説明

料金割引システム

【課題】 途中下車して改札外の店舗で商品を購入して再度入場した場合に、利用者に極めて便利で、途中駅の店舗の有効利用を図ることのできる料金割引システムを提供する。
【解決手段】 入場用リーダライタ装置6によりICカード1から直近の出場記録および店舗4の購入履歴を読み取り、出場駅と入場駅が同一で、かつ、店舗4での購入履歴がある場合に再入場であると判断する再入場判定部9と、再入場と判定された場合にICカード1に再入場駅情報および再入場情報を書き込む再入場処理部8と、を備えた入場用改札機2と、再入場情報が記録されている場合に、運賃計算部13により計算された合計乗車距離に基づく運賃から一時出場駅で引き去った額を差し引いた引き去り額を計算する引き去り計算部と、ICカード1に出場駅情報および引き去り額を記録する出場処理部11と、を備えた出場用改札機3と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は料金割引システムに係り、特に、途中下車して改札外の店舗で商品を購入して、再度入場した場合でも、最初の入場駅から最後の出場駅までの運賃を支払えばよく、利用者に極めて便利となり、しかも、途中駅における店舗の有効利用を図ることを可能とした料金割引システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、交通機関を利用する場合に、ICカードを利用した自動改札システムが多く用いられている。このようにICカードを利用した場合、駅などの入出場の制御、交通機関の割引処理や精算処理の自動化、提携店舗の利用に対するポイント付与などの割引サービスを与えることが可能になっている。
【0003】
このような割引サービスを行う技術として、従来から、乗車券や入場券などとして用いられるICカードに、交通機関の利用状況や店舗での購入の内容示す利用情報を書き込み、この利用情報に基づいて、出場時に用いる自動改札機で割引サービスを行うか否かを判断するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、1つの駅において、改札外から改札内に入場して、改札内に設置された店舗での購入を行った場合には、入場料などの割引サービスを受けるものであるが、列車の乗車料金をサービスするものではない。すなわち、例えば、列車に乗車中に、途中下車して店舗で商品を購入した場合に、再び、乗車すると、最初に入場した駅から途中下車した駅までの料金と、途中下車した駅から最終目的の出場した駅までの料金とをそれぞれ別個に支払う必要があるという問題を有している。このように駅の改札内に店舗が存在せず、改札外にのみ店舗が存在するような場合に、途中下車した駅までの料金と、この途中下車した駅からの料金を支払わなければならず、利用者に極めて不便であり、途中駅における店舗の有効利用が望まれている。
【0006】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、途中下車して改札外の店舗で商品を購入して、再度入場した場合でも、最初の入場駅から最後の出場駅までの運賃を支払えばよく、利用者に極めて便利となり、しかも、途中駅における店舗の有効利用を図ることのできる料金割引システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る料金割引システムは、ICカードの履歴記録部の情報の読み書きを行う入場用リーダライタ装置と、前記入場用リーダライタ装置によりICカードの履歴記録部から直近の出場記録および店舗における購入履歴を読み取り、この出場駅が入場駅と同一であるか否か判断するとともに、店舗での購入履歴があるか否か判断し、出場駅と入場駅が同一であり、かつ、店舗での購入履歴がある場合に、再入場であると判断する再入場判定部と、前記再入場判定部により再入場と判定されなかった場合に、前記入場用リーダライタ装置により、前記ICカードの前記履歴記録部に入場駅情報および入場時刻情報を記録する入場処理部と、前記再入場判定部により再入場であると判定された場合に、前記入場用リーダライタ装置により、前記ICカードの前記履歴記録部に、再入場駅の情報および再入場情報を書き込むよう処理する再入場処理部と、を備えた入場用改札機と、
前記ICカードの履歴記録部の情報の読み書きを行う出場用リーダライタ装置と、ICカードに再入場情報が記録されている場合には、最初に入場した駅から一時出場した駅までの距離および再入場した駅から最終的に出場した駅までの乗車距離を合計して合計乗車距離を計算する乗車距離計算部と、前記出場用リーダライタ装置により前記ICカードの履歴記録部を読み取り、再入場情報が記録されている場合に、前記乗車距離計算部により計算された合計乗車距離に基づいて運賃を計算する運賃計算部と、前記再入場情報が記録されている場合に、前記運賃計算部により計算された合計乗車距離に基づく運賃から一時出場した駅で引き去った額を差し引いた引き去り額を計算する引き去り計算部と、前記出場用リーダライタ装置により、ICカードに出場駅情報および出場日時情報を記録するとともに、引き去り額計算部により計算された引き去り額を引き去った額を記録する出場処理部と、を備えた出場用改札機と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記再入場判定部は、前記ICカードの履歴記録部に再入場情報が記録されている場合でも、出場駅の入場駅が同一であり、かつ、店舗での購入履歴がある場合には、再入場であると判断することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記再入場判定部は、直近の出場後、一定時間内に再入場があった場合にのみ、再入場であると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、一度出場した後、改札外の店舗で商品を購入して、再度入場した場合に、出場駅と入場駅が同一であり、かつ、店舗での購入履歴がある場合に、再入場であると判断して、最初に入場した駅から最後に出場した駅までの運賃を計算し、途中下車した駅での出場処理で引き去られた金額を差し引いた引き去り額を最終の出場駅で引き去るようにしているので、途中下車により店舗で商品を購入した場合でも、最初の入場駅から最後の出場駅までの運賃を支払えばよく、利用者に極めて便利となる。しかも、途中下車して改札外の店舗において商品の購入が容易になるので、途中駅における店舗の有効利用を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、再入場判定部により、ICカードの履歴記録部に再入場情報が記録されている場合でも、出場駅の入場駅が同一であり、かつ、店舗での購入履歴がある場合には、再入場であると判断するようにしているので、複数回の再入場に適用することができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、再入場判定部により、直近の出場後、一定時間内に再入場があった場合にのみ、再入場であると判定するようにしているので、一時出場後、再入場までの時間に制限を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る料金割引システムの実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る料金割引システムの実施形態における制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る料金割引システムの実施形態における入場動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る料金割引システムの実施形態における入場処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る料金割引システムの実施形態における再入場処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る料金割引システムの実施形態における出場動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本発明に係る料金割引システムの第1実施形態を示す概略図である。本実施形態においては、料金割引システムを列車の駅における料金割引に適用した場合を示している。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の料金割引システムは、各駅の改札部分に設置され、ICカード1により入場するための入場用改札機2およびICカード1により出場するための出場用改札機3をそれぞれ備えている。また、駅の改札の外側には、店舗4が設置されており、店舗4は、本発明の料金割引システムを適用することができる店舗4として、あらかじめ指定された店舗4である。
【0017】
また、図2は本実施形態における料金割引システムの制御構成を示したものであり、本実施形態においては、利用者が携帯して利用するICカード1は、履歴記録部5を備えており、この履歴記録部5には、列車を利用した場合における利用日時情報、入場駅情報、出場駅情報、引き去り額情報、店舗4で購買した場合における利用日時情報、店舗4のID情報および支払額情報が記録されるように構成されている。
【0018】
また、入場用改札機2は、ICカード1の入場用リーダライタ装置6、入場処理部7、再入場処理部8および再入場判定部9をそれぞれ備えている。また、出場用改札機3は、出場用リーダライタ装置10、出場処理部11、乗車距離計算部12、運賃計算部13および引き去り額計算部14をそれぞれ備えている。さらに、店舗4は、店舗用リーダライタ装置15を備えており、この店舗用リーダライタ装置15は、ICカード1の履歴記録部5に利用日時情報、店舗用リーダライタ装置15のID情報および支払額情報をそれぞれ記録するように構成されている。
【0019】
入場処理部7は、入場用リーダライタ装置6にICカード1が接触または近接された場合に、入場用リーダライタ装置6により、ICカード1の履歴記録部5に入場駅情報および入場時刻情報を記録するように構成されている。また、再入場判定部9は、入場用リーダライタ装置6によりICカード1の履歴記録部5から直近の出場記録および店舗4における購入履歴を読み取り、この出場駅が入場駅と同一であるか否か判断するとともに、店舗4での購入履歴があるか否か判断し、出場駅の入場駅が同一であり、かつ、店舗4での購入履歴がある場合には、通常の入場ではなく、再入場であると判断するように構成されている。再入場処理部8は、再入場判定部9により再入場であると判定された場合に、ICカード1の履歴記録部5に、再入場駅の情報および再入場である旨の情報を書き込むように構成されている。
【0020】
また、出場用改札機3の乗車距離計算部12は、出場用リーダライタ装置10によりICカード1の履歴記録部5を読み取った際に、再入場情報が記録されていない場合は、入場した駅から出場した駅までの乗車距離を計算するように構成されており、ICカード1に再入場情報が記録されている場合には、最初に入場した駅から一時出場した駅までの距離および再入場した駅から最終的に出場した駅までの乗車距離を合計して合計乗車距離を計算するように構成されている。また、運賃計算部13は、出場用リーダライタ装置10によりICカード1を読み取った際に、再入場情報が記録されていない場合は、乗車距離計算部12により計算された乗車距離に基づいて運賃を計算するように構成されており、ICカード1に再入場情報が記録されている場合には、乗車距離計算部12により計算された合計乗車距離に基づいて運賃を計算するように構成されている。
【0021】
さらに、引き去り額計算部14は、出場用リーダライタ装置10によりICカード1を読み取った際に、再入場情報が記録されている場合は、運賃計算部13により計算された合計乗車距離に基づく運賃から一時出場した駅で引き去った額を差し引いた引き去り額を計算するように構成されている。また、出場処理部11は、リーダライタ装置により、ICカード1に出場駅情報および出場日時情報を記録するとともに、引き去り額計算部14により計算された引き去り額を引き去った額を記録するように構成されている。
【0022】
次に、本実施形態の作用について、図3から図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0023】
まず、入場動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。本実施形態においては、入場用改札機2の入場用リーダライタ装置6にICカード1が接触または近接されると、入場用リーダライタ装置6により、ICカード1の履歴記録部5から直近の出場駅情報を読み出す(ST1)。そして、直近の出場駅が入場駅と同一か否か判断し(ST2)、出場駅と入場駅とが同一である場合は、直近の出場日時情報が入場日当日か否か判断する(ST3)。さらに、出場日時情報により出場日と入場日とが同一である場合には、直近の出場以後に特定の店舗4の物販履歴があるか否か判断する(ST4)。そして、物販履歴がある場合には、再入場判定部9により、再入場であると判定し、再入場処理を行う(ST5)。
【0024】
一方、ICカード1の履歴記録部5から直近の出場駅情報に基づいて、直近の出場駅が入場駅と同一でない場合(ST2:NO)、直近の出場日時情報が入場日当日でない場合(ST3:NO)、直近の出場以後に特定の店舗4の物販履歴がない場合には(ST4:NO)、通常の入場処理を行う(ST6)。
【0025】
入場処理は、図4に示すように、入場用リーダライタ装置6により、ICカード1の履歴記録部5に入場駅情報および入場時刻情報を記録する(ST7)。また、再入場処理は、図5に示すように、再入場判定部9により再入場であると判定された場合に、ICカード1の履歴記録部5に、再入場駅の情報を記録するとともに(ST8)、再入場情報を記録するものである(ST9)。
【0026】
次に、出場動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0027】
まず、出場用リーダライタ装置10にICカード1が接触または近接されると、ICカード1の履歴記録部5から過去の入場記録を読み出し(ST10)、直近の入場記録が「再入場」であるか否か判断し、「再入場」である場合には(ST11)、乗車距離計算部12により、最初に入場した駅から一時出場した駅までの距離および再入場した駅から最終的に出場した駅までの乗車距離を合計して合計乗車距離を計算する(ST12)。そして、運賃計算部13により、乗車距離計算部12により計算された合計乗車距離に基づいて運賃を計算し(ST13)、引き去り額計算部14により、運賃計算部13により計算された合計乗車距離に基づく運賃から一時出場した駅で引き去った額を差し引いた引き去り額を計算する(ST14)。そして、出場記録部により出場用リーダライタ装置10を制御して、ICカード1に出場駅情報および出場日時情報を記録するとともに、引き去り額計算部14により計算された引き去り額を引き去った額を記録する(ST15)。
【0028】
一方、ICカード1の履歴記録部5から過去の入場記録を読み出し(ST10)、直近の入場記録が「再入場」でない場合には(ST11:NO)、運賃計算部13により、入場した駅から出場した駅までの乗車距離を計算するとともに、乗車距離計算部12により計算された乗車距離に基づいて運賃を計算し(ST16)、出場記録部により出場用リーダライタ装置10を制御して、ICカード1に出場駅情報および出場日時情報を記録するとともに、運賃計算部13により計算された運賃を引き去る(ST17)。
【0029】
以上述べたように、本実施形態においては、途中の駅で途中下車して改札外の店舗4で商品を購入して、再度入場した場合に、最初に入場した駅から最後に出場した駅までの運賃を計算し、途中下車した駅での出場処理で引き去られた金額を差し引いた引き去り額を最終の出場駅で引き去るようにしているので、途中下車により店舗4で商品を購入した場合でも、最初の入場駅から最後の出場駅までの運賃を支払えばよく、利用者に極めて便利となる。しかも、途中下車して改札外の店舗4において商品の購入が容易になるので、途中駅における店舗4の有効利用を図ることができる。
【0030】
なお、前記実施形態においては、再入場が1回の場合の例について説明したが、例えば、ICカード1の履歴記録部5に既に再入場情報が記録されている場合であっても、出場駅の入場駅が同一であり、かつ、店舗4での購入履歴がある場合には、再入場であると判断して、複数回の再入場に適用することができるようにしてもよい。
【0031】
また、再入場判定部9により、直近の出場後、一定時間内に再入場があった場合にのみ、再入場であると判定するようにして、一時出場後、再入場までの時間制限を設けるようにしてもよい。
【0032】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 ICカード
2 入場用改札機
3 出場用改札機
4 店舗
5 履歴記録部
6 入場用リーダライタ装置
7 入場処理部
8 再入場処理部
9 再入場判定部
10 出場用リーダライタ装置
11 出場処理部
12 乗車距離計算部
13 運賃計算部
14 引き去り額計算部
15 店舗用リーダライタ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードの履歴記録部の情報の読み書きを行う入場用リーダライタ装置と、前記入場用リーダライタ装置によりICカードの履歴記録部から直近の出場記録および店舗における購入履歴を読み取り、この出場駅が入場駅と同一であるか否か判断するとともに、店舗での購入履歴があるか否か判断し、出場駅と入場駅が同一であり、かつ、店舗での購入履歴がある場合に、再入場であると判断する再入場判定部と、前記再入場判定部により再入場と判定されなかった場合に、前記入場用リーダライタ装置により、前記ICカードの前記履歴記録部に入場駅情報および入場時刻情報を記録する入場処理部と、前記再入場判定部により再入場であると判定された場合に、前記入場用リーダライタ装置により、前記ICカードの前記履歴記録部に、再入場駅の情報および再入場情報を書き込むよう処理する再入場処理部と、を備えた入場用改札機と、
前記ICカードの履歴記録部の情報の読み書きを行う出場用リーダライタ装置と、ICカードに再入場情報が記録されている場合には、最初に入場した駅から一時出場した駅までの距離および再入場した駅から最終的に出場した駅までの乗車距離を合計して合計乗車距離を計算する乗車距離計算部と、前記出場用リーダライタ装置により前記ICカードの履歴記録部を読み取り、再入場情報が記録されている場合に、前記乗車距離計算部により計算された合計乗車距離に基づいて運賃を計算する運賃計算部と、前記再入場情報が記録されている場合に、前記運賃計算部により計算された合計乗車距離に基づく運賃から一時出場した駅で引き去った額を差し引いた引き去り額を計算する引き去り計算部と、前記出場用リーダライタ装置により、ICカードに出場駅情報および出場日時情報を記録するとともに、引き去り額計算部により計算された引き去り額を引き去った額を記録する出場処理部と、を備えた出場用改札機と、
を備えていることを特徴とする料金割引システム。
【請求項2】
前記再入場判定部は、前記ICカードの履歴記録部に再入場情報が記録されている場合でも、出場駅の入場駅が同一であり、かつ、店舗での購入履歴がある場合には、再入場であると判断することを特徴とする請求項1に記載の料金割引システム。
【請求項3】
前記再入場判定部は、直近の出場後、一定時間内に再入場があった場合にのみ、再入場であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の料金割引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−168777(P2012−168777A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29755(P2011−29755)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】