断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法
【課題】石、タイル、金属パネル等の硬質外装仕上げ材が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルを容易に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】定盤Bの上に、複数枚の硬質外装仕上げ材5を、それらの裏面から硬質外装仕上げ材5とプレキャストコンクリートパネル1を連結するためのアンカー部材としてのシアコネクタ6が突き出した状態に敷き並べ、硬質外装仕上げ材5の上に、シアコネクタ6に対応する位置毎に貫通孔7が形成され且つ貫通孔の周囲を取り囲む段差部8が形成された断熱材4を、シアコネクタ6が貫通孔から突出し且つ段差部8によって硬質外装仕上げ材5の裏面と断熱材4との間に空気層2が形成された状態に積層する工程と、断熱材4の上に配筋9及びコンクリート打設して、硬質外装仕上げ材5と断熱材4とプレキャストコンクリートパネルAを一体化する工程とを有する。
【解決手段】定盤Bの上に、複数枚の硬質外装仕上げ材5を、それらの裏面から硬質外装仕上げ材5とプレキャストコンクリートパネル1を連結するためのアンカー部材としてのシアコネクタ6が突き出した状態に敷き並べ、硬質外装仕上げ材5の上に、シアコネクタ6に対応する位置毎に貫通孔7が形成され且つ貫通孔の周囲を取り囲む段差部8が形成された断熱材4を、シアコネクタ6が貫通孔から突出し且つ段差部8によって硬質外装仕上げ材5の裏面と断熱材4との間に空気層2が形成された状態に積層する工程と、断熱材4の上に配筋9及びコンクリート打設して、硬質外装仕上げ材5と断熱材4とプレキャストコンクリートパネルAを一体化する工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外断熱構造物の外壁として用いられる断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法に関し、特に、プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、石、タイル、金属パネル等の硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のプレキャストコンクリート板を立体トラス筋により間隙部が形成された状態に連結し、前記間隙部に断熱材と空気層形成材を設けた断熱プレキャストコンクリートパネルは、特許文献1によって知られている。プレキャストコンクリート板のうちの1枚は外装用コンクリート板であることを含むと、特許文献1に記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、内外2枚のプレキャストコンクリート板をそれらに埋設される壁筋に固定した中空角材により間隙部が形成された状態に連結し、前記間隙部には、片面に断熱材が接着された穴空き板を、当該穴空き板と外側のプレキャストコンクリート板に埋設された腰掛け具(特殊な形状の金具)にわたって設けられ、断熱材を貫通して空気層分が突出したスペーサーボルトによって支持された状態に設け、外側のプレキャストコンクリート板の外面にタイル等の硬質外装仕上げ材を付設した断熱プレキャストコンクリートパネルが開示されている。
【0004】
上記の断熱プレキャストコンクリートパネルは、2枚のプレキャストコンクリート板の間に空気層と断熱材が設けられているので、断熱効果が高く、日射熱負荷や夜間放射による熱負荷の軽減に有効である。しかしながら、これらの従来例においては、何れも、1枚目のプレキャストコンクリート板を成形した後、その片面に断熱材や空気層形成材を配置し、しかる後、2枚目のプレキャストコンクリート板を成形するといった製造工程が必要である。そのため、製造工程数が多くて、工場での生産量への影響が大きく、イニシアルコストが高く付くという問題点があった。
【0005】
このような製造工程数の多さと、それに起因する問題点を解決した断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法も、特許文献3によって、既に提案されている。即ち、特許文献3には、プレキャストコンクリートパネルの表面に、発泡プラスチックボードとセメント系ボードとをこの順に積層すると共に、前記発泡プラスチックボードのセメント系ボード側の面に複数の凸条を設けることによって、発泡プラスチックボードとセメント系ボードの間に外気に連通する空洞部を形成した外断熱構造の断熱プレキャストコンクリートパネルが記載されている。セメント系ボードとしては、木毛セメントボード、軽量コンクリートボードが用いられること、セメント系ボードによる断熱層と、空洞部による断熱層と、発泡プラスチックボードによる断熱層とからなる3層の断熱層を備えた外断熱構造が形成されることが記載されている。
【0006】
そして、前記セメント系ボードに、当該セメント系ボードを貫通する複数のアンカー部材(アンカー部材としては、ビスが使用され、セメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定している。)を、前記発泡プラスチックボードの厚み以上突出するように取り付けると共に、前記セメント系ボードに前記発泡プラスチックボードを積層して仮固定した後に、これら仮固定したセメント系ボードと発泡プラスチックボードとを、定盤上に組み上げられた型枠内に前記セメント系ボードを下にして設置し、次いで、前記発泡プラスチックボード上に配筋を行った後に、前記型枠内にコンクリートを打設硬化させて前記プレキャストコンクリートパネルを成形してこのプレキャストコンクリートパネル中に前記
アンカー部材を埋め込むことにより、前記プレキャストコンクリートパネルと前記セメント系ボードとを連結して、セメント系ボードと発泡プラスチックボードとプレキャストコンクリートパネルを一体化する断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法が特許文献3に記載されている。
【0007】
この断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法によれば、1回のコンクリート打設によって、セメント系ボードとプレキャストコンクリートパネルを、内部に空洞部と断熱材とが挟み込まれた状態に一体化されるので、製造工程数が少なくて済み、上述した問題点を解決できる。
【0008】
しかしながら、この製造方法においては、次のような問題点がある。先ず、第一に、上記の製造方法では、セメント系ボードの表面側からねじ込んだビスでセメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定すると共に、ビスの先端側を発泡プラスチックボードから定着に必要な長さだけ突出させて、プレキャストコンクリートパネルに対するアンカー部材としているので、ビスがねじ込めない石やタイル等の硬質外装仕上げ材が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造が困難である。
【0009】
因みに、特許文献3には、この断熱プレキャストコンクリートパネルは、セメント系ボードを外側にして建て付けられるのであるが、その材質がセメントベースであることから、モルタルやセメントとの密着性が良好であり、従って、モルタル仕上げやタイル仕上げといった種々の外装作業を容易に行うことができる旨、記載されている。しかし、セメント系ボードの表面にタイルを貼り付けた後ではビスのねじ込みができないので、断熱プレキャストコンクリートパネルの製造後又は躯体へ建て付け後に、セメント系ボードの表面にタイル貼りするか、セメント系ボードと発泡プラスチックボードの仮固定後にタイル貼りしなければならないことになる。
【0010】
第二に、セメント系ボードの表面側からねじ込んだビスでセメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定する作業は、定盤に載置する前に行う必要があり、定盤にセメント系ボードを載置し、その上に発泡プラスチックボードを載せ、ビスで仮固定するという作業手順は採用できない。しかも、ビスのねじ込み作業は、通常、下向きの作業となるから、発泡プラスチックボードの上にセメント系ボードを載せ、セメント系ボードの上からビスをねじ込んで、セメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定し、これらを上下に反転させて、定盤に載置するといった作業が必要となる。
【0011】
【特許文献1】特許第3696126号公報
【特許文献2】特開2002−294896号公報
【特許文献3】特開2006−315318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題点を踏まえて成されたものであって、その目的とするところは、石、タイル、金属パネル等の硬質外装仕上げ材が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルを容易に製造できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明は、プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、定盤の上に、複数枚の硬質外装仕上げ材を、それらの裏面から硬質外装仕上げ材とプレキャストコンクリートパネルを連結するためのア
ンカー部材が突き出した状態に敷き並べ、硬質外装仕上げ材の上に、アンカー部材に対応する位置毎に貫通孔が形成され且つ貫通孔の周囲を取り囲む段差部が形成された断熱材を、アンカー部材が貫通孔から突出し且つ段差部によって硬質外装仕上げ材の裏面と断熱材との間に空気層が形成された状態に積層する工程と、断熱材の上に配筋及びコンクリート打設して、硬質外装仕上げ材と断熱材とプレキャストコンクリートパネルを一体化する工程とを有することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の裏面に形成された一対の穴に両端を挿入して引っ掛ける鋼線製のシアコネクタを用いることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の側面に、硬質外装仕上げ材の側面に形成された横穴に挿入するダボピンが設けられ、平板部の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部とプレキャストコンクリートパネルのコンクリートに対する付着力を確保する第二フランジ部とが設けられたシアコネクタを用いることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、複数枚の硬質外装仕上げ材を互いに隙間のある状態に敷き並べることにより、硬質外装仕上げ材相互の隙間を介して断熱層の空気層を外気に連通させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルを容易に製造できる。即ち、請求項1に記載の発明は、上記の構成よりなるから、断熱材の貫通孔に挿入されたアンカー部材がプレキャストコンクリートパネルに埋め込まれることで、硬質外装仕上げ材と断熱材とプレキャストコンクリートパネルが一体化され、貫通孔の周囲を取り囲む断熱材の段差部によって硬質外装仕上げ材と断熱材との間の空気層が形成されることになる。従って、定盤の上に複数枚の硬質外装仕上げ材を敷き並べ、その上に断熱材を載置し、断熱材の上に配筋及びコンクリート打設するといった単純な作業によって、石、タイル、金属パネル等の硬質外装仕上げ材が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルを容易に製造できることになる。
【0018】
但し、必要であれば、予め、定盤以外の場所に複数枚の硬質外装仕上げ材を敷き並べ、それらの上に、断熱材を載置して接着剤で仮固定し、これを定盤に載置するといった作業手順を採用することも可能である。この場合も、硬質外装仕上げ材と断熱材を上下に反転する必要がないため、断熱プレキャストコンクリートパネルの製造が容易である。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、アンカー部材が硬質外装仕上げ材の裏面に形成された一対の穴に両端を挿入して引っ掛ける鋼線製のシアコネクタであるから、硬質外装仕上げ材が石である場合に好適である。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、アンカー部材が硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の側面に硬質外装仕上げ材の側面に形成された横穴に挿入するダボピンが設けられ、平板部の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部とプレキャストコンクリートパネルのコンクリートに対する付着力を確保する第二フランジ部とが設けられたシアコネクタであるから、配筋時に作業員がシアコネクタに載った時の重量やシアコネクタに掛かるコンクリート重量を第一フランジ部から断熱材を
経て定盤に流すことで、これらの荷重によるダボピンの破損、変形や横穴の部位における硬質外装仕上げ材の破損を防止できる。また、硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の厚みを適当に設定することによって、硬質外装仕上げ材の目地幅(硬質外装仕上げ材相互の隙間)を規定することがきるし、硬質外装仕上げ材の側面に平板部の板厚に相当する切込みを形成すれば、硬質外装仕上げ材を隙間無く敷き並べることもできる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、複数枚の硬質外装仕上げ材を互いに隙間のある状態に敷き並べることにより、硬質外装仕上げ材相互の隙間を介して断熱層の空気層を外気に連通させるようにしたので、硬質外装仕上げ材の目地が通気口となり、こられの通気口と断熱層の空気層とにより、断熱層の通気性が良好となり、日射熱負荷や夜間放射熱負荷を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1と図2は、本発明の方法によって製造された断熱プレキャストコンクリートパネルAを示す。この断熱プレキャストコンクリートパネルAは、プレキャストコンクリートパネル1の表面に、空気層2を備えた断熱層3を形成する断熱材4と、硬質外装仕上げ材(図示の例では、石が用いられている。)5が、この順に積層したものであり、外断熱構造を実現している。
【0023】
6は硬質外装仕上げ材5をプレキャストコンクリートパネル1に連結するためのアンカー部材としてのシアコネクタであり、硬質外装仕上げ材5の裏面に、1枚の硬質外装仕上げ材5に対して複数個(図示の例では4個)ずつ取り付けられている。このシアコネクタ6はステンレス鋼線製であり、中央部を2回巻き(1回巻きでもよい)してつる巻きバネの状態とし、両端を硬質外装仕上げ材5の裏面に形成された一対の穴に挿入して引っ掛けるように構成されている。
【0024】
7はアンカー部材(シアコネクタ6)の位置毎に断熱材4に形成された貫通孔であり、アンカー部材(シアコネクタ6)を貫通孔7から突出させてある。貫通孔7の周囲には貫通孔7を取り囲む円形の段差部8が形成されており、段差部8の高さが空気層2の厚さとなっている。換言すれば、段差部8で囲まれたリング状の断熱材部分4aが、断熱材4と硬質外装仕上げ材5の間に空気層2を形成するスペーサーとなっている。9は壁筋、10はコンクリートである。
【0025】
尚、貫通孔7は、図3に示すように、円形でもよく、図4に示すように、アンカー部材(シアコネクタ6)の長手方向に沿った長孔であってもよい。
【0026】
上記の断熱プレキャストコンクリートパネルAの製造方法は、次のとおりである。先ず、図5に示すように、定盤Bの上に、方形状を呈する必要枚数の硬質外装仕上げ材5を、それらの裏面からアンカー部材(シアコネクタ6)が突き出した状態に、敷き並べる。硬質外装仕上げ材5は、互いに側面を密接させた状態に敷き並べてもよいが、僅かな隙間を隔てて敷き並べることが望ましい。このようにすれば、硬質外装仕上げ材5の目地が前記空気層2を外気に連通させるための通気口となるからである。
【0027】
しかる後、図5、図6に示すように、硬質外装仕上げ材5の上に、前記断熱材4を、アンカー部材(シアコネクタ6)が貫通孔7から突出し且つ段差部8によって硬質外装仕上げ材5の裏面と断熱材4との間に空気層2が形成された状態に積層する。断熱材4は硬質外装仕上げ材5の上に置くだけでもよく、接着剤で仮固定してもよい。
【0028】
そして、図6に示すように、定盤Bの上に四周の側型枠Cを組み付けると共に、図7に示すように、断熱材4の上に壁筋9を配筋し、しかる後、図8に示すように、定盤Bと四
周の側型枠Cとで形成される型枠内にコンクリート10を打設し、アンカー部材(シアコネクタ6)を貫通孔7内のコンクリート10に定着させることによって、硬質外装仕上げ材5と断熱材4とプレキャストコンクリートパネルを一体化し、上記の断熱プレキャストコンクリートパネルを得るのである。
【0029】
上記の方法によれば、プレキャストコンクリートパネル1の表面に、空気層2を備えた断熱層3を形成する断熱材4と、硬質外装仕上げ材5とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルAを容易に製造できる。即ち、上記の方法によれば、断熱材4の貫通孔7に挿入されたアンカー部材(シアコネクタ6)がプレキャストコンクリートパネル1に埋め込まれることで、硬質外装仕上げ材5と断熱材4とプレキャストコンクリートパネル1が一体化され、貫通孔7の周囲を取り囲む断熱材4の段差部8によって硬質外装仕上げ材5と断熱材4との間の空気層2が形成されることになる。
【0030】
従って、定盤Bの上に複数枚の硬質外装仕上げ材5を敷き並べ、その上に断熱材4を載置し、断熱材4の上に配筋及びコンクリート打設するといった単純な作業によって、硬質外装仕上げ材5が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルAを容易に製造できるのである。
【0031】
図9〜図12は、本発明の他の実施形態を示し、次の点に特徴がある。即ち、図6で示した工程の後、つまり、定盤Bに敷き並べた硬質外装仕上げ材5の上に、前記断熱材4を、アンカー部材(シアコネクタ6)が貫通孔7から突出し且つ段差部8によって硬質外装仕上げ材5の裏面と断熱材4との間に空気層2が形成された状態に積層した後、図9に示すように、貫通孔7の底部に弾性系シーリング材11を充填して、貫通孔7の底を閉塞する。
【0032】
この状態で、図10、図11に示すように、断熱材4の上方に壁筋9の配筋、コンクリート10の打設を行って、図12に示すように、貫通孔7の底が弾性系シーリング材11で閉塞された断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造するのである。
【0033】
この方法によれば、貫通孔7の底が弾性系シーリング材11で閉塞されているので、貫通孔7の位置が断熱性能の弱点にならず、より高い段熱効果が発揮される。弾性系シーリング材11の充填量を節減するために、貫通孔7の形状を、図4で示したような長孔状と
することが望ましい。その他の構成、作用は、先の実施形態と同じであるから説明を省略する。
【0034】
尚、上述した各実施形態においては、何れも、貫通孔7周囲のリング状の断熱材部分(段差部8で囲まれてスペーサーとして機能する部分)4aが硬質外装仕上げ材5の上に積層する断熱材4と一体物として形成されていたが、図13に示すように、貫通孔7周囲のリング状の断熱材部分(段差部8で囲まれてスペーサーとして機能する部分)4aと貫通孔7付きの平板状の断熱材部分4bとを別体とし、敷き並べた硬質外装仕上げ材5の上にリング状の断熱材部分4aを載置して接着剤で固定し、しかる後、リング状の断熱材部分4aの上に平板状の断熱材部分4bを載置して接着剤で固定する作業手順を採用してもよい。
【0035】
図14〜図17は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、硬質外装仕上げ材5をプレキャストコンクリートパネル1に連結するためのアンカー部材として、硬質外装仕上げ材5の目地に挿入される平板部12の両側面に、硬質外装仕上げ材5の側面に形成された横穴13に挿入するためのダボピン14が設けられ、平板部12の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材4を介して定盤に流すための第一フランジ部15とプレキャストコンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保する第二フランジ部
16とが設けられたシアコネクタ60を用いた点に特徴がある。60aはパネル端部に位置する硬質外装仕上げ材5の横穴13に挿入するためのダボピン14aを備えたシアコネクタであり、上端部がパネル端部よりも内側に位置するように屈曲した形状としてあり、上端には、コンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保するフランジ部16aが設けられている。
【0036】
この実施形態においては、次の手順によって、断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造することになる。即ち、図14、図15に示すように、断熱材4として、平板状で且つ所定位置にシアコネクタ60の第一フランジ部15及び第二フランジ部16を挿入するための貫通孔7が形成されたものを使用する。そして、図14、図15に示すように、硬質外装仕上げ材5を定盤(図示せず)に敷き並べると共に、シアコネクタ60のダボピン14を予め硬質外装仕上げ材5の側面に形成されている横穴13に挿入し、パネル端部に位置する硬質外装仕上げ材5の横穴13には、シアコネクタ60aのダボピン14aを挿入する。
【0037】
しかる後、図14〜図16に示すように、シアコネクタ60のうち、硬質外装仕上げ材5の目地に挟まれた平板部12の上部側面に断熱材からなる二つ割構造のスペーサー17を両側から当て付け、シアコネクタ60aの側面にも断熱材からなるスペーサー17aを当て付け、これらのスペーサー17、17aの上に平板状の断熱材4を積層して、断熱材4と硬質外装仕上げ材5との間に形成される空気層2の厚さを確保する。また、第一フランジ部15より下の平板部12の側面に両側から当て付けた二つ割構造のスペーサー17によって貫通孔7の余剰部分(第一フランジ部15及び第二フランジ部16の挿入に必要な開口)を閉塞する。
【0038】
次に、シアコネクタ60の第一フランジ部15と断熱材4の間、シアコネクタ60aの屈曲部と断熱材4の間に、夫々、寸法調整用スペーサー17bを挟みこむ。寸法調整用スペーサー17bは、断熱材4、スペーサー17、17a等を介してシアコネクタ60、60aへの荷重を定盤に伝達する必要上、少なくともスペーサー17、17aと同等の剛性を持つように構成されるものであり、例えば、スペーサー17、17aと同じ断熱材で作製される。
【0039】
この状態で、図17に示すように、断熱材4の上方に壁筋9の配筋、コンクリート10の打設を行って、断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造するのである。
【0040】
この方法によれば、アンカー部材が硬質外装仕上げ材5の目地に挿入される平板部12の両側面に、硬質外装仕上げ材5の側面の横穴13に挿入するダボピン14が設けられ、平板部12の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部15とプレキャストコンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保する第二フランジ部16とが設けられたシアコネクタ60であるから、配筋時に作業員がシアコネクタ60に載った時の重量やシアコネクタ60に掛かるコンクリート重量を第一フランジ部15から断熱材4を経て定盤に流すことで、これらの荷重によるダボピン14の破損、変形や横穴13の部位における硬質外装仕上げ材5の破損を防止できる。
【0041】
また、硬質外装仕上げ材5の目地に挿入される平板部12の厚みによって、硬質外装仕上げ材5の目地幅(硬質外装仕上げ材5相互の隙間)を規定することができるので、硬質外装仕上げ材5の目地によって形成される通気口(空気層2を外気に連通させる通気口)の大きさを正確に設定することができる。その他の構成、作用は、先の実施形態と同じであるから説明を省略する。
【0042】
図18、図19は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、両側面にダボピン
14が突設された平板部12の上端にネジ軸18を連設した第一部材60Aと、ネジ軸18の上部に着脱自在に螺合するネジ筒19の下端にシアコネクタに加わる荷重を断熱材4を介して定盤に流すための第一フランジ部15を設け、ネジ筒19の上端にプレキャストコンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保する第二フランジ部16を設けた第二部材60Bとによって、シアコネクタ60を構成した点に特徴がある。
【0043】
この構成によれば、図18の(A)、(B)に示すように、第一部材60Aを硬質外装仕上げ材5の目地に配置しておき、硬質外装仕上げ材5の上に断熱材4を積層した後、図18の(C)に示すように、第二部材60Bを第一部材60Aのネジ軸18にねじ込んで第一フランジ部15を断熱材4の上面に押し当て、この状態で、図19の(A)、(B)に示すように、壁筋9の配筋、コンクリート10の打設を行って、断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造することができる。
【0044】
従って、配筋時に作業員がシアコネクタ60に載った時の重量やシアコネクタ60に掛かるコンクリート重量を第一フランジ部15から断熱材4を経て定盤に流すことで、これらの荷重によるダボピン14の破損、変形や横穴13の部位における硬質外装仕上げ材5の破損を防止できる。しかも、断熱材4に形成する貫通孔7としては、ネジ軸18が挿入できる必要最小寸法の内径とすればよいので、貫通孔7の余剰部分を閉塞するためのスペーサーや第一フランジ部15と断熱材4の間に挟みこむ寸法調整用スペーサーを省略することができる。その他の構成、作用は、図14〜図17の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるべきものではない。例えば、上述した実施形態では、何れも、硬質外装仕上げ材5が石であるが、タイルや金属パネルに置き換えて実施することができる。また、硬質外装仕上げ材5の目地を適当な幅、例えば、6〜8mm程度に設定し、これらの目地にシール材を施すと共に、断熱プレキャストコンクリートパネルAの小口で空気層2を外気に解放し、断熱プレキャストコンクリートパネルAの小口から空気が流通するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】断熱プレキャストコンクリートパネルの一部切欠き斜視図である。
【図2】断熱プレキャストコンクリートパネルの要部の断面図である。
【図3】断熱材の貫通孔とシアコネクタの関係の一例を示す要部斜視図である。
【図4】断熱材の貫通孔とシアコネクタの関係の他の例を示す要部斜視図である。
【図5】本発明に係る製造方法の一例を説明する要部の縦断側面図である。
【図6】図5の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図7】図6の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図8】図7の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図10】図9の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図11】図10の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図12】断熱プレキャストコンクリートパネルの要部の断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図14】本発明の他の実施形態を示す要部の斜視図である。
【図15】製造方法を説明する要部の縦断側面図である。
【図16】図15の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図17】図16の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図18】本発明の他の実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図19】図18の工程に続く要部の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0047】
A 断熱プレキャストコンクリートパネル
B 定盤
C 側型枠
1 プレキャストコンクリートパネル
2 空気層
3 断熱層
4 断熱材
4a、4b 断熱材部分
5 硬質外装仕上げ材
6 シアコネクタ
7 貫通孔
8 段差部
9 壁筋
10 コンクリート
11 弾性系シーリング材
12 平板部
13 横穴
14 ダボピン
14a ダボピン
15 第一フランジ部
16 第二フランジ部
17、17a スペーサー
17b 寸法調整用スペーサー
18 ネジ軸
19 ネジ筒
60、60a シアコネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、外断熱構造物の外壁として用いられる断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法に関し、特に、プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、石、タイル、金属パネル等の硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のプレキャストコンクリート板を立体トラス筋により間隙部が形成された状態に連結し、前記間隙部に断熱材と空気層形成材を設けた断熱プレキャストコンクリートパネルは、特許文献1によって知られている。プレキャストコンクリート板のうちの1枚は外装用コンクリート板であることを含むと、特許文献1に記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、内外2枚のプレキャストコンクリート板をそれらに埋設される壁筋に固定した中空角材により間隙部が形成された状態に連結し、前記間隙部には、片面に断熱材が接着された穴空き板を、当該穴空き板と外側のプレキャストコンクリート板に埋設された腰掛け具(特殊な形状の金具)にわたって設けられ、断熱材を貫通して空気層分が突出したスペーサーボルトによって支持された状態に設け、外側のプレキャストコンクリート板の外面にタイル等の硬質外装仕上げ材を付設した断熱プレキャストコンクリートパネルが開示されている。
【0004】
上記の断熱プレキャストコンクリートパネルは、2枚のプレキャストコンクリート板の間に空気層と断熱材が設けられているので、断熱効果が高く、日射熱負荷や夜間放射による熱負荷の軽減に有効である。しかしながら、これらの従来例においては、何れも、1枚目のプレキャストコンクリート板を成形した後、その片面に断熱材や空気層形成材を配置し、しかる後、2枚目のプレキャストコンクリート板を成形するといった製造工程が必要である。そのため、製造工程数が多くて、工場での生産量への影響が大きく、イニシアルコストが高く付くという問題点があった。
【0005】
このような製造工程数の多さと、それに起因する問題点を解決した断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法も、特許文献3によって、既に提案されている。即ち、特許文献3には、プレキャストコンクリートパネルの表面に、発泡プラスチックボードとセメント系ボードとをこの順に積層すると共に、前記発泡プラスチックボードのセメント系ボード側の面に複数の凸条を設けることによって、発泡プラスチックボードとセメント系ボードの間に外気に連通する空洞部を形成した外断熱構造の断熱プレキャストコンクリートパネルが記載されている。セメント系ボードとしては、木毛セメントボード、軽量コンクリートボードが用いられること、セメント系ボードによる断熱層と、空洞部による断熱層と、発泡プラスチックボードによる断熱層とからなる3層の断熱層を備えた外断熱構造が形成されることが記載されている。
【0006】
そして、前記セメント系ボードに、当該セメント系ボードを貫通する複数のアンカー部材(アンカー部材としては、ビスが使用され、セメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定している。)を、前記発泡プラスチックボードの厚み以上突出するように取り付けると共に、前記セメント系ボードに前記発泡プラスチックボードを積層して仮固定した後に、これら仮固定したセメント系ボードと発泡プラスチックボードとを、定盤上に組み上げられた型枠内に前記セメント系ボードを下にして設置し、次いで、前記発泡プラスチックボード上に配筋を行った後に、前記型枠内にコンクリートを打設硬化させて前記プレキャストコンクリートパネルを成形してこのプレキャストコンクリートパネル中に前記
アンカー部材を埋め込むことにより、前記プレキャストコンクリートパネルと前記セメント系ボードとを連結して、セメント系ボードと発泡プラスチックボードとプレキャストコンクリートパネルを一体化する断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法が特許文献3に記載されている。
【0007】
この断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法によれば、1回のコンクリート打設によって、セメント系ボードとプレキャストコンクリートパネルを、内部に空洞部と断熱材とが挟み込まれた状態に一体化されるので、製造工程数が少なくて済み、上述した問題点を解決できる。
【0008】
しかしながら、この製造方法においては、次のような問題点がある。先ず、第一に、上記の製造方法では、セメント系ボードの表面側からねじ込んだビスでセメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定すると共に、ビスの先端側を発泡プラスチックボードから定着に必要な長さだけ突出させて、プレキャストコンクリートパネルに対するアンカー部材としているので、ビスがねじ込めない石やタイル等の硬質外装仕上げ材が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造が困難である。
【0009】
因みに、特許文献3には、この断熱プレキャストコンクリートパネルは、セメント系ボードを外側にして建て付けられるのであるが、その材質がセメントベースであることから、モルタルやセメントとの密着性が良好であり、従って、モルタル仕上げやタイル仕上げといった種々の外装作業を容易に行うことができる旨、記載されている。しかし、セメント系ボードの表面にタイルを貼り付けた後ではビスのねじ込みができないので、断熱プレキャストコンクリートパネルの製造後又は躯体へ建て付け後に、セメント系ボードの表面にタイル貼りするか、セメント系ボードと発泡プラスチックボードの仮固定後にタイル貼りしなければならないことになる。
【0010】
第二に、セメント系ボードの表面側からねじ込んだビスでセメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定する作業は、定盤に載置する前に行う必要があり、定盤にセメント系ボードを載置し、その上に発泡プラスチックボードを載せ、ビスで仮固定するという作業手順は採用できない。しかも、ビスのねじ込み作業は、通常、下向きの作業となるから、発泡プラスチックボードの上にセメント系ボードを載せ、セメント系ボードの上からビスをねじ込んで、セメント系ボードと発泡プラスチックボードを仮固定し、これらを上下に反転させて、定盤に載置するといった作業が必要となる。
【0011】
【特許文献1】特許第3696126号公報
【特許文献2】特開2002−294896号公報
【特許文献3】特開2006−315318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題点を踏まえて成されたものであって、その目的とするところは、石、タイル、金属パネル等の硬質外装仕上げ材が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルを容易に製造できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明は、プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、定盤の上に、複数枚の硬質外装仕上げ材を、それらの裏面から硬質外装仕上げ材とプレキャストコンクリートパネルを連結するためのア
ンカー部材が突き出した状態に敷き並べ、硬質外装仕上げ材の上に、アンカー部材に対応する位置毎に貫通孔が形成され且つ貫通孔の周囲を取り囲む段差部が形成された断熱材を、アンカー部材が貫通孔から突出し且つ段差部によって硬質外装仕上げ材の裏面と断熱材との間に空気層が形成された状態に積層する工程と、断熱材の上に配筋及びコンクリート打設して、硬質外装仕上げ材と断熱材とプレキャストコンクリートパネルを一体化する工程とを有することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の裏面に形成された一対の穴に両端を挿入して引っ掛ける鋼線製のシアコネクタを用いることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の側面に、硬質外装仕上げ材の側面に形成された横穴に挿入するダボピンが設けられ、平板部の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部とプレキャストコンクリートパネルのコンクリートに対する付着力を確保する第二フランジ部とが設けられたシアコネクタを用いることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、複数枚の硬質外装仕上げ材を互いに隙間のある状態に敷き並べることにより、硬質外装仕上げ材相互の隙間を介して断熱層の空気層を外気に連通させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルを容易に製造できる。即ち、請求項1に記載の発明は、上記の構成よりなるから、断熱材の貫通孔に挿入されたアンカー部材がプレキャストコンクリートパネルに埋め込まれることで、硬質外装仕上げ材と断熱材とプレキャストコンクリートパネルが一体化され、貫通孔の周囲を取り囲む断熱材の段差部によって硬質外装仕上げ材と断熱材との間の空気層が形成されることになる。従って、定盤の上に複数枚の硬質外装仕上げ材を敷き並べ、その上に断熱材を載置し、断熱材の上に配筋及びコンクリート打設するといった単純な作業によって、石、タイル、金属パネル等の硬質外装仕上げ材が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルを容易に製造できることになる。
【0018】
但し、必要であれば、予め、定盤以外の場所に複数枚の硬質外装仕上げ材を敷き並べ、それらの上に、断熱材を載置して接着剤で仮固定し、これを定盤に載置するといった作業手順を採用することも可能である。この場合も、硬質外装仕上げ材と断熱材を上下に反転する必要がないため、断熱プレキャストコンクリートパネルの製造が容易である。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、アンカー部材が硬質外装仕上げ材の裏面に形成された一対の穴に両端を挿入して引っ掛ける鋼線製のシアコネクタであるから、硬質外装仕上げ材が石である場合に好適である。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、アンカー部材が硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の側面に硬質外装仕上げ材の側面に形成された横穴に挿入するダボピンが設けられ、平板部の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部とプレキャストコンクリートパネルのコンクリートに対する付着力を確保する第二フランジ部とが設けられたシアコネクタであるから、配筋時に作業員がシアコネクタに載った時の重量やシアコネクタに掛かるコンクリート重量を第一フランジ部から断熱材を
経て定盤に流すことで、これらの荷重によるダボピンの破損、変形や横穴の部位における硬質外装仕上げ材の破損を防止できる。また、硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の厚みを適当に設定することによって、硬質外装仕上げ材の目地幅(硬質外装仕上げ材相互の隙間)を規定することがきるし、硬質外装仕上げ材の側面に平板部の板厚に相当する切込みを形成すれば、硬質外装仕上げ材を隙間無く敷き並べることもできる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、複数枚の硬質外装仕上げ材を互いに隙間のある状態に敷き並べることにより、硬質外装仕上げ材相互の隙間を介して断熱層の空気層を外気に連通させるようにしたので、硬質外装仕上げ材の目地が通気口となり、こられの通気口と断熱層の空気層とにより、断熱層の通気性が良好となり、日射熱負荷や夜間放射熱負荷を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1と図2は、本発明の方法によって製造された断熱プレキャストコンクリートパネルAを示す。この断熱プレキャストコンクリートパネルAは、プレキャストコンクリートパネル1の表面に、空気層2を備えた断熱層3を形成する断熱材4と、硬質外装仕上げ材(図示の例では、石が用いられている。)5が、この順に積層したものであり、外断熱構造を実現している。
【0023】
6は硬質外装仕上げ材5をプレキャストコンクリートパネル1に連結するためのアンカー部材としてのシアコネクタであり、硬質外装仕上げ材5の裏面に、1枚の硬質外装仕上げ材5に対して複数個(図示の例では4個)ずつ取り付けられている。このシアコネクタ6はステンレス鋼線製であり、中央部を2回巻き(1回巻きでもよい)してつる巻きバネの状態とし、両端を硬質外装仕上げ材5の裏面に形成された一対の穴に挿入して引っ掛けるように構成されている。
【0024】
7はアンカー部材(シアコネクタ6)の位置毎に断熱材4に形成された貫通孔であり、アンカー部材(シアコネクタ6)を貫通孔7から突出させてある。貫通孔7の周囲には貫通孔7を取り囲む円形の段差部8が形成されており、段差部8の高さが空気層2の厚さとなっている。換言すれば、段差部8で囲まれたリング状の断熱材部分4aが、断熱材4と硬質外装仕上げ材5の間に空気層2を形成するスペーサーとなっている。9は壁筋、10はコンクリートである。
【0025】
尚、貫通孔7は、図3に示すように、円形でもよく、図4に示すように、アンカー部材(シアコネクタ6)の長手方向に沿った長孔であってもよい。
【0026】
上記の断熱プレキャストコンクリートパネルAの製造方法は、次のとおりである。先ず、図5に示すように、定盤Bの上に、方形状を呈する必要枚数の硬質外装仕上げ材5を、それらの裏面からアンカー部材(シアコネクタ6)が突き出した状態に、敷き並べる。硬質外装仕上げ材5は、互いに側面を密接させた状態に敷き並べてもよいが、僅かな隙間を隔てて敷き並べることが望ましい。このようにすれば、硬質外装仕上げ材5の目地が前記空気層2を外気に連通させるための通気口となるからである。
【0027】
しかる後、図5、図6に示すように、硬質外装仕上げ材5の上に、前記断熱材4を、アンカー部材(シアコネクタ6)が貫通孔7から突出し且つ段差部8によって硬質外装仕上げ材5の裏面と断熱材4との間に空気層2が形成された状態に積層する。断熱材4は硬質外装仕上げ材5の上に置くだけでもよく、接着剤で仮固定してもよい。
【0028】
そして、図6に示すように、定盤Bの上に四周の側型枠Cを組み付けると共に、図7に示すように、断熱材4の上に壁筋9を配筋し、しかる後、図8に示すように、定盤Bと四
周の側型枠Cとで形成される型枠内にコンクリート10を打設し、アンカー部材(シアコネクタ6)を貫通孔7内のコンクリート10に定着させることによって、硬質外装仕上げ材5と断熱材4とプレキャストコンクリートパネルを一体化し、上記の断熱プレキャストコンクリートパネルを得るのである。
【0029】
上記の方法によれば、プレキャストコンクリートパネル1の表面に、空気層2を備えた断熱層3を形成する断熱材4と、硬質外装仕上げ材5とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルAを容易に製造できる。即ち、上記の方法によれば、断熱材4の貫通孔7に挿入されたアンカー部材(シアコネクタ6)がプレキャストコンクリートパネル1に埋め込まれることで、硬質外装仕上げ材5と断熱材4とプレキャストコンクリートパネル1が一体化され、貫通孔7の周囲を取り囲む断熱材4の段差部8によって硬質外装仕上げ材5と断熱材4との間の空気層2が形成されることになる。
【0030】
従って、定盤Bの上に複数枚の硬質外装仕上げ材5を敷き並べ、その上に断熱材4を載置し、断熱材4の上に配筋及びコンクリート打設するといった単純な作業によって、硬質外装仕上げ材5が貼着された断熱プレキャストコンクリートパネルAを容易に製造できるのである。
【0031】
図9〜図12は、本発明の他の実施形態を示し、次の点に特徴がある。即ち、図6で示した工程の後、つまり、定盤Bに敷き並べた硬質外装仕上げ材5の上に、前記断熱材4を、アンカー部材(シアコネクタ6)が貫通孔7から突出し且つ段差部8によって硬質外装仕上げ材5の裏面と断熱材4との間に空気層2が形成された状態に積層した後、図9に示すように、貫通孔7の底部に弾性系シーリング材11を充填して、貫通孔7の底を閉塞する。
【0032】
この状態で、図10、図11に示すように、断熱材4の上方に壁筋9の配筋、コンクリート10の打設を行って、図12に示すように、貫通孔7の底が弾性系シーリング材11で閉塞された断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造するのである。
【0033】
この方法によれば、貫通孔7の底が弾性系シーリング材11で閉塞されているので、貫通孔7の位置が断熱性能の弱点にならず、より高い段熱効果が発揮される。弾性系シーリング材11の充填量を節減するために、貫通孔7の形状を、図4で示したような長孔状と
することが望ましい。その他の構成、作用は、先の実施形態と同じであるから説明を省略する。
【0034】
尚、上述した各実施形態においては、何れも、貫通孔7周囲のリング状の断熱材部分(段差部8で囲まれてスペーサーとして機能する部分)4aが硬質外装仕上げ材5の上に積層する断熱材4と一体物として形成されていたが、図13に示すように、貫通孔7周囲のリング状の断熱材部分(段差部8で囲まれてスペーサーとして機能する部分)4aと貫通孔7付きの平板状の断熱材部分4bとを別体とし、敷き並べた硬質外装仕上げ材5の上にリング状の断熱材部分4aを載置して接着剤で固定し、しかる後、リング状の断熱材部分4aの上に平板状の断熱材部分4bを載置して接着剤で固定する作業手順を採用してもよい。
【0035】
図14〜図17は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、硬質外装仕上げ材5をプレキャストコンクリートパネル1に連結するためのアンカー部材として、硬質外装仕上げ材5の目地に挿入される平板部12の両側面に、硬質外装仕上げ材5の側面に形成された横穴13に挿入するためのダボピン14が設けられ、平板部12の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材4を介して定盤に流すための第一フランジ部15とプレキャストコンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保する第二フランジ部
16とが設けられたシアコネクタ60を用いた点に特徴がある。60aはパネル端部に位置する硬質外装仕上げ材5の横穴13に挿入するためのダボピン14aを備えたシアコネクタであり、上端部がパネル端部よりも内側に位置するように屈曲した形状としてあり、上端には、コンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保するフランジ部16aが設けられている。
【0036】
この実施形態においては、次の手順によって、断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造することになる。即ち、図14、図15に示すように、断熱材4として、平板状で且つ所定位置にシアコネクタ60の第一フランジ部15及び第二フランジ部16を挿入するための貫通孔7が形成されたものを使用する。そして、図14、図15に示すように、硬質外装仕上げ材5を定盤(図示せず)に敷き並べると共に、シアコネクタ60のダボピン14を予め硬質外装仕上げ材5の側面に形成されている横穴13に挿入し、パネル端部に位置する硬質外装仕上げ材5の横穴13には、シアコネクタ60aのダボピン14aを挿入する。
【0037】
しかる後、図14〜図16に示すように、シアコネクタ60のうち、硬質外装仕上げ材5の目地に挟まれた平板部12の上部側面に断熱材からなる二つ割構造のスペーサー17を両側から当て付け、シアコネクタ60aの側面にも断熱材からなるスペーサー17aを当て付け、これらのスペーサー17、17aの上に平板状の断熱材4を積層して、断熱材4と硬質外装仕上げ材5との間に形成される空気層2の厚さを確保する。また、第一フランジ部15より下の平板部12の側面に両側から当て付けた二つ割構造のスペーサー17によって貫通孔7の余剰部分(第一フランジ部15及び第二フランジ部16の挿入に必要な開口)を閉塞する。
【0038】
次に、シアコネクタ60の第一フランジ部15と断熱材4の間、シアコネクタ60aの屈曲部と断熱材4の間に、夫々、寸法調整用スペーサー17bを挟みこむ。寸法調整用スペーサー17bは、断熱材4、スペーサー17、17a等を介してシアコネクタ60、60aへの荷重を定盤に伝達する必要上、少なくともスペーサー17、17aと同等の剛性を持つように構成されるものであり、例えば、スペーサー17、17aと同じ断熱材で作製される。
【0039】
この状態で、図17に示すように、断熱材4の上方に壁筋9の配筋、コンクリート10の打設を行って、断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造するのである。
【0040】
この方法によれば、アンカー部材が硬質外装仕上げ材5の目地に挿入される平板部12の両側面に、硬質外装仕上げ材5の側面の横穴13に挿入するダボピン14が設けられ、平板部12の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部15とプレキャストコンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保する第二フランジ部16とが設けられたシアコネクタ60であるから、配筋時に作業員がシアコネクタ60に載った時の重量やシアコネクタ60に掛かるコンクリート重量を第一フランジ部15から断熱材4を経て定盤に流すことで、これらの荷重によるダボピン14の破損、変形や横穴13の部位における硬質外装仕上げ材5の破損を防止できる。
【0041】
また、硬質外装仕上げ材5の目地に挿入される平板部12の厚みによって、硬質外装仕上げ材5の目地幅(硬質外装仕上げ材5相互の隙間)を規定することができるので、硬質外装仕上げ材5の目地によって形成される通気口(空気層2を外気に連通させる通気口)の大きさを正確に設定することができる。その他の構成、作用は、先の実施形態と同じであるから説明を省略する。
【0042】
図18、図19は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、両側面にダボピン
14が突設された平板部12の上端にネジ軸18を連設した第一部材60Aと、ネジ軸18の上部に着脱自在に螺合するネジ筒19の下端にシアコネクタに加わる荷重を断熱材4を介して定盤に流すための第一フランジ部15を設け、ネジ筒19の上端にプレキャストコンクリートパネル1のコンクリート10に対する付着力を確保する第二フランジ部16を設けた第二部材60Bとによって、シアコネクタ60を構成した点に特徴がある。
【0043】
この構成によれば、図18の(A)、(B)に示すように、第一部材60Aを硬質外装仕上げ材5の目地に配置しておき、硬質外装仕上げ材5の上に断熱材4を積層した後、図18の(C)に示すように、第二部材60Bを第一部材60Aのネジ軸18にねじ込んで第一フランジ部15を断熱材4の上面に押し当て、この状態で、図19の(A)、(B)に示すように、壁筋9の配筋、コンクリート10の打設を行って、断熱プレキャストコンクリートパネルAを製造することができる。
【0044】
従って、配筋時に作業員がシアコネクタ60に載った時の重量やシアコネクタ60に掛かるコンクリート重量を第一フランジ部15から断熱材4を経て定盤に流すことで、これらの荷重によるダボピン14の破損、変形や横穴13の部位における硬質外装仕上げ材5の破損を防止できる。しかも、断熱材4に形成する貫通孔7としては、ネジ軸18が挿入できる必要最小寸法の内径とすればよいので、貫通孔7の余剰部分を閉塞するためのスペーサーや第一フランジ部15と断熱材4の間に挟みこむ寸法調整用スペーサーを省略することができる。その他の構成、作用は、図14〜図17の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるべきものではない。例えば、上述した実施形態では、何れも、硬質外装仕上げ材5が石であるが、タイルや金属パネルに置き換えて実施することができる。また、硬質外装仕上げ材5の目地を適当な幅、例えば、6〜8mm程度に設定し、これらの目地にシール材を施すと共に、断熱プレキャストコンクリートパネルAの小口で空気層2を外気に解放し、断熱プレキャストコンクリートパネルAの小口から空気が流通するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】断熱プレキャストコンクリートパネルの一部切欠き斜視図である。
【図2】断熱プレキャストコンクリートパネルの要部の断面図である。
【図3】断熱材の貫通孔とシアコネクタの関係の一例を示す要部斜視図である。
【図4】断熱材の貫通孔とシアコネクタの関係の他の例を示す要部斜視図である。
【図5】本発明に係る製造方法の一例を説明する要部の縦断側面図である。
【図6】図5の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図7】図6の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図8】図7の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図10】図9の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図11】図10の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図12】断熱プレキャストコンクリートパネルの要部の断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図14】本発明の他の実施形態を示す要部の斜視図である。
【図15】製造方法を説明する要部の縦断側面図である。
【図16】図15の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図17】図16の工程に続く要部の縦断側面図である。
【図18】本発明の他の実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図19】図18の工程に続く要部の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0047】
A 断熱プレキャストコンクリートパネル
B 定盤
C 側型枠
1 プレキャストコンクリートパネル
2 空気層
3 断熱層
4 断熱材
4a、4b 断熱材部分
5 硬質外装仕上げ材
6 シアコネクタ
7 貫通孔
8 段差部
9 壁筋
10 コンクリート
11 弾性系シーリング材
12 平板部
13 横穴
14 ダボピン
14a ダボピン
15 第一フランジ部
16 第二フランジ部
17、17a スペーサー
17b 寸法調整用スペーサー
18 ネジ軸
19 ネジ筒
60、60a シアコネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、定盤の上に、複数枚の硬質外装仕上げ材を、それらの裏面から硬質外装仕上げ材とプレキャストコンクリートパネルを連結するためのアンカー部材が突き出した状態に敷き並べ、硬質外装仕上げ材の上に、アンカー部材に対応する位置毎に貫通孔が形成され且つ貫通孔の周囲を取り囲む段差部が形成された断熱材を、アンカー部材が貫通孔から突出し且つ段差部によって硬質外装仕上げ材の裏面と断熱材との間に空気層が形成された状態に積層する工程と、断熱材の上に配筋及びコンクリート打設して、硬質外装仕上げ材と断熱材とプレキャストコンクリートパネルを一体化する工程とを有することを特徴とする断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【請求項2】
アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の裏面に形成された一対の穴に両端を挿入して引っ掛ける鋼線製のシアコネクタを用いることを特徴とする請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【請求項3】
アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の側面に、硬質外装仕上げ材の側面に形成された横穴に挿入するダボピンが設けられ、平板部の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部とプレキャストコンクリートパネルのコンクリートに対する付着力を確保する第二フランジ部とが設けられたシアコネクタを用いることを特徴とする請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【請求項4】
複数枚の硬質外装仕上げ材を互いに隙間のある状態に敷き並べることにより、硬質外装仕上げ材相互の隙間を介して断熱層の空気層を外気に連通させるようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【請求項1】
プレキャストコンクリートパネルの表面に、空気層を備えた断熱層を形成する断熱材と、硬質外装仕上げ材とが、この順に積層された断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法であって、定盤の上に、複数枚の硬質外装仕上げ材を、それらの裏面から硬質外装仕上げ材とプレキャストコンクリートパネルを連結するためのアンカー部材が突き出した状態に敷き並べ、硬質外装仕上げ材の上に、アンカー部材に対応する位置毎に貫通孔が形成され且つ貫通孔の周囲を取り囲む段差部が形成された断熱材を、アンカー部材が貫通孔から突出し且つ段差部によって硬質外装仕上げ材の裏面と断熱材との間に空気層が形成された状態に積層する工程と、断熱材の上に配筋及びコンクリート打設して、硬質外装仕上げ材と断熱材とプレキャストコンクリートパネルを一体化する工程とを有することを特徴とする断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【請求項2】
アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の裏面に形成された一対の穴に両端を挿入して引っ掛ける鋼線製のシアコネクタを用いることを特徴とする請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【請求項3】
アンカー部材として、硬質外装仕上げ材の目地に挿入される平板部の側面に、硬質外装仕上げ材の側面に形成された横穴に挿入するダボピンが設けられ、平板部の上方にはシアコネクタに加わる荷重を断熱材を介して定盤に流すための第一フランジ部とプレキャストコンクリートパネルのコンクリートに対する付着力を確保する第二フランジ部とが設けられたシアコネクタを用いることを特徴とする請求項1に記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【請求項4】
複数枚の硬質外装仕上げ材を互いに隙間のある状態に敷き並べることにより、硬質外装仕上げ材相互の隙間を介して断熱層の空気層を外気に連通させるようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の断熱プレキャストコンクリートパネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−64373(P2010−64373A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233000(P2008−233000)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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