説明

断熱地下たび

【課題】
底面が断熱性で、地下たび本来の軽快性や接地感覚を損なうことのない断熱たびを提供する。
【解決手段】
アッパー1に接地底2を取付けてなり、かつ底内部に熱線反射金属層8を形成してなる地下たびであって、底形状と略相似形のゴムシート9に上記熱線反射金属シート8を接合した状態でアッパー1底部と接地底2との間に介在させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面に断熱機能を備えた一般作業用の地下たび或いは屋根作業用の断熱地下たびに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地下たびは、土木建築、屋根作業或いは農園芸の作業者等に広く愛用されている。
一般に地下たびは、軽快性、接地感覚、足の返りの良さが要求されるため、アッパーを綿布で構成し、これに比較的薄手で柔軟性を備えたゴム底等の接地底を取付けると共に、コハゼと掛け糸を取付けたものとなっている。
【0003】
このような地下たびにおいて、アスファルトによる舗装作業、屋根瓦葺き等の屋根作業或いは炎天下での農作業を行う場合、接地面の温度が極めて高くなり、これが接地底を通して足裏に伝わり、作業に支障を来たすことがあった。また冬季においても屋根面等の接地面が低温になると、足裏が冷たくなって、上記と同様作業に支障を来たす虞れがあった。
このためには、例えば特許文献1に開示されているような耐熱性能を備えた履物が提案されている。
【0004】
【特許文献1】実公昭57−24163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこのような用途に用いる地下たびは、底面の断熱効果が求められることは勿論であるが、本来の軽快性や接地感覚を損なうことは避けなければならず、底部分に肉厚の中底や中敷等を採用することは好ましいとはいえない面があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の状況に鑑みてなされたもので、その要旨とするところは、アッパーに接地底を取付けてなり、かつ底内部に熱線反射金属層を形成してなる地下たびであって、底形状と略相似形のゴムシートに上記熱線反射金属シートを接合した状態でアッパー底部と接地底との間に介在させたことを特徴とする断熱地下たびにある。
また本発明は、アッパーに接地底を取付けてなり、かつ底内部に熱線反射金属層を形成してなる地下たびであって、底形状と略相似形のゴムシートに上記熱線反射金属シートを接合した状態でアッパー底部と接地底との間に介在させ、さらにアッパー外胛側方の踏付け部から土踏まず部にかけて延びるゴム片を固着したことを特徴とする屋根作業用の断熱地下たびも特徴とするものである。
【0007】
また本発明は、上記いずれの発明において、アッパー底部と接地底との間にシート状温調素材を介在させるようにしたこと或いはアッパー底部と接地底との間にクッションシートを介在させるようにしたことも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記の構成にすることにより、本来の軽快性、接地感覚及び足の返りの良さを維持した上、底部の断熱機能を発揮するようにできると共に、その構成上一般の地下たびと略同様の製法により製造することができ、一般作業用はもとより屋根作業用の断熱地下たびとしても十分に使用できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の態様を図面に基づいて説明する。なおこの実施例は屋根作業用の断熱地下たびに適用した例を示している
図1は本発明断熱地下たびの内胛側から見た概観を示しており、図中1はアッパー、2は接地底、3はコハゼ、4は掛け糸をそれぞれ示している。 このうちアッパー1は、図2に示すとおり、綿布からなる表布、裏布及び底部の中底1Aとを縫合して構成されている。なお図中1Bは爪先部の補強片、1Cは踵部の補強片である。
【0010】
また、この例におけるアッパー1の接地底と接合する際(きわ)の部分すなわち接際部の略全周には、接地底2から延設する巻上げ部が形成されている。これは接地底2をアッパー1に貼付けて接合するときに、略全周に端部が徐々に薄くなった巻上げ部を延設しておき、この部分をアッパー1側に接着した状態で、接地底2を加硫接着することによって設けることができる。このようにして巻上げ部を設けると、アッパー1接際部に強固に一体化され、この部分の防水性も確保され好ましい。
【0011】
次に本発明の底の部分の構成を図2ないし図4に示した例によって説明すると、アッパー1の底部すなわち中底1Aの下側には、順次シート状温調素材6、クッションシート7、底形状と略相似形のゴムシート9に予め接着した、熱線反射金属層としてのアルミ箔8が接合されて一体化させて用いている。
【0012】
このうちのシート状温調素材6及びクッションシート7は、後述するように省略することもできるが、アルミ箔8は断熱機能を発揮させるためには、必要である。この例では、接地底2の形状に略相似形のゴムシート9を用意し、この面にさらに相似形で若干小さく裁断したアルミ箔8を接合し、これを所定位置に挟みこんで一体化している。使用するアルミ箔8は、厚さ1ないし100ミクロン程度のものを使用するため、このように予めゴムシート9に接合した状態で用いると、作業性がよくかつ破損したり皺がよったりしないため有利である。
【0013】
この例おいて用いたシート状温調素材6は、熱を吸収・保持・放出することで温度調節機能を発揮する物質を含有するシートが使用できるが、これを省略することもできる。このシート状温調素材6を構成する温度調節機能を発揮する物質は、直径数ミクロンのマイクロカプセル形態をなしものを用い、これをシート材料中に混入されているものが使用できる。このようなシート状温調素材6を用いることにより、熱線反射金属層との相乗的な効果が発揮されより好ましい断熱地下たびが提供できる。
【0014】
またクッションシート7は、底部の柔軟性の確保或いは断熱機能の補助効果として用いることができるが、勿論これを省略してもよい。この場合に用いるクッションシート7としては、プラスチックスポンジ、繊維不織布等が使用できる。
【0015】
この例においては、以上のように構成した地下たびにおいて、その外胛側方の踏付け部から土踏まず部にかけて延びるゴム片5を形成したことをも特徴としている。
このゴム片5は、屋根作業用の地下たびにおいてその作業者がしばしば屈んで作業中に一方の足を折り曲げて胛を屋根面に押付けた状態にして行うため、この部分が磨耗を受けてアッパー1部が破損したり汚損することを防ぐためのものである。このゴム片5を設けることにより、気兼ねなく屈んで作業することができ、屋根面での作業の効率化が図れる。
なおこのゴム片5は、踏付け部から土踏まず部にかけ、その下辺が接際部に沿って延び、全体として略流線型状にするとよく、1ないし数mm程度の厚さのゴムシートを裁断して接着や縫合によって取付けることができる。
【0016】
以上本発明を屋根作業用の断熱地下たびに適用した例に基づいて説明したが、本発明は勿論この実施例に限定されるものではない。
本発明を土木建築や農作業などの一般作業に供する地下たびに適用する場合、上述した実施例の断熱機能を発揮させる構成は踏襲しつつ、アッパー1外胛側方に固着したゴム片5を省略することができる。
また上述した実施例のような接際部を巻き上げにした接地底2に代わって平板上の接地底を用い、これを貼付け方式、縫付け方式或いは両者の併用によってアッパー1に取付けて地下たびを構成しても一向に差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例の概観を示す斜視図である。
【図2】図1のX部分を拡大した部分的な断面図である。
【図3】図2の主要部を拡大して各層を分離して示す断面図である。
【図4】本発明に使用するアルミ箔接合のゴムシートを示す平面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 アッパー
1A 中底
1B 補強布
1C 補強布
2 接地底
3 コハゼ
4 掛け糸
5 ゴム片
6 シート状温調素材
7 クッションシート
8 アルミ箔
9 ゴムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパーに接地底を取付けてなり、かつ底内部に熱線反射金属層を形成してなる地下たびであって、底形状と略相似形のゴムシートに上記熱線反射金属シートを接合した状態でアッパー底部と接地底との間に介在させたことを特徴とする断熱地下たび。
【請求項2】
アッパー底部と接地底との間にシート状温調素材を介在させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の断熱地下たび。
【請求項3】
アッパー底部と接地底との間にクッションシートを介在させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の断熱地下たび。
【請求項4】
アッパーに接地底を取付けてなり、かつ底内部に熱線反射金属層を形成してなる地下たびであって、底形状と略相似形のゴムシートに上記熱線反射金属シートを接合した状態でアッパー底部と接地底との間に介在させ、さらにアッパー外胛側方の踏付け部から土踏まず部にかけて延びるゴム片を固着したことを特徴とする屋根作業用の断熱地下たび。
【請求項5】
アッパー底部と接地底との間にシート状温調素材を介在させるようにしたことを特徴とする請求項4記載の屋根作業用の断熱地下たび。
【請求項6】
アッパー底部と接地底との間にクッションシートを介在させるようにしたことを特徴とする請求項4又は5記載の屋根作業用の断熱地下たび。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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