説明

断熱性シュリンクラベル、およびラベル付き容器

【課題】 不織布を断熱層として熱収縮性プラスチックフィルムに積層したシュリンクラベルであって、センターシールするための設備を投資することなく、また、乾燥工程が必要なく、生産効率に優れ、断熱性およびシール強度に優れる断熱性シュリンクラベルを提供する。
【解決手段】 断熱性シュリンクラベルおよびラベル付き容器であって、熱収縮性プラスチックフィルム層と、不織布シート層とを接着剤層を介して積層するシュリンクラベルからなり、かつ、当該不織布シート層が、当該フィルムと同じ材質であって、当該フィルム層に対して溶剤によるシール性を有する材質からなり、かつ、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成され、かつ、当該筒状のシュリンクラベルの周方向と熱収縮方向とを一致させた構成からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底筒状容器の胴部外周面に嵌め込み、加熱収縮させて緊締する断熱性シュリンクラベル、およびそれを用いたラベル付容器に関するものである。
更に、本発明は、カップ麺等の高温品に使用されるプラスチック容器や、チルド状態やホット状態の飲料容器に利用されるプラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の有底筒状容器の外周面に付けるための断熱性に優れたシュリンクラベル、およびそれを用いたラベル付容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の容器は、これらの容器の外表面に、装飾あるいは内容物表示等のために、文字、図形、記号、絵柄等からなる所望の印刷絵柄模様を施したラベルを装着している。
装着するラベルとしては、紙、あるいは、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の種々のプラスチックフィルムを使用している。
また、前記のプラスチックフィルム製のラベルとして、熱収縮性ラベル(以下「シュリンクラベル」という。)がある。
前記のシュリンクラベルを容器に巻き付ける方法としては、例えば、筒状、若しくは、袋状のラベルに少し余裕を持たせて一次包装した後、熱風、スチーム等によって該ラベルを容器外周面に熱収縮させる方法が知られている。
また、ラベルをある程度緊張状態で包装し、ラベルの端を容器の底部に折り込んで、該折り込み部をラベル同士の自己密着力または熱融着により一次包装した後、シュリンク処理させてラベルの弛みやシワを除去するストレッチシュリンク方法が知られている。
【0003】
従来から、スーパー、コンビニエンスストアー、自動販売機等で、プラスチックボトル、金属缶等の容器に入ったコーヒー等の飲料品が販売されており、そのうち保温器内で60℃程度に保温された所謂ホット飲料も販売されている。
上記のホット飲料は、保温器から取り出す際、容器の表面が直接手で持てない程度の表面温度となる場合があり、火傷する恐れがある。
また、保温器から取り出し後、外気に晒されて、飲料するときまでに常温に戻ってしまう場合がある。
【0004】
上記の課題を解決するために、従来、容器に断熱性を付与することのできるシュリンクラベルとしては、例えば、外側層である熱収縮性プラスチックフィルムと内側層である不織布シートとが積層接合されたラミネートフィルムにテープを使用すると共に、溶剤系接着剤で接着して筒状に成形される飲料充填容器用断熱性シュリンクチューブが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、熱収縮性フィルムの内側面に接着剤層が形成され、該接着剤層の内側に不織布が積層され、ホットメルト型接着剤を介して筒状に形成されるシュリンクラベルが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、外層が熱可塑性収縮フィルムシートで、内層が不織布となるように筒状にして、所要幅で重ね、接着剤を介してラミネートするか、または超音波や熱によるシールを行う容器包装用収縮フィルムが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−67189号公報(第4頁第42行〜第5頁第3行)
【特許文献2】特開2004−29463号広報(第3頁第50行〜第4頁3行)
【特許文献3】特開2003−246354号公報(第6頁第14行〜27行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の断熱性シュリンクラベルでは、当該ラミネートフィルムの両端部をテープ貼りにより筒状(チューブ状)にするため、テープ貼りのための新たなテープ部材、および設備投資が必要となる。また、テープ貼り工程において、新たにテープの位置調整不良による接着不良防止対策が必要となるという問題点があった。
また、不織布を熱収縮性プラスチックフィルムに積層したシュリンクラベルの厚みは、従来の熱収縮性プラスチックフィルムのみからなるシュリンクラベルの厚み、15μm〜60μmに対して、150μm〜170μm程度であり、かなりの厚みがあるため、従来と同じ装置をそのまま使用して、特許文献2および特許文献3に記載されるように、超音波シールや熱シールによりラベルをセンターシールして筒状に形成することが出来ないため、新たな設備投資が必要になってしまうという問題点があった。
また、新たな設備を投資しても、特許文献2のシュリンクラベルでは、ホットメルト型接着剤を使用しているため、当該ラベルの端面において、当該接着剤のはみ出しが生じるため、そのはみ出した部分が外観不良となるという問題点があった。
また、特許文献3のシュリンクラベルでは、接着剤を介してラミネートする場合、溶剤に希釈してから接着剤を塗布するため、後工程で溶剤を乾燥させて乾燥固化する必要があり、乾燥工程で、ラベルに熱がかかることによって、容器に装着する前に多少収縮してしまうという品質不良となる問題点があった。また、溶剤を乾燥するための時間が必要になり、生他のシール工程より産性に比べて劣るという欠点があった。
また、超音波等で熱シールした場合、通常、連続シールでなく、間欠シールであるため、センターシール全長に亘るシール加工に不向きである。
【0006】
本発明の目的は、不織布シートを断熱層として熱収縮性プラスチックフィルムに積層したシュリンクラベルであって、センターシールするための新たな設備を投資することなく、また、乾燥工程が必要なく、生産効率に優れ、断熱性およびシール強度に優れる断熱性シュリンクラベルを提供し、保温器から取り出した直後でも手で持ちやすく、ホット飲料充填用容器として有用なラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の断熱性シュリンクラベルは、熱収縮性プラスチックフィルム層と、不織布シート層とを接着剤層を介して積層するシュリンクラベルからなり、かつ、当該不織布シート層が、当該フィルムと同じ材質であって、当該フィルム層に対して溶剤によるシール性を有する材質からなり、かつ、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成され、かつ、当該筒状のシュリンクラベルの周方向と熱収縮方向とを一致させた構成からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の断熱性シュリンクラベルにおいて、前記の熱収縮性プラスチックフィルムと前記の不織布シートの材質が、ポリエステルフィルム、またはポリ乳酸フィルムであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の断熱性シュリンクラベルにおいて、前記の溶剤によるセンターシールのシール強度が、1N/15mm以上、18N/15mm以下の範囲にあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のラベル付き容器は、上記のいずれかの断熱性シュリンクラベルで装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の断熱性シュリンクラベルは、熱収縮性プラスチックフィルム(基材)の内面側に不織布シート(断熱層)を積層する構成からなり、基材と断熱層を同種の材質からなることにより、センターシールして筒状にする際、溶剤により接合することが可能であり、設備投資をすることなく、既存の設備をそのまま使用することが可能であり、接合部のシール強度に優れ、断熱性に優れる断熱性シュリンクラベルを提供し、保温器から安全に取り出せ、手で持ちやすいため、いわゆるホット飲料品充填用容器として有用なラベル付き容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記の本発明に係る断熱性シュリンクラベルおよびラベル付き容器について、以下に図面を参照しながら、実施の形態を詳述する。
まず、本発明にかかる断熱性シュリンクラベルを構成する層構成についてその二三を例示して図面を用いて説明する。
図1は、加熱前における本発明の断熱性シュリンクラベルの第1の実施例の層構成を示す概略的断面図である。
図1に示すように、断熱性シュリンクラベル10は、延伸フィルムからなる熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)と、不織布シート(断熱層8)とを接着層6を介して積層して構成され、必要に応じて、基材層2のラミネート面側に絵柄印刷層4を形成してよく、層構成、〔外側の面〕熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)/絵柄印刷層4/接着層6/不織布シート(断熱層8)〔容器側の面〕からなる。
図示しないが、外側の面を不織布シートとし、容器側の面を基材層2としてもよく、層構成、〔外側の面〕絵柄印刷層4/不織布シート(断熱層8)/接着層6/熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)〔容器側の面〕としてもよい。
【0013】
図2は、本発明の一実施例を示す有底筒状容器の胴部外周面に装着前の筒状シュリンクラベル20の断面図である。
図2に示すように、本発明の筒状の断熱性シュリンクラベル20は、シート状の耐熱性シュリンクラベル本体10の両端縁を重ね合わせ、その重ね合せ部に所望の幅で溶剤によるセンターシール14により筒状のシュリンクラベルとして形成されるものであり、前記の耐熱性シュリンクラベル本体20には、周方向に熱収縮するような熱収縮性を付与してある。
【0014】
図3は、本発明の一実施例を示す断熱性シュリンクラベル付き容器30の正面図である。
図3に示すように、断熱性シュリンクラベル付き容器30は、図3に示すような筒状シュリンクラベル20を有底筒状容器12の胴部外周面に熱収縮によって容器本体に密着固定してなるものである。
【0015】
本発明における熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)は、1軸方向、または2軸方向に延伸した延伸フィルムであって、耐熱性、印刷適性を有するものであれば特に限定されないが、具体的に、例えば、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリ乳酸系フィルム、延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、延伸ポリスチレン系樹脂フィルム、発泡ポリスチレン系樹脂フィルム、または発泡オレフィン系樹脂フィルム等の熱収縮性フィルムを使用することができる。
中でも、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリ乳酸系フィルムが、耐熱性に優れるため、ホット飲料用途に使用するのに好ましい。
そして、その熱収縮率が、周方向に80℃において5%〜40%程度となるように調整して製造した熱収縮性フィルムを使用することが好ましい。
ここで、熱収縮率とは、(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/(加熱前の寸法)×100という意味を持つ値である。
前記の基材層2の厚みとしては、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない範囲で適宜選択され、25μm〜60μmの範囲内にあることが好ましく、35μm〜50μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0016】
前記の基材層2に形成する印刷絵柄層4としては、基材層2の全面若しくは部分的に、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の印刷技術を用いて図、文字、記号等の絵柄を形成したものである。
印刷絵柄層4に使用されるインキとしては、基材層2と密着性があり、必要な耐性を有している一般的に用いられているインキが使用することが好ましく、耐熱性に富むグラビアインキで印刷することが望ましい。
なお、本発明において、上記の印刷絵柄層4としては、後述する筒状体を製造するため、前記の基材層2の両端部に設けない方が望ましい。
印刷絵柄層4の厚みとしては、特に限定されないが、1〜10μm位が好ましく、2〜5μm位がより好ましい。
また、印刷絵柄層4は、基材層2の表面若しくは裏面に形成することができるが、裏面(ラミネート面)側に形成する方が、外部からの損傷を防止することができるため好ましい。
【0017】
前記の不織布シート(断熱層8)とは、繊維を一定方向やランダムに集積して接着樹脂で化学的に結合させたり、機械的に絡ませたり、熱融着繊維で結合させてつくった布状シートのことをいい、本発明において、合繊長繊維不織布を使用することが、熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)を熱収縮したとき伸縮性、柔軟性、断熱性、強度に優れるため好ましい。
前記の合繊長繊維不織布は、樹脂を溶融して紡糸ノズルから出てくる多数の長繊維をシート状に集積して結合するスパンボンド法で製造される。
不織布の材質としては、具体的に、例えば、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、キュプラ等の繊維からなるものを使用することができるが、本発明において、基材層2と同じ材質からなることが、センターシールする際、シール強度に優れるので必要である。
不織布シートの目付量は、5〜30g/m2程度が断熱性に優れ、好ましい。
目付量が5g/m2未満であると、十分な保温効果、断熱効果が得られないので好ましくなく、30g/m2を超えると、収縮阻害となるため、好ましくない。
【0018】
なお、上記の各種の樹脂フィルムには、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、対候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。
その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0019】
次に、上記の本発明において、本発明に係るラベルを構成する前記の熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)と、不織布シート(断熱層8)とを積層する方法について説明すると、層間をドライラミネーション法、無溶剤型ラミネーション法、ウェットラミネーション法、押出しラミネーション法、共押出しラミネーション法、その他等で行うことができ、中でも、ドライラミネーション法が最も好ましい。
上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができる。
本発明において、ラミネート用接着剤を使用することにより、熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)と、不織布シート(断熱層8)の層間との密着性を向上すると共に、ラミネート用接着剤層の伸長度を向上させ、ラミネート加工の後加工適性を向上させ、熱収縮後も層間剥離せずにラミネート強度が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0020】
上記のラミネ−ト用接着剤の組成系としては、水性型、溶剤型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
かかるラミネ−ト用接着剤等としては、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、ポリアミド系、ポリイミド系、尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂系、フェノール樹脂系、エポキシ樹脂系、反応型(メタ)アクリル系、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム系、シリコーン系、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤等を好ましく使用でき、例えば、イソシアネ−ト系樹脂(硬化剤)と、水酸基を有するポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ウレタン変性ポリオール、エポキシ化合物(主剤)との二液硬化型接着剤が望ましい。
これらのラミネート接着剤を形成する方法としては、例えば、ダイレクトロールコート、リバースロールコート、グラビア(ダイレクト)コート、エアナイフコート、スクイズコート、ブレードコート、コンマコート、カーテンフローコート、キスコート、押し出しコート、その他の方法によって形成することができる。
かかるラミネート接着剤の塗布量としては、0.5g/m2〜10g/m2位(乾燥状態)が好ましく、1g/m2〜5g/m2位(乾燥状態)が望ましい。
上記の範囲に塗布量があると、外層と内層のラミネート強度が、1N/15mm〜30N/15mmの範囲にあるため好ましい。1N未満であると、層間剥離するおそれがあり、好ましくない。
【0021】
そして、前記の耐熱性シュリンクフィルムの両端部である外面層、内面層を重ね合わせ、しかる後、その端部の重合部分を接合部分として、溶剤で貼り合わせてセンターシ−ル部14を形成して、筒状体からなる熱収縮ラベルを得ることができる。
前記のラベル本体には、容器の周方向に熱収縮するような熱収縮性を付与してある。
【0022】
上記の溶剤によるセンターシール14に使用する溶剤としては、特に制限されないが、例えば、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系等の有機溶剤を使用することができる。
中でも、表面層として非晶性環状オレフィン系樹脂を使用する場合、炭化水素を使用することが好ましく、沸点、20℃〜70℃程度の炭化水素が作業性に優れるためより好ましい。
【0023】
また、ラベルの上端部には、切り込みを施して形成されたラベルの開封用の摘み片やノッチ(切離開始部)を設けることができる。そして、当該摘み片を起点としてミシン目が、刻設されてなり、上方から下方に向けて破断する構成のものである。また、下端部にも、上端部と同様に摘み片またはノッチを設けてもよい。
【0024】
耐熱性シュリンクラベルの被着体となる有底筒状容器としては、カップ麺等の高温品に使用されるプラスチック容器や、チルド状態やホット状態の飲料容器に利用されるポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶等の有底筒状容器を使用することができる。
【0025】
上記の容器の内容物としては、カップ麺等や、ビール、ワイン、コーヒー飲料、紅茶、ビタミン飲料、乳・乳飲料、ジュ−ス、炭酸飲料、水、お茶等の飲料水、あるいは、油脂、調味料、その他種々の液状食品等が挙げられる。
【0026】
上記で製造した耐熱性シュリンクラベル20の筒状体を、自動ラベル装着装置等に供給し、必要な長さに切断した後、前記の有底筒状容器の外表面に嵌着し、次いで、前記の有底筒状容器を、図示しないが、シュリンクトンネル等に通して、所定温度(例えば、80〜200℃程度)の熱風や、スチームや、赤外線等の輻射熱を作用させて筒状ラベル20を周方向に高収縮させて、耐熱性シュリンクラベル20で被覆することにより、断熱性シュリンクラベル付容器を製造することができる。
【実施例1】
【0027】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(断熱性シュリンクラベルの製造)
熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)として、厚さ35μmの熱収縮性の1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム〔LX60s、三菱樹脂(株)社製〕を用い、印刷機にはグラビア輪転印刷機を用いて、その上に絵柄印刷層としてポリウレタン樹脂系インキを用いて印刷した。
一方、断熱層8として、目付量、5g/m2の1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート〔ミライフT5、新日石プラスト(株)社製〕を準備した。
次に、接着層6として、2液硬化型接着剤〔主剤:タケラックA310/硬化剤:タケラックA3(混合比:主剤/硬化剤=10/1)、三井武田ケミカル(株)社製〕を用いて溶剤(酢酸エチル)で希釈して基材層2に乾固状態の塗布量が2.5g/m2となるように塗布した。
しかる後、前記の厚さ35μmの熱収縮性の1軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、前記の目付量、5g/m2の1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シートとを前記の2液硬化型接着剤を介して積層して貼り合せ、エージングを行った。
その結果、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6/1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、5g/m2)エンボス面となる実施例1の断熱性シュリンクラベルを製造した。
【0028】
(断熱性シュリンクラベル付き容器の製造)
しかる後、当該断熱層8を内面側にしてラベルの両端部を重ね合わせ筒状体とし、溶剤(ジオキソラン)を介して溶剤によりセンターシール部14を形成して、本発明にかかる筒状体からなる熱収縮性ラベル20を製造した。
次に上記の筒状体からなる熱収縮性ラベルを使用し、内容物を充填包装したポリエステル製ボトルの外表面に嵌着し、次いで、蒸気加熱式のシュリンクトンネルを80〜93℃で10秒間の加熱条件でシュリンクトンネル内を通して、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6/1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、5g/m2)からなる熱収縮性ラベル20を加熱収縮させて、当該熱収縮性ラベルを装着した金属製缶(容量500ml)を製造した。
上記で得られた断熱性シュリンクラベル付き容器30は、不織布シートを使用することによって優れた断熱性を付与することができ、保温器から安全に取り出すことができるため、チルド用やホット用の飲料容器に好適に使用することが可能であり、既存の筒貼り機を使用することができるので生産性に優れ、外観も優れ、ラベル付き容器を持ちやすくできるものであった。
なお、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて筒状に貼り合わせて筒状体からなる熱収縮性ラベル、およびおよびラベル付き容器を製造しても、上記と同様の効果が得られた。
【実施例2】
【0029】
断熱層8として、目付量、10g/m2の1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート〔ミライフT10、新日石プラスト(株)社製〕を使用すること以外、実施例1と同様にして、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6(塗布量3.0g/m2)/1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、10g/m2)となる実施例2の断熱性シュリンクフィルムを製造した。
しかる後、実施例1と同様にして、当該断熱層8を内面側にしてラベルの両端部を重ね合わせ筒状体とし、溶剤(ジオキソラン)を介して溶剤によりセンターシール部14を形成して、本発明にかかる筒状体からなる熱収縮性ラベル20を製造した。
次に上記の筒状体からなる熱収縮性ラベルを使用し、内容物を充填包装したポリエステル製ボトルの外表面に嵌着し、次いで、実施例1と同じ加熱条件でシュリンクトンネル内を通して、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6/1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、10g/m2)からなる熱収縮性ラベルを加熱収縮させて、当該熱収縮性ラベルを装着した金属製缶(容量500ml)を製造した。
上記で得られた断熱性シュリンクラベル付き容器は、不織布シートを使用することによって優れた断熱性を付与することができ、保温器から安全に取り出すことができるため、チルド用やホット用の飲料容器に好適に使用することが可能であり、既存の筒貼り機を使用可能なので生産性に優れ、ラベル付き容器を持ちやすくでき、また、外観も優れるものであった。
なお、センターシールに用いる溶剤として、ジオキソランに替えて、テトラヒドロフランを用いて筒状に貼り合わせても、上記と同様の効果が得られた。
【実施例3】
【0030】
断熱層8として、目付量、10g/m2の1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート〔ミライフT10E、新日石プラスト(株)社製、片面エンボス加工〕を使用し、エンボス加工面を内外面となるようにすること以外、実施例1と同様にして、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6/1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、10g/m2)となる実施例3の断熱性シュリンクフィルムを製造した。
しかる後、実施例1と同様にして、当該断熱層8を内面側にしてラベルの両端部を重ね合わせ筒状体とし、溶剤(ジオキソラン)を介して溶剤によりセンターシール部14を形成して、本発明にかかる筒状体からなる熱収縮性ラベル20を製造した。
次に上記の筒状体からなる熱収縮性ラベルを使用し、内容物を充填包装したポリエステル製ボトルの外表面に嵌着し、次いで、実施例1と同じ加熱条件でシュリンクトンネル内を通して、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚さ35μm)2/絵柄印刷層4/接着剤層6(塗布量3.0g/m2)/1軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、10g/m2)からなる熱収縮性ラベルを加熱収縮させて、当該熱収縮性ラベルを装着した金属製缶(容量500ml)を製造した。
上記で得られた断熱性シュリンクラベル付き容器は、不織布シートを使用することによって優れた断熱性を付与することができ、保温器から安全に取り出すことができるため、チルド用やホット用の飲料容器に好適に使用することが可能であり、既存の筒貼り機を使用可能なので生産性に優れ、ラベル付き容器を持ちやすくでき、また、外観も優れるものであった。
なお、センターシールに用いる溶剤として、ジオキソランに替えて、テトラヒドロフランを用いて筒状に貼り合わせても、上記と同様の効果が得られた。
【実施例4】
【0031】
断熱層8として、目付量、10g/m2の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート〔ミライフTY0303E、新日石プラスト(株)社製〕を使用すること以外、実施例1と同様にして、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、10g/m2、片面エンボス加工)となる実施例4の断熱性シュリンクラベルを製造した。
しかる後、実施例1と同様にして、当該断熱層8を内面側にしてラベルの両端部を重ね合わせ筒状体とし、溶剤(ジオキソラン)を介して溶剤によりセンターシール部14を形成して、本発明にかかる筒状体からなる熱収縮性ラベル20を製造した。
次に上記の筒状体からなる熱収縮性ラベルを使用し、内容物を充填包装したポリエステル製ボトルの外表面に嵌着し、次いで、実施例1と同じ加熱条件でシュリンクトンネル内を通して、層構成、1軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6(塗布量3.0g/m2)/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート製不織布シート8(目付量、10g/m2)、エンボス面からなる熱収縮性ラベルを加熱収縮させて、当該熱収縮性ラベルを装着した金属製缶(容量500ml)を製造した。
上記で得られた断熱性シュリンクラベル付き容器は、不織布シートを使用することによって優れた断熱性を付与することができ、保温器から安全に取り出すことができるため、チルド用やホット用の飲料容器に好適に使用することが可能であり、既存の筒貼り機を使用可能なので生産性に優れ、ラベル付き容器を持ちやすくでき、また、外観も優れるものであった。
なお、センターシールに用いる溶剤として、ジオキソランに替えて、テトラヒドロフランを用いて筒状に貼り合わせても、上記と同様の効果が得られた。
【実施例5】
【0032】
熱収縮性プラスチックフィルム(基材層2)として、厚さ35μmの熱収縮性の1軸延伸ポリ乳酸系フィルム〔エコロージュ、三菱樹脂(株)社製〕を用い、印刷機にはグラビア輪転印刷機を用いて、その上に絵柄印刷層としてポリウレタン樹脂系インキを用いて印刷した。
一方、断熱層8として、目付量、10g/m2の1軸延伸ポリ乳酸系不織布シート〔東洋紡績(株)社製〕を使用すること以外、実施例1と同様にして、層構成、1軸延伸ポリ乳酸系フィルム2(厚さ35μm)/絵柄印刷層4/接着剤層6(塗布量10g/m2)/1軸延伸ポリ乳酸系不織布シート8(目付量、10g/m2)となる実施例5の断熱性シュリンクフィルムを製造した。
しかる後、実施例1と同様にして、当該断熱層8を内面側にしてラベルの両端部を重ね合わせ筒状体とし、溶剤(ジオキソラン)を介して溶剤によりセンターシール部14を形成して、本発明にかかる筒状体からなる熱収縮性ラベル20を製造した。
次に上記の筒状体からなる熱収縮性ラベルを使用し、内容物を充填包装したポリエステル製ボトルの外表面に嵌着し、次いで、実施例1と同じ加熱条件でシュリンクトンネル内を通して、層構成、1軸延伸ポリ乳酸系フィルム(厚さ35μm)2/絵柄印刷層4/接着剤層6/1軸延伸ポリ乳酸系不織布シート8(目付量、10g/m2)からなる熱収縮性ラベルを加熱収縮させて、当該熱収縮性ラベルを装着した金属製缶(容量500ml)を製造した。
上記で得られた断熱性シュリンクラベル付き容器は、不織布シートを使用することによって優れた断熱性を付与することができ、保温器から安全に取り出すことができるため、チルド用やホット用の飲料容器に好適に使用することが可能であり、既存の筒貼り機を使用可能なので生産性に優れ、ラベル付き容器を持ちやすくでき、外観も優れるものであった。
更に、ラベルの材料として、ポリ乳酸系の基材および断熱層を使用した結果、使用後は微生物によって分解される生分解性プラスチックからなるため、環境保護にも役立つものである。
なお、センターシールに用いる溶剤として、ジオキソランに替えて、テトラヒドロフランを用いて筒状に貼り合わせても、上記と同様の効果が得られた。
【0033】
(実験1:ラミネート強度測定)
以上のように製造した実施例1〜6のシュリンクラベルを用いて、縦50mm、横15mmの短冊状に切断して測定用サンプルを作製した。
接着剤によるラミネート強度を引張測定機(株式会社オリエンテック製、商品名テンシロン)により、温度23℃、相対湿度50%下で、180°剥離方向に引張速度、50mm/分で端部で引張り、接着剤によるラミネート部を剥離して、最高剥離強度をラミネート強度とした。なお、結果を表1に示す。
【0034】
(実験2:センターシール強度測定)
上記で製造した実施例1〜5のシュリンクラベルを用いて、縦65mm、横15mmの長方形に切断して、溶剤によるセンターシール部14(シール条件;シール幅:3mm)が中央の位置になるようにして測定用サンプルを作製した。
次に、測定用サンプルを引張測定機(株式会社オリエンテック製、商品名テンシロン)により、温度23℃、相対湿度50%下で、180°剥離方向に引張速度、50mm/分で端部で引張り、溶剤によるセンターシール部14を剥離して、最高剥離強度をセンターシール強度とした。なお、結果を表1に示す。
【0035】
(実験結果)
【表1】

【0036】
(実験3:断熱性の測定)
断熱性の評価は、コーヒー飲料を充填済みの実施例1〜6の断熱性シュリンクラベル付き金属缶を準備し、恒温恒湿槽(設定温度、70℃、相対湿度、50%)に入れて1時間程度保管後、表面温度計を用いて、容器の外周面に密着固定したラベルに接触してから5秒後の表面温度を測定し、ラベルなしの金属缶の表面温度と比較を行った。なお、結果を表2に示す。
【0037】
(実験結果)
【表2】

【0038】
上記の実験1〜3の測定結果から明らかなように、実施例1〜5のシュリンクラベルの
センターシール強度は、1N/15mm以上、18N/15mm以下の範囲にあるため、流通過程において外部の衝撃により剥離することなく、必要な強度を有するという結果が得られた。
また、ラベルと容器の表面温度に3℃〜4℃程度の有意差がみられ、実施例1〜3のラベル付き容器は、容器の熱さを感じず、断熱性を有するという結果が得られた。
以上より、実施例1〜5の断熱性シュリンクラベルおよびそれを用いた容器は、断熱性に優れると共に、必要なセンターシール強度が得られ、従来の筒貼り機にて、問題なくセンターシール可能であるため、設備投資が不要であり、生産性に優れるため有用であるという結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】加熱前における本発明の断熱性シュリンクラベル10の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す有底筒状容器の胴部外周面に装着前の筒状シュリンクラベル20の断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す断熱性シュリンクラベル付き容器30の正面図である。
【符号の説明】
【0040】
2 熱収縮性プラスチックフィルム(基材層)
4 絵柄印刷層
6 接着層
8 不織布シート(断熱層)
10 断熱性シュリンクラベル本体
12 有底筒状容器
14 溶剤によるセンターシール
20 筒状の断熱性シュリンクラベル
30 断熱性シュリンクラベル付き容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性プラスチックフィルム層と、不織布シート層とを接着剤層を介して積層するシュリンクラベルからなり、
かつ、当該不織布シート層が、当該フィルムと同じ材質であって、当該フィルム層に対して溶剤によるシール性を有する材質からなり、
かつ、溶剤によるセンターシールにより筒状のシュリンクラベルとして形成され、
かつ、当該筒状のシュリンクラベルの周方向と熱収縮方向とを一致させた構成からなることを特徴とする断熱性シュリンクラベル。
【請求項2】
前記の熱収縮性プラスチックフィルムと前記の不織布シート層の材質が、ポリエステルフィルム、またはポリ乳酸フィルムであることを特徴とする請求項1記載の断熱性シュリンクラベル。
【請求項3】
前記の溶剤によるセンターシールのシール強度が、1N/15mm以上、18N/15mm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の断熱性シュリンクラベル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の断熱性シュリンクラベルが、装着されていることを特徴とする断熱性シュリンクラベル付き容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−30668(P2006−30668A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210340(P2004−210340)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】