説明

料金収受装置

【目的】多段の料金投入、釣銭払出口を持つ場合に利用した段を特定する。
【構成】装置筐体正面に高さ位置を異ならせた複数の操作部設置領域を確保し各操作部設置領域には少なくとも料金の投入口2,3 と、釣銭の払出口4,5 を設けると共に所望の高さ位置における料金の投入口を使用して料金を投入した場合に釣銭はその料金の投入口対応の高さ位置の釣銭払出口より釣銭を払い出すように釣銭払出機構9,11を制御する装置において、装置筐体の下方部に各高さ位置の硬貨用の投入口(CH)からの投入硬貨を導いて金額を検出する共用の硬貨選別手段(CD)14を設け、最下部のCHを除く上方のCHに夫々対応して当該CHからの投入硬貨の検出用の硬貨検知センサ(DT)13を設け、各DT及びCDの検出情報に基づいて硬貨投入に使用されたCHを判別し、釣銭払出しは当該硬貨投入に使用したCHの高さ位置対応の釣銭払出口を利用すべく釣銭払出機構を制御する制御手段10A とを設けて構成する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は有料道路の料金収受装置に関するものであり、特に車両の運転席の高さに対応した操作部を複数有し、硬貨による料金の支払いが行われた操作部に対し、釣銭支払い等を行う有料道路用料金収受装置に適用して最適な料金収受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有料道路における通行料金収受において、近年、省力化に伴う自動化の促進により、無人の料金所ゲートも多くなってきた。そして、通行券を自動発行する入口料金所での自動発券システムの他に、出口での料金徴収システムも自動化が進められるようになってきた。
【0003】
また、有料道路も利用する距離に応じた料金体系とする多区間制のものから、利用料金は一律とした均一区間制のものまで、種々あるが、均一区間制のものでは料金先払いとなるので、通行券を発券する代わりに、入口で一律の料金を自動機で徴収するようなシステム構成としたものもある。
【0004】
このような料金を自動徴収するための従来の有料道路料金収受装置では、図4に示すように、運転者が装置の硬貨投入口に硬貨もしくは紙幣等を投入することになるから、車種による車両の運転席の高さを考慮して、硬貨投入口は上部及び下部、更にはそれらの中間にそれぞれ配して、進入して来た車両の運転席の高さに対応した硬貨投入口を利用して通行料を投入できるに構成してある。
【0005】
このように、硬貨投入口は高さ位置を異ならせて複数設置され、開口されている。そして、各々の硬貨投入口に投入された通貨は、図5に示す上段、下段の2つの硬貨選別機(硬貨投入口が上段下段の2段構成の場合)により、各硬貨投入口毎に投入された硬貨(通貨)の正偽判別と金額判別を行うようにしており、投入された貨幣が所定の通行料の金額より多い場合は、先に硬貨の正偽判別を行った硬貨選別部を有する操作段の釣銭払い出し口に、釣銭の払出しを行う構成としていた。
【0006】
図を参照して説明する。図4は硬貨投入口が上段下段の2段構成の場合の従来の有料道路用料金収受装置の外観図、図5の(a)はその内部を背面から見た図、図5の(b)は側面から見た図であり、図6は有料道路用料金収受装置の機能ブロック図である。
【0007】
すなわち、図4ないし図6に示すように、従来の有料道路用料金収受装置18は料金所ゲートにおける車線(車両通行路)路側に設置される。有料道路用料金収受装置18は方形箱状であり、トラックなどの大型車の運転席からでも十分手の届く高さ位置に上段硬貨投入口2が設けられている。また、上段硬貨投入口2の下方には乗用車等のような普通車の運転席からでも十分手の届く高さ位置に、下段硬貨投入口3が設けられている。
【0008】
上段硬貨投入口2および下段硬貨投入口3ともポケットを広げたような口を上方に大きく開口するホッパのような構造であり、硬貨を投入すると自動的に有料道路用料金収受装置18内部に、その投入硬貨が取り込めるような構造である。
【0009】
有料道路用料金収受装置18には上段硬貨投入口2および下段硬貨投入口3の高さ位置に横方向に並べてそれぞれカード挿入口23および紙幣挿入口22が並設されており、それぞれの高さ位置において通行券等のカードの挿入、紙幣の挿入が可能になっている。
【0010】
また、有料道路用料金収受装置18には上段硬貨投入口2の高さ位置に横方向に並べて上段釣銭払出口4が、また下段硬貨投入口3の高さ位置に横方向に並べてそれぞれ下段釣銭払出口5が設けられており、カード挿入や紙幣、硬貨投入に利用した段の釣銭払出口より、釣銭が払い出される仕組みになっている。
【0011】
また、有料道路用料金収受装置18には下段硬貨投入口3のさらに下部方向位置に偽貨返却口8が設けてあり、投入された貨幣が偽貨であった場合には、その偽貨は偽貨返却口8に返却される仕組みとなっている。
【0012】
さらにまた、有料道路用料金収受装置18内には上段硬貨投入口2の高さ位置より上方に釣銭払出機11が設けられている。また、上段硬貨投入口2の高さ位置および下段硬貨投入口3の高さ位置にそれぞれ設けられた紙幣挿入口22より挿入された紙幣をそれぞれ識別して真偽および金額を識別するために、有料道路用料金収受装置18内には紙幣識別機21がそれぞれ紙幣挿入口22対応に設けられている。紙幣挿入口22より挿入された紙幣はそれぞれ対応する紙幣識別機21を経て紙幣挿入口22下部の紙幣収納庫に収納される。
【0013】
紙幣識別機21には図示しないが、紙幣搬送系が付属しており、紙幣挿入口22より挿入された紙幣はこの紙幣搬送系により紙幣収納庫方向に搬送されながら紙幣識別機21により真偽と、金額が判定され、偽と判定された場合には紙幣挿入口22に逆搬送されて当該紙幣挿入口22に排出される仕組みとなっている。
【0014】
上記硬貨金庫15は貨幣を収納するための金庫であり、有料道路用料金収受装置18内には装置最下部にこの硬貨金庫15が設けられていて、上段硬貨投入口2位置よりこの硬貨金庫15とを繋ぐ貨幣案内路であるシュータで両者は結ばれている。上段硬貨投入口2位置には上段硬貨選別機19が設けられており、ここで上段硬貨投入口2より投入された硬貨は真偽と金種が検知される。そして、上段硬貨選別機19を経た硬貨は真貨である場合に、硬貨金庫15に送られ、偽貨である場合には当該硬貨を偽貨返却口8に返却させるように経路を切り替える。
【0015】
また、下段硬貨投入口3位置には下段硬貨選別機20が設けられており、ここで下段硬貨投入口3より投入された硬貨は真偽と金種が検知される。そして、下段硬貨選別機20を経た硬貨は真貨である場合に、硬貨金庫15に送られ、偽貨である場合には当該硬貨を偽貨返却口8に返却させるように経路を切り替える。
【0016】
制御部10は制御の中枢を司るものであり、挿入された通行券の読取り情報から通行料金の計算と表示部25(または26)への表示を行ったり、硬貨投入口や紙幣挿入口に貨幣が入れられるとこれを検知、判別した紙幣識別機21や硬貨選別機19,20からの金種情報を用いて釣銭計算してその釣銭を釣銭払出機11から送りだし、当該送り出した釣銭を紙幣挿入や硬貨投入に使用した操作口(紙幣挿入口や硬貨投入口)に対応する段(高さ位置)の釣銭払い出し口4(または5)に払い出すように、フラッパ9を制御すると云った制御を行うことができる。
【0017】
なお、図6において、17a〜17iは硬貨の流れを示す。
このような構成の従来の自動化した有料道路用料金収受装置18では料金支払いの際に、紙幣や硬貨を入れるのに使用した硬貨投入口や紙幣挿入口にそれぞれ対応して設けてある硬貨選別機、紙幣識別機の検知出力を利用して、どの段の操作口が使用されたかが分かることから、その使用された操作口対応の段の釣銭払い出し口に釣銭を払い出す。これにより、利用者が最も手の届き易い段の釣銭払い出し口に釣銭を払い出すことができ、利用者の利便を図っている。
【0018】
【考案が解決しようとする課題】
このように従来技術では、料金支払いに使用された操作口(料金を投入した紙幣挿入口や硬貨投入口)対応の段の釣銭払い出し口に釣銭を払い出すようにするが、その使用された操作口を検知するために、紙幣識別機や硬貨選別機をそれぞれの挿入口、投入口毎に1対1で取り付けている。これらのうち、紙幣識別機は紙幣搬送系等の構造上、挿入口毎に必要であるが、硬貨はシュータなどを利用することにより円滑にどこへでも送り出し易い。
【0019】
従って、投入口毎に設けずとも、1か所にのみ設けて共用化する構成をとることが可能であるが、硬貨選別機は硬貨投入の操作口となった段を検知するのにも使用している関係から、硬貨のみを投入された場合には操作口となった段がどの段であるか分からないと云う問題がある。
【0020】
そこで、従来より硬貨選別機は硬貨投入口毎に対応して設けるようにしてある。しかしながら、そのためにつぎのような問題が残る。
すなわち、硬貨選別機を複数台使用する構成としたことにより、 第1には、硬貨選別機が2台存在すると、下段硬貨投入口形状を立体化、すなわち、利用者に硬貨を放り投げるイメージを与えるのに有効なバスケット形状にしても、上段の硬貨選別機が硬貨投入可能範囲を狭め、操作性が悪化する。
【0021】
第2には上下段各々の硬貨選別機は、全く同じ機能を持つものであり、筐体の小型化及びコスト低減のためには、上下段各々の硬貨投入口より投入された硬貨を1台で処理する必要がある。
【0022】
第3には制御部は複数の硬貨選別部を制御する必要が生じ、利用者へのサービスタイムの短縮が困難となる。
バスケット型硬貨投入口の有効利用、及びコスト低減のために硬貨選別機を共用化して1台にした場合、上下どちらの硬貨投入口に硬貨が投入されたかを判別できなくなるため、投入された料金の表示を、上下段両方の表示部で行う必要が生じる。また、利用者の便宜を図るには、運転席に近い高さ位置に釣銭の払出し口を設けて運転席に近い方の釣銭の払出し口に釣銭を送り出す必要があるが、硬貨選別機を共通にしてしまうと上下段のどちらの釣銭の払出し口に釣銭を送り出すか、その選択が不可能となる。
【0023】
このため、釣銭払出しの際には利用者に、上下段どちらの釣銭払い出し口に釣銭を払出すかを選択させるためのスイッチが必要となり、その操作を個々利用者に実施して貰う必要があるために、利用者が操作に戸惑ったりすることも多くなり、料金所ゲートに車両が進入してきてから、運転者が料金を支払い、その車両が発進して1台分の処理が完了するまでに必要なサービスタイムが増加することとなる。
【0024】
このように1台当たりのサービスタイムの増加は料金所ゲートでの車両の渋滞を招き、問題である。
そこで、この考案の目的とするところは、コストダウンを図ることができると共に、利用者が利用した釣銭払出し口に自動的に釣銭を送り出すことができるようにした料金収受装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案はつぎのように構成する。すなわち、装置筐体の正面に高さ位置を異ならせた複数の操作部設置領域を確保し、各操作部設置領域には少なくとも料金の投入口と、釣銭の払い出し口を設けるとともに、所望の高さ位置における料金の投入口を使用して料金を投入した場合に、釣銭はその料金の投入口対応の高さ位置における釣銭払い出し口より釣銭を払い出すように釣銭払い出し機構を制御する料金収受装置において、装置筐体の下方部に各高さ位置の硬貨用の投入口からの投入硬貨を導いてその金種および金額を検出する共用の硬貨選別手段を設けるとともに、最下部の硬貨用の投入口を除くその上方にある硬貨用の投入口にそれぞれ対応して当該投入口からの投入硬貨の検出のための硬貨検知センサを設け、各硬貨検知センサおよび硬貨選別手段の検出情報に基づいて、硬貨投入に使用された投入口を判別し、釣銭払い出しは当該硬貨投入に使用された投入口の高さ位置対応の釣銭払い出し口を利用すべく釣銭払い出し機構を制御する制御手段とを設けて構成する。
【0026】
【作用】
このような構成において、投入口より投入された硬貨の金額を判定して選別する硬貨選別手段は一つだけ設けて各投入口共用とし、最下部の硬貨用の投入口を除くその上方にある硬貨用の投入口にそれぞれ対応して当該投入口からの投入硬貨の検出のための硬貨検知センサを設け、各硬貨検知センサおよび硬貨選別手段の検出情報に基づいて、硬貨投入に使用された投入口を判別し、釣銭払い出しは当該硬貨投入に使用された投入口の高さ位置対応の釣銭払い出し口を利用すべく釣銭払い出し機構を制御するようにした。
【0027】
例えば、有料道路の料金収受装置として使用する場合に、大型車用の硬貨投入口、普通車用の硬貨投入口を設けた2段の構成の場合を考えると、車両の運転席の高さに対応した大型車用の上段領域と普通車用の下段領域との間に硬貨検知センサを設け、上段の硬貨投入口より投入された硬貨は、本センサで検出する。硬貨が投入されればその投入硬貨は共用の硬貨選別手段にて必ず検出されることになり、また、上段の硬貨投入口より投入された場合に硬貨検知センサが検出出力を出すが、下段では硬貨検知センサは検出出力を出さない。従って、これにより、上下段のどちらを利用者が選択したのかを判別可能となり、投入された料金の表示、及び釣銭硬貨の払出しを、選択された操作部でのみ行えば良いものとなる。
【0028】
このように、硬貨検知センサを用いたことにより、硬貨選別手段は共用することが可能になり、省スペース化とコストダウンを図ることができると共に、利用者が利用した釣銭払出し口に自動的に釣銭を送り出すことができるようにした料金収受装置を提供できる。
【0029】
【実施例】
以下、本考案の一実施例について、図面を参照して説明する。
図1に、本考案による有料道路用料金収受装置の外観図を、また、図2(a)
(b)に本考案に係る有料道路用料金収受装置の内部構造を、また、図3に本考案に係る有料道路用料金収受装置の硬貨の流れを含めたシステム構成を示すブロック図をそれぞれ示す。
【0030】
本考案装置は、有料道路の無人車線に設置され、所定の通行料金を利用者より受取り、必要に応じて釣銭の支払い、領収書の発行を行う。
具体的に説明する。図において、1は本考案による有料道路用料金収受装置であり、2は上段硬貨投入口、3は下段硬貨投入口、4は釣銭払出口、5は下段釣銭払出口、6は上段操作部領域、7は下段操作部領域、8は偽貨返却口、9はフラッパ、10Aは制御部、11は釣銭払出機、12はシュータ、13は硬貨検知センサ、14は硬貨選別機、15は硬貨金庫、22は紙幣挿入口、23はカード挿入口である。
【0031】
有料道路用料金収受装置1は料金所ゲートにおける車線(車両通行路)路側に設置される。有料道路用料金収受装置1は方形箱状であり、トラックなどの大型車の運転席からでも十分手の届く高さ位置に上段硬貨投入口2が設けられている。また、上段硬貨投入口2の下方には乗用車等のような普通車の運転席からでも十分手の届く高さ位置に、下段硬貨投入口3が設けられている。
【0032】
上段硬貨投入口2および下段硬貨投入口3ともポケットを広げたような口を上方に大きく開口するホッパのような構造であり、硬貨を投入すると自動的に有料道路用料金収受装置1内部にその投入硬貨が取り込めるような構造である。
【0033】
有料道路用料金収受装置1には上段硬貨投入口2および下段硬貨投入口3の高さ位置に横方向に並べてそれぞれカード挿入口23および紙幣挿入口22が並設されており、それぞれの高さ位置において通行券等のカードの挿入、紙幣の挿入が可能になっている。
【0034】
また、有料道路用料金収受装置1には上段硬貨投入口2の高さ位置に横方向に並べて上段釣銭払出口4が、また下段硬貨投入口3の高さ位置に横方向に並べてそれぞれ下段釣銭払出口5が設けられており、カード挿入や紙幣、硬貨投入に利用した段の釣銭払出口より、釣銭が払い出される仕組みになっている。
【0035】
また、有料道路用料金収受装置1には下段硬貨投入口3のさらに下部方向位置に偽貨返却口8が設けてあり、投入された貨幣が偽貨であった場合には、その偽貨は偽貨返却口8に返却される仕組みとなっている。
【0036】
さらにまた、有料道路用料金収受装置1内には上段硬貨投入口2の高さ位置より上方に釣銭払出機11が設けられており、上段硬貨投入口2の高さ位置および下段硬貨投入口3の高さ位置にそれぞれ設けられた紙幣挿入口22より挿入された紙幣をそれぞれ識別して真偽および金額を識別するために、紙幣識別機21がそれぞれ紙幣挿入口22対応に設けられている。紙幣挿入口22より挿入された紙幣はそれぞれ対応する紙幣識別機21を経て紙幣挿入口22下部の紙幣収納庫に収納される。
【0037】
紙幣識別機21には図示しないが、紙幣搬送系が付属しており、紙幣挿入口22より挿入された紙幣はこの紙幣搬送系により紙幣収納庫方向に搬送されながら紙幣識別機21により真偽と、金額が判定され、偽と判定された場合には紙幣挿入口22に逆搬送されて当該紙幣挿入口22に排出される仕組みとなっている。
【0038】
上記硬貨金庫15は貨幣を収納するための金庫であり、有料道路用料金収受装置1内には装置最下部に硬貨金庫15が設けられていて、上段硬貨投入口2位置よりこの硬貨金庫15とを繋ぐ貨幣案内路であるシュータ12で両者は結ばれている。
【0039】
硬貨検知センサ13は硬貨を検知するためのものであり、シュータ12の途中に取り付けられていて、通過する硬貨の検知を行う。硬貨検知センサ13は上段硬貨投入口2位置と下段硬貨投入口3位置の中間に取り付けられることにより、上段硬貨投入口2に硬貨が投入された場合に、これを検知できる。
【0040】
硬貨選別機14はこのシュータ12に案内されて送られてきた上段硬貨投入口2からの硬貨および下段硬貨投入口3からの硬貨を金種に応じて分別して硬貨金庫15に入れるためのもので、金種により硬貨を排出する位置を切り替えることにより貨幣選別するものであって、例えば、自己の内蔵する制御装置または制御部10Aの制御信号により、排出位置を切り替える。硬貨選別機14は硬貨の真偽判定を行うと共に、金種を判別する機能を有する。
【0041】
硬貨選別機14は上段硬貨投入口2と下段硬貨投入口3の共用のものであり、投入硬貨が偽貨と判定した場合に、当該投入硬貨を偽貨返却口8に返却させるように経路を切り替える。
【0042】
また、フラッパ9はそれぞれ上段釣銭払出口4および下段釣銭払出口5の上部位置近傍における釣銭払出シュータの通路の開閉を行うためのものであり、釣銭をどの釣銭払出口に払い出すかの案内を行うためのものである。この各段のフラッパ9の開閉動作は硬貨検知センサ13および硬貨選別機14の出力をもとに、制御部10Aがどの硬貨投入口より硬貨が投入されたかを知って、投入に供された硬貨投入口の設置段の釣銭払出口に近い方のフラッパ9を駆動させ、釣銭をその釣銭払出口に導くように機能する。25,26は利用者に金額等を表示するために使用する料金表示部である。
【0043】
つぎにこのような構成の本装置の作用を説明する。
ここでは図示しないが本機は、料金所ゲートに至る車線(車両通行路)に設置される車種判別装置により、車線への車両進入を認識した後、料金受入れ可能な状態となる。利用者により下段硬貨投入口3に投入された硬貨は、硬貨選別機14に至り、ここで正貨か偽貨かの判別を受け、正貨であれば硬貨金庫15に収納され、偽貨であれば、偽貨返却口8に排出される。制御部10Aにて、所定の通行料金額と、投入された料金額とが比較され、後者の方が多い場合には、釣銭払出機11により釣銭を払出す。この時、フラッパ9は動作せず、釣銭は下段操作部領域7にある釣銭払出口5に払出される。
【0044】
一方、利用者により上段硬貨投入口2に投入された硬貨は、シュータ12を経由して硬貨検知センサ13を通過し、硬貨選別機14に至り、ここで正貨か偽貨かの判別を受け、正貨であれば硬貨金庫15に収納され、偽貨であれば偽貨返却口8に排出される。そして、釣銭払出機11により釣銭を払出す際には、フラッパ9は制御部10Aの指令により動作し、釣銭は上段操作部領域6の釣銭払出口4に払出される。
【0045】
装置の動作をもう少し説明する。本装置では、要部構成を機能ブロック図示すと図3のようになり、釣銭払い出し系統の構成は変わりはないが、従来装置において、上段硬貨投入口2および下段硬貨投入口3に対応してそれぞれ設けていた硬貨選別機を、下段硬貨投入口3設置位置の下部位置に一つ(硬貨選別機14)
設け、硬貨選別機14は上段硬貨投入口2および下段硬貨投入口3から投入された硬貨の検知(真偽検知、金種検知)に共用するようにした。また、上段硬貨投入口2から硬貨選別機14へ硬貨を導く経路に、硬貨の通過検知のみを行う硬貨検知センサ13を設けて上段硬貨投入口2が操作口として使用された場合に制御部10Aがこれを検知できるように構成した。
【0046】
なお、17a〜17d,17g〜17iは硬貨の流れるルートを示している。
本考案は基本的機能としては従来のものと変わりはない。しかし、従来のものが上段硬貨投入口2および下段硬貨投入口3対応にそれぞれ硬貨選別機を設けた複数構成であるのに対し、投入硬貨の真偽判定と、金種判定、硬貨通過経路選別を行う硬貨選別機を一つだけ設けた単一構成として、従来、硬貨選別機の設置スペースの問題から上段硬貨投入口2の設置位置や大きさの制約を受けていたことを解消することができるとともに、硬貨選別機を共用化することで、システムの小型化とコストダウンを図るものであり、硬貨選別機14を共用化しても硬貨投入にどの段の硬貨投入口が使用されたかを検知判定できるようにするために、上段硬貨投入口2からの硬貨投入検知を行うべく、硬貨検知センサ13を設けてある。
【0047】
従って、上段硬貨投入口2に投入された硬貨は、シュータ12を経由して硬貨検知センサ13を通過し、硬貨選別機14に至り、ここで正貨か偽貨かの判別を受け、正貨であれば硬貨金庫15に収納され、偽貨であれば偽貨返却口8に排出される。そして、釣銭払出機11により釣銭を払出す際には、フラッパ9は制御部10Aの指令により動作し、釣銭は上段操作領域部6の釣銭払出口4に払出される。
【0048】
従って、硬貨選別機を共用化した構成でありながら、操作口が上段、下段のいずれであったかを自動判別できて、その操作口対応の釣銭払い出し口に釣銭を払い出すことができる。
【0049】
このように、本システムは装置筐体の正面に大型車運転席の高さに対応した高さ位置である上段操作部領域と普通車運転席の高さに対応した高さ位置である下段操作部領域に料金の投入部と釣銭払い出し部を設けたものにおいて、装置筐体の下方部に上段および下段の硬貨用の投入口からの投入硬貨を導いてその真偽および金種および金額を検出する共用の硬貨選別手段を設けるとともに、上段の硬貨用の投入口に対応して当該上段の投入口からの投入硬貨の検出のための硬貨検知センサを設け、上段硬貨投入口より投入された硬貨は、本センサで検出することとした。そして、硬貨検知センサが硬貨を検知すれば上段にある料金の投入部より硬貨が投入されたことが分かり、硬貨検知センサが検知せずに硬貨選別手段のみが検出動作をした時は下段にある料金の投入部より硬貨が投入されたことが分かるようにした。
【0050】
これにより、上下段の操作部領域のどちらを利用者が選択したのかを判別が可能となり、投入された料金の表示、及び釣銭硬貨の払出しを、硬貨投入に利用した段(高さ位置)の表示部および釣銭払い出し口より行えば良いものとなる。
【0051】
従って、硬貨選別手段を共用することが可能になり、システムのコストダウンと省スペース化を実現できるようになる。
以上は硬貨投入の場合を中心に述べたが、紙幣の場合は各段に設けた紙幣識別機にてそれぞれ金種や真偽を検出されるため、どの段が使用されたかを制御部10Aは掌握できるから、釣銭を払い出す払い出し口は容易に特定でき、その払い出し口を使用した釣銭払い出し制御を実施可能である。
【0052】
なお、本考案は上述した実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施し得るものである。例えば、上記実施例では操作口が上段と下段の高さに設ける2段構成の例を示したが、上段、中段、下段の3段構成のものやそれ以上の段数のものにも本考案は適用可能である。この場合、最下段の投入口以外の上段領域の各投入口対応に硬貨検知センサを設け、各段の投入口からの硬貨は全て共用の硬貨選別手段に送られる構成とすれば、硬貨選別手段を1台のみとして、しかも、どの段の操作口を利用したかが判別可能になる。また、本考案は有料道路における料金収受装置以外に、複数段の硬貨類投入口を有する駐車場の精算機や各種の自動販売機にも適用可能である。
【0053】
【考案の効果】
以上詳述したように、本考案によれば車両の運転席の高さに対応した操作部を複数段有する有料道路用料金収受装置に適用することにより、次の効果が得られる。
【0054】
1.利用者による硬貨投入段の判別に硬貨検知センサを用いる事により、従来2台必要であった硬貨選別機が1台で済むようになる。これにより、省スペースとなり、紙幣識別機等、内部ユニットの保守性が向上する。また、ユニット数の削減となり、コスト低減につながる。
【0055】
2.車両の運転席の高さに対応した上段操作部領域用の硬貨選別機が不要のため、下段操作部領域における利用者の硬貨投入可能範囲を狭める事がなくなり、利用者が容易に硬貨投入口に料金投入が可能となる。
3.制御部は、常に1つの硬貨選別部を制御するのみで良く、従って利用者へのサービスタイムの短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例説明するための図であって、本考案の第1実施例に係る有料道路用料金収受装置の外観図。
【図2】本考案の実施例説明するための図であって、本考案に係る有料道路用料金収受装置の内部構造図。
【図3】本考案の実施例説明するための図であって、本考案に係る有料道路用料金収受装置の硬貨の流れを示すブロック図。
【図4】従来の有料道路用料金収受装置の外観図。
【図5】従来の有料道路用料金収受装置の内部構造を説明するための図。
【図6】従来の有料道路用料金収受装置の硬貨の流れを示すブロック図。
【符号の説明】
1…有料道路用料金収受装置
2…上段硬貨投入口
3…下段硬貨投入口
4…上段釣銭払出口
5…下段釣銭払出口
6…車両の運転席の高さに対応した上段操作部領域
7…車両の運転席の高さに対応した下段操作部領域
8…偽貨返却口
9…フラッパ
10,10A…制御部
11…釣銭払出機
12…シュータ
13…硬貨検知センサ
14…硬貨選別機
15…硬貨金庫
18…従来の有料道路用料金収受装置
19…上段硬貨選別機
20…下段硬貨選別機
21…紙幣識別機
22…紙幣挿入口
23…カード挿入口
24…回数券処理機
25…上段料金表示部
26…下段料金表示部。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 装置筐体の正面に高さ位置を異ならせた複数の操作部設置領域を確保し、各操作部設置領域には少なくとも料金の投入口と、釣銭の払い出し口を設けるとともに、所望の高さ位置における料金の投入口を使用して料金を投入した場合に、釣銭はその料金の投入口対応の高さ位置における釣銭払い出し口より釣銭を払い出すように釣銭払い出し機構を制御する料金収受装置において、装置筐体の下方部に各高さ位置の硬貨用の投入口からの投入硬貨を導いてその金種および金額を検出する共用の硬貨選別手段を設けるとともに、最下部の硬貨用の投入口を除くその上方にある硬貨用の投入口にそれぞれ対応して当該投入口からの投入硬貨の検出のための硬貨検知センサを設け、各硬貨検知センサおよび硬貨選別手段の検出情報に基づいて、硬貨投入に使用された投入口を判別し、釣銭払い出しは当該硬貨投入に使用された投入口の高さ位置対応の釣銭払い出し口を利用すべく釣銭払い出し機構を制御する制御手段とを設けて構成することを特徴とする料金収受装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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