説明

断熱衣料用編物及びその製造方法

【課題】 高い断熱性能を持ち、着用による屈曲や押圧を反復しても断熱性能の経時変化が少ない衣料用素材を編物で提供する。
【解決手段】 ダブルラッセル編み機において、複数の筬のうち、片方のニードル寄り筬の糸配列を部分的に抜くと共に、当該筬の編組織を横方向にループ列が繋がらない領域が断続的に形成されるよう設計することにより、片方側に複数の畝状凸部を持ち、他方側が平面状である断熱衣料用編物を提供できる。畝状凸部間の空間によって断熱効果を発揮する。畝状凸部が編組織なので運動性が良好である。畝状凸部の糸密度を平面部分より高くしたから、押圧力に対して耐性を発揮し、横倒れに対し優れた回復力を持ち、経時変化が少ない。他方側の形成面が平面状であるから、裏地又は表地と一体化させたり、防水加工や透湿防水フィルムの張り合わせ等の処理が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料に断熱性を付与するための編物素材に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料に断熱性を付与することは、様々な曲面において必要とされる。例えば消防士等が着用する防火服にあっては、表地が耐火性能を有し、中間層は外部からの熱を透過させない断熱性能を備えることが要求される。防火服は一般に、耐火性を有する表地と耐熱性及び断熱性を有する裏地との間に、透湿防水層及び断熱層を挟み込んだ構造を有している。特許文献1に防火服における断熱層について記載され、それによると、裏地の内面側にコード又は複数のコードより成るコード群を一定間隔に固定すると共に、それらの裏地からの突出高さを0.8〜2.0mmとして、コード又はコード群の間に空間層を形成する。この空間層により、軽量で断熱性に優れた構造の断熱層を提供できるとされている。
【特許文献1】特開2002−138309公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1において、防火服の断熱層を形成しているコードは複数本(8〜20本)の糸条を引き揃えて撚りを与えた加撚糸で構成され([0014]参照)、該コードを裏地に固定する手段としては織り込み・縫合・刺し子調ドビー織によると記載([0010]参照)されている。またコードを固定する裏地は、難燃性フィラメント糸あるいはスパン糸の織物で構成することが好ましいとされている([0015]参照)。従って、特許文献1に記載の断熱層は、加撚糸と織物組織とを複合した構造であるから、高い柔軟性・伸縮性を得るのが難しい。またコードの直径は、衣服としての運動容易性を損なわないようにするため0.8〜2.0mmの範囲とされ([0012]参照)、よって高い断熱性能を得るのは難しかった。さらにコードを加撚糸で構成したため、着用により屈曲や押圧を反復して受けると、コードが次第に押しつぶされ扁平になる。つまり、経時変化により、コードの嵩高さが失われて空間層の厚みが減少する結果、断熱性能が低下するという問題が有る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記問題点を解決するため、断熱性を発揮し得る素材を編物で提供することを目的とする。本発明に係る断熱衣料用編物(以下、本発明編物と言う)の製造方法の特徴とするところは、ダブルラッセル編み機により編物を製造する方法であって、糸を供給する複数の筬(おさ)のうち、片方のニードル寄りの筬における糸配列を部分的に抜くと共に、当該筬の編組織を横方向にループ列が繋がらない領域が断続的に形成されるよう設計することにより、片方側のニードルによる形成面に所定間隔を置いた複数の縦方向の畝状凸部を設け、他方側のニードルによる形成面を平面状とし、且つ、前記畝状凸部の糸密度を平面部分の糸密度より高くしたことである。
【0005】
前記本発明方法において採用する編組織の種類としては、例えば、片方側の形成面における縦方向の畝状凸部を主としてデンビー編とアトラス編とで形成し、他方側の平面状形成面を主として鎖編と挿入編とで形成することが考えられる。
【0006】
前記本発明方法において、鎖編を形成する筬を2つとし、一方の筬が受け持つ鎖編の形成領域と、もう一方の筬が受け持つ鎖編の形成領域とを異ならせてもよい。
【0007】
本発明は前記方法に基づき断熱衣料用編物を提供するものであり、その特徴とするところは、片方側の形成面に所定間隔を置いた複数の縦方向の畝状凸部が設けられ、他方側の形成面は平面状であり、前記畝状凸部の糸密度が平面部分の糸密度より高くなっていることである。
【0008】
本発明編物において、前記平面状形成面には、必要に応じ透湿防水層を設けてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明方法により製造される断熱衣料用編物は、片方側の形成面に所定間隔を置いた複数の縦方向の畝状凸部が設けられるので、畝と畝との間に形成される空間によって断熱効果を発揮する。本発明では畝状凸部を編組織で構成したから、運動性が良好であり、屈曲を繰り返しても容易に変形することがない。よって、畝状凸部の突出高さを高くしても優れた柔軟性を発揮させることができるから、運動容易性を損なうことなく、従来以上の断熱効果を持つ衣料用素材の提供が可能である。
本発明編物の畝状凸部は、その糸密度が平面部分の糸密度より高く、且つ、平面状形成面と一体に編成されているから、押圧力に対して耐性を発揮すると共に、横倒れに対し優れた回復力を持ち、経時変化による変形が少ない。従って、断熱性が要求される消防衣などの防火服や冷所作業用の防寒服などの中間層に用いれば、優れた断熱性能を長期間にわたり維持することができる。
本発明編物は、他方側の形成面が平面状であるから、中間層に用いた場合に、裏地又は表地と一体化させるのが容易である。また、この平面状形成面に、防水加工や透湿防水フィルムの張り合わせ等の様々な処理を施すことが容易である。
【0010】
片方側の形成面における縦方向の畝状凸部を主としてデンビー編とアトラス編とで形成し、他方側の平面状形成面を主として鎖編と挿入編とで形成した場合は、畝部分を比較的緻密な編構造に構成でき、平面部分については柔軟性・伸縮性に富んだ編構造にできるから、断熱衣料用として好適な特性を発揮する編物を提供できる。
【0011】
鎖編を形成する筬を2つとし、一方の筬が受け持つ鎖編の形成領域と、もう一方の筬が受け持つ鎖編の形成領域とを異ならせれば、例えば、畝状凸部が形成される領域と、平面部が形成される領域とで作用する糸張力に差異が有る場合、筬によって鎖編形成領域の分担を異ならせることで、糸張力の不均一を無くすことが可能となる。
【0012】
前記平面状形成面に透湿防水層を設けた場合は、本発明の断熱衣料用編物が、通常は保形性に乏しい透湿防水層の形態を安定させる裏打ち材として機能する。なお。透湿防水層を設ける断熱衣料用編物を耐熱性繊維で編成すれば、これは、防火服の中間層として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明編物10の一部を示す斜視図である。本発明編物10は、ダブルラッセル編み機により編成されるものであり、片方側の形成面F(本例では表面とする)に所定間隔を置いた複数の畝状凸部11が設けられ、他方側の形成面R(本例では裏面とする)は平面状に形成されたものである。図2に拡大して示すように、畝状凸部11どうしは平面部12で連結され、各畝状凸部11の間に断熱空間13が設けられている。すなわち、連続直線状の畝状凸部11が断熱空間13を間に挟んで配置された形態を有している。なお本例では、畝状凸部11が形成される側を便宜的に表面とするが、これを裏面として扱っても差し支えない。
【0014】
本発明編物10は、畝状凸部11の糸密度が平面部12の糸密度より高くなっており、且つ、畝状凸部11と平面部12とが一体に編成されている。このため畝状凸部11が、圧縮に対する耐性を持つと共に、横倒れに対し優れた回復力を持つという特性を有している。
【0015】
かかる編物形態は、ダブルラッセル編み機における次のような設定により得ることができる。本発明編物10の製造に用いるダブルラッセル編み機Dは、公知の製品を使用することができ、図3に示すように、前後(FRONT及びBACKと記す)にコース方向へ多数配列されたニードル(編み針)N1,N2と、ニードルN1,N2へ糸Sを供給するための筬L1〜L6とを有するものであって、表面側及び裏面側それぞれに独立した編組織を有する立体編物を編成できるものである。原則として、ニードルN1,N2の個数は前後で同数である。各筬L1〜L6は、ニードルN1(N2)と同数のガイドバーKを有し、各ガイドバーKには糸Sを通すガイドアイMが形成されている。本例では、各筬L1〜L6における糸配列及び編組織を以下の如く設定する。
【0016】
まず糸配列の設定は、図4に示す如く、表面側の筬L1及びL2については、ガイドバーK10本につき3つに糸を通し(●で表示)、残りの7つを抜く(○で表示)ものとする。中間の筬L3及びL4については、ガイドバーK10本につき4つに糸を通し、残りの6つを抜く。裏面側に近い筬L5については、ガイドバーK10本につき6つに糸を通し、残りの4つを抜く。なおL4とL5とは、図示の如く、糸を通す領域を異ならせる。裏面側の筬L6は、全てのガイドバーKに糸を通したフルセットとする。上記をまとめると次のように記述できる。
L1:3in7out
L2:3in7out
L3:4in6out
L4:4in6out
L5:4out6in
L6:full
【0017】
次に編組織の設計について述べる。編組織は筬の移動によって形成される。各筬L1〜L6の動きの指定は図5(A)〜(F)に示す通りであり、所定コース数ごとに反復される。なお図5に示した番号は、図4において便宜的にガイドバーに割り振った番号に対応している。筬L1については図5(A)に示す如くガイドバー3つ分の間をループを形成しつつ往復移動させる。筬L2については同図(B)に示す如くL1とは対称にガイドバー3つ分の間をループを形成しつつ往復移動させる。中間の筬L3は同図(C)に示す如く中間及び左右両端でループを形成させつつガイドバー6つ分の間を往復移動させる。筬L4及びL5は同図(D)(E)に示す如く動きが共通であり、ループを形成させつつガイドバー2つ分の間を往復移動させる。筬L6については同図(F)に示す如くガイドバー4つ分の間を往復移動させる。上述の如く指定された各筬L1〜L6の編組織は次のように記述される。
L1:2111/0111// (デンビー編)
L2:0111/2111// (デンビー編)
L3:2345/3210// (アトラス編)
L4:0001/1110// (鎖編)
L5:0001/1110// (鎖編)
L6:0033/3300// (挿入編)
【0018】
前述した糸配列及び編組織の設計に基づき、編物表面F側には、筬L1及びL2によるループ列で、縦方向(ウェール方向)に連続する畝状凸部11が形成される。筬L1及びL2のループ列は横方向(コース方向)に繋がらない領域を持つので、畝状凸部11と畝状凸部11との間に所定間隔の断熱空間13を設けることができる。他方、裏面R側については、筬L4及びL5による鎖編とフルセットの糸配列とした筬6による挿入編とにより、平面状の平面部12が形成される。そして筬L3による編組織(アトラス編)が、畝状凸部11を構成する筬L1及びL2のループを結束すると共に、畝状凸部11と平面部12とを一体に連結するので、畝状凸部11の糸密度を平面部12よりも高くして緻密化できると共に、横倒れに対する回復力を高めることができる。
【0019】
ところで、表面F側に畝状凸部11が形成される領域と、畝状凸部11間の平面部12とでは、糸に作用する張力が異なるので、仮に同じ筬で両方の領域の鎖編を形成すると、同じ筬の中で糸張力が甚だしく不均一になり、その結果、糸の弛み等が発生して糸切れを招くおそれがある。そこで本例では、鎖編を受け持つ筬を、畝状凸部11が形成される領域の鎖編を受け持つ筬L4と、畝状凸部11間の平面部12の鎖編を受け持つ筬L5とに分けることにより、各筬L4,L5における糸張力の均一化を図った。これにより糸張力の調整が容易になり、糸切れ等を招くおそれがなくなるから、生産性が向上する。
【0020】
なお前述した糸配列及び編組織の設計例は限定的なものではなく、適宜の変更が可能である。すなわち編物の片方側の形成面については、ループ列が横方向に繋がる領域と繋がらない領域とが断続するように設定すれば、複数の畝状凸部を所定間隔を置いて形成することが可能である。また他方側の形成面については平面状に形成できればよいから、必ずしもフルセットの糸配列を用いなくてもよい。すなわち、部分的な糸配列に設定した場合には、ループ列が横方向に繋がるよう編組織を設計することで達成できる。
【0021】
本発明編物10の素材は、用途に応じ適宜選択される。消防服等の防火衣料に用いる場合には、耐熱性・難燃性を備え且つ適度の弾性を有する繊維を用いるのが望ましい。このような繊維としては、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)・ポリイミド繊維・ポリアミドイミド繊維・モダクリル繊維(アクリル系繊維)・耐炎化アクリル繊維・難燃ポリエステル繊維・ポリクラール繊維・難燃化ポリノジック繊維・レーヨン炭化繊維・難燃化レーヨン繊維・難燃化ビニロン繊維・PBI(ポリベンゾイミダゾール)繊維・PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維・ポリブチレンイソシアネート繊維・ポリフェニレンスルフィド繊維・フェノール系繊維・フッ素繊維・メラミン繊維・ノポロイド繊維などが挙げられる。
【0022】
冷所作業用の防寒服に用いる場合は、断熱性を重視すればよく、耐熱性・難燃性は必ずしも要求されないから、上記繊維の外に、ポリエステル・ナイロン・アクリル・ポリプロピレン・ポリエチレン・ビニロン・PVC等を素材とする合成繊維(短繊維でも、モノフィラメント又はマルチフィラメントの長繊維でも可)、これら合成繊維の混紡、又はスパンデックスなどの弾性繊維との複合品や、さらにはコットン・ウールなどの天然繊維(短繊維)、これら天然繊維と合成繊維との混紡、あるいは、天然繊維とスパンデックスなどの弾性繊維との複合品等が使用可能である。
【0023】
本発明編物を編成する際に用いる糸の太さは、用途に応じて選定される。例えば、消防服の中間層用の編物とするため、アラミド繊維を使用する場合、運動性・柔軟性を考慮すると、50〜200デニールのものが好ましい。また、ダブルラッセル編み機のニードル数は、18〜32G/インチが好ましい。18G未満では、畝状凸部の緻密化が困難であり、32Gを超えると、ニードル間隔が狭すぎて編成が困難になる。
【0024】
なお防寒服の中間層を製造する場合は、使用する糸の太さは10〜200デニールの範囲でよく、またダブルラッセル編み機のニードル数は18〜32G/インチの範囲を採用できる。
【0025】
本発明編物10における畝状凸部11の高さH及び幅W、並びに、断熱空間13の幅G(図2参照)は、用途に応じ要求される断熱性能や運動性を考慮して決定される。消防服や防寒服の中間層に適用する場合、
H=2〜8mm
W=2〜5mm
G=6〜25mm
の範囲に設定される。但し畝状凸部11の高さHに比して断熱空間13の幅Gがあまり大きいと、屈曲時に畝状凸部11側を覆う生地(表地又は裏地等)が、平面部12に直に接する結果、断熱性が損なわれるおそれがあるので、この点に注意して上記H,W,Gを設定することが望ましい。
【実施例】
【0026】
図6は、本発明編物10を用いた防火服地1の一例を示すものである。消防服等を構成する防火服地1は、表地2,透湿防水層3,中間断熱層及び裏地4から成り、本例では、中間断熱層を本発明編物10で構成した。そして、本発明編物10における畝状凸部11側に裏地4を配し、反対側に表地2を配置する。なお図面には、透湿防水層3を、本発明編物10から成る中間断熱層の表地2側に配置した場合を示したが、反対の裏地4側に配置する場合もある。
【0027】
本発明編物10の製造条件は次の通りである。太さが110dtexのアラミド繊維糸(帝人テクノプロダクツ株式会社製「テクノーラ」)を使用して、カールマイヤー社製ダブルラッセル編み機RD6DPLMにより、目的とする編物を編成した。筬枚数は6,ニードル間隔は22Gである。各筬L1〜L6それぞれにおける糸配列は、下記の通りである。
L1:3in7out
L2:3in7out
L3:4in6out
L4:4in6out
L5:4out6in
L6:full
【0028】
また編組織は下記の通りで、図5に記載の設計図に従う。
L1:2111/0111// (デンビー編)
L2:0111/2111// (デンビー編)
L3:2345/3210// (アトラス編)
L4:0001/1110// (鎖編)
L5:0001/1110// (鎖編)
L6:0033/3300// (挿入編)
【0029】
透湿防水層3は、本発明編物10の平面状形成面に貼着して一体化する。透湿防水層3には、水滴は遮断するが水蒸気は通過させる機能を持つ、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のフィルム、代表的なものとしてゴアテックス(登録商標)が使用される。
【0030】
かかる防火服地1は、裏地4と畝状凸部11とにより囲まれた断熱空間13によって、優れた断熱性を発揮する。また畝状凸部11は編組織で形成されているから柔軟性・運動性に優れており、着心地が良い。畝状凸部11は糸密度が高いので、衣服着用者の運動に伴う屈曲や押圧を受けても、容易に変形や圧縮を生じることがなく、断熱空間13の層厚みが減少するおそれがない。それ故、長期にわたり優れた断熱性能が維持される。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明編物は、防火服・防寒服等の断熱性を要求される衣服の中間層として用いるほかに、手袋・帽子・敷マット・寝袋等への応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る断熱衣料用編物の一部を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る断熱衣料用編物の構成を概念的に示す拡大した側面図である。
【図3】本発明に係る断熱衣料用編物を製造するのに用いるダブルラッセル編み機の要部を示す側面図である。
【図4】本発明に係る断熱衣料用編物を製造するためのダブルラッセル編み機における糸配列の一例を概念的に示す平面図である。
【図5】本発明に係る断熱衣料用編物を製造するためのダブルラッセル編み機における各筬の編組織を示す設計図である。
【図6】本発明に係る断熱衣料用編物を中間断熱層に用いた防火服地の一例を示すものであって、図(A)は分解斜視図、図(B)は一部を拡大した正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1…防火服地 2…表地 3…透湿防水層 4…裏地 10…断熱衣料用編物 11…畝状凸部 12…平面部 13…断熱空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルラッセル編み機により編物を製造する方法であって、糸を供給する複数の筬のうち、片方のニードル寄りの筬における糸配列を部分的に抜くと共に、当該筬の編組織を横方向にループ列が繋がらない領域が断続的に形成されるよう設計することにより、片方側のニードルによる形成面に所定間隔を置いた複数の縦方向の畝状凸部が設けられ、他方側のニードルによる形成面は平面状であり、前記畝状凸部の糸密度を平面部分の糸密度より高くした断熱衣料用編物の製造方法。
【請求項2】
前記編物の片方側の形成面における縦方向の畝状凸部は主としてデンビー編とアトラス編とで形成し、他方側の平面状形成面は主として鎖編と挿入編とで形成した請求項1に記載する断熱衣料用編物の製造方法。
【請求項3】
前記鎖編を形成する筬を2つとし、一方の筬が受け持つ鎖編の形成領域と、もう一方の筬が受け持つ鎖編の形成領域とを異ならせた請求項1又は2に記載する断熱衣料用編物の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの方法により製造される編物であって、片方側の形成面に所定間隔を置いた複数の縦方向の畝状凸部が設けられ、他方側の形成面は平面状であり、前記畝状凸部の糸密度が平面部分の糸密度より高くなっていることを特徴とする断熱衣料用編物。
【請求項5】
前記平面状形成面に透湿防水層を設けた請求項4に記載の断熱衣料用編物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−179913(P2008−179913A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14457(P2007−14457)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(501270287)エヌアイ帝人商事株式会社 (10)
【出願人】(594182786)八田経編株式会社 (3)
【Fターム(参考)】