説明

断熱パネル、断熱構造及び断熱ボード

【課題】構成部材に設置する際の作業効率の向上を図り易い断熱パネル及び断熱構造を提供することを目的とする。
【解決手段】構成部材H,H同士の間に嵌め込まれる断熱基部11を有し、断熱基部11には、構成部材Hに面する小口面11cから突出し、且つ小口面11cの長手方向に沿って延在する延長片部13が一体成形されている。断熱基部11を構成部材H同士の間に嵌め込んだ際に、延長片部13は構成部材Hに当接して撓むことで構成部材Hと密着するので、断熱基部11と構成部材Hとの間に生じる隙間Cを効果的に塞ぐことができる。従って、断熱基部11を嵌め込むだけで、同時に延長片部13が隙間Cを塞ぐように作用し、そのために付加的な作業を要することなく気密性の確保等が可能になる。その結果として、断熱パネル1Aを構成部材Hに設置する際の作業効率の向上を図り易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の柱などの構成部材に取り付けられる断熱パネル、断熱構造及び断熱ボードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
断熱パネルを備えた木造の建築物が知られている。断熱パネルの本体部分は、発泡ポリスチレンなどの発泡樹脂からなる断熱材を備え、この断熱材が枠材などに固定されてユニット化されている(特許文献1参照)。この種の断熱パネルは、例えば、隣接する二本の柱または間柱同士の間で、且つ土台及び軒げたの間に嵌め込まれて取り付けられ、適宜に釘などが打ち込まれて所定位置に固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の断熱パネルを柱などの構成部材同士の間に嵌め込んで設置する場合、どうしても断熱パネルと柱との間に僅かな隙間が生じてしまう。その隙間は、気密性や見栄えなどの観点から好ましくないため、例えば、隙間にシーリング材を充填するなどの付加的な作業が必要となり、作業負担の増大や作業時間の延長につながり易く、施工作業における作業効率の向上を図り難かった。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、構成部材に設置する際の作業効率の向上を図り易い断熱パネル、断熱構造及び断熱ボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、並んで配置された複数の構成部材に設置される断熱パネルにおいて、構成部材同士の間に嵌め込まれると共に、断熱材料を含んで構成され、且つ嵌め込まれた際に構成部材に面する側端面を有する断熱基部と、断熱基部に一体成形されると共に、側端面から突出し、且つ側端面の長手方向に沿って延在する延長片部と、を備え、延長片部は、断熱基部が構成部材同士の間に嵌め込まれる際に構成部材に当接して撓むことで構成部材に密着することを特徴とする。
【0006】
本発明に係る断熱パネルによれば、断熱基部を構成部材同士の間に嵌め込むだけで、同時に延長片部は構成部材に当接して撓むことで構成部材に密着し、従って、断熱基部と構成部材との間に生じる隙間を効果的に塞ぐことができる。その結果として、断熱基部を嵌め込んだ後で、隙間を塞ぐための付加的な作業を要することなく気密性の確保等が可能になり、断熱パネルを構成部材に設置する際の作業効率の向上を図り易くなる。
【0007】
さらに、延長片部は、断熱基部の両面のうち、一方の面に面一に連絡すると好適である。この一方の面側から断熱基部を構成部材同士の間に嵌め込むと、延長片部は断熱基部の他方の面側に倒れるように撓んで構成部材に密着し、延長片部の先端側の縁は隙間の奥に隠れる。さらに、延長片部は断熱基部の一方の面に面一に連絡するので、撓んだ延長片部と断熱基部との連絡部位に段差などはなく、見栄えを向上させる上で有効である。
【0008】
さらに、上記の一方の面と延長片部とを連絡するように固定されると共に、可撓性を有する面材を更に備えると好適である。延長片部の撓みに面材も追従する。ここで、仮に延長片部が折れてしまっても、延長片部は面材を介して断熱基部に固定されているので、延長片部の離脱を防ぎ、延長片部が構成部材に密着した状態を保持できる。
【0009】
また、本発明は、並んで配置された複数の構成部材同士の間に断熱パネルが設置された断熱構造において、断熱パネルは、構成部材同士の間に嵌め込まれると共に、断熱材料を含んで構成され、且つ嵌め込まれた際に構成部材に面する側端面を有する断熱基部と、断熱基部に一体成形されると共に、側端面から突出し、且つ側端面の長手方向に沿って延在する延長片部と、を備え、延長片部は、構成部材に当接して撓むことで構成部材に密着していることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る断熱構造によれば、断熱基部に一体成形された延長片部が構成部材に当接して撓むことで構成部材と密着するので、断熱基部と構成部材との間に生じる隙間は効果的に塞がれる。つまり、断熱基部を嵌め込むだけで、同時に延長片部が隙間を塞ぐように作用するので、付加的な作業を要することなく、気密性の確保等が可能になる。その結果として、断熱パネルを構成部材に設置する際の作業効率の向上を図り易くなる。
【0011】
また、本発明は、構成部材に固定される下地材に取り付けられる断熱ボードにおいて、構成部材同士の間に嵌め込まれると共に、断熱材料を含んで構成され、且つ嵌め込まれた際に前記構成部材に面する側端面を有する断熱基部と、断熱基部に一体成形されると共に、側端面から突出し、且つ側端面の長手方向に沿って延在する延長片部と、を備え、延長片部は、断熱基部が構成部材同士の間に嵌め込まれる際に構成部材に当接して撓むことで構成部材に密着することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る断熱ボードによれば、断熱基部に一体成形された延長片部が構成部材に当接して撓むことで構成部材と密着するので、断熱基部と構成部材との間に生じる隙間は効果的に塞がれる。つまり、断熱基部を嵌め込むだけで、同時に延長片部が隙間を塞ぐように作用するので、付加的な作業を要することなく、気密性の確保等が可能になる。その結果として、断熱ボードを構成部材に設置する際の作業効率の向上を図り易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、断熱パネルまたは断熱ボードを構成部材に設置する際の作業効率の向上を図り易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る断熱パネルの平面図である。
【図2】断熱パネルの断面図であり、(a)は図1のII−II線に沿った断面図であり、(b)は小口面を拡大して示す部分断面図である。
【図3】木造の建築物を模式的に示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図4の矢印Vで示す部分の拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る断熱パネルを示し、(a)は、第2の実施形態、(b)は第3の実施形態、(c)は第4の実施形態、(d)は第5の実施形態、(e)は第6の実施形態を示す部分断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る断熱パネルを示し、(a)は、第7の実施形態、(b)は第8の実施形態、(c)は第9の実施形態、(d)は第10の実施形態、(e)は第11の実施形態を示す部分断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る断熱パネルを示し、(a)は、第12の実施形態、(b)は第13の実施形態、(c)は第14の実施形態、(d)は第15の実施形態、(e)は第16の実施形態を示す部分断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る断熱パネルを示し、(a)は、第17の実施形態、(b)は第18の実施形態、(c)は第19の実施形態、(d)は第20の実施形態、(e)は第21の実施形態、(f)は第22の実施形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
【0016】
本実施形態に係る断熱パネルは、木造建築物の躯体B(図3参照)に取り付けられる壁パネル、天井パネルまたは床パネルとして用いられる。例えば、壁パネルとして用いられる場合には、隣り合って並ぶ複数の柱または間柱の間に、断熱作用を奏する主要部分を充填断熱工法によって嵌め込まれるようして設置される。以下、図1及び図2を参照して、壁パネルの場合を例にして具体的に説明する。
【0017】
図1及び図2に示されるように、断熱パネル1Aは、矩形の下地板(下地材)3にフェノール樹脂の発泡体(フェノールフォーム)からなる矩形の断熱ボード5が二列に並んで固着されて形成されている。下地板3は、例えば、合板、MDF(中密度繊維板)またはパーティクルボードなどから形成されている。なお、本実施形態では、一枚の下地板3に二枚の断熱ボード5が固着されている態様を例示するが、躯体B(図3参照)に設置される部位に応じて、例えば、一枚の下地板3に一枚の断熱ボード5が固着されていたり、一枚の下地板3に三枚以上の断熱ボード5が固着されていたりしてもよい。
【0018】
断熱ボード5は、対向する一対のポリエステル不織布の間に充填固化されたフェノールフォームからなり、取り付け位置、例えば、柱と間柱との間、間柱同士の間(以下、「構成部材同士の間」という)などの所定の寸法に合わせた幅に切断されて形成されている。断熱ボード5のフェノールフォームからなる部分は断熱部7であり、断熱部7を挟むように固着された一対のポリエステル不織布は面状部8,9である。一対の面状部8,9のうち、下地板3に固着される一方側は裏側の面状部8であり、他方側は表側の面状部9である。表側の面状部9は、面材に相当する。
【0019】
断熱部7(図2(b)参照)は、構成部材H,H(図4参照)同士の間に嵌め込まれる矩形の断熱基部11と、断熱基部11の周縁から張り出すように形成された延長片部13と、を有し、断熱基部11と延長片部13とは一体的に成形されている。断熱基部11は、表裏を構成する一対のパネル面11a,11bを有し、断熱基部11の裏のパネル面11aは面状部8を介して下地板3に固定されている。また、断熱基部11は、パネル面11a,11bの周縁で柱、間柱または横架材などの構成部材Hに対向するように面する小口面11cを有する。
【0020】
延長片部13は、断熱基部11の小口面11cから突出しており、また、小口面11cの長手方向に沿って延在する。なお、小口面11cの長手方向とは、パネル面11a,11bの各辺に沿った方向を意図している。延長片部13を長手方向に直交する方向に切断した場合、その横断面形状は矩形であり、一方の短辺が断熱基部11に接続され、一方の長辺が断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡している。延長片部13は、断熱基部11を構成部材H,H同士(図4及び図5参照)の間に嵌め込んだ際に、構成部材H,Hに当接し、倒れるように撓むことが可能である。
【0021】
本実施形態に係る面状部8,9は、ポリエステル不織布であるが、アルミはく、アルミクラフト紙、およびそれらの組み合わせなど、可撓性を有する面状の素材を広く用いることができ、特に、耐熱性や断熱性に優れた素材であると好ましい。
【0022】
次に、本実施の形態に係る断熱パネル1Aを躯体Bに取り付けた断熱構造20を説明し、さらに、断熱パネル1Aの作用について図3〜図5を参照して説明する。図3は、建築物を模式的に示す断面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。なお、図4では、構成部材Hに取り付けられた後の断熱パネル1Aを実線で示し、取り付けられる前の断熱パネル1Aを二点鎖線で示している。また、図5は、図4の矢印Vで示す部分の拡大図であり、延長片部13が隙間を塞いでいる状態を示している。
【0023】
例えば、断熱パネル1Aを壁パネルとして用いる場合、壁パネルとしての適用場所に合わせて断熱ボード5を所定の形状に切断し、一または複数を下地板3に貼り付けてユニット化しておく。この状態で断熱パネル1Aが完成している。
【0024】
次に、断熱ボード5の断熱基部11が構成部材H,H同士の間に嵌め込まれるように断熱パネル1Aを壁面の所定位置に設置する。この際、下地板3の断熱ボード5から張り出した部分(係止部分)3aが構成部材Hに引っ掛かるように当接して位置合わせされ、この係止部分3aが専用の木ねじなどで構成部材Hに固定される。断熱パネル1Aの断熱基部11が構成部材H,H同士の間に嵌め込まれるように設置されることで断熱構造20が完成する。
【0025】
断熱パネル1Aの断熱ボード5は、構成部材H,H同士の間の寸法に合わせて切断されているが、どうしても若干の誤差はあり、従って、構成部材Hとの断熱基部11の小口面11cとの間には、僅かな隙間C(図5参照)が生じてしまう。従来の断熱パネルの場合、この隙間Cを埋めるためにシーリング材の充填、テープの貼着、現場発泡ウレタン吹き等の付加的な作業を要する。
【0026】
しかしながら、本実施形態によれば、図5に示されるように、断熱パネル1Aの断熱基部11を構成部材H,H同士の間に嵌め込だけで、同時に延長片部13は構成部材Hに当接して撓むことで構成部材Hに密着し、従って、断熱基部11と構成部材Hとの間に生じる隙間Cを効果的に塞ぐことができる。その結果として、断熱基部11を嵌め込んだ後で、隙間Cを塞ぐための付加的な作業を要することなく気密性の確保等が可能になり、断熱パネル1Aを構成部材Hに設置する際の作業効率の向上を図り易くなる。
【0027】
さらに、断熱基部11は、表のパネル面11b側から構成部材H,H同士の間に嵌め込まれるが、この時に、延長片部13は断熱基部11の裏のパネル面11a側に倒れるように撓んで構成部材Hに密着し、延長片部13の先端側の縁は隙間Cの奥に隠れる。さらに、延長片部13は断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡するので、撓んだ延長片部13と断熱基部11との連絡部位に段差などはなく、見栄えを向上させる上で有効である。
【0028】
さらに、断熱ボード5は、断熱基部11及び延長片部13からなる断熱部7を挟むように固着された一対の面状部8,9を備えている。表側の面状部9は、表のパネル面11bと延長片部13とを連絡するように、特に、表のパネル面11bと延長片部13とを全て覆い隠すように固定されている。面状部9は可撓性を有しているので、延長片部13の撓みに面状部9も追従する。ここで、仮に延長片部13が折れてしまっても、延長片部13は面状部9を介して断熱基部11に固定されているので、延長片部13の離脱を防ぎ、延長片部13が構成部材Hに密着した状態を保持できる。
(他の実施形態)
【0029】
次に、本発明の第2〜第22の実施形態に係る断熱パネルについて図6〜図9を参照して順番に説明する。なお、第2〜第22の実施形態に係る断熱パネルについて、第1の実施形態に係る断熱パネルと同一の要素や構造については、第1の実施形態に係る断熱パネルと同一の符号を記して詳細な説明は省略する。また、図6〜図9で示す断熱パネルでは、断熱基部の小口面や延長片部を説明する便宜上、他の要素や部材と比較して意図的に拡大して示している。
【0030】
図6(a)に示されるように、第2実施形態に係る断熱パネル1Bは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13Bの形状が異なる。具体的には、延長片部13Bに関して、小口面11cの長手方向に直交する方向に沿って切断した断面形状(以下、「横断面形状」という)は、断熱基部11から離れた側の辺が広がった直角台形状である。構成部材H,H(図5参照)同士の間に断熱ボード5を嵌め込んだ際には、延長片部13Bが構成部材Hに当接して撓み、構成部材Hに密着して隙間Cを塞ぐ。なお、後述の延長片部13C、13〜13H、13J、13K、13M、13M、13N、13P〜13S、27A〜27Fも同様に、構成部材Hに当接して撓み、構成部材Hに密着して隙間Cを塞ぐ。
【0031】
図6(b)に示されるように、第3実施形態に係る断熱パネル1Cは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13Cの形状が異なる。具体的には、延長片部13Cの横断面形状は、断熱基部11から離れた側の辺が狭くなった直角台形状である。
【0032】
図6(c)に示されるように、第4実施形態に係る断熱パネル1Dは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13D及び小口面11dの形状が異なる。具体的には、延長片部13Dは、断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡するとともに、断熱基部11に接続された側で広く、また、断熱基部11から離れた先側が狭くなっている。さらに、延長片部13Dと小口面11dとの連絡部位には、先端部から基端部にかけて滑らかに湾曲した凹曲面が形成されている。本実施形態に係る小口面11dは断熱基部の側端面に相当する。
【0033】
図6(d)に示されるように、第5実施形態に係る断熱パネル1Eは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13E及び小口面11eの形状が異なる。具体的には、延長片部13Eの横断面形状は、第2実施形態と同様に直角台形状になっている。また、断熱基部11の小口面11eは、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で対面する構成部材Hに対して、表のパネル面11b側の方が、裏のパネル面11a(図2(b)参照)側に比べて構成部材Hから離れており、表のパネル面11b側から裏のパネル面11aにかけて滑らかに湾曲した凸曲面状に形成されている。本実施形態に係る小口面11eは断熱基部の側端面に相当する。
【0034】
図6(e)に示されるように、第6実施形態に係る断熱パネル1Fは、小口面11fの形状を除いて、実質的に第1実施形態に係る断熱パネル1Aと同様であり、また、小口面11fは、第5実施形態と同様に凸曲面状に形成されている。本実施形態に係る小口面11eは断熱基部の側端面に相当する。
【0035】
図7(a)に示されるように、第7実施形態に係る断熱パネル1Gは、小口面11gに縦溝15が形成されていることを除いて、実質的に第1実施形態に係る断熱パネル1Aと同様である。縦溝15は、小口面11gの長手方向に沿って形成された略矩形の溝であり、縦溝15が形成された小口面11gは断熱基部の側端面に相当する。
【0036】
図7(b)に示されるように、第8実施形態に係る断熱パネル1Hは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13H及び小口面11hの形状が異なる。具体的には、延長片部13Hは、第2実施形態と同様に横断面形状が直角台形状である。また、小口面11hは、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で対面する構成部材Hに対して、表のパネル面11bから離れた分だけ近づくような僅かな勾配を有する傾斜面であり、さらに、この傾斜面には、小口面11hの長手方向に沿った縦溝15が形成されている。本実施形態に係る小口面11hは断熱基部の側端面に相当する。
【0037】
図7(c)に示されるように、第9実施形態に係る断熱パネル1Jは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13J及び小口面11jの形状が異なる。具体的には、延長片部11jは、横断面形状が略L字状であり、断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17aと、基端部17aから裏のパネル面11a(図2(b)参照)側に突き出た先端部17bとを有する。先端部17bは、基端側17aで狭く、遊端17c側で広くなるように漸次拡大した台形状である。また、小口面11jは、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で対面する構成部材Hに対して、表のパネル面11b側の方が、裏のパネル面11a側に比べて構成部材Hから離れているような凸曲面状である。本実施形態に係る小口面11jは断熱基部の側端面に相当する。
【0038】
図7(d)に示されるように、第10実施形態に係る断熱パネル1Kは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13K及び小口面11kの形状が異なる。具体的には、延長片部13Kは、横断面形状が略F字状であり、断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17dと、基端部17dから裏のパネル面11a(図2(b)参照)側に突き出た二本の先端部17eと、を有し、先端部17eは、基端側17d側で狭く、遊端17f側で広くなるように漸次拡大した台形状である。また、小口面11kは、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で対面する構成部材Hに対して、表のパネル面11bから離れた分だけ近づくような僅かな勾配を有する傾斜面である。本実施形態に係る小口面11kは断熱基部の側端面に相当する。
【0039】
図7(e)に示されるように、第11実施形態に係る断熱パネルは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13M及び小口面11mの形状が異なる。具体的には、延長片部13Mは、横断面形状が略L字状であり、断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17gと、基端部17gから裏のパネル面11a側に突き出た先端部17hとを有する。先端部17hは遊端17iを有し、遊端17iと基端部17gと結ぶ外側の輪郭は凸曲線であり、遊端17iと基端部17gを結ぶ内側の輪郭は表のパネル面11bの法線に対して所定の勾配を有する直線(以下、「傾斜線」という)である。傾斜線は、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で、基端部17g側に比べて遊端17i側の方が構成部材Hから離れており、遊端17iが若干内側に入り込んだような形状になっている。また、小口面11mは、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で対面する構成部材Hに対して、表のパネル面11bから離れた分だけ近づくような僅かな勾配を有する傾斜面である。本実施形態に係る小口面11mは断熱基部の側端面に相当する。
【0040】
図8(a)に示されるように、第12実施形態に係る断熱パネル1Nは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13N及び小口面11nの形状が異なる。具体的には、延長片部11Nは、表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17jと、基端部17jから裏のパネル面11a(図2(b)参照)側に向けて漸次縮小するように突き出し、遊端に平坦面が形成された先端部17kとを有している。また、小口面11nは、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で対面する構成部材Hに対して、表のパネル面11bから離れた分だけ遠ざかるような僅かな勾配を有する傾斜面である。本実施形態に係る小口面11nは断熱基部の側端面に相当する。
【0041】
図8(b)に示されるように、第13実施形態に係る断熱パネル1Pでは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13P及び小口面11pの形状が異なる。具体的には、延長片部13Pの横断面形状は、略L字状であり、表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17mと、基端部17mから裏のパネル面11a(図2(b)参照)側に向けて漸次縮小するように楔状に突き出した先端部17nを有している。また、小口面11pは、実質的に第12実施形態と同様の傾斜面であり、断熱基部の側端面に相当する。
【0042】
図8(c)に示されるように、第14実施形態に係る断熱パネル1Qは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13Q及び小口面11qの形状が異なる。具体的には、延長片部11qは、横断面形状が略L字状であり、表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17qと、基端部17qから裏のパネル面11aに向けて漸次縮小するように突き出した先端部17rとを有し、先端部17rの遊端には平坦面が形成されている。また、小口面11qは、実質的に第12実施形態と同様の傾斜面であり、断熱基部の側端面に相当する。
【0043】
図8(d)に示されるように、第15実施形態に係る断熱パネル1Rは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13R及び小口面11rの形状が異なる。具体的には、延長片部13Rは、横断面形状が略F字状であり、断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17sと、基端部17sから裏のパネル面11a側に突き出た二本の先端部17tと、を有し、先端部17tは、基端部17s側よりも遊端側で狭くなるような台形状である。また、断熱基部11の小口面11rは、実質的に、第12実施形態と同様の傾斜面であり、断熱基部の側端面に相当する。
【0044】
図8(e)に示されるように、第16実施形態に係る断熱パネル1Sは、第1実施形態に係る断熱パネル1Aに比べて、延長片部13S及び小口面11sの形状が異なる。具体的には、延長片部は横断面形状が略L字状であり、断熱基部11の表のパネル面11bに面一に連絡する基端部17vと、基端部17vから裏のパネル面11a側に突き出た先端部17wとを有する。先端部17wは遊端17xを有し、遊端17xと基端部17vと結ぶ外側の輪郭は凸曲線であり、遊端17xと基端部17vを結ぶ内側の輪郭は傾斜線になっている。傾斜線は、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で、基端部17v側の方が、遊端17x側に比べて離れている。また、小口面11sは、第12実施形態と同様の傾斜面であり、断熱基部の側端面に相当する。
【0045】
次に、第17〜第22の実施形態に係る断熱パネルについて説明する。なお、上述の各実施形態に係る断熱パネル1A〜1H、1J、1K、1M、1N、1P〜1Sは、フェノールフォームからなる断熱部を備えた断熱パネルを例示したが、第17〜第22の実施形態に係る断熱パネルは、ポリスチレンフォームからなる断熱部を備えた断熱パネルを例に説明する。
【0046】
図9(a)に示されるように、第17実施形態に係る断熱パネル1Tは、下地板(図示省略)に固着された断熱ボード21を備えており、断熱ボード21は、ポリスチレンフォームからなる断熱部23を備えており、断熱部23は、断熱基部25と、断熱基部25に一体成形された延長片部27Aとを備えている。断熱基部25は、下地板に固着される側の裏をパネル面(図示省略)と、反対側の表のパネル面25bと、構成部材H,H同士の間に嵌め込まれた状態で構成部材Hに面する小口面25cとを有する。なお、本実施形態では、表のパネル面25bに可撓性を有する面材が固着されていないが、上述の各実施形態と同様に面材に相当する部材が固着されていてもよい。
【0047】
延長片部27Aは、断熱基部25の小口面25cから突出し、且つ小口面25cの長手方向に沿って延在している。延長片部27Aの横断面形状は、略L字状であり、断熱基部25の表のパネル面25bに面一に連絡する基端部28aと、基端部28aから裏のパネル面側に突き出した先端部28bと、を有する。構成部材H,H同士の間に断熱ボード21を嵌め込んだ際には、延長片部27Aが構成部材Hに当接して撓み、構成部材Hに密着して隙間C(図5参照)を塞ぐ。小口面25cは、断熱基部25の側端面に相当する。
【0048】
図9(b)に示されるように、第18実施形態に係る断熱パネル1Uは、第17実施形態に係る断熱パネル1Tに比べて、延長片部27Bの形状が異なる。具体的には、延長片部27Bの横断面形状は略F字状であり、表のパネル面25bに面一に連絡する基端部28cと、基端部28cから裏のパネル面側に突き出した二本の先端部28d,28dと、を有する。
【0049】
図9(c)に示されるように、第19実施形態に係る断熱パネルは、第17実施形態に係る断熱パネル1Tに比べて、延長片部27C及び小口面25dの形状が異なる。本実施形態では、断熱ボード21の周縁の端部が斜めに切り欠かれて傾斜面が形成され、さらに、この傾斜面に、断熱ボード21の長手方向に沿った楔状の縦溝30が形成され、その結果として、実質的に、横断面形状が山形の小口面25dと、小口面25dからから突出し、且つ小口面25dの長手方向に沿って延在する延長片部27Cとが形成されている。延長片部27Cの横断面形状は略山形であり、頂部分が裏のパネル面側を向いている。構成部材H,H同士の間に断熱基部25を嵌め込んだ際には、延長片部27Cが構成部材Hに当接して楔状の縦溝30が閉じるように撓み、構成部材Hに密着して隙間C(図5参照)を塞ぐ。
【0050】
図9(d)に示されるように、第20実施形態に係る断熱パネルは、第17実施形態に係る断熱パネル1Tに比べて、延長片部27Dの形状が異なる。具体的には、延長片部27Dは、横断面形状が略L字状であり、断熱基部25の表のパネル面25bに面一に連絡する基端部28eと、基端部28eから裏のパネル面側に突き出た先端部28fとを有する。先端部28fは遊端28gを有し、遊端28gと基端部28eと結ぶ外側の輪郭は凸曲線であり、遊端28gと基端部28eとを結ぶ内側の輪郭は小口面25cに略平行な直線になっている。構成部材H,H同士の間に断熱基部25を嵌め込んだ際には、延長片部27Dの遊端28gが断熱基部25に接触するように撓み、構成部材Hに密着して隙間C(図5参照)を塞ぐ。
【0051】
図9(e)に示されるように、第21実施形態に係る断熱パネルは、第17実施形態に係る断熱パネル1Tに比べて、延長片部27E及び小口面25eの形状が異なる。本実施形態では、断熱ボード21の周縁の端部が凸曲面を形成するように切り欠かれ、この凸曲面に断熱ボード21の長手方向に沿った楔状の縦溝30が形成されており、その結果として、実質的な小口面25eと延長片部27Eとが形成され、小口面25eは略山形で湾曲した傾斜面を有する。延長片部27Eは、小口面25eから突出し、且つ小口面25eの長手方向に沿って延在し、横断面形状は扇状である。構成部材H,H同士の間に断熱基部25を嵌め込んだ際には、延長片部27Eが構成部材Hに当接して楔状の縦溝30が閉じるように撓み、構成部材Hに密着して隙間C(図5参照)を塞ぐ。
【0052】
図9(f)に示されるように、第22実施形態に係る断熱パネル1Yは、第17実施形態に係る断熱パネル1Tに比べて、延長片部27Fの形状が異なる。具体的には、延長片部27Fは、延長片部は、表のパネル面25bに面一に連絡する基端部28hと、基端部28hから裏のパネル面に向けて漸次縮径するように突き出した先端部28iとを有している。先端部28iは尖形な遊端28jを有し、遊端28jと基端部28hと結ぶ外側の輪郭は凸曲線であり、遊端28jと基端部28hを結ぶ内側の輪郭は傾斜線になっている。
【0053】
本発明は、以上の実施形態のみに限定されない。例えば、断熱パネルの断熱基部及び延長片部を形成する断熱材料としては、フェノールフォームやポリスチレンフォームに限定されず、ポリエチレンフォームやウレタンフォームその他の材料であってもよく、断熱性の他に、延長片部を形成した際に、或る程度の撓みが期待できる材料であってもよい。また、上記の実施形態では、断熱パネルを壁パネルとして利用する場合を中心に説明したが、断熱基部を構成部材同士の間に嵌め込まれるようにして設置する態様であれば、天井パネルや床パネルとして利用する態様であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1A〜1H,1J,1K,1M,1N,1P〜1Y…断熱パネル、11,25…断熱基部、11b,25b…表のパネル面(断熱基部の一方の面)、11c〜11h,11j,11k,11m,11n,11p〜11s,25c〜25e…小口面(断熱基部の側端面)、13,13B〜13H,13J,13K,13M,13N,13P〜13Y…延長片部、9…面状部(面材)、20…断熱構造、H…構成部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並んで配置された複数の構成部材に設置される断熱パネルにおいて、
前記構成部材同士の間に嵌め込まれると共に、断熱材料を含んで構成され、且つ嵌め込まれた際に前記構成部材に面する側端面を有する断熱基部と、
前記断熱基部に一体成形されると共に、前記側端面から突出し、且つ前記側端面の長手方向に沿って延在する延長片部と、を備え、
前記延長片部は、前記断熱基部が前記構成部材同士の間に嵌め込まれる際に前記構成部材に当接して撓むことで前記構成部材に密着することを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
前記延長片部は、前記断熱基部の両面のうち、一方の面に面一に連絡することを特徴とする請求項1記載の断熱パネル。
【請求項3】
前記一方の面と前記延長片部とを連絡するように固定されると共に、可撓性を有する面材を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の断熱パネル。
【請求項4】
並んで配置された複数の構成部材同士の間に断熱パネルが設置された断熱構造において、
前記断熱パネルは、前記構成部材同士の間に嵌め込まれると共に、断熱材料を含んで構成され、且つ嵌め込まれた際に前記構成部材に面する側端面を有する断熱基部と、前記断熱基部に一体成形されると共に、前記側端面から突出し、且つ前記側端面の長手方向に沿って延在する延長片部と、を備え、前記延長片部は、前記構成部材に当接して撓むことで前記構成部材に密着していることを特徴とする断熱構造。
【請求項5】
構成部材に固定される下地材に取り付けられる断熱ボードにおいて、
前記構成部材同士の間に嵌め込まれると共に、断熱材料を含んで構成され、且つ嵌め込まれた際に前記構成部材に面する側端面を有する断熱基部と、
前記断熱基部に一体成形されると共に、前記側端面から突出し、且つ前記側端面の長手方向に沿って延在する延長片部と、を備え、
前記延長片部は、前記断熱基部が前記構成部材同士の間に嵌め込まれる際に前記構成部材に当接して撓むことで前記構成部材に密着することを特徴とする断熱ボード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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