の範囲で当該文字列が表示され、エレメントの内容が画像・動画・音声の場合はファイル名やアイコン、サムネイルなどが、ハイパーリンクの場合はリンク先へジャンプするためのショートカットアイコンなどが、それぞれ簡易的に表示される。このようにエレメント表示エリア401では、各エレメントの内容がそのままでなく、所定サイズの枠内に表示可能となるまでいわば間引かれて表示されるので、一覧性が向上するとともに文書中の表示範囲を拡大することが可能である。
【0043】
なお、図4は部分木内のすべてのエレメントの内容を表示する例であるが、たとえば図5に示すように見出しだけを表示したり、あるいは入れ子の回数に上限Nを設け、入れ子がN重の範囲で表示可能なエレメントだけを表示したりするようにしてもよい。
【0044】
また、たとえば図4のツリー表示エリア400で「文書1」の代わりに「AAAAA」が選択された場合は、画面表示部201は図4の画面を図6のように再表示する。図示するようにエレメント表示エリア401には、ツリー表示エリア400で選択中の「AAAAA」を親エレメントとする4つの子エレメントの内容が、各子エレメントをルートとする部分木用の枠領域601a・601b・601c・601dにそれぞれ表示される。
【0045】
図2の説明に戻り、次に202はエレメント挿入部であり、ユーザが新規エレメントの挿入を指示した場合に、編集中文書記憶部200内の編集中文書に当該エレメントのデータ(文字列・画像・動画・音声・他文書へのショートカットなど)を挿入する機能部である。また、203はランク設定部であり、エレメントの入力時/移動時に当該エレメントのランクを設定/再設定する機能部である。
【0046】
たとえば図7は、新規文書作成開始時のUI画面の一例である。ツリー表示エリア400のカーソル700a位置、あるいはエレメント表示エリア401の新規入力エリア701aにたとえば文字列を入力すると、エレメント挿入部202が上記文書に上記文字列を挿入するとともに、画面表示部201が上記文書を再表示する結果、カーソル700a位置および新規入力エリア701aに上記文字列がエコー表示される。次に、ユーザがたとえば「Enter」キーを押下することで1エレメントの入力完了を通知すると、図8のようにカーソル700aは次行に、新規入力エリア701aは右隣に、それぞれ移動して次のエレメントの入力が可能となるので、同様に文字入力とその完了通知とを繰り返すことで、文書中に複数のエレメントを挿入できる。
【0047】
なおユーザが特に指定しない限り、新規エレメントは文書中でその直前に位置するエレメントのランクを継承する(ランク設定部203は新規エレメントに直前のエレメントと同一のランクを設定する。なお、直前のエレメントがない場合は一律に本文とする)ので、入力とその完了通知との繰り返しで連続的に挿入されたエレメントのランクはいずれも同一となる。
【0048】
エレメントのランクを指定するには、ツリー表示エリア400ではたとえば「Tab」キーあるいは「Shift+Tab」キーを使用する。すなわちランク設定部203は、カーソル700aが位置しているエレメントのランクを、「Tab」キーが押下されるごとに「本文→大見出し→小見出し→本文」のように、「Shift+Tab」キーが押下されるごとに「本文→小見出し→大見出し→本文」のように、それぞれ切り替える。たとえば図8のツリー表示エリア400で「Tab」キーを一回押下すると、画面表示部201は図9に示すように、ツリー表示エリア400のカーソル700aを大見出しのインデント位置(本文のインデント位置よりも左側)に移動するとともに、その直前に見出しを意味する黒の三角印400aを表示する。その後カーソル位置に文字列を入力することで、当該文字列を内容とするエレメントを、大見出しとして文書中に挿入できる。
【0049】
一方、エレメント表示エリア401でランクを指定するには、たとえば図10に示すようにエレメント表示エリア401で右クリックして開くメニュー1001aから「新規作成−見出し」を選択する。上記操作を検知すると、画面表示部201は図9のように、直前のエレメントより一つ上のランクのエレメントを入力するための新規入力エリア901a(同一ランクのエレメントを入力するための新規入力エリア701aとは、枠の形状の差異により区別される)を表示するので、ここに文字列などを入力することで、文書中に一つ上のランクのエレメントを挿入できる。
【0050】
また、図11に示すように枠領域ごとの操作ボタン1101aを押下すると、画面表示部201は直前のエレメントより一つ下のランクのエレメントを入力するための新規入力エリア1101bを表示するので、ここに文字列などを入力することで、文書中に一つ下のランクのエレメントを挿入できる。なお、ツリー表示エリア400で大見出し「AAAAA」の入力完了後、「Shift+Tab」キーを一回押下することでも同様の画面となる。
【0051】
図2の説明に戻り、次に204はエレメント移動部であり、既存のエレメントの文書中での位置を変更する機能部である。エレメントの移動には、以下で説明するように(1)エレメントのランクの再設定を伴わない場合と(2)伴う場合との2種類がある。
【0052】
(1)ランクの再設定を伴わないエレメントの移動
図3に示したような構造の編集中文書で、たとえば文書頭から2番目の「BBBBB」と3番目の「CCCCC」とを4番目の「DDDDD」の後ろに回したいときは、図6の画面で枠領域601a・601bを選択して、枠領域601cの右側の余白あるいは枠領域601dの左側の余白にドラッグ&ドロップする。
【0053】
図12は上記操作により、エレメント移動部204のツリー再構成部204aで再構成された図3のツリー、図13は上記操作の直後の画面である。この場合はエレメントの文書中での位置が入れ替わるだけで、エレメントのランクには変化がない(同一階層内でのエレメントの交換となる)。ちなみに図17に示した従来技術において、アウトライン記号を上下方向へドラッグ&ドロップすることにより行う段落の移動は、いずれもこの(1)に該当する。
【0054】
(2)ランクの再設定を伴うエレメントの移動
一方、図3の文書でたとえば文書頭から2番目の「BBBBB」と3番目の「CCCCC」とを4番目の「DDDDD」の下位に組み入れたいときは、図6の画面で枠領域601a・601bを選択して、枠領域601cにドラッグ&ドロップする。これにより、枠領域601a・601b内の各部分木は、枠領域601c内の部分木のルート直下につなぎ替えられる。
【0055】
図14は上記操作により、エレメント移動部204のツリー再構成部204aで再構成された図3のツリー、図15は上記操作の直後の画面である。図3/図6では子エレメントを持てない本文だった「DDDDD」が、図14/図15では子エレメントを持てる小見出しに繰り上がり、さらに「DDDDD」の兄弟エレメントである「EEEEE」も、連鎖的に本文から小見出しに繰り上がっていることが分かる(「EEEEE」のランクを繰り上げない場合、ドラッグ&ドロップされていない「EEEEE」まで「DDDDD」の子エレメントとなってしまい、「DDDDD」と「EEEEE」との兄弟関係が維持されない)。この場合はエレメントの文書中での位置が入れ替わるとともに、エレメント移動部204からの指示を受けたランク設定部203により、再構成の前後でランクの変化したエレメントにつき再構成後のランクが再設定される。
【0056】
この(2)のような移動は、図17に示した従来技術にはなかったものである。すなわち従来技術では、上述のようにエレメントの移動とランクの再設定との2段階の操作を必要としたが、本発明ではたとえば「製品概要」の枠領域を「コンセプト」の枠領域にドラッグ&ドロップしたり、あるいは「「文書作成プロセス」の進化」の枠領域を「清書ツールとしてだけでなく・・・目指す。」の枠領域にドラッグ&ドロップしたりするだけで、ランクの付け替えまでが自動的に行われる。
【0057】
なお、本実施の形態のようにランクが「大見出し」「小見出し」「本文」の3段階しかない場合、再構成後のツリーの深さが3を超えるような移動はエラーとなる。たとえば図4の画面で、枠領域401aを枠領域401bへドラッグ&ドロップすることは許されるが、逆に枠領域401bを枠領域401aへドラッグ&ドロップすることは許されない。これは前者の操作が、図3のツリーで「AAAAA」をルートとする部分木を「FFFFF」の直下に組み入れることを意味し、「AAAAA」のランクを大見出しから小見出しに変更すればツリーの深さを3以内に抑制できるのに対して、後者の操作は「FFFFF」をルートとする部分木を「AAAAA」の直下に組み入れることを意味し、ツリーの深さが4となることを避けられないためである。
【0058】
次に、図16はこの発明の実施の形態にかかる文書作成装置における、文書作成処理の手順を示すフローチャートである。図示する処理の開始に先立って、画面上には編集中文書記憶部200内の編集中文書が、たとえば図4のように表示されているものとする。
【0059】
そしてユーザが新規エレメントのデータを入力すると(ステップS1601:Yes)、画面表示部201からの指示を受けたエレメント挿入部202が、編集中文書記憶部200内の編集中文書に上記データを挿入する(ステップS1602)。また、同じく画面表示部201からの指示を受けたランク設定部203が、上記データのランクを上記文書中に設定する(ステップS1603)。なお、このときランク設定部203は、ユーザが特にランクを指定していた場合は当該ランクを、特に指定がなければ直前のエレメントのランクを、それぞれ新規エレメントのランクとして設定する。その後、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0060】
また、図4の画面でユーザがエレメントを選択してその移動を指示すると(ステップS1601:No、ステップS1604:Yes)、画面表示部201からの指示を受けたエレメント移動部204は、まずそのツリー再構成部204aにより、ユーザの指示どおりエレメントを移動させたと仮定して図3のツリーを再構成する(ステップS1605)。
【0061】
そして、再構成後のツリーの深さが所定値を超える場合(ステップS1606:No)はエラーとする(ステップS1607)一方、深さが所定値以内の場合(ステップS1606:Yes)は、編集中文書記憶部200内の編集中文書で、指定されたデータを指定された位置に移動する(ステップS1608)。さらに、ツリーの再構成の前後でランクの変化するエレメントがあった場合は(ステップS1609:Yes)、ランク設定部203に指示して、上記エレメントのランクを再構成後のツリーにおけるランクで上書きさせ(ステップS1610)、その後、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0062】
なお、ユーザの操作が新規エレメントの入力でも、既存のエレメントの移動でもなかった場合は(ステップS1601:No、ステップS1604:No)、各操作に対応するその他の処理を行い(ステップS1611)、その後、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0063】
以上説明した実施の形態によれば、あるエレメントの下に他のエレメントを集めて階層化したい場合に、逐一他のエレメントの出現箇所を検索したり、エレメントごとにランクを付け直したりしなくても、画面上のエレメント(の枠領域)を親となるべきエレメント(の枠領域)にドラッグ&ドロップするだけでよい。すなわち、既入力のデータをツリー状に階層化したり、いったん階層化したツリーを組み替えたりする作業が容易なので、先にデータのみをフラットに入力しておき、後から文書構成を洗練しつつ、考えをボトムアップ的にまとめ上げてゆくことができる。
【0064】
なお、本実施の形態で説明した文書作成方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、HD105、FD107、CD−RW/CD−R/CD−ROM109、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムは、論理的な上下関係を有する複数の要素からなる電子文書の作成に有用であり、特にある要素を別の要素の下に組み入れるといった、文書構造の組み替えが文書作成中にしばしば発生する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置の構成を機能的に示す説明図である。
【図3】文書を構成するエレメントの階層構造の一例を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置の、UI(ユーザ・インターフェース)画面の一例を示す説明図である。
【図5】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(エレメントのうち見出しのみを表示する場合)。
【図6】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(ツリーで他のノードを選択した場合)。
【図7】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(新規文書作成開始時)。
【図8】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(1エレメント入力完了時)。
【図9】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(直前のエレメントより一つ上のランクのエレメントを挿入する場合)。
【図10】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(エレメント表示エリア401で右クリックメニューを開いた場合)。
【図11】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(直前のエレメントより一つ下のランクのエレメントを挿入する場合)。
【図12】文書を構成するエレメントの階層構造の他の一例を示す説明図である(ランクの再設定を伴わないエレメントの移動後)。
【図13】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(図6で枠領域601aおよび601bを枠領域601cの右側の余白あるいは枠領域601dの左側の余白にドラッグ&ドロップした場合)。
【図14】文書を構成するエレメントの階層構造の他の一例を示す説明図である(ランクの再設定を伴うエレメントの移動後)。
【図15】前記UI画面の他の一例を示す説明図である(図6で枠領域601aおよび601bを枠領域601cにドラッグ&ドロップした場合)。
【図16】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置における、文書作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】従来技術(一太郎(登録商標)2004)における文書の表示の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
100 バス
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 FDD
107 FD
108 CD−RWドライブ
109 CD−RW/CD−R/CD−ROM
110 ディスプレイ
111 キーボード
112 マウス
113 ネットワークI/F
114 通信ケーブル
200 編集中文書記憶部
201 画面表示部
202 エレメント挿入部
203 ランク設定部
204 エレメント移動部
204a ツリー再構成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成装置において、
表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動手段と、
前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定手段と、
を備えることを特徴とする文書作成装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、
前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする前記請求項1に記載の文書作成装置。
【請求項3】
前記第1の枠領域は前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、
前記第2の枠領域は前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする前記請求項1または請求項2に記載の文書作成装置。
【請求項4】
前記要素は、文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする前記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の文書作成装置。
【請求項5】
論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成方法において、
表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示工程と、
前記表示工程で表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知工程と、
前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動工程と、
前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定工程と、
を含むことを特徴とする文書作成方法。
【請求項6】
前記表示工程では、
前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、
前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする前記請求項5に記載の文書作成方法。
【請求項7】
前記第1の枠領域は前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、前記第2の枠領域は前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする前記請求項5または請求項6に記載の文書作成方法。
【請求項8】
前記要素は、文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする前記請求項5〜請求項7のいずれか一つに記載の文書作成方法。
【請求項9】
前記請求項5〜請求項8のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させることを特徴とする文書作成プログラム。
【請求項1】
論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成装置において、
表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動手段と、
前記検知手段により前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定手段と、
を備えることを特徴とする文書作成装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、
前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする前記請求項1に記載の文書作成装置。
【請求項3】
前記第1の枠領域は前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、
前記第2の枠領域は前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする前記請求項1または請求項2に記載の文書作成装置。
【請求項4】
前記要素は、文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする前記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の文書作成装置。
【請求項5】
論理的な上下関係を意味するランクが設定された複数の要素からなる電子文書を作成する文書作成方法において、
表示画面に複数の枠領域を表示してその中に前記要素を表示する表示工程と、
前記表示工程で表示された枠領域の中から、第1の枠領域と第2の枠領域とが選択されたことを検知する検知工程と、
前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置を前記第2の枠領域に表示された要素の前記電子文書中での位置より後に移動する要素移動工程と、
前記検知工程で前記選択が検知された場合に、前記第1の枠領域に表示された要素のランクが前記第2の枠領域に表示された要素のランクより下となるよう前記各要素のランクを再設定するランク再設定工程と、
を含むことを特徴とする文書作成方法。
【請求項6】
前記表示工程では、
前記枠領域の中にさらに前記枠領域を表示するとともに、
前記要素を各枠領域の中に表示することを特徴とする前記請求項5に記載の文書作成方法。
【請求項7】
前記第1の枠領域は前記表示画面で前記第2の枠領域にドラッグされた枠領域であり、前記第2の枠領域は前記表示画面で前記第1の枠領域がドロップされた枠領域であることを特徴とする前記請求項5または請求項6に記載の文書作成方法。
【請求項8】
前記要素は、文字列、画像、動画、音声あるいは他文書へのハイパーリンクであることを特徴とする前記請求項5〜請求項7のいずれか一つに記載の文書作成方法。
【請求項9】
前記請求項5〜請求項8のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させることを特徴とする文書作成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−126961(P2006−126961A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311290(P2004−311290)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】
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