説明

新しい芳香族フルオログリコシド誘導体、該化合物を含有する医薬品、およびその使用

本発明は式中の基が所定の定義の結合を有する式(I)の置換芳香族フルオログリコシド誘導体、生理学的に耐容性のあるその塩、および、その製造方法に関する。該化合物は例えば抗糖尿病剤の形態において使用できる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は置換芳香族フルオロクリコシド誘導体、その生理学的に耐容性のある塩および生理学的に機能性のある誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
SGLT作用を有する物質の数クラスは既に文献において開示されている。全てのこれ等の構造に関わるモデルは天然産物のホロリジンである。これより、以下の所有権において記載されている以下のクラスが誘導されている。
- Tanabeのプロピオフェノングリコシド(WO0280936、WO0280935、JP2000080041およびEP850948)
- Kisseiの2−(グルコピラノシルオキシ)ベンジルベンゼン(WO0244192、WO0228872およびWO0168660)
- KisseiおよびAjinomotoのグルコピラノシルオキシピラゾール(WO0268440、WO0268439、WO0236602およびWO0116147)
- Bristol−Myers SquibbのO−グリコシドベンズアミド(WO0174835およびWO0174834)
- およびBristol−Myers SquibbのC−アリールグリコシド(WO0127128およびUS2002137903)。
【0003】
全ての知られた構造は極めて重要な構造要素としてグルコースを含有する。
更にまた、炎症および免疫疾患の治療のためのジアリールスルフィド化合物がUS2002/132807から知られている。EP0953357A1は腎臓薬担体としてのグリコシド化合物を一般的に記載しており、そしてWO95/23780は皮膚明白化剤として4−ヒドロキシフェノキシ−ヘテロシクロアルキル化合物を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は1型および2型の糖尿病を予防そして治療するために使用する新しい化合物を提供するという目的に基づいている。今回我々は意外にも芳香族フルオログリコシド誘導体がSGLTに対する作用を増大させることを発見した。従ってこれ等の化合物は1型および2型の糖尿病を予防そして治療するために特に適している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は下記式I:
【化1】

[式中、
R1、R2はOH、FまたはHであるか、またはR1およびR2=Fであるが、3通りの組み合わせR1=F、R2=OHおよびR1=OH、R2=FおよびR1、R2=OHは除外され;
R3はOHまたはFであり、ここでR1、R2、R3基の少なくとも1つはFでなければならず;
AはO、NH、CH2、Sまたは結合であり;
【0006】
R4、R5、R6は、
水素、F、Cl、Br、I、OH、NO2、CN、COOH、CO(C1−C6)−アルキル、COO(C1−C6)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C6)−アルコキシ、HO(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキル、フェニル、ベンジルであり、アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるもの;
SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)−アルキル、SO2N[(C1−C6)−アルキル]2、S−(C1−C6)−アルキル、S−(CH2o−フェニル、SO−(C1−C6)−アルキル、SO−(CH2o−フェニル、SO2−(C1−C6)−アルキル、SO2−(CH2o−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル基は2回までF、Cl、Br、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、O−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル、NH2で置換されていてよいもの;
NH2、NH(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、NH(C1−C7)−アシル、フェニル、O−(CH2o−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル環は1〜3回F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、O(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル、NH2、NH(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、SO2−CH3、COOH、COO−(C1−C6)−アルキル、CONH2で置換されていてよいものであり;
【0007】
Bは(C0−C15)−アルカンジイルであり、アルカンジイル基内のC原子1つまたは1つより多くは相互に独立して−O−、−(C=O)−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−CH(OH)−、−CHF−、−CF2−、−(S=O)−、−(SO2)−、−N((C1−C6)−アルキル)−、N((C1−C6)−アルキル−フェニル)−または−NH−で置き換えられていることができ;
nは0〜4の数であり;
Cyc1は3〜7員の飽和、部分飽和または不飽和の環であり、ここでC原子1つはO、NまたはSで置き換えられていてよく;
【0008】
R7、R8、R9は、
水素、F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、COOH、COO(C1−C6)−アルキル、CO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C8)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキル−OH、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキルであり、アルキル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるもの;
SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)−アルキル、SO2N[(C1−C6)−アルキル]2、S−(C1−C6)−アルキル、S−(CH2o−フェニル、SO−(C1−C6)−アルキル、SO−(CH2o−フェニル、SO2−(C1−C6)−アルキル、SO2−(CH2o−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル基は2回までF、Cl、Br、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、O−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル、NH2で置換されていてよいもの;
NH2、NH(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、NH(C1−C7)−アシル、フェニル、O−(CH2o−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル環は1〜3回F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、(C1−C8)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキル、NH2、NH(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、SO2−CH3、COOH、COO−(C1−C6)−アルキル、CONH2で置換されていてよいものであるか;
または、
R8とR9はそれらを担持しているC原子と一緒になって5〜7員の飽和、部分または完全不飽和の環Cyc2であり、ここで環内のC原子1または2つはN、OまたはSにより置き換えられていることができ、そしてCyc2は場合により(C1−C6)−アルキル、(C2−C5)−アルケニル、(C2−C5)−アルキニルで置換されていてよく、そして各々の場合CH2基1つはOにより置き換えられるか、または、H、F、Cl、OH、CF3、NO2、CN、COO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C4)−アルキル、OCF3で置換されていてよいものである]
の化合物および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0009】
R4、R5、R6およびBのフェニル環に対する連結点は自由に選択できる。全ての得られた式Iの化合物は本発明に属する。フェニル環上のB置換基がA置換基に対してオルト位(隣の位置)に配置している式Iの化合物が好ましい。
【0010】
式Iの好ましい化合物は、R1、R2がOH、FまたはHであるか、またはR1およびR2=Fであるが、ここで基R1またはR2の一方はFでなければならないが、組み合わせR1=F、R2=OHおよびR1=OH、R2=FおよびR1、R2=OHは除外され;
R3はOHであり;
AはOまたはNHであり;
R4、R5、R6は、水素、F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、COOH、CO(C1−C6)−アルキル、COO(C1−C6)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C6)−アルコキシ、HO(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキル、フェニル、ベンジル、SO−(C1−C6)−アルキルであり、アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるものであり;
【0011】
Bは(C0−C15)−アルカンジイルであり、ここでアルカンジイル基内のC原子1つまたは1つより多くは相互に独立して−O−、−(C=O)−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−CH(OH)−、−CHF−、−CF2−、−(S=O)−、−(SO2)−、−N((C1−C6)−アルキル)−、N((C1−C6)−アルキル−フェニル)−または−NH−で置き換えられていてよく;
nは0〜4の数であり;
Cyc1は3〜7員の飽和、部分飽和または不飽和の環であり、ここでC原子1つはO、NまたはSで置き換えられていてよく;
【0012】
R7、R8、R9は、水素、F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、COOH、COO(C1−C6)−アルキル、CO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C8)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキル−OH、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキル、SO−(C1−C6)−アルキルであり、アルキル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるものであるか;
または
R8とR9はそれらを担持しているC原子と一緒になって5〜7員の飽和、部分または完全不飽和の環Cyc2であり、ここで環内のC原子1または2つはN、OまたはSにより置き換えられていることができ、そしてCyc2は場合により(C1−C6)−アルキル、(C2−C5)−アルケニル、(C2−C5)−アルキニルで置換されていてよく、そして各々の場合CH2基1つはOにより置き換えられるか、または、H、F、Cl、OH、CF3、NO2、CN、COO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C4)−アルキル、OCF3で置換されていてよいものである。
【0013】
式Iの更に好ましい化合物は糖残基がベータ(β)連結しており、そして、糖残基の2、3および5位の立体化学がD−グルコ立体配置を有するものである。
式Iの特に好ましい化合物は、R1、R2がOH、FまたはHであるか、またはR1およびR2=Fであるが、ここで基R1またはR2の一方はFでなければならないが、組み合わせR1=F、R2=OHおよびR1=OH、R2=FおよびR1、R2=OHは除外され;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4、R5、R6は、水素、OH、(C1−C6)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ、HO−(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、OCF3、OCH2CF3(C1−C4)−アルキル−CF2−、フェニル、ベンジル、(C2−C4)−アルケニル、(C2−C4)−アルキニル、COO(C1−C4)−アルキルであり;
【0014】
Bは(C1−C4)−アルカンジイルであり、ここでCH2基1つは−(C=O)−、−CH(OH)−、−CH−NH−、−CO−N(C1−C6)−アルキル−、−CHF−、−CF2−、−O−、−NH−により置き換えられていてよく;
nは2または3の数であり;
Cyc1は不飽和の5または6員の環であり、ここでC原子1つはO、NまたはSにより置き換えられていてよく;
R7、R8、R9は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ、OCF3、OCH2CF3、OH、(C1−C4)−アルキル−OH、(C1−C4)−アルキル−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl、Brであるか、または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−、−CH2−CH2−O−、−CH=CH−S−、−CH=CH−CH=CH−、−O−(CH2p−O−であり、ここでp=1または2であり、そして、
R7はメチル、エチル、OMe、F、Cl、Brまたは水素であるものである。
【0015】
式Iの極めて好ましい化合物は、
R1がFでありR2がHであるか、または、
R1がHでありR2がFであるか、または、
R1がFでありR2がFであり;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4、R5、R6は水素、OH、(C1−C4)−アルコキシ、CF3、(C1−C4)−アルキル、F、Cl、Br、Iであり;
Bは−CH2−、−C24−、−C36−、−CH(OH)−、−(C=O)−、−CO−NH−CH2−または−CO−CH2−CH2−、−O−、−NH−であり;
nは数2または3であり;
Cyc1は不飽和の6員環であり、ここでC原子1つはNにより置き換えられていてよいものであるか、または、不飽和の5員環であり、ここでC原子1つはSにより置き換えられていてよいものであり;
R7、R8、R9は水素、OH、(C1−C4)−アルキル、(C1−C7)−アルコキシ、OCF3、ハロゲンであるか、
または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−、−CH2−CH2−O−、−CH=CH−CH=CH−、−O−(CH2p−O−であり、ここでp=1または2であり、そして、
R7はメチル、エチル、OMe、F、Cl、Brまたは水素であるものである。
【0016】
下記式Ia:
【化2】

の更に極めて好ましい化合物は、
R1はFでありR2がHであるか、または、
R1がHでありR2がFであるか、または、
R1がFでありR2がFであり;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4は水 素、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシまたはOHであり;
R5は水素、F、メトキシまたはエトキシであり;
R6は水素またはOHであり;
Bは−CH2−、−CO−NH−CH2−、−O−または−CO−CH2−CH2−であり;
Cyc1はフェニルまたはチオフェンであり;
R7、R8、R9は水素、OH、Cl、OCF3、(C1−C4)−アルキルまたは(C1−C4)−アルコキシであるか、
または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−、−CH=CH−CH=CH−または−CH2−CH2−O−であり、そして、
R7は水素であるものである。
【0017】
特に重要な化合物はまた、下記式Ib:
【化3】

[式中、
R1はFでありR2がHであるか、または、
R1がHでありR2がFであるか、または、
R1がFでありR2がFであり;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4は水素、メチル、メトキシまたはOHであり;
R5は水素、Fまたはメトキシであり;
R6は水素またはOHであり;
Bは−CH2−、−CO−NH−CH2−;−O−または−CO−CH2−CH2−であり;
Cyc1はフェニルであり;
R7は水素であり;
R8は水素、OH、エチル、Cl、OCF3またはメトキシであり;
R9は水素であるか;または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−または−CH2−CH2−O−である]
のものである。
【0018】
式Iの別の特に好ましい化合物はR1がHであり、そしてR2がFであるものである。
【0019】
本発明はラセメート、ラセミ混合物および純粋なエナンチオマーの形態の式Iの化合物およびそのジアステレオマーおよびその混合物に関する。
【0020】
置換基R4、R5、R6、R7、R8およびR9におけるアルキル基は直鎖または分枝鎖であってよい。ハロゲンはF、Cl、BrまたはI、好ましくはFまたはClを意味する。
【0021】
薬学的に許容される塩はその水溶性が元のまたは塩基性の化合物より大きいことから医薬品用途に特に適している。これ等の塩は薬学的に許容されるアニオンまたはカチオンを有していなければならない。本発明の化合物の好適な薬学的に許容される酸付加塩は塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸のような無機酸、および、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸および酒石酸のような有機酸の塩である。好適な薬学的に許容される塩基塩はアンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウムおよびカルシウム塩)、トロメタモール(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、ジエタノールアミン、リジンまたはエチレンジアミンである。
【0022】
薬学的に許容されないアニオンとの塩、例えばトリフルオロ酢酸塩もまた、薬学的に許容される塩の製造または精製のため、および/または非治療、例えばインビトロの適用における使用のための有用な中間体として本発明の枠組み内に含まれる。
【0023】
「生理学的に機能性の誘導体」という用語は、本明細書においては、本発明の式Iの化合物の何れかの生理学的に耐容性のある誘導体、例えばエステルを指し、これは哺乳類、例えばヒトに投与した場合に式Iの化合物またはその活性代謝産物を(直接または間接的に)形成できるものである。
【0024】
生理学的に機能性のある誘導体には、本発明の化合物のプロドラッグ、例えばH.Okada et al.,Chem.Pharm.Bull.1994,42,57−61に記載のものが包含される。このようなプロドラッグはインビボで代謝されて本発明の化合物となることができる。これ等のプロドラッグはそれら自体が活性であってもなくてもよい。糖の6位におけるカーボネート(WO0280936およびWO0244192参照)が好ましく、メチルカーボネートおよびエチルカーボネートが特に好ましい。
【0025】
本発明の化合物は種々の多形型、例えば非晶質および結晶多形型としても存在してよい。本発明の化合物の全ての多形型は本発明の枠組み内に含まれ、そして本発明の別の特徴となる。
【0026】
以降、「式Iの化合物」と言及する場合は全て、上記した式Iの化合物、および、本明細書に記載するその塩、溶媒和物および生理学的に機能性のある誘導体を指すものとする。
【0027】
式(I)の化合物はまた他の活性成分と組み合わせて投与してもよい。
所望の生物学的作用を達成するために必要な式Iの化合物の量は多くの要因、例えば選択された特定の化合物、意図する用途、投与様式および患者の臨床状態により異なる。一日当たり用量は一般的には一日当たり、そして体重のキログラム当り0.3mg〜100mg(典型的には3mgおよび50mg)の範囲、例えば3〜10mg/kg/日である。静脈内用量は例えば0.3mg〜1.0mg/kgの範囲であってよく、これを適宜キログラム当り分当り10ng〜100ngの注入により投与できる。これ等の目的のための好適な注入溶液は例えばミリリットル当り0.1ng〜10mg、典型的には1ng〜10mgを含有してよい。単回用量は例えば活性成分1mg〜10gを含有してよい。即ち、注射用のアンプルは例えば1mg〜100mgを含有してよく、そして、経口投与できる単回用量製剤、例えば錠剤またはカプセルは例えば1.0〜1000mg、典型的には10〜600mgを含有してよい。上記した状態の治療のためには、式Iの化合物は化合物自体として使用してよいが、これ等は好ましくは許容される担体と共に医薬組成物の形態とする。担体は当然ながら組成物の他の成分と適合性を有し患者の健康に対して有害ではないという意味において許容できるものでなければならない。担体は固体または液体または両方であって良く、そして好ましくは単回用量、例えば錠剤として化合物と共に製剤され、これは活性成分0.05〜95重量%を含有してよい。式Iの化合物以外のものを含む他の薬学的活性物質も同様に存在してよい。本発明の医薬組成物は知られた薬学的方法の1つにより製造でき、これは本質的には薬学的に許容される担体および/または賦形剤と共に成分を混合することよりなる。
【0028】
本発明の医薬組成物は経口、直腸、局所、口内(例えば舌下)および非経腸(例えば皮下、筋肉内、皮内または静脈内)投与に適するものであるが、大部分の好適な投与様式は個々の場合において治療すべき状態の性質と重症度、および各々の場合に使用される式Iの化合物の性質により異なる。コーティングされた製剤およびコーティングされた緩徐放出製剤もまた本発明の枠組み内に含まれる。酸および胃液に対して耐性である製剤が好ましい。胃液に耐性である好適なコーティングはセルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびメタクリル酸およびメチルメタクリレートのアニオン重合体を含む。
【0029】
経口投与のための好適な医薬化合物は個別の単位の形態、例えば各々が式Iの化合物の所定量を含有するカプセル、カシェ剤、チュワブル錠または錠剤;粉末または顆粒;水性または非水性の液体中の溶液または懸濁液;または水中油または油中水の乳濁液であってよい。これ等の組成物は既に記載したとおり、活性成分および担体(別の成分1つまたは1つより多くよりなるものであってよい)を接触させる工程を含む何れかの好適な薬学的方法により製造してよい。組成物は一般的には液体および/または微細分割固体の担体と共に活性成分を均一にそして均質に混合し、その後、生成物を必要に応じて形状化することにより製造される。即ち、例えば錠剤は、適宜、別の成分1つまたは1つより多くと共に化合物の粉末または顆粒を圧縮または成型することにより製造できる。圧縮錠剤は自由流動性の形態、例えば粉末または顆粒の化合物を、適宜、バインダー、滑剤、不活性希釈剤および/または界面活性剤/分散剤1つまたは1つより多くと混合して、適当な機器で錠剤化することにより製造できる。成型錠剤は粉末形態であり不活性液体希釈剤で湿潤化された化合物を適当な機器で成型することにより製造できる。
【0030】
口内(舌下)投与に適する医薬組成物はフレーバー剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントと共に式Iの化合物を含有するチュワブル錠およびゼラチンおよびグリセロールまたはスクロースおよびアラビアゴムのような不活性の基剤中に化合物を含むパスチル剤を含む。
【0031】
非経腸投与に適する医薬組成物は好ましくは式Iの化合物の滅菌水性調製物であり、これは好ましくは意図するレシピエントの血液と等張である。これ等の調製物は好ましくは静脈内に投与されるが、投与はまた皮下、筋肉内または皮内注射により行ってもよい。これ等の製剤は好ましくは化合物を水と混合し、得られた溶液を滅菌および血液と等張とすることにより製造できる。本発明の注射用組成物は一般的には活性化合物0.1〜5重量%を含有する。
【0032】
直腸投与に適する医薬組成物は好ましくは単回用量の坐剤の形態である。これは式Iの化合物を従来の固体担体1つまたはそれ以上、例えばカカオ脂と混合し、得られた混合物を形状化することにより製造できる。
【0033】
皮膚に対して局所使用するために適する医薬組成物は好ましくは軟膏、クリーム、ローション、ペースト、スプレー、エアロゾルまたはオイルの形態である。使用できる単体はワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコールおよびこれ等の物質2種以上の組み合わせである。活性成分は一般的には組成物の0.1〜15重量%、例えば0.5〜2%の濃度で存在する。
【0034】
経皮投与も可能である。経皮使用に適する医薬組成物は患者の表皮との長期間の密着に適する単一のプラスターの形態であることができる。このようなプラスターは適宜緩衝され、接着剤中に溶解および/または分散または重合体中に分散された水溶液中の活性成分を含有することが適当である。好適な活性成分濃度は約1〜35%、好ましくは約3〜15%である。活性成分を例えばParmaceutical Research,2(6):318(1986)に記載の通り電子輸送またはイオントフォレシスにより放出させることも特に可能である。
【0035】
本発明は更に方法A〜Fの下記反応スキームに従って得ることができる式Iの化合物の製造方法に関する。
【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
【化7】

【0040】
【化8】

【0041】
【化9】

【0042】
方法A〜Fに記載したスキームは自己説明性のものであり、即ち当業者が実施できるものである。しかしなお、より詳細には実験の部に記載する。実施例1〜24の化合物は方法A〜Fにより得られた。式Iの他の化合物も相応に、または知られた方法により得ることができる。
式Iの化合物は他の活性成分と組み合わせて投与することもできる。
【0043】
複合製品に適する更に別の活性成分は:
Rote Liste 2001, chapter12に記載されている全ての抗糖尿
病剤。これ等は特に作用の相乗的向上のために本発明の式Iの化合物と組み合わせてよい。活性成分複合物の投与は患者への活性成分の個別の投与によるか、または、複数の活性成分が1つの薬学的調製物中に存在する複合製品の形態のいずれかで行ってよい。以下に列挙する活性成分の大部分はUSP Dictionary of USAN and International Drug Names, US Pharmacopei
a,Rockville 2001に記載されている。
【0044】
抗糖尿病剤はインスリンおよびインスリン誘導物は、例えばLantus(R)(www.lantus.com参照)またはHMR1964、即効性インスリン(米国特許6,221,633参照)、GLP−1誘導体、例えばNovoNordiskA/SのWO98/08871に開示されているものおよび経口有効血糖降下活性成分を包含する。
【0045】
経口有効血糖降下活性成分は、好ましくは、スルホニル尿素、ビグアニジン、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、グルコシダーゼ阻害剤、グルカ
ゴン拮抗剤、GLP−1アゴニスト、カリウムチャンネルオープナー、例えばNovoNordiskA/SのWO97/26265およびWO99/03861に開示されているもの、インスリン感作剤、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝酵素の阻害剤、グルコース取り込みのモジュレーター、脂質代謝を改変する化合物、例えば抗高脂血活性成分および抗脂血活性成分、食物摂取を抑制する化合物、PPARおよびPXRアゴニストおよびベータ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する活性成分を包含する。
【0046】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をHMGCoA還元酵素阻害剤、例えば、シムバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、アトロバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチンと組み合わせて投与する。
【0047】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をコレステロール吸収抑制剤、例えばエゼチミブ、チケシド、パマケシドと組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をPPARガンマアゴニスト、例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン、JTT−501、GI262570と組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をPPARアルファアゴニスト、例えばGW9578、GW7647と組み合わせて投与する。
【0048】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をPPARアルファ/ガンマアゴニスト、例えばGW1536、AVE8042、AVE8134、AVE0847、AVE0897またはWO00/64888、WO00/64876、WO03/20269に記載のものと組み合わせて投与する。
【0049】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をフィブレート類、例えばフェノフィブレート、クロフィブレート、ベンザフィブレートと組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をMTP阻害剤、例えばイムプリタピド、BMS−201038、R−103757と組み合わせて投与する。
【0050】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物を胆汁酸吸収抑制剤(例えば米国特許6,245,744号または6,221,897号参照)、例えばHMR1741と組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をCETP阻害剤、例えばJTT−705と組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物を重合体胆汁酸吸着剤、例えばコレスチルアミン、コレセベラムと組み合わせて投与する。
【0051】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をLDL受容体誘導剤(米国特許6,342,512号参照)、例えばHMR1171、HMR1586と組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をACAT阻害剤、例えばアバシマイブと組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物を抗酸化剤、例えばOPC−14117と組み合わせて投与する。
【0052】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をリポ蛋白リパーゼ阻害剤、例えばNO−1886と組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をATPシトレートリアーゼ阻害剤、例えばSB−204990と組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をスクワレン合成酵素阻害剤、例えばBMS−188494と組み合わせて投与する。
【0053】
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をリポ蛋白拮抗剤、例えばCI−1027またはニコチン酸と組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をリパーゼ阻害剤、例えばオルリスタットと組み合わせて投与する。
本発明の1つの実施形態においては、式Iの化合物をインスリンと組み合わせて投与する。
【0054】
1つの実施形態においては、式Iの化合物をスルホニル尿素、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジドまたはグリメピリドと組み合わせて投与する。
1つの実施形態においては、式Iの化合物をビグアニド類、例えばメトホルミンと組み合わせて投与する。
別の1つの実施形態においては、式Iの化合物をメグリチニド類、例えばレパグリニドと組み合わせて投与する。
【0055】
1つの実施形態においては、式Iの化合物をチアゾリジンジオン類、例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンまたはDr.Reddy’s Research FoundationのWO97/41097に開示されている化合物、特に5−[[4−[(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソ−2−キナゾリニルメトキシ]フェニル]メチル]−2,4−チアゾリジンジオンと組み合わせて投与する。
【0056】
1つの実施形態においては、式Iの化合物をα−グルコシダーゼ阻害剤、例えばミグリトールまたはアカルボースと組み合わせて投与する。
1つの実施形態においては、式Iの化合物をベータ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに対して作用する活性成分、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリドまたはレパグリニドと組み合わせて投与する。
【0057】
1つの実施形態においては、式Iの化合物を上記した化合物の1つより多くと組み合わせて、例えば、スルホニル尿素およびメトホルミンと、スルホニル尿素およびアカルボースと、レパグリニドおよびメトホルミンと、インスリンおよびスルホニル尿素と、インスリンおよびメトホルミンと、インスリンおよびトログリタゾンと、インスリンおよびロバスタチンと組み合わせるなどして投与する。
【0058】
別の実施形態においては式Iの化合物はCARTモジュレーター(“Cocaine−amphetamine−regulated transcript influences energy metabolism,anxiety and gastric emptying in mice”,Asakawa,A.et al.,M.:
Hormone and Metabolic Research (2001),33(9),554−558参照)、NPY拮抗剤、例えばナフタレン−1−スルホン酸{4−[(4−アミノキナゾリン−2−イルアミノ)メチル]−シクロヘキシルメチル}アミド;塩酸塩(CGP71683A))、MC4アゴニスト(例えば1−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸[2−(3a−ベンジル−2−メチル−3−オキソ−2,3,3a,4,6,7−ヘキサヒドロピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル)−1−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−アミド;(WO01/91752))、オレキシン拮抗剤(例えば1−(2−メチルベンゾオキサゾール−6−イル)−3−[1,5]ナフチリジン−4−イル尿素;塩酸塩(SB−334867−A))、H3アゴニスト(3−シクロヘキシル−1−(4,4−ジメチル−1,4,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−イル)プロパン−1−オンシュウ酸塩(WO00/63208));TNFアゴニスト、CRF拮抗剤(例えば[2−メチル−9−(2,4,6−トリメチルフェニル)−9H−1,3,9−トリアザフルオレン−4−イル]ジプロピルアミン(WO00/66585))、CRFBP拮抗剤(例えばウロコルチン)、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト(例えば1−(4−クロロ−3−メタンスルホニルメチルフェニル)−2−[2−(2,3−ジメチル−1H−インドール−6−イルオキシ)エチルアミノ]−エタノール塩酸塩(WO01/83451))、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、CCK−Aアゴニスト(例えば{2−[4−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−5−(2−シクロヘキシル−エチル)チアゾール−2−イルカルバモイル]−5,7−ジメチルインドール−1−イル}酢酸トリフルオロ酢酸塩(WO99/15525))、セロトニン再取り込み阻害剤(例えばデキスフェンフルラミン)、混合型のセロトニン作用性およびノルアドレナリン作用性の化合物(例えばWO00/71549)、5HTアゴニスト、例えば1−(3−エチルベンゾフラン−7−イル)ピペラジンシュウ酸塩(WO01/09111)、ボンベシンアゴニスト、ガラニン拮抗剤、成長ホルモン(例えばヒト成長ホルモン)、成長ホルモン放出化合物(6−ベンジルオキシ−1−(2−ジイソプロピルアミノエチルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸t−ブチルエステル(WO01/85695))、TRHアゴニスト(例えばEP0462884参照)脱カップリング蛋白2または3モジュレーター、レプチンアゴニスト(例えばLee,Daniel W.;Leinung,Matthew C,;Rozhavsjaya−Arena,Marina;Grasso,Patricia.Leptin agonist as a potential approach to the treatment of obesity. Drugs of the Future (2001),26(9),873−881)、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤(例えばWO00/40569)、PPARモジュレーター(例えばWO00/78312)、RXRモジュレーターまたはTR−βアゴニストと共に投与する。
【0059】
本発明の1つの実施形態においては、他の活性成分はレプチンであり;例えば“Perspectives in the therapeutic use of leptin”,Salvador,Javier;Gomez−Ambrosi,Javier;Fruhbeck,Gema,Expert Opinion on Pharmacotherapy(2001),2(10),1615−1622を参照できる。
【0060】
1つの実施形態においては、他の活性成分はデキスアンフェタミンまたはアンフェタミンである。
1つの実施形態においては、他の活性成分はフェンフルラミンまたはデキスフェンフルラミンである。
別の実施形態においては、他の活性成分はシブトラミンである。
【0061】
1つの実施形態においては、他の活性成分はオルリスタットである。
1つの実施形態においては、他の活性成分はマジンドールまたはフェンテルミンである。
【0062】
1つの実施形態においては、式Iの化合物は増量剤、好ましくは不溶性の増量剤(例えばイナゴマメ/Caromax(R)(Zunft H J;et al.,Carob pulp preparation for treatment of hypercholesterolemia,ADVANCES IN THERAPY(2001 Sep−Oct),18(5),230−6)参照)と共に処方される。CaromaxはNutrinova,Nutrition Specialties&Food Ingredients GmbH,Industriepark Hochst,65926 Frankfurt/Mainのイナゴマメ含有製品である。Caromax(R) との組み合わせは1つの調製物中、または、式Iの化合物およびCaromax(R) の個別投与が可能である。Caromax(R) はこの点に関し、食品、例えばベーカリー食品またはミューズリーバーの形態で投与することもできる。
【0063】
本発明の化合物と上記した化合物1つまたは1つより多く、および、場合により他の薬理学的活性物質1つまたは1つより多くの各々の好適な組み合わせは本発明により与えられる保護の範囲内に属するものとみなされる。
【0064】
【化10】

【0065】
以下に詳述する実施例は本発明を説明するためのものであるが、これを制限するものではない。
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
式Iの化合物は、グルコース代謝に対する有益な作用を特徴としており;特にこれらは血中グルコース濃度を低下させ、1型及び2型の糖尿病の治療に有用である。従って化合物は単独で、または、他の血中グルコース低下活性成分(抗糖尿病剤)と組み合わせて使用できる。
【0068】
式Iの化合物は更に糖尿病性の遅発性の損傷、例えば腎症、網膜症、神経症及びX症候群、肥満、心筋梗塞、末梢動脈閉塞症、血栓症、動脈硬化症、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患、例えばAIDS、喘息、骨粗鬆症、癌、乾癬、アルツハイマー病、分裂症及び感染性疾患の予防及び治療に適しており、1型及び2型の糖尿病の治療及び糖尿病原因の遅発性の損傷、X症候群及び肥満の予防及び治療に適している。
化合物の活性は以下の通り試験した。
【0069】
ウサギ、ラット及びブタの小腸からの刷子縁膜小胞の調製
小腸の腸細胞からの刷子縁膜小胞の調製はいわゆるMg2+沈殿法により実施した。小腸の粘膜を掻き取り、氷冷Tris/HCl緩衝液(pH7.1)/300mMマンニトール、5mM EGTA 60ml中に懸濁した。氷冷蒸留水300mlで希釈した後、氷冷しながら2×1分、最大出力の75%でUltraurrax(18シャフト、IKA Werk Staufen,FRG)を用いてホモジナイズした。1M MgCl2溶液3mlを添加(終濃度10mM)した後、混合物を厳密に15分間0℃で放置した。mg2+を添加することにより細胞膜が凝集し、刷子縁膜を除いて沈殿した。3000×g(5000rpm、SS−34ローター)で15分間遠心分離した後、沈殿を廃棄し、刷子縁膜を含有する上澄みを26700×g(15000rpm、SS−34ローター)で30分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、沈殿をPotter Elvejhemホモジナイザー(Braun,Melsungen,900rpm,10ストローク)を用いて12mM Tris/HCl緩衝液(pH7.1)/60mMマンニトール、5mM EGTA 60ml中で再ホモジナイズした。1M MgCl2溶液0.1mlを添加し15分間0℃でインキュベートした後、再度3000×gで15分間遠心分離した。次に上澄みを再度46000×g(20000rpm、SS−34ローター)で30分間遠心分離した。沈殿を20mM Tris/Hepes緩衝液(pH7.4)/280mMマンニトール30ml中に回収し、そして1000rpmでPotter Elvejhemホモジナイザー中20ストロークにより均質に再懸濁した。48000×g(20000rpm、SS−34ローター)で30分間遠心分離した後、沈殿をTris/Hepes緩衝液(pH7.4)/280mMマンニトール0.5〜2ml(終濃度20mg/ml)に取り込み(taken-up)、27ゲージ針のツベルクリンシリンジを用いて再懸濁した。小胞は標識または輸送試験のために調製後直接使用するか、または、液体窒素中に4mgづつ−196℃で保存した。
【0070】
ラット小腸から刷子縁膜小胞を調製するために、6〜10雄性Wistarラット(Kastengrund、Aventis Pharmaで飼育)を断首により屠殺し、小腸を摘出し、冷等張性食塩水ですすいだ。腸を切断し、粘膜を掻き取った。刷子縁膜を単離するための操作は上記のとおり行った。細胞骨格画分を除去するために、ラット小腸の刷子縁膜小胞をカオトロピズムイオンとしてKSCNで処理した。
【0071】
ウサギ小腸から刷子縁膜を調製するために、塩酸テトラカイン2.5mg、m−ブトラミド100mg及びヨウ化メベゾニウム25mgの水溶液0.5mlを静脈内注射してウサギを屠殺した。小腸を摘出し、氷冷生理食塩水ですすぎ、−80℃の窒素下プラスチック袋中で凍結し、4〜12週間保存した。膜小胞の調製のために、凍結した腸を水浴中30℃で解凍し、次に粘膜を掻き取った。膜小胞を得るための操作は上記と同様に行った。
【0072】
ブタ腸から刷子縁膜小胞を調製するために、新規屠殺ブタより採取した空腸の断片を氷冷等張性食塩水ですすぎ、−80℃窒素下にプラスチック袋中で凍結した。膜小胞の調製は上記のとおり行った。
【0073】
ラット腎皮質からの刷子縁膜小胞の調製
刷子縁膜小胞はBiber等の方法によりラット腎臓の皮質から調製した。ラット6〜
8匹(200g〜250g)の腎臓を摘出し、約1mmの厚みの層として各腎臓から皮質を切り出した。腎臓を氷冷12mM Tris/HCl緩衝液(pH7.4)/300mMマンニトール30ml中に回収し、そして氷冷しながら4×30秒間Ultraturraxシャフト(180Vレベル)を用いてホモジナイズした。氷冷蒸留水42mlを添加し、その後1M MgCl2溶液850μlを添加した。15分間0℃でインキュベートした後、4500rpm(Sorvall SS−34ローター)で15分間遠心分離した。沈殿を廃棄し、上澄みを16000rpmで30分間遠心分離した。Potter Elvejhemホモジナイザー(900rmp)中10ストロークにより6mM Tris/HCl緩衝液(pH7.4)/150mMマンニトール/2.5mM EGTA 60ml中に沈殿を再懸濁し、1M MgCl2溶液720μlを添加し、その後、15分間0℃でインキュベートした。4500rpm(SS−34ローター)で15分間遠心分離した後に得られた上澄みを16000rpmで30分間遠心分離した。上澄みを20mM Tris/Hepes緩衝液(pH7.4)/280mMマンニトール60ml中10ストロークによりホモゲナイズし、得られた懸濁液を20000rpmで30分間遠心分離した。沈殿を20mM Tris/HCl緩衝液(pH7.4)/280mMマンニトール中に27ゲージ針のツベルクリンシリンジを用いて再懸濁し、蛋白濃度を20mg/mlに調節した。
【0074】
刷子縁膜小胞によるグルコース取り込みの測定
14C]標識グルコースの刷子縁膜小胞への取り込みを、膜濾過法を用いて測定した。10mM Tris/Hepes緩衝液(pH7.4)/300mMマンニトール中の刷子縁膜小胞懸濁液10μlを30℃において、10mM Tris/Hepes緩衝液(pH7.4)/100mM NaCl/100mMマンニトール中10μM[14C]Dグルコース及び適切な濃度の該当する阻害剤(5〜200μM)の溶液90μlに添加した。
【0075】
15秒間インキュベートした後、氷冷停止溶液(10mM Tris/Hepes緩衝液(pH7.4)/150mM KCl)1mlを添加することにより輸送過程を停止し、そして、小胞の懸濁液を25〜35mbarの真空下に硝酸セルロースメンブレンフィルター(0.45μm、25mm直径、Schleicher&Schuell)を通して即時に吸引濾過した。フィルターを氷冷停止溶液5mlで洗浄した。各測定は2連または3連で行った。放射標識基質の取り込みを測定するために、メンブレンフィルターを適切なシンチレーター(Quickszint361,Zinsser Analytik GmbH,Frankfurt am Main)4mlに溶解し、放射能を液体シンチレーション測定により求めた。標準試料を用いた機器のカリブレーションの後、そして、化学ルミネセンスがある場合はこれを補正した後、dpm(分当たり崩壊)として測定値を得た。
【0076】
選択された物質に対するウサギ小腸刷子縁膜小胞に対する輸送試験において得られたIC25データに基づいて、活性成分の活性を比較した。(絶対値は種依存性及び実験依存性であると考えられる。)
実施例番号 IC50[μM]
ホロリジン 16
1 0.5
2 0.7
4 1.5
5 0.4
7 0.9
種々の実施例の調製は以下に詳述するとおりであり、そして式Iの他の化合物も同様に得られている。
【0077】
〔実験の部〕
反応スキーム:α−ブロモグリコシドの合成
【化11】

【0078】
1−ブロモ−4−デオキシ−4−フルオロ−2,3,6−トリ−O−アセチル−アルファ−D−グルコース(2)
【化12】

4−デオキシ−4−フルオロ−D−グルコピラノース1(Apollo)5g(27.5ミリモル)をピリジン50mlおよび無水酢酸50mlに懸濁した。反応溶液を4時間45℃でで攪拌した。これにより透明な反応溶液が得られ、これを次に濃縮した。粗生成物12gを得た。この粗生成物を氷酢酸中33%濃度のHBr160ml中に溶解し、2時間室温で攪拌した。次に反応溶液を氷300gおよび酢酸エチル300mlの混合物中に注ぎ込んだ。有機層を更に2回NaCl水溶液で洗浄し、少量のシリカゲルで濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1/1)で分離した。8.19g(2段階に渡り80%)の物質2を淡黄色固体として得た。
【0079】
1−ブロモ−4−デオキシ−4−フルオロ−2,3,6−トリ−O−アセチル−アルファ−D−ガラクトース(4)
【化13】

物質(3)100mg(0.55ミリモル)を化合物2の製造と同様にしてピリジン3.5mlおよび無水酢酸3.5mlと反応させた。物質(4)89mg(44%)を非晶質固体として得た。
【0080】
1−ブロモ−3−デオキシ−3−フルオロ−2,4,6−トリ−O−アセチル−アルファ−D−ガラクトース(6)
【化14】

物質(5)335mg(1.84ミリモル)を化合物2の製造と同様にしてピリジン10mlおよび無水酢酸10mlと反応させた。物質(6)628mg(92%)を非晶質固体として得た。
【0081】
【化15】

【0082】
以下の物質を同様の方法で製造した。
【化16】

【0083】
実施例1(化合物9)
【化17】

2−(4−メトキシベンジル)フェノール(7)100mg(0.47ミリモル)およびブロミド(2)370mg(1.17ミリモル)を塩化メチレン6mlに溶解した。この溶液に順次、Bu3BnNCl(PTC=相転移触媒)160mg、K2CO3320mgおよび水0.4mlを添加し、次にこれを20時間室温で攪拌した。反応溶液を酢酸エチル20mlで稀釈し、シリカゲルで濾過した。濾液を濃縮し、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1/1)で分離した。物質(8)72mgが無色固体として得られた。得られた物質(8)72mgをメタノール4mlに取り込みし、1NのNaOMe/MeOH 1mlを添加した。1時間後、混合物をメタノール性HClで中和して濃縮し、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール/濃アンモニア、30/5/1)で分離した。物質(9)29mgを無色固体として得た。C2023FO6(378.40)MS(ESI-)423.22(M+CHO2-)。
【0084】
実施例2(化合物10)
【化18】

2−ベンジルフェノール100mg(0.47ミリモル)およびブロミド(2)370mg(1.17ミリモル)を化合物9の合成と同様にして反応させ、そして物質(10)31mgを無色固体として得た。C1921FO5(348.37)MS(ESI-)393.15(M+CHO2-)。
【0085】
実施例3(化合物11)
【化19】

2−(4−メトキシベンジル)フェノール(7)200mg(0.94ミリモル)およびブロミド(4)200mg(0.63ミリモル)を化合物9の合成と同様にして反応させ、そして物質(11)110mgを無色固体として得た。C2023FO6(378.40)MS(ESI-)423.22(M+CHO2-)。
【0086】
【化20】

【0087】
以下の物質を同様の方法で製造した。
【化21】

【0088】
実施例4(化合物14)
【化22】

3−ベンゾフラン−5−イル−1−(2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)プロパン−1−オン(12)90mg(0.30ミリモル)およびブロミド(2)280mg(0.76ミリモル)を化合物8の合成と同様にして反応させ、そして、粗生成物として得られた物質(13)400mgを直接、グリコシド(9)の合成と同様にしてNaOMe/MeOHで脱保護した。物質(14)75mg(2段階に渡り54%)を無色固体として得た。C2425FO8(460.46)MS(ESI-)459.03(M−H+)。
【0089】
実施例5(化合物15)
【化23】

3−ベンゾフラン−5−イル−1−(2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)プロパン−1−オン(12)100mg(0.33ミリモル)およびブロミド(4)150mg(0.40ミリモル)を化合物14の合成と同様にして反応させ、そして物質(15)75mgを無色固体として得た。C2425FO8(460.46)MS(ESI-)459.03(M−H+)。
【0090】
実施例6(化合物16)
【化24】

3−(2,3−ジヒドロキシベンゾフラン−5−イル−1−(2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)プロパン−1−オン150mg(0.5ミリモル)およびブロミド(4)150mg(0.40ミリモル)を化合物14の合成と同様にして反応させ、そして物質(16)75mgを無色固体として得た。C2427FO8(462.46)MS(ESI-)461.03(M−H+)。
【0091】
【化25】

【0092】
以下の物質を同様の方法で製造した。
【化26】

【0093】
実施例7(化合物20)
【化27】

1−(2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタノン(17)1.0g(6.0ミリモル)およびブロミド(2)1.0g(2.7ミリモル)を塩化メチレン30ml中に溶解した。この溶液に順次、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム(PTC)800mg、炭酸カリウム1.6gおよび水1.5mlを添加し、その間はげしく攪拌した。この懸濁液を18時間遮光下(アルミホイル)に攪拌し、次に酢酸エチル150mlおよびn−ヘプタン150mlで希釈した。固体成分を少量のシリカゲルで濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1/2)で分離した。物質(18)430mgを淡黄色固体として得た(同様に移行する副生成物から分離が困難であり、従って、純度は僅か約50%であった。副生成物は次の段階で容易に除去できた)。C212510F(456.43)MS(ESI-)455.25(M−H+)。
【0094】
【化28】

化合物(18)(約50%純度)200mgおよびアニスアルデヒド(Fluka)225mgをメタノール10ml中に溶解した。1NのNaOMe/MeOH溶液5mlを添加した後、反応溶液を12時間還流下に煮沸した。反応溶液をメタノール性HClで中和し、濃縮し、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール/濃アンモニア、30/5/1)で分離した。物質(19)60mgを黄色固体として得た。
【0095】
【化29】

カルコン(19)60mg(0.13ミリモル)およびPd/C(10%Pd)50mgをメタノール15mlに懸濁し、5時間室温で5barの水素雰囲気下に水素化した。反応溶液を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール/濃アンモニア、30/5/1)で精製した。白色非晶質固体として物質(20)25mg(42%)を得た。C2327FO8(424.47)MS(ESI-)449.17(M−H+)。
【0096】
実施例8(化合物21)
【化30】

化合物(18)(約50%純度)200mgおよびp−ベンジルオキシベンズアルデヒド(Fluka)350mgを化合物20の合成と同様にして反応させた。物質(21)36mgを無色固体として得た。C2225FO8(436.44)MS(ESI-)481.08(M+CHO2-)。
【0097】
【化31】

【0098】
実施例9(化合物27)
【化32】

ブロミド(2)350mg、フェノール(22)100mgおよびp−ベンジルオキシベンズアルデヒド(Fluka)350mgを化合物21の合成と同様にして反応させた。物質(27)40mgを無色固体として得た。C2123FO9(438.41)MS(ESI-)483.15(M+CHO2-)。
【0099】
実施例10(化合物28)
【化33】

ブロミド(4)110mg、フェノール(22)80mgおよびp−ベンジルオキシベンズアルデヒド(Fluka)350mgを化合物21の合成と同様にして反応させた。物質(28)50mgを無色固体として得た。C2123FO9(438.41)MS(ESI-)483.15(M+CHO2-)。
【0100】
【化34】

【0101】
実施例11(化合物30)
【化35】

ブロミド(2)200mgおよびフェノール(29)300mgを化合物14の合成と同様にして反応させた。物質(30)40mgを無色固体として得た。C2124FNO8(437.43)MS(ESI-)482.15(M+CHO2-)。
【0102】
実施例12(化合物31)
【化36】

ブロミド(4)200mgおよびフェノール(29)300mgを化合物14の合成と同様にして反応させた。物質(31)115mgを無色固体として得た。C2124FNO8(437.43)MS(ESI-)482.15(M+CHO2-)。
【0103】
【化37】

【0104】
実施例13(化合物33)
【化38】

ブロミド(2)200mgおよびフェノール(32)300mgを化合物14の合成と同様にして反応させた。物質(33)80mgを無色固体として得た。C2226FNO8(451.45)MS(ESI-)496.17(M+CHO2-)。
【0105】
実施例14(化合物34)
【化39】

ブロミド(4)200mgおよびフェノール(32)300mgを化合物14の合成と同様にして反応させた。物質(34)130mgを無色固体として得た。C2124FNO8(451.45)MS(ESI-)496.15(M+CHO2-)。
【化40】

【0106】
1−(2,6−ビスベンジルオキシ−4−メチルフェニル)エタノン(36)
【化41】

1−(2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタノン(35)1.62g(9.75ミリモル)をジメチルホルムアミド30ml中に溶解し、そして、ベンジルブロミド4.0ml(33.7ミリモル)および炭酸カリウム13.8g(100ミリモル)を添加した。反応混合物を3時間室温で攪拌した。その後、水を添加し酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。化合物(36)1.35g(40%)を無色の結晶性生成物として得た。C23223(346.2)MS(ESI-)347.15(M+H+)。
【0107】
1−(2,6−ビスベンジルオキシ−4−メチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロペノン(37)
【化42】

1−(2,6−ビスベンジルオキシ−4−メチルフェニル)エタノン(36)3.46g(10ミリモル)をエタノール150mlに溶解し、そしてp−アニスアルデヒド1.3
4mlを添加した。次に水酸化カリウム水溶液7mlを滴加した。反応混合物を12時間室温で攪拌した。溶媒の半量をロータリーエバポレーターで蒸発させた。氷中で冷却しながら混合物を2M塩酸で中和し、次に3回水および酢酸エチルで抽出した。有機層をあわせ、塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濃縮した。単離された油状物は晶出した。結晶をジエチルエーテル中で攪拌し、吸引濾過し、乾燥した。化合物(37)4.3g(92%)を無色固体として得た。g/molC31284(464.2)MS(ESI-)465.10(M+H+)。
【0108】
1−(2,6−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1−オン(38)
【化43】

1−(2,6−ビスベンジルオキシ−4−メチルフェニル)エタノン(37)1.50g(3.23ミリモル)を酢酸エチル40mlに溶解し、そしてアルゴン雰囲気下、活性炭上10%パラジウム400mgを添加した。2時間室温で3bar下で水素化オートクレーブ中水素化を行った。次に触媒を濾去し、酢酸エチルで洗浄し、得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル/n−ヘプタン1:3)で精製した。生成物(38)(65%)600mgは無色固体として単離された。C17184286.3MS(ESI+):287.10(M+H+)。
【0109】
参考実施例7(化合物20)
【化44】

化合物(38)174.4mg(0.61ミリモル)をトルエン50mlに溶解し、ブロミド(60)340mg(0.61ミリモル)および炭酸カドミウム421mg(2.44ミリモル)を添加した。反応混合物を1時間、水トラップを用いて還流した。炭酸カドミウムを濾去し、得られた透明な溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物をメタノール25mlに懸濁し、0.5Mメタノール性NaOMe溶液5.0mlと混合し、そして12時間室温で攪拌した。反応溶液をメタノール性HClを添加することにより中和し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、EtOAc/ヘプタン1:4→1:1)で精製した。化合物(20)78.8mg(29%)を無色固体として得た。C2327FO8450.5MS(ESI+):473.15(M+Na+)。
【0110】
化合物40(実施例15)、41(実施例16)、42(実施例17)および43(実施例18)は類似の方法で製造した。
【化45】

【0111】
1−メトキシ−4−デオキシ−4,4−ジフルオロ−2,3,6−トリ−O−ベンジル−ア
ルファ−D−グルコース(45)
【化46】

1−メトキシ−2,3,6−トリ−O−ベンジル−α−D−グルコース(44)(Tetrahedron Asymmetry 11(2000)385−387)3.69g(7.9ミリモル)を塩化メチレン110mlに溶解し、そして、アルゴン雰囲気下、Dess−Martin剤(Aldrich)3.6g(8.5ミリモル)を滴加した。室温で3時間の後、混合物を酢酸エチル/n−ヘプタン(1:1)300mlで稀釈し、1回NaHCO3溶液で、そして1回Na223溶液で洗浄した。有機層をシリカゲルで濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン1:1)で分離した。ケトン2.9g(79%)を得た。後者を塩化メチレン30mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、BAST(Aldrich)4mlを滴加した。室温で20時間の後、混合物を酢酸エチル200mlで稀釈し、冷却NaHCO3溶液で慎重に(激しい発泡)洗浄した。有機層をシリカゲルで濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン1:1)で分離した。物質(45)2.6g(85%)を無色油状物として得た。
【0112】
4−デオキシ−4,4−ジフルオロ−1,2,3,6−テトラ−O−アセチル−アルファ−D−グルコース(46)
【化47】

物質(45)2.3g(4.7ミリモル)およびPd/C(10%Pd)2gをメタノール150mlおよび酢酸10mlに溶解し、16時間室温で水素5barの雰囲気下に水素化した。反応溶液を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール/濃アンモニア、30/5/1)により精製した。1−メトキシ−4−デオキシ−4,4−ジフルオロ−アルファ−D−グルコース850mg(83%)を白色非晶質固体として得た。C71225(214.17)MS(DCI):215.4(M+H+)。本物質700mg(3.3ミリモル)を酢酸3.5mlおよび無水酢酸6.3mlに溶解した。濃H2SO40.2mlを添加し、その後5時間60℃で攪拌した。次に反応溶液を氷30gおよび酢酸エチル30mlの混合物に注ぎ込んだ。有機層を更に2回NaCl水溶液で洗浄し、少量のシリカゲルで濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン1:1)で分離した。物質(46)300mg(25%)をアノマーの混合物として得た。C141829(368.29)MS(DCI):369.3(M+H+)。
【0113】
1−ブロモ−4−デオキシ−4,4−ジフルオロ−2,3,6−トリ−O−アセチル−アルファ−D−グルコース(47)
【化48】

テトラアセテート(46)300mg(0.8ミリモル)を氷酢酸中33%力価のHBr13mlに溶解し、6時間室温で放置した。次に反応溶液を氷10gおよび酢酸エチル10mlの混合物に注ぎ込んだ。有機層をNaCl水溶液で更に2回洗浄し、少量のシリカゲルで濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン1:1)で分離した。物質(47)112mg(35%)を無色固体として得た。C1215BrF27(389.15)MS(DCI):389.2(M+H+)。
【0114】
【化49】

【0115】
実施例19(化合物50)
【化50】

2−ベンジルフェノール(Aldrich)100mg(0.47ミリモル)およびジフルオロブロミド(47)40mg(0.10ミリモル)を化合物9の合成と同様にして反応させ、物質(50)21mgを無色固体として得た。C192025(366.37)MS(ESI-)411.15(M+CHO2-)。
【0116】
【化51】

【0117】
(4−メトキシフェニル)−(2−メトキシフェニル)メタノール(51)
【化52】

o−アニスアルデヒド1.5gをTHFに溶解し、0℃に冷却した。4−メトキシフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M)24.2mlを混合物に添加した。反応溶液を一夜室温で攪拌し、次に20%NH4Cl溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。
生成物2.63gが得られ、これを更に精製することなく使用した。C15163(244.29)MS(ESI+)227.05(M−OH)+
【0118】
(4−メトキシフェニル)−(2−メトキシフェニル)メタノン(52)
【化53】

(4−メトキシフェニル)(2−メトキシフェニル)メタノール(51)2.63gをジクロロメタンに溶解し、Dess−Martin試薬5.03gを添加した。混合物を2時間室温で攪拌した。次に20%Na2SO3およびNaHCO3溶液を添加し、そして混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機層をNaCl飽和溶液で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥した。溶液を真空下に濃縮し、カラム濾過により精製した。物質(52)2.61gを得た。C15143(242.28)MS(ESI+)243.04(M+H+)。
【0119】
Jones試薬を用いた酸化を代替として使用できる。
(4−メトキシフェニル)(2−メトキシフェニル)メタノール(51)155mgをアセトン10mlに溶解し、Jones試薬2mlを滴加した。室温で2時間の後、MTBエーテル50Lおよび水30mlを混合物に添加した。有機層を数回水で洗浄し、そして有機層をNaCl飽和溶液で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、蒸発乾固させた。この方法で得られた生成物(126mg)はその後の反応のために十分な純度を有していた。
【0120】
(2−ヒドロキシフェニル)(4−メトキシフェニル)メタノン(53)
【化54】

(4−メトキシフェニル)(2−メトキシフェニル)メタノン(52)2.61gをジクロロメタンに溶解した。混合物をアイスバス中で冷却し、3臭化ホウ素−ジメチルスルフィド複合体3.71gを添加した。混合物を室温に加温し、3時間攪拌放置した。次に氷水に注ぎ込むことにより反応を停止し、ジクロロメタン層を分離し、水層を酢酸エチルで数回抽出した。あわせた有機層を水および塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濃縮した。粗生成物を酢酸エチル/ヘプタンを用いながらシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。生成物1.26gを得た。C14123(228.25)M
S(DCI)229.2(M+H+)。
【0121】
2−(4−メトキシベンジル)フェノール(7)
【化55】

(2−ヒドロキシフェニル)(4−メトキシフェニル)メタノン0.78gをアセトニトリルに溶解し、0℃に冷却した。TMSCI 2mlを混合物に滴加し、次にナトリウムシアノボロハイドライド1gを添加した。混合物を3時間室温で攪拌した。反応溶液をジクロロメタンで稀釈し、セライトで濾過した。有機層を水および塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、真空下に濃縮した。粗生成物を酢酸エチル/ヘプタン(1/2)を用いてシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。所望の生成物0.72gを得た。C14143(214.27)MS(ESI+)232.20(M+NH4++
【0122】
【化56】

【0123】
(4−エチルフェニル)(2−メトキシフェニル)メタノール(54)
【化57】

o−アニスアルデヒド1.01gをTHFに溶解し、0℃に冷却した。4−エチルフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M)16.29mlを混合物に添加した。反応溶液を一夜室温で攪拌し、次に20%NH4Cl溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。生成物1.92gが得られ、これは、更に精製することなく使用できた。C16182(242.32)MS(ESI+)225.15(M−OH)+
【0124】
(4−エチルフェニル)(2−メトキシフェニル)メタン(55)
【化58】

(4−エチルフェニル)(2−メトキシフェニル)メタノール1.34gをアセトニトリルに溶解し、0℃に冷却した。ナトリウムシアノボロハイドライド1.50gを混合物に添加し、次に塩化トリメチルシリル3.00mlを添加した。混合物を一夜室温で攪拌した。反応溶液をセライトで濾過し、NaCl飽和溶液で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、濃縮した。粗生成物を酢酸エチル/ヘプタン(1/2)を用いながらシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した、生成物0.83gが得られた。C1618O(226.32)MS(DCI)227.4(M+H+)。
【0125】
2−(4−エチルベンジル)フェノール(56)
【化59】

(4−エチルフェニル)(2−メトキシフェニル)メタン(55)0.83gをジクロロメタンに溶解した。3臭化ホウ素(CH2Cl2中1M)11.0mlを混合物に滴加した。混合物を5時間室温で攪拌し、水を添加した後、ジクロロメタン層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびNaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濃縮した。粗生成物として得られた0.77gはクロマトグラフィーにより精製できた。C1516O(212.29)MS(ESI):235.20(M+Na+)。
【0126】
【化60】

【0127】
メチル2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(58)
【化61】

メチル2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシド(57)(Reist et al., J. Org.Chem.1965,30,2312)3gをジクロロメタンに導入し、−30℃に冷却した。次に3フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]イオウ(BAST)3.06mlを滴加した。反応溶液を室温に加温し、一夜攪拌した。混合物をジクロロメタンで稀釈し、有機層をH2O、NaHCO3溶液およびNaCl飽和溶液で抽出した。有機層をNa2SO4上に乾燥し、濃縮した。粗生成物を酢酸エチルおよびヘプタンから晶出させた。物質(58)1.95gを無色固体として得た。C2825FO8(508.51)MS(ESI+)526.18(M+NH4+)。あるいは、反応はまた3フッ化ジエチルアミノイオウ(DAST)2.8当量を用いて行うこともでき;この場合、添加後に反応溶液を18時間還流する。後処理は上記と同様に行う。
【0128】
1−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシグルコース(59)
【化62】

メチル2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシ−α−D−グルコピラノシド(58)12gを無水酢酸150mlに懸濁した。濃硫酸8.4mlを氷酢酸150mlと混合し、氷冷しながら混合物に添加した。混合物を60時間室温で攪拌した。混合物をNaHCO3溶液に注ぎ込み、この溶液をジクロロメタンで抽出した。有機層をNaCl溶液で抽出し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残留物を酢酸エチル/ヘプタンから再結晶した。生成物5.97gは無色固体として得られた。C2925FO9(536.52)MS(ESI+)554.15(M+NH4+)。
【0129】
2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシグルコシルブロミド(60)
【化63】

1−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシグルコース1.44gを氷酢酸中臭化水素酸(33%)20mlに溶解し、室温で攪拌した。5時間後、混合物を氷水に注ぎ込み、水層をジクロロメタンで3回抽出した。あわせた有機層を塩化ナトリウム飽和溶液で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、蒸発乾固させた。粗生成物を酢酸エチル/ヘプタン70:30を用いながらシリカゲルカラムを通して濾過した。生成物1.40gを固体として得た。C2722BrFO7(557.37)MS(ESI+)574.05/576.05(M+NH4+)。
【0130】
【化64】

【0131】
2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシグルコース(61)
【化65】

1−O−アセチル−2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシグルコース1.69gをジクロロメタンに溶解した。この溶液にヒドラジン水和物173μLを添加した。16時間後、反応溶液をジクロロメタンおよびH2Oの間に分配した。有機層をNaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、蒸発乾固させた。粗生成物をカラム濾過により精製した。所望の生成物1.22gを得た。C2723FO8(494.48)MS(ESI+):512.15(M+NH4+)。
【0132】
化合物62
【化66】

乾燥ジクロロメタン2ml中の2−(4−エチルベンジル)フェノール(56)248mg、2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−4−フルオロ−4−デオキシグルコース(61)550mgおよびトリフェニルホスフィン335mgをアルゴン下に0℃に冷却した。ジエチルアゾジカルボキシレート0.193mlをゆっくり滴加した。この溶液を室温とし、一夜攪拌した。次に溶液をジクロロメタンで稀釈し、水、0.5M NaOHおよびNaCl飽和溶液で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上に乾燥し、真空下に濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル3:1)で精製した。所望の生成物200mgを得た。C4237FO8(688.76)MS(ESI):706.30(M+NH4+)。
【0133】
実施例20(化合物63)
【化67】

物質(62)200mgを無水メタノール10mlに取り込み、ナトリウムメタノレート溶液(メタノールml当りナトリウムメタノレート10mg)1mlを添加した。溶液を8時間攪拌した。Amberlyst15(H+型)を添加することによりナトリウムを除去し、イオン交換物質を濾去し、残留物を十分洗浄した。得られた生成物をシリカゲル濾過(ジクロロメタン:メタノール96:4)により精製した。所望の生成物56mgを得た。C2125FO5(376.43)MS(ESI):394.25(M+NH4+)。
【0134】
以下の実施例は適切なアグリコンを用いながら実施例20と同様の方法で製造した。
【化68】

【0135】
適切なアグリコンは例えば化合物7または56に関して記載した方法により得ることができる。
【化69】

【0136】
1−[4−(2−メトキシフェノキシ)フェニル]エタノン(69)
【化70】

グアイアコール(67)0.15ml、4−フルオロアセトフェノン(68)167mgおよび炭酸カリウム335mgを10分間電子レンジ中170℃でジメチルスルホキシド5ml中で加熱した。反応溶液を水に注ぎ込み、エマルジョンをエチルt−ブチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機層を1N NaOHで2回、そしてNaCl飽和溶液で1回抽出し、乾燥し、真空下に濃縮した。所望の生成物240mgを得た。C15143(242.28)MS(ESI):215.10(M+H+)。
【0137】
2−(4−エチルフェノキシ)メトキシベンゼン(70)
【化71】

1−[4−(2−メトキシフェノキシ)フェニル]エタノン(69)960mgをアセトニトリル20mlに溶解し、アイスバス中で冷却し、そしてナトリウムシアノボロハイドライド1.05gおよびトリメチルシリルクロリド2.01mlを添加した。1時間後、混合物をジクロロメタンで稀釈し、セライトで濾過し、有機層を塩化ナトリウム溶液で抽出し、硫酸ナトリウム上に乾燥し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル7:1)で精製した。所望の生成物710mgを得た。C15162(228.29)MS(ESI):246.20(M+NH4+)。
【0138】
2−(4−エチルフェノキシ)フェノール(71)
【化72】

2−(4−エチルフェノキシ)メトキシベンゼン(70)710mgを無水ジクロロメタン5mlに溶解した。3臭化ホウ素(1Mジクロロメタン)0.6mlを滴加し、溶液を6時間攪拌した。更にBBr3を添加し、LCMSで反応がほぼ終了するまで混合物を攪拌した。溶液を氷水中に入れ、有機層を分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を乾燥し、蒸発乾固させ、クロマトグラフィーで精製した。所望の生成物450mgを得た。C14142(214.27)MS(ESI):215.10(M+H+)。
【0139】
化合物72
【化73】

化合物(61)(466mg)およびフェノール(71)(242mg)を化合物(62)の合成と同様にして反応させた。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル4:1)で精製した。所望の生成物240mgを得た。C4135FO9(690.73)MS(ESI):708.25(M+NH4+)。
【0140】
実施例24(化合物39)
【化74】

化合物(72)230mgを実施例20の遊離と同様にしてナトリウムメタノレートと反応させた。化合物はシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール96:4)で精製した。所望の生成物119mgを得た。C2023FO6(378.40)MS(ESI):396.15(M+NH4+)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】

で表わされる化合物、および薬学的に許容されるその塩。
式中、
R1、R2がOH、FまたはHであるか、またはR1およびR2がFであるが、R1がF、R2がOH、およびR1がOH、R2がF、およびR1、R2がOHの3通りの組み合わせは除外され;
R3はOHまたはFであり、ここでR1、R2、R3基の少なくとも1つはFでなければならず;
AはO、NH、CH2、Sまたは結合であり;
R4、R5、R6は、
水素、F、Cl、Br、I、OH、NO2、CN、COOH、CO(C1−C6)−アルキル、COO(C1−C6)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C6)−アルコキシ、HO(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキル、フェニル、ベンジルであり、アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるもの、
SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)−アルキル、SO2N[(C1−C6)−アルキル]2、S−(C1−C6)−アルキル、S−(CH2o−フェニル、SO−(C1−C6)−アルキル、SO−(CH2o−フェニル、SO2−(C1−C6)−アルキル、SO2−(CH2−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル基は2回までF、Cl、Br、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、O−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル、NH2で置換されていてよいもの、
NH2、NH−(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、NH(C1−C7)−アシル、フェニル、O−(CH2o−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル環は1〜3回F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、O−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル、NH2、NH(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、SO2−CH3、COOH、COO−(C1−C6)−アルキル、CONH2で置換されていてよいもの、
であり;
Bは(C0−C15)−アルカンジイルであり、アルカンジイル基内のC原子1つまたはそれ以上は相互に独立して−O−、−(C=O)−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−CH(OH)−、−CHF−、−CF2−、−(S=O)−、−(SO2)−、−N((C1−C6)−アルキル)−、−N((C1−C6)−アルキル−フェニル)−または−NH−で置き換えられていることができ;
nは0〜4の数であり;
Cyc1は3〜7員の飽和、部分飽和または不飽和の環であり、ここでC原子1つはO、NまたはSで置き換えられていてよく;
R7、R8、R9は、
水素、F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、COOH、COO(C1−C6)−アルキル、CO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C8)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキル−OH、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキルであり、アルキル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるもの、
SO2−NH2、SO2NH(C1−C6)−アルキル、SO2N[(C1−C6)−アルキル]2、S−(C1−C6)−アルキル、S−(CH2o−フェニル、SO−(C1−C6)−アルキル、SO−(CH2o−フェニル、SO2−(C1−C6)−アルキル、SO2−(CH2o−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル基は2回までF、Cl、Br、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、O−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル、NH2で置換されていてよいもの、
NH2、NH−(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、NH(C1−C7)−アシル、フェニル、O−(CH2o−フェニル、ここでoは0〜6であることができ、そしてフェニル環は1〜3回、F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、OCF3、(C1−C8)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキル、NH2、NH(C1−C6)−アルキル、N((C1−C6)−アルキル)2、SO2−CH3、COOH、COO−(C1−C6)−アルキル、CONH2で置換されていてよいもの、
であるか;または、
R8とR9はそれらを担持しているC原子と一緒になって5〜7員の飽和、部分または完全不飽和の環Cyc2であり、ここで環内のC原子1つまたは2つはN、OまたはSにより置き換えられていることができ、そしてCyc2は場合により(C1−C6)−アルキル、(C2−C5)−アルケニル、(C2−C5)−アルキニルで置換されていてよく、そして各々の場合CH2基1つはOにより置き換えられるか、または、H、F、Cl、OH、CF3、NO2、CN、COO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C4)−アルキル、OCF3で置換されていてよいものである。
【請求項2】
R1、R2がOH、FまたはHであるか、またはR1およびR2がFであり、ここで基R1またはR2の一方はFでなければならないが、R1がF、R2がOH、およびR1がOH、R2がF、およびR1、R2がOHの3通りの組み合わせは除外され;
R3はOHであり;
AはOまたはNHであり;
R4、R5、R6は、水素、F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、COOH、CO(C1−C6)−アルキル、COO(C1−C6)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C6)−アルコキシ、HO(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキル、フェニル、ベンジル、SO−(C1−C6)−アルキルであり、アルキル、アルコキシ、アルケニルおよびアルキニル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるものであり;
Bは(C0−C15)−アルカンジイルであり、ここでアルカンジイル基内のC原子1つまたは1つより多くは相互に独立して−O−、−(C=O)−、−CH=CH−、−C≡C−、−S−、−CH(OH)−、−CHF−、−CF2−、−(S=O)−、−(SO2)−、−N((C1−C6)−アルキル)−、N((C1−C6)−アルキル−フェニル)−または−NH−で置き換えられていてよく;
nは0〜4の数であり;
Cyc1は3〜7員の飽和、部分飽和または不飽和の環であり、ここでC原子1つはO、NまたはSで置き換えられていてよく;
R7、R8、R9は、水素、F、Cl、Br、I、OH、CF3、NO2、CN、COOH、COO(C1−C6)−アルキル、CO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C6)−アルキル、CON[(C1−C6)−アルキル]2、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C1−C8)−アルコキシ、(C1−C6)−アルキル−OH、(C1−C6)−アルキル−O−(C1−C6)−アルキル、SO−(C1−C6)−アルキルであり、アルキル基における1、1より多くまたは全ての水素はフッ素により置き換えられていることができるものであるか;
または
R8とR9はそれらを担持しているC原子と一緒になって5〜7員の飽和、部分または完全不飽和の環Cyc2であり、ここで環内のC原子1つまたは2つはN、OまたはSにより置き換えられていることができ、そしてCyc2は場合により(C1−C6)−アルキル、(C2−C5)−アルケニル、(C2−C5)−アルキニルで置換されていてよく、そして各々の場合CH2基1つはOにより置き換えられるか、または、H、F、Cl、OH、CF3、NO2、CN、COO(C1−C4)−アルキル、CONH2、CONH(C1−C4)−アルキル、OCF3で置換されていてよいものである、
請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
糖残基がベータ(β)−連結しているか、フェニル環上のB置換基がA置換基に対してオルト位に配置しているものである請求項1または2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
R1、R2がOH、FまたはHであるか、またはR1およびR2がFであり、ここで基R1またはR2の一方はFでなければならないが、R1がF、R2がOH、およびR1がOH、R2がF、およびR1、R2がOHの3通りの組み合わせは除外され;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4、R5、R6は、水素、OH、(C1−C6)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ、HO−(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルキル−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl、Br、I、CF3、OCF3、OCH2CF3(C1−C4)−アルキル−CF2−、フェニル、ベンジル、(C2−C4)−アルケニル、(C2−C4)−アルキニル、COO(C1−C4)−アルキルであり;
Bは(C1−C4)−アルカンジイルであり、ここでCH2基1つは−(C=O)−、−CH(OH)−、−CO−NH−、−CO−N(C1−C6)−アルキル−、−CHF−、−CF2−、−O−、−NH−により置き換えられていてよく;
nは2または3の数であり;
Cyc1は不飽和の5または6員の環であり、ここでC原子1つはO、NまたはSにより置き換えられていてよく;
R7、R8、R9は、水素、(C1−C6)−アルキル、(C1−C8)−アルコキシ、OCF3、OCH2CF3、OH、(C1−C4)−アルキル−OH、(C1−C4)−アルキル−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl、Brであるか;または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−、−CH2−CH2−O−、−CH=CH−S−、−CH=CH−CH=CH−、−O−(CH2p−O−であり、ここでpは1または2であり;そして、
R7はメチル、エチル、OMe、F、Cl、Brまたは水素である、
請求項1〜3のいずれかに記載の式Iの化合物。
【請求項5】
R1がFでありR2がHであるか、または、
R1がHでありR2がFであるか、または、
R1がFでありR2がFであり;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4、R5、R6は、水素、OH、(C1−C4)−アルコキシ、CF3、(C1−C4)−アルキル、F、Cl、Br、Iであり;
Bは−CH2−、−C24−、−C36−、−CH(OH)−、−(C=O)−、−CO−NH−CH2−または−CO−CH2−CH2−、−O−、−NH−であり;
nは2または3の数であり;
Cyc1は不飽和の6員環であり、ここでC原子1つはNにより置き換えられていてよいものであるか、または、不飽和の5員環であり、ここでC原子1つはSにより置き換えられていてよいものであり;
R7、R8、R9は水素、OH、(C1−C4)−アルキル、(C1−C7)−アルコキシ、OCF3、ハロゲンであるか;または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−、−CH2−CH2−O−、−CH=CH−CH=CH−、−O−(CH2p−O−であり、ここでpは1または2であり;そして、
R7はメチル、エチル、OMe、F、Cl、Brまたは水素である、
請求項1〜4のいずれかに記載の式Iの化合物。
【請求項6】
式Ia:
【化2】

[式中、
R1はFでありR2がHであるか、または、
R1がHでありR2がFであるか、または、
R1がFでありR2がFであり;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4は水素、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシまたはOHであり;
R5は水素、F、メトキシまたはエトキシであり;
R6は水素またはOHであり;
Bは−CH2−、−CO−NH−CH2−、−O−または−CO−CH2−CH2−であり;
Cyc1はフェニルまたはチオフェンであり;
R7、R8、R9は水素、OH、Cl、OCF3、(C1−C4)−アルキルまたは(C1−C4)−アルコキシであるか;または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−、−CH=CH−CH=CH−または−CH2−CH2−O−であり;そして、
R7は水素である]
で表わされる請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
式Ib:
【化3】

[式中、
R1はFでありR2がHであるか、または、
R1がHでありR2がFであるか、または、
R1がFでありR2がFであり;
R3はOHであり;
AはOであり;
R4は水素、メチル、メトキシまたはOHであり;
R5は水素、Fまたはメトキシであり;
R6は水素またはOHであり;
Bは−CH2−、−CO−NH−CH2−;−O−または−CO−CH2−CH2−であり;
Cyc1はフェニルであり;
R7は水素であり;
R8は水素、OH、エチル、Cl、OCF3またはメトキシであり;
R9は水素であるか;または、
R8とR9は一緒になって−CH=CH−O−または−CH2−CH2−O−である]で表わされる請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を1つまたはそれ以上含む医薬。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を1つまたはそれ以上、および、血中グルコース低下活性成分を1つまたはそれ以上含む医薬。
【請求項10】
1型および2型糖尿病の治療用医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
血中グルコースを低下させるための医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
1型および2型糖尿病の治療用医薬の製造のための他の血中グルコース低下活性成分少なくとも1つと組み合わせた、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
血中グルコースを低下させるための医薬の製造のための他の血中グルコース低下活性成分少なくとも1つと組み合わせた、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項14】
活性成分を薬学的に適当である担体と混合すること、および、この混合物を投与に適する形態に変換することを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の1つまたはそれ以上を含む医薬の製造方法。

【公表番号】特表2006−510643(P2006−510643A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557952(P2004−557952)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013454
【国際公開番号】WO2004/052902
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】