文書処理装置
【目的】 文書に論理階層構造を持たせ、文書の編集および整形出力の処理を論理階層構造に従って文書処理を行う文書処理装置において、複数個の文書の断片から構成される文書に対して、異なった主題の文書、あるいは同一主題でも観点が異なった文書を共通の文書の断片から作成することを可能とする。
【構成】 文書処理装置は、文書構成要素の編集処理を行い、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成すると共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、文書処理を行う文書処理手段と、指示された構造情報の論理階層構造に従って、文書構成要素を組み合わせ、1つの文書に変換するレイアウト処理手段とを備える。
【構成】 文書処理装置は、文書構成要素の編集処理を行い、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成すると共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、文書処理を行う文書処理手段と、指示された構造情報の論理階層構造に従って、文書構成要素を組み合わせ、1つの文書に変換するレイアウト処理手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、文書処理装置に関し、特に、文書に論理階層構造を持たせ、文書の編集および整形出力の処理を論理階層構造に従って処理する文書処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、コンピュータ化された文書処理装置は、文書事務で発生する様々な文書を能率よく作成するため、様々な文書処理機能が開発され、付加されるようになっている。また、従来の紙に印刷する文書の形式に捕らわれず、コンピュータの持つ特性を最大限に引き出すような文書形態として、ハイパーテキストという新しいメディアに対応した文書形態も利用されつつある。このハイパーテキストは、紙という旧来のメディアをコンピュータという新しいメディアに置き換えた文書形態であり、このハイパーテキストの文書形態では、文書は主にその論理的単位(ノード)で区分され、区分された論理構造単位の文書を入力/記憶/編集する機能を有する文書処理装置が必要とされる。このような文書処理装置としては、例えば、特開平1−134561号公報に記載の「フレキシブルテキストのレイアウト方式」のような文書処理装置が知られている。このような文書処理装置では、文書の論理的単位であるノードをリンクによって関連づけてネットワーク状のフレキシブルテキストを作成して記憶し、フレキシブルテキストのネットワークに、フラットテキストへのレイアウト情報を付加し、このフラットテキストへのレイアウト情報に基づいて、記憶されたフレキシブルテキストをフラットテキストに変換する。このようなレイアウト処理により、単一の論理階層構造での文書の作成,編集,管理を行うことが可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような文書処理装置を用い、文書作成処理を行う場合には、文書を断片化して、文書構成要素(文書の断片)を作成してしておき、文書の断片の集合から、1つの文書をまとめ上げて1つの文書を作成する。次に、このような文書断片の集合から1つの文書をまとめ上げる手法について説明する。
【0004】従来から、文書を執筆するスタイルとして、次のような2つの方法がある。第1の方法としては、始めに文書の全体の構成を定義し、次に、その構成に沿ってだんだんと内容を詳細に記述していく方法、いわゆる『トップダウン』の方法があり、また、第2の方法として、文書の主題に関連するそれぞれの項目を、筆者が思いつくままに記述し、あるいは関連ある資料を捜し、これらの文書の断片を揃えておいてから、次に論旨の流れを整えるための構成を考え、この構成に文書の断片をあてはめていく方法、いわゆる『ボトムアップ』の方法がある。
【0005】『ボトムアップ』法では、始めに集積する関連する文書の断片の集積の作業が重要であり、筆者のアイデア,他者の意見,外部から入手する参考資料,その他など、多くの断片を集めることで、新たなアイデアを断片として生み出せる場合も多くある。この『ボトムアップ』法では、文書の断片を1つの文書としてまとめるため、バラバラの文書の断片にリンク付けを行い、主題に対する文書の論理階層構造を組立て、文書の体裁を整えていく。ここでの各文書の断片は特定の主題にのみ関連するわけではなく、ものによって、様々な主題に関連するものが多くある。このため、このような文書の断片は、多くの文書で共通に参照できる可能性がある。したがって、集められた文書の断片は、他に再利用可能とすることが望ましい。
【0006】このように、文書の断片が多く集められた場合、多くの断片を組合せ、編集を行うことによって、様々な異なる主題の文書を作成することが可能となるので、これらの文書の断片が多くの文書で再利用可能なように、文書データ構造を形成して、文書処理を行う。これにより、文書作成の効率向上,文書保存の領域の軽減など、文書利用に多くの利益をもたらすことが期待できる。
【0007】ところで、文書とは、ある主題について作成者から読者に情報を伝達する形態の一手段であり、1つの伝達媒体とも考えられる。同一主題の文書においても、文書の断片の組合せを変化させ、異なる観点から異なる文書構造を有する文書として複数の文書を作成する必要性が生じる場合がある。例えば、性質の異なる読者に情報を伝達する場合においては、同じ主題であっても、読者によっては理解度/興味をもつ項目など、主題に対する評価/態度は異なっている。このため、このような場合に対しては、性質の異なる読者に対応するため、文書作成者は、■重点を置く項目を変える、■話の順序をかえる、■ある項目を省略する、■ある項目をさらに詳細に記述するなどのように、同一主題の文書においても文書構造の異なった複数の文書の作成を行うことが所望される。この場合、もともと、対象とする主題が同一であるため、文書構成要素の各々の内容は同一であることが多く、文書の論理階層構造のみを組み替え、論理構成要素の取捨選択によって、上記の作業が可能となる。
【0008】しかしながら、上述のような単一の論理階層構造のみを扱う文書処理装置において、このような作業を行う場合、それぞれの読者ごとに別々の文書ファイルを用意し、異なる論理階層構造にもとづく文書として、各々の読者対応の文書を作成しなければならない。また、文書構成要素の単位では同一の内容であっても、それら文書ファイルごとに複写し、それぞれの文書としてファイルを作成し保存しなければならない。この場合、同一の内容をもつ文書構成要素が複数の文書ファイルに複数存在することになるために、これらの文書構成要素の文書ファイルの内容更新/維持管理は煩雑なものになってしまうという問題がある。
【0009】本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、文書に論理階層構造を持たせ、文書の編集および整形出力の処理を論理階層構造に従って処理する文書処理装置において、複数個の文書の断片から構成される文書に対して、異なった主題の文書、あるいは、同一主題でも観点が異なった文書を共通の文書構成要素から容易かつ迅速に作成することが可能な文書処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成するため、本発明の文書処理装置は、文書内容および属性から成る個々の文書構成要素と、該個々文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造とを作成し、作成した論理階層構造に基づき、論理階層構造を有する文書の文書処理を行う文書処理装置であって、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成すると共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、複数文書の処理を行う文書処理手段(6,8,9;図1)と、指示された構造情報の論理階層構造に従って、文書構成要素を組み合わせ、1つの文書に変換するレイアウト処理手段(7;図1)とを設けたことを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明の文書処理装置においては、文書内容および属性から成る個々の文書構成要素と、該個々文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造とを作成し、作成した論理階層構造に基づいて、論理階層構造を有する文書の文書処理を行う。文書処理手段(6,8,9;図1R>1)は、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成する。と共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、複数文書の処理を行う。文書処理手段が作成した複数個の論理階層構造の構造情報は、それぞれが、共通の文書構成要素を利用した観点の異なる文書を規定しており、この構造情報から規定される文書は、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から作成された文書となる。なお、ここでの文書構成要素はそれぞれ個別に例えば修正のための編集処理が行なわれる。
【0012】このように、共通の文書構成要素を用いる複数の論理階層構造の規定する構造情報を別途に作成することによって、異なった主題の文書、あるいは、同一主題でも観点が異なった文書を容易に作成することが可能となる。また、これら構造情報により複数の文書を扱う場合においても、文書構成要素は共通のものを用いており、同じ内容の文書構成要素は複数個作成(複写)されることはない。このため、文書ファイルの内容更新/維持管理の負荷が軽減される。ここで作成された共通の文書構成要素の関係を規定する論理階層構造の個々の構造情報による文書は、レイアウト処理手段により、指示された構造情報の論理階層構造に従って文書構成要素が組み合わされ、それぞれに1つの文書に変換され出力される。
【0013】また、文書処理手段は、論理階層構造を文書単位に構造情報によりそれぞれに管理し、各文書単位の論理階層構造の構造情報に従って、文書の編集処理を行う場合の処理を、例えば、論理階層構造の構造情報の編集処理と、文書構成要素の編集処理とをそれぞれ個別に行えるように構成される。これにより、文書編集処理の自由度が増し、文書編集処理を効率よく行うことができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により具体的に説明する。図1は、本発明の一実施例にかかる文書処理装置の構成を示すブロック図である。図において、1はキーボード、2はCRTディスプレイ、3は入出力制御部、4は文書表示制御部、5はユーザインタフェース、6は文書編集制御部、7は文書レイアウト処理部、8は論理階層構造編集部、9は文書構成要素編集部、10は文書記憶部、11はディスク装置である。
【0015】文書記憶部10は、ディスク装置11を制御し、文書の論理階層構造の構造情報および文書構成要素(内容/属性)を記憶する。また、必要に応じて、文書記憶部10はディスク装置11における文書ファイル形式と文書の論理階層構造の構造情報および文書構成要素から、記憶しておく文書ファイルの管理を行う。文書構成要素編集部9は、文書の実体内容となる文書構成要素(文書構成要素カード)の編集処理を行い、論理階層構造編集部8は文書構成要素の間の論理的階層構造を規定する構造情報(論理階層構造カード)の編集処理を行う。また、文書レイアウト処理部7は、後述するように、文書構成要素とその間を関係付けている論理階層構造(リンク構造)により構成されている論理階層構造を有する文書に対して、その構造情報のみの規定による文書をも含めて、フラットな文書に整形出力するレイアウト処理を行う。レイアウト処理では、整形出力ビュアカード上において当該文書のレイアウトを表示する。
【0016】文書編集制御部6は、文書処理装置の全体の制御を行い、入出力制御部3,文書編集制御部6,文書レイアウト処理部7,論理階層構造編集部8,文書構成要素編集部9,および文書記憶部10の各サブシステムを制御する。また、文書編集制御部6は、ここでの一連の文書処理を行うため、後述するような構造化ドキュメントエディタを動作させ、文書処理にかかる各々のサブシステムの処理の切り換え,制御などを行う。入出力制御部3は、文書表示制御部4およびユーザインタフェース5を含んで構成されており、CRTディスプレイ2およびキーボード1,図示しないポインティングデバイスのマウスなどを制御し、ここでの文書処理における入出力制御を行う。
【0017】図2は、本実施例の文書処理装置で扱う文書のデータ構造の概念を説明する図である。ここでの文書のデータ構造は、図2に示すように、共通利用される複数個の文書構成要素20と、個別の個々の文書構成要素21a,21b,21c,22a,22b,22c,23a,23b,23c,23d,…とが、それぞれに個別に論理階層構造21,22,23により関係付けられているデータ構造となっており、各々の文書が特定観点の論理階層構造21,22,23により関係付けらている構造の文書となっている。例えば、論理階層構造21により関係付けられている文書Aは、個別の文書構成要素21a,21b,21cと、共通の文書構成要素20である文書構成要素b,文書構成要素d,文書構成要素g,文書構成要素i,および文書構成要素kとが関係付けられ組合わせられて、1つの文書としての構造が規定された文書となっている。
【0018】また、論理階層構造22により関係付けられている文書Bの文書は、同様に、個別の文書構成要素22a,22b,22cと、共通の文書構成要素20である文書構成要素b,文書構成要素e,文書構成要素f,文書構成要素g,および文書構成要素mとが関係付けられ組合わされて、1つの文書としての構造が規定された文書となっている。なお、ここでの共通の文書構成要素20である文書構成要素b,文書構成要素g,文書構成要素k,文書構成要素mなどの文書構成要素は、文書Aおよび文書Bの論理階層構造に組込まれた共通の文書構成要素となっており、各々の論理階層構造21,22,23のみの編集によっても、それぞれの文書処理が行える。
【0019】特に、同一主題の複数の文書を作成する場合には、文書の一部のみの変更などが多いので、多くの共通の文書構成要素20を用いて、それらの間の関係を規定する論理階層構造のみの編集によって、文書作成処理が行える。この場合、文書ファイルに格納される個々の文書構成要素は、複数の文書に対して、共通の文書構成要素と、それらの関係を異なる論理階層構造で関係付ける個々の論理階層構造の構造情報のみとなる。このように、ここでの文書処理装置が扱う文書のデータ構造においては、複数の論理階層構造で同一の文書構成要素を共有することが可能になるため、共有の同一文書構成要素のみに対して、文書の内容更新/維持管理を行えば良く、文書管理の負荷が軽減される。
【0020】次に、本実施例にかかる文書処理装置により、文書処理を行う場合の処理例のを具体的に説明する。まず、論理階層構造の編集処理を説明する。図3は文書処理における構造化ドキュメントエディタの表示画面の一例を示す図である。この論理階層構造の編集処理では、文書編集制御部6において動作する構造化ドキュメントエディタが起動され、入出力制御部3を介してCRTディスプレイ2にウィンドウ30が表示される。ウィンドウ30においては、論理階層構造編集部8において動作する論理階層構造カード31,32,33の編集ウィンドウと、文書構成要素編集部9において動作する文書構成要素カード34の編集ウィンドウと、文書レイアウト処理部7において動作する整形出力ビュアカード35のウィンドウを表示して、それぞれの文書の編集処理を行う。
【0021】ここでの各々の論理階層構造カード31,32,33のウィンドウは、当該論理階層構造カードに対応する文書の論理的階層構造を木構造として、表示/編集をおこなう編集ウィンドウであり、また、文書構成要素カード34のウィンドウは、それぞれの文書内容となり得る文書構成要素の文書内容の編集処理を行う編集ウィンドウとなっている。ユーザが文書処理を行う場合には、まず、文書構成要素の文書内容データを作成するため、該当する文書構成要素カードの編集ウィンドウを、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ30上のサブウィンドウとして開き、文書内容となる文字テキスト/図形などを表示して、文書作成および文書編集の操作を行う。その後、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ30上において、これらの間の論理階層構造を規定する構造情報(論理階層構造カード)を、共通の文書構成要素を用いて異なる観点から構造を規定しているものを複数個作成し、それぞれの論理階層構造を反映した文書を作成することになる。
【0022】次に、本実施例の動作を説明する。ここでは、文書作成者がキーボードやマウス等の入力手段を用いて、入出力制御部3を介して文書編集制御部(構造化ドキュメントエディタ)6を起動させ、文書レイウト処理部7,論理階層構造構造編集部8,文書構成要素編集部9と協動して文書処理を行う、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ30が、表示されているものとする。
【0023】まず、概略動作を説明する。論理階層構造カード、文書構成要素カードが共に全く作成されていない場合において、文書作成のための要素となる論理階層構造カードおよび文書構成要素カードをボトムアップ的に作成するときは、次に説明するような操作により、論理階層構造カードおよび文書構成要素カードを作成する。各文書構成要素カードを作成するために、文書構成要素カードのウィンドウをウィンドウ30に開き、文書構成要素カードの内容を作成する。文書構成要素カードの内容の要素として、後述するように、文字,図形,イメージ等の他に、これら各要素の任意の位置に別の文書構成要素カードのリンクを示す情報(リンク情報)を要素として持つことができる。従って、文書作成者は文書構成要素カードの編集ウィンドウに対して、対話的に文書内容の各要素の入力を行い、当該ウィンドウに作成した文書内容の各要素を表示させて、文書構成要素カードを作成する。と共に、リンク情報を用いて適宜にカード間をリンクする。作成された各文書構成要素カードのウィンド表示の内容、すなわち、文書構成要素カードデータは、文書編集制御部6の制御により、文書記憶部10に格納される。もちろん、各文書構成要素カードは、後に詳述するが、例えば、プロパティシート(属性入力用サブウィンドウ)等を開くことにより、カードタイプや、各カードのパラメータ等の属性を持たせることができる。
【0024】このようにして、各々の文書構成要素カードの作成と、これらのカード間のリンクがなされて、完成された文書構成要素カードは、文書構成要素編集部9により管理され、例えば、入力指示情報に基づいて、文書編集制御部6,論理階層構造編集部8,および文書レイウアト処理部7の処理により、論理階層構造カードの木構造等を、論理階層構造に反映させて、論理階層構造データが作成さると共に、ウィンドウ32に示すようなグラフ表示(例えば、木構造グラフの表示)がなされる。ここでは、グラフ表示される各ノードをボックスと呼ぶことにする。
【0025】図4〜図8は、文書構成要素カード,論理階層構造構造カード,および整形出力ビュアカードの各ウィンドウの関係の具体例を示す図である。図4(A)は文書構成要素カードの間でそれぞれリンク情報を有している3枚の文書構成要素カードの関係を示しており、図4(B)は他の文書構成要素カードの間のリンク情報を持たない独立した文書構成要素カードの例を示している。また、図4(C)は文書構成要素カードの間のリンク情報を木構造で表示している論理階層構造構造カードの例を示している。すなわち、ここでの文書構成要素カード36aはそのリンク情報L2により文書構成要素カード36bとリンクされ、また、文書構成要素カード36aはそのリンク情報L3により文書構成要素カード36cとリンクされている。これらのリンク情報L2,L3によるリンク関係は、論理階層構造構造カード37が、その木構造グラフで表示している。図4(B)の文書構成要素カード36dは、他の文書構成要素カードの間のリンク情報を持たない独立した文書構成要素カードであるが、必要に応じて、文書構成要素カード36dを他との関係を持たせる編集処理が行われる。また、図4(A)に示す文書構成要素カード36a,36b,36cの間の論理階層構造にかかる構造情報(リンク情報)は、図4(C)に示す論理階層構造構造カード36eにより別に保持され、論理階層構造構造カード36eの編集ウィンドウにより編集される。
【0026】図5は論理階層構造カードの編集ウィンドウにおける木構造グラフによるレイアウト編集と、その指示による文書レイアウト構成との関係を示す図である。例えば、図5に示すように、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37においてリンク情報L1,L2,L3によるリンク関係の編集を行い、その結果の木構造グラフ表示されている論理階層構造の構造情報を作成し、例えば、レイアウト処理を指示する『Layout』ボタンをクリックすると、整形出力ビュアカードの出力ウィンドウ38において、その論理階層構造の構造情報による文書レイアウト構成が出力される。このような文書レイアウト構成を見て、文書作成者が、整形出力ビュアカードの文書レアウト構成において、更に破線で示すようなイメージ図形38aを文書中に挿入する場合、その編集処理は、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37において、リンク情報L1,L2,L3によるリンク関係の編集を行うことにより、元の文書構成要素カードの編集は行なわず、ここでの修正に必要なイメージ図形38aにかかる編集のみを行えばよい。
【0027】この場合、次の図6に示すように、その編集処理は、論理階層構造カード『日本の風土』36eからリンク情報L1,L2,L3の木構造グラフを写し取った論理階層構造カード『日本の風土■』を編集ウィンドウ37aにおいて、リンク情報L1,L2,L3の木構造グラフに、更にリンク情報L4を追加する処理を行う。この結果、論理階層構造カード『日本の風土■』は、編集ウィンドウ37bのように、リンク情報L1,L2,L3,L4の木構造グラフとなり、これによリ、リンク情報L4により指示される文書構成要素カード39のイメージ図形が、元の整形出力ビュアカード38における文書レイアウト構成に加わる。
【0028】図7は、論理階層構造カードにおけるリンク情報L1,L2,L3,L4の木構造グラフと、それにより表現されている複数の文書構成要素カードの間の関係を説明する図である。図7(A)はリンク情報L1,L2,L3,L4による木構造グラフの構造情報を有する論理階層構造カード36fを示し、図7(B)は論理階層構造カード36fの構造情報と等価となっている文書構成要素カードの間の関係を示している。すなわち、図7(A)の論理階層構造カード36fの構造情報により指示されている関係は、図7(B)に示すように、ここでの文書構成要素カード36aはそのリンク情報L2により文書構成要素カード36bとリンクされ、リンク情報L3により文書構成要素カード36cとリンクされ、また更に、リンク情報L4により文書構成要素カード36dとリンクされている構造となっている。このような構造を有する文書は、リンク情報L1,L2,L3,L4によるリンク関係が反映された文書レイウアト構成となっており、それを確認するには、例えば、図8R>8に示すように、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cにおいて、リンク情報L1,L2,L3,L4によるリンク関係が反映された木構造グラフから、レイアウト処理を行うことにより容易に確認される。
【0029】図8は、複数の文書レイウアト構成を確認するため、複数の論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cにおいて、レイアウト処理が行なわれる様子を説明する図である。ここでは、複数の論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cを開き、それぞれにおいて、各々のリンク情報の編集処理を行い、その結果の木構造グラフ表示される論理階層構造の構造情報を作成し、レイアウト処理を指示する『Layout』ボタンをクリックすることにより、複数の整形出力ビュアカードの出力ウィンドウ38cにおいて、それぞれの論理階層構造の構造情報による文書レイアウト構成が出力される。
【0030】次に、具体的に文書作成を行う場合の操作および処理動作の流れを説明する。トップダウン的に文書作成を行う場合は、まず、論理階層構造カードを編集するウィンドウを開き、例えば、適宜に必要な文書名を付与した論理階層構造カードを作成し、その論理階層構造カードから、ここで規定した論理階層構造の構造情報に沿って、当該論理階層構造の要素のノードとなる文書構成要素カードを順次作成する。この場合には、論理階層構造カードから作成するので、例えば、図6に示すように、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37aにおいて、リンク情報L1と関係づけたボックスを作成し、文書構成要素カード36aを作成する。同じく、リンク情報L2と関係づけたボックスを作成し、その対応の文書構成要素カード36bを作成する。また、同じく、リンク情報L3と関係づけたボックスを作成し、その対応の文書構成要素カード36cを作成する。その後、文書作成者は、個々の文書構成要素カードを論理階層構造の構造情報に従いリンクすることで、1つの文書を作成する。
【0031】次に、ここで作成した論理階層構造を有する文書を基にして、同一主題で異なる観点の文書を作成するため、ここで作成した個々の文書構成要素カードを利用して、新たに論理階層構造カードを作成する。新たに作成する論理階層構造カードにおいては、その論理階層構造を規定するリンクポインタの削除/移動/新規作成が任意に可能であり、また、リンクポインタ間のリンクの変更などが可能である。このため、具体的には、前の文書構成要素カードの作成過程において作成された論理階層構造カードの構造情報を複写し、複写した論理階層構造カードの構造情報の修正および変更の処理を行うことにより、同一主題で異なる観点の文書の論理階層構造の構造情報を作成する編集処理を行う。
【0032】具体例を図6により説明すると、図4(C)に示すような論理階層構造カード36eを転記した後、リンク情報L4と関係付けたボックスを作成し、当該ボックスをクリックすることにより、文書構成要素カード39のウィンドウを開く。これにより、空のウィンドウが開かれるので、このウィンドウにおいて編集を行い、例えば、図6のような文書構成要素カード39を作成する。このように各文書構成要素カードの間のリンク関係と論理階層構造カードが持つリンク情報を相互に反映させながら、仮想文書(論理階層構造カードにおける論理階層構造情報による文書)を作成する。
【0033】文書構成要素の編集処理においては、前述したように、文書構成要素カードの内容の編集処理のために通常のテキストエディタの各機能が利用される。更にそれに加えて、他の文書構成要素カードを参照するリンクポインタに対する削除/追加/移動の操作が可能となっている。ここでの文書編集処理では、全ての処理をカード形式でそのデータ処理を行う。文書の論理階層構造を規定する構造情報を記憶し編集する単位が論理階層構造カードとなっており、論理階層構造カードは文書構成要素カードの集合に対して、異なる観点からその論理階層構造を規定する複数枚の論理階層構造カードを作成することが可能となっている。これにより、文書構成要素カードの集合を共通に利用でき、複数の文書を構成/編集することができる。
【0034】また、ここでの各々の文書構成要素カードは、それぞれにレイアウト属性を持たせることができるデータ構造となっており、後述するように、個々の文書構成要素カードのそれぞれのレイアウト属性の情報を引き継いで、文書全体としてレイアウト処理がなされる。図9は、カードレイアウト属性定義ウィンドウの一例を示す図である。文書構成要素カードにレイアウト属性を持たせる場合、例えば、図9に示すようなレイアウトパラメータの設定のためのレイアウトパラメータプロパティのサブウィンドウ40を表示し、当該文書構成要素に対してのタイトルパラメータ42,段落パラメータ43などの各々のレイアウト属性を設定する。このようなレイアウトパラメータプロパティのサブウィンドウ40をオープンするためには、文書構成要素カード(34;図3)の『LayoutParam』ボタンを押下する(マウスカーソルを当該ボタン位置に合せてクリックする)。この操作により、図9に示すカードレイアウト属性を定義するサブウインドウ40が表示されるので、レイアウトパラメータプロパティのサブウィンドウ40において、タイトルパラメータ42,段落パラメータ43などの各項目の値をセットし、『Apply』ボタン41を押下することにより各々のカード毎のレイアウト属性を設定する。
【0035】次に、文書の論理階層構造を規定する構造情報を論理階層構造カードにより編集し、その編集結果の構造情報による論理階層構造を有する文書をフラットな形式に変更するための操作を説明する。この変換操作では、フラットな形式に変更したい文書の論理階層構造カードを選択し、論理階層構造カードにおける『Layout』ボタンを押下することにより、文書レイアウト処理部7が起動されて、レイアウト処理を行い、フラットな文書に変換した文書形態がウィンド画面に表示される。文書レイアウト処理部7のレイアウト処理においては、論理階層構造カードによる論理階層構造の構造情報にしたがって、各々の木構造のリンクが順次に辿られ、階層構造の文書がフラットな文書に変換されて出力される。
【0036】次に、本実施例にかかる文書処理装置における処理要素の各々のブロックの内容を更に詳細に説明する。ここでは、文書構成要素カードのデータ構造および論理階層構造カードのデータ構造の説明と共に、論理階層構造カードの作成処理,カードの階層構造解析処理,文書構成要素カード追加処理,文書構成要素カード削除処理,文書レイアウト処理,文書構成要素カードのレイアウトパラメータ決定処理など、文書処理をカード形式のデータ処理により行う場合に必要とされる各々の処理について、順次に説明する。
【0037】図10は、カードオブジェクト(文書構成要素カード)のデータ構造例を説明する図である。カードオブジェクト50は、図10に示すように、その属性を表わすカードプロパティ51,その実体内容を表わすカードコンテンツ52,および後述する上位カードリスト53から構成されている。カードオブジェクト50は、任意のオブジェクトとすることができ、カードプロパティ51の内容によって、そのタイプが決まる。カードプロパティ51の内容、すなわち、カードの属性は後述するネクストリンクにより複数個持つことができ、図1010ではリンク付けされた属性リスト51a,51bにより、必要な属性が付加される。例えば、1つの属性リストの属性名が示す属性名の文字列がレイアウトパラメータであれば、属性値はレイアウトパラメータをあらわすオブジェクトになる。カードコンテンツ52は、カードの内容に含まれている要素リストである。この要素リストは、カードプロパティ51と同様に、ネクストリンクにより複数個持つことができる。各要素リスト52a,52bは、そのタイプを示す『要素タイプ』と、その内容実体の『要素内容』から構成されている。要素タイプには、例えば、「パラグラフ・テキスト」,「グラフィク」,「テーブル」,「イメージ」,「リンクポインタ」などのタイプが設定される。要素リスト52aの場合、要素タイプ「T」はテキストであることを指示し、要素内容がテキストの実体である要素オブジェクトを示している。
【0038】また、各々の文書構造要素カードは、複数の種類のカードオブジェクトを指示することができる。これらは文書構造要素の出現順に要素内容としてポインタにより要素内容のリストに追加される。要素リストの『要素内容』は要素タイプによってそれぞれに異なった構造をもつ。要素リスト52aの要素タイプ「L」はリンクポインタであることを示し、下位カードの参照を意味するデータである。ネクストリンクは上記のように、リスト構造をあらわすためのリンクである。ネクストリンクおよびリンクポインタなどは、リストの最終要素では、その値が“0”になっており、次の要素が存在しないことを表わしている。上位カードリスト53は、上位カードとリンクするためカードポインタを指示し、図10R>0においては、カードポインタ53a,53bが設けられ、これらにより、他のカードオブジェクトとしての上位カードとリンクされる。
【0039】図11は、論理階層構造カードとしてのカードオブジェクトのデータ構造例を説明する図である。ここでの論理階層構造カードは、上述したカードオブジェクトと同様なデータ構造を有するものとして構成されるが、上述の文書構造要素カードのカードオブジェクトの特殊な形式として実現される。
【0040】論理階層構造カードのカードオブジェクト60は、前述のカードオブジェクト50と同様に、カードオブジェクトの属性を表わすカードプロパティ61,その実体内容を表わすカードコンテンツ62,および上位カードリスト63から構成される。ここでのカードコンテンツ62には、トップカードのカードコンテンツにおけるリンクポインタのみを集め、各リンクポインタから参照されるカード(文書構成要素カードのカードオブジェクト)を展開し、文書を構成する論理階層構造のリスト構造を形成するようなデータ構造とする。
【0041】更に、ここでのカードコンテンツ62のリスト中のリンクポインタについて、同様にリンクポインタのみを再帰的に集めて、リスト構造となるデータ構造を構成する。このリスト構造では(各ノードのカード名により)各ノードがカードオブジェクト(文書構成要素カード)を表わし、カード名というカードプロパティで代表している。各々のノード(62a〜62h)には、下位カード群(62d〜62h)との関連付けを保持する子供リンク、同レベルのカード群(62a〜62c)との関連づけを保持するネクストリンクが設けられている。このようなデータ構造のカードオブジェクトによって、トップカードから直接あるいは間接に参照されるカードのリンクポインタの全てを辿ることができる。また、上位カードとリンクするため、上位カードレスト63からのカードポインタ63a,63bが設けられ、他の論理階層構造カードにおけるカードオブジェクトの上位カードとリンクされる。
【0042】次に、論理階層構造カードの作成処理について説明する。図12は、論理階層構造カードの作成処理の一例を説明するフローチャートである。図12を参照して説明する。この論理階層構造カードの作成処理では、文書編集制御部6で構造化ドキュメントエディタが起動されて、処理が開始される。まず、ステップ71において、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ画面30における『Create』ボタンを押下が検出されると、次に、ステップ72において、カード作成サブメニューが表示される。これにより、ステップ73において、出現するサブメニューから、ユーザが『論理階層構造カード』を選択すると、次に構造化ドキュメントエディタは、ステップ74において、ユーザに対して「ルートカードをマウスで指示して下さい」とのメッセージ表示を行い、論理階層構造のルートカードとなる文書要素カードの指示を要求する。このルートカードとして、例えば、トップの文書構成要素カードを選択される。
【0043】これに対して、ステップ75において、ここで選択するルートカード内にマウスカーソルを移動し、マウスボタンをクリックすることにより、ユーザは対象とするカードの選択指示を構造化ドキュメントエディタに与える。例えば、ウィンドウ30上に、論理階層構造カードとルートカードとしての文書構成要素カードの各ウィンドウが表示されている状態では、当該文書構成要素カードの予じめ定められた領域等をクリックすることにより、選択指示が行われる。次に、ステップ76に進み、現在のマウスカーソル位置からルートカードを特定し、文書記憶部10からカード(文書構成要素カード)を取り出す処理を行う。この処理においては、例えば、指示されたルートカードの内容データから、内容データを判別してリンク先などを検査し、リンクポインタを集める処理を行う。そして、集めたリンクポインタが指示するカードに対して、同様の操作を再起的に繰り返すことにより、対象となるカードを取り出す処理を進める。
【0044】このような一連の処理によって、ルートカードから直接/間接に辿ることが可能な複数のカード(文書構成要素カード)が取り出される。取り出されたカードにより構成される論理階層構造は木構造として表現されているので、次のステップ77において、取り出したカードに対して、階層構造解析処理を実行し、論理階層構造の構造情報を生成して、論理階層構造カードを作成する。そして、ステップ78において、作成した論理階層構造カードの階層構造をグラフ表示する。カードの階層構造のグラフ表示において、その各々のノード要素となる文書構成要素カードは、カードの名前をもったボックスとして表示される。また、階層関係はボックス間のリンクによって表現される。
【0045】図13は、カードの階層構造解析処理の一例を説明するフローチャートである。次に、図13を参照して、カードのリンク構造を辿ることにより論理階層構造となる木構造を得る処理を説明する。この処理では、まず、ステップ81において、リスト変数Listを空リストに初期化する。次に、ステップ82において、リスト変数Listに解析対象カードを追加する。次にステップ83に進み、カード中の未解析要素が存在するか否かの判定を行う。未解析要素が存在しなければ、ステップ84に進み、リターン処理を行い、処理を終了する。また、ステップ83の判定処理において、カード中の未解析要素が存在すると、ステップ85に進んで、当該カード中の未解析要素の先頭要素を取り出す。そして、ステップ86において、取り出した要素がリンクポインタであるか否かを判定する。リンクポインタでなければ、階層構造の要素ではないので、ステップ83に戻り、次の未解析要素に対する処理を続行する。
【0046】また、ステップ86の判定処理において、取り出した要素がリンクポインタと判定された場合には、当該リンクポインタを辿るために、ステップ87に進み、リンクポインタから参照されるカード(下位カード)を、カート記憶部から取り出す。次に、ステップ88において、取り出した下位カードをCRTディスプレイ上で確認するため、下位カードに対して、カードレイアウト処理を実行する。そして、次のステップ89において、リスト変数Listに処理結果のリストを追加し、次の未解析要素に対する処理を続行するため、ステップ83に戻り、ステップ83からの処理を続行する。
【0047】次に、論理階層構造カードの編集機能について説明する。論理階層構造カードの構造情報に対しては、文書構成要素カードの追加処理,文書構成要素カードの削除処理のような編集操作が可能である。文書構成要素カード追加処理および文書構成要素カード削除処理について説明する。図14はカード追加処理を説明するフローチャートであり、図15はカード削除処理を説明するフローチャートである。これらのフローチャートを参照して説明する。
【0048】まず、図14を参照して、文書構成要素カードの追加処理を説明する。このカード追加処理では、論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下により、サブメューとして出現するメニュー項目の『カード追加』を選択することによって、処理が開始される。すなわち、ステップ91において、構造化ドキュメントエディタは、論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下を判別すると、論理階層構造編集部8を起動し、次のステップ92において、カード編集サブメニューを表示する。これに対し、ステップ93において、ユーザが『カード追加』を選択すると、次に、ステップ94において、「追加対象カードをマウスで指示して下さい」のメッセージ表示を行い、ユーザに対して、追加対象カードの指示を要求する。
【0049】これに対しては、ユーザは、ステップ95において、マウスカーソルを追加対象カード(ウィンドウ)内に移動し、マウスボタンをクリックすることにより、ユーザは対象となるカードを指示する。対象カードの指示により、次のステップ95の処理において、現在のマウスカーソル位置から追加対象カードオブジェクトを特定し、文書記憶部10から取り出す。次に、ユーザに対して、追加対象カードの上位カードの指示を要求するため、ステップ97において「追加対象上位カードをマウスで指示して下さい」とのメッセージ表示を行う。これに対してユーザは、前述の処理と同様に、ステップ98において、論理階層構造カードのウィンドウ上のマウスカーソルを追加対象上位カードボックス内に移動し、マウスボタンをクリックすることにより、上位カードのボックスを指示する。
【0050】これにより、対象とする上位カードボックスが指示されたので、ステップ99において、ボックスから追加対象上位カードオブジェクトを特定し、文書記憶部10から取り出す。そして、ステップ100において、追加対象上位カードオブジェクトのカードコンテンツに、追加カードオブジェクトへのリンクポインタを追加する。追加したカードに対して、他のカードのリンク付けを行うため、次のステップ101において、追加対象カードオブジェクトの上位カードリストに、追加対象上位カードオブジェクトへのリンクポインタを追加する。そして、次のステップ102において、追加対象カードノードの子供リンクのリストに、追加対象カードのノードを追加する。そして、次のステップ103において、追加した要素カードの確認を行うベく、階層構造のグラフを再表示する。このような一連の処理により、指示されたボックスにリンクされた要素カードが追加される。また、追加処理された追加対象カードのボックスおよびリンクは、論理階層構造カード中に表示される。
【0051】次に、文書構造要素カードの削除処理を、図15を参照して説明する。このカード削除処理においては、前述のカード追加処理における編集操作と同様に、論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下により、サブメューとして出現するメニュー項目の『カード削除』を選択することによって、処理が開始される。すなわち、ステップ105において、画面上の論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下すると、次のステップ106において、カード編集サブメニューが表示されるので、ステップ107において、ユーザが『カード削除』を選択する。カード削除のメニューが選択されると、次に、ステップ108においてメッセージ表示「削除対象カードをマウスで指示して下さい」のメッセージ表示を行い、ユーザに対して、削除対象カードの指示を要求する。
【0052】これに対して、ステップ109において、削除対象カードボックス内にマウスカーソルを移動し、マウスボタンをクリックすることにより、対象となるカードを指示する。対象カードの指示により、次のステップ110の処理において、論理階層構造カードのウィンドウ上のボックスから削除対象カードオブジェクトを特定し、文書記憶部10から取り出す。次に、ステップ111において、削除対象カードオブジェクトの上位カードリストから、削除対象上位カードオブジェクトを文書記憶部10で特定して、取り出す。そして、ステップ112において、削除対象カードオブジェクトの上位カードリストを空リストにする。次に、削除処理した後の各々のカードの間の再リンク付けを行うために、ステップ110でカードを保持しない別の例では、ステップ113において、再び、ボックスから削除対象上位カードオブジェクトを文書記憶部で特定して取り出し、次のステップ114において、削除対象上位カードコンテンツを走査し、削除対象へのリンクポインタがあれば、それを削除する。そして、次のステップ115において、削除した要素カードの確認を行うベく、階層構造のグラフを再表示する。このような一連の処理により、文書構成要素カードの削除処理が行なわれ、削除対象カードおよびその下位のカード群は論理階層構造カード上から消滅する。
【0053】次に、論理階層構造カードの示す論理階層構造の構造情報による仮想文書をフラットな文書に変換するレイアウト処理を説明する。図16はレイアウト処理の流れを説明するフローチャートである。図16のフローチャートに従って、このレイアウト処理を説明する。この文書のレイアウト処理においては、まず、ステップ116において、文書構成要素カードのレイアウトパラメータを決定する。次に、ステップ117において、文書構成要素カード中の未レイアウト要素はないか否かを判定する。未レイアウト要素がない場合には処理を終了する。また、未レイアウト要素が存在する場合には、未レイアウト要素のレイアウト処理を行うベく、ステップ118に進み、カード中の未レイアウト要素の先頭要素を取り出す。そして、次のステップ119において、取り出した要素はリンクポインタであるか否かを判定する。
【0054】このステップ119の判定によりリンクポインタでないと判定され場合には、次のステップ120において、文書構成要素カードの要素をレイアウトパラメータに従って、整形出力ビュアカード(35;図3)上にレイアウトし表示する。そして、次の未レイアウト要素の処理を行うために、ステップ117に戻り、ステップ117からの処理を続行する。また、ここでのステップ119の判定処理において、取り出した要素がリンクポインタである場合には、当該リンクポインタが指示している文書構成要素カードに対して、レイアウト処理を行なうので、ステップ121に進む。次のステップ121においては、リンクポインタから参照される文書構成要素カードを文書記憶部10から取り出す。そして、次に、ステップ122において、取り出した文書構成要素カードに対し、カードレイアウト処理を実行する。すなわち、取り出した文書構成要素カードについて再帰的にステップ16からの処理を行う。このステップ122のカードレイアウト処理の終了の後、元の文書構成要素カードの未レイアウト要素の処理を続行するために、ステップ117に戻り、ステップ117からの処理を続行する。
【0055】このようにして、ここでのレイアウト処理は、ユーザからレイアウト実行が指示されることにより処理が開始され、レイアウト結果を出力するウィンドウ画面の整形出力ビュアカードが作成される。レイアウト結果はこの整形出力ビュアカード上に表示処理が行われる。このレイアウト処理では、論理階層構造のトップノードに対応する文書構成要素カードを文書記憶部10から取り出し、文書レイアウト処理部7が、上述のような文書構成要素カードのレイアウト処理を行なう。このため、論理階層構造カードの構造情報により規定される全ての文書構成要素カードは、このトップノードカードからリンクポインタを通してアクセスすることが可能となる。文書レイアウト処理部7が行なう文書構成要素カードのレイアウト処理は、リンクポインタで参照される文書構成要素カードをすべて再帰的に展開することにより行われる。したがって、トップカードに対してレイアウト処理を行うことで、論理階層構造カードでその構造が規定されている文書全体のレイアウトを行うことができる。
【0056】図17は、図16における文書構成要素カードのレイアウトパラメータを決定する処理(ステップ116)を詳細に示すフローチャートである。この文書構成要素カードのレイアウトパラメータ決定処理は、基本的には該当する文書構成要素カードに対するレイアウトパラメータを上位カードのレイアウトパラメータから決定する処理となる。この処理が開始されると、まず、ステップ123において、文書構成要素カードのプロパティからレイアウト属性を捜す。次に、ステップ124において、レイアウト属性が存在しているか否かを判定する。レイアウト属性が存在している場合には、ステップ125に進み、レイアウト属性の値をレイアウトパラメータとして決定して処理を終了する。また、ステップ124の判定処理において、当該カードに対するレイアウト属性が存在しないと判定された場合には、上位カードのレイアウトパタメータを当該文書構成要素カードのレイアウトパラメータとするため、次にステップ126において、当該文書構成要素カードは最上位カードであるか否かを判定する。この判定結果により、当該カードが最上位カードである場合は、ステップ127に進み、ディフォルトの値をレイアウトパラメータとして、処理を終了する。また、ステップ126の判定処理において、当該文書構成要素カードが最上位カードでない場合には、ステップ128の処理において、上位カードのレイアウトパラメータを、当該文書構成要素カードのレイアウトパラメータの値として処理を終了する。
【0057】このように、レイアウト処理部は、文書構成要素カードのレイアウト処理実行にあたって、レイアウトパラメータを決定するが、そのレイアウトパラメータの値は、レイアウト対象の文書構成要素カードがレイアウト属性を持っている場合はその値を利用する。レイアウト属性を持たない場合、上位のカードのレイアウト処理において用いたパラメータの値を利用する。上位のカードを持たない場合には、すなわち、トップノードカードの場合には、あらかじめ定められたデフォルト値のパラメータを利用する。
【0058】このようにして、レイアウトパラメータを決定した後は、カードコンテンツから文書内容の各々の要素を順次取り出し、文書構成要素カードの内容をその属性値で示される指示に従って、前記整形出力ビュアカード上に文書内容のレイアウトを行なう。なお、このとき、要素の内容がリンクポインタであった場合、リンクポインタが参照する文書構成要素カードに対して、文書のレイアウト処理を再帰的に適用する。
【0059】以上、説明したように、本実施例の文書処理装置によれば、文書の内容および属性から成る文書単位の文書処理は、複数個の各々の文書構成要素と該各々の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造の構造情報とを記憶し、記憶した論理階層構造に基づいて、文書処理を行う。このため、文書処理では、文書構成要素の編集処理を行い、編集を行った複数の文書構成要素を共通に用いて、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成することができる。これにより、共通の文書構成要素を利用した観点の異なる文書が、複数個の論理階層構造の構造情報により容易に作成することが可能となる。
【0060】以上に述ベた実施例では、各文書構成要素カードに個別にレイアウト情報を持つ場合を説明したが、例えば、論理階層構造カードか、あるいはトップの文書構成要素カードに文書全体のレイアウト情報を持たせ、トップの文書構成要素カード以外には他の文書構成要素カードに影響を与えることのない個別のレイアウト情報を持つようにしてもよいことは明らかである。
【0061】また、各文書構成要素カードにはリンク情報を持たないで、論理階層構造カードの木構造グラフのみで要素カード間のリンクを行うようにして、かつ、論理階層構造カードに全体のレイアウト情報を持つようにしても同様の作用効果を得られることは明らかである。
【0062】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の文書処理装置によれば、文書構成要素の編集処理を個別に行い、共通の文書構成要素を用いる複数の論理階層構造の構造情報を作成することにより、異なった主題の文書、あるいは、同一主題でも観点が異なった文書を文書構成要素を利用して容易に作成することが可能となる。また、同一主題で観点が異なった複数の文書を扱う場合においても、文書構成要素は共通のものを用いることが可能であり、文書ファイルの内容更新/維持管理の負荷が軽減される。
【0063】また、本発明の文書処理装置によれば、複数の文書を扱う場合においても、論理階層構造の構造情報は複数のものが作成されるが、文書ファイルでは、文書構成要素は少なくとも一部は共通の文書構成要素が使用されており、その内容更新/維持管理は効率的に行うことができる。また、各々の文書単位を論理階層構造の構造情報によりそれぞれ個別に管理でき、それぞれの各文書単位の論理階層構造に従って、文書の編集処理を行う場合にも、編集処理を、論理階層構造の編集処理と、文書構成要素の編集処理とで、それぞれ個別に行うことができるので、文書編集処理の自由度が増し、文書編集処理を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施例にかかる文書処理装置の構成を示すブロック図、
【図2】 図2は本実施例の文書処理装置で扱う文書データ構造の概念を説明する図、
【図3】 図3は文書処理における構造ドキュメントエディタの表示画面の一例を示す図、
【図4】 図4において、図4(A)は文書構成要素カードの間でそれぞれリンク情報を有している3枚の文書構成要素カードの関係を示す図、図4(B)は他の文書構成要素カードの間のリンク情報を持たない独立した文書構成要素カードの例を示す図、また、図4(C)は文書構成要素カードの間のリンク情報を木構造で表示している論理階層構造構造カードの例を示し図である。
【図5】 図5は論理階層構造カードの編集ウィンドウにおける木構造グラフによるレイアウト編集とその文書レイアウト構成との関係を示す図、
【図6】 図6は論理階層構造カードの木構造グラフの編集による文書作成処理の操作例を説明する図、
【図7】 図7は、論理階層構造カードにおけるリンク情報L1,L2,L3,L4の木構造グラフと、それにより表現されている複数の文書構成要素カードの間の関係を説明する図である。
【図8】 図8は、複数の文書レイウアト構成を確認するため、複数の論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cにおいて、レイアウト処理が行なわれる様子を説明する図、
【図9】 図9はカードレイアウト属性定義ウィンドウの一例を示す図、
【図10】 図10はカードオブジェクト(文書構成要素カード)のデータ構造例を説明する図、
【図11】 図11は論理階層構造カードとしてのカードオブジェクトのデータ構造例を説明する図、
【図12】 図12は論理階層構造カードの作成処理の一例を説明するフローチャート、
【図13】 図13はカードの階層構造解析処理の一例を説明するフローチャート、
【図14】 図14はカード追加処理を説明するフローチャート、
【図15】 図15はカード削除処理を説明するフローチャート、
【図16】 図16はレイアウト処理の流れを説明するフローチャート、
【図17】 図17は、図16における文書構成要素カードのレイアウトパラメータを決定する処理を詳細に示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…キーボード、2…CRTディスプレイ、3…入出力制御部、4…文書表示制御部、5…ユーザインタフェース、6…文書編集制御部、7…文書レイアウト処理部、8…論理階層構造編集部、9…文書構成要素編集部、10…文書記憶部、11…ディスク装置、20…共通の文書構成要素、21,22,23…論理階層構造、21a,21b,21c,22a,22b,22c…個別の文書構成要素、30…ウィンドウ(構造化ドキュメントエディタ)、31,32,33…ウィンドウ(論理階層構造カード)、34…ウィンドウ(文書構成要素カード)、35…ウィンドウ(整形出力ビュアカード)、36a,36b,36c,36d…文書構成要素カード、36e,36f…論理階層構造カード、37a,37b,37c…ウィンドウ(論理階層構造カード)、38,38c…ウィンドウ(整形出力ビュアカード)、40…レイアウトパラメータプロパティサブウィンドウ、41…『Apply』ボタン、42…タイトルパラメータ、43…段落パラメータ、50…カードオブジェクト(文書構成要素カード)、51…カードプロパティ、52…カードコンテンツ、53…上位カード、54…同位カード、60…カードオブジェクト(論理階層構造カード)、61…カードプロパティ、62…カードコンテンツ、63…上位カード、64…同位カード。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、文書処理装置に関し、特に、文書に論理階層構造を持たせ、文書の編集および整形出力の処理を論理階層構造に従って処理する文書処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、コンピュータ化された文書処理装置は、文書事務で発生する様々な文書を能率よく作成するため、様々な文書処理機能が開発され、付加されるようになっている。また、従来の紙に印刷する文書の形式に捕らわれず、コンピュータの持つ特性を最大限に引き出すような文書形態として、ハイパーテキストという新しいメディアに対応した文書形態も利用されつつある。このハイパーテキストは、紙という旧来のメディアをコンピュータという新しいメディアに置き換えた文書形態であり、このハイパーテキストの文書形態では、文書は主にその論理的単位(ノード)で区分され、区分された論理構造単位の文書を入力/記憶/編集する機能を有する文書処理装置が必要とされる。このような文書処理装置としては、例えば、特開平1−134561号公報に記載の「フレキシブルテキストのレイアウト方式」のような文書処理装置が知られている。このような文書処理装置では、文書の論理的単位であるノードをリンクによって関連づけてネットワーク状のフレキシブルテキストを作成して記憶し、フレキシブルテキストのネットワークに、フラットテキストへのレイアウト情報を付加し、このフラットテキストへのレイアウト情報に基づいて、記憶されたフレキシブルテキストをフラットテキストに変換する。このようなレイアウト処理により、単一の論理階層構造での文書の作成,編集,管理を行うことが可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような文書処理装置を用い、文書作成処理を行う場合には、文書を断片化して、文書構成要素(文書の断片)を作成してしておき、文書の断片の集合から、1つの文書をまとめ上げて1つの文書を作成する。次に、このような文書断片の集合から1つの文書をまとめ上げる手法について説明する。
【0004】従来から、文書を執筆するスタイルとして、次のような2つの方法がある。第1の方法としては、始めに文書の全体の構成を定義し、次に、その構成に沿ってだんだんと内容を詳細に記述していく方法、いわゆる『トップダウン』の方法があり、また、第2の方法として、文書の主題に関連するそれぞれの項目を、筆者が思いつくままに記述し、あるいは関連ある資料を捜し、これらの文書の断片を揃えておいてから、次に論旨の流れを整えるための構成を考え、この構成に文書の断片をあてはめていく方法、いわゆる『ボトムアップ』の方法がある。
【0005】『ボトムアップ』法では、始めに集積する関連する文書の断片の集積の作業が重要であり、筆者のアイデア,他者の意見,外部から入手する参考資料,その他など、多くの断片を集めることで、新たなアイデアを断片として生み出せる場合も多くある。この『ボトムアップ』法では、文書の断片を1つの文書としてまとめるため、バラバラの文書の断片にリンク付けを行い、主題に対する文書の論理階層構造を組立て、文書の体裁を整えていく。ここでの各文書の断片は特定の主題にのみ関連するわけではなく、ものによって、様々な主題に関連するものが多くある。このため、このような文書の断片は、多くの文書で共通に参照できる可能性がある。したがって、集められた文書の断片は、他に再利用可能とすることが望ましい。
【0006】このように、文書の断片が多く集められた場合、多くの断片を組合せ、編集を行うことによって、様々な異なる主題の文書を作成することが可能となるので、これらの文書の断片が多くの文書で再利用可能なように、文書データ構造を形成して、文書処理を行う。これにより、文書作成の効率向上,文書保存の領域の軽減など、文書利用に多くの利益をもたらすことが期待できる。
【0007】ところで、文書とは、ある主題について作成者から読者に情報を伝達する形態の一手段であり、1つの伝達媒体とも考えられる。同一主題の文書においても、文書の断片の組合せを変化させ、異なる観点から異なる文書構造を有する文書として複数の文書を作成する必要性が生じる場合がある。例えば、性質の異なる読者に情報を伝達する場合においては、同じ主題であっても、読者によっては理解度/興味をもつ項目など、主題に対する評価/態度は異なっている。このため、このような場合に対しては、性質の異なる読者に対応するため、文書作成者は、
【0008】しかしながら、上述のような単一の論理階層構造のみを扱う文書処理装置において、このような作業を行う場合、それぞれの読者ごとに別々の文書ファイルを用意し、異なる論理階層構造にもとづく文書として、各々の読者対応の文書を作成しなければならない。また、文書構成要素の単位では同一の内容であっても、それら文書ファイルごとに複写し、それぞれの文書としてファイルを作成し保存しなければならない。この場合、同一の内容をもつ文書構成要素が複数の文書ファイルに複数存在することになるために、これらの文書構成要素の文書ファイルの内容更新/維持管理は煩雑なものになってしまうという問題がある。
【0009】本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、文書に論理階層構造を持たせ、文書の編集および整形出力の処理を論理階層構造に従って処理する文書処理装置において、複数個の文書の断片から構成される文書に対して、異なった主題の文書、あるいは、同一主題でも観点が異なった文書を共通の文書構成要素から容易かつ迅速に作成することが可能な文書処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成するため、本発明の文書処理装置は、文書内容および属性から成る個々の文書構成要素と、該個々文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造とを作成し、作成した論理階層構造に基づき、論理階層構造を有する文書の文書処理を行う文書処理装置であって、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成すると共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、複数文書の処理を行う文書処理手段(6,8,9;図1)と、指示された構造情報の論理階層構造に従って、文書構成要素を組み合わせ、1つの文書に変換するレイアウト処理手段(7;図1)とを設けたことを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明の文書処理装置においては、文書内容および属性から成る個々の文書構成要素と、該個々文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造とを作成し、作成した論理階層構造に基づいて、論理階層構造を有する文書の文書処理を行う。文書処理手段(6,8,9;図1R>1)は、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成する。と共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、複数文書の処理を行う。文書処理手段が作成した複数個の論理階層構造の構造情報は、それぞれが、共通の文書構成要素を利用した観点の異なる文書を規定しており、この構造情報から規定される文書は、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から作成された文書となる。なお、ここでの文書構成要素はそれぞれ個別に例えば修正のための編集処理が行なわれる。
【0012】このように、共通の文書構成要素を用いる複数の論理階層構造の規定する構造情報を別途に作成することによって、異なった主題の文書、あるいは、同一主題でも観点が異なった文書を容易に作成することが可能となる。また、これら構造情報により複数の文書を扱う場合においても、文書構成要素は共通のものを用いており、同じ内容の文書構成要素は複数個作成(複写)されることはない。このため、文書ファイルの内容更新/維持管理の負荷が軽減される。ここで作成された共通の文書構成要素の関係を規定する論理階層構造の個々の構造情報による文書は、レイアウト処理手段により、指示された構造情報の論理階層構造に従って文書構成要素が組み合わされ、それぞれに1つの文書に変換され出力される。
【0013】また、文書処理手段は、論理階層構造を文書単位に構造情報によりそれぞれに管理し、各文書単位の論理階層構造の構造情報に従って、文書の編集処理を行う場合の処理を、例えば、論理階層構造の構造情報の編集処理と、文書構成要素の編集処理とをそれぞれ個別に行えるように構成される。これにより、文書編集処理の自由度が増し、文書編集処理を効率よく行うことができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により具体的に説明する。図1は、本発明の一実施例にかかる文書処理装置の構成を示すブロック図である。図において、1はキーボード、2はCRTディスプレイ、3は入出力制御部、4は文書表示制御部、5はユーザインタフェース、6は文書編集制御部、7は文書レイアウト処理部、8は論理階層構造編集部、9は文書構成要素編集部、10は文書記憶部、11はディスク装置である。
【0015】文書記憶部10は、ディスク装置11を制御し、文書の論理階層構造の構造情報および文書構成要素(内容/属性)を記憶する。また、必要に応じて、文書記憶部10はディスク装置11における文書ファイル形式と文書の論理階層構造の構造情報および文書構成要素から、記憶しておく文書ファイルの管理を行う。文書構成要素編集部9は、文書の実体内容となる文書構成要素(文書構成要素カード)の編集処理を行い、論理階層構造編集部8は文書構成要素の間の論理的階層構造を規定する構造情報(論理階層構造カード)の編集処理を行う。また、文書レイアウト処理部7は、後述するように、文書構成要素とその間を関係付けている論理階層構造(リンク構造)により構成されている論理階層構造を有する文書に対して、その構造情報のみの規定による文書をも含めて、フラットな文書に整形出力するレイアウト処理を行う。レイアウト処理では、整形出力ビュアカード上において当該文書のレイアウトを表示する。
【0016】文書編集制御部6は、文書処理装置の全体の制御を行い、入出力制御部3,文書編集制御部6,文書レイアウト処理部7,論理階層構造編集部8,文書構成要素編集部9,および文書記憶部10の各サブシステムを制御する。また、文書編集制御部6は、ここでの一連の文書処理を行うため、後述するような構造化ドキュメントエディタを動作させ、文書処理にかかる各々のサブシステムの処理の切り換え,制御などを行う。入出力制御部3は、文書表示制御部4およびユーザインタフェース5を含んで構成されており、CRTディスプレイ2およびキーボード1,図示しないポインティングデバイスのマウスなどを制御し、ここでの文書処理における入出力制御を行う。
【0017】図2は、本実施例の文書処理装置で扱う文書のデータ構造の概念を説明する図である。ここでの文書のデータ構造は、図2に示すように、共通利用される複数個の文書構成要素20と、個別の個々の文書構成要素21a,21b,21c,22a,22b,22c,23a,23b,23c,23d,…とが、それぞれに個別に論理階層構造21,22,23により関係付けられているデータ構造となっており、各々の文書が特定観点の論理階層構造21,22,23により関係付けらている構造の文書となっている。例えば、論理階層構造21により関係付けられている文書Aは、個別の文書構成要素21a,21b,21cと、共通の文書構成要素20である文書構成要素b,文書構成要素d,文書構成要素g,文書構成要素i,および文書構成要素kとが関係付けられ組合わせられて、1つの文書としての構造が規定された文書となっている。
【0018】また、論理階層構造22により関係付けられている文書Bの文書は、同様に、個別の文書構成要素22a,22b,22cと、共通の文書構成要素20である文書構成要素b,文書構成要素e,文書構成要素f,文書構成要素g,および文書構成要素mとが関係付けられ組合わされて、1つの文書としての構造が規定された文書となっている。なお、ここでの共通の文書構成要素20である文書構成要素b,文書構成要素g,文書構成要素k,文書構成要素mなどの文書構成要素は、文書Aおよび文書Bの論理階層構造に組込まれた共通の文書構成要素となっており、各々の論理階層構造21,22,23のみの編集によっても、それぞれの文書処理が行える。
【0019】特に、同一主題の複数の文書を作成する場合には、文書の一部のみの変更などが多いので、多くの共通の文書構成要素20を用いて、それらの間の関係を規定する論理階層構造のみの編集によって、文書作成処理が行える。この場合、文書ファイルに格納される個々の文書構成要素は、複数の文書に対して、共通の文書構成要素と、それらの関係を異なる論理階層構造で関係付ける個々の論理階層構造の構造情報のみとなる。このように、ここでの文書処理装置が扱う文書のデータ構造においては、複数の論理階層構造で同一の文書構成要素を共有することが可能になるため、共有の同一文書構成要素のみに対して、文書の内容更新/維持管理を行えば良く、文書管理の負荷が軽減される。
【0020】次に、本実施例にかかる文書処理装置により、文書処理を行う場合の処理例のを具体的に説明する。まず、論理階層構造の編集処理を説明する。図3は文書処理における構造化ドキュメントエディタの表示画面の一例を示す図である。この論理階層構造の編集処理では、文書編集制御部6において動作する構造化ドキュメントエディタが起動され、入出力制御部3を介してCRTディスプレイ2にウィンドウ30が表示される。ウィンドウ30においては、論理階層構造編集部8において動作する論理階層構造カード31,32,33の編集ウィンドウと、文書構成要素編集部9において動作する文書構成要素カード34の編集ウィンドウと、文書レイアウト処理部7において動作する整形出力ビュアカード35のウィンドウを表示して、それぞれの文書の編集処理を行う。
【0021】ここでの各々の論理階層構造カード31,32,33のウィンドウは、当該論理階層構造カードに対応する文書の論理的階層構造を木構造として、表示/編集をおこなう編集ウィンドウであり、また、文書構成要素カード34のウィンドウは、それぞれの文書内容となり得る文書構成要素の文書内容の編集処理を行う編集ウィンドウとなっている。ユーザが文書処理を行う場合には、まず、文書構成要素の文書内容データを作成するため、該当する文書構成要素カードの編集ウィンドウを、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ30上のサブウィンドウとして開き、文書内容となる文字テキスト/図形などを表示して、文書作成および文書編集の操作を行う。その後、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ30上において、これらの間の論理階層構造を規定する構造情報(論理階層構造カード)を、共通の文書構成要素を用いて異なる観点から構造を規定しているものを複数個作成し、それぞれの論理階層構造を反映した文書を作成することになる。
【0022】次に、本実施例の動作を説明する。ここでは、文書作成者がキーボードやマウス等の入力手段を用いて、入出力制御部3を介して文書編集制御部(構造化ドキュメントエディタ)6を起動させ、文書レイウト処理部7,論理階層構造構造編集部8,文書構成要素編集部9と協動して文書処理を行う、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ30が、表示されているものとする。
【0023】まず、概略動作を説明する。論理階層構造カード、文書構成要素カードが共に全く作成されていない場合において、文書作成のための要素となる論理階層構造カードおよび文書構成要素カードをボトムアップ的に作成するときは、次に説明するような操作により、論理階層構造カードおよび文書構成要素カードを作成する。各文書構成要素カードを作成するために、文書構成要素カードのウィンドウをウィンドウ30に開き、文書構成要素カードの内容を作成する。文書構成要素カードの内容の要素として、後述するように、文字,図形,イメージ等の他に、これら各要素の任意の位置に別の文書構成要素カードのリンクを示す情報(リンク情報)を要素として持つことができる。従って、文書作成者は文書構成要素カードの編集ウィンドウに対して、対話的に文書内容の各要素の入力を行い、当該ウィンドウに作成した文書内容の各要素を表示させて、文書構成要素カードを作成する。と共に、リンク情報を用いて適宜にカード間をリンクする。作成された各文書構成要素カードのウィンド表示の内容、すなわち、文書構成要素カードデータは、文書編集制御部6の制御により、文書記憶部10に格納される。もちろん、各文書構成要素カードは、後に詳述するが、例えば、プロパティシート(属性入力用サブウィンドウ)等を開くことにより、カードタイプや、各カードのパラメータ等の属性を持たせることができる。
【0024】このようにして、各々の文書構成要素カードの作成と、これらのカード間のリンクがなされて、完成された文書構成要素カードは、文書構成要素編集部9により管理され、例えば、入力指示情報に基づいて、文書編集制御部6,論理階層構造編集部8,および文書レイウアト処理部7の処理により、論理階層構造カードの木構造等を、論理階層構造に反映させて、論理階層構造データが作成さると共に、ウィンドウ32に示すようなグラフ表示(例えば、木構造グラフの表示)がなされる。ここでは、グラフ表示される各ノードをボックスと呼ぶことにする。
【0025】図4〜図8は、文書構成要素カード,論理階層構造構造カード,および整形出力ビュアカードの各ウィンドウの関係の具体例を示す図である。図4(A)は文書構成要素カードの間でそれぞれリンク情報を有している3枚の文書構成要素カードの関係を示しており、図4(B)は他の文書構成要素カードの間のリンク情報を持たない独立した文書構成要素カードの例を示している。また、図4(C)は文書構成要素カードの間のリンク情報を木構造で表示している論理階層構造構造カードの例を示している。すなわち、ここでの文書構成要素カード36aはそのリンク情報L2により文書構成要素カード36bとリンクされ、また、文書構成要素カード36aはそのリンク情報L3により文書構成要素カード36cとリンクされている。これらのリンク情報L2,L3によるリンク関係は、論理階層構造構造カード37が、その木構造グラフで表示している。図4(B)の文書構成要素カード36dは、他の文書構成要素カードの間のリンク情報を持たない独立した文書構成要素カードであるが、必要に応じて、文書構成要素カード36dを他との関係を持たせる編集処理が行われる。また、図4(A)に示す文書構成要素カード36a,36b,36cの間の論理階層構造にかかる構造情報(リンク情報)は、図4(C)に示す論理階層構造構造カード36eにより別に保持され、論理階層構造構造カード36eの編集ウィンドウにより編集される。
【0026】図5は論理階層構造カードの編集ウィンドウにおける木構造グラフによるレイアウト編集と、その指示による文書レイアウト構成との関係を示す図である。例えば、図5に示すように、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37においてリンク情報L1,L2,L3によるリンク関係の編集を行い、その結果の木構造グラフ表示されている論理階層構造の構造情報を作成し、例えば、レイアウト処理を指示する『Layout』ボタンをクリックすると、整形出力ビュアカードの出力ウィンドウ38において、その論理階層構造の構造情報による文書レイアウト構成が出力される。このような文書レイアウト構成を見て、文書作成者が、整形出力ビュアカードの文書レアウト構成において、更に破線で示すようなイメージ図形38aを文書中に挿入する場合、その編集処理は、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37において、リンク情報L1,L2,L3によるリンク関係の編集を行うことにより、元の文書構成要素カードの編集は行なわず、ここでの修正に必要なイメージ図形38aにかかる編集のみを行えばよい。
【0027】この場合、次の図6に示すように、その編集処理は、論理階層構造カード『日本の風土』36eからリンク情報L1,L2,L3の木構造グラフを写し取った論理階層構造カード『日本の風土
【0028】図7は、論理階層構造カードにおけるリンク情報L1,L2,L3,L4の木構造グラフと、それにより表現されている複数の文書構成要素カードの間の関係を説明する図である。図7(A)はリンク情報L1,L2,L3,L4による木構造グラフの構造情報を有する論理階層構造カード36fを示し、図7(B)は論理階層構造カード36fの構造情報と等価となっている文書構成要素カードの間の関係を示している。すなわち、図7(A)の論理階層構造カード36fの構造情報により指示されている関係は、図7(B)に示すように、ここでの文書構成要素カード36aはそのリンク情報L2により文書構成要素カード36bとリンクされ、リンク情報L3により文書構成要素カード36cとリンクされ、また更に、リンク情報L4により文書構成要素カード36dとリンクされている構造となっている。このような構造を有する文書は、リンク情報L1,L2,L3,L4によるリンク関係が反映された文書レイウアト構成となっており、それを確認するには、例えば、図8R>8に示すように、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cにおいて、リンク情報L1,L2,L3,L4によるリンク関係が反映された木構造グラフから、レイアウト処理を行うことにより容易に確認される。
【0029】図8は、複数の文書レイウアト構成を確認するため、複数の論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cにおいて、レイアウト処理が行なわれる様子を説明する図である。ここでは、複数の論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cを開き、それぞれにおいて、各々のリンク情報の編集処理を行い、その結果の木構造グラフ表示される論理階層構造の構造情報を作成し、レイアウト処理を指示する『Layout』ボタンをクリックすることにより、複数の整形出力ビュアカードの出力ウィンドウ38cにおいて、それぞれの論理階層構造の構造情報による文書レイアウト構成が出力される。
【0030】次に、具体的に文書作成を行う場合の操作および処理動作の流れを説明する。トップダウン的に文書作成を行う場合は、まず、論理階層構造カードを編集するウィンドウを開き、例えば、適宜に必要な文書名を付与した論理階層構造カードを作成し、その論理階層構造カードから、ここで規定した論理階層構造の構造情報に沿って、当該論理階層構造の要素のノードとなる文書構成要素カードを順次作成する。この場合には、論理階層構造カードから作成するので、例えば、図6に示すように、論理階層構造カードの編集ウィンドウ37aにおいて、リンク情報L1と関係づけたボックスを作成し、文書構成要素カード36aを作成する。同じく、リンク情報L2と関係づけたボックスを作成し、その対応の文書構成要素カード36bを作成する。また、同じく、リンク情報L3と関係づけたボックスを作成し、その対応の文書構成要素カード36cを作成する。その後、文書作成者は、個々の文書構成要素カードを論理階層構造の構造情報に従いリンクすることで、1つの文書を作成する。
【0031】次に、ここで作成した論理階層構造を有する文書を基にして、同一主題で異なる観点の文書を作成するため、ここで作成した個々の文書構成要素カードを利用して、新たに論理階層構造カードを作成する。新たに作成する論理階層構造カードにおいては、その論理階層構造を規定するリンクポインタの削除/移動/新規作成が任意に可能であり、また、リンクポインタ間のリンクの変更などが可能である。このため、具体的には、前の文書構成要素カードの作成過程において作成された論理階層構造カードの構造情報を複写し、複写した論理階層構造カードの構造情報の修正および変更の処理を行うことにより、同一主題で異なる観点の文書の論理階層構造の構造情報を作成する編集処理を行う。
【0032】具体例を図6により説明すると、図4(C)に示すような論理階層構造カード36eを転記した後、リンク情報L4と関係付けたボックスを作成し、当該ボックスをクリックすることにより、文書構成要素カード39のウィンドウを開く。これにより、空のウィンドウが開かれるので、このウィンドウにおいて編集を行い、例えば、図6のような文書構成要素カード39を作成する。このように各文書構成要素カードの間のリンク関係と論理階層構造カードが持つリンク情報を相互に反映させながら、仮想文書(論理階層構造カードにおける論理階層構造情報による文書)を作成する。
【0033】文書構成要素の編集処理においては、前述したように、文書構成要素カードの内容の編集処理のために通常のテキストエディタの各機能が利用される。更にそれに加えて、他の文書構成要素カードを参照するリンクポインタに対する削除/追加/移動の操作が可能となっている。ここでの文書編集処理では、全ての処理をカード形式でそのデータ処理を行う。文書の論理階層構造を規定する構造情報を記憶し編集する単位が論理階層構造カードとなっており、論理階層構造カードは文書構成要素カードの集合に対して、異なる観点からその論理階層構造を規定する複数枚の論理階層構造カードを作成することが可能となっている。これにより、文書構成要素カードの集合を共通に利用でき、複数の文書を構成/編集することができる。
【0034】また、ここでの各々の文書構成要素カードは、それぞれにレイアウト属性を持たせることができるデータ構造となっており、後述するように、個々の文書構成要素カードのそれぞれのレイアウト属性の情報を引き継いで、文書全体としてレイアウト処理がなされる。図9は、カードレイアウト属性定義ウィンドウの一例を示す図である。文書構成要素カードにレイアウト属性を持たせる場合、例えば、図9に示すようなレイアウトパラメータの設定のためのレイアウトパラメータプロパティのサブウィンドウ40を表示し、当該文書構成要素に対してのタイトルパラメータ42,段落パラメータ43などの各々のレイアウト属性を設定する。このようなレイアウトパラメータプロパティのサブウィンドウ40をオープンするためには、文書構成要素カード(34;図3)の『LayoutParam』ボタンを押下する(マウスカーソルを当該ボタン位置に合せてクリックする)。この操作により、図9に示すカードレイアウト属性を定義するサブウインドウ40が表示されるので、レイアウトパラメータプロパティのサブウィンドウ40において、タイトルパラメータ42,段落パラメータ43などの各項目の値をセットし、『Apply』ボタン41を押下することにより各々のカード毎のレイアウト属性を設定する。
【0035】次に、文書の論理階層構造を規定する構造情報を論理階層構造カードにより編集し、その編集結果の構造情報による論理階層構造を有する文書をフラットな形式に変更するための操作を説明する。この変換操作では、フラットな形式に変更したい文書の論理階層構造カードを選択し、論理階層構造カードにおける『Layout』ボタンを押下することにより、文書レイアウト処理部7が起動されて、レイアウト処理を行い、フラットな文書に変換した文書形態がウィンド画面に表示される。文書レイアウト処理部7のレイアウト処理においては、論理階層構造カードによる論理階層構造の構造情報にしたがって、各々の木構造のリンクが順次に辿られ、階層構造の文書がフラットな文書に変換されて出力される。
【0036】次に、本実施例にかかる文書処理装置における処理要素の各々のブロックの内容を更に詳細に説明する。ここでは、文書構成要素カードのデータ構造および論理階層構造カードのデータ構造の説明と共に、論理階層構造カードの作成処理,カードの階層構造解析処理,文書構成要素カード追加処理,文書構成要素カード削除処理,文書レイアウト処理,文書構成要素カードのレイアウトパラメータ決定処理など、文書処理をカード形式のデータ処理により行う場合に必要とされる各々の処理について、順次に説明する。
【0037】図10は、カードオブジェクト(文書構成要素カード)のデータ構造例を説明する図である。カードオブジェクト50は、図10に示すように、その属性を表わすカードプロパティ51,その実体内容を表わすカードコンテンツ52,および後述する上位カードリスト53から構成されている。カードオブジェクト50は、任意のオブジェクトとすることができ、カードプロパティ51の内容によって、そのタイプが決まる。カードプロパティ51の内容、すなわち、カードの属性は後述するネクストリンクにより複数個持つことができ、図1010ではリンク付けされた属性リスト51a,51bにより、必要な属性が付加される。例えば、1つの属性リストの属性名が示す属性名の文字列がレイアウトパラメータであれば、属性値はレイアウトパラメータをあらわすオブジェクトになる。カードコンテンツ52は、カードの内容に含まれている要素リストである。この要素リストは、カードプロパティ51と同様に、ネクストリンクにより複数個持つことができる。各要素リスト52a,52bは、そのタイプを示す『要素タイプ』と、その内容実体の『要素内容』から構成されている。要素タイプには、例えば、「パラグラフ・テキスト」,「グラフィク」,「テーブル」,「イメージ」,「リンクポインタ」などのタイプが設定される。要素リスト52aの場合、要素タイプ「T」はテキストであることを指示し、要素内容がテキストの実体である要素オブジェクトを示している。
【0038】また、各々の文書構造要素カードは、複数の種類のカードオブジェクトを指示することができる。これらは文書構造要素の出現順に要素内容としてポインタにより要素内容のリストに追加される。要素リストの『要素内容』は要素タイプによってそれぞれに異なった構造をもつ。要素リスト52aの要素タイプ「L」はリンクポインタであることを示し、下位カードの参照を意味するデータである。ネクストリンクは上記のように、リスト構造をあらわすためのリンクである。ネクストリンクおよびリンクポインタなどは、リストの最終要素では、その値が“0”になっており、次の要素が存在しないことを表わしている。上位カードリスト53は、上位カードとリンクするためカードポインタを指示し、図10R>0においては、カードポインタ53a,53bが設けられ、これらにより、他のカードオブジェクトとしての上位カードとリンクされる。
【0039】図11は、論理階層構造カードとしてのカードオブジェクトのデータ構造例を説明する図である。ここでの論理階層構造カードは、上述したカードオブジェクトと同様なデータ構造を有するものとして構成されるが、上述の文書構造要素カードのカードオブジェクトの特殊な形式として実現される。
【0040】論理階層構造カードのカードオブジェクト60は、前述のカードオブジェクト50と同様に、カードオブジェクトの属性を表わすカードプロパティ61,その実体内容を表わすカードコンテンツ62,および上位カードリスト63から構成される。ここでのカードコンテンツ62には、トップカードのカードコンテンツにおけるリンクポインタのみを集め、各リンクポインタから参照されるカード(文書構成要素カードのカードオブジェクト)を展開し、文書を構成する論理階層構造のリスト構造を形成するようなデータ構造とする。
【0041】更に、ここでのカードコンテンツ62のリスト中のリンクポインタについて、同様にリンクポインタのみを再帰的に集めて、リスト構造となるデータ構造を構成する。このリスト構造では(各ノードのカード名により)各ノードがカードオブジェクト(文書構成要素カード)を表わし、カード名というカードプロパティで代表している。各々のノード(62a〜62h)には、下位カード群(62d〜62h)との関連付けを保持する子供リンク、同レベルのカード群(62a〜62c)との関連づけを保持するネクストリンクが設けられている。このようなデータ構造のカードオブジェクトによって、トップカードから直接あるいは間接に参照されるカードのリンクポインタの全てを辿ることができる。また、上位カードとリンクするため、上位カードレスト63からのカードポインタ63a,63bが設けられ、他の論理階層構造カードにおけるカードオブジェクトの上位カードとリンクされる。
【0042】次に、論理階層構造カードの作成処理について説明する。図12は、論理階層構造カードの作成処理の一例を説明するフローチャートである。図12を参照して説明する。この論理階層構造カードの作成処理では、文書編集制御部6で構造化ドキュメントエディタが起動されて、処理が開始される。まず、ステップ71において、構造化ドキュメントエディタのウィンドウ画面30における『Create』ボタンを押下が検出されると、次に、ステップ72において、カード作成サブメニューが表示される。これにより、ステップ73において、出現するサブメニューから、ユーザが『論理階層構造カード』を選択すると、次に構造化ドキュメントエディタは、ステップ74において、ユーザに対して「ルートカードをマウスで指示して下さい」とのメッセージ表示を行い、論理階層構造のルートカードとなる文書要素カードの指示を要求する。このルートカードとして、例えば、トップの文書構成要素カードを選択される。
【0043】これに対して、ステップ75において、ここで選択するルートカード内にマウスカーソルを移動し、マウスボタンをクリックすることにより、ユーザは対象とするカードの選択指示を構造化ドキュメントエディタに与える。例えば、ウィンドウ30上に、論理階層構造カードとルートカードとしての文書構成要素カードの各ウィンドウが表示されている状態では、当該文書構成要素カードの予じめ定められた領域等をクリックすることにより、選択指示が行われる。次に、ステップ76に進み、現在のマウスカーソル位置からルートカードを特定し、文書記憶部10からカード(文書構成要素カード)を取り出す処理を行う。この処理においては、例えば、指示されたルートカードの内容データから、内容データを判別してリンク先などを検査し、リンクポインタを集める処理を行う。そして、集めたリンクポインタが指示するカードに対して、同様の操作を再起的に繰り返すことにより、対象となるカードを取り出す処理を進める。
【0044】このような一連の処理によって、ルートカードから直接/間接に辿ることが可能な複数のカード(文書構成要素カード)が取り出される。取り出されたカードにより構成される論理階層構造は木構造として表現されているので、次のステップ77において、取り出したカードに対して、階層構造解析処理を実行し、論理階層構造の構造情報を生成して、論理階層構造カードを作成する。そして、ステップ78において、作成した論理階層構造カードの階層構造をグラフ表示する。カードの階層構造のグラフ表示において、その各々のノード要素となる文書構成要素カードは、カードの名前をもったボックスとして表示される。また、階層関係はボックス間のリンクによって表現される。
【0045】図13は、カードの階層構造解析処理の一例を説明するフローチャートである。次に、図13を参照して、カードのリンク構造を辿ることにより論理階層構造となる木構造を得る処理を説明する。この処理では、まず、ステップ81において、リスト変数Listを空リストに初期化する。次に、ステップ82において、リスト変数Listに解析対象カードを追加する。次にステップ83に進み、カード中の未解析要素が存在するか否かの判定を行う。未解析要素が存在しなければ、ステップ84に進み、リターン処理を行い、処理を終了する。また、ステップ83の判定処理において、カード中の未解析要素が存在すると、ステップ85に進んで、当該カード中の未解析要素の先頭要素を取り出す。そして、ステップ86において、取り出した要素がリンクポインタであるか否かを判定する。リンクポインタでなければ、階層構造の要素ではないので、ステップ83に戻り、次の未解析要素に対する処理を続行する。
【0046】また、ステップ86の判定処理において、取り出した要素がリンクポインタと判定された場合には、当該リンクポインタを辿るために、ステップ87に進み、リンクポインタから参照されるカード(下位カード)を、カート記憶部から取り出す。次に、ステップ88において、取り出した下位カードをCRTディスプレイ上で確認するため、下位カードに対して、カードレイアウト処理を実行する。そして、次のステップ89において、リスト変数Listに処理結果のリストを追加し、次の未解析要素に対する処理を続行するため、ステップ83に戻り、ステップ83からの処理を続行する。
【0047】次に、論理階層構造カードの編集機能について説明する。論理階層構造カードの構造情報に対しては、文書構成要素カードの追加処理,文書構成要素カードの削除処理のような編集操作が可能である。文書構成要素カード追加処理および文書構成要素カード削除処理について説明する。図14はカード追加処理を説明するフローチャートであり、図15はカード削除処理を説明するフローチャートである。これらのフローチャートを参照して説明する。
【0048】まず、図14を参照して、文書構成要素カードの追加処理を説明する。このカード追加処理では、論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下により、サブメューとして出現するメニュー項目の『カード追加』を選択することによって、処理が開始される。すなわち、ステップ91において、構造化ドキュメントエディタは、論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下を判別すると、論理階層構造編集部8を起動し、次のステップ92において、カード編集サブメニューを表示する。これに対し、ステップ93において、ユーザが『カード追加』を選択すると、次に、ステップ94において、「追加対象カードをマウスで指示して下さい」のメッセージ表示を行い、ユーザに対して、追加対象カードの指示を要求する。
【0049】これに対しては、ユーザは、ステップ95において、マウスカーソルを追加対象カード(ウィンドウ)内に移動し、マウスボタンをクリックすることにより、ユーザは対象となるカードを指示する。対象カードの指示により、次のステップ95の処理において、現在のマウスカーソル位置から追加対象カードオブジェクトを特定し、文書記憶部10から取り出す。次に、ユーザに対して、追加対象カードの上位カードの指示を要求するため、ステップ97において「追加対象上位カードをマウスで指示して下さい」とのメッセージ表示を行う。これに対してユーザは、前述の処理と同様に、ステップ98において、論理階層構造カードのウィンドウ上のマウスカーソルを追加対象上位カードボックス内に移動し、マウスボタンをクリックすることにより、上位カードのボックスを指示する。
【0050】これにより、対象とする上位カードボックスが指示されたので、ステップ99において、ボックスから追加対象上位カードオブジェクトを特定し、文書記憶部10から取り出す。そして、ステップ100において、追加対象上位カードオブジェクトのカードコンテンツに、追加カードオブジェクトへのリンクポインタを追加する。追加したカードに対して、他のカードのリンク付けを行うため、次のステップ101において、追加対象カードオブジェクトの上位カードリストに、追加対象上位カードオブジェクトへのリンクポインタを追加する。そして、次のステップ102において、追加対象カードノードの子供リンクのリストに、追加対象カードのノードを追加する。そして、次のステップ103において、追加した要素カードの確認を行うベく、階層構造のグラフを再表示する。このような一連の処理により、指示されたボックスにリンクされた要素カードが追加される。また、追加処理された追加対象カードのボックスおよびリンクは、論理階層構造カード中に表示される。
【0051】次に、文書構造要素カードの削除処理を、図15を参照して説明する。このカード削除処理においては、前述のカード追加処理における編集操作と同様に、論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下により、サブメューとして出現するメニュー項目の『カード削除』を選択することによって、処理が開始される。すなわち、ステップ105において、画面上の論理階層構造カードの『Edit』ボタンの押下すると、次のステップ106において、カード編集サブメニューが表示されるので、ステップ107において、ユーザが『カード削除』を選択する。カード削除のメニューが選択されると、次に、ステップ108においてメッセージ表示「削除対象カードをマウスで指示して下さい」のメッセージ表示を行い、ユーザに対して、削除対象カードの指示を要求する。
【0052】これに対して、ステップ109において、削除対象カードボックス内にマウスカーソルを移動し、マウスボタンをクリックすることにより、対象となるカードを指示する。対象カードの指示により、次のステップ110の処理において、論理階層構造カードのウィンドウ上のボックスから削除対象カードオブジェクトを特定し、文書記憶部10から取り出す。次に、ステップ111において、削除対象カードオブジェクトの上位カードリストから、削除対象上位カードオブジェクトを文書記憶部10で特定して、取り出す。そして、ステップ112において、削除対象カードオブジェクトの上位カードリストを空リストにする。次に、削除処理した後の各々のカードの間の再リンク付けを行うために、ステップ110でカードを保持しない別の例では、ステップ113において、再び、ボックスから削除対象上位カードオブジェクトを文書記憶部で特定して取り出し、次のステップ114において、削除対象上位カードコンテンツを走査し、削除対象へのリンクポインタがあれば、それを削除する。そして、次のステップ115において、削除した要素カードの確認を行うベく、階層構造のグラフを再表示する。このような一連の処理により、文書構成要素カードの削除処理が行なわれ、削除対象カードおよびその下位のカード群は論理階層構造カード上から消滅する。
【0053】次に、論理階層構造カードの示す論理階層構造の構造情報による仮想文書をフラットな文書に変換するレイアウト処理を説明する。図16はレイアウト処理の流れを説明するフローチャートである。図16のフローチャートに従って、このレイアウト処理を説明する。この文書のレイアウト処理においては、まず、ステップ116において、文書構成要素カードのレイアウトパラメータを決定する。次に、ステップ117において、文書構成要素カード中の未レイアウト要素はないか否かを判定する。未レイアウト要素がない場合には処理を終了する。また、未レイアウト要素が存在する場合には、未レイアウト要素のレイアウト処理を行うベく、ステップ118に進み、カード中の未レイアウト要素の先頭要素を取り出す。そして、次のステップ119において、取り出した要素はリンクポインタであるか否かを判定する。
【0054】このステップ119の判定によりリンクポインタでないと判定され場合には、次のステップ120において、文書構成要素カードの要素をレイアウトパラメータに従って、整形出力ビュアカード(35;図3)上にレイアウトし表示する。そして、次の未レイアウト要素の処理を行うために、ステップ117に戻り、ステップ117からの処理を続行する。また、ここでのステップ119の判定処理において、取り出した要素がリンクポインタである場合には、当該リンクポインタが指示している文書構成要素カードに対して、レイアウト処理を行なうので、ステップ121に進む。次のステップ121においては、リンクポインタから参照される文書構成要素カードを文書記憶部10から取り出す。そして、次に、ステップ122において、取り出した文書構成要素カードに対し、カードレイアウト処理を実行する。すなわち、取り出した文書構成要素カードについて再帰的にステップ16からの処理を行う。このステップ122のカードレイアウト処理の終了の後、元の文書構成要素カードの未レイアウト要素の処理を続行するために、ステップ117に戻り、ステップ117からの処理を続行する。
【0055】このようにして、ここでのレイアウト処理は、ユーザからレイアウト実行が指示されることにより処理が開始され、レイアウト結果を出力するウィンドウ画面の整形出力ビュアカードが作成される。レイアウト結果はこの整形出力ビュアカード上に表示処理が行われる。このレイアウト処理では、論理階層構造のトップノードに対応する文書構成要素カードを文書記憶部10から取り出し、文書レイアウト処理部7が、上述のような文書構成要素カードのレイアウト処理を行なう。このため、論理階層構造カードの構造情報により規定される全ての文書構成要素カードは、このトップノードカードからリンクポインタを通してアクセスすることが可能となる。文書レイアウト処理部7が行なう文書構成要素カードのレイアウト処理は、リンクポインタで参照される文書構成要素カードをすべて再帰的に展開することにより行われる。したがって、トップカードに対してレイアウト処理を行うことで、論理階層構造カードでその構造が規定されている文書全体のレイアウトを行うことができる。
【0056】図17は、図16における文書構成要素カードのレイアウトパラメータを決定する処理(ステップ116)を詳細に示すフローチャートである。この文書構成要素カードのレイアウトパラメータ決定処理は、基本的には該当する文書構成要素カードに対するレイアウトパラメータを上位カードのレイアウトパラメータから決定する処理となる。この処理が開始されると、まず、ステップ123において、文書構成要素カードのプロパティからレイアウト属性を捜す。次に、ステップ124において、レイアウト属性が存在しているか否かを判定する。レイアウト属性が存在している場合には、ステップ125に進み、レイアウト属性の値をレイアウトパラメータとして決定して処理を終了する。また、ステップ124の判定処理において、当該カードに対するレイアウト属性が存在しないと判定された場合には、上位カードのレイアウトパタメータを当該文書構成要素カードのレイアウトパラメータとするため、次にステップ126において、当該文書構成要素カードは最上位カードであるか否かを判定する。この判定結果により、当該カードが最上位カードである場合は、ステップ127に進み、ディフォルトの値をレイアウトパラメータとして、処理を終了する。また、ステップ126の判定処理において、当該文書構成要素カードが最上位カードでない場合には、ステップ128の処理において、上位カードのレイアウトパラメータを、当該文書構成要素カードのレイアウトパラメータの値として処理を終了する。
【0057】このように、レイアウト処理部は、文書構成要素カードのレイアウト処理実行にあたって、レイアウトパラメータを決定するが、そのレイアウトパラメータの値は、レイアウト対象の文書構成要素カードがレイアウト属性を持っている場合はその値を利用する。レイアウト属性を持たない場合、上位のカードのレイアウト処理において用いたパラメータの値を利用する。上位のカードを持たない場合には、すなわち、トップノードカードの場合には、あらかじめ定められたデフォルト値のパラメータを利用する。
【0058】このようにして、レイアウトパラメータを決定した後は、カードコンテンツから文書内容の各々の要素を順次取り出し、文書構成要素カードの内容をその属性値で示される指示に従って、前記整形出力ビュアカード上に文書内容のレイアウトを行なう。なお、このとき、要素の内容がリンクポインタであった場合、リンクポインタが参照する文書構成要素カードに対して、文書のレイアウト処理を再帰的に適用する。
【0059】以上、説明したように、本実施例の文書処理装置によれば、文書の内容および属性から成る文書単位の文書処理は、複数個の各々の文書構成要素と該各々の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造の構造情報とを記憶し、記憶した論理階層構造に基づいて、文書処理を行う。このため、文書処理では、文書構成要素の編集処理を行い、編集を行った複数の文書構成要素を共通に用いて、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成することができる。これにより、共通の文書構成要素を利用した観点の異なる文書が、複数個の論理階層構造の構造情報により容易に作成することが可能となる。
【0060】以上に述ベた実施例では、各文書構成要素カードに個別にレイアウト情報を持つ場合を説明したが、例えば、論理階層構造カードか、あるいはトップの文書構成要素カードに文書全体のレイアウト情報を持たせ、トップの文書構成要素カード以外には他の文書構成要素カードに影響を与えることのない個別のレイアウト情報を持つようにしてもよいことは明らかである。
【0061】また、各文書構成要素カードにはリンク情報を持たないで、論理階層構造カードの木構造グラフのみで要素カード間のリンクを行うようにして、かつ、論理階層構造カードに全体のレイアウト情報を持つようにしても同様の作用効果を得られることは明らかである。
【0062】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の文書処理装置によれば、文書構成要素の編集処理を個別に行い、共通の文書構成要素を用いる複数の論理階層構造の構造情報を作成することにより、異なった主題の文書、あるいは、同一主題でも観点が異なった文書を文書構成要素を利用して容易に作成することが可能となる。また、同一主題で観点が異なった複数の文書を扱う場合においても、文書構成要素は共通のものを用いることが可能であり、文書ファイルの内容更新/維持管理の負荷が軽減される。
【0063】また、本発明の文書処理装置によれば、複数の文書を扱う場合においても、論理階層構造の構造情報は複数のものが作成されるが、文書ファイルでは、文書構成要素は少なくとも一部は共通の文書構成要素が使用されており、その内容更新/維持管理は効率的に行うことができる。また、各々の文書単位を論理階層構造の構造情報によりそれぞれ個別に管理でき、それぞれの各文書単位の論理階層構造に従って、文書の編集処理を行う場合にも、編集処理を、論理階層構造の編集処理と、文書構成要素の編集処理とで、それぞれ個別に行うことができるので、文書編集処理の自由度が増し、文書編集処理を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施例にかかる文書処理装置の構成を示すブロック図、
【図2】 図2は本実施例の文書処理装置で扱う文書データ構造の概念を説明する図、
【図3】 図3は文書処理における構造ドキュメントエディタの表示画面の一例を示す図、
【図4】 図4において、図4(A)は文書構成要素カードの間でそれぞれリンク情報を有している3枚の文書構成要素カードの関係を示す図、図4(B)は他の文書構成要素カードの間のリンク情報を持たない独立した文書構成要素カードの例を示す図、また、図4(C)は文書構成要素カードの間のリンク情報を木構造で表示している論理階層構造構造カードの例を示し図である。
【図5】 図5は論理階層構造カードの編集ウィンドウにおける木構造グラフによるレイアウト編集とその文書レイアウト構成との関係を示す図、
【図6】 図6は論理階層構造カードの木構造グラフの編集による文書作成処理の操作例を説明する図、
【図7】 図7は、論理階層構造カードにおけるリンク情報L1,L2,L3,L4の木構造グラフと、それにより表現されている複数の文書構成要素カードの間の関係を説明する図である。
【図8】 図8は、複数の文書レイウアト構成を確認するため、複数の論理階層構造カードの編集ウィンドウ37cにおいて、レイアウト処理が行なわれる様子を説明する図、
【図9】 図9はカードレイアウト属性定義ウィンドウの一例を示す図、
【図10】 図10はカードオブジェクト(文書構成要素カード)のデータ構造例を説明する図、
【図11】 図11は論理階層構造カードとしてのカードオブジェクトのデータ構造例を説明する図、
【図12】 図12は論理階層構造カードの作成処理の一例を説明するフローチャート、
【図13】 図13はカードの階層構造解析処理の一例を説明するフローチャート、
【図14】 図14はカード追加処理を説明するフローチャート、
【図15】 図15はカード削除処理を説明するフローチャート、
【図16】 図16はレイアウト処理の流れを説明するフローチャート、
【図17】 図17は、図16における文書構成要素カードのレイアウトパラメータを決定する処理を詳細に示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…キーボード、2…CRTディスプレイ、3…入出力制御部、4…文書表示制御部、5…ユーザインタフェース、6…文書編集制御部、7…文書レイアウト処理部、8…論理階層構造編集部、9…文書構成要素編集部、10…文書記憶部、11…ディスク装置、20…共通の文書構成要素、21,22,23…論理階層構造、21a,21b,21c,22a,22b,22c…個別の文書構成要素、30…ウィンドウ(構造化ドキュメントエディタ)、31,32,33…ウィンドウ(論理階層構造カード)、34…ウィンドウ(文書構成要素カード)、35…ウィンドウ(整形出力ビュアカード)、36a,36b,36c,36d…文書構成要素カード、36e,36f…論理階層構造カード、37a,37b,37c…ウィンドウ(論理階層構造カード)、38,38c…ウィンドウ(整形出力ビュアカード)、40…レイアウトパラメータプロパティサブウィンドウ、41…『Apply』ボタン、42…タイトルパラメータ、43…段落パラメータ、50…カードオブジェクト(文書構成要素カード)、51…カードプロパティ、52…カードコンテンツ、53…上位カード、54…同位カード、60…カードオブジェクト(論理階層構造カード)、61…カードプロパティ、62…カードコンテンツ、63…上位カード、64…同位カード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 文書内容および属性から成る個々の文書構成要素と、該個々文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造とを作成し、作成した論理階層構造に基づき、論理階層構造を有する文書の文書処理を行う文書処理装置であって、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成すると共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、複数文書の処理を行う文書処理手段と、指示された構造情報の論理階層構造に従って、文書構成要素を組み合わせ、1つの文書に変換するレイアウト処理手段と、を設けたことを特徴とする文書処理装置。
【請求項1】 文書内容および属性から成る個々の文書構成要素と、該個々文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造とを作成し、作成した論理階層構造に基づき、論理階層構造を有する文書の文書処理を行う文書処理装置であって、複数の文書構成要素の間を関係付ける論理階層構造を規定する構造情報を、文書構成要素の一部を共通として異なる観点から複数個作成すると共に、作成した各構造情報の論理階層構造に従い、複数文書の処理を行う文書処理手段と、指示された構造情報の論理階層構造に従って、文書構成要素を組み合わせ、1つの文書に変換するレイアウト処理手段と、を設けたことを特徴とする文書処理装置。
【図1】
【図9】
【図2】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図9】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開平5−225185
【公開日】平成5年(1993)9月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−61205
【出願日】平成4年(1992)2月15日
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【公開日】平成5年(1993)9月3日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)2月15日
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
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