説明

文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラム

【課題】ある文書Aの作成中に必要となる可能性の高い他の文書B、具体的にはたとえば文書Aの元となった文書や、文書Aと同時に開かれていたことのある文書などを、あらかじめ文書Aに登録しておくことで、ユーザが必要なとき必要な文書に高速にアクセスできるようにする。
【解決手段】「3月月報.jtd」を同名で保存(図中「上書保存」)すると、保存日時とその時点でオープン中の他の文書の名前「クレーム処理.jtd」との組が同時編集文書情報300bとして記録される。一方、上記文書を「4月月報.jtd」として別名で保存(図中「名前を付けて保存」)すると、元文書情報300aとして保存前の名前「3月月報.jtd」が、同時編集文書情報300bとして保存日時とその時点でオープン中の他の文書の名前「出張報告0405.jtd」との組が、それぞれ記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータなどで電子文書を作成する場合、すでに作成されている他の文書を参照したり、他の文書の一部を使い回したりすることがよくある。そこで本出願人は、本出願人が製造・販売するワープロソフト「一太郎(登録商標)13」において、「参考文書」機能を搭載している。これはある文書の参考文書として他の文書を登録しておくと、「文書ウィンドウ」(文書の本文が表示されるウィンドウ)とは別の「ナレッジウィンドウ」中に、現在アクティブな文書の参考文書が一覧表示されるとともに、一覧中で選択された参考文書の本文が参照専用(編集禁止状態)で文書ウィンドウに表示される機能である。上記機能により、ユーザは必要な文書に高速にアクセスすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来技術においては、参考文書はユーザが逐一手動で登録しなければならなかった。言い換えると、ユーザがあらかじめ、文書作成中に必要になるかもしれない他の文書を正確に予見(予測)できるのでなければ、上記機能による恩恵を享受できないという問題点があった。
【0004】
この発明は上述した従来技術による問題点を解消するため、ある文書Aの作成中に必要となる可能性の高い他の文書Bを、あらかじめ文書Aに登録しておくことで、ユーザが必要なとき必要な文書に高速にアクセスできるよう支援することが可能な文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる文書作成装置は、第1の電子文書を第2の電子文書として保存すべき旨の指示を検知する検知手段と、前記検知手段により前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書の識別情報を書き込む書き込み手段と、前記書き込み手段により前記識別情報を書き込まれた前記第1の電子文書を前記第2の電子文書として保存する保存手段と、前記書き込み手段により書き込まれた前記識別情報を前記保存手段により保存された前記第2の電子文書中から読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段により読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この請求項1の発明によれば、文書Aが文書Bとして保存される前の文書Aの識別情報が文書Bに記録されるとともに、文書B中から当該情報を読み出して画面表示させることができる。
【0007】
また、請求項2の発明にかかる文書作成装置は、第1の電子文書に対する所定の指示を検知する検知手段と、前記検知手段により前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書とともに編集可能状態にある第2の電子文書の識別情報を書き込む書き込み手段と、前記書き込み手段により書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書中から読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段により読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この請求項2の発明によれば、文書A中に、何らかの処理の実行時に同時に開かれていた他の文書Bの識別情報が記録されるとともに、文書A中から当該情報を読み出して画面表示させることができる。
【0009】
また、請求項3の発明にかかる文書作成装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記所定の指示とは前記第1の電子文書の保存指示であることを特徴とする。
【0010】
この請求項3の発明によれば、文書A中に、当該文書の保存時に同時に開かれていた他の文書Bの識別情報が記録されるとともに、文書A中から当該情報を読み出して画面表示させることができる。
【0011】
また、請求項4の発明にかかる文書作成装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の発明において、さらに、前記書き込み手段により書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書または前記第2の電子文書中から削除する削除手段を備えることを特徴とする。
【0012】
この請求項4の発明によれば、文書中に記録された上記識別情報を任意に削除することができる。
【0013】
また、請求項5の発明にかかる文書作成装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の発明において、前記識別情報とは前記第1の電子文書または前記第2の電子文書のフルパス名であることを特徴とする。
【0014】
この請求項5の発明によれば、上記識別情報としては前の文書名や同時に開かれていた文書の文書名が記録・表示される。
【0015】
また、請求項6の発明にかかる文書作成方法は、第1の電子文書を第2の電子文書として保存すべき旨の指示を検知する検知工程と、前記検知工程で前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書の識別情報を書き込む書き込み工程と、前記書き込み工程で前記識別情報を書き込まれた前記第1の電子文書を前記第2の電子文書として保存する保存工程と、前記書き込み工程で書き込まれた前記識別情報を前記保存工程で保存された前記第2の電子文書中から読み出す読み出し工程と、前記読み出し工程で読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
この請求項6の発明によれば、文書Aが文書Bとして保存される前の文書Aの識別情報が文書Bに記録されるとともに、文書B中から当該情報を読み出して画面表示させることができる。
【0017】
また、請求項7の発明にかかる文書作成方法は、第1の電子文書に対する所定の指示を検知する検知工程と、前記検知工程で前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書とともに編集可能状態にある第2の電子文書の識別情報を書き込む書き込み工程と、前記書き込み工程で書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書中から読み出す読み出し工程と、前記読み出し工程で読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
この請求項7の発明によれば、文書A中に、何らかの処理の実行時に同時に開かれていた他の文書Bの識別情報が記録されるとともに、文書A中から当該情報を読み出して画面表示させることができる。
【0019】
また、請求項8の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項7に記載の発明において、前記所定の指示とは前記第1の電子文書の保存指示であることを特徴とする。
【0020】
この請求項8の発明によれば、文書A中に、当該文書の保存時に同時に開かれていた他の文書Bの識別情報が記録されるとともに、文書A中から当該情報を読み出して画面表示させることができる。
【0021】
また請求項9の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項6〜請求項8のいずれか一つに記載の発明において、さらに、前記書き込み工程で書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書または前記第2の電子文書中から削除する削除工程を含むことを特徴とする。
【0022】
この請求項9の発明によれば、文書中に記録された上記識別情報を任意に削除することができる。
【0023】
また請求項10の発明にかかる文書作成方法は、前記請求項6〜請求項9のいずれか一つに記載の発明において、前記識別情報とは前記第1の電子文書または前記第2の電子文書のフルパス名であることを特徴とする。
【0024】
この請求項10の発明によれば、上記識別情報としては前の文書名や同時に開かれていた文書の文書名が記録・表示される。
【0025】
また、請求項11の発明にかかる文書作成プログラムによれば、前記請求項6〜請求項10のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムによれば、ある文書Aの作成中に必要となる可能性の高い他の文書B(具体的には以下で説明するように、文書Aの元となった文書、文書Aと同時に開かれていたことのある文書など)を、あらかじめ文書Aに登録しておくことで、ユーザが必要なとき必要な文書に高速にアクセスできるよう支援することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
図1は、この発明の実施の形態にかかる文書作成装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。図中、101は装置全体を制御するCPUを、102は基本入出力プログラムなどを記憶したROMを、103はCPU101のワークエリアとして使用されるRAMを、それぞれ示している。
【0029】
また、104はCPU101の制御にしたがってHD(ハードディスク)105に対するデータのリード/ライトを制御するHDD(ハードディスクドライブ)を、105はHDD104の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶するHDを、それぞれ示している。また、106はCPU101の制御にしたがってFD(フレキシブルディスク)107に対するデータのリード/ライトを制御するFDD(フレキシブルディスクドライブ)を、107はFDD106の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する着脱自在のFDを、それぞれ示している。
【0030】
また、108はCPU101の制御にしたがってCD−RWやCD−R、あるいはCD−ROM109に対するデータのリード/ライトを制御するCD−RWドライブを、109はCD−RWドライブ108の制御にしたがって読み書きされるデータを記憶する着脱自在のCD−RW、CD−RあるいはCD−ROMを、それぞれ示している。
【0031】
また、110はカーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データを表示するディスプレイを、111は文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボードを、112は各種指示の選択や実行、処理対象の選択、マウスポインタの移動などを行うマウスを、それぞれ示している。
【0032】
また、113は通信ケーブル114を介してLANやWANに接続され、当該ネットワークとCPU101とのインターフェースとして機能するネットワークI/Fを、100は上記各部を接続するためのバスを、それぞれ示している。
【0033】
次に、図2はこの発明の実施の形態にかかる文書作成装置の構成を機能的に示す説明図である。図中、200はUI(ユーザ・インターフェース)部であり、ユーザからの指示を受け付けるための各種UI画面を表示するとともに、当該画面で受け付けた指示に対応する処理を他の適切な機能部に振り分ける機能部である。なお、ユーザから受け付ける各種指示のうち、本実施の形態に関連するものは文書の保存指示(本出願人が製造・販売するワープロソフト「一太郎(登録商標)」の場合、プルダウンメニューの「ファイル−上書保存」あるいは「ファイル−名前を付けて保存」を選択)、そして後述する関連文書情報の読み出し・書き込みおよび削除指示である。
【0034】
次に、201は文書記憶部であり、後述する関連文書情報300が記録された複数の文書を保持する機能部である。202は編集中文書記憶部であり、文書記憶部201内の文書のうちオープンされているものを一時的に保持する機能部である。なお、編集中文書記憶部202内の文書は必ずしも編集中とは限らないが(参照されているだけのこともある)、文書記憶部201から編集中文書記憶部202に読み出され、編集可能状態にあるこれらの文書を以下では「編集中文書」という。また、文書記憶部201は図1に示したHD105やFD107、あるいはCD−RW/CD−R/CD−ROM109により、編集中文書記憶部202は同RAM103により、それぞれ実現される。
【0035】
次に、203は文書編集部であり、UI部200からの指示を受けて、文書のオープンからクローズまでの編集処理全般を制御する機能部である。たとえば文書編集部203は、文書のオープン指示があった場合に文書記憶部201内の文書を編集中文書記憶部202に読み出したり、文書の保存指示があった場合に、編集中文書記憶部202内の文書を文書記憶部201に書き戻したりする。なお、文書編集部203によりオープンされた文書の名前は、文書履歴として文書履歴記憶部204に保存される。
【0036】
また、文書編集部203内の関連文書情報抽出部203aは、以下で説明する関連文書情報を文書中から読み出してUI部200に引き渡す機能部、関連文書情報更新部203bは関連文書情報を文書中に書き込んだり、文書中の関連文書情報を削除したりする機能部である。なお、本実施の形態で「更新」とは、「書き込み」と「削除」の双方を含むものとする。
【0037】
図3は、図2の文書記憶部201/編集中文書記憶部202内の文書の構造を模式的に示す説明図である。図示するように、文書中にはその本文を構成する文字列などのほか、関連文書情報300が含まれており、関連文書情報300にはさらに元文書情報300aと同時編集文書情報300bとが含まれている。
【0038】
ここで元文書情報300aとは、具体的には文書が現在の名前で保存される前の名前であり、文書Aを別の名前の文書Bとして保存したときに、関連文書情報更新部203bにより文書B中に書き込まれる。また、同時編集文書情報300bとは文書の保存日時と、その保存時に編集中文書記憶部202内にあった他の編集中文書の名前との組であり、文書Aを同名の文書Aとして保存(上書保存)した場合は文書A中に、文書Aを別名の文書Bとして保存した場合は文書B中に、それぞれ関連文書情報更新部203bによって書き込まれる。
【0039】
なお、文書の名前とは文書の識別情報の一例であり、多数の文書の中から個々の文書を一意に特定できるのであれば、関連文書情報300としては文書の名前のほか何を記録するのであってもよい。また、本実施の形態において文書の名前とは、具体的には文書のフルパス名であるものとする。
【0040】
図4は、図2に示した関連文書情報更新部203bによる関連文書情報300の更新の様子を模式的に示す説明図である。図中、まず関連文書情報300を持たない「C:¥My Documents¥2003年度¥3月月報.jtd」を編集後、同名で保存(図中「上書保存」)すると、図示するように保存日時とその時点でオープン中の他の文書の名前「C:¥・・・・・¥クレーム処理.jtd」との組が、同時編集文書情報300bとして記録される。
【0041】
一方、「C:¥My Documents¥2003年度¥3月月報.jtd」を別名で保存、たとえば「C:¥My Documents¥2004年度¥4月月報.jtd」として保存(図中「名前を付けて保存」)すると、「C:¥My Documents¥2004年度¥4月月報.jtd」の元文書情報300aとして上記保存前の名前「C:¥My Documents¥2003年度¥3月月報.jtd」が、同時編集文書情報300bとして保存日時とその時点でオープン中の他の文書の名前「C:¥・・・・・¥出張報告0405.jtd」との組が、それぞれ記録される。
【0042】
次に、「C:¥My Documents¥2004年度¥4月月報.jtd」を編集後、同名で保存すると、図示するように保存日時とその時点でオープン中の他の文書の名前「C:¥・・・・・¥3月月報.jtd」との組が、同時編集文書情報300bとして記録される。
【0043】
一方、「C:¥My Documents¥2004年度¥4月月報.jtd」を別名で保存、たとえば「C:¥My Documents¥2004年度¥5月月報.jtd」として保存すると、「C:¥My Documents¥2004年度¥5月月報.jtd」の元文書情報300aとして上記保存前の名前「C:¥My Documents¥2004年度¥4月月報.jtd」が、同時編集文書情報300bとして保存日時とその時点でオープン中の他の文書の名前「C:¥・・・・・¥売り上げ月次報告.jtd」「C:¥・・・・・¥もう一度考える企画.jtd」との組が、それぞれ記録される。
【0044】
このように、元文書情報300aは別名での保存を繰り返すごとに1件ずつ増加してゆくが、本実施の形態ではたとえば上限を10とし、元文書情報300a内の文書名が10件を超えた場合は古いものから順に破棄するものとする。また、同時編集文書情報300bは同名での保存を繰り返すごとに1組ずつ増加してゆき、別名での保存時にいったんクリアされるが、本実施の形態ではたとえば上限を50とし、同時編集文書情報300b内の文書名が50件を超えた場合は古いものから順に破棄するものとする。
【0045】
なお、関連文書情報更新部203bにより文書中に記録された関連文書情報300は、図5のようなダイアログから随時閲覧・修正することができる。デフォルトでは図示するように「関連のある文書」タブが選択され、同タブ中のファイル一覧エリア500には関連文書情報抽出部203aにより読み出された、現在アクティブな文書の元文書情報300a(図中「元になった文書」以下)および同時編集文書情報300b(同「同時に開いていたことがある文書」以下)が表示されている。
【0046】
なお、同時編集文書情報300bは保存日時のフォルダごとに分類して表示され、いつどの文書が同時に開かれていたかを区別できるようになっている。もっとも、短時間の間に保存を繰り返すユーザの場合はフォルダ数が多くなり、しかもフォルダ間で共通する文書が多くなってしまうので、フォルダの単位を日時でなく日や週などに拡大してもよい。また、図示する例ではスペースの関係上、ファイル一覧エリア500で選択された文書のみについてそのフルパス名(図中「ファイルパス」)を表示しているが、上記エリア中の各文書につきフルパス名を表示するようにしてももちろんよい。
【0047】
また、ファイル一覧エリア500では「元になった文書」「同時に開いていたことがある文書」のほか、「現在開いている文書」以下に現在オープン中の他の文書の名前が表示されている。この情報はあらかじめ文書中に記録されたものではなく、ダイアログ表示時にリアルタイムに収集される情報である点で、上述の関連文書情報300とは異なるが、図5のダイアログでは便宜上、関連文書情報300と同一のファイル一覧エリア500内に表示している。なお、この「現在開いている文書」以下の文書が、文書の次回保存時にその保存日時とともに、同時編集文書情報300bとして「同時に開いていたことがある文書」以下に繰り上がることになる。
【0048】
なお、「元になった文書」「同時に開いていたことがある文書」以下の各文書は、各文書が選択された状態で「Delete」キーを押下することにより個別に削除することができるほか、「文書のつながりの情報を消す」ボタン501で開く図6のようなダイアログから一括削除することもできる。すなわち上記操作を検知したUI部200は、関連文書情報更新部203bに関連文書情報300の削除を指示するので、これを受けた関連文書情報更新部203bは、指示された関連文書情報300を現在アクティブな文書中から削除する。
【0049】
また、図5のダイアログでは「関連のある文書」タブが選択されているが、その隣の「似た名前の文書」タブが選択された場合は図7のようになる。図中キーワード入力エリア700には、デフォルトでは現在アクティブな文書の狭義の文書名(広義の文書名はフルパス名である)が表示され、検索結果一覧エリア701には、キーワード入力エリア700内の文書名と類似する文書名を有する文書(以下では「類似名文書」という)が一覧表示される。
【0050】
そして図2に示した文書検索部205は、UI部200からの指示を受けて、現在アクティブな文書の類似名文書を検索する機能部である。図7のダイアログで、検索対象として「指定フォルダ」が選択されていたときは文書記憶部201が、「ファイル履歴」が選択されていたときは文書履歴記憶部204が、それぞれ検索対象となる。なお、類似名文書の検索は原則として図7の「検索実行」ボタン702の押下を待って行うが、本実施の形態では「似た名前の文書」タブの選択時、デフォルトで「ファイル履歴」が選択される仕様としており、この場合キーワードも検索対象も特定されているので、ユーザの指示を待たずに検索を実行するようにしてもよい。
【0051】
また、文書名同士の類似度は、たとえば同一の文字が一つあるごとに1ポイントを加算するなど、従来からある任意の手法により計算すればよい。文書名の類似度をどのようにして計算するかは本発明では特に問わない。
【0052】
なお、図5や図7のダイアログでは「ファイルを開いて参考文書に登録」ボタン502を押下することで、ファイル一覧エリア500/検索結果一覧エリア701で選択中の文書を参考文書として登録することができる。上述のように文書Aの参考文書として文書Bを登録しておくと、文書A中に文書Bの名前が記録され、文書Aの編集時に文書Bを簡易な操作で呼び出すことができるが、この参考文書の登録はもっぱらユーザが手動で行い、本発明でいう関連文書のように、現在アクティブな文書と特定の関連を有する文書を自動的・継続的に記録するものではない点が異なる。
【0053】
また、図5や図7中「選択したファイルのプレビュー」ボタン503を押下することで、選択中の文書の本文をプレビューしたり、「選択したファイルを開く」ボタン504を押下することで、選択中の文書をオープンしたりすることもできる。
【0054】
また、図5や図7の「そのほかの方法」タブには、「関連のある文書」タブや「似た名前の文書」タブを利用する以外に、必要な文書や文書中のデータに高速にアクセスするための種々の機能がまとめられている。たとえば、現在アクティブな文書を一太郎(登録商標)でいう「よく使うファイル」に登録したり、「よく使うファイル」に登録されている文書を一覧表示させたりできるほか、文字列を指定しての文書の全文検索、文書中の特定タグ内の文字列の抽出などが可能である。しかしながら、これらはいずれも従来技術(一太郎(登録商標)にすでに搭載されている機能)であるので、詳細な説明を省略する。
【0055】
次に、図8はこの発明の実施の形態にかかる文書作成装置における、関連文書情報300の抽出および更新の手順を示すフローチャートである。図示する処理は、文書が一つでもオープンされている限り継続的に実行される。
【0056】
ユーザが文書の保存を指示したこと、具体的にはたとえば一太郎(登録商標)のプルダウンメニューで「ファイル−名前を付けて保存」や「ファイル−上書保存」が選択されたことをUI部200が検知すると(ステップS801:Yes)、それが別名での保存指示であった場合は(ステップS802:Yes)、UI部200からの指示を受けた文書編集部203が、まずその関連文書情報更新部203bにより、現在アクティブな文書の元文書情報300aに現在の文書名(保存前の文書名)を書き込む(ステップS803)。さらに同じく関連文書情報更新部203bにより、上記文書の同時編集文書情報300bをいったんクリアした後(ステップS804)、編集中文書記憶部202に読み出されている他の文書の文書名を、現在日時(保存日時)と対応づけて同時編集文書情報300bに書き込む(ステップS805)。
【0057】
一方同名での保存指示であった場合は(ステップS801:Yes、ステップS802:No)、関連文書情報更新部203bは、編集中文書記憶部202に読み出されている他の文書の文書名を、現在日時(保存日時)と対応づけて同時編集文書情報300bに書き込むのみである(ステップS805)。そして同名での保存であるか別名での保存であるかを問わず、次に文書編集部203は編集中文書記憶部202内の上記文書を、指定された名前で文書記憶部202に保存する(ステップS806)。その後、ステップS801へ戻ってユーザからの指示待ちとなる。
【0058】
また、図5のダイアログの表示指示があったことをUI部200が検知すると(ステップS801:No、ステップS807:Yes)、UI部200からの指示を受けた文書編集部203が、まずその関連文書情報抽出部203aにより、現在アクティブな文書からその関連文書情報300を読み出す(ステップS808)。その後、文書編集部203から上記情報を引き取ったUI部200が、図5のようなダイアログを画面表示する(ステップS809)。
【0059】
そして、上記ダイアログの消去が指示されるまでの間に関連文書情報300の削除が指示された場合、具体的には「関連のある文書」タブで「Delete」キーが押下された場合や、同タブの「文書のつながりの情報を消す」ボタン501が押下された場合は(ステップS810:No、ステップS811:Yes)、UI部200からの指示を受けた文書編集部203が、その関連文書情報更新部203bにより、関連文書情報300の一部または全部を文書中から削除する(ステップS812)。その後ステップS810に戻ってユーザからの指示待ちとなる。
【0060】
また、類似名文書の検索が指示された場合、具体的には「似た名前の文書」タブが選択されるか、あるいは同タブの「検索実行」ボタン702が押下された場合は(ステップS811:No、ステップS813:Yes)、UI部200からの指示を受けた文書検索部205が類似名文書を検索するとともに(ステップS814)、UI部200がその検索結果を図7のように一覧表示する(ステップS815)。その後ステップS810に戻ってユーザからの指示待ちとなる。
【0061】
なお、ダイアログで指示されたのが上記以外の処理、たとえば参考文書への登録指示やファイルのプレビュー/オープン指示などであった場合は(ステップS811:No、ステップS813:No)、当該指示に対応するその他の処理を行った後(ステップS816)、ステップS810に戻ってユーザからの指示待ちとなる。また、ダイアログの消去が指示された場合は(ステップS810:Yes)、ステップS809で表示したダイアログを消去した後(ステップS817)、ステップS801に戻ってユーザからの指示待ちとなる。なお、ユーザから指示されたのが文書の保存でも、図5のダイアログの表示でもなかった場合は(ステップS801:No、ステップS807:No)、当該指示に対応するその他の処理を行った後(ステップS818)、ステップS801に戻ってユーザからの指示待ちとなる。
【0062】
以上説明した実施の形態によれば、文書中に、当該文書の作成にあたって参照・編集される可能性の高い文書(具体的には、その文書の元となった文書や同時に開かれていたことがある文書など)が記録されるので、ユーザが必要なとき必要な文書に高速にアクセスできる確率が高くなる。また、従来の「参考文書」機能のようにユーザによる登録作業を必要としないので、初心者でも容易に他の必要な文書を呼び出すことができる。
【0063】
なお、元文書情報300aは上述のタイミング、具体的には文書の別名での保存時に更新する必要があるが、同時編集文書情報300bはたとえば保存以外の他の処理が指示されたときや、一定時間経過ごとに更新するようにしてもよい。また、元になった文書や同時に開かれていたことのある文書は、文書作成中に必要となる他の文書の一例であり、現在アクティブな文書と上記以外の関連を有する文書であっても、将来必要とされる可能性がある限り関連文書情報300として文書中に記録するようにしてももちろんよい。
【0064】
なお、本実施の形態で説明した文書作成方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、HD105、FD107、CD−RW/CD−R/CD−ROM109、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる文書作成装置、文書作成方法、および文書作成プログラムは、他の多数の文書を参照しながらの文書作成に有用であり、特にどの文書が必要になるかが事前に予見(予測)しづらかったり、予見(予測)された文書の登録作業をユーザに期待しづらかったりする場合などに適している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置の構成を機能的に示す説明図である。
【図3】図2の文書記憶部201/編集中文書記憶部202内の文書の構造を模式的に示す説明図である。
【図4】図2の関連文書情報更新部203bによる関連文書情報300の更新の様子を模式的に示す説明図である。
【図5】図2のUI部200により表示されるダイアログの一例を示す説明図である(「関連のある文書」タブが選択されている場合)。
【図6】図5の「文書のつながりの情報を消す」ボタン501が押下されたときにUI部200により表示されるダイアログの一例を示す説明図である。
【図7】図2のUI部200により表示されるダイアログの一例を示す説明図である(「似た名前の文書」タブが選択されている場合)。
【図8】この発明の実施の形態にかかる文書作成装置における、関連文書情報300の抽出および更新の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
100 バス
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 FDD
107 FD
108 CD−RWドライブ
109 CD−RW/CD−R/CD−ROM
110 ディスプレイ
111 キーボード
112 マウス
113 ネットワークI/F
114 通信ケーブル
200 UI(ユーザ・インターフェース)部
201 文書記憶部
202 編集中文書記憶部
203 文書編集部
203a 関連文書情報抽出部
203b 関連文書情報更新部
204 文書履歴記憶部
205 文書検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子文書を第2の電子文書として保存すべき旨の指示を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書の識別情報を書き込む書き込み手段と、
前記書き込み手段により前記識別情報を書き込まれた前記第1の電子文書を前記第2の電子文書として保存する保存手段と、
前記書き込み手段により書き込まれた前記識別情報を前記保存手段により保存された前記第2の電子文書中から読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段により読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする文書作成装置。
【請求項2】
第1の電子文書に対する所定の指示を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書とともに編集可能状態にある第2の電子文書の識別情報を書き込む書き込み手段と、
前記書き込み手段により書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書中から読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段により読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする文書作成装置。
【請求項3】
前記所定の指示とは前記第1の電子文書の保存指示であることを特徴とする前記請求項2に記載の文書作成装置。
【請求項4】
さらに、前記書き込み手段により書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書または前記第2の電子文書中から削除する削除手段を備えることを特徴とする前記請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の文書作成装置。
【請求項5】
前記識別情報とは前記第1の電子文書または前記第2の電子文書のフルパス名であることを特徴とする前記請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の文書作成装置。
【請求項6】
第1の電子文書を第2の電子文書として保存すべき旨の指示を検知する検知工程と、
前記検知工程で前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書の識別情報を書き込む書き込み工程と、
前記書き込み工程で前記識別情報を書き込まれた前記第1の電子文書を前記第2の電子文書として保存する保存工程と、
前記書き込み工程で書き込まれた前記識別情報を前記保存工程で保存された前記第2の電子文書中から読み出す読み出し工程と、
前記読み出し工程で読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする文書作成方法。
【請求項7】
第1の電子文書に対する所定の指示を検知する検知工程と、
前記検知工程で前記指示が検知された場合に、前記第1の電子文書中に当該電子文書とともに編集可能状態にある第2の電子文書の識別情報を書き込む書き込み工程と、
前記書き込み工程で書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書中から読み出す読み出し工程と、
前記読み出し工程で読み出された前記識別情報を表示画面に表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする文書作成方法。
【請求項8】
前記所定の指示とは前記第1の電子文書の保存指示であることを特徴とする前記請求項7に記載の文書作成方法。
【請求項9】
さらに、前記書き込み工程で書き込まれた前記識別情報を前記第1の電子文書または前記第2の電子文書中から削除する削除工程を含むことを特徴とする前記請求項6〜請求項8のいずれか一つに記載の文書作成方法。
【請求項10】
前記識別情報とは前記第1の電子文書または前記第2の電子文書のフルパス名であることを特徴とする前記請求項6〜請求項9のいずれか一つに記載の文書作成方法。
【請求項11】
前記請求項6〜請求項10のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させる文書作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−126962(P2006−126962A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311291(P2004−311291)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】