説明

文書処理システム、紙文書情報サーバ、文書処理方法、文書処理プログラム

【課題】 紙IDから属性情報を取得する処理にかかる時間を短縮する文書処理システム、紙文書情報サーバ、文書処理方法、文書処理プログラムを提供する。
【解決手段】 手書きされた紙文書に対して処理を行う文書処理システムであって、紙文書を識別するための紙IDを管理するとともに、紙文書の属性情報を管理する紙ID管理手段と、紙IDをエンコードした符号化紙IDをデコードするデコード手段と、符号化紙IDが印刷された紙文書から、デコード手段によりデコードされた紙IDを取得する情報取得手段と、紙ID管理手段から、紙IDに対応した紙文書の属性情報を取得する属性情報取得手段と、紙IDと属性情報とを関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段とを有し、属性情報取得手段は、関連情報記憶手段から紙IDに対応した紙文書の属性情報を取得できない場合、紙ID管理手段から属性情報を取得し、該属性情報は、関連情報記憶手段に記憶されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙文書に対して処理を行う文書処理システム、紙文書情報サーバ、文書処理方法、文書処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙にバーコードや2次元コードを添付することにより、紙に情報を付加し利用する技術が研究・開発されている。例えば、紙に印刷された内容と関連するウェブサイトのURLを2次元コードに埋め込み、利用者が携帯電話を使って、その2次元コードをカメラ部で写すことにより、そのウェブサイトを表示部に表示する、という技術は良く知られている。
【0003】
オフィスにおいても、紙を識別するための情報(以下、紙IDと記す)が付加された紙を、MFP(Multi Function Printer)或いはスキャナ等のオフィス機器を使って、利用する技術が開発されてきた。例えば、特許文献1には、文書を識別するIDを埋め込んだ2次元コードを紙に添付することで、それを利用したサービスを提供する技術が開示されている。
【0004】
ここで、紙に添付する例えばバーコードや2次元コードに、その紙の属性を示す属性情報を直接埋め込むのではなく、紙IDを埋め込み、その紙IDとその紙の属性情報を関連付けるテーブルを用意する、という方式がある。このようにすると、以下のような利点がある。
【0005】
まず、一点目は、紙に紙IDとして例えばバーコードを付加した後に、紙の属性情報の変更することが可能である。前述の携帯電話の例ではウェブサイトのURLを変更することができる。二点目は、バーコードや2次元コードは容量に限りがあり、属性情報を直接埋め込むには容量が不足する場合もあるが、上記テーブルを用いることで、容量の不足を回避できることである。三点目は、紙の属性情報に対して、適切なアクセス制限をかけることができるので、セキュリティを確保できることである。例えば、紙の属性情報の中に、紙の所有者に知られたくない項目があれば、その項目に対してアクセス制限をかればよい。
【0006】
ところで、紙IDが付加された紙のスキャン画像を処理するステップとして、次の3段階のステップがある。まず、第1段階は、紙IDであるバーコード或いは2次元コードをデコードして紙IDを取得するステップである。次の第2段階は、上記テーブルを参照して、紙IDから属性情報を取得するステップである。そして、第3段階は、外部処理プログラムに依頼して、属性情報とスキャン画像を処理するステップである。
【0007】
紙の属性情報取得のために、上記テーブルを格納するコンピュータを外部機器として用意し、スキャナを接続したPC或いはMFPは紙ID管理サーバに紙IDから属性情報を取得するために問い合わせる必要がある。
【特許文献1】特開平11−144033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記テーブルを格納するコンピュータと通信して属性情報を取得する際に、通信回線の混雑具合によっては、時間がかかることがあった。属性情報の取得に時間がかかると、特に、大量枚数の紙文書をスキャナから入力して処理する場合に、外部処理プログラムに処理を依頼するまでにかかる時間が大きくなる。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑み、紙IDから属性情報を取得する処理にかかる時間を短縮する文書処理システム、紙文書情報サーバ、文書処理方法、文書処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、手書きされた紙文書に対して処理を行う文書処理システムであって、前記紙文書を識別するための紙IDを管理するとともに、前記紙文書の属性情報を管理する紙ID管理手段と、前記紙IDをエンコードした符号化紙IDをデコードするデコード手段と、符号化紙IDが印刷された紙文書から、前記デコード手段によりデコードされた紙IDを取得する情報取得手段と、前記紙ID管理手段から、前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得する属性情報取得手段と、前記紙IDと前記属性情報とを関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段とを有し、前記属性情報取得手段は、前記関連情報記憶手段から前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得できない場合、前記紙ID管理手段から前記属性情報を取得し、該属性情報は、前記関連情報記憶手段に記憶されることを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明は、前記属性情報は、前記紙文書に対応する電子文書に割り当てられた文書IDを有し、前記属性情報取得手段は、前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を前記紙ID管理手段から取得する際に、該紙文書に対応した文書IDを有する紙文書の属性情報も取得することを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明は、不揮発性記憶手段をさらに有し、前記関連情報は、前記不揮発性記憶手段に記憶されることを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明は、前記紙ID管理手段と前記属性情報取得手段は、通信回線を介して接続された異なる機器に搭載されていることを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明は、紙文書に関する情報を有する紙文書情報サーバであって、前記紙文書を識別するための紙IDを管理するとともに、前記紙文書の属性情報を管理する紙ID管理手段と、前記紙IDに対応する紙文書の属性情報を提供する属性情報提供手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明は、前記属性情報は、前記紙文書に対応する電子文書に割り当てられた文書IDを有し、前記属性提供手段は、前記紙文書の前記属性情報を提供する際に、該紙文書に対応した文書IDを有する紙文書の属性情報も提供することを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明は、紙文書を識別するための紙IDを管理するとともに前記紙文書の属性情報を管理する紙ID管理手段と、前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報と前記紙IDとを関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段とを有する文書処理システムでの文書処理方法であって、前記紙ID管理手段から前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得する属性情報取得段階と、取得した属性情報を、前記関連情報記憶手段に記憶する記憶段階とを有することを特徴とする。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明は、前記属性情報取得段階では、前記関連情報記憶手段から前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得できない場合、前記紙ID管理手段から前記属性情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、紙IDから属性情報を取得する処理にかかる時間を短縮する文書処理システム、紙文書情報サーバ、文書処理方法、文書処理プログラムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例の文書処理システムの全体構成図を、図1を用いて説明する。図1には、帳票作成用PC101、プリンタ102、帳票処理用PC103、スキャナ105、デジタルPAD104、とデータサーバ106と、ネットワーク107が示されている。
【0021】
帳票作成用PC101は、筆記される紙のフォームを作成するものである。プリンタ102は帳票を印刷する。帳票処理用PC103は、筆記された紙から、帳票のフォームに従って、筆記されたデータに関する処理を行うものである。スキャナ105は、筆記された帳票を読み込むものである。デジタルPAD104は、連続的に手書き座標を取得するものであり、結果的に帳票に筆記された筆記情報を取得する。データサーバ106は、帳票処理用のデータベースである。
【0022】
尚、スキャナ105はADF(オートドキュメントフィーダ)を備え、複数枚数の紙をセットすることができる。また、帳票処理PC101からスキャナ105を駆動し、セットされた紙を順次、スキャンすることができる。
【0023】
帳票作成用PC101とプリンタ102をまとめて帳票作成装置108、帳票処理用PC103とデジタルPAD104とスキャナ105をまとめて帳票処理装置109と表現する。また、以下で、帳票作成PC101を紙ID管理サーバと表現することもある。この紙ID管理サーバは、紙文書情報サーバに対応する。
【0024】
次に、図1に示される各PCのハードウェア構成を、図2を用いて説明する。図2に示されるハードウェア構成は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置31と、表示装置32と、ドライブ装置33と、記録媒体34と、補助記憶装置35と、メモリ装置36と、演算処理装置37と、インタフェース装置38とを含むように構成される。
【0025】
入力装置31は、PCのユーザが操作するキーボード及びマウスなどで構成され、PCに各種操作信号を入力するために用いられる。表示装置32は、PCを操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示する。インタフェース装置38は、PCをネットワークに接続する為のインタフェースであり、例えばNIC(Network Interface Card)やモデム等で構成される。
【0026】
そして、PCを動作させるためのプログラムは、CD−ROM等の記録媒体34によって提供されるか、ネットワークを通じてダウンロードされる。また、記録媒体34は、ドライブ装置33にセットされ、データやプログラムが記録媒体34からドライブ装置33を介して補助記憶装置35にインストールされる。
【0027】
ストレージである補助記憶装置35は、データやプログラムを格納すると共に、必要なファイル等を格納する。メモリ装置36は、PCの起動時に補助記憶装置35からプログラムを読み出して格納する。演算処理装置37は、メモリ装置36に読み出され格納されたプログラムに従って処理を実行する。
【0028】
次に、図3を用いて、文書処理システムの構成について説明する。
【0029】
図3は、文書処理システムを構成する要素A〜Kとそれらの関係、並びにユーザと後述する外部処理プログラムとストレージとの関係を示す図である。
【0030】
図3に示されるユーザ110は、文書処理システムを使用するユーザである。また、外部処理プログラムは、筆記内容から所定の動作をするプログラムであり、このプログラムは予め用意しておく必要がある。ストレージ112は、情報を保存する記憶装置であり、例えば上記ハードディスク、MOドライブ、半導体ディスクなどが含まれる。
【0031】
次に、各要素について説明する。要素A121は、紙に紙IDを付与・印刷し、紙IDと文書IDおよび処理IDを関連付けるものである。これら各IDについては後に説明する。要素B122は、紙IDを管理し、フォームが定まっている電子文書に対して割り当てられる文書IDと紙IDとを関連付けるものである。
【0032】
要素C123は、紙IDの付与された紙文書であり、この紙文書にユーザ110は筆記する。要素D124は、紙文書からデータ並びに紙IDを取得するものである。要素E125は、紙IDをデコードするものである。要素F126は、紙IDをエンコードするものである。要素G127は、紙IDである。要素H128は、処理IDと外部処理プログラム111を関連付け、処理IDを管理するものである。要素I129は、フォームのレイアウト情報および処理方法を編集・管理するものである。要素J130は、筆記情報をフォームのレイアウト情報および処理方法から、筆記情報に分解・保存するものである。要素K131は、紙IDから文書ID及び処理方法に変換するものである。
【0033】
以上説明した要素Aから要素Kの内、要素A、B、F、Iが帳票作成装置108に搭載され、要素D、E、H、J、Kが帳票処理用PC109に搭載されている。
【0034】
紙ID管理手段と属性情報提供手段は、要素Bに対応する。デコード手段は、要素E125に対応する。情報取得手段は要素Dに対応する。関連情報記憶手段は、図2のメモリ装置36に対応する。不揮発性記憶手段は、図2の補助記憶装置35に対応する。
【0035】
以上説明したように、文書処理システムは、図3で説明する要素が含まれると良いので、図1に示される全体構成は一例であり、他の構成もあり得る。
【0036】
次に、図4を用いて紙ID管理テーブルについて説明する。紙ID管理テーブルには、紙ID201と、文書ID202と、ページ203と、処理ID204の項目がある。
【0037】
紙ID201は、紙を識別するために、紙に割り当てられた数字を示す。文書ID202は、電子文書を特定するための文字列である。ページ203は、電子文書におけるページ番号を示す。処理IDは、読み込まれた紙に対して行われる処理に割り当てられるIDである。
【0038】
なお、紙IDの数字の割り当て方は、例えば次のような方法がある。
・紙1枚ごとに与える
・文書IDとページ番号の組ごとに与える
・文書IDごとに与える
本実施例では2番目の文書IDとページ番号の組ごとに与える方法を用いて説明する。この紙ID管理テーブルは、要素Bにより管理される。要素Bが搭載された帳票作成PC101は外部機器から紙IDを要求されると、紙ID管理テーブルを検索し、その紙IDをもつ属性情報を返す。この属性情報とは、紙IDと関連付けられたものと紙IDを含み、図4の場合、文書ID202、ページ203、処理IDを示す。
【0039】
また、紙IDで要求を行った外部機器は、そのとき返された属性情報を保持するようにする。従って、この帳票作成PC101上の紙ID管理テーブルの一部の情報は、外部機器も上述したメモリ装置あるいは補助記憶装置に保持していることとなる。以下、このようなメモリ装置上に記憶された紙ID管理テーブルを単にキャッシュと表現する。
【0040】
次に、図5を用いて処理ID管理テーブルについて説明する。この処理ID管理テーブルは、要素Hが保持するものである。
【0041】
処理ID管理テーブルには、処理ID210と、ジョブフォルダ211と、外部処理プログラム212の項目がある。ジョブフォルダ211は、読み込まれた紙のデータが保存されるフォルダである。外部処理プログラム212は、このジョブフォルダ211を定期的に監視し、新しいデータを見つけると、それを取得してなんらかの処理を行う。
【0042】
次に、図6を用いて紙ID付き文書について説明する。紙ID付き文書とは、紙IDがエンコードされた例えばバーコードを添付した紙文書のことである。
【0043】
図6に示される紙ID付き文書221は、紙IDとして、全て1を割り当てられた複数枚数の紙ID付き文書である。つまり、同じ電子文書の同じページから印刷したものが複数枚あるとする。
【0044】
図6に示される紙ID付き文書221には、2次元コード222と、筆記情報223と、タイミングマーク224とが示されている。このタイミングマークは筆記情報を読み取る際に位置合わせのために利用されるが、形・数・大きさ・色などは限定されない。また、タイミングマークが存在しない場合もありうる。
【0045】
紙ID付き文書の他の例を図7に示す。図7に示される紙ID付き文書231は、紙IDとして、それぞれ異なる数字(2、3、4、….)を割り当てられた、同一の電子文書の、それぞれ異なるページから印刷した紙ID付き文書である。この紙ID付き文書231には、先ほどと同様に2次元コード232と、筆記情報233と、タイミングマーク234とが示されている。
【0046】
次に、紙ID付き文書に対し属性情報を利用して処理する文書処理プログラムの処理について、フローチャートを用いて説明する。なお、この文書処理プログラムは、帳票処理用PC103に搭載され、属性情報取得手段に対応する。
【0047】
図8に示されるフローチャートは、文書処理プログラムがスキャナを駆動してスキャン画像を格納する処理を示すものである。文書処理プログラムは、ステップS101で、バッファフォルダを作成する。このフォルダは、上述したジョブフォルダにデータを格納するまで、一時的に使用されるものである。文書処理プログラムは、ステップS102で、バッファフォルダを監視するスレッドを起動する。文書処理プログラムは、ステップS103で、スキャナ104を駆動し、スキャナのADFにセットされた全ての紙をスキャンし、スキャン画像のファイルをバッファフォルダに格納する。
【0048】
次に、文書処理プログラムは、ステップS104で、バッファフォルダにファイルがないかどうか判断する。ファイルがある場合、まだそれらのファイルが処理されていないことを示すので、文書処理プログラムは、ステップS105で、1秒待機し、再びステップS104の処理を行う。
【0049】
ファイルがすべて処理されれば、バッファフォルダにファイルが無くなる。これにより、ステップS104からステップS106へ処理は進む。文書処理プログラムは、ステップS106で、上記ステップS102で起動したスレッドを終了する。そして、ステップS107で、文書処理プログラムは、バッファフォルダを削除する。
【0050】
次に、図9を用いて、上記ステップS102で起動されたスレッドの処理について説明する。ステップS201で、スレッドはバッファフォルダにファイルがあるかどうか判断し、ファイルがない場合、ステップS202で0.1秒待機する。
【0051】
バッファフォルダにファイルがあると、スレッドは、ステップS203で、紙IDを取得する。次に、ステップS204で、スレッドは属性情報を取得する。ステップS205で、スレッドは、属性情報とともに外部プログラムに割り当てられたジョブフォルダにファイルを格納する。格納されたファイルは、ステップS206でバッファフォルダから削除される。
【0052】
次に、図10のフローチャートを用いて、紙ID取得処理について説明する。ステップS301で、画像の正立が行われる。この画像の正立とは、例えば2次元コードを識別可能な位置に画像を回転させることである。次のステップS302で、領域の抽出が行われる。領域の抽出とは、例えば2次元コードを識別するために必要となる領域を抽出することである。そして、ステップS303で、デコードされ、紙IDが取得される。
【0053】
次に、図11のフローチャートを用いて属性情報取得処理について説明する。ステップS401で、属性情報取得処理は、紙ID取得処理により取得した紙IDにより、キャッシュから属性情報を検索する。見つかれば、ステップS406でその属性情報が取得される。
【0054】
見つからなければ、ステップS403で、属性情報取得処理は、紙ID管理サーバである帳票作成PC101に紙IDを指定して属性情報を要求する。帳票作成PC101は、紙ID管理テーブルから指定された紙IDの属性情報を検索して属性情報を返す。属性情報取得処理は、返信された属性情報を取得し、ステップS405で、それをキャッシュに追加あるいはキャッシュを更新する。
【0055】
上述したフローチャートにおいて、ステップS404とステップS406は、属性情報取得段階に対応する。ステップS405は、記憶段階に対応する。
【0056】
具体的なキャッシュに関する処理について、図12を用いて説明する。図12には、紙ID管理サーバの紙ID管理テーブル240と、キャッシュ250とが示されている。紙ID管理テーブル240並びキャッシュ250には、図4で説明した項目が記されている。キャッシュ250には、紙ID管理サーバから得られた1つの属性情報が保持されている様子が示されている。
【0057】
この図12を用いて、文書処理プログラムが、図6の紙ID付き文書221を処理する場合の処理の流れを説明する。なお、図12に示されるキャッシュ250には、まだ属性情報が1つも保持されていないとする。
【0058】
一枚目を処理する際、紙ID属性取得処理では、キャッシュ250に紙IDが1の属性情報が存在しないので、紙ID管理サーバに問い合わせて属性情報を取得する。その際にキャッシュ250に格納する。
【0059】
しかし、二枚目以降の処理では、キャッシュ250に紙ID(紙ID=1)が存在するので、そこから属性情報を取得する。この方法により、二枚目以降の紙に対する属性情報の取得処理について、紙ID管理サーバに問い合わせることがなくなり、処理に要する時間を短縮することができる。また再度、図6の紙ID付き文書221を処理した場合は、一枚目からキャッシュにヒットする。
【0060】
次に、図13を用いて、キャッシュする場合の他の方法について説明する。この方法は、紙ID管理サーバが属性情報を要求されると、紙IDを紙ID管理テーブルから検索して文書IDを取得し、指定された紙IDの属性情報とともに、その文書IDと同じ文書IDをもつすべての属性情報を返信する方法である。
【0061】
図13には、図12と同様に、紙ID管理サーバの紙ID管理テーブル240と、キャッシュ250とが示されている。
【0062】
この図13を用いて、文書処理プログラムが、図7の紙ID付き文書を処理する場合の処理の流れを説明する。なお、図13に示されるキャッシュ250には、まだ属性情報が1つも保持されていないとする。
【0063】
一枚目を処理する際、紙ID属性取得処理では、キャッシュ250に紙IDが2の属性情報が存在しないので、紙ID管理サーバに問い合わせて属性情報を取得する。紙ID管理サーバは紙IDが2の属性情報を検索して、その紙IDに対応する文書IDを取得する。そして、紙IDが2の属性情報と、この文書IDをもつその他の属性情報を、文書処理プログラムに返す。
【0064】
文書処理プログラムはそれらを受信し、キャッシュ250に格納する。しかし、二枚目以降の処理では、メモリ上の紙ID管理テーブルに紙IDが存在するので、そこから紙ID属性情報を取得する。この方法により、二枚目以降の紙に対する紙ID属性取得処理について、紙ID管理サーバに問い合わせることがなくなり、処理に要する時間を短縮することができる。また再度、図7の紙ID付き文書を処理した場合は、一枚目からキャッシュにヒットする。
【0065】
以上説明したキャッシュを、例えば図2の補助記憶装置のような不揮発性の記憶装置に記憶するようにしても良い。例えば、文書処理プログラムは、紙ID管理テーブルファイルとして、キャッシュを保存する。
【0066】
そして、帳票処理PC103が起動した後、紙管理IDテーブルファイルを検索し、存在すればそれを読み込み、メモリに格納する。存在しなければ、メモリに、属性情報の存在しない紙IDテーブルを用意する。文書処理プログラムが終了すると、キャッシュを紙ID管理テーブルファイルに上書き保存する。これにより、帳票処理PC103の電源を切っても、それまでに取得した紙ID管理テーブルを保持することができる。
【0067】
次に、図1の文書処理システムにMFPを加えた文書処理システムを、図14を用いて説明する。図14に示される文書処理システムには、MFP1がネットワーク107に接続されている。図14に示される文書処理システムが、図1の文書処理システムと異なる点は、MFP1が接続されていることだけではなく、紙ID管理テーブルと、帳票処理PC103にWebサーバ機能が搭載されていることである。
【0068】
MFP1は、OS(operation system)を搭載しており、文書処理プログラムとほぼ同じ文書処理プログラムを搭載している。MFP1は、搭載されているスキャナ部から読み込んだ紙ID付き文書のファイルを、紙IDの属性情報に従って処理するように、帳票処理PC103に送信する。
【0069】
次に、図15を用いて、図14に示した文書処理システムにおける紙ID管理テーブルについて説明する。
【0070】
図15に示される紙ID管理テーブルが図4で示した紙ID管理テーブルと異なるのは、処理IDが消滅し、処理205と、処理送信先206が加わったことである。処理205は、その文書に対する処理を示すものである。処理送信先206は、外部処理プログラムのURLである。なお、以下の説明でも、帳票作成PC101を紙ID管理サーバと呼ぶこともある。
【0071】
次に、MFP1に搭載された文書処理プログラムについて説明する。これは、図6で説明した文書処理プログラムと比べて、図9で説明したスレッドの処理に違いがある。
【0072】
スレッドの動作を、図16を用いて説明する。なお、図16ステップS501〜ステップS504は、図9のステップS201〜ステップS204と同じであるので説明を省略する。
【0073】
属性情報を取得した後、スレッドは、ステップS505で、操作パネルに属性情報を表示する。次に、スレッドは、ステップS506で、ファイルを属性情報が含む外部処理プログラムのURLに送信する。最後に、スレッドは、ステップS507で、処理したファイルをバッファフォルダから削除する。
【0074】
ここで、図15で示した外部処理プログラムのURLに含まれるコンピュータを識別するためのドメイン名host02.ricoh.co.jpは帳票処理PC103を表すものとする。帳票処理PC103のWebサーバは、受信したファイルと属性情報を、指定されたURLに対応したジョブフォルダに格納する。
【0075】
この例では、URLがhttp://host02.ricoh.co.jp/JobFolder/Teikeiならばジョブフォルダc:\JobFolder\Teikeiへ、URLがhttp://host02.ricoh.co.jp/JobFolder/DataSaveならばジョブフォルダc:\JobFolder\DataSaveへ格納する、というように対応づけられている。
【0076】
次に、上述した属性情報を表示した操作パネルを、図17を用いて説明する。図17には、操作パネル260と、ステータス262と、属性情報表示欄263と、キャンセルボタン265とが示されている。
【0077】
ステータス260は、処理の状態を表示する欄である。属性情報表示欄263は、属性情報を表示する欄である。キャンセルボタン265は、文書処理プログラムの処理を終了させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】文書処理システムの全体構成を示す図(その1)である。
【図2】PCのハードウェア構成を示す図である。
【図3】文書処理システムを構成する要素A〜Jを示す図である。
【図4】紙ID管理テーブルを示す図(その1)である。
【図5】処理ID管理テーブルを示す図である。
【図6】紙ID付き文書を示す図(その1)である。
【図7】紙ID付き文書を示す図(その2)である。
【図8】文書処理を示すフローチャート(その1)である。
【図9】文書処理を示すフローチャート(その2)である。
【図10】紙ID取得処理を示すフローチャートである。
【図11】属性情報取得処理を示すフローチャートである。
【図12】属性情報をキャッシュする様子を示す図(その1)である。
【図13】属性情報をキャッシュする様子を示す図(その2)である。
【図14】文書処理システムの全体構成を示す図(その2)である。
【図15】紙ID管理テーブルを示す図(その2)である。
【図16】文書処理を示すフローチャート(その3)である。
【図17】MFPの操作パネルを示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 MFP
31 入力装置
32 表示装置
33 ドライブ装置
34 記録媒体
35 補助記憶装置
36 メモリ装置
37 演算処理装置
38 インタフェース装置
100 記憶装置
101 帳票作成用PC
102 プリンタ
103 帳票処理用PC
104 D−PAD
105 スキャナ
106 データサーバ
107 ネットワーク
108 帳票作成装置
109 帳票処理装置
110 ユーザ
111 外部処理プログラム
112 ストレージ
121 要素A
122 要素B
123 要素C
124 要素D
125 要素E
126 要素F
127 要素G
128 要素H
129 要素I
130 要素J
131 要素K
201、210 紙ID
202 文書ID
203 ページ
204 処理ID
205 処理
206 処理送信先
211 ジョブフォルダ
212 外部処理プログラム
221、231 紙ID付き文書
222、232 2次元コード
223、233 筆記情報
224、234 タイミングマーク
240 紙管理ID情報
250 キャッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書きされた紙文書に対して処理を行う文書処理システムであって、
前記紙文書を識別するための紙IDを管理するとともに、前記紙文書の属性情報を管理する紙ID管理手段と、
前記紙IDをエンコードした符号化紙IDをデコードするデコード手段と、
符号化紙IDが印刷された紙文書から、前記デコード手段によりデコードされた紙IDを取得する情報取得手段と、
前記紙ID管理手段から、前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得する属性情報取得手段と、
前記紙IDと前記属性情報とを関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段とを有し、
前記属性情報取得手段は、前記関連情報記憶手段から前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得できない場合、前記紙ID管理手段から前記属性情報を取得し、該属性情報は、前記関連情報記憶手段に記憶されることを特徴とする文書処理システム。
【請求項2】
前記属性情報は、前記紙文書に対応する電子文書に割り当てられた文書IDを有し、
前記属性情報取得手段は、前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を前記紙ID管理手段から取得する際に、該紙文書に対応した文書IDを有する紙文書の属性情報も取得することを特徴とする請求項1に記載の文書処理システム。
【請求項3】
不揮発性記憶手段をさらに有し、
前記関連情報は、前記不揮発性記憶手段に記憶されることを特徴とする請求項1または2に記載の文書処理システム。
【請求項4】
前記紙ID管理手段と前記属性情報取得手段は、通信回線を介して接続された異なる機器に搭載されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の文書処理システム。
【請求項5】
紙文書に関する情報を有する紙文書情報サーバであって、
前記紙文書を識別するための紙IDを管理するとともに、前記紙文書の属性情報を管理する紙ID管理手段と、
前記紙IDに対応する紙文書の属性情報を提供する属性情報提供手段と
を有することを特徴とする紙文書情報サーバ。
【請求項6】
前記属性情報は、前記紙文書に対応する電子文書に割り当てられた文書IDを有し、
前記属性提供手段は、前記紙文書の前記属性情報を提供する際に、該紙文書に対応した文書IDを有する紙文書の属性情報も提供することを特徴とする請求項5に記載の紙文書情報サーバ。
【請求項7】
紙文書を識別するための紙IDを管理するとともに前記紙文書の属性情報を管理する紙ID管理手段と、前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報と前記紙IDとを関連付けた関連情報を記憶する関連情報記憶手段とを有する文書処理システムでの文書処理方法であって、
前記紙ID管理手段から前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得する属性情報取得段階と、
取得した属性情報を、前記関連情報記憶手段に記憶する記憶段階と
を有することを特徴とする文書処理方法。
【請求項8】
前記属性情報取得段階では、前記関連情報記憶手段から前記紙IDに対応した前記紙文書の属性情報を取得できない場合、前記紙ID管理手段から前記属性情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の文書処理方法。
【請求項9】
請求項8または9に記載の文書処理方法をコンピュータで実行させるための文書処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−107057(P2006−107057A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291749(P2004−291749)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】