説明

断熱圧縮空気エネルギー貯蔵システムおよび方法

【課題】TESの熱エネルギーの一部は損失するという短所を改善したCAESシステムを提供する。
【解決手段】CAESシステム50が、圧縮空気貯蔵室62と、空気圧縮手段52、54と、熱エネルギー貯蔵室TES60と、タービン手段58と、前記圧縮空気貯蔵室からの圧縮空気の温度を上げるために必要とされる量の熱エネルギーの間のエネルギー不均衡を取戻すためのエネルギーバランス手段とを備え、圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で、タービン手段を介して膨張する前に、圧縮空気に補助的熱エネルギーを供給する熱エネルギー入力手段56を備え、前記補助的熱エネルギーが、ACAESシステムに対して外付けの供給源から供給されており、圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で圧縮空気に与えられる熱エネルギーの量が、タービン手段により圧縮空気の所定の体積から得られる有効な仕事の量よりも少ないことにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムに関し、特に断熱CAES(ACAES)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CAESシステムは、大量のエネルギーを貯蔵するために使用することができる。運転の“充電”段階の間、利用できるオンライン発電能力が需要を超えた場合に、電力需要が少ない期間中に、例えば夜間中に、空気は高圧まで圧縮され、かつ電力で動くポンプあるいは圧縮機使用して、一つあるいは複数の大きな空間、あるいは圧縮空気貯蔵室内に貯蔵される。CAESシステムの運転が“放電”段階の間、電力需要が供給に対して電力系統の能力を超える危険の状態にある期間中に、貯蔵された圧縮空気は、発電機に連結されたタービンを駆動し、それにより電力を電力系統に供給する。このような利用の特に関連がある一例は、再生可能なエネルギー源(例えば風および太陽)からの発電の領域内で現れ、再生可能なエネルギー源が働く間にエネルギーを貯蔵し、再生可能なエネルギー源が働かないかあるいは低い電力レベルを発生させる間にこのエネルギーを解放するための装置が無い場合、長期間の間、このようなエネルギー源から安定したレベルの電力を保証することは可能ではない。日々のサイクルに関する電力に需要があるピークの仕様に合わねばならない電力系統のための発電の文脈では、このような安定性と予測可能性の不足は、化石および核燃料発電所に比べて極めて不利な立場に再生可能なエネルギー源発電所を置く恐れがある。
【0003】
CAESシステムの従来技術例に関しては、例えば特許文献1、2および3を参照のこと。
【0004】
前述のように、CAESシステムはこのようなエネルギー貯蔵を行う手段を備えている。二つの形式のCAESシステムが現在知られている。非断熱CAESシステムと断熱CAESシステムである。第一世代のCAESシステムは、非断熱(DCAES)であり、かつ高い効率でタービンを運転するために圧縮空気と混合しかつ燃焼させるための、天然ガスなどの燃料を使用することを伴う。対照的に、断熱CAES(ACAES)システムは、独立した熱エネルギー貯蔵室において、空気の初期圧縮の結果として生じた熱エネルギーを貯蔵する。この熱は、解放された空気がタービンを通過する前に、この空気の温度を上げるために使用され、タービンは高い効率のレベルで運転することができる(例えば、特許文献4および5を参照のこと)。従って、DCAESシステムと異なり、ACAESシステムは、燃料の増加を必要とするようには設計されていなかった。
【0005】
ACAESシステム内での圧縮は、高い温度まで空気を加熱し、熱エネルギー貯蔵ユニット(TES)は、圧縮熱の熱エネルギーを取り出し、かつ貯蔵することによりこの圧縮空気を冷却するのに使用される。問題は、1〜100バールまでの、所定の体積の空気の断熱圧縮が、空気を25℃から約837℃めで加熱することに現れる。しかし、このような高い出口温度に耐えることができる圧縮機は、商業的に利用できるか、あるいは経済的なコストで利用できるかのどちらかである。従って、商業的に利用できる圧縮機を使用すると、最大排出温度を下げるために、多段階的で中間冷却される軸流および遠心圧縮機を使用して圧縮が行われる。しかし、この装置により、熱交換器と補助的な熱エネルギー貯蔵ユニットにより資本コストが増すこと、多段階的圧縮および膨張により圧力損失が増すこと、システムの複雑さが増すこと、及び定格出力が制限されることによりシステムのエネルギー密度が制限されることなどの欠点に至る。
【0006】
さらに、高圧低温では、空気内の湿気は、大気の状態に応じて、熱エネルギー貯蔵ユニットあるいは(各)熱エネルギー貯蔵ユニット内で凝縮され易い。この凝縮により、TESは結果として冷却され、TESの熱エネルギーの一部は損失する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4100745号明細書
【特許文献2】米国特許第3895493号明細書
【特許文献3】米国特許第3988897号明細書
【特許文献4】米国特許第3677088号明細書
【特許文献5】米国特許第4147204号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、先に挙げた従来技術の短所を改善した圧縮空気エネルギー貯蔵システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題に関して、本願発明の態様においては、断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システムであって、このACAESシステムが、
圧縮空気貯蔵室と、
前記圧縮空気貯蔵室に圧縮空気を充填するための空気圧縮手段と、
熱エネルギー貯蔵室と、
前記圧縮空気貯蔵室から圧縮空気を排出する間、圧縮空気から有効な仕事を取出すためのタービン手段と、
TESと、前記圧縮空気貯蔵室からの所定の体積の圧縮空気の排出に関する所望の温度まで、所定の体積の圧縮空気の温度を上げるために必要とされる量の熱エネルギーとの間のエネルギー不均衡を取戻すためのエネルギーバランス手段とを備え、
このエネルギーバランス手段が、圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で、かつ圧縮空気がタービン手段を介して膨張する前に、圧縮空気の所定の体積に補助的熱エネルギーを供給するのに選択的に使用できる熱エネルギー入力手段を備え、
前記補助的熱エネルギーが、ACAESシステムに対して外付けの供給源から供給されており、
圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で圧縮空気の所定の体積に加えられる熱エネルギーの量が、タービン手段により圧縮空気の所定の体積から得られる有効な仕事の量よりも少ないことが提案されている
熱エネルギー入力装置は、熱エネルギーを圧縮空気に直接加えるために配置されていてもよい。例えば、熱エネルギー入力装置は、(a)圧縮空気の流れの中で燃料を燃焼させるのに使用できる燃焼器、(b)圧縮空気の流れの中に置かれた電気式の加熱要素、(c)圧縮空気が密閉して封止された太陽熱収容装置を通過する際に、熱エネルギーを圧縮空気の流れに入力する太陽熱源、の内の少なくとも一つを備えていてもよい。
【0010】
代替として、熱エネルギー入力装置は、熱交換手段を介して、熱エネルギーを圧縮空気に加えるために配置されていてもよい。例えば、水あるいは溶融塩などの中間熱交換媒体は、熱エネルギー入力装置から熱を収容している熱交換機の第一の側を通って循環されてもよく、次いで熱を圧縮空気に引渡している熱交換機の第二の側を通って循環されてもよい。この場合、熱エネルギー入力装置は、(a)ACAESシステムの加圧された部分の外部で燃料を燃焼させ、かつ中間熱交換媒体に燃焼の熱を入力するのに使用できる燃焼器、(b)中間熱交換媒体に燃焼の熱を入力するために配置された電気式の加熱要素、(c)中間熱交換媒体に燃焼の熱を入力し、かつ熱交換機の第一の側として作用している密閉して封止された太陽熱収容装置に熱エネルギーを入力している太陽熱源、(d)中間熱交換媒体に熱を入力するために配置された地熱源の内の少なくとも一つを備えている。
【0011】
圧縮空気貯蔵室から排出された圧縮空気に熱エネルギーを加えることの必要性をなくすために、考案されたACAESシステムを有すること、または燃料燃焼の再導入あるいはその他の外部エネルギー入力の使用が、ACAESシステムのための一つの改善点として提案できるのは反直感的である。しかし、ここではACAESシステムにおいて、熱エネルギーバランスを取戻すのを補助するために思慮深い熱入力により、どのようにしてこのような改善点が得られるのかが説明されている。
【0012】
排出された圧縮空気が、熱貯蔵室内で加熱された後、燃焼器あるいは他の熱源が高温の熱を提供し、従って有効エネルギー損失が減っていることに留意されたい。熱貯蔵室でもってシステムに平衡をもたらすプロセス時に可能である最大の有効な仕事としてのシステムの有効エネルギーを定義する。
【0013】
前記エネルギーの不均衡の適当な原因は、ACAESシステムにおいては、以下の事柄、すなわち(a)ACAESシステムのTESからの、例えばそこでの水蒸気の凝縮を介した熱エネルギーの損失、(b)圧縮空気の圧縮後の、TESへの熱エネルギーの不十分な搬送、(c)圧縮空気貯蔵室からの漏洩による、圧縮空気貯蔵室からの圧縮空気の損失、(d)圧縮空気貯蔵室内での凝縮による、圧縮空気貯蔵室内の圧縮空気の質量の損失の内の一つあるいは複数であってもよい。
【0014】
ACAESシステムがさらに、圧縮空気貯蔵室の充填時にTES内で熱貯蔵を一時的に阻止するための手段と、圧縮空気貯蔵室の空気の排出時にTESへの圧縮空気の入力を絞るための手段と、TESを介してする圧縮空気を排出する代わりに、圧縮空気貯蔵室から圧縮空気を逃がすための手段などの、ACAESシステムの熱貯蔵室と空気貯蔵要素の間のエネルギーを平衡させるための補助手段を備えていてもよい。
【0015】
第二の態様において、本願発明は、断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システムの熱エネルギー貯蔵室(TES)と、ACAESシステムの圧縮空気貯蔵室から空気が排出された後、所望の温度まで所定の体積の圧縮空気の温度を上げるための必要とされるレベルの熱エネルギーの間のエネルギー不均衡を取戻すための方法であって、この方法が、圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で、かつ圧縮空気がタービン手段を介して膨張する前に、圧縮空気の所定の体積に補助的熱エネルギーを選択的に供給する工程を備え、前記補助的熱エネルギーが、ACAESシステムに対して外付けの供給源から供給されており、圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で圧縮空気の所定の体積に加えられる熱エネルギーの量が、タービン手段により圧縮空気の所定の体積から得られる有効な仕事の量よりも少ないことを特徴とする方法を提案している。
【0016】
本願発明の他の態様は、以下の記載と添付の請求の範囲を精読することから明らかである。好ましい実施例を添付した図を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の非断熱圧縮空気貯蔵システムを概略的に示した図である。
【図2】従来の断熱圧縮空気貯蔵システムを概略的に示した図である。
【図3】改善された断熱圧縮空気貯蔵システムを概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0018】
断熱圧縮空気貯蔵(ACAES)システムでは、様々な理由から、発電のために高い効率でタービン電力を供給するためには、熱エネルギー貯蔵所(TES)に貯蔵された熱エネルギーと組合せても、圧縮空気貯蔵室(cavern)に貯蔵される空気のポテンシャルエネルギーは不十分であると予想される。この問題を克服あるいは少なくとも改善するために、我々は例えば発電の目的でタービンを運転するための、所望される好ましくは最適温度に合わせた所定の体積の圧縮空気の加熱に関連したエネルギー所要量に伴う、ACAES内に貯蔵される熱エネルギーを調整するために選択的に実施可能な手段を備えた改善されたACAESシステムを提案する。
【0019】
好ましい実施例では、ACAESシステムは、熱エネルギーのレベルを上げるための加熱装置を備え、この加熱装置はACAESシステムの熱エネルギー貯蔵ユニット(TES)の内部に収容されている。このような様々な手段が考慮されており、かつそれ以外のもの、ガスバーナーあるいは固体燃料バーナー、電気抵抗加熱装置、地熱エネルギー、あるいはソーラーパワーなどの燃焼器を含んでいる。
【0020】
さらに、例えば空気がTESを選択的に迂回することにより、圧縮空気からTESに搬送される熱エネルギーの量を制御するために、サイクルの充電段階時に使用可能な手段を備えていることが都合よい。代替え手段として、あるいは加えて、サイクルの放電段階時に使用可能な手段は、例えばTESを通る流量を絞ることにより、または圧縮空気貯蔵室からの過剰空気を逃がすことにより、TESから圧縮空気に搬送される熱エネルギーの量を選択的に制御するために設けられることがある。
【0021】
図1および2に関連する以下の記述は、現行の非断熱および断熱のCAESシステムの特徴と運転を説明する。この記述に引続いて、図3に関連した、本発明の改善点およびそれについて特徴と運転がどのようにして現行のシステムに基づいて有利な結果に至るかについて述べる。
【0022】
図1に関して、単純な一般的DCAESシステム1は、流入空気3を加圧するのに使用可能な圧縮機2と加圧された空気が逆止弁VIを介して検出され、かつ貯留される貯蔵室6を備えており、この貯蔵室6は十分適した圧縮空気貯蔵室などの耐圧性の容器を備えている。圧縮機2は、電動モーター、例えば電動発電機4などの駆動手段により駆動シャフト9aを介して駆動される電動モーターには、風力発電所などの電力系統あるいは再生可能なエネルギー発電基地から電力が供給される。空気の圧縮により熱およびポテンシャルエネルギーは増す。DCAESシステムでは、給気冷却器および/または圧縮後熱交換機(post−compressor heat exchanger)などの熱伝達装置を使用して、圧縮空気から取出されるが、取り出された熱は貯蔵されない。空気は、一度圧縮されかつう冷却されると、圧縮空気貯蔵室6まで減少した温度で搬送される。従って、DCAESシステム内に貯蔵された空気は、主として空気のポテンシャル(圧力)エネルギーだけである。ポテンシャルエネルギーが、発電のためのなどの有効な仕事に変換されることが所望である場合、圧縮空気貯蔵室6内の空気の圧縮された体積の所望な部分は、弁V2を介して解放され、かつタービン8に逃がされる。発電の場合、タービン8は駆動シャフト9bを介して発電機に機械式に連結している。この場合、電動発電機4も圧縮機2を駆動するために使用できる。
【0023】
タービン8は圧縮空気内に貯蔵されたポテンシャルエネルギーを出力駆動シャフト9bのトルクに変換する。タービン8の効率は、入力温度が増すと共に上がり、従って圧縮空気はタービンの効率を最大限にするために、好ましくは最適温度まで加熱されるのが有利である。圧縮空気の温度は、ガスバーナーなどの加熱手段7により提供される。熱は圧縮空気に伝達され、それにより圧縮空気の温度は上がり、それによりタービンの効率が上がる。
【0024】
従って、DCAESシステムには、貯蔵されたポテンシャルエネルギーを有効な仕事へと効率的に変換するために、補助的エネルギー入力の“オーバーヘッド”が必要である。発電機4で発電されている総電力に対して、空気を圧縮するために使用されている総電力の観点から見た場合、このオーバーヘッドによりコストは増し、DCAESシステム全体の効率は下がる。
【0025】
図2には上記短所を緩和するための単純なACAESシステム11が示してあり、このACAESシステムにおいて、圧縮機12は入力空気3を圧縮するために駆動シャフト15を介して電動機14により駆動される。次いで、圧縮空気13は、圧縮空気の圧縮熱を貯蔵する熱エネルギー貯蔵室(TES)20の内部で、熱エネルギー貯蔵材料内の熱交換通路を通って通過する。TES20内の熱貯蔵材料は、特に石、コンクリート及び溶融塩などの固体あるいは液体材料を含んでいてもよい。600℃の領域での高い空気温度の場合、溶融塩はTES材料の好ましい選択である。
【0026】
さらに、図2のACAESシステム11は、給気冷却器16を備えた圧縮機23の形態の圧縮の第二の段階を含んでいる。圧縮機23は圧縮機12と同じ駆動シャフト15で駆動され、さらにTES20が空気を冷却した後、圧縮機12からの空気を貯蔵のための所望の圧力まで圧縮する。さらに、給気冷却器16の作用により、圧縮機23から来る出口でのさらなる圧縮空気も、貯蔵のための所望の温度にあり、この圧縮空気は逆止弁V1を通って圧縮空気貯蔵室16に収容される。
【0027】
貯蔵された圧縮空気のポテンシャルエネルギーを有効な仕事に変換する必要性があると、貯蔵された圧縮空気24は、逆止弁V2を介してタバーン16から排出される。しかし、可燃燃料に代わって、ACAESシステム11は、その内部通路を通って通過している圧縮空気24の温度を上げるために、TES20内に貯蔵された熱エネルギーを使用する。ついで、再加熱された圧縮空気26は、タービン18を通って膨張し、シャフト22介してタービン18により駆動されて発電機21内で発電を行う。従ってこの場合、補助燃料もしくは他のエネルギー源は、タバーン16内の圧縮空気から発電することを補助するために使用されない。
【0028】
しかし、このようなACAESシステム11は、例えば不完全な隔離(insulation)のために生じるTES20からの熱エネルギーの損失を経て、あるいは圧縮空気貯蔵室16からの圧縮空気の一部の流出を経て、もしくは圧縮空気貯蔵室の壁上で圧縮空気の水蒸気量が液化するために、このシステムからのエネルギーが損失しやすい。これらの損失は、所望のレベルの効率で発電タービン18を通過するための所望の温度までは、TES20内で使用できる熱エネルギーの量と圧縮空気貯蔵室16内に圧縮空気を運ぶのに必要とされるエネルギーの量との間で生じる不均衡をもたらす。
【0029】
図3には、この問題を克服するかあるいは少なくとも緩和するための手段を備えた改善されたACAESシステム50が示してある。ACAESシステム50は、好ましい実施例によれば、例えば30〜50バールの圧力まで空気の入力流3を圧縮するのに使用可能な第一の圧縮機52を備えている。この圧縮の過程の間、空気は約550〜600℃の温度までその温度を引上げられる。この第一の圧縮機52は、軸流圧縮機あるいは遠心圧縮機でよいが、最大の圧縮および温度性能を発揮するために、第一の圧縮機52は、発電所、例えばALSTOM GT26で使用される型式の重量級のガスタービンエンジンの圧縮機から導き出される、従って高温高圧で長期間の稼働能力を有する頑強な軸流圧縮機であるのが好ましい。
【0030】
第一の圧縮機は駆動シャフト15を介して電動機14により駆動されるのが好ましい。電動機14は駆動シャフト15においてトルクを付与するのに使用できるいずれの型式のモーターでもよいが、電動機であるのが好ましい。
【0031】
高温の圧縮空気13は、図2に関係してすでに説明したように、第一の圧縮機52の出力部から、圧縮の熱が貯蔵されるTES60を通って流れる。
【0032】
ACAESシステム50の充放電の間、TES60が圧縮空気貯蔵室62内の貯蔵された空気のエネルギーと比べた熱エネルギー過剰分を蓄積することが起こることがあってもよい。このことはTES60の迂回路59を選択的に使用することによりサイクルの充電段階時に処理されると好都合であり、これにより熱の貯蔵は一時的に中断される。
【0033】
比較第二段階のための第二の圧縮機54を通過する前に、給気冷却器などの温度制御装置53が、TES60の出口に設けられている。この温度制御装置53は、第二の圧縮機の入口温度を、変わり易い最適値に調節するために使用でき、この最適値により、第二の圧縮機は所望の温度で圧縮空気を圧縮空気貯蔵室62に送り出すことができる。所望の温度は20〜150℃の範囲であってもよく、かつ圧縮空気貯蔵室内の圧力のみならず、周囲空気温度と動作環境(定格負荷あるいは部分負荷)に依存する。この温度制御装置53により圧縮空気から抽出される如何なる熱エネルギーも、第二の圧縮機54内へのその入力より前に、図式に破線で示したように、例えば熱ポンプ61を使用してTES60へと搬送される。
【0034】
第二のお圧縮機54にとって適した入口温度に達すると、圧縮された空気は圧縮の更なる段階の圧縮のための第二の圧縮機54内に移る。第二の圧縮機54はその構造が第一の圧縮機52と異なっていてもよい。例えば、第二の圧縮機が、化学産業あるいは石油及びガス産業にとって商業的に利用できる型式の遠心あるいは軸流圧縮機であってもよいことが予想され、その目的は圧縮空気貯蔵室への出力にとって適した、予め設定された出力圧力及び温度を達成することであるが、その目的はまた、圧縮機の長期間の稼働能力に適合していることでもある。第二の圧縮機54は、電動機14から駆動シャフト15により、もしくは代替えとして(図示していない)第二の独立した電動機と駆動シャフトにより駆動される。
【0035】
さらに第二の圧縮機54により、好ましくは60〜80バールの圧力まで圧縮されると、圧縮空気は、給気冷却器55あるいは他の型式の熱交換機などの第二の温度制御装置を通過する。給気冷却器55を作動させることにより、圧縮空気の温度はタバーン62内の貯蔵にとっての所望の温度に調節される。給気冷却器55により圧縮空気から抽出される如何なる熱エネルギーも、例えば熱ポンプ61を用いてTES60に搬送されるのが好ましい。
【0036】
圧縮空気は逆止弁V1を通って圧縮空気貯蔵室62に入り、かつ電力系統からの要求のレベルにより決定される期間の間貯蔵される。圧縮空気貯蔵室62は、十分適合した鍾乳洞や廃鉱あるいは岩塩空洞などの地中の部屋であるのが一般的である。代替えとして、高圧ガスタンクなどの容器、あるいは湖または海の中の水中に配置された合成樹脂製の容器などの圧力容器であってもよい。
【0037】
圧縮空気貯蔵室62内で圧縮空気内に貯蔵されたエネルギーの一部とTES60内の熱エネルギーが、発電のためのごとき有効な仕事に変換されると、圧縮空気貯蔵室62の出口弁V2が開放されて、TES60を通って流れる圧縮空気の一部64を圧縮空気貯蔵室から放出する。TES60内で貯蔵された熱エネルギーは、タービン58の効率が最大限にされる所望の動作温度に好ましくはできるだけ近い温度まで圧縮空気を加熱する。
【0038】
前述のように、TES60内に貯蔵された熱エネルギー、あるいは圧縮空気貯蔵室62内の空気のポテンシャルエネルギーの損失は、TES60内で利用できる熱エネルギーと、所望の温度まで圧縮空気貯蔵室62から放出された空気を全て十分に加熱するのに必要な熱エネルギーの必要とされる量との間に生じる不均衡をもたらす。TES内での十分に利用できない熱エネルギーのために不均衡を生じさせる粗削りな方法は、圧縮空気貯蔵室からの空気の一部を逃がしていることである。例えば、TES60内で保持された熱エネルギーと比較して貯蔵された空気のポテンシャルエネルギーの内の10%の過剰分は、充電段階の間、圧縮空気貯蔵室62内に導入された空気の10%を逃がすことにより調節できる。ACAESシステムが想定によれば、1.5GWh貯蔵でき、空気の10%の損失は、エネルギーの約10%の生産の損失、すなわち150MWhに相当する。
【0039】
圧縮空気貯蔵室の水分の液化、あるいはTES60内の温度分布の成層破壊に起因する、圧縮空気貯蔵室62内の空気の質量の減少などの問題は、ACAESシステム50の効率も損なう。
【0040】
ACAESシステム50の稼働中に、所定の体積の圧縮空気が、圧縮された空気貯蔵室から排出された後、不均衡がTES60において利用できる熱エネルギーと所望の温度に対して所定の体積の圧縮空気の温度を上げるのに必要な要求される熱エネルギーの間に生じた場合、我々はTES60により与えられたエネルギーに加えて、限定された熱エネルギーを圧縮空気に選択的に与えるために、熱エネルギー入力装置を備えたエネルギー均衡手段を設けることによりACAESシステム50のエネルギーバランスの少なくとも一部を復元することを提案する。
【0041】
さらに、ACAESシステムは圧縮空気貯蔵室62からの圧縮空気の一部を逃がすための手段および/または圧縮空気がタービン58に入る前に圧縮空気を絞るための手段により補われてもよい。圧縮空気の一部を逃がすための手段は開閉弁63を備え、圧縮空気を絞るための手段は減圧弁を備えていてもよい。
【0042】
前述の熱エネルギー入力装置は、TES60とタービン58の間に設けられた熱源、好ましくはガスバーナー56などの燃焼器である。ガスバーナー56は天然ガスなどのガス燃料を燃焼し、かつ圧縮空気がTES60を出る前に圧縮空気に熱エネルギーを加えるのに使用できる。ガスバーナー56はACAESシステム50の回路の外側で動作でき、従って大気圧で動作できることが考慮されている。ガスバーナーは、(図示していない)熱交換機の第一の側を通って循環している中間の熱交換媒体に対して熱を入力する。熱交換媒体は、圧縮空気の流れに対する燃焼の熱を絶つように据えられた熱交換機の第二の側に向かって循環する。このバーナーからの熱エネルギーは、空気がタービン58の入口に入る前のポイントで、ACAESシステム50の内部の圧縮空気まで、熱交換機を介して搬送される。代替えとして、空気の流れの中に燃料を直接加えるために、バーナー56は、圧縮空気流が通過する経路の内部で加圧され、かつ配置されていてもよい。しかし、このような実施例には、工程からの放出物に別の方法で不都合に影響を与える、空気流超過時間(air flow over time)の圧力の変化を抑えるために公知の燃焼工程パラメータ(例えば燃料空気比及び二次燃焼希釈物(post combustion dilution))に適合できる(当業者に知られている)燃焼制御ユニットが必要である。さらにこのような制御ユニットは、追って説明するようなシステム内の温度を検知し、かつ必要に応じて燃料の燃焼を増減させる。
【0043】
熱エネルギー入力装置は、燃焼器であるように上記に明記されているが、燃焼器は圧縮空気に熱を直接入力するために、圧縮空気の流れの中に配置された電気式加熱要素あるいは太陽熱源により置換えるかあるいは補うことができる。代替えとして、燃焼器は、中間熱交換媒体を加熱することにより、熱交換機を介して圧縮空気を直接加熱するために、ACAESシステムの加圧部分の外部に配置された電気式加熱要素あるいは太陽熱源により置換えるかあるいは補うことができる。太陽熱源からの熱入力の場合、熱入力は密閉して封止された太陽熱収容装置により提供でき、圧縮空気が太陽熱収容装置を通過する場合に直接、あるいは熱交換機の第一の側として作用する太陽熱収容装置を通って中間熱交換媒体を循環させることにより、熱交換機を介して間接的に、この太陽熱収容装置は圧縮空気の流れに熱エネルギーを入力する。
【0044】
熱入力の別の可能な供給源は、地熱源であってもよい。このような場合、圧縮空気に入力される熱は間接的であり、地熱源は熱交換機の第一の側で中間熱交換媒体を加熱するために作用する。
【0045】
上記で概略説明したようなACAESシステムに加えられる熱エネルギーの量が、貯蔵される熱エネルギーと圧縮空気の貯蔵されるポテンシャルエネルギーの間のエネルギーバランスを復元するのに必要な量に限定されると解すべきであり、従って、圧縮空気がTES60を通過した後、圧縮空気がタービン58を通過する前に、所定の体積の圧縮空気に加えられる熱エネルギーの量は、所定の量からタービンにより得られる有効な仕事の量に比べてかなり少ない。
【0046】
図3で示したようなエネルギーの不均衡を補正するために燃焼室を使用する三つの筋書きを以下の例で説明する。各筋書きにとって、ここで記載した改善点が無い状態で、損失されるエネルギーは、改善点の作動に必要な補助的熱エネルギーに合わせて計算され、かつ比較される。三つすべての場合において、天然ガスの使用は運転の汎用性が増すことを意味することを理解して頂けると幸いです。操作者は、減少した発電所の有用性の効果と比べて、このように行うコストの分析に従う圧縮空気の一部を逃がすこと、あるいはその代わりに天然ガスを使うかのどちらかを選択してもよい。このような選択は、燃料コスト、二酸化炭素の放出にかかるコスト(二酸化炭素放出の制限が、ここで想定される燃料燃焼の短期にわたり適用される場合)、発電所の有用性そして電気の値段)を含む、多くの要因により左右される。
【0047】
ケース1:この筋書きは、TES60内の熱貯蔵室が液体を使用する場合により現れやすい。放電の開始時に、圧縮空気貯蔵室62内の貯蔵された空気の圧力は80バールである。TES60の温液は、空気タービン入口温度が効率的な運転のための一定の必要とされる値より上であることを保証するのに十分な温度にある。熱エネルギー不足に対処する手段が無い状態で、タービン58の出口の温度を上げるために、圧力は減圧される必要があり、それにより温度が、例えば10℃の許容しえる温度未満に下がるのを防ぐ必要がある。空気が圧縮空気貯蔵室から逃げないが、いくぶん圧力が絞ることにより減少し、タービン入口の空気温度が、最小許容レベルよりもほんの10℃だけ低い、すなわちTES60の温度が少なくとも10℃下がったと仮定すると、必要とされる減圧は必要とされる温度未満で1℃につき約0.5バールとして定量化できる。(TESが通常530℃で運転される場合、実際の運転状態で、おそらくTES内での温度損失は40℃まで達することに注意されたい。)TES内での10℃の損失の例では、空気の圧力は、絞り弁65内で5バールだけ、例えば80から75バールまで減圧されるべきである。このことは充電段階で、75バールから80バールまで圧縮空気貯蔵室62内の空気の圧力を上げるためになされる仕事が浪費されることを意味する。これは、ALSTOM GT26ガスタービンエンジンに由来した圧縮機の場合、圧縮機内の空気の1kg当たり約125kJに匹敵する。これは約75MWである。これに反して、空気がタービンの入口を通過する際の温度は、天然ガスの添加および天然ガスの燃焼を使用して500℃から510℃に上げられた場合、必要とされる補助的熱エネルギーは空気1kg当たり10.93kJにすぎない。従って、この補助的熱エネルギーを供給すると共に損失を補うために空気の温度を上げるのではなく、空気中に貯蔵されたポテンシャルエネルギーを浪費することが極めて効率的である。
【0048】
同様にして、TES60の温度が50℃だけ必要とされる温度未満である場合(極端な状態)、同じ分析により、空気の160kJ/kgのポテンシャル損失を被るが、熱エネルギー不足を取り戻すのに必要な熱エネルギーは空気の約54kJ/kgである。
【0049】
ケース2:この筋書きは、TES60が、固形物質の細礫あるいは“小石”の充填層を含んでいる場合に現れやすい。この場合、タービン58の入口での空気温度は圧縮空気貯蔵室圧力が上がるので上昇しやすい。この筋書きにおいて、圧縮空気貯蔵室62は“n”時間で排出され、“m”時間後にTES60の残存温度(remaining temperature)は、タービン58の効率的運転には低すぎる。残存“n−m”時間にとって、選択肢は圧縮空気貯蔵室からの空気を逃がすか、または圧縮空気貯蔵室に熱エネルギーを加えるかのどちらかである。第一の概算では、圧縮空気を逃がすのと比較して、天然ガスの燃焼を介してなどの熱エネルギーを加える利得は、同じケース1の範囲内にある。
【0050】
ケース3:この筋書きでは、圧縮空気のエネルギーは、TES60の熱エネルギーに対して、10%の過剰状態にある。つまり圧縮空気貯蔵室62内の空気の10%は、TES60が有用な熱エネルギー不足になった後に残っている。本発明無くして、この状況は、充電時に圧縮空気貯蔵室62内に導入された空気の10%の逃がしを伴う。1.5GWh貯蔵できるACAESシステムを想定すると、空気の10%の損失は、エネルギーの約10%、すなわち150MWhに相当する。圧縮空気貯蔵室62が300000mの容積と50〜80バールの圧力範囲を有していると仮定すると、排出されるべき空気の総量は、約10×10kgであり、従ってその内の10%は、約40℃(圧縮空気貯蔵室内)から510℃(タービン入口)まで加熱されるべき10×10kgである。これには天然ガスから約140MWh(熱エネルギー)が必要である。従って、節約されるエネルギーはすべて、タービン入口以前に、排出される空気を加熱するために天然ガスを燃焼させることからもたらされる。
【0051】
前述のように、燃焼器56あるいはその他のエネルギー入力装置は、制御ユニット57により制御するのが好ましい。エネルギー入力の制御を精細に行えるように、このような制御ユニットは、システムにおいて、一つあるいは複数の点で、如何なる任意の時間でも、温度を決定する複数のセンサーに干渉する(interfere)ことができる。例えば参照符号Tで示したように、センサーは制御ユニットがその場所で不十分な温度を検出できるように、かつ燃料を燃焼させることにより、あるいは他の手段により温度を上げることができるように、タービン58の入口に設置できるのが好ましい。
【0052】
別のセンサーTは、タービン58の効率が、入口温度を調節することにより最適化できるように、例えばタービン58の出口に設けられていてもよい。例えばタービン出口温度が低すぎる場合、これは制御ユニットが燃焼器56で増大した熱出力によりタービン58の入口温度を上げるために作動することを意味している。
【0053】
ACAESシステム50の前述の説明が、好ましい実施例だけに関していることを理解されるでしょうし、このシステムの様々な特徴が添付された請求の範囲の範囲からそれることなく変えてもよいことが想定される。例えば圧縮工程の正確な数は、圧縮空気貯蔵室内で所望な圧力をえるのに必要である場合には、あるいは圧縮機の商業的入手性あるいは型式に答えて変えてもよい。さらに多数のTESユニットが各圧縮工程の間に一つ使用されてもよいし、あるいは圧縮工程よりも少ないTESユニットが使用されてもよい。このような例において、熱ポンプが一つあるいは複数の圧縮工程から熱を得るために使用されるのが有利であることが想定される。この場合、TESユニットは圧縮工程の出口で圧縮空気の熱エネルギーを得ると共に、この熱エネルギーを一つあるいは複数のTESユニットに搬送するために、圧縮工程の出口には設けられていない。
【0054】
本発明の開示では、ACAESシステムの運転時における、燃料燃焼の日常的な使用あるいはその他の熱エネルギー入力手段は勧めていない。このような手段は、さきに説明した通り、重大なエネルギー不均衡がシステム内にある場合の、貯蔵されたエネルギーの浪費を改善する方法として、選択的にもしくは慎重に使用されるべきであるにすぎない。
【0055】
上記の実施例は、単に実例を用いて述べてきており、変形は添付の請求の範囲内で作ることができる。従って、請求の範囲の広さは、上記の代表的な実施例に限定されるべきではない。請求のと図を含んだ明細書に開示された各特徴は、特に別のやり方で提示されなければ、同じか、同等かあるいは類似の目的を果たす代替え的特徴で置換えてもよい。
【0056】
詳細な説明の記載および請求の範囲を通して、文脈が明らかに必要としない場合、単語“comprise”、“comprising”及び“同種の単語”は、排他的あるいは網羅的な意味とは対照的な包括的な意味で、すなわち“含んでいるのではなく限定されていない”の意味で解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システムであって、このACAESシステムが、
圧縮空気貯蔵室と、
前記圧縮空気貯蔵室に圧縮空気を充填するための空気圧縮手段と、
熱エネルギー貯蔵室と、
前記圧縮空気貯蔵室から圧縮空気を排出する間、圧縮空気から有効な仕事を取出すためのタービン手段と、
TESと、前記圧縮空気貯蔵室からの所定の体積の圧縮空気の排出に関する所望の温度まで、所定の体積の圧縮空気の温度を上げるために必要とされる量の熱エネルギーとの間のエネルギー不均衡を取戻すためのエネルギーバランス手段とを備え、
このエネルギーバランス手段が、圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で、かつ圧縮空気がタービン手段を介して膨張する前に、圧縮空気の所定の体積に補助的熱エネルギーを供給するのに選択的に使用できる熱エネルギー入力手段を備え、
前記補助的熱エネルギーが、ACAESシステムに対して外付けの供給源から供給されており、
圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で圧縮空気の所定の体積に加えられる熱エネルギーの量が、タービン手段により圧縮空気の所定の体積から得られる有効な仕事の量よりも少ないことを特徴とするACAESシステム。
【請求項2】
熱エネルギー入力装置が、熱エネルギーを圧縮空気に直接加えるために配置されていることを特徴とする請求項1記載のACAESシステム。
【請求項3】
熱エネルギー入力装置が、熱交換手段を介して、熱エネルギーを圧縮空気に加えるために配置されていることを特徴とする請求項1に記載のACAESシステム。
【請求項4】
熱エネルギー入力装置が、(a)圧縮空気の流れの中で燃料を燃焼させるのに使用できる燃焼器、(b)電気式の加熱要素、(c)太陽熱源、の内の少なくとも一つを備えていることを特徴とする請求項2に記載のACAESシステム。
【請求項5】
熱エネルギー入力装置が、(a)ACAESシステムの加圧された部分の外部で燃料を燃焼させるのに使用できる燃焼器、(b)電気式の加熱要素、(c)太陽熱源、(d)地熱源、の内の少なくとも一つを備えていることを特徴とする請求項3に記載のACAESシステム。
【請求項6】
圧縮空気貯蔵室の充填時にTES内で熱貯蔵を一時的に阻止するための手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のACAESシステム。
【請求項7】
圧縮空気貯蔵室の空気の排出時にTESへの圧縮空気の入力を絞るための手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のACAESシステム。
【請求項8】
TESを介してする圧縮空気を排出する代わりに、圧縮空気貯蔵室から圧縮空気を逃がすための手段を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のACAESシステム。
【請求項9】
断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システムの熱エネルギー貯蔵室(TES)と、ACAESシステムの圧縮空気貯蔵室から空気が排出された後、所望の温度まで所定の体積の圧縮空気の温度を上げるために必要とされるレベルの熱エネルギーとの間のエネルギー不均衡を取戻すための方法であって、
この方法が、圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で、かつ圧縮空気がタービン手段を介して膨張する前に、圧縮空気の所定の体積に補助的熱エネルギーを選択的に供給する工程を備え、
前記補助的熱エネルギーが、ACAESシステムに対して外付けの供給源から供給されており、
圧縮空気がTESから熱エネルギーを収容した後で圧縮空気の所定の体積に加えられる熱エネルギーの量が、タービン手段により圧縮空気の所定の体積から得られる有効な仕事の量よりも少ないことを特徴とする方法。
【請求項10】
所定の体積の圧縮空気に補助的熱エネルギーを選択的に供給する工程が、圧縮空気に直接、熱エネルギーを加える工程を備えていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
所定の体積の圧縮空気に補助的熱エネルギーを選択的に供給する工程が、熱交換プロセスを介して、圧縮空気に熱エネルギーを加える工程を備えていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
熱エネルギーが、(a)圧縮空気中の燃料燃焼させる工程、(b)圧縮空気を電気式に加熱する工程、(c)太陽熱で圧縮空気を加熱する工程、の内の少なくとも一つにより加えられることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
熱エネルギーが、(a)中間熱交換媒体を加熱するために、ACAESシステムの加熱された部分の外部で燃料を燃焼させる工程、(b)圧縮空気を電気式に加熱する工程、(c)中間熱交換媒体を態様熱で加熱する工程、の内の少なくとも一つにより加えられることを特徴とする請求項11に記載のACAESシステム。
【請求項14】
図3に関して記載されたおよび/または図3に図示したような、実質的上これに鑑みたようなACAESシステム。
【請求項15】
図3に関して記載されたおよび/または図3に図示したような、実質的上これに鑑みたような、ACAESシステムの熱エネルギー貯蔵室と、ACAESシステム内の圧縮空気貯蔵室から排出される所定の体積の圧縮空気の温度を上げるために必要とされるレベルの熱エネルギーの間の不均衡を取戻す方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−64399(P2013−64399A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180036(P2012−180036)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland