断続的に接着された不織布からなるディスポーザブルな外科用積層体
【課題】クラスタ接着不織布積層体を組み込む、望ましい柔らかさ、折り畳み可能性、吸収性および通気性の特性を示すディスポーサブルな外科用ドレープおよびガウンを提供する
【解決手段】クラスタ接着積層体10を作る方法および改良装置においてフィルム層12と不織布繊維層14は、離間した、限られない粘着性クラスタ16によって互いに固定されている。各粘着性クラスタは、別々の離間した接着材の液滴18の境界のない群を含む。
【解決手段】クラスタ接着積層体10を作る方法および改良装置においてフィルム層12と不織布繊維層14は、離間した、限られない粘着性クラスタ16によって互いに固定されている。各粘着性クラスタは、別々の離間した接着材の液滴18の境界のない群を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、新規かつ改良されたディスポーザブルな不織布積層体(disposable nonwoven laminates)および新規かつ改良された前記積層体の製造方法、並びに前記新規かつ改良されたディスポーザブルな不織布積層材料からなる新規かつ改良された外科用ドレープ(手術用覆布)およびガウン(手術用ガウン)に関する。より詳しくは、本発明は、新規かつ改良された複数の不織布層を含むディスポーザブルな多層外科用積層体であって、改良された軟らかさと手触りと被覆性(drapability)を提供するために前記積層体の層が特別に柔軟な方法で接着されており、またより満足のいく製品を提供するために前記不織布層の所望の材料特性がより良く保持されかつ現れている。
【背景技術】
【0002】
外科手術における無菌の術場を維持するために外科用ドレープやガウンが用いられている。外科用ガウンは、外科手術や他の処置の間に液体や微生物からヘルスケアの専門家を守るために医療業界で用いられている。シングルユースの外科用ガウンは、通常、ディスポーザブルな不織布から作られている。そのようなガウンは、通常、一枚の胴体側パネル(panel:幅広の縦布)あるいは複数のパネルからなっている。複数のパネルからなるタイプは、前側パネルと、前側パネルの両側に連結されるとともに該前側パネルから遠ざかるように広がる一対の後側パネルと、前側パネルと後側パネルの連結部に設けられた一対の袖とを有している。前側パネルは、処置の間にヘルスケアの専門家の前側をカバーする。後側パネルは、ヘルスケアの専門家の後側カバーするために、その周りに巻きつけられるとともに互いに重ね合わされるようになっており、そしてさらに結び紐を有している。通常の外科用ガウンは、二本の外側結び紐と二本の内側結び紐とを有する。内側結び紐は、ガウンの背面の下側の後側パネルをとめるために用いられる。外側の結び紐は、ガウンの後側パネルをヘルスケアの専門家の背面に確実に巻きつけるために用いられる。
【0003】
無菌の外科用ドレープもよく知られており、無菌状態の外科術場を作り出すとともに、患者を保護するために広く用いられている。外科用ドレープは、様々な形やサイズのものが使われ始めており、また特定の外科手術用に特化された多くのドレープを選ぶことができるようになっている。実例として、これらのドレープは、手術台を覆ったり、麻酔処置が施された領域を覆ったり、あるいは患者の足や腹部を覆ったりするための長方形のシート形状になっていてもよい。より専門的に特化されたドレープは、患者の体のある部分がドレープの下から露出しない状態のままで他の部分がドレープの他の部分の上に露出するような異なる処置のために要求される足用の穴や腕用の穴を有することもできる。また、いくつかのドレープは、切開する術野の周りに境界付けられた領域を設定するために、穿孔(Fenestrations)と呼ばれる開口(穴)や窓を設けてもよい。この穴あきタイプのドレープは、穴の周囲の周りに特別な吸収層を設けてもよい。また、ドレープのある部分を、特定の外科手術に望ましいように無菌、抗菌および/または防水にするために、表面処理を施してもよい。また、単純な長方形のドレープは、吸収性の手術用タオルや拭取り布として使用することもできる。最後に、ドレープは、一体にとめられた複数の異なるタイプのパネルを有してもよい。例えば、手術台用のドレープは、薄い吸収性のある手術台上用のパネルと、単に手術台の下側に対するするはねよけとして機能するかあるいは手術台の下側に対する防壁を提供するより薄いが吸収性がほとんどない構造を有する複数のサイドパネルを備えてもよい。
【0004】
以前の手術用ドレープやガウンは、織られた天然の繊維材料(通常は綿)から作られていた。これらの布製品は、手術の準備のためにオートクレーブで殺菌されていた。また、合成繊維からなる代替生地が加えられたり用いられたりしていた。結局は、不織布材料の進歩により、不織布からなるドレープやガウンが用いられ、1回だけの使用するようになっているディスポーザブルなガウンやドレープが提供されるようになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
不織布材料からから作られた以前のドレープやガウンは、多数の欠点を有している。通常、不織布層は、外科用ガウンを作るために用いられる液体を通さない(不浸透性の)積層材料を提供するために、フィルム層と組み合わされている。不織布とフィルム層とを一体に接着して積層体を提供するために、これらの層の一つのほぼ全面にわたって一般にホットメルト接着剤が塗布されていた。これらの積層体は、板状の剛性と劣った被覆性によって特徴付けられるものであり、それらを着た医療従事者に不快感をもたらす。また、これらの布地から作られた袖は、着衣者の腕によくなじまず、手袋の袖口の下側の手首においてまた着衣者の皮膚に対して、体液がしわになった溝に沿って流れることがしばしばあり、そのようなことは容認できることではない。さらに、効果的な液体バリアを提供するために用いられるフィルムは、一般に通気性がなく、従って、これらの積層体から作られるガウンは、それらを着なければならない手術従事者にとって耐え難い暑さとなる。
【0006】
これらの不織布からなる外科用積層体の軟らかさと布的な質感を改善するために、いくつかの製造業者は、熱および圧力ローラや超音波溶接技術を介して、これらの層の断続的な熱接着を試みた。しかしながら、熱および圧力によって接着するタイプは、工程中に不織布層がつぶれたり溶けたりして、ロフト(loft)や柔軟性や軟らかさのような所望の特性を損なうので、望ましいものではない。また、メルトボンディングポイントは硬く、しかも曲がったり撓んだりしないので、これらの材料の全体的な軟らかさや感触や被覆性はより良いものの、依然として望まれているような良さではなかった。さらに、熱接着された積層体は、適切に熱に適合した熱可塑性材料からのみ形成されることができるが、それは外科用積層体を作るために用いることができる層の材料のタイプを制限し、製品の設計や最終的な製品の品質に望ましくない制約を与えることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
予期できないことに、上述した点に鑑み、改善された軟らかさや手触りや被覆性や快適性といった特性を有する改良されたディスポーザブルな不織布からなる外科用積層体を提供するために、新規かつ改良されたディスポーザブルな不織布からなる外科用積層体が特別な接着配置で並んだ著しく少ない量の接着剤を用いることで提供できることが発見された。
【0008】
より詳しく説明するに、本発明の一実施形態によれば、新規かつ改良されたディスポーザブルな積層体は、フィルム層と、少なくとも一つの不織布層と、間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタとを含む。各接着剤クラスタは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴を有する。好ましくは、前記複数の接着剤クラスタは、積層体の長手方向および幅方向に伸びる規則的な繰り返しパターンで間隔を置いて設けられている。
【0009】
「境界のない/unbounded」という語は、接着剤クラスタがクラスタ領域を規定する塗布された接着剤の直線的な境界や円周(周囲)を含まないことを意味している。各クラスタは、間隔を置いて設けられた周囲が定まっていない液滴のグループ(集合体)である。各クラスタの領域は、積層体の面に対していかなる方向にも柔軟に折り曲げることができる。これは、新規かつ改良された積層体に対する優れた手触りと被覆性に貢献するものと思われる。低い接着剤の含有量と柔軟な接着方法は、全体的な軟らかさや吸収性のような他の所望の不織布の特性が積層工程において維持されるとともに最終的な積層体や製品において保持されかつより十分に現れることを可能にする。
【0010】
フィルム層は、好ましくは、ガンマ線による殺菌に耐えることができる熱可塑性材料からなる。好ましくは、熱可塑性フィルム層は、積層体を介して手術従事者と患者の間で液体や病原体が移行することを防ぐことができる十分に液体を通さない(不浸透性の)層を形成する。これらのフィルムは、通気性があってもよく(breatheable)また通気性のないもの(non-breatheable)でもよい。このフィルム層を提供するために用いることができる実例となる熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、コポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステル共重合体が挙げられるがそれらに限られない。この熱可塑性フィルムは、皮膚に接近した状態の使用に適しておりしかも市販の殺菌処理に耐えることができるフィルム形成用の熱可塑性材料から実質的に作ることができる。
【0011】
好適実施形態において、前記熱可塑性フィルム層は、モノリシック熱可塑性フィルムかあるいは微小孔性の熱可塑性フィルム(microporous thermoplastic films)から選択された通気性のある液体を通すことができない熱可塑性フィルムからなる。特に好ましいフィルムは、モノリシック熱可塑性コポリエステルエラストマーフィルムである。ポリプロピレン系フィルムは、ガンマ線殺菌工程における不安定性のため、余り好ましくはない。フィルム層は、一般に、坪量で、約0.25から5.0オンス/スクェアヤード(ounces/squire yard)であり、また約0.25milから約3milのフィルム厚さを有している。
【0012】
不織布層は、好ましくは、必ずしも限定されるものではないが、ガンマ線殺菌にも耐え得る熱可塑性材料である。この不織布は、湿式法(wet laid)、乾式法(dry laid)、スパンレース法(spunlaced)、接着剤結合法(adhesive bonded)、熱融着法(thermal bonded)、またはスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド法(SMS)により製造された不織布でもよい。これらの不織布は、熱可塑性繊維、再生繊維(regenerated fibers)、天然繊維およびいわゆる複合糸すなわちシース/コア繊維(bicomponet or sheath-core fibers)から形成してもよく、また上述したタイプの繊維を2またはそれ以上混ぜ合わせたものでもよい。不織布は、約0.25オンス/スクェアヤードから4.0オンス/スクェアヤードの坪量を有してもよい。
【0013】
一実施形態において、本発明の積層体に用いられる接着剤は、ガンマ線殺菌に耐えられる熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤および/または架橋型接着剤を含む。熱可塑性接着剤の例としては、例えば、エチレン酢酸ビニル、スチレン、無水マレリン酸変性ポリエチレンまたはポリプロピレンのようなオレフィン系ポリマーおよびコポリマー接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリエステルおよびポリウレタン系接着剤が挙げられる。また、熱硬化性接着剤の例としては、(メタ)アクリル酸接着剤またはスチレン酸系接着剤が挙げられるが、それらに限られるわけではない。不織布の分野において従来から用いられている他の接着剤も使用することができる。
【0014】
また、一実施形態において、新規かつ改良された二層の積層体が提供されており、それは、フィルム層と、クラスタが一体に接着された単一の不織布層とを含んでいる。他の実施形態では、第1および第2の対向する主面を有する熱可塑性のフィルム層と、前記第1の主面に隣接して配置された第1の熱可塑性不織布層と、前記第2の主面に隣接して配置された第2の熱可塑性不織布層と、間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタと、を含み、各接着剤クラスタは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記第1の不織布層を前記第1の主面に固定するとともに前記第2の不織布層を前記第2の主面に固定するための接着剤の液滴を有する新規かつ改良された三層構造の積層体が設けられている。この新規かつ改良された三層すなわち三重積層体では、第1および第2の不織布は同一でも異なるものでもよい。好ましくは、フィルム層は、通気性があって液体を通さない熱可塑性フィルムであり、また第1および第2の不織布層は、異なる不織布素材から形成されている。
【0015】
本発明の他の特徴において、本発明は、一実施形態において、ディスポーザブルな積層体を作るための新規かつ改良された方法を提供する。この方法は、主面を有するとともに関連する長さ寸法とほぼ直交する幅方向の寸法とを有する不織布を提供するステップを有している。複数の離散的に間隔を置いて設けられた液滴は、不織布の表面に、それらの複数の間隔を置いて設けられた液滴が周囲の定まっていない複数のクラスタ群をなすように不織布表面に配列されるように、付着される。また、これらの複数のクラスタは、不織布の表面のほぼ長さおよび幅方向にわたって間隔を置いて広がるように配置される。不織布表面と接着剤の液滴は、フィルム層の表面に接触して、該フィルム層と該不織布層とを確実ではあるが柔軟性を持たせた状態で一体に接合し、ディスポーザブルな積層体を形成する。好適実施形態において、境界のない接着剤液滴のクラスタは、接着剤クラスタの規則的な繰り返しパターンか配列で配置される。
【0016】
一実施形態において、接着剤の液滴は、不織布表面に空間的に配列された方法で配置される。それは、エッチングされたグラビア印刷用ローラの表面に形成された規則的な凹部に配置された離散的に間隔を置いて設けられた接着剤の液滴を有するエッチングされたグラビア印刷用ローラを提供する。周囲のベアリング(押圧)面を有するエラストマーで被覆された圧力ローラが提供される。この圧力ローラの押圧面は、複数の溝によって分離された複数の相対的に盛り上がった島状の接触面を有している。この圧力ローラは、印刷ローラに隣接して配置され、それらの間にニップ(nip/噛み込み)を形成する。それによって、圧力ローラの盛り上がった接触面が印刷ローラの周面の部分と押圧された状態で接触するようになっている。圧力ローラの押圧面における溝が形成された位置は、印刷ローラの主面と接触しないようになっている。
【0017】
印刷ローラおよび圧力ローラが回転し、不織布がそれらの間のニップの中を通過する。間隔を置いて設けられた接着剤の液滴の部分は、印刷ローラにおける凹部から第1の不織布の面に移行する。間隔を置いて設けられた接着剤の液滴からなる間隔を置いて設けられた複数のクラスタは、このような方法で、第1の不織布の面に移行する。この第1の不織布の面は、圧力ローラの盛り上がった接触面によって押圧的に接触させられる当該不織布の第2の面の面領域にだけ対応している。
【0018】
一実施形態において、圧力ローラ上の盛り上がった接触面は、該盛り上がった接触面の間隔を置いて設けられた行と間隔を置いて設けられた列からなる規則的なパターンで配置することができる。典型的には、この圧力ローラは、中央縦軸を含むほぼ円筒形の形状を有する。好適実施形態において、盛り上がった接触面の部分の繰り返しパターンは、盛り上がった接触面の所定の列が長手方向の軸の中心に対して螺旋状にずれた角度をなすように、圧力ローラの表面に配置される。この接触面の配置は、ほとんど振動や機械の騒音なしに、接着剤クラスタ群のよりスムーズなかつより正確な移行を容易にする。
【0019】
接着剤の液滴は、印刷ローラの一部を接着剤貯蔵容器に漬けることによって、印刷ローラの凹部に設けることができる。過度の接着剤は、ドクターブレードによって、凹部を除き印刷ローラの表面からすべて除去してもよい。接着剤の貯蔵容器とドクターブレードは、圧力ローラが印刷ローラの表面に接触する地点であるニップポイントの前に位置する印刷ローラの回転経路に沿った位置に配置されている。
【0020】
また、他の方法では、フィルムや相対的感温不織布材料を接着することが困難なものを使用する場合は、不織布表面の代わりにフィルム表面に接着剤液滴を付着(deposit)させることが好ましい。これは、ロールしたフィルムとロールした不織布素材の供給の位置を逆にすることによって達成することができる。
【0021】
また、本発明の他の特徴において、本発明は、その一実施形態において、新規かつ改良された積層体材料からなるディスポーザブルな外科用ドレープおよびガウンを提供する。このドレープは、本発明の一実施形態に従ったディスポーザブルな積層体の一片を含み、また穿孔(開口部)および一または複数のパネル部材を含むことができる。これらのパネル部材は、穿孔に隣接するかあるいは積層パネルの周縁に隣接する積層パネルの部分にしっかりと取り付けられる。
【0022】
また、一実施形態において、新規かつ改良された外科用ガウンが提供され、それは、胴体部と該胴体部に連結された二つの袖とを有する。胴体部は、前側パネルと該前側パネルに連結された二つの後側パネルとを有する。ガウンを着衣者を包み込む位置にとめるために、結び紐が胴体部に取り付けられている。袖、胴体部あるいはそれらの両方は、本発明の実施形態に従ったディスポーザブルな積層体から形成することができる。好適実施形態においては、胴体部および袖は、本明細書に記載したような通気性があって液体を通さないディスポーザブルな積層体から作られる。また、他の例として、本発明に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな積層体を有する単一パネルの外科用ガウンもまた十分にここで意図されている。
【0023】
本発明の実施形態に従ったこれらの新規かつ改良された積層体、ドレープおよびガウンによって提供される主たる利点は、市販の入手可能なドレープやガウンに比べて、これらの製品が改善された軟らかさや手触りおよび改善された被覆性を発揮する点にある。
【0024】
これらの新規かつ改良された積層体およびガウンによって提供される他の利点は、手術用手袋の下の望ましくない液体の通路が実質的に減少しあるいは除去される点にある。
【0025】
本発明に従ったこれらの積層体、ドレープおよびガウンによって提供されるさらなる利点は、それらは、気持ちのよい外観と手触りを有する改善された美的な品質によって特徴付けられる点にある。
【0026】
本発明の実施形態に従ったこれらの積層体および最終製品によって提供されるさらに別の利点は、接着剤の量が著しく減少して化学的な吸収を増やすことができる余裕をもたらす点にある。例えば、境界のない部分の割合が高い不織布は、その十分な吸収力を実現させることができる。
【0027】
本発明の実施形態に従ったこれらの積層体および最終製品によって提供されるさらに別の利点は、より開放した三次元的な構造がより液体を捕捉するので、液体の機械的な意味での吸収を増大させる可能性がある点にある。
【0028】
本発明により提供される他の利点は、以下の詳細な説明や図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体および前記外科用積層体の新規かつ改良された製造方法を提供する。また、本発明は前記改良された外科用積層材料からなる新規かつ改良された外科用ドレープ(手術用覆布)およびガウン(手術用ガウン)を提供する(以下、「積層体」”laminates”を「ラミネート」とも言う)。
【0030】
より詳しくは、図1を参照すると、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の一部分が、参照番号10で概ね示されている。図1ないし図3に示すように、ディスポーザブルな外科用積層体10は、フィルム層12と、不織布層14と、複数の境界のない接着剤クラスタ16とを有する。各境界のない接着剤クラスタ16は、複数の離散的に個々に間隔を置いて設けられた、フィルム層12を不織布層14に一体に固着するための接着剤の液滴18の円周のない群から構成されている。図1ないし図3に示す好適な実施形態に示すように、クラスタ16は、2−3−2のパターンで隣接する列が配置された、間隔を置いて設けられた液滴18を有している。本実施形態では、2−3−2の空間的配置または形状が示されているが、異なる液滴の配置を用いてもよい。
【0031】
間隔を置いて設けられた液滴18のクラスタ16は、通常、境界や円周がないものであるべきである。これは、液滴18の範囲を定める接着剤を取り囲む直線的な境界線がないことを意味している。そのような直線的な境界線があると、積層体のクラスタ接着部分が堅くなったり、図1に示すように、W、X、Y、Zのあらゆる方向に積層体を自在に折りたたむことができなくなったりする可能性があるからでる。図3に示すように、液滴18を間隔を置いて配置することにより所定のクラスタ16の内部でW、X、YまたはZのいかなる方向にも積層体10を折りたたんだり曲げたりすることが可能となる。また、クラスタ16を間隔を置いて配置することにより、間隔を置いて設けられたクラスタ16の間で積層体10を折りたたむことが可能となり、液滴18を間隔を置いて設ける形状とすることにより、クラスタ16の内部であるいはクラスタ16に沿って積層体10を折りたたむことが可能となり、それにより積層体10全体の柔らかさ、手触り、被覆性が向上する。例えば、積層体10で机の端を覆った場合、W、X、Y、Zの折り目軸のように、折り目線は積層材料の面上に形成される。積層体10は、折り目線に沿って配置されたクラスタ16の内部や、クラスタ16の間に折り目線に沿って配置された積層体10の非接着部分内で折れて、きちんと机の端の折り目線に沿って曲がり、撓み、折れる。液滴18間の空間により、フィルム層12または不織布層14は、液滴18の間であっても折り目線に沿って曲げたり、折りたたんだり、圧縮したりすることができ、より柔らかい感触とより良い被覆性を提供する。
【0032】
熱可塑性の層を熱接着または超音波溶接し場合、接着点が堅く、容易に曲がらないため、同程度の柔らかさ、柔軟性、被覆性は得られない。接着した部位は堅く融合しており、柔軟かつ折り曲げ可能には接着されていない。同様に、これまでの接着剤による接着方法では、フィルム層および布層のほぼ全面が接着されていたため、積層体は板のような剛性を有するものとなっていた。熱接着や、中空の接着形態を用いた接着剤による接着でも、接着領域に堅い周囲線(perimeter line)が形成され、それにより接着部位の折りたたみ性が妨げられ、全体の柔らかさや被覆性に不利な影響を与える。
【0033】
図1ないし図3に示した好適な実施形態では、二重積層体10が示されている。図4には、三層、すなわち三重積層体20から構成される他の実施形態が示されている。三重積層体20は、第1の主面24と対向する第2の主面26とを有する中間フィルム層22を有している。第1の不織布層28は、フィルム層22の第1の主面に隣接して配置されている。第2の不織布層30は、第2の主面26に隣接して配置されている。複数の離散的に間隔を置いて設けられた接着剤の液滴34を有する、間隔を置いて設けられた境界のない第1の複数の接着剤クラスタ32は、第1の不織布層28をフィルム層22の第1の主面24に固着する。複数の離散的に間隔を置いて設けられた接着剤の液滴38を有する、間隔を置いて設けられた離散的な第2の複数の接着剤クラスタ36は、第2の不織布層30を第2の主面26に固着する。
【0034】
三重積層体にとって必要条件ではなく、図示されていないが、実施形態において、液滴34と液滴38とが一直線上に並ぶように、第1の接着剤クラスタ32は第2の接着剤クラスタ36が上に重なるように位置を合わせて配置してもよい。また、図示するように積層体10は二重積層体、積層体20は三重積層体であるが、必要ならば同様のクラスタ接着構造および方法を用いて、不織布層や他の層を追加してもよい。
【0035】
新規かつ改良されたクラスタ接着された二重積層体10および三重積層体20は、積層体に接着剤のない中間領域を広げ、内部の布の表面を広く露出させることにより、柔らかさや被覆性を向上させるだけでなく、化学的および機械的な吸収性も向上させる3次元構造を有する。層間空間40は、毛管現象や吸い上げによる液体の機械的吸収を可能にする内部容積を意味する。図3および図4にそれぞれ示すように、表面42および44のような露出した接着されていない内部の布の表面により、もしそれらに化学的吸収性のある布繊維および不織布構成物を選んだ場合、化学的および/または機械的に液体をより吸収することができる。
【0036】
新規かつ改良された二重積層体10および三重積層体20は、使用される接着剤の量を著しく減らすことができ、製造コストを大きく削減して改良された柔らかさや布のような特性を提供する。より詳しくは、積層体10および積層体20のような良好にクラスタ接着されたディスポーザブルな外科用積層体は、従来の二重積層体または三重積層体で使用されていた接着剤の量の約5%ないし70%の量の接着剤で作製され、好ましくは従来使用されていた量の約10%ないし30%の量、特に好ましくは従来使用されていた量の約14ないし25%の量で作製された。表現を変えれば、好適な実施形態による新規かつ改良された積層体は接着剤を重量で約0.25%ないし5%しか含まなくてもよい。コストの低減はこの接着剤の含有量の著しい低減により実現する。特性の改良は接着剤の含有量の低減と積層体に存在する接着剤のクラスタ接着の形状により実現する。
【0037】
本発明の新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体は、フィルム層12または22として熱可塑性ポリマーフィルムを使用するのが好ましい。通常、熱可塑性ポリマーを形成するフィルムであれば使用することができる。熱可塑性ポリマーフィルムは、熱殺菌、エチレンオキシドまたはその他薬品による殺菌、ガンマ線殺菌のような放射線による殺菌等の業務上の殺菌工程に耐えることができることが好ましい。選択される熱可塑性ポリマーフィルムは、ガンマ線殺菌に適しているものが特に好ましい。
【0038】
フィルム層12または22として使用することができる熱可塑性ポリマーフィルムは、オレフィンポリマーおよびオレフィン共重合体、ポリエステルポリマーおよびポリエステル共重合体、ポリアミドポリマーおよびポリアミド共重合体等が例として挙げられる。オレフィンポリマーおよびオレフィン共重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、およびハロゲン化ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルアルコール、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル、およびアクリロニトリル等のエチレンとエチレン不飽和単量体の共重合体等と、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレン−アクリロニトリルゴム(SAR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、およびアクリロニトリル−ブタジエンエラストマー共重合体(BAN)等のゴム状の共重合体等が例として挙げられる。熱可塑性フィルムは、キャストフィルム、押出し成形フィルム、またはブロー成形フィルムであってもよい。気相蒸着または金属被覆されたポリマーまたは金属フィルムをフィルム層として使用することもできる。フィルムの厚さは、通常、約0.25ないし5.0milであり、約0.4ないし4milが好ましい。好ましいフィルムは、ガンマ線殺菌可能なものであり、その理由からポリプロピレン系フィルムはあまり好ましくない。フィルム層12または22として使用するのに特に好ましい熱可塑性ポリマーフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレンとを含み、フィルム厚さが約0.5ないし2.0milの混合(ブレンド)ポリエチレンフィルムである。好適な熱可塑性フィルムは、積層体に液体が通らないようにし、フィルムのバリア層を超えて患者と手術従事者との間で液体が移行するのを防止する。
【0039】
好適な実施形態に従って、新規かつ改良された積層体は、通気性はあるが液体は通さない。本実施形態では、通気性がありかつ液体を通さない熱可塑性ポリマーフィルムがフィルム層12または22に使用されている。通気性のあるフィルム層は、当業者には公知のモノリシックフィルムまたは微小孔性のフィルムから構成することができる。特に好ましいモノリシックフィルムは、E.I.duPont de Nemous and Companyから入手可能なHYTREL(商標)という熱可塑性ポリエーテル−エステルブロック共重合体エラストマーフィルムと、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(商標)というポリブチレンテレフタラートの堅い部分とアモルファスポリエステルまたはポリエーテルの柔らかい部分とからなるポリエステル共重合エラストマーフィルム(copolyester elastomer films)とを含む。多くの供給源から商業的に入手可能なポリウレタンをから構成される通気性フィルムに加えて、Elf AtochemからPEBAXという商標で販売されているポリエーテルアミドフィルムのようなその他の通気性がありかつ液体を通さないフィルムを使用してもよい。
【0040】
図1ないし図4に示すように、布層14、28、および30として使用する不織布は、通常、任意のあらゆる不織布から構成される。その不織布はガンマ線殺菌可能な不織布材料から選ばれるのが好ましく、この理由からポリプロピレン系不織布はあまり好ましくない。本発明の新規かつ改良されたクラスタ接着された積層体の主な利点は、不織布材料が熱可塑性不織布である必要がなく、性質上熱可塑性ではない天然繊維、再生繊維または合成繊維から構成することができるということである。例えば、特殊な積層体としては、不織布を含むガラス、金属またはセラミック繊維が挙げられる。好ましい種類の不織布層は、熱可塑性ポリマー不織布材料から構成される。吸収性が所望の特性である積層体用に使用されるその他の好ましい種類の不織布層は、レーヨン繊維、すなわち再生セルロースウッドパルプ繊維から構成される。これらの不織布材料は当業者に周知の、湿式法、乾式法、スパンレース法、スパンボンド−メルトブロー−スパンボンド法(SMS)により製造されたものでもよい。
【0041】
ここで使用される好ましい熱可塑性ポリマー不織布としては、Freudenberg、Durham、North Carolinaから入手可能な100%熱接着ポリエステルステイプル繊維不織布が挙げられる。North Carolina州のMooresvilleのPGIから商業的に入手可能な接着剤により接着されたポリエステル繊維不織布を使用することもできる。吸収性が重要な場合は、レーヨン繊維不織布を使用してもよい。好適な実施形態では、ポリビニルアルコール繊維スパンレース不織布を含む生分解性熱可塑性ポリマー不織布を使用する。ガンマ線殺菌されない実施形態については、SMSポリプロピレン不織布層を使用してもよい。
【0042】
布層14、28、または30として使用する特に好ましい不織布としては、E.I.du Pont de Nemours and CompanyからOPTIMAおよびSONTARAという商標で販売されているセルロース木材パルプ繊維55%とポリエステル45%のスパンレース不織布のような天然繊維とポリエステル繊維の混合不織布が挙げられる。混合不織布中の異なる繊維の割合は変えてもよく、それでも不織布は適用可能である。
【0043】
好適な実施形態で使用される熱可塑性ポリマー不織布の他の特殊な種類は、複合糸すなわちシース/コア繊維を基材とするまたは含む不織布である。これらの複合糸は、ポリエチレン/ポリアミド繊維、ポリエチレン/ポリエステル繊維、ポリエステル/ポリエステル繊維などが例として挙げられる。ここで使用可能な種類のスパンボンド複合糸不織布は、South Carolina州のSimpsonvilleのBBAから商業的に入手可能である。
【0044】
フィルム層と不織布層を一体に接着するクラスタに使用する接着剤は、通常、熱可塑性ポリマー接着剤から構成され、熱可塑性ホットメルト接着剤が好ましい。ホットメルト接着剤はエチレン酢酸ビニル、スチレン、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミドおよび/またはポリエステルが挙げられる。ここで使用される好適なホットメルト接着剤は、Wisconsin州のWauwatosaのATO Findleから入手可能であるエチレン酢酸ビニル(EVA)から構成される。他の好適な接着剤を使用することは可能であるが、接着剤は熱可塑性でガンマ線殺菌に耐えられるものであるものが好ましい。
【0045】
本発明に従って、ディスポーザブルな外科用用途だけでなく外科用ではない異なる用途にも好適な新規かつ改良された積層体は、坪量や厚さの範囲が幅広いフィルム層および不織布層から作製することができる。好適な実施形態に従って、改良された柔らかさおよび被覆性を有する新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体は、層の厚さが約0.4ないし4.0milで坪量が約0.25ないし5.0オンス/スクエアヤード、好ましくは約0.3ないし4.0オンス/スクエアヤードのフィルム層から構成される。不織布層の坪量は約0.25ないし7.0オンス/スクエアヤード、好ましくは約0.3ないし5.0オンス/スクエアヤードである。接着剤の使用量は変えてもよいが、約0.025ないし0.250オンス/スクエアヤードが好ましく、0.040ないし0.18オンス/スクエアヤードが特に好ましい。好適な実施形態では、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用二重積層体は、通常、積層体全体の重量を基準として、約30ないし50%の熱可塑性ポリマーフィルムと、約40ないし60%の不織布と、約0.5ないし15%の接着剤とから構成される。これらの積層体における実際の比率や三重積層体での値は変えても良く、それはこれらの層に対する好適な坪量を決めることがより有用であるからである。
【0046】
本発明の他の特徴に従って、新規かつ改良された外科用積層体10または20を作製する新規かつ改良された方法が提供される。図5ないし図7を参照すると、改良された積層装置 (laminating apparatus) 50および新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体を作製する方法が示されている。積層装置50は、種々のローラ、駆動機構、およびその他の構造体が操作のために装着、配置されている図示しない装置フレームを有している。図5に示す積層装置50は、離散的に間隔を置いて設けられた18、34、および38のような接着剤の液滴が、クラスタ16、32、および36のような境界のない間隔を置いて設けられた接着剤液滴のクラスタの規則的なパターンで、14、28および30のような不織布層の表面に付着するように設定されている。
【0047】
図6に示す実施形態に従って、積層装置50’は、接着剤の液滴が、布層ではなくフィルム層の表面に間隔を置いて設けられたクラスタ状に付着するように設定されている。図6で設定されている積層装置は、接着するのが難しい種類のフィルム層を有する積層体を製造する時および/または不織布層が温度感受性材料から構成される場合に用いられる。
【0048】
積層装置50および50’の構造および操作の大部分はほぼ同じである。積層装置50および50’はどちらも、フィルム供給ロール54と、コロナ放電装置 (corona discharge apparatus) 58を備えたコロナ放電処理部56と、図5の装置ではガイドロール60および62とを含む参照番号52で概ね示されるフィルム供給部を有する。また、不織布供給ロール66と、図6の装置ではガイドロール60’および62’とを含む不織布供給部64が設けられている。接着剤貯蔵(供給)容器70と、ドクターブレード74を備えたエッチングされたグラビア印刷用ロール72と、グラビア印刷用ローラ72と圧力ローラ76との間でニップ78を形成するエラストマー被覆された圧力ローラ76とを含む接着剤移行部68が設けられている。冷却ローラ82と、ガイドローラ82とを含む積層部 (laminating section) 80が設けられている。組み合わされた積層体を積層体巻取りローラ88を有する積層体取り出し部86に導くために、1つまたは複数のガイドローラ84を設けてもよい。当業者に周知の通り、必要であれば、フィルム12または22と、不織布14、28または30と、積層体材料10および20とを積層装置50中で移動させるために、巻き取りローラ88と、グラビア印刷用ローラ72と、圧力ローラ76とを回転させる好適な駆動体(図示せず)が用いられる。
【0049】
50および50’のような積層装置は多くの供給源から商業的に入手可能である。好適な積層装置は、Wisconsin州のWilwaukeeのFaustel Laminatorsから入手可能である。積層装置は幅が約20ないし120インチの幅広いフィルムおよび不織布の運転に対応しており、約100ないし1,000フィート/分の速さで運転可能なものが好ましい。特に好ましいFaustelの積層装置は、幅84インチの初期材料である不織布およびフィルムに対応し、約100ないし800フィート/分の速さで稼動可能である。
【0050】
新規かつ改良された積層装置および方法に従って、接着剤移行部68において、エッチングされた輪転グラビア印刷用ローラ72とともに使用される特別に設計されたエラストマー被覆された圧力ローラ76を設けるよう特別な改良を行うことにより、離散的な接着剤の液滴18のクラスタ16が接着剤移行部68で移行するように積層装置50および50’は適切に改良されている。
【0051】
図7に示すように、エッチングされたグラビア印刷用ローラ72は複数のエッチングされた凹部92を含む周面90を有している。凹部92は行94および列96の規則的な配列で配置されている。好適な実施形態では、グラビア印刷用ローラ72は、深さ約0.030インチまでエッチングされた凹部を1平方インチ当たり約110個備えている。当業者に容易に明らかなように、グラビア印刷用ローラ72には異なる深さおよび間隔で凹部が設けられてもよい。
【0052】
グラビア印刷用ローラ72は、回転してその表面90の一部が例えば約華氏200ないし400度に維持された加温されたホットメルト接着剤の貯留容器70に浸漬するように取り付けられている。図7に示すように、グラビア印刷用ローラ72が接着剤槽を通って時計回りに回転する際に、接着剤槽70から接着剤が引き上げられ、周面90を覆い凹部92が充填される。さらに時計周りに回転すると、ドクターブレード74が周面90と接触し、凹部92以外の周面90からほぼすべての接着剤を拭いとる。ドクターブレード74によって除去された過剰な接着剤は貯留容器70へ落とされる。グラビア印刷用ローラ72の表面部分がドクターブレードの接触点からニップ領域78まで回転する時は、グラビア印刷用ローラ72の周面90は凹部92に少量の間隔をおいて設けられた接着剤の液滴を保持し、グラビア印刷用ローラ72の他の部分には実質的にまったく接着剤を保持しない。
【0053】
改良された積層装置50および50’は、図7に最も良く示されている新規かつ改良されたエラストマー被覆された圧力ローラ76を有している。そこに示されているように、圧力ローラ76は、間隔を置いて設けられ、盛り上がった複数の島状の突起100を有する周囲のベアリング(押圧)面98を有している。盛り上がった突起100は、盛り上がった接触面(突起の上部端面)102を有している。盛り上がった突起100は、効果的に周囲のベアリング面98を構成していており、複数の溝104によって分離された相対的に盛り上がった複数の接触面102を有している。図7に示す好適な実施形態では、盛り上がった接触面102は通常4辺の正方形状である。また、盛り上がった接触面102は、長方形、菱形、円形、三角形、楕円形などの形状を必要に応じて取ることができる。突起100、盛り上がった接触面102、および溝104を形成するエラストマー被覆は、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、またはSBR、EPR、EPDM、ポリウレタンエラストマー等の熱可塑エラストマー等のエラストマー材料の成形したストリップ(molded strip)であり、それらは接着剤またはその他の固着または接着方法でローラベースに固着される。
【0054】
図7に示す好適な実施形態に従って、島状の突起100および盛り上がった接触面102は突起の行106と列108との規則的な配列で配置されている。圧力ローラ76は、通常、図示するように長手方向に延出する中心軸cを有する円筒形である。図7に示す好適な実施形態に従って、エラストマー被覆は、図7に示すように列の軸すなわちrとずれ角(angular offset)θとで示されるように傾斜してすなわち軸からずれて圧力ローラに施されている。これに従って、接触面100の所定の列は長手方向の中央縦軸cに対してらせん状に軸からずれている。接触面102の各列108をらせん状に軸からずらして配置することにより、グラビア印刷用ローラ72が時計方向に回るのに対して圧力ローラ76が反時計周りに回る際に、接触面102とグラビア印刷用ロール72の周面90は各列108の片側からもう一方の側まで、すなわち左から右に徐々に順次接触することができる。この配置により、接着剤移行の円滑な操作が促進される。これに対して、列の軸rを概ね中心軸cと平行に延びるようにした場合、グラビア印刷用ローラ72に対して圧力ローラ76が回転している間、所定の列108のすべての接触面102はほぼ同時にグラビアロール72と接触する。さらに回転すると接触面の盛り上がった列に続いて溝の列がグラビアロールに向かって現れてくる。連続して回転すると、この配置は、盛り上がった接触面102とグラビア印刷用ロールの周面90との間で機械の騒音や衝突を引き起こし、これは接着剤の正確な移行という観点から好ましくなく、また長時間稼動においてローラベアリングの過度な磨耗の原因となる可能性がある。図1に示すように、前述した角度のずれた配置により、本発明の積層体では、クラスタの列は幅方向の軸と平行に配置されるのではなく、角度θほどずれて配置されている。
【0055】
もう一度図5および図6を参照すると、不織布層14またはフィルム層12がそれぞれ供給ロール66または54からニップ78へ供給されると、圧力ローラ76の盛り上がった接触面102は不織布14またはフィルム12の裏面を押しつけ、これにより不織布14またはフィルム12の表側の面の部分がグラビア印刷用ロール72の周面90の部分に押し付けられる。周面90の接着剤の液滴はいずれも不織布14またはフィルム12に押圧された状態で接触している。この不織布14またはフィルム12は盛り上がった接触面102によって周面90に圧迫されている。それにより接着剤の液滴は周面90を離れ不織布14またはフィルム12へ移行する。その液滴は離散的に間隔を置いて設けられた形状で移行され、接触面102の形状に対応する境界のない液滴のクラスタは不織布14またはフィルム12の表面に移行される。
【0056】
図5および図6に示す好適な実施形態に従って、布14またはフィルム12の供給経路は、圧力ローラ76の接触面102に対して布またはフィルムに沿っているので、布14またはフィルム12は正確な液滴の移行を持続するグラビア印刷用ローラ72の周面90と接線に沿って接触する。積層装置50および50’の重要な特徴は、接着剤が圧力ローラ76に接触しないため、接着剤の吸いあがりや、接触面102あるいは溝104への接着剤の堆積が起こらないことである。その結果、最小限の制御された量の接着剤が、制御された液滴のクラスタ形状に注意深く移行される。
【0057】
図5および図6に示すように、接着剤クラスタを保持する布14またはフィルム12は接着剤移行部68から積層部80へ移動する。積層部80では、もう一方の布14またはフィルム12は重ねられ(位置合わせされ)、接着剤を保持する布14またはフィルム12と接触する。接着剤の液滴は、もう一方の布14またはフィルム12の表面に接触し、組み合わせられた積層体は、ホットメルト接着剤が冷却され固まるだけでなく布層とフィルム層とが固着するように、約華氏30ないし80度に維持された冷却ロール82に対して保持される。その後、クラスタ接着された積層体10または20は、ガイドローラ83および84を通り、積層体取り出し部86の巻取りローラ88に巻き取られる。積層装置50および50’で正確に接着剤クラスタの移行を行なうことにより、巻き取りローラ88巻き取られた積層体10または20の隣接し重なってもくっつかないブロッキング防止特性が備わり、これは明確な利点である。
【0058】
新規かつ改良された積層装置50および50’および図5ないし図7に示す新規かつ改良された積層体製造方法により提供される主要な利点は、クラスタ接着された積層体10および20は幅広い種類のフィルムおよび布材料から製造することができるということである。以前は、フィルム層および布層は温度が一致する熱可撓性材料から作製されなければならなかったが、その必要はない。本発明は幅広い範囲の構成材料から改良された積層体の構造を考えたが、本発明は特にディスポーザブルな外科用不織積層体材料やワイプ、覆布、ガウンのような最終製品として使用するのに便利な二重および三重のクラスタ接着積層体材料を可能にした。
【0059】
ディスポーザブルな外科用不織積層体の好ましい実施形態のひとつは、エンボス加工された混合ポリエチレンフィルムからなるフィルム層と、エチレンビニル酢酸接着剤でフィルム層に接着された、セルロース木材パルプ繊維55%とポリエステル45%のスパンレース不織布からなる不織布層を含む二重積層体から構成されている。実施形態では、1.25milのエンボス加工された混合ポリエチレンフィルムと、1.82オンスのOptima(商標)スパンレース不織布とを使用して好適な積層体が形成される。
【0060】
その他の本発明による好適なディスポーザブルな外科用積層体は、1milのエンボス加工された混合ポリエチレンフィルム層と、1オンスの接着剤結合されたレーヨンステイプル繊維不織布とがEVAでクラスタ接着された二重積層体から構成されている。この二重積層体は、吸収性のあるワイプ(拭取り布)、覆布あるいはガウン用パネルとして特に有用である。また、上述した特別の厚さにおいて、クラスタ接着を用いると、積層体に望ましいひだがついた手触りのよい表面特性を与える。すなわち、手触りのよい表面や拭取り性を提供するために従来用いられてきたローラの回転速度を変える方法やその他の特別な手段を用いることなく、拭取り性や吸収特性を改善することができる。
【0061】
さらに好ましいディスポーザブルな外科用積層体は、ポリエチレンフィルム層と、生分解性ポリビニルアルコール不織布層とを含む二重積層体から構成されている。
【0062】
特に好ましい二重積層体および三重積層体は、特にガウンに好適な通気性はあるが液体は通さない、モノリシック熱可撓性エラストマーフィルム層を含む積層体である。実例として、HYTREL(商標)ポリエステル共重合フィルム層と、0.4オンス/スクエアヤードのSMSポリプロピレン不織布層とがEVAでクラスタ接着された、オートクレーブによる殺菌はできるがガンマ線殺菌はできない二重積層体が挙げられる。
【0063】
覆布およびガウンに使用するのに適した他の二重積層体は、HYTREL(商標)フィルム層と、100%熱接着ポリエステルステイプル繊維不織布層とから構成されている。
【0064】
他の好適な二重積層体は、ポリエチレンフィルム層またはモノリシック熱可撓性エラストマーフィルムから選択された熱可撓性フィルム層と、複合糸をPE/ナイロン、PE/ポリエステル、およびポリエステル/ポリエステルの複合糸から選択した複合糸スパンボンド不織布層とから構成されている。
【0065】
覆布およびガウンに好適な三重積層体として、両面が不織布のタイプやまたそれらが異なる不織布でもよい。好適な三重積層体は、第1の側に25グラム/スクエアメートルのPE/ナイロン複合糸スパンボンド不織布が、第2の側に20グラム/スクエアメートルのPE/ナイロン複合糸スパンボンド不織布がクラスタ接着された1milのHYTREL(商標)フィルム層から構成されている。その他の好適な三重積層体は、第1の側にPE/ナイロン複合糸不織布が、第2の側にPE/ポリエステル複合糸不織布またはポリエステル/ポリエステル複合糸不織布がクラスタ接着されたHYTREL(商標)フィルム層から構成されている。
【0066】
覆布用の好適な吸収性のある三重積層体は、第1のフィルム表面に100%熱接着ポリエステルステイプル繊維不織布が、第2のフィルム表面に接着剤結合されたレーヨンステイプル繊維不織布がクラスタ接着されている混合ポリエチレンまたはHYTREL(商標)フィルム層から構成されている。
【0067】
上述した二重および三重の積層体は、特に好ましいものとして特別に言及したものであるが、改良された柔らかさ、被覆性、および/またはその他の所望の特性を有するクラスタ接着された積層体を提供するために、本発明に従って改良または変更は容易に行うことができる。
【0068】
図8〜10において、この発明に従って、新規かつ改良されたディスポーサブルな外科用不織布積層体で用意された典型的な医療または外科用ガウン110を示す。ガウン110は、前側パネル114と後側パネル対116、118を含む胴体パネルを備える。袖120、122は、胴体パネル112の各側面から伸長する。ガウン110を着るために、ヘルスケアの専門家は、ガウン110の前側パネル114が外に向いているという状態で、袖120、122のそれぞれに手を通す。ガウン110は、ヘルスケアの専門家の腕に伸ばされ、後側パネル116、118は、一般に図9に示されるように、重なり合ったスタイルでヘルスケアの専門家の後側部の周りに巻き付けられる。
【0069】
図8〜10に示される好適実施形態では、前側パネル114は、結合部126が固定される接着材124の領域を含む。接着材124は、好ましくは、結合部126の幅よりも広く、結合部126をしっかりと保持するのに十分な長さの領域を備える。ここで記述される好適実施形態では、接着材124の粘着性領域は、好ましくは、2インチの幅で1インチの長さである。
【0070】
本発明の一実施形態において、ガウン110のような、新規かつ改良されたディスポーサブルな外科用ガウンは、図1〜4に従ってクラスタ接着二重積層体10または三重積層体20を材料として、前側パネル114、後側パネル116および118、並びに袖120および122を作ることによって提供される。これらの積層体10および20は、より柔らかく、より柔軟である。それらは、それらを着なければならない外科用人員により許容できるようになる感触のような、より良い手および布を有する。改良された柔軟性と被覆性(drapability)特性は、その積層体がチャネリングする(channeling)ことなく手首に適合されるのを可能にし、それによって、手袋の袖口の下および外科医のあるいは看護婦の手袋の中への血液または体液の望ましくない導入を減らし、あるいは排除する。
【0071】
好適実施形態によれば、ガウン110は、パネル114〜118と、同じ二重または三重の積層体から用意された袖120〜122とを備える。その積層体は、上述のHYTRELO(登録商標)およびARNITELO(登録商標)フィルムのような一体となっている共重合体フィルムまたは微孔性共重合体フィルムの通気性で不浸透性の熱可塑性フィルムを使用する。積層体20のような通気性で不浸透性三重積層体が特に好ましい。なぜならば、柔らかい不織布層が、着用者により柔軟で気持ちの良い肌との接触のために、ガウンの内部表面上に供給されるからである。
【0072】
代わりの実施形態では、図11に示されるガウン130のような、異なるパネルと袖は、異なる積層体材料または追加のパネルを含んでもよく、処理したパネルまたは補強するパネルは、既存のパネル上に追加されてもよい。より詳細には、ガウン130は、開腹手術のような比較的高い液量の手術に用いるのに適する外科用ガウンである。ガウン130では、前側パネル114と後側パネル116および118は、20のような第1の三重積層体から作られる。袖120および122は、通気性で不浸透性のフィルム層、フィルム層の内部に面する表面上のソフトなポリエステルまたは複合不織布繊維層、ならびにフィルム層の外向きの表面上の吸収性レーヨンまたは厚手の熱可塑性のポリマー不織布繊維を含む、異なる吸収性三重積層体から作られる。通気性で不浸透性のフィルム層の二重積層体と吸収性レーヨンまたは熱可塑性不織布繊維層とを備える分離した吸収性パネル132は、示されるように、繊維の側面外、前側パネル114上に縫合され、あるいは粘着性接着される。他の専門的パネル、袖およびガウン構造は、当業者には容易に明白であろう。
【0073】
図12および図13において、本発明のもう一つの面に従って新規かつ改良されたディスポーサブルな不織布外科用ドレープを示す。図12は、血管造影処置での使用のための好ましいドレープ140を示す。血管造影ドレープ140は、中央のクラスタ接着三重積層体シート142を備える。積層体フィルムシート対144は、中央シート142の長手側面端に縫合され、あるいは粘着性接着される。フィルムシート144は、手術台の側面上につり下げるように設計される。レーヨン不織布二重積層体のような別の吸収性上部シート146は、中央シート142に縫合され、あるいは粘着性接着される。また、別の吸収性シートを含む器具パッドシート148は、吸収性上部シート146の底部端に縫合され、あるいはくっついて固定される。一般に円形レッグホール開口窓対150は、中央シート142と上部シート146と貫通して延びて供給される。使用中、患者の足の上の患者の切開場所が、ドレープ140がドレープ下で患者に患者をかぶせるように、開口窓150を通してさらされる。患者の足は、外科用カットダウンが血管造影処置を行うために足になされてもよいように、開口窓を通してさらされる。器具パッド148は、外科医が、外科用メス、鉗子、絹または同様なもののような外科器具をカットダウン場所の近くに置くための識別場所を有するように、提供される。
【0074】
新規かつ改良された開腹ドレープ156は、図13に示される実施形態に例示される。また、開腹ドレープ156は、中央クラスタ接着三重積層体シートと、手術台の下に側面フィルムシート160とを含む。大きい方形クラスタ接着二重または三重積層体パネルは、麻酔スクリーンドレープシート162を明確にするために、上端部に置かれる。麻酔スクリーンドレープシート部162は、周知の方法で手術場所から患者の頭を隔離するために、直立したスクリーンまたはフレームをかぶせる。また、吸収性上部シート164と器具パッド166は、示されるように提供される。開腹ドレープ156は、患者の切開場所をさらすための、吸収性上部シート164および中央シート158を貫通して延びる方形開口窓168を有する。この実施形態において、開腹ドレープ156は、患者と麻酔スクリーン上に置かれる。ドレープ156のパネルは、最終的なドレープアセンブリを提供するために、ともに縫合されてもよく、あるいはともに粘着性接着されてもよい。
【0075】
ドレープ140および156は、この発明に従ってドレープの例証的な例である。他の材料およびパネルは、示されるあらゆるパネルに加えて、あるいはその代わりに、用いられてもよい。防水処理または殺菌処理のような種々の表面処理は、要望通りあらゆるパネル上に追加されてもよい。
【0076】
新規かつ改良されたディスポーサブルな外科用積層体とドレープおよびそれらで用意されるガウンは、改良した柔軟性および折り畳み可能性を示す。クラスタ接着がわずかに受ける引っ張り特性をもたらすけれども、患者クラスタ接着積層体の引裂強さ特性は、一般に改良される。さらに、クラスタ接着積層体は、同じ繊維のために思いがけない改良された吸収特性を示し、くぼんだ傾斜を含むレーヨンは、さらに吸収性を改良し得る。
【0077】
本発明の他の目的および利点は、次の実用的な例から明白になるだろう。
例1
この例では、この発明に従って新規かつ改良されたクラスタ接着積層体の多くの特性が、商業的に入手可能な押し出し成形積層体のものと同様に決定された。より詳細には、例Aの積層体は、混合ポリエチレンフィルム層をエンボス加工された1ミルの押し出し成形された二重積層体を含む商業的方法に従って用意された。100%レーヨンステイプル繊維不織布繊維層が用意された。もう一つの積層体は、クラスタ接着方法を用いる本発明に従って用意される。例1の積層体は、0.75ミルのエンボス加工された混合ポリエチレンフィルム層と、エチレン酢酸ビニルの接着剤の液滴で接着された1オンスのレーヨン不織布繊維層クラスタとを備えた。
【0078】
例Aの積層体と例1の積層体は、エルメンドルフ引裂強さ試験、グラブ引張試験、ハンドルオメター(Handle-O-Meter)試験、動的吸収性試験、接着強さ/剥離強さ試験、および固定容量試験を含む標準試験方法に従って、種々の特性のためにテストされた。これらの積層体材料の相違のために、合理的に、大きさまたは快適さ基準に基づいて物理的特性をなす直接的な比較ができない。これらの特性は、それぞれの積層体タイプのためのそれぞれの値としてだけの情報のためにここで報告される。それにもかかわらず、これらの構造的に異なる積層体の表面吸収特性は、意味があるように比較され得る。なぜならば、この特性は、表面層特性に依存し、一般的に、異なるフィルム厚あるいはホットメルト接着剤の有無に依存しないからである。次の標準試験方法が用いられた:
ASTM D5729-97に従って、ミル単位の厚さが決定された。ここで、材料のゲージは一定の負荷のもとに置かれて、厚さが測定される;
ASTM D3776-96に従って、オンス/平方ヤードまたはグラム/平方メートルの単位の基礎重量が決定された;
IST 90.3 (95), INDA(米国不織布工業会)のテスト方法に従って、グラム単位のハンドルオメター値が決定された。ここで、繊維、フィルムまたは積層体の折り畳み可能性は、プローブによってスロットに押し込まれるとき、たわみへのその抵抗によって示される。より低い値がより柔軟で、より折り畳み可能な性能を示す;
ASTM D5734-95に従って、自由落下振子で引き裂く切欠き構造の抵抗が決定される、グラム単位のエルメンドルフ引裂が決定された;
ASTM D824-94 (98)に従って、秒/mm単位の固定容量吸収性が決定された。ここで、1ミリリットルの水を完全に吸収するための材料の表面のための時間が決定される;
ASTM D5034-95に従って、ポンド単位のグラブ引張が決定された。ここで、適用される一定の引張り応力下で故障への損なわれない構造の抵抗が測定される;
IST 110.3 (95)に従って、標本のオンス/インチ単位の接着強さ/剥離強さが決定された。ここで、分離される積層体の種々の層の抵抗が測定される。より高い値がより完全な構造を示す;
EPA 300、アリージャンスヘルスケアコーポレーション内部試験処置に従って、動的吸収性が決定される。その試験は、そのような構造が12度における傾斜平面上に置かれるとき、流体を捕らえ保持するために、繊維または積層体の能力をテストする。100ミリリットルの水は、繊維上にスプレーされ、保持されて流出しない液量が測定される。
【0079】
ASTM D5733-95に従って、ポンド単位の台形引き裂き(Trapezoid Tear)が決定された。ここで、切り欠きは、引き裂きを広げるために資料に定められ、一定応力下の引き裂きの抵抗が測定される。
【0080】
これらの積層体のそれぞれの5つのサンプルをテストして得られた平均結果は、以下のように、表1に示される:
【0081】
【表1】
【0082】
表1の結果は、本発明に従って例1の積層体で得られた物理的特性の優秀なバランスを示す。より重要なことには、表1の結果は、例Aに比較して、例1の積層体の吸収性の劇的増加を表す。それは、例1のクラスタ接着積層体が特にディスポーサブルな外科的適用にとって有用であることを示す。
【0083】
例2〜4
次の例では、本発明に従って新規かつ改良されたクラスタ接着積層体の物理的特性が、非殺菌の、エチレン酸化物(EtO)殺菌およびガンマ殺菌(100 kGy)形式で従来の粘着性接着積層体と比較された。より詳細には、次の例では、1.25ミルのエンボス加工の混合ポリエチレンフィルム層と、スパンレースセルロース木材パルプ繊維/ポリエステル繊維不織布繊維を重量比55%/45%で含む1.82オンス/平方ヤードの不織布繊維層とを備える二重積層体が使用された。例B、CおよびDの制御積層体では、フィルム層と繊維層は、繊維層の100%に適用されたエチレン酢酸ビニル接着剤を用いて、100%表面接着された。この発明に従って例2、3および4の各積層体では、フィルム層と繊維層は、繊維層表面の25%が境界のない離間クラスタで配列された、限られない離間接着剤の液滴を有した。例Bおよび2では、積層体は、特性測定の前にあらゆる殺菌処理を受けていなかった。例Cおよび3では、積層体は、特性テストの前に、周知の処置に従って2サイクルのEtO殺菌を受けた。例Dおよび4では、積層体は、テスト前に周知の方法に従って、およそ100kGyレベルの照射によってガンマ殺菌された。
【0084】
例B〜Dおよび2〜4の積層体は、例1に示される手順に従ってテストされた。それに加えて、サンプルはまた、上述の標準方法に従って台形引き裂きのためにテストされた。
【0085】
積層体は5つのサンプルをテストすることによってテストされ、その得られた平均結果は、次のように、表2に示される:
【0086】
【表2】
【0087】
表2のデータによって示されるように、例2、3および4のこの発明のクラスタ接着積層体は、制御例B、CおよびDの100%表面接着積層体に比較してより良い柔軟さに対応する、著しく減らされたハンドルオメター値を示す。グラブ強さおよび接着強さが例2、3および4にはわずかに小さいけれども、これは、接着配列および接着剤のより低い割合から期待されるであろう。これらの値がわずかに小さいけれども、得られた値は、まだ、望ましい機能的範囲の十分範囲内にある。台形引き裂き強さが比較できた。ガウンに使用する外科的積層体には、外科的人員へのそれらの主観的快適さにとって上述のようにチャネリングを減らし、あるいは排除するために、柔らかさが非常に重要である。例2、3および4の積層体は、制御例B、CおよびDの商品に比較して、思いがけなく改良された柔軟さを明らかに示した。
【0088】
本発明が多くの好適実施形態を参照して記述されたけれども、他の変形および変更が、ここで記述され、あるいは当業者に知られ、この発明に企図され含まれる。変更および修正は、本発明から逸脱することなく、ここに記述された実施形態になされ得る。例えば、エチレン酢酸ビニルが接着剤として例示されるけれども、ここで記述され、あるいは当業者に知られる他のあらゆる接着剤が、置換され得る。また、他のフィルムおよび不織布繊維は、外科的または他の使用に適した有利な積層体を提供するために、クラスタ接着されてもよい。新規かつ改良されたクラスタ接着積層体は、改良されたドレープおよびガウンを作るために、限定するわけではないが、Kraton(商標)層、Ultrasorb(商標)層、IsoBac(商標)層、Delnet(商標)層、Optisorb(商標)層、SMS層、Dexter(商標)層および補強なしもしくは補強Optima(商標)層を含む種々の他のフィルム、繊維またはパネルタイプで組み立てられてもよい。二重または三重積層体が示されるけれども、予め成型された二重または三重積層体は、そこへ追加され、ここで教示されるようなクラスタ接着方法によって添付された追加のフィルムまたは不織布繊維を有してもよい。そのようなすべての明白な修正は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲および精神から逸脱することなく、この技術の当業者によってここでなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の平面図である。
【図2】図1に示す、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の分解斜視図である。
【図3】図1および図2に示す新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の断面図であって、改善された軟らかさや被覆性に貢献する接着領域における積層体の柔軟性を示すために積層体を折り曲げた状態を示している。
【図4】本発明の好適実施形態に従った新規かつ改良された三層構造すなわち三重のディスポーザブルな外科用積層体の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体を形成するために用いることができる積層装置および方法の説明図である。
【図6】図5に類似した積層装置の説明図であるが、不織布の表面の代わりにフィルム面に接着剤の液滴を付着させるためにフィルム送りと不織布送りを逆にした位置を示している。
【図7】図5の装置の一部の拡大斜視図であって、盛り上がった接触領域を有するエラストマーで覆われた圧力ローラと複数の接着剤液滴を含む凹部との間に形成されたニップを示している。
【図8】本発明の他の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用ガウンを着た外科医の斜視図である。
【図9】背後から見た図7に示す外科用ガウンの斜視図である。
【図10】着衣前の図7に示す外科用ガウンの斜視図である。
【図11】他の実施形態に従った他の新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用ガウンの正面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな血管造影外科用ドレープの平面図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな腹部開腹手術用ドレープの平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、新規かつ改良されたディスポーザブルな不織布積層体(disposable nonwoven laminates)および新規かつ改良された前記積層体の製造方法、並びに前記新規かつ改良されたディスポーザブルな不織布積層材料からなる新規かつ改良された外科用ドレープ(手術用覆布)およびガウン(手術用ガウン)に関する。より詳しくは、本発明は、新規かつ改良された複数の不織布層を含むディスポーザブルな多層外科用積層体であって、改良された軟らかさと手触りと被覆性(drapability)を提供するために前記積層体の層が特別に柔軟な方法で接着されており、またより満足のいく製品を提供するために前記不織布層の所望の材料特性がより良く保持されかつ現れている。
【背景技術】
【0002】
外科手術における無菌の術場を維持するために外科用ドレープやガウンが用いられている。外科用ガウンは、外科手術や他の処置の間に液体や微生物からヘルスケアの専門家を守るために医療業界で用いられている。シングルユースの外科用ガウンは、通常、ディスポーザブルな不織布から作られている。そのようなガウンは、通常、一枚の胴体側パネル(panel:幅広の縦布)あるいは複数のパネルからなっている。複数のパネルからなるタイプは、前側パネルと、前側パネルの両側に連結されるとともに該前側パネルから遠ざかるように広がる一対の後側パネルと、前側パネルと後側パネルの連結部に設けられた一対の袖とを有している。前側パネルは、処置の間にヘルスケアの専門家の前側をカバーする。後側パネルは、ヘルスケアの専門家の後側カバーするために、その周りに巻きつけられるとともに互いに重ね合わされるようになっており、そしてさらに結び紐を有している。通常の外科用ガウンは、二本の外側結び紐と二本の内側結び紐とを有する。内側結び紐は、ガウンの背面の下側の後側パネルをとめるために用いられる。外側の結び紐は、ガウンの後側パネルをヘルスケアの専門家の背面に確実に巻きつけるために用いられる。
【0003】
無菌の外科用ドレープもよく知られており、無菌状態の外科術場を作り出すとともに、患者を保護するために広く用いられている。外科用ドレープは、様々な形やサイズのものが使われ始めており、また特定の外科手術用に特化された多くのドレープを選ぶことができるようになっている。実例として、これらのドレープは、手術台を覆ったり、麻酔処置が施された領域を覆ったり、あるいは患者の足や腹部を覆ったりするための長方形のシート形状になっていてもよい。より専門的に特化されたドレープは、患者の体のある部分がドレープの下から露出しない状態のままで他の部分がドレープの他の部分の上に露出するような異なる処置のために要求される足用の穴や腕用の穴を有することもできる。また、いくつかのドレープは、切開する術野の周りに境界付けられた領域を設定するために、穿孔(Fenestrations)と呼ばれる開口(穴)や窓を設けてもよい。この穴あきタイプのドレープは、穴の周囲の周りに特別な吸収層を設けてもよい。また、ドレープのある部分を、特定の外科手術に望ましいように無菌、抗菌および/または防水にするために、表面処理を施してもよい。また、単純な長方形のドレープは、吸収性の手術用タオルや拭取り布として使用することもできる。最後に、ドレープは、一体にとめられた複数の異なるタイプのパネルを有してもよい。例えば、手術台用のドレープは、薄い吸収性のある手術台上用のパネルと、単に手術台の下側に対するするはねよけとして機能するかあるいは手術台の下側に対する防壁を提供するより薄いが吸収性がほとんどない構造を有する複数のサイドパネルを備えてもよい。
【0004】
以前の手術用ドレープやガウンは、織られた天然の繊維材料(通常は綿)から作られていた。これらの布製品は、手術の準備のためにオートクレーブで殺菌されていた。また、合成繊維からなる代替生地が加えられたり用いられたりしていた。結局は、不織布材料の進歩により、不織布からなるドレープやガウンが用いられ、1回だけの使用するようになっているディスポーザブルなガウンやドレープが提供されるようになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
不織布材料からから作られた以前のドレープやガウンは、多数の欠点を有している。通常、不織布層は、外科用ガウンを作るために用いられる液体を通さない(不浸透性の)積層材料を提供するために、フィルム層と組み合わされている。不織布とフィルム層とを一体に接着して積層体を提供するために、これらの層の一つのほぼ全面にわたって一般にホットメルト接着剤が塗布されていた。これらの積層体は、板状の剛性と劣った被覆性によって特徴付けられるものであり、それらを着た医療従事者に不快感をもたらす。また、これらの布地から作られた袖は、着衣者の腕によくなじまず、手袋の袖口の下側の手首においてまた着衣者の皮膚に対して、体液がしわになった溝に沿って流れることがしばしばあり、そのようなことは容認できることではない。さらに、効果的な液体バリアを提供するために用いられるフィルムは、一般に通気性がなく、従って、これらの積層体から作られるガウンは、それらを着なければならない手術従事者にとって耐え難い暑さとなる。
【0006】
これらの不織布からなる外科用積層体の軟らかさと布的な質感を改善するために、いくつかの製造業者は、熱および圧力ローラや超音波溶接技術を介して、これらの層の断続的な熱接着を試みた。しかしながら、熱および圧力によって接着するタイプは、工程中に不織布層がつぶれたり溶けたりして、ロフト(loft)や柔軟性や軟らかさのような所望の特性を損なうので、望ましいものではない。また、メルトボンディングポイントは硬く、しかも曲がったり撓んだりしないので、これらの材料の全体的な軟らかさや感触や被覆性はより良いものの、依然として望まれているような良さではなかった。さらに、熱接着された積層体は、適切に熱に適合した熱可塑性材料からのみ形成されることができるが、それは外科用積層体を作るために用いることができる層の材料のタイプを制限し、製品の設計や最終的な製品の品質に望ましくない制約を与えることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
予期できないことに、上述した点に鑑み、改善された軟らかさや手触りや被覆性や快適性といった特性を有する改良されたディスポーザブルな不織布からなる外科用積層体を提供するために、新規かつ改良されたディスポーザブルな不織布からなる外科用積層体が特別な接着配置で並んだ著しく少ない量の接着剤を用いることで提供できることが発見された。
【0008】
より詳しく説明するに、本発明の一実施形態によれば、新規かつ改良されたディスポーザブルな積層体は、フィルム層と、少なくとも一つの不織布層と、間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタとを含む。各接着剤クラスタは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴を有する。好ましくは、前記複数の接着剤クラスタは、積層体の長手方向および幅方向に伸びる規則的な繰り返しパターンで間隔を置いて設けられている。
【0009】
「境界のない/unbounded」という語は、接着剤クラスタがクラスタ領域を規定する塗布された接着剤の直線的な境界や円周(周囲)を含まないことを意味している。各クラスタは、間隔を置いて設けられた周囲が定まっていない液滴のグループ(集合体)である。各クラスタの領域は、積層体の面に対していかなる方向にも柔軟に折り曲げることができる。これは、新規かつ改良された積層体に対する優れた手触りと被覆性に貢献するものと思われる。低い接着剤の含有量と柔軟な接着方法は、全体的な軟らかさや吸収性のような他の所望の不織布の特性が積層工程において維持されるとともに最終的な積層体や製品において保持されかつより十分に現れることを可能にする。
【0010】
フィルム層は、好ましくは、ガンマ線による殺菌に耐えることができる熱可塑性材料からなる。好ましくは、熱可塑性フィルム層は、積層体を介して手術従事者と患者の間で液体や病原体が移行することを防ぐことができる十分に液体を通さない(不浸透性の)層を形成する。これらのフィルムは、通気性があってもよく(breatheable)また通気性のないもの(non-breatheable)でもよい。このフィルム層を提供するために用いることができる実例となる熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、コポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステル共重合体が挙げられるがそれらに限られない。この熱可塑性フィルムは、皮膚に接近した状態の使用に適しておりしかも市販の殺菌処理に耐えることができるフィルム形成用の熱可塑性材料から実質的に作ることができる。
【0011】
好適実施形態において、前記熱可塑性フィルム層は、モノリシック熱可塑性フィルムかあるいは微小孔性の熱可塑性フィルム(microporous thermoplastic films)から選択された通気性のある液体を通すことができない熱可塑性フィルムからなる。特に好ましいフィルムは、モノリシック熱可塑性コポリエステルエラストマーフィルムである。ポリプロピレン系フィルムは、ガンマ線殺菌工程における不安定性のため、余り好ましくはない。フィルム層は、一般に、坪量で、約0.25から5.0オンス/スクェアヤード(ounces/squire yard)であり、また約0.25milから約3milのフィルム厚さを有している。
【0012】
不織布層は、好ましくは、必ずしも限定されるものではないが、ガンマ線殺菌にも耐え得る熱可塑性材料である。この不織布は、湿式法(wet laid)、乾式法(dry laid)、スパンレース法(spunlaced)、接着剤結合法(adhesive bonded)、熱融着法(thermal bonded)、またはスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド法(SMS)により製造された不織布でもよい。これらの不織布は、熱可塑性繊維、再生繊維(regenerated fibers)、天然繊維およびいわゆる複合糸すなわちシース/コア繊維(bicomponet or sheath-core fibers)から形成してもよく、また上述したタイプの繊維を2またはそれ以上混ぜ合わせたものでもよい。不織布は、約0.25オンス/スクェアヤードから4.0オンス/スクェアヤードの坪量を有してもよい。
【0013】
一実施形態において、本発明の積層体に用いられる接着剤は、ガンマ線殺菌に耐えられる熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤および/または架橋型接着剤を含む。熱可塑性接着剤の例としては、例えば、エチレン酢酸ビニル、スチレン、無水マレリン酸変性ポリエチレンまたはポリプロピレンのようなオレフィン系ポリマーおよびコポリマー接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリエステルおよびポリウレタン系接着剤が挙げられる。また、熱硬化性接着剤の例としては、(メタ)アクリル酸接着剤またはスチレン酸系接着剤が挙げられるが、それらに限られるわけではない。不織布の分野において従来から用いられている他の接着剤も使用することができる。
【0014】
また、一実施形態において、新規かつ改良された二層の積層体が提供されており、それは、フィルム層と、クラスタが一体に接着された単一の不織布層とを含んでいる。他の実施形態では、第1および第2の対向する主面を有する熱可塑性のフィルム層と、前記第1の主面に隣接して配置された第1の熱可塑性不織布層と、前記第2の主面に隣接して配置された第2の熱可塑性不織布層と、間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタと、を含み、各接着剤クラスタは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記第1の不織布層を前記第1の主面に固定するとともに前記第2の不織布層を前記第2の主面に固定するための接着剤の液滴を有する新規かつ改良された三層構造の積層体が設けられている。この新規かつ改良された三層すなわち三重積層体では、第1および第2の不織布は同一でも異なるものでもよい。好ましくは、フィルム層は、通気性があって液体を通さない熱可塑性フィルムであり、また第1および第2の不織布層は、異なる不織布素材から形成されている。
【0015】
本発明の他の特徴において、本発明は、一実施形態において、ディスポーザブルな積層体を作るための新規かつ改良された方法を提供する。この方法は、主面を有するとともに関連する長さ寸法とほぼ直交する幅方向の寸法とを有する不織布を提供するステップを有している。複数の離散的に間隔を置いて設けられた液滴は、不織布の表面に、それらの複数の間隔を置いて設けられた液滴が周囲の定まっていない複数のクラスタ群をなすように不織布表面に配列されるように、付着される。また、これらの複数のクラスタは、不織布の表面のほぼ長さおよび幅方向にわたって間隔を置いて広がるように配置される。不織布表面と接着剤の液滴は、フィルム層の表面に接触して、該フィルム層と該不織布層とを確実ではあるが柔軟性を持たせた状態で一体に接合し、ディスポーザブルな積層体を形成する。好適実施形態において、境界のない接着剤液滴のクラスタは、接着剤クラスタの規則的な繰り返しパターンか配列で配置される。
【0016】
一実施形態において、接着剤の液滴は、不織布表面に空間的に配列された方法で配置される。それは、エッチングされたグラビア印刷用ローラの表面に形成された規則的な凹部に配置された離散的に間隔を置いて設けられた接着剤の液滴を有するエッチングされたグラビア印刷用ローラを提供する。周囲のベアリング(押圧)面を有するエラストマーで被覆された圧力ローラが提供される。この圧力ローラの押圧面は、複数の溝によって分離された複数の相対的に盛り上がった島状の接触面を有している。この圧力ローラは、印刷ローラに隣接して配置され、それらの間にニップ(nip/噛み込み)を形成する。それによって、圧力ローラの盛り上がった接触面が印刷ローラの周面の部分と押圧された状態で接触するようになっている。圧力ローラの押圧面における溝が形成された位置は、印刷ローラの主面と接触しないようになっている。
【0017】
印刷ローラおよび圧力ローラが回転し、不織布がそれらの間のニップの中を通過する。間隔を置いて設けられた接着剤の液滴の部分は、印刷ローラにおける凹部から第1の不織布の面に移行する。間隔を置いて設けられた接着剤の液滴からなる間隔を置いて設けられた複数のクラスタは、このような方法で、第1の不織布の面に移行する。この第1の不織布の面は、圧力ローラの盛り上がった接触面によって押圧的に接触させられる当該不織布の第2の面の面領域にだけ対応している。
【0018】
一実施形態において、圧力ローラ上の盛り上がった接触面は、該盛り上がった接触面の間隔を置いて設けられた行と間隔を置いて設けられた列からなる規則的なパターンで配置することができる。典型的には、この圧力ローラは、中央縦軸を含むほぼ円筒形の形状を有する。好適実施形態において、盛り上がった接触面の部分の繰り返しパターンは、盛り上がった接触面の所定の列が長手方向の軸の中心に対して螺旋状にずれた角度をなすように、圧力ローラの表面に配置される。この接触面の配置は、ほとんど振動や機械の騒音なしに、接着剤クラスタ群のよりスムーズなかつより正確な移行を容易にする。
【0019】
接着剤の液滴は、印刷ローラの一部を接着剤貯蔵容器に漬けることによって、印刷ローラの凹部に設けることができる。過度の接着剤は、ドクターブレードによって、凹部を除き印刷ローラの表面からすべて除去してもよい。接着剤の貯蔵容器とドクターブレードは、圧力ローラが印刷ローラの表面に接触する地点であるニップポイントの前に位置する印刷ローラの回転経路に沿った位置に配置されている。
【0020】
また、他の方法では、フィルムや相対的感温不織布材料を接着することが困難なものを使用する場合は、不織布表面の代わりにフィルム表面に接着剤液滴を付着(deposit)させることが好ましい。これは、ロールしたフィルムとロールした不織布素材の供給の位置を逆にすることによって達成することができる。
【0021】
また、本発明の他の特徴において、本発明は、その一実施形態において、新規かつ改良された積層体材料からなるディスポーザブルな外科用ドレープおよびガウンを提供する。このドレープは、本発明の一実施形態に従ったディスポーザブルな積層体の一片を含み、また穿孔(開口部)および一または複数のパネル部材を含むことができる。これらのパネル部材は、穿孔に隣接するかあるいは積層パネルの周縁に隣接する積層パネルの部分にしっかりと取り付けられる。
【0022】
また、一実施形態において、新規かつ改良された外科用ガウンが提供され、それは、胴体部と該胴体部に連結された二つの袖とを有する。胴体部は、前側パネルと該前側パネルに連結された二つの後側パネルとを有する。ガウンを着衣者を包み込む位置にとめるために、結び紐が胴体部に取り付けられている。袖、胴体部あるいはそれらの両方は、本発明の実施形態に従ったディスポーザブルな積層体から形成することができる。好適実施形態においては、胴体部および袖は、本明細書に記載したような通気性があって液体を通さないディスポーザブルな積層体から作られる。また、他の例として、本発明に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな積層体を有する単一パネルの外科用ガウンもまた十分にここで意図されている。
【0023】
本発明の実施形態に従ったこれらの新規かつ改良された積層体、ドレープおよびガウンによって提供される主たる利点は、市販の入手可能なドレープやガウンに比べて、これらの製品が改善された軟らかさや手触りおよび改善された被覆性を発揮する点にある。
【0024】
これらの新規かつ改良された積層体およびガウンによって提供される他の利点は、手術用手袋の下の望ましくない液体の通路が実質的に減少しあるいは除去される点にある。
【0025】
本発明に従ったこれらの積層体、ドレープおよびガウンによって提供されるさらなる利点は、それらは、気持ちのよい外観と手触りを有する改善された美的な品質によって特徴付けられる点にある。
【0026】
本発明の実施形態に従ったこれらの積層体および最終製品によって提供されるさらに別の利点は、接着剤の量が著しく減少して化学的な吸収を増やすことができる余裕をもたらす点にある。例えば、境界のない部分の割合が高い不織布は、その十分な吸収力を実現させることができる。
【0027】
本発明の実施形態に従ったこれらの積層体および最終製品によって提供されるさらに別の利点は、より開放した三次元的な構造がより液体を捕捉するので、液体の機械的な意味での吸収を増大させる可能性がある点にある。
【0028】
本発明により提供される他の利点は、以下の詳細な説明や図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体および前記外科用積層体の新規かつ改良された製造方法を提供する。また、本発明は前記改良された外科用積層材料からなる新規かつ改良された外科用ドレープ(手術用覆布)およびガウン(手術用ガウン)を提供する(以下、「積層体」”laminates”を「ラミネート」とも言う)。
【0030】
より詳しくは、図1を参照すると、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の一部分が、参照番号10で概ね示されている。図1ないし図3に示すように、ディスポーザブルな外科用積層体10は、フィルム層12と、不織布層14と、複数の境界のない接着剤クラスタ16とを有する。各境界のない接着剤クラスタ16は、複数の離散的に個々に間隔を置いて設けられた、フィルム層12を不織布層14に一体に固着するための接着剤の液滴18の円周のない群から構成されている。図1ないし図3に示す好適な実施形態に示すように、クラスタ16は、2−3−2のパターンで隣接する列が配置された、間隔を置いて設けられた液滴18を有している。本実施形態では、2−3−2の空間的配置または形状が示されているが、異なる液滴の配置を用いてもよい。
【0031】
間隔を置いて設けられた液滴18のクラスタ16は、通常、境界や円周がないものであるべきである。これは、液滴18の範囲を定める接着剤を取り囲む直線的な境界線がないことを意味している。そのような直線的な境界線があると、積層体のクラスタ接着部分が堅くなったり、図1に示すように、W、X、Y、Zのあらゆる方向に積層体を自在に折りたたむことができなくなったりする可能性があるからでる。図3に示すように、液滴18を間隔を置いて配置することにより所定のクラスタ16の内部でW、X、YまたはZのいかなる方向にも積層体10を折りたたんだり曲げたりすることが可能となる。また、クラスタ16を間隔を置いて配置することにより、間隔を置いて設けられたクラスタ16の間で積層体10を折りたたむことが可能となり、液滴18を間隔を置いて設ける形状とすることにより、クラスタ16の内部であるいはクラスタ16に沿って積層体10を折りたたむことが可能となり、それにより積層体10全体の柔らかさ、手触り、被覆性が向上する。例えば、積層体10で机の端を覆った場合、W、X、Y、Zの折り目軸のように、折り目線は積層材料の面上に形成される。積層体10は、折り目線に沿って配置されたクラスタ16の内部や、クラスタ16の間に折り目線に沿って配置された積層体10の非接着部分内で折れて、きちんと机の端の折り目線に沿って曲がり、撓み、折れる。液滴18間の空間により、フィルム層12または不織布層14は、液滴18の間であっても折り目線に沿って曲げたり、折りたたんだり、圧縮したりすることができ、より柔らかい感触とより良い被覆性を提供する。
【0032】
熱可塑性の層を熱接着または超音波溶接し場合、接着点が堅く、容易に曲がらないため、同程度の柔らかさ、柔軟性、被覆性は得られない。接着した部位は堅く融合しており、柔軟かつ折り曲げ可能には接着されていない。同様に、これまでの接着剤による接着方法では、フィルム層および布層のほぼ全面が接着されていたため、積層体は板のような剛性を有するものとなっていた。熱接着や、中空の接着形態を用いた接着剤による接着でも、接着領域に堅い周囲線(perimeter line)が形成され、それにより接着部位の折りたたみ性が妨げられ、全体の柔らかさや被覆性に不利な影響を与える。
【0033】
図1ないし図3に示した好適な実施形態では、二重積層体10が示されている。図4には、三層、すなわち三重積層体20から構成される他の実施形態が示されている。三重積層体20は、第1の主面24と対向する第2の主面26とを有する中間フィルム層22を有している。第1の不織布層28は、フィルム層22の第1の主面に隣接して配置されている。第2の不織布層30は、第2の主面26に隣接して配置されている。複数の離散的に間隔を置いて設けられた接着剤の液滴34を有する、間隔を置いて設けられた境界のない第1の複数の接着剤クラスタ32は、第1の不織布層28をフィルム層22の第1の主面24に固着する。複数の離散的に間隔を置いて設けられた接着剤の液滴38を有する、間隔を置いて設けられた離散的な第2の複数の接着剤クラスタ36は、第2の不織布層30を第2の主面26に固着する。
【0034】
三重積層体にとって必要条件ではなく、図示されていないが、実施形態において、液滴34と液滴38とが一直線上に並ぶように、第1の接着剤クラスタ32は第2の接着剤クラスタ36が上に重なるように位置を合わせて配置してもよい。また、図示するように積層体10は二重積層体、積層体20は三重積層体であるが、必要ならば同様のクラスタ接着構造および方法を用いて、不織布層や他の層を追加してもよい。
【0035】
新規かつ改良されたクラスタ接着された二重積層体10および三重積層体20は、積層体に接着剤のない中間領域を広げ、内部の布の表面を広く露出させることにより、柔らかさや被覆性を向上させるだけでなく、化学的および機械的な吸収性も向上させる3次元構造を有する。層間空間40は、毛管現象や吸い上げによる液体の機械的吸収を可能にする内部容積を意味する。図3および図4にそれぞれ示すように、表面42および44のような露出した接着されていない内部の布の表面により、もしそれらに化学的吸収性のある布繊維および不織布構成物を選んだ場合、化学的および/または機械的に液体をより吸収することができる。
【0036】
新規かつ改良された二重積層体10および三重積層体20は、使用される接着剤の量を著しく減らすことができ、製造コストを大きく削減して改良された柔らかさや布のような特性を提供する。より詳しくは、積層体10および積層体20のような良好にクラスタ接着されたディスポーザブルな外科用積層体は、従来の二重積層体または三重積層体で使用されていた接着剤の量の約5%ないし70%の量の接着剤で作製され、好ましくは従来使用されていた量の約10%ないし30%の量、特に好ましくは従来使用されていた量の約14ないし25%の量で作製された。表現を変えれば、好適な実施形態による新規かつ改良された積層体は接着剤を重量で約0.25%ないし5%しか含まなくてもよい。コストの低減はこの接着剤の含有量の著しい低減により実現する。特性の改良は接着剤の含有量の低減と積層体に存在する接着剤のクラスタ接着の形状により実現する。
【0037】
本発明の新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体は、フィルム層12または22として熱可塑性ポリマーフィルムを使用するのが好ましい。通常、熱可塑性ポリマーを形成するフィルムであれば使用することができる。熱可塑性ポリマーフィルムは、熱殺菌、エチレンオキシドまたはその他薬品による殺菌、ガンマ線殺菌のような放射線による殺菌等の業務上の殺菌工程に耐えることができることが好ましい。選択される熱可塑性ポリマーフィルムは、ガンマ線殺菌に適しているものが特に好ましい。
【0038】
フィルム層12または22として使用することができる熱可塑性ポリマーフィルムは、オレフィンポリマーおよびオレフィン共重合体、ポリエステルポリマーおよびポリエステル共重合体、ポリアミドポリマーおよびポリアミド共重合体等が例として挙げられる。オレフィンポリマーおよびオレフィン共重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、およびハロゲン化ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルアルコール、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル、およびアクリロニトリル等のエチレンとエチレン不飽和単量体の共重合体等と、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレン−アクリロニトリルゴム(SAR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、およびアクリロニトリル−ブタジエンエラストマー共重合体(BAN)等のゴム状の共重合体等が例として挙げられる。熱可塑性フィルムは、キャストフィルム、押出し成形フィルム、またはブロー成形フィルムであってもよい。気相蒸着または金属被覆されたポリマーまたは金属フィルムをフィルム層として使用することもできる。フィルムの厚さは、通常、約0.25ないし5.0milであり、約0.4ないし4milが好ましい。好ましいフィルムは、ガンマ線殺菌可能なものであり、その理由からポリプロピレン系フィルムはあまり好ましくない。フィルム層12または22として使用するのに特に好ましい熱可塑性ポリマーフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレンとを含み、フィルム厚さが約0.5ないし2.0milの混合(ブレンド)ポリエチレンフィルムである。好適な熱可塑性フィルムは、積層体に液体が通らないようにし、フィルムのバリア層を超えて患者と手術従事者との間で液体が移行するのを防止する。
【0039】
好適な実施形態に従って、新規かつ改良された積層体は、通気性はあるが液体は通さない。本実施形態では、通気性がありかつ液体を通さない熱可塑性ポリマーフィルムがフィルム層12または22に使用されている。通気性のあるフィルム層は、当業者には公知のモノリシックフィルムまたは微小孔性のフィルムから構成することができる。特に好ましいモノリシックフィルムは、E.I.duPont de Nemous and Companyから入手可能なHYTREL(商標)という熱可塑性ポリエーテル−エステルブロック共重合体エラストマーフィルムと、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(商標)というポリブチレンテレフタラートの堅い部分とアモルファスポリエステルまたはポリエーテルの柔らかい部分とからなるポリエステル共重合エラストマーフィルム(copolyester elastomer films)とを含む。多くの供給源から商業的に入手可能なポリウレタンをから構成される通気性フィルムに加えて、Elf AtochemからPEBAXという商標で販売されているポリエーテルアミドフィルムのようなその他の通気性がありかつ液体を通さないフィルムを使用してもよい。
【0040】
図1ないし図4に示すように、布層14、28、および30として使用する不織布は、通常、任意のあらゆる不織布から構成される。その不織布はガンマ線殺菌可能な不織布材料から選ばれるのが好ましく、この理由からポリプロピレン系不織布はあまり好ましくない。本発明の新規かつ改良されたクラスタ接着された積層体の主な利点は、不織布材料が熱可塑性不織布である必要がなく、性質上熱可塑性ではない天然繊維、再生繊維または合成繊維から構成することができるということである。例えば、特殊な積層体としては、不織布を含むガラス、金属またはセラミック繊維が挙げられる。好ましい種類の不織布層は、熱可塑性ポリマー不織布材料から構成される。吸収性が所望の特性である積層体用に使用されるその他の好ましい種類の不織布層は、レーヨン繊維、すなわち再生セルロースウッドパルプ繊維から構成される。これらの不織布材料は当業者に周知の、湿式法、乾式法、スパンレース法、スパンボンド−メルトブロー−スパンボンド法(SMS)により製造されたものでもよい。
【0041】
ここで使用される好ましい熱可塑性ポリマー不織布としては、Freudenberg、Durham、North Carolinaから入手可能な100%熱接着ポリエステルステイプル繊維不織布が挙げられる。North Carolina州のMooresvilleのPGIから商業的に入手可能な接着剤により接着されたポリエステル繊維不織布を使用することもできる。吸収性が重要な場合は、レーヨン繊維不織布を使用してもよい。好適な実施形態では、ポリビニルアルコール繊維スパンレース不織布を含む生分解性熱可塑性ポリマー不織布を使用する。ガンマ線殺菌されない実施形態については、SMSポリプロピレン不織布層を使用してもよい。
【0042】
布層14、28、または30として使用する特に好ましい不織布としては、E.I.du Pont de Nemours and CompanyからOPTIMAおよびSONTARAという商標で販売されているセルロース木材パルプ繊維55%とポリエステル45%のスパンレース不織布のような天然繊維とポリエステル繊維の混合不織布が挙げられる。混合不織布中の異なる繊維の割合は変えてもよく、それでも不織布は適用可能である。
【0043】
好適な実施形態で使用される熱可塑性ポリマー不織布の他の特殊な種類は、複合糸すなわちシース/コア繊維を基材とするまたは含む不織布である。これらの複合糸は、ポリエチレン/ポリアミド繊維、ポリエチレン/ポリエステル繊維、ポリエステル/ポリエステル繊維などが例として挙げられる。ここで使用可能な種類のスパンボンド複合糸不織布は、South Carolina州のSimpsonvilleのBBAから商業的に入手可能である。
【0044】
フィルム層と不織布層を一体に接着するクラスタに使用する接着剤は、通常、熱可塑性ポリマー接着剤から構成され、熱可塑性ホットメルト接着剤が好ましい。ホットメルト接着剤はエチレン酢酸ビニル、スチレン、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミドおよび/またはポリエステルが挙げられる。ここで使用される好適なホットメルト接着剤は、Wisconsin州のWauwatosaのATO Findleから入手可能であるエチレン酢酸ビニル(EVA)から構成される。他の好適な接着剤を使用することは可能であるが、接着剤は熱可塑性でガンマ線殺菌に耐えられるものであるものが好ましい。
【0045】
本発明に従って、ディスポーザブルな外科用用途だけでなく外科用ではない異なる用途にも好適な新規かつ改良された積層体は、坪量や厚さの範囲が幅広いフィルム層および不織布層から作製することができる。好適な実施形態に従って、改良された柔らかさおよび被覆性を有する新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体は、層の厚さが約0.4ないし4.0milで坪量が約0.25ないし5.0オンス/スクエアヤード、好ましくは約0.3ないし4.0オンス/スクエアヤードのフィルム層から構成される。不織布層の坪量は約0.25ないし7.0オンス/スクエアヤード、好ましくは約0.3ないし5.0オンス/スクエアヤードである。接着剤の使用量は変えてもよいが、約0.025ないし0.250オンス/スクエアヤードが好ましく、0.040ないし0.18オンス/スクエアヤードが特に好ましい。好適な実施形態では、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用二重積層体は、通常、積層体全体の重量を基準として、約30ないし50%の熱可塑性ポリマーフィルムと、約40ないし60%の不織布と、約0.5ないし15%の接着剤とから構成される。これらの積層体における実際の比率や三重積層体での値は変えても良く、それはこれらの層に対する好適な坪量を決めることがより有用であるからである。
【0046】
本発明の他の特徴に従って、新規かつ改良された外科用積層体10または20を作製する新規かつ改良された方法が提供される。図5ないし図7を参照すると、改良された積層装置 (laminating apparatus) 50および新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体を作製する方法が示されている。積層装置50は、種々のローラ、駆動機構、およびその他の構造体が操作のために装着、配置されている図示しない装置フレームを有している。図5に示す積層装置50は、離散的に間隔を置いて設けられた18、34、および38のような接着剤の液滴が、クラスタ16、32、および36のような境界のない間隔を置いて設けられた接着剤液滴のクラスタの規則的なパターンで、14、28および30のような不織布層の表面に付着するように設定されている。
【0047】
図6に示す実施形態に従って、積層装置50’は、接着剤の液滴が、布層ではなくフィルム層の表面に間隔を置いて設けられたクラスタ状に付着するように設定されている。図6で設定されている積層装置は、接着するのが難しい種類のフィルム層を有する積層体を製造する時および/または不織布層が温度感受性材料から構成される場合に用いられる。
【0048】
積層装置50および50’の構造および操作の大部分はほぼ同じである。積層装置50および50’はどちらも、フィルム供給ロール54と、コロナ放電装置 (corona discharge apparatus) 58を備えたコロナ放電処理部56と、図5の装置ではガイドロール60および62とを含む参照番号52で概ね示されるフィルム供給部を有する。また、不織布供給ロール66と、図6の装置ではガイドロール60’および62’とを含む不織布供給部64が設けられている。接着剤貯蔵(供給)容器70と、ドクターブレード74を備えたエッチングされたグラビア印刷用ロール72と、グラビア印刷用ローラ72と圧力ローラ76との間でニップ78を形成するエラストマー被覆された圧力ローラ76とを含む接着剤移行部68が設けられている。冷却ローラ82と、ガイドローラ82とを含む積層部 (laminating section) 80が設けられている。組み合わされた積層体を積層体巻取りローラ88を有する積層体取り出し部86に導くために、1つまたは複数のガイドローラ84を設けてもよい。当業者に周知の通り、必要であれば、フィルム12または22と、不織布14、28または30と、積層体材料10および20とを積層装置50中で移動させるために、巻き取りローラ88と、グラビア印刷用ローラ72と、圧力ローラ76とを回転させる好適な駆動体(図示せず)が用いられる。
【0049】
50および50’のような積層装置は多くの供給源から商業的に入手可能である。好適な積層装置は、Wisconsin州のWilwaukeeのFaustel Laminatorsから入手可能である。積層装置は幅が約20ないし120インチの幅広いフィルムおよび不織布の運転に対応しており、約100ないし1,000フィート/分の速さで運転可能なものが好ましい。特に好ましいFaustelの積層装置は、幅84インチの初期材料である不織布およびフィルムに対応し、約100ないし800フィート/分の速さで稼動可能である。
【0050】
新規かつ改良された積層装置および方法に従って、接着剤移行部68において、エッチングされた輪転グラビア印刷用ローラ72とともに使用される特別に設計されたエラストマー被覆された圧力ローラ76を設けるよう特別な改良を行うことにより、離散的な接着剤の液滴18のクラスタ16が接着剤移行部68で移行するように積層装置50および50’は適切に改良されている。
【0051】
図7に示すように、エッチングされたグラビア印刷用ローラ72は複数のエッチングされた凹部92を含む周面90を有している。凹部92は行94および列96の規則的な配列で配置されている。好適な実施形態では、グラビア印刷用ローラ72は、深さ約0.030インチまでエッチングされた凹部を1平方インチ当たり約110個備えている。当業者に容易に明らかなように、グラビア印刷用ローラ72には異なる深さおよび間隔で凹部が設けられてもよい。
【0052】
グラビア印刷用ローラ72は、回転してその表面90の一部が例えば約華氏200ないし400度に維持された加温されたホットメルト接着剤の貯留容器70に浸漬するように取り付けられている。図7に示すように、グラビア印刷用ローラ72が接着剤槽を通って時計回りに回転する際に、接着剤槽70から接着剤が引き上げられ、周面90を覆い凹部92が充填される。さらに時計周りに回転すると、ドクターブレード74が周面90と接触し、凹部92以外の周面90からほぼすべての接着剤を拭いとる。ドクターブレード74によって除去された過剰な接着剤は貯留容器70へ落とされる。グラビア印刷用ローラ72の表面部分がドクターブレードの接触点からニップ領域78まで回転する時は、グラビア印刷用ローラ72の周面90は凹部92に少量の間隔をおいて設けられた接着剤の液滴を保持し、グラビア印刷用ローラ72の他の部分には実質的にまったく接着剤を保持しない。
【0053】
改良された積層装置50および50’は、図7に最も良く示されている新規かつ改良されたエラストマー被覆された圧力ローラ76を有している。そこに示されているように、圧力ローラ76は、間隔を置いて設けられ、盛り上がった複数の島状の突起100を有する周囲のベアリング(押圧)面98を有している。盛り上がった突起100は、盛り上がった接触面(突起の上部端面)102を有している。盛り上がった突起100は、効果的に周囲のベアリング面98を構成していており、複数の溝104によって分離された相対的に盛り上がった複数の接触面102を有している。図7に示す好適な実施形態では、盛り上がった接触面102は通常4辺の正方形状である。また、盛り上がった接触面102は、長方形、菱形、円形、三角形、楕円形などの形状を必要に応じて取ることができる。突起100、盛り上がった接触面102、および溝104を形成するエラストマー被覆は、シリコーンゴム、ネオプレンゴム、またはSBR、EPR、EPDM、ポリウレタンエラストマー等の熱可塑エラストマー等のエラストマー材料の成形したストリップ(molded strip)であり、それらは接着剤またはその他の固着または接着方法でローラベースに固着される。
【0054】
図7に示す好適な実施形態に従って、島状の突起100および盛り上がった接触面102は突起の行106と列108との規則的な配列で配置されている。圧力ローラ76は、通常、図示するように長手方向に延出する中心軸cを有する円筒形である。図7に示す好適な実施形態に従って、エラストマー被覆は、図7に示すように列の軸すなわちrとずれ角(angular offset)θとで示されるように傾斜してすなわち軸からずれて圧力ローラに施されている。これに従って、接触面100の所定の列は長手方向の中央縦軸cに対してらせん状に軸からずれている。接触面102の各列108をらせん状に軸からずらして配置することにより、グラビア印刷用ローラ72が時計方向に回るのに対して圧力ローラ76が反時計周りに回る際に、接触面102とグラビア印刷用ロール72の周面90は各列108の片側からもう一方の側まで、すなわち左から右に徐々に順次接触することができる。この配置により、接着剤移行の円滑な操作が促進される。これに対して、列の軸rを概ね中心軸cと平行に延びるようにした場合、グラビア印刷用ローラ72に対して圧力ローラ76が回転している間、所定の列108のすべての接触面102はほぼ同時にグラビアロール72と接触する。さらに回転すると接触面の盛り上がった列に続いて溝の列がグラビアロールに向かって現れてくる。連続して回転すると、この配置は、盛り上がった接触面102とグラビア印刷用ロールの周面90との間で機械の騒音や衝突を引き起こし、これは接着剤の正確な移行という観点から好ましくなく、また長時間稼動においてローラベアリングの過度な磨耗の原因となる可能性がある。図1に示すように、前述した角度のずれた配置により、本発明の積層体では、クラスタの列は幅方向の軸と平行に配置されるのではなく、角度θほどずれて配置されている。
【0055】
もう一度図5および図6を参照すると、不織布層14またはフィルム層12がそれぞれ供給ロール66または54からニップ78へ供給されると、圧力ローラ76の盛り上がった接触面102は不織布14またはフィルム12の裏面を押しつけ、これにより不織布14またはフィルム12の表側の面の部分がグラビア印刷用ロール72の周面90の部分に押し付けられる。周面90の接着剤の液滴はいずれも不織布14またはフィルム12に押圧された状態で接触している。この不織布14またはフィルム12は盛り上がった接触面102によって周面90に圧迫されている。それにより接着剤の液滴は周面90を離れ不織布14またはフィルム12へ移行する。その液滴は離散的に間隔を置いて設けられた形状で移行され、接触面102の形状に対応する境界のない液滴のクラスタは不織布14またはフィルム12の表面に移行される。
【0056】
図5および図6に示す好適な実施形態に従って、布14またはフィルム12の供給経路は、圧力ローラ76の接触面102に対して布またはフィルムに沿っているので、布14またはフィルム12は正確な液滴の移行を持続するグラビア印刷用ローラ72の周面90と接線に沿って接触する。積層装置50および50’の重要な特徴は、接着剤が圧力ローラ76に接触しないため、接着剤の吸いあがりや、接触面102あるいは溝104への接着剤の堆積が起こらないことである。その結果、最小限の制御された量の接着剤が、制御された液滴のクラスタ形状に注意深く移行される。
【0057】
図5および図6に示すように、接着剤クラスタを保持する布14またはフィルム12は接着剤移行部68から積層部80へ移動する。積層部80では、もう一方の布14またはフィルム12は重ねられ(位置合わせされ)、接着剤を保持する布14またはフィルム12と接触する。接着剤の液滴は、もう一方の布14またはフィルム12の表面に接触し、組み合わせられた積層体は、ホットメルト接着剤が冷却され固まるだけでなく布層とフィルム層とが固着するように、約華氏30ないし80度に維持された冷却ロール82に対して保持される。その後、クラスタ接着された積層体10または20は、ガイドローラ83および84を通り、積層体取り出し部86の巻取りローラ88に巻き取られる。積層装置50および50’で正確に接着剤クラスタの移行を行なうことにより、巻き取りローラ88巻き取られた積層体10または20の隣接し重なってもくっつかないブロッキング防止特性が備わり、これは明確な利点である。
【0058】
新規かつ改良された積層装置50および50’および図5ないし図7に示す新規かつ改良された積層体製造方法により提供される主要な利点は、クラスタ接着された積層体10および20は幅広い種類のフィルムおよび布材料から製造することができるということである。以前は、フィルム層および布層は温度が一致する熱可撓性材料から作製されなければならなかったが、その必要はない。本発明は幅広い範囲の構成材料から改良された積層体の構造を考えたが、本発明は特にディスポーザブルな外科用不織積層体材料やワイプ、覆布、ガウンのような最終製品として使用するのに便利な二重および三重のクラスタ接着積層体材料を可能にした。
【0059】
ディスポーザブルな外科用不織積層体の好ましい実施形態のひとつは、エンボス加工された混合ポリエチレンフィルムからなるフィルム層と、エチレンビニル酢酸接着剤でフィルム層に接着された、セルロース木材パルプ繊維55%とポリエステル45%のスパンレース不織布からなる不織布層を含む二重積層体から構成されている。実施形態では、1.25milのエンボス加工された混合ポリエチレンフィルムと、1.82オンスのOptima(商標)スパンレース不織布とを使用して好適な積層体が形成される。
【0060】
その他の本発明による好適なディスポーザブルな外科用積層体は、1milのエンボス加工された混合ポリエチレンフィルム層と、1オンスの接着剤結合されたレーヨンステイプル繊維不織布とがEVAでクラスタ接着された二重積層体から構成されている。この二重積層体は、吸収性のあるワイプ(拭取り布)、覆布あるいはガウン用パネルとして特に有用である。また、上述した特別の厚さにおいて、クラスタ接着を用いると、積層体に望ましいひだがついた手触りのよい表面特性を与える。すなわち、手触りのよい表面や拭取り性を提供するために従来用いられてきたローラの回転速度を変える方法やその他の特別な手段を用いることなく、拭取り性や吸収特性を改善することができる。
【0061】
さらに好ましいディスポーザブルな外科用積層体は、ポリエチレンフィルム層と、生分解性ポリビニルアルコール不織布層とを含む二重積層体から構成されている。
【0062】
特に好ましい二重積層体および三重積層体は、特にガウンに好適な通気性はあるが液体は通さない、モノリシック熱可撓性エラストマーフィルム層を含む積層体である。実例として、HYTREL(商標)ポリエステル共重合フィルム層と、0.4オンス/スクエアヤードのSMSポリプロピレン不織布層とがEVAでクラスタ接着された、オートクレーブによる殺菌はできるがガンマ線殺菌はできない二重積層体が挙げられる。
【0063】
覆布およびガウンに使用するのに適した他の二重積層体は、HYTREL(商標)フィルム層と、100%熱接着ポリエステルステイプル繊維不織布層とから構成されている。
【0064】
他の好適な二重積層体は、ポリエチレンフィルム層またはモノリシック熱可撓性エラストマーフィルムから選択された熱可撓性フィルム層と、複合糸をPE/ナイロン、PE/ポリエステル、およびポリエステル/ポリエステルの複合糸から選択した複合糸スパンボンド不織布層とから構成されている。
【0065】
覆布およびガウンに好適な三重積層体として、両面が不織布のタイプやまたそれらが異なる不織布でもよい。好適な三重積層体は、第1の側に25グラム/スクエアメートルのPE/ナイロン複合糸スパンボンド不織布が、第2の側に20グラム/スクエアメートルのPE/ナイロン複合糸スパンボンド不織布がクラスタ接着された1milのHYTREL(商標)フィルム層から構成されている。その他の好適な三重積層体は、第1の側にPE/ナイロン複合糸不織布が、第2の側にPE/ポリエステル複合糸不織布またはポリエステル/ポリエステル複合糸不織布がクラスタ接着されたHYTREL(商標)フィルム層から構成されている。
【0066】
覆布用の好適な吸収性のある三重積層体は、第1のフィルム表面に100%熱接着ポリエステルステイプル繊維不織布が、第2のフィルム表面に接着剤結合されたレーヨンステイプル繊維不織布がクラスタ接着されている混合ポリエチレンまたはHYTREL(商標)フィルム層から構成されている。
【0067】
上述した二重および三重の積層体は、特に好ましいものとして特別に言及したものであるが、改良された柔らかさ、被覆性、および/またはその他の所望の特性を有するクラスタ接着された積層体を提供するために、本発明に従って改良または変更は容易に行うことができる。
【0068】
図8〜10において、この発明に従って、新規かつ改良されたディスポーサブルな外科用不織布積層体で用意された典型的な医療または外科用ガウン110を示す。ガウン110は、前側パネル114と後側パネル対116、118を含む胴体パネルを備える。袖120、122は、胴体パネル112の各側面から伸長する。ガウン110を着るために、ヘルスケアの専門家は、ガウン110の前側パネル114が外に向いているという状態で、袖120、122のそれぞれに手を通す。ガウン110は、ヘルスケアの専門家の腕に伸ばされ、後側パネル116、118は、一般に図9に示されるように、重なり合ったスタイルでヘルスケアの専門家の後側部の周りに巻き付けられる。
【0069】
図8〜10に示される好適実施形態では、前側パネル114は、結合部126が固定される接着材124の領域を含む。接着材124は、好ましくは、結合部126の幅よりも広く、結合部126をしっかりと保持するのに十分な長さの領域を備える。ここで記述される好適実施形態では、接着材124の粘着性領域は、好ましくは、2インチの幅で1インチの長さである。
【0070】
本発明の一実施形態において、ガウン110のような、新規かつ改良されたディスポーサブルな外科用ガウンは、図1〜4に従ってクラスタ接着二重積層体10または三重積層体20を材料として、前側パネル114、後側パネル116および118、並びに袖120および122を作ることによって提供される。これらの積層体10および20は、より柔らかく、より柔軟である。それらは、それらを着なければならない外科用人員により許容できるようになる感触のような、より良い手および布を有する。改良された柔軟性と被覆性(drapability)特性は、その積層体がチャネリングする(channeling)ことなく手首に適合されるのを可能にし、それによって、手袋の袖口の下および外科医のあるいは看護婦の手袋の中への血液または体液の望ましくない導入を減らし、あるいは排除する。
【0071】
好適実施形態によれば、ガウン110は、パネル114〜118と、同じ二重または三重の積層体から用意された袖120〜122とを備える。その積層体は、上述のHYTRELO(登録商標)およびARNITELO(登録商標)フィルムのような一体となっている共重合体フィルムまたは微孔性共重合体フィルムの通気性で不浸透性の熱可塑性フィルムを使用する。積層体20のような通気性で不浸透性三重積層体が特に好ましい。なぜならば、柔らかい不織布層が、着用者により柔軟で気持ちの良い肌との接触のために、ガウンの内部表面上に供給されるからである。
【0072】
代わりの実施形態では、図11に示されるガウン130のような、異なるパネルと袖は、異なる積層体材料または追加のパネルを含んでもよく、処理したパネルまたは補強するパネルは、既存のパネル上に追加されてもよい。より詳細には、ガウン130は、開腹手術のような比較的高い液量の手術に用いるのに適する外科用ガウンである。ガウン130では、前側パネル114と後側パネル116および118は、20のような第1の三重積層体から作られる。袖120および122は、通気性で不浸透性のフィルム層、フィルム層の内部に面する表面上のソフトなポリエステルまたは複合不織布繊維層、ならびにフィルム層の外向きの表面上の吸収性レーヨンまたは厚手の熱可塑性のポリマー不織布繊維を含む、異なる吸収性三重積層体から作られる。通気性で不浸透性のフィルム層の二重積層体と吸収性レーヨンまたは熱可塑性不織布繊維層とを備える分離した吸収性パネル132は、示されるように、繊維の側面外、前側パネル114上に縫合され、あるいは粘着性接着される。他の専門的パネル、袖およびガウン構造は、当業者には容易に明白であろう。
【0073】
図12および図13において、本発明のもう一つの面に従って新規かつ改良されたディスポーサブルな不織布外科用ドレープを示す。図12は、血管造影処置での使用のための好ましいドレープ140を示す。血管造影ドレープ140は、中央のクラスタ接着三重積層体シート142を備える。積層体フィルムシート対144は、中央シート142の長手側面端に縫合され、あるいは粘着性接着される。フィルムシート144は、手術台の側面上につり下げるように設計される。レーヨン不織布二重積層体のような別の吸収性上部シート146は、中央シート142に縫合され、あるいは粘着性接着される。また、別の吸収性シートを含む器具パッドシート148は、吸収性上部シート146の底部端に縫合され、あるいはくっついて固定される。一般に円形レッグホール開口窓対150は、中央シート142と上部シート146と貫通して延びて供給される。使用中、患者の足の上の患者の切開場所が、ドレープ140がドレープ下で患者に患者をかぶせるように、開口窓150を通してさらされる。患者の足は、外科用カットダウンが血管造影処置を行うために足になされてもよいように、開口窓を通してさらされる。器具パッド148は、外科医が、外科用メス、鉗子、絹または同様なもののような外科器具をカットダウン場所の近くに置くための識別場所を有するように、提供される。
【0074】
新規かつ改良された開腹ドレープ156は、図13に示される実施形態に例示される。また、開腹ドレープ156は、中央クラスタ接着三重積層体シートと、手術台の下に側面フィルムシート160とを含む。大きい方形クラスタ接着二重または三重積層体パネルは、麻酔スクリーンドレープシート162を明確にするために、上端部に置かれる。麻酔スクリーンドレープシート部162は、周知の方法で手術場所から患者の頭を隔離するために、直立したスクリーンまたはフレームをかぶせる。また、吸収性上部シート164と器具パッド166は、示されるように提供される。開腹ドレープ156は、患者の切開場所をさらすための、吸収性上部シート164および中央シート158を貫通して延びる方形開口窓168を有する。この実施形態において、開腹ドレープ156は、患者と麻酔スクリーン上に置かれる。ドレープ156のパネルは、最終的なドレープアセンブリを提供するために、ともに縫合されてもよく、あるいはともに粘着性接着されてもよい。
【0075】
ドレープ140および156は、この発明に従ってドレープの例証的な例である。他の材料およびパネルは、示されるあらゆるパネルに加えて、あるいはその代わりに、用いられてもよい。防水処理または殺菌処理のような種々の表面処理は、要望通りあらゆるパネル上に追加されてもよい。
【0076】
新規かつ改良されたディスポーサブルな外科用積層体とドレープおよびそれらで用意されるガウンは、改良した柔軟性および折り畳み可能性を示す。クラスタ接着がわずかに受ける引っ張り特性をもたらすけれども、患者クラスタ接着積層体の引裂強さ特性は、一般に改良される。さらに、クラスタ接着積層体は、同じ繊維のために思いがけない改良された吸収特性を示し、くぼんだ傾斜を含むレーヨンは、さらに吸収性を改良し得る。
【0077】
本発明の他の目的および利点は、次の実用的な例から明白になるだろう。
例1
この例では、この発明に従って新規かつ改良されたクラスタ接着積層体の多くの特性が、商業的に入手可能な押し出し成形積層体のものと同様に決定された。より詳細には、例Aの積層体は、混合ポリエチレンフィルム層をエンボス加工された1ミルの押し出し成形された二重積層体を含む商業的方法に従って用意された。100%レーヨンステイプル繊維不織布繊維層が用意された。もう一つの積層体は、クラスタ接着方法を用いる本発明に従って用意される。例1の積層体は、0.75ミルのエンボス加工された混合ポリエチレンフィルム層と、エチレン酢酸ビニルの接着剤の液滴で接着された1オンスのレーヨン不織布繊維層クラスタとを備えた。
【0078】
例Aの積層体と例1の積層体は、エルメンドルフ引裂強さ試験、グラブ引張試験、ハンドルオメター(Handle-O-Meter)試験、動的吸収性試験、接着強さ/剥離強さ試験、および固定容量試験を含む標準試験方法に従って、種々の特性のためにテストされた。これらの積層体材料の相違のために、合理的に、大きさまたは快適さ基準に基づいて物理的特性をなす直接的な比較ができない。これらの特性は、それぞれの積層体タイプのためのそれぞれの値としてだけの情報のためにここで報告される。それにもかかわらず、これらの構造的に異なる積層体の表面吸収特性は、意味があるように比較され得る。なぜならば、この特性は、表面層特性に依存し、一般的に、異なるフィルム厚あるいはホットメルト接着剤の有無に依存しないからである。次の標準試験方法が用いられた:
ASTM D5729-97に従って、ミル単位の厚さが決定された。ここで、材料のゲージは一定の負荷のもとに置かれて、厚さが測定される;
ASTM D3776-96に従って、オンス/平方ヤードまたはグラム/平方メートルの単位の基礎重量が決定された;
IST 90.3 (95), INDA(米国不織布工業会)のテスト方法に従って、グラム単位のハンドルオメター値が決定された。ここで、繊維、フィルムまたは積層体の折り畳み可能性は、プローブによってスロットに押し込まれるとき、たわみへのその抵抗によって示される。より低い値がより柔軟で、より折り畳み可能な性能を示す;
ASTM D5734-95に従って、自由落下振子で引き裂く切欠き構造の抵抗が決定される、グラム単位のエルメンドルフ引裂が決定された;
ASTM D824-94 (98)に従って、秒/mm単位の固定容量吸収性が決定された。ここで、1ミリリットルの水を完全に吸収するための材料の表面のための時間が決定される;
ASTM D5034-95に従って、ポンド単位のグラブ引張が決定された。ここで、適用される一定の引張り応力下で故障への損なわれない構造の抵抗が測定される;
IST 110.3 (95)に従って、標本のオンス/インチ単位の接着強さ/剥離強さが決定された。ここで、分離される積層体の種々の層の抵抗が測定される。より高い値がより完全な構造を示す;
EPA 300、アリージャンスヘルスケアコーポレーション内部試験処置に従って、動的吸収性が決定される。その試験は、そのような構造が12度における傾斜平面上に置かれるとき、流体を捕らえ保持するために、繊維または積層体の能力をテストする。100ミリリットルの水は、繊維上にスプレーされ、保持されて流出しない液量が測定される。
【0079】
ASTM D5733-95に従って、ポンド単位の台形引き裂き(Trapezoid Tear)が決定された。ここで、切り欠きは、引き裂きを広げるために資料に定められ、一定応力下の引き裂きの抵抗が測定される。
【0080】
これらの積層体のそれぞれの5つのサンプルをテストして得られた平均結果は、以下のように、表1に示される:
【0081】
【表1】
【0082】
表1の結果は、本発明に従って例1の積層体で得られた物理的特性の優秀なバランスを示す。より重要なことには、表1の結果は、例Aに比較して、例1の積層体の吸収性の劇的増加を表す。それは、例1のクラスタ接着積層体が特にディスポーサブルな外科的適用にとって有用であることを示す。
【0083】
例2〜4
次の例では、本発明に従って新規かつ改良されたクラスタ接着積層体の物理的特性が、非殺菌の、エチレン酸化物(EtO)殺菌およびガンマ殺菌(100 kGy)形式で従来の粘着性接着積層体と比較された。より詳細には、次の例では、1.25ミルのエンボス加工の混合ポリエチレンフィルム層と、スパンレースセルロース木材パルプ繊維/ポリエステル繊維不織布繊維を重量比55%/45%で含む1.82オンス/平方ヤードの不織布繊維層とを備える二重積層体が使用された。例B、CおよびDの制御積層体では、フィルム層と繊維層は、繊維層の100%に適用されたエチレン酢酸ビニル接着剤を用いて、100%表面接着された。この発明に従って例2、3および4の各積層体では、フィルム層と繊維層は、繊維層表面の25%が境界のない離間クラスタで配列された、限られない離間接着剤の液滴を有した。例Bおよび2では、積層体は、特性測定の前にあらゆる殺菌処理を受けていなかった。例Cおよび3では、積層体は、特性テストの前に、周知の処置に従って2サイクルのEtO殺菌を受けた。例Dおよび4では、積層体は、テスト前に周知の方法に従って、およそ100kGyレベルの照射によってガンマ殺菌された。
【0084】
例B〜Dおよび2〜4の積層体は、例1に示される手順に従ってテストされた。それに加えて、サンプルはまた、上述の標準方法に従って台形引き裂きのためにテストされた。
【0085】
積層体は5つのサンプルをテストすることによってテストされ、その得られた平均結果は、次のように、表2に示される:
【0086】
【表2】
【0087】
表2のデータによって示されるように、例2、3および4のこの発明のクラスタ接着積層体は、制御例B、CおよびDの100%表面接着積層体に比較してより良い柔軟さに対応する、著しく減らされたハンドルオメター値を示す。グラブ強さおよび接着強さが例2、3および4にはわずかに小さいけれども、これは、接着配列および接着剤のより低い割合から期待されるであろう。これらの値がわずかに小さいけれども、得られた値は、まだ、望ましい機能的範囲の十分範囲内にある。台形引き裂き強さが比較できた。ガウンに使用する外科的積層体には、外科的人員へのそれらの主観的快適さにとって上述のようにチャネリングを減らし、あるいは排除するために、柔らかさが非常に重要である。例2、3および4の積層体は、制御例B、CおよびDの商品に比較して、思いがけなく改良された柔軟さを明らかに示した。
【0088】
本発明が多くの好適実施形態を参照して記述されたけれども、他の変形および変更が、ここで記述され、あるいは当業者に知られ、この発明に企図され含まれる。変更および修正は、本発明から逸脱することなく、ここに記述された実施形態になされ得る。例えば、エチレン酢酸ビニルが接着剤として例示されるけれども、ここで記述され、あるいは当業者に知られる他のあらゆる接着剤が、置換され得る。また、他のフィルムおよび不織布繊維は、外科的または他の使用に適した有利な積層体を提供するために、クラスタ接着されてもよい。新規かつ改良されたクラスタ接着積層体は、改良されたドレープおよびガウンを作るために、限定するわけではないが、Kraton(商標)層、Ultrasorb(商標)層、IsoBac(商標)層、Delnet(商標)層、Optisorb(商標)層、SMS層、Dexter(商標)層および補強なしもしくは補強Optima(商標)層を含む種々の他のフィルム、繊維またはパネルタイプで組み立てられてもよい。二重または三重積層体が示されるけれども、予め成型された二重または三重積層体は、そこへ追加され、ここで教示されるようなクラスタ接着方法によって添付された追加のフィルムまたは不織布繊維を有してもよい。そのようなすべての明白な修正は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲および精神から逸脱することなく、この技術の当業者によってここでなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の平面図である。
【図2】図1に示す、新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の分解斜視図である。
【図3】図1および図2に示す新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体の断面図であって、改善された軟らかさや被覆性に貢献する接着領域における積層体の柔軟性を示すために積層体を折り曲げた状態を示している。
【図4】本発明の好適実施形態に従った新規かつ改良された三層構造すなわち三重のディスポーザブルな外科用積層体の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用積層体を形成するために用いることができる積層装置および方法の説明図である。
【図6】図5に類似した積層装置の説明図であるが、不織布の表面の代わりにフィルム面に接着剤の液滴を付着させるためにフィルム送りと不織布送りを逆にした位置を示している。
【図7】図5の装置の一部の拡大斜視図であって、盛り上がった接触領域を有するエラストマーで覆われた圧力ローラと複数の接着剤液滴を含む凹部との間に形成されたニップを示している。
【図8】本発明の他の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用ガウンを着た外科医の斜視図である。
【図9】背後から見た図7に示す外科用ガウンの斜視図である。
【図10】着衣前の図7に示す外科用ガウンの斜視図である。
【図11】他の実施形態に従った他の新規かつ改良されたディスポーザブルな外科用ガウンの正面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな血管造影外科用ドレープの平面図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態に従った新規かつ改良されたディスポーザブルな腹部開腹手術用ドレープの平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用積層体を構成するディスポーザブルな積層体であって、
フィルム層と、
少なくとも一つの不織布層と、
間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタと、を含み、
前記複数の接着剤クラスタのそれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記フィルム層または前記不織布層に付与されていることを特徴とするディスポーザブルな積層体。
【請求項2】
前記フィルム層は、熱可塑性ポリマーフィルム層である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項3】
前記不織布層は、熱可塑性ポリマー不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項4】
前記接着剤は、熱可塑性ポリマー接着剤である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項5】
前記フィルム層は、ポリエチレンフィルムを含み、また前記不織布層は、セルロースウッドパルプ繊維対ポリエステルステイプル繊維が55:45の重量比のスパンレースされた不織布を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項6】
前記フィルム層は、エンボス加工されたブレンドポリエチレンフィルムであり、また前記不織布は、接着剤結合されたレーヨンステイプル繊維からなる不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項7】
前記フィルム層は、ポリエチレンフィルムを含み、また前記不織布層は、スパンレースされたポリビニルアルコール繊維の不織布を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項8】
前記フィルム層は、モノリシック熱可塑性ポリマーフィルムと微小孔性の熱可塑性ポリマーフィルムから選択された通気性のある液体を通さない熱可塑性フィルムを含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項9】
前記フィルム層は、ポリエステル共重合体熱可塑性エラストマーフィルムを含み、また前記不織布層は、熱融着ポリエステルステイプル繊維の不織布を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項10】
前記フィルム層は、ポリエステル共重合体熱可塑性エラストマーフィルムを含み、また前記不織布層は、複合糸がスパンボンドされた不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項11】
前記フィルム層は、ポリエステル共重合体熱可塑性エラストマーフィルムを含み、また前記不織布層は、スパンボンド−メルトブロー−スパンボンド不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項12】
前記不織布は、スパンボンドされた複合糸不織布であり、該複合糸はポリエチレンとナイロンのシース/コア繊維である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項13】
前記不織布は、スパンボンドされた複合糸不織布であり、該複合糸は、ポリエチレンとポリエステルのシース/コア繊維である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項14】
前記不織布は、スパンボンドされた複合糸不織布であり、該複合糸は、ポリエステルとポリエステルのシース/コア繊維である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項15】
前記接着剤の液滴は、エチレン酢酸ビニル系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル接着剤および前記接着剤のうちの1または2以上の混合物からなるグループから選択された熱可塑系ポリマー系のホットメルト接着剤を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項16】
外科用積層体を構成するディスポーザブルな積層体であって、
第1および第2の対向した主面を有する熱可塑性コポリエステルエラストマーフィルム層と、
前記第1の主面に隣接して配置された第1の不織布層と、
前記第2の主面に隣接して配置された第2の不織布層と、
間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタと、を含み、
前記複数の接着剤クラスタのぞれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記第1の不織布層を前記第1の主面に固定するとともに前記第2の不織布層を前記第2の主面に固定するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記第1の主面または前記第1の不織布層と、前記第2の主面または前記第2の不織布層とに付与されていることを特徴とするディスポーザブルな積層体。
【請求項17】
前記第1および第2の不織布層は、同一の不織布材料を含む請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項18】
前記第1および第2の不織布層は、異なる不織布材料を含む請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項19】
前記フィルム層は、モノリシックコポリエステルエラストマーフィルム層を含み、前記第1の不織布層は、第1の坪量を有するスパンボンドされたポリエチレン/ナイロンの複合糸不織布を含み、また前記第2の不織布層は、前記第1の坪量とは異なる第2の坪量を有するスパンボンドされたポリエチレン/ナイロンの複合糸不織布を含む請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項20】
前記フィルム層は、熱可塑性コポリエステルエラストマーフィルムを含み、前記第1の不織布層は、接着剤結合レーヨンステイプル繊維の不織布であり、前記第2の不織布層は、100%熱融着ポリエステルステイプル繊維の不織布である請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項21】
フィルム層と、少なくとも一つの不織布層と、境界のない間隔を置いて設けられた複数の接着剤クラスタと、を備え、前記複数の接着剤クラスタのそれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記フィルム層または前記不織布層に付与されているディスポーザブルな外科用積層体のパネルを有することを特徴とするディスポーザブルな外科用ドレープ。
【請求項22】
胴体部と該胴体部に連結された二つの袖とを有し、該胴体部は、前側パネルと該前側パネルに連結された二つの後側パネルとを有し、さらに前記胴体部には、ガウンを着衣者を包み込む位置にとめるための結び紐が取り付けられているディスポーザブルな外科用ガウンにおいて、前記袖、前記胴体部またはそれらの双方が、フィルム層と、少なくとも一つの不織布層と、境界のない間隔を置いて設けられた複数の接着剤クラスタと、を備え、前記複数の接着剤クラスタのそれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記フィルム層または前記不織布層に付与されているディスポーザブルな外科用積層体を含むことを特徴とするディスポーザブルな外科用ガウン。
【請求項1】
外科用積層体を構成するディスポーザブルな積層体であって、
フィルム層と、
少なくとも一つの不織布層と、
間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタと、を含み、
前記複数の接着剤クラスタのそれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記フィルム層または前記不織布層に付与されていることを特徴とするディスポーザブルな積層体。
【請求項2】
前記フィルム層は、熱可塑性ポリマーフィルム層である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項3】
前記不織布層は、熱可塑性ポリマー不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項4】
前記接着剤は、熱可塑性ポリマー接着剤である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項5】
前記フィルム層は、ポリエチレンフィルムを含み、また前記不織布層は、セルロースウッドパルプ繊維対ポリエステルステイプル繊維が55:45の重量比のスパンレースされた不織布を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項6】
前記フィルム層は、エンボス加工されたブレンドポリエチレンフィルムであり、また前記不織布は、接着剤結合されたレーヨンステイプル繊維からなる不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項7】
前記フィルム層は、ポリエチレンフィルムを含み、また前記不織布層は、スパンレースされたポリビニルアルコール繊維の不織布を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項8】
前記フィルム層は、モノリシック熱可塑性ポリマーフィルムと微小孔性の熱可塑性ポリマーフィルムから選択された通気性のある液体を通さない熱可塑性フィルムを含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項9】
前記フィルム層は、ポリエステル共重合体熱可塑性エラストマーフィルムを含み、また前記不織布層は、熱融着ポリエステルステイプル繊維の不織布を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項10】
前記フィルム層は、ポリエステル共重合体熱可塑性エラストマーフィルムを含み、また前記不織布層は、複合糸がスパンボンドされた不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項11】
前記フィルム層は、ポリエステル共重合体熱可塑性エラストマーフィルムを含み、また前記不織布層は、スパンボンド−メルトブロー−スパンボンド不織布である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項12】
前記不織布は、スパンボンドされた複合糸不織布であり、該複合糸はポリエチレンとナイロンのシース/コア繊維である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項13】
前記不織布は、スパンボンドされた複合糸不織布であり、該複合糸は、ポリエチレンとポリエステルのシース/コア繊維である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項14】
前記不織布は、スパンボンドされた複合糸不織布であり、該複合糸は、ポリエステルとポリエステルのシース/コア繊維である請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項15】
前記接着剤の液滴は、エチレン酢酸ビニル系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル接着剤および前記接着剤のうちの1または2以上の混合物からなるグループから選択された熱可塑系ポリマー系のホットメルト接着剤を含む請求項1に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項16】
外科用積層体を構成するディスポーザブルな積層体であって、
第1および第2の対向した主面を有する熱可塑性コポリエステルエラストマーフィルム層と、
前記第1の主面に隣接して配置された第1の不織布層と、
前記第2の主面に隣接して配置された第2の不織布層と、
間隔を置いて設けられた境界のない複数の接着剤クラスタと、を含み、
前記複数の接着剤クラスタのぞれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記第1の不織布層を前記第1の主面に固定するとともに前記第2の不織布層を前記第2の主面に固定するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記第1の主面または前記第1の不織布層と、前記第2の主面または前記第2の不織布層とに付与されていることを特徴とするディスポーザブルな積層体。
【請求項17】
前記第1および第2の不織布層は、同一の不織布材料を含む請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項18】
前記第1および第2の不織布層は、異なる不織布材料を含む請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項19】
前記フィルム層は、モノリシックコポリエステルエラストマーフィルム層を含み、前記第1の不織布層は、第1の坪量を有するスパンボンドされたポリエチレン/ナイロンの複合糸不織布を含み、また前記第2の不織布層は、前記第1の坪量とは異なる第2の坪量を有するスパンボンドされたポリエチレン/ナイロンの複合糸不織布を含む請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項20】
前記フィルム層は、熱可塑性コポリエステルエラストマーフィルムを含み、前記第1の不織布層は、接着剤結合レーヨンステイプル繊維の不織布であり、前記第2の不織布層は、100%熱融着ポリエステルステイプル繊維の不織布である請求項16に記載のディスポーザブルな積層体。
【請求項21】
フィルム層と、少なくとも一つの不織布層と、境界のない間隔を置いて設けられた複数の接着剤クラスタと、を備え、前記複数の接着剤クラスタのそれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記フィルム層または前記不織布層に付与されているディスポーザブルな外科用積層体のパネルを有することを特徴とするディスポーザブルな外科用ドレープ。
【請求項22】
胴体部と該胴体部に連結された二つの袖とを有し、該胴体部は、前側パネルと該前側パネルに連結された二つの後側パネルとを有し、さらに前記胴体部には、ガウンを着衣者を包み込む位置にとめるための結び紐が取り付けられているディスポーザブルな外科用ガウンにおいて、前記袖、前記胴体部またはそれらの双方が、フィルム層と、少なくとも一つの不織布層と、境界のない間隔を置いて設けられた複数の接着剤クラスタと、を備え、前記複数の接着剤クラスタのそれぞれは、複数の離散的に間隔を置いて設けられた、前記フィルム層を前記不織布層に一体に固着するための接着剤の液滴で構成されており、各前記接着剤クラスタにおいて、前記接着剤が周囲または直線的な境界を構成しないように、前記フィルム層または前記不織布層に付与されているディスポーザブルな外科用積層体を含むことを特徴とするディスポーザブルな外科用ガウン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−49280(P2013−49280A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239358(P2012−239358)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2001−538163(P2001−538163)の分割
【原出願日】平成12年11月13日(2000.11.13)
【出願人】(397037834)アレジアンス、コーポレイション (21)
【住所又は居所原語表記】1430 Waukegan Road, Waukegan, Illinois 60085 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2001−538163(P2001−538163)の分割
【原出願日】平成12年11月13日(2000.11.13)
【出願人】(397037834)アレジアンス、コーポレイション (21)
【住所又は居所原語表記】1430 Waukegan Road, Waukegan, Illinois 60085 United States of America
【Fターム(参考)】
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