断熱パネルの施工構造
【課題】室内の意匠性を損なわず、断熱パネルの高意匠性を生かすことができ、しかも断熱パネルの取り付け強度を向上させることができる断熱パネルの施工構造を提供する。
【解決手段】二枚の金属外皮1,2の間に芯材3が充填された断熱パネルAを壁下地に取り付ける断熱パネルの施工構造であって、前記二枚の金属外皮1,2の間に補強材4が設けられ、この補強材4に固定具37を打入して断熱パネルが壁下地に取り付けられて成ることを特徴とする。補強材4により断熱パネルAと固定具37との結合を高めることができる。
【解決手段】二枚の金属外皮1,2の間に芯材3が充填された断熱パネルAを壁下地に取り付ける断熱パネルの施工構造であって、前記二枚の金属外皮1,2の間に補強材4が設けられ、この補強材4に固定具37を打入して断熱パネルが壁下地に取り付けられて成ることを特徴とする。補強材4により断熱パネルAと固定具37との結合を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱パネルを用いてビルの外壁や住宅の外壁などを形成するための施工構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された断熱パネルが提案されている。このような断熱パネルは、壁下地として胴縁(鉄骨下地)を設け、ビス等で屋外側の金属外皮と屋内側の金属外皮とを貫通して胴縁に固定している。また、特許文献1のように、断熱パネルの屋内側の金属外皮にアングル等で組んだ下地フレームをリベット等で固着し、下地フレームを躯体に取り付けて施工するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−266892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来例では、胴縁や下地フレームが屋内(室内)に露出するため、室内の意匠性を損なうという問題があり、本来室内側に化粧しなくても良いという金属断熱パネルのメリットを減らしている。そこで、胴縁や下地フレームを用いないでも室内の意匠性を損なわず、金属断熱パネルの高意匠性を生かすことができる施工構造が求められていた。そして、このような施工構造を実現しながら断熱パネルの取り付け強度を向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、室内の意匠性を損なわず、断熱パネルの高意匠性を生かすことができ、しかも断熱パネルの取り付け強度を向上させることができる断熱パネルの施工構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された断熱パネルを壁下地に取り付ける断熱パネルの施工構造であって、前記二枚の金属外皮の間に補強材が設けられ、この補強材に固定具を打入して断熱パネルが壁下地に取り付けられて成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明は、前記固定具がワンサイドボルトであることが好ましい。
【0008】
本発明は、前記補強材が断面略コ字状に形成され、前記芯材の外側に前記補強材が装着されているのが好ましい。
【0009】
本発明は、隣接して配置された断熱パネルの端部間に耐火用の目地部材が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、また、補強材を用いて断熱パネルを壁下地に固定するために、胴縁や下地フレームを不要にすることが可能で、室内の意匠性を損なわず、断熱パネルの高意匠性を生かすことができるものである。補強材により断熱パネルと固定具との結合を高めることができ、壁下地と断熱パネルとの取り付け強度を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明で用いる断熱パネルの一例を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)(d)は一部の断面図である。
【図2】同上の板状部の例を示し、(a)乃至(c)は断面図である。
【図3】同上の角部の例を示し、(a)乃至(c)は斜視図である。
【図4】同上の図1(a)におけるB−B断面を示す断面図である。
【図5】同上の芯材と補強材との一例を示す一部の斜視図である。
【図6】同上の連結部材の一例を示す斜視図である。
【図7】同上の図1(a)におけるA−A断面を示し、(a)(b)は断面図である。
【図8】本発明で用いる断熱パネルの施工方法の一例を示し、(a)(b)は一部の斜視図である。
【図9】同上の施工方法の一例を示し、(a)(b)は一部の斜視図である。
【図10】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図11】同上の固定具の一例を示す正面図である。
【図12】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図13】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図14】同上の目地部材の一例を示す断面図である。
【図15】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図16】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図17】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図18】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図19】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図20】本発明の断熱パネルの施工構造の実施の形態の一例を示す一部が破断した斜視図である。
【図21】同上の斜視図である。
【図22】同上の斜視図である。
【図23】同上の斜視図である。
【図24】同上の断面図である。
【図25】同上の斜視図である。
【図26】同上の斜視図である。
【図27】同上の斜視図である。
【図28】同上の斜視図である。
【図29】同上の断面図である。
【図30】同上の斜視図である。
【図31】同上の断面図である。
【図32】同上の断面図である。
【図33】同上の斜視図である。
【図34】同上の断面図である。
【図35】同上の斜視図である。
【図36】同上の断面図である。
【図37】同上の断面図である。
【図38】同上の断面図である。
【図39】同上の取付ピースの取り付けを示す説明図である。
【図40】本発明の断熱パネルの施工構造の他の実施の形態の一例を示す一部が破断した斜視図である。
【図41】同上の斜視図である。
【図42】同上の斜視図である。
【図43】同上の一部が破断した斜視図である。
【図44】同上の斜視図である。
【図45】同上の斜視図である。
【図46】同上の断面図である。
【図47】同上の断面図である。
【図48】同上の断面図である。
【図49】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図50】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図51】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図52】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図53】本発明の断熱パネルの施工構造の他例を示す一部が破断した断面図である。
【図54】本発明の断熱パネルの側端部の他例を示し、(a)(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
本実施の形態で用いる断熱パネルAは、図1(a)〜(d)に示すように、二枚の金属外皮1、2、芯材3、補強材4、耐火材5、連結部材6などを備えて形成されている。このような断熱パネルAはALC板などの建築板よりも断熱性に優れるが、耐火性にも優れる耐火パネルとして形成することができる。
【0014】
金属外皮1、2は、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板などの金属板をロール成形加工や折り曲げ加工などで所望の形状に成形することにより得ることができる。また、金属外皮1、2の厚みは、例えば、0.25〜2.0mmにすることができる。一方の金属外皮1は表面板として形成され、他方の金属外皮2は裏面板として形成されている。断熱パネルAが建物の外装材として用いられる場合、表面板を建物の屋外側に向け、裏面板を屋内側に向けるようにして施工することができる。
【0015】
表面板として形成される一方の金属外皮1は、略平板状の板状部10と、板状部10の上端から後方に略垂直に突設された上突出片11と、上突出片11の先端から上方に向けて突出された上突条部12と、板状部10の下端から後方に略垂直に突設された下突出片13と、下突出片13の先端から下方に向けて突出された下突条部14と、板状部10の両側端から後方に突設された連結片15とを備えて形成されている。板状部10は、図2(a)のように表面が凹凸のない平滑面に形成されたもの、図2(b)のように断面略波形に成形されて表面が凹凸になったもの、図2(c)のようにエンボス加工により表面が凹凸になったものなどを例示することができる。また、上突出片11及び上突条部12は金属外皮1の幅方向(横方向)の略全長にわたって形成されており、上突条部12は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、下突出片13及び下突条部14は金属外皮1の幅方向の略全長にわたって形成されており、下突条部14は上面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、連結片15は、板状部10の両側端から後方に略垂直に突設された基部片16と、基部片16の先端から外側方(表面側)に突設された前突条部17と、前突条部17の後端部から後方に突設された連結固定片18とを備えて形成されている。連結片15は金属外皮1の上下方向(縦方向)の略全長にわたって形成されており、前突条部17は内側方(裏面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。
【0016】
表面板となる金属外皮1の四隅のコーナー部は各種の形状に形成することができる。例えば、図3(a)に示すように、上突出片11と連結片15の基部片16との境界部分を表面が凸曲面となった曲面部19aとして形成することができる。上突出片11と連結片15の基部片16との境界部分には、金属外皮1の製造上必要なスリット部19bが形成されるが、曲面部19aはスリット部19bの前側(金属外皮1の表面に近い側)に形成されている。また、図3(b)に示すものでは、上記と曲面部19aに加えて、スリット部19bの後側の縁部が内側方に屈曲された傾斜部19cとして形成されている。また、図3(c)に示すものでは、上記と曲面部19aを形成せずに、上突出片11と連結片15の基部片16との境界部分を表面が略直角面となった直角部19dとして形成されている。尚、上記では、断熱パネルAの上側の二つのコーナー部について説明したが、断熱パネルAの下側の二つのコーナー部についても同様に形成される。この場合、上記の上突出片11を下突出片13に置き換えて説明することができる。また、金属外皮1のコーナー部の裏面側には、スリット部19bからの雨水等の浸入を防止するために、パッキンなどの止水材を設けることができる。
【0017】
裏面板として形成される他方の金属外皮2は、図1及び図4に示すように、略平板状の板状部20と、板状部20の上端から前方に略垂直に突設された上突出片21と、板状部20の下端から前方に略垂直に突設された下突出片23と、板状部20の両側端から前方に突設された連結片25とを備えて形成されている。板状部20は、表面が凹凸のない平滑面に形成されたものなどを例示することができる。また、上突出片21は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、下突出片23は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、連結片25は、板状部20の両側端から外側方に突設された後突条部27と、後突条部27の前端部から前方に突設された連結固定片28とを備えて形成されている。連結片25は金属外皮2の上下方向(縦方向)の略全長にわたって形成されており、後突条部27は裏面側(内面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。
【0018】
芯材3は、断熱性に優れ、且つ耐火性にも優れるものであることが好ましく、図5に示すように、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材料を細長いブロック状(角棒状)に固めて形成されている。また、芯材3は、例えば、長さ300〜10000mm、幅30〜150mm、厚み20〜120mm、密度80〜200kg/m3に形成されているが、これに限定されるものではない。尚、10000mm程度の長尺の芯材3を形成する場合は、複数本の短尺(例えば、2000mm以下)の芯材3を長手方向に接合して使用することができる。
【0019】
補強材4は、図5に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより細長い部材に形成されている。補強材4を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、補強材4の長さ寸法は芯材3の長さ寸法と略同等に形成されている。補強材4は、矩形板状の固着片4aと、固着片4aの両方の長手端部に略垂直に突設した一対の対向する補強片4b、4bとを備えて断面略U字状に形成されている。補強片4bの高さ寸法(固着片4a側の基部から先端までの寸法)L1は、芯材3の厚み寸法L2よりも小さく形成されており、例えば、補強片4bの高さ寸法は、芯材3の厚み寸法の1/2から1/10にすることができる。
【0020】
耐火材5は、芯材3よりも高い耐火性能を有するものであって、例えば、硫酸カルシウム2水和物を主成分とする石膏や珪酸カルシウムなどを用いて矩形板状に形成されている。耐火材5の長手方向(縦寸法)は断熱パネルAの長手方向の寸法と略同じであって、例えば、300〜10000mmにすることができ、耐火材5の幅寸法(前後方向の寸法)は断熱パネルAの厚み寸法と略同じであって、例えば、幅30〜150mmにすることができ、耐火材5の厚みは、例えば、5〜50mmとすることができる。また、耐火材5は市販の石膏ボードを所定の大きさに切断して形成することができる。
【0021】
連結部材6は、図6に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより形成された短寸部材(ピース状部材)に形成されている。連結部材6を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、連結部材6は、固定部6aと位置決め部6bとが略垂直に連なって断面略L字状に形成されている。固定部6aは位置決め部6bよりも長く形成されており、固定部6aの長さL3は断熱パネルAの厚み寸法の半分よりもやや長く形成され、例えば、20〜100mmに形成することができる。また、位置決め部6bの長さL4は耐火材5の幅寸法の半分程度の長さに形成され、例えば、5〜30mmに形成することができる。
【0022】
そして、本実施の形態で用いる断熱パネルAは、二枚の金属外皮1、2の間に芯材3、補強材4、耐火材5及び連結部材6を設けて一体化することにより形成されている。図5に示すように、芯材3には補強材4が設けられている。この場合、芯材3の前面又は後面と補強材4の固着片4aの裏面とを接着すると共に芯材3の各側面に補強材4の各補強片4bを添わせることによって、芯材3のほぼ全長にわたって補強材4が取り付けられている。
【0023】
補強材4を設けた複数本の芯材3は、図7(a)(b)に示すように、裏面を対向させた二枚の金属外皮1,2の間に配置されて二枚の金属外皮1,2の間に充填される。この場合、芯材3及び補強材4は、その長手方向が断熱パネルAの長手方向(縦方向)と略平行となるように配置される。また、隣り合う芯材3は側面同士を密着して配置されているが、隣り合う芯材3のそれぞれに設けた補強材4は逆向きにして配置される。すなわち、補強材4の固着片4aの表面が一方の金属外皮1の裏面側に向けられた芯材3と、補強材4の固着片4aの表面が他方の金属外皮2の裏面側に向けられた芯材3とが、断熱パネルAの短手方向(横方向)に交互に並んで配置されている。固着片4aの表面と芯材3の固着片4aで覆われていない前面又は後面は、一方の金属外皮1の裏面又は他方の金属外皮2の裏面に接着されている。尚、補強材4を設けた芯材3の横方向への配置数を増減させることによって、幅寸法(短手方向の寸法)が異なる断熱パネルAに対応することができる。
【0024】
耐火材5は、断熱パネルAの四辺の周端部の略全長にわたって設けられている。断熱パネルAの上端部においては、一方の金属外皮1の上突出片11及び上突条部12並びに他方の金属外皮2の上突出片21と、芯材3の上端面との間に耐火材5が設けられている。この場合、上突出片11、21の下面と耐火材5の上面とが接着され、芯材3の上端面と耐火材5の下面とは非接着で当接している。断熱パネルAの下端部においては、一方の金属外皮1の下突出片13及び下突条部14並びに他方の金属外皮2の下突出片23と、芯材3の下端面との間に耐火材5が設けられている。この場合、下突出片13、23の上面と耐火材5の下面とが接着され、芯材3の下端面と耐火材5の上面とは非接着で当接している。断熱パネルAの側端部においては、一方の金属外皮1の連結片15及び他方の金属外皮2の連結片25と、断熱パネルAの最も側端位置に設けられた芯材3の外側端面との間に耐火材5が設けれている。この場合、連結片15、25の裏面と耐火材5の外側面とが接着され、芯材3の外側面と耐火材5の内側面とが接着されている。
【0025】
連結部材6は、断熱パネルAの両側端部に複数個ずつ設けられている。例えば、断熱パネルAの各側端部の上部と略中央部と下部とに連結部材6が設けられ、複数の連結部材6は所定の間隔を介して金属外皮1,2の側端部に沿って並設されている。また、連結部材6の固定部6aは、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の内側面と、この耐火材5に隣接する芯材3の外側面との間に配置されている。また、連結部材6の位置決め部6bは、図1(c)に示すように、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の後面と裏面側の金属外皮2の裏面(内面)との間に配置されている。尚、図1(d)に示すように、連結部材6の位置決め部6bは、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の前面と表面側の金属外皮1の裏面(内面)との間に配置されていてもよい。位置決め部6bが耐火材5の前面又は後面に係止されることにより、連結部材6の位置決めが容易に行える。尚、耐火材5を二枚の金属外皮1、2の間に設ける前に、予め連結部材6を耐火材5に接着等して設けておいてもよい。
【0026】
本実施の形態の断熱パネルAは、連結部材6により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結されている。すなわち、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6の固定部6aとがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6の固定部6aとがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。この場合、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から耐火材5を貫通して連結部材6の固定部6aに結合される。
【0027】
そして、本実施の形態で用いる断熱パネルAでは、後述のように、裏面側の一方の金属外皮2に補強プレート36や係止部材40などを連結し、これら補強プレート36や係止部材40を壁下地に固定することにより施工されるので、表面側の他方の金属外皮1は連結部材6を介して金属外皮2に保持されることになり、従って、表面側の金属外皮1と芯材3との接着が火災時の熱により外れた場合であっても、壁下地に固定された裏面側の金属外皮2と連結部材6とで表面側の金属外皮1を支持して脱落しにくくなるものである。また、本実施の形態で用いる断熱パネルAでは、連結部材6で連結された二枚の金属外皮1,2の側端部が火災時の熱で互いに離れる方向に変形するのを抑えることができ、火災時において、左右(横方向)に隣接する断熱パネルAの側端部間に形成される縦目地に隙間を生じにくくして壁の耐火性能を向上させることができる。また、複数の連結部材6が間隔をおいて並設されているので、二枚の金属外皮1,2の側端部を全長にわたって連結する場合に比べて、連結部材6から固定具30を通して伝熱するだけであって、いわゆるヒートブリッジを小さくすることができ、一方の金属外皮1(又は2)から他方の金属外皮2(又は1)へと熱伝導するのを少なくして断熱パネルAの断熱性能を低下させにくくすることができるものであり、例えば、屋内側と屋外側(内外)の金属外皮1、2の結露を発生しにくくすることができる。また、補強材4で芯材3を補強することができ、断熱パネルAの剛性や強度を高めることができる。また、後述のように、断熱パネルAの上下端部近傍に取付プレート38や補強プレート36や係止部材40等の取付用金具を設け、断熱パネルAに内蔵された補強材4を用いて断熱パネルAを壁下地に固定するために、断熱パネルAの外部に露出する胴縁や下地フレームを不要にすることが可能で、胴縁や下地フレームで室内の意匠性を損なわないようにすることができ、また、断熱パネルAの屋内側の金属外皮2の表面の意匠性が胴縁や下地フレームで損なわれなくなって、断熱パネルAの高意匠性を生かすことができるものである。尚、本発明では胴縁や下地フレームを用いて施工することも可能である。
【0028】
尚、上記では、断熱パネルAの側端部に連結部材6を設けた例を説明したが、これに限らず、断熱パネルAの上端部や下端部に連結部材6を設けてもよく、この場合、上下(縦方向)に隣接する断熱パネルAの上下端部間に形成される横目地に隙間を生じにくくして壁の耐火性能を向上させることができる。また、断熱パネルAの各部位の寸法は適宜設定することができる。例えば、断熱パネルAの働き長さ(縦方向の寸法)は構造計算により安全性が確認された長さ以下にすることができ、断熱パネルAの働き幅(横方向の寸法)は300〜1200mm、断熱パネルAの厚みは50〜150mm、連結部材6の間隔は100〜2000mmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
また、図6に示す連結部材6は断面略L字状に形成されているが、これに限らず、平板状の部材(固定部6aに相当する部分のみ)で連結部材6を形成することもできる。この場合、図54(a)に示すように、連結部材6は、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の内側面と、この耐火材5に隣接する芯材3の外側面との間に配置される。そして、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。この場合、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から耐火材5を貫通して連結部材6に結合される。さらに、図54(b)に示すように、二枚の耐火材5を横方向に並べて断熱パネルAの側端部に設け、二枚の耐火材5の間に平板状の連結部材6を挟んで設けるようにしてもよい。この場合、連結部材6は、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の内側面と、この耐火材5に隣接する芯材3の外側面との間に配置される。そして、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。また、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から二枚の耐火材5と連結部材6に貫通して結合される。
【0030】
次に、本実施の形態の断熱パネルAの施工構造を説明する。断熱パネルAはその複数枚を縦横に並設することによって、外壁等の壁を形成することができる。上記の断熱パネルAは主に屋内側(室内側)からの作業で施工することができるが、屋外側から施工することも可能である。
【0031】
まず、図8に示すように、壁下地に断熱パネルAを取り付けるための部材が設けられる。壁下地は建物の基礎31や二階以上の階の床部32などで構成され、例えば、スラブコンクリートで形成されている。基礎31の上面には支持凸部31aと凹段部31bとが基礎31の長手方向の略全長にわたって形成されている。支持凸部31aは凹段部31bよりも屋内側に形成されており、支持凸部31aの上面は凹段部31bよりも上側に位置している。
【0032】
壁下地には下地部材33と定規部材34とが取り付けられる。下地部材33は金物などであって、載置片33aと垂下片33bとで断面略L字状で長尺に形成されている。定規部材34は金物などであって、取付片34aと支持片34bとで断面略L字状で長尺に形成されている。尚、下地部材33と定規部材34は長尺物だけでなく、短尺物(ピース状物)であってもよい。
【0033】
そして、図8(a)に示すように、基礎31の支持凸部31aの屋内側の上側角部に下地部材33が全長にわたって取り付けられる。この場合、支持凸部31aの屋内側面に垂下片33bが取り付けられ、支持凸部31aの上面に載置片33aが取り付けられる。また、支持凸部31aに取り付けられた下地部材33の載置片33aに定規部材34が取り付けられる。この場合、定規部材34の取付片34aと載置片33aとが溶接又はボルト等の固定具で固定される。また、定規部材34の支持片34bが取付片34aよりも屋外側に位置するように定規部材34の向きが決められる。尚、下地部材33は基礎31の全長にわたって取り付ける必要はなく、必要な部分にのみ設けてもよい。また、短尺物の下地部材33を用いる場合は、複数個の下地部材33を所定の間隔で並べて基礎31に取り付けることができる。さらに、短尺物の定規部材34を用いる場合は、複数個の定規部材34を所定の間隔で並べて下地部材33に取り付けることができる。
【0034】
床部32にあっては、図8(b)に示すように、その屋外側の上側角部に下地部材33が全長にわたって取り付けられる。この場合、床部32の屋外側面に垂下片33bが取り付けられ、床部32の上面に載置片33aが取り付けられる。また、床部32に取り付けられた下地部材33の載置片33aに定規部材34が取り付けられる。この場合、定規部材34の取付片34aと載置片33aとが溶接又はボルト等の固定具で固定される。また、定規部材34の支持片34bが取付片34aよりも屋外側に位置するように定規部材34の向きが決められる。
【0035】
次に、図9(a)(b)に示すように、基礎31及び床部32に取り付けた定規部材34に自重受け部材35が取り付けられる。自重受け部材35は金物などであって、接合片35aと受け片35bとで断面略L字状で短寸部材(ピース部材)に形成されている。そして、定規部材34の支持片34bの屋外側面に接合片35aを溶接等で固着することによって、定規部材34に自重受け部材35が取り付けられる。この場合、接合片35aの下部が支持片34bの屋外側面に固着され、接合片35aの上部は支持片34bの上端よりも上側に突出している。また、基礎31においては、受け片35bが凹段部31の上面と定規部材34の下面との間に位置されており、床部32においては、受け片35bの上面が定規部材34の取付片34aの上面とほぼ同じ高さに位置されている。尚、受け片35bと取付片34aの高さの位置関係は、断熱パネルAの高さ方向の割り付けにより変化することがある。
【0036】
一方、断熱パネルAにも各種部材が取り付けられる。まず、図10に示すように、断熱パネルAの裏面の上下二箇所に補強プレート36が取り付けられる。補強プレート36は短冊状の金属板であって、長手方向に並ぶ複数の貫通孔36aとねじ孔36bとが形成されている。この補強プレート36はその長手方向を断熱パネルAの幅方向と略平行にして裏面板である金属外皮2の外面(表面)に配置し、貫通孔36aを通して固定具37を金属外皮2の板状部20及び断熱パネルA内の補強材4に打ち込むことによって、断熱パネルAに補強プレート36が取り付けられる。尚、図10のものでは下側の補強プレート36に三つの貫通孔36aが設けられているが、このうち、両端の貫通孔36aに固定具37を打ち込むようにし、真ん中の貫通孔36aは後述の施工時に使用することができる。
【0037】
固定具37は、片側からの操作で締結できるワンサイドボルトであって、図11に示すように、ボルト本体37aと、座金37b、ワッシャー37c及びスリーブ37dとを備えて形成されている。スリーブ37dにはボルト本体37aの軸方向に長い複数のスリット37eが設けられている。また、スリーブ37dの基部にはフランジ部37fが全周にわたって突設されている。そして、補強プレート36の表面側から貫通孔36aにスリーブ37dの部分を差し込むと共に、このスリーブ37dの部分を金属外皮2の板状部20と補強材4の固着片4aとに貫通させる。この後、ボルト本体37aを締め付けていくことにより、スリーブ37dの先端がボルト本体37aの頭部37g側に引っ張られ、この力でスリーブ37dがスリット37eの部分で割れて外側四方に拡張するように変形する。拡張したスリーブ37dは固着片4aの前面(芯材3側の面)に係止される。そして、ボルト本体37aの頭部37gと拡張したスリーブ37dとの間で、座金37bと、フランジ部37fと、ワッシャー37cと、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持することにより、補強プレート36を断熱パネルAに取り付けることができる。
【0038】
断熱パネルAには芯材3や断熱パネルAを補強するための補強材4が内蔵されているが、この補強材4及び金属外皮2と補強プレート36とを固定具37で連結するので、金属外皮2のみに補強プレート36を固定する場合に比べて、補強プレート36の取り付け強度を大きくすることができる。従って、芯材3や断熱パネルAを補強するための補強材4を利用して断熱パネルAへの補強プレート36の取り付け強度を高め、さらに、断熱パネルAの壁下地の取り付け強度を向上させることができる。しかも、補強プレート36が複数の補強材4にわたって取り付けられ、複数の補強材4が補強プレート36で連結されるので、補強材4にかかる荷重を分散して負担することができ、荷重集中をなくして耐火パネルAの破損等が発生しにくくなるものである。
【0039】
次に、図12に示すように、断熱パネルAの上部に設けた補強プレート36に一対の取付プレート38を横方向に並べて取り付ける。取付プレート38は上下方向に長い短冊状の金属板であって、下部には貫通孔38aが形成されている。この取付プレート38はその長手方向を断熱パネルAの上下方向と略平行にして補強プレート36の外面(表面)に配置し、貫通孔38aを通したボルト等の固定具39を補強プレート36のねじ孔36bに結合することによって、補強プレート36を介して断熱パネルAに取付プレート38が取り付けられる。取付プレート38の上部は断熱パネルAの上端部よりも上側に突出されている。
【0040】
また、断熱パネルAの下部に設けた補強プレート36に一対の係止部材40を横方向に並べて取り付ける。係止部材40は金属製のZ字状のクリップであって、平板状の結合部40aと、平板状の係止部40bと、結合部40aの下端と係止部40bの上端との間に形成された傾斜部40cとを備えて形成されている。結合部40aには貫通孔40dが形成されている。この係止部材40はその長手方向を断熱パネルAの上下方向と略平行にして補強プレート36の外面(表面)に配置し、貫通孔40dを通したボルト等の固定具39を補強プレート36のねじ孔36bに結合することによって、補強プレート36を介して断熱パネルAに係止部材40が取り付けられる。このとき、係止部材40の係止部40bは傾斜部40cの傾斜と補強プレート36の厚みにより、金属外皮2の表面から離れた位置に配設されている。
【0041】
次に、図13に示すように、断熱パネルAの一方又は両方の側端面の全長にわたって目地部材41が取り付けられる。目地部材41は角棒状に形成されるものであって、図14に示すように、耐火芯材41aと耐火被覆材41bと強化部材41cとを備えて形成されている。耐火芯材41aは石膏(石膏ボード)や珪酸カルシウムなどで角棒状に形成されている。耐火被覆材41bはロックウールフェルトなどの繊維状無機材料を用いたフェルトで構成されている。強化部材41cは鋼板等の金属板を折り曲げ加工等することにより、表面カバー部41dとその両側端部に突設された一対の側面カバー部41eとで断面略コ字状に形成されている。そして、耐火芯材41aの幅狭の一表面が表面カバー部41dで覆われると共に耐火芯材41aの幅広の側面が側面カバー部41eで覆われるようにして耐火芯材41aの全長にわたって強化部材41cを取り付け、さらに、側面カバー部41eの表面と強化部材41cで覆われていない耐火芯材41aの表面とに耐火被覆材41bを全面にわたって設けることによって、目地部材41が形成されている。断熱パネルAの側端面に目地部材41を取り付けるにあたっては、断熱パネルAの側端面に突設された前突条部17と後突条部27との間に目地部材41を嵌め込んで接着等することができる。この場合、目地部材41の強化部材41cが屋内側に向けられて配設される。また、目地部材41は、例えば、その幅寸法の略1/4の部分が前突条部17と後突条部27との間に嵌め込まれ、残りの略3/4が前突条部17と後突条部27との間から側方に突出して取り付けられる。尚、前突条部17と後突条部27との間に嵌め込まれる目地部材41の寸法や、前突条部17と後突条部27との間から側方に突出する目地部材41の寸法は、目地部分の必要な耐火性能等に応じて、適宜設定可能である。
【0042】
次に、上記の断熱パネルAは壁下地に取り付けられる。基礎31に対しては、図15に示すように、定規部材34の支持片34bが断熱パネルAの裏面板の金属外皮2と係止部材40の係止部40bとの間に差し込まれるように、断熱パネルAを配置する。このとき、断熱パネルAを自重受け部材35の受け片35bに載置するが、断熱パネルAの下突出片23の下面と、定規部材34に取り付けた自重受け部材35の受け片35bの上面とを接触させるようにしてもよいし、下突出片23の下面と受け片35bの上面との間にフラッシング43を介在させてもよい(図20参照)。また、断熱パネルAに設けた一対の係止部材40、40の間に、定規部材34に取り付けた自重受け部材35の接合片35aを差し込むようにする。また、補強プレート36の屋内側面と接合片35aの屋外側面とを接触させる。
【0043】
一方、床部32に対しては、図16に示すように、断熱パネルAの上端部から突出する一対の取付プレート38、38の屋内側面を定規部材34の支持片34bの屋外側面に接触させた後、支持片34bの屋内側から支持片34bと取付プレート38に設けたプレート孔38bとを貫通するようにボルト等の固定具48を断熱パネルAの屋内側から螺合させ、支持片34bと取付プレート38とを結合し、断熱パネルAの上端部を床部32の定規部材34に取り付けることができる。尚、支持片34bと取付プレート38とは溶接により接合してもよい。
【0044】
次に、図17に示すように、基礎31に設けた自重受け部材35の接合片35aの屋内側面に角座金42を設け、この角座金42の屋内側面から、角座金42の挿入孔42aと、接合片35aに設けた差し込み孔35cと、補強プレート36の貫通孔36aと、金属外皮2の板状部20と、断熱パネルA内の補強材4の固着片4aとを貫通するように固定具37を断熱パネルAの屋内側から打ち込む。そして、上記と同様に、ボルト本体37aを締め付けていくことにより、固着片4aの芯材3側の面でスリーブ37dを拡張させる。これにより、ボルト本体37aの頭部と拡張したスリーブ37dとの間で、座金37bと、ワッシャー37cと、角座金42と、接合片35aの差し込み孔35cの開口縁部と、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持することにより、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とを結合し、断熱パネルAの下端部を基礎31の定規部材34に取り付けることができる。
【0045】
上記のようにして、壁下地に断熱パネルAが取り付けられると、図18に示すように、断熱パネルAの上端面よりも上側に、床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bが位置することになる。尚、断熱パネルAの上端面と床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bとの高さの位置関係は、断熱パネルAの高さ方向の割り付けにより変化することがある。また、床部32に設けた自重受け部材35は、床部32の定規部材34に取り付けた一対の取付プレート38,38の間に位置することになる。そして、図19に示すように、床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bの先端と、断熱パネルAの上突出片11との間において、断熱パネルAの上端面に横方向に長い目地部材41を配設する。このようにして一枚の断熱パネルAを壁下地に取り付けることができる。
【0046】
そして、上記と同様にして断熱パネルAを基礎31及び床部32に固定しながら、図20及び図21に示すように、横方向に複数枚の断熱パネルAを順次並設していくことによって、一階部分の外壁を形成することができる。ここで、断熱パネルAの下方の凹段部31bにはフラッシング(水切り)43が全長にわたって設けられている。フラッシング43の下面と凹段部31bとの間にはモルタル53などが充填されている。
【0047】
また、二階以上の階(中間部分)の外壁も上記と同様にして断熱パネルAを床部32に固定しながら、図22及び図23に示すように、横方向に複数枚の断熱パネルAを順次並設していくことによって、二階以上部分の外壁を形成することができる。この場合、断熱パネルAは上下に隣り合う階に架け渡すようにして配設される。断熱パネルの下端を下階の床部32に固定するにあたっては、基礎31に対する場合と同様に行うことができる。すなわち、床部32に設けた定規部材34の支持片34bが断熱パネルAの裏面板の金属外皮2と係止部材40の係止部40bとの間に差し込まれるように、断熱パネルAを配置する。このとき、断熱パネルAの下突出片23の下面と、床部32に設けた定規部材34に取り付けた自重受け部材35の受け片35bの上面とを接触させるようにして、断熱パネルAを自重受け部材35の受け片35bに載置する。また、断熱パネルAに設けた一対の係止部材40、40の間に、床部32に設けた定規部材34に取り付けた自重受け部材35の接合片35bを差し込むようにする。また、補強プレート36の屋内側面と接合片35bの屋外側面とを接触させる。また、係止部40bは、その下側に配置された下階の断熱パネルAの取付プレート38と支持片34bを挟んで対向する位置に係止される。
【0048】
次に、床部32に設けた定規部材34の自重受け部材35の接合片35bの屋内側面に角座金42を設け、この角座金42の屋内側面から、角座金42の挿入孔42aと、補強プレート36の貫通孔36aと、金属外皮2の板状部20と、断熱パネルA内の補強材4の固着片4aとを貫通するように固定具37を打ち込む。そして、上記と同様に、ボルト本体37aを締め付けていくことにより、固着片4aの芯材3側の面でスリーブ37dを拡張させる。これにより、ボルト本体37aの頭部と拡張したスリーブ37dとの間で、座金37bと、ワッシャー37cと、角座金42の挿入孔42aの開口縁部と、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持することにより、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とを結合し、断熱パネルAの下端部を床部32に設けた定規部材34に取り付けることができる。尚、断熱パネルAの上端部は、二階以上の階においても図16等に示す場合と同様にして上階の床部32に固定することができる。
【0049】
図24に断熱パネルAの施工後の固定状態を示す。断熱パネルAには補強プレート36が取り付けられ、この補強プレート36に取付プレート38や係止部材40が取り付けられ、これら取付プレート38や係止部材40を介して壁下地に固定される。また、壁下地に設けた自重受け部材35の接合片35aも断熱パネルAに結合される。そして、補強プレート36や接合片35aは固定具37により断熱パネルAの金属外皮2と補強材4とに結合される。従って、補強プレート36や接合片35aが金属外皮2のみに結合される場合に比べて、断熱パネルAへの補強プレート36や接合片35aの取り付け強度を高めることができ、これに伴って、断熱パネルAの壁下地への固定強度を高めることができる。
【0050】
図25〜28は、幅広(働き幅が900mm以上1200mm以下で例えば900mm)の断熱パネルAの施工構造を示す。上記のように幅狭(働き幅が300mm以上900mm未満で例えば600mm)の断熱パネルAの場合は、補強プレート36を上下に一枚ずつ設ければよいが、幅広の断熱パネルAの場合は、図29に示すように、補強プレート36を上下に二枚ずつ設けるのが好ましい。断熱パネルAの上部に設けた補強プレート36は略同じ高さで横方向に並設し、断熱パネルAの下部に設けた補強プレート36も略同じ高さで横方向に並設する。また、各補強プレート36に対する取付プレート38や係止部材40の取付方法は上記と同様であり、さらに、基礎31や床部32に設けた定規部材34や自重受け部材35への取付プレート38や係止部材40の固定方法も上記と同様である。そして、幅広の断熱パネルAでは壁下地に対する固定箇所を増加することにより、断熱パネルAの固定強度の向上を図ることができるものである。尚、補強プレート36の枚数は上下二枚ずつに限らず、断熱パネルAの幅寸法に応じて増加してもよい。
【0051】
図30は、補強プレート36と自重受け部材35と係止部材40などの結合の一例を示す分解斜視図である。図31は、基礎31への断熱パネルAの固定状態を示し、図30におけるA−A断面図である。図32は、基礎31への断熱パネルAの固定状態を示し、図30におけるB−B断面図である。断熱パネルAと基礎31の凹段部31bとの間には横目地が形成される。フラッシング43の屋外側には断熱パネルAの下突条部14が位置しており、下突条部14の下面と凹段部31bの上面との間にはバックアップ材44が横目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材44の屋外側にはシーリング材45が横目地の全長にわたって充填されている。また、シーリング材45の屋外側において、断熱パネルAの下突出片13と凹段部31bの上面との間にはさらに別のバックアップ材46が横目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材46の屋外側にはさらに別のシーリング材47が横目地の全長にわたって充填されている。尚、本発明において、バックアップ材としては、エチレン・プロピレン・ターポリマー(EPT)発泡体や発泡ポリウレタンなどの樹脂成形品を用いることができ、シーリング材としては、変性シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系などの樹脂材料のものを用いることができる。
【0052】
図33は、補強プレート36と自重受け部材35と係止部材40と取付プレート38などの結合の一例を示す分解斜視図である。図34は、床部32への断熱パネルAの固定状態を示し、図33におけるA−A断面図である。図35は、補強プレート36と自重受け部材35と係止部材40と取付プレート38などの結合の他例を示す分解斜視図である。図36は、床部32への断熱パネルAの固定状態を示し、図35におけるA−A断面図である。図37は、床部32への断熱パネルAの固定状態を示し、図33及び図35におけるB−B断面図である。図33及び図34では、取付プレート38と定規部材34の支持片34bをボルト等の固定具48により固定しているが、図35及び図36では、取付プレート38と定規部材34の支持片34bを溶接により固定している。尚、床部32はH型鋼等で形成される梁部材50の上に形成されている。梁部材50の外面にはロックウールフェルトなどの繊維状無機材料を用いた耐火被覆51が形成されている。
【0053】
図34及び図36、図37に示すように、受け片35bの屋外側において、上下に隣接する断熱パネルA、Aの間には横目地が形成されており、この横目地には目地部材41が設けられている。目地部材41の屋外側には上側の断熱パネルAの下突条部14と下側の断熱パネルAの上突条部12とが上下に対向して配置されている。この上突条部12と下突条部14の間にはパッキン49が横目地の全長にわたって充填されている。また、上突条部12と下突条部14及びパッキン49の屋外側において、バックアップ材46が横目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材46の屋外側にはシーリング材47が横目地の全長にわたって充填されている。尚、本発明において、パッキンとしては、上記バックアップ材と同様のものを用いることができる。また、床部32の屋外側には耐火材55が設けられており、横目地の屋内側と断熱パネルAの上部裏面とが耐火材55で覆われている。
【0054】
図38は、横方向に隣接して施工された断熱パネルA、Aの接続状態を示す。一方の断熱パネルAの側端面と他方の断熱パネルAの側端面との間には縦目地が形成されており、この縦目地には目地部材41が設けられている。目地部材41の屋外側には一方の断熱パネルAの前突条部17と他方の断熱パネルAの前突条部17とが左右に対向して配置されている。また、目地部材41の屋内側には一方の断熱パネルAの後突条部27と他方の断熱パネルAの後突条部27とが左右に対向して配置されている。従って、目地部材41は前突条部17、17と後突条部27、27とで前後に挟まれて縦目地の全長にわたって配置されている。また、目地部材41の耐火被覆材41に連結部材6と金属外皮1,2とを結合する固定具30の頭部が埋め込まれている。また、対向する前突条部17,17の間にはパッキン49が横目地の全長にわたって充填されている。また、前突条部17,17とパッキン49の屋外側において、基部片16,16の間に、バックアップ材46が縦目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材46の屋外側にはシーリング材47が縦目地の全長にわたって充填されている。
【0055】
上記では、梁部材50に支持された床部32に定規部材34を取り付ける場合について説明したが、梁部材50を壁下地として用い、この梁部材50に取付ピース52を設け、この取付ピース52に定規部材34を架け渡して取り付けるようにしてもよい。取付ピース52はL型鋼などで短尺部材で形成されている。また、取付ピース52には長手方向の略半分が固着部52aとして形成されており、残りの略半分が支え部52bとして形成されている。そして、図39に示すように、固着部52aを梁部材50に溶接等で固着することによって、梁部材50の長手方向に沿って複数個の取付ピース52を設けることができる。この場合、支え部52bが梁部材50よりも屋外側に突出することとなる。梁部材50への取付ピース52の取付位置は適宜設定される。梁部材50がH型鋼の場合は、上片50aの上面あるいは下面に固着部52aを固着することができ、また、縦片50bの上下の略中央部に固着部52aの先端部分を固着することができ、さらに、下片50cの下面に固着部52aを固着することができる。そして、定規部材34の取付片34aを取付ピース52の支え部52bの上面に溶接等で固着することによって、定規部材34を梁部材50の横方向の略全長にわたって略平行に設けることができる。
【0056】
上記のような取付ピース52を用いた場合、上記と同様の基礎31と取付ピース52を設けた梁部材50とが壁下地となる。従って、断熱パネルAは、上記の床部32に取り付けた定規部材34の代わりに、取付ピース52に取り付けた定規部材34に対して上記と同様にして固定して施工することができる。
【0057】
図40は、一階部分における幅狭の断熱パネルAの施工構造を示す。断熱パネルAの下端部における基礎31への施工方法及び施工構造は図20及び図21の場合と同様である。また、断熱パネルAの上端部は、図20では床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図40では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAの上端部が固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図20の場合と同様である。
【0058】
図41及び図42は、二階以上の部分における幅狭の断熱パネルAの施工構造を示す。図22及び図23では、断熱パネルAは床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図41及び図42では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図22及び図23の場合と同様である。
【0059】
図43は、一階部分における幅広の断熱パネルAの施工構造を示す。断熱パネルAの下端部における基礎31への施工方法及び施工構造は図25及び図26の場合と同様である。また、断熱パネルAの上端部は、図25では床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図43では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAの上端部が固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図25の場合と同様である。
【0060】
図44及び図45は、二階以上の部分における幅広の断熱パネルAの施工構造を示す。図27及び図28では、断熱パネルAは床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図44及び図45では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図27及び図28の場合と同様である。
【0061】
取付ピース52を用いた場合でも基礎31への断熱パネルAの施工構造は、図30〜図32と同様である。また、図33に示す場合と同様に、定規部材34の支持片34bと取付プレート38とをボルト等の固定具48で結合する場合は、図34と同様の図46及び図48に示す構造を有し、梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図34及び図37の場合と同様である。また、図35に示す場合と同様に、定規部材34の支持片34bと取付プレート38とを溶接で結合する場合は、図34と同様の図47及び図48に示す構造を有し、梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図36及び図37の場合と同様である。尚、梁部材50及び取付ピース52の外面には上記と同様の耐火被覆51を設けることができる。
【0062】
断熱パネルAと自重受け部材35とを結合するにあたって、上記とは別の方法を採用することができる。すなわち、図49に示すように、断熱パネルAの下部に設けた補強プレート36はその長手方向の両端と略中央部とに設けた貫通孔36aに固定具37を装着して固定されるが、その三つの固定具37のうち、真ん中に位置する固定具37からはボルト本体37a及び座金37bを外した状態とする。この場合、固定具37のフランジ部37fと拡張したスリーブ37dとによって、ワッシャー37cと、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持し、スリーブ37dとワッシャー37cとが断熱パネルAに取り付けられている。次に、上記と同様にして、図50に示すように、補強プレート36に一対の係止部材40及び取付プレート38を取り付け、さらに断熱パネルAの側端面に目地部材41を取り付ける。次に、上記と同様にして、図51に示すように、定規部材34の支持片34bが断熱パネルAの裏面板の金属外皮2と係止部材40の係止部40bとの間に差し込まれるように、断熱パネルAを配置する。このとき、断熱パネルAを自重受け部材35の受け片35bに載置する。また、断熱パネルAに設けた一対の係止部材40、40の間に、定規部材34に取り付けた自重受け部材35の接合片35aを差し込むようにする。また、補強プレート36の屋内側面と接合片35aの屋外側面とを接触させる。ここで、接合片35aにはその上端から略中央部にまで至るU字状の切欠部35dが形成されており、その切欠部35dから断熱パネルAに取り付けたスリーブ37dのフランジ部37fが露出している。次に、図52に示すように、接合片35aの屋内側面に角座金42を設け、この角座金42の屋内側面から、角座金42の挿入孔42aと、接合片35aの切欠部35dとを通してボルト本体37aを差し込み、断熱パネルAに取り付けたスリーブ37dにボルト本体37aを螺合して締め付ける。このようにして、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とを結合し、断熱パネルAの下端部を基礎31等に設けた定規部材34に取り付けることができる。
【0063】
図53に、パラペット(屋上の外周部に設けた立ち上がり部分)60を最上階に設けた断熱パネルAの上部で形成する場合を示す。これは、パラペット60の高さが屋上の床面より約1000mm以内のときに好適に採用することができる。この場合、まず、上記と同様にして、梁部材50の上片50aの下面と下片50cの上面とに取付ピース52が屋外側に突出して固着される。次に、上側の取付ピース52の上面に定規部材34が固着される。この定規部材34の支持片34bは上方に向かって突出される。また、下側の取付ピース52の下面にも定規部材34が固着される。この定規部材34の支持片34bは下方に向かって突出される。次に、上側の定規部材34の支持片34bの屋外側に支持プレート61が溶接等で固着される。この支持プレート61の上部は支持片34bの上端よりも上側に突出されている。
【0064】
一方、断熱パネルAの裏面には上下一対の係止部材40が取り付けられる。係止部材40は上記と同様にして金属外皮2の表面に補強プレート36を固定具37で取り付け、この補強プレート36に対して係止部材40の結合部40aをボルト等で仮固定する。尚、断熱パネルAの下部には図13と同様に別の係止部材40が設けられている。そして、この後、断熱パネルAを吊り上げて定位置に配置する。次に、上側の係止部材40の係止部40bを上側の定規部材34の支持片34bに係止すると共に、下側の係止部材40の係止部40bを下側の定規部材34の支持片34bに係止する。このとき、下側の係止部材40は回転させて係止部40bを上向きにして支持片34bに係止する。この後、係止部材40の結合部40aを補強プレート36に本固定することにより、断熱パネルAを梁部材50に取り付けることができる。そして、断熱パネルAの上端に笠木62を取り付けることにより、パラペット60を形成することができる。このように断熱パネルAの支持部分を増やして断熱パネルAを片持ちで上方に延長することによりパラペット60を断熱パネルAで形成することができる。
【符号の説明】
【0065】
A 断熱パネル
1 金属外皮
2 金属外皮
3 芯材
4 補強材
37 固定具
41 目地部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱パネルを用いてビルの外壁や住宅の外壁などを形成するための施工構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された断熱パネルが提案されている。このような断熱パネルは、壁下地として胴縁(鉄骨下地)を設け、ビス等で屋外側の金属外皮と屋内側の金属外皮とを貫通して胴縁に固定している。また、特許文献1のように、断熱パネルの屋内側の金属外皮にアングル等で組んだ下地フレームをリベット等で固着し、下地フレームを躯体に取り付けて施工するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−266892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来例では、胴縁や下地フレームが屋内(室内)に露出するため、室内の意匠性を損なうという問題があり、本来室内側に化粧しなくても良いという金属断熱パネルのメリットを減らしている。そこで、胴縁や下地フレームを用いないでも室内の意匠性を損なわず、金属断熱パネルの高意匠性を生かすことができる施工構造が求められていた。そして、このような施工構造を実現しながら断熱パネルの取り付け強度を向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、室内の意匠性を損なわず、断熱パネルの高意匠性を生かすことができ、しかも断熱パネルの取り付け強度を向上させることができる断熱パネルの施工構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二枚の金属外皮の間に芯材が充填された断熱パネルを壁下地に取り付ける断熱パネルの施工構造であって、前記二枚の金属外皮の間に補強材が設けられ、この補強材に固定具を打入して断熱パネルが壁下地に取り付けられて成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明は、前記固定具がワンサイドボルトであることが好ましい。
【0008】
本発明は、前記補強材が断面略コ字状に形成され、前記芯材の外側に前記補強材が装着されているのが好ましい。
【0009】
本発明は、隣接して配置された断熱パネルの端部間に耐火用の目地部材が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、また、補強材を用いて断熱パネルを壁下地に固定するために、胴縁や下地フレームを不要にすることが可能で、室内の意匠性を損なわず、断熱パネルの高意匠性を生かすことができるものである。補強材により断熱パネルと固定具との結合を高めることができ、壁下地と断熱パネルとの取り付け強度を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明で用いる断熱パネルの一例を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)(d)は一部の断面図である。
【図2】同上の板状部の例を示し、(a)乃至(c)は断面図である。
【図3】同上の角部の例を示し、(a)乃至(c)は斜視図である。
【図4】同上の図1(a)におけるB−B断面を示す断面図である。
【図5】同上の芯材と補強材との一例を示す一部の斜視図である。
【図6】同上の連結部材の一例を示す斜視図である。
【図7】同上の図1(a)におけるA−A断面を示し、(a)(b)は断面図である。
【図8】本発明で用いる断熱パネルの施工方法の一例を示し、(a)(b)は一部の斜視図である。
【図9】同上の施工方法の一例を示し、(a)(b)は一部の斜視図である。
【図10】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図11】同上の固定具の一例を示す正面図である。
【図12】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図13】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図14】同上の目地部材の一例を示す断面図である。
【図15】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図16】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図17】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図18】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図19】同上の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図20】本発明の断熱パネルの施工構造の実施の形態の一例を示す一部が破断した斜視図である。
【図21】同上の斜視図である。
【図22】同上の斜視図である。
【図23】同上の斜視図である。
【図24】同上の断面図である。
【図25】同上の斜視図である。
【図26】同上の斜視図である。
【図27】同上の斜視図である。
【図28】同上の斜視図である。
【図29】同上の断面図である。
【図30】同上の斜視図である。
【図31】同上の断面図である。
【図32】同上の断面図である。
【図33】同上の斜視図である。
【図34】同上の断面図である。
【図35】同上の斜視図である。
【図36】同上の断面図である。
【図37】同上の断面図である。
【図38】同上の断面図である。
【図39】同上の取付ピースの取り付けを示す説明図である。
【図40】本発明の断熱パネルの施工構造の他の実施の形態の一例を示す一部が破断した斜視図である。
【図41】同上の斜視図である。
【図42】同上の斜視図である。
【図43】同上の一部が破断した斜視図である。
【図44】同上の斜視図である。
【図45】同上の斜視図である。
【図46】同上の断面図である。
【図47】同上の断面図である。
【図48】同上の断面図である。
【図49】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図50】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図51】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図52】同上の他の施工方法の一例を示す斜視図である。
【図53】本発明の断熱パネルの施工構造の他例を示す一部が破断した断面図である。
【図54】本発明の断熱パネルの側端部の他例を示し、(a)(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
本実施の形態で用いる断熱パネルAは、図1(a)〜(d)に示すように、二枚の金属外皮1、2、芯材3、補強材4、耐火材5、連結部材6などを備えて形成されている。このような断熱パネルAはALC板などの建築板よりも断熱性に優れるが、耐火性にも優れる耐火パネルとして形成することができる。
【0014】
金属外皮1、2は、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板などの金属板をロール成形加工や折り曲げ加工などで所望の形状に成形することにより得ることができる。また、金属外皮1、2の厚みは、例えば、0.25〜2.0mmにすることができる。一方の金属外皮1は表面板として形成され、他方の金属外皮2は裏面板として形成されている。断熱パネルAが建物の外装材として用いられる場合、表面板を建物の屋外側に向け、裏面板を屋内側に向けるようにして施工することができる。
【0015】
表面板として形成される一方の金属外皮1は、略平板状の板状部10と、板状部10の上端から後方に略垂直に突設された上突出片11と、上突出片11の先端から上方に向けて突出された上突条部12と、板状部10の下端から後方に略垂直に突設された下突出片13と、下突出片13の先端から下方に向けて突出された下突条部14と、板状部10の両側端から後方に突設された連結片15とを備えて形成されている。板状部10は、図2(a)のように表面が凹凸のない平滑面に形成されたもの、図2(b)のように断面略波形に成形されて表面が凹凸になったもの、図2(c)のようにエンボス加工により表面が凹凸になったものなどを例示することができる。また、上突出片11及び上突条部12は金属外皮1の幅方向(横方向)の略全長にわたって形成されており、上突条部12は下面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、下突出片13及び下突条部14は金属外皮1の幅方向の略全長にわたって形成されており、下突条部14は上面が開口する断面略コ字状に形成されている。また、連結片15は、板状部10の両側端から後方に略垂直に突設された基部片16と、基部片16の先端から外側方(表面側)に突設された前突条部17と、前突条部17の後端部から後方に突設された連結固定片18とを備えて形成されている。連結片15は金属外皮1の上下方向(縦方向)の略全長にわたって形成されており、前突条部17は内側方(裏面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。
【0016】
表面板となる金属外皮1の四隅のコーナー部は各種の形状に形成することができる。例えば、図3(a)に示すように、上突出片11と連結片15の基部片16との境界部分を表面が凸曲面となった曲面部19aとして形成することができる。上突出片11と連結片15の基部片16との境界部分には、金属外皮1の製造上必要なスリット部19bが形成されるが、曲面部19aはスリット部19bの前側(金属外皮1の表面に近い側)に形成されている。また、図3(b)に示すものでは、上記と曲面部19aに加えて、スリット部19bの後側の縁部が内側方に屈曲された傾斜部19cとして形成されている。また、図3(c)に示すものでは、上記と曲面部19aを形成せずに、上突出片11と連結片15の基部片16との境界部分を表面が略直角面となった直角部19dとして形成されている。尚、上記では、断熱パネルAの上側の二つのコーナー部について説明したが、断熱パネルAの下側の二つのコーナー部についても同様に形成される。この場合、上記の上突出片11を下突出片13に置き換えて説明することができる。また、金属外皮1のコーナー部の裏面側には、スリット部19bからの雨水等の浸入を防止するために、パッキンなどの止水材を設けることができる。
【0017】
裏面板として形成される他方の金属外皮2は、図1及び図4に示すように、略平板状の板状部20と、板状部20の上端から前方に略垂直に突設された上突出片21と、板状部20の下端から前方に略垂直に突設された下突出片23と、板状部20の両側端から前方に突設された連結片25とを備えて形成されている。板状部20は、表面が凹凸のない平滑面に形成されたものなどを例示することができる。また、上突出片21は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、下突出片23は金属外皮2の幅方向の略全長にわたって形成されている。また、連結片25は、板状部20の両側端から外側方に突設された後突条部27と、後突条部27の前端部から前方に突設された連結固定片28とを備えて形成されている。連結片25は金属外皮2の上下方向(縦方向)の略全長にわたって形成されており、後突条部27は裏面側(内面側)が開口する断面略コ字状に形成されている。
【0018】
芯材3は、断熱性に優れ、且つ耐火性にも優れるものであることが好ましく、図5に示すように、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材料を細長いブロック状(角棒状)に固めて形成されている。また、芯材3は、例えば、長さ300〜10000mm、幅30〜150mm、厚み20〜120mm、密度80〜200kg/m3に形成されているが、これに限定されるものではない。尚、10000mm程度の長尺の芯材3を形成する場合は、複数本の短尺(例えば、2000mm以下)の芯材3を長手方向に接合して使用することができる。
【0019】
補強材4は、図5に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより細長い部材に形成されている。補強材4を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、補強材4の長さ寸法は芯材3の長さ寸法と略同等に形成されている。補強材4は、矩形板状の固着片4aと、固着片4aの両方の長手端部に略垂直に突設した一対の対向する補強片4b、4bとを備えて断面略U字状に形成されている。補強片4bの高さ寸法(固着片4a側の基部から先端までの寸法)L1は、芯材3の厚み寸法L2よりも小さく形成されており、例えば、補強片4bの高さ寸法は、芯材3の厚み寸法の1/2から1/10にすることができる。
【0020】
耐火材5は、芯材3よりも高い耐火性能を有するものであって、例えば、硫酸カルシウム2水和物を主成分とする石膏や珪酸カルシウムなどを用いて矩形板状に形成されている。耐火材5の長手方向(縦寸法)は断熱パネルAの長手方向の寸法と略同じであって、例えば、300〜10000mmにすることができ、耐火材5の幅寸法(前後方向の寸法)は断熱パネルAの厚み寸法と略同じであって、例えば、幅30〜150mmにすることができ、耐火材5の厚みは、例えば、5〜50mmとすることができる。また、耐火材5は市販の石膏ボードを所定の大きさに切断して形成することができる。
【0021】
連結部材6は、図6に示すように、金属板を折り曲げ加工することにより形成された短寸部材(ピース状部材)に形成されている。連結部材6を形成するための金属板は厚み0.3〜3.5mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、連結部材6は、固定部6aと位置決め部6bとが略垂直に連なって断面略L字状に形成されている。固定部6aは位置決め部6bよりも長く形成されており、固定部6aの長さL3は断熱パネルAの厚み寸法の半分よりもやや長く形成され、例えば、20〜100mmに形成することができる。また、位置決め部6bの長さL4は耐火材5の幅寸法の半分程度の長さに形成され、例えば、5〜30mmに形成することができる。
【0022】
そして、本実施の形態で用いる断熱パネルAは、二枚の金属外皮1、2の間に芯材3、補強材4、耐火材5及び連結部材6を設けて一体化することにより形成されている。図5に示すように、芯材3には補強材4が設けられている。この場合、芯材3の前面又は後面と補強材4の固着片4aの裏面とを接着すると共に芯材3の各側面に補強材4の各補強片4bを添わせることによって、芯材3のほぼ全長にわたって補強材4が取り付けられている。
【0023】
補強材4を設けた複数本の芯材3は、図7(a)(b)に示すように、裏面を対向させた二枚の金属外皮1,2の間に配置されて二枚の金属外皮1,2の間に充填される。この場合、芯材3及び補強材4は、その長手方向が断熱パネルAの長手方向(縦方向)と略平行となるように配置される。また、隣り合う芯材3は側面同士を密着して配置されているが、隣り合う芯材3のそれぞれに設けた補強材4は逆向きにして配置される。すなわち、補強材4の固着片4aの表面が一方の金属外皮1の裏面側に向けられた芯材3と、補強材4の固着片4aの表面が他方の金属外皮2の裏面側に向けられた芯材3とが、断熱パネルAの短手方向(横方向)に交互に並んで配置されている。固着片4aの表面と芯材3の固着片4aで覆われていない前面又は後面は、一方の金属外皮1の裏面又は他方の金属外皮2の裏面に接着されている。尚、補強材4を設けた芯材3の横方向への配置数を増減させることによって、幅寸法(短手方向の寸法)が異なる断熱パネルAに対応することができる。
【0024】
耐火材5は、断熱パネルAの四辺の周端部の略全長にわたって設けられている。断熱パネルAの上端部においては、一方の金属外皮1の上突出片11及び上突条部12並びに他方の金属外皮2の上突出片21と、芯材3の上端面との間に耐火材5が設けられている。この場合、上突出片11、21の下面と耐火材5の上面とが接着され、芯材3の上端面と耐火材5の下面とは非接着で当接している。断熱パネルAの下端部においては、一方の金属外皮1の下突出片13及び下突条部14並びに他方の金属外皮2の下突出片23と、芯材3の下端面との間に耐火材5が設けられている。この場合、下突出片13、23の上面と耐火材5の下面とが接着され、芯材3の下端面と耐火材5の上面とは非接着で当接している。断熱パネルAの側端部においては、一方の金属外皮1の連結片15及び他方の金属外皮2の連結片25と、断熱パネルAの最も側端位置に設けられた芯材3の外側端面との間に耐火材5が設けれている。この場合、連結片15、25の裏面と耐火材5の外側面とが接着され、芯材3の外側面と耐火材5の内側面とが接着されている。
【0025】
連結部材6は、断熱パネルAの両側端部に複数個ずつ設けられている。例えば、断熱パネルAの各側端部の上部と略中央部と下部とに連結部材6が設けられ、複数の連結部材6は所定の間隔を介して金属外皮1,2の側端部に沿って並設されている。また、連結部材6の固定部6aは、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の内側面と、この耐火材5に隣接する芯材3の外側面との間に配置されている。また、連結部材6の位置決め部6bは、図1(c)に示すように、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の後面と裏面側の金属外皮2の裏面(内面)との間に配置されている。尚、図1(d)に示すように、連結部材6の位置決め部6bは、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の前面と表面側の金属外皮1の裏面(内面)との間に配置されていてもよい。位置決め部6bが耐火材5の前面又は後面に係止されることにより、連結部材6の位置決めが容易に行える。尚、耐火材5を二枚の金属外皮1、2の間に設ける前に、予め連結部材6を耐火材5に接着等して設けておいてもよい。
【0026】
本実施の形態の断熱パネルAは、連結部材6により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結されている。すなわち、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6の固定部6aとがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6の固定部6aとがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。この場合、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から耐火材5を貫通して連結部材6の固定部6aに結合される。
【0027】
そして、本実施の形態で用いる断熱パネルAでは、後述のように、裏面側の一方の金属外皮2に補強プレート36や係止部材40などを連結し、これら補強プレート36や係止部材40を壁下地に固定することにより施工されるので、表面側の他方の金属外皮1は連結部材6を介して金属外皮2に保持されることになり、従って、表面側の金属外皮1と芯材3との接着が火災時の熱により外れた場合であっても、壁下地に固定された裏面側の金属外皮2と連結部材6とで表面側の金属外皮1を支持して脱落しにくくなるものである。また、本実施の形態で用いる断熱パネルAでは、連結部材6で連結された二枚の金属外皮1,2の側端部が火災時の熱で互いに離れる方向に変形するのを抑えることができ、火災時において、左右(横方向)に隣接する断熱パネルAの側端部間に形成される縦目地に隙間を生じにくくして壁の耐火性能を向上させることができる。また、複数の連結部材6が間隔をおいて並設されているので、二枚の金属外皮1,2の側端部を全長にわたって連結する場合に比べて、連結部材6から固定具30を通して伝熱するだけであって、いわゆるヒートブリッジを小さくすることができ、一方の金属外皮1(又は2)から他方の金属外皮2(又は1)へと熱伝導するのを少なくして断熱パネルAの断熱性能を低下させにくくすることができるものであり、例えば、屋内側と屋外側(内外)の金属外皮1、2の結露を発生しにくくすることができる。また、補強材4で芯材3を補強することができ、断熱パネルAの剛性や強度を高めることができる。また、後述のように、断熱パネルAの上下端部近傍に取付プレート38や補強プレート36や係止部材40等の取付用金具を設け、断熱パネルAに内蔵された補強材4を用いて断熱パネルAを壁下地に固定するために、断熱パネルAの外部に露出する胴縁や下地フレームを不要にすることが可能で、胴縁や下地フレームで室内の意匠性を損なわないようにすることができ、また、断熱パネルAの屋内側の金属外皮2の表面の意匠性が胴縁や下地フレームで損なわれなくなって、断熱パネルAの高意匠性を生かすことができるものである。尚、本発明では胴縁や下地フレームを用いて施工することも可能である。
【0028】
尚、上記では、断熱パネルAの側端部に連結部材6を設けた例を説明したが、これに限らず、断熱パネルAの上端部や下端部に連結部材6を設けてもよく、この場合、上下(縦方向)に隣接する断熱パネルAの上下端部間に形成される横目地に隙間を生じにくくして壁の耐火性能を向上させることができる。また、断熱パネルAの各部位の寸法は適宜設定することができる。例えば、断熱パネルAの働き長さ(縦方向の寸法)は構造計算により安全性が確認された長さ以下にすることができ、断熱パネルAの働き幅(横方向の寸法)は300〜1200mm、断熱パネルAの厚みは50〜150mm、連結部材6の間隔は100〜2000mmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
また、図6に示す連結部材6は断面略L字状に形成されているが、これに限らず、平板状の部材(固定部6aに相当する部分のみ)で連結部材6を形成することもできる。この場合、図54(a)に示すように、連結部材6は、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の内側面と、この耐火材5に隣接する芯材3の外側面との間に配置される。そして、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。この場合、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から耐火材5を貫通して連結部材6に結合される。さらに、図54(b)に示すように、二枚の耐火材5を横方向に並べて断熱パネルAの側端部に設け、二枚の耐火材5の間に平板状の連結部材6を挟んで設けるようにしてもよい。この場合、連結部材6は、断熱パネルAの側端部に設けた耐火材5の内側面と、この耐火材5に隣接する芯材3の外側面との間に配置される。そして、一方の金属外皮1の側端部に設けた連結片15の連結固定部18と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されると共に、他方の金属外皮2の側端部に設けた連結片25と連結部材6とがビス等の固定具30で結合されることによって、連結部材6及び固定具30により一方の金属外皮1と他方の金属外皮2とが連結される。また、固定具30は、連結固定部18や連結片25の外側面から二枚の耐火材5と連結部材6に貫通して結合される。
【0030】
次に、本実施の形態の断熱パネルAの施工構造を説明する。断熱パネルAはその複数枚を縦横に並設することによって、外壁等の壁を形成することができる。上記の断熱パネルAは主に屋内側(室内側)からの作業で施工することができるが、屋外側から施工することも可能である。
【0031】
まず、図8に示すように、壁下地に断熱パネルAを取り付けるための部材が設けられる。壁下地は建物の基礎31や二階以上の階の床部32などで構成され、例えば、スラブコンクリートで形成されている。基礎31の上面には支持凸部31aと凹段部31bとが基礎31の長手方向の略全長にわたって形成されている。支持凸部31aは凹段部31bよりも屋内側に形成されており、支持凸部31aの上面は凹段部31bよりも上側に位置している。
【0032】
壁下地には下地部材33と定規部材34とが取り付けられる。下地部材33は金物などであって、載置片33aと垂下片33bとで断面略L字状で長尺に形成されている。定規部材34は金物などであって、取付片34aと支持片34bとで断面略L字状で長尺に形成されている。尚、下地部材33と定規部材34は長尺物だけでなく、短尺物(ピース状物)であってもよい。
【0033】
そして、図8(a)に示すように、基礎31の支持凸部31aの屋内側の上側角部に下地部材33が全長にわたって取り付けられる。この場合、支持凸部31aの屋内側面に垂下片33bが取り付けられ、支持凸部31aの上面に載置片33aが取り付けられる。また、支持凸部31aに取り付けられた下地部材33の載置片33aに定規部材34が取り付けられる。この場合、定規部材34の取付片34aと載置片33aとが溶接又はボルト等の固定具で固定される。また、定規部材34の支持片34bが取付片34aよりも屋外側に位置するように定規部材34の向きが決められる。尚、下地部材33は基礎31の全長にわたって取り付ける必要はなく、必要な部分にのみ設けてもよい。また、短尺物の下地部材33を用いる場合は、複数個の下地部材33を所定の間隔で並べて基礎31に取り付けることができる。さらに、短尺物の定規部材34を用いる場合は、複数個の定規部材34を所定の間隔で並べて下地部材33に取り付けることができる。
【0034】
床部32にあっては、図8(b)に示すように、その屋外側の上側角部に下地部材33が全長にわたって取り付けられる。この場合、床部32の屋外側面に垂下片33bが取り付けられ、床部32の上面に載置片33aが取り付けられる。また、床部32に取り付けられた下地部材33の載置片33aに定規部材34が取り付けられる。この場合、定規部材34の取付片34aと載置片33aとが溶接又はボルト等の固定具で固定される。また、定規部材34の支持片34bが取付片34aよりも屋外側に位置するように定規部材34の向きが決められる。
【0035】
次に、図9(a)(b)に示すように、基礎31及び床部32に取り付けた定規部材34に自重受け部材35が取り付けられる。自重受け部材35は金物などであって、接合片35aと受け片35bとで断面略L字状で短寸部材(ピース部材)に形成されている。そして、定規部材34の支持片34bの屋外側面に接合片35aを溶接等で固着することによって、定規部材34に自重受け部材35が取り付けられる。この場合、接合片35aの下部が支持片34bの屋外側面に固着され、接合片35aの上部は支持片34bの上端よりも上側に突出している。また、基礎31においては、受け片35bが凹段部31の上面と定規部材34の下面との間に位置されており、床部32においては、受け片35bの上面が定規部材34の取付片34aの上面とほぼ同じ高さに位置されている。尚、受け片35bと取付片34aの高さの位置関係は、断熱パネルAの高さ方向の割り付けにより変化することがある。
【0036】
一方、断熱パネルAにも各種部材が取り付けられる。まず、図10に示すように、断熱パネルAの裏面の上下二箇所に補強プレート36が取り付けられる。補強プレート36は短冊状の金属板であって、長手方向に並ぶ複数の貫通孔36aとねじ孔36bとが形成されている。この補強プレート36はその長手方向を断熱パネルAの幅方向と略平行にして裏面板である金属外皮2の外面(表面)に配置し、貫通孔36aを通して固定具37を金属外皮2の板状部20及び断熱パネルA内の補強材4に打ち込むことによって、断熱パネルAに補強プレート36が取り付けられる。尚、図10のものでは下側の補強プレート36に三つの貫通孔36aが設けられているが、このうち、両端の貫通孔36aに固定具37を打ち込むようにし、真ん中の貫通孔36aは後述の施工時に使用することができる。
【0037】
固定具37は、片側からの操作で締結できるワンサイドボルトであって、図11に示すように、ボルト本体37aと、座金37b、ワッシャー37c及びスリーブ37dとを備えて形成されている。スリーブ37dにはボルト本体37aの軸方向に長い複数のスリット37eが設けられている。また、スリーブ37dの基部にはフランジ部37fが全周にわたって突設されている。そして、補強プレート36の表面側から貫通孔36aにスリーブ37dの部分を差し込むと共に、このスリーブ37dの部分を金属外皮2の板状部20と補強材4の固着片4aとに貫通させる。この後、ボルト本体37aを締め付けていくことにより、スリーブ37dの先端がボルト本体37aの頭部37g側に引っ張られ、この力でスリーブ37dがスリット37eの部分で割れて外側四方に拡張するように変形する。拡張したスリーブ37dは固着片4aの前面(芯材3側の面)に係止される。そして、ボルト本体37aの頭部37gと拡張したスリーブ37dとの間で、座金37bと、フランジ部37fと、ワッシャー37cと、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持することにより、補強プレート36を断熱パネルAに取り付けることができる。
【0038】
断熱パネルAには芯材3や断熱パネルAを補強するための補強材4が内蔵されているが、この補強材4及び金属外皮2と補強プレート36とを固定具37で連結するので、金属外皮2のみに補強プレート36を固定する場合に比べて、補強プレート36の取り付け強度を大きくすることができる。従って、芯材3や断熱パネルAを補強するための補強材4を利用して断熱パネルAへの補強プレート36の取り付け強度を高め、さらに、断熱パネルAの壁下地の取り付け強度を向上させることができる。しかも、補強プレート36が複数の補強材4にわたって取り付けられ、複数の補強材4が補強プレート36で連結されるので、補強材4にかかる荷重を分散して負担することができ、荷重集中をなくして耐火パネルAの破損等が発生しにくくなるものである。
【0039】
次に、図12に示すように、断熱パネルAの上部に設けた補強プレート36に一対の取付プレート38を横方向に並べて取り付ける。取付プレート38は上下方向に長い短冊状の金属板であって、下部には貫通孔38aが形成されている。この取付プレート38はその長手方向を断熱パネルAの上下方向と略平行にして補強プレート36の外面(表面)に配置し、貫通孔38aを通したボルト等の固定具39を補強プレート36のねじ孔36bに結合することによって、補強プレート36を介して断熱パネルAに取付プレート38が取り付けられる。取付プレート38の上部は断熱パネルAの上端部よりも上側に突出されている。
【0040】
また、断熱パネルAの下部に設けた補強プレート36に一対の係止部材40を横方向に並べて取り付ける。係止部材40は金属製のZ字状のクリップであって、平板状の結合部40aと、平板状の係止部40bと、結合部40aの下端と係止部40bの上端との間に形成された傾斜部40cとを備えて形成されている。結合部40aには貫通孔40dが形成されている。この係止部材40はその長手方向を断熱パネルAの上下方向と略平行にして補強プレート36の外面(表面)に配置し、貫通孔40dを通したボルト等の固定具39を補強プレート36のねじ孔36bに結合することによって、補強プレート36を介して断熱パネルAに係止部材40が取り付けられる。このとき、係止部材40の係止部40bは傾斜部40cの傾斜と補強プレート36の厚みにより、金属外皮2の表面から離れた位置に配設されている。
【0041】
次に、図13に示すように、断熱パネルAの一方又は両方の側端面の全長にわたって目地部材41が取り付けられる。目地部材41は角棒状に形成されるものであって、図14に示すように、耐火芯材41aと耐火被覆材41bと強化部材41cとを備えて形成されている。耐火芯材41aは石膏(石膏ボード)や珪酸カルシウムなどで角棒状に形成されている。耐火被覆材41bはロックウールフェルトなどの繊維状無機材料を用いたフェルトで構成されている。強化部材41cは鋼板等の金属板を折り曲げ加工等することにより、表面カバー部41dとその両側端部に突設された一対の側面カバー部41eとで断面略コ字状に形成されている。そして、耐火芯材41aの幅狭の一表面が表面カバー部41dで覆われると共に耐火芯材41aの幅広の側面が側面カバー部41eで覆われるようにして耐火芯材41aの全長にわたって強化部材41cを取り付け、さらに、側面カバー部41eの表面と強化部材41cで覆われていない耐火芯材41aの表面とに耐火被覆材41bを全面にわたって設けることによって、目地部材41が形成されている。断熱パネルAの側端面に目地部材41を取り付けるにあたっては、断熱パネルAの側端面に突設された前突条部17と後突条部27との間に目地部材41を嵌め込んで接着等することができる。この場合、目地部材41の強化部材41cが屋内側に向けられて配設される。また、目地部材41は、例えば、その幅寸法の略1/4の部分が前突条部17と後突条部27との間に嵌め込まれ、残りの略3/4が前突条部17と後突条部27との間から側方に突出して取り付けられる。尚、前突条部17と後突条部27との間に嵌め込まれる目地部材41の寸法や、前突条部17と後突条部27との間から側方に突出する目地部材41の寸法は、目地部分の必要な耐火性能等に応じて、適宜設定可能である。
【0042】
次に、上記の断熱パネルAは壁下地に取り付けられる。基礎31に対しては、図15に示すように、定規部材34の支持片34bが断熱パネルAの裏面板の金属外皮2と係止部材40の係止部40bとの間に差し込まれるように、断熱パネルAを配置する。このとき、断熱パネルAを自重受け部材35の受け片35bに載置するが、断熱パネルAの下突出片23の下面と、定規部材34に取り付けた自重受け部材35の受け片35bの上面とを接触させるようにしてもよいし、下突出片23の下面と受け片35bの上面との間にフラッシング43を介在させてもよい(図20参照)。また、断熱パネルAに設けた一対の係止部材40、40の間に、定規部材34に取り付けた自重受け部材35の接合片35aを差し込むようにする。また、補強プレート36の屋内側面と接合片35aの屋外側面とを接触させる。
【0043】
一方、床部32に対しては、図16に示すように、断熱パネルAの上端部から突出する一対の取付プレート38、38の屋内側面を定規部材34の支持片34bの屋外側面に接触させた後、支持片34bの屋内側から支持片34bと取付プレート38に設けたプレート孔38bとを貫通するようにボルト等の固定具48を断熱パネルAの屋内側から螺合させ、支持片34bと取付プレート38とを結合し、断熱パネルAの上端部を床部32の定規部材34に取り付けることができる。尚、支持片34bと取付プレート38とは溶接により接合してもよい。
【0044】
次に、図17に示すように、基礎31に設けた自重受け部材35の接合片35aの屋内側面に角座金42を設け、この角座金42の屋内側面から、角座金42の挿入孔42aと、接合片35aに設けた差し込み孔35cと、補強プレート36の貫通孔36aと、金属外皮2の板状部20と、断熱パネルA内の補強材4の固着片4aとを貫通するように固定具37を断熱パネルAの屋内側から打ち込む。そして、上記と同様に、ボルト本体37aを締め付けていくことにより、固着片4aの芯材3側の面でスリーブ37dを拡張させる。これにより、ボルト本体37aの頭部と拡張したスリーブ37dとの間で、座金37bと、ワッシャー37cと、角座金42と、接合片35aの差し込み孔35cの開口縁部と、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持することにより、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とを結合し、断熱パネルAの下端部を基礎31の定規部材34に取り付けることができる。
【0045】
上記のようにして、壁下地に断熱パネルAが取り付けられると、図18に示すように、断熱パネルAの上端面よりも上側に、床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bが位置することになる。尚、断熱パネルAの上端面と床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bとの高さの位置関係は、断熱パネルAの高さ方向の割り付けにより変化することがある。また、床部32に設けた自重受け部材35は、床部32の定規部材34に取り付けた一対の取付プレート38,38の間に位置することになる。そして、図19に示すように、床部32に設けた自重受け部材35の受け片35bの先端と、断熱パネルAの上突出片11との間において、断熱パネルAの上端面に横方向に長い目地部材41を配設する。このようにして一枚の断熱パネルAを壁下地に取り付けることができる。
【0046】
そして、上記と同様にして断熱パネルAを基礎31及び床部32に固定しながら、図20及び図21に示すように、横方向に複数枚の断熱パネルAを順次並設していくことによって、一階部分の外壁を形成することができる。ここで、断熱パネルAの下方の凹段部31bにはフラッシング(水切り)43が全長にわたって設けられている。フラッシング43の下面と凹段部31bとの間にはモルタル53などが充填されている。
【0047】
また、二階以上の階(中間部分)の外壁も上記と同様にして断熱パネルAを床部32に固定しながら、図22及び図23に示すように、横方向に複数枚の断熱パネルAを順次並設していくことによって、二階以上部分の外壁を形成することができる。この場合、断熱パネルAは上下に隣り合う階に架け渡すようにして配設される。断熱パネルの下端を下階の床部32に固定するにあたっては、基礎31に対する場合と同様に行うことができる。すなわち、床部32に設けた定規部材34の支持片34bが断熱パネルAの裏面板の金属外皮2と係止部材40の係止部40bとの間に差し込まれるように、断熱パネルAを配置する。このとき、断熱パネルAの下突出片23の下面と、床部32に設けた定規部材34に取り付けた自重受け部材35の受け片35bの上面とを接触させるようにして、断熱パネルAを自重受け部材35の受け片35bに載置する。また、断熱パネルAに設けた一対の係止部材40、40の間に、床部32に設けた定規部材34に取り付けた自重受け部材35の接合片35bを差し込むようにする。また、補強プレート36の屋内側面と接合片35bの屋外側面とを接触させる。また、係止部40bは、その下側に配置された下階の断熱パネルAの取付プレート38と支持片34bを挟んで対向する位置に係止される。
【0048】
次に、床部32に設けた定規部材34の自重受け部材35の接合片35bの屋内側面に角座金42を設け、この角座金42の屋内側面から、角座金42の挿入孔42aと、補強プレート36の貫通孔36aと、金属外皮2の板状部20と、断熱パネルA内の補強材4の固着片4aとを貫通するように固定具37を打ち込む。そして、上記と同様に、ボルト本体37aを締め付けていくことにより、固着片4aの芯材3側の面でスリーブ37dを拡張させる。これにより、ボルト本体37aの頭部と拡張したスリーブ37dとの間で、座金37bと、ワッシャー37cと、角座金42の挿入孔42aの開口縁部と、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持することにより、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とを結合し、断熱パネルAの下端部を床部32に設けた定規部材34に取り付けることができる。尚、断熱パネルAの上端部は、二階以上の階においても図16等に示す場合と同様にして上階の床部32に固定することができる。
【0049】
図24に断熱パネルAの施工後の固定状態を示す。断熱パネルAには補強プレート36が取り付けられ、この補強プレート36に取付プレート38や係止部材40が取り付けられ、これら取付プレート38や係止部材40を介して壁下地に固定される。また、壁下地に設けた自重受け部材35の接合片35aも断熱パネルAに結合される。そして、補強プレート36や接合片35aは固定具37により断熱パネルAの金属外皮2と補強材4とに結合される。従って、補強プレート36や接合片35aが金属外皮2のみに結合される場合に比べて、断熱パネルAへの補強プレート36や接合片35aの取り付け強度を高めることができ、これに伴って、断熱パネルAの壁下地への固定強度を高めることができる。
【0050】
図25〜28は、幅広(働き幅が900mm以上1200mm以下で例えば900mm)の断熱パネルAの施工構造を示す。上記のように幅狭(働き幅が300mm以上900mm未満で例えば600mm)の断熱パネルAの場合は、補強プレート36を上下に一枚ずつ設ければよいが、幅広の断熱パネルAの場合は、図29に示すように、補強プレート36を上下に二枚ずつ設けるのが好ましい。断熱パネルAの上部に設けた補強プレート36は略同じ高さで横方向に並設し、断熱パネルAの下部に設けた補強プレート36も略同じ高さで横方向に並設する。また、各補強プレート36に対する取付プレート38や係止部材40の取付方法は上記と同様であり、さらに、基礎31や床部32に設けた定規部材34や自重受け部材35への取付プレート38や係止部材40の固定方法も上記と同様である。そして、幅広の断熱パネルAでは壁下地に対する固定箇所を増加することにより、断熱パネルAの固定強度の向上を図ることができるものである。尚、補強プレート36の枚数は上下二枚ずつに限らず、断熱パネルAの幅寸法に応じて増加してもよい。
【0051】
図30は、補強プレート36と自重受け部材35と係止部材40などの結合の一例を示す分解斜視図である。図31は、基礎31への断熱パネルAの固定状態を示し、図30におけるA−A断面図である。図32は、基礎31への断熱パネルAの固定状態を示し、図30におけるB−B断面図である。断熱パネルAと基礎31の凹段部31bとの間には横目地が形成される。フラッシング43の屋外側には断熱パネルAの下突条部14が位置しており、下突条部14の下面と凹段部31bの上面との間にはバックアップ材44が横目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材44の屋外側にはシーリング材45が横目地の全長にわたって充填されている。また、シーリング材45の屋外側において、断熱パネルAの下突出片13と凹段部31bの上面との間にはさらに別のバックアップ材46が横目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材46の屋外側にはさらに別のシーリング材47が横目地の全長にわたって充填されている。尚、本発明において、バックアップ材としては、エチレン・プロピレン・ターポリマー(EPT)発泡体や発泡ポリウレタンなどの樹脂成形品を用いることができ、シーリング材としては、変性シリコーン系、シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系などの樹脂材料のものを用いることができる。
【0052】
図33は、補強プレート36と自重受け部材35と係止部材40と取付プレート38などの結合の一例を示す分解斜視図である。図34は、床部32への断熱パネルAの固定状態を示し、図33におけるA−A断面図である。図35は、補強プレート36と自重受け部材35と係止部材40と取付プレート38などの結合の他例を示す分解斜視図である。図36は、床部32への断熱パネルAの固定状態を示し、図35におけるA−A断面図である。図37は、床部32への断熱パネルAの固定状態を示し、図33及び図35におけるB−B断面図である。図33及び図34では、取付プレート38と定規部材34の支持片34bをボルト等の固定具48により固定しているが、図35及び図36では、取付プレート38と定規部材34の支持片34bを溶接により固定している。尚、床部32はH型鋼等で形成される梁部材50の上に形成されている。梁部材50の外面にはロックウールフェルトなどの繊維状無機材料を用いた耐火被覆51が形成されている。
【0053】
図34及び図36、図37に示すように、受け片35bの屋外側において、上下に隣接する断熱パネルA、Aの間には横目地が形成されており、この横目地には目地部材41が設けられている。目地部材41の屋外側には上側の断熱パネルAの下突条部14と下側の断熱パネルAの上突条部12とが上下に対向して配置されている。この上突条部12と下突条部14の間にはパッキン49が横目地の全長にわたって充填されている。また、上突条部12と下突条部14及びパッキン49の屋外側において、バックアップ材46が横目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材46の屋外側にはシーリング材47が横目地の全長にわたって充填されている。尚、本発明において、パッキンとしては、上記バックアップ材と同様のものを用いることができる。また、床部32の屋外側には耐火材55が設けられており、横目地の屋内側と断熱パネルAの上部裏面とが耐火材55で覆われている。
【0054】
図38は、横方向に隣接して施工された断熱パネルA、Aの接続状態を示す。一方の断熱パネルAの側端面と他方の断熱パネルAの側端面との間には縦目地が形成されており、この縦目地には目地部材41が設けられている。目地部材41の屋外側には一方の断熱パネルAの前突条部17と他方の断熱パネルAの前突条部17とが左右に対向して配置されている。また、目地部材41の屋内側には一方の断熱パネルAの後突条部27と他方の断熱パネルAの後突条部27とが左右に対向して配置されている。従って、目地部材41は前突条部17、17と後突条部27、27とで前後に挟まれて縦目地の全長にわたって配置されている。また、目地部材41の耐火被覆材41に連結部材6と金属外皮1,2とを結合する固定具30の頭部が埋め込まれている。また、対向する前突条部17,17の間にはパッキン49が横目地の全長にわたって充填されている。また、前突条部17,17とパッキン49の屋外側において、基部片16,16の間に、バックアップ材46が縦目地の全長にわたって充填されていると共にこのバックアップ材46の屋外側にはシーリング材47が縦目地の全長にわたって充填されている。
【0055】
上記では、梁部材50に支持された床部32に定規部材34を取り付ける場合について説明したが、梁部材50を壁下地として用い、この梁部材50に取付ピース52を設け、この取付ピース52に定規部材34を架け渡して取り付けるようにしてもよい。取付ピース52はL型鋼などで短尺部材で形成されている。また、取付ピース52には長手方向の略半分が固着部52aとして形成されており、残りの略半分が支え部52bとして形成されている。そして、図39に示すように、固着部52aを梁部材50に溶接等で固着することによって、梁部材50の長手方向に沿って複数個の取付ピース52を設けることができる。この場合、支え部52bが梁部材50よりも屋外側に突出することとなる。梁部材50への取付ピース52の取付位置は適宜設定される。梁部材50がH型鋼の場合は、上片50aの上面あるいは下面に固着部52aを固着することができ、また、縦片50bの上下の略中央部に固着部52aの先端部分を固着することができ、さらに、下片50cの下面に固着部52aを固着することができる。そして、定規部材34の取付片34aを取付ピース52の支え部52bの上面に溶接等で固着することによって、定規部材34を梁部材50の横方向の略全長にわたって略平行に設けることができる。
【0056】
上記のような取付ピース52を用いた場合、上記と同様の基礎31と取付ピース52を設けた梁部材50とが壁下地となる。従って、断熱パネルAは、上記の床部32に取り付けた定規部材34の代わりに、取付ピース52に取り付けた定規部材34に対して上記と同様にして固定して施工することができる。
【0057】
図40は、一階部分における幅狭の断熱パネルAの施工構造を示す。断熱パネルAの下端部における基礎31への施工方法及び施工構造は図20及び図21の場合と同様である。また、断熱パネルAの上端部は、図20では床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図40では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAの上端部が固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図20の場合と同様である。
【0058】
図41及び図42は、二階以上の部分における幅狭の断熱パネルAの施工構造を示す。図22及び図23では、断熱パネルAは床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図41及び図42では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図22及び図23の場合と同様である。
【0059】
図43は、一階部分における幅広の断熱パネルAの施工構造を示す。断熱パネルAの下端部における基礎31への施工方法及び施工構造は図25及び図26の場合と同様である。また、断熱パネルAの上端部は、図25では床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図43では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAの上端部が固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図25の場合と同様である。
【0060】
図44及び図45は、二階以上の部分における幅広の断熱パネルAの施工構造を示す。図27及び図28では、断熱パネルAは床部32に取り付けられている定規部材34に固定されている。一方、図44及び図45では梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図27及び図28の場合と同様である。
【0061】
取付ピース52を用いた場合でも基礎31への断熱パネルAの施工構造は、図30〜図32と同様である。また、図33に示す場合と同様に、定規部材34の支持片34bと取付プレート38とをボルト等の固定具48で結合する場合は、図34と同様の図46及び図48に示す構造を有し、梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図34及び図37の場合と同様である。また、図35に示す場合と同様に、定規部材34の支持片34bと取付プレート38とを溶接で結合する場合は、図34と同様の図47及び図48に示す構造を有し、梁部材50に設けた取付ピース52に取り付けられている定規部材34に断熱パネルAが固定されているが、定規部材34への施工方法及び施工構造は図36及び図37の場合と同様である。尚、梁部材50及び取付ピース52の外面には上記と同様の耐火被覆51を設けることができる。
【0062】
断熱パネルAと自重受け部材35とを結合するにあたって、上記とは別の方法を採用することができる。すなわち、図49に示すように、断熱パネルAの下部に設けた補強プレート36はその長手方向の両端と略中央部とに設けた貫通孔36aに固定具37を装着して固定されるが、その三つの固定具37のうち、真ん中に位置する固定具37からはボルト本体37a及び座金37bを外した状態とする。この場合、固定具37のフランジ部37fと拡張したスリーブ37dとによって、ワッシャー37cと、補強プレート36の貫通孔36aの開口縁部と、板状部20及び固着片4aのスリーブ貫通部分の縁部とを挟持し、スリーブ37dとワッシャー37cとが断熱パネルAに取り付けられている。次に、上記と同様にして、図50に示すように、補強プレート36に一対の係止部材40及び取付プレート38を取り付け、さらに断熱パネルAの側端面に目地部材41を取り付ける。次に、上記と同様にして、図51に示すように、定規部材34の支持片34bが断熱パネルAの裏面板の金属外皮2と係止部材40の係止部40bとの間に差し込まれるように、断熱パネルAを配置する。このとき、断熱パネルAを自重受け部材35の受け片35bに載置する。また、断熱パネルAに設けた一対の係止部材40、40の間に、定規部材34に取り付けた自重受け部材35の接合片35aを差し込むようにする。また、補強プレート36の屋内側面と接合片35aの屋外側面とを接触させる。ここで、接合片35aにはその上端から略中央部にまで至るU字状の切欠部35dが形成されており、その切欠部35dから断熱パネルAに取り付けたスリーブ37dのフランジ部37fが露出している。次に、図52に示すように、接合片35aの屋内側面に角座金42を設け、この角座金42の屋内側面から、角座金42の挿入孔42aと、接合片35aの切欠部35dとを通してボルト本体37aを差し込み、断熱パネルAに取り付けたスリーブ37dにボルト本体37aを螺合して締め付ける。このようにして、自重受け部材35の接合片35aと断熱パネルAの金属外皮2や補強材4及び補強プレート36とを結合し、断熱パネルAの下端部を基礎31等に設けた定規部材34に取り付けることができる。
【0063】
図53に、パラペット(屋上の外周部に設けた立ち上がり部分)60を最上階に設けた断熱パネルAの上部で形成する場合を示す。これは、パラペット60の高さが屋上の床面より約1000mm以内のときに好適に採用することができる。この場合、まず、上記と同様にして、梁部材50の上片50aの下面と下片50cの上面とに取付ピース52が屋外側に突出して固着される。次に、上側の取付ピース52の上面に定規部材34が固着される。この定規部材34の支持片34bは上方に向かって突出される。また、下側の取付ピース52の下面にも定規部材34が固着される。この定規部材34の支持片34bは下方に向かって突出される。次に、上側の定規部材34の支持片34bの屋外側に支持プレート61が溶接等で固着される。この支持プレート61の上部は支持片34bの上端よりも上側に突出されている。
【0064】
一方、断熱パネルAの裏面には上下一対の係止部材40が取り付けられる。係止部材40は上記と同様にして金属外皮2の表面に補強プレート36を固定具37で取り付け、この補強プレート36に対して係止部材40の結合部40aをボルト等で仮固定する。尚、断熱パネルAの下部には図13と同様に別の係止部材40が設けられている。そして、この後、断熱パネルAを吊り上げて定位置に配置する。次に、上側の係止部材40の係止部40bを上側の定規部材34の支持片34bに係止すると共に、下側の係止部材40の係止部40bを下側の定規部材34の支持片34bに係止する。このとき、下側の係止部材40は回転させて係止部40bを上向きにして支持片34bに係止する。この後、係止部材40の結合部40aを補強プレート36に本固定することにより、断熱パネルAを梁部材50に取り付けることができる。そして、断熱パネルAの上端に笠木62を取り付けることにより、パラペット60を形成することができる。このように断熱パネルAの支持部分を増やして断熱パネルAを片持ちで上方に延長することによりパラペット60を断熱パネルAで形成することができる。
【符号の説明】
【0065】
A 断熱パネル
1 金属外皮
2 金属外皮
3 芯材
4 補強材
37 固定具
41 目地部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の金属外皮の間に芯材が充填された断熱パネルを壁下地に取り付ける断熱パネルの施工構造であって、前記二枚の金属外皮の間に補強材が設けられ、この補強材に固定具を打入して断熱パネルが壁下地に取り付けられて成ることを特徴とする断熱パネルの施工構造。
【請求項2】
前記固定具がワンサイドボルトであることを特徴とする請求項1に記載の断熱パネルの施工構造。
【請求項3】
前記補強材が断面略コ字状に形成され、前記芯材の外側に前記補強材が装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱パネルの施工構造。
【請求項4】
隣接して配置された断熱パネルの端部間に耐火用の目地部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の断熱パネルの施工構造。
【請求項1】
二枚の金属外皮の間に芯材が充填された断熱パネルを壁下地に取り付ける断熱パネルの施工構造であって、前記二枚の金属外皮の間に補強材が設けられ、この補強材に固定具を打入して断熱パネルが壁下地に取り付けられて成ることを特徴とする断熱パネルの施工構造。
【請求項2】
前記固定具がワンサイドボルトであることを特徴とする請求項1に記載の断熱パネルの施工構造。
【請求項3】
前記補強材が断面略コ字状に形成され、前記芯材の外側に前記補強材が装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱パネルの施工構造。
【請求項4】
隣接して配置された断熱パネルの端部間に耐火用の目地部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の断熱パネルの施工構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【公開番号】特開2012−92496(P2012−92496A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237932(P2010−237932)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
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