断層像再構成方法およびX線CT装置
【課題】順投影処理を含む手順により断層像を構築する断層像再構成方法において、計算誤差を可及的に少なくしながら、計算速度を高速化する。
【解決手段】順投影処理において断層像を構成するピクセルPを検出器の受光面Fに投影して検出器の各画素濃度を決定する際に、ピクセルPの受光面Fへの投影領域Apの全域で検出確率が一定であると近似して演算処理を行うことで、計算誤差を少なくしながらも、計算の条件分岐をなくし、その高速化を実現する。
【解決手段】順投影処理において断層像を構成するピクセルPを検出器の受光面Fに投影して検出器の各画素濃度を決定する際に、ピクセルPの受光面Fへの投影領域Apの全域で検出確率が一定であると近似して演算処理を行うことで、計算誤差を少なくしながらも、計算の条件分岐をなくし、その高速化を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CTやSPECT等、放射線を利用して対象物の断層像を構築する断層像再構成方法と、その方法を利用したX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CTやSPECT(Single Photon Emission CT)、あるいはPET(Positron Emission Tomography)においては、対象物を複数の角度で透過した放射線を検出器で検出して、複数角度での放射線投影データを収集し、その投影データを再構成することによって、対象物の断層像を得る。
投影データの再構成方法にはいくつかの手法が知られており、FBP(Filtered backprjection)などの解析的手法、ART(Algebraic reconstruction)などの代数的手法、およびOS−MLEM(Orderd−subsets maximum−likelihood expectation−maximization)などの統計的手法等が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
また、SA(Simulated Annealing)法を採用し、画像再構成にFBPを排除することを可能とした方法も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
これらの再構成方法においては、単純なFBPを除いて、順投影処理という処理が行われる。順投影処理は、何らかの方法で構築した断層像(零画像を含む)を、放射線の焦点と放射線検出器の検出面とを結ぶ方向に、検出面上に数値計算上で投影する処理であり、断層像を構成する各ピクセルについて、放射線の焦点位置から、それぞれのピクセルに向けて模擬的に放射線を照射したときの検出面上への投影領域に、当該ピクセルが有する輝度情報を割り当て、検出器の各画素による検出確率を計算する。
【0005】
この順投影処理における検出器の各画素への検出確率の計算に際しては、図5に概念的に示すように、再構成画像の1つのピクセルPの検出面F上への投影領域Apに対し、検出面Fに対するピクセルPの角度θに応じた厳密な寄与を考え、投影領域Ap上で台形パターンのフットプリント関数を用いて計算を行っている。換言すると、放射線がピクセルPを透過して検出面Fに到達する際に、ピクセルPを透過する距離が長いほど、その放射線の到達部位の検出確率が高くなるが、台形パターンのフットプリント関数はそのことを厳密に表した関数である。
【0006】
台形パターンの形状について説明すると、ピクセルPの検出面Fに対する傾きを図示のようにθとし、そのピクセルPの一辺を1としたとき、台形パターンの下底の両端部はピクセルPの中心の投影位置から(cosθ+sinθ)/2だけ離れた位置となり、上底の両端部は同じくピクセルPの中心の投影位置から(cosθ−sinθ)/2だけ離れた位置となる。また、台形パターンの高さは1/cosθとなる。このように表される台形パターンのフットプリント関数を厳密に用いて検出器の各素子への検出確率を算出している。
【0007】
また、コーンビームCTやヘリカルコーンビームCTにおいては、一度の撮影で多数の断層像、換言すれば対象物の3次元画像情報を得ることができるが、このような場合における順投影に際しても、3次元(断層)画像情報を構成するボクセルについて、検出器の検出面への投影領域に対し、検出面に対するボクセルの角度(姿勢)に応じた厳密な寄与を考え、順投影時における放射線のボクセルの透過距離に応じて、その透過距離が長い位置ほど、検出確率が高いものとするフットプリント関数を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2008/059982号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】小林 哲哉、外3名、”断層画像再構成のための統合シミュレーションシステムの開発”[online]、[平成21年11月12日検索]、インターネット<URL:http://www.is.tsukuba.ac.jp/lecture/syspro/h20report1/04_.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、順投影処理に際して上記したような厳密な検出確率の計算を行うと、再構成演算に要する時間が極めて長くなるという問題がある。
【0011】
ここで、順投影処理に用いるフットプリント関数として、従来、台形パターンに代えて三角形パターンで近似した関数を用いるジョセフ法と称される計算方法もあるが、計算誤差が大きく、しかも所要時間の短縮化にはあまり有効ではない。
【0012】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、順投影処理を含む手順により断層像を構築する断層像再構成方法において、計算誤差を可及的に少なくしながら、計算速度を高速化することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の断層像再構成方法は、対象物を透過した放射線を検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって対象物の断層像を構築するとともに、その再構成過程に、断層像を構成する各ピクセルを上記検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、上記順投影処理における上記各ピクセルの上記受光面での検出確率が、個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することによって特徴付けられる。
【0014】
また、同じ課題を解決するため、請求項2に係る発明の断層像再構成方法は、対象物にコーンビーム状の放射線を照射し、対象物を透過した放射線を2次元検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって、対象物の3次元画像情報を構築するとともに、その再構成過程に、3次元画像情報を構成するボクセルを上記2次元検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、上記順投影処理における上記各ボクセルの上記受光面での検出確率が、個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することによって特徴付けられる。
【0015】
そして、請求項3に係る発明のX線CT装置は、請求項1に係る発明方法を利用したX線CT装置であって、放射線源と放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した放射線検出器の出力を用い、対象物の断層像を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、断層像を構成する個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることによって特徴付けられる。
【0016】
また、請求項4に係る発明のX線CT装置は、請求項2に係る発明方法を利用したX線CT装置であって、コーンビーム状の放射線源と2次元放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と2次元放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した2次元放射線検出器の出力を用い、対象物の3次元画像情報を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記2次元放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、3次元画像情報を構成する個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることによって特徴付けられる。
【0017】
本発明は、順投影処理において用いるフットプリント関数を、図5に示した厳密な台形パターンとせず、断層像を構成する各ピクセルについて、それぞれの投影領域全域にわたって一様なパターンとすること、つまり図3に例示するように長方形パターンとすることによって、課題を解決するものである。
【0018】
すなわち、このような長方形パターンのフットプリント関数を用いることによって、後述するように、順投影、あるいはそれに加えて逆投影処理内部の処理分岐が減り、処理時間の高速化を図ることができる。しかも、後述する図4に示すように、計算誤差も殆ど生じず、再構成結果にモワレ等の悪影響を及ぼさないことが実験により確認されている。
【0019】
また、請求項2に係る発明では、コーンビームCT等のように1回の撮影で同時に多数の断層像を得る場合の本発明の適用、換言すれば3次元画像情報の順投影への本発明の適用であって、この場合、順投影処理においては、3次元画像情報を構成するボクセルは2次元の検出器受光面に投影されることになるが、その投影領域に一様な検出確率があるものと近似して検出器の各画素値を計算していく。この手法により、請求項1に係る発明と同様に、処理時間の大幅な短縮化を実現でき、しかも計算誤差も大きくはならない。
【0020】
請求項3および4に係る発明は、それぞれ請求項1に係る発明方法および請求項2に係る発明方法を適用したX線CT装置に関するものであるが、コーンビーム状のX線を用いるX線CT装置としては、通常のコーンビームX線CT装置のほか、ヘリカルコーンビームX線CT装置や傾斜型X線CT装置をも含む。また、請求項1および2に係る発明は、X線CT装置のほか、SPECTやPETなど、順投影処理を含む再構成方法を利用した装置に等しく適用することができる。
【0021】
また、本発明の特徴は順投影処理における計算の仕方にあり、従って、本発明が適用できる断層像再構成方法としては、ART、SACT、ML−EL、OS−EM、OS−MLEMなど、順投影処理を含む再構成方法に広く適用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、順投影処理で用いるフットプリント関数を、断層像を構成するピクセルもしくはボクセルの検出器受光面への投影領域全域に検出確率が一定となる近似を行ったものとするので、処理に要する時間を大幅に短縮化することかでき、しかも、従来の台形パターン等の厳密な検出確率を採用するフットプリント関数を適用した場合と比較しても計算誤差は大きくはなく、また、最終的に得られる断層像にモワレ等の悪影響が生じることもない。
【0023】
そして、本発明は、SACTのように膨大な処理回数が必要な再構成アルゴリズムに適用することにより、その処理時間の短縮化に大きな効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態の要部構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の動作を表すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態の再構成演算部による順投影処理で用いるフットプリント関数の説明図である。
【図4】長方形パターンのフットプリント関数を用いた場合と、台形パターンのフットプリント関数を用いた場合の検出確率の相違(誤差)を表すグラフである。
【図5】従来の再構成方法における順投影処理で用いる台形パターンのフットプリント関数の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 X線発生装置
1a 焦点
2 X線検出器
3 試料ステージ
4 投影データ記憶部
5 再構成演算部
6 断層像記憶部
7 表示器¥
R 回転軸
W 対象物
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明をX線CT装置に適用した実施の形態の要部構成図であり、X線発生装置1に対向してX線検出器2が配置されており、これらの間に対象物Wを搭載するための試料ステージ3が配置されている。この試料ステージ3は紙面に直交する回転軸Rを中心とした回転が与えられる。
【0027】
CT撮影は、X線発生装置1からのX線を対象物Wに向けて照射しつつ、試料ステージ3を回転させ、その微小回転角度ごとにX線検出器2の出力を収集することによって行われる。このCT撮影によって収集されたX線検出器2の出力、つまり複数の投影角度でのX線投影データは、投影データ記憶部4に記憶される。
【0028】
投影データ記憶部4に記憶された投影データは、再構成演算部5による再構成演算に供され、後述する手法によって対象物Wの断層像が構築される。この再構成演算部5により構築された断層像は断層像記憶部6に記憶されるとともに、表示器7に表示される。
【0029】
ここで、投影データ記憶部4、再構成演算部5、断層像記憶部6は実際にはコンピュータとその周辺機器によって構成され、インストールされているプログラムに従った機能を実現するのであるが、図1では説明の便宜上、主要な機能のみをブロックで示している。
【0030】
次に、本発明の実施の形態における再構成演算の手順の例を、図2に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、この例は公知の逐次漸近的手法を用いた再構成演算を採用している。
【0031】
前記した動作のもとにX線CT撮影を行い、これによって収集して投影データ記憶部4に記憶されている投影データを逆投影することにより、1回目の断層像を構築する。次に、その断層像をX線発生装置1の焦点1aからX線検出器2の受光面へと向けて順投影することにより、計算上の投影データを得て、その結果と、実際にCT撮影によって収集した投影データとを比較し、その差を算出する。その差を逆投影することにより断層像を得て、その差による断層像を、先の断層像に加算することによって、当該先の断層像を補正する。そして、その補正後の断層像を再び順投影することによって計算上の投影データを得て、上記と同様にその結果とCT撮影により実際に収集した投影データとを比較してその差を算出し、その差を逆投影して直前の断層像に加算することで、補正された断層像を得る。この動作を、差が規定の差以下となるか、あるいは反復回数が規定回数に達した時点で、そのときに得られている断層像を完成された断層像として記憶する。
【0032】
さて、この実施の形態の特徴は、順投影処理の計算の仕方、より詳しくは計算に用いるフットプリント関数にある。すなわち、図3に示すように、断層像を構成する各ピクセルPについて、X線検出器2の受光面Fへの投影領域Apの全域にわたり、一様な検出確率となるように近似して計算を行う。つまり、順投影処理において用いるフットプリント関数を、図3に示すような長方形パターンとする。この長方形パターンは、ピクセルPの検出面Fに対する傾きを図示のようにθとし、そのピクセルPの一辺を1としたとき、長方形パターンの両端部は、前記した台形パターンと同様に、ピクセルPの中心の投影位置から(cosθ+sinθ)/2だけ離れた位置となり、また、その高さは1/(cosθ+sinθ)である。すなわち、この長方形パターンの面積は、前記した台形パターンの面積と同じである。
【0033】
このような計算モデルを用いることにより、従来の台形パターンを用いる場合に比して順投影処理時間を大幅に短縮化することができる。
【0034】
その一例を挙げると、従来どおりの台形の計算モデルを用いたサンプルソースの例を以下に示す。
【0035】
【数1】
【0036】
これに対し、上記した長方形の計算モデルを用いた場合は、以下に例示するように条件分岐のない単純なソースとなる。
【0037】
【数2】
【0038】
以上のような長方形の計算モデルを用いた場合と、前記した厳密な台形パターンを用いた場合の計算誤差の算出結果を図4に例示する。このグラフはX線検出器の受光面に対する断層像のピクセルが30°傾いている場合の例でであり、横軸は検出器の受光面の位置を表し、0がピクセルの中心を透過した位置である。縦軸は検出確率の積算値であり、左側から各位置の検出確率を加算した値を示している。長方形パターンを用いた場合には、検出確率の加算値が直線的になるのに対し、厳密な台形パターンを用いる場合には、検出確率の加算値の増加率が左右両側部分(台形の傾斜部分)で緩やかになる点において相違しているが、その誤差の大きさはあまり大きくないことが分かる。
【0039】
従って、長方形パターンの計算モデルを使用した順投影処理では、殆ど誤差のない順投影が行え、しかもその計算時間が台形パターンの計算モデルを用いる場合に比して大きく短縮化される。
【0040】
ここで、以上の実施の形態では、X線発生装置1とX線検出器2の間に設けた試料ステージ3を回転させた例を示したが、X線発生装置1とX線検出器2の対を回転させてもよい。
【0041】
また、以上の実施の形態では、再構成演算の手法としてARTを用いた例を示したが、SACT、ML−EL、OS−EM、OS−MLEMなど、再構成過程に順投影処理を用いる再構成方法に等しく適用することができる。
【0042】
更に、本発明はコーンビームCT装置にも適用することができ、その場合、3次元画像情報を構成するボクセルは、2次元の検出器受光面に向けて順投影されることになるが、本発明では、そのボクセルの投影領域全域にわたって一定の検出確率が得られるものとして計算を行う。換言すれば、直方体形状のフットプリント関数を用いることで、計算に要する時間を大幅に短縮化することが可能となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CTやSPECT等、放射線を利用して対象物の断層像を構築する断層像再構成方法と、その方法を利用したX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CTやSPECT(Single Photon Emission CT)、あるいはPET(Positron Emission Tomography)においては、対象物を複数の角度で透過した放射線を検出器で検出して、複数角度での放射線投影データを収集し、その投影データを再構成することによって、対象物の断層像を得る。
投影データの再構成方法にはいくつかの手法が知られており、FBP(Filtered backprjection)などの解析的手法、ART(Algebraic reconstruction)などの代数的手法、およびOS−MLEM(Orderd−subsets maximum−likelihood expectation−maximization)などの統計的手法等が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
また、SA(Simulated Annealing)法を採用し、画像再構成にFBPを排除することを可能とした方法も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
これらの再構成方法においては、単純なFBPを除いて、順投影処理という処理が行われる。順投影処理は、何らかの方法で構築した断層像(零画像を含む)を、放射線の焦点と放射線検出器の検出面とを結ぶ方向に、検出面上に数値計算上で投影する処理であり、断層像を構成する各ピクセルについて、放射線の焦点位置から、それぞれのピクセルに向けて模擬的に放射線を照射したときの検出面上への投影領域に、当該ピクセルが有する輝度情報を割り当て、検出器の各画素による検出確率を計算する。
【0005】
この順投影処理における検出器の各画素への検出確率の計算に際しては、図5に概念的に示すように、再構成画像の1つのピクセルPの検出面F上への投影領域Apに対し、検出面Fに対するピクセルPの角度θに応じた厳密な寄与を考え、投影領域Ap上で台形パターンのフットプリント関数を用いて計算を行っている。換言すると、放射線がピクセルPを透過して検出面Fに到達する際に、ピクセルPを透過する距離が長いほど、その放射線の到達部位の検出確率が高くなるが、台形パターンのフットプリント関数はそのことを厳密に表した関数である。
【0006】
台形パターンの形状について説明すると、ピクセルPの検出面Fに対する傾きを図示のようにθとし、そのピクセルPの一辺を1としたとき、台形パターンの下底の両端部はピクセルPの中心の投影位置から(cosθ+sinθ)/2だけ離れた位置となり、上底の両端部は同じくピクセルPの中心の投影位置から(cosθ−sinθ)/2だけ離れた位置となる。また、台形パターンの高さは1/cosθとなる。このように表される台形パターンのフットプリント関数を厳密に用いて検出器の各素子への検出確率を算出している。
【0007】
また、コーンビームCTやヘリカルコーンビームCTにおいては、一度の撮影で多数の断層像、換言すれば対象物の3次元画像情報を得ることができるが、このような場合における順投影に際しても、3次元(断層)画像情報を構成するボクセルについて、検出器の検出面への投影領域に対し、検出面に対するボクセルの角度(姿勢)に応じた厳密な寄与を考え、順投影時における放射線のボクセルの透過距離に応じて、その透過距離が長い位置ほど、検出確率が高いものとするフットプリント関数を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2008/059982号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】小林 哲哉、外3名、”断層画像再構成のための統合シミュレーションシステムの開発”[online]、[平成21年11月12日検索]、インターネット<URL:http://www.is.tsukuba.ac.jp/lecture/syspro/h20report1/04_.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、順投影処理に際して上記したような厳密な検出確率の計算を行うと、再構成演算に要する時間が極めて長くなるという問題がある。
【0011】
ここで、順投影処理に用いるフットプリント関数として、従来、台形パターンに代えて三角形パターンで近似した関数を用いるジョセフ法と称される計算方法もあるが、計算誤差が大きく、しかも所要時間の短縮化にはあまり有効ではない。
【0012】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、順投影処理を含む手順により断層像を構築する断層像再構成方法において、計算誤差を可及的に少なくしながら、計算速度を高速化することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の断層像再構成方法は、対象物を透過した放射線を検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって対象物の断層像を構築するとともに、その再構成過程に、断層像を構成する各ピクセルを上記検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、上記順投影処理における上記各ピクセルの上記受光面での検出確率が、個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することによって特徴付けられる。
【0014】
また、同じ課題を解決するため、請求項2に係る発明の断層像再構成方法は、対象物にコーンビーム状の放射線を照射し、対象物を透過した放射線を2次元検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって、対象物の3次元画像情報を構築するとともに、その再構成過程に、3次元画像情報を構成するボクセルを上記2次元検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、上記順投影処理における上記各ボクセルの上記受光面での検出確率が、個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することによって特徴付けられる。
【0015】
そして、請求項3に係る発明のX線CT装置は、請求項1に係る発明方法を利用したX線CT装置であって、放射線源と放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した放射線検出器の出力を用い、対象物の断層像を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、断層像を構成する個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることによって特徴付けられる。
【0016】
また、請求項4に係る発明のX線CT装置は、請求項2に係る発明方法を利用したX線CT装置であって、コーンビーム状の放射線源と2次元放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と2次元放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した2次元放射線検出器の出力を用い、対象物の3次元画像情報を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記2次元放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、3次元画像情報を構成する個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることによって特徴付けられる。
【0017】
本発明は、順投影処理において用いるフットプリント関数を、図5に示した厳密な台形パターンとせず、断層像を構成する各ピクセルについて、それぞれの投影領域全域にわたって一様なパターンとすること、つまり図3に例示するように長方形パターンとすることによって、課題を解決するものである。
【0018】
すなわち、このような長方形パターンのフットプリント関数を用いることによって、後述するように、順投影、あるいはそれに加えて逆投影処理内部の処理分岐が減り、処理時間の高速化を図ることができる。しかも、後述する図4に示すように、計算誤差も殆ど生じず、再構成結果にモワレ等の悪影響を及ぼさないことが実験により確認されている。
【0019】
また、請求項2に係る発明では、コーンビームCT等のように1回の撮影で同時に多数の断層像を得る場合の本発明の適用、換言すれば3次元画像情報の順投影への本発明の適用であって、この場合、順投影処理においては、3次元画像情報を構成するボクセルは2次元の検出器受光面に投影されることになるが、その投影領域に一様な検出確率があるものと近似して検出器の各画素値を計算していく。この手法により、請求項1に係る発明と同様に、処理時間の大幅な短縮化を実現でき、しかも計算誤差も大きくはならない。
【0020】
請求項3および4に係る発明は、それぞれ請求項1に係る発明方法および請求項2に係る発明方法を適用したX線CT装置に関するものであるが、コーンビーム状のX線を用いるX線CT装置としては、通常のコーンビームX線CT装置のほか、ヘリカルコーンビームX線CT装置や傾斜型X線CT装置をも含む。また、請求項1および2に係る発明は、X線CT装置のほか、SPECTやPETなど、順投影処理を含む再構成方法を利用した装置に等しく適用することができる。
【0021】
また、本発明の特徴は順投影処理における計算の仕方にあり、従って、本発明が適用できる断層像再構成方法としては、ART、SACT、ML−EL、OS−EM、OS−MLEMなど、順投影処理を含む再構成方法に広く適用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、順投影処理で用いるフットプリント関数を、断層像を構成するピクセルもしくはボクセルの検出器受光面への投影領域全域に検出確率が一定となる近似を行ったものとするので、処理に要する時間を大幅に短縮化することかでき、しかも、従来の台形パターン等の厳密な検出確率を採用するフットプリント関数を適用した場合と比較しても計算誤差は大きくはなく、また、最終的に得られる断層像にモワレ等の悪影響が生じることもない。
【0023】
そして、本発明は、SACTのように膨大な処理回数が必要な再構成アルゴリズムに適用することにより、その処理時間の短縮化に大きな効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態の要部構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の動作を表すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態の再構成演算部による順投影処理で用いるフットプリント関数の説明図である。
【図4】長方形パターンのフットプリント関数を用いた場合と、台形パターンのフットプリント関数を用いた場合の検出確率の相違(誤差)を表すグラフである。
【図5】従来の再構成方法における順投影処理で用いる台形パターンのフットプリント関数の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 X線発生装置
1a 焦点
2 X線検出器
3 試料ステージ
4 投影データ記憶部
5 再構成演算部
6 断層像記憶部
7 表示器¥
R 回転軸
W 対象物
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明をX線CT装置に適用した実施の形態の要部構成図であり、X線発生装置1に対向してX線検出器2が配置されており、これらの間に対象物Wを搭載するための試料ステージ3が配置されている。この試料ステージ3は紙面に直交する回転軸Rを中心とした回転が与えられる。
【0027】
CT撮影は、X線発生装置1からのX線を対象物Wに向けて照射しつつ、試料ステージ3を回転させ、その微小回転角度ごとにX線検出器2の出力を収集することによって行われる。このCT撮影によって収集されたX線検出器2の出力、つまり複数の投影角度でのX線投影データは、投影データ記憶部4に記憶される。
【0028】
投影データ記憶部4に記憶された投影データは、再構成演算部5による再構成演算に供され、後述する手法によって対象物Wの断層像が構築される。この再構成演算部5により構築された断層像は断層像記憶部6に記憶されるとともに、表示器7に表示される。
【0029】
ここで、投影データ記憶部4、再構成演算部5、断層像記憶部6は実際にはコンピュータとその周辺機器によって構成され、インストールされているプログラムに従った機能を実現するのであるが、図1では説明の便宜上、主要な機能のみをブロックで示している。
【0030】
次に、本発明の実施の形態における再構成演算の手順の例を、図2に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、この例は公知の逐次漸近的手法を用いた再構成演算を採用している。
【0031】
前記した動作のもとにX線CT撮影を行い、これによって収集して投影データ記憶部4に記憶されている投影データを逆投影することにより、1回目の断層像を構築する。次に、その断層像をX線発生装置1の焦点1aからX線検出器2の受光面へと向けて順投影することにより、計算上の投影データを得て、その結果と、実際にCT撮影によって収集した投影データとを比較し、その差を算出する。その差を逆投影することにより断層像を得て、その差による断層像を、先の断層像に加算することによって、当該先の断層像を補正する。そして、その補正後の断層像を再び順投影することによって計算上の投影データを得て、上記と同様にその結果とCT撮影により実際に収集した投影データとを比較してその差を算出し、その差を逆投影して直前の断層像に加算することで、補正された断層像を得る。この動作を、差が規定の差以下となるか、あるいは反復回数が規定回数に達した時点で、そのときに得られている断層像を完成された断層像として記憶する。
【0032】
さて、この実施の形態の特徴は、順投影処理の計算の仕方、より詳しくは計算に用いるフットプリント関数にある。すなわち、図3に示すように、断層像を構成する各ピクセルPについて、X線検出器2の受光面Fへの投影領域Apの全域にわたり、一様な検出確率となるように近似して計算を行う。つまり、順投影処理において用いるフットプリント関数を、図3に示すような長方形パターンとする。この長方形パターンは、ピクセルPの検出面Fに対する傾きを図示のようにθとし、そのピクセルPの一辺を1としたとき、長方形パターンの両端部は、前記した台形パターンと同様に、ピクセルPの中心の投影位置から(cosθ+sinθ)/2だけ離れた位置となり、また、その高さは1/(cosθ+sinθ)である。すなわち、この長方形パターンの面積は、前記した台形パターンの面積と同じである。
【0033】
このような計算モデルを用いることにより、従来の台形パターンを用いる場合に比して順投影処理時間を大幅に短縮化することができる。
【0034】
その一例を挙げると、従来どおりの台形の計算モデルを用いたサンプルソースの例を以下に示す。
【0035】
【数1】
【0036】
これに対し、上記した長方形の計算モデルを用いた場合は、以下に例示するように条件分岐のない単純なソースとなる。
【0037】
【数2】
【0038】
以上のような長方形の計算モデルを用いた場合と、前記した厳密な台形パターンを用いた場合の計算誤差の算出結果を図4に例示する。このグラフはX線検出器の受光面に対する断層像のピクセルが30°傾いている場合の例でであり、横軸は検出器の受光面の位置を表し、0がピクセルの中心を透過した位置である。縦軸は検出確率の積算値であり、左側から各位置の検出確率を加算した値を示している。長方形パターンを用いた場合には、検出確率の加算値が直線的になるのに対し、厳密な台形パターンを用いる場合には、検出確率の加算値の増加率が左右両側部分(台形の傾斜部分)で緩やかになる点において相違しているが、その誤差の大きさはあまり大きくないことが分かる。
【0039】
従って、長方形パターンの計算モデルを使用した順投影処理では、殆ど誤差のない順投影が行え、しかもその計算時間が台形パターンの計算モデルを用いる場合に比して大きく短縮化される。
【0040】
ここで、以上の実施の形態では、X線発生装置1とX線検出器2の間に設けた試料ステージ3を回転させた例を示したが、X線発生装置1とX線検出器2の対を回転させてもよい。
【0041】
また、以上の実施の形態では、再構成演算の手法としてARTを用いた例を示したが、SACT、ML−EL、OS−EM、OS−MLEMなど、再構成過程に順投影処理を用いる再構成方法に等しく適用することができる。
【0042】
更に、本発明はコーンビームCT装置にも適用することができ、その場合、3次元画像情報を構成するボクセルは、2次元の検出器受光面に向けて順投影されることになるが、本発明では、そのボクセルの投影領域全域にわたって一定の検出確率が得られるものとして計算を行う。換言すれば、直方体形状のフットプリント関数を用いることで、計算に要する時間を大幅に短縮化することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を透過した放射線を検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって対象物の断層像を構築するとともに、その再構成過程に、断層像を構成する各ピクセルを上記検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、
上記順投影処理における上記各ピクセルの上記受光面での検出確率が、個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することを特徴とする断層像再構成方法。
【請求項2】
対象物にコーンビーム状の放射線を照射し、対象物を透過した放射線を2次元検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって、対象物の3次元画像情報を構築するとともに、その再構成過程に、3次元画像情報を構成するボクセルを上記2次元検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、
上記順投影処理における上記各ボクセルの上記受光面での検出確率が、個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することを特徴とする断層像再構成方法。
【請求項3】
放射線源と放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した放射線検出器の出力を用い、対象物の断層像を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、
上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、断層像を構成する個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることを特徴とする放射線断層像撮影装置。
【請求項4】
コーンビーム状の放射線源と2次元放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と2次元放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した2次元放射線検出器の出力を用い、対象物の3次元画像情報を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、
上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記2次元放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、3次元画像情報を構成する個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることを特徴とする放射線断層像撮影装置。
【請求項1】
対象物を透過した放射線を検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって対象物の断層像を構築するとともに、その再構成過程に、断層像を構成する各ピクセルを上記検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、
上記順投影処理における上記各ピクセルの上記受光面での検出確率が、個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することを特徴とする断層像再構成方法。
【請求項2】
対象物にコーンビーム状の放射線を照射し、対象物を透過した放射線を2次元検出器で検出して得られる投影データを、複数の投影角度で収集し、その収集した投影データを再構成することによって、対象物の3次元画像情報を構築するとともに、その再構成過程に、3次元画像情報を構成するボクセルを上記2次元検出器の受光面に投影する順投影処理を含む断層像再構成方法において、
上記順投影処理における上記各ボクセルの上記受光面での検出確率が、個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であると近似して演算処理を実行することを特徴とする断層像再構成方法。
【請求項3】
放射線源と放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した放射線検出器の出力を用い、対象物の断層像を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、
上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、断層像を構成する個々のピクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることを特徴とする放射線断層像撮影装置。
【請求項4】
コーンビーム状の放射線源と2次元放射線検出器の間に、対象物を搭載するための試料ステージが設けられ、上記放射線源と2次元放射線検出器の対と上記試料ステージとを相対的に回転させる回転機構を備えるとともに、放射線源からの放射線を試料ステージ上の対象物に照射しつつ回転機構を駆動し、所定の角度ごとに採取した2次元放射線検出器の出力を用い、対象物の3次元画像情報を構築する再構成演算手段を備えた放射線断層像撮影装置において、
上記再構成演算手段は順投影処理を含み、その順投影処理での上記2次元放射線検出器の各画素値の決定のための計算モデルが、3次元画像情報を構成する個々のボクセルについての上記受光面への投影領域で、それぞれに一様であるとして計算を行う計算モデルであることを特徴とする放射線断層像撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−220422(P2012−220422A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88493(P2011−88493)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】
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