説明

文書管理装置および文書管理プログラム

【課題】タイムスタンプの消費量を抑えつつ、時刻認証されたファイルに含まれる目的の文書を効率良く検索することができる文書管理装置を提供する。
【解決手段】時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理装置10であって、複数の文書を一つにまとめて画像ファイルを生成する読取部12と、画像ファイルにタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与部22と、タイムスタンプが付与された画像ファイルを記憶する画像ファイル記憶部24と、画像ファイルに含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出する領域抽出部14と、部分画像の位置情報を特定する位置特定部16と、部分画像毎に検索用識別情報を部分画像の位置情報に対応付けて記憶する位置情報記憶部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理装置および文書管理プログラムに関し、特に、複数の文書を一つにまとめて時刻認証用のタイムスタンプを付与して管理する文書管理装置および文書管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文書の電子化が急速に進む中、電子文書の真正性を保証するための仕組みが求められている。その仕組みの一つとして、電子文書に信頼される認証局より発行された電子署名と信頼されるTA(Time Authority:時刻配信局)から配信された正確な時刻情報を元にTSA(Time-Stamping Authority:時刻認証局)より発行された時刻認証用のタイムスタンプを付与する方法がある。
【0003】
一般に、TSAとユーザの間では、予め契約により所定数毎に課金されるタイムスタンプを必要数購入する。そして必要に応じて、文書のハッシュ値をTSAに送信してタイムスタンプの発行を要求し、TSAからタイムスタンプを受け取り、文書にタイムスタンプを押印することができる。領収証などの比較的小型の文書などは一つずつ画像ファイルを作成し、個別にタイムスタンプを付与すると、大量のタイムスタンプが必要になることから、複数の文書を並べて、あるいは順にスキャナなどで読み取り、一つのファイルにまとめて保存し、そのファイルにタイムスタンプを押印する。これにより、タイムスタンプの消費量を大幅に削減できる。
【0004】
なお、複数の文書に対応する複数の部分画像の各領域を抽出する技術としては、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
【特許文献1】特開平4−154368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の文書を一つのファイルにまとめて保存すると、個々の文書の検索が困難になり、目的の文書が見つけにくくなってしまうといった問題点があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、タイムスタンプの消費量を抑えつつ、時刻認証されたファイルに含まれる目的の文書を効率良く検索することができる文書管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理装置であって、
複数の文書を一つにまとめて画像ファイルを生成する画像生成部と、
前記画像ファイルに前記タイムスタンプを付与するタイムスタンプ部と、
前記タイムスタンプが付与された前記画像ファイルを記憶する画像記憶部と、
前記画像ファイルに含まれる前記複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出し、その位置情報を特定する抽出部と、
前記部分画像毎に検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて記憶する位置情報記憶部と、を備えたことを特徴とする文書管理装置が提供される。
【0008】
この発明によれば、複数の文書を一つの画像ファイルにまとめてタイムスタンプを付与することにより、タイムスタンプの使用数を大幅に削減できるとともに、一つの画像ファイルにまとめられた複数の文書に対応する複数の部分画像を個別に識別可能に記憶することができるので、複数の文書の中から必要な文書を効率よく検索することが可能となり、利便性がよい。
【0009】
上記文書管理装置において、前記画像記憶部に記憶された前記画像ファイルの中から文書を検索する検索条件を受け付ける受付部と、前記位置情報記憶部から前記検索条件を満たす前記検索用識別情報を検索し、対応する前記部分画像の前記位置情報を抽出する検索部と、前記抽出された前記位置情報の前記部分画像を提示する提示部と、を備えることができる。
【0010】
この構成によれば、目的の文書を効率良く検索して、表示することができるので、利便性がよい。
【0011】
上記文書管理装置において、前記部分画像に対応する前記検索用識別情報の入力を受け付ける受付部をさらに備えることができ、前記受付部が受け付けた前記検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて前記位置情報記憶部に記憶することができる。
【0012】
上記文書管理装置において、前記部分画像に対応する前記検索用識別情報を自動的に付与する付与部をさらに備えることができ、前記付与部が付与した前記検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて前記位置情報記憶部に記憶することができる。
【0013】
たとえば、画像ファイルを生成した日付や所定の連番などを自動的に付与することができる。この構成によれば、自動的にキーワードの登録が行えるので、利便性がよい。
【0014】
上記文書管理装置において、前記付与部は、前記部分画像から文字列を光学的文字認識により読み取る読取部と、前記読取部が読み取った文字列から前記部分画像に対応する前記検索用識別情報を決定する決定部と、を含むことができる。
【0015】
読取部は、部分画像の予め指定された所定位置の文字列を光学的文字認識(Optical Character Recognition:OCR)により読み取り、決定部は読み取られた文字列を検索用識別情報とすることができる。従って、所定の書式で記載されている文書を読み取った場合に、検索用識別情報にする文字列の記載位置を予め登録しておくことにより、所定位置に記載された文字列を検索用識別情報として自動的に決定することができるので、利便性がよい。
【0016】
あるいは、読取部は、部分画像の所定範囲の文字列を光学的文字認識により読み取り、決定部は、読み取られた文字列の中から、出現頻度が所定の割合以上のものを選択して、リストで提示し、ユーザに選択を促し、ユーザによって選択された文字列を受け付けて検索用識別情報として決定することもできる。
この構成によれば、部分画像から文字列を自動的に読み取り、検索用識別情報を決定することができるので、利便性がよい。
【0017】
本発明によれば、時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理プログラムであって、
画像ファイルを記憶する画像記憶部と、前記画像に含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像の位置情報を記憶する位置情報記憶部と、を備えたコンピュータを、
複数の文書を一つにまとめて画像ファイルを生成する手段、
前記画像ファイルに前記タイムスタンプを付与する手段、
前記タイムスタンプが付与された前記画像ファイルを前記画像記憶部に記憶する手段、
前記画像ファイルに含まれる前記複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出し、その位置情報を特定する手段、
前記部分画像毎に検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて前記位置情報記憶部に記憶する手段、として機能させるための文書管理プログラムが提供される。
【0018】
本発明によれば、時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理プログラムであって、
複数の文書を一つにまとめて生成された画像ファイルに前記タイムスタンプが付与された時刻認証済み画像ファイルを記憶する画像記憶部と、前記時刻認証済み画像ファイルに含まれる前記複数の文書に対応する複数の部分画像の位置情報に、検索用識別情報を対応付けて記憶する位置情報記憶部と、を備えたコンピュータを、
前記画像記憶部に記憶された前記時刻認証済み画像ファイルの中から文書を検索する検索条件を受け付ける手段、
前記位置情報記憶部から前記検索条件に対応する前記検索用識別情報を検索し、対応する前記部分画像の前記位置情報を抽出する手段、
前記抽出された前記位置情報の前記部分画像を提示する手段、として機能させるための文書管理プログラムが提供される。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、タイムスタンプの消費量を抑えつつ、時刻認証されたファイルに含まれる目的の文書を効率良く検索することができる文書管理装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る文書管理装置を示す機能ブロック図である。本実施形態の文書管理装置10は、時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理装置10であって、複数の文書を一つにまとめて画像ファイルを生成する画像生成部(読取部12)と、画像ファイルにタイムスタンプを付与するタイムスタンプ部(タイムスタンプ付与部22)と、タイムスタンプが付与された画像ファイルを記憶する画像記憶部(画像ファイル記憶部24)と、画像ファイルに含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出し、その位置情報を特定する抽出部(領域抽出部14および位置特定部16)と、部分画像毎に検索用識別情報を部分画像の位置情報に対応付けて記憶する位置情報記憶部(検索キーワード付与部18および位置情報記憶部20)と、を備える。
【0023】
文書管理装置10は、たとえば、LANやインターネットなどのネットワークに接続されたネットワークスキャナ、インターネットファクシミリ装置、MFP(Multi Functional Peripheral)、あるいは、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどである。なお、図1において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してある。
【0024】
また、文書管理装置10の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0025】
文書管理装置10は、後述する電子文書管理プログラムをMFPやパーソナルコンピュータなどを構成するコンピュータによって実行することにより実現される。本実施形態の文書管理プログラムは、時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理プログラムであって、画像ファイルを記憶する画像記憶部(画像ファイル記憶部24)と、画像に含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像の位置情報を記憶する位置情報記憶部20と、を備えたコンピュータを、複数の文書を一つにまとめて画像ファイルを生成する手段(読取部12)、画像ファイルにタイムスタンプを付与する手段(タイムスタンプ付与部22)、タイムスタンプが付与された画像ファイルを画像記憶部に記憶する手段(タイムスタンプ付与部22)、画像ファイルに含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出し、その位置情報を特定する手段(領域抽出部14および位置特定部16)、部分画像毎に検索用識別情報を部分画像の位置情報に対応付けて位置情報記憶部に記憶する手段(検索キーワード付与部18)、として機能させるためのものである。
【0026】
また、本実施形態の文書管理プログラムは、時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理プログラムであって、複数の文書を一つにまとめて生成された画像ファイルにタイムスタンプが付与された時刻認証済み画像ファイルを記憶する画像記憶部(画像ファイル記憶部24)と、時刻認証済み画像ファイルに含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像の位置情報に、検索用識別情報を対応付けて記憶する位置情報記憶部20と、を備えたコンピュータを、画像記憶部(画像ファイル記憶部24)に記憶された時刻認証済み画像ファイルの中から文書を検索する検索条件を受け付ける手段(検索条件受付部28)、位置情報記憶部20から検索条件に対応する検索用識別情報を検索し、対応する部分画像の位置情報を抽出する手段(検索部30)、抽出された位置情報の部分画像を提示する手段(表示制御部34および表示部32)、として機能させるためのものとすることもできる。
【0027】
詳細には、文書管理装置10は、読取部12と、領域抽出部14と、位置特定部16と、検索キーワード付与部18と、位置情報記憶部(図中、「位置情報」と示す)20と、タイムスタンプ付与部22と、画像ファイル記憶部(図中、「画像ファイル」と示す)24と、操作部26と、検索条件受付部28と、検索部30と、表示部32と、表示制御部34と、を備える。
【0028】
読取部12は、たとえば、スキャナであり、複数の文書A〜Eを並べて一枚の画像として読み取り画像ファイルを生成する。ユーザは、読み取り面に原稿を並べ、操作パネル(不図示)上の読み取りボタン(不図示)を押下して、読み取り開始を指示する。読取部12は、読み取り開始の指示を受け付け、読み取り面に並べられた原稿を読み取り、1ページ分のデータを含む画像ファイルを生成する。読取部12は、連続して複数のページを読み取り、複数のページを含む画像ファイルを生成することもできる。あるいは、読取部12に替えて、予め複数の文書を記憶する文書記憶部(不図示)から一つの画像ファイルにまとめるべき複数の文書をユーザが選択し、選択された複数の文書を受け付ける受付部(不図示)を含むこともできる。文書記憶部は、文書管理装置10の内部に含むこともできるし、あるいは、外部の記憶装置に含むこともできる。
【0029】
領域抽出部14は、読取部12が生成した画像ファイルに含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出する。たとえば、領域抽出部14は、画像ファイルのページ毎に、画像特徴に基づき判断された領域の境界を抽出し、複数の領域を抽出し、複数の部分画像を特定する。位置特定部16は、領域抽出部14が抽出した複数の部分画像の位置情報をそれぞれ特定する。特定された位置情報は、位置情報記憶部20に格納される。位置情報は、たとえば、画像ファイル1における部分画像のページと座標(x1,y1,x2,y2)で示すことができる。
【0030】
図2は、位置情報記憶部20の構造の一例を示す図である。位置情報記憶部20は、読取部12が読み取った画像ファイルのページ構成を示す蓄積ページ情報42と、各ページに対応付けられた部分画像情報44と、を含む。部分画像情報44は、部分画像が含まれるページと、各ページ内での位置を示す座標データと、部分画像を検索する際に使用するキーワードと、を含むことができる。キーワードについては後述する。
【0031】
図1に戻り、検索キーワード付与部18は、領域抽出部14が抽出した複数の部分画像を検索する際使用する検索用識別情報としてキーワードを付与し、位置情報記憶部20の部分画像情報44に、部分画像の位置情報と対応付けて記憶する。
【0032】
検索キーワード付与部18は、たとえば、画像ファイルを生成した日付や所定の連番などを自動的にキーワードとして付与することができる。この構成によれば、自動的にキーワードの登録が行えるので、利便性がよい。あるいは、検索キーワード付与部18は、部分画像に対応する検索用識別情報の入力を受け付ける受付部(不図示)を含むことができる。
【0033】
また、検索キーワード付与部18は、部分画像から文字列をOCRにより読み取る読取部(不図示)と、読取部が読み取った文字列から検索用識別情報を決定する決定部(不図示)と、を含むことができる。読取部は、部分画像の予め指定された所定位置の文字列をOCRにより読み取り、決定部は読み取られた文字列を検索用識別情報とすることができる。従って、所定の書式で記載されている文書を読み取った場合に、検索用識別情報にする文字列の記載位置を予め登録しておくことにより、所定位置に記載された文字列を検索用識別情報として自動的に決定することができるので、利便性がよい。
【0034】
あるいは、上記読取部は、部分画像の所定範囲の文字列をOCRにより読み取り、決定部は、読み取られた文字列の中から、出現頻度が所定の割合以上のものを選択して、リストで提示し、ユーザに選択を促し、ユーザによって選択された文字列を受け付けて検索用識別情報として決定することもできる。この構成によれば、部分画像から文字列を自動的に読み取り、検索用識別情報を決定することができるので、利便性がよい。
【0035】
タイムスタンプ付与部22は、読取部12が読み取った画像ファイルにタイムスタンプを付与する。詳細には、タイムスタンプ付与部22は、信頼できるTA(不図示)から取得した正確な時刻情報を元に時刻認証用のタイムスタンプを生成し、クライアント端末に発行するTSA(不図示)に対して、タイムスタンプを要求する。文書管理装置10は、インターネットなどのネットワーク(不図示)を介してTSAと通信するインタフェース部(不図示)を含むことができる。TSAと文書管理装置10間の通信プロトコルは、たとえば、IETF RFC3161(Time Stamp Protocol)規格に準拠させることができる。
【0036】
タイムスタンプ付与部22は、読取部12が生成した画像ファイルのハッシュ値を生成するハッシュ生成部(不図示)を含むことができる。さらに、タイムスタンプ付与部22は、ネットワーク上のTSAにインタフェース部を介してログインし、生成したハッシュ値をTSAに送信した後、TSAからタイムスタンプを受信するタイムスタンプ取得部(不図示)を含むことができる。タイムスタンプ付与部22は、このようにしてTSAから取得したタイムスタンプを画像ファイルに押印する。
【0037】
画像ファイル記憶部24は、タイムスタンプ付与部22によってタイムスタンプが押印された画像ファイルが検証可能に格納される。画像ファイル記憶部24は、タイムスタンプが付与された画像ファイルが蓄積される。本実施形態において、画像ファイル記憶部24は、文書管理装置10の内部に含まれる構成としたがこれに限定されない。画像ファイル記憶部24は、文書管理装置10の外部に設けられた記憶装置であってもよい。
【0038】
操作部26は、たとえば、操作ボタン、スイッチ、レバー、キーボード、タッチパネルなどである。検索条件受付部28は、操作部26を用いてユーザが操作した検索条件を受け付ける。検索条件とは、画像ファイル記憶部24に格納されている画像ファイルの中から目的の文書を検索するための検索キーとなる条件である。検索条件には、たとえば、検索キーとなる文字列や論理式を含むことができる。また、本発明の本質とは関係ないが、検索条件には、一般的な、画像ファイルの作成日時や期間、保存日時や期間、ファイル形式、サイズ、作成者名、格納領域などの各種条件を含むこともできる。以下の説明では、これらの検索条件の指定やこれらの条件に基づいて検索処理についての説明は省略する。
【0039】
検索部30は、位置情報記憶部20の部分画像情報44から検索条件受付部28が受け付けた検索条件を満たすキーワードを検索し、検出されたキーワードに対応する部分画像の位置情報である座標およびページを抽出する。表示部32は、たとえば、CRTモニタや液晶ディスプレイなどである。表示制御部34は、検索部30が抽出した位置情報に対応する部分画像を画像ファイル記憶部24から読み出して表示部32に表示する。
【0040】
図3(a)に示すように、表示制御部34は、複数の文書を1ページに含む画像ファイル7の1ページ分を一画面として表示部32に表示し、抽出された部分画像3の領域をハイライト表示などの強調表示することができる。あるいは、図3(b)に示すように、表示制御部34は、複数の文書を分割して複数ページにそれぞれ含む画像ファイル54の各ページを表示部32に複数ウィンドウで表示し、抽出された部分画像3の領域をハイライト表示するとともに、その領域を含むページのウィンドウを表示部32の画面上の最前面に表示させることもできる。
【0041】
あるいは、表示制御部34は、表示部32に部分画像に対応付けられたキーワードの中から検索条件を満たしたものを一覧にして検索結果として表示部32に表示することができる。ユーザが一覧に含まれるキーワードを選択したとき、表示制御部34は選択されたキーワードを受け付け、対応する部分画像を表示部32に表示することができる。
【0042】
このように構成された文書管理装置10の動作について、以下に説明する。はじめに、原稿を読み取りファイルを生成し、後で検索可能に保存する際の動作について説明する。図4は、本実施形態の文書管理装置10の文書保存時の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1および図4を用いて説明する。
【0043】
まず、複数の文書、たとえば、領収証をスキャナの読み取り面上にユーザが並べ、操作パネルの操作部26の読み取りボタンを操作して、読み取りを指示する。指示を受け付けた読取部12が原稿を読み取り、画像ファイル1を生成する(ステップS11)。領域抽出部14は、画像ファイル1に含まれる複数の部分画像を抽出し、位置特定部16は、抽出された部分画像の位置を特定する(ステップS13)。
【0044】
つづいて、検索キーワード付与部18がステップS13で抽出された部分画像毎にキーワードを付与する(ステップS15)。ここでは、部分画像の所定領域位置に含まれる文字列をOCRにより読み取り、自動的にキーワードが付与されるものとする。検索キーワード付与部18は、位置情報記憶部20の部分画像情報44に各部分画像の位置情報に対応付けてキーワードを記憶する(ステップS17)。ステップS11で、複数のページに亘る原稿を連続して読み取り一つのファイルにまとめる場合、次のページに進み(ステップS19のYES)、ステップS11〜ステップS17を繰り返す。
【0045】
最終ページの処理が終了すると(ステップS19のNO)、タイムスタンプ付与部22は、生成された画像ファイル1のハッシュ値を生成し、TSAにハッシュ値を送信し、タイムスタンプを取得して画像ファイル1に押印し、画像ファイル記憶部24に格納する(ステップS21)。
【0046】
このように、本実施形態の文書管理装置10によれば、複数の文書を一つの画像ファイルにまとめてタイムスタンプを付与することにより、タイムスタンプの使用数を大幅に削減できるとともに、一つの画像ファイルにまとめられた複数の文書に対応する複数の部分画像を個別に識別可能に記憶することができるので、複数の文書の中から必要な文書を効率よく検索することが可能となり、利便性がよい。
【0047】
また、本実施形態の文書管理装置10によれば、複数の文書を一つの画像ファイルにまとめた際、複数の文書の順序や配列は画像ファイル作成時状態のままで目的の文書を検索し、提示することができる。
【0048】
次に、保存されたファイルから目的の文書を検索する際の動作について、説明する。図5は、本実施形態の文書管理装置10の文書検索時の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1および図5を用いて説明する。
【0049】
まず、検索条件受付部28が、ユーザが操作部26を用いて入力した検索条件を受け付ける(ステップS31)。検索部30は、位置情報記憶部20の部分画像情報44からステップS31で受け付けた検索条件を満たすキーワードを検索する(ステップS33)。検索条件を満たしたキーワードが見つかった場合(ステップS35のYES)、そのキーワードに対応する位置情報(ページおよび座標)を取得する(ステップS37)。一方、検索条件を満たすキーワードが見つからなかった場合(ステップS35のNO)、その旨をユーザに通知するメッセージ(不図示)を表示して、処理を終了する。ステップS37で取得した位置情報に基づき、表示制御部34は、画像ファイル記憶部24から部分画像を検索し、見つかった部分画像を表示部32に表示する(ステップS39)。このとき、図3(a)のように複数の文書が1ページに含まれている場合には、部分画像の領域をハイライト表示するなどして、ユーザが視覚的に認識しやすいように表示する。
【0050】
このように、本実施形態の文書管理装置10によれば、目的の文書を効率良く検索して、表示することができるので、利便性がよい。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態の文書管理装置10によれば、タイムスタンプの消費量を抑えつつ、時刻認証されたファイルに含まれる目的の文書を効率良く検索することができる。
【0052】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0053】
たとえば、上記実施形態では、部分画像の位置情報にキーワードを対応付けて位置情報記憶部に記憶する構成と、キーワードにより部分画像を検索して表示する構成を同じ文書管理装置10内に設けた構成としたが、これに限定されない。他の文書管理装置10によって予め位置情報記憶に記憶された部分画像の位置情報およびキーワードから部分画像を検索する構成のみを設けた検索装置として構成することもできる。また、位置情報記憶部20および画像ファイル記憶部24は、文書管理装置10の外部に設けることもできる。
【0054】
この構成によれば、予め位置情報に検索用識別情報(キーワード)を対応付けて記憶された部分画像を、キーワードにより検索して提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係る文書管理装置を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の位置情報記憶部の構造の一例を示す図である。
【図3】本実施形態の文書管理装置によって管理される画像ファイルの構成例を模式的に示す図である。
【図4】図1の文書管理装置の文書保存時の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1の文書管理装置の文書検索時の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 画像ファイル
3 部分画像
7 画像ファイル
10 文書管理装置
12 読取部
14 領域抽出部
16 位置特定部
18 検索キーワード付与部
20 位置情報記憶部
22 タイムスタンプ付与部
24 画像ファイル記憶部
26 操作部
28 検索条件受付部
30 検索部
32 表示部
34 表示制御部
42 蓄積ページ情報
44 部分画像情報
54 画像ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理装置であって、
複数の文書を一つにまとめて画像ファイルを生成する画像生成部と、
前記画像ファイルに前記タイムスタンプを付与するタイムスタンプ部と、
前記タイムスタンプが付与された前記画像ファイルを記憶する画像記憶部と、
前記画像ファイルに含まれる前記複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出し、その位置情報を特定する抽出部と、
前記部分画像毎に検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて記憶する位置情報記憶部と、を備えたことを特徴とする文書管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文書管理装置において、
前記画像記憶部に記憶された前記画像ファイルの中から文書を検索する検索条件を受け付ける受付部と、
前記位置情報記憶部から前記検索条件を満たす前記検索用識別情報を検索し、対応する前記部分画像の前記位置情報を抽出する検索部と、
前記抽出された前記位置情報の前記部分画像を提示する提示部と、
を備えたことを特徴とする文書管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の文書管理装置において、
前記部分画像に対応する前記検索用識別情報の入力を受け付ける受付部をさらに備え、
前記受付部が受け付けた前記検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて前記位置情報記憶部に記憶することを特徴とする文書管理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の文書管理装置において、
前記部分画像に対応する前記検索用識別情報を自動的に付与する付与部をさらに備え、
前記付与部が付与した前記検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて前記位置情報記憶部に記憶することを特徴とする文書管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の文書管理装置において、
前記付与部は、
前記部分画像から文字列を光学的文字認識により読み取る読取部と、
前記読取部が読み取った文字列から前記部分画像に対応する前記検索用識別情報を決定する決定部と、
を含むことを特徴とする文書管理装置。
【請求項6】
時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理プログラムであって、
画像ファイルを記憶する画像記憶部と、前記画像に含まれる複数の文書に対応する複数の部分画像の位置情報を記憶する位置情報記憶部と、を備えたコンピュータを、
複数の文書を一つにまとめて画像ファイルを生成する手段、
前記画像ファイルに前記タイムスタンプを付与する手段、
前記タイムスタンプが付与された前記画像ファイルを前記画像記憶部に記憶する手段、
前記画像ファイルに含まれる前記複数の文書に対応する複数の部分画像を抽出し、その位置情報を特定する手段、
前記部分画像毎に検索用識別情報を前記部分画像の前記位置情報に対応付けて前記位置情報記憶部に記憶する手段、として機能させるための文書管理プログラム。
【請求項7】
時刻認証用のタイムスタンプが付与された電子文書を管理する文書管理プログラムであって、
複数の文書を一つにまとめて生成された画像ファイルに前記タイムスタンプが付与された時刻認証済み画像ファイルを記憶する画像記憶部と、前記時刻認証済み画像ファイルに含まれる前記複数の文書に対応する複数の部分画像の位置情報に、検索用識別情報を対応付けて記憶する位置情報記憶部と、を備えたコンピュータを、
前記画像記憶部に記憶された前記時刻認証済み画像ファイルの中から文書を検索する検索条件を受け付ける手段、
前記位置情報記憶部から前記検索条件に対応する前記検索用識別情報を検索し、対応する前記部分画像の前記位置情報を抽出する手段、
前記抽出された前記位置情報の前記部分画像を提示する手段、として機能させるための文書管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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