説明

断熱型カロリーメータ

【課題】熱容量の測定の誤差の原因となっている熱漏れを防止でき、測定者が見下ろす姿勢で楽に作業でき、試料の位置、向きが常に正しいことを容易に確認できる等、作業し易い断熱型カロリーメータを実現する。
【解決手段】真空容器22と、冷凍機により冷却される断熱容器フランジ28と、断熱容器フランジ28上に着脱可能に設けられた断熱容器29と、断熱容器29内で断熱容器フランジ28上に支持台35を介して設けられた上蓋付きアウターシールド30と、アウターシールド30内に設けられた上蓋付きインナーシールド31と、インナーシールド31内に設けられる試料セル32とを備え、インナーシールド31と試料セル32は、温度差が零となるように、それぞれに取り付けられた熱電対43及びヒータ44により制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の物質の熱容量を測定し、物質の比熱を測定するための断熱型カロリーメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の物質の比熱を測定するために、いろいろなカロリーメータが用いられている。
【0003】
従来、物質の比熱を測定する手段として、真空槽内において、被測定試料封入された第1の試料セルと、第1の試料セルと実質的に同一な空の第2の試料セルと、を熱源により外部から加熱し、第1の試料セル、第2の試料セル及び熱源の温度を検出してそれぞれ時間的に集積し、第1の試料セルと第2の試料セルの温度が同一である時の各時刻における熱源の温度に基づき被測定試料の比熱を算出する点が公知である(特許文献1参照)。
【0004】
また、加熱された試料を測定容器中に投下し、測定容器の温度上昇から試料の比熱を求める比熱測定装置であって、試料を収容する加熱容器及び前記加熱容器を加熱するヒータを備える加熱部と、加熱された試料が投入される測定容器及び前記測定容器を包囲する断熱材を備える測定部と、測定容器に試料を投入した後に測定部を振蘯する振蘯手段と、を備えることを特徴とする試料投下型比熱測定装置が知られている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、試料に光を照射し、該照射による該試料の上昇温度を測定する断熱光カロリーメータであって、該光の照射中及び照射前後において、周囲温度と試料温度を等しい温度に保つことを特徴とする断熱光カロリーメータが知られている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−156345号公報
【特許文献2】特開2005−221402号公報
【特許文献3】特開2005−003633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように比熱の測定のためには、従来、いろいろな装置があるが、比熱の測定では、熱漏れが生じやすく、比熱の測定の誤差の原因となっている。本発明は、この熱漏れを極力防止するための構成を実現し、より高精度な測定を可能とすることを課題とする。
【0008】
また、本発明は試料セルを装置に組み込む際に、測定者が見上げる姿勢よりも見下ろす姿勢で楽に作業でき、試料セルの位置、向きが常に正しいことを容易に確認できる等、作業し易い断熱型カロリーメータを実現することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために、真空容器と、該真空容器内に設けられ冷凍機低温端により冷却される断熱容器フランジと、該断熱容器フランジ上に着脱可能に設けられた断熱容器と、該断熱容器内で前記断熱容器フランジ上に支持台を介して設けられた上蓋付きアウターシールドと、該アウターシールド内に設けられた上蓋付きインナーシールドと、該インナーシールド内に設けられる試料セルとを備えた断熱型カロリーメータであって、前記インナーシールドは、前記アウターシールドの上部に糸で吊持されており、該アウターシールドの上蓋を開いてアクセス可能であり、 前記試料セルは、被測定対象である試料を収容するものであり、前記インナーシールド内にその上蓋を開いて装入され、糸でインナーシールドの上部に吊持可能であり、前記インナーシールドと試料セルは、温度差が零となるように、それぞれに取り付けられた熱電対及びヒータにより制御される構成であることを特徴とする断熱型カロリーメータを提供する。
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、真空容器と、該真空容器内に設けられ冷凍機低温端により冷却される断熱容器フランジと、該断熱容器フランジ上に着脱可能に設けられた断熱容器と、該断熱容器内で前記断熱容器フランジ上に支持台を介して設けられた上蓋付きアウターシールドと、該アウターシールド内に設けられた上蓋付きインナーシールドと、該インナーシールド内に設けられる試料セルとを備えた断熱型カロリーメータであって、前記インナーシールドは、前記アウターシールドの上部に糸で吊持されており、該アウターシールドの上蓋を開いてアクセス可能であり、前記試料セルは、被測定対象である試料を収容するものであり、前記インナーシールド内にその上蓋を開いて装入され、糸でインナーシールドの上部に吊持可能であり、前記アウターシールド、インナーシールド、インナーシールド上蓋及び試料セルには、それぞれ第1のヒータ、第2のヒータ、第3のヒータ及び第4のヒータが設けられており、前記アウターシールドとインナーシールドに、第1の熱電対の一端と他端がそれぞれ取り付けられており、該第1の熱電対によりアウターシールドとインナーシールドとの温度差を検知し、アウターシールドが常に一定温度だけインナーシールドよりも低い温度になるように、第1のヒータが制御され、前記インナーシールドと試料セルに、第2の熱電対の一端と他端がそれぞれ取り付けられており、該第2の熱電対によりインナーシールドと試料セルの温度差を検知し、該温度差が零となるように、前記第2のヒータが制御される構成であることを特徴とする断熱型カロリーメータを提供する。
【0011】
前記断熱容器は、アウターシールドより低い温度にされていることが好ましい。
【0012】
前記真空容器内であって、前記断熱容器を覆うように、断熱容器の温度と室温の間の温度に冷やされる輻射シールドが着脱可能に取り付けられていることが好ましい。
【0013】
前記断熱容器フランジは、前記冷凍機低温端の上に設けられていることが好ましい。
【0014】
前記インナーシールド上蓋と前記インナーシールドのそれぞれの内面の間に第3の熱電対を設けて、インナーシールド上蓋とインナーシールドの温度差がゼロになるよう前記第3のヒータを制御し、インナーシールド上蓋とインナーシールドの等温制御を行ことにより、試料セルを包む内面が試料セルと等しい温度となるような構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、次のような効果が生じる。
(1)インナーシールド開口部は上方向きになるので、作業をする場合、見上げる姿勢よりも見下ろす方が非常に楽で安定する。上向き開口の場合、室内照明は容易にインナーシールド内部まで照らしてくれる。このため、リード線の状況、試料セルの位置、向きが常に正しいことを容易に確認できるようになる。
【0016】
(2) 断熱型カロリーメータ全体を支えるためには、真空容器フランジに直接、支持足を取り付ければよく、後記する比較例に必要な架台のように装置から張り出させる必要はないので、実験室スペースを余分に占拠することもなく、装置へのアクセス、作業スペースも足によって遮られることはない。
【0017】
(3)真空容器、断熱容器、輻射シールドはすべてそれぞれの下部に配置されるフランジなどに載せられた後、固定される。このため、フランジを留めているボルト・ナットを外しても装置から真空容器などが落下することはない。
【0018】
(4)本発明によれば、試料セルの位置、向きにより測定結果に影響を与えることが実験的に解明されたため、常に正しいことを容易に確認できる利点は、より高精度な測定を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る断熱型カロリーメータを実施するための最良の形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【0020】
(原理)
本件発明に係る断熱型カロリーメータの原理についてまず説明する。物質の熱容量Cの測定は、既知の熱量ΔQを加えたときの温度上昇ΔTを測定すれば、次式から熱容量Cを求めることができる。そして、この熱容量を質量で除すれば物質の比熱を決定することができる。
C=ΔQ/ΔT(J/K)
【0021】
ところが、熱容量の測定では、熱漏れが大きな誤差の原因となっている。本件発明に係る断熱型カロリーメータは、この熱漏れを極力防止するための構成を採用しているが、その構成、原理について図1において説明する。
【0022】
本件発明に係る断熱型カロリーメータ1は、断熱容器2を有し、この断熱容器2内に、インナーシールド3と、インナーシールド3の外側を囲うアウターシールド4とを備えている。
【0023】
断熱容器2は、冷凍機低温端5により冷却される断熱容器フランジ6に取り付けられていて、内部を高真空に保つことができる。測定中、断熱容器2内を高真空に保つことで空気などのガスによる対流・伝導伝熱を排除する。
【0024】
ただし、熱容量測定開始前に、予冷のため、ガス管18を通して断熱容器2内へガスハンドリング装置(図示せず)から熱交換ガスが送気される。このガスは断熱容器2内部に配置されているアウターシールド4、インナーシールド3、試料セル8などが目的の温度まで冷却された後、真空ポンプによって排気される。その後、十分な高真空に達した後、熱容量の測定が開始される。
【0025】
断熱容器フランジ6及び断熱容器2は、真空容器7内に配置されている。この真空容器7内は、真空吸引管19を通して真空ポンプによって真空吸引され高真空に保つことで、空気などのガスによる対流・伝導伝熱に起因する室温から断熱容器フランジ6及び断熱容器2への熱侵入を防いでいる。
【0026】
真空容器7と、断熱容器フランジ6及び断熱容器2の間には、必要に応じて輻射シールド(図示せず)を設けてもよい。この輻射シールドは、室温と断熱容器フランジ6の温度との間の温度に冷やされることが好ましい。この輻射シールドの冷却源として、例えば液体窒素槽を設ける構成、又は機械式冷凍機中間段に熱接触させる、等がある。
【0027】
インナーシールド3内には、試料セル8が配置されており、測定の際には、この試料セル8内に測定される試料が収納される。試料セル8には、温度計9、ヒータ10、熱電対11の一端が取り付けられている。
【0028】
インナーシールド3の外面にはヒータ12、内面には試料セル8に取り付けられた熱電対11のもう一端がそれぞれ取り付けられている。試料セル8とインナーシールド3の温度差を、熱電対11で検知し、両者が等しい温度になるように、インナーシールド3のヒータ12をPID制御するような構成となっている。
【0029】
このような等温制御は、インナーシールド3の内面と試料セル8の間に取り付けた熱電対11で行うが、より精度を上げるため、インナーシールド上蓋13とインナーシールド3のそれぞれの内面の間に別の熱電対14を設けて、インナーシールド上蓋13とインナーシールド3の温度差がゼロになるようインナーシールド上蓋13の外面に取り付けられたヒータ15をPID制御し、インナーシールド上蓋13とインナーシールド3の等温制御を行う。これにより、試料セル8を包む全ての内面が試料セル8と等しい温度となる。
【0030】
このような構成を採用することにより、試料セル8は測定中絶えず擬似的な断熱状態に置かれる。ここで、「擬似的な断熱状態」とは、試料セル8の温度と試料セル8を囲うインナーシールド3を絶えず等しい温度に制御することで得られる。即ち、試料セル8と周囲のインナーシールド3が等しい温度にあると、輻射・伝熱による熱の流出と流入が等しくなり互いに打ち消しあうため、熱の流出入が無いとみなせる。
【0031】
アウターシールド4にもヒータ16が取り付けられており、熱電対17によりインナーシールド3との温度差を検知し、常に一定温度だけインナーシールド3よりも低い温度になるよう、ヒータ16をPID制御するような構成とされている。
【0032】
アウターシールド4をインナーシールド3よりも低温に保つ理由は、インナーシールド3の温度制御を行うためである。インナーシールド3を加熱するにはインナーシールド3に取り付けてあるヒータ11を用いればよい。しかし、インナーシールド3を冷却するためには、インナーシールド3を冷やす冷却源が必要となる。この冷却源がアウターシールド4である。
【0033】
インナーシールド3よりもアウターシールド4のほうが低温であれば、その温度差によって、輻射と伝導によりインナーシールド3の熱がアウターシールド4へと移動し、インナーシールド3は冷却される。この加熱と冷却の繰り返し制御により、インナーシールド3は設定された温度で一定となるよう制御することができる。
【0034】
断熱容器フランジ6は、冷凍機低温端5に熱的に直接つなげられている。断熱容器フランジ6に固定されている断熱容器2は、常にアウターシールド4よりも低い温度に保たれる。これは、アウターシールド4の温度をインナーシールド3よりも低く保つことと同様の理由で、アウターシールド4の温度制御を行うために必要である。
【0035】
以上の構成から成る断熱型カロリーメータ1により、試料セル8を上記のように擬似断熱状態に置けば、試料を収納している試料セル8は新たな熱入力が無い限り一定温度であり続ける。
【0036】
熱容量の測定に際しては、試料に熱量ΔQを供給するが、そのために試料セル8に取り付けてあるヒータ10のジュール熱によりセルを加熱する。この加熱中において、試料セル8の温度上昇に合わせて各シールド3、4は規定の温度差を保つように制御される。
【0037】
そして、加熱前後の温度差及び試料セル8に加えた熱量から熱容量が算出され、さらに質量で除して比熱を算出する。
【0038】
断熱容器2内に配置されているアウターシールド4、インナーシールド3及び試料セル8の初期冷却は、冷凍機により冷却されている断熱容器2の内部に、熱交換ガスとして断熱容器2の温度以下の沸点を持つ不活性ガスを入れて行う。ガスの対流と伝導によりアウターシールド4、インナーシールド3及び試料セル8は断熱容器2と同じ温度まで冷却される。
【実施例】
【0039】
本発明に係る断熱型カロリーメータの実施例を図2において説明する。
【0040】
実施例の断熱型カロリーメータ20では、真空容器フランジ21上に、真空容器22が載置され、真空容器22の下端に形成されたフランジ23をシール(図示せず)を介して(真空容器22内の真空度を高めるためにシールを介する。)ボルト・ナットで着脱可能に取り付けられる。真空容器22は、真空吸引管22’を通して真空ポンプ(図示せず)により真空引きされている。真空容器フランジ21の上方には、冷凍機低温端24が設けられている。
【0041】
ペルチェ素子冷凍機25は、真空容器フランジ21及び真空容器22を冷却し、また、その上に配置される断熱容器フランジ28及び断熱容器29を冷却する機構である。この冷凍機として、本実施例では、ペルチェ素子冷凍機25を採用したが、その種類は問わず、各種の冷凍機が使用可能である。例えば、低温液体溜めによる冷却、パルスチューブ式冷凍機、G−M冷凍機、フロンガス循環冷凍機、ペルチェ素子冷凍機などである。但し、低温液体、パルスチューブ又はG−M冷凍機を採用した場合は、倒立させて使用する配置となるので、冷凍能力は低下する。
【0042】
図2中の水冷ヒートシンク26と架台27は、ペルチェ素子冷凍機25を採用するために必要になったに過ぎない。ここでの水冷ヒートシンク26の役割は、ペルチェ素子冷凍機25の下面の冷凍機高温端の冷却であり、その内部を冷却水が流れている。なお、ペルチェ素子冷凍機25の上面が上記冷凍機低温端24であり、下面が冷凍機高温端である。
【0043】
ここで、断熱容器フランジ28は、対向する断熱容器29と対になってその内部を高真空に保つために役立てられる。そして、冷凍機低温端24によりその内臓物よりも低温に冷却されているため、アウターシールド30、インナーシールド31の温度制御を可能にしている。また、初期冷却時には、このときだけガス管40を通して導入される熱交換ガスを介し、アウターシールド30、インナーシールド31、試料セル32を最低温度まで冷却する。ここで、「内臓物」とは、アウターシールド、インナーシールド、試料セルなどであり、これらに付属する蓋なども含む。
【0044】
水冷ヒートシンク26上には、ペルチェ素子冷凍機25及び断熱容器フランジ28を覆うように、筒状の輻射シールド33が載置され、水冷ヒートシンク26に着脱可能に取り付けられる。なお、この輻射シールド33は、必ずしも必要なものではなく、状況により設けられるものである。その状況とは、試料セル32の温度と室温が極端に違う場合である。この場合、輻射による装置内への熱侵入、または流出を防ぐために、輻射シールド33が必要となる。
【0045】
輻射シールド33内であって断熱容器フランジ28上に、断熱容器29が載置され、その下端に形成されたフランジ34をシールを介して(断熱容器29内の真空度を高めるためにシールを介する。)ボルト・ナットで断熱容器フランジ28に着脱可能に取り付けられる。
【0046】
断熱容器29内であって断熱容器フランジ28上に、低熱伝導材料(ステンレスなど)で形成された支持台35によって、アウターシールド30が固定されている。アウターシールド30の上端には、熱伝達を促進する機構を取り付けたアウターシールド上蓋36が着脱可能に取り付けられている。
【0047】
本実施例では、アウターシールド30の上端にフィンガー(図示せず)と呼ばれる部品をその円周に沿って複数個半田付けにて取り付けてある。この部品は熱伝導率の高いベリリウム銅製で板ばね状となっている。このばねの力でフィンガー自身が、はめ込まれるアウターシールド上蓋36に密着し、アウターシールド30とアウターシールド上蓋36との間の熱の伝わりをよくする。
【0048】
さらに、アウターシールド30内には、アウターシールド30の上端から糸37で吊持されるようにして、インナーシールド31が設けられている。このインナーシールド31の上端には、インナーシールド上蓋38が載置されるように設けられている。ここで、インナーシールド31とインナーシールド上蓋38とは互いに独立して温度制御を行うため、熱的なつながりをゆるくするためにねじなどで固定をせず、上に載せるだけとしている。
【0049】
インナーシールド31上部に張り渡された懸架用の糸39によって、試料セル32が吊り下げられている。懸架用の糸39は、熱伝導率の低い材質 (例えば、ナイロンテグス)が用いられる。試料セル32内に、被測定対象である試料が収容されるようにした。ここで、試料セル32は容器として内部に試料を熱交換ガスと共に封入でき、ナイロンテグスなどの糸状のもので懸架できれば、形状は問わない。
【0050】
試料セル32には、温度計41、ヒータ42、熱電対43の一端が取り付けられている。インナーシールド31の外面にはヒータ44、内面には試料セル32に取り付けられた熱電対43のもう一端がそれぞれ取り付けられている。試料セル32とインナーシールド31の温度差を、熱電対43で検知し、両者が等しい温度になるように、インナーシールド31のヒータ44をPIDコントロールするような構成となっている。
【0051】
このような等温制御は、インナーシールド31の内面と試料セル32の間に取り付けた熱電対43で行うが、より精度を上げるため、インナーシールド上蓋38とインナーシールド31のそれぞれの内面の間に別の熱電対45を設けて、インナーシールド上蓋38とインナーシールド31の温度差がゼロになるようインナーシールド上蓋38外面に取り付けられたヒータ46をPID制御し、インナーシールド上蓋38とインナーシールド31の等温制御を行う。これにより、試料セル32を包む全ての内面が試料セル32と等しい温度となる。
【0052】
このような構成を採用することにより、試料セル32は測定中絶えず擬似的な断熱状態に置かれる。ここで、「擬似的な断熱状態」とは、試料セル32の温度と試料セル32を囲うインナーシールド31を絶えず等しい温度に制御することで得られる。即ち、試料セル32と周囲のインナーシールド31が等しい温度にあると、輻射・伝熱による熱の流出と流入が等しくなり互いに打ち消しあうため、熱の流出入が無いとみなせる。
【0053】
アウターシールド30にもヒータ47が取り付けられており、熱電対48によりインナーシールド31との温度差を検知し、常に一定温度だけインナーシールド31よりも低い温度になるよう、ヒータ47をPID制御するような構成とされている。
【0054】
アウターシールド30をインナーシールド31よりも低温に保つ理由は、インナーシールド31の温度コントロールを行うためである。インナーシールド31を加熱するにはインナーシールド31に取り付けてあるヒータ44を用いればよい。しかし、インナーシールド31を冷却するためには、インナーシールド31を冷やす冷却源が必要となる。この冷却源がアウターシールド30である。
【0055】
断熱容器フランジ28は、冷凍機低温端24に熱的に直接つなげられている。断熱容器フランジ28に、固定されている断熱容器29は、常にアウターシールド30よりも低い温度に保たれる。これは、アウターシールド30の温度をインナーシールド31よりも低く保つことと同様の理由で、アウターシールド30の制御を行うために必要である。
【0056】
(作用)
以上の構成からなる本発明に係る断熱型カロリーメータ20の実施例における作用を説明する。
【0057】
試料の熱容量を測定する場合は、真空容器22、輻射シールド33及び断熱容器29を、それらを固定しているボルト・ナットをはずして取り除いた状態とする。そして、アウターシールド上蓋36を開け、さらにインナーシールド上蓋38を開けて、予め試料を収容している試料セル32を懸架用の糸39に取り付けて試料セル32を吊り下げる。
【0058】
そして、インナーシールド上蓋38を閉じ、アウターシールド上蓋36を閉じる。さらに、断熱容器29を断熱容器フランジ28に、輻射シールド33を水冷ヒートシンク26に、真空容器22を真空容器フランジ21に、順次、ボルト・ナットで固定して取り付ける。
【0059】
熱容量測定開始前に、予冷のため、ガス管18を通して断熱容器2内へガスハンドリング装置(図示せず)から熱交換ガスが送気される。このガスは断熱容器2内部に配置されているアウターシールド4、インナーシールド3、試料セル8などが目的の温度まで冷却された後、真空ポンプによって排気される。その後、十分な高真空に達した後、熱容量の測定が開始される。
【0060】
この状態で、熱容量の測定に際しては、試料に熱量ΔQを供給するが、そのために試料セル32に取り付けてあるヒータ42のジュール熱によりセルを加熱する。この加熱中において、試料セル32の温度上昇に併せて、インナーシールド31及びアウターシールド30は、規定の温度差を保つように制御される。
【0061】
これにより、試料セル32を擬似断熱状態に置いて、試料を収納している試料セル32には新たな熱入力が無い限り一定温度であり続ける。そして、加熱前後の温度差及び試料セル32に加えた熱量から熱容量が算出され、さらに質量で除して比熱を算出する。
【0062】
なお、アウターシールド30内に配置されているインナーシールド31及び試料セル32の初期冷却は、断熱容器29内に、熱交換ガスを入れて行う。熱交換ガスは冷却終了後に排気される。
【0063】
以上の測定の際には、本発明に係る断熱型カロリーメータ20の構成によると、装置の上方からアクセスして、アウターシールド上蓋36を開け、さらにインナーシールド上蓋38を開けて、試料セル32のセット等の作業が可能であるから、作業がし易い。
【0064】
ところで、本発明者らは、本発明の研究開発の過程で、上記原理を実施するために、上記実施例以外にもいろいろな構成を試作し、検討した。その一つを、ここでは、比較例として以下において説明するが、上記実施例は、この比較例に較べて、後記するような顕著な効果がある。
【0065】
(比較例)
図3によって、比較例である断熱型カロリーメータ50を説明する。架台足51にトッププレート52が支持されており、トッププレート52に真空容器フランジ53が取り付けられている。
【0066】
真空容器フランジ53には、真空容器54がその上端に形成されたフランジ55をボルト・ナットなどで固定して取り付けられる。また、真空容器フランジ53には、2段式の冷凍機56が取り付けられ、冷凍機56の中間段57には輻射シールド取付用フランジ58が取り付けられている。
【0067】
真空容器54内において、輻射シールド取付用フランジ58の下面には、輻射シールド59が、その上端に形成されたフランジ60がボルト・ナットで着脱可能に固定されることにより、取り付けられている。また、輻射シールド59の内部には、冷凍機低温端61が配置され、冷凍機低温端61には断熱容器フランジ62が直接接触して、熱伝達するように取り付けられている。
【0068】
断熱容器フランジ62には、断熱容器63がシールを介してボルト・ナットで固定して取り付けられている。また、断熱容器63内で、断熱容器フランジ62には、アウターシールド64のアウターシールド上蓋65が、糸66によって吊持されて取り付けられており、アウターシールド64本体はインナーシールド67を覆うように下から持ち上げ、アウターシールド上蓋65にねじ込み等の手段によって着脱可能に取り付けられる。
【0069】
インナーシールド67は、本体がアウターシールド上蓋65から吊り下げられていて、インナーシールド下蓋68は下から支えながらネジ、ワイヤーなどで半固定される構成となっている。ここで「半固定」とは、インナーシールド下蓋68は、インナーシールド67に固定されているが、インナーシールド67と、インナーシールド下蓋68は別々に温度制御を行うため、熱的なつながりを強くしないように緩めに固定することを言う。
【0070】
試料セル70は、インナーシールド上部71よりたらされた懸架用の糸72による懸架される。特に、試料セル70の取り付け取り外しは、図4に示すように、懸架用の糸72をインナーシールド67上部71の中央に開けた穴73を通し、インナーシールド67外まで引き回し、この糸72を上下させて行うことができる構成となっている。懸架用の糸72は、それぞれ熱伝導率の低い材質 (例えばナイロンテグス)が用いられる
【0071】
(本発明の特徴等について)
以上が比較例の構成であるが、本件発明に係る断熱型カロリーメータ20の技術的特徴、効果等について、本発明の実施例をこの比較例の断熱型カロリーメータ50と比較すると、より明確となるので、以下において、本発明の実施例の技術的特徴、効果等を、この比較例と比較して説明する。
【0072】
(1)作業の容易化
本発明の断熱型カロリーメータ20の測定、メインテナンス等においては、例えば、試料セル32の取り付け、取り外しの作業、熱電対のリード線の状況、試料セル32の位置、向きの確認の作業等、いろいろな作業が行われる。
【0073】
本発明に係る断熱型カロリーメータ20によれば、インナーシールド31内の状況を簡単に目視できる。即ち、上記実施例のインナーシールド31の開口部は上方向きになるので、各種の作業をする場合、測定作業者が見下ろす姿勢をとることができる。作業者としては、見上げる姿勢よりも見下ろす方が非常に楽で安定する。
【0074】
また、上向き開口の場合、室内照明は容易にインナーシールド31内部まで照らしてくれる。このため、試料セル32に取り付けられた熱電対のリード線の状況、試料セル32の位置、向きが常に正しいことを容易に確認できるようになる。以上のとおり、本発明に係る断熱型カロリーメータ20によれば、後記する比較例の場合のような作業の困難さから開放される。
【0075】
比較例の断熱型カロリーメータ50では、吊り下げられたインナーシールド67の開口部は下方向きであるため、インナーシールド67内の熱電対のリード線、セルの様子(熱電対のリード線同士、リード線と試料セル70が絡まっていないか、試料セル70が所定の位置に正しい姿勢で吊られているか、等)を確認するためには、下から覗き込むか鏡を使わねばならない。
【0076】
さらに、インナーシールド67の開口部が下方向きだと、室内の照明はインナーシールド67内に届かないため、懐中電灯などを使う必要がある。ここで試料セルの位置、向きの違いが測定結果に無視できない影響を及ぼすことは今回の一連の研究開発段階で実験的に確認している。
【0077】
インナーシールド67、試料セル70の熱電対のリード線は、熱伝導を考慮し、細くて(直径0.1mm程度)長いもの(30cm程度)を用いている。加えて、10本程度の多数の線がさほど広くない空間に納められている。
【0078】
このような状況を不自然な姿勢(もしくは鏡越し)で、不自由な照明により確認し、必要となればピンセットなどを使って切れたり絡んだりしやすい熱電対のリード線を整理しなければならない。特に断線した場合、上記の状況下で半田ごてを操り補修するのは非常に困難な作業となる。
【0079】
(2) 省スペース化
本発明に係る断熱型カロリーメータ20によれば、断熱型カロリーメータ20全体を支えるためには、真空容器フランジ21に直接、支持足49を取り付ければよく、後記する比較例に必要な架台のように装置から張り出させる必要はないので、実験室スペースを余分に占拠することもなく、装置へのアクセス、作業スペースも支持足49によって遮られることはない。
【0080】
比較例の断熱型カロリーメータ50では、断熱型カロリーメータ50の装置全体を吊り下げるため、トッププレート52(トップフランジ)を架台足51に載せなければならない。そのため、装置の外側には架台足51が複数本配置される。この架台足51は、測定の作業場所や実験室のスペースを余分に占拠し、架台足51のために装置へのアクセス及び作業スペースが限定される。
【0081】
(3)各シールドの取り付け、取り外しの容易
本発明に係る断熱型カロリーメータ20によれば、真空容器22、断熱容器フランジ28、輻射シールド33はすべてそれぞれの下部に配置される真空容器フランジ21などに載せられた後、固定される。このため、真空容器22の下端のフランジを留めているボルト・ナットを外しても装置から真空容器22などが落下することはない。
【0082】
従って、補助作業者や支持台は不要となり、一人で作業してもボルトなどを外し、その後、真空容器22などを持ち上げて撤去すればよく、安定・安全な作業が実現する。
【0083】
アウターシールド30に関しては、アウターシールド30本体は断熱容器フランジ28に固定されているので取り外す必要がなく、アウターシールド30本体に比べ非常に軽い、アウターシールド上蓋36のみを取り外せばよい。この作業はビンの蓋を開ける程度の簡便さである。ただし、断熱型カロリーメータ20の装置全体の断熱性能を維持するため、インナーシールド31はアウターシールド30から、試料セル32はインナーシールド31から懸架されている。
【0084】
比較例の断熱型カロリーメータ50では、アウターシールド64、断熱容器63、真空容器54は、上方に固定もしくは外側から懸架されている輻射シールド取付用フランジ58、断熱容器フランジ62やアウターシールド上蓋65にボルト・ナットなどで固定されている。従って、これらを取り外すとき、一方で輻射シールド59などを手又は支持台で支えた状態でボルト・ナットを取り外す必要がある。
【0085】
このような作業を、支持台又は補助作業者なしで、一人で行うのは困難かつ危険である。支持に失敗すれば、真空容器54などは落下し装置の破損を招くばかりではなく、作業者の怪我の危険性もある。
【0086】
インナーシールド下蓋68は、例えば、アウターシールド64を取り外すことを考えれば軽くて楽であるが、インナーシールド下蓋68とインナーシールド67本体は、概ね熱電対とヒータ用のリード線で結ばれている構成になっていることが一般的である。従って、取り外すとき、手を滑らすなどした場合は、熱電対のリード線などで底蓋がぶら下がることとなる。これは断線などの重大な装置の破損を招くという問題が生じる。
【0087】
以上のとおり、本発明に係る断熱型カロリーメータ20によれば、比較例の断熱型カロリーメータ50に比べ試料の交換、メインテナンス時に省労力化が期待でき、安全でミスの少ない安定した作業が行える利点を持つばかりでなく、省スペース化を図ることも可能となる。
【0088】
以上、本発明に係る断熱型カロリーメータを実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る断熱型カロリーメータは、上記のような構成であり、各種の物質の熱容量を測定し、物質の比熱を測定するために適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る断熱型カロリーメータの原理を説明する図である。
【図2】本発明に係る断熱型カロリーメータの実施例を説明する図である。
【図3】断熱型カロリーメータの比較例を説明する図である。
【図4】比較例の一部を説明する図である。
【符号の説明】
【0091】
(図1)
1 断熱型カロリーメータ
2 断熱容器
3 インナーシールド
4 アウターシールド
5 冷凍機低温端
6 断熱容器フランジ
7 真空容器
8 試料セル
9 試料セル付設の温度計
10 試料セル付設のヒータ
11 試料セルとインナーシールドに取り付けられる熱電対
12 インナーシールド外面付設のヒータ
13 インナーシールド上蓋
14 インナーシールド上蓋とインナーシールドに取り付けられる熱電対
15 インナーシールド上蓋付設のヒータ
16 アウターシールド付設のヒータ
17 アウターシールドとインナーシールドに取り付けられる熱電対
18 ガス管
19 真空吸引管
(図2)
20 断熱型カロリーメータ
21 真空容器フランジ
22 真空容器
23 真空容器のフランジ
24 冷凍機低温端
25 ペルチェ素子冷凍機
26 水冷ヒートシンク
27 架台
28 断熱容器フランジ
29 断熱容器
30 アウターシールド
31 インナーシールド
33 輻射シールド
34 断熱容器下端のフランジ
35 支持台
36 アウターシールド上蓋
37 インナーシールド吊持用糸
38 インナーシールド上蓋
39 試料セル懸架用の糸
40 ガス管
41 試料セル付設の温度計
42 試料セル付設のヒータ
43 試料セルとインナーシールドに取り付けられた熱電対
44 インナーシールド付設のヒータ
45 インナーシールド上蓋とインナーシールドに取り付けられた熱電対
46 インナーシールド上蓋付設のヒータ
48 アウターシールドとインナーシールドに取り付けられた熱電対
(図3、図4)
50 断熱型カロリーメータ
51 架台足
52 トッププレート
53 真空容器フランジ
54 真空容器
55 真空容器のフランジ
56 2段式の冷凍機
57 冷凍機の中間段
58 輻射シールド取付用フランジ
59 輻射シールド
60 輻射シールドのフランジ
61 冷凍機低温端
62 断熱容器フランジ
63 断熱容器
64 アウターシールド
65 アウターシールド上蓋
66 糸
67 インナーシールド
68 インナーシールド下蓋
69 ワイヤー
70 試料セル
71 インナーシールド上部
72 懸架用の糸
73 インナーシールド上部中央に開けた穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、該真空容器内に設けられ冷凍機低温端により冷却される断熱容器フランジと、該断熱容器フランジ上に着脱可能に設けられた断熱容器と、該断熱容器内で前記断熱容器フランジ上に支持台を介して設けられた上蓋付きアウターシールドと、該アウターシールド内に設けられた上蓋付きインナーシールドと、該インナーシールド内に設けられる試料セルとを備えた断熱型カロリーメータであって、
前記インナーシールドは、前記アウターシールドの上部に糸で吊持されており、該アウターシールドの上蓋を開いてアクセス可能であり、
前記試料セルは、被測定対象である試料を収容するものであり、前記インナーシールド内にその上蓋を開いて装入され、糸でインナーシールドの上部に吊持可能であり、
前記インナーシールドと試料セルは、温度差が零となるように、それぞれに取り付けられた熱電対及びヒータにより制御される構成であることを特徴とする断熱型カロリーメータ。
【請求項2】
真空容器と、該真空容器内に設けられ冷凍機低温端により冷却される断熱容器フランジと、該断熱容器フランジ上に着脱可能に設けられた断熱容器と、該断熱容器内で前記断熱容器フランジ上に支持台を介して設けられた上蓋付きアウターシールドと、該アウターシールド内に設けられた上蓋付きインナーシールドと、該インナーシールド内に設けられる試料セルとを備えた断熱型カロリーメータであって、
前記インナーシールドは、前記アウターシールドの上部に糸で吊持されており、該アウターシールドの上蓋を開いてアクセス可能であり、
前記試料セルは、被測定対象である試料を収容するものであり、前記インナーシールド内にその上蓋を開いて装入され、糸でインナーシールドの上部に吊持可能であり、
前記アウターシールド、インナーシールド、インナーシールド上蓋及び試料セルには、それぞれ第1のヒータ、第2のヒータ、第3のヒータ及び第4のヒータが設けられており、
前記アウターシールドとインナーシールドに、第1の熱電対の一端と他端がそれぞれ取り付けられており、該第1の熱電対によりアウターシールドとインナーシールドとの温度差を検知し、アウターシールドが常に一定温度だけインナーシールドよりも低い温度になるように、第1のヒータが制御され
前記インナーシールドと試料セルに、第2の熱電対の一端と他端がそれぞれ取り付けられており、該第2の熱電対によりインナーシールドと試料セルの温度差を検知し、該温度差が零となるように、前記第2のヒータが制御される構成であることを特徴とする断熱型カロリーメータ。
【請求項3】
前記断熱容器は、アウターシールドより低い温度にされることを特徴とする請求項1又は2記載の断熱型カロリーメータ。
【請求項4】
前記真空容器内であって、前記断熱容器を覆うように、断熱容器の温度と室温の間の温度に冷やされる輻射シールドが着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1、2又は3記載の断熱型カロリーメータ。
【請求項5】
前記断熱容器フランジは、前記冷凍機の上に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の断熱型カロリーメータ。
【請求項6】
前記インナーシールド上蓋と前記インナーシールドのそれぞれの内面の間に第3の熱電対を設けて、インナーシールド上蓋とインナーシールドの温度差がゼロになるよう前記第3のヒータを制御し、インナーシールド上蓋とインナーシールドの等温制御を行ことにより、試料セルを包む内面が試料セルと等しい温度となるようにしたことを特徴とする請求項2記載の断熱型カロリーメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−133811(P2010−133811A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309505(P2008−309505)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、独立行政法人科学技術振興機構、独創的シーズ展開事業(独創モデル化)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(397036457)株式会社ジェック東理社 (4)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】