説明

断熱テント及びその製造方法

【課題】断熱壁が狭小部のない均一且つ十分な壁厚の断熱材を有する断熱性、収納性、洗浄性および生産性に優れた断熱テントを得る。
【解決手段】両端開口の防水被覆22の一の開口端から、中央部近傍に切り込みCを有する断熱材ユニット21を挿入して防水被覆22の中央部近傍の内周面に座金23を介してファスナー24によって固定しながら断熱材ユニット21を敷き詰めて行き、断熱材ユニット21が開口端から突出しない限界まで達したら、その開口端を封止すると共に断熱材ユニット21が敷き詰められた部分を折り畳み、今度は他の開口端から断熱材ユニット21を挿入して同じように断熱材ユニット21を敷き詰めて行き、断熱材ユニット21が開口端から突出しない限界まで達したら、その開口端を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱テント及びその製造方法、特に、全面にわたり均一かつ十分な壁厚の断熱材を有すると共に簡素な機構によって折り畳むことが可能な断熱性、収納性、洗浄性および生産性に優れた断熱テント及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜または果物等の生鮮品の鮮度管理、熟成または保存用に、外側を可撓性かつ断熱性の軟質素材で覆われ、屋内天井部より吊り下げられて伸縮可能な断熱テントが使用されている。このテント内部では、空調機を使用して内部の温度および湿度が管理されている。
これらの断熱テントに対しては、熱的損失を防止する断熱性能は言うまでもなく内部の保湿用水蒸気が逃気しない或いは生鮮品を酸化する外気が混入しない気密性が求められる。また、これらの断熱テントは、使用されない間、折りたたまれて屋内天井部に保管されるのでコンパクトに集約可能な収納性も要求される。さらに、これらの断熱テントは主として食料品を保管するために利用されるため、適時洗浄して清潔性を維持する必要があり、洗浄することが可能である洗浄性も求められる。
従来、保温効果を持たせるために中間に断熱材料を介在させた比較的厚い膜体が、コーナー部においてマチと称される連結具によって隙間無く互いに連結されて断熱テントを形成し、これらの断熱テントがマチを中心として折り畳まれるように構成された吊り下げ式の倉庫が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、断熱材を防水被覆で被覆したものを遮熱シートとし、これらを複数枚縫い合わせることにより構成された立方体の断熱テントが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【特許文献1】実公平4−32459号公報
【特許文献2】特開2000−141545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の断熱テント及びその製造方法では、断熱材を被覆した遮熱シートを1つのユニットとし、これらのユニットを縫製加工により継ぎ足してゆくことにより、例えば、前述の立方体の断熱テントが製造されていた。
しかし、縫製加工は作業人数および作業時間を要する工程であり、その結果、作業工数が増大する問題点がある。また、縫製加工は断熱壁面に縫製による狭小部を作り、その狭小部においては十分な壁厚の断熱材を確保することが出来ず、断熱性能が劣る問題点がある。他方、上記吊り下げ式の倉庫に見られる自動折り畳み機構では、膜体にマチを装着するため、膜体の製造工程が複雑になる問題点がある。また、膜体におけるマチの部分は断熱材を有していないため、断熱性能が劣る問題点がある。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、全面にわたり均一かつ十分な壁厚の断熱材を有すると共に簡素な機構によって折り畳むことが可能な断熱性、収納性、洗浄性および生産性に優れた低コストな断熱テント及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するための第1の発明は、側壁を形成する断熱壁と、天壁を形成する天板と、前記断熱壁を吊持するフレームと、前記断熱壁を昇降するための昇降手段とを有する断熱テントであって、前記断熱壁は分割された複数の断熱材ユニットと一体ものの防水被覆とから成り、且つ前記断熱材ユニットは前記防水被覆の内周面に固定手段によって固定されながら前記防水被覆の内部に順次敷き詰められ、前記断熱壁は全面にわたり均一かつ十分な壁厚の断熱材を有することを特徴とする。
上記第1の発明の断熱テントでは、断熱材ユニットが固定手段によって1体ものの防水被覆の内周面に固定されながら順次敷き詰められることによって断熱壁が構成されている。これにより、断熱壁の製造工程において縫製加工が殆ど不要となり、製造工程が簡略化され作業工数が大幅に削減されることになる。また、断熱壁は縫製加工による狭小部を有しないため、断熱壁は全面にわたり十分な厚さの断熱材を確保することができ、断熱性能に優れるようになる。更に、断熱材ユニットと断熱材ユニットとの継ぎ目は、断熱壁が折り畳まれる際の折り目となる。そして、断熱壁の外周面には縫製加工による縫い目が存在しなくなるので、断熱壁は気密性を有し水洗いが可能となり洗浄性を有するようになる。同時に、断熱壁の表面にはシワが発生しにくく美的外観が向上するようになる。
【0005】
第2の発明の断熱テントでは、前記断熱材ユニットは、中央部近傍に切り込みを有し、前記昇降手段によって自動的に折り畳まれることとした。
上記第2の発明の断熱テントでは、断熱材ユニットは中央部近傍に切り込みを有しているので、断熱壁に圧縮力を作用するだけで、断熱壁は断熱材ユニットと断熱材ユニットとの継ぎ目および切り込みを中心として容易に折り曲げられ得ることとなる。
【0006】
第3の発明の断熱テントでは、前記断熱壁は前記断熱材ユニットの中央部近傍に対応する位置に折り曲げ支援機構を有し、前記昇降手段によって自動的に折り畳まれることとした。
上記第3の発明の断熱テントでは、断熱壁の断熱材ユニットの中央部近傍に対応する位置に折り曲げ支援機構が取り付けられているので、断熱壁に圧縮力を作用するだけで、断熱壁は断熱材ユニットと断熱材ユニットとの継ぎ目および折り曲げ支援機構の作用により容易に折り曲げられ得ることとなる。
【0007】
第4の発明の断熱テントでは、前記断熱壁は、折り畳まれた形態を安定させる収納安定手段を有していることとした。
上記第4の発明の断熱テントでは、断熱壁が折り畳まれ吊り下げられた際に、収納安定手段が断熱壁の収納形態を保持するので、折り畳まれた断熱壁が垂れ下がることはなく収納性に優れるようになる。
【0008】
前記目的を達成するための第5の発明は、中央部近傍に切り込みを有する断熱材ユニットを防水被覆の一の開口端から挿入し固定手段によって前記防水被覆の中央部近傍に固定した後、他の断熱材ユニットを何れかの開口端から挿入し固定手段によって前記防水被覆の内周面に固定しながら断熱材ユニットを一定方向に敷き詰めてゆき、断熱材ユニットが前記開口端から突出しない限度に達すると、前記開口端を封止すると共に断熱材ユニットが詰められた部分を折り畳み、今度は断熱材ユニットを他の開口端から挿入し固定手段によって前記防水被覆の内周面に固定しながら断熱材ユニットを一定方向に敷き詰めてゆき、断熱材ユニットが前記他の開口端から突出しない限度に達すると、前記他の開口端を封止することにより断熱壁を構成することを特徴とする。
上記第5の発明の断熱テントの製造方法では、例えば、断熱壁の下半分に相当する部分に対する断熱材ユニットの敷き詰めが完了したとき、その断熱材ユニットの敷き詰めが完了した部分は容易に折り畳むことが出来るから、その部分を折り畳むことにより、その断熱壁の下半分に相当する部分のスペースを新たに生じさせ得ることとなる。つまり、本製造方法によれば、従来の約半分の作業スペースで断熱壁を製造することが出来ることとなる。従って、その新たに生じたスペースにおいて、新たな断熱壁を製造することにより、生産性の大幅な向上に寄与するようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の断熱テントによれば、断熱材ユニットが、固定手段によって防水被覆の内周面に固定されながら防水被覆の内部に順次敷き詰められることによって断熱壁が構成されているので、断熱壁の製造工程において縫製加工が殆ど不要となる。その結果、製造工程が簡略化され作業工数が大幅に削減されることになる。また、断熱壁は縫製加工による狭小部を有しないため、断熱壁は全面にわたり十分な厚さの断熱材を確保することができ、断熱性能に優れるようになる。更に、断熱材ユニットと断熱材ユニットとの継ぎ目は、断熱壁が折り畳まれる際に折り目となる。そして、断熱壁の外周面には縫製加工による縫い目が存在しなくなるので、断熱壁は気密性を有し水洗いが可能となり洗浄性を有するようになる。同時に、断熱壁の表面にはシワが発生しにくく美的外観が向上するようになる。
また、断熱材ユニットは中央部近傍に切り込みを有しているので、断熱壁に圧縮力を作用するだけで、断熱壁は、断熱材ユニットの継ぎ目および切り込みを中心として容易に折り曲げられ得ることとなる。あるいは、その切り込みに代えて又はその切り込みと共に、断熱材ユニットの中央部近傍に対応する位置に折り曲げ支援機構が取り付けられてもよく、その場合も断熱壁はその継ぎ目および折り曲げ支援機構を中心として容易に折り曲げられ得ることとなる。また、折り畳まれた断熱壁は収納安定手段によって垂れ下がることはなく収納性に優れるようになる。
また、本発明の断熱テントの製造方法によれば、作業スペースを節約しながら断熱壁を製造することが出来るようになるので、縫製加工の省略化と相俟って作業工数の削減および生産性の向上に寄与するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明に係る断熱テント100を示す斜視図である。
この断熱テント100は、天壁を形成する天板1および側壁を形成する断熱壁2と、断熱壁2を吊持するフレーム3と、断熱壁2を昇降する昇降手段としての巻取り機4と、隣接する断熱壁2,2の接合部を封止するコーナー部シール5と、断熱壁2を引き上げる収納ベルト6と、収納ベルト6を巻き取るシャフト7とその軸受け8と、シャフト7と巻取り機4とを連動させるプーリー9と、断熱壁2の収納形態を保持する収納安定手段としての収納スタビライザー10と、収納スタビライザー10の一端を回転自在に係止すると共に断熱壁2の弛緩を防止するバランスウェイト11とを具備して構成されている。
【0012】
なお、詳細については後述するが、断熱壁2の内部は複数の矩形状断熱材ユニットによって構成され、図中、断熱壁2の水平方向にわたり描かれている点線は、その断熱材ユニットと断熱材ユニットとの継ぎ目を示している。ちなみに、本実施例では、断熱壁2の内部は大4個および小2個の6個の断熱材ユニットで構成されている。また、断熱材ユニットの固定は、従来から広く行われている縫製止めではなく、例えばボルト及びナットのファスナーによって直に防水被覆の内周面に固定することにより行われている。そのため、詳細については図5から7を参照しながら後述するが、断熱壁2の製造工程が大幅に簡略化され、その結果、従来の作業工数を大幅に削減することが可能となる。また、断熱壁2の外周面においては、縫製による縫い目は殆ど見られず、更に縫い目に起因するシワも発生することはなく外観を損なうことがなくなる。
【0013】
なお、断熱壁2の表面の○印は、ボルト及びナット又はループファスナー等を止める座金を表し、その周辺部は断熱接着剤(図示せず)で封止され、断熱壁2の内部の気密性が好適に保たれている。そのため、断熱壁2の外周面は水洗いすることができ、カビや雑菌の繁殖が好適に防止される。
【0014】
また、詳細については後述するが、巻取り機4によって、収納ベルト6が巻かれると、バランスウェイト11が上昇して断熱壁2は圧縮力を受け、断熱壁2は端整に折り畳まれるようになる。その際、収納スタビライザー10によって、断熱壁2の収納形態が保持され、折り畳まれた断熱壁2が垂れ下がる等の収納形態が崩れなくなる。
【0015】
図2は、断熱壁2の内側の壁面を示す要部説明図である。
断熱壁2の内部には、大4個および小2個の合計6個の断熱材ユニットが敷き詰められ、大の断熱材ユニットは上部および中央部において座金23を介してファスナー24によって固定され、小の断熱材ユニットは上部において固定されている。
【0016】
この断熱壁2の内側には、例えば3本の収納ベルト6が配設され、その上端をシャフト7(図示せず)に係止され、その下端をバランスウェイト11に係止されている。また、壁面には収納ベルト6を安定させるために、1本の収納ベルト6につき、例えば4個のベルトガイド61が取り付けられている。あるいは、収納ベルト6を、ドラムを介してシャフト7によって巻き取るようにしても良い。
【0017】
詳細については後述するが、収納ベルト6がシャフト7によって巻き取られると、バランスウェイト11が上昇して断熱壁2を圧縮するようになるが、断熱材ユニットの中央部近傍に切り込みが水平方向にわたり形成され、更に断熱材ユニットと断熱材ユニットとの間に継ぎ目が形成されているので、断熱壁2はこれらの切り込み及び継ぎ目を中心として自動的に端整に折り畳まれることとなる。
【0018】
また、バランスウェイト11には収納スタビライザー10(図示せず)が回転自在に取り付けられ、断熱壁2が折り畳まれる際に、断熱壁2の収納形態を安定した姿勢で保持する。さらに、このバランスウェイト11は、断熱壁2の弛緩を好適に防止すると共に断熱壁2の地面との接合部を好適に封止する。これにより、断熱テント100の内部に外気が浸入し、或いは断熱テント100の内部から内気が漏洩することが起こりにくくなる。
【0019】
図3は、図2のA−A’断面図である。
断熱壁2は、複数の断熱材ユニット21と一体ものの防水被覆22とから成る。断熱材ユニット21の材質は、例えば発泡ウレタンフォーム材またはグラスウール材である。防水被覆22の材質は、例えばターポリン材(ポリエステル繊維の織物を軟質な合成樹脂フィルムでサンドした素材)等の防湿性および通気遮断性を有する合成樹脂シートである。断熱材ユニット21の厚さは40mm以上、防水被覆22の厚さは片側0.4mm以上が望ましい。なお、上記天板1も同一の素材で構成されている。
【0020】
断熱材ユニット21は、防水被覆22の内周面に、固定手段としての座金23およびファスナー24によって固定されている。また、図示されてはいないが、防水被覆22と座金23との接触部分および座金23とファスナー24との接触部分は、断熱壁内部の気密性および断熱性を保持するために断熱接着剤で封止されている。これにより、断熱壁2の内部に水分または異物が混入することを防止すると共に断熱性能が劣化することを好適に防止し、更に断熱壁2に対し水洗いが可能になる。
【0021】
また、断熱材ユニット21の中央部近傍には切り込みCが水平方向にわたり形成されている。また、切り込みCの深さは、例えば壁厚の50〜70%が望ましい。これにより、収納ベルト6を巻き上げると断熱壁2は切り込みCおよび継ぎ目Jにおいて自動的に端整に折り畳まれることとなり、断熱壁2は収納性を有するようになる。
【0022】
図4は、図3のB矢視図である。
ベルトガイド61は、例えばステンレスパイプをループ状に成形したものであり、これらは座金23を介してループファスナー25によって断熱壁2の壁面に固定されている。また、ループファスナー25としては、例えばインシュロックタイを使用することが出来る。また、ベルトガイド61は、収納ベルト6がシャフト7によって巻き取られ、断熱壁2が折り畳まれる際に、切り込みCにおける曲げをアシストする折り曲げ支援機構として機能している。
【0023】
図5から7は、断熱壁2の製造方法を示す説明図である。
断熱壁2は、6個の断熱材ユニット21、例えば第1,第2,第3,第4,第5および第6断熱材ユニット21a,21b,21c,21d,21e,21f並びに1体ものの防水被覆22で構成され、且つ防水被覆22の両端は始め開口しているものとする。この場合、先ず、第3断熱材ユニット21cを防水被覆22の一方の開口端22Eから挿入して、防水被覆22の中央部近傍に座金23およびファスナー24によって固定する。次ぎに、第2断熱材ユニット21bおよび第1断熱材ユニット21aの順に挿入しながら固定して断熱壁2の下半分に相当する断熱材ユニットを敷き詰めて行く。その後、その開口端22Eを封止する。封止は、例えば、熱融着により行う。図6は、断熱壁2の下半分に相当する断熱材ユニット21a,21b,21cが敷き詰められた状態を示している。
【0024】
次いで、断熱壁2の上半分に相当する断熱材ユニット21d,21e,21fを敷き詰めるわけであるが、上述した通り、各断熱材ユニット21a,21b,21cの中央部近傍に切り込みCが施され更に断熱材ユニットと断熱材ユニットの間には継ぎ目Jが形成されているため、図7に示すように、断熱壁2の下半分に相当する部分は容易に折り畳まれることとなる。そして、残りの断熱材ユニット21d,21e,21fを他の開口端22Eから挿入しながら固定し防水被覆22の内部に敷き詰めて行く。このように、断熱壁2の下半分に相当する部分が折り畳まれると、新たな作業スペースが生じ、その結果、他の断熱壁2を製造することが可能となり、生産性が向上するようになる。
【0025】
また、前述したとおり、断熱壁2は、断熱材ユニット21を防水被覆22の内周面に座金23およびファスナー24によって固定しながら一定方向に敷き詰めて行くことにより得られるものであるため、縫製により工程が殆どなく作業工数を大幅に削減することが可能となる。
【0026】
断熱壁2は、縫製による縫い目を有しないため、全面にわたり断熱材の厚さを均一かつ十分に確保することが可能であり断熱性能に優れる。また、ファスナー24による貫通孔は断熱接着剤(図示せず)で好適に封止されているため水洗浄が可能になり、断熱壁2の外周面は常に清潔な状態を維持することが出来る。
【0027】
図8は、収納スタビライザー10を示す説明図である。図8(a)は正面図であり、同(b)は右側面図である。
この収納スタビライザー10は、折り畳まれた断熱壁2を支持する第1支持棒12と、第1支持棒12をループ部14によって支持する第2支持棒13と、第2支持棒13を回転させるヒンジ部15とから成っている。また、この収納スタビライザー10は、下方をバランスウェイト11に固定され、上方を袋支持部16によって収納されている。
【0028】
ヒンジ部15によって、収納スタビライザー10は回転することが出来る。また、袋支持部16の長径は、第1支持棒12の外径に対し十分に余裕があり、収納スタビライザー10は断熱壁2の伸縮に対応することが出来る。
【0029】
図9は、断熱壁2の収納形態を示す説明図である。
巻取り機4(図示せず)が回転しそれと連動するプーリー9(図示せず)が回転し、収納ベルト6が巻かれると、バランスウェイト11が上昇する。断熱壁2の上端はフレーム3によってせき止められているので、断熱壁2は圧縮作用を受けながら継ぎ目Jおよび切り込みCを中心として端整に折り畳まれることとなる。また、断熱壁2は、収納スタビライザー10によって収納時の姿勢を安定に保たれる。これにより、断熱壁2は収納時の姿勢が安定し、折り畳まれた断熱壁2が垂れ下がる等の収納形態が崩れることはなくなる。
【0030】
本発明の断熱テント100によれば、断熱材ユニット21が、座金23およびファスナー24によって防水被覆22の内周面に固定されながら防水被覆22の内部に順次敷き詰められることによって断熱壁2が構成されているので、断熱壁2の製造工程において縫製加工が殆ど不要となる。その結果、製造工程が簡略化され作業工数が大幅に削減されることになる。また、断熱壁2は縫製加工による狭小部を有しないため、断熱壁2は全面にわたり十分な厚さの断熱材を確保することができ、断熱性能に優れるようになる。更に、断熱材ユニット21と断熱材ユニット21との継ぎ目Jは、断熱壁2が折り畳まれる際に折り目となる。そして、断熱壁2の外周面には縫製加工による縫い目が存在しなくなるので、断熱壁2は気密性を有し水洗いが可能となり洗浄性を有するようになる。同時に、断熱壁2の表面にはシワが発生しにくく美的外観が向上するようになる。
また、断熱材ユニット21は中央部近傍に切り込みCを有しているので、断熱壁2に圧縮力を作用するだけで、断熱壁2は、断熱材ユニット21の継ぎ目J、切り込みC及びベルトガイド61を中心として容易に折り曲げられ得ることとなる。また、折り畳まれた断熱壁は収納スタビライザー10によって垂れ下がることはなく収納性に優れるようになる。
また、本発明の断熱テントの製造方法によれば、作業スペースを節約しながら断熱壁2を製造することが出来るようになるので、縫製加工の省略化と相俟って作業工数の削減および生産性の向上に寄与するようになる。
【実施例2】
【0031】
図10は、実施例2に係る断熱壁2Aを示す説明図である。
上記断熱壁2では、断熱材ユニット21の中央部近傍に切り込みC及びベルトガイド61が形成され、圧縮作用を受けると断熱壁2が自動的に折り畳まれる構成であるが、同様に、この断熱壁2Aでも、断熱材ユニット21の中央部近傍に相当する部分に折り曲げ支援機構としてのガイド棒17がループファスナー25によって取り付けられ、圧縮作用を受けると断熱壁2Aが自動的に折り畳まれる構成である。
【0032】
図11は、図10のC−C’断面図である。
ガイド棒17は、断熱材ユニット21の中央部近傍にループファスナー25によって固定されている。また、そのループファスナー25は、例えば座金23によって固定され、座金23の周辺部は断熱接着剤(図示せず)で封止され、断熱壁2Aの気密性が保持されている。
【実施例3】
【0033】
図12は、実施例3に係る収納スタビライザー10Aを示す説明図である。
上記収納スタビライザー10は、袋支持部16によって断熱壁2の伸縮等の変動に対応する構成であるが、この収納スタビライザー10Aは、調整棒13aおよび主棒13bから成る第2支持棒13によって断熱壁2の伸縮等の変動に対応する構成である。
【0034】
主棒13bは調整棒13aの内部に挿通され、調整棒13aの内周面に沿って摺動することが出来る構成となっている。
【0035】
図13は、断熱壁2の収納形態を示す説明図である。
巻取り機4(図示せず)が回転しそれと連動するプーリー9(図示せず)が回転し、収納ベルト6が巻かれると、バランスウェイト11が上昇する。断熱壁2の上端はフレーム3によってせき止められているので、断熱壁2は圧縮作用を受けながら継ぎ目Jおよびガイド棒17を中心として端整に折り畳まれる。この時、断熱壁2は伸びるが、収納スタビライザー10Aの主棒13bが調整棒13aの内周面を摺動し、断熱壁2の伸びに好適に対応する。更に、断熱壁2が折り畳まれた収納形態は収納スタビライザー10Aによって安定に保たれる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
野菜または果物等の生鮮品の鮮度管理、熟成または保存用の他、温度または湿度に敏感な物品の保管にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る断熱テントを示す斜視図である。
【図2】断熱壁の内側の壁面を示す要部説明図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】図3のB矢視図である。
【図5】断熱壁の製造方法を示す説明図である。
【図6】断熱壁の半完成状態を示す説明図である。
【図7】断熱壁の下半分に相当する部分が折り畳まれた状態を示す断面説明図である。
【図8】収納スタビライザーを示す説明図である。
【図9】断熱壁の収納形態を示す説明図である。
【図10】実施例2に係る断熱壁を示す説明図である。
【図11】図10のC−C’断面図である。
【図12】実施例3に係る収納スタビライザーを示す説明図である。
【図13】断熱壁の収納形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 天板
2 断熱壁
3 フレーム
4 巻取り機
5 コーナー部シール
6 収納ベルト
7 シャフト
8 軸受け
9 プーリー
10 収納スタビライザー
11 バランスウェイト
12 第1支持棒
13 第2支持棒
14 ループ部
15 ヒンジ部
16 袋支持部
17 ガイド棒
21 断熱材ユニット
22 防水被覆
23 座金
24 ファスナー
25 ループファスナー
100 断熱テント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁を形成する断熱壁と、天壁を形成する天板と、前記断熱壁を吊持するフレームと、前記断熱壁を昇降するための昇降手段とを有する断熱テントであって、前記断熱壁は分割された複数の断熱材ユニットと一体ものの防水被覆とから成り、且つ前記断熱材ユニットは前記防水被覆の内周面に固定手段によって固定されながら前記防水被覆の内部に敷き詰められ、前記断熱壁は全面にわたり均一かつ十分な壁厚の断熱材を有することを特徴とする断熱テント。
【請求項2】
前記断熱材ユニットは中央部近傍に切り込みを有し、前記断熱壁は前記昇降手段によって自動的に折り畳まれる請求項1に記載の断熱テント。
【請求項3】
前記断熱壁は前記断熱材ユニットの中央部近傍に対応する位置に折り曲げ支援機構を有し、前記昇降手段によって自動的に折り畳まれる請求項1又は2に記載の断熱テント。
【請求項4】
前記断熱壁は、折り畳まれた形態を安定させる収納安定手段を有している請求項1から3の何れかに記載の断熱テント。
【請求項5】
中央部近傍に切り込みを有する断熱材ユニットを防水被覆の一の開口端から挿入し固定手段によって前記防水被覆の中央部近傍に固定した後、他の断熱材ユニットを何れかの開口端から挿入し固定手段によって前記防水被覆の内周面に固定しながら断熱材ユニットを一定方向に敷き詰めてゆき、熱材ユニットが前記開口端から突出しない限度に達すると、前記開口端を封止すると共に断熱材ユニットが詰められた部分を折り畳み、今度は他の開口端から断熱材ユニットを挿入し固定手段によって前記防水被覆の内周面に固定しながら断熱材ユニットを一定方向に敷き詰めてゆき、断熱材ユニットが前記他の開口端から突出しない限度に達すると、前記他の開口端を封止することにより断熱壁を構成することを特徴とする断熱テントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−51451(P2007−51451A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236636(P2005−236636)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(394000471)静岡果機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】