説明

断線検出方法及び電子機器

【課題】複数のパッケージを接続して構成する電子機器において、一本の検査信号線を用いて各パッケージが接続されているか否かを検査する断線検出方法を提供する。
【解決手段】制御パッケージ(PKG1)が検査信号を伝送して、少なくとも一つの検査対象パッケージ(例えば、PKG2〜4)の断線を検出する断線検出方法であって、制御パッケージに配線された制御内信号線14と、検査対象パッケージに配線された検査対象内信号線23、33、43とを接続して1本の検査信号線8を形成する。制御パッケージが検査信号線8に所定の電圧の検査信号を出力する。制御内信号線14に接続されたプルダウン抵抗13によって、検査対象内信号線23、33、43に接続されたプルアップ抵抗21、31、41が供給する電圧が分圧される。制御パッケージが、検査信号の電圧と制御パッケージ内に保持する閾値とを比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパッケージの断線を検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来複数枚パッケージ(PKG:Package)に構成されている装置の各PKGの未接続や断線を判断する方法としては、専用の信号線を各々のPKGへ1対1で配線し、その信号の状態を検出する方法か、あるいは制御されるI/F上のプロトコルを用いハンドシェイクにて接続が確立しているかを検査していた。このため、専用信号線を配線する場合などでは、断線を検出すべきPKGの枚数分を用意する必要があった。また、断線の検出を検査するため、CPUなどでは専用の検出ポートを用意する必要があり、回路規模が余計に増える可能性があった。さらに、専用の検査信号を専用のポートへ連絡するためには複数本の信号を各々のPKGへ渡す必要があり、コネクタやケーブルの極数を増やす要因となっていた。
【0003】
通信I/Fを代用し接続を確認するような方法の場合、ある程度のシステムの初期化処理が必要となり、I/Fが使用可能となるまでの時間はPKG未接続の検出が不能となり致命的な不良を検出できないことがあった。
【0004】
例えば、特許文献1には、パターンに直接プローブを当てずに配線が1対1で接続されたチップ同士間における断線位置を検出可能とする断線位置検出方法が開示されている。この方法は、1対1に接続されたチップ同士の検査に適用するものであり、複数のパッケージを接続した場合に検査に適用するものではなかった。
【0005】
従来、幾つかのPKGを接続し、断線を検出する場合、特定したい信号線を各PKG毎に用意しケーブルやコネクタを介し接続していた。そして、各PKG上の終端でプルアップやGNDへの短絡を行い、断線の状態を検出していた。このように、どのPKGが切断/断線状態にあるかどうかは、複数のPKGを並列に個々に判定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−296330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数のPKGを並列に個々に判定する方法ではPKGの数量により断線を検出するために専用の信号線が増える。このため、コネクタやケーブルの多極化に繋がっていた。
【0008】
本発明は、複数のパッケージを接続して構成する電子機器において、一本の検査信号線を用いて各パッケージが接続されているか否かを検査する断線検出方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る断線検出方法の一態様は、制御パッケージが検査信号を伝送して、少なくとも一つの検査対象パッケージの断線を検出する断線検出方法であって、前記制御パッケージに配線された制御内信号線と、前記検査対象パッケージに配線された検査対象内信号線とを接続して1本の信号線を形成し、前記制御パッケージによって、前記信号線に所定の電圧の第一検査信号が出力され、前記制御内信号線に接続されたプルダウン手段によって、前記検査対象内信号線に接続されたプルアップ手段が供給する電圧が分圧され、前記制御パッケージによって、分圧された電圧が供給された前記第一検査信号の検出電圧と、前記制御パッケージ内に保持する閾値とが比較される。
【0010】
本発明に係る電子機器の一態様は、制御パッケージと、少なくとも一つの検査対象パッケージと、を備え、前記制御パッケージは、電圧が相互に異なる複数の検査信号を出力する出力手段と、前記出力手段から出力された検査信号の検出電圧を検出し、前記検出電圧と保持する閾値とを比較する検出手段と、前記検査信号に供給される電圧をプルダウンするプルダウン手段と、前記出力手段、前記検出手段及び前記プルダウン手段が接続され、前記検査信号を伝送する制御内信号線と、を備え、前記検査対象パッケージは、前記出力手段から出力される検査信号を伝送する検査対象内信号線と、前記検査対象内信号線に接続され、前記検査信号へ電圧を供給するプルアップするプルアップ手段と、を備え、前記制御内信号線と前記少なくとも一つの検査対象パッケージが有する前記検査対象内信号線とは、1本の信号線を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のパッケージを接続して構成する電子機器において、一本の検査信号線を用いて各パッケージが接続されているか否かを検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発明の実施形態1に係る電子機器の構成例を示すブロック図である。
【図2A】図1の電子機器における判定結果の一例を示す表である。
【図2B】図1の電子機器における検出電圧の一例を示す表である。
【図3A】図1の電子機器のレシーバICにおいて、分周比80%の場合に検出される検出電圧の一例を示す図である。
【図3B】図1の電子機器のレシーバICにおいて、分周比65%の場合に検出される検出電圧の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0014】
本発明は、複数のPKGを接続して電子機器(電子システム)を構成する場合に、各々のPKGが接続されているかどうかを、複数本の信号線を使用することなく、1本の信号線を形成して検査する。具体的には、起点となるPKGから各PKG上を一筆書き状に信号を渡して検査し、各々のPKG上での断線があった場合、あるいは、PKGとPKGが未接続である部分を特定する。以下、実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電子機器の構成例を示すブロック図である。電子機器は、少なくとも2つ以上のPKGが連続で接続される構成であり、図1では4つのPKGがコネクタあるいはケーブル等で接続された状態を示している。
【0016】
電子機器は、4つのPKG1〜4を備える。図1では、各PKGは、コネクタによって電気的に接続されている例を示している。
PKG1は、検査信号を出力し、出力された信号を検出する。PKG1は、検査信号を出力するパッケージであることから、制御パッケージともいう。また、PKG2〜4は、PKG1へ一つの検査信号線を形成して芋づる式に接続され、断線しているか否かを検査されるパッケージであることから、検査対象パッケージともいう。以下、各構成要素について説明する。
【0017】
PKG1は、ドライバIC(Integrated Circuit)(出力手段)11、レシーバIC(検出手段)12、プルダウン抵抗(プルダウン手段)13、制御内信号線14及びコネクタ15を備える。
ドライバIC11は、相互に異なる電圧の複数の検査信号を出力する。例えば、ドライバIC11は、一般的にオープンコレクタまたはオープンドレインの構造を持つ電圧ソースを持たないICを用いることができる。
【0018】
レシーバIC12は、ドライバIC11から出力された検査信号を検出する。レシーバIC12は、ドライバIC11から出力される検査信号を検出できるように制御内信号線14へ接続されている。レシーバIC12は、予め設定された閾値を保持する。閾値は、一つであり、検査対象パッケージの機能、例えば、検査対象パッケージに設置されるプルダウン抵抗、検査信号の電圧等に応じて、予め値が決定される。
例えば、レシーバIC12は、一般的に、閾値が固定となるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ICを用いることができる。
【0019】
プルダウン抵抗13は、検査信号に供給される電圧のレベルをプルダウンする。具価的には、検査信号に供給される電圧を分圧する。
制御内信号線14は、ドライバIC11、レシーバIC12及びプルダウン抵抗13が接続されている。制御内信号線14は、ドライバIC11から出力される検査信号を伝送する。図1では、コネクタ15の部分も含む、PKG1内に配線された信号線を指す。
コネクタ15は、当該PKG1と他のPKG(検査対象パッケージ)とを電気的に接続させる。
【0020】
PKG2は、プルアップ抵抗21、コンデンサ22、検査対象内信号線23及びコネクタ24、25を備える。PKG2と同様に、PKG3は、プルアップ抵抗31、コンデンサ32、検査対象内信号線33及びコネクタ34、35を、PKG4は、プルアップ抵抗41、コンデンサ42、検査対象内信号線43及びコネクタ44を備える。PKG2〜4では同様の構成であるため、以降の説明では、適宜PKG2を用いて説明するが、PKG3、4も同様である。
プルアップ抵抗21は、ドライバIC11から出力される検査信号のレベルをプルアップする。具体的には、検査信号へ電圧を供給する。
コンデンサ(デカップリングコンデンサ)22は、GRDに接続され、検査信号の電圧を安定させる。また、検査信号から雑音信号を除去する。
検査対象内信号線23は、ドライバIC11から出力された検査信号を伝送する。図1では、コネクタ24、25の部分を含む、PKG2内に配線された信号線を指す。
コネクタ24、25は、当該PKG2を他のPKG(制御パッケージまたは検査対象パッケージ)と電気的に接続させる。
【0021】
制御内信号線14及び検査対象内信号線23、33、43は、電気的に接続され、一本の信号ラインを形成する。以降の説明では、当該一本の信号ラインに形成される信号線を、検査信号線8として説明する。ドライバIC11から出力される検査信号は、検査信号線8を介してPKG2〜4へ伝送される。
【0022】
また、図1には図示していないが、一般的に各々のPKGのGNDおよび電源供給のレベルは共通であり、各PKG上で使用するソースとなる電源供給は共通であるものとする。
基点となるPKG1にはドライバIC11から検査信号として出力された信号がレシーバIC12で検出できるように配線されている。同時にこの検査信号は各々のPKG2〜4上に伝送され、各々のPKG2〜4上でプルアップ抵抗21、31、41にて電圧を供給している。また同時にコンデンサ22、32、42をGND間に配している。
【0023】
基点となるPKG1はプルアップ抵抗を持たず、プルダウン抵抗13を備え、PKG1以降に接続されるPKG2〜4上のプルアップ抵抗の電圧を、分圧することを目的に設けられている。検査信号は、検査信号線8に伝送される。PKG2、PKG3、PKG4上で、プルアップ抵抗21、31、41と、コンデンサ22、32、42とが設けられている。プルダウン抵抗13によって、プルアップ抵抗21、31、41が供給する電圧が分圧され、当該分圧された電圧が検査信号に供給されている回路構造を示している。レシーバIC12は、当該分圧された電圧が供給された検査信号の電圧を検出する。
例えば、PKG4が何らかの要因で断線した場合、検査信号線8に供給する電圧が断たれることにより、PKG2、PKG3のプルアップ抵抗21、22から供給される電圧が、プルダウン抵抗13によって分圧された電圧を、レシーバIC12の持つ閾値で検出することで、PKG4の断線が検出することが可能となる。
【0024】
なお、図1では、4つのPKGが接続された場合を示しているが、少なくとも二つのPKGを接続する場合に本発明を適用することが可能である。なお、PKG4以降、他のPKGが連続して繋がる場合、検査信号線がプルアップ抵抗をもって配線されていなければならない。
【0025】
続いて、断線検査手順について、具体例を用いて説明する。
図2A,2Bは図1の電子機器における検査結果の一例を示す表である。図2Aは、検出結果として判定結果を示し、図2Bは、実際に検出され得る検出電圧の一例を示している。図2Aは、検査信号線8において、同時にプルアップ抵抗21、31、41とプルダウン抵抗13により検査信号が発生した検出電圧を、レシーバIC12が持つ閾値にて判定した出力を期待値として示す。図2A、2Bでは、検査信号として、H(第一検査信号)、CLK1(第二検査信号)、CLK2(第三検査信号)を設定している。検査信号"H"レベルは、「コンスタント出力」ともいう。CLK1は、検査信号"H"を分周比80%に分周した場合、CLK2は、検査信号"H"を分周比80%に分周した場合を一例として用いる。
【0026】
図3A,3Bは,図1の電子機器のレシーバICにおいて、検出される検出電圧の一例を示す図であり、図3Aは、分周比80%の場合、図3Bは、分周比65%の場合を示している。
図3A、3Bでは、レシーバIC12として一般的なCMOSICを用いる場合、閾値が固定となる(例2.5V)。また、検査信号線8に伝送される検査信号は、コンスタントにドライバIC11から"H"レベル(例5.0V)の信号を出力される場合を示している。さらに、検査信号をクロックとし、一定の分周比をもって出力した場合の検出電圧の波形を示している。
【0027】
続いて、図1の構成図と、図2A、2Bの検出結果例を用い説明する。ここでは、一例として、回路に用いられる抵抗値を、プルダウン抵抗13には1000Ω(OHM)、プルアップ抵抗21には800Ω、プルアップ抵抗31に800Ω、プルアップ抵抗41に400Ωを接続し、プルアップ電圧は一般的に5.0Vの電圧を用い、ドライバIC11およびレシーバIC12ともに5.0V電圧で動作するICを設定する。
【0028】
ここで、レシーバIC12が有する閾値は2.5Vであり、2.5V以上の場合に"H"、2.5V未満の場合に"L"を検出することを前提とする。
ドライバIC11は、任意の電圧の検査信号が入力される。検査信号は、他の制御装置など外部装置において電圧を任意に設定されて入力される。図1の構成では、符号Aから、任意に設定された電圧が入力される。
ドライバIC11が検査信号を出力すると、レシーバIC12は、検査信号に応じて検出電圧(検査信号)を検出する。レシーバIC12は、検出した検出電圧を閾値と比較した検出結果(H/L)を出力する。図1の構成では、符号Cより期待値が出力される。
【0029】
まず、PKG2以降が接続されていない場合、すなわち、PKG1と接続するPKGがない場合の検出方法を説明する。ドライバIC11が、図2に示す検査信号"H"レベルを持続して出力したとき、検査信号線8を伝送する検査信号は、PKG2以降が接続されていないため、プルアップ抵抗21、31、41の電圧を発生しない。従って、レシーバIC12は、検出電圧として、単純に入力レベルが"L"であることを判定できる。
【0030】
次に、PKG2、PKG3が接続されており、PKG4のみ接続されていない場合の検出方法を説明する。ドライバIC11が図2に示す検査信号"H"を維持して出力したとき、検査信号にはPKG2,PKG3のプルアップ抵抗21、31の抵抗値によって、PKG1のプルダウン抵抗13との分圧された電圧が現れる。
この場合検出電圧は、プルアップ抵抗21、31、41の抵抗をそれぞれ、R2、R3、R4とすると、式(1)により計算できる。
R4/(R4+(R2×R3/(R2+R3)))×5V・・・(1)
式(1)を用いて計算すると、検出電圧は、3.57Vとなる。
【0031】
レシーバIC12は、検出電圧として3.57Vを検出する。このとき、レシーバIC12が持つ閾値(ここでは2.5V)と比較すると、"H"の判定となり、PKG4のみが接続されていないことを検出することはできない。このため、検査信号を一定の分周比を持つクロックを以って出力し調整する。具体的には、ドライバIC11へ入力する検査信号を減衰させて検査信号の電圧を下げる。検査信号は、クロックによって各PKG2〜4に設けられたコンデンサ成分によって平滑される。そこで、あらかじめPKG4のみが存在しない場合を検出可能とするように検査信号の電圧を減衰させて調整する必要がある、ここでは電圧の減衰比を65%にした時、式(1)を用いて計算する3.57Vの電圧は2.32Vとなり、レシーバIC12の閾値である2.5Vを下回る、(図2B)
このように、検査信号の周波数を変更して検査信号の電圧を調整(減衰)し、接続しないないPKGを検出可能とする。
【0032】
次に、PKG2が接続されており、PKG3、PKG4が接続されていない場合の検出方法を説明する。レシーバIC12では、分圧された電圧は2.78Vとなり調整されたクロック分周比にて減衰率を80%とすると検出電圧は2.22Vとなる。検査信号として、コンスタント出力(分周比100%)にした場合、分周比80%とした場合、分周比65%にした場合を検査信号線8へ与えることによってレシーバIC12の閾値のみで各PKG2〜4が何処の場所で切断されているかを特定できるようになる。
【0033】
図2の検出結果をタイムチャートで表した図が図3A、3Bである。図3A、3Bでは、閾値を1点破線で、検出電圧を点線で示している。
まず、PKG2、PKG3、PKG4が接続されている場合、分周比80%及び分周比65%ともに閾値以上の電圧を示す波形となる。
次に、PKG2、PKG3が接続されており、PKG4のみ接続されていない場合、分周比80%では、閾値以上の電圧を示し、分周比65%ともに閾値より低い電圧を示す波形となる。
次に、PKG2が接続されており、PKG3、PKG4が接続されていない場合、分周比80%及び分周比65%ともに閾値より低い電圧を示す波形となる。
【0034】
図2A,2B及び図3A,3Bを用いて説明したように、検査信号線8に伝送される検査信号の電圧を調整することによって、受信手段(レシーバIC12)は、一つの閾値を用いて検査対象パッケージ(PKG2〜4)が接続していないことを検出することができる。これは、検査対象パッケージが有するプルアップ抵抗から供給される電圧を分圧させ、受信手段が、分圧された検査信号の電圧を検出し、検出電圧の値を閾値と比較することによって実現する。このとき、検査対象パッケージが接続されてない場合に、検出電圧の値が閾値未満になるように、検査信号の電圧を調整することによって実現する。
【0035】
このとき、受信手段は、一つの閾値と検出電圧を比較する。また、検査信号線は、検査対象パッケージに内在する検査対象内信号線と、制御パッケージに内在する制御内信号線とによって1本のラインが形成されればよい。一本のラインを用いて、検査信号の電圧を分圧し、受信手段は、分圧された検出電圧を検出する。また、レシーバIC12は、検出電圧と閾値とを比較することにより、制御パッケージ(図1では、PKG1)と、複数の検査対象パッケージ(図1では、PKG2〜4)のうち、制御パッケージに最も近い検査対象パッケージの断線を検出する。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態では、次のような断線検出方法及び電子機器を説明した。
基点となるPKGには出力手段となるドライバIC11から検査信号として出力された信号が、受信手段となるレシーバIC12で検出できるように検査信号線8が配線されている。同時にこの検査信号線8は各々のPKG1〜4上に配線され、各々のPKG2〜4上でプルアップ抵抗にて電圧を供給している。また同時にコンデンサを検査信号線8とGND間に配し、伝送される検査信号の安定化を図っている。基点となるPKG1はプルアップ抵抗を持たず、プルダウン抵抗を備える。プルダウン抵抗は、以降に接続されるPKG上のプルアップ抵抗の電圧を、分圧することを目的に設けられ、PKG4何らかの要因で断線した場合、検査信号に供給する電圧が断たれる。これにより、各PKGプルアップ抵抗から供給される電圧を分圧された電圧を、レシーバIC12の持つ閾値で検出する。このようにして、幾つか複数のPKGの接続状態を、検査信号を1本の検査信号線8のみで検出させることで多極になっていた検査信号線を簡素化でき、複雑な回路構成を持つことなく簡単な回路構成で断線箇所を発見することが可能となる。
【0037】
(その他の実施形態)
図1では、PKG1〜4は、コネクタによって接続された例を示したが、これに限られるわけではない。コネクタに代わる接続部であってもよい。接続部は、各PKG1〜4を電気的に接続する接続手段であればよく、例えば、ケーブル、リード線、あるいは、半田付け等を用いて実現することができる。
【0038】
また、図1では、出力手段の一例としてドライバIC11を、受信手段の一例としてレシーバIC12を用いて説明したが、これらに限られるわけではない。出力手段は、外部から入力される(受け付ける)検査信号を検査信号線8に出力する、オープンコレクタまたはオープンドレインの構造を持つ出力ポートであってもよい。
【0039】
上記実施形態では、電圧の異なる検査信号の分周比を可変として生成したが、その他の方法によって、検査信号の電圧を変化させてもよい。また、上記実施形態では、3種類の検査信号を用いて検査する例を示したが、少なくとも2以上の、電圧が相互に異なる検査信号を用いることによって、断線を検出することができる。
【0040】
以上説明したように、本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。
第1の効果は検査信号線を1本だけで(一つの検査信号だけで)、断線あるいは未接続を検出すべきPKGを特定できるので従来検出すべきPKGの数量分用意していた検査信号線を1本のみにすること(一つの検査信号のみで複数のPKGを検査すること)が出来ることである。
第2の効果は検査信号が配線されたPKG上では複雑な回路は必要とせず、プルアップ抵抗を配するのみでよく回路の簡素化が容易である。
本発明は、例えば、PKG(回路基板)が複数組み込まれ、各々がコネクタや装置内部のケーブルで接続されている装置に用いることができる。
【0041】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1〜4 PKG
5〜7 接続部
8 検査信号線
11 ドライバIC
12 レシーバIC、
13 プルダウン抵抗
14 制御内信号線
21、31、41 プルアップ抵抗
22、32、42 コンデンサ
23、33、43 検査対象内信号線
15、24、25、34、35、44 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御パッケージが検査信号を伝送して、少なくとも一つの検査対象パッケージの断線を検出する断線検出方法であって、
前記制御パッケージに配線された制御内信号線と、前記検査対象パッケージに配線された検査対象内信号線とを接続して1本の信号線を形成し、
前記制御パッケージによって、前記信号線に所定の電圧の第一検査信号が出力され、
前記制御内信号線に接続されたプルダウン手段によって、前記検査対象内信号線に接続されたプルアップ手段が供給する電圧が分圧され、
前記制御パッケージによって、分圧された電圧が供給された前記第一検査信号の検出電圧と、前記制御パッケージ内に保持する閾値とが比較される断線検出方法。
【請求項2】
前記制御パッケージによって、さらに、
前記所定の電圧と異なる電圧の第二検査信号が前記信号線に出力され、
前記分圧された電圧が供給された、前記第二検査信号の検出電圧と、前記制御パッケージ内に保持する閾値とが比較されることを特徴とする請求項1記載の断線検出方法。
【請求項3】
前記第二検査信号は、複数の前記検査対象パッケージのいずれか一つが電気的に接続していない場合、前記検出電圧が前記閾値未満になるように調整されていることを特徴とする請求項2記載の断線検出方法。
【請求項4】
前記第二検査信号は、複数からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の断線検出方法。
【請求項5】
前記制御パッケージによって比較された結果は、前記制御パッケージと、複数の前記検査対象パッケージのうち、前記制御パッケージに最も近い検査対象パッケージの断線を検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の断線検出方法。
【請求項6】
制御パッケージと、
少なくとも一つの検査対象パッケージと、を備え、
前記制御パッケージは、
電圧が相互に異なる複数の検査信号を出力する出力手段と、
前記出力手段から出力された検査信号の検出電圧を検出し、前記検出電圧と保持する閾値とを比較する検出手段と、
前記検査信号に供給される電圧をプルダウンするプルダウン手段と、
前記出力手段、前記検出手段及び前記プルダウン手段が接続され、前記検査信号を伝送する制御内信号線と、を備え、
前記検査対象パッケージは、
前記出力手段から出力される検査信号を伝送する検査対象内信号線と、
前記検査対象内信号線に接続され、前記検査信号へ電圧を供給するプルアップするプルアップ手段と、を備え、
前記制御内信号線と前記少なくとも一つの検査対象パッケージが有する前記検査対象内信号線とは、1本の信号線を形成する電子機器。
【請求項7】
前記検査対象パッケージは、複数からなり、
複数の前記検査対象パッケージが有する複数の前記検査対象内信号線それぞれは前記プルダウン手段が接続され、
前記制御内信号線と複数の前記検査対象内信号線とは、1本の信号線を形成することを特徴とする請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
前記出力手段は、複数の前記検査対象パッケージのいずれか一つが電気的に接続していない場合、前記閾値未満となる前記検出電圧が発生する分周比の検査信号を出力することを特徴とする特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
前記検査対象パッケージは、さらに、
グランドに接続するコンデンサを備えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2011−127986(P2011−127986A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286074(P2009−286074)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】