説明

文書識別機部分組立体

ある部分組立体が、ハウジングと、上部拡散面を有する光パイプ・コアと、上部拡散面に関連付けられた光制御構成要素と、ハウジングに結合された少なくとも1つの光源とを含む。好ましくは、光制御構成要素は、少なくとも1つの開口または開口アレイを含み、例えばプラスチックまたはポリマー材料で形成することができる。開口は、細長いスリットの形状とすることができるが、一部の用途には他の形状が適切である。この部分組立体は、文書識別機の一部としての使用を含めて、さまざまな用途で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源と文書の間の距離が文書ごとに異なっても、文書をほぼ一定の放射照度レベルの光で照明する、小型の識別機部分組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣識別の分野では、例えば、自動販売機などで使用される識別機は一般に、光センサ、磁気センサ、および他のセンサを利用して、挿入紙幣からデータを得る。一部のユニットでは、複数の発光ダイオード(LED)光源とフォトトランジスタ受光器が紙幣通路の両側に配置されて、紙幣がその近くを移動するときに紙幣を透過した光に対応する信号を生成する。この信号は、通路内での紙幣位置、および紙幣の真正性など、決まった情報を決定するために処理される。この信号は一般に、メモリ内に記憶された、本物の紙幣に対応する所定の測定値と比較される。
【0003】
LED光源を利用する従来型の紙幣識別システムはまた、システム性能要件を満たすために、レンズを使用して光を集束させる。しかし、一部の構成は、文書を正確に識別するのに十分な光信号強度レベルをもたらさない。他の設計は、高出力光源および集束素子を利用し、したがって製造にコストがかかる。さらに、紙幣通路は一般に、詰まりを回避するために十分大きくなるように設計されるため、センサ測定値が悪影響を受けることがある。というのは、光源からの紙幣の距離に応じて感知信号がばらつくためである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、文書識別機用の部分組立体に関する。本開示では、「文書」という用語は、それらに限定されないが、銀行券、紙幣、有価証券、証券書類、貨幣、小切手、クーポン、銀行為替手形、証書、および他の任意の類似の有価物を含む。
【0005】
この部分組立体は、ハウジングと、上部拡散面を有する光パイプ・コアと、上部拡散面に関連付けられた光制御構成要素と、ハウジングに結合された少なくとも1つの光源とを含むことができる。
【0006】
好ましくは、光制御構成要素は、少なくとも1つの開口を含み、例えばプラスチックまたはポリマー材料で形成することができる。いくつかの実装形態では、光制御構成要素が開口アレイを含む。開口は、細長いスリットの形状とすることができるが、一部の用途には他の形状が適切となる場合がある。いくつかの実装形態に含まれる光制御構成要素の他の特徴は、以下により詳細に説明する。
【0007】
いくつかの実装形態では、部分組立体が、上部拡散面と光制御構成要素の間に、輝度向上フィルムなどのプリズム構造層を含む。拡散面は、例えば、ランダム粗構造、一定ピッチ・パターン構造、または突起からなる可変パターンを含むことができる。ハウジングは、光パイプ・コアの1つまたは複数の端部に、1つまたは複数の入力光ポートを含むことができる。光源は、例えば反射性材料で形成された光ハウジング、および1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。一部の用途向けに、追加の光ハウジングおよび異なる波長のLEDを含むことができる。ハウジングは、光パイプ・コアを取り囲むように構成された第1および第2の反射性シェルを含むこともできる。
【0008】
文書感知構成も開示される。この文書感知構成は、文書通路の第1の側に配置するための光源部分組立体と、文書通路の光源部分組立体とは反対側の第2の側に配置するための光センサとを含む。光制御構成要素は、上述の特徴、ならびに以下により詳細に論じるさまざまな特徴を含むことができる。
【0009】
文書識別機部分組立体を使用して、文書通路内の文書をほぼ均一の光からなるほぼ矩形のビームで照明する方法も記載される。部分組立体内のプリズム構造層を使用して、光強度出力を増大させることができる。この方法は、文書の真正性もしくは特性を表す信号を、文書を通過する光に基づいて生成すること、または文書の真正性もしくは特性を表す信号を、文書の表面から反射された光に基づいて生成することを含むこともできる。
【0010】
文書識別機部分組立体を製作する方法も開示される。この方法は、文書通路を横切って光出力をもたらすための光パイプ・コアを製作すること、コアの出力側上に拡散構造を製作すること、および拡散構造に光制御構成要素を加えることを含む。光制御構成要素は、上述の特徴、ならびに以下により詳細に論じるさまざまな特徴を含むことができる。
【0011】
この方法は反射性ハウジングを光パイプ・コアに接続する製作方法のいくつかの実装形態を含むことができる。さらに、この方法は、少なくとも1つのLED光源パッケージをハウジングに結合することを含むことができ、拡散構造と光制御構成要素の間に、少なくとも1層の輝度向上フィルムを加えることを含むこともできる。
【0012】
いくつかの実装形態では、文書通路を横切って光出力をもたらすための光パイプ・コアを製作すること、拡散構造層を製作すること、およびコアの出力側上にルーバ構造層を製作することを含む、光バー構造製作技法が提供される。
【0013】
いくつかの実装形態は、以下の利点のうち1つまたは複数を提供する。文書識別機部分組立体は、紙幣通路の高さおよび幅全体にわたって文書を均一に照明することができ、それにより、挿入文書位置の範囲全体にわたる信号のばらつきが制限されて、識別処理がより正確になる。部分組立体は、通路の幅全体を照明することができ、それにより、文書の全表面の全体走査が可能になって、文書認識の信頼性が向上する。このように設計すると、ほんの少数の光源構成要素を用いて光の複数の波長を使用することを可能とし、部分組立体は、限られた物理空間を有する文書識別機で使用するのに理想的な小型サイズを有する。
【0014】
本発明のさまざまな態様は、特許請求の範囲に記載される。他のさまざまな特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面から容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】文書通路の簡略上面図である。
【図2】単一のLED光源および受光器からなる構成15の側面図である。
【図3】文書識別機の一構成の簡略拡大断面図である。
【図4A】文書識別機部分組立体の分解斜視図である。
【図4B】文書識別機部分組立体の一例を示す図である。
【図4C】光制御構成要素の一例を示す図である。
【図4D】特定の一例による光制御構成要素の更なる詳細を示す図である。
【図5】部分組立体の斜視図である。
【図6A】光パイプ・コアの拡大簡略断面概略図である。
【図6B】紙幣識別機部分組立体で使用するのに適した光パイプ・コアの寸法の一例を示す図である。
【図6C】図6Bの部分Cを拡大したものを示す図である。
【図7】輝度向上フィルムのプリズム構造を示す拡大簡略側面概略図である。
【図8A】文書識別機用の光コア組立体の拡大簡略分解斜視概略図である。
【図8B】文書識別機用の光コア組立体の拡大簡略分解斜視概略図である。幾何学的マッピングである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、文書通路5の幅4を覆うように1本の線の形で配列された複数の光スポット3からなる光スポット構成2を有する、文書通路5の簡略上面図である。幅4は、サンプリングすべき1組の文書のうち最も幅広い文書よりも幅広く、文書通路よりも幅の狭い銀行券または紙幣6が示されている。この例では、文書6は、矢印7の方向に移動するとき、わずかに斜めになっている。
【0017】
部分組立体は、本明細書では、文書識別機でのその使用に関して説明されているが、他のデバイスでも使用することができる。
【0018】
図1を再度参照すると、スポット3は、1つまたは複数の光源、典型的には1つまたは複数の発光ダイオード(LED)によって発生させることができる。そのような構成にすると、挿入紙幣6が紙幣通路内を矢印7の方向に移動するときに挿入紙幣6のほぼ100%の走査カバレージが可能になる。具体的には、紙幣は、1つまたは複数の光源と、通路の反対側に配置された1つまたは複数の受光センサ(図示せず)との間で移送することができる。そのような構成では、受光器によって生成された、紙幣を透過した光に対応する信号を、紙幣の長さおよび幅、任意の特定の瞬間の紙幣位置、紙幣の真正性、紙幣の特性、および紙幣の発行国などの情報を決定するために処理することができる。紙幣から反射された光を透過光について説明したのと同様に受光するために、受光器を光源と同じ側に配置することもできる。
【0019】
いくつかの実装形態では、紙幣からデータをサンプリングするために、紙幣通路を横切って10〜12個の光スポットがあるが、より多くのスポット、またはより少ないスポットを使用することもできる。各スポットは、例えば、直径を約7.6mmとすることができ、各スポットは3つ以上の波長でサンプリングされる。例えば、可視、赤外、および近赤外スペクトル内の波長を有する光スポットを使用することができ、結果として得られるデータを、紙幣からさまざまなタイプの情報を収集するように処理することができる。紙幣の特性、真正性、国籍、額面金額、および/または通路内での紙幣位置を決定するための信号処理技法は、本開示の範囲を超えており、本明細書では詳細に論じない。
【0020】
図2は、単一のLED光源および受光器からなる構成15の側面図であり、この構成15では、光源16と受光器20が紙幣通路5の両側にある。LED光源16は、紙幣通路5の前壁17に開いた開口を通って紙幣6の方に向かうほぼ平行な光ビーム21を発生させるために、集束レンズ18の焦点近くに配置される。紙幣の一部が、光ビーム21の一部を遮断し、その結果、紙幣を通過した透過信号22がもたらされる。集束レンズを含むことができる、PINダイオードなどの検出器20が、紙幣を透過した光に内在するノイズが最小限に抑えられるように、後壁19から十分な距離「d」のところに配置される。紙幣通路の高さ「h」は、紙幣が詰まる率を最小限に抑えるのに十分な約2mmから2.5mmとすることができ、紙幣通路の幅4は、さまざまな幅の紙幣を収容するために90mmよりも大きくすることができる。
【0021】
紙幣の真正性を証明し、または紙幣を特徴付けるのに必要なデータ処理を簡略化するために、紙幣をほぼ均一に照明することが望ましい。実際には、既存のLED光源のサイズおよび光透過特徴により、平行ビームおよび均一なスポットの発生は、図2に示すタイプの構成でしかまねることができない。図1に示す構成のような構成で配置された1群のそのようなセンサは、文書位置を決定するには十分となり得るが、生成された信号は、真正性を決定するためのデータを生成するのに、完全に満足のいくものというわけではない。さらに、いくつかのLEDダイが使用される場合、ダイの最小間隔がスポットのオフセットを生じさせることがあり、したがって、ダイの配置に対して厳しい許容差を課さなければならず、それにより製作コストが増大する。
【0022】
図3は、文書識別機30の一構成の簡略拡大断面図である。文書識別機30は、文書通路5の第1の側にある光センサ構成32と、通路の第2の側にある、光バー35を含む部分組立体40とを含む。この実装形態では、Lexan(商標)材料から構成することができる2つの透明窓31および33が、それらの間に文書通路5の一部分を画定する。光センサ構成32は、プリント回路板(PCB)34に取り付けられた10個の検出器からなるセンサ・アレイ38の正面に配列された、10個のレンズ36のアレイを含む。これらの検出器は、文書が光源とセンサの間を通路5を通って移動するときに文書を透過した光に対応する電気信号を生成し、次いでこの信号は、PCB34に接続されたマイクロプロセッサによって処理される。信号を文書から反射された光に基づいて生成するために、適切な検出器アレイを、通路の、光源と同じ側に配置することもできる。これらの検出器によって生成された信号を使用して、文書の正当性を決定することができる。
【0023】
図3の光バー35は、光PCB37に取り付けられ、上面からZ方向に出て文書を文書通路5の容積内での文書位置に関係なく一定レベルで照明する光をもたらす。文書は、文書識別機構成30を通り抜けて移送されるとき、移送条件および/または文書の状態もしくは良好さ(fitness)に応じて、光センサ構成32と部分組立体40のどちらかにより近いことがある。例えば、特定の移送機構は、銀行券(すなわち紙幣)を、一定速度で構成30を通り抜けて移送することができるが、通路5の高さ「h」内での銀行券の正確な位置は、銀行券ごとに異なる場合がある。その位置は、特定の銀行券が手の切れそうな新しい紙幣か、それとも古い、擦り切れてくたくたの紙幣かによって変わることがある。文書識別機で使用する場合、光バー35によって放射される光は、長さ(紙幣通路の幅)が少なくとも70ミリメートル(mm)、奥行きが少なくとも7mmのエリアをカバーし、かつ約2.5mmの高さ「h」全体にわたって均一であるべきである。しかし、長辺と実質的により短い短辺とを含むこの光パイプ・コアの幾何形状は、異なる高さ「h」において大きな照射の差を生じることがある。以下に詳細に説明する適切な光制御構成要素(LCC)を使用すると、照射パターンの幾何学的制限が克服されて、文書を、通路の高さ「h」内でのその位置に関係なく一定レベルで照明することが可能になる。
【0024】
図4Aは、文書識別機部分組立体40の一実装形態の分解斜視図である。部分組立体40は、上面44を含んだ光パイプ・コア42を含む。第1の反射性シェル46および第2の反射性シェル48が、光パイプ・コア42を取り囲むように構成され、輝度向上フィルム(BEF)50および光制御構成要素(LCC)52が、光パイプ・コア42の上面44に取り付けることができるように構成される。2つの反射性シェル部46、48は、図4Bに示すように光パイプ・コア42の周りで一緒にクリップ留めされ、その結果コアとシェルの間に最小の間隔がある。
【0025】
光パイプ・コア42は、例えば透明なポリカーボネートまたはアクリル材料で形成することができ、上面44を除く全ての面を内部反射に有利に働くように研磨することができる。第1および第2の反射性シェル46、48は、白色グレードのポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリマー材料で形成することができる。その内面は反射性材料を含むことができ、その材料は白色かつ拡散反射性とすることができる。適切なPBT反射性材料は、Bayer Companyから「pocan B 7375」という商品名で入手可能であるが、Spectralon(商標)など、類似の白色かつ拡散性の材料を使用することもできる。白色材料は、少なくとも可視波長から近赤外波長スペクトル領域にわたって、適切なほぼフラットなスペクトル応答が起こるのを可能にする。保護シェルの両端にある第1の開口45および第2の開口47が、光源(図示せず)用の入力ポートを形成し、上面44が光出力エリアを形成する。いくつかの実装形態では、出力光エリアは、コアから光を取り出すための拡散体構造を有することができる。適切な拡散体構造は、表面をサンディングしてランダム粗パターンを得ること、または上面44上に粗いランダムな構造を成形することにより得ることができる。他の拡散体構造を使用することもできる。
【0026】
図5は、第1のマルチ・ダイLEDパッケージ54および第2のマルチ・ダイLEDパッケージ56の配置を示すために、図4Bに示す部分組立体40の一部を切り取った斜視図である。マルチ・ダイ・パッケージ54および56はそれぞれ、2つ以上のLEDを含むことができ、この実装形態では、それらのパッケージは、光パイプ・コア42の両端に配置されて光源を形成している。これらのLEDは、異なる波長のものでも同じ波長のものでもよい。異なる波長のLEDが利用される場合、それらは、同じLEDパッケージ内にあっても、異なるLEDパッケージ内にあってもよい。この構成では、LEDはPCB上に水平方向に取り付けられ、光パイプ・コアは概して台形の形状を有する。しかし、いくつかの実装形態では、例えば第1の開口45のところに配置された、ただ1つのLED光源を使用することができる。
【0027】
図示の例では、LCC52が、単一のプラスチック要素内に形成されたスリット(例えば細長い開口)100のマクロ・アレイを有する(図4Cを参照されたい)。光は、これらの開口を通って移動し、LCC要素の残りの材料で形成された壁部102によって止められる。
【0028】
LCC52の寸法の例が図4Dに示してあり、図では、長さの単位がミリメートル(mm)である。例えば、図示のLCC52の厚さは、約1.32mmである。この例では、LCCは、およそ1.8mmの幅を有するスリット型開口のアレイを備えたルーバ構造を有する。スリット開口の間隔は、ルーバ構造の壁部の厚さを形成することによるものであり、約0.64mmである。スリット開口の長さは、約11.5mmである。寸法(例えば長さ、幅、および間隔)は、特定の用途の要件に応じて異なってよい。したがって、他の実装形態には異なる寸法が適切となる場合がある。
【0029】
いくつかの実装形態では、ルーバ構造76は、円形または他の形状の開口のアレイからなる。細長い開口を使用すると、それにより出射角が、スリット方向に沿った方向とスリット方向に垂直な方向の直交する2つの方向に異なる形で制限されるので有利である。非直線形状を使用すると、形状に応じて出射角がさまざまな方向に制限される。例えば、開口が円形形状のとき、出射角はあらゆる方向に等しく制限される。
【0030】
いくつかの実装形態では、LCC52の光学構造が、LCCから出る光の分布の所望の幾何形状に基づいて最適化される。具体的には、LCC52から出る光の分布の幾何形状を最適化するために、LCC52のサイズ、開口数、および厚さ、ならびに開口の配置が一緒にまたは単独で異なってよい。
【0031】
いくつかの実装形態では、光バーの長さをもつ連続したスリットが使用される。しかし、LCC52の剛性の向上のため、またルーバ壁部102の間隔を維持するために、その長さをセグメント化して、ブリッジ部104(図4Cを参照されたい)を挿入することが望ましい。図示の例では、LCC52は、ルーバ構造がLCC52の長さに沿って5または6セグメントのスリット型開口100に分割されるように構成される。さらに、図示の例では、ルーバ構造がLCC52の幅に沿って5セグメントに分割される。スリット型開口100の分布を、光バーのエリア全体にわたって互い違いにすることが望ましい。LCC52から出る光バーの光を受光するために、センサのリニア・アレイを配列することができる。いくつかの実装形態では、ブリッジ部104が、LCC52から出る光を受光するのに使用される検出器の視野の外側に配置される。
【0032】
いくつかの実装形態では、LCC52が、LCCから出る光を制御するように構成された1群の開口100を有するように構成される。LCC52は、それらに限定されないが、射出成形、レーザ切断、および打抜きを含む、さまざまなプロセスを使用して製造することができる。LCC52は、同じ開口構成をそれぞれが有する薄い箔層からなる積層体として構築することができる。LCC52が成形品である実装形態では、製造プロセス中にいく種かの適切な樹脂を使用することができる。例えば、Ticona Vectraなど、液晶ポリマー(LCP)タイプの樹脂を使用することができる。LCPタイプの樹脂を使用してLCC52を製造すると、一部の用途に必要な、特別に薄いが剛性の壁部を製造することが可能になる。
【0033】
図6Aは、どのようにしてLED光源54からの光が上面44から出るかを示すための、光パイプ・コア42の拡大簡略断面概略図である。具体的には、図6Aは、LED光源54からの光が(図4Aに示す反射性シェル部46および48によって形成された)入力ポート45を介して光パイプ・コア42に入る様子を示す。第1の角度付き壁部49aは、壁部46aと48aを組み合わせたものであり、第2の角度付き壁部49bは、図4Aに示す壁部46bと48bを組み合わせたものである。図6Aの光パイプ・コア42の実装形態では、光は、(典型的に1.5である透明プラスチックの反射率によって定められる)臨界角よりも大きな入射角を有する、光線51などの光線の場合には、内部全反射(TIR)によって、または臨界角よりも小さな入射角を有する、光線53などの光線の場合には、光パイプを取り囲むミキサ・シェルの壁部の反射によって、反射される。反射された光線は、ミキシング構造内に送り戻され、ビームが上面44上の拡散体エリアに到達してエリア55内に概略的に示すように出てゆくまで、図示のように複数回反射させることができる。LEDからの光は一般に、側壁部49aおよび49bからなる台形形状の傾斜により、光パイプを横切って水平方向に偏向する。
【0034】
図6Aは、別の光源を収容することができる入力ポート47も示す。しかし、場合によっては、入力ポート45のところなど、光パイプ・コア42の一端にただ1つの光源が使用される。そのような構成が使用される場合、部分組立体の内部光反射特性を強化するために、入力ポート47を反射性材料と置き換えるべきである。
【0035】
図6Bは、紙幣識別機で使用するのに適した光パイプ・コア42の一実装形態の寸法を示す。適切な光パイプ・コアは、約97.92mmの底部長さBL、約12.5mmの幅W、および約5.38mmの高さHを有する。上部長さTLは約77.49mmであり、第1の端部部分58の傾斜と第2の端部部分59の傾斜がほぼ同じになるように、底部長さの上方でほぼ中央に位置する。これらの部分の傾斜は、第1および第2の反射性シェル部46、48によって形成される第1の角度付き壁部49aおよび第2の角度付き壁部49bと一致してよい。光パイプ・コア42の上面44は、光強度出力を制御するための拡散体表面43を含むことができる。図6Cは、突起41のアレイが上面44上にあるパターンで配列されている、図6Bの部分Cを拡大したものを示す。突起のピッチは、光の分布がほぼ均一となるように、光バーに沿って、また光バーを横切って出てくる光の強度のバランスをとるように調整することができる。一実装形態では、拡散体エリアがLED光源からより遠く離れるにつれて、突起の密度が増加する。このようにして、TIR条件が壊れて光がコアから出ることのできる、局所的なスポットのエリアが形成される。いくつかの実装形態では、突起は形状がほぼ円柱形であるが、他の形状も可能である。
【0036】
図7は、Minnesota Mining and Manufacturing Corporation(「3M Company」)から市販の同社製の適切なBEFのプリズム構造72を示す、拡大簡略側面概略図70である。各プリズム構造72は頂部74を有し、頂部はその隣にある頂部とほぼ平行である。図示のように、光源からの光線の約50%がBEFにより反射し戻されて再利用され、使用可能な屈折光線が40%〜70%増加する。
【0037】
図8Aは、文書識別機用の光コア組立体80の一代替実装形態の拡大簡略分解斜視概略図である。構成要素の適切な一構成は、文書識別機内に光を供給するために、上部拡散面を含むことができる矩形の光パイプ・コア82、BEF50、およびLCC52を含む。BEF50は、プリズム構造72の各頂部74が、LCCの開口壁部78にほぼ平行になり、また光パイプ・コア82の長手「L」の縁部にほぼ平行かつコアの短辺「S」に垂直になるように位置合わせされる。3M Companyから入手可能な適切なBEFは、BEF90/50であり、ただし90はプリズム角度であり、50はマイクロメートル(μm)単位のプリズム・ピッチである。適切なLCC52は、先に述べたように、LCC52から出る光の分布の幾何形状を制御するように構成することができる。
【0038】
図8Bは、図8Aと同じ寸法を有し、かつ文書識別機で使用するのに適していてよい、光コア組立体200の一代替実装形態を示す。光コア組立体200は一体構造とすることができ、光コア202、出力される光の強度を増大させるためのプリズム構造層204、および光が組立体からZ方向に出るときのその方向を制御するための、(LCC52に類似の)LCC206を含むことができる。光拡散層(図示せず)を含むこともできる。一部の用途には、より多くの層またはより少ない層を含む実施形態を利用することもできる。例えば、光コア202、拡散層、およびLCC206を含む実施形態が、文書識別用途で使用するのに適切となり得る。
【0039】
図9は、図8Aおよび8Bを参照して先に述べたように実現することができる、光パイプ・コア84の別の実装形態の簡略図である。この実装形態では、LEDは垂直方向に配置され、光パイプ・コアは、図示のように単純な矩形の並列パイプである。一適用例では、6つの波長が使用され、単一のLEDパッケージが2つまたは3つのダイを収容する。波長によっては、4つのダイを、光パイプの各端部に2つずつ配置して使用することができる。図10Aは4つのダイが使用されるとき、また図10Bおよび10Cは2つのダイだけが使用されるときの、波長ごとのパッケージに入れたダイの幾何学的マッピングである。適切な一構成では、光出力を最適化するために、各LEDパッケージが白色の反射性ハウジングまたはパッケージを含むことができ、開口45および47(図4Aを参照されたい)が、このパッケージを収容し、かつ非効率的な結合におけるどんな光損失も制限するために最小のサイズのものである。各LED光源用の光ハウジングの内面は、反射性材料を含むことができ、その材料は拡散反射性材料とすることができる。適切なLEDパッケージは、OSRAM CompanyのTOPLED(商標)シリーズである。LEDパッケージは、反射性シェルと類似のプラスチック材料製とすることができる。例えば、光ハウジングは、少なくとも可視波長から近赤外波長スペクトル領域にわたってほぼフラットなスペクトル応答が起こるのを可能にするために白色材料で形成することができる。光は、光パイプ・コア84から拡散体構造によって取り出され、拡散体構造は、表面をサンディングすること、または光パイプ・コアの上面上に、成形した粗いランダムな構造を形成することにより、形成することができる。あるいは、図6Cを参照して先に説明したように、上面上に拡散体として機能するように突起アレイを形成することもできる。さらに、他の拡散体構造を使用することもできる。
【0040】
以上、文書識別機部分組立体のさまざまな実装形態を開示してきた。さまざまな追加および修正を行うことができることを、当業者なら理解するであろう。例えば、一代替構成は、第2組のBEFおよびLCC(またはプリズム層およびルーバ層)を含み、その光学構造が、光バーの細長い方向の光の分布を制御するために第1組から90°に設定される。他の実装形態が、特許請求の範囲に記載の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書識別機用の部分組立体において、
ハウジングと、
上部拡散面を有し、前記ハウジング内に設置された光パイプ・コアと、
前記上部拡散面に関連付けられ、少なくとも1つの開口を含む光制御構成要素と、
前記ハウジングに結合された複数の発光ダイオード(LED)であって、少なくとも1つのLEDが別のLEDと波長が異なる複数のLEDと
を備える部分組立体。
【請求項2】
前記光制御構成要素がポリマー材料で形成される、請求項1に記載の部分組立体。
【請求項3】
前記光制御構成要素が開口アレイを有する、請求項1または2に記載の部分組立体。
【請求項4】
各開口が細長い形状を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部分組立体。
【請求項5】
前記上部拡散面と前記光制御構成要素の間にプリズム構造層をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部分組立体。
【請求項6】
前記プリズム構造が輝度向上フィルムである、請求項5に記載の部分組立体。
【請求項7】
前記拡散面が、ランダム構造、一定ピッチ・パターン構造、または突起からなる可変パターンのうち少なくとも1つを備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の部分組立体。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記光パイプ・コアの少なくとも一端に少なくとも1つの入力光ポートを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の部分組立体。
【請求項9】
前記ハウジングが反射性内面を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の部分組立体。
【請求項10】
照明用光源からの光の幾何学的分布を制御するための光制御構成要素において、
前記光制御構成要素に開いた少なくとも1つの開口であって、少なくとも1つの開口を通って伝わる光の出射角を制限するように構成された少なくとも1つの開口
を備える、光制御構成要素。
【請求項11】
前記少なくとも1つの開口がさらに、光の出射角を直交する2つの方向に異なる形で制限するように構成される、請求項10に記載の光制御構成要素。
【請求項12】
前記少なくとも1つの開口が、光の出射角をあらゆる方向にほぼ等しく制限するように構成される、請求項10に記載の光制御構成要素。
【請求項13】
前記少なくとも1つの開口が、実質的に前記光制御構成要素の長さ全体を延ばす、請求項10に記載の光制御構成要素。
【請求項14】
前記少なくとも1つの開口が、前記光制御構成要素を長さ方向にセグメント化する、請求項10に記載の光制御構成要素。
【請求項15】
前記少なくとも1つの開口が、前記光制御構成要素を幅方向にセグメント化する、請求項10または請求項14に記載の光制御構成要素。
【請求項16】
複数の開口を備える、請求項10に記載の光制御構成要素。
【請求項17】
隣接する開口間に少なくとも1つのブリッジを備える、請求項16に記載の光制御構成要素。
【請求項18】
前記光制御構成要素が、前記光制御構成要素を通って伝わる光を受光することのできる少なくとも1つの検出器とは反対側にあり、前記検出器が、少なくとも1つのブリッジが前記検出器の視野外になるように配置される、請求項17に記載の光制御構成要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公表番号】特表2010−541169(P2010−541169A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527185(P2010−527185)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/077872
【国際公開番号】WO2009/042876
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(506258187)エムイーアイ インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】