説明

新種メロン

本発明は、新規の植物に、特に新規の好ましい味を有する果実を産生し得るメロン植物体に、そしてその種子に関する。本発明はさらに、本発明のメロン植物体の果実であって、有機酸含量、低pHおよび高糖含量を有する果実に関する。本発明はさらに、本明細書中に開示された植物体および果実の作製および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の植物に、特に新規の好ましい味を有する果実を産生し得るメロン植物体に関する。特に本発明のメロン植物体の果実は、一般に市販されている甘いメロン果実と比較して、変更された有機酸含量、より低いpHを、そして高糖含量を有する。
【背景技術】
【0002】
メロン(Cucumis melo L.)は、世界中で栽培される商業作物である。メロン(Cucumis melo)は、ウリ科(Cucurbitaceae)の一成員である。ウリ科は、ほとんどが熱帯性のものである約90属および700〜760種を含む。この科は、カボチャ、ズッキーニ(squash)、ヒョウタン、スイカ、ヘチマおよびいくつかの雑草を包含する。メロン(Cucumis melo L.)は、異なる形状、外観および果肉色の果実を産生する非常に広範な種々の栽培品種植物を包含する。商業的メロンは一般に、通常はデザート用フルーツとして消費される例えばシャレンタイズ、カンタロープ、ハニーデュー、アマレロ、ピール・ド・サポ、Kirkagak、ハミー、アナナス、ガリア、オリエンタルとして既知の甘い果実を産生する。メロン(Cucumis melo L.)は、例えばAlficoz、Faqqous、Chito、シロウリのような、サラダ、料理または漬物で中東〜極東で消費される甘くない商業栽培品種植物も包含する(Pitrat et al (2000) Eucarpia meeting Proceedings: 29-36)。メロン果実の味および芳香は、多数の因子、例えば糖、芳香揮発性物質、遊離アミノ酸、有機酸、pHおよび可溶性無機物により決定される(Wang et al. (1996) J. Agric. Food Chem. 44: 210-216)。4つの主要味覚(甘味、酸味、苦味、塩味)のうち、甘味は、良好な味のメロン果実の非常に重要な構成成分であると考えられる。商業用メロン果実では、甘い味覚はほとんどが、高レベルのスクロースに起因する(Burger et al. (2002) J. Amer. Soc. Hort. Sci. 127(6): 938-943)。スクロースは、熟成過程中、果実発育の終了時に蓄積される(Stepanski et al (1999) Genetic Resources and Crop Evolution 46: 53-62)。メロン果実中の重要な味覚構成成分は甘味であり、これは主として糖蓄積の結果である。甘味は、総糖含量だけでなく、糖の種類とも相関する。例えば1グラムのグルコースは0.7グラムのスクロースの甘味等価物である;1グラムのフルクトースは1.7グラムのスクロースの甘味等価物である;1グラムの転化糖、すなわち1グラムのスクロースから生成されるグルコース+フルクトースは、1.3グラムのスクロースの甘味等価物である(J.A. BABOR et J. IBARZ (1935) Quimica General Moderna)。
【0003】
甘いメロン果実の果肉は通常6.0以上のpHを有するが、しかしメロン寄託物は5.0未満という非常に低いpHを有することも既知である。この低pHは、例えばFaqqous、Chito、Conomon、Momordica、Agrestisのような多数の異なる種類のメロンに広範に認められる(Stepanski et al.)。これらの場合のほとんどにおいて、これらのメロン型は、低pHと低糖含量、例えばスクロースを組合せる(Stepanski et al.)。これらの果実は一般に、ドレッシングまたは調理を用いない果肉消費においては可食性でなく、いくつかの場合、それらは苦味さえある。低pHを有するこれらのメロン寄託物のほとんどにおいて、果実の可食性部分である中果皮は、果実全体の小部分を示すが、一方、種子腔および胎座は総果実新鮮重量の大部分をあらわす。これは、中果皮が果実の大部分をあらわす甘味デザートと対照を成す。さらにまた多くの場合、低pHを有するメロンの果実サイズまたは重量は、商業的に許容可能な範囲を下回る。
【0004】
いくつかのメロンの果肉は、酸味を有する(Kubicki (1962) Genetica Polonica 3: 265-274)。酸味に関する原因は依然として不明であるが、しかしそれは果肉における低pHと関連付けられてきた(米国特許第5,476,998号およびDanin-Poleg et al. (2002) Euphytica 125: 373-384)。酸味(So)およびpHに関する単一遺伝子も報告されているが、しかしそれらの遺伝的関連は明らかでない(Danin-Poleg et al.)。
【0005】
酸味と甘味を組合せるメロン果実を生産するための試みがなされてきた。例えばアラビア野生型品種を基礎にしたナジド・メロンが報告されている(Ibrahim and Al-Zeir (1992) HortScience 27: 276-277)。米国特許第5,476,998号も、平均pH値4.8および総可溶性物質含有率約11を有する酸味を有するメロンを記載している。米国特許第5,476,998号におけるメロンは、C. melo Var. Momordica(Roxburg)であるPI124111(Thomas, Eucarpia ’92 pp142)としても既知であるMR‐1に由来する。このメロンの果実は、低pHを示した(Danin-Poleg et al.)。このメロン品種は、例えば熟した時に非常に青白く、非芳香性且つ非甘味性果実、非常にクリマクテリックな行動ならびに薄い果皮の破裂といったような貧果実形質も包含する。これらの望ましくない形質は、品種改良により除去するのが難しく、したがってこのような品種からの商品の開発は長期間を要し、そして困難であると予測される。
【0006】
したがって代替的なまたは改良された味を有する果実を産生するメロンに対する必要性が依然として存在する。特に、感覚を刺激する特質および芳香の新規の組合せを有するメロン果実に対する必要性が依然として存在する。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、代替的または改良された味を有するメロン果実に対する必要性を述べる。したがって本発明は、有機酸含量および組成、pHならびに糖含量および組成の新規の組合せを有する果実を産生し得るメロン植物体を開示する。本発明は、本発明の植物体およびそれらの果実の製造方法および使用方法も開示する。
【0008】
メロン果実中の有機酸の含量および組成には広範な変異性が存在する、ということを本出願の発明人等は確認した。特に、メロン植物体は、種々の含量のクエン酸および種々の比率のクエン酸対リンゴ酸を有する果実を産生する、と本発明の発明人等は確認した。したがって本発明の発明人等は、メロン果実中の適切な含量の有機酸、低pHおよび所望の糖含量を組合せて、新規の且つ非常に好ましい味を得た。
【0009】
したがって一実施形態において、本発明は、低pHならびにクエン酸およびリンゴ酸含量の所望の組合せを産生する一方、甘いメロンで一般に観察される糖のレベルを保持するかまたは増大し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、低pH、ならびにスクロースおよびヘキソース含量の所望の組合せと組合せられるクエン酸およびリンゴ酸含量の所望の組合せを有する果実を産生し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、一般の市販メロンと比較した場合、クエン酸含量増大および低pHを示す果実を産生し得るメロン植物体を提供する。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、上記低pH形質を含まないメロン植物体中に低pH形質を導入することにより得られる。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、上記低pH遺伝子を含まないメロン植物体中に低pH遺伝子を導入することにより得られる。一実施形態では、低pH遺伝子は、寄託番号NCIMB41202でNCIMBに寄託されたIND‐35系統から得られる。したがって本発明は、低pH形質を含み、そして所望の含量および組成の有機酸、所望のpHおよび所望の含量および組成の糖を含む果実を産生するメロン植物体を開示する。一実施形態では、クエン酸含量増大は、果実中の低レベルのリンゴ酸を保持しながら、達成される。一実施形態では、本発明のメロン植物体の果実は、高比率のクエン酸対リンゴ酸を有する。
【0010】
一実施形態では、本発明のメロン植物体は、約400 mg/果実重量(fwt)100 gまたはそれより高いクエン酸含量を有する果実を産生し得る。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、約4.2〜約5.6のpHを有する果実を産生し得る。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、約5.0 g/100 g fwtまたはそれより高い糖含量を有する果実を産生し得る。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、約7.0 g/100 g fwtまたはそれより高い糖含量を有する果実を産生し得る。
【0011】
一実施形態では、本発明は、約400 mg/果実重量(fwt)100 gまたはそれより高いクエン酸含量、約4.2〜約5.6のpH、約5.0 g/100 g fwtまたはそれより高い糖含量を有する果実を産生し得るメロン植物体を開示する。
【0012】
一実施形態では、本発明は、成熟時に、以下の:
a)約400 mg〜約1,200 mgのクエン酸/100 g fwt;
b)約4.2〜約5.6のpH;ならびに
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/100g fwt
を含む果実を産生し得るメロン(C. melo)植物体を開示する。
【0013】
一実施形態では、本発明による植物体の果実のクエン酸含量は、約400 mg〜約1,000 mgのクエン酸/100 g fwtである。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、好ましくは丸形または卵形を有する、そして好ましくは450グラムを上回る重さを有する可食性果実を産生する。本発明のメロンの果肉は、好ましくは緑色、黄色、白色または橙色である。
【0014】
一実施形態では、本発明は、本明細書中で「クエン酸+」植物体または果実と呼ばれる、刺激性の清々しい酸味を有する非常に甘くジューシーな果実を産生し得るメロン植物体を開示する。このような果実は、高含量のクエン酸および低pHを含み、酸味を増大し、そして酸味知覚を提供し、これが早熟果実の不味すぎて且つ風味に乏しいのを覆い隠す。
【0015】
一実施形態では、成熟時の本発明のクエン酸+植物体の果実は、以下の:
a)約600 mg〜約1,200 mgのクエン酸/100 g fwt;
b)約4.2〜約5.1のpH;ならびに
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/100g fwt
を含む。
【0016】
一実施形態では、本発明による植物体の果実のクエン酸含量は、約600 mg〜約1,000 mgのクエン酸/100 g fwtである。
【0017】
一実施形態において、本発明は、本明細書中で「クエン酸−」メロン植物体または果実と呼ばれる、低刺激性のフルーティーな酸味を有する甘い芳香性の果実を産生し得るメロン植物体を開示する。このような果実は、相対的に高含量のクエン酸およびやや低いpHを含む。このやや低いpHはフルーティーな酸味知覚を作り出し、これが早熟果実の不味すぎて且つ風味に乏しいのを覆い隠す。
【0018】
一実施形態では、成熟時の本発明のクエン酸−植物体の果実は、以下の:
a)約400 mg〜約650 mgのクエン酸/100 g fwt;
b)約4.6〜約5.6のpH;ならびに
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/100g fwt
を含む。
【0019】
一実施形態では、本発明は、低pHおよび深橙色の果肉を有する果実を産生し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、約4.5〜約5.6のpHを有する果実であって、4またはそれより高いと評価される橙色果肉を有する果実を産生し得るメロン植物体を開示する。
【0020】
一実施形態では、本明細書中に記載されるメロン果実の特質は、露地でまたはビニールハウスで栽培され、そして成熟時に収穫されるメロン植物体の果実に関して測定される。一実施形態では、果実は早熟から晩熟(本明細書中に記載される場合、段階2〜4)まで収穫される。一実施形態では、本発明の果実は、そのスクロース含量が2 gのスクロース/100 g fwtまたはそれを上回る場合、成熟時である。
【0021】
一実施形態では、本発明は、約1.6〜約3.8の酸味および約4.3〜約5.8の糖味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、約2.5〜約3.8の酸味および約4.3〜約5.6の糖味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、約1.6〜約3.0の酸味および約5.2〜約5.8の糖味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、酸味および糖味は、例えば本明細書中の実施例12に記載されるようなエキスパート・パネルにより確定される。一実施形態では、このような果実は、本明細書中に記載されるようなpHおよびクエン酸含量を含む。一実施形態では、このような果実は、本明細書中に記載されるようなpH、有機酸含量および組成、ならびに糖含量および組成を含む。
【0022】
一実施形態では、本発明は、低pH形質と共分離するDNA配列を含むメロン(C. melo)植物体を開示する。一実施形態では、DNA配列は、本明細書中に記載されるプライマーを用いた本明細書中に記載されるDNA断片の増幅のための鋳型である。一実施形態では、本発明は、このようなプライマー、ならびにこれらのプライマーを用いて増幅されるDNA断片を開示する。一実施形態では、本明細書中に記載されるDNA断片は、本明細書中に記載されるプライマーを用いて上記の植物体のDNAから増幅される。DNA断片は、低pH形質のための分子マーカーとして用いられる。一実施形態では、約168 bp〜約178 bpのDNA断片が、CMAT141マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、上記植物のDNAから増幅される。一実施形態では、CMAT141マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、168 bp、173 bp、169 bp、172 bpまたは178 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、CMAT141マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、176 bp未満のDNA断片が増幅される。一実施形態では、CMAT141マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、175 bp未満のDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE0585マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、約218 bp〜約253 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE0585マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、230 bp、232 bp、218 bp、229 bp、234 bpまたは239 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE1746マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、約121 bp〜約145 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE1746マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、124 bp、127 bp、133 bp、142 bpまたは145 bpのDNA断片が増幅される。
【0023】
一実施形態では、本発明は、上記の植物体における低pH形質の存在を示すDNA断片(酸性断片)または上記の植物体における低pH形質の非存在を示すDNA断片(塩基性断片)の増幅のための鋳型であるDNA配列を含むメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、低pH形質に関連づけられる塩基性断片の増幅のための鋳型であるDNA配列であって、上記低pH形質に関連づけられるDNA配列を含むメロン植物体を開示する。一実施形態では、メロン植物体は、このようなDNA配列を低pH遺伝子の一側上に含む。一実施形態では、メロン植物体は、このようなDNA配列を低pH遺伝子の両側上に含む。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に開示される範囲内のpHを含む。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に記載されるような含量および組成の糖を含む。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に記載されるような含量および組成の有機酸を含む。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に記載されるようなpH、含量および組成の糖、ならびに含量および組成の有機酸を含む。
【0024】
一実施形態では、本明細書中に記載される本発明による果実は、当該果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、このような特質は、果実が植物体上に保持される場合、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、このような特質は、果実が収穫され、そして収穫後に貯蔵し続けられる場合、依然として安定している。これは、収穫頻度低減を可能にし、その感覚刺激性特質および芳香を失うことなく本発明の果実を保存または輸送させ得る。一実施形態では、本発明の果実のpHは、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、本発明の果実のクエン酸含量は、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、本発明の果実のリンゴ酸含量は、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、本発明の果実のクエン酸対リンゴ酸比は、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、本発明の果実のpHならびに有機酸含量および組成は、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、このような特質は、果実が成熟に達した後も依然として本明細書中に記載される範囲内である。一実施形態では、本発明は、果実が植物体上に保持される場合にその特質が少なくとも2日間、一実施形態では、果実が植物体上に保持される場合に少なくとも3日間、一実施形態では、果実が植物体上に保持される場合に少なくとも4日間、その特質が依然として安定している果実を産生し得る植物体を開示する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、20℃で貯蔵され続ける場合に少なくとも5日間、一実施形態では、20℃で貯蔵され続ける場合に少なくとも7日間、一実施形態では20℃で貯蔵され続ける場合に少なくとも9日間、その特質が依然として安定している果実を産生し得る植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、8〜12℃で貯蔵し続けられる場合に少なくとも7日間、その後20℃で少なくとも2日間、一実施形態では、8〜12℃で貯蔵し続けられる場合に少なくとも12日間、その後20℃で少なくとも2日間、一実施形態では、8〜12℃で貯蔵し続けられる場合に少なくとも26日間、その後20℃で少なくとも2日間、その特質が依然として安定している果実を産生し得る植物体を開示する。一実施形態では、本発明の植物体は、長期保存寿命果実(LSL)または中期保存寿命果実(MSL)を産生し得る。一実施形態では、本発明の植物体は、非色変わり果実または低色変わり果実を産生し得る。一実施形態では、本発明の植物体は、非クリマクテリック果実または低クリマクテリック果実を産生し得る。
【0026】
本発明はさらに、本発明のメロン植物体の種子、ならびにその子孫の種子であって、本発明の植物体を産生し得る子孫の種子に関する。本発明はさらに、本発明のメロン植物体の一部、例えば本発明のメロン植物体の胚珠または花粉および果実を開示する。本発明はさらに、本発明のメロン植物体の果肉を開示する。本発明はさらに、本発明のメロン植物体の果実の果汁を開示する。
【0027】
本発明はさらに、果肉切断製品における本発明による果実の果肉の使用を開示する。本発明はさらに、ソフトドリンクにおける本発明による果実の果汁の使用を開示する。
【0028】
本発明はさらに、植物体のクエン酸含量の増大方法であって、第一メロン植物体を取得し;上記第一メロン植物体を低pH形質を含む第二メロン植物体と交差して;子孫メロン植物体を得て;上記子孫メロン植物体のpHおよびクエン酸含量を確定し;そして上記第一メロン植物体の果実と比較した場合に、クエン酸含量増大を有する上記子孫メロン植物体の果実を選択する過程を包含する方法を開示する。一実施形態では、上記の子孫メロン植物体は、上記の第一メロン植物体の果実と比較した場合に、より低いpHを有する。一実施形態では、当該方法は、本明細書中に記載されるプライマーを用いて本明細書中に記載されるDNA断片を検出することを包含する。
【0029】
本発明はさらに、本発明のメロン植物体を得るための低pH形質を含むメロン植物体の使用を開示する。一実施形態では、低pH形質を含むメロン植物体はさらに、当を得たレベルの糖、例えばスクロースを蓄積する能力を有する。一実施形態では、低pHを含むメロン植物体は、高レベルのクエン酸を蓄積する。一実施形態では、低pHを含むメロン植物体は、低レベルのリンゴ酸を蓄積する。一実施形態では、低pH形質を含むメロン植物体はさらに、当を得たレベルの糖、例えばスクロースを蓄積する、そして高レベルのクエン酸を蓄積する、そして低レベルのリンゴ酸を蓄積する能力を有する。一実施形態では、低pHを含むメロン植物体は、IND‐35系統の植物体またはその子孫である。
【0030】
本発明はさらに、本発明による植物体の種子の産生方法であって、本発明の植物体を取得し、上記植物体を自家受粉するかまたは上記植物体を別のメロン植物体と交配し、そして子孫種子を収穫することを包含する方法を開示する。本発明はさらに、本発明に従ってメロン植物体を栄養体生殖させる方法を開示する。本発明はさらに、果実の産生方法であって、本発明に従って植物体を植えて、上記植物体を成長させ、そして本明細書中に記載される特質を含む果実を収穫することを包含する方法を開示する。本方法はさらに、上記果実を、例えば本明細書中に記載されるように保存することを包含する。本方法はさらに、上記果実を輸送することを包含する。一実施形態では、本明細書中に記載される上記果実の特質は、上記果実の貯蔵中も依然として安定している。一実施形態では、本明細書中に記載される上記果実の特質は、上記果実の貯蔵中も依然として安定している。一実施形態では、本発明の植物体は、近交系、ハイブリッド、二ゲノム性半数体または栄養体生殖クローンである。
【0031】
したがって本発明は、好ましい酸構成成分を提供するがしかし渋味を回避するメロン果実を提供する。これは、メロンの風味をそれらの最大能力に増強するかまたは補足する。有機酸含量および低pHと高糖とのこれらの組合せは、生鮮消費または生鮮切断または生鮮果汁産業のための新規の範囲およびクラスの魅力的な味覚を提供する。果実果肉中の低pHは、生鮮切断および果汁産業工程における細菌汚染も防止する。
【0032】
定義
形質:特質または表現型。例えば本発明の情況において、低pH形質は、例えば約4.2から約5.6までの低pHをメロン果実の果肉に付与する。形質は、優性または劣性方式で、あるいは部分または不完全優性方式で遺伝され得る。形質は一遺伝子性または多遺伝子性であり得るし、あるいは1つまたは複数の遺伝子と環境との相互作用にも起因し得る。
一遺伝子性:単一遺伝子座により確定される。
多遺伝子性:1つより多い遺伝子座により確定される。
優性:異型接合または同型接合状態で完全表現型発現を生じる。
劣性:同型接合状態で存在する場合のみ、それ自体を発現する。
部分または不完全優性:異型接合段階で存在する場合、同型接合段階の、あるいは形質が存在しない場合のものの中間である表現型を確定する。
戻し交雑:戻し交雑は、ハイブリッド子孫が親の一方と戻って反復的に交配される過程である。
遺伝子座:形質に関与する遺伝子を含む染色体上の領域。
遺伝子連鎖:同一染色体上の近接する遺伝子の位置のための遺伝における特質の関連。遺伝子座間の組換えパーセントにより測定される(センチモルガン、cM)。
量的形質遺伝子座(QTL):量的形質遺伝子座(QTL)とは、通常は連続分布される数的表現形質をある程度まで制御する遺伝子座を指す。
同質遺伝子型:遺伝的に同一である植物、但しそれらは、遺伝子、形質を付与する遺伝子座、または非相同DNA配列の存在または非存在により異なり得る。
マーカー補助選択:植物から1つまたは複数の核酸を検出することにより単数または複数の植物中の単数または複数の所望の形質を選択する方法であって、核酸が所望の形質に関連する方法を指す。
二ゲノム性半数体:完全同型接合性植物を生じるゲノムの一倍体(単一染色体)の倍加(例えば葯培養または顕微鏡培養による)。
「テスター」植物:試験されるべき植物における形質を遺伝的に特性化するために用いられる植物。典型的には、試験されるべき植物は「テスター」植物と交配されて、交配の子孫における形質の分離比が採点される。
遺伝子:遺伝の単位。遺伝子は染色体中の一定遺伝子座に置かれ、そして対立遺伝子と呼ばれる一連の二者択一形態で存在し得る。
対立遺伝子:相同染色体中の同一遺伝子座に位置するため、遺伝において二者択一性である一対のまたは一連の形態の遺伝子の一方。
同型接合:相同染色体上の1つまたは複数の対応する遺伝子座に同じ対立遺伝子を有すること。
異型接合:相同染色体上の1つまたは複数の対応する遺伝子座に異なる対立遺伝子を有すること。
低pH遺伝子:植物体のゲノム中に存在する場合、前記の遺伝子を含まない植物体と比較して、より低いpHの上記植物体の果実の果肉をもたらす遺伝子。
低pHメロン植物体:低pH形質を含むメロン植物体。一実施形態では、低pHメロン植物体の果実のpHは、約4.2〜約5.6である。
Cucumis melo L:本明細書中ではC. meloまたはメロンとも呼ばれる。
空洞:種子および母系組織を含有するメロン果実の中心を指す。
可溶性固体:果実組織中に見出される固体物質のパーセントを指す。その大部分は糖である。
クリマクテリック/非クリマクテリック:例えばWatkins (2002) “Ethylene synthesis, mode of action, consequences and control” In: Michael Knee (ed) “Fruit Quality and its Biological Basis”. Sheffield Academic Press, Sheffield, UK. Chapter 8 pp. 180-224, 特にpage 181, section 8.2.1, first two paragraphに定義されているものと同じ。
色変わりメロン:色変わりとは、成熟に達した場合のメロン果実の外皮の色の顕著な変化、例えばガリア類では緑色から黄色の外皮に、あるいはシャレンタイズ類では灰色からクリームがかった黄色の外皮への変化を指すが、一方、非色変わりまたは低色変わりメロンの果実の外皮色は、成熟時に劇的に変化せず、例えばピール・ド・サポ類では黄色成分が増大する程度である。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、新規の味を有する果実を産生し得るメロン(C. melo)植物体を提供する。特に本発明は、有機酸含量、pHおよび糖含量の新規の組合せを有する果実を産生し得るメロン植物体を提供する。メロン果実は、種々のレベルの有機酸、例えばクエン酸を含有する、ということを本出願の発明人等は確認した。メロン果実は、種々の相対含量のクエン酸およびリンゴ酸を含有する、ということも本出願の発明人等は確認した。さらに本出願の発明人等は、甘いメロン・バックグラウンドに低pH形質を導入することにより、果実中のpHの低減およびクエン酸含量の増大が得られ、さらにメロン果実の味を操作する能力を拡大する、ということを確認した。一実施形態では、本発明のメロン果実は、低含量のリンゴ酸を有する。
【0034】
したがって本発明は、本明細書中に記載されるようなクエン酸含量増大および低pHを示す果実を産生するメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明の植物体の果実で観察される糖レベルは、一般に入手可能な甘いメロン中に存在するレベルに保持され、あるいは増大される。したがって本発明の植物体は、新規の好ましい味を有する果実を産生し得る。本明細書中に記載されるpH、クエン酸およびリンゴ酸含量、ならびに糖含量の測定を実行した。それを実施例1〜5に示す。本明細書中の表1Aおよび1Bは、本発明による代表的メロン植物体およびそれらの果実を開示する。
【0035】
一実施形態では、本発明のメロン植物体は、約400 mg/果実重量(fwt)100 gまたはそれより高いクエン酸含量を有する果実を産生し得る。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、約4.2〜約5.6のpHを有する果実を産生し得る。一実施形態では、本発明のメロン植物体は、約5.0 g/100 g fwtまたはそれより高い糖含量を有する果実を産生し得る。一実施形態では、本発明は、約400 mg/100 g fwtまたはそれより高いクエン酸含量、約4.2〜約5.6のpH、約5.0 g/100 g fwtまたはそれより高い糖含量を有する果実を産生し得るメロン植物体を開示する。
【0036】
一実施形態では、本発明は、成熟時に、以下の:
a)約400 mg〜約1,200 mgのクエン酸/100 g fwt;
b)約4.2〜約5.6のpH;ならびに
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/100g fwt
を含む果実を産生し得るメロン(C. melo)植物体を開示する。
【0037】
一実施形態では、果実は、約400 mg〜約1,000 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、果実は、約450 mg〜約950 mgのクエン酸/100 g fwtを含み、一実施形態では、約475 mg〜約900 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、果実は約4.3〜約5.4のpHを、一実施形態では、約4.4〜約5.1のpHを有する。一実施形態では、果実は約5.5 g〜約13.0 gの糖/100 g fwtを有する。一実施形態では、果実は約7.0 g〜約15.0 gの糖/100 g fwtを有する。
【0038】
一実施形態では、上記植物体の果実中のクエン酸対リンゴ酸比は4.4より大きく、一実施形態では、5より大きく、一実施形態では10より大きい。一実施形態では、上記植物体の果実中のクエン酸対リンゴ酸比は450未満であり、一実施形態では200未満であり、一実施形態では150未満である。一実施形態では、上記植物体の果実は、約85 mgのリンゴ酸/100 g fwt未満を含み、一実施形態では、約75 mgのリンゴ酸/100 g fwt未満を含む。
【0039】
一実施形態では、上記植物体の果実中のスクロース対ヘキソース比は約1:1であり、一実施形態では約1:1〜約1:2であり、一実施形態では約1:1〜約2:1である。
【0040】
一実施形態では、上記植物体の果実の果肉は、橙色、白色、緑色または黄色である。一実施形態では、上記果実は生鮮消費で可食性である。一実施形態では、上記植物体の果実の中果皮は、総新鮮果実重量の50%より多い。
【0041】
一実施形態では、メロン(C. melo)植物体は、低pH形質を含む。一実施形態では、低pH形質は、その代表的種子が寄託番号NCIMB 41202で寄託されるIND‐35系統の植物、あるいは上記系統IND‐35の子孫から得られる。一実施形態では、低pH形質は上記植物体において同型接合性または異型接合性である。
【0042】
本発明の一実施形態では、「クエン酸+」植物体と呼ばれるメロン植物体が開示される。このような植物体は、刺激性の清々しい酸味を有する非常に甘くジューシーな果実を産生し得る。このような果実は、高含量のクエン酸および低pHを含み、酸味を増大し、そして酸味知覚を提供する。これは、高糖含量により、一実施形態では還元糖(グルコースおよびフルクトース)のレベル増大により、補償される。高還元糖含量は、早熟段階で特に顕著である。一般的に入手可能な甘いメロンにより得ることができない酸味および甘味の組合せは、消費者により高く評価される。刺激性の清々しい酸味の甘いメロン組合せは、この要求を満たす。このフルーティーな酸味味覚は、早熟果実の不味すぎて且つ風味に乏しいのを覆い隠す。一実施形態では、クエン酸+植物体は一般に、例えばIND‐35系統からの低pH形質をオリエンタルメロン・バックグラウンドに導入することにより得られる。一実施形態では、オリエンタルメロン・バックグラウンドは、1つまたは複数の以下の判定基準から選択される:高クエン酸含量、低リンゴ酸含量、高クエン酸対リンゴ酸含量、高糖含量、高ヘキソース含量、高ヘキソース対スクロース比、高含水性。低pH形質の導入中、上記特質に関する注意深い選択は、所望の子孫が得られるまで保持される。
【0043】
例えば実施例9、10および11は、このような植物体の構築を記載する。代替的メロン(C. melo)植物体も、所望の特質に関してスクリーニングされ、本明細書中に記載されるような出発物質として用いられる。
【0044】
一実施形態では、本発明のクエン酸+植物体の果実は、成熟時に、以下の:
a)約600〜約1,200 mgのクエン酸/100 g fwt
b)約4.2〜約5.1のpH;および
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/100 g fwt
を含む。
【0045】
一実施形態では、果実は約600〜約1,000 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、果実は約650〜約950 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。
【0046】
一実施形態では、果実のpHは約4.4〜約5.0である。
【0047】
一実施形態では、上記果実は、約7.0 g〜約13.0 gの糖/100 g fwtを含む。一実施形態では、上記植物体の果実中のクエン酸対リンゴ酸比は6より大きく、一実施形態では7より大きく、一実施形態では10より大きい。一実施形態では、上記植物体の果実中のクエン酸対リンゴ酸比は450未満であり、一実施形態では200未満である。一実施形態では上記植物体の果実は約85 mgのリンゴ酸/100 g fwt未満を含み、一実施形態では、約75 mgのリンゴ酸/100 g fwt未満を、一実施形態では約60 mgのリンゴ酸/100 g fwt未満を含む。
【0048】
一実施形態では、本発明の植物体の果実は緑色または白色果肉を有し、そして成熟時に、以下の:
a)約600〜約1,200 mgのクエン酸/100 g fwt
b)約4.2〜約5.1のpH;および
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/100 g fwt
を含む。
【0049】
一実施形態では、果実は約600〜約1,000 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、緑色または白色を有する果実は、約8.0 g〜約12.0 gの糖/100 g fwtを含む。一実施形態では、緑色または白色果肉を有する上記果実は、成熟時に、約25〜200のクエン酸対リンゴ酸比を有する。一実施形態では、上記果実のリンゴ酸含量は、約50 mg未満のリンゴ酸/100 g fwtを含み、一実施形態では、約30 mg未満のリンゴ酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、上記植物体の果実中のスクロース対ヘキソース比は約1:1であり、一実施形態では約1:1〜約2:1である。
【0050】
一実施形態では、本発明の植物体の果実は橙色果肉を有し、そして成熟時に、以下の:
a)約600〜約750 mgのクエン酸/100 g fwt
b)約4.5〜約5.1のpH;および
c)約6.0 g〜約13.0 gの糖/100 g fwt
を含む。
【0051】
一実施形態では、上記果実中のクエン酸対リンゴ酸比は約4.4〜30である。一実施形態では、果実は約7.0 g〜約13.0 gの糖/100 g fwtを含む。
【0052】
一実施形態では、本発明は、本明細書中で「クエン酸−」メロン植物体または果実と呼ばれる、低刺激性のフルーティーな酸味を有する甘い芳香性の果実を産生し得るメロン植物体を開示する。このような果実は、相対的に高含量のクエン酸およびやや低いpHを含む。このやや低いpHはフルーティーな酸味知覚を作り出し、これが早熟果実の他の不味すぎて且つ風味に乏しいのを覆い隠し、さらに完熟果実の果肉の風味および色の十分な発現に影響を及ぼさない。さらに熟成中(早熟〜晩熟)に、果実は、低クエン酸含量からの弱緩衝能力と同調して、pHの関連増大、酸性度の低減を伴う。これは、非常に甘く且つ芳香性のメロン風味の十分な発現への非常にわずかな酸味特徴を有する完熟果実を提供する。メロン風味は主に、実際に前進した果実熟成段階において十分な発現を通常は得る甘味および芳香に基づいている。早熟メロンはしばしば、糖および芳香が予測以下であり、いかなる他の風味構成成分も存在しない場合と同様に不快な不味さであると記載される。他の果実、例えばイチゴ、モモまたはオレンジの場合、酸味はこの早熟段階で十分に評価される補足物を作る。低刺激性のフルーティーな酸味および甘味メロン組合せは、早熟メロンにおける不味いという危険を回避するかまたは制限する。
【0053】
一実施形態では、クエン酸−植物体は、例えばIND‐35系統からの低pH形質を、シャレンタイズ(Charentais)メロン・バックグラウンドに導入することにより得られる。一実施形態では、シャレンタイズメロン・バックグラウンドは、1つまたは複数の以下の判定基準から選択される:低クエン酸含量、低リンゴ酸含量、相対的高クエン酸対リンゴ酸含量、高糖含量、高スクロース含量。低pH形質の導入中、上記特質に関する注意深い選択は、所望の子孫が得られるまで保持される。
【0054】
例えば実施例11は、このような植物体の調製を記載する。代替的メロン(C. melo)植物体も、所望の特質に関してスクリーニングされ、本明細書中に記載されるような出発物質として用いられ得る。
【0055】
一実施形態では、本発明のクエン酸−植物体の果実は、成熟時に、以下の:
a)約400 mg〜約650 mgのクエン酸/100 g fwt;
b)約4.6〜約5.6のpH;ならびに
c)約5.0 g〜約13.0 gの糖/100g fwt
を含む。
【0056】
一実施形態では、果実は約450〜約600 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、果実は約4.8〜約5.4の、一実施形態では、約5.2のpHを含む。一実施形態では、果実は約5.0 g〜約13.0 gの糖/100 g fwt、一実施形態では約6.0 g〜約12.0 gの糖/100 g fwtを含む。一実施形態では、果実は約7.0 g〜約13.0 gの糖/100 g fwtを含む。
【0057】
一実施形態では、本発明の植物体の果実は橙色果肉を有し、そして成熟時に、以下の:
a)約400mg〜約550 mgのクエン酸/100 g fwt
b)約4.8〜約5.6のpH;および
c)約5.0 g〜約11.0 gの糖/100 g fwt
を含む。
【0058】
一実施形態では、上記果実中のクエン酸対リンゴ酸比は約4.4〜10.0である。一実施形態では果実は、約7.0 g〜約11.0 gの糖/100 g fwtを含む。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
本発明は、果実中の酸味の程度の操作が有益な味の変動を生じる、ということを実証する。酸味はいくつかのパラメーター間の相互作用の結果であり、pHは、有機酸含量および組成とともに最も重要なものの1つである。pHは、味に関与する酸の解離の程度に大いに影響する。各酸は異なる解離定数(pKa)を有し、これは、酸の50%がその相対的イオンおよびH+で解離される。pHが低いほど、より多くの解離形態でない酸を生じる。酸味知覚は、主に非解離形態の酸から生じる。これは、より高いpHレベルで、より高いpKaを有する弱酸、例えば有機酸がより強い酸より酸っぱいと感知される理由を説明する。
【0062】
溶液のpHは、酸の濃度およびpKaと相関する。より強い酸の等規定溶液は、それらが非常に低いpHを有するため、弱い酸より酸っぱい。酸の濃度(滴定可能酸性度)が高いほど、酸はより多くの酸味を感知される。酸味は、酸味を有するものの化学構造、カルボン酸基の数、分子量および分子の極性とも相関する(例えばPURAC Biochem, Gorinchen, The Netherlands, “Flavor Special”, www. Purac. com参照)。酸味のほかに、各食物酸は、持続時間、風味強度、ならびに他の非酸味基本成分、例えば渋味、苦味および甘味への関与の点から見て、それ自体の風味特質を有する。
【0063】
メロン果実中の主要有機酸は、コハク酸、リンゴ酸およびクエン酸である(Wang et al. (1996) J. Agric. Food Chem. 44: 210-216)。リンゴ酸は、極非熟成相と、あるいは過剰熟成している果実の老化および変性相と関連づけられる傾向があり、そして味におけるその優性は一般に好まれない。果実果肉中では、漸増リンゴ酸含量の勾配は、種子腔近くから果実外皮近くまで観察される。クエン酸は、リンゴ酸より低いpKaを有する。クエン酸はより酸っぱく且つ爽やかな作用を有し、これがしばしば他の味または芳香基本成分を制圧する。リンゴ酸と対照して、漸減クエン酸含量の果実果肉勾配は、種子腔近くのより熟成した領域から果実外皮近くの領域まで観察される。このような勾配は、糖に関しても観察される。
【0064】
したがって本発明のメロン果実中では、より高い糖含量および高クエン酸含量は、果実果肉中で、果実の最も風味豊かな領域中の高含量の両者を提供することと関連する傾向があり、非常に好ましい新規の味を生じる。
【0065】
さらにまた本発明のメロン果実では、pHが低く、そしてクエン酸含量が高い場合、酸味知覚はより高い。
【0066】
一実施形態では、本発明の果実は、熟練味鑑定人のエキスパート・パネル調査により試験された。果実の感覚特質は、0〜9の引用スケールで測定された。果実のpH、有機酸含量および糖含量も測定された。エキスパート・パネルの結果を、実施例12、表14および15に記載する。感覚分析は、本発明の果実中の酸味が、果実中のpHのおよびクエン酸含量の一関数である、ということを示す。成熟および非熟成果実から集められたデータを基礎にして、エキスパート・パネルは、果実中の酸味とpHおよびクエン酸含量との間の相関に関する次式を確定した:酸味=13.12−(2.97×pH)+(0.00587×クエン酸含量(mg/100 g fwt))(ここで、r2=0.70)。
【0067】
したがって一実施形態において、本発明は、エキスパート・パネルにより確定した場合に約0.5を上回る酸味を含む果実を産生し得るメロン(C. melo)植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、約1.6またはそれ以上の酸味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、約0.5を上回る酸味および約4.3またはそれ以上の糖味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、約1.6〜約3.8の酸味および約4.3〜約5.8の糖味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。
【0068】
一実施形態では、本発明は、約2.5〜約3.8の酸味および約4.3〜約5.6の糖味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。ハイブリッドYUSOL X SOLAZおよびメハリ X L53 AZ Bは、このような植物の代表例である。
【0069】
一実施形態では、このような果実は本明細書中に記載されるようなpHおよびクエン酸含量を含む。一実施形態では、本発明は、約1.6〜約3.0の酸味および約5.2〜約5.8の糖味を含む果実を産生し得るメロン植物体を開示する。ハイブリッドYUSAZ X YUSOL、メハリ X L53 AZ AおよびTD X L53 AZ Aは、このような植物の代表例である。
【0070】
一実施形態では、このような果実は本明細書中に記載されるようなpHおよびクエン酸含量を含む。一実施形態では、このような果実は、本明細書中に記載されるようなpH、有機酸含量および組成、ならびに糖含量および組成を含む。
【0071】
エキスパート・パネルの値は、果実のpH、クエン酸含量および糖含量によって変化する、と理解される。
【0072】
本発明の発明人等は、クエン酸および糖における含量ならびに組成に関してメロン登録および寄託物をスクリーニングし、そしてメロン(C. melo)類内の変異を確定した(表2参照)。例えばいくつかのシャレンタイズ類メロンは、低クエン酸含量を有することが判明した(例えば表2のルナスター)。いくつかのシャレンタイズ類果実は、相対的に低いクエン酸対リンゴ酸比および高比のスクロース対ヘキソースを有する、ということも判明した。他方、オリエンタル類メロン、例えばジャパニーズ・ロッキー類メロンは、より高い含量のクエン酸を有することが判明した(例えば表2のYUCA)。YUCAの代表例は、寄託番号NCIMB41203下でYUC‐15として、2003年12月17日にNCIMB, Aberdeen, AB24 3RY, Scotlandに寄託された。これらのメロンは、高クエン酸対リンゴ酸比および高ヘキソース対スクロース比を有することも判明した。いくつかのガリア類メロン、例えばMG755も、高クエン酸含量を有することが判明した。意外にも、本発明によれば、ジャパニーズ類メロンとシャレンタイズ類メロン(表2のプリンスPF)との間の交配において、ジャパニーズ類メロンの高クエン酸含量が高ヘキソース対スクロース比から解離され、シャレンタイズ類メロンの高スクロース対ヘキソース比と組合せされ得た。本発明はさらに、クエン酸含量の変動は非甘味寄託物、例えばFaqqousおよびIND‐35間にも存在する(IND‐35と比較した場合のFaqqousにおける低クエン酸含量、表2)、と認識した。
【0073】
さらにまた、低pHおよび高糖蓄積は同一メロン果実においてはよくあるというわけでもあるいは共存可能であるというわけでもない、と当該技術分野では一般に考えられる(Stepanski et al (1999))が、しかし本発明の発明人等は、上記のpHおよび有機酸のその特質と果実中の所望の糖含量とを組合せ得た(例えば表3参照)。
【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
本発明はさらに、甘いメロン(C. melo)バックグラウンド中の低pH形質の組み入れを開示する。甘いメロン・バックグラウンド中の低pH形質の存在は、果実果肉中のpHを低下させ、有機酸の濃度を増大させ、そして望ましいpHおよびクエン酸含量と適切な糖濃度および含量とを組合せさせて、好ましい新規の味を生じた。
【0077】
一実施形態では、低pH形質は低pH遺伝子により決定される。一実施形態では、低pH遺伝子は、野生型メロン寄託物または栽培品種植物から得られる。一実施形態では、低pH遺伝子のための供与体として用いられる野生型メロン寄託物または栽培品種植物は、許容可能な作物額的特質を有し、望ましい味を有する果実を産生する商業用メロンの構築を促す形質を含む。一実施形態では、このような供与体は、関連レベルの糖、例えばスクロースを蓄積する能力を有する。一実施形態では、このような野生型メロン寄託物または栽培品種植物は、以下の特質のうちの少なくとも1つを有する:非クリマクテリック行動、相対的に大きな果実サイズおよび中果皮構成成分、ぱりぱりした果肉。
【0078】
一実施形態では、低pH形質は、IND‐35系統から得られるが、この代表種子は、寄託番号NCIMB41202下で、2003年12月17日にNCIMB, Aberdeen, AB24 3RY, Scotlandに寄託された。これは、植物Var. chito内に分類され得るインドからのC. melo寄託物であるが、しかしそれは、そのより大型のサイズのために、var. acidulus(Naudin, Pitrat et al.)として良好に分類され得る。
【0079】
クエン酸は、IND‐35系統(911 mgまでのクエン酸/100 g fwt)の果実中の主要有機酸であるが、一方、リンゴ酸は50 mg/100 g fwt以下である。意外にも、IND‐35の果実は、関連レベルのスクロースを蓄積する能力も有する(長期果実周期後、すなわち果実受粉の50または53日後の後期収穫後に1.7 gまでのスクロース/100 g fwtおよび5.6 gの総糖100 g fwt)。表2は、約4.9のpH、約340 mg/新鮮重量(fwt)100 gのクエン酸含量、および約4.0 g/100 g fwtの糖含量を示すIND‐35の果実の分析も報告する。
【0080】
一実施形態では、低pH形質は、分子マーカーと共分離する。一実施形態では、分子マーカー、例えばSSRマーカーまたはRAPDSマーカーは、PCRにより増幅されるDNA断片である。一実施形態では、増幅DNA断片の存在または非存在は、形質それ自体の、あるいは形質の特定の対立遺伝子の存在または非存在を示す。一実施形態では、増幅DNA断片の長さの差は、形質の特定の対立遺伝子の存在を示し、したがって形質の異なる対立遺伝子間を識別し得る。一実施形態では、本発明は、低pH形質の異なる供給源を、そして植物における低pH形質の存在または非存在に関して識別するマーカーを開示する。例えばこのようなマーカーは、Danin-Poleg et al. (2001) Theor. Appl. Genet. 102: 61-72およびDanin-Poleg et al. (2002) Euphytica 125: 373-384に記載されているCMAT141である。分子マーカーのその他の例は、本明細書中に開示されるNE0585およびNE1746である(実施例13参照)。これらのマーカーは、pH遺伝子の遺伝子座と密接に関連する。マーカーCMAT141およびNE0585は低pH遺伝子の一側上に存在し、一方、マーカーNE1746は低pH遺伝子の他側上に存在する。
【0081】
一実施形態において、低pH形質の種々の供給源は、マーカーのためのプライマーが用いられる場合、異なる長さのDNA断片を増幅する(酸性断片、実施例14、表16参照)、ということを本発明の発明人等は確定した。例えばFaggousの植物体では、約176 bpの断片として増幅されて、CMAT141のために用いる。寄託物PI414723、PI414724、PI161375およびPI124112の植物では、約175 bpの断片が増幅される。これに対して、本明細書中に記載されるIND‐35の植物では、約168 bpの、および約173 bpの独特の断片が増幅される。マーカーNE0585を用いて、約230 bpおよび約232 bpの独特の断片がIND‐35のために増幅される。マーカーNE1746を用いて、約127 bpの独特の断片がIND‐35のために増幅される。約124 bpの別の断片はIND‐35のために増幅され、これは例えばFaggousにおいては存在しない。
【0082】
一実施形態では、低pH形質を含まない植物も、本明細書中に記載されるプライマーを用いて分析された。低pH形質の非存在に関連した多数のDNA断片が決定された(塩基性断片)。例えばCMAT141のプライマーを用いて、約169 bp、約172 bpおよび約178 bp長の断片が、低pH形質を含まない植物中で検出された。NE0585のプライマーを用いて、約218 bp、約229 bp、約234 bpおよび約239 bp長の断片が検出された。低pH形質を含まないさらなる植物を分析し、低pH形質の非存在に関連した付加的DNA断片を決定する方法は当業者に既知である。
【0083】
指示サイズ(bp)は絶対というわけではなく、しかし同一プライマー対で検出される他のサイズ生成物に呼応する。増幅断片の実(正確な)サイズ(例えばシーケンシングにより確定)は、本明細書中に示されるものとわずかに異なり得る(+/− 1 bp)。
【0084】
したがって一実施形態では、本発明は、本明細書中に記載されるプライマーを用いた本明細書中に記載されるDNA断片の増幅のための鋳型であるDNA配列を含むメロン(C. melo)植物体を開示する。一実施形態では、約168 bp〜約178 bpのDNA断片は、CMAT141マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、上記植物体のDNAから増幅される。一実施形態では、CMAT141マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、168 bp、173 bp、169 bp、172 bpまたは178 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、CMAT141マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、175 bp未満のDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE0585マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、約218 bp〜約253 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE0585マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、230 bp、232 bp、218 bp、229 bp、234 bpまたは239 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE1746マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、約121 bp〜約145 bpのDNA断片が増幅される。一実施形態では、NE1746マーカーを同定し得るプライマーが用いられる場合、124 bp、127 bp、133 bp、142 bpまたは145 bpのDNA断片が増幅される。
【0085】
一実施形態では、本発明の発明人等は、低pH形質を示すDNA断片および低pH遺伝子間の連結を分離した。この場合、塩基性断片の増幅のための鋳型であるDNA配列は、低pH形質と結び付けられる。したがって一実施形態において、本発明は、特に本明細書中に開示されるマーカーを用いる場合、塩基性対立遺伝子を示すマーカーと共分離する低pH形質を含む植物体を開示する。一実施形態では、pH遺伝子の一側上のマーカーは塩基性背ある。一実施形態では、pH遺伝子の両側上のマーカーは塩基性である。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に開示される範囲内のpHを含む。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に記載されるような含量および組成の糖を含む。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に記載されるような含量および組成の有機酸を含む。一実施形態では、このような植物体の果実は、本明細書中に記載されるようなpH、含量および組成の糖、ならびに含量および組成の有機酸を含む。
【0086】
したがって一実施形態において、本発明は、低pH遺伝子と連結される塩基性DNA断片の増幅のための鋳型であるDNA配列を含むメロン(C. melo)植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、塩基性DNA断片の増幅のための鋳型であるDNA配列および低pH遺伝子を含む染色体断片を含むメロン植物体を開示する。一実施形態では、このような染色体断片は、上記植物体において異型接合性または同型接合性である。本明細書中に記載されるSOLAZ/2系統は、このようなメロン植物体の代表例である。SOLAZ/2において、約172 bp、約229 bpおよび約124 bpの断片が、それぞれマーカーCMAT141、NE0585およびNE1746のプライマーを用いて増幅される。
【0087】
一実施形態では、本発明は、低pH遺伝子の一側上の塩基性DNA断片の増幅のための鋳型であるDNA配列、低pH遺伝子、ならびに低pH遺伝子の他側上の塩基性DNA断片の増幅のための鋳型であるDNA配列を含むメロン(C. melo)植物体を開示するが、この場合、両DNA配列は上記植物体中のpH遺伝子に連結される。一実施形態では、本発明は、低pH遺伝子の一側上の塩基性DNA断片の増幅のための鋳型であるDNA配列、低pH遺伝子、ならびに低pH遺伝子の他側上の塩基性DNA断片の増幅のための鋳型であるDNA配列を含むメロン(C. melo)植物体を開示する。一実施形態では、このような染色体断片は、上記植物体において異型接合性または同型接合性である。本明細書中に記載されるSOLAZ/1系統は、このようなメロン植物体の代表例である。SOLAZ/1において、約172 bp、約239 bpおよび約142 bpの断片が、それぞれマーカーCMAT141、NE0585およびNE1746のプライマーを用いて増幅される。本明細書中に記載されるYUSOL/3系統は、このようなメロン植物体の別の代表例である。YUSOL/3において、約172 bp、約239 bpおよび約145 bpの断片が、それぞれマーカーCMAT141、NE0585およびNE1746のプライマーを用いて増幅される。
【0088】
したがって本発明は、本発明のメロン植物体を得るための低pH形質を含むメロン植物体の使用を開示する。一実施形態では、低pH形質を含むメロン植物体はさらに、関連レベルの糖、例えばスクロースを蓄積する能力を有する。一実施形態では、低pHを含むメロン植物体は、高レベルのクエン酸を蓄積する。一実施形態では、低pHを含むメロン植物体は、低レベルのリンゴ酸を蓄積する。一実施形態では、低pHを含むメロン植物体は、IND‐35の植物体またはその子孫である。
【0089】
一実施形態では、低pH形質は、上記のIND‐35系統の子孫から得られる。低pH形質は他の供給源から獲得され得る、と当業者は認識する。一実施形態では、このようなその他の供給源における低pH形質は、IND‐35における低pH形質に対する対立形質である。一実施形態では、低pH遺伝子に関して試験されるべき系統がIND‐35系統のものに対する対立遺伝子を含むか否かを確定するために、試験が実行される。IND‐35系統は、試験されるべき系統との交配におけるテスター系統として用いられ、そして低pH表現型の分離比はその結果生じる子孫において確定される。
【0090】
一実施形態では、IND‐35系統の植物体は、好ましくは高クエン酸含量および高レベルの糖を有する品種改良メロン系統と交配される。各交配後、低pHを有する果実を産生する植物体が選択される。選択は、クエン酸含量増大および高糖含量に関しても実行される。選良系統中への低pH形質の導入の例は、実施例7〜11に開示される。
【0091】
一実施形態では、本明細書中に上記されたような分子マーカーは、特に本明細書中に記載されるようなメロン植物体の果実のクエン酸含量を増大する方法で、所望のバックグラウンド中にpH形質を移すために用いられる。一実施形態では、低pH形質に対応する断片が増幅される植物体が選択され、そしてさらに使用される。
【0092】
一実施形態では、約1〜約2.5pH単位の、一実施形態では約1.5〜約2.0 pH単位の低減が、低pH形質を含まないメロンの果実と比較して、例えば低pH形質を含まない同質遺伝子系統またはほぼ同質遺伝子系統と比較して、甘いメロン(C. melo)植物体中の低pH形質の導入後に得られる。
【0093】
一実施形態では、メロン植物体の果肉中のクエン酸含量は、低pH形質を含まないメロンの果実と比較して、例えば低pH形質を含まない同質遺伝子またはほぼ同質遺伝子系統と比較して、上記メロン植物体中の低pH系統の導入時に、約1.5〜約3の係数を掛けられる。種々の植物体の成熟果実が比較される。例えば表1Aおよび1Bは、低pH形質を含むメロンおよび低pH形質を含まないメロン間の、例えばYUSAZ X YUSOLおよびMILENIUM‐DENEV F1、SOLAZ X YUSOLおよびSOLAR F1、メハリ/L53‐L53 AZ A‐L53 AZ B間の比較を示す。
【0094】
したがって本発明のメロン果実は、低pH形質(滴定可能酸度)を含まない匹敵する一般的に入手可能なメロンより高い濃度の有機酸を有する。本発明のメロン果実では、pHの変動は、有機酸の総濃度とよりも組成(主要な酸のpKa)とより大きく相関する。pHの増大は一般に晩熟過程中に観察され、スクロース蓄積と併発する。pHのこの増大は、有機酸の含量により緩衝される。低含量の有機酸は、pHの高増大および酸味知覚の低減を生じる。例えばクリマクテリック色変わり類のいくつかの一般に入手可能なシャレンタイズ類メロンのような低クエン酸含量を有するメロンでは、pHのこの増大は1.0pH単位を上回り得る(pH6.0〜7.0)。これに対して、有機酸のより高い含量は、例えば低クリマクテリック低色変わりメロンにおける場合のように、熟成過程中のpH増大の低減をもたらし、したがって酸味知覚の減少を防止するかまたは低減する。
【0095】
したがって一実施形態では、本発明は、安定低pHおよび高クエン酸含量に基づいたより安定な酸味を有するメロン果実を開示する。一実施形態では、本発明は、熟成後または収穫後に味の安定性改良を示すメロン果実を開示する。本発明は、メロン植物体の果実中のpHの増大を遅延するかまたは低減する方法であって、上記果実中の有機酸含量を増大し、そしてメロン植物体中に低pH形質を導入することを包含する方法も開示する。一実施形態では、このような方法は、低または非クリマクテリック行動を示す植物対中に低pH形質を導入することを包含する。一実施形態では、このような方法は、低または非色変わり果実を産生し得る植物体中に低pH形質を導入することを包含する。
【0096】
一実施形態では、本発明は、pHの中等度増大(0.5pH単位まで)ならびにクエン酸含量の中等度上昇を基礎にして、初期早熟低刺激性酸味からフルーティーな且つまろやかな風味に成熟するメロン果実も開示する。
【0097】
本発明によれば、低pH形質は、種々の含量および組成の糖を有する果実を産生するメロン植物体中に導入される。一実施形態では、ジャパニーズ・オリエンタル類、例えばYUCAからの植物体は、糖の供給源として用いられる。糖、特にスクロースの蓄積は、果実受粉から果実熟成までの、授粉後日数として理解される果実周期時間の一問題点である、と一般に認められている。一実施形態では、早期および関連糖蓄積を示す果実を産生するメロン植物体が本発明に用いられる。例えばガリア類、例えば栽培品種植物OGELの植物体は、糖の供給源として用いられる。一実施形態では、初期レベルのヘキソースとは独立したスクロースの高度の且つ迅速な蓄積のための能力を有する果実を産生するメロン植物体が、本発明に用いられる。例えばシャレンタイズ類、例えばL53の植物体が、スクロース蓄積のためのこのような能力の供給源として用いられる。
【0098】
選良系統への低pH形質の移入の例は、下記の実施例に開示される。下記の表8も、選良系統への移入中に得られるメロン植物体を開示する。しかしながら他の種類のメロン、あるいは上記の種類の他のメロン栽培品種または変種が、本発明に従ってメロン植物体を構築するために本発明の情況で用いられる。
【0099】
一実施形態では、低pH形質を含むメロン(C. melo)植物体は、オリエンタル類またはガリア類のメロン植物体を交配される。例えば低pH形質を含むメロン植物体は、IND‐35系統である。例えば以下の実施例7に記載されるように、オリエンタル類のメロン植物体は、YUCAであり、ガリア類のメロン植物体はOGELである。その結果生じる子孫は、所望のpHならびに含量および組成の有機酸および糖を獲得するために、例えばオリエンタル類の、またはガリア類のメロン植物体とさらに交配される。この過程は、本明細書中に開示されるようなpH、有機酸および糖の測定により補助される。オリエンタル類またはガリア類の代替的メロン植物体も、所望の特質に関してスクリーニングされ、そして本明細書中に記載されるようなメロン植物体を得るための出発物質として用いられ得る。
【0100】
一実施形態では、低pH形質を含むメロン(C. melo)植物体は、実施例11に記載されるようなシャレンタイズ類、例えばL53のメロン植物体と交配される。シャレンタイズ類の代替的メロン植物体も、所望の特質に関してスクリーニングされ、そして本明細書中に記載されるようなメロン植物体を得るための出発物質として用いられ得る。
【0101】
その他の種類のメロン植物体も、本明細書中に記載されるようなメロン植物体を得るために、低pH形質を含むメロン(C. melo)植物体と交配される。
【0102】
一実施形態では、本発明は、果実が成熟に達し、植物体上に保持された後も、あるいは果実が収穫され、貯蔵し続けられる場合も、その特質が依然として安定である果実を産生し得る植物体を開示する。一実施形態では、本明細書中に記載される果実の特質は、果実の商業的収穫後期間中も依然として安定である。これは、その感覚刺激性特質および芳香を失うことなく、本発明の果実の長期間の保存または輸送を可能にする。
【0103】
一実施形態では、本発明の果実のpHは、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、本発明の果実のpHは、果実が成熟に達した後も、依然として約4.2〜約5.6の範囲内である。一実施形態では、本発明の果実のクエン酸含量は、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、本発明の果実のクエン酸含量は、果実が成熟に達した後も、依然として400 mg/100 g fwtまたはそれ以上である。一実施形態では、本発明の果実のリンゴ酸含量は、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、本発明の果実のクエン酸対リンゴ酸比は、果実が成熟に達した後も依然として安定している。一実施形態では、果実が成熟に達した後も、クエン酸対リンゴ酸比は依然として4.4より大きい。一実施形態では、このような特質は、果実が成熟に達した後も、依然として本明細書中に記載される範囲を有する。一実施形態では、超えらの特質は、依然として、果実が成熟に達した場合に測定される特質の値の約70%〜約130%以内であり、一実施形態では、果実が成熟に達した場合に測定される特質の値の約80%〜約120%以内であり、一実施形態では、果実が成熟に達した場合に測定される特質の値の約90%〜約110%以内である。一実施形態では、本発明は、植物体上に保持される場合に果実が成熟に達した後も、あるいは果実が収穫され、貯蔵し続けられる場合も、その特質が依然として安定している果実を産生し得る植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、果実が植物体上に保持される場合に少なくとも2日間、一実施形態では、果実が植物体上に保持される場合に少なくとも3日間、一実施形態では果実が植物体上に保持される場合に少なくとも4日間、その特質が依然として安定している果実を産生し得る植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、20℃で貯蔵され続ける場合に少なくとも5日間、一実施形態では20℃で貯蔵され続ける場合に少なくとも7日間、一実施形態では20℃で貯蔵され続ける場合に少なくとも9日間、その特質が依然として安定している果実を産生し得る植物体を開示する。一実施形態では、本発明は、8〜12℃で貯蔵され続けて少なくとも7日間、その後20℃で少なくとも2日間、一実施形態では8〜12℃で貯蔵され続けて少なくとも26日間、その後20℃で少なくとも2日間、その特質が依然として安定している果実を産生し得る植物体を開示する。典型的にはその収穫後、果実は、それが本明細書中に記述される条件下で保存されるまで数時間、野外条件下に留められ得る。
【0104】
植物体上に保持される場合の本発明の植物体の果実の特質の進化の例は、実施例15、表17に示される。収穫後貯蔵後の本発明の植物体の果実の特質の進化の例は、実施例16、表18および19に示される。
【0105】
一実施形態では、メロンは、短期保存寿命(SLS)、中期保存寿命(MSL)または長期保存寿命(LSL)として記載され得る。LSLメロンの例は、ミレニウム、ピール・ド・サポ、イタロおよび非色変わりシャレンタイズLSLである。MSLメロンの例は、ガリアおよび色変わりシャレンタイズMSLである。短期貯蔵寿命(SSL)メロンの例は、古典的シャレンタイズである。
【0106】
典型的には、植物体上のSSLメロンの果実の寿命は、約1〜約2日である。これは、損失を回避するために約1〜2日毎に果実が収穫されなければならない、ということを意味する。典型的には、植物体上のMSLメロンの果実の寿命は約3〜約4日である。これは、損失を回避するために約3〜4日毎に果実が収穫されなければならない、ということを意味する。典型的には、植物体上のLSLメロンの果実の寿命は約5日以上である。典型的にはSSLメロンは、8〜12℃で約4〜約7日間、その後20℃でさらに2日間、あるいは20℃で約3〜4日間保存され得る。典型的にはMSLメロンは、8〜12℃で約7〜約12日間、その後20℃でさらに2日間、あるいは20℃で約5〜10日間保存され得る。典型的にはLSLメロンは、8〜12℃で約12日間以上、その後20℃でさらに2日間、あるいは20℃で約10日間以上保存され得る。
【0107】
一実施形態では、本発明の植物体は、長期貯蔵寿命果実(LSL)または中期貯蔵寿命果実(MSL)を産生し得る。
【0108】
低pH形質および高クエン酸は、特に色変わりおよびクリマクテリックメロンにおいて、果実が成熟に達した後のメロン果実中のクリマクテリックライズを促す、ということを本発明の発明人等は確定した。これは、例えばpHおよびリンゴ酸における急速増大ならびにクエン酸含量の低減により示される果実の分解をもたらす。これは、粉質テクスチャーの外観ならびにアルコール分解によっても示される。色変わりおよびクリマクテリックメロンでは、果実の貯蔵寿命は低減されるが、一方、この減少は非色変わりおよび/または非クリマクテリックメロンでは低知覚可能である。一実施形態では、本発明の植物体は非クリマクテリックまたは低クリマクテリック果実を産生し得る。
【0109】
したがって一実施形態では、本発明は、低pH遺伝子を含む低または非クリマクテリック行動を示すメロン(C. melo)植物体を開示する。一実施形態では、このようなメロン植物体の果実はさらに、本明細書中に記載される糖含量および組成という特質を含む。一実施形態では、このようなメロン植物体の果実はさらに、本明細書中に記載される有機酸含量および組成という特質を含む。一実施形態では、このようなメロン植物体の果実は、本明細書中に記載されるようなクエン酸対リンゴ酸比を含む。一実施形態では、このような植物体の果実はさらに、本明細書中に記載されるようなpHを含む。
【0110】
一実施形態では、本発明は、低色変わりまたは非色変わり果実を産生し得るメロン(C. melo)植物体であって、低pH遺伝子を含む植物体を開示する。一実施形態では、このようなメロン植物体の果実はさらに、本明細書中に記載される糖含量および組成という特質を含む。一実施形態では、このようなメロン植物体の果実はさらに、本明細書中に記載される有機酸含量および組成という特質を含む。一実施形態では、このようなメロン植物体の果実は、本明細書中に記載されるようなクエン酸対リンゴ酸比を含む。一実施形態では、このような植物体の果実はさらに、本明細書中に記載されるようなpHを含む。
【0111】
一実施形態では、メロン果実の果肉中の低pHは、橙色果肉を有する果実の果肉の極貧色強度と関連する、ということを本発明の発明人等は確認した。特に橙色果肉を有する果実を産生するメロン植物体の場合、わずかな橙色または淡橙色が観察された(例えば表4参照)。意外にも、本発明の発明人等は、メロン植物体の果実において低pHおよび深橙色を組合せ得た。
【0112】
表4は、Syngenta ハイブリッドMEHARIの親であるL53系統の果実の色強度が深い〜極深橙色(平均5.17)であることを示す。L53中に低pH形質を導入するための戻し交配プログラムから生じるが、しかし低pH形質を含まない(L53*高pH)植物体は、色強度およびpHの両方のわずかな低減を示した(4.71および6.46)。戻し交配プログラムから生じ、低pH形質を含む植物体は、色強度およびpHにおけるさらなる低減を示した。同型接合体段階で低pH形質を有する植物体(L53*低pH)は、橙色果肉色に関して最低等級を有した:4.04。異型接合体段階で低pH形質を有する植物体(L53*酸性)は、橙色果肉色に関して中間等級を有した:4.36。これは、低pHおよび淡橙色果肉色間の連鎖または表現型作用を示す。したがって、低pH形質の存在下で、強橙色果肉色に関して植物を選択した(一実施形態では、以下のスケールで4またはそれより高い、一実施形態では5およびそれより高い、一実施形態では6の等級)。
【0113】
一実施形態では、本発明は、約4.5〜約5.6のpHを有する果実であって、4またはそれより高い等級の橙色果肉を有する果実を産生し得るメロン(C. melo)植物体を開示する。一実施形態では、上記果実の橙色は5またはそれより高い等級、一実施形態では6の等級である。一実施形態では、上記果実のpHは、約4.5〜約5.4であり、一実施形態では、約4.8〜約5.2である。一実施形態では、上記果実は、約400 mg〜約900 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、果実は約450 gm〜約750 mgのクエン酸/100 g fwtを含む。一実施形態では、上記果実は、約5 g/100 g fwtまたはそれ以上の糖含量、一実施形態では、約5.0 g〜約13.0 gの糖/100 g fwtを含む。一実施形態では、果実は約6.0 g〜約12.0 gの糖/100 g fwtを含む。一実施形態では、上記果実中のクエン酸対リンゴ酸比は約4〜30であり、一実施形態では約5〜約15である。一実施形態では、上記植物体の果実中のスクロース対ヘキソース比は、約1:1〜約1:2である。
【0114】
以下のスケール:1:白色、2:やや橙色、3:淡橙色、4:橙色、5:深橙色、6:極深橙色を、色等級分けのために用いた(表4参照)。一実施形態では、果実の色は、分光光度計、例えばミノルタCM‐2500d分光光度計を用いて査定される。
【0115】
【表5】

【0116】
一実施形態では、本発明のメロン果実の特質は、成熟時に収穫された果実、すなわち成熟または熟成果実に関して測定される。メロン果実の具体的組成、したがってその味は、それが収穫される熟成段階により影響を及ぼされる。メロン果実中の糖および有機酸蓄積は、動的過程である。果実が成熟に近づくと、それらの蓄積が開始する。熟成過程が進行すると、これらの化合物の各々は蓄積または分解の時間特異的パターンに従い、これは環境および成長条件によっても影響を及ぼされる。成熟メロン果実の認識方法、ならびにメロン果実の成熟を定義する判定基準の理解方法を当業者は既知である。
【0117】
一実施形態では、以下の外部成熟マーカーのうちの1つが、甘いメロンにおける熟成の同定のために用いられる:
‐側果葉の老化(側葉果と呼ばれる一葉の花柄挿入に対して腋性の花におけるメロン果実結実)。側果葉は壊死するようになる。
‐果皮色変化(ガリア類では緑色から黄色に、シャレンタイズ類では灰色からクリーム色がかった黄色に変色し、あるいはピール・ド・サポ類では黄色成分が増大する)。
‐花柄裂開(特にシッパーメロンに関して、シャレンタイズ類に関しては少し、ガリア類に関しては少し)。
‐特に花末端域における果殻硬度の減少。
【0118】
一実施形態では、「成熟」は、「早期‐部分成熟」に関して「2」および「後期‐完熟」に関して「4」と同定される段階間の熟成生理学過程を包含する。一実施形態では、メロンにおける早期‐部分成熟段階は、2 g/100 g fwtまたはそれを上回るスクロースでのスクロース含量の初期蓄積を用いて同定される。一実施形態では、これは、クエン酸および還元糖(グルコース+フルクトース)含量のピーク達成、ならびに典型的熟成果実果肉色素およびテクスチャーと関連する。一実施形態では、メロンにおける後期‐完熟段階葉、スクロース糖含量のピーク達成終了をもって定義される。それは、分解過程開始前の、例えば果実果肉稠密度の損失、グルコース、クエン酸含量の急速減少、あるいはリンゴ酸含量の増大とも定義される。したがって一実施形態では、果実中のスクロース含量が2 g/100 g fwtに達すると、果実の成熟が開始する。一実施形態では、成熟は、スクロース含量における増大がもはや観察されなくなるまで持続する。
【0119】
本明細書中に開示される測定値は、通常は多数の果実殻得られる測定値またはデータの平均である。任意の試料において、メロン植物体の栽培中に一般に観察される変異のため、植物体の個々の果実または個々の植物体からの果実は記載された範囲内に存在するというわけではない、と理解される。一実施形態では、本明細書中に記載されるメロン果実の特質は、本明細書中に記載される条件で、または類似の条件下で栽培される果実を用いて測定される(例えば下記の実施例6の表5〜7)。一実施形態では、本発明による特質に関する数字は、ビニールハウス支柱栽培植物から栽培される果実(支柱栽培植物において植物体当たり1果実)から得られる平均である。
【0120】
一実施形態では、本発明の植物体は、近交系、二ゲノム性半数体またはハイブリッドである。位置実施形態では、近交系は、低pH形質、ならびに本明細書中に記載される有機酸、pHおよび糖の特質を含む。この場合、このような近交系は、本発明にしたがってハイブリッド植物体を得るために、別のメロン植物体、好ましくは別の近交系と交配される。一実施形態では、交配における他の近交系も、高クエン酸含量および/または高糖含量を有する果実を産生し得る。本発明による代表的近交系は、表1Aに開示されている。
【0121】
一実施形態では、本発明の植物体はハイブリッド植物体である。この場合、低pH、高クエン酸含量および高糖含量という特質のいくつかは、親の一方からのものであるが、残りは他方の親からのものである。一実施形態では、交配の一方の親は、高クエン酸含量、高糖含量を有するが、しかし高pH(例えば約pH6.5)を有する果実を産生するが、一方、交配の他方の親は低pHを有する果実を産生する。一実施形態では、他方の親の果実も高クエン酸含量を有する。本発明による代表的ハイブリッドは、表1Bに開示されている。本明細書中で用いる場合、「植物体」という用語は、植物細胞、植物原形質体メロン植物体が再生され得る組織培養からの植物細胞、植物体カルス、植物体凝集塊、ならびに植物体中で無傷であるかまたは植物体の一部、例えば花粉、花、葉、茎等である植物体細胞を包含する。
【0122】
一実施形態では、本発明の植物体は、食用メロン果実を産生し得る。中果皮は、メロン果実の可食部分(果肉)を代表する。中果皮は、それ自体が外皮(殻)に取り囲まれる種子腔を取り囲む。本発明による果実の中果皮は、好ましくは2 cmより大きい厚みを有し、そして好ましくは総果実新鮮重量の50%より多くに相当する。一実施形態では、本発明のメロン植物体の果実の果肉は、緑色、白色、黄色または橙色果肉を有する。
【0123】
一実施形態では、本発明は、本発明の植物体の組織培養に用いるための再生可能細胞を提供する。組織培養は、本発明の植物体の特質を有する植物体を再生し得る。好ましくはこのような組織培養における再生可能細胞は、未熟胚、原形質体、分裂組織的細胞、カルス、花粉、葉、葯、根、根端または花である。さらに本発明は、本発明の組織培養から再生されるメロン植物体を提供する。再生プロトコールの例は、米国特許第6,420,631号に開示されている。本発明はさらに、本発明の植物体の無性生殖方法であって、本発明の植物体の組織を収集し、上記の組織を培養して苗条を得て、上記増殖苗条を根付かせて定着苗を得ることを包含する方法を提供する。本発明はさらに、本発明の植物体の種子の産生方法であって、本発明の植物体を入手し、上記植物体を自家受粉させるかまたは上記植物体を別のメロン植物体と交配して、そして子孫種子を収穫することを包含する方法を開示する。本発明はさらに果実の産生方法であって、本発明の植物体を植え付けて、上記植物体を成長させ、そして果実を収穫することを包含する方法を開示するが、この場合、上記の果実は本明細書中に記載される特質を含む。本方法はさらに、例えば本明細書中に記載されるように上記果実を保存することを含む。本方法はさらに、上記の果実を輸送することを含む。一実施形態では、本明細書中に記載される上記の果実の特質は、上記果実の貯蔵中も依然として安定している。一実施形態では、本明細書中に開示される上記の果実の特質は、上記果実の貯蔵中も依然として安定している。
【0124】
多数のメロン(C. melo)類および系統のいくつかの特質を、以下に説明する。これらの特質は種々のメロン類に関する例であり、種々のメロン類および系統の例示であって、限定的なものではない。これらの特質からの変異が起こり得る。
【0125】
シャレンタイズ類メロン:
果実:形状:球形〜長細球形;サイズ:600〜1200 g;外皮:白色‐灰色で緑色‐灰色縫合線あり。平滑果皮(平滑またはわずかに網目模様の果皮)。橙色、とろけそうな、非常に芳香性の甘い果肉、クリマクテリック。いくつかのシャレンタイズ品種はクリマクテリック相低減を示し、外皮色を変色しない。
ルナスター品種:ルナスターは、シャレンタイズ類のヌンヘム(Nunhem)からの雌雄同株ハイブリッドである。
【0126】
ジャパニーズ類メロン:
果実:形状:球形〜長細球形;サイズ:700〜1500 g;外皮:白色‐灰色網目果皮(例外的に縫合される)。緑色‐黄色(例外的に橙色)のぱりぱりしたものからとろけそうなものまでの芳香性の少ない非常に甘い果肉(事例のみ)。長周期非クリマクテリック。
YUCA品種:ジャパニーズ類緑色果肉における雄性両性同株ハイブリッド。
プリンス品種:ジャパニーズ類橙色果肉における雄性両性同株ハイブリッド。
【0127】
ガリア類メロン:
形状:球形〜長細球形;サイズ:600〜1500 g;外皮:緑色が黄色に変わる網目果皮。緑色‐白色のとろけそうな芳香性の甘い果肉。短周期中期貯蔵寿命、クリマクテリック。
MG.755品種:ガリア類における雄性両性同株ハイブリッド。高ブリックス度を有する極短い果実周期。
【0128】
ピール・ド・サポ類メロン:
果実:形状:卵形〜偏長形‐楕円形;サイズ:2〜5 kg;外皮:金緑色斑、少数の縦方向網目果皮。白色のぱりぱりした、ジューシーなそして芳香性の甘い果肉。中果実周期、長期貯蔵寿命、非クリマクテリック。
サンチョ品種:ピール・ド・サポ類における雄性両性同株ハイブリッド。高ブリックス度を有する金色外皮。
【0129】
Fagous類メロン:
果実:形状:中等度に短い円筒形;サイズ300〜1000 g;外皮:緑色果皮。白色、ぱりぱりの甘くない果肉。消費用、サラダ中で緑色。雌雄同株。
【0130】
IND35:果実:形状:長梨形〜卵形;サイズ300〜1000 g;外皮緑色斑果皮、成熟時に黄色。白色、ぱりぱりした、甘くない果肉。消費用、サラダ中緑色。雌雄同株。Syngenta種子系統、非クリマクテリック。
【0131】
YUSOL:形状:球形〜細長球形;サイズ600〜1300 g;外皮:明緑色縫合果皮を有する黄色少数の網目。緑色‐白色の、とろりとした、少芳香性の甘い非酸果肉。短周期中期貯蔵寿命、非色変わり低クリマクテリック。雄性両性同株Syngenta種子系統。
【0132】
YUSAZ A:形状:球形〜細長球形;サイズ600〜1300 g;外皮:緑色‐灰色縫合果皮を有する白色‐灰色の少数の網目。緑色の特にぱりぱりした、少芳香性の甘い酸果肉。短周期中期〜長期貯蔵寿命、非色変わり、低〜中等度クリマクテリック。雄性両性同株Syngenta種子系統。
【0133】
YUSAZ B:形状:球形〜細長球形;サイズ600〜1300 g;外皮:緑色‐灰色縫合果皮を有する黄色網目。緑色の特にぱりぱりした、少芳香性の甘い酸果肉。長周期、長期貯蔵寿命、非色変わり、低クリマクテリック。雄性両性同株Syngenta種子系統。
【0134】
MILENIUN‐DENEV:形状:球形〜細長球形;サイズ600〜1500 g;外皮:黄色網目非縫合果皮。緑色‐白色のぱりぱりした、非芳香性、非酸の甘い果肉。長周期、長期貯蔵寿命、非クリマクテリック。雄性両性同株Syngenta種子ハイブリッド。
【0135】
ソラズ/1:形状:球形〜細長球形;サイズ700〜1400 g;外皮:明緑色縫合果皮を有する黄色少網目。白色のぱりぱりした、少芳香性の甘い酸果肉。短周期、長期貯蔵寿命、非色変わり、極低クリマクテリック。雄性両性同株Syngenta種子系統。
【0136】
ソラズ/2:形状:球形〜細長球形;サイズ600〜1300 g;外皮:明緑色縫合果皮を有する黄色少網目。白色のぱりぱりした、少芳香性の甘い酸果肉。短周期、長期貯蔵寿命、非色変わり、極低クリマクテリック。雄性両性同株Syngenta種子系統。
【0137】
メハリ:シャレンタイズ類のSyngentaからの雌雄同株ハイブリッドである。色変わり中期貯蔵寿命。
【0138】
L53:シャレンタイズ類のSyngentaからの雄性両性同株系統。色変わり中期貯蔵寿命。小サイズ円形扁平形状。色変わりシャレンタイズ類のヌンヘムの雌雄同株ハイブリッドであるルナスターから得られる。
【0139】
TD:シャレンタイズ類のSyngentaからの雌雄同株系統。非色変わりおよび長期貯蔵寿命。非色変わりシャレンタイズ類のLimagrainからの雌雄同株ハイブリッドであるトルネード(TORNADO)品種から得られる。
【0140】
本明細書中で引用される参考文献はすべて、それらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。範囲が本明細書中で開示される場合、これらの範囲内に入る個々の数値もすべて本発明の一部である、と理解される。
【0141】
以下の実施例は、本発明の用途の例示を提供するよう意図される。以下の実施例は、本発明の範囲を完全に定義するかそうでなければ制限するようには意図されない。
【実施例】
【0142】
実施例1:メロン抽出物の調製
約400 gの一切れをメロン果実から得て、種子および果皮(厚み1 cm)を除去した。果肉を小部分に切断して、これを、平滑スラリーが得られるまで、Warringミキサー中で30秒間混ぜ合わせた。スラリーをワットマン濾紙上で濾過し、エッペンドルフ遠心分離機中でジュースを10.000gで遠心分離して、−20℃で保存した。
【0143】
実施例2:クエン酸含量の決定
実施例1で調製した試料をクエン酸塩溶解物(CL)とともにインキュベートして、クエン酸をオキサロ酢酸塩および酢酸塩に転化した。酵素リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の存在下で、オキサロ酢酸塩およびその脱カルボキシル化誘導体ピルビン酸塩をNADHでそれぞれL‐リンゴ酸塩およびL‐乳酸塩に還元した。NADHの低減は試料中のクエン酸の量と比例し、340 nmで確定され得る。検定をマイクロプレートで実行した。希釈試料20 μlをマイクロプレートに付加した。NADH、MDHおよびLDHを含有する検定混合物200 μlを付加し、プレートに混合した。CLを含有する出発溶液15 μlを用いて反応を開始した。プレートを混合し、反応を1時間進行させた。マイクロ滴定プレート読取器(KCJuniorソフトウエアおよびコンピューターを伴うBiotek EL808読取器)で340 nmで吸光度値を測定した。検量曲線を用いて、試料中のクエン酸の濃度を算定した。酵素はRoche Diagnosticsから購入した。
【0144】
実施例3:リンゴ酸含量の決定
実施例1で調製した試料をL‐リンゴ酸塩デヒドロゲナーゼ(MDH)およびNAD+とともにインキュベートして、L‐リンゴ酸をオキサロ酢酸塩に転化した。反応の平衡はリンゴ酸塩の側に存在するが、しかし誘導化によりヒドラジンを用いてオキサロ酢酸塩の側に押し進めた。検定中に生成されるNADHは試料中のリンゴ酸含量と比例する。NADHは、リンゴ酸に関する測定値として340 nmで確定され得る。検定をマイクロプレートで実行した。希釈試料20 μlをマイクロプレートに付加した。pH10で、ヒドラジン、MDHおよびNAD+を含有する検定混合物200 μlを付加することにより、反応を開始した。プレートを混合し、反応を1時間進行させた。マイクロ滴定プレート読取器(KCJuniorソフトウエアおよびコンピューターを伴うBiotek EL808読取器)で340 nmで吸光度値を測定した。検量曲線を用いて、試料中のリンゴ酸の濃度を算定した。MDHはRoche Diagnosticsから購入した。
【0145】
実施例4:グルコース、フルクトースおよびスクロース含量の決定
グルコース:
酵素ヘキソキナーゼおよびグルコース‐6‐ホスフェートデヒドロゲナーゼ(G‐6‐PDH)を用いて、グルコースを確定した。グルコースをヘキソキナーゼでリン酸化してグルコース‐6‐ホスフェート(G‐6‐P)として、その後、NADPおよびG‐6‐PDH(それぞれ反応1および2)の助けを借りて脱水して、6‐ホスホグルコネートとした。生成されたNADPH(H‐受容体)の濃度は、初期グルコース濃度と定量的に関連するが、光スペクトルのUV範囲で340 nmで測定した。
【0146】
フルクトース:
同一検定でフルクトースを確定した。酵素ヘキソキナーゼを用いてフルクトースをリン酸化して、フルクトース‐6‐ホスフェート(F‐6‐P)とした。酵素ホスホグルコース‐イソメラーゼ(PGI)を用いてF‐6‐PをG‐6‐Pに転化し、その後上記の反応2に記載されたように6‐PGとした。
【0147】
スクロース:
酵素β‐フルクトシダーゼを用いて、スクロースをグルコースに転化した。生成されたグルコースを、上記のような反応1および2に従って確定した。マイクロ滴定プレートで確定を実行し、吸光度値をマイクロ滴定プレート読取器(データ収集ソフトウエアおよびコンピューターを伴うBiotek EL808)で測定した。酵素は、Roche Diagnosticsから購入した。
【0148】
実施例5:pHの測定
標準溶液でpH4およびpH7に正しく調整されたCRIMSON GLP21 pH計を用いて実施例1に記載したような試料のpHを確定した。
【0149】
実施例6:メロン植物体の栽培条件
異なる場所で異なる条件下で、メロン植物体を栽培した(以下の表5参照)。試験の日付を表6に示し、異なる試験における栽培条件を表7に記載する。
【0150】
【表6】

【0151】
【表7】

【0152】
【表8】

【0153】
【表9】

【0154】
【表10】

【0155】
実施例7:選良系統への低pH形質の移入
1. IND‐35系統を、E1 Ejido Trial Station(スペイン)で、Syngenta選良系統の選択組と交配した。
【0156】
選択系統を以下に示す:
a)‐YUCA‐15:中等度長期周期(果実結実から果実熟成までの時間)での糖蓄積に関する高能力のために選択される。YUCAは、5世代の自家受粉により得られる商標Syngenta種子系統である。それは、ジャパニーズロッキーメロン類で、非色変わりおよび極低クリマクテリックである。
【0157】
b)‐OGEL‐17:中等度短期周期(果実結実から果実熟成までの時間)および中等度に高い糖蓄積能力のために選択される。この系統は、商業用ハイブリッドGUSTALおよびRADICAL(Syngenta Seeds)の親系統間の交配からの品種改良F1からの10世代の自家受粉により得られる商標Syngenta Seeds系統である。それは、ガリア類メロンで、色変わりおよび中クリマクテリックである。
【0158】
F1交配は、自家受粉F2子孫世代を生じる。低pHおよび糖に関して、F2果実を選択した(表8A)。
【0159】
2. 両F2集団を栽培し、Syngenta選良系統の新規選択組とともに植え付けることにより、植物体を他家受粉した:
a)‐IND35/YUCA‐15 F2集団を、商業用ハイブリッドBETULO(Syngenta Seeds)からの5世代自家受粉により得られる商標Syngenta SeedsであるMG.755-68(755)と交配した。それは、緑色果肉、高糖、短周期および相対的に高いクエン酸含量のために選択されるガリア類、色変わりおよび中クリマクテリックメロン類である。
【0160】
b)‐IND35/OGEL‐17 F2集団を、SEN19C8(SN8)と交配した。この系統は、商業用ハイブリッドEARLS SEINU(Yae Nogey Seeds Co. Isahaya, Nagasaki, Japan)の6世代自家受粉により得られる商標Syngenta Seeds系統で、非色変わりおよび極低クリマクテリックである。それは、高糖および網目模様のために選択されるジャパニーズロッキーメロン類である。
【0161】
これらの集団では、低pH形質に関する単一優性遺伝子調節を、そして糖蓄積と上記低pH間に連鎖が存在しないことを立証した(表3)。各集団(各々150植物体)から、高R.I. ブリックス度および最低pHを含む組換え体を選択した。他家受粉種子子孫を収集した。F2集団a)から選択される交配子孫は、以下のように同定される植物体を包含した:755YUCIND‐19、755YUCIND‐49、755YUCIND‐75。
【0162】
F2集団b)から選択されるものは、以下のように同定される植物体を包含した:SN8OGLIND‐03。
【0163】
スクロース蓄積に関して、755YUCIND系統を選択した。クエン酸蓄積に関して、SN8OGLINDを選択した。これらの交配子孫を栽培し、pH、糖および有機酸含量に関するデータを得た。高糖、低pHおよび高クエン酸含量を併有する系統を選択した。選択植物体の分析を、表8Bに示す。
【0164】
【表11】

【0165】
【表12】

【0166】
【表13】

【0167】
【表14】

【0168】
【表15】

【0169】
【表16】

【0170】
実施例8:SOLAZへの形質浸透交雑
低pH形質を、球形形状および黄色縫合果皮を有する白色果肉非クリマクテリックLSLメロン中に遺伝子浸透させた。
【0171】
1. 選択SN8OGLIND‐103子孫植物体を、IOTYU(伝統的放任受粉ジャパニーズ品種マクワウリEUYU(Nanto seed Co. Ltd, Kashiwara, Nara, Japan)からの自家受粉世代により得られる商標Syngenta Seeds系統である)と交配させた。それは、非クリマクテリック、非色変わり、極高糖含量、高クエン酸含量、黄色外皮のために選択した。
【0172】
2. 前の交配からの子孫の選択植物体を、SOLAR‐19(商業用ハイブリッドSOLARKING F1(Nunhems Zaden BV, Haelen, Holland)からの5世代自家受粉により得られる商標Syngenta Seeds系統である)と交配させた。それは、非クリマクテリック、極高糖含量、白色果肉、黄色および網目外皮のために選択される長期貯蔵寿命、非色変わりガリアメロン類である。
【0173】
これらの交配子孫から、7周期の自家受粉を実施した。pH、糖および有機酸含量に関する分析データ(表8Cおよび8D)を用いて、自家受粉子孫における選択および固定を実行した。固定系統子孫を選択した:
A)SOLAZ 1(高糖蓄積、うどん粉病菌耐性に関する組合せで低pHとして選択される)ならびに夏季成長適応を有する植物体(表8EおよびF)。
B)SOLAZ 2(中糖蓄積との組合せで低pHとして選択される)ならびに春季成長適応を有する植物体(表8EおよびF)。
【0174】
3. 前記の起源を有するともに子孫Syngenta系統である交配YUCA‐15×SOLAR‐48からの品種改良ハイブリッドMD.997 F1からの6世代自家受粉により得られる3つの子孫Syngenta Seeds系統YUSOL 1、2&3との交配のための雄性花粉媒介者として、子孫SOLAZ 1およびSOLAZ 2を用いた。
【0175】
以下のF1組合せを得た:
A)YUSOL 1/SOLAZ 1;YUSOL 1系統の花粉媒介者としてSOLAZ 1を用いる場合。
B)YUSOL 2/SOLAZ 1;YUSOL 2系統の花粉媒介者としてSOLAZ 1を用いる場合。
C)YUSOL 3/SOLAZ 2;YUSOL 3系統の花粉媒介者としてSOLAZ 2を用いる場合。
これらの選択植物体および市販対照の分析を、表9および10に示す。実施例6に記載した条件下で、植物体を栽培した。各実験で試験した果実の番号を示す(果実番号)。実施例1〜5に記載したように、測定を実行した。スクロース(suc)、ヘキソース(hex)および総糖に関する数値は、g/100 g新鮮重量(fwt)である。クエン酸およびリンゴ酸に関する数値は、mg/100 g新鮮重量(fwt)である。
【0176】
【表17】

【0177】
【表18】

【0178】
【表19】

【0179】
【表20】

【0180】
実施例9:YUSAZ Aへの形質浸透交雑
低pH形質を、球形形状および黄色縫合果皮を有する緑色果肉非クリマクテリックLSLメロン中に遺伝子浸透させた。
【0181】
1. 上記のMG.755-68系統を反復親として用いて、755YUCIND‐19系統から、直接戻し交配を行なった。
【0182】
前記交配からの子孫の選択植物体を、上記の姉妹系統と同じ起源からの5世代自家受粉により得られるYUCA‐64商標Syngenta Seeds系統と交配させた。
【0183】
緑色果肉、非色変わり、非クリマクテリック長期貯蔵寿命、極高糖含量の、非常にぱりぱりしたスイカテクスチャーおよび縫合のために、この系統を選択した。
【0184】
この交配子孫からの3周期の自家受粉を実行した。pH、糖および有機酸含量に関する分析データ(表8C〜8E)を用いて、自家受粉子孫における選択および固定を実行した。
【0185】
2. 上記で生じた子孫からの選択植物体を、上記の商標Syngenta Seeds系統YUSOL.3と交配した。この系統を、緑色果肉、短い周期、極高糖、黄色外皮および縫合のために選択した。
【0186】
前記の交配子孫からの5周期の自家受粉を行なった。選択および固定品種改良過程は、短期周期、緑色果肉、ぱりぱりしたスイカテクスチャーおよび黄色外皮に関して自家受粉子孫に集中した。選択および固定は、pH、糖および有機酸含量に関する分析データに手助けされる。そのように選択され、固定された子孫であるYUSAZ A系統が存在した。
【0187】
3. 3つの商標Syngenta Seeds系統、上記の商標Syngenta Seeds系統であるYUSOL 1との交配のための雄性花粉媒介者として、YUSAZ A系統を用いた。F1組合せ:YUSOL 1/YUSAZ Aを得た。
【0188】
これらの選択植物体の分析を、表11に示す。実施例6に記載した条件下で、植物体を栽培した。各実験で試験した果実の番号を示す(果実番号)。実施例1〜5に記載したように、測定を実行した。スクロース(suc)、ヘキソース(hex)および総糖に関する数値は、g/100 g新鮮重量(fwt)である。クエン酸およびリンゴ酸に関する数値は、mg/100 g新鮮重量(fwt)である。
【0189】
【表21】

【0190】
【表22】

実施例10:YUSAZ Bへの形質浸透交雑
低pH形質を、球形形状および黄色縫合果皮を有する緑色果肉非クリマクテリックLSLメロン中に遺伝子浸透させた。
【0191】
1. 上記の交配SN8OGLIND‐103×IOTYU子孫の選択植物体を、再びIOTYU、非色変わりおよび極低クリマクテリック、緑色果肉メロンと戻し交配した(表8D参照)。
【0192】
前記交配からの子孫の選択植物体を、上記の姉妹系統と同じ起源からの5世代自家受粉により得られるYUCA‐40商標Syngenta Seeds系統と交配した(表8E参照)。
【0193】
緑色果肉、非クリマクテリック長期貯蔵寿命、極高糖含量の、非常にぱりぱりしたスイカテクスチャーおよび縫合のために、この系統を選択した。
【0194】
2. 前のものから1周期の自家受粉後に生じた子孫からの選択植物体を、上記の商標Syngenta Seeds系統YUSOL.3と交配した。この系統を、緑色果肉、短い周期、極高糖、黄色外皮および縫合のために選択した(表8F参照)。
【0195】
前記交配子孫からの5周期の自家受粉を行なった。自家受粉子孫を、緑色果肉、ぱりぱりしたスイカテクスチャー、高クエン酸含量および黄色外皮のために選択した。
【0196】
3. 選択および固定は、pH、糖および有機酸含量に関する分析データに手助けされた。固定系統子孫YUSAZ Bを選択した(表12)。
【0197】
YUSAZ Bは、「クエン酸+」メロン植物体の一例である。
【0198】
3つの商標Syngenta Seeds系統、上記の商標Syngenta Seeds系統であるYUSOL 1との交配のための雄性花粉媒介者として、YUSAZ B系統を用いた。F1組合せ:YUSOL 1/YUSAZ Bを得た(表12)。
【0199】
実施例6に記載した条件下で、植物体を栽培した。各実験で試験した果実の番号を示す(果実番号)。実施例1〜5に記載したように、測定を実行した。スクロース(suc)、ヘキソース(hex)および総糖に関する数値は、g/100 g新鮮重量(fwt)である。クエン酸およびリンゴ酸に関する数値は、mg/100 g新鮮重量(fwt)である。
【0200】
【表23】

【0201】
実施例11:MEHARI F1への形質浸透交雑
低pH形質を、橙色果肉メロン中に遺伝子浸透させた。選択標的は、2つの低pHバージョン(高クエン酸含量を有するものと、低クエン酸含量を有するもの)への商業用ハイブリッドMEHARI(Syngenta Seeds)の転化である。
【0202】
1. 商標Syngenta SeedsであるL53系統を反復親として用いて、755YUCIND‐49および755YUCIND‐75系統から、直接戻し交配を行なった。L53は、高糖、低クエン酸含量のために選択されるシャレンタイス類メロンである。L53は、商業用ハイブリッドMEHARIの親である(表8F参照)。
【0203】
戻し交配過程中、ならびに各交配の子孫内で、反復L53により近い他の形質の他に、低pHおよび多少の酸知覚(より高いまたはより低いクエン酸含量)を有する植物体を選択した。
【0204】
二次戻し交配(三次交配)後、以下の子孫を得た:
a)L53)3)×755YUCIND75-15/03/06/(低pHおよび低クエン酸含量のために選択)
b)L53)3+)×755YUCIND49-8/2/03/05/(低pHおよび高クエン酸含量のために選択)。
これらの交配子孫からの4周期の自家受粉、ならびにL53との1回のさらなる戻し交配を実行した。自家受粉子孫における選択および固定品種改良過程は、pH、糖および有機酸含量に関する分析データに手助けされる。
【0205】
固定系統子孫を選択した:
A)L53AZ A(前記集団a)から選択され、低クエン酸含量および低pHのために、ならびに反復L53に近い他の形質のために固定される)。
L53AZ A系統は、「クエン酸−」メロン植物体の一例である。
B)L53AZ B(前記集団b)から選択され、低pHおよび高クエン酸含量のために、ならびに反復L53に近い他の形質のために固定される)。
【0206】
低pH形質の存在下での強橙色果肉色のための植物体も選択した。果肉中の橙色の強度は、一般に貧橙色強度は果実果肉中の酸と低pH内で関連する傾向があるので、特に選択されねばならない(表4参照)。
【0207】
子孫系統L53AZ AおよびL53AZ B、ならびにL53系統を、MEHARIの他の親系統との交配に用いて、それぞれMEHARI AZ A、MEHARI AZ Bおよび一般商業用F1であるMEHARIを得た。
【0208】
これらの製品、系統および交配のすべてを作物学的試験において試験し、分析データを果実から収集した(表13)。
【0209】
実施例6に記載した条件下で、植物体を栽培した。各実験で試験した果実の番号を示す(果実番号)。実施例1〜5に記載したように、測定を実行した。スクロース(suc)、ヘキソース(hex)および総糖に関する数値は、g/100 g新鮮重量(fwt)である。クエン酸およびリンゴ酸に関する数値は、mg/100 g新鮮重量(fwt)である。
【0210】
【表24】

【0211】
【表25】

実施例12:感覚分析
本発明の植物体の果実の感覚分析を、エキスパートパネルにより実施した。パネルは、メロンテクスチャー、糖味および酸味を説明するために特に訓練された12名で構成された。6つの訓練セッションを実行した後、専門セッションを実行した。試験の訓練プログラムを以下に示す:
訓練1:テイスティングの用語集の読み合わせ。集会室での6つの製品の表記ならびにどの記述語が一致し難いかを見極めるための考察。
訓練2:パネルが記述語を個人的に評価する方法を知るための感覚分析の実験室における2つの製品+2反復物の表記。
訓練3:訓練2の結果がパネルに提示される。集会室での2製品+2反復物の表記、ならびに考察。個々の居室での2製品の表記。
訓練4:これらの記述語におけるパネルの困難性を評価するための異なる濃度での糖および酸溶液に関する作業。訓練3の結果がパネルに提示される。集会室での3製品+1反復物の表記、ならびに考察。個々の居室での3製品+1反復物の表記。
訓練5:集会室での4製品の表記、ならびに個々の居室での2製品+2反復物の表記。それにより、セッション内の味鑑定人の反復可能性を検査できる。酸溶液における作業。
訓練6:集会室での3製品の表記、ならびに個々の居室での2製品+2反復物の表記。それにより、セッション内の味鑑定人の反復可能性を検査できる。
【0212】
個々の居室を備えた空調感覚分析実験室で、感覚分析を実行した。10点(0から9まで)での引用語句の構造化スケールを、以下の記述語に伴って用いた:
【0213】
甘味度
定義:それは、口中で知覚される甘味の知覚についてである。評価方式:それが消失するまで、製品を噛む。甘味の強度を概算する。表記:0=甘味なし、9=非常に甘い。
【0214】
酸味度
定義:それは、口中で知覚される酸味の知覚についてである。評価方式:それが消失するまで、製品を噛む。酸味の強度を概算する。表記:0=酸味なし、9=非常に酸っぱい。
【0215】
調製プロトコール
‐冷水中でのメロンの洗浄
‐メロンの縦断
‐パルプおよび種子の除去
‐メロンの各半分を3部に切断(縦断)
‐3部の端の除去
‐メロンの半分で6部を有するために各部分を2つに切断する。
【0216】
製品の調製
‐無作為数で暗号化された、そして提示順の影響を回避する提示プラン(ラテン方陣)による試料を提示する。
‐製品を次々に得る。
【0217】
表14および15は、異なる果実に関して実行した2つの感覚分析の結果を示す。表14では、3月初旬に植物の種を蒔き、4月初旬に蔓作物として開放型保護フィールドに移植した。7月初旬に果実を収穫した。表14Aでは、果実を10℃で7〜12日間、その後20℃で2日間保存した。表14Bでは、果実を10℃で4〜8日間、その後20℃で2日間保存した。
【0218】
表15では、8月初旬に植物の種を蒔き、8月下旬に支柱栽培作物としてビニールハウスに移植した。11月初旬に果実を収穫した。果実を5℃で4〜8日間、その後20℃で3日間保存した。
【0219】
表中に示した果実番号に関して、感覚分析を実施した。12名の有資格味鑑定人により、各果実を試験した。各系統に関する酸味および糖味に関する数値は、果実数×12(12名の味鑑定人)の平均を表わす。表14および15は、試験した果実に関するpH、ならびに糖および有機酸の含量の測定値も示す。
【0220】
【表26】

【0221】
【表27】

【0222】
【表28】

【0223】
【表29】

【0224】
実施例13:分子マーカー分析
若葉(15日齢苗木)からDNAを抽出した。Dellaportaの方法(Dellaporta 1983)に従って、葉を凍結乾燥し、DNAを抽出した。
【0225】
PCRサイクル条件を以下に示す:94℃で15秒変性、その後54℃で15秒変性、ならびに72℃で30秒伸長を40サイクル。試料のDNAを最初に94℃で2分間変性し、そしてPCR後に72℃で2分間伸長させた。
【0226】
PCRミックスは、1.65 mMのMgCl2、60 mMの各デオキシリボヌクレオチド、1×Taq緩衝液、0.2単位のTaqポリメラーゼ、15〜20 ngの鋳型DNA、ならびに400 nMの各非蛍光プライマーまたは200 nMの各蛍光標識プライマーを含有した。蛍光プライマーを、6‐FAM、NEDまたはHEXで標識した。蛍光PCR産物をABI3700毛管シーケンサー上で分離して、Applied BiosystemのGenescanおよびGenotyper断片分析ソフトウエアを用いて、それらのサイズを測定した。
【0227】
冷却系を用いて400 Vで、3%アガロースゲル(Resophor, Eurobio)中での電気泳動により、非蛍光PCR産物を分離した。ゲルを臭化エチジウムで染色した。3つのマーカー、CMAT141(Danin-Poleg et al. (2001) Theor. Appl. Genet. 102: 61-72およびDanin-Poleg et al. (2002) Euphytical 125: 373-384に記載)、ならびにNE0585およびNE1746を用いた。これらのマーカーに関するプライマーを以下に示す。
【0228】
【表30】

【0229】
実施例14:寄託物の分析
低pH形質を含む多数のメロン寄託物を、上記のマーカーを用いて分析した。増幅断片のサイズを、以下の表16に報告する。指示サイズ(bpで)は絶対的なものではなく、同一プライマー対で検出された他のサイズの産物との比較である。増幅断片の実(正確な)サイズ(例えばシーケンシングにより確定)は、本明細書中に示したものとわずかに異なり得る。
【0230】
【表31】

【0231】
実施例15:植物体上に保持される果実の果実特質の進化
上記の表15中の植物体と同様に、植物体を栽培した。収穫日(HDT)と受粉日(PDT)との間の差により算定される異なる成熟時点(サイクル)で、果実を収穫した。成熟度とは、サイクル中の特定時点での果実に関するスクロース含量の平均が2.0 gのスクロース/100 g fwtに達した場合、そして側葉老化のような熟成兆候を用いて、サイクル中の特定時点に達したとみなされた。結果を表17に示す。
【0232】
結果は個々の果実測定値に基づいており、そして損傷、異所性発育またはその他の環境的因子のため、いくつかの果実は逸脱する値を生じ得る、と理解される。
【0233】
【表32】

【0234】
【表33】

【0235】
【表34】

【0236】
【表35】

【0237】
【表36】

【0238】
【表37】

【0239】
【表38】

【0240】
【表39】

【0241】
実施例16:果実特質の収穫後進化
A. 試験SP03OFの植物体の果実(表6および7C参照)を収穫し、12℃で1週間、その後20℃で3日間、あるいは12℃で6週間、その後20℃で2日間保存した。果実の特質を貯蔵後に測定した。それを表18に示す。
【0242】
B. 上記の表14における植物体と同様に、植物体を栽培した。果実を収穫し、12℃で1週間、その後20℃で3日間保存した。果実の特質を貯蔵後に測定した。それを表19に示す。
【0243】
【表40】

【0244】
【表41】

【0245】
【表42】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実を産生し得るメロン植物体(Cucumis melo)であって、前記果実が成熟時に、以下の:
a)少なくとも約400 mgのクエン酸/果実100 g;
b)約4.2〜約5.6のpH;ならびに
c)少なくとも約5.0 gの糖/果実100g
を含むメロン植物体。
【請求項2】
前記果実中のクエン酸対リンゴ酸の比が4.4より大きい請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項3】
前記果実が約85 mg未満のリンゴ酸/果実100 gを含む請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項4】
前記果実が約1.6〜約3.8の平均酸味および約4.3〜約5.8の平均糖味を含む請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項5】
前記果実が約2.5〜約3.8の平均酸味および約4.3〜約5.6の平均糖味を含む請求項4に記載のメロン植物体。
【請求項6】
前記果実が約1.6〜約3.0の平均酸味および約5.2〜約5.8の平均糖味を含む請求項4に記載のメロン植物体。
【請求項7】
約168 bp〜約178 bpのDNA断片が、マーカーCMAT141のプライマーが用いられる場合、前記植物のDNAから増幅される請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項8】
前記DNA断片が168 bp、173 bp、169 bp、172 bpまたは178 bp長である請求項7に記載のメロン植物体。
【請求項9】
約218 bp〜約253 bpのDNA断片が、マーカーNE0585のプライマーが用いられる場合、前記植物のDNAから増幅される請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項10】
前記DNA断片が230 bp、232 bp、218 bp、229 bp、234 bpまたは239 bp長である請求項9に記載のメロン植物体。
【請求項11】
約121 bp〜約145 bpのDNA断片が、マーカーNE1746のプライマーが用いられる場合、前記植物のDNAから増幅される請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項12】
前記DNA断片が124 bp、127 bp、133 bp、142 bpまたは145 bp長である請求項11に記載のメロン植物体。
【請求項13】
前記果実のpHが、前記果実が植物体上に保持される場合、前記果実が成熟後少なくとも2日後に約4.2〜約5.6の前記範囲内のままである請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項14】
前記果実が収穫され、そして20℃で少なくとも5日間、あるいは8〜12℃で少なくとも7日間、その後、20℃で3日間、貯蔵し続けられる場合、前記果実のpHが約4.2〜約5.6の前記範囲内のままである請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項15】
前記果実が植物体上に保持される場合、前記果実が成熟した後少なくとも2日間、前記果実のクエン酸が約400 mg/果実100 gであるかまたはそれより多いままである請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項16】
前記果実が収穫され、そして20℃で少なくとも5日間、あるいは8〜12℃で少なくとも7日間、その後、20℃で3日間、貯蔵し続けられる場合、前記果実のクエン酸が約400 mg/果実100 gであるかまたはそれより多いままである請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項17】
前記果実が植物体上に保持される場合、前記果実が成熟した後少なくとも2日間、前記果実のクエン酸対リンゴ酸比が4.4より大きいままである請求項2に記載のメロン植物体。
【請求項18】
前記果実が収穫され、そして20℃で少なくとも5日間、あるいは8〜12℃で少なくとも7日間、その後、20℃で3日間、貯蔵し続けられる場合、前記果実のクエン酸対リンゴ酸比が4.4より大きいままである請求項2に記載のメロン植物体。
【請求項19】
前記植物体が低色変わりまたは非色変わり果実を産生し得る請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項20】
前記植物体が低クリマクテリック型または非クリマクテリック型果実を産生し得る請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項21】
前記果実の果肉が橙色、白色、緑色または黄色である請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項22】
前記果実の中果皮が前記果実の総新鮮重量の50%より多い請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項23】
前記メロン植物体が低pH遺伝子を含む請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項24】
前記低pH形質が、その代表的種子が寄託番号NCIMB 41202で寄託されるIND‐35系統の植物、あるいは前記系統IND‐35の子孫から得られる請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項25】
前記低pH遺伝子が前記植物体において同型接合性または異型接合性である請求項24に記載のメロン植物体。
【請求項26】
前記果実が成熟時に、以下の:
a)約600 mg〜約1,200 mgのクエン酸/果実100 g
b)約4.2〜約5.1のpH;
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/果実100 g
を含む請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項27】
前記果実が成熟時に、以下の:
a)約400 mg〜約650 mgのクエン酸/果実100 g
b)約4.6〜約5.6のpH;
c)約5.0 g〜約15.0 gの糖/果実100 g
を含む請求項1に記載のメロン植物体。
【請求項28】
前記植物体が近交系である請求項1〜27のいずれか一項に記載のメロン植物体。
【請求項29】
前記植物体がハイブリッドである請求項1〜27のいずれか一項に記載のメロン植物体。
【請求項30】
前記植物体が二ゲノム性半数体である請求項1〜27のいずれか一項に記載のメロン植物体。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか一項に記載のメロン植物体の種子。
【請求項32】
請求項1〜30のいずれか一項に記載のメロン植物体の果実。
【請求項33】
請求項1〜30のいずれか一項に記載のメロン植物体の果肉。
【請求項34】
果肉切断製品における請求項32に記載のメロン植物体の果実の使用。
【請求項35】
果肉切断製品における請求項33に記載のメロン植物体の果肉の使用。
【請求項36】
第一メロン植物体の果実のクエン酸含量の増大方法であって、以下の:
a)第一メロン植物体を取得し;
b)前記第一メロン植物体を低pH形質を含む第二メロン植物体と交差し;
c)子孫メロン植物体を得て;
d)前記子孫メロン植物体のpHを確定し;そして
e)前記第一メロン植物体の果実と比較した場合に、クエン酸含量増大および低pHを有する前記子孫メロン植物体の果実を選択する
過程を包含する方法。
【請求項37】
前記第一メロン植物体と比較した場合に、前記子孫メロン植物体の果実のクエン酸含量が約1.5〜約3倍だけ増大され、そして前記果実のpHが約1〜約2.5pH単位だけ低減される請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第二メロン植物体が、その代表的種子が寄託番号NCIMB 41202で寄託されるIND‐35系統の植物、あるいは前記系統IND‐35の子孫である請求項36に記載の方法。
【請求項39】
果実を産生し得るメロン植物体であって、前記果実が成熟時に約1.6〜約3.8の平均酸味および約4.3〜5.8の平均糖味を含むメロン植物体。
【請求項40】
前記果実が成熟時に約2.5〜約3.8の平均酸味および約4.3〜5.6の平均糖味を含む請求項39に記載のメロン植物体。
【請求項41】
前記果実が成熟時に約1.6〜約3.0の平均酸味および約5.2〜5.8の平均糖味を含む請求項39に記載のメロン植物体。
【請求項42】
前記果実が約4.2〜約5.6のpHを有する請求項39に記載のメロン植物体。
【請求項43】
前記果実が少なくとも約400 mg/果実100 gのクエン酸含量を有する請求項39に記載の植物体。
【請求項44】
前記果実が少なくとも約5.0 gの糖/果実100 gの糖含量を有する請求項39に記載の植物体。
【請求項45】
請求項40〜44のいずれか一項に記載のメロン植物体の種子。
【請求項46】
請求項40〜44のいずれか一項に記載のメロン植物体の果実。
【請求項47】
請求項40〜44のいずれか一項に記載のメロン植物体の果肉。
【請求項48】
果肉切断製品における請求項46に記載のメロン植物体の果実の使用。
【請求項49】
果肉切断製品における請求項47に記載のメロン植物体の果肉の使用。

【公表番号】特表2007−520216(P2007−520216A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548228(P2006−548228)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000091
【国際公開番号】WO2005/068637
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】