説明

料金計算システム

【課題】トナーの交換毎の課金を正確に実行できる料金計算システムを提供する。
【解決手段】画像形成装置100と料金計算サーバ200とがネットワークを介して接続された料金計算システムであって、前記画像形成装置100は、装着された消耗品の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、前記識別情報読取手段が読み取った現在の消耗品の前記識別情報及び当該画像形成装置の機器識別番号を前記料金計算サーバに送信する送信手段と、を有し、前記料金計算サーバ200は、前記現在の消耗品の識別情報及び当該画像形成装置の機器識別番号を受信する受信手段と、画像形成装置の消耗品毎の識別情報と前記受信手段が受信した前記消耗品の識別情報との関係に基づき、前記消耗品毎に課金するための課金帳票を生成する課金帳票生成手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の消耗品の料金を計算する料金計算システム、料金計算サーバ及び料金計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置にとってトナーや用紙などは消耗品として扱われる。このため、ユーザは消耗品を適宜購入する必要があるが、ユーザが常に適切な数のストックを用意しておくことは面倒な事務処理となっている。例えば、オフィスに複数台の画像形成装置がある場合、1台に1つずつ予備のトナーカートリッジをストックしておけばよいが、同じ機種ならトナーカートリッジも共通なので1台に1つずつストックすることは不要である。しかし、複数台の画像形成装置にストックを1つだけとしてしまうと、ほぼ同時期に複数台の画像形成装置がトナー切れを起こした場合に対応できない。一方、多めにトナーカートリッジをストックしておくことは、経費の前払いになり、また、画像形成装置を機種交換するような場合にストックしたトナーカートリッジが無駄になることもあるため、ユーザとしては避けたいという要請がある。特に、画像形成装置がカラー化されると、色毎のトナーカートリッジをストックする必要が生じるためストックのためのコストを無視できないようになる。
【0003】
この点について、実際に使用した消耗品に対してのみ課金するシステムが考えられる(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、サービス受給者に対し納入する流通物を特定する情報、及び、該サービス受給者による流通物の使用状況を随時記録した管理テーブルを記憶しておき、該サービス受給者が購入したと認定し得る流通物の数を読み出すことで、該サービス受給者に請求する課金額を計算するシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムは、システムが複雑になりコスト増をもたらすという問題がある。
【0005】
ところで、近年は、サービス店の充実に伴い、ユーザが連絡するとほぼ即日、サービス店のカスタマーエンジニア(以下、CEという)がユーザに消耗品を届けることができる。また、サービス店と画像形成装置(トナーも含め)のメーカとは一体でなく、別会社となっていることも少なくない。この場合、画像形成装置のメーカは、消耗品の交換をユーザに提供するサービスを、サービス店に委託する契約をサービス店と結ぶ。
【0006】
このような状況では、サービス店がサービスの提供の度に、サービスの内容(トナー交換だけでなく、その他の消耗品やメンテナンス)に応じて、メーカに保守実施料を請求する態様が多い。このため、メーカは、CEが実施した保守の内容に応じた金額を、その都度、サービス店に支払っている。
【0007】
しかしながら、保守の実行という無形のサービスに課金すると、サービス店、ユーザ、及び、メーカの間で、そのサービスが確かに実施されたか、いつ実施されたか、又は、どのように実施されたかを確認することが困難であった。
【0008】
このため、無形のサービスを含めて有形のトナー等の消耗品に課金することが考えられるが、サービス店としては、サービスの提供後、早期に料金を回収したいという要望は変わらない。
【0009】
そこで、トナーカートリッジという有形物の装着時に、サービス店がメーカに支払いを要求することが考えられる。しかし、1つのサービス店が交換するトナーカートリッジの数は膨大であり、1つのトナーカートリッジの交換の度に、サービス店がメーカに支払いを要求すると、計算漏れや多重加算などの支払い額の誤計算が生じるという問題がある。
【0010】
この点、引用文献1では、月単位などの定期的な課金を想定しており、トナーの交換毎の課金が考慮されていない。また、引用文献1では、システムを実装できないサービス店について考慮されていない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、トナーの交換毎の課金を正確に実行できる料金計算システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
画像形成装置と料金計算サーバとがネットワークを介して接続された料金計算システムであって、前記画像形成装置は、装着された消耗品の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、前記識別情報読取手段が読み取った現在の消耗品の前記識別情報及び当該画像形成装置の機器識別番号を前記料金計算サーバに送信する送信手段と、を有し、前記料金計算サーバは、前記現在の消耗品の識別情報及び当該画像形成装置の機器識別番号を受信する受信手段と、画像形成装置の消耗品毎の識別情報と前記受信手段が受信した前記消耗品の識別情報との関係に基づき、前記消耗品毎に課金するための課金帳票を生成する課金帳票生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
トナーの交換毎の課金を正確に実行できる料金計算システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】料金計算システムの概略構成図の一例である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
【図3】料金計算サーバのハードウェア構成図の一例である。
【図4】料金計算システムの機能ブロック図の一例である。
【図5】履歴データ記憶部に記憶された履歴データの一例を示す図である。
【図6】課金データDBに記憶された課金データの一例を示す図である。
【図7】料金計算システムの動作手順を示すフローチャート図の一例である。
【図8】料金計算システムの概略構成図の一例である(実施例2)。
【図9】サマリーシートの一例を示す図である。
【図10】スキャナ装置と接続されたPCのハードウェア構成図の一例である。
【図11】料金計算システムの機能ブロック図の一例である(実施例2)。
【図12】XML形式で記述した履歴データ記憶部に記憶されている履歴データの一例を示す図である。
【図13】料金計算システムの動作手順を示すフローチャート図の一例を示す(実施例2)。
【図14】図13の手順のうち料金計算サーバの手順の変形例を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本実施形態の料金計算システム400の概略構成図の一例を示す。まず、概略を説明する。
(1)サービス店のカスタマーエンジニア(以下、CEという)が、ユーザの画像形成装置100にトナーを装着する。画像形成装置100は、トナーに配置されたICチップからトナーカートリッジのシリアルナンバーを読み取り、記憶する。
(2)画像形成装置100は、ネットワーク300を介して、料金計算サーバ200に装着履歴データを送信する(料金計算サーバ200はメーカに帰属しているとする。)。装着履歴データには少なくとも、トナーカートリッジ11のシリアルナンバーと画像形成装置100の機器識別番号が含まれる。
(3)料金計算サーバ200は、過去に課金されていないトナーカートリッジ11をシリアルナンバーから判定し、過去に課金されていないトナーカートリッジ11だけの料金をサービス店に支払う。
【0017】
したがって、サービス店はトナーカートリッジ11の装着毎にサービスの料金を集金できる。また、メーカやユーザは、装着履歴データによりトナーカートリッジ11の交換の事実を確認できる。また、トナーカートリッジにユニークなシリアルナンバーにてトナーカートリッジの交換を管理するので、装着されたトナーカートリッジ11の数が多くても計算漏れや多重加算などが生じることがない。
【0018】
画像形成装置100は、MFP(Multi Function Peripherals)、プリンタ、スキャナ、又は、FAX装置等どのような呼称でもよい。また、本実施例では、電子写真方式の画像形成装置100の消耗品であるトナーカートリッジ11を例に説明するが、インクジェット方式の画像形成装置100ではインクが消耗品となる。
【0019】
なお、実際にはトナーカートリッジの交換に際し、付属品も使用される(これらをまとめてキットと呼ばれる)が、本実施形態ではトナーカートリッジ11の料金に課金するとして説明する。
【0020】
図2は、画像形成装置100のハードウェア構成図の一例を示す。画像形成装置100は、内部バスにて接続されたCPU51、ROM52、RAM53、外部I/F54、通信カード55、パネル制御部56、スキャナエンジン制御部57、プロッタエンジン制御部58、FAXエンジン制御部59及び記憶装置61を有する。
【0021】
CPU51は、記憶装置61又はROM52に記憶されたプログラムを、RAM53を作業メモリとして実行することで画像形成装置100の全体を制御する。外部I/F54はUSB等のケーブルや記憶媒体50を装着するインタフェースである。記憶媒体50は、USBメモリ等のフラッシュメモリ、CD−ROM等の光記憶媒体等である。
【0022】
通信カード55は、LANカードやイーサネット(登録商標)カードと呼ばれ、CPU51からの指示により、ネットワーク300を介して料金計算サーバ200にパケットデータ(本実施形態では主に装着履歴データ)を送信し、また、料金計算サーバ200からパケットデータを受信する。
【0023】
パネル制御部56は、操作パネル62にUIを表示し、UIのソフトキーやハード的なキーの操作を受け付ける。スキャナエンジン制御部58は、ユーザが操作パネル62から設定した解像度などの読み取り条件を受け付け、読み取り条件に基づきスキャナエンジン63を制御する。スキャナエンジン63は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に走査して、その反射光をA/D変換して画像処理を施し、所定の解像度のデジタルデータ(以下、画像データという)を生成する。
【0024】
プロッタエンジン制御部58は、ユーザが操作パネル62から設定した印刷枚数などの印刷条件を受け付け、印刷条件に基づきプロッタエンジン64を制御する。プロッタエンジン64は、例えばタンデム型の感光ドラムを有し、上記の画像データや料金計算サーバ200から受信したPDLデータに基づきレーザビームを変調し感光ドラムを走査して潜像を形成する。潜像にトナーを付着して現像した1ページ毎の画像を用紙に熱と圧力で転写する。
【0025】
FAXエンジン制御部59は、ユーザが設定した宛先(FAX番号、電子メールアドレス等)などの送信条件を受け付け、送信条件に基づきFAXエンジン65を制御する。FAXエンジン65は、通信カードを介してネットワーク300に接続し例えばT.37,T.38の規格に対応した通信手順、又は、NCU(Network Control Unit)を介して公衆通信網に接続し例えばG3、G4規格に対応した通信手順、に従い画像データの送受信を行う。また、画像形成装置100の電源がOFFのときに画像データを受信しても、プロッタエンジン64を起動して画像データを用紙に印刷することができる。
【0026】
記憶装置61は、例えばHDDやフラッシュメモリなど、書き換え可能な不揮発メモリである。記憶装置61には、CPUが実行する履歴管理プログラム66、フォントデータ、画像データ及びPDLデータが記憶されている。履歴管理プログラム66は、画像形成装置100の出荷時に記憶装置61に記憶されていてもよいし、画像形成装置100の出荷後に、記憶媒体50に記憶された状態又はネットワーク300上の不図示のサーバから配布されてもよい。
【0027】
図3は、料金計算サーバ200のハードウェア構成図の一例を示す。料金計算サーバ200は、それぞれバスで相互に接続されているCPU71、ROM72、RAM73、外部I/F74、通信装置75、入力装置76、表示制御部77及び記憶装置78を有する。CPU71は、料金計算プログラム81を記憶装置78から読み出して、RAM73を作業メモリにして実行する。
【0028】
RAM73は必要なデータを一時保管する作業メモリ(主記憶メモリ)になり、ROM72にはBIOSや初期設定されたデータ、プログラムが記憶されている。
【0029】
外部I/F74はUSBケーブル等のケーブルや、可搬型の記憶媒体80を装着するインタフェースである。
【0030】
通信装置75は、LANカードやイーサネット(登録商標)カードと呼ばれ、CPU71からの指示により画像形成装置100にパケットデータを送信し、画像形成装置100からパケットデータ(本実施例では主に装着履歴データ)を受信する。
【0031】
入力装置76は、キーボード、マウスなど、ユーザの様々な操作指示を受け付けるユーザインターフェイスである。タッチパネルや音声入力装置を入力装置とすることもできる。表示制御部77は、料金計算プログラム81が指示する画面情報に基づき所定の解像度や色数等でディスプレイ79の描画を制御する。ディスプレイ79は、液晶や有機ELなどのFPD(Flat Panel Display)である。
【0032】
記憶装置78は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発メモリを実体とし、料金計算プログラム81を記憶している。記憶媒体80は、例えば、SDカードやUSBメモリなど不揮発性のメモリである。料金計算プログラム81は、記憶媒体80に記録された状態又は不図示のサーバからダウンロードされる態様で配布される。
【0033】
図4は、料金計算システム400の機能ブロック図の一例を示す。画像形成装置100は、装着検出部12、シリアル読み取り部13、装着履歴データ送信部15、履歴データ更新部14、及び履歴データ記憶部16、を有する。装着検出部12、シリアル読み取り部13、装着履歴データ送信部15及び履歴データ更新部14は、主に、CPUが履歴管理プログラム66を実行することで実現される。
【0034】
CEは、トナー切れしたトナーカートリッジを取り外し新しいトナーカートリッジ11を画像形成装置100に装着する。装着検出部12は、トナーカートリッジ11の装着を検出する。カラーの画像形成装置100の場合、装着されたトナーカートリッジ11のトナー色も、装着検出部12により検出される。検出方法はどのような方法でもよいが、トナーカートリッジ11の装着によりオンするスイッチ、トナーの重量が閾値を超えたことを検出する重量計、又は、CEがトナーカートリッジ11の装着時に操作するスイッチや
入力情報等、どのようなものでもよい。
【0035】
シリアル読み取り部13は、トナーカートリッジ11のシリアルナンバーをトナーカートリッジ11から読み取る。トナーカートリッジ11にはICチップが埋設又は貼付されている。または、バーコードが貼付されていてもよい。ICチップには、トナーカートリッジ11のシリアルナンバーが記憶されている。シリアルナンバーは一意性が保証される番号であり、トナーカートリッジ11を特定することを可能にする。
【0036】
なお、シリアル読み取り部13が定期的(例えば、電源オン時)にシリアルナンバーを読み取るようにして、シリアルナンバーが変化したことからトナーカートリッジ11の装着を検出することもできる。この場合、装着検出部12は不要である。
【0037】
履歴データ更新部14は、履歴データ記憶部16に記憶された履歴データを更新する。装着履歴データ送信部15は、装着履歴データを料金計算サーバ200に送信する。図を用いて説明する。
【0038】
図5は、履歴データ記憶部16に記憶された履歴データの一例を示す図である。履歴データ記憶部16は、例えば記憶装置61を実体とする。履歴データの左から1列目の「Kn(n:0,1,2…)」は、黒のトナーカートリッジ11の装着履歴を示す。「K0」が現在のトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを、「K1」は「K0」と置き換えられたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを、「K2」は「K1」と置き換えられたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを、「K3」は「K2」と置き換えられたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを、「K4」は「K3」と置き換えられたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを、それぞれ示す。
【0039】
左から2列目の「1006111234」〜「1002111234」は、「K0」〜「K4」各トナーカートリッジ11の装着日時を示す。例えば、「10」は2010年、「0611」は6月11日、「1234」は12時34分を意味する。
【0040】
左から3列目の「0808NJ25008542」〜「0808NJ25008546」は、「K0」〜「K4」各トナーカートリッジ11のシリアルナンバーの一部を、4列目の「003552」〜「003556」は残りの一部をそれぞれ意味する。2つに分けることで、どちらか一方で管理可能な場合はどちらか一方だけを処理対象とすることができる。本実施例では特に区別せず、3列目と4列目のいずれか一方又は両方をシリアルナンバーという。
【0041】
図4の履歴データ更新部14は、例えば、黒のトナーのトナーカートリッジ11が装着された場合、「K4」に対応づけられたシリアルナンバーを消去して、「K0〜K3」のシリアルナンバーをそれぞれ「K1〜K4」のシリアルナンバーに更新する。模式的には、一番左の列の「K0〜K4」はそのままに、K0〜K4の装着日時とシリアルナンバーを1行ずつ下にずらす。そして、履歴データ更新部14は、シリアル読み取り部13が読み取ったシリアルナンバーを、「K0」に対応づけて登録する。
【0042】
また、履歴データ更新部14は、CPUが保持している(カウントしている)カレンダの年月日と日時を、「K0」に対応づけて左から2列目の装着日時に登録する。こうすることで、各色毎に、過去の4つのシリアルナンバーを記憶したまま、最新の(現在の)シリアルナンバーを登録できる。
【0043】
そして、装着履歴データ送信部15は、少なくとも装着されたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを料金計算サーバ200に送信する。ここで、装着されたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーしか送信しないと、通信エラー等が生じた場合に課金できなくなってしまう。よって、好ましくは、装着履歴データ送信部15は、複数個のシリアルナンバーを送信する。本実施例では、例えば、装着されたトナーカートリッジ11と同じ色の全ての(図では5個)トナーカートリッジ11のシリアルナンバー及び装着日時、または、履歴データ記憶部16に記憶された全てのトナーカートリッジ11のシリアルナンバー及び装着日時、を送信する。このように、複数個のシリアルナンバーを送信しても、料金計算サーバ200はすでに課金したシリアルナンバーをチェックするので重複して課金されることはない。
【0044】
装着履歴データ送信部15は、送信元の画像形成装置100を特定する機器識別番号、及び、装着された日時を特定するため装着日時を、シリアルナンバーと共に料金計算サーバ200に送信する。装着履歴データはこの3つのデータを有する。なお、機器識別番号は、画像形成装置100のROM52に記憶されている。
【0045】
料金計算サーバ200について説明する。料金計算サーバ200は、重複課金判定部21、起票部22、課金データ登録部23及び課金データDB24を有する。重複課金判定部21、起票部22及び課金データ登録部23は、主に、CPU71が料金計算プログラム81を実行することで実現される。
【0046】
重複課金判定部21は、課金データDB24を参照して、受信した装着履歴データのトナーカートリッジ11のうち、まだ課金されていないトナーカートリッジ11を特定する。図を用いて説明する。
【0047】
図6は、課金データDB24に記憶された課金データの一例を示す図である。課金データには、機器識別番号に対応づけられた、過去のトナーカートリッジ11のシリアルナンバーが登録されている。また、最右列にはそのトナーカートリッジ11をすでに課金したか否かを示す課金有無情報が登録されている。「済み」は課金されたことを示し、「none」は課金されていないことを示す。
【0048】
課金データDB24には、過去数年分または数十件〜数百件のトナーカートリッジ11のシリアルナンバーが記憶される。各色毎に、装着履歴データに含まれるシリアルナンバーの数以上のシリアルナンバーを登録しておくことで、重複判定が可能になる。
【0049】
重複課金判定部21は、装着履歴データに含まれるシリアルナンバーを1つずつ抽出し、課金データDB24に同一のシリアルナンバーがあるか否かを判定する。シリアルナンバーだけでなく、日時も含め、同一か否かを判定してもよい。そして、同一のシリアルナンバーが見つかると、課金有無情報が「済み」か否かを判定し、課金有無情報が「済み」の場合、重複課金判定部21は、そのシリアルナンバーのトナーカートリッジ11について課金が済んでいると判定する(2度目の課金はしない。)。
【0050】
同一のシリアルナンバーが見つかり、さらに課金有無情報が「済み」でない場合、重複課金判定部21は、そのシリアルナンバーのトナーカートリッジ11について課金すると判定する。本実施例では、料金計算サーバ200が、トナーカートリッジ11の装着の度に課金するとしているので、この状況は起こりにくい。しかし、課金有無情報があることで、例えば、料金計算サーバ200が装着履歴データのシリアルナンバーをいったん課金データDB24に記憶した後、課金するような課金方法にも対応できる。
【0051】
同一のシリアルナンバーが見つからない場合、重複課金判定部21は、そのシリアルナンバーを起票部22に送出すると共に、課金帳票を生成するよう要求する。起票部22は、1つのトナーカートリッジ11毎に、課金帳票を生成する。課金帳票は印刷され又は電子データのまま、サービス店、メーカ及びユーザの三者に送信される。
・サービス店は、課金帳票によりトナーカートリッジ11に付随するサービス量を含めて、メーカに料金の支払いを要求できる。メーカは、課金帳票に基づきトナーカートリッジ11が交換されたこと及び付随するサービスが提供されたことを確認して料金を支払う。
・メーカは、課金帳票に基づき、トナーカートリッジ11と付随するサービスに対する料金の支払いをユーザに要求できる。ユーザは、課金帳票に基づきトナーカートリッジ11が交換されたこと及び付随するサービスが提供されたことを確認して料金を支払う。
【0052】
また、課金データ登録部23は、まだ登録していないトナーカートリッジ11のシリアルナンバー及び装着日時を課金データDB24に登録する。本実施例では、料金計算サーバ200がトナーカートリッジ11の装着の度に課金するので、課金データ登録部23は、シリアルナンバーと装着日時にさらに「済み」の課金有無情報を対応づけて、1つのレコードを登録する。なお、最も古いレコードを削除してもよい。
【0053】
図7は、料金計算システム400の動作手順を示すフローチャート図の一例を示す。図7の手順は、例えばサイクル時間毎に繰り返してスタートされるか、又は、トナーカートリッジ11の装着によりスタートされる。
【0054】
装着検出部12は、トナーカートリッジ11の新たな装着を監視しており(S10)、装着を検出するとシリアル読み取り部13に、シリアルナンバーの読み取りを要求する(S10のYes)。
【0055】
シリアル読み取り部13は、装着されたトナーカートリッジ11(各色ある場合は装着された色のトナーカートリッジ11)の例えばICチップから、シリアルナンバーを読み出す(S20)。シリアル読み取り部13は、シリアルナンバーを履歴データ更新部14に通知して、履歴データ記憶部16を更新するよう要求する。
【0056】
履歴データ更新部14は、履歴データ記憶部16を更新する(S30)。すなわち、履歴データ記憶部16における「(C・M・Y・Kのいずれか)4」に対応づけられたシリアルナンバーを消去して、「(C・M・Y・Kのいずれか)0〜(C・M・Y・Kのいずれか)3」のシリアルナンバーをそれぞれ「(C・M・Y・Kのいずれか)1〜(C・M・Y・Kのいずれか)4」に対応づけて登録する。
【0057】
また、履歴データ更新部14は、シリアル読み取り部13が読み取ったシリアルナンバーを、「(C・M・Y・Kのいずれか)0」に対応づけて登録する。また、履歴データ更新部14は、カレンダの年月日と日時を装着日時として、「(C・M・Y・Kのいずれか)0」に対応づけて履歴データ記憶部16に登録する。履歴データ更新部14は履歴データ記憶部16を更新すると、装着履歴データ送信部15に装着履歴データの送信を要求する。
【0058】
なお、履歴データ更新部14は、装着が検出されたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーの登録前に、すでに履歴データ記憶部16に同じシリアルナンバーが登録されているか否かを判定してもよい。こうすることで、修理などの理由でいったん装着したトナーカートリッジ11を再度装着した場合に、履歴データ記憶部16を更新してしまうことを防止できる。
【0059】
装着履歴データ送信部15は、ROM52から機器識別番号を、履歴データ記憶部16から、装着されたトナーカートリッジと同色の全ての装着日時とシリアルナンバーとをそれぞれ読み出し、通信カードを介して装着履歴データを料金計算サーバ200に送信する(S40)。
【0060】
料金計算サーバ200の処理に移り、料金計算サーバ200は通信装置75により装着履歴データを受信する(S110)。料金計算サーバ200は、装着履歴データの受信をトリガーにして重複課金判定部21に重複の判定を要求する。
【0061】
まず、重複課金判定部21は、装着履歴データに含まれるシリアルナンバーを1つ取り出す(S120)。なお、重複課金判定部21は、装着履歴データに含まれる機器機別番号により画像形成装置100を特定している。
【0062】
そして、重複課金判定部21は、同じシリアルナンバーが課金データDB24にすでに登録されているか否かを判定する(S130)。
【0063】
同じシリアルナンバーが課金データDB24に登録されていない場合(S130のNo)、重複課金判定部21は課金データ登録部23に装着履歴データの登録を要求し、起票部22に起票を要求する。なお、処理は、ステップS140に進む。
【0064】
同じシリアルナンバーが課金データDB24に登録されている場合(S130のYes)、重複課金判定部21は、装着履歴データと同じ課金データDB24のシリアルナンバーの課金有無情報が「済み」か否かを判定する(S170)。
【0065】
課金済みでない場合(S170のYes)、重複課金判定部21は起票部22に課金徴表の生成を要求し、処理はステップS150に進む。
【0066】
課金済みの場合(S170のNo)、重複課金判定部21は、ステップS120で特定したシリアルナンバーのトナーカートリッジ11の課金はすでに終了していると判定し、何もしない。
【0067】
そして、ステップS140において、課金データ登録部23は、ステップS120で特定したシリアルナンバー、装着日時及び「済み」の課金有無情報を、課金データDB24に登録する(S140)。
【0068】
ついで、起票部22は、1つのトナーカートリッジ11毎に、課金帳票を起票する(S150)。
【0069】
重複課金判定部21は、装着履歴データの全てのシリアルナンバーを処理したか否かを判定し(S160)、装着履歴データに処理していないシリアルナンバーが含まれている場合(S160のNo)、ステップS120以下の処理を繰り返す。
【0070】
以上説明したように、本実施例の料金計算システム400は、トナーの装着毎に課金するので、実際にサービスが行われたか否かが後に問題になることがなく、サービス店が早期に料金を回収できる。トナー毎の課金にしても、そのトナーカートリッジ11に過去に課金したか否かを判定するので、重複して課金することも防止できる。
【実施例2】
【0071】
実施例1では、画像形成装置100と料金計算サーバ200とがネットワーク300を介して接続されていることを前提に説明した。しかし、ユーザによっては画像形成装置100をネットワーク300に接続せずに使用することを好む場合もあるし、何らかの通信系の故障によりネットワーク300を介した通信が困難になる場合がある(以下、単に「両者が接続されていない」という。)。
【0072】
本実施例では、画像形成装置100が料金利用サーバ200に装着履歴データを送信することなく、トナーカートリッジ11の装着毎に課金できる料金計算システム400について説明する。
【0073】
図8は、本実施例の料金計算システム400の概略構成図の一例である。図8において図1と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。概略を説明する。
(1)サービス店のCEが、ユーザの画像形成装置100にトナーを装着する。画像形成装置100は、トナーカートリッジ11に配置されたICチップからトナーカートリッジのシリアルナンバーを読み取り、記憶する。
(2)画像形成装置100は、サマリーシートを印刷する。サマリーシートには少なくとも、トナーカートリッジのシリアルナンバー、画像形成装置100の機器識別番号、及び、SUMデータが含まれる。サマリーシートは、料金計算システム400に接続されたスキャナ装置500により読み取られる。
(3)スキャナ装置500に接続されたPC(Personal Computer)600は、スキャナ装置500が読み取った画像データをOCR処理して、トナーカートリッジ11のシリアルナンバーと画像形成装置100の機器識別番号及びSUMデータをテキストデータに変換する。
(4)そして、料金計算サーバ200は、テキストデータのシリアルナンバーから求めたSUMデータと、テキストデータに含まれていたSUMデータを用いて、サマリーシートが正確に読み取られてかつシリアルナンバーが正しくOCR処理されたか否かを判定し、正しい場合にのみ課金処理を開始する。
【0074】
画像形成装置100と料金計算サーバ200がネットワーク300を介して接続されていない場合には、サマリーシートを打ち出し、それをOCR処理することで、料金計算サーバ200への電子データの入力が可能となる。読み取り時の画像データの品質やOCR処理の不確かさ(以下、「読み取りミス」という)はSUMデータにより補うことができる。
【0075】
図9は、サマリーシートの一例を示す図である。サマリーシートは、機器情報欄31、装着履歴データ欄32、及び、書誌情報欄33を有する。機器情報欄31は、「機器識別番号」、「SVコード」及びサマリーシートの「出力日」の各項目を有する。なお、「SVコード」はサービス店を識別するコードである。
【0076】
書誌情報欄33は、ユーザ名を表す「会社名/拠点名」、連絡先である「電話番号」、及び、画像形成装置100の「担当者名」の各項目を有する。
【0077】
装着履歴データ欄32は、実施例1の履歴データ記憶部16と同様の情報を有するが、SUMデータを有する点で異なる。装着履歴データ欄32には、各色毎にシリアルナンバーのSUMデータが記述されている。また、本実施例では、各色毎に装着日時のSUMデータが記述されている。
【0078】
SUMデータの算出方法の一例を説明する。例えば、黒色(K0〜K4)のトナーカートリッジ11のシリアルナンバーが「003552」「003553」「003554」「003555」「003556」の場合、画像形成装置100は、同じ桁同士を加算していき、加算結果の下一桁をその桁のSUMデータとする。例えば、シリアルナンバーの一の位「2」「3」「4」「5」「6」を加算した値「20」の下一桁である「0」がSUMデータである。
【0079】
後述するように、この計算を料金計算サーバ200でも行うことで、サマリーシートが正確に読み取られていること及び正確なOCR処理が実行されたことを確認できる。また、各色毎に、SUMデータを求めることで、読み取りミスが生じたシリアルナンバーを特定しやすくできる。
【0080】
なお、図では装着日時に対しても各色毎にSUMデータが求められている。料金計算サーバ200が装着日時でもSUMデータを検証することで、サマリーシートの読み取りミスを検出しやすくすることができる。料金計算サーバ200がサマリーシートの装着日時を使用せずに装着の日時を管理する場合(例えば、テキストデータの受信日時、「出力日」、OCR処理した日時等を使用する場合)、必ずしも装着日時でSUMデータを求めておく必要はない。
【0081】
図10は、スキャナ装置500と接続されたPC600のハードウェア構成図の一例を示す。スキャナ装置500の機能は画像形成装置100のスキャナエンジン制御部57及びスキャナエンジン63と同様であるので、説明は省略する。
【0082】
PC600はスキャナ装置500及び料金計算サーバ200とネットワーク300を介して、又は、直接接続されている。また、PC600と料金計算サーバ200とが一体でもよく、更にはスキャナ装置500がPC600と一体でもよく、スキャナ装置500とPC600と料金計算サーバ200が一体でもよい。
【0083】
PC600は、バスで相互に接続されているCPU601、ROM602、RAM603、外部I/F604、通信装置605、入力装置607、表示制御部608及び記憶装置609を有する。各ブロックにおいてと料金計算サーバ200と同一ブロックの説明は省略する。
【0084】
PC600の記憶装置609には、CPU601が実行するOCRプログラム620が記憶されている。OCRプログラム620は、PC600の出荷時に記憶装置609に記憶されていてもよいし、PC600の出荷後に、記憶媒体に記憶された状態又はネットワーク300上の不図示のサーバから配布されてもよい。
【0085】
CPU601は、OCRプログラム620を記憶装置609から読み出して、RAM603を作業メモリにして実行する。OCRプログラム620は画像データの濃淡から、サマリーシートの記述内容を文字、数字、記号などのテキストデータに変換するプログラムである。よってPC600はサマリーシートから抽出したテキストデータを料金計算サーバ200に送信することができる。
【0086】
図11は、料金計算システム400の機能ブロック図の一例を示す。図11において図4と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。画像形成装置100は、新たに、SUMデータ計算部41、及び、サマリーシート印刷部42を有する。
【0087】
SUMデータ計算部41は、履歴データ記憶部16に記憶された履歴データのSUMデータを計算する。古いSUMデータは上書きされる。例えば、履歴データ更新部14が履歴データ記憶部16に記憶された履歴データを更新する毎に、SUMデータ計算部41はSUMデータを計算する。
【0088】
具体的には、SUMデータ計算部41は、各色毎にシリアルナンバー及び装着日時のSUMデータを計算する。計算されたSUMデータを、履歴データ更新部14は履歴データ記憶部16に登録する。
【0089】
サマリーシート印刷部42は、サマリーシートを用紙などの記録部材に印刷する。
図12は、XML形式で記述した履歴データ記憶部16に記憶されている履歴データの一例を示す図である。XML形式で記憶しておくことで、編集が容易になる。この履歴データに、予め記憶するXSLTスタイルシート(図のtable.xslファイル)を適用することで、履歴データを表形式にて表すことができる。サマリーシート印刷部42は、このようにして生成した表形式の履歴データをプロッタエンジン制御部58に送出し印刷を要求する。
【0090】
ユーザはサマリーシートを持ってスキャナ装置500に赴く。スキャナ装置500は、操作パネル43、スキャナエンジン44及び画像データ送信部45を有する。操作パネル43、スキャナエンジン44及び通信カード46は、画像形成装置100と同様の機能なので説明を省略する。
【0091】
ユーザがサマリーシートをスキャナ装置500に載置して読み取りを実行すると、スキャナエンジン44が例えばTiffフォーマット等の画像データを生成し、記憶装置に記憶する。画像データ送信部45は、通信カード46を介して画像データをPC600に送信する。
【0092】
PC600は、OCR処理部47及びテキストデータ送信部48を有する。OCR処理部47は、画像データにOCR処理を施し、画像データをテキストデータに変換する。このテキストデータには、サマリーシートの全情報、すなわち装着履歴データも含まれることになる。テキストデータ送信部48は、通信装置605を介してテキストデータを料金計算サーバ200に送信する。
【0093】
料金計算サーバ200は、新たに、SUMデータ検証部49を有する。SUMデータ検証部49は、テキストデータのSUMデータと、テキストデータのシリアルナンバーから計算したSUMデータが一致するか否かに基づき、SUMデータを検証する。
【0094】
SUMデータ検証部49は、テキストデータから、各色毎に現在と過去の4つのシリアルナンバーを抽出する。そして、同じ桁同士を加算していき、加算結果の下一桁をその桁のSUMデータとする計算方法で、SUMデータを計算する。これを、C、M、Y、Kの全てで行い、RAM73に記憶する。
【0095】
そして、SUMデータ検証部49は、テキストデータから、各色のSUMデータを抽出し、RAM73に記憶した各色のSUMデータと、色毎に比較する。SUMデータ検証部49は、テキストデータの装着日時に対し同様の計算を行い、各色毎に、テキストデータのSUMデータと一致するか否かを判定する。全ての色で、シリアルナンバーと装着日時のSUMデータが一致した場合、読み取りミスはなかったとしてよいので、実施例1と同様の処理が実行される。
【0096】
すなわち、重複課金判定部21は、課金データDB24を参照して、受信したテキストデータのトナーカートリッジ11のうち、まだ課金されていないトナーカートリッジ11を特定する。
【0097】
起票部22は、1つのトナーカートリッジ毎に、課金帳票を生成する。課金データ登録部23は、まだ登録していないトナーカートリッジ11のシリアルナンバー及び装着日時を課金データDB24に登録する。
【0098】
4色のうち一色でもSUMデータが一致しない場合、読み取りミスが生じたことになる。この場合、SUMデータ検証部49はエラーメッセージをPC600に通知することが好適である。ユーザは、エラーメッセージに基づき、サマリーシートを再度スキャナ装置500で読み取ったり、テキストデータとサマリーシートを目視により比べて、入力装置607を操作してテキストデータを修正する。これにより、PC600はサマリーシートの記述と等しいテキストデータを生成することができる。
【0099】
また、SUMデータが一致しない色が3色までの場合、装着日時のSUMデータを利用することで、装着されたトナーカートリッジ11を特定し、そのトナーカートリッジ11が読み取りミスが生じた色でないことを条件に、課金の処理を進めることもできる。この手順については後述する。
【0100】
図13は、料金計算システム400の動作手順を示すフローチャート図の一例を示す。図13において図7と同一の手順は簡単に説明する。
【0101】
装着検出部12は、トナーカートリッジ11の新たな装着を監視しており(S10)、装着を検出するとシリアル読み取り部13に、シリアルの読み取りを要求する(S10のYes)。本実施例では、装着されたトナーカートリッジ毎に1枚のサマリーシートを印刷する。CEはトナーカートリッジ11の装着後、操作パネル62を操作して画像形成装置100にサマリーシートを印刷させる。または、履歴データ更新部14が履歴データの更新後に、SUMデータ計算部41にSUMデータの計算を要求してもよい。
【0102】
このように、1つのトナーカートリッジ11の装着が1枚のサマリーシートの印刷のトリガーとなる。同時に複数のトナーカートリッジ11が装着されても、装着されたトナーカートリッジ11の数だけサマリーシートを印刷することが好ましい。
【0103】
シリアル読み取り部13は、装着されたトナーカートリッジ11(各色ある場合は装着された色のトナーカートリッジ)の例えばICチップから、シリアルナンバーを読み出す(S20)。
【0104】
履歴データ更新部14は、履歴データ記憶部16を更新する(S30)。履歴データを更新すると履歴データ更新部14は、SUMデータ計算部41にSUMデータの計算を要求する。
【0105】
SUMデータ計算部41は、各色毎にシリアルナンバー及び装着日時のSUMデータを計算する(S32)。SUMデータ計算部41は計算の完了を履歴データ更新部14に通知し、履歴データ更新部14は計算されたSUMデータを履歴データ記憶部16に登録する。履歴データ更新部14はサマリーシート印刷部42に、サマリーシートの印刷を要求する。
【0106】
サマリーシート印刷部42は、履歴データ記憶部16からXML形式の履歴データを読み出し、XSLスタイルシートを適用して生成した表形式の履歴データを、プロッタエンジン制御部58に打ち出すよう要求する(S42)。これにより、プロッタエンジン64がサマリーシートを印刷する。
【0107】
次に、スキャナ装置500の処理に移る。ユーザがスキャナ装置500の操作パネルを操作して、予め記憶されているPC600のIPアドレスを指定してサマリーシートの読み取りを実行すると、スキャナ装置500のスキャナエンジン44がサマリーシートを読み取る(S210)。これにより、サマリーシートの画像データが生成され、RAM等に記憶される。
【0108】
画像データが生成されると、画像データ送信部45は通信カード46を介して、RAMに記憶された画像データをIPアドレスが指定するPC600に送信する(S220)。
【0109】
次に、PC600の処理に移る。ユーザがPC600の入力装置607を操作することで、又は、画像データを受信することで自動的に、PC600のOCR処理部47が画像データにOCR処理を施す(S310)。これにより、サマリーシートの画像データがテキストデータに変換され、RAM603等に記憶される。
【0110】
テキストデータが生成されると、ユーザがPC600を操作することで、又は、テキストデータが生成されることで自動的に、テキストデータ送信部48は通信装置606を介してテキストデータを料金計算サーバ200に送信する(S320)。
【0111】
次に、料金計算サーバ200の処理に移る。料金計算サーバ200は通信装置75によりテキストデータを受信する(S112)。
【0112】
テキストデータを受信したことをトリガーにSUMデータ検証部49が、テキストデータのシリアルナンバーのSUMデータと装着日時のSUMデータが、それぞれSUMデータ検証部49が計算で求めたSUMデータと、全て一致したか否かを判定する(S114)。本フローチャートでは、合計4つのシリアルナンバーのSUMデータ、及び、合計4つの装着日時のSUMデータについて検証するものとする。
【0113】
シリアルナンバーのSUMデータの計算値とテキストデータのSUMデータ、装着日時のSUMデータの計算値とテキストデータのSUMデータ、が8つとも一致するわけではない場合(S114のNo)、サマリーシートの読み取りミスが生じている可能性があるので、SUMデータ検証部49はエラーメッセージをPC600に送信する(S116)。これにより、ユーザは再度、テキストデータを修正する必要があることを把握できる。
【0114】
シリアルナンバーと装着日時の8つのSUMデータが全て一致した場合(S114のYes)、SUMデータ検証部49は、重複課金判定部21に重複の判定を要求する。以降の処理は、実施例1と同様である。
【0115】
まず、重複課金判定部21は、テキストデータに含まれるシリアルナンバーを1つ取り出す(S120)。なお、重複課金判定部21は、テキストデータに含まれる機器機別番号により画像形成装置100を特定している。
【0116】
そして、重複課金判定部21は、同じシリアルナンバーが課金データDB24にすでに登録されているか否かを判定する(S130)。
【0117】
同じシリアルナンバーが課金データDB24に登録されていない場合(S130のNo)、重複課金判定部21は課金データ登録部23に装着履歴データの登録を要求し、起票部22に起票を要求する。なお、処理は、ステップS140に進む。
【0118】
同じシリアルナンバーが課金データDB24に登録されている場合(S130のYes)、重複課金判定部21は、装着履歴データと同じ課金データDB24のシリアルナンバーの課金有無情報が「済み」か否かを判定する(S170)。
【0119】
課金済みでない場合(S170のYes)、重複課金判定部21は起票部22に課金徴表の生成を要求し、処理はステップS150に進む。
【0120】
課金済みの場合(S170のNo)、重複課金判定部21は、ステップS120で特定したシリアルナンバーのトナーカートリッジ11の課金はすでに終了していると判定し、何もしない。
【0121】
そして、ステップS140において、課金データ登録部23は、ステップS120で特定したシリアルナンバーに対応づけられた、装着日時及び「済み」の課金有無情報を、課金データDB24に登録する(S140)。
【0122】
ついで、起票部22は、1つのトナーカートリッジ11毎に、課金帳票を起票する(S150)。
【0123】
重複課金判定部21は、装着履歴データの全てのシリアルナンバーを処理したか否かを判定し(S160)、装着履歴データに処理していないシリアルナンバーが含まれている場合(S160のNo)、ステップS120以下の処理を繰り返す。
【0124】
以上のように、サマリーシートにSUMデータを記述しておき、シリアルナンバーと装着日時が正しいことを検証することで、画像形成装置100と料金計算サーバ200が接続されていなくても、計算漏れや多重加算などが生じることなく課金することができる。
【0125】
<変形例>
図14は、図13の手順のうち料金計算サーバ200の手順の変形例を示すフローチャート図の一例である。ステップS114までの処理は図13と同じである。
【0126】
シリアルナンバーと日時のSUMデータが全て一致しない場合(S114のNo)、サマリーシートの読み取りミスが生じている可能性があるが、読み取りミスにより課金が困難かどうかを判定するため、SUMデータ検証部49は、シリアルナンバーの1つ以上のSUMデータは一致しているか否かを判定する(S410)。1つでもシリアルナンバーのSUMデータが一致していれば、課金できる可能性があるためである。
【0127】
シリアルナンバーの1つ以上のSUMデータが一致していない場合(S410のNo)、すなわちシリアルナンバーの4つのSUMデータが全て一致しない場合は、SUMデータ検証部49はエラーメッセージをPC600に送信する(S116)。
【0128】
シリアルナンバーの1つ以上のSUMデータが一致している場合(S410のYes)、装着されたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを特定できるよう、SUMデータ検証部49は、テキストデータの装着日時の4つのSUMデータが、それぞれSUMデータ検証部49が計算で求めた4つSUMデータと、全て一致したか否かを判定する(S420)。
【0129】
装着日時のSUMデータの全ては一致しない場合(S420のNo)、装着されたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーを特定できないので、SUMデータ検証部49はエラーメッセージをPC600に送信する(S116)。
【0130】
装着日時のSUMデータが全て一致する場合(S420のYes)、SUMデータ検証部49はテキストデータの各色の現在の装着日時のうち最も最近の装着日時を特定し、その装着日時に対応づけられたシリアルナンバーを特定する(S430)。例えば、K0の日時がC0、M0、Y0よりも新しい場合、SUMデータ検証部49はK0に対応づけられたシリアルナンバーを特定する。
【0131】
そして、SUMデータ検証部49は、特定したシリアルナンバーが加算結果に含まれるSUMデータが、計算により求めたSUMデータと一致したか否かを判定する(S240)。こうすることで、装着されたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーと装着日時には読み取りミスがないことが高確度で判定できる。
【0132】
SUMデータが一致しない場合(S440のNo)、装着されたトナーカートリッジ11のシリアルナンバーのOCR処理が成功しているか否か不明なので、SUMデータ検証部49はエラーメッセージをPC600に送信する(S116)。
【0133】
SUMデータが一致した場合(S440のYes)、処理はステップS130に進み、 重複課金判定部21は、ステップS430で特定したシリアルナンバーが課金データDB24にすでに登録されているか否かを判定する(S130)。以降の処理は、図13と同様である。
【0134】
したがって、図13の手順と異なり、ステップS114でシリアルナンバーと装着日時のSUMデータが全ては一致しない場合でも、装着したトナーカートリッジ11(サマリーシートの印刷のトリガーとなった)のシリアルナンバーに読み取りミスがないと確認して、課金することが可能になる。
【0135】
以上説明したように、本実施例の料金計算システム400は、画像形成装置100がネットワーク300に接続されていなくても、サマリーシートを読み取ることで、トナーカートリッジ11毎に課金することができる。
【符号の説明】
【0136】
11 トナーカートリッジ
12 装着検出部
13 シリアル読み取り部
14 履歴データ更新部
15 装着履歴データ送信部
16 履歴データ記憶部
21 重複課金判定部
22 起票部
23 課金データ登録部
24 課金データDB
41 SUMデータ計算部
42 サマリーシート印刷部
45 画像データ送信部
47 OCR処理部
48 テキストデータ送信部
49 SUMデータ検証部
100 画像形成装置
200 料金計算サーバ
300 ネットワーク
400 料金計算システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】
【特許文献1】特開2002−099836号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と料金計算サーバとがネットワークを介して接続された料金計算システムであって、
前記画像形成装置は、
装着された消耗品の識別情報を読み取る識別情報読取手段と、
前記識別情報読取手段が読み取った現在の消耗品の前記識別情報及び当該画像形成装置の機器識別番号を前記料金計算サーバに送信する送信手段と、を有し、
前記料金計算サーバは、
前記現在の消耗品の識別情報及び当該画像形成装置の機器識別番号を受信する受信手段と、
画像形成装置の消耗品毎の識別情報と前記受信手段が受信した前記消耗品の識別情報との関係に基づき、前記消耗品毎に課金するための課金帳票を生成する課金帳票生成手段と、
を有することを特徴とする料金計算システム。
【請求項2】
前記画像形成装置の消耗品毎の識別情報を記憶した課金データ記憶手段を有することを特徴とする請求項1記載の料金計算システム。
【請求項3】
前記消耗品はトナーカートリッジを含み、
前記画像形成装置は、
前記識別情報と前記トナーカートリッジの色情報及び前記トナーカートリッジが装着された日時情報とを対応づけて記憶する識別情報記憶手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項2記載の料金計算システム。
【請求項4】
前記送信手段は、装着された前記トナーカートリッジと同色のトナーカートリッジの前記識別情報及び前記日時情報、または前記識別情報記憶手段に記憶されたトナーカートリッジの識別情報及び前記日時情報を送信する、
ことを特徴とする請求項3記載の料金計算システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記トナーカートリッジの装着履歴を記憶した装着履歴記憶手段を更に備え、該装着履歴記憶手段は、現在のトナーカートリッジの識別情報、現在のトナーカートリッジに置換されたトナーカートリッジの識別情報、該置換されたトナーカートリッジに置換されたトナーカートリッジの情報を記憶する、
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか一に記載の料金計算システム。
【請求項6】
前記料金サーバは、前記受信手段が受信した前記識別情報と同一の識別情報が前記課金データ記憶手段に記憶されているか否かを判定する判定手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の料金計算システム。
【請求項7】
前記課金データ記憶手段は前記識別情報にかかるトナーカートリッジへの課金が済んでいるか否かを表す課金有無情報を前記識別情報及び前記トナーカートリッジが装着された日時情報と対応付けて記憶し、
前記判定手段は、前記受信手段が受信した前記識別情報と同一の識別情報が前記課金データ記憶手段に記憶されている場合、前記課金有無情報に基づき、前記同一の識別情報にかかるトナーカートリッジの課金有無を判定し、課金済のときは重複課金をせず、課金済みでないときは、前記課金帳票生成手段に課金帳票の生成を要求する、
ことを特徴とする請求項6に記載の料金計算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−65311(P2013−65311A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223273(P2012−223273)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2010−119871(P2010−119871)の分割
【原出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】