説明

斜め出し入れ縦型洗濯機

【課題】 縦型洗濯機において、洗濯物の出し入れを容易にするため、斜め出し入れ縦型洗濯機を提供する。
【解決手段】 洗濯物の出し入れを行う開口部と一体となった洗濯槽を、出し入れ時に使用者が利用しやすい角度まで、前面に傾斜することで出し入れが容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型洗濯機において、洗濯物の出し入れを容易にするため、出し入れを行う開口部と一体となった洗濯槽を、出し入れ時に前面に傾斜できることを特徴とする、斜め出し入れ縦型洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の縦型洗濯機は、洗濯物の出し入れを行う開口部が、上部に設けられていることから、使用者の体型によっては、無理な姿勢を強いられるなど、必ずしも使い勝手はよくなかった。
【0003】
一方、ドラム式洗濯機は、通常、正面下部に出し入れ口があり、かがんで出し入れを行う必要があることから、使い勝手はよくなかった。
そこで、洗濯物の出し入れを容易にできるように考案された洗濯機がある。例えば、松下電器産業株式会社製品のななめドラム(商品名)が、また、横向きの水平型のドラム式においては、上部から洗濯物の出し入れができる洗濯機として、例えば、三洋電機株式会社製品のトップオープンドラム(商品名)がある。
しかし、これらはすべてドラム式洗濯機であり、縦型洗濯機において考案されたものはなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縦型洗濯機は、長期間にわたり、研究、開発され、機能面や性能面からも安定した洗濯機として提供されてきたが、洗濯物の出し入れが容易ではないという課題があった。
そこで、解決しようとする問題点は、前述のように、縦型洗濯機のすぐれた面はそのまま生かし、洗濯物の出し入れが容易になる、斜め出し入れができる縦型洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明は、縦型洗濯機において、洗濯物の出し入れを容易にするため、出し入れを行う開口部と一体となった洗濯槽を、出し入れ時に前面に傾斜できることを特徴とする、斜め出し入れ縦型洗濯機を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
縦型洗濯機は、前述のとおり、長期間にわたり、研究、開発され、機能面や性能面からも安定した洗濯機となっている。
そこで、本発明は、これらすぐれた面はそのまま生かし、さらに、懸案であった洗濯物の出し入れが容易になることで、さらに、使い勝手がよく利便性が向上した、縦型の洗濯機として構成することができる。
【0007】
洗濯機も、本来の洗濯機能だけでなく、脱水、乾燥機能を加えた洗濯乾燥機のほか、いろいろな機能が付加されるようになった。
このため、縦型洗濯機としても、いろいろな機種や、機能を付加したものが提供されるようになり、従来からのすぐれた面に加え、さらに研究、開発が進んでいることから、今後も需要は拡大すると考えられる。この、縦型洗濯機の大きな特徴としては、洗浄力が強く、しかも比較的低価格で提供されていることにある。
【0008】
この、縦型洗濯機の出し入れを行う開口部と一体となった洗濯槽を前面に傾斜できる角度は、固定方式のほか、一定の傾斜角度内で、使用者が利用しやすい角度を選択できる方式の、いずれの方式でも適用できることから、使用者の体型や使用形態を考慮して決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態となる、洗濯槽を前面に傾斜できる角度を固定方式とした第1形態を、実施例となる図を参照し、説明する。
【0010】
図1は、本発明の、開口部と一体となった洗濯槽12を前面に傾斜できる、斜め出し入れ縦型洗濯機で、本実施例では、傾斜角度は固定式で、垂直の位置から前面に50度傾斜した、斜め出し入れ縦型洗濯機の縦断面図である。
また、縦型洗濯機も、洗濯機能に、脱水、乾燥機能を加えた洗濯乾燥機のほか、いろいろの機能を付加したものが提供されており、これらについても実施例の機能として適用できるが、本実施例ではこれらを省略し、基本的な機能である洗濯、脱水専用とした。
【0011】
この、図1において、洗濯槽を支持する台座16が水平の位置にあるとき、洗濯槽12は垂直となるが、この位置での状況を点線で示し、また、垂直の位置から前面に50度傾斜させた時の、洗濯槽と一体となった台座等の位置を実線で示した。
【0012】
図2は、本発明の全体イメージを表わした、斜め出し入れ縦型洗濯機の外観図である。
【0013】
構成について説明する。
縦型洗濯機本体の、枠体11の内部には洗濯槽12と洗濯内槽13が、洗濯内槽の内側底部には、攪拌するためのパルセータ14が配置されている。下部には、直結した洗濯モーター15があり、パルセータが回転することで洗濯を行い、洗濯内槽が回転することで脱水を行う。
【0014】
洗濯槽12の外面底部には、洗濯槽を支持する台座16があり、台座は洗濯槽の底面と、連結固定されている。洗濯内槽13及びパルセータ14は、台座16の下部に位置する台座モーター17と直結している。
【0015】
台座16は、中心線0を回転軸とし、台座モーター17の回転を、ベルト17aを介して、前面に50度回転させることで、支持した洗濯槽も前面に50度傾斜させることができる。
【0016】
図3は、台座16と台座支柱18、及び台座モーター17の関連を示す外観図である。
【0017】
台座16の両端は、円柱状の突起16aと、反対側の端に図示しない16bがあり、台座支柱18の上部に円形の穴18aと、反対側に図示しない18bがある。この突起の部分と、穴の部分を結合させることで、回転する台座となる。
この結合部分には、洗濯槽12と洗濯内層13、それに洗濯物の重力がかかることから、これらを支える強度が必要となるほか、より円滑な回転が求められる。このため、回転軸には頑強なベアリングを用いるなどの方法を考える必要がある。
【0018】
この台座16を回転させるため、台座モーター17を設置し、台座モーターの回転を、ベルト17aを介して台座を回転させるが、この回転角度は、台座が水平位置から前方に50度回転したところでストップするような装置とする。また、洗濯槽12が垂直の位置より後方に回転しないよう、固定支柱19を配置する。
なお、本実施例では、台座モーターの回転を、ベルトを介して行っているが、必ずしもこの方法に限定するものではなく、台座が円滑に回転できれば問題はない。
【0019】
台座が50度回転したところで、一体となった洗濯槽も前面に50度傾斜する。この位置で外蓋25と内蓋24が同位置となる。
そこで、外蓋に続き、内蓋を開けば、出し入れを行う開口部と一体となった洗濯槽があることから、洗濯物を直接出し入れできる。
【0020】
本発明の、斜め出し入れ縦型洗濯機で、洗濯物を出し入れする時、洗濯槽12を前面に50度傾斜させることから、枠体11は前方部分に大きく張り出すことになり、この張出部11aの補強を補強材23で行うとともに、洗濯槽と補強材の間は、保護材21を用いて保護し、洗濯機の本体である枠体11や、洗濯槽を保護する。
【0021】
洗濯槽12を、バネ22aで引っ張り、バネ22bで支え、相互のバネで枠体11と洗濯槽の安定を図る。
本発明の、斜め出し入れ縦型洗濯機は、特殊な形状で、また構造となっていることから、洗濯機本体の基盤となる、枠体の底面11bを強化する。
さらに、洗濯槽は洗濯時、垂直の位置で安定させる必要があるが、枠体11や、枠体の底面11bを活用し、さらに安定化を図る。
【0022】
洗濯槽12には内蓋24を、枠体11には外蓋25を設置する。外蓋25は、洗濯槽が前面に50度傾斜した時のみ開閉することができる。
洗濯機本体は、出し入れを前面から行うことから、天板26については、洗剤などの収納場所等として自由に活用することができる。
【0023】
一連の操作の指示は、前面の操作パネル27で行い、洗濯機全体の作動状況を、いつでも監視、把握できるようにする。
洗濯モーター15は、洗濯槽が垂直の位置にあり、さらに、外蓋25が閉じている時のみ作動し、それ以外はモーターが回転しないような安全装置をつける。
その他、本発明と直接関係がない縦型洗濯機の機能については、説明を省略する。
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の形態となる、洗濯槽を前面に傾斜できる角度を一定の傾斜角度内で、使用者が利用しやすい角度を選択できる方式とした第2形態を、実施例となる図を参照し、説明する。
【0025】
図4は、本発明の、洗濯槽を前面に傾斜できる角度を、一定の傾斜角度内で、使用者が利用しやすい角度を選択できる方式とした、斜め出し入れ縦型洗濯機の外観図である。
本実施例では、垂直の位置からの傾斜角度を30度から50度までの範囲内で、選択できるようにした。
【0026】
洗濯槽が30度から50度まで前面に傾斜できることから、出し入れ部分の外蓋31はこの角度全域をカバーできる大きさが必要となる。
この外蓋31を開けた時の内蓋24の位置は、30度傾斜で32の位置、40度傾斜で33の位置、50度傾斜で34の位置となる。
【0027】
洗濯槽を前面に30度から50度まで傾斜することにかかわる部分以外は、実施例の第1形態と基本的には同様であることから、説明を省略する。
【0028】
本実施例では、使用者が利用しやすい角度として、前述では30度から50度の範囲内としていたが、この角度も範囲も、目的によって変更することができる。
また、選択できる角度も、図4のように段階的に選択する方法と、無断階に選定する方法のどちらでも選択できる。
【0029】
これらの選択や、作業方法は、操作パネルで指示する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1 斜め出し入れ縦型洗濯機の要部構成を示す縦断面図。
図2 斜め出し入れ縦型洗濯機の外観図。
図3 斜め出し入れ縦型洗濯機の台座と、台座支柱、及び台座モーターの相互関連を示す外観図。
図4 斜め出し入れ縦型洗濯機で、一定の傾斜角度の中で、利用しやすい角度を選択できる洗濯機の要部構成を示す外観図。
【符号の説明】
【0031】
11 枠体
11a 枠体の張出部
11b 枠体の底面
12 洗濯槽
13 洗濯内槽
14 パルセータ
15 洗濯モーター
16 台座
16a 台座の突起
16b 台座の突起
17 台座モーター
17a ベルト
18 台座支柱
18a 台座支柱の円形の穴
18b 台座支柱の円形の穴
19 固定支柱
21 保護材
22 バネ
22a 引っ張り用
22b 支え用
23 補強材
24 内蓋
25 外蓋
26 天板
27 操作パネル
0 台座の回転軸
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型洗濯機において、洗濯物の出し入れを容易にするため、出し入れを行う開口部と一体となった洗濯槽を、出し入れ時に前面に傾斜できることを特徴とする、斜め出し入れ縦型洗濯機。
【請求項2】
従来の全自動洗濯機に脱水、乾燥機能を加えた洗濯乾燥機のほか、消費電力量や使用水量を削減したもの、洗濯方法や洗浄方法を工夫したものなど、いろいろと研究、開発が進んでいることから、いずれの方式でも適用できることを特徴とする、請求項1の斜め出し入れ縦型洗濯機。
【請求項3】
前面に傾斜できる角度は、固定方式のほか、一定の傾斜角度内で、使用者が利用しやすい角度を選択できる方式の、いずれの方式でも適用できることを特徴とする、請求項1の斜め出し入れ縦型洗濯機。

【公開番号】特開2006−311978(P2006−311978A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161943(P2005−161943)
【出願日】平成17年5月5日(2005.5.5)
【出願人】(303055143)有限会社 センチュリー・りゆう企画 (3)
【Fターム(参考)】