説明

文書管理装置及び文書管理方法

【課題】真正性を確保して文書のデータを保存することが可能にする文書管理装置及び文書管理方法を提供する。
【解決手段】文字データが入力されるべき項目を含む書式画像データ及び入力されるべき文字データを記憶する手段を備えた文書管理装置に、前記項目に入力されるべき文字データ及び該文字データに基づいて算出された電子署名データを取得する取得手段と、該取得手段にて取得された電子署名データを含む二次元バーコード52aを生成する手段と、前記取得手段にて取得された文字データを含む二次元バーコード52bを生成する手段と、生成された各二次元バーコード52a,52b及び前記書式画像データに基づいて、該書式画像データに係る書式画像に各二次元バーコード52a,52bを重畳させた文書画像データ53を生成する生成手段と、生成された文書画像53データ及び取得された文字データを記憶する記憶手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書のデータを記憶管理する文書管理装置及び文書管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文書データを紙媒体と同様に原本として取り扱うことが可能になりつつある。文書の電子保存に関しては、真正性、見読性及び保存性の3基準の確保が要求される。真正性の確保とは、文書の虚偽入力、書き換え、消去及び混同の防止、作成者の識別認証などをいう。見読性の確保とは、文書データの内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態にでき、また書面に表示できることをいう。保存性の確保とは、法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存することをいう。
【0003】
特許文献1には、電子文書データを二次元バーコードに変換し、変換された二次元バーコードをマイクロフィルムに書き込むことによって、電子文書データの長期保存を可能にした記録保存処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−127054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る記録保存処理装置においては、文書データの真正性が担保されないという問題があった。
【0006】
本願発明者は、デジタルとアナログとの調和によって、文書データの真正性を担保し得る点に着眼し、鋭意検討を重ねた。その結果、本願発明者は、文字データが入力されるべき項目を含む書式画像データに、文字データ及び電子署名データの二次元バーコードを重畳し、画像データとして保存することによって、真正性を確保して文書データを保存することができると共に、必要に応じて文字データをデジタルデータとして復号することができるという着想を得た。
【0007】
本発明は斯かる着想に基づくものであり、真正性を確保して文書データを保存することができると共に、必要に応じて文字データをデジタルデータとして復号することができる文書管理装置及び文書管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る文書管理装置は、文字データが入力されるべき項目を含む書式画像データ及び入力されるべき文字データを記憶する手段を備えた文書管理装置において、前記項目に入力されるべき文字データ及び該文字データに基づいて算出された電子署名データを取得する取得手段と、該取得手段にて取得された電子署名データを含む二次元バーコードデータを生成する手段と、前記取得手段にて取得された文字データを含む二次元バーコードデータを生成する手段と、生成された各二次元バーコードデータ及び前記書式画像データに基づいて、該書式画像データに係る書式画像に各二次元バーコードを重畳させた文書画像データを生成する生成手段と、生成された文書画像データ及び取得された文字データを記憶する記憶手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る文書管理装置は、前記記憶手段が記憶している文書画像データに含まれる文字データの二次元バーコードに基づいて、文字データを復号する手段と、復号された文字データ、及び前記記憶手段が記憶している文字データを照合する手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る文書管理装置は、他の電子署名データを取得する手段を備え、前記生成手段は、前記記憶手段が記憶している文書画像データに係る文書画像に、取得された他の電子署名データの二次元バーコードを重畳させた文書画像データを生成する手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る文書管理装置は、前記電子署名データを作成した作成者に係る氏名又は名称を含む電子証明書データを取得する手段を備え、前記生成手段は、取得された電子証明書データに含まれる氏名又は名称を、前記電子署名データの二次元バーコードの周囲に重畳させた文書画像データを生成するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る文書管理方法は、文字データが入力されるべき項目を含む書式画像データ及び入力されるべき文字データを記憶する文書管理方法において、前記項目に入力されるべき文字データ及び該文字データに基づいて算出された電子署名データを取得するステップと、取得された電子署名データを含む二次元バーコードデータを生成するステップと、取得された文字データを含む二次元バーコードデータを生成するステップと、生成された各二次元バーコードデータ及び前記書式画像データに基づいて、該書式画像データに係る書式画像に各二次元バーコードを重畳させた文書画像データを生成するステップと、生成された文書画像データ及び取得された文字データを記憶するステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、文字データ及び該文字データに基づいて算出された電子署名データは、夫々二次元バーコードに変換され、変換された二次元バーコードは画像として書式画像に重畳される。重畳して得た文書画像データ及び文字データは記憶手段によって記憶される。従って、真正性を担保可能である。
【0014】
本発明にあっては、文書画像データに含まれる文字データの二次元バーコードを復号し、別途記憶してある文字データと照合する。従って、記憶手段が記憶している文字データの真正性が確認可能である。
【0015】
本発明にあっては、文書画像データに対して、更に他の電子署名データの二次元バーコードを重畳させた文書画像データを生成することが可能である。他の電子署名データは、文字データを入力した第1の利用者とは異なる第2の利用者の電子署名である。例えば、第1の利用者によって作成された文書画像データの承認を行う承認者、回覧を行う回覧者の電子署名である。従って、申請、承認、回覧等の経過を保存することが可能である。
【0016】
本発明にあっては、電子署名データの二次元バーコードの周囲に、該電子署名データの作成者に係る氏名又は名称が画像として書式画像又は文書画像に重畳される。従って、見読性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、真正性を確保して文書データを保存することができると共に、必要に応じて文字データをデジタルデータとして復号することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る文書管理システムの構成を模式的に示す模式図である。
【図2】文書管理装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【図3】各種データベースのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。
【図4】書式画像データの一例を概念的に示す説明図である。
【図5】入力画面定義体の一例を概念的に示す説明図である。
【図6】申請された文書の管理に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】申請時に生成された文書画像データの一例を概念的に示す説明図である。
【図8】文書の承認又は閲覧に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】承認又は回覧に係る処理によって生成された文書画像データの一例を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る文書管理システムの構成を模式的に示す模式図である。図中1は、文書管理装置であり、インターネット等の有線又は無線の通信網Nを介して認証装置2及び通信端末装置3に接続されている。
【0020】
図2は、文書管理装置1の構成を模式的に示したブロック図である。文書管理装置1は、該文書管理装置1の各構成部の動作を制御する制御部11、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えたコンピュータである。制御部11には、バス18を介してROM12、RAM13、通信部14、記憶部15、入力装置16、及び出力装置17が接続されている。
【0021】
ROM12は、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶したマスクROM、EEPROM等の不揮発性メモリである。
RAM13は、制御部11の演算処理を実行する際に生ずる各種データを一時記憶するDRAM、SRAM等の揮発性メモリである。
通信部14は、認証装置2及び通信端末装置3との間で文字データ、電子署名データ、電子証明書データ等の各種情報を送受信するインタフェースであり、通信部14による各種情報の送受信は制御部11によって制御される。
記憶部15は、コンピュータを、文書管理装置1として機能させるためのコンピュータプログラム41を記憶するハードディスク、不揮発性半導体メモリ等である。また、記憶部15は、文書管理に用いる書式画像・定義体DB(Data Base)15a、入力情報DB15b、文書画像DB15cを記憶する。各種データベースの詳細は後述する。なお、コンピュータプログラム41は、制御部11が図示しない外部記憶装置の動作を制御することによって、該コンピュータプログラム41をコンピュータ読み取り可能に記録したCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray Disc)等の記録媒体4から、コンピュータプログラム41を読み出し、記憶部15に記憶させる。また、言うまでもなく、光ディスク及び光ディスクドライブは、記録媒体4及び外部記憶装置の一例であり、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等にコンピュータプログラム41をコンピュータ読み取り可能に記録し、前記外部記憶装置にて読み出すように構成しても良い。また、通信網Nに接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係るコンピュータプログラム41をダウンロードするようにしても良い。
入力装置16は、文書管理装置1を操作するためのキーボード16a、スキャナ16b、及びマイクロフィルムリーダ16c等を含む。スキャナ16bは、紙、写真等のシート状媒体に対して光を照射し、反射光を受光素子にて受光することによって、前記シート状媒体から、文字、図形、線図、写真等を読み取り、読み取って得た画像データを制御部11に与える装置である。マイクロフィルムリーダ16cは、マイクロフィルムの画像を拡大投影する投影レンズと、投影された画像を読み取るラインセンサ等の画像読取部とを備え、読み取って得た画像データを制御部11に与える。なおマイクロフィルムは、法的な証拠能力を有し、ISO規格化されている。
出力装置17は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT等の表示部17a、プリンタ17b、マイクロフィルムライタ17cを含む。マイクロフィルムライタ17cは、ロール型のマイクロフィルムを送るフィルム送り機構と、撮影レンズにて、画像をマイクロフィルムに撮影するマイクロフィルムカメラとを備え、制御部11によって与えられた各種文書画像データに係る文書画像をマイクロフィルムに書き込む装置である。
【0022】
認証装置2は、該認証装置2の各構成部の動作を制御する図示しない制御部、例えばCPUを備えたコンピュータである。認証装置2の基本的なハードウェア構成は、文書管理装置1と同様である。認証装置2は、公的認証基盤を構成しており、利用者が本人であること、及び通信網Nを介してやり取りする情報が改ざんされていないことを確認するための各種処理を実行する。例えば、文書管理システムの利用者は、公的認証基盤に対して公的認証サービスの利用申し込み、身分証明を行う。認証装置2は、身分が証明された利用者に対して、秘密鍵及び公開鍵の対と、公開鍵、利用者に係る氏名又は名称に関する情報を含む電子証明書とを作成し、作成された秘密鍵及び電子証明書を、前記利用者が所有する可搬性記録媒体に記憶させる。可搬性記録媒体は、例えばICカードである。また認証装置2は、作成された公開鍵及び電子証明書を記憶し、電子証明書の有効又は失効に関する情報を管理する。
また、認証装置2は、ある日時に特定のデータが存在していたことを証明する時刻認証データを発行する機能を有する。
【0023】
通信端末装置3は、通信端末装置3の各構成部の動作を制御する図示しない制御部、例えばCPUを備えたコンピュータである。通信端末装置3の基本的なハードウェア構成は、文書管理装置1と同様であり、図示しない、ROM、RAM、通信部、記憶部、入力装置及び出力装置を備える。
【0024】
図3は、各種データベースのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。
図3(a)は、書式画像・定義体DB15aのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。書式画像・定義体DB15aの表(ファイル)は、複数の列(フィールド)、例えば「書式画像ID」列、「名称」列、「書式画像データ」列、「入力画面定義体」列等から構成されており、各行(レコード)は、各列に対応した情報を有する。
「書式画像ID」列は、複数の異なる書式画像に固有の情報を格納する。書式画像は、文字データが入力されるべき項目を含む申込書のような書面の画像である。「名称」列は、書式画像IDに対応する書式画像の名称を格納する。「書式画像データ」列は、書式画像IDに対応する書式画像の画像データを格納する(図4参照)。該画像データのデータ形式は、例えばjpgファイルであるが、特に限定されない。「入力画面定義体」列は、書式画像の項目に入力されるべき文字データ等を受け付けるためのテキスト入力フィールド等を項目上に重畳させて表示し、文字データ等を受け付けるための入力画面定義体6(図5参照)を格納する。書式画像データ51及び入力画面定義体の詳細は後述する。
【0025】
図3(b)は、入力情報DB15bのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。入力情報DB15bの表は、複数の列、例えば「入力情報ID」列、「文書画像ID」列、「文字データ」列等から構成されており、各行は、各列に対応した情報を有する。また、文字データ列は、「文書NO」、「日付」、「名前」等の項目を有する。
「入力情報ID」列は、書式画像の項目に入力されるべき文字データ等に固有の情報を格納する。「文書画像ID」は、後述の文書画像データ52,53に固有の情報を格納する(図7,図9参照)。「文字データ」列は、書式画像に入力された各種文字データを格納する。
【0026】
図3(c)は、文書画像DB15cのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。文書画像DB15cの表は、複数の列、例えば「文書画像ID」列、「文書画像データ」列等から構成されており、各行は、各列に対応した情報を有する。「文書画像ID」列は、文書画像データ52,53に固有の情報を格納する。「文書画像データ」列は、文書画像IDに対応付けて、文書画像の画像データを格納する。
【0027】
図4は、書式画像データ51の一例を概念的に示す説明図である。書式画像データ51は、文字データが入力されるべき項目を含む申込書のような書式画像のイメージデータである。図4に示す例では、書式画像データ51は、「申込書」の文字を上部に含む。更に、上から順に、「文書NO」、「日付」、「名前」、「住所」、「電話番号」の項目名と、各項目に文字データを入力するための横長矩形の升目画像を含む。
【0028】
図5は、入力画面定義体6の一例を概念的に示す説明図である。入力画面定義体6は、書式画像に表された各項目に入力されるべき文字データを夫々受け付けるためのテキスト入力フィールドの配置に関する情報、各テキストフィールドの項目名、データの種類に関する情報を含む。項目名は、各テキストフィールドに入力されるべき文字データの一般的内容を示す見出しであり、種類は、いわゆるデータ型の種別である。なお、テキスト入力フィールドを一例として挙げたが、入力画面定義体6には、言うまでもなく、入力されるべき情報を受け付けるためのメニュー、ラジオボタン等に関する情報を含ませても良い。
【0029】
図6は、申請された文書の管理に係る制御部11の処理手順を示すフローチャート、図7は、申請時に生成された文書画像データ52の一例を概念的に示す説明図である。
文書管理装置1の制御部11は、外部の通信端末装置3からの要求に応じて、記憶部15の書式画像・定義体DB15aから、対応する書式画像データ51及び入力画面定義体6を読み出す(ステップS11)。そして、制御部11は、読み出された書式画像データ51及び入力画面定義体6を要求元の通信端末装置3へ通信部14を介して送信し、通信端末装置3の表示部に書式画像及びテキスト入力フィールドを表示させる(ステップS12)。
通信端末装置3は、キーボードにて書式画像に表された各項目に入力されるべき文字データを受け付ける。そして、通信端末装置3は、入力された文字データに基づいて電子署名データを算出し、前記文字データと、電子署名データと、利用者の電子証明書とを文書管理装置1へ送信する。また、通信端末装置3は、認証装置2から発行される時刻認証データを文書管理装置1へ送信する。以下、書式画像の各項目に文字データの入力を行った利用者を申請者という。なお、電子署名データは、通信端末装置3が、所定のハッシュ関数を用いて、入力された前記文字データのハッシュ値を算出し、算出されたハッシュ値を、申請者の秘密鍵を用いて暗号化することによって得られる。また、前記電子証明書には、申請者の氏名、住所等の書誌的情報、公開鍵などが含まれる。
【0030】
次いで、制御部11は、通信端末装置3から送信された文字データ、電子署名データ、電子証明書データ及び時刻認証データを、通信部14を介して取得する(ステップS13)。そして、制御部11は、電子署名データ及び電子証明書データを用いて、取得した文字データが真正性を確認し(ステップS14)、文字データが真正であるか否かを判断する(ステップS15)。具体的には、制御部11は、認証装置2に問い合わせることによって、電子証明書が有効なものであるか否かを確認する。電子証明書が有効なものであると確認できた場合、制御部11は、該電子証明書に含まれる公開鍵を用いて電子署名データを復号し、ハッシュ値を得る。一方、制御部11は、所定のハッシュ関数を用いて、ステップS13で取得した文字データのハッシュ値を算出する。取得した文字データから得られたハッシュ値と、復号されたハッシュ値とが一致した場合、申請者本人から送信された真正の文字データであると判断できる。各ハッシュ値が一致しない場合、申請者のなりすまし、文字データの改ざん等が発生しているものと判断できる。
【0031】
ステップS15で真正でないと判定した場合(ステップS15:NO)、制御部11は、処理を終える。真正であると判定した場合(ステップS15:YES)、制御部11は、ステップS13で取得された電子署名データ及び時刻認証データを暗号化し、暗号化された電子署名データ及び時刻認証データに基づいて、該電子署名データ及び時刻認証データを含む二次元バーコード52aの画像データを生成する(ステップS16)。また、制御部11は、ステップS13で取得した文字データを暗号化し、暗号化された文字データに基づいて、該文字データを含む二次元バーコード52bの画像データを生成する(ステップS17)。
【0032】
次いで、制御部11は、ステップS16及びステップS17で生成した二次元バーコード52a、52bの画像データ、書式画像データ51、及びステップS13で取得した電子証明書データに基づいて、図7(a)及び(b)に示すように、電子署名の二次元バーコード52aと、文字データの二次元バーコード52bと、該電子証明書に含まれる申請者の氏名又は名称と、時刻認証データに含まれる日時等とを書式画像に重畳させた文書画像データ52を生成する(ステップS18)。
図7(a)は、文書画像データ52の外観を模式的に示している。書式画像の適宜箇所、例えば名前の項目名の近傍に、電子署名の二次元バーコード52aが重畳されている。また、書式画像の下部に、文字データの二次元バーコード52bが表示されている。
図7(b)は、電子署名の二次元バーコード52aの周囲に氏名等を配した電子印を模式的に示している。電子印は、正方形の外枠52gを含み、外枠52gの略中央部には、電子署名の二次元バーコード52aが配されている。また、該二次元バーコード52aの左側には、「申請印」の文字列52cが配されている。更に、電子署名の二次元バーコード52aの右側には、申請者の氏名又は名称を示した「○○太郎」の文字列52dが配されている。更にまた、電子署名の二次元バーコード52aの下側には、申請者の役職を示した「○○部長」の文字列52eが配され、電子署名の二次元バーコード52aの上側には、申請日を示した「平成17年4月1日」の文字列52fが配されている。
【0033】
ステップS18の処理を終えた制御部11は、ステップS13で取得した文字データを記憶部15の入力情報DB15bに記憶させ、ステップS18で生成された文書画像データ52を記憶部15の文書画像DB15cに記憶させ(ステップS19)、処理を終える。
【0034】
図8は、文書の承認又は閲覧に係る制御部11の処理手順を示すフローチャート、図9は、承認又は回覧に係る処理によって生成された文書画像データ7,53の一例を概念的に示す説明図である。
制御部11は、外部の通信端末装置3からの文書画像の承認又は閲覧の要求に応じて、記憶部15の入力情報DB15b及び文書画像DB15cから、対応する文書画像データ52及び文字データを読み出す(ステップS31)。以下、文書画像の承認又は閲覧の要求を行っている利用者を、総称して承認者という。
【0035】
そして、制御部11は、読み出した文書画像データ52から文字データの二次元バーコード52bを抽出する(ステップS32)。次いで、制御部11は、抽出された二次元バーコード52bを復号する(ステップS33)。そして、制御部11は、復号された文字データと、ステップS31で読み出した文字データを照合し(ステップS34)、各文字データが一致するか否かを判定する(ステップS35)。一致しないと判定した場合(ステップS35:NO)、制御部11は、処理を終える。一致すると判定した場合(ステップS35:YES)、制御部11は、文書画像データ52及び文字データに基づいて、図9(a)に示すように、文書画像データ52の各項目に、文字データの内容を重畳させた文書画像データ7を生成する(ステップS36)。そして、制御部11は、生成された文書画像データ7を出力する(ステップS37)。文書画像データ7の出力とは、例えば、承認者の通信端末装置3へ文書画像データ7を送信し、該通信端末装置3の表示部に表示させることを意味する。
承認者の通信端末装置3は、該承認者が承認又は閲覧したことを証明するための電子署名データを作成し、作成された電子署名データ及び電子証明書を文書管理装置1へ送信する。
【0036】
ステップS37の処理を終えた制御部11は、承認者の電子署名データ、電子証明書データ及び時刻認証データを、通信部14を介して取得する(ステップS38)。次いで、制御部11は、ステップS38で取得された電子署名データ及び時刻認証データを暗号化し、暗号化された電子署名データ及び時刻認証データに基づいて、該電子署名データ及び時刻認証データの二次元バーコード53aの画像データを生成する(ステップS39)。
【0037】
次いで、制御部11は、図9(b)に示すように、ステップS31で読み出した文書画像データ52に係る文書画像に、ステップS39で生成した二次元バーコード53aと、ステップS38で取得した電子証明書データに含まれる承認者の氏名又は名称と、時刻認証データに含まれる日時等とを重畳させた文書画像データ53を生成する(ステップS40)。電子印の外観は、申請時に作成した電子印と同様であり、「申請印」の文字が「承認印」である点が異なるのみである。
【0038】
次いで、制御部11は、生成した文書画像データ53を記憶部15の文書画像DB15cに記憶させ(ステップS41)、処理を終える。
【0039】
以上のように構成された文書管理装置1にあっては、真正性を確保して文書データを保存することができると共に、必要に応じて文字データをデジタルデータとして復号することができる。
また、文字データをデジタルデータとして記憶部15が記憶しているため、検索、各種統計処理等、デジタルデータとしての利便性を確保することができる。必要に応じて、文書画像データの二次元バーコードを参照することによって、記憶部15が記憶している文字データの真正性を確保することができる。
更に、文字データの二次元バーコード52bを復号し、別途記憶してある文字データと照合することによって、記憶部15が記憶する文字データの真正性が確認することができる。
更にまた、文書の申請、承認、回覧等の経過を保存することができる。
更にまた、電子印に電子署名データ作成者に係る氏名又は名称が画像として表示されるため、見読性が向上する。
【0040】
なお、文書画像データを記憶部に記憶させる実施の形態を説明したが、合わせて、文書画像データに係る文書画像を非電子記録媒体、例えばマイクロフィルムに記録し、必要に応じてマイクロフィルムから文書画像を読み出し、文書データを復元するように構成しても良い。具体的には、制御部は、記憶部から文書画像データ及び文字データを読み出し、読み出された文書画像データ及び文字データに基づいて、文書画像に文字を表示した文書画像データを生成し、生成された文書画像データに基づいて、該文書画像データに係る文書画像をマイクロフィルムライタを用いてマイクロフィルムに書き込む。また、制御部は、マイクロフィルムリーダを用いて、マイクロフィルムから文書画像を読み出し、読み出された文書画像に含まれる二次元バーコードから文字データを復号する。このように構成することによって、真正性及び保存性をより向上させることができる。
【0041】
また、書式画像データの種類を示した情報を含む二次元バーコードを生成するよう構成しても良い。このように構成することによって、二次元バーコードを切り取り、他の書式データに貼り付けたものが生成されたとしても、改ざんされた事実を特定することが可能になる。
【0042】
更に、書式画像データに係る書式画像の一部を抽出する手段を備え、抽出された一部の画像部分及び該画像部分の位置を示した情報と、文字データ又は電子署名データとを含む二次元バーコードを生成するように構成しても良い。この場合も、上述の改ざん事実を特定することが可能になる。
【0043】
更にまた、複数の書式画像データ毎に、二次元バーコードの重畳位置又は重畳姿勢を記憶したテーブルを備え、生成手段が、テーブルを参照し、書式画像データに対応する重畳位置又は重畳姿勢で二次元バーコードを重畳させるようにしてあり、各二次元バーコードの重畳位置又は姿勢に関する情報を含む二次元バーコードを生成するように構成しても良い。この場合も、上述の改ざん事実を特定することが可能になる。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1 文書管理装置
11 制御部
14 通信部
15 記憶部
15a 書式画像・定義体DB
15b 入力情報DB
15c 文書画像DB
16 入力装置
17 出力装置
51 書式画像データ
52,53 文書画像データ
52a、52b、53a 二次元バーコード
N 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字データが入力されるべき項目を含む書式画像データ及び入力されるべき文字データを記憶する手段を備えた文書管理装置において、
前記項目に入力されるべき文字データ及び該文字データに基づいて算出された電子署名データを取得する取得手段と、
該取得手段にて取得された電子署名データを含む二次元バーコードデータを生成する手段と、
前記取得手段にて取得された文字データを含む二次元バーコードデータを生成する手段と、
生成された各二次元バーコードデータ及び前記書式画像データに基づいて、該書式画像データに係る書式画像に各二次元バーコードを重畳させた文書画像データを生成する生成手段と、
生成された文書画像データ及び取得された文字データを記憶する記憶手段と
を備えることを特徴とする文書管理装置。
【請求項2】
前記記憶手段が記憶している文書画像データに含まれる文字データの二次元バーコードに基づいて、文字データを復号する手段と、
復号された文字データ、及び前記記憶手段が記憶している文字データを照合する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項3】
他の電子署名データを取得する手段を備え、
前記生成手段は、
前記記憶手段が記憶している文書画像データに係る文書画像に、取得された他の電子署名データの二次元バーコードを重畳させた文書画像データを生成する手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の文書管理装置。
【請求項4】
前記電子署名データを作成した作成者に係る氏名又は名称を含む電子証明書データを取得する手段を備え、
前記生成手段は、
取得された電子証明書データに含まれる氏名又は名称を、前記電子署名データの二次元バーコードの周囲に重畳させた文書画像データを生成するようにしてある
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の文書管理装置。
【請求項5】
文字データが入力されるべき項目を含む書式画像データ及び入力されるべき文字データを記憶する文書管理方法において、
前記項目に入力されるべき文字データ及び該文字データに基づいて算出された電子署名データを取得するステップと、
取得された電子署名データを含む二次元バーコードデータを生成するステップと、
取得された文字データを含む二次元バーコードデータを生成するステップと、
生成された各二次元バーコードデータ及び前記書式画像データに基づいて、該書式画像データに係る書式画像に各二次元バーコードを重畳させた文書画像データを生成するステップと、
生成された文書画像データ及び取得された文字データを記憶するステップと
を備えることを特徴とする文書管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−8718(P2011−8718A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154149(P2009−154149)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(595009785)株式会社ジムコ (2)
【Fターム(参考)】