説明

新幹線列車の判定装置

【課題】取得した距離情報で無線方式の切替点を正確に判定することを可能にする。
【解決手段】新幹線列車10の前部および後部に配置された伝送部13および伝送架22間を接続し、伝送部13および伝送架22の各々に列車動揺測定器15,23を接続し、伝送部13および伝送架22の一方に制御部12を接続し、前記新幹線列車の進行方向に対して後方となる列車動揺測定器例えば23で測定したところの距離情報を制御部12に伝達し、前記制御部で、伝達される距離情報に、測定した列車動揺測定器23と制御部12間の伝送遅延補正値を加算して、無線部の無線方式を切替る切替点を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局と地上局間で無線通信を行う無線通信システムに関し、特に、新幹線列車において、無線方式を切替る切替点を判定する新幹線列車の判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新幹線列車と地上局間で、無線でやりとりする通信は音声(通話)及びデータがある。データの1つに距離情報がある。距離情報は東京駅を基点とした絶対距離である。距離情報はゾーン判定(列車がどの基地局エリアにいるかの判定)する基準データの1つとして使用されている。
【0003】
なお、移動局と地上局間で無線通信を行う無線通信システムの特許文献としては、例えば特許文献1が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−49683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より一層の業務の効率化・保守機能の強化・顧客サービスの向上に応えるために、システムの更新を実施する時期を迎えており、その一つとして、新幹線列車と地上局間で、無線でやりとりする無線方式が、アナログ方式からデジタル方式へ移行しようとしている。この実現案としては、ある区間まではアナログ方式、その区間以降はデジタル方式とし、切替は例えばトンネル内で行う。
【0006】
新幹線列車は、列車動揺測定器を載置して、進行中の距離情報を測定することができる。列車動揺測定器は、新幹線列車の前部および後部に配置された伝送部および伝送架の各々に接続され、新幹線列車の進行方向に対して後方となる列車動揺測定器で、基点となる東京駅からの絶対距離である距離情報を取得する。
【0007】
しかしながら、無線方式を切替る切替点を判定する制御部は、前部および後部に配置された伝送部および伝送架のいずれかの近くにしか載置されていないため、列車動揺測定器で距離情報を取得しても、制御部までは載置個所に伴う絶対距離があるため、取得した距離情報では無線方式の切替点を正確に判定することができない。
【0008】
本発明の目的は、取得した距離情報で無線方式の切替点を正確に判定することが可能な新幹線列車の判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、新幹線列車の前部および後部に配置された伝送部および伝送架間を接続し、前記伝送部および伝送架の各々に列車動揺測定器を接続し、前記伝送部および伝送架の一方に制御部を接続し、前記新幹線列車の進行方向に対して後方となる前記列車動揺測定器で測定したところの距離情報を前記制御部に伝達し、前記制御部で、伝達される距離情報に、測定した前記列車動揺測定器と前記制御部間の伝送遅延補正値を加算して、無線方式を切替る切替点を判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取得した距離情報で無線方式の切替点を正確に判定することが可能な新幹線列車の判定装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る実施の形態について、図1を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明による判定装置を有する新幹線列車の実施の形態の構成図である。図1において、新幹線列車10の1号車の運転席11の近くに、制御部12と伝送部13を有する制御架14が載置され、制御架14の近くに載置された列車動揺測定器15が伝送部13に接続されている。
【0013】
また、新幹線列車10の16号車の運転席21の近くに、伝送架22が載置され、伝送架22の近くに載置された列車動揺測定器23が伝送架22に接続されている。そして、伝送部13と伝送架22が接続されている。
【0014】
新幹線列車10が下り方向に進行するときは、新幹線列車10の進行方向に対して後方となる列車動揺測定器23で測定したところの距離情報が、列車動揺測定器23と伝送架22間の接続線31で伝送遅延(1)され、伝送架22と伝送部13間の接続線32で伝送遅延(2)され、伝送部13と制御部12間の接続線33で伝送遅延(3)され、制御部12に伝達される。
【0015】
また、新幹線列車10が上り方向に進行するときは、新幹線列車10の進行方向に対して後方となる列車動揺測定器15で測定したところの距離情報が、列車動揺測定器15と伝送部13間の接続線34で伝送遅延(4)され、伝送部13と制御部12間の接続線33で伝送遅延(3)され、制御部12に伝達される。
【0016】
本実施の形態では、上記伝送遅延(1)、伝送遅延(2)、伝送遅延(3)、伝送遅延(4)に基づく伝送の遅れを補正するため、進行方向に応じた伝送遅延補正値を、予め制御部12に記憶しておく。
【0017】
下りの場合の伝送遅延補正値=[伝送遅延(1)の遅延量ms+伝送遅延(2)の遅延量ms+伝送遅延(3)の遅延量ms]×速度+車両長
ただし、伝送遅延(1)の遅延量、伝送遅延(2)の遅延量、伝送遅延(3)の遅延量msは実測。車両長は、先頭車両と最後方車両間の距離
上りの場合の伝送遅延補正値=[伝送遅延(3)の遅延量ms+伝送遅延(4)の遅延量ms]×速度
ただし、伝送遅延(4)の遅延量、伝送遅延(3)の遅延量は実測。
【0018】
そして、制御部12では、伝達される距離情報に、進行方向に応じて、下りの場合の伝送遅延補正値または上りの場合の伝送遅延補正値を加算して、無線方式を切替る切替点になったかを判定する。
【0019】
このことにより、本実施の形態では、取得した距離情報で無線方式の切替点を正確に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による判定装置を有する新幹線列車の実施の形態の構成図である。
【符号の説明】
【0021】
10:新幹線列車、11:運転席、12:制御部、13:伝送部、14:制御架、15:列車動揺測定器、21:運転席、22:伝送架、23:列車動揺測定器、31,32,33,34:接続線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新幹線列車の前部および後部に配置された伝送部および伝送架間を接続し、前記伝送部および伝送架の各々に列車動揺測定器を接続し、前記伝送部および伝送架の一方に制御部を接続してなり、前記新幹線列車の進行方向に対して後方となる前記列車動揺測定器で測定したところの距離情報を前記制御部に伝達し、前記制御部で、伝達される距離情報に、測定した前記列車動揺測定器と前記制御部間の伝送遅延補正値を加算して、無線方式を切替る切替点を判定することを特徴とする新幹線列車の判定装置。

【図1】
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