説明

断熱部材及びこれを備えた貯湯ユニット

【課題】配管や電装品箱を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【解決手段】固定部品50が取り付けられた補助部品40が、本体部30に形成された孔32に嵌合する。補助部品40の部品本体41は、孔32の大孔32aの内側に配置されている。補助部品40の突出部42は、孔32の小孔32bの内側に配置されている。固定部品50は、固定面52,54,53,55が補助部品40と小孔32bの内周面とに挟持された状態で固定される。固定部品50の固定面51は本体部30の外周面30aより外側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクの外側に設けられる断熱部材及び貯湯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、貯湯ユニットと室外機とを備えた給湯装置が知られている。貯湯ユニットは、温水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクの表面を覆う断熱部材と、これらを収容するケーシングとを有するのが一般的である。特許文献1では、ケーシング内において、熱交換器及びポンプが、断熱材に埋設された板金に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2008−57794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、熱交換器及びポンプを板金に対して固定するために、断熱材の発泡工程において、板金を断熱材に埋設する必要がある。したがって、断熱材の製造工程が煩雑になる。
【0005】
そこで、本発明は、配管及び電装品箱等の部品を固定できるとともに容易に製造することができる断熱部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る断熱部材は、温水が貯留される貯湯タンクの周囲に配置される断熱部材であって、嵌合部が設けられた本体部と、前記嵌合部に嵌合する補助部品と、前記断熱部材の周囲に配置される部品を取り付けるための固定面を有する固定部品とを備え、前記補助部品が前記本体部の前記嵌合部に嵌合した際に、前記固定部品が前記本体部と前記補助部品とに挟持された状態で固定され、その固定状態において、前記固定面の少なくとも一部が、前記本体部の外周面に露出する。
【0007】
この断熱部材では、固定部品が本体部と補助部品とで挟持された状態で固定され、その固定状態において固定部品の固定面の少なくとも一部が本体部の外周面に露出することから、本体部の外周面より外側に配置される配管や電装品箱を固定部品の固定面に固定することができる。したがって、断熱部材の周囲に配置される部品を取り付ける構成として、嵌合部が設けられた本体部と、嵌合部に嵌合する補助部品とを別々に成形できることから、配管や電装品箱を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【0008】
第2の発明に係る断熱部材は、第1の発明に係る断熱部材において、前記嵌合部は、前記本体部を貫通した孔であり、前記本体部の内周面側に形成された大孔と、前記本体部の外周面側に形成され且つ前記大孔に連通した小孔とを有しており、前記補助部品及び前記固定部品は、前記嵌合部の内周面に沿った形状である。
【0009】
この断熱部材では、本体部の内周面側に形成された大孔が、本体部の外周面側に形成された小孔より小さいとともに、嵌合部に嵌められる補助部品及び固定部品が嵌合部に沿った形状であることにより、補助部品及び固定部品が本体部の内周面側から外周面側に向かう方向に本体部から外れるのを防止できる。したがって、補助部品及び固定部品を本体部に対して固定するために、別途テープなどの固定具を用いなくてもよい。
【0010】
第3の発明に係る断熱部材は、第2の発明に係る断熱部材において、前記補助部品が、前記大孔の内側に配置される部品本体と、前記部品本体から突出し且つ前記小孔の内側に配置される突出部とを有しており、前記固定部品が、前記固定面として、前記突出部の先端面に対向する第1固定面と、前記第1固定面の外端から延在し且つ前記小孔の内周面と前記突出部との間に配置された少なくとも1つの第2固定面とを有している。
【0011】
この断熱部材では、固定部品の少なくとも1つの第2固定面が嵌合部の小孔の内周面と補助部品の突出部との間に配置され、固定部品の第1固定面が補助部品の突出部の先端面に対向して配置されることにより、固定部品を本体部及び補助部品によって安定して保持しながら、本体部の外周面より外側に配置された配管や電装品箱を固定部品の固定面に固定することができる。
【0012】
第4の発明に係る断熱部材は、第3の発明に係る断熱部材において、前記小孔及び前記突出部が、いずれも矩形状の断面を有していると共に、前記第1固定面が矩形状である。
【0013】
この断熱部材では、固定部品が矩形状の第1固定面を有するように、第2固定面を矩形状の第1固定面に対して折り曲げるだけで、固定部品を容易に製造できる。
【0014】
第5の発明に係る断熱部材は、第3又は第4の発明に係る断熱部材において、前記第2固定面が、前記突出部を挟んで対向した位置に配置される。
【0015】
この断熱部材では、固定部品の2つの第2固定面が補助部品の突出部を挟んで対向した位置に配置されることにより、固定部品を突出部に対して安定した状態で配置できると共に、配管や電装品箱を固定部品に固定したときに固定部品が変形するのを抑制できる。
【0016】
第6の発明に係る断熱部材は、第3〜第5のいずれかの発明に係る断熱部材において、前記第2固定面が、前記突出部のほぼ全周にわたって配置されている。
【0017】
この断熱部材では、固定部品の第2固定面が補助部品の突出部のほぼ全周にわたって配置されていることにより、固定部品を本体部及び補助部品の突出部に対してより一層安定した状態で配置できると共に、配管や電装品箱を固定部品に固定したときに固定部品が変形するのをより一層抑制できる。
【0018】
第7の発明に係る断熱部材は、第3〜第6のいずれかの発明に係る断熱部材において、前記第2固定面が、前記突出部に対向しつつ、前記部品本体から離れる方向に移動するのを規制する第1規制手段を備える。
【0019】
この断熱部材では、第1規制手段により固定部品の第2固定面が補助部品の突出部に対向しつつ部品本体から離れる方向に移動するのを規制することから、補助部品を本体部に対して取り付ける前において、固定部品が補助部品から外れるのを防止できる。
【0020】
第8の発明に係る断熱部材は、第7の発明に係る断熱部材において、前記第1規制手段が、前記第2固定面の内周面において、前記第1固定面に近付くにつれて前記第2固定面の内周面から離れる方向に傾斜するように延在した第1傾斜部である。
【0021】
この断熱部材では、固定部品の第2固定面の内周面において、第1固定面に近付くにつれて第2固定面の内周面から離れる方向に傾斜するように延在した第1傾斜部により、補助部品を本体部に対して取り付ける前において、固定部品が補助部品から外れるのを防止できる。
【0022】
第9の発明に係る断熱部材は、第3〜第8のいずれかの発明に係る断熱部材において、前記第2固定面が、前記小孔の内周面に対向しつつ、前記小孔から前記大孔に向かう方向に移動するのを規制する第2規制手段を備える。
【0023】
この断熱部材では、第2規制手段により固定部品の第2固定面が嵌合部の小孔の内周面に対向しつつ本体部の外周面側から内周面側に向かう方向に移動するのを規制することから、補助部品を本体部に取り付けた後において、固定部品が本体部から外れるのを防止できる。
【0024】
第10の発明に係る断熱部材は、第9の発明に係る断熱部材において、前記第2規制手段が、前記第2固定面の外周面において、前記第1固定面から離れるにつれて前記第2固定面の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した第2傾斜部である。
【0025】
この断熱部材では、固定部品の第2固定面の外周面において、第1固定面から離れるにつれて第2固定面の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した第2傾斜部により、補助部品を本体部に取り付けた後において、固定部品が本体部の外周面側から内周面側に向かう方向に本体部から外れるのを防止できる。
【0026】
第11の発明に係る断熱部材は、第1〜第10のいずれかの発明に係る断熱部材において、前記第1固定面が、前記本体部の外周面より外側に配置される。
【0027】
この断熱部材では、固定部品の第1固定面が本体部の外周面より外側に配置されることから、本体部の外周面から離れた位置にある配管や電装品箱を固定部品に容易に固定できる。
【0028】
第12の発明に係る貯湯ユニットは、第1〜第11のいずれかの発明に係る断熱部材を備えている。
【0029】
この貯湯ユニットでは、本体部と補助部品とを別々に成形できることから、配管や電装品箱を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【発明の効果】
【0030】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0031】
第1の発明では、固定部品が本体部と補助部品とで挟持された状態で固定され、その固定状態において固定部品の固定面の少なくとも一部が本体部の外周面に露出することから、本体部の外周面より外側に配置される配管や電装品箱を固定部品の固定面に固定することができる。したがって、断熱部材の周囲に配置される部品を取り付ける構成として、嵌合部が設けられた本体部と、嵌合部に嵌合する補助部品とを別々に成形できることから、配管や電装品箱を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【0032】
第2の発明では、本体部の内周面側に形成された大孔が、本体部の外周面側に形成された小孔より小さいとともに、嵌合部に嵌められる補助部品及び固定部品が嵌合部に沿った形状であることにより、補助部品及び固定部品が本体部の内周面側から外周面側に向かう方向に本体部から外れるのを防止できる。したがって、補助部品及び固定部品を本体部に対して固定するために、別途テープなどの固定具を用いなくてもよい。
【0033】
第3の発明では、固定部品の少なくとも1つの第2固定面が嵌合部の小孔の内周面と補助部品の突出部との間に配置され、固定部品の第1固定面が補助部品の突出部の先端面に対向して配置されることにより、固定部品を本体部及び補助部品によって安定して保持しながら、本体部の外周面より外側に配置された配管や電装品箱を固定部品の固定面に固定することができる。
【0034】
第4の発明では、固定部品が矩形状の第1固定面を有するように、第2固定面を矩形状の第1固定面に対して折り曲げるだけで、固定部品を容易に製造できる。
【0035】
第5の発明では、固定部品の2つの第2固定面が補助部品の突出部を挟んで対向した位置に配置されることにより、固定部品を突出部に対して安定した状態で配置できると共に、配管や電装品箱を固定部品に固定したときに固定部品が変形するのを抑制できる。
【0036】
第6の発明では、固定部品の第2固定面が補助部品の突出部のほぼ全周にわたって配置されていることにより、固定部品を本体部及び補助部品の突出部に対してより一層安定した状態で配置できると共に、配管や電装品箱を固定部品に固定したときに固定部品が変形するのをより一層抑制できる。
【0037】
第7の発明では、第1規制手段により固定部品の第2固定面が補助部品の突出部に対向しつつ部品本体から離れる方向に移動するのを規制することから、補助部品を本体部に対して取り付ける前において、固定部品が補助部品から外れるのを防止できる。
【0038】
第8の発明では、固定部品の第2固定面の内周面において、第1固定面に近付くにつれて第2固定面の内周面から離れる方向に傾斜するように延在した第1傾斜部により、補助部品を本体部に対して取り付ける前において、固定部品が補助部品から外れるのを防止できる。
【0039】
第9の発明では、第2規制手段により固定部品の第2固定面が嵌合部の小孔の内周面に対向しつつ本体部の外周面側から内周面側に向かう方向に移動するのを規制することから、補助部品を本体部に取り付けた後において、固定部品が本体部から外れるのを防止できる。
【0040】
第10の発明では、固定部品の第2固定面の外周面において、第1固定面から離れるにつれて第2固定面の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した第2傾斜部により、補助部品を本体部に取り付けた後において、固定部品が本体部の外周面側から内周面側に向かう方向に本体部から外れるのを防止できる。
【0041】
第11の発明では、固定部品の第1固定面が本体部の外周面より外側に配置されることから、本体部の外周面から離れた位置にある配管や電装品箱を固定部品に容易に固定できる。
【0042】
第12の発明では、本体部と補助部品とを別々に成形できることから、配管や電装品箱を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給湯装置の貯湯ユニットの外観斜視図である。
【図2】図1に示した貯湯ユニットの断熱部材の外観斜視図である。
【図3】断熱部材の構成を示す図である。
【図4】(a),(b)は、図3に示した補助部品の斜視図であり、(c)は補助部品の平面図であり、(d)は補助部品の側面図である。
【図5】(a),(b)は、図3に示した固定部品の斜視図であり、(b)は固定部品の平面図であり、(c)は固定部品の側面図である。
【図6】固定部品を補助部品に取り付けた状態を示す図である。
【図7】補助部品を断熱部材に取り付けた状態を示す図である。
【図8】補助部品を断熱部材に取り付けた状態を示す図である。
【図9】図2に示した断熱部材に取り付けられる補助部品を示す図である。
【図10】補助部品を断熱部材に取り付けた状態を示す図である。
【図11】図1(b)の部分拡大図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る給湯装置の固定部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0045】
給湯装置は、給湯端末に温水を供給する装置であって、温水を貯留する貯留タンク1を有する貯湯ユニット100(図1参照)と、貯湯タンク1に貯留される温水を加熱する室外機(図示せず)とを備えている。
【0046】
(貯湯ユニット)
図1(a)に示すように、貯湯ユニット100は、貯湯タンク1と、貯湯タンク1の表面を覆う断熱部材と、断熱部材に固定される配管及び電装品箱と、これらを収容する略直方体状のケーシング2とを有する。ケーシング2は、底板21と、側板22,23と、フロントパネル24と、天板25とを有する。そして、フロントパネル24を外した状態では、図1(b)に示すように、配管11及び電装品箱12が現れる。
【0047】
[断熱部材]
断熱部材は、貯湯タンク1の全表面を覆うものであり、スチロール等の発泡断熱材により形成されている。図2には、断熱部材のうち貯湯タンク1の前側面を覆う本体部30を示している。図2(a)は本体部30を外周面側からみた斜視図であり、図2(b)は本体部30を内周面側からみた斜視図である。図2に示すように、本体部30には、その厚み方向に貫通した4つの孔(嵌合部)31,32,33,34が形成されている。孔31,32,33,34には、後述するように、固定部品及び補助部品が嵌められる。
【0048】
以下において、図3を参照しつつ、本体部30に形成された孔32と、孔32に挿入される補助部品40及び固定部品50について詳細に説明する。
【0049】
図3に示すように、本体部30の孔32には、補助部品40及び固定部品50が嵌められる。孔32は、本体部30の内周面側に形成された大孔32aと、本体部30の外周面側に形成された小孔32bとを有している。大孔32a及び小孔32bは、いずれも略矩形状の断面を有しており、小孔32bの断面は大孔32aの断面より小さい。また、大孔32a及び小孔32bは、連通している。
【0050】
図4に示すように、本体部30の孔32に挿入される補助部品40は、部品本体41と、部品本体41から突出した突出部42とを有している。部品本体41は、孔32の大孔32aの内側に配置されることから、大孔32aの内周面に沿った形状に形成されている。また、突出部42は、孔32の小孔32bの内側に配置されることから、小孔32bの内周面に沿った形状に形成されている。部品本体41及び突出部42はいずれも略矩形状の断面を有している。補助部品40は、断熱部材の本体部30と同様な材料、例えば、スチロール等の発泡断熱材により形成されている。
【0051】
図5に示すように、補助部品40に嵌まる固定部品50は、略矩形状の固定面(第1固定面)51と、固定面51の外端から固定面51に対して垂直な方向に延在した固定面(第2固定面)52,53,54,55とを有している。固定面52,54は、上下方向に互いに対向した位置に配置され、一対の固定面を構成している。また、固定面53,55は、左右方向に互いに対向した位置に配置され、一対の固定面を構成している。固定部品50は、金属により形成されており、固定面52,53,54,55を固定面51に対して折り曲げることにより形成される。また、固定部品50は、本体部30に形成された孔32の小孔32bに沿った形状に形成されている。
【0052】
図5(a)に示すように、固定面51には、ビスが挿通可能な穴51a,51b,51cが形成されている。
【0053】
また、固定面52には、その内周面において、固定面51に近付くにつれて固定面52の内周面から離れる方向に傾斜するように延在した傾斜部(第1規制手段、第1傾斜部)52aが形成されている。同様に、固定面54には、その内周面において、固定面51に近付くにつれて固定面54の内周面から離れる方向に傾斜するように延在した傾斜部(第1規制手段、第1傾斜部)54aが形成されている。
【0054】
固定面53には、その外周面において、固定面51から離れるにつれて固定面53の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した傾斜部(第2規制手段、第2傾斜部)53aが形成されている。固定面53の端部53bは、固定部品50の外側に向けて折り曲げられている。同様に、固定面55には、その外周面において、固定面51から離れるにつれて固定面55の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した傾斜部(第2規制手段、第2傾斜部)55aが形成されている。固定面55の端部55bは、固定部品50の外側に向けて折り曲げられている。
【0055】
図6に示すように、補助部品40の突出部42を固定部品50の内部に配置することにより、固定部品50が補助部品40に取り付けられる。固定面52,53,54,55は、補助部品40の突出部42の側面に対向して配置されており、突出部42の側部を覆うように、突出部42のほぼ全周にわたって配置されている。
【0056】
固定面52,54の傾斜部52a,54aは、それぞれ、固定面52,54の内周面から離れる方向に傾斜していることから、補助部品40の突出部42に埋設される。これにより、固定面52,54が、突出部42に対向しつつ、部品本体41から離れる方向に移動するのが規制されるため、固定部品50が補助部品40から外れない。
【0057】
図7には、固定部品50が取り付けられた補助部品40が本体部30の孔32に嵌合したときの状態を示している。図7(a)は、固定部品50が孔32に嵌合した状態を上方からみた断面図であり、図7(b)は、固定部品50が孔32に嵌合した状態を側方からみた断面図である。なお、図7では、本体部30、補助部品40及び固定部品50のハッチングを省略している。図7に示すように、補助部品40の部品本体41は、本体部30の大孔32aの内部に配置されており、補助部品40の突出部42は、本体部30の小孔32bの内部に配置されている。固定部品50の固定面51は、補助部品40の突出部42の先端面42aに対向して配置されているとともに、本体部30の外周面30aより外側に配置されている。固定部品50の固定面52,54は、傾斜部52a,54aが補助部品40の突出部42に埋設することにより、補助部品40に固定されている。固定部品50の固定面53,55は、傾斜部53a,55aが本体部30に埋設することにより、本体部30に固定されている。本体部30の内周面30bと、補助部品40の部品本体41の端面とは、略平坦となっている。
【0058】
図7(a)に示すように、固定部品50の固定面53,55の傾斜部53a,55aは、それぞれ、固定面53,55の外周面から離れる方向に傾斜するように延在していることから、本体部30に埋設している。また、固定部品50は、固定面52,54の傾斜部52a,54aにより補助部品40に固定されている。したがって、固定面53,55が、本体部30の小孔32bの内周面に対向しつつ、小孔32bから大孔32aに向かう方向に移動するのが規制されるため、固定部品50が本体部30の外周面30a側から内周面30b側に向かう方向に本体部30から外れない。
【0059】
固定面53,55の端部53b,55bは、本体部30と補助部品40の部品本体41とに挟持されている。したがって、固定面53,55が、本体部30の小孔32bの内周面に対向しつつ、本体部30の内周面30b側から外周面30a側に向かう方向に移動するのが規制される。また、固定部品50は、固定面52,54の傾斜部52a,54aにより補助部品40に固定されている。したがって、固定部品50が、本体部30の内周面30b側から外周面30a側に向かう方向に本体部30から外れない。
【0060】
図8には、本体部30の外周面30aの孔32の周辺を示している。図8(a)には、本体部30の孔32に補助部品40を挿入していないときを示しており、図8(b)には、本体部30の孔32に補助部品40を嵌合したときを示している。図8(b)に示すように、補助部品40が本体部30の孔32に嵌合した状態では、固定部品50の先端部が孔32の小孔32bから突出しており、固定部品50の固定面51が、本体部30の外周面30aより外側に配置されている。
【0061】
次に、図9を参照しつつ、本体部30に形成された孔31,33,34に嵌められる補助部品60,70,80について説明する。なお、本体部30に形成された孔31,33,34は、本体部30に形成された孔32と同様に、本体部30の内周面側に形成された大孔と、本体部30の外周面側に形成された小孔とを有しており、大孔及び小孔は連通している。
【0062】
図9に示すように、本体部30の孔31,33,34に嵌合する補助部品60,70,80は、それぞれ、部品本体61,71,81と、部品本体61,71,81から突出した突出部62,72,82とを有している。部品本体61,71,81は、それぞれ、孔31,33,34の大孔の内側に配置され、突出部62,72,82は、それぞれ、孔31,33,34の小孔の内側に配置される。補助部品60,70,80は、それぞれ、本体部30の孔31,33,34の内周面に沿った形状に形成されている。
【0063】
なお、補助部品60,70,80のその他の構成は、補助部品40の構成と同様である。また、補助部品60,70,80には、補助部品40に取り付けられる固定部品50と同様な構成を有する固定部品が取り付けられる。
【0064】
図10には、本体部30に形成された孔31,32,33,34に、固定部品50及び補助部品40,60,70,80を嵌合したときを示している。図10(a)に示すように、本体部30の内周面30bと、補助部品40,60,70,80の端面とは、略平坦となっている。図10(b)に示すように、本体部30の外周面30a側では、固定部品50,65,75,85の先端部が本体部30の外周面30aより外側に突出しており、固定部品50,65,75,85の固定面51,66,76,86が本体部30の外周面30aより外側に配置されている。なお、図10(b)に示す固定部品65,75,85は、それぞれ、補助部品60,70,80に取り付けられた固定部品である。
【0065】
続いて、図11を参照しつつ、固定部品50,65,75,85に配管11及び電装品箱12を固定したときを説明する。図11(a)は図1(b)に示すAの拡大図であり、図11(b)は図1(b)に示すBの拡大図である。なお、図10(b)には、図1(b)に示すAに対応する部分をAとし、図10(b)には、図1(b)に示すBに対応する部分をBとしている。
【0066】
図11(a)に示すように、固定部品65の固定面66には、環状部を有する取付部材90がビスにより固定されている。配管11を取付部材90に挿通することにより、配管11が固定部品65の固定面66に固定されている。
【0067】
図11(b)に示すように、固定部品50,85の固定面53,87には突起53c,87cが設けられている。突起53c,87cが電装品箱12の側面に形成された穴12a,12bに挿入され、穴12a,12bの縁が突起53c,87cに引っ掛けられることにより、電装品箱12が固定部品50,85に取り付けられている。また、電装品箱12は、固定部品75,85の固定面76,86にビスにより固定されている。
【0068】
以上のように、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50,65,75,85が本体部30と補助部品40,60,70,80とで挟持された状態で固定され、その固定状態において、固定部品50,65,75,85の固定面51,66,76,86が本体部30の外周面30aに露出することから、本体部30の外周面30aより外側に配置される配管11や電装品箱12を固定部品50,65,75,85の固定面51,66,76,86に固定することができる。したがって、断熱部材の周囲に配置される配管11や電装品箱12などの部品を取り付ける構成として、孔31,32,33,34が設けられた本体部30と孔31,32,33,34に嵌合する補助部品40,60,70,80とを別々に成形できることから、配管11や電装品箱12を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【0069】
また、本実施形態の貯湯ユニットでは、本体部30の内周面30b側に形成された大孔32aが、本体部30の外周面30a側に形成された小孔32bより小さいとともに、孔31,32,33,34に嵌められる補助部品40,60,70,80及び固定部品50,65,75,85が孔31,32,33,34に沿った形状であることにより、補助部品40,60,70,80及び固定部品50が本体部30の内周面30b側から外周面30a側に向かう方向に本体部30から外れるのを防止できる。したがって、補助部品40,60,70,80及び固定部品50,65,75,85を本体部30に対して固定するために、別途テープなどの固定具を用いなくてもよい。
【0070】
さらに、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50の固定面51が補助部品40の突出部42の先端面42aに対向しており、固定部品50の固定面52,53,54,55を孔32の小孔32bの内周面と補助部品40の突出部42との間に配置することにより、固定部品50を本体部30及び補助部品40により安定して保持しながら、本体部30の外周面30aより外側で固定部品50の固定面51に配管11や電装品箱12を固定することができる。
【0071】
加えて、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50が矩形状の固定面51を有するように、固定面52,53,54,55を矩形状の固定面51に対して折り曲げるだけで、固定部品50を容易に製造できる。
【0072】
また、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50の一対の固定面52,54及び一対の固定面53,55がそれぞれ補助部品40の突出部42を挟んで対向した位置に配置されていることにより、固定部品50を突出部42に対して安定した状態で配置できると共に、配管11や電装品箱12を固定部品50に固定したときに固定部品50が変形するのを抑制できる。
【0073】
さらに、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50の固定面52,53,54,55が補助部品40の突出部42のほぼ全周にわたって配置されていることにより、固定部品50を本体部30及び補助部品40の突出部42に対してより一層安定した状態で配置できると共に、配管11や電装品箱12を固定部品50に固定したときに固定部品50が変形するのをより一層抑制できる。
【0074】
加えて、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50の傾斜部52a,54aにより固定面52,54が補助部品40の突出部42に対向しつつ部品本体41から離れる方向に移動するのを規制することから、補助部品40を本体部30に対して取り付ける前において、固定部品50が補助部品40から外れるのを防止できる。
【0075】
また、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50の傾斜部53a,55aにより固定面53,55が孔32の小孔32bの内周面に対向しつつ本体部30の外周面30a側から内周面30b側に向かう方向に移動するのを規制することから、補助部品40を本体部30に取り付けた後において、固定部品50が本体部30から外れるのを防止できる。
【0076】
さらに、本実施形態の貯湯ユニットでは、固定部品50,65,75,85の固定面51,66,76,86が本体部30の外周面30aより外側に配置されることから、本体部30の外周面30aから離れた位置にある配管11や電装品箱12を固定部品50,65,75,85に容易に固定できる。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の貯湯ユニットでは、第1実施形態で、固定部品50が、本体部30の小孔32bの内周面と補助部品40,の突出部42との間に配置される4つの固定面(第2固定面)52,53,54,55を有するのに対して、第2実施形態では、本体部30の小孔32bの内周面と補助部品40の突出部42との間に配置される2つの固定面(第2固定面)153,155を有する点において、第1実施形態に係る貯湯ユニットと異なっている。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0078】
図12に示すように、固定部品150は、略矩形状の固定面(第1固定面)151と、固定面151の外端から固定面151に対して垂直な方向に延在した固定面(第2固定面)153,155とを有している。固定面153,155は、左右方向に互いに対向した位置に配置され、一対の固定面を構成している。固定面151及び固定面153,155は、第1実施形態の固定面51及び固定面53,55と同様な構成である。
【0079】
固定面153,155には、それぞれ、その外周面において、固定面151から離れるにつれて固定面153,155の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した傾斜部(第2規制手段、第2傾斜部)153a,155aが形成されている。固定面153,155の端部153b,155bは、固定部品150の外側に向けて折り曲げられている。
【0080】
以上のように、本実施形態の貯湯ユニットでは、第1実施形態の貯湯ユニットと同様に、本体部30と補助部品40,60,70,80とを別々に成形できることから、配管11や電装品箱12を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0082】
例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、固定部品50,150の固定面53,55,153,155の端部53b,55b,153b,155bが固定部品50,150の外側に向けて折り曲げられている場合について説明したが、固定面53,55,153,155の端部53b,55b,153b,155bが折り曲げられていなくてもよい。
【0083】
また、上述の第1実施形態及び第2実施形態において、固定部品50,150が本体部30の内周面30b側から外周面30a側に向かう方向に本体部30から外れないように、固定面(第2固定面)53,55,153,155の端部53b,55b,153b,155bを外側に向けて折り曲げる代わりに、固定部品の第2固定面に、その外周面から、第1固定面に近付くにつれて第2固定面の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した傾斜部が形成されていてもよい。
【0084】
また、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、固定部品50,150が互いに対向した位置に配置された一対の固定面(第2固定面)52,54、一対の固定面(第2固定面)53,55、一対の固定面(第2固定面)153,155を有している場合について説明したが、固定部品の第2固定面は互いに対向した位置に配置されていなくてもよい。例えば、第2固定面が隣り合うように配置されていてもよい。また、固定部品において、第2固定面が1つだけ設けられていてもよい。
【0085】
また、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、本体部30に形成された孔32(大孔32a及び小孔32b)の断面と、補助部品40の部品本体41及び突出部42の断面と、固定部品50の固定面51とが矩形状に形成されている場合について説明したが、これらの形状は変更可能なものである。また、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、補助部品40及び固定部品50は、本体部30に形成された孔32の内周面に沿った形状であるが、補助部品40及び固定部品50は、本体部30に形成された孔32の内周面に沿った形状でなくてもよい。例えば、本体部30に形成された孔32(大孔32a及び小孔32b)の断面が矩形状であり、補助部品40の突出部42の断面及び固定部品50の固定面51の断面が円形状であってもよい。
【0086】
また、上述の第1実施形態では、固定部品50が補助部品40から外れないようにする傾斜部(第1規制手段)52a,54aが、固定部品50の固定面52,54に設けられ、固定部品50が本体部30の外周面30a側から内周面30b側に向かう方向に本体部30から外れないようにする傾斜部(第2規制手段)53a,55aが、固定面53,55に設けられている場合について説明したが、これには限られない。例えば、固定部品が補助部品から外れないようにする傾斜部(第1規制手段)と、固定部品が本体部の外周面側から内周面側に向かう方向に本体部から外れないようにする傾斜部(第2規制手段)とが、1つの固定面に設けられていてもよい。
【0087】
また、上述の第1実施形態では、固定部品の固定面に部品(断熱部材の周囲に配置される部品)を取り付ける構成として、固定部品70,80の先端に配置された固定面(第1固定面)76,86に対して電装品箱12をビスで固定する場合と、固定部品50,85の固定面(第2固定面)53,87の突起53c,87cに、電装品箱12の穴12a,12bの縁を引っ掛けることにより、固定面(第2固定面)53,87に電装品箱12を取り付ける場合とについて説明したが、これらに限られない。例えば、固定部品の第1固定面及び第2固定面の少なくとも一方に対して、部品(断熱部材の周囲に配置される部品)をビスで固定してもよい。また、固定部品の第1固定面及び第2固定面の少なくとも一方に突起が設けられており、電装品箱等に形成された穴の縁をこの突起に引っ掛けてもよい。
【0088】
また、上述の第1実施形態では、断熱部材の周囲に配置される部品が配管11及び電装品箱12である場合について説明したが、これには限られない。断熱部材の周囲に配置される部品は、例えば、ハーネスを固定するクランプ部材、熱交換器及びポンプであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明を利用すれば、配管や電装品箱を固定可能な断熱部材を容易に製造できる。
【符号の説明】
【0090】
30 本体部
31,32,33,34 孔(嵌合部)
32a 大孔
32b 小孔
50,65,75,85,150 固定部品
51,66,76,86,151 固定面(第1固定面)
30a 外周面
41,61,71,81 部品本体
42,62,72,82 突出部
42a 先端面
52,53,54,55,153,155 固定面(第2固定面)
52a,54a 傾斜部(第1規制手段、第1傾斜部)
53a,55a,153a,155a 傾斜部(第2規制手段、第2傾斜部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水が貯留される貯湯タンクの周囲に配置される断熱部材であって、
嵌合部が設けられた本体部と、
前記嵌合部に嵌合する補助部品と、
前記断熱部材の周囲に配置される部品を取り付けるための固定面を有する固定部品とを備え、
前記補助部品が前記本体部の前記嵌合部に嵌合した際に、前記固定部品が前記本体部と前記補助部品とに挟持された状態で固定され、その固定状態において、前記固定面の少なくとも一部が、前記本体部の外周面に露出することを特徴とする断熱部材。
【請求項2】
前記嵌合部は、
前記本体部を貫通した孔であり、
前記本体部の内周面側に形成された大孔と、前記本体部の外周面側に形成され且つ前記大孔に連通した小孔とを有しており、
前記補助部品及び前記固定部品は、前記嵌合部の内周面に沿った形状であることを特徴とする請求項1に記載の断熱部材。
【請求項3】
前記補助部品が、前記大孔の内側に配置される部品本体と、前記部品本体から突出し且つ前記小孔の内側に配置される突出部とを有しており、
前記固定部品が、
前記固定面として、
前記突出部の先端面に対向する第1固定面と、
前記第1固定面の外端から延在し且つ前記小孔の内周面と前記突出部との間に配置された少なくとも1つの第2固定面とを有していることを特徴とする請求項2に記載の断熱部材。
【請求項4】
前記小孔及び前記突出部が、いずれも矩形状の断面を有していると共に、前記第1固定面が矩形状であることを特徴とする請求項3に記載の断熱部材。
【請求項5】
前記第2固定面が、前記突出部を挟んで対向した位置に配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の断熱部材。
【請求項6】
前記第2固定面が、前記突出部のほぼ全周にわたって配置されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の断熱部材。
【請求項7】
前記第2固定面が、前記突出部に対向しつつ、前記部品本体から離れる方向に移動するのを規制する第1規制手段を備えることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の断熱部材。
【請求項8】
前記第1規制手段が、前記第2固定面の内周面において、前記第1固定面に近付くにつれて前記第2固定面の内周面から離れる方向に傾斜するように延在した第1傾斜部であることを特徴とする請求項7に記載の断熱部材。
【請求項9】
前記第2固定面が、前記小孔の内周面に対向しつつ、前記小孔から前記大孔に向かう方向に移動するのを規制する第2規制手段を備えることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の断熱部材。
【請求項10】
前記第2規制手段が、前記第2固定面の外周面において、前記第1固定面から離れるにつれて前記第2固定面の外周面から離れる方向に傾斜するように延在した第2傾斜部であることを特徴とする請求項9に記載の断熱部材。
【請求項11】
前記第1固定面が、前記本体部の外周面より外側に配置されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の断熱部材。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の断熱部材を備えた貯湯ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−107809(P2012−107809A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257192(P2010−257192)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】