新脈管形成を調節するα5β1インテグリンへのキメラ及びヒト化抗体
本発明は、特異的にα5β1インテグリンを認識する、キメラ及びヒト化抗体、及び組織中で新脈管形成を減少させ、又は阻害するための抗体の使用方法を提供する。また、抗体及び当該同一物を含む医薬組成物の医薬的に許容され得る投与を決定する方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α5β1インテグリンを特異的に認識するキメラ及びヒト化抗体、並びに組織中の新脈管形成を減少又は阻害するための当該抗体の使用方法を提供する。更に抗体の治療的に許容され得る投与の決定方法、及び同一物を含む医薬組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
新脈管形成とは、新しい血管が形成される工程をいう。新脈管形成は、更に新生血管形成とも呼ばれ、正常では胚発生及び発達の間に起こり、そして十分に発達した組織では傷の治癒及び胎盤発達の間に起こる。更に、新脈管形成は、様々な病理学的症状:糖尿病性網膜症及び新生血管形成による黄斑変質のような視覚疾患;リウマチ性関節炎及び炎症性腸疾患のような組織の炎症に関連する症状;並びに腫瘍細胞へ酸素と栄養を供給されて成長している腫瘍中で血管を形成している癌、及び体中に転移する腫瘍細胞を経由して供される癌、を含む中で起こる。全世界の数百万人もの人が、これらの疾患で苦しんでいるので、かかる所望されない新脈管形成の検出及び予防方法を開発するために、新脈管形成に関与するメカニズムを理解するためにかなりの努力がされた。
【0003】
新脈管形成は、1以上の公知の成長因子による刺激への応答において発生し、そして未だ同定されていない他の因子も関与するであろう。成熟血管を覆う細胞である内皮細胞は、通常は増殖しない。しかしながら適切な刺激に対する応答の中で、内皮細胞は活性化され、そして増殖を開始し、そして新しい血管を形成するために血管化されていない組織中へと移動する。いくつかのケースでは、前駆細胞は新しい血管を形成する内皮細胞へと分化するために活性化される。
【0004】
血管は細胞外マトリックスにより囲まれている。更に成長因子により刺激されるために、新脈管形成は細胞外マトリックスによる内皮細胞同士の相互作用に依存する。成長因子による内皮細胞の活性化、並びに細胞外マトリックス中への移動及び互いの相互作用は、内皮細胞により発現される細胞表面受容体に依存する。これらの成長因子受容体及びインテグリンを含む表面受容体は、特定分子により特異的に相互作用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
年齢に関連する黄斑変質、及び糖尿病性網膜症のような病理学的症状では、網膜への酸素の利用能が減少し、血管内皮成長因子(VEGF)のような新脈管形成成長因子の分泌を刺激する低酸素症がもたらされる。この分泌は眼組織への内皮細胞の異常な移動及び増殖を引き起こす。これは視覚組織の血管化をもたらし、そして角膜の傷、網膜剥離、及びコロイド中の流体物蓄積を誘発することができ、それぞれが視覚に悪影響を与え、そして失明へと導く。
【0006】
新脈管形成は、乾癬、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、及び潰瘍性大腸炎及びクーロン病のような炎症性腸疾患を含む、炎症性疾患の進行及び悪化にも関連する。炎症性関節疾患、例えば関節を取り巻く領域へのリンパ球の流入では、滑膜表層での新脈管形成を刺激する。この増加した脈管構造は、関節中の軟骨と骨の破壊を促進する白血球のより多くの流入手段を提供する。脈管形成性血管新生では、腸において同様な効果をもたらす炎症性腸疾患を発生させる。
【0007】
冠状動脈におけるアテローム性動脈硬化症のプラークへの毛細血管成長は、新脈管形成を誘導する成長因子に関連する他の病理学的症状を表す。新生血管が形成されるプラーク中への過剰な血流は、血液で満たされたプラークの破裂及び出血をもたらすことができ、放出された血液凝固物は冠動脈血栓症をもたらし得る。
【0008】
癌、視覚疾患、及び炎症性疾患のような、かかる異なる疾患における新脈管形成の関与は、これらの疾患を治療するための手段として新脈管形成を特異的に阻害する方法を同定するための努力を導いた。癌患者のための、かかる治療方法は、標的腫瘍細胞だけでなく、患者の中で正常に増殖する血液細胞、上皮細胞、及び腸管腔を覆う細胞等の細胞も殺し又は傷つけるような現行の化学療法として使用される方法をしのぐ実質的な利点を提供することができる。化学療法作用物質によるかかる非特異性殺傷は、良くても不快な副作用をもたらし、そしてしばしば患者が受け入れがたい病的状態、又は死をもたらし得る。事実、所望されない副作用は、患者が受け入れ得る治療をしばしば制限する癌治療に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概略
本発明は、α5β1インテグリンに対する治療的キメラ及びヒト化抗体;これらの抗体の精製方法、及び所望されない組織での新脈管形成を含む症状の治療におけるそれらの使用方法を提供する。
【0010】
1の態様では、本発明は、SEQ ID NOS:1-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定される1以上のアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有するキメラ又はヒト化抗−α5β1インテグリン抗体のポリペプチドをコードする核酸を含んで成る。最適には、当該核酸は、SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定されたアミノ酸配列を含むキメラ又はヒト化抗−α5β1インテグリン抗体のポリペプチドをコードする。この核酸によりコードされるペプチドは、一本鎖抗体又はFabであってよく、更にジスルフィド架橋により結合したいくつかのペプチドを含むFab又は抗体であってよい。
【0011】
本発明はSEQ ID NOS:1-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定される1以上のアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有する。最適には核酸は、SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定された1以上のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。これらのポリペプチドは、キメラ、ヒト及びヒト化抗体並びにFabフラグメントを含む。
【0012】
他の態様では、本発明はキメラ抗-α5β1インテグリン抗体を含む。これらの抗体は、SEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22から成る群から選定されたアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性、を有するアミノ酸配列を含む第一の出所からの第一のポリペプチドを含み;そして第二の出所の抗体の不変領域と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性、を有する第二の出所からの第二のポリペプチドを含み、ここで第一及び第二のポリペプチドは、α5β1インテグリンと免疫反応性であるタンパク質複合体を形成する。好適な態様では、不変領域の第二の出所がヒトIgGである。他の好適な態様は、不変領域がヒトIgG4である。
【0013】
他の好適な態様は、キメラ抗体は、SEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22から成る群から選定された1以上のアミノ酸配列を含む第一の出所からの第一のポリペプチド配列を含み;そして第二の出所の抗体の不変領域を含む第二の出所からの第二のポリペプチド配列を含み、ここで第一及び第二のポリペプチド配列は、α5β1インテグリンと免疫反応性であるタンパク質複合体を形成する。
【0014】
最適な態様では、本発明は重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:25及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むキメラ抗-α5β1インテグリン抗体を含む。
【0015】
他の態様では、本発明はSEQ ID NO:19を含むキメラ抗−α5β1インテグリン抗体重鎖可変領域、及びSEQ ID NO: 21を含むキメラ抗−α5β1インテグリン抗体重鎖可変領域をコードする核酸を含む。
【0016】
更なる好適な態様では、本発明は重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:25及び軽鎖をアミノ酸配列SEQ ID NO:26含む、キメラ抗−α5β1インテグリン抗体由来のFabフラグメントを含む。最適な態様では、当該Fabフラグメントは、重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:28及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含む。
【0017】
更なる好適な態様では、本発明は、重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:25及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むキメラ抗−α5β1インテグリン抗体から由来するヒト化抗体を含む。最も好適な態様では、ヒト化抗体は重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:28及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含む。
【0018】
他の態様において、本発明は、SEQ ID NOS:15、17、19、21、23、24、27、29、30から成る群から選定された任意の1以上の核酸を含む発現ベクターを含む。好適な態様では、発現ベクターは、SEQ ID NOS:19及び21を含む。
【0019】
他の態様では、本発明は、SEQ ID NOS:15、17、19、21、23、24、27、29、30から成る群から選定された任意の1以上の核酸を含む発現ベクターにより形質転換された細胞を含む。好適な態様では、発現ベクターはSEQ ID NOS:19及び21を含む。
【0020】
他の態様では、本発明は本明細書において発表するキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体を含む医薬組成物を含む。いくつかの態様では、これらの組成物は、炎症を減少させる治療成分の取り込み又は局在化を増強させる作用物質を含んでよく、或いはさもなければ、局在化緩和を供する作用物質を含んでよい。
【0021】
本態様の1の観点では、医薬組成物は、損傷した組織に直接塗る局所クリームを含む。他の観点では、医薬は損傷した眼に直接適用する点眼溶液である。更に他の観点では、傷ついた個体の片目又は両目の組織を治療するために、或いは腫瘍組織における新生血管形成を妨げるため、全身に適用できる注入可能な医薬である。
【0022】
他の態様では、本発明は損傷組織における血管形成を制御する方法を含む。これらの方法は、物理的又は化学的損傷、或いは疾患の結果と成り得る組織への損傷において、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の1以上の投与を適用させることを含む。
【0023】
他の態様では、本発明は:SEQ ID NOS:2-6、16、20から成る群から選定される配列を有す可変重鎖領域及びSEQ ID NOS:8-12、18、22から成る群から個々に選定される可変軽鎖領域を含む治療抗体を含む医薬を提供し;そして損傷組織へ治療抗体を適用する、を含む治療抗体を投与する方法を含んで成る。当該発明の本態様では、損傷した組織は新生血管形成を通してその血流を増加させることにより損傷へ応答し、そして当該治療抗体は、この新生血管形成を阻害する。1の観点では、当該方法は、両眼に病気を有す個体の疾患眼又は損傷眼中のガラス体中;両眼を治療するに十分である片眼のガラス体に治療抗体を注入することを含む。
【0024】
他の態様では、本発明は抗-α5β1インテグリン抗体の精製のための方法を含む。当該方法は基質と結合した抗体アフィニティーマトリックス上へ抗体を吸着させること、及び約pH3.0 から約pH5.5を有す溶出液を使用して基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから抗体を溶出することを含む。当該方法は、更に精製した抗体を回収することを含んでよい。本手順を用いた精製を受け入れ得る抗体は、アミノ酸SEQ ID NOS:1-12、16、18、20、22において存在する抗体から独立して選定された少なくとも2つの CDR領域を含む抗体を含んで成る。好適には選定されたCDRsの一つが、VL鎖由来及びその他のVH鎖由来である。
【0025】
本精製方法のいくつかの観点では、当該溶出液は約3.3から約5.5のpHを有す。他の観点では、溶出液のpHは約3.5から約5.5である。更に他の観点では約3.5から約4.2のpHを有す溶出液を含む。更なる観点では、約4.2から約5.5の範囲のpHである溶出液を有す。
【0026】
本発明の他の態様では、抗体及びFabフラグメントの両方を含む、ヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的な影響(例えば抗-脈管形成特質)を評価するための方法を含んで成る。本方法は脈管再生可能な生育組織サンプルを提供し;脈絡膜の新生血管形成を生み出すために十分な生育組織中で病変を作り出し;生育組織へ1回以上のヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の投与を適用し;そして投与された再血管新生のための生育組織をモニタリングすることを含んで成る。好適な態様では、当該評価方法は生育組織として眼組織を含む。いくつかの態様では、眼の黄斑を使用する。また考慮すべきは、使用される眼組織が生きている霊長類動物(例えばcynomologousサル)のもので評価される方法であることである。
【0027】
他の態様では、評価方法はキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体をガラス体に注入することを含む。本発明の1の観点は、両眼を損傷した固体への片眼への抗体の注入は、両眼に存在する損傷組織に接触する抗体をもたらす。
【0028】
生理学的な効果を評価するための本法の他の観点は、生育組織をレーザー光に接触させることにより病変を作り出すことを含む。このレーザー光は約300から約700 mワットにすることができ、そしてその暴露時間はわずか0.1秒、好適には0.05秒未満、及び最適には約0.01秒未満にすぎない。病変は直径200μm未満、好適には100μm未満、更に好適には約50から約100μmであるべきであり、そして最適には約75から 25μmである。
【0029】
当該方法のいくつかの観点は、ヒト化抗−α5β1インテグリン抗体を1回以上の投与で適用することにより処置された病変を定期的に撮影することを含むモニタリングステップを含んで成る。他の観点では、モニタリングステップは、更に眼球の後眼房の間接的な検眼鏡検査実験及び前眼部の生体顕微鏡検査実験を含む。他の観点では、当該方法はフルオレセイン染色を静注すること、及びフルオレセイン血管造影法により生育組織を調査することを含むモニタリングステップを含んで成る。
【0030】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的な効果を評価するための方法は、ここでのキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の一の観点も含み、SEQ ID NOS:1-6、16、20から成る群から選定されるアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、更に好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有す可変重鎖領域を含み、並びにSEQ ID NOS:7-12、18、22から成る群からのアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、更に好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を独立に選定し、且つ有す可変軽鎖領域を含む。最適には、ヒト化抗-α5β1インテグリン抗体は、SEQ ID NOS:1-6、16、20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、及びSEQ ID NOS:7-12、18、22から成る群から個々に選定された可変軽鎖領域を含んで成る。
【0031】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的効果を評価するための方法は、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体が、SEQ ID NOS:2-6、16、20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、及びSEQ ID NOS:8-12、18、22から成る群から独立して選定される可変軽鎖領域を含む、という更に1の観点を含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
発明の詳細な説明
I.定義
特に断わりのない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明に属する分野における当業者により一般に理解される意味を有す。以下の参考文献は、本発明において用いられる用語の多くの一般的な定義と共に当業者に提供される: Singleton等., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed.,1988);The Glossary of Genetics, 5th Ed. , R. Rieger 等. (eds. ), Springer Verlag (1991) ;及びHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書において用いられる以下の用語は、特に制限のない限り本来の意味を有す。
【0033】
本明細書において使用される“抗体”とは、免疫学的に特異的な抗原と反応性である免疫グロブリン分子を言うことを含み、そしてポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む。当該用語はキメラ抗体(例えば、ヒト化ネズミ抗体)及びヘテロ接合抗体(例えば2つに特異的な抗体)のような遺伝子操作された形態も含む。当該用語“抗体”とは、抗原−結合能(例えば、Fab'、F((ab')2、Fab、Fv 及びrIgG))を有すフラグメントを含む抗体の形態と結合する抗原も含む。また、Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, IL)を参照。例えばKuby,J.,lmmunology,3rd Ed.,W.H.Freeman&Co.,New York(1998)も参照。当該用語は組換え型一本鎖Fv フラグメント (scFv)とも言う。当該用語抗体は、2価又は2特異性分子、ダイアボディー、トリアボディー、及びテトラボディーも含む。2価及び2特異性分子は、例えばKostelny等.,(1992)J Immunol148:1547,Pack and Pluckthun (1992)Biochemistry 31:1579,Hollinger等.,1993,supra,Gruber等.(1994)J Immunol: 5368,Zhu 等.(1997)Protein Sci6:781,Hu等.(1996)Cancer Res.56:3055,Adams等. (1993)Cancer Res.53:4026,及びMcCartney, 等.(1995) Protein Eng.8:301で発表されている。
【0034】
免疫学的に特異的な抗原と反応性である抗体は、ファージ又は同様のベクター中の組換え抗体ライブラリーからの選定のような組換え方法によって(例えばHuse等., Science 246: 1275-1281 (1989); Ward 等., Nature 341: 544-546 (1989);及びVaughan等., Nature Biotech. 14: 309-314 (1996)参照)、或いは抗原で免疫化した動物又は抗原をコードするDNAにより生産することができる。
【0035】
典型的に、免疫グロブリンは重鎖及び軽鎖を有する。それぞれの重鎖及び軽鎖は、不変領域及び可変領域を含む(当該領域は“ドメイン”としても公知である)。軽鎖及び重鎖の可変領域は3つの超可変領域により中断される4つの“フレームワーク”領域を含み、“相補性決定領域”又は“CDRs”とも呼ばれる。フレームワーク領域及びCDRs の範囲は定義された。異なる軽鎖又は重鎖のフレームワーク領域の配列は、相対的に種内で保存される。軽鎖及び重鎖構成要素が組合されたフレームワーク領域である、抗体のフレームワーク領域は、3次元の空間にあるCDRsを配置するため及び並べるために提供される。
【0036】
CDRsは、主に抗原のエピトープへの結合を担う。それぞれの鎖のCDRsは、N-末端から順番に数えて典型的にCDR1、CDR2、及びCDR3と言い、そして典型的に特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。このようにして、VHCDR3は、それが見出された抗体の重鎖の可変ドメイン中に位置するが、一方、VLCDR1は、それが見出された抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。
【0037】
“VH”に関しては、Fv、scFv、又はFabの重鎖を含む、抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域を言う。“VL”に関しては、Fv、scFv、dsFv又はFabの軽鎖を含む免疫グロブリン軽鎖の可変領域を言う。
【0038】
“一本鎖Fv”又は“scFv”という表現は、伝統的な2本鎖抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメインが結合して1つの鎖を形成した抗体を言う。典型的には、正しいフォールディング及び活性結合サイトの創生のためリンカーペプチドが2つの鎖間に挿入される。
【0039】
“キメラ抗体”とは、(a)不変領域、又はそれらの一部が変化され、置換され、又は変換され、その結果抗原結合サイト(可変領域)が異なる又は変化したクラス、エフェクター機能及び/又は種の不変領域へ結合し、或いはキメラ抗体へ新規特性を与える全体的に異なる分子(例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬剤等)へ結合した免疫グロブリン分子;或いは(b)可変領域又はそれらの一部が、異なる又は変化した抗原特異性を有する可変領域に変化され、置換され、又は変換された免疫グロブリン分子である。
【0040】
“ヒト化抗体”とは、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限配列を含む免疫グロブリン分子である。ヒト化抗体とは、所望される特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)の相補性決定領域(CDR)由来残基で置き換えられた受容抗体のCDR由来残基を有すヒト免疫グロブリン(受容抗体)を含む。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応の非ヒト残基で置き換えられる。ヒト化抗体は、受容抗体中においても、導入されたCDR又はフレームワーク配列中においても、いずれにも見出されない残基を含んでもよい。一般的にヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろうし、その中でCDR領域の全て又は実質的に全ては非-ヒト免疫グロブリンのそれらと一致し、並びにフレームワーク領域(FR)の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン共通配列のそれらである。またヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン不変領域(Fc)の少なくとも一部分を含み、典型的にヒト免疫グロブリンの一部分を含むであろう(Jones等., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann等.,Nature332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992))。ヒト化は本質的には以下の方法(Winter及びco-workers(Jones等., Nature321:522-525(1986);Riechmann等.,Nature332:323-327(1988);Verhoeyen等.,Science239:1534-1536(1988)))で、ヒト抗体の配列と対応するげっ歯動物のCDRs又はCDR配列で置換することにより実施できる。従ってかかるヒト化抗体は、キメラ抗体であり(米国特許No.4,816,567)、ここで完全なヒト可変ドメインと比較した実質的少なさは、非ヒト種由来の対応配列で置き換えられた。
【0041】
“エピトープ”又は“抗原決定基”とは、抗体と結合する抗原上のサイトを言う。エピトープは連続するアミノ酸又はタンパク質の3次フォールディングにより並置された不連続のアミノ酸、の両方により形成することができる。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的に変質溶媒への暴露で保持される一方、3次フォールディングにより形成されるエピトープは、典型的に変質溶媒での処理で失われる。エピトープは独自の立体コンホメーション中に、典型的には少なくとも3つ、及びより通常には少なくとも5又は8−10のアミノ酸を含む。エピトープの立体コンホメーションを決定する方法は、例えば、x-線結晶学及び2-次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed(1996)を参照。
【0042】
“pH-感受性 抗-α5β1インテグリン抗体”とは、特異的にα5β1インテグリンを認識し、そして中性又は塩基性pHでリガンドとしてα5β1インテグリンを用いた免疫精製へかけた場合、溶液からの沈殿物を言う。pH-感受性抗-α5β1インテグリン抗体は、典型的に図1に描かれたVH又はVL配列のいずれかから独立して選定された2以上のCDR配列を含む。
【0043】
“新脈管形成”及び“新生脈管形成”とは、典型的に傷害、損傷、又は疾患への応答における新規血管の形成を言う。本出願の目的のための用語“損傷”、及び同じ文法のバリエーションは、新脈管形成を含む組織応答においてもたらされる傷害、疾患、又は他の事象を含む。新脈管形成は、腫瘍形成及び腫瘍転移、並びに胚形成、成長及び高等動物への発達の間に惹起される。
【0044】
本明細書中における2以上の核酸又はポリペプチド配列との関係での用語“同一の”又はパーセント”同一性”とは、同一である2以上の配列又はサブ配列、或いは以下に記載の欠失パラメーターによるBLAST又はBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いて、或いはマニュアル整列及び視覚検査(例えばNCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等を参照)により測定した場合、同一とされるアミノ酸残基又はヌクレオチドの指定されたパーセンテージ(即ち、比較ウィンドウ又は示された領域で最大限に一致させるため比較及び整列された場合、指定された領域での約60%の同一性 、好適には70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更に高い同一性)を有する2以上の配列又はサブ配列を言う。それ故、かかる配列は“実質的同一”といえる。この定義は検査配列の補足にも言及又は適用してよい。当該定義は欠失及び/又は追加を有す配列、並びに置換を有す配列、並びに、例えば多型体又は対立遺伝子の天然の変異体、及び人工変異体も含む。以下に記載するように、好適なアルゴリズムは、gaps等で説明することができる。好適には、同一性は、少なくとも長さ約25個に渡る領域のアミノ酸又はヌクレオチドにおいて、より好適には長さ50-100個に渡る領域のアミノ酸又はヌクレオチドにおいて存在する。
【0045】
配列の比較のために、典型的に1の配列は、検査配列と比較される対照配列として働く。配列比較アルゴリズムを用いた時、検査及び対照配列はコンピューターに入力され、サブ配列座標が指定され、そしてもし必要ならば、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。好適には、欠失プログラムパラメーターを使用することができ、或いは別のパラメーターを指定することができる。配列比較アルゴリズムは、その後プログラムパラメーターに基づき、対照配列に関連する検査配列についてのパーセント配列同一性を計算する。
【0046】
本明細書において使用される“比較ウィンドウ”とは、典型的に20から600、通常では約50から約200、更に通常では約100から約150から成る群から選定された連続する位置の数の一つのセグメントを言うことを含み、その中で配列は、最適に2つの配列を並べた後、連続する位置の同一数の対照配列と比較することができる。比較のための配列整列方法は当業界において周知である。比較のための最適な配列整列は、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)のローカル相同アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同整列アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc.Nat'1.Acad.Sci.USA85:2444(1988)の類似方法の調査により、それらのアルゴリズムの遂行をコンピュータ化することにより(GAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group,575 Science Dr., Madison,WI)、又はマニュアル整列及び視覚検査により(例えば分子生物学における現行プロトコール(Ausubel等.,eds.1995追補)参照)行うことができる。
【0047】
アルゴリズムの好適な例は、Altschul等.,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)及びAltschul等.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)中で発表された、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムを含む配列の同一性及び配列の類似性のパーセントを決定するために適するものである。BLAST及びBLAST 2.0は、本発明の核酸及びタンパク質の配列の同一性パーセントを決定するために本明細書において発表されたパラメーターと共に使用される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公的に入手できる。本アルゴリズムは、クエリー配列中(データベース配列中での同一の長さの単語により整列する時、いくつかの陽性-閾値スコアTと適合するか、又は条件を満たすかのいずれか)の長さW(length W)の短い単語を同定することによって、ハイスコアリング配列ペア(HSPs)を最初に同定することに関与する。Tは、近隣の単語スコア閾値として言及される(Altschul等.,supra)。これらの最初の近隣の単語のヒットは、それらを含むより長いHSPsを見つけるための最初の検索のシードとして働く。単語のヒットは、累積的な整列スコアが増加できる限り、それぞれの配列に沿って両範囲内に拡張される。累積的なスコアは、例えば、ヌクレオチド配列、パラメーターM(残基を適合させるペアのための利益(reward)スコア;常に>0)及びN(残基の誤った組合せのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列のためのスコアリングマトリックスは、累積的なスコアを計算するために使用される。それぞれの範囲においてヒットする単語の拡張は:累積的な整列スコアが最大に達したその数値から数量X(the quantity X)により低下させられた時;累積的スコアが1以上のネガティブ−スコアリング残基整列の蓄積のためにゼロ以下になる時;或いは各々の配列の最後に達する時、停止(halted)する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、及びXは感受性及び整列の速さを測定する。当該BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関する)は11の単語の長さ(W)の欠失、10の期待値(expectation)(E)、M=5、N=-4及び両標準品との比較として使用される。アミノ酸配列に関するBLASTPプログラムは、3の単語の長さの欠失、及び10の期待値(E)、並びに50のBLOSUM62 スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)参照)整列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、及び両標準品の比較として使用される。
【0048】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間で同様の統計解析も実施する(例えば、Karlin & Altschul,Proc.Nat'1.Acad.Sci.USA 90:5873-5787(1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される1の類似測定は、最小総計確率(P(N))であり、それは偶然発生するであろう2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列との間が組合される確立の表示を提供する。例えば、仮に検査する核酸と対照核酸との比較において、最小総計確率が約0.2未満、より好適には約0.01未満、そして最適には約0.001未満である場合、核酸は対照配列と類似していると考えられる。Log値は、大きなネガティブナンバー、例えば5、10、20、30、40、40、70、90、110、150、170、等であってよい。
【0049】
2つの核酸配列又はポリペプチドが、実質的に同一であるということの表示は、以下に記載するように第一の核酸によりコードされたポリペプチドは、第二の核酸によりコードされたポリペプチドに対して生起した抗体と免疫学的に交差反応性である、ということである。このように、ポリペプチドは、典型的に、例えば2つのペプチドが保存的な置換のみ異なるような、第二のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるという他の表示は、後述するように、2つの分子又はそれらの相補物のストリンジェント条件下において互いにハイブリダイズするものをいう。2つの核酸配列が実質的に同一であるという更なる他の表示は、配列を増幅するために同一のプライマーを使用できることである。
【0050】
用語“単離された”、“精製された”又は“生物学的に純粋”とは、実質的に又は本質的に通常ではその天然状態において見出されるようなものを伴う成分が存在しない物質を言う。精製及び均質(homogeneity)とは、典型的にポリアクリルアミドゲル電気泳動法又は高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を用いて測定される。調製品において存在する優性物質であるタンパク質又は核酸は、実質的に精製されたものである。特に、単離された核酸は、天然にはその遺伝子に隣接し、且つこの遺伝子によってコードされるタンパク質以外のタンパク質をコードするいくつかのオープンリーディングフレームから分離されている。用語“精製された”とは、いくつかの態様において、電気泳動ゲル中において本質的に1のバンドの出現を与える核酸又はタンパク質を言う。好適には、少なくとも純度85%、より好適には少なくとも純度95%、及び最適には少なくとも純度99%である核酸又はタンパク質を意味する。“精製する”又は“精製”とは、他の態様において精製された組成物から少なくとも1の混入物を除去することを意味する。この意味において、均質である化合物、例えば純度100%に精製されるような精製は要求されない。
【0051】
用語“ポリペプチド”、“ペプチド”及び“タンパク質”とは、本明細書においてアミノ酸残基のポリマーを言及するために相互交換できるように用いられる。当該用語は、天然アミノ酸、及び天然アミノ酸ポリマーと一致する人工的な化学模倣物、修飾された残基を含むそれら、並びに非天然アミノ酸ポリマーである1以上のアミノ酸残基を含むアミノ酸ポリマーに適用される。
【0052】
用語“アミノ酸”とは、天然及び合成アミノ酸、並びに天然アミノ酸と同じような機能である、類似物及びアミノ酸模倣物を言う。天然アミノ酸は、遺伝子コードによりコードされたアミノ酸、並びにその後修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似物とは、天然アミノ酸、例えば水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基と結合したα炭素を有するような、同一の基本化学構造を有する化合物を言う(例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニン スルホキシド、メチオニオン メチル スルホニウム)。かかる類似物は、R基(例えばノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有してよいが、天然に発生するアミノ酸と同一の基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、一般的なアミノ酸の化学構造と異なる構造を有すが、その機能は天然に発生するアミノ酸と類似する化学物質を言う。
【0053】
アミノ酸は、本明細書において、一般的に公知の3の文字、又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1の文字で言及できる。同様に、一般に受け入れられている1の文字コードで言及できる。
【0054】
“保存的修飾変異体”とは、アミノ酸及び核酸配列の両方に適応される。特に核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体とは、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸を言い、或いはアミノ酸配列をコードしない核酸の場合、本質的に同一又は連結(例えば天然では連続する配列)している配列を言う。遺伝子コードの縮重のため、多くの数の機能的に同一の核酸は、大部分のタンパク質をコードする。例えば、コドン GCA、GCC、GCG及びGCUは、アミノ酸アラニンを全てコードする。従って、コドンにより指定されるアラニンの全ての位置で、コドンは、コードしたポリペプチドを変化させず、指示される対応のコドンとは異なるものへ変化させることができる。かかる核酸変異体は、“サイレント変異体”であり、保存的に修飾された変異体の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書における全ての核酸配列は、核酸のサイレント変異体としても記載される。当業者は核酸中のそれぞれのコドンの一定の関連が、 (通常メチオニンのみのコドンであるAUG、及び通常トリプトファンのみのコドンであるTGGを除き)機能的に同一の分子を産するために修飾できることを認識するであろう。従って、しばしば発現産物に関連するが実際のプローブには関連しない、示された配列にポリペプチドをコードする核酸のサイレント変異体が必然的に含まれている。
【0055】
当業者は、アミノ酸配列として、化学的に類似するアミノ酸を有するアミノ酸置換基をもたらすように変化する“保存的に修飾された変異体”であるコードされた配列中の1のアミノ酸を変化、付加、又は欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列への、個々の置換、欠失、又は付加を、或いはアミノ酸の少量のパーセンテージを認識するであろう。機能基的に類似のアミノ酸を提供する保存的な置換基表は、当業界において周知である。かかる保存的に修飾された変異体は更なるものであり、そして本発明の多型変異体、種間の相同体、及び対立遺伝子を排除するものではない。典型的に互いに保存的な置換基は、例えば、1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7) セリン(S)、スレオニン(T);及び8)システイン(C)、メチオニン(M)を含む(例えばCreighton, Proteins(1984)参照)。
【0056】
“ラベル”又は“検出可能な成分”は、分光器的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又は他の物理学的手段による検出可能な組成物である。例えば、有用なラベルは、蛍光染色、電子密度試薬(electron-dense reagents)、酵素(例えば、ELISAで一般に用いられる)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテン及びタンパク質、或いは検出可能性を成すことができる他の構成要素(例えばペプチド中へ放射性ラベルを組み入れる、又はペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために用いる)を含む。放射性同位元素は、例えば3H、14C、32P、35S、又は125Iであってよい。
【0057】
いくつかのケースにおいて、特に抗-α5β1インテグリン抗体を使用する場合、放射性同位元素は以下に記載するように毒性成分として使用される。当該ラベルは任意の部位で抗体中へ導入することができる。それらの方法を含み、使用され得るラベルへ抗体を結合させるための当業界における任意の方法は、Hunter等., Nature,144:945(1962);David等., Biochemistry,13:1014(1974);Pain 等., J.Immunol.Meth., 40:219(1981);及びNygren,J. Histochem.及び Cytoclaem.,30:407(1982)で発表された方法を含む。放射線ラベルされたペプチド又は放射線ラベルされた抗体組成物の寿命は、放射性ラベルされたペプチド又は抗体を安定化させる物質及び変性からそれを保護する物質を添加することにより延ばすことができる。放射ラベルしたペプチド又は抗体を安定化させる任意の物質又は物質の組合せは、米国特許No.5,961,955において開示されたそれらの物質を含んで使用してよい。
【0058】
“抗体アフィニティーマトリックス”とは、抗体へ優先的に結合することができる任意の物質を言う。抗体アフィニティーマトリックス材料は、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、アプタマーを含む核酸、又はそれらの結合物(例えば、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質)を含む。一定の例では、抗体アフィニティーマトリックス材料は、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、又はウィルスのようなマクロ分子構造にすることができる。抗体アフィニティーマトリックス材料の他の例は、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体である。
【0059】
“プロテインA”とは免疫グロブリンのFc部位、特に多くの数の種から由来するIgGsへ結合することができる黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)により産生される高い安定性の表面受容体を言う(Boyle,M.D.P.及びK.J.Reis.Bacterial Fc Receptors.Biotechnology5:697-703(1987))。1のタンパク質A分子は、少なくともIgGの2分子と同時に結合することができる(Sjoquist,J., Meloun, B.及びHjelm,H.リソスタフィン消化後、黄色ブドウ球菌から単離されたプロテインA. Eur J Biochem 29: 572-578 (1972))。
【0060】
“プロテインG”とは、高い親和性でIgGと結合する連鎖球菌からの細胞表面-関連タンパク質を言う。それは3つの相同性の高いIgG-結合ドメインを有す(Lian,等.1992. Journal of Mol.Biol.228:1219-1234及びDerrick及びWigley.1994.Journal of Mol. Biol.243:906-918参照)。
【0061】
参考文献において使用される場合(例えば、細胞に、又は核酸、タンパク質もしくはベクターに使用される場合)の用語“組換え体”とは、異種の核酸もしくはタンパク質、又は変性した天然の核酸もしくはタンパク質の導入により修飾された細胞、核酸、タンパク質又はベクター、或いはそのように修飾された細胞から由来する細胞を指す。従って、例えば、組換え細胞は、天然(非組換え体)形態の細胞中では見出されない遺伝子を発現し、或いは、本来異常発現する、あまり発現しない、もしくは全く発現しない天然遺伝子を発現する。本明細書における用語“組換え核酸”とは、本来in vitroにおいて形成される核酸、一般的には天然では通常見いだされない形態に核酸が操作されることによる核酸(例えばポリメラーゼ及びエンドヌクレアーゼを用いる)を意味する。本方法において、異なる配列の作用可能式な連結が達成される。このようにして直鎖の形態において単離された核酸、又は通常では結合されないDNA分子を結紮することによりin vitroにおいて形成される発現ベクターは、共に本発明の目的のための組換え体に検討される。一度、組換え核酸が作製され、そして宿主細胞又は生物へ再導入された場合、それは非-組換え的に複製されるであろう(即ち、in vivo操作よりもむしろ宿主細胞のin vivo細胞機構を使用する)と理解されるが;しかしながら、かかる核酸は、一度組換え的に生産された場合、たとえ非-組換え的にサブ配列に複製されたとしても、なお本発明の目的のための組換え体が検討される。同様に、“組換えタンパク質”とは、組換え技術、即ち上記組換え核酸の発現を通した組換え技術を用いて作製されたタンパク質である。
【0062】
用語“異種の”とは、核酸の一部を参照することにより使用する場合、天然において互いに同一の関連性が通常見出されない2以上のサブ配列を含む核酸を示す。例えば、当該核酸は、例えば、新規機能の核酸(例えば1の起源由来のプロモーター、及び他の起源由来のコード領域)を作るために配列させた関連性のない遺伝子からの2以上の配列を有し、典型的に組換え的に生産される。同様に、異種タンパク質はしばしば天然において互いに同一の関連性を見出されない2以上のサブ配列を言うであろう(例えば、融合タンパク質)。
【0063】
“プロモーター”とは、核酸の転写を指示する核酸調節配列のアレイとして定義される。本明細書において使用されるプロモーターは、ポリメラーゼIIタイププロモーター、TATA要素の場合のような、転写の開始サイトに近い不可欠な核酸配列を含む。プロモーターは、転写の開始サイトから数千ほどの塩基対が位置することができる末端のエンハンサー又はリプレッサー要素も任意に含む。“構成”プロモーターは、大部分の環境及び発達の条件下で活性である。“誘導性”プロモーターは、環境又は発達の制御下で活性である。用語“操作可能式に連結した”とは、核酸発現調節配列(転写因子結合サイトのプロモーター、又はアレイのような)、及び第二の核酸配列との間の機能的連結を言い、ここでの発現調節配列は、第二の配列に相当する核酸の転写を指示する。
【0064】
“発現ベクター”とは核酸構成物であり、宿主細胞中の特定の核酸の転写を許容する一連の指定された核酸要素により、組換え的又は合成的に生産される。発現ベクターは、プラスミド、ウィルス、又は核酸フラグメントの部分と成り得る。典型的には、発現ベクターは、作用可能式にプロモーターへ連結される転写されるべき核酸を含む。
【0065】
抗体への“特異的(又は選択的)結合”又は“特異的(又は選択的)免疫反応”という表現は、タンパク質又はペプチドについて言及する場合、タンパク質及び他の生物学的物質の異種集団の中で、そのタンパク質の存在が確定的である結合反応を言う。このように、指定されたイムノアッセイ条件下において、特異的抗体は、少なくともバックグラウンドの2倍、及びより典型的にはバックグラウンドの10から100倍以上で特定のタンパク質に結合する。
【0066】
かかる条件下における抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に特異的であるために選定される抗体を要求する。例えば、特定のタンパク質、多型変異体、対立遺伝子、オルソログ、及び保存的に修飾された変異体、又はスプライス変異体、又はそれらの一部 に対し生起させた抗体は、他のタンパク質ではなく、α5β1インテグリンと特異的に免疫反応性であるポリクローナル抗体のみ得るために選定することができる。この選定は他の分子と交叉反応する抗体を減じることによって達成され得る。多様なイムノアッセイの形態は、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選定するために使用してよい。例えば、固相ELISA イムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選定するために日常的に使用されている(例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用できるイムノアッセイフォーマット及び条件を発表するHarlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)を参照)。
【0067】
組織培養における“癌細胞”、”形質転換された”細胞又は“形質転換”とは、新規の遺伝的な材料の取り込みを必ずしも含まない自発的、又は誘導された表現型の変化を言う。形質転換は形質転換ウィルスによる感染、及び新規ゲノムDNAの導入、又は外因DNAの取り込みにより引き起こすことができるが、自発的に又は発癌物質の暴露によって内因性遺伝子を突然変異させて引き起こすこともできる。形質転換は細胞の不死化、異常型の成長調節、非形態学的変化、及び/又は悪性のような表現型の変化に関連する(Freshney,Culture of Animal Cells a Manual of Basic Technique(第3版1994)参照)。
【0068】
II.序論
本発明は、既存の抗-α5β1インテグリン抗体の特性を改良させたキメラ及びヒト化抗-α5β1インテグリン抗体を提供する。本発明は、新規抗体を含む医薬組成物、並びに新血管形成により悪化した病態及び組織への傷害を治療するための改良方法も提供する。
【0069】
本発明のキメラ又はヒト化抗体は、人間へ投与する場合、既存の形態よりも長い半減期及び少ない抗原性を有す。当該改良は図2中の図式で図解し、そして当該改良は、ネズミ抗-α5β1インテグリン(IIA1)抗体のフレ−ムワーク及び不変領域を“ヒト化”抗体へ変化させることを含む。
【0070】
ヒト化抗体は、ヒトの治療における使用のために少なくとも3つの潜在的な利益を有す。第一に、例えば、補体−依存細胞毒性(CDC)、又は抗体−依存細胞性細胞毒性(ADCC)によって標的細胞をより効果的に破壊するため、ヒト免疫システムとより良い相互作用をすることができる。第二に、ヒト免疫システムは、異物として抗体を認識しないはずである。第三に、より少量及びより少ない投与回数で与えた場合のヒト循環における半減期は、天然に発生するヒト抗体と類似となるであろう。
【0071】
構造的に、ヒト化抗体は、一般的にヒト由来の不変及びフレームワーク(FR)領域を有し、そして抗−α5β1インテグリン抗体を生起させた動物の抗体に由来する相補性ドメイン領域(CDRs)を有する。
【0072】
構造的に、キメラ抗体は、抗−α5β1インテグリン抗体を生起させた動物由来抗体に由来する可変−鎖領域、及びヒト由来の不変鎖領域を有する。
【0073】
機能的にキメラ及びヒト化抗−α5β1インテグリン抗体の両方は、α5β1インテグリンを特異的に認識し、そしてα5β1インテグリンがその受容体と相互作用することを阻害する。
【0074】
ヒト化及びキメラ抗-α5β1インテグリン抗体を調製するための多種の方法を本明細書において提供する。“ヒト化”抗体は、一般的にヒト不変及び/又は可変領域ドメイン、或いは特定の変化体を担持するマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は他の種から由来するキメラ又は突然変異モノクローナル抗体である。“ヒト化”及び“キメラ”抗−α5β1インテグリン抗体を生産するための技術は当業者に周知であり、そして本明細書における参考文献及び引用特許において見出すことができる。
【0075】
III. 組換えキメラ及びヒト化抗−α5β1インテグリン抗体、及びそこから由来するFabフラグメントの調製
【0076】
本発明の抗体は、抗−α5β1インテグリン抗体生産を導くため、α5β1インテグリン又はそれらから由来するペプチドを有す動物を免疫化することにより調製される。抗体を発現するリンパ性組織はその後単離され、そして抗−α5β1インテグリン抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸を精製する。当該精製された核酸は、その後、α5β1インテグリンを特異的に認識するキメラ、ヒト化、一本鎖、Fab又はFab2抗体をコードする核酸を作製するため組換え的に操作される(当業界において周知の方法に従う)。
【0077】
組換え的に操作された核酸は、その後、抗−α5β1インテグリン抗体−産生細胞を作製するために使用される。これらの細胞は、α5β1インテグリンをその受容体と結合することを阻害又は予防するモノクローナル抗体を生産し、感受性の高い組織における新脈管形成の阻害をもたらす。
【0078】
A.抗-α5β1インテグリン抗体を産生する細胞、及び抗-α5β1インテグリン抗体をコードしている核酸の生産
【0079】
組換えキメラ及びヒト化抗−α5β1インテグリン抗体を調製するために、非−ヒト抗−α5β1インテグリン抗体をコードしている核酸を最初に単離する必要がある。これは、典型的に動物、例えば、マウスを5αβ1インテグリン又はそこから由来する抗原性ペプチドで免疫化することによりなされる。典型的には、マウス当たりおよそ50マイクログラムのタンパク質抗体により2回腹腔内で免疫化される。免疫化されたマウス由来血清は、かかるポリペプチドを発現している任意の宿主システムにおける免疫組織学又は免疫細胞学によって、及び発現したポリペプチドによるELISAによって、抗体活性を検査することができる。免疫組織学では、本発明の活性抗体はアビジン−ペルオキシダーゼ及び色素性のペルオキシダーゼ基質により追跡されるビオチン接合型抗−マウス免疫グロブリンを用いて同定することができる。かかる試薬の調製は;例えば、Zymed Corp.,San Francisco,Califから商業的に入手し得る。本発明により検出され得る活性抗体を血清に含むマウスを、融合させそしてハイブリドーマを生産するために3日後に殺してからそれらの脾臓を除去することができる。かかるハイブリドーマの陽性上清液を、例えばウェスタンブロット分析のような、当業者にとって一般的なアッセイを用いて同定することができる。
【0080】
所望される抗体鎖をコードする核酸を、例えばハイブリドーマmRNA又は脾臓mRNAを用いることによって、重鎖及び軽鎖遺伝子のPCR増幅のための鋳型としてその後単離できる(Huse,等.,Science 246:1276(1989))。抗体及び細胞内発現抗体(intrabodies)の両方を産生する核酸は、本技術を用いたネズミモノクローナルハイブリドーマから引き出すことができる(Richardson J.H.,等.,Proc Natl Acad Sci USA 92:3137-3141 (1995);Biocca S.,等.,Biochem and Biophys Res Comm,197:422-427(1993) Mhashilkar,A.M. ,等.,EMBO J14:1542-1551(1995))。これらのハイブリドーマは抗体の構造のためによく特徴付けられた試薬の信頼できる供給源を提供し、特に一度それらのエピトープ反応性及び親和性が特徴付けられた場合に有用である。単離された細胞からの核酸の単離は、更にClackson,T.,等.,Nature352:624-628(1991)(spleen)and Portolano,S.,等.,supra; Barbas,C.F.,等.,supra;Marks,J.D.,等.,supra;Barbas,C.F.,等.,Proc Natl Acad Sci USA 88:.7978-7982 (1991)(ヒト末梢血リンパ球)において検討されている。
【0081】
B. 組換え抗体の作製
【0082】
非−ヒトのヒト化形態(例えばネズミ)抗体は、免疫グロブリンのキメラ分子、免疫グロブリン鎖又はそれらのフラグメント(抗体の Fv、Fab、Fab'、F (ab')2 又は他の抗原-結合配列)であり、非−ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む。ヒト化抗体は、所望される特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来残基で置き換えられた受容物の相補性決定領域(CDR)を形成する残基を有すヒト免疫グロブリン(受容抗体)を含む。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFv フレームワーク残基が対応の非−ヒト残基により置き換えられる。ヒト化抗体は、導入されたCDR又はフレームワーク配列中に受容抗体中のいずれにも見出されない残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、非−ヒト免疫グロブリンのそれらと対応するCDR領域の全て又は実質的に全て、及びヒト免疫グロブリン共通配列のそれらであるFR領域の全て又は実質的に全てを有す、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は最適には免疫グロブリン不変領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリンの不変領域の少なくとも一部も含むであろう(Jones等.,Nature,321:522-525(1986);Riechmann等.,Nature,332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct. Biol.,2:593-596(1992))。
【0083】
ヒト化抗体を産生する方法は当業界において周知であり、そして他でも十分に発表されている。例えば、Queen 等.,米国特許Nos:5,530,101;5,585,089;5,693,761; 5,693,762;6,180,370参照(個々については、全文中に参考文献により組み入れられている)。抗体は当業界において公知である多様な技術、例えば、CDR-移植(EP 239,400; PCT公開WO 91/09967;米国特許Nos.5,225,539;5,530,101及び5,585,089)、ベニアリング又は再表面化(resurfacing)(EP592,106;EP519,596;Padlan, Mol. Immunol.,28: 489-498(1991);Studnicka 等.,Prot. Eng.7:805-814(1994);Roguska 等., Proc. Natl. Acad. Sci. 91: 969-973 (1994)、及び鎖シャフリング(米国特許No. 5,565,332)、を用いてヒト化することができ、それらの全文は参考文献により本明細書に組み込まれている。
【0084】
多くの方法は、組換えキメラ抗体を生産するため発表された。キメラ抗体を形成するためタンパク質ジスルフィド結合を通して結合された抗体ドメインの調節された転位は利用され得る(Konieczny等.,Haematologia,14(1):95-99,1981)。組換えDNA技術は、マウス抗体可変軽鎖及び重鎖ドメインをコードするDNA配列とヒト抗体軽鎖及び重鎖不変ドメインの間の遺伝子融合を構築するためにも使用できる。例えばMorrison等.,Proc. Natl.Acad.Sci.USA,81(21):6851-6855,1984;Morrison,Science229:1202-1207(1985); Oi等.,BioTechniques 4:214-221(1986);Gillies 等.,J.Immunol. Methods 125:191-202 (1989);米国特許Nos.5,807,715;4,816,567;及び4,816,397、及びそれらの全文は参考文献により本明細書に組み込まれている。
【0085】
ネズミモノクローナル抗体の抗原結合部位又は相補性決定領域(CDR's)をコードするDNA配列は、ヒト抗体重鎖及び軽鎖のフレームワークをコードするDNA配列中へ分子手段(means)により移植することができる(Jones等.,Nature,321(6069):522-525、1986.; Riechmann 等., Nature, 332 (6162):323-327,1988.)。発現した組換え産物は“再形成物(reshaped)”又はヒト化抗体と呼ばれ、そしてヒト抗体軽鎖又は重鎖のフレームワーク、及びネズミモノクローナル抗体の抗原認識部位、CDR'sを含む。
【0086】
ヒト化抗体を生産するための他の方法は、参考文献によって本明細書に組み入れた米国特許No.5,639,641において発表された。この方法は、再表面化を経由して、可変領域におけるヒト表面(surface)の存在のため、治療の有効性を改善させたヒト化げっ歯動物抗体を提供する。当該方法において:(1)抗体重鎖及び軽鎖可変領域のプールの部位の整列は、重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面露出位置の一式を与えるために作成し、ここでの全ての可変領域のための整列部位は少なくとも約98%同一であり;(2)アミノ酸残基を露出する重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式は、げっ歯動物抗体(又はそれらのフラグメント)のために定義され;(3)アミノ酸残基を露出した重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式は、同定されるアミノ酸残基を露出するげっ歯動物表面の一式と大部分が密接に同一であり;(4)ステップ(2)において定義されるアミノ酸残基を露出する重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式は、げっ歯動物抗体の相補性決定領域の任意の残基の任意の原子の5Å以内にあるそれらのアミノ酸残基を除き、ステップ(3)において同定されるアミノ酸残基を露出した重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式に置き換えられ;そして(5)結合特異性を有するヒト化げっ歯動物抗体を生産する。
【0087】
ヒト化抗体の生産のための類似の方法は、米国特許Nos.5,693,762;5,693,761;5,585,089;及び5,530,101に発表され、それぞれ参考文献により本明細書に組み入れられた。これらの方法は、1以上の相補性決定領域(CDR's)、並びに可能な限りのドナー免疫グロブリン由来の追加のアミノ酸及び受容するヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域、を有するヒト化免疫グロブリンを生産することに関与する。それぞれのヒト化免疫グロブリン鎖は、通常更にCDR'sを含み、ドナー免疫グロブリンフレームワークからのアミノ酸は、ドナーの免疫グロブリン中、又は分子モデルによって予測されるそれらの約3Å以内にあるCDRに直に連続する1以上のアミノ酸等との結合親和性をもたらすため、CDR'sと相互作用することができる。重鎖及び軽鎖は、米国特許Nos.5,693,762;5,693,761;5,585,089;及び5,530,101に発表された通り、多様な位置基準の任意の1つ、任意の組合せ、又は全てを用いることによって各々がデザインされ得る。完全な抗体へ組合せた場合、ヒト化免疫グロブリンはヒトにおいて実質的に非-抗体的であり、そして起源抗原へのドナー免疫グロブリンと実質的に同一の親和性を保持する。
【0088】
ヒト化抗体を生産するための更なる方法は、それぞれ参考文献として本明細書中に組み入れた米国特許Nos.5,565,332及び5,733,743に発表されている。またファージミドライブラリーをヒト化抗体の概念に組み入れるこの方法は、本明細書において詳細に説明した。一般的な意味における当該方法は、重要な抗原に対する抗体又は抗体の集団の抗原結合サイト由来配列を利用する。従って、一つのげっ歯動物抗体のため抗体の抗原結合サイトの部分を含む配列は、組合わせることで完全な抗原結合サイトを作り出すことができるヒト抗体の多様な配列レパートリーと組合せることができる。
【0089】
同様な方法で抗原と接触させて作成するような、もとのげっ歯動物抗体の配列部位だけを有する当該抗原結合サイトは、CDR移植により作製されたものとは異なる本方法により作製された。選定されたヒト配列は、それらのもとの結合サイト由来抗原とは異なる配列であるようであり、そして別の方法では、それらのもとの結合サイト由来抗原と接触させて作製する。しかしながら、抗原へのもとの配列部分の結合、並びに抗原及びその抗原の結合サイトの形状により課せられる制約は、抗原の同一の領域又はエピトープへのヒト配列の新規接触を強いるようである。従ってこの方法は、“エピトープ刷り込み選定”(EIS)と呼ばれた。
【0090】
動物抗体とともに出発する場合の1つの方法は、部分的なヒト抗体である抗体の選定に帰着する。かかる抗体は、治療において直接又はわずかな主要な残基の改変後、使用されるようにヒト抗体と、配列において類似するに十分なものでありうる。選定された抗体のげっ歯動物構成成分とヒト配列との相違点は、ヒト配列の残基と異なるそれらの残基を置き換えることによって(例えば、個々の残基の部位特異的突然変異誘発により、又は全ループのCDR移植により)最小限にすることができる。しかしながら、全ヒト配列を有する抗体を作製することもできる。従って、EISはそれぞれ動物の抗体と同じエピトープと結合する部分的なヒト抗体、或いは部分的なヒト抗体と同じエピトープと結合する全体的なヒト抗体を作製するための方法を提供する。EISにおいて、抗体フラグメントのレパートリーは、線状ファージの表面上に提示することができ、そして抗体結合活性を有するフラグメントをコードする遺伝子は抗原へのファージの結合によって選定される。
【0091】
本発明における使用のため考慮されるヒト化抗体のための更なる方法は、各々参考文献によって本明細書中に組み入れられた米国特許Nos.5,750,078;5,502,167;5,705,154;5,770,403;5,698,417;5,693,493;5,558,864;4,935,496;及び4,816,567に発表されている。
【0092】
一本鎖抗体生産のため発表された技術は(米国特許No.4,946,778)は、α5β1インテグリンへの一本鎖ヒト化抗体を生産するために適用することができる。
【0093】
C.組換えキメラ又はヒト化抗体の発現
【0094】
結果物である抗体は、抗体をコードする核酸を含む1以上のベクターを通して発現され得る。
【0095】
好適には抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸セグメントは、IRES配列の調節下でコードしている核酸の一つの転写を伴う、一つの転写ユニット中にある。ベクターは、WO93/64701中に発表されているように、標的決定部位(例えば細胞表面受容体に対するリガンド)及び核酸結合部位(例えばポリリシン)を有する化学的接合体、ウィルスベクター(例えばDNA又はRNAウィルスベクター)、PCT/US 95/02140(WO 95/22618)に発表されたような標的部位(例えば標的細胞に特異的な抗体)及び核酸結合部位(例えばプロタミン) を含む融合タンパク質、プラスミド、ファージ等を含む。当該ベクターは染色体性、非染色体性又は合成性であってよい。
【0096】
好適なベクターはウィルスベクター、融合タンパク質及び化学的接合体を含む。 レトロウィルス性ベクターはネズミ白血病ウィルス(moloney murine leukemia viruses)を含む。DNAウィルスベクターは、好適である。これらのベクターは、orthopox又はavipoxベクターのような、poxベクター、単純ヘルペスIウィルス(HSV)ベクター[Geller,A.I.等.,J.Neurochem,64:487(1995);Lim,F.,等., DNA Cloning:Mammalian Systems,D. Glover,Ed.(Oxford Univ.Press,Oxford England)(1995);Geller,A.I.等.,Proc Natl. Acad.Sci.:U.S.A.90:7603(1993);Geller,A.I.,等.,Proc Natl.Acad. Sci USA 87:1149(1990)]のようなヘルペスウィルスベクター、アデノウィルスベクター[LeGal LaSalle等.,Science,259:988(1993);Davidson,等.,Nat.Genet3:219(1993);Yang,等.,J.Virol.69:2004(1995)] 及びアデノ-関連ウィルスベクター[Kaplitt,M.G..等.,Nat. Genet.8:148(1994)]を含む。
【0097】
Poxウィルスベクターは細胞質中へ遺伝子を導入する。Avipoxウィルスベクターは、核酸の短期発現のみをもたらす。アデノウィルスベクター、アデノ-関連ウィルスベクター及び単純ヘルペスウィルス(HSV)ベクターは、神経細胞中へ核酸を導入するために好適である。アデノウィルスベクターはアデノ-関連ウィルス(約4ヶ月間)より短期間での発現(約2ヶ月)をもたらす。即ちHSVベクターよりも短い。特に選定されるベクターは、標的細胞及びその処理条件に依存するであろう。導入は例えば、感染、トランスフェクション、形質導入又は形質転換といった標準技術によって可能である。遺伝子移転の様式例は、例えばnaked DNA、CaP04沈殿、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、プロトプラスト融合、リポフェクション、細胞マイクロインジェクション、及びウィルスベクターを含む。
【0098】
ベクターは、神経膠腫のような本質的に任意の所望される標的細胞を標的とするために使用することができる。例えば、定位のインジェクションは、所望される位置へベクター(例えばアデノウィルス、HSV)を導くために用いることができる。更に、その粒子は、SynchroMed注入システムのようなミニポンプ注入システムを用いて脳室内(icv)へ注入することにより運搬することができる。対流と呼ばれるバルクフローに基づく方法は、大きな分子の脳の広い領域への効果的な運搬を証明し、そして標的細胞へのベクターの運搬において有用となり得る(Bobo等.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2076-2080(1994);Morrison等.,Am.J. Physiol.266:292-305(1994))。他の方法は、カテーテル、静脈内、非経口、腹腔内及び皮下注射、並びに経口又は他の公知の投与経路を含み使用することができる。
【0099】
D.組換え抗体の単離及び特徴化
【0100】
本明細書において使用される用語“抗体”とは、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製されたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、並びにF(ab')2及びFab タンパク分解性フラグメントのような抗原−結合フラグメントを含む。キメラ抗体、Fvフラグメント、1本鎖抗体等、並びに合成抗原-結合ペプチド類及びポリペプチド類といった、遺伝学的に操作された完全な抗体又はフラグメントも含む。非-ヒト抗体は、ヒトフレームワーク及び不変領域上へ非-ヒトCDRsのみを移植することにより、又は非−ヒト可変ドメイン全体を組み込むことにより(任意に露出した残基の置換によりヒト-様表面によりそれらを”覆い隠し”、“ベニア化された”抗体を生じることにより)、ヒト化され得る。いくつかの例では、ヒト化抗体は適当な結合特徴を増強するためにヒト可変領域フレームワークドメイン中の非−ヒト残基を保持してよい。ヒト化抗体を通して、生物学的半減期は増加し、そしてヒトへの投与における免疫副作用の可能性は減少するであろう。或いは本明細書において有用である抗体を生産又は選定するための技術は、in vitroにおける、α5β1インテグリンタンパク質又はペプチドへのリンパ球の暴露、及びファージ又は類似ベクター(例えば、固定化又はラベル化されたα5β1インテグリンタンパク質又はペプチドの使用を通す)における抗体提示ライブラリーの選定を含む。
【0101】
E.アフィニティー精製
【0102】
抗体プール又は血清のアフィニティー精製は、技術者により均質な試薬を提供する。アフィニティーカラムを形成するための抗体アフィニティーマトリックスを用いた抗−α5β1インテグリン抗体を高めるための方法は、当業界において周知であり、商業的に入手できる(AntibodyShop,c/o Statens Serum Institut, Artillerivej 5, Bldg. P2, DK-2300 Copenhagen S)。簡潔には、抗体アフィニティーマトリックスを、アフィニティー支持体へ結合させる(例えば;CNBRセファロース(R)、Pharmacia Biotech参照)。抗体を含む混合物は、その後抗体の結合したアフィニティーマトリックスにかけられる。結合した抗体は、当業界においてありふれた通常の技術により放出され、濃縮された抗体プールをもたらす。高濃度の抗体プールは、その後更に免疫学的試験に用いることができ、それらのいくつかは、実施例の方法により本明細書に開示される。本発明の抗体を単離するために使用される抗体アフィニティーマトリックスは、本発明の抗−α5β1インテグリン抗体を特異的に認識するようにデザインされていないにもかかわらず、これは抗体精製におけるアフィニティーマトリックスの用途を制限するものではなく、なぜなら抗体は性状がモノクローナル組換えタンパク質として、発現されるからである。
【0103】
単離された抗−α5β1インテグリン抗体は、上記の通り、おそらくα5β1インテグリンの変異体であると思われる第二のタンパク質を比較するため、競合的結合イムノアッセイにおいて使用することができる。この比較を行うために、2つのタンパク質は広範な濃度の幅でそれぞれアッセイされ、そして固定化されたタンパク質への抗血清の50%結合阻害に必要なそれぞれのタンパク質の量が決定される。50%結合阻害に必要な第二のタンパク質の量が、50%結合阻害に必要なα5β1インテグリンの量の10倍未満である場合、当該第二のタンパク質は、α5β1インテグリンに対し産生される抗体へ特異的に結合するものとする。
【0104】
F.pH-感受性抗体精製
【0105】
本発明のいくつかの抗体は、中性又は塩基性pHでアフィニティー精製を行う時、沈殿する傾向を示す。この問題に着手する本発明の他の観点は、図1-5、10、11及び13において示されたアミノ酸配列を含む抗体、並びにマウス可変領域を含む、又はマウス可変領域と80%以上の配列同一性を有する、又は図1-5中に含まれる抗体のCDR領域と80%以上の配列同一性を有するキメラ抗体を含むpH-感受性抗体の精製のための方法に関する。当該方法は、例えば結合した抗体アフィニティーマトリックスを含むイオン交換カラムのようなクロマトグラフィーカラムを用いる抗体のためのアフィニティークロマトグラフィーを処理することを一般に含み、引き続き約3.0から約5.5のpH、好適には約3.3から約5.5、及び最適には約3.5から約4.2、又は約4.2から約5.5のいずれかのpHで抗体を溶出することを含む。この範囲の中でのより低いpH値 は、小スケールでの精製により適している一方、約4.2又はより高いpHは、大スケールでの操作により適することが考慮される。この範囲の中での精製工程の操作は、生産物の凝集を殆ど又は全く、最適には本質的に凝集を全く生産しない。
【0106】
アフィニティークロマトグラフィーは、当業界において、抗体又は他の生物学的に活性な巨大分子のような物質を単離又は精製するための1の公知手段である。これはカラム上に固定した抗体と特異的に結合する1以上のリガンドを含むクロマトグラフィーカラムに抗体を含む溶液を通過させることにより、一般に達成される。かかるグループはリガンド-アフィニティー反応を通して溶液から抗体を抽出することができる。一度達成されると、当該抗体はカラムから溶出されることにより回収され得る。
【0107】
従って、本発明のこの観点は、基質と結合した抗体アフィニティーマトリックスを用いる抗-α5β1インテグリン抗体の精製方法を含み、ここで当該改良は、約3.0から約 5.5のpHを有す溶出液を用いて基質-結合抗体アフィニティーマトリックスから抗体を溶出することを含む。
【0108】
より詳細には、本発明のこの観点は:(a)基質へ結合した抗体親和性マトリックス上へ抗体を吸着させ;及び(b) 約3.0から約5.5のpHを有す溶出液を用いて基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから抗体を溶出する、を含む抗−α5β1インテグリン抗体の精製方法を含んで成る。いくつかの態様において、当該方法は(c)精製された抗体を回収するステップも含む。
【0109】
しかしながら、抗体が更に精製又は処理された場合、その後の特異的な回収ステップは、この時点では重要でなくてよい。
【0110】
当該精製方法は、基質に結合した抗体アフィニティーマトリックス上への抗体の吸着に関与する。抗体アフィニティーマトリックスの多種の形態を使用してよい。唯一の要求は、抗体アフィニティーマトリックス分子は、精製されるべき抗体と結合する能力を有すことである。例えば、天然起源から単離された抗体アフィニティーマトリックス、組換えDNA技術によって生産された抗体アフィニティーマトリックス、抗体アフィニティーマトリックスの修飾された形態、又は問題の抗体結合能を保持したそれらの材料のフラグメントを使用してよい。抗体アフィニティーマトリックスとして使用するための模範的な材料は、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、核酸アプタマー、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、ウィルス、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体を含む。
【0111】
抗体アフィニティーマトリックスは、一般的な相互作用によって、(例えば、非特異的、イオン交換結合によって、疎水性/親水性相互作用によって)、又は特異的な相互作用によって(例えば、抗原-抗体相互作用)、又はリガンド及び固相の間の共有結合によって、固相又は支持体へ結合される。或いは、中間体化合物又はスペーサーは固相へ結合することができ、そして抗体アフィニティーマトリックスはその後、アフィニティーマトリックスをスペーサーへ結合させることにより、固相上で固定化できる。スペーサーはそれ自体遊離抗体アフィニティーマトリックスに対し、特異的結合アフィニティーを有するリガンドとなることができる(即ち、第二のリガンド)。
【0112】
抗体アフィニティーマトリックスは多様な基質又は支持体へ結合することができる。典型的に、イオン交換又はカップリング(例えばCNBr-活性化物)樹脂はこの目的のために使用される。抗体は多様な手段を用いて基質−結合抗体アフィニティーマトリックス上へ吸着させてよい。おそらく、カラム手順が使用され、そして抗体は適当な緩衝剤により調製された緩衝溶液を用いてカラムへ吸着される。典型的な緩衝剤及び操作条件は、当業界において周知である。
【0113】
抗体は慣習的な方法(例えば緩衝溶液を用いてカラムから抗体を溶出する)を用いて基質-結合抗体アフィニティーマトリックスから溶出させてよい。沈殿を最小にするために、pH-感受性抗-α5β1インテグリン抗体は、好適にはpH3.5で、0.1Mのグリシンを含む緩衝溶液により溶出される。分解及び/又は変性を最小にするために、緩衝溶液の温度を10℃未満に保ち、又はより好適には4℃未満に保つ。同じ理由で、抗体を酸性pHへ曝す時間は最小限にすべきでもある。例えば、溶出した抗体溶液へ、塩基性溶液の前もって決められた量を付加することにより、これは達成される。好適にはこの塩基性溶液は緩衝溶液であり、より好適には揮発性の塩基性緩衝溶液であり、最適にはアンモニア溶液である。
【0114】
基質-結合抗体アフィニティーマトリックスからの抗体の溶出は、当業界において周知の多様な方法によってモニターされてよい。例えばカラム手順が採用された場合、フラクションはカラムから収集されてよく、そしてタンパク質の存在はフラクションの吸着量を測定することにより決定される。仮に既知の特異的抗体を精製する場合、カラムから収集されたフラクション中の抗体の存在は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素イムノアッセイ(EIA)のような、イムノアッセイ技術により測定され得る。
【0115】
本発明の方法は、精製した抗体を実質的に分解させず、又は基質へ結合する抗体アフィニティーマトリックスに有害的に作用しない、任意の都合の良い温度で実施できる。好適には、室温が採用される。抗体アフィニティーマトリックスカラムから溶出した抗体は、所望されるならば、当業界における公知の多種の方法を用いて回収してよい。
【0116】
G.アビディティ検査
【0117】
アビディティ検査は、α5β1インテグリンの1以上のエピトープを特異的に認識する抗体を同定するために、当業者によりなされる。抗体が特異的に結合しているとは:1)抗体が結合活性の閾値レベルを見せるか、及び/又は2)抗体が近縁のポリペプチド分子と有意に交叉反応をしないか、で定義される。第一に、106mol-1以上、好適には107mol-1以上、より好適には108mol-1以上、及び最適には109mol-1以上の結合親和性(Ka)でα5β1インテグリンポリペプチド、ペプチド又はエピトープへ結合した場合、本明細書における抗体は特異的に結合する。抗体の結合アフィニティーは、当業者により、例えばScatchard分析(Scatchard,Ann. NY Acad.Sci.51: 660-72,1949)、又はBIAコアを使用する表面プラスモン共鳴により容易に決定することができる。
【0118】
第二に、抗体が近縁のポリペプチドと有意に交叉反応をしない場合、抗体は特異的に結合する。近縁のポリペプチド分子と有意に交叉反応をしない抗体とは、例えば、標準的なウェスタンブロット分析(Ausubel 等.,ibid.)を用いて、それらが既知の近縁のポリペプチドは検出しないが、α5β1インテグリンポリペプチドを検出する場合である。既知の近縁のポリペプチドの例は、オルソログ、タンパク質のインテグリンファミリーのメンバーである同一種由来タンパク質、図1の整列中に見られるポリペプチド、突然変異α5β1インテグリンポリペプチド等である。更に、抗体はα5β1インテグリンと特異的に結合する集団を単離するため、既知の近隣のポリペプチド“に対してスクリーニング”されてよい。例えば、ヒトα5β1インテグリンポリペプチドに対して生起した抗体は、不溶性マトリックスに結合した近縁のポリペプチドへ吸着し;ヒトα5β1インテグリンポリペプチドへの特異的な抗体は、適当な緩衝剤条件下でのマトリックスを通して流されるであろう。かかるスクリーニングは、密接に近縁のポリペプチドと非−交叉反応性であるポリクローナル及びモノクローナル抗体を単離できる(抗体:A Laboratory Manual, Harlow and Lane(eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988;Current Protocols in Immunology, Cooligan, 等.(eds.), National Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc.,1995)。特異的抗体のスクリーニング及び単離は、当業界において周知である(Fundamental Immunology, Paul (eds.), Raven Press, 1993;Getzoff等., Adv. in Immunol.43:1-98,1988;Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Goding,J.W.(eds.),Academic Press Ltd.,1996; Benjamin 等., Ann. Rev.Immunol.2:67-101,1984参照)。かかるアッセイの代表的な例は:現行の免疫電気泳動法、ラジオイムノアッセイ、ラジオイムノ沈殿、酵素-連結免疫-吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロット又はウェスタンブロットアッセイ、阻害又は競合アッセイ、及びサンドウィッチアッセイを含む。免疫学的手順及びイムノアッセイの手順の検討は、Basic and Clinical Immunology (Stites & Terr eds., 第7版.1991参照)を参照。
【0119】
IV. 新脈管形成調節における有効性の測定方法
【0120】
本発明はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節された生理学的効果を評価するための方法を提供する。閾値の問題として、これらの方法は、安全、且つ治療効果量を決定するため、本発明の抗体を含む組成物のスクリーニングを許容する。治療の間、これらの方法のいくつかは、最適な臨床効果を提供するため進捗をモニタリングし、そして用量を調節することに応用できる。
【0121】
当該方法は、分析も治療も両方できる生育組織を提供することを含んで成る。即ち、不朽化を含み、組織が損傷した時、所望されない脈絡膜の新生血管形成反応が起こり、それが阻害又は妨げられた場合、患者の予後及び/又は損傷した組織の治癒が改善されるであろう組織を提供する。典型的な組織は、腫瘍及び眼組織、特に眼の黄斑を含む治療又は試験のために適している。用語“腫瘍”とは、任意の新規の病理学的組織成長を意味するために本明細書において広く用いられる。本発明の目的は、新脈管形成により一部分の腫瘍を特徴付けることである。腫瘍は良性、例えば、血管腫、神経膠腫、奇形腫等であってよく、又は悪性、例えば、癌腫、肉腫、神経膠芽腫、星状細胞種、神経眼腫、網膜眼腫等であってよい。用語“腫瘍”とは、一般的に良性又は悪性腫瘍を言うために使用され、そして用語“癌”とは、一般的に悪性腫瘍(転移性であってもなくてもよい)を言うために使用される。悪性腫瘍は、例えば血管を新規に形成することによるα5β1発現に関連する新脈管形成によって少なくとも一部分が特徴付けられる腫瘍を提供する肺癌、乳癌、前立腺癌、頸部癌、膵臓癌、結腸癌及び卵巣癌のような癌腫;及び骨肉種及びKapos's肉腫のような肉腫を本発明の方法を用いて診断することができる。試験のため、これらの組織は公知の手段によって単離することができ、そしてその出所は当業者に容易に入手され得る。
【0122】
本発明の治療的抗体の効果を検査するための生育組織を用いた場合、当該組織は最初に病変を作り出すため、そして脈絡膜の新生血管形成を促すために傷つけなければならない。傷をつけることは、機械的、化学的、又は生物学的手段を含む任意の適宜手段により達成され得る。傷つけることの模範的な機械的手段は、切断、貫通、又はクランプを含む。化学的手段はネクローシス、アポトーシス、又は細胞同士の接触阻止を惹起する組織への試薬の適用を含む。生物学的手段はウィルス、バクテリア、又はプリオンのような感染性試薬による処置を含む。病変を作製するための好適な方法は、レーザーの使用を通すことである。組織を傷つけることができる任意のレーザーは、好適なタイプであるCO2ガスレーザー、IRIS Medical(登録商標)Portable Slit Lamp Adaptorを有するOcuLight GL (532nm) Laser Photo-coagulatorである最適なタイプを使用する。他のレーザー源も、 約300 から約700 mワットのレーザーライトを発生できること、且つ病変が直径200μm未満、好適には100μm未満、より好適には約50から約100μm、及び最適には直径約75から25μmにできることを条件に適している。典型的には、当該レーザーライトは第二のフラクションのための組織へ適用される。通常は0.5秒未満、より好適には0.1秒未満、最適には0.05秒未満である。
【0123】
適用される抗体は、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体である。好適には、本抗体はSEQ ID NOS.:1-6、16及び20から成る群から選定されるアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有する可変重鎖領域を含み、SEQ ID NOS.:7-12、18及び 22から成る群から独立的に選定され、並びに当該群からのアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有する可変軽鎖領域を含む。最適には、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体は、SEQ ID NOS.:2-6、16、20、25、28及び31から成る群から選定された配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOS.:8-12、18、22、26及び32から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含む。
【0124】
本発明の抗体は多様な経路、例えば静脈内、経口、又は治療されるべき領域へ直接的に(例えば、新形成腫瘍中へ直接的に;眼に関与する病理学的症状への点眼により;或いは関節に関与する症状のあるところの滑液中へ)投与することができる。
【0125】
個体に投与される治療抗体の量は、診断目的か、又は治療目的であるか、に一部分依存するであろう。診断又は治療方法のために投与する薬剤の効果量を決定するための方法は、当業界において周知であり、そして第I相、第II相及び第III相臨床試験を含む。本発明の方法を用いた場合の効果量は、例えば、個々の検査対象への滴定投与、及び新脈管形成阻害の機能としてのチャート進行により決定することができる。
【0126】
医薬の総量は、ボーラス又は比較的短期間注入によるいずれかの単一投与量として対象へ投与することができ、或いはより延長した期間で投与される断片化した治療プロトコールにおける複数投与量を用いて投与することができる。上記の留意点として、当業者は、部位への効果量を供給するため要求される特別な試薬の濃度、又は多くの要因(年齢及び対象の一般的な健康状態、並びに投与経路、投与された治療薬の数、そしてその医薬の性質を含む)に依存する個体におけるα5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成の部位を知っているであろう。これらの因子の観点において、当業者は、そのリガンドとα5β1インテグリンの特異的結合を有効に妨げるための効果量を得るための特定の投与量を調整するだろう。それによって新脈管形成の減少又は阻害をもたらす。
【0127】
臨床的に関連する進捗のモリタリングは、本発明の他の観点である。モニタリングは、当業界において公知の任意の適した方法によって実施され得る。好適な方法は、顕微鏡検査、核磁気共鳴及びX線を含む。眼組織の場合において、後眼房の間接的な検眼鏡検査、及び前眼部(the anterior segment of the eye)の生体鏡実験を使用できる。脈絡膜の新生血管形成の範囲をモニタリングする好適な方法は、静脈内フルオレセイン染色及びフルオレセイン血管造影により生育組織を検査することによる。
【0128】
新生脈管形成を阻害又は妨げる抗−α5β1インテグリン抗体の効力をスクリーニングするための好適な方法は、動物の網膜内に病変を作製すること、病変に抗−α5β1インテグリン抗体を適用すること、そしてその後、損傷した組織中での新生脈管形成の進捗を、適したコントロール実験と比較してモニタリングすること、による。このアプローチは、後述の実施例6中において詳細に検討されている。これらの試験は、固体の片眼への抗−α5β1インテグリン抗体の適用は、個体の両眼に存在する病変の治療をもたらすという驚くべき発見を導いた。それは損傷した組織において新規に形成された血管が“もれやすい”ことを示唆し、そして全身血に入る片眼への抗体の適用をもたらし、もう片眼へ抗体を運搬する。抗体全体又はFabフラグメントか否は無関係であることを有すこの結果は、治療において使用される。これらの結果は、本発明の抗-α5β1インテグリン医薬抗体を、全身的に、例えば、静脈内注射により投与することによる眼の病変の新規の治療方法を示す。
【0129】
V. 医薬的使用
【0130】
本発明の更なる態様は、本明細書において発表する治療抗体を含む医薬組成物を含んで成る。これらの組成物は、炎症を減少させ、又は別の方法で局所的な苦痛の除去を提供する治療成分の取り込み又は局在化を増強させる作用物質を含んでよい。
【0131】
α5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成を減少させ、又は阻害するにおいて有用な本発明の抗体、或いは当該抗体を含む医薬組成物は、新脈管形成により、少なくとも1部分、特徴化された任意の病理学的症状を治療するために使用することができる。当業者は当該作用物質を、例えば経口又は非経口、静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、嚢内、髄液嚢内、腹腔内、槽内(intracistemally)、もしくは受動的、例えば皮膚パッチもしくは経皮イオン導入、を使用して経皮吸収を促進させることを含む多様な経路により投与することができることを知っているであろう。更に、当該抗体は注射、管移入(intubation)、坐剤、経口又局所経由により投与することができ、局所経由は、例えば、当該抗体を含む軟膏又はパウダーの直接適用による受動的なものであるか、或いは例えば、点鼻スプレー又は吸入器を使用する能動的なものでもよい。抗体は、所望されるならば組成物の1つの成分が適切なガスである局所スプレーとして投与することもできる。医薬組成物は、所望されるならば、リポソーム、ミクロスフェア又は他のポリマーマトリックス中に組み入れることもできる(参考文献により本明細書に組み入れたGregoriadis, Liposome Technology, Vol. 1 (CRC Press, Boca Raton, Fla. 1984)を参照)。例えばリン脂質、又は他の脂質から成るリポソームは、毒性がなく、生理学的に許容され、そして比較的簡単に作成及び投与される代謝され得る担体である。
【0132】
α5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成は、例えば糖尿病性網膜症で苦しんでいる個体の網膜中で局部的に発生させることができ、或いは、例えば、リウマチ性関節炎又は転移性悪性新生物で苦しんでいる個体に、より全身的に発生させることができる。 新脈管形成の領域は、局所化することができ、又はより全身的に分散させることができるので、当業者は、この要因の一部分に基づき、本発明の治療抗体の特定の投与経路及び投与方法を選定するであろう。
【0133】
例えば、糖尿病性網膜症で苦しんでいる個体において、α5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成が網膜に位置する場合、当該作用物質を直接眼に投与することができる点眼剤として使用するために適する医薬組成物に製剤化することができる。比較して、転移性癌腫で苦しむ個体において、医薬組成物中の当該作用物質は、静脈内、経口、又は他の当該作用物質を全身的に分散させる方法によって投与することができる。このように、本発明の抗体は、多様な経路、例えば、静脈内、経口、又は処置される部位中に直接、例えば、新形成腫瘍中へ直接;眼に関与する病理学的症状への点眼経由:又は関節に関与する症状における滑液内へ、投与することができる。
【0134】
治療抗体は、個体におけるα5β1インテグリンのその特異的リガンドへの特異的結合を妨げるに十分な量である効果量を投与される。一般的にアンタゴニスト作用物質は、適用によりそれらが若干変わるにもかかわらず、約0.0001から100mg/kg体重の用量で投与される。上記で検討された有効性試験の結果に基づき、当業者は施された治療の有効量の幅を決定することができるであろう。投与量の評価は、例えば局所的に投与された作用物質に応じて調整することができる。
【0135】
本発明の抗体を投与する好適な方法は、皮下、静脈内、或いは損傷で苦しむ関節又は組織中への直接的注入、のいずれかの方1法による。例えば、網膜組織が損傷を受けた時、本発明の治療抗体は、影響を受けた眼の中へガラス体内(intravitreally)から注入することができる。本発明の驚くべき結果は、片眼へ施された処置が両眼(両眼が損傷していると思われる)への臨床的に有益な効果を導くことである。それは、新規に形成された血管は“もれやすい”ものであると考えられ、このことは第一の眼に施された抗体が血流中を通過し、そこで第二の眼に輸送されることを可能にする。このように眼に適用される場合、投与量は好適には5μM未満、より好適には0.5から2μMの間、及び最適には0.1から1.0μMの間である。示されたところでの治療は、所定の投与部位又は投与期間に応じて複数の投与形態をとることができる。複数の形態における投与量は、全て同一であってよく、又は独立して決定及び適用することができる。この結果は、治療抗体の全身的適用の効果量を含み、新脈管形成に関連する病変を治療する追加の方法も導き(例えば静脈注射により)、ここで損傷した組織の新脈管形成が阻害され、又は妨げられる。
【0136】
本明細書において引用する全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が参考文献によって組み入れられたことを詳細に及び個々に示すように、参考文献により本明細書中に組み入れた。
【0137】
上述の発明を明確にさせるため、及び理解するため、図解及び実施例により一部が詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の意図及び範囲から離れず、そこへの一定の変化及び改変を作製することができることを本発明の技術面での当業者は容易に理解するであろう。
【0138】
実施例
上記提供された開示から理解できるように、本発明は多種多様な適用を有す。従って、以下の実施例は目的を説明するために提供され、そして任意の方法において、本発明に制限を構成することを意図したものではない。当業者等は、本質的に同様の結果を生じさせるために変化又は修飾させることができる多種の非基準的パラメーターのバラエティーを容易に認識するであろう。
【実施例1】
【0139】
ネズミIIAI抗-α5β1インテグリン由来M200キメラの構築
【0140】
本実施例は、キメラ抗体M200の構築を説明する。
A.IIA1並びに200-4 VH及びVL ドメインの出発DNA配列
【0141】
マウス抗-ヒトα5β1インテグリン抗体、IIA1(Pharmingen, San Diego CA)の可変重鎖(VH)及び軽鎖(VL)ドメインは、IIA1ハイブリドーマcDNAからクローン化され、そして200-4抗体の最初の構築の部分として配列決定される。図3は、IIA1 VH (SEQ ID NO:13) 及びVL(SEQ ID NO:14)ドメインのcDNA配列を示す。IIA1由来200-4マウス/ヒトキメラIgG4抗体の構築を通じて、サイレントXhoI制限サイト(CTCGAG)(SEQ ID NO:33)を、IIA1 VH及びVLの両方のフレームワーク4領域中に導入した。DEF38IIAl/ヒトG4キメラ及びNEF5 IIA1/Kキメラ発現構築体中に見出されるものとして、それらのサイレントXhoIサイトを含む200-4 VH (SEQ ID NO:15)及びVL(SEQ ID NO:17)DNA配列を、図4に示す。これらの200-4VH及びVL配列は、出発ポイントとして、全てのサブ配列組換えDNA操作に使用した。
【0142】
B. M200 VH及びVL ミニ-エクソンのデザイン
【0143】
発現プラスミドDEF38 IIA1/ヒトG4キメラ、及びNEF5 IIA1/K キメラ中の200-4 VH及びVLドメインを、介在イントロンなしでサイレントXhoIサイトを通してそれらの連続する不変ドメインと直接融合させる。ゲノムDNAに基づく所望される抗体発現ベクターと適合性のあるこのような可変ドメインを作製するために、可変コード領域の3’末端での機能的ドナースプライスサイトを再度作り出す‘ミニ-エクソン’をデザインすることが必要であった。配列の比較では、それぞれネズミJH4及びJK1セグメントを利用したIIA1のVH及びVL領域を露出させ;その結果、当該ミニ-エクソンを、VH及びVLドメイン中の最後のアミノ酸に従う、天然のネズミJH4及びJK1ドナースプライスサイトを再度作り出すようにデザインした。更に、当該XhoIサイトを除去し、起源IIA1ハイブリドーマ中で見出されたとしてフレームワーク4配列を回復させた。 当該ミニ-エクソンには、制限サイト:VHミニ-エクソンのための5'及び3'XbaIサイト(TCTAGA)(SEQ ID NO:34)、及びVLミニ-エクソンのための 5'MluI(ACGCGT)(SEQ ID NO: 35)及び3'XbaI(TCTAGA)(SEQ ID NO: 34)、が隣接した。
【0144】
組換え抗体可変ドメインは、時々所望されない選択的(alternative) mRNAスプライスサイト(従って、選択的にスプライスされたmRNA物質を発生させることができる)を含む。かかるサイトは、理論上では、ネズミ可変ドメイン中に存在することができるが、異種の発現細胞及び/又はキメラ不変領域からの新規の受容サイトとの関係でのみ活性化し始める。コードされたアミノ酸配列が未変化のまま、潜在的な選択的スプライスサイトを除去するためにコドン縮重を利用することは、かかる所望されない選択的スプライシングを排除することができる。M200 VH及びVL ミニ-エクソン中の任意の潜在的な選択的スプライスサイトを検出するため、出発デザインはCenter for Biological Sequence Analysis from the Technical University of Denmark (http://www. cbs. dtu.dk/services/NetGene2/)製のスプライスサイト予測プログラムにより分析された。両200-Mミニ-エクソンのため、正確なドナースプライスサイトが同定されたが;潜在的な選択的ドナースプライスサイトは、VHミニ-エクソンのCDR3及びVLミニ-エクソンのCDR1の中で検出された。使用されるこれらのスプライスサイトの可能性を除去するために、一つのサイレンス塩基対の変化をミニ-エクソンデザインに作製した。VHデザインの場合において、グリシン100 (Kabat numbering)でのサイレントGGTから GGAコドンへの変化が作製され;VLデザインのためバリン29でのサイレントGTAからGTCコドンへの変化 が作製された。両ケースにおいてこれらのサイレント変化はV-遺伝子中の潜在的な第二のスプライシングドナーシグナルを排除した。
【0145】
隣接する制限サイト、ネズミドナースプライスサイトを含み、200-4XhoIサイトを除去され、そして潜在的な選択的ドナースプライスサイトの除去されたM200 VH及びVLミニ-エクソン(SEQ ID NOS:19,21)のための最終デザインを、図5に示す。
【0146】
C. M200 VHミニ-エクソン及びプラスミドp200-M-Hの構築
【0147】
図5Aに示す通り、M200 VHのためにデザインされたミニ-エクソンは、出発ポイントとして200-4発現プラスミドDEF38IIAl/ヒトG4キメラを用いたPCRに基づく突然変異誘発により構築した。簡潔には、200-4VH領域は、DEF38 IIAl/ヒトG4キメラから200-4 VHシグナル配列の5'末端をアニールし、そして Kozak配列及びXbaIサイトを付加するプライマー#110(5'- TTTTCTAGACCACCATGGCTGTCCTGGGGCTGCTT-3')(SEQ ID NO:36)、並びに200-4 VHの3'末端をアニールし、そしてXbaIサイトを付加するプライマー#104(5'-TTTTCTAGAGGTTGTGAGGAC TCACCTGAGGAGACGGTGACTGAGGT-3')(SEQ ID NO:37)を用いて増幅した。469塩基対PCRフラグメントは、pCR4Blunt-TOPOベクター(Invitrogen)中でクローン化し、そしてプラスミドp200M-VH-2.1を産していることをDNA配列により確認した。本中間体プラスミドは、その後CDR3中の潜在的な異常型スプライスサイトを除去するため、そしてVHコード領域の3’末端でネズミJH4ドナースプライスサイトを付加するために、第二のPCR突然変異誘発反応において使用された。2つの相補的プライマー、 #111(5'-TGGAACTTACTACGGAATGACTACGACGGGG-3')(SEQ ID NO:38)及び#112(5'-CCCCGTCGTAGTCATTCCGTAGTAAGTTCCA-3')(SEQ ID NO:39)は、M200VHのCDR3中におけるグリシン100(Kabatナンバリング)で、GGTをGGAコドンへ変化させることを導くようにデザインされた。プライマー#110及び#112は、M200VHのミニ-エクソンの5’末端から395bpのフラグメントを産するためPCR反応において使用され、そしてプライマー#111及び#113(5'- TTTTCTAGAGGCCATTCTTACCTGAGGAGACGGTGACTGAGGT-3')(SEQ ID NO: 40)の別個のPCR反応は、M200 VHミニ-エクソンの3’末端から101 bpのフラグメントを産する。当該2つのPCR産物は、低融点の1.5%アガロースゲル上で精製し、組合せ、そしてプライマー#110 及び#113を用いて最終的なPCR反応中で結合した。最終的な465bpのPCR産物を精製し、XbaIで消化し、そしてXbaI-消化された、且つshrimp アルカリホスファターゼ-処理されたベクターpHuHCg4.D中でクローン化した。最終的なプラスミド、p200-M-H (図6)は、XbaIサイト間の200-MVHミニ-エクソンのための正確な配列を確実にするため、及びXbaI-XbaI挿入体の正しい配向を確かめるため、DNAシーケンシングにかけた。
【0148】
D. M200VLミニ-エクソン及びプラスミドp200-M-Lの構築
【0149】
図5Bに示すように、M200 VLのためにデザインされたミニ-エクソンを、出発点として200-4発現プラスミドNEF5IIA1/Kを用いて、PCRに基づく突然変異誘発により構築した。当該VL領域を、シグナル配列の5’末端をアニールし、そしてKozak配列及びMluIサイトを付加するプライマー#101(5'-TTTACGCGTCCACCATGGATTTTCAGGTGCAGATT-3')(SEQ ID NO: 41)、並びに200-4 VLの3’末端をアニールし、そしてXbaIサイトを付加するプライマー#102(5'-TTTTCTAGATTAGGAAAG TGCACTTACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGCC-3') (SEQ ID NO: 42)を用いて、NEF5-IIA1-Kから増幅させた。当該432 bp PCRフラグメントをpCR4Blunt-TOPOベクター(Invitrogen)中でクローン化し、そしてプラスミドp200M-VL-3.3を産しているかをDNAシーケンシングにより確認した。この中間体プラスミドは、CDR1中の潜在的に異常型のスプライスサイトを除去するため、そしてVLコード領域の3’末端でネズミJK1ドナースプライスサイトを付加するために、その後第二のPCR突然変異誘発反応中で使用した。2つの相補的プライマー、#114(5'-TGCCAGTTCAAGTGTCAGTTCCAATTACTTG-3')(SEQ ID NO: 43)及び#115(5'-CAAGTAATTGGAACTGACACTTGAACTGGCA-3')(SEQ ID NO: 44)は、VLドメインのCDR1中のバリン29(Kabatナンバリング)でGTAからGTCコドンへの変化を導くようにデザインされた。プライマー#101及び#115を、VLミニ-エクソンの5’末端から182bpのフラグメントを産するためにPCR反応中で使用し、そしてプライマー#114 及び#116(5'-TTTTCTAGACTTTGGATTCTACTTACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGCC-3')(SEQ ID NO:45) による別個のPCR反応は、VLミニ-エクソンの3’末端からの280 bpフラグメントを産する。2つのPCR産物は、低融点の1.5%アガロースゲル上で精製し、組合せ、そしてプライマー#101 及び#116を用いて最終的なPCR反応中で結合させた。最終的な431 bp PCR産物を精製し、MluI及びXbaIで消化し、そしてMluI-及びXbaI-消化された軽鎖発現ベクターpHuCkappa. rgpt. dE中でクローン化した。最終的なプラスミド、p200-M-L(図7)は、MluI及びXbaIサイト間でのVLミニ-エクソンのための正確な配列を確実にするため、DNAシーケンシングへかけた。
【0150】
E. 最終的な発現プラスミドp200-Mを作製するためのプラスミドp200 M-H 及びp200-M-Lの組合せ
【0151】
一つのプラスミドからM200を発現させるためのp200-M-H及びp200-M-Lは、EcoRIによって消化され、そしてp200-M-Hから完全なIgG4重鎖遺伝子を運搬するEcoRIフラグメントを、プラスミドp200-M (図8)を産するためEcoRI-線形化p200-M-L中へ結紮した。p200-Mのエンドトキシン-不存在プラスミドの大スケールでの調製は、エンドトキシン-不存在プラスミドMaxi-prepキット(Qiagen)を使用するE. coli培養の2.5リットルから調製した。当該プラスミド構造は、酵素BamHI、XbaI、及びFspIによる制限酵素マッピングにより確認した。M200 VH、VL、Cκ、及びCγ4全体をコードする領域は、DNAシーケンシングにより確認した。完全なM200重鎖(SEQ ID NO:23)及びM200軽鎖(SEQ ID NO: 24)のDNA配列を図9に示す。M200重鎖(SEQ ID NO:25)及びM200軽鎖(SEQ ID NO:26)全体に対応するアミノ酸配列を図10に示す。
【実施例2】
【0152】
M200由来Fab フラグメントF200の作製
【0153】
本実施例はFabフラグメントF200の作製を説明する。
【0154】
Fabフラグメントは酵素的消化によりM200 IgG出発原料から作製する。出発IgGは20 mMリン酸ナトリウム、20 mM N-アセチルシステインpH 7.0中に緩衝液交換する。可溶性パパイン酵素を付加し、そして当該混合物を37℃で4時間回転させる。消化後、当該反応混合物をFcフラグメントを除去するため、プロテインAを充填したカラムに通し、そして未消化のIgGを除去する。四チオン酸ナトリウムを10 mM付加し、そして30分間室温で培養する。最終的に、本調製は、F200溶液を産するために20 mMリン酸ナトリウム、100 mM 塩化ナトリウム、pH 7.4中で緩衝液交換する。
【0155】
それはFabフラグメントであるから、当該F200軽鎖DNA及びアミノ酸配列はM200軽鎖と同一である。完全なF200重鎖DNA(SEQ ID NO:27)及びアミノ酸(SEQ ID NO:28)配列を図11に示す。
【実施例3】
【0156】
In vitroにおけるM200による内皮増殖の阻害
【0157】
本実施例は内皮増殖へのM200抗体の効果を説明する。M200はα5β1インテグリンに対するモノクローナル抗体を高特異的機能的に遮断する。
【0158】
HUVECを、図14に示す濃度で、多種の抗体(M100、M200、抗-VEGF又はコントロールIgG)の存在下において、5000細胞/ウェルの密度の96-ウェルプレート中に播種した。プレートを10 μg/mLのフィブロネクチン又は0.1%のポリ-L-リシン(PLL)のいずれかにより前処理し、そして熱変性させた2%BSAにより遮断した。細胞をおよそ2ng/mlのVEGF、bFGF又は両方を含む、血清が存在しない限定培地で生育した。プレーティング後4日間、細胞生育可能性のある合計を、テトラゾリウム塩、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムブロマイド+++)アッセイ(例えばWasserman & Twentyman,“ネズミ固形腫瘍由来細胞の放射線感受性の測定におけるcolorimetric microtiter (MTT)アッセイの使用”Int J Radiat Oncol Biol Phys. 15 (3): 699-702 (1988); Romijn, JC, Verkoelen, CF, Schroeder, FH, “in vitroにおけるヒト前立腺癌細胞株へのMTTアッセイの適用:ホルモン刺激成長及び薬剤誘導細胞増殖抑制及び細胞毒性効果の検査条件の確立並びに評価”Prostate 12(1):99-110 (1988)参照)を用いて評価した。データはバックグランドを差し引き、そして抗体を欠くコントロールへ標準化される。それぞれのデータポイントは3倍に集積され、そして示された当該データは3つの別個の実験で表される。
【0159】
図14に示すように、HUVEC成長はPLL 及びフィブロネクチン(0.40 nM;80%の最大阻害)の両方において用量依存的にM200により阻害され、一方、コントロールIgGは反応がなかった。更にM100(M200由来のマウス抗体)は、細胞成長を阻害する同一の能力を見せる。
【0160】
重要なことは、図14に示す通り、当該高-アフィニティー、抗-VEGF mAb、HuMV833(KD= 5.84×10-llnM)遮断機能は、全ての検査された条件下において(45nM;40%の最大阻害)HUVEC成長の著しく少ない阻害を発揮する。M200及びHuMV833を一緒にすることによる細胞の負荷は、阻害応答の増加をもたらさなかった。
【0161】
図15Aにおいて見られるデータは、上記の通りフィブロネクチン上のHUVEC増殖アッセイにおいてVEGF(50 ng/ml)のより高い濃度を含んだ。図15Aにおいて見られるように、VEGFにより刺激されたフィブロネクチン上でのHUVEC増殖は、HuMV833によるのと同程度にM200により阻害される。このようにM200で仲介される細胞増殖抑制剤の効果は、VEGF(50 ng/ml)の成長を刺激するレベルで上昇した場合でさえ、明白であった。
【0162】
2つの高アフィニティー抗体はM200イディオタイプ領域に対して上昇し、そしてα5β1インテグリンに対するM200の結合遮断を決定した。当該2つの抗-イディオタイプmAbs(10μg/ml)は、上記HUVEC増殖アッセイの中に含まれ、HUVEC成長のM200-依存的阻害への効果のため、評価された。両mAbsは、HUVEC増殖を阻害するため、M200 (1μg/ml)の能力を阻害することができる。15Bに示す通り、M200の阻害活性は、M200に対する抗イディオタイプmAbsにより完全に逆転させられた。
【0163】
従って、これらの結果は、抗-VEGF抗体HuMV833の重複するメカニズムを通して、更に別個のいくつかの観点も通して、M200がHUVEC増殖を阻害することを示唆する。
【実施例4】
【0164】
残存する内皮細胞へのM200の効果
【0165】
本実施例は、残存する内皮細胞へのM200抗体の効果を説明する。
【0166】
所定のインテグリンに対する抗体はin vitro及びin vivoにおいて細胞死を導くことができる。最近では、α5β1mAbを遮断する機能は、培養されたヒト内皮細胞においてアネキシンV染色、カスパーゼ-3開裂、及びDNA切断(Kim, 等., 2002)により測定されたようなアポトーシスを促進させることを示した。
【0167】
同様にアネキシンV染色は、M200又はHuMV833に曝された成長したHUVECで実施した。血清-不存在培地(ここで示されたもの以外にVEGF及びbFGFを含む)におけるHUVEC成長は、M200 (10μg/ml)、HuMV833(10μg/ml)又はスタウロスポリン(5μM;陽性コントロール)の存在下において成長した。細胞死はアネキシンV-alexa488(緑)、及びHoechst 33258(青)による染色によって評価し、蛍光顕微鏡(蛍光顕微鏡イメージは図16Aに示す)により引き続き評価した。並行して、細胞死はプレート化後、16時間フローサイトメトリーにより引き続き評価された(図16B)。
【0168】
図16A及び16Bに示す通り、細胞は、上昇したアネキシンV染色を示すM200を負荷されたが、HuMV833による負荷はなされなかった。従って、HuMV833と対比してM200は、内皮細胞中の細胞死を促進させると思われる。
【0169】
更に、増殖細胞に対するM200の老化への効果を比較した。HUVECは、血清及び成長因子の存在下でプレート化し、そして増殖を許容させ(中央パネル)、集合体を成長させ(左パネル)、又は血清及び対数増殖期後の成長因子を欠如させた(右パネル)。それぞれの場合において、細胞は未処理(コントロール)で放置されるか、又は16時間M200(10μg/ml)、又はスタウロスポリン(5μM) で培養し、そしてアネキシンV-alexa488で染色した。
【0170】
図17に示す通り、M200は分割しているHUVECの中で細胞死を引き起こすが、しかしHUVECは接触阻止又は成長因子を退けることのいずれかによる老化をもたらさない。これらの結果はM200が増殖している内皮細胞中で細胞死を選択的に促進させることを示唆する。
【実施例5】
【0171】
In vitroにおけるF200の管形成阻害
【0172】
本実施例は、in vitroでのF200による新脈管形成阻害において、管形成アッセイの論証を説明する。HUVECsは、ヒト血清及び成長因子の混合物(図18Aにおけるアッセイは、0.01mg/mlのrTGF-α及び0.lmg/mlのVEGF及びHGFの両方を補足した培地を含む;図18Bにおけるアッセイは、0.lmg/mlのVEGF単一物を補足した培地を含む;及び図18Cにおけるアッセイは、0.1mg/ml bFGF単一物を補足した培地を含む)と一緒にフィブリン塊(フィブリノゲン及びa-トロンビンから調製された)の中へ一つの細胞浮遊物として混合された。検査抗体は、示された濃度で培地へ付加した。96時間かけて、当該一つの細胞HUVECsは移動し、他の細胞及びマトリックスと接触し、コードを形成し、そして最終的に3-次元の管-様構造物を形成し始める。管形成の範囲は4%ホルムアルデヒドにより固定し、そしてAlexa488-phalloidinで染色することにより6日後に定量した。図18中に蛍光で描かれた平均値のイメージ及びグラフにより示す通り、管形成はF200の存在により著しく阻害された。管形成阻害は成長因子、VEGF、HGF及びrTGFαを有すそれら2つの混合物の存在中で観察された。
【実施例6】
【0173】
In vivoにおけるM200及びF200による霊長類動物の眼中のCNVの阻害
【0174】
本実施例は、霊長類動物の眼の黄斑へのレーザー傷害後の脈管発達 へのM200及びF200 Fabの効果を説明する。動物モデルにおける脈絡膜の新生血管形成のバックグランドの文献記載試験は:S. Ryan,“円板状の黄斑変質における網膜下の新生血管形成の実験モデルの開発,”Transactions of the American Ophthalmological Society 77:707-745(1979);S.J. Ryan,“網膜下の新生血管形成:実験モデルのnatural history,”Archives of Ophthalmology 100:1804-1809 (1982);M. J. Tolentino等.,“フルオレセイン化した抗-血管内皮成長因子抗体の血管造影、及び実験的脈絡膜の新生血管形成におけるデキストラン,”Archives of Ophthalmology118:78-84 (2000)を含む。
【0175】
A.実験デザイン
計8のサルが以下の表に示す通りの治療群に割り当てられた。
【表1】
【0176】
M200及びF200は運搬緩衝溶液中で投与された。Rituxan(登録商標)をコントロール投与として使用した。脈絡膜の新生血管形成(CNV)は、以下に記載の通りそれぞれの動物の両眼の黄斑へのレーザー処置により1日で導かれた。全ての動物に表1で示すように4週間週1回M200、F200、又はコントロールを投与した。投与初日は、1日目と称した。標準技術を用いて、動物の臨床的サイン、体重、及び他のパラメーターの変化を評価した。全ての動物を28日目で安楽死させた。
【0177】
B.脈絡膜の新生血管形成(CNV)のレーザー導入
動物はレーザー処置前に一晩断食させて投与した。動物は、レーザー処置及び投与手順のため、塩酸ケタミン(有効性のため、筋肉内投与)により、引き続き、静脈内へのケタミン及びジアゼパムの組合せ(有効性のため)により落ち着かせた。
【0178】
脈絡膜の新生血管形成(CNV)は、両眼の黄斑へのレーザー処置により導いた。病変は、レーザー[OcuLight GL (532 nm) Laser Photo-coagulator with a IRIS Medical(商標)Portable Slit Lamp Adaptor]により標準化された9-スポットグリッドパターンにおいて黄斑中に置かれた。右目中のレーザースポットは、左眼中の配置を映す。おおよそのレーザーパラメーターは以下の通り:スポットサイズ:50-100μm;レーザー強度:300-700ミリワット;暴露時間:0.1秒である。それぞれの動物のパラメーターを、レーザー処置の当日に記録した。写真はデジタルCCDカメラによりTRC-50EX 網膜カメラ及び/又はSL-4ED スリットランプを用いて撮影した。
【0179】
C.投薬
免疫グロブリン(検査) 、又はコントロール品目の硝子体内への注入はそれぞれの眼で実施した。1日目の注入に引き続き迅速にレーザー処置を施す。投薬前に、散瞳剤(1%トロピカミド)をそれぞれの眼に滴下した。眼を希釈消毒液(5%Betadine(登録商標)溶液又は相当物)でゆすぎ、当該消毒液を0.9%殺菌食塩水(又は相当物)ですすぎ、そして2滴の局所麻酔薬(プロパラカイン又は相当物)を眼中へ滴下した。目蓋鏡を処置の間、目蓋を開けたまま挿入し、そして眼球を後退(retracted)させた。 投薬シリンジの注射針を、およそ4mm後方の縁への強膜及び平面部に通した。当該注射針を、中央のガラス体中へのレンズ後方へ導いた。検査品目をガラス体中へゆっくり注入した。ピンセットは、注射針の回収前にシリンジに巻き付く結膜をつかむために使用した。結膜がピンセットでつかまれる間に、短時間で注射針を回収した。瞼鏡をその後取り外した。投与後迅速に、任意の視認できる投与後の問題を同定するために、間接的な検眼鏡により眼を検査した。局所抗生物質(Tobrex(登録商標)又は相当物)は、感染予防のために、投与後迅速に、及び投与1日経過後に、それぞれの眼に投与することができる。当該動物は麻酔から十分に回復した時、ケージに戻された。
【0180】
以下の表中のスケジュールに基づき1週間投与した:
【表2】
【0181】
示されたグラム投薬量レベルは、個々の眼のためのものである。平均2mlの眼容量と考え、片目ごとの投与量は、〜150μg/ml M200、及び〜50μg/ml F200であった。両ケースともM200又はF200のモル濃度はlμMであった。
【0182】
D. 新脈管形成阻害のモニタリング
間接的な検眼鏡検査は、後眼房(posterior chamber)を検査するために使用され、そして生体鏡検査は、眼の前部セグメントを検査するために使用された。眼は標準の手順(Robert B. Hackett及びT. O. McDonald. 1996,Dermatotoxicology.第5版Ed. By F. B. Marzulli及びH. I. Maibach. Hemisphere Publishing Corp. , Washington, D. C)を用いて記録された。
【0183】
フルオレセイン血管造影法は、病変形成の前、並びに5、12、19及び26日に続けて起こる病変時、そして治療開始時に実施した。ケタミン及びジアゼパムの組合せ物(およそ10 mg/kgケタミン及び0.5 mg/kgジアゼパムを静脈内に)は、鎮静の維持を与えることができる。目蓋鏡は目蓋を収縮させるために使用した。フルオレセイン染料の投与前、それぞれの動物を、撮影を通して頭部の位置を維持するであろう眼科の椅子に配置した。眼底(fundus)カメラ(TRC-50EX網膜カメラ)を用いて撮影した。イメージをTOPCON IMAGEnet(商標) システムを用いて取り込んだ。フルオレセイン染色(10%フルオレセインナトリウム、およそ0.1 mL/kg)を頭部又は伏在静脈を経由して注入した。CNV病変に関連したフルオレセインの漏れをモニターするために、動脈相を含む前期動静脈相及びいくかの後期動静脈相に染料注入を追跡するいくつかの時点で、カラー及び黒白写真を撮影した。未変化のイメージは記憶及び持ち運びのためにコンパクトディスクへ移転することができる。
【0184】
更に、眼を写真に撮ってよい(TRC-50EX網膜カメラ及び/又はデジタルCCDカメラによるSL-4EDスリットランプ)。動物は本手順の前に塩酸ケタミンにより軽度に鎮静化させてよく、そして散瞳させる溶液(典型的に1%トロピカミド)の数滴を、当該試験を促進させるためにそれぞれの眼の中に点眼した。
【0185】
E. 結果
フルオレセイン血管造影イメージの分析は、13日及び20日のCNVの存在を明確に示すそれらの群を使用することにより産出した。CNVは、コントロール群中(例えば、群1、4(左眼)及び5(左眼))で28日まで持続した。対照的に、当該CNVはM200及びF200で処置された眼(例えば群2,3,4 (右眼)及び5 (右眼))において著しく減少した。図19において見られるように、20日でのM200で処置した眼はコントロールのみで処置された眼と比較してCNVの徴候が殆ど見られなかった。
【0186】
図20-25は、個々のサルの右眼におけるNCV上でのM200及びF200の効果を、同じサルの左眼と13日、20日及び27日で比較した効果を示す。CNVの著しい減少が、未処置の眼と比較して、M200又はF200のいずれかで処置された個々の眼中で観察された。CNV中の相対的な減少は、F200により処理された個体の中でより大きくなると思われる。しかしながら、この明白な相違は個体の未処置の左目中へ血流を通すM200の漏れのためであると信じられている。すなわち、個々の右眼におけるM200処置は、左眼中のCNVも阻害し、両眼間での明白な相違がより少なくなる結果をもたらす。対照的に、未処置の眼を通して漏れないM200は、固体の両眼間でのCNV阻害に更に大きな相違をもたらす。
【実施例7】
【0187】
M200、F200及びヒト化変異体の結合アフィニティー
【0188】
A.表面プラスモン共鳴による動力学的分析
AABl/B2Fc及びIIA1、M200又はF200の間のアフィニティーは、BIAcore 3000及び2000(BIAcore、Sweden)を用いて分析された。IIA1、M200又はF200は標準的なアミンカップリングキット(BIAcore)を用いてPioneerF1チップ上に固定された。表面プラスモン共鳴は24℃で50ul/分の流動比率で測定した。AABl/B2Fc(会合相)の注入は、180秒かけて行う。その後3時間解離をモニターした。結合動力学はBIA評価プログラムを用いて、5つの異なる検体(320nM、160nM、80nM、40nM、20nM)の濃度で獲得されたデータから計算した。2重の参照は、コントロールのみ、参照の表面及び緩衝剤からの応答を除去するために適用した。KDは検体の一連の濃度からのセンサーグラム(sensorgram)の会合及び解離相を同時に適合させることにより得られた。M200 KDが0.367±0.132 nMになるように決定した。F200 KDが0.332±0.065nMとなるように決定した。
【0189】
B. 競合ELISAアッセイによるHuM200アフィニティー
ELISA結合競合アッセイは、IIA1及びM200を比較したHuM200の結合アフィニティーを決定するために実施してよい。
【0190】
96-ウェルELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp plate, NalgeNunc, Naperville, IL)のウェルは、4℃で一晩かけて0.2 M炭酸ナトリウム-炭酸水素ナトリウム緩衝剤(pH9.4)中において1.0μg/ml組換え可溶性組換えヒトα5β1インテグリン-Fc融合タンパク質の100μlで覆った。洗浄緩衝剤(0.1% Tween 20を含むPBS)で洗浄した後、ウェルを30分間200μlの Superblock Blocking Buffer (Pierce) で遮断し、そしてその後、洗浄緩衝剤で洗浄した。ELISA 緩衝剤中のビオチン化したネズミIIA1(0.1μg/検査)及び競合抗体(競合抗体の連続3倍に希釈した複製物を5mg/mlで出発させる)の混合物(1%BSA及び0.1%Tween 20含むPBS)をウェルごとに100μlの最終容積中でELISAプレートに適用させた。ELISAプレートを1時間室温で培養し、そして当該ウェルを洗浄緩衝剤で洗浄した。その後、ELISA緩衝剤中で100μlの1/1,000-希釈したHRPを接合させたストレプトアビジン(Pierce, Rockford, IL)をそれぞれのウェルへ適用させた。0.5時間、室温で培養した後、洗浄緩衝剤で洗浄し、100μlのTMB 基質をそれぞれのウェルに付加した。吸着をVERSAmaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Menlo Park, CA)を用いて450nmで読んだ。反応中における最終競合濃度は、450nmでの吸着に対比させてプロットした。
【0191】
HuM200は、図13(SEQ ID NOS:31及び32)に見られるように重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む。HuM200(HuM200-G4とも言われる)はIgG4由来の不変領域を含む。M200、 HuM200-g2m3Gの第二のヒト化バージョンはHuM200と同一の可変ドメインを含むが、 IgG2の不変領域を含む。
【0192】
図26において見られるように、M200抗体、HuM200-G4及びHuM200-g2m3Gの2つのヒト化バージョンは、M200とほぼ同一の結合アフィニティーカーブを見せる。更に、 HuM200-G4及びHuM200-g2m3Gは、それぞれ131.8μg/ml及び102.8μg/mlのIC50値を有す。これらの数値はM200(106.3μg/ml)のために観察されたものと比較することができ、そして IIA1(79.1 L9/Ml)よりも軽度に高い。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】ネズミ抗−α5β1インテグリン抗体(IIA1)及びネズミ由来の5つのヒト化抗体(1.0-5.0)の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NOS:1-12)を描写する。
【0194】
【図2】ネズミ由来物(IIA1)に関連する5つのヒト化抗体において、注目の配列を置き換えたアミノ酸配列(SEQ ID NOS:1-12)の整列を描く。
【0195】
【図3】(A)IIA1 VH 核酸配列(SEQ ID NO:13)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO:1);(B)IIA1 VL 核酸配列(SEQ ID NO:14)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO:7)を描写する。
【0196】
【図4】(A)抗体200-4 VH核酸配列(SEQ ID NO:15)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 16);(B)抗体200-4 VL核酸配列(SEQ ID NO:17)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 18)を描く。
【0197】
【図5】(A)M200 VH核酸配列(SEQ ID NO:19)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO:20);(B)M200 VL核酸配列(SEQ ID NO:21)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 22)を描く。
【0198】
【図6】M200 重鎖の発現のために組立てられたp200-M-Hプラスミドを描く。
【0199】
【図7】M200 軽鎖の発現のために組立てられたp200-M-Lプラスミドを描く。
【0200】
【図8】M200重鎖及び軽鎖の発現のための一つのプラスミドp200-Mを描く。
【0201】
【図9】完全なM200重鎖及び軽鎖DNA配列(SEQ ID NOS:23-24)を描く。
【0202】
【図10】完全なM200重鎖及び軽鎖アミノ酸配列(SEQ ID NOS:25-26)を描く。
【0203】
【図11】完全なF200重鎖DNA及びアミノ酸配列(SEQ ID NOS:27-28)を描く。
【0204】
【図12】完全なhuM200重鎖及び軽鎖DNA配列(SEQ ID NOS:29-30)を描く。
【0205】
【図13】完全なhuM200重鎖及び軽鎖アミノ酸配列(SEQ ID NOS:31-32)を描く。
【0206】
【図14】抗-VEGF mAb、HuMV833の抗増殖特性を包含する内皮細胞成長の潜在的阻害剤であるM200の結果を図解する。
【0207】
【図15】細胞成長を誘導するVEGFを阻害するM200、及び抗−イディオタイプmAbsによるM200活性の阻害を示す結果を図解する。
【0208】
【図16】(A)アネキシン染色により視認化される細胞死を誘導するM200;(B)フローサイトメトリーによるアネキシン染色された細胞の定量を示す結果を図解する。
【0209】
【図17】老化HUVECに対し、増殖における細胞死の増加を引き起こすM200を示す結果を図解する。
【0210】
【図18】in vitroにおけるF200による新脈管形成の阻害の管形成アッセイの結果を描く。
【0211】
【図19】霊長類動物の眼球における、(A)コントロール(リツキサン(登録商標))及び(B)M200による20日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0212】
【図20】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)M200(右眼)による13日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0213】
【図21】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)M200(右眼)による20日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0214】
【図22】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)M200(右眼)による27日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0215】
【図23】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)F200(右眼)による13日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0216】
【図24】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)F200(右眼)による20日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0217】
【図25】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)F200(右眼)による27日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0218】
【図26】マウス抗体IIA1、キメラ抗体M200(200-4 EOS)、及びM200の2つのヒト化バージョン:huM200-G4及びhuM200-g2m3Gの結合親和性を比較する競合ELISA結合アッセイの結果を描く。
【技術分野】
【0001】
本発明は、α5β1インテグリンを特異的に認識するキメラ及びヒト化抗体、並びに組織中の新脈管形成を減少又は阻害するための当該抗体の使用方法を提供する。更に抗体の治療的に許容され得る投与の決定方法、及び同一物を含む医薬組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
新脈管形成とは、新しい血管が形成される工程をいう。新脈管形成は、更に新生血管形成とも呼ばれ、正常では胚発生及び発達の間に起こり、そして十分に発達した組織では傷の治癒及び胎盤発達の間に起こる。更に、新脈管形成は、様々な病理学的症状:糖尿病性網膜症及び新生血管形成による黄斑変質のような視覚疾患;リウマチ性関節炎及び炎症性腸疾患のような組織の炎症に関連する症状;並びに腫瘍細胞へ酸素と栄養を供給されて成長している腫瘍中で血管を形成している癌、及び体中に転移する腫瘍細胞を経由して供される癌、を含む中で起こる。全世界の数百万人もの人が、これらの疾患で苦しんでいるので、かかる所望されない新脈管形成の検出及び予防方法を開発するために、新脈管形成に関与するメカニズムを理解するためにかなりの努力がされた。
【0003】
新脈管形成は、1以上の公知の成長因子による刺激への応答において発生し、そして未だ同定されていない他の因子も関与するであろう。成熟血管を覆う細胞である内皮細胞は、通常は増殖しない。しかしながら適切な刺激に対する応答の中で、内皮細胞は活性化され、そして増殖を開始し、そして新しい血管を形成するために血管化されていない組織中へと移動する。いくつかのケースでは、前駆細胞は新しい血管を形成する内皮細胞へと分化するために活性化される。
【0004】
血管は細胞外マトリックスにより囲まれている。更に成長因子により刺激されるために、新脈管形成は細胞外マトリックスによる内皮細胞同士の相互作用に依存する。成長因子による内皮細胞の活性化、並びに細胞外マトリックス中への移動及び互いの相互作用は、内皮細胞により発現される細胞表面受容体に依存する。これらの成長因子受容体及びインテグリンを含む表面受容体は、特定分子により特異的に相互作用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
年齢に関連する黄斑変質、及び糖尿病性網膜症のような病理学的症状では、網膜への酸素の利用能が減少し、血管内皮成長因子(VEGF)のような新脈管形成成長因子の分泌を刺激する低酸素症がもたらされる。この分泌は眼組織への内皮細胞の異常な移動及び増殖を引き起こす。これは視覚組織の血管化をもたらし、そして角膜の傷、網膜剥離、及びコロイド中の流体物蓄積を誘発することができ、それぞれが視覚に悪影響を与え、そして失明へと導く。
【0006】
新脈管形成は、乾癬、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、及び潰瘍性大腸炎及びクーロン病のような炎症性腸疾患を含む、炎症性疾患の進行及び悪化にも関連する。炎症性関節疾患、例えば関節を取り巻く領域へのリンパ球の流入では、滑膜表層での新脈管形成を刺激する。この増加した脈管構造は、関節中の軟骨と骨の破壊を促進する白血球のより多くの流入手段を提供する。脈管形成性血管新生では、腸において同様な効果をもたらす炎症性腸疾患を発生させる。
【0007】
冠状動脈におけるアテローム性動脈硬化症のプラークへの毛細血管成長は、新脈管形成を誘導する成長因子に関連する他の病理学的症状を表す。新生血管が形成されるプラーク中への過剰な血流は、血液で満たされたプラークの破裂及び出血をもたらすことができ、放出された血液凝固物は冠動脈血栓症をもたらし得る。
【0008】
癌、視覚疾患、及び炎症性疾患のような、かかる異なる疾患における新脈管形成の関与は、これらの疾患を治療するための手段として新脈管形成を特異的に阻害する方法を同定するための努力を導いた。癌患者のための、かかる治療方法は、標的腫瘍細胞だけでなく、患者の中で正常に増殖する血液細胞、上皮細胞、及び腸管腔を覆う細胞等の細胞も殺し又は傷つけるような現行の化学療法として使用される方法をしのぐ実質的な利点を提供することができる。化学療法作用物質によるかかる非特異性殺傷は、良くても不快な副作用をもたらし、そしてしばしば患者が受け入れがたい病的状態、又は死をもたらし得る。事実、所望されない副作用は、患者が受け入れ得る治療をしばしば制限する癌治療に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概略
本発明は、α5β1インテグリンに対する治療的キメラ及びヒト化抗体;これらの抗体の精製方法、及び所望されない組織での新脈管形成を含む症状の治療におけるそれらの使用方法を提供する。
【0010】
1の態様では、本発明は、SEQ ID NOS:1-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定される1以上のアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有するキメラ又はヒト化抗−α5β1インテグリン抗体のポリペプチドをコードする核酸を含んで成る。最適には、当該核酸は、SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定されたアミノ酸配列を含むキメラ又はヒト化抗−α5β1インテグリン抗体のポリペプチドをコードする。この核酸によりコードされるペプチドは、一本鎖抗体又はFabであってよく、更にジスルフィド架橋により結合したいくつかのペプチドを含むFab又は抗体であってよい。
【0011】
本発明はSEQ ID NOS:1-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定される1以上のアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有する。最適には核酸は、SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25-26、28、31-32から成る群から選定された1以上のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。これらのポリペプチドは、キメラ、ヒト及びヒト化抗体並びにFabフラグメントを含む。
【0012】
他の態様では、本発明はキメラ抗-α5β1インテグリン抗体を含む。これらの抗体は、SEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22から成る群から選定されたアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性、を有するアミノ酸配列を含む第一の出所からの第一のポリペプチドを含み;そして第二の出所の抗体の不変領域と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性、を有する第二の出所からの第二のポリペプチドを含み、ここで第一及び第二のポリペプチドは、α5β1インテグリンと免疫反応性であるタンパク質複合体を形成する。好適な態様では、不変領域の第二の出所がヒトIgGである。他の好適な態様は、不変領域がヒトIgG4である。
【0013】
他の好適な態様は、キメラ抗体は、SEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22から成る群から選定された1以上のアミノ酸配列を含む第一の出所からの第一のポリペプチド配列を含み;そして第二の出所の抗体の不変領域を含む第二の出所からの第二のポリペプチド配列を含み、ここで第一及び第二のポリペプチド配列は、α5β1インテグリンと免疫反応性であるタンパク質複合体を形成する。
【0014】
最適な態様では、本発明は重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:25及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むキメラ抗-α5β1インテグリン抗体を含む。
【0015】
他の態様では、本発明はSEQ ID NO:19を含むキメラ抗−α5β1インテグリン抗体重鎖可変領域、及びSEQ ID NO: 21を含むキメラ抗−α5β1インテグリン抗体重鎖可変領域をコードする核酸を含む。
【0016】
更なる好適な態様では、本発明は重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:25及び軽鎖をアミノ酸配列SEQ ID NO:26含む、キメラ抗−α5β1インテグリン抗体由来のFabフラグメントを含む。最適な態様では、当該Fabフラグメントは、重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:28及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含む。
【0017】
更なる好適な態様では、本発明は、重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:25及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むキメラ抗−α5β1インテグリン抗体から由来するヒト化抗体を含む。最も好適な態様では、ヒト化抗体は重鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:28及び軽鎖アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含む。
【0018】
他の態様において、本発明は、SEQ ID NOS:15、17、19、21、23、24、27、29、30から成る群から選定された任意の1以上の核酸を含む発現ベクターを含む。好適な態様では、発現ベクターは、SEQ ID NOS:19及び21を含む。
【0019】
他の態様では、本発明は、SEQ ID NOS:15、17、19、21、23、24、27、29、30から成る群から選定された任意の1以上の核酸を含む発現ベクターにより形質転換された細胞を含む。好適な態様では、発現ベクターはSEQ ID NOS:19及び21を含む。
【0020】
他の態様では、本発明は本明細書において発表するキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体を含む医薬組成物を含む。いくつかの態様では、これらの組成物は、炎症を減少させる治療成分の取り込み又は局在化を増強させる作用物質を含んでよく、或いはさもなければ、局在化緩和を供する作用物質を含んでよい。
【0021】
本態様の1の観点では、医薬組成物は、損傷した組織に直接塗る局所クリームを含む。他の観点では、医薬は損傷した眼に直接適用する点眼溶液である。更に他の観点では、傷ついた個体の片目又は両目の組織を治療するために、或いは腫瘍組織における新生血管形成を妨げるため、全身に適用できる注入可能な医薬である。
【0022】
他の態様では、本発明は損傷組織における血管形成を制御する方法を含む。これらの方法は、物理的又は化学的損傷、或いは疾患の結果と成り得る組織への損傷において、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の1以上の投与を適用させることを含む。
【0023】
他の態様では、本発明は:SEQ ID NOS:2-6、16、20から成る群から選定される配列を有す可変重鎖領域及びSEQ ID NOS:8-12、18、22から成る群から個々に選定される可変軽鎖領域を含む治療抗体を含む医薬を提供し;そして損傷組織へ治療抗体を適用する、を含む治療抗体を投与する方法を含んで成る。当該発明の本態様では、損傷した組織は新生血管形成を通してその血流を増加させることにより損傷へ応答し、そして当該治療抗体は、この新生血管形成を阻害する。1の観点では、当該方法は、両眼に病気を有す個体の疾患眼又は損傷眼中のガラス体中;両眼を治療するに十分である片眼のガラス体に治療抗体を注入することを含む。
【0024】
他の態様では、本発明は抗-α5β1インテグリン抗体の精製のための方法を含む。当該方法は基質と結合した抗体アフィニティーマトリックス上へ抗体を吸着させること、及び約pH3.0 から約pH5.5を有す溶出液を使用して基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから抗体を溶出することを含む。当該方法は、更に精製した抗体を回収することを含んでよい。本手順を用いた精製を受け入れ得る抗体は、アミノ酸SEQ ID NOS:1-12、16、18、20、22において存在する抗体から独立して選定された少なくとも2つの CDR領域を含む抗体を含んで成る。好適には選定されたCDRsの一つが、VL鎖由来及びその他のVH鎖由来である。
【0025】
本精製方法のいくつかの観点では、当該溶出液は約3.3から約5.5のpHを有す。他の観点では、溶出液のpHは約3.5から約5.5である。更に他の観点では約3.5から約4.2のpHを有す溶出液を含む。更なる観点では、約4.2から約5.5の範囲のpHである溶出液を有す。
【0026】
本発明の他の態様では、抗体及びFabフラグメントの両方を含む、ヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的な影響(例えば抗-脈管形成特質)を評価するための方法を含んで成る。本方法は脈管再生可能な生育組織サンプルを提供し;脈絡膜の新生血管形成を生み出すために十分な生育組織中で病変を作り出し;生育組織へ1回以上のヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の投与を適用し;そして投与された再血管新生のための生育組織をモニタリングすることを含んで成る。好適な態様では、当該評価方法は生育組織として眼組織を含む。いくつかの態様では、眼の黄斑を使用する。また考慮すべきは、使用される眼組織が生きている霊長類動物(例えばcynomologousサル)のもので評価される方法であることである。
【0027】
他の態様では、評価方法はキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体をガラス体に注入することを含む。本発明の1の観点は、両眼を損傷した固体への片眼への抗体の注入は、両眼に存在する損傷組織に接触する抗体をもたらす。
【0028】
生理学的な効果を評価するための本法の他の観点は、生育組織をレーザー光に接触させることにより病変を作り出すことを含む。このレーザー光は約300から約700 mワットにすることができ、そしてその暴露時間はわずか0.1秒、好適には0.05秒未満、及び最適には約0.01秒未満にすぎない。病変は直径200μm未満、好適には100μm未満、更に好適には約50から約100μmであるべきであり、そして最適には約75から 25μmである。
【0029】
当該方法のいくつかの観点は、ヒト化抗−α5β1インテグリン抗体を1回以上の投与で適用することにより処置された病変を定期的に撮影することを含むモニタリングステップを含んで成る。他の観点では、モニタリングステップは、更に眼球の後眼房の間接的な検眼鏡検査実験及び前眼部の生体顕微鏡検査実験を含む。他の観点では、当該方法はフルオレセイン染色を静注すること、及びフルオレセイン血管造影法により生育組織を調査することを含むモニタリングステップを含んで成る。
【0030】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的な効果を評価するための方法は、ここでのキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の一の観点も含み、SEQ ID NOS:1-6、16、20から成る群から選定されるアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、更に好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有す可変重鎖領域を含み、並びにSEQ ID NOS:7-12、18、22から成る群からのアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、更に好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を独立に選定し、且つ有す可変軽鎖領域を含む。最適には、ヒト化抗-α5β1インテグリン抗体は、SEQ ID NOS:1-6、16、20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、及びSEQ ID NOS:7-12、18、22から成る群から個々に選定された可変軽鎖領域を含んで成る。
【0031】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的効果を評価するための方法は、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体が、SEQ ID NOS:2-6、16、20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、及びSEQ ID NOS:8-12、18、22から成る群から独立して選定される可変軽鎖領域を含む、という更に1の観点を含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
発明の詳細な説明
I.定義
特に断わりのない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明に属する分野における当業者により一般に理解される意味を有す。以下の参考文献は、本発明において用いられる用語の多くの一般的な定義と共に当業者に提供される: Singleton等., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed.,1988);The Glossary of Genetics, 5th Ed. , R. Rieger 等. (eds. ), Springer Verlag (1991) ;及びHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書において用いられる以下の用語は、特に制限のない限り本来の意味を有す。
【0033】
本明細書において使用される“抗体”とは、免疫学的に特異的な抗原と反応性である免疫グロブリン分子を言うことを含み、そしてポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む。当該用語はキメラ抗体(例えば、ヒト化ネズミ抗体)及びヘテロ接合抗体(例えば2つに特異的な抗体)のような遺伝子操作された形態も含む。当該用語“抗体”とは、抗原−結合能(例えば、Fab'、F((ab')2、Fab、Fv 及びrIgG))を有すフラグメントを含む抗体の形態と結合する抗原も含む。また、Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, IL)を参照。例えばKuby,J.,lmmunology,3rd Ed.,W.H.Freeman&Co.,New York(1998)も参照。当該用語は組換え型一本鎖Fv フラグメント (scFv)とも言う。当該用語抗体は、2価又は2特異性分子、ダイアボディー、トリアボディー、及びテトラボディーも含む。2価及び2特異性分子は、例えばKostelny等.,(1992)J Immunol148:1547,Pack and Pluckthun (1992)Biochemistry 31:1579,Hollinger等.,1993,supra,Gruber等.(1994)J Immunol: 5368,Zhu 等.(1997)Protein Sci6:781,Hu等.(1996)Cancer Res.56:3055,Adams等. (1993)Cancer Res.53:4026,及びMcCartney, 等.(1995) Protein Eng.8:301で発表されている。
【0034】
免疫学的に特異的な抗原と反応性である抗体は、ファージ又は同様のベクター中の組換え抗体ライブラリーからの選定のような組換え方法によって(例えばHuse等., Science 246: 1275-1281 (1989); Ward 等., Nature 341: 544-546 (1989);及びVaughan等., Nature Biotech. 14: 309-314 (1996)参照)、或いは抗原で免疫化した動物又は抗原をコードするDNAにより生産することができる。
【0035】
典型的に、免疫グロブリンは重鎖及び軽鎖を有する。それぞれの重鎖及び軽鎖は、不変領域及び可変領域を含む(当該領域は“ドメイン”としても公知である)。軽鎖及び重鎖の可変領域は3つの超可変領域により中断される4つの“フレームワーク”領域を含み、“相補性決定領域”又は“CDRs”とも呼ばれる。フレームワーク領域及びCDRs の範囲は定義された。異なる軽鎖又は重鎖のフレームワーク領域の配列は、相対的に種内で保存される。軽鎖及び重鎖構成要素が組合されたフレームワーク領域である、抗体のフレームワーク領域は、3次元の空間にあるCDRsを配置するため及び並べるために提供される。
【0036】
CDRsは、主に抗原のエピトープへの結合を担う。それぞれの鎖のCDRsは、N-末端から順番に数えて典型的にCDR1、CDR2、及びCDR3と言い、そして典型的に特定のCDRが位置する鎖によっても同定される。このようにして、VHCDR3は、それが見出された抗体の重鎖の可変ドメイン中に位置するが、一方、VLCDR1は、それが見出された抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。
【0037】
“VH”に関しては、Fv、scFv、又はFabの重鎖を含む、抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域を言う。“VL”に関しては、Fv、scFv、dsFv又はFabの軽鎖を含む免疫グロブリン軽鎖の可変領域を言う。
【0038】
“一本鎖Fv”又は“scFv”という表現は、伝統的な2本鎖抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメインが結合して1つの鎖を形成した抗体を言う。典型的には、正しいフォールディング及び活性結合サイトの創生のためリンカーペプチドが2つの鎖間に挿入される。
【0039】
“キメラ抗体”とは、(a)不変領域、又はそれらの一部が変化され、置換され、又は変換され、その結果抗原結合サイト(可変領域)が異なる又は変化したクラス、エフェクター機能及び/又は種の不変領域へ結合し、或いはキメラ抗体へ新規特性を与える全体的に異なる分子(例えば酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬剤等)へ結合した免疫グロブリン分子;或いは(b)可変領域又はそれらの一部が、異なる又は変化した抗原特異性を有する可変領域に変化され、置換され、又は変換された免疫グロブリン分子である。
【0040】
“ヒト化抗体”とは、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限配列を含む免疫グロブリン分子である。ヒト化抗体とは、所望される特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)の相補性決定領域(CDR)由来残基で置き換えられた受容抗体のCDR由来残基を有すヒト免疫グロブリン(受容抗体)を含む。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応の非ヒト残基で置き換えられる。ヒト化抗体は、受容抗体中においても、導入されたCDR又はフレームワーク配列中においても、いずれにも見出されない残基を含んでもよい。一般的にヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろうし、その中でCDR領域の全て又は実質的に全ては非-ヒト免疫グロブリンのそれらと一致し、並びにフレームワーク領域(FR)の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン共通配列のそれらである。またヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン不変領域(Fc)の少なくとも一部分を含み、典型的にヒト免疫グロブリンの一部分を含むであろう(Jones等., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann等.,Nature332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992))。ヒト化は本質的には以下の方法(Winter及びco-workers(Jones等., Nature321:522-525(1986);Riechmann等.,Nature332:323-327(1988);Verhoeyen等.,Science239:1534-1536(1988)))で、ヒト抗体の配列と対応するげっ歯動物のCDRs又はCDR配列で置換することにより実施できる。従ってかかるヒト化抗体は、キメラ抗体であり(米国特許No.4,816,567)、ここで完全なヒト可変ドメインと比較した実質的少なさは、非ヒト種由来の対応配列で置き換えられた。
【0041】
“エピトープ”又は“抗原決定基”とは、抗体と結合する抗原上のサイトを言う。エピトープは連続するアミノ酸又はタンパク質の3次フォールディングにより並置された不連続のアミノ酸、の両方により形成することができる。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的に変質溶媒への暴露で保持される一方、3次フォールディングにより形成されるエピトープは、典型的に変質溶媒での処理で失われる。エピトープは独自の立体コンホメーション中に、典型的には少なくとも3つ、及びより通常には少なくとも5又は8−10のアミノ酸を含む。エピトープの立体コンホメーションを決定する方法は、例えば、x-線結晶学及び2-次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed(1996)を参照。
【0042】
“pH-感受性 抗-α5β1インテグリン抗体”とは、特異的にα5β1インテグリンを認識し、そして中性又は塩基性pHでリガンドとしてα5β1インテグリンを用いた免疫精製へかけた場合、溶液からの沈殿物を言う。pH-感受性抗-α5β1インテグリン抗体は、典型的に図1に描かれたVH又はVL配列のいずれかから独立して選定された2以上のCDR配列を含む。
【0043】
“新脈管形成”及び“新生脈管形成”とは、典型的に傷害、損傷、又は疾患への応答における新規血管の形成を言う。本出願の目的のための用語“損傷”、及び同じ文法のバリエーションは、新脈管形成を含む組織応答においてもたらされる傷害、疾患、又は他の事象を含む。新脈管形成は、腫瘍形成及び腫瘍転移、並びに胚形成、成長及び高等動物への発達の間に惹起される。
【0044】
本明細書中における2以上の核酸又はポリペプチド配列との関係での用語“同一の”又はパーセント”同一性”とは、同一である2以上の配列又はサブ配列、或いは以下に記載の欠失パラメーターによるBLAST又はBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いて、或いはマニュアル整列及び視覚検査(例えばNCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等を参照)により測定した場合、同一とされるアミノ酸残基又はヌクレオチドの指定されたパーセンテージ(即ち、比較ウィンドウ又は示された領域で最大限に一致させるため比較及び整列された場合、指定された領域での約60%の同一性 、好適には70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更に高い同一性)を有する2以上の配列又はサブ配列を言う。それ故、かかる配列は“実質的同一”といえる。この定義は検査配列の補足にも言及又は適用してよい。当該定義は欠失及び/又は追加を有す配列、並びに置換を有す配列、並びに、例えば多型体又は対立遺伝子の天然の変異体、及び人工変異体も含む。以下に記載するように、好適なアルゴリズムは、gaps等で説明することができる。好適には、同一性は、少なくとも長さ約25個に渡る領域のアミノ酸又はヌクレオチドにおいて、より好適には長さ50-100個に渡る領域のアミノ酸又はヌクレオチドにおいて存在する。
【0045】
配列の比較のために、典型的に1の配列は、検査配列と比較される対照配列として働く。配列比較アルゴリズムを用いた時、検査及び対照配列はコンピューターに入力され、サブ配列座標が指定され、そしてもし必要ならば、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。好適には、欠失プログラムパラメーターを使用することができ、或いは別のパラメーターを指定することができる。配列比較アルゴリズムは、その後プログラムパラメーターに基づき、対照配列に関連する検査配列についてのパーセント配列同一性を計算する。
【0046】
本明細書において使用される“比較ウィンドウ”とは、典型的に20から600、通常では約50から約200、更に通常では約100から約150から成る群から選定された連続する位置の数の一つのセグメントを言うことを含み、その中で配列は、最適に2つの配列を並べた後、連続する位置の同一数の対照配列と比較することができる。比較のための配列整列方法は当業界において周知である。比較のための最適な配列整列は、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)のローカル相同アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同整列アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc.Nat'1.Acad.Sci.USA85:2444(1988)の類似方法の調査により、それらのアルゴリズムの遂行をコンピュータ化することにより(GAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group,575 Science Dr., Madison,WI)、又はマニュアル整列及び視覚検査により(例えば分子生物学における現行プロトコール(Ausubel等.,eds.1995追補)参照)行うことができる。
【0047】
アルゴリズムの好適な例は、Altschul等.,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)及びAltschul等.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)中で発表された、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムを含む配列の同一性及び配列の類似性のパーセントを決定するために適するものである。BLAST及びBLAST 2.0は、本発明の核酸及びタンパク質の配列の同一性パーセントを決定するために本明細書において発表されたパラメーターと共に使用される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公的に入手できる。本アルゴリズムは、クエリー配列中(データベース配列中での同一の長さの単語により整列する時、いくつかの陽性-閾値スコアTと適合するか、又は条件を満たすかのいずれか)の長さW(length W)の短い単語を同定することによって、ハイスコアリング配列ペア(HSPs)を最初に同定することに関与する。Tは、近隣の単語スコア閾値として言及される(Altschul等.,supra)。これらの最初の近隣の単語のヒットは、それらを含むより長いHSPsを見つけるための最初の検索のシードとして働く。単語のヒットは、累積的な整列スコアが増加できる限り、それぞれの配列に沿って両範囲内に拡張される。累積的なスコアは、例えば、ヌクレオチド配列、パラメーターM(残基を適合させるペアのための利益(reward)スコア;常に>0)及びN(残基の誤った組合せのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列のためのスコアリングマトリックスは、累積的なスコアを計算するために使用される。それぞれの範囲においてヒットする単語の拡張は:累積的な整列スコアが最大に達したその数値から数量X(the quantity X)により低下させられた時;累積的スコアが1以上のネガティブ−スコアリング残基整列の蓄積のためにゼロ以下になる時;或いは各々の配列の最後に達する時、停止(halted)する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、及びXは感受性及び整列の速さを測定する。当該BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関する)は11の単語の長さ(W)の欠失、10の期待値(expectation)(E)、M=5、N=-4及び両標準品との比較として使用される。アミノ酸配列に関するBLASTPプログラムは、3の単語の長さの欠失、及び10の期待値(E)、並びに50のBLOSUM62 スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)参照)整列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4、及び両標準品の比較として使用される。
【0048】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間で同様の統計解析も実施する(例えば、Karlin & Altschul,Proc.Nat'1.Acad.Sci.USA 90:5873-5787(1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される1の類似測定は、最小総計確率(P(N))であり、それは偶然発生するであろう2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列との間が組合される確立の表示を提供する。例えば、仮に検査する核酸と対照核酸との比較において、最小総計確率が約0.2未満、より好適には約0.01未満、そして最適には約0.001未満である場合、核酸は対照配列と類似していると考えられる。Log値は、大きなネガティブナンバー、例えば5、10、20、30、40、40、70、90、110、150、170、等であってよい。
【0049】
2つの核酸配列又はポリペプチドが、実質的に同一であるということの表示は、以下に記載するように第一の核酸によりコードされたポリペプチドは、第二の核酸によりコードされたポリペプチドに対して生起した抗体と免疫学的に交差反応性である、ということである。このように、ポリペプチドは、典型的に、例えば2つのペプチドが保存的な置換のみ異なるような、第二のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるという他の表示は、後述するように、2つの分子又はそれらの相補物のストリンジェント条件下において互いにハイブリダイズするものをいう。2つの核酸配列が実質的に同一であるという更なる他の表示は、配列を増幅するために同一のプライマーを使用できることである。
【0050】
用語“単離された”、“精製された”又は“生物学的に純粋”とは、実質的に又は本質的に通常ではその天然状態において見出されるようなものを伴う成分が存在しない物質を言う。精製及び均質(homogeneity)とは、典型的にポリアクリルアミドゲル電気泳動法又は高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を用いて測定される。調製品において存在する優性物質であるタンパク質又は核酸は、実質的に精製されたものである。特に、単離された核酸は、天然にはその遺伝子に隣接し、且つこの遺伝子によってコードされるタンパク質以外のタンパク質をコードするいくつかのオープンリーディングフレームから分離されている。用語“精製された”とは、いくつかの態様において、電気泳動ゲル中において本質的に1のバンドの出現を与える核酸又はタンパク質を言う。好適には、少なくとも純度85%、より好適には少なくとも純度95%、及び最適には少なくとも純度99%である核酸又はタンパク質を意味する。“精製する”又は“精製”とは、他の態様において精製された組成物から少なくとも1の混入物を除去することを意味する。この意味において、均質である化合物、例えば純度100%に精製されるような精製は要求されない。
【0051】
用語“ポリペプチド”、“ペプチド”及び“タンパク質”とは、本明細書においてアミノ酸残基のポリマーを言及するために相互交換できるように用いられる。当該用語は、天然アミノ酸、及び天然アミノ酸ポリマーと一致する人工的な化学模倣物、修飾された残基を含むそれら、並びに非天然アミノ酸ポリマーである1以上のアミノ酸残基を含むアミノ酸ポリマーに適用される。
【0052】
用語“アミノ酸”とは、天然及び合成アミノ酸、並びに天然アミノ酸と同じような機能である、類似物及びアミノ酸模倣物を言う。天然アミノ酸は、遺伝子コードによりコードされたアミノ酸、並びにその後修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似物とは、天然アミノ酸、例えば水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基と結合したα炭素を有するような、同一の基本化学構造を有する化合物を言う(例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニン スルホキシド、メチオニオン メチル スルホニウム)。かかる類似物は、R基(例えばノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有してよいが、天然に発生するアミノ酸と同一の基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、一般的なアミノ酸の化学構造と異なる構造を有すが、その機能は天然に発生するアミノ酸と類似する化学物質を言う。
【0053】
アミノ酸は、本明細書において、一般的に公知の3の文字、又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1の文字で言及できる。同様に、一般に受け入れられている1の文字コードで言及できる。
【0054】
“保存的修飾変異体”とは、アミノ酸及び核酸配列の両方に適応される。特に核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体とは、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸を言い、或いはアミノ酸配列をコードしない核酸の場合、本質的に同一又は連結(例えば天然では連続する配列)している配列を言う。遺伝子コードの縮重のため、多くの数の機能的に同一の核酸は、大部分のタンパク質をコードする。例えば、コドン GCA、GCC、GCG及びGCUは、アミノ酸アラニンを全てコードする。従って、コドンにより指定されるアラニンの全ての位置で、コドンは、コードしたポリペプチドを変化させず、指示される対応のコドンとは異なるものへ変化させることができる。かかる核酸変異体は、“サイレント変異体”であり、保存的に修飾された変異体の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書における全ての核酸配列は、核酸のサイレント変異体としても記載される。当業者は核酸中のそれぞれのコドンの一定の関連が、 (通常メチオニンのみのコドンであるAUG、及び通常トリプトファンのみのコドンであるTGGを除き)機能的に同一の分子を産するために修飾できることを認識するであろう。従って、しばしば発現産物に関連するが実際のプローブには関連しない、示された配列にポリペプチドをコードする核酸のサイレント変異体が必然的に含まれている。
【0055】
当業者は、アミノ酸配列として、化学的に類似するアミノ酸を有するアミノ酸置換基をもたらすように変化する“保存的に修飾された変異体”であるコードされた配列中の1のアミノ酸を変化、付加、又は欠失する核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列への、個々の置換、欠失、又は付加を、或いはアミノ酸の少量のパーセンテージを認識するであろう。機能基的に類似のアミノ酸を提供する保存的な置換基表は、当業界において周知である。かかる保存的に修飾された変異体は更なるものであり、そして本発明の多型変異体、種間の相同体、及び対立遺伝子を排除するものではない。典型的に互いに保存的な置換基は、例えば、1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7) セリン(S)、スレオニン(T);及び8)システイン(C)、メチオニン(M)を含む(例えばCreighton, Proteins(1984)参照)。
【0056】
“ラベル”又は“検出可能な成分”は、分光器的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、又は他の物理学的手段による検出可能な組成物である。例えば、有用なラベルは、蛍光染色、電子密度試薬(electron-dense reagents)、酵素(例えば、ELISAで一般に用いられる)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテン及びタンパク質、或いは検出可能性を成すことができる他の構成要素(例えばペプチド中へ放射性ラベルを組み入れる、又はペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために用いる)を含む。放射性同位元素は、例えば3H、14C、32P、35S、又は125Iであってよい。
【0057】
いくつかのケースにおいて、特に抗-α5β1インテグリン抗体を使用する場合、放射性同位元素は以下に記載するように毒性成分として使用される。当該ラベルは任意の部位で抗体中へ導入することができる。それらの方法を含み、使用され得るラベルへ抗体を結合させるための当業界における任意の方法は、Hunter等., Nature,144:945(1962);David等., Biochemistry,13:1014(1974);Pain 等., J.Immunol.Meth., 40:219(1981);及びNygren,J. Histochem.及び Cytoclaem.,30:407(1982)で発表された方法を含む。放射線ラベルされたペプチド又は放射線ラベルされた抗体組成物の寿命は、放射性ラベルされたペプチド又は抗体を安定化させる物質及び変性からそれを保護する物質を添加することにより延ばすことができる。放射ラベルしたペプチド又は抗体を安定化させる任意の物質又は物質の組合せは、米国特許No.5,961,955において開示されたそれらの物質を含んで使用してよい。
【0058】
“抗体アフィニティーマトリックス”とは、抗体へ優先的に結合することができる任意の物質を言う。抗体アフィニティーマトリックス材料は、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、アプタマーを含む核酸、又はそれらの結合物(例えば、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質)を含む。一定の例では、抗体アフィニティーマトリックス材料は、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、又はウィルスのようなマクロ分子構造にすることができる。抗体アフィニティーマトリックス材料の他の例は、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体である。
【0059】
“プロテインA”とは免疫グロブリンのFc部位、特に多くの数の種から由来するIgGsへ結合することができる黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)により産生される高い安定性の表面受容体を言う(Boyle,M.D.P.及びK.J.Reis.Bacterial Fc Receptors.Biotechnology5:697-703(1987))。1のタンパク質A分子は、少なくともIgGの2分子と同時に結合することができる(Sjoquist,J., Meloun, B.及びHjelm,H.リソスタフィン消化後、黄色ブドウ球菌から単離されたプロテインA. Eur J Biochem 29: 572-578 (1972))。
【0060】
“プロテインG”とは、高い親和性でIgGと結合する連鎖球菌からの細胞表面-関連タンパク質を言う。それは3つの相同性の高いIgG-結合ドメインを有す(Lian,等.1992. Journal of Mol.Biol.228:1219-1234及びDerrick及びWigley.1994.Journal of Mol. Biol.243:906-918参照)。
【0061】
参考文献において使用される場合(例えば、細胞に、又は核酸、タンパク質もしくはベクターに使用される場合)の用語“組換え体”とは、異種の核酸もしくはタンパク質、又は変性した天然の核酸もしくはタンパク質の導入により修飾された細胞、核酸、タンパク質又はベクター、或いはそのように修飾された細胞から由来する細胞を指す。従って、例えば、組換え細胞は、天然(非組換え体)形態の細胞中では見出されない遺伝子を発現し、或いは、本来異常発現する、あまり発現しない、もしくは全く発現しない天然遺伝子を発現する。本明細書における用語“組換え核酸”とは、本来in vitroにおいて形成される核酸、一般的には天然では通常見いだされない形態に核酸が操作されることによる核酸(例えばポリメラーゼ及びエンドヌクレアーゼを用いる)を意味する。本方法において、異なる配列の作用可能式な連結が達成される。このようにして直鎖の形態において単離された核酸、又は通常では結合されないDNA分子を結紮することによりin vitroにおいて形成される発現ベクターは、共に本発明の目的のための組換え体に検討される。一度、組換え核酸が作製され、そして宿主細胞又は生物へ再導入された場合、それは非-組換え的に複製されるであろう(即ち、in vivo操作よりもむしろ宿主細胞のin vivo細胞機構を使用する)と理解されるが;しかしながら、かかる核酸は、一度組換え的に生産された場合、たとえ非-組換え的にサブ配列に複製されたとしても、なお本発明の目的のための組換え体が検討される。同様に、“組換えタンパク質”とは、組換え技術、即ち上記組換え核酸の発現を通した組換え技術を用いて作製されたタンパク質である。
【0062】
用語“異種の”とは、核酸の一部を参照することにより使用する場合、天然において互いに同一の関連性が通常見出されない2以上のサブ配列を含む核酸を示す。例えば、当該核酸は、例えば、新規機能の核酸(例えば1の起源由来のプロモーター、及び他の起源由来のコード領域)を作るために配列させた関連性のない遺伝子からの2以上の配列を有し、典型的に組換え的に生産される。同様に、異種タンパク質はしばしば天然において互いに同一の関連性を見出されない2以上のサブ配列を言うであろう(例えば、融合タンパク質)。
【0063】
“プロモーター”とは、核酸の転写を指示する核酸調節配列のアレイとして定義される。本明細書において使用されるプロモーターは、ポリメラーゼIIタイププロモーター、TATA要素の場合のような、転写の開始サイトに近い不可欠な核酸配列を含む。プロモーターは、転写の開始サイトから数千ほどの塩基対が位置することができる末端のエンハンサー又はリプレッサー要素も任意に含む。“構成”プロモーターは、大部分の環境及び発達の条件下で活性である。“誘導性”プロモーターは、環境又は発達の制御下で活性である。用語“操作可能式に連結した”とは、核酸発現調節配列(転写因子結合サイトのプロモーター、又はアレイのような)、及び第二の核酸配列との間の機能的連結を言い、ここでの発現調節配列は、第二の配列に相当する核酸の転写を指示する。
【0064】
“発現ベクター”とは核酸構成物であり、宿主細胞中の特定の核酸の転写を許容する一連の指定された核酸要素により、組換え的又は合成的に生産される。発現ベクターは、プラスミド、ウィルス、又は核酸フラグメントの部分と成り得る。典型的には、発現ベクターは、作用可能式にプロモーターへ連結される転写されるべき核酸を含む。
【0065】
抗体への“特異的(又は選択的)結合”又は“特異的(又は選択的)免疫反応”という表現は、タンパク質又はペプチドについて言及する場合、タンパク質及び他の生物学的物質の異種集団の中で、そのタンパク質の存在が確定的である結合反応を言う。このように、指定されたイムノアッセイ条件下において、特異的抗体は、少なくともバックグラウンドの2倍、及びより典型的にはバックグラウンドの10から100倍以上で特定のタンパク質に結合する。
【0066】
かかる条件下における抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に特異的であるために選定される抗体を要求する。例えば、特定のタンパク質、多型変異体、対立遺伝子、オルソログ、及び保存的に修飾された変異体、又はスプライス変異体、又はそれらの一部 に対し生起させた抗体は、他のタンパク質ではなく、α5β1インテグリンと特異的に免疫反応性であるポリクローナル抗体のみ得るために選定することができる。この選定は他の分子と交叉反応する抗体を減じることによって達成され得る。多様なイムノアッセイの形態は、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選定するために使用してよい。例えば、固相ELISA イムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選定するために日常的に使用されている(例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用できるイムノアッセイフォーマット及び条件を発表するHarlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)を参照)。
【0067】
組織培養における“癌細胞”、”形質転換された”細胞又は“形質転換”とは、新規の遺伝的な材料の取り込みを必ずしも含まない自発的、又は誘導された表現型の変化を言う。形質転換は形質転換ウィルスによる感染、及び新規ゲノムDNAの導入、又は外因DNAの取り込みにより引き起こすことができるが、自発的に又は発癌物質の暴露によって内因性遺伝子を突然変異させて引き起こすこともできる。形質転換は細胞の不死化、異常型の成長調節、非形態学的変化、及び/又は悪性のような表現型の変化に関連する(Freshney,Culture of Animal Cells a Manual of Basic Technique(第3版1994)参照)。
【0068】
II.序論
本発明は、既存の抗-α5β1インテグリン抗体の特性を改良させたキメラ及びヒト化抗-α5β1インテグリン抗体を提供する。本発明は、新規抗体を含む医薬組成物、並びに新血管形成により悪化した病態及び組織への傷害を治療するための改良方法も提供する。
【0069】
本発明のキメラ又はヒト化抗体は、人間へ投与する場合、既存の形態よりも長い半減期及び少ない抗原性を有す。当該改良は図2中の図式で図解し、そして当該改良は、ネズミ抗-α5β1インテグリン(IIA1)抗体のフレ−ムワーク及び不変領域を“ヒト化”抗体へ変化させることを含む。
【0070】
ヒト化抗体は、ヒトの治療における使用のために少なくとも3つの潜在的な利益を有す。第一に、例えば、補体−依存細胞毒性(CDC)、又は抗体−依存細胞性細胞毒性(ADCC)によって標的細胞をより効果的に破壊するため、ヒト免疫システムとより良い相互作用をすることができる。第二に、ヒト免疫システムは、異物として抗体を認識しないはずである。第三に、より少量及びより少ない投与回数で与えた場合のヒト循環における半減期は、天然に発生するヒト抗体と類似となるであろう。
【0071】
構造的に、ヒト化抗体は、一般的にヒト由来の不変及びフレームワーク(FR)領域を有し、そして抗−α5β1インテグリン抗体を生起させた動物の抗体に由来する相補性ドメイン領域(CDRs)を有する。
【0072】
構造的に、キメラ抗体は、抗−α5β1インテグリン抗体を生起させた動物由来抗体に由来する可変−鎖領域、及びヒト由来の不変鎖領域を有する。
【0073】
機能的にキメラ及びヒト化抗−α5β1インテグリン抗体の両方は、α5β1インテグリンを特異的に認識し、そしてα5β1インテグリンがその受容体と相互作用することを阻害する。
【0074】
ヒト化及びキメラ抗-α5β1インテグリン抗体を調製するための多種の方法を本明細書において提供する。“ヒト化”抗体は、一般的にヒト不変及び/又は可変領域ドメイン、或いは特定の変化体を担持するマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は他の種から由来するキメラ又は突然変異モノクローナル抗体である。“ヒト化”及び“キメラ”抗−α5β1インテグリン抗体を生産するための技術は当業者に周知であり、そして本明細書における参考文献及び引用特許において見出すことができる。
【0075】
III. 組換えキメラ及びヒト化抗−α5β1インテグリン抗体、及びそこから由来するFabフラグメントの調製
【0076】
本発明の抗体は、抗−α5β1インテグリン抗体生産を導くため、α5β1インテグリン又はそれらから由来するペプチドを有す動物を免疫化することにより調製される。抗体を発現するリンパ性組織はその後単離され、そして抗−α5β1インテグリン抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸を精製する。当該精製された核酸は、その後、α5β1インテグリンを特異的に認識するキメラ、ヒト化、一本鎖、Fab又はFab2抗体をコードする核酸を作製するため組換え的に操作される(当業界において周知の方法に従う)。
【0077】
組換え的に操作された核酸は、その後、抗−α5β1インテグリン抗体−産生細胞を作製するために使用される。これらの細胞は、α5β1インテグリンをその受容体と結合することを阻害又は予防するモノクローナル抗体を生産し、感受性の高い組織における新脈管形成の阻害をもたらす。
【0078】
A.抗-α5β1インテグリン抗体を産生する細胞、及び抗-α5β1インテグリン抗体をコードしている核酸の生産
【0079】
組換えキメラ及びヒト化抗−α5β1インテグリン抗体を調製するために、非−ヒト抗−α5β1インテグリン抗体をコードしている核酸を最初に単離する必要がある。これは、典型的に動物、例えば、マウスを5αβ1インテグリン又はそこから由来する抗原性ペプチドで免疫化することによりなされる。典型的には、マウス当たりおよそ50マイクログラムのタンパク質抗体により2回腹腔内で免疫化される。免疫化されたマウス由来血清は、かかるポリペプチドを発現している任意の宿主システムにおける免疫組織学又は免疫細胞学によって、及び発現したポリペプチドによるELISAによって、抗体活性を検査することができる。免疫組織学では、本発明の活性抗体はアビジン−ペルオキシダーゼ及び色素性のペルオキシダーゼ基質により追跡されるビオチン接合型抗−マウス免疫グロブリンを用いて同定することができる。かかる試薬の調製は;例えば、Zymed Corp.,San Francisco,Califから商業的に入手し得る。本発明により検出され得る活性抗体を血清に含むマウスを、融合させそしてハイブリドーマを生産するために3日後に殺してからそれらの脾臓を除去することができる。かかるハイブリドーマの陽性上清液を、例えばウェスタンブロット分析のような、当業者にとって一般的なアッセイを用いて同定することができる。
【0080】
所望される抗体鎖をコードする核酸を、例えばハイブリドーマmRNA又は脾臓mRNAを用いることによって、重鎖及び軽鎖遺伝子のPCR増幅のための鋳型としてその後単離できる(Huse,等.,Science 246:1276(1989))。抗体及び細胞内発現抗体(intrabodies)の両方を産生する核酸は、本技術を用いたネズミモノクローナルハイブリドーマから引き出すことができる(Richardson J.H.,等.,Proc Natl Acad Sci USA 92:3137-3141 (1995);Biocca S.,等.,Biochem and Biophys Res Comm,197:422-427(1993) Mhashilkar,A.M. ,等.,EMBO J14:1542-1551(1995))。これらのハイブリドーマは抗体の構造のためによく特徴付けられた試薬の信頼できる供給源を提供し、特に一度それらのエピトープ反応性及び親和性が特徴付けられた場合に有用である。単離された細胞からの核酸の単離は、更にClackson,T.,等.,Nature352:624-628(1991)(spleen)and Portolano,S.,等.,supra; Barbas,C.F.,等.,supra;Marks,J.D.,等.,supra;Barbas,C.F.,等.,Proc Natl Acad Sci USA 88:.7978-7982 (1991)(ヒト末梢血リンパ球)において検討されている。
【0081】
B. 組換え抗体の作製
【0082】
非−ヒトのヒト化形態(例えばネズミ)抗体は、免疫グロブリンのキメラ分子、免疫グロブリン鎖又はそれらのフラグメント(抗体の Fv、Fab、Fab'、F (ab')2 又は他の抗原-結合配列)であり、非−ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む。ヒト化抗体は、所望される特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来残基で置き換えられた受容物の相補性決定領域(CDR)を形成する残基を有すヒト免疫グロブリン(受容抗体)を含む。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFv フレームワーク残基が対応の非−ヒト残基により置き換えられる。ヒト化抗体は、導入されたCDR又はフレームワーク配列中に受容抗体中のいずれにも見出されない残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、非−ヒト免疫グロブリンのそれらと対応するCDR領域の全て又は実質的に全て、及びヒト免疫グロブリン共通配列のそれらであるFR領域の全て又は実質的に全てを有す、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は最適には免疫グロブリン不変領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリンの不変領域の少なくとも一部も含むであろう(Jones等.,Nature,321:522-525(1986);Riechmann等.,Nature,332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct. Biol.,2:593-596(1992))。
【0083】
ヒト化抗体を産生する方法は当業界において周知であり、そして他でも十分に発表されている。例えば、Queen 等.,米国特許Nos:5,530,101;5,585,089;5,693,761; 5,693,762;6,180,370参照(個々については、全文中に参考文献により組み入れられている)。抗体は当業界において公知である多様な技術、例えば、CDR-移植(EP 239,400; PCT公開WO 91/09967;米国特許Nos.5,225,539;5,530,101及び5,585,089)、ベニアリング又は再表面化(resurfacing)(EP592,106;EP519,596;Padlan, Mol. Immunol.,28: 489-498(1991);Studnicka 等.,Prot. Eng.7:805-814(1994);Roguska 等., Proc. Natl. Acad. Sci. 91: 969-973 (1994)、及び鎖シャフリング(米国特許No. 5,565,332)、を用いてヒト化することができ、それらの全文は参考文献により本明細書に組み込まれている。
【0084】
多くの方法は、組換えキメラ抗体を生産するため発表された。キメラ抗体を形成するためタンパク質ジスルフィド結合を通して結合された抗体ドメインの調節された転位は利用され得る(Konieczny等.,Haematologia,14(1):95-99,1981)。組換えDNA技術は、マウス抗体可変軽鎖及び重鎖ドメインをコードするDNA配列とヒト抗体軽鎖及び重鎖不変ドメインの間の遺伝子融合を構築するためにも使用できる。例えばMorrison等.,Proc. Natl.Acad.Sci.USA,81(21):6851-6855,1984;Morrison,Science229:1202-1207(1985); Oi等.,BioTechniques 4:214-221(1986);Gillies 等.,J.Immunol. Methods 125:191-202 (1989);米国特許Nos.5,807,715;4,816,567;及び4,816,397、及びそれらの全文は参考文献により本明細書に組み込まれている。
【0085】
ネズミモノクローナル抗体の抗原結合部位又は相補性決定領域(CDR's)をコードするDNA配列は、ヒト抗体重鎖及び軽鎖のフレームワークをコードするDNA配列中へ分子手段(means)により移植することができる(Jones等.,Nature,321(6069):522-525、1986.; Riechmann 等., Nature, 332 (6162):323-327,1988.)。発現した組換え産物は“再形成物(reshaped)”又はヒト化抗体と呼ばれ、そしてヒト抗体軽鎖又は重鎖のフレームワーク、及びネズミモノクローナル抗体の抗原認識部位、CDR'sを含む。
【0086】
ヒト化抗体を生産するための他の方法は、参考文献によって本明細書に組み入れた米国特許No.5,639,641において発表された。この方法は、再表面化を経由して、可変領域におけるヒト表面(surface)の存在のため、治療の有効性を改善させたヒト化げっ歯動物抗体を提供する。当該方法において:(1)抗体重鎖及び軽鎖可変領域のプールの部位の整列は、重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面露出位置の一式を与えるために作成し、ここでの全ての可変領域のための整列部位は少なくとも約98%同一であり;(2)アミノ酸残基を露出する重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式は、げっ歯動物抗体(又はそれらのフラグメント)のために定義され;(3)アミノ酸残基を露出した重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式は、同定されるアミノ酸残基を露出するげっ歯動物表面の一式と大部分が密接に同一であり;(4)ステップ(2)において定義されるアミノ酸残基を露出する重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式は、げっ歯動物抗体の相補性決定領域の任意の残基の任意の原子の5Å以内にあるそれらのアミノ酸残基を除き、ステップ(3)において同定されるアミノ酸残基を露出した重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面の一式に置き換えられ;そして(5)結合特異性を有するヒト化げっ歯動物抗体を生産する。
【0087】
ヒト化抗体の生産のための類似の方法は、米国特許Nos.5,693,762;5,693,761;5,585,089;及び5,530,101に発表され、それぞれ参考文献により本明細書に組み入れられた。これらの方法は、1以上の相補性決定領域(CDR's)、並びに可能な限りのドナー免疫グロブリン由来の追加のアミノ酸及び受容するヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域、を有するヒト化免疫グロブリンを生産することに関与する。それぞれのヒト化免疫グロブリン鎖は、通常更にCDR'sを含み、ドナー免疫グロブリンフレームワークからのアミノ酸は、ドナーの免疫グロブリン中、又は分子モデルによって予測されるそれらの約3Å以内にあるCDRに直に連続する1以上のアミノ酸等との結合親和性をもたらすため、CDR'sと相互作用することができる。重鎖及び軽鎖は、米国特許Nos.5,693,762;5,693,761;5,585,089;及び5,530,101に発表された通り、多様な位置基準の任意の1つ、任意の組合せ、又は全てを用いることによって各々がデザインされ得る。完全な抗体へ組合せた場合、ヒト化免疫グロブリンはヒトにおいて実質的に非-抗体的であり、そして起源抗原へのドナー免疫グロブリンと実質的に同一の親和性を保持する。
【0088】
ヒト化抗体を生産するための更なる方法は、それぞれ参考文献として本明細書中に組み入れた米国特許Nos.5,565,332及び5,733,743に発表されている。またファージミドライブラリーをヒト化抗体の概念に組み入れるこの方法は、本明細書において詳細に説明した。一般的な意味における当該方法は、重要な抗原に対する抗体又は抗体の集団の抗原結合サイト由来配列を利用する。従って、一つのげっ歯動物抗体のため抗体の抗原結合サイトの部分を含む配列は、組合わせることで完全な抗原結合サイトを作り出すことができるヒト抗体の多様な配列レパートリーと組合せることができる。
【0089】
同様な方法で抗原と接触させて作成するような、もとのげっ歯動物抗体の配列部位だけを有する当該抗原結合サイトは、CDR移植により作製されたものとは異なる本方法により作製された。選定されたヒト配列は、それらのもとの結合サイト由来抗原とは異なる配列であるようであり、そして別の方法では、それらのもとの結合サイト由来抗原と接触させて作製する。しかしながら、抗原へのもとの配列部分の結合、並びに抗原及びその抗原の結合サイトの形状により課せられる制約は、抗原の同一の領域又はエピトープへのヒト配列の新規接触を強いるようである。従ってこの方法は、“エピトープ刷り込み選定”(EIS)と呼ばれた。
【0090】
動物抗体とともに出発する場合の1つの方法は、部分的なヒト抗体である抗体の選定に帰着する。かかる抗体は、治療において直接又はわずかな主要な残基の改変後、使用されるようにヒト抗体と、配列において類似するに十分なものでありうる。選定された抗体のげっ歯動物構成成分とヒト配列との相違点は、ヒト配列の残基と異なるそれらの残基を置き換えることによって(例えば、個々の残基の部位特異的突然変異誘発により、又は全ループのCDR移植により)最小限にすることができる。しかしながら、全ヒト配列を有する抗体を作製することもできる。従って、EISはそれぞれ動物の抗体と同じエピトープと結合する部分的なヒト抗体、或いは部分的なヒト抗体と同じエピトープと結合する全体的なヒト抗体を作製するための方法を提供する。EISにおいて、抗体フラグメントのレパートリーは、線状ファージの表面上に提示することができ、そして抗体結合活性を有するフラグメントをコードする遺伝子は抗原へのファージの結合によって選定される。
【0091】
本発明における使用のため考慮されるヒト化抗体のための更なる方法は、各々参考文献によって本明細書中に組み入れられた米国特許Nos.5,750,078;5,502,167;5,705,154;5,770,403;5,698,417;5,693,493;5,558,864;4,935,496;及び4,816,567に発表されている。
【0092】
一本鎖抗体生産のため発表された技術は(米国特許No.4,946,778)は、α5β1インテグリンへの一本鎖ヒト化抗体を生産するために適用することができる。
【0093】
C.組換えキメラ又はヒト化抗体の発現
【0094】
結果物である抗体は、抗体をコードする核酸を含む1以上のベクターを通して発現され得る。
【0095】
好適には抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸セグメントは、IRES配列の調節下でコードしている核酸の一つの転写を伴う、一つの転写ユニット中にある。ベクターは、WO93/64701中に発表されているように、標的決定部位(例えば細胞表面受容体に対するリガンド)及び核酸結合部位(例えばポリリシン)を有する化学的接合体、ウィルスベクター(例えばDNA又はRNAウィルスベクター)、PCT/US 95/02140(WO 95/22618)に発表されたような標的部位(例えば標的細胞に特異的な抗体)及び核酸結合部位(例えばプロタミン) を含む融合タンパク質、プラスミド、ファージ等を含む。当該ベクターは染色体性、非染色体性又は合成性であってよい。
【0096】
好適なベクターはウィルスベクター、融合タンパク質及び化学的接合体を含む。 レトロウィルス性ベクターはネズミ白血病ウィルス(moloney murine leukemia viruses)を含む。DNAウィルスベクターは、好適である。これらのベクターは、orthopox又はavipoxベクターのような、poxベクター、単純ヘルペスIウィルス(HSV)ベクター[Geller,A.I.等.,J.Neurochem,64:487(1995);Lim,F.,等., DNA Cloning:Mammalian Systems,D. Glover,Ed.(Oxford Univ.Press,Oxford England)(1995);Geller,A.I.等.,Proc Natl. Acad.Sci.:U.S.A.90:7603(1993);Geller,A.I.,等.,Proc Natl.Acad. Sci USA 87:1149(1990)]のようなヘルペスウィルスベクター、アデノウィルスベクター[LeGal LaSalle等.,Science,259:988(1993);Davidson,等.,Nat.Genet3:219(1993);Yang,等.,J.Virol.69:2004(1995)] 及びアデノ-関連ウィルスベクター[Kaplitt,M.G..等.,Nat. Genet.8:148(1994)]を含む。
【0097】
Poxウィルスベクターは細胞質中へ遺伝子を導入する。Avipoxウィルスベクターは、核酸の短期発現のみをもたらす。アデノウィルスベクター、アデノ-関連ウィルスベクター及び単純ヘルペスウィルス(HSV)ベクターは、神経細胞中へ核酸を導入するために好適である。アデノウィルスベクターはアデノ-関連ウィルス(約4ヶ月間)より短期間での発現(約2ヶ月)をもたらす。即ちHSVベクターよりも短い。特に選定されるベクターは、標的細胞及びその処理条件に依存するであろう。導入は例えば、感染、トランスフェクション、形質導入又は形質転換といった標準技術によって可能である。遺伝子移転の様式例は、例えばnaked DNA、CaP04沈殿、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、プロトプラスト融合、リポフェクション、細胞マイクロインジェクション、及びウィルスベクターを含む。
【0098】
ベクターは、神経膠腫のような本質的に任意の所望される標的細胞を標的とするために使用することができる。例えば、定位のインジェクションは、所望される位置へベクター(例えばアデノウィルス、HSV)を導くために用いることができる。更に、その粒子は、SynchroMed注入システムのようなミニポンプ注入システムを用いて脳室内(icv)へ注入することにより運搬することができる。対流と呼ばれるバルクフローに基づく方法は、大きな分子の脳の広い領域への効果的な運搬を証明し、そして標的細胞へのベクターの運搬において有用となり得る(Bobo等.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2076-2080(1994);Morrison等.,Am.J. Physiol.266:292-305(1994))。他の方法は、カテーテル、静脈内、非経口、腹腔内及び皮下注射、並びに経口又は他の公知の投与経路を含み使用することができる。
【0099】
D.組換え抗体の単離及び特徴化
【0100】
本明細書において使用される用語“抗体”とは、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製されたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、並びにF(ab')2及びFab タンパク分解性フラグメントのような抗原−結合フラグメントを含む。キメラ抗体、Fvフラグメント、1本鎖抗体等、並びに合成抗原-結合ペプチド類及びポリペプチド類といった、遺伝学的に操作された完全な抗体又はフラグメントも含む。非-ヒト抗体は、ヒトフレームワーク及び不変領域上へ非-ヒトCDRsのみを移植することにより、又は非−ヒト可変ドメイン全体を組み込むことにより(任意に露出した残基の置換によりヒト-様表面によりそれらを”覆い隠し”、“ベニア化された”抗体を生じることにより)、ヒト化され得る。いくつかの例では、ヒト化抗体は適当な結合特徴を増強するためにヒト可変領域フレームワークドメイン中の非−ヒト残基を保持してよい。ヒト化抗体を通して、生物学的半減期は増加し、そしてヒトへの投与における免疫副作用の可能性は減少するであろう。或いは本明細書において有用である抗体を生産又は選定するための技術は、in vitroにおける、α5β1インテグリンタンパク質又はペプチドへのリンパ球の暴露、及びファージ又は類似ベクター(例えば、固定化又はラベル化されたα5β1インテグリンタンパク質又はペプチドの使用を通す)における抗体提示ライブラリーの選定を含む。
【0101】
E.アフィニティー精製
【0102】
抗体プール又は血清のアフィニティー精製は、技術者により均質な試薬を提供する。アフィニティーカラムを形成するための抗体アフィニティーマトリックスを用いた抗−α5β1インテグリン抗体を高めるための方法は、当業界において周知であり、商業的に入手できる(AntibodyShop,c/o Statens Serum Institut, Artillerivej 5, Bldg. P2, DK-2300 Copenhagen S)。簡潔には、抗体アフィニティーマトリックスを、アフィニティー支持体へ結合させる(例えば;CNBRセファロース(R)、Pharmacia Biotech参照)。抗体を含む混合物は、その後抗体の結合したアフィニティーマトリックスにかけられる。結合した抗体は、当業界においてありふれた通常の技術により放出され、濃縮された抗体プールをもたらす。高濃度の抗体プールは、その後更に免疫学的試験に用いることができ、それらのいくつかは、実施例の方法により本明細書に開示される。本発明の抗体を単離するために使用される抗体アフィニティーマトリックスは、本発明の抗−α5β1インテグリン抗体を特異的に認識するようにデザインされていないにもかかわらず、これは抗体精製におけるアフィニティーマトリックスの用途を制限するものではなく、なぜなら抗体は性状がモノクローナル組換えタンパク質として、発現されるからである。
【0103】
単離された抗−α5β1インテグリン抗体は、上記の通り、おそらくα5β1インテグリンの変異体であると思われる第二のタンパク質を比較するため、競合的結合イムノアッセイにおいて使用することができる。この比較を行うために、2つのタンパク質は広範な濃度の幅でそれぞれアッセイされ、そして固定化されたタンパク質への抗血清の50%結合阻害に必要なそれぞれのタンパク質の量が決定される。50%結合阻害に必要な第二のタンパク質の量が、50%結合阻害に必要なα5β1インテグリンの量の10倍未満である場合、当該第二のタンパク質は、α5β1インテグリンに対し産生される抗体へ特異的に結合するものとする。
【0104】
F.pH-感受性抗体精製
【0105】
本発明のいくつかの抗体は、中性又は塩基性pHでアフィニティー精製を行う時、沈殿する傾向を示す。この問題に着手する本発明の他の観点は、図1-5、10、11及び13において示されたアミノ酸配列を含む抗体、並びにマウス可変領域を含む、又はマウス可変領域と80%以上の配列同一性を有する、又は図1-5中に含まれる抗体のCDR領域と80%以上の配列同一性を有するキメラ抗体を含むpH-感受性抗体の精製のための方法に関する。当該方法は、例えば結合した抗体アフィニティーマトリックスを含むイオン交換カラムのようなクロマトグラフィーカラムを用いる抗体のためのアフィニティークロマトグラフィーを処理することを一般に含み、引き続き約3.0から約5.5のpH、好適には約3.3から約5.5、及び最適には約3.5から約4.2、又は約4.2から約5.5のいずれかのpHで抗体を溶出することを含む。この範囲の中でのより低いpH値 は、小スケールでの精製により適している一方、約4.2又はより高いpHは、大スケールでの操作により適することが考慮される。この範囲の中での精製工程の操作は、生産物の凝集を殆ど又は全く、最適には本質的に凝集を全く生産しない。
【0106】
アフィニティークロマトグラフィーは、当業界において、抗体又は他の生物学的に活性な巨大分子のような物質を単離又は精製するための1の公知手段である。これはカラム上に固定した抗体と特異的に結合する1以上のリガンドを含むクロマトグラフィーカラムに抗体を含む溶液を通過させることにより、一般に達成される。かかるグループはリガンド-アフィニティー反応を通して溶液から抗体を抽出することができる。一度達成されると、当該抗体はカラムから溶出されることにより回収され得る。
【0107】
従って、本発明のこの観点は、基質と結合した抗体アフィニティーマトリックスを用いる抗-α5β1インテグリン抗体の精製方法を含み、ここで当該改良は、約3.0から約 5.5のpHを有す溶出液を用いて基質-結合抗体アフィニティーマトリックスから抗体を溶出することを含む。
【0108】
より詳細には、本発明のこの観点は:(a)基質へ結合した抗体親和性マトリックス上へ抗体を吸着させ;及び(b) 約3.0から約5.5のpHを有す溶出液を用いて基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから抗体を溶出する、を含む抗−α5β1インテグリン抗体の精製方法を含んで成る。いくつかの態様において、当該方法は(c)精製された抗体を回収するステップも含む。
【0109】
しかしながら、抗体が更に精製又は処理された場合、その後の特異的な回収ステップは、この時点では重要でなくてよい。
【0110】
当該精製方法は、基質に結合した抗体アフィニティーマトリックス上への抗体の吸着に関与する。抗体アフィニティーマトリックスの多種の形態を使用してよい。唯一の要求は、抗体アフィニティーマトリックス分子は、精製されるべき抗体と結合する能力を有すことである。例えば、天然起源から単離された抗体アフィニティーマトリックス、組換えDNA技術によって生産された抗体アフィニティーマトリックス、抗体アフィニティーマトリックスの修飾された形態、又は問題の抗体結合能を保持したそれらの材料のフラグメントを使用してよい。抗体アフィニティーマトリックスとして使用するための模範的な材料は、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、核酸アプタマー、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、ウィルス、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体を含む。
【0111】
抗体アフィニティーマトリックスは、一般的な相互作用によって、(例えば、非特異的、イオン交換結合によって、疎水性/親水性相互作用によって)、又は特異的な相互作用によって(例えば、抗原-抗体相互作用)、又はリガンド及び固相の間の共有結合によって、固相又は支持体へ結合される。或いは、中間体化合物又はスペーサーは固相へ結合することができ、そして抗体アフィニティーマトリックスはその後、アフィニティーマトリックスをスペーサーへ結合させることにより、固相上で固定化できる。スペーサーはそれ自体遊離抗体アフィニティーマトリックスに対し、特異的結合アフィニティーを有するリガンドとなることができる(即ち、第二のリガンド)。
【0112】
抗体アフィニティーマトリックスは多様な基質又は支持体へ結合することができる。典型的に、イオン交換又はカップリング(例えばCNBr-活性化物)樹脂はこの目的のために使用される。抗体は多様な手段を用いて基質−結合抗体アフィニティーマトリックス上へ吸着させてよい。おそらく、カラム手順が使用され、そして抗体は適当な緩衝剤により調製された緩衝溶液を用いてカラムへ吸着される。典型的な緩衝剤及び操作条件は、当業界において周知である。
【0113】
抗体は慣習的な方法(例えば緩衝溶液を用いてカラムから抗体を溶出する)を用いて基質-結合抗体アフィニティーマトリックスから溶出させてよい。沈殿を最小にするために、pH-感受性抗-α5β1インテグリン抗体は、好適にはpH3.5で、0.1Mのグリシンを含む緩衝溶液により溶出される。分解及び/又は変性を最小にするために、緩衝溶液の温度を10℃未満に保ち、又はより好適には4℃未満に保つ。同じ理由で、抗体を酸性pHへ曝す時間は最小限にすべきでもある。例えば、溶出した抗体溶液へ、塩基性溶液の前もって決められた量を付加することにより、これは達成される。好適にはこの塩基性溶液は緩衝溶液であり、より好適には揮発性の塩基性緩衝溶液であり、最適にはアンモニア溶液である。
【0114】
基質-結合抗体アフィニティーマトリックスからの抗体の溶出は、当業界において周知の多様な方法によってモニターされてよい。例えばカラム手順が採用された場合、フラクションはカラムから収集されてよく、そしてタンパク質の存在はフラクションの吸着量を測定することにより決定される。仮に既知の特異的抗体を精製する場合、カラムから収集されたフラクション中の抗体の存在は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素イムノアッセイ(EIA)のような、イムノアッセイ技術により測定され得る。
【0115】
本発明の方法は、精製した抗体を実質的に分解させず、又は基質へ結合する抗体アフィニティーマトリックスに有害的に作用しない、任意の都合の良い温度で実施できる。好適には、室温が採用される。抗体アフィニティーマトリックスカラムから溶出した抗体は、所望されるならば、当業界における公知の多種の方法を用いて回収してよい。
【0116】
G.アビディティ検査
【0117】
アビディティ検査は、α5β1インテグリンの1以上のエピトープを特異的に認識する抗体を同定するために、当業者によりなされる。抗体が特異的に結合しているとは:1)抗体が結合活性の閾値レベルを見せるか、及び/又は2)抗体が近縁のポリペプチド分子と有意に交叉反応をしないか、で定義される。第一に、106mol-1以上、好適には107mol-1以上、より好適には108mol-1以上、及び最適には109mol-1以上の結合親和性(Ka)でα5β1インテグリンポリペプチド、ペプチド又はエピトープへ結合した場合、本明細書における抗体は特異的に結合する。抗体の結合アフィニティーは、当業者により、例えばScatchard分析(Scatchard,Ann. NY Acad.Sci.51: 660-72,1949)、又はBIAコアを使用する表面プラスモン共鳴により容易に決定することができる。
【0118】
第二に、抗体が近縁のポリペプチドと有意に交叉反応をしない場合、抗体は特異的に結合する。近縁のポリペプチド分子と有意に交叉反応をしない抗体とは、例えば、標準的なウェスタンブロット分析(Ausubel 等.,ibid.)を用いて、それらが既知の近縁のポリペプチドは検出しないが、α5β1インテグリンポリペプチドを検出する場合である。既知の近縁のポリペプチドの例は、オルソログ、タンパク質のインテグリンファミリーのメンバーである同一種由来タンパク質、図1の整列中に見られるポリペプチド、突然変異α5β1インテグリンポリペプチド等である。更に、抗体はα5β1インテグリンと特異的に結合する集団を単離するため、既知の近隣のポリペプチド“に対してスクリーニング”されてよい。例えば、ヒトα5β1インテグリンポリペプチドに対して生起した抗体は、不溶性マトリックスに結合した近縁のポリペプチドへ吸着し;ヒトα5β1インテグリンポリペプチドへの特異的な抗体は、適当な緩衝剤条件下でのマトリックスを通して流されるであろう。かかるスクリーニングは、密接に近縁のポリペプチドと非−交叉反応性であるポリクローナル及びモノクローナル抗体を単離できる(抗体:A Laboratory Manual, Harlow and Lane(eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988;Current Protocols in Immunology, Cooligan, 等.(eds.), National Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc.,1995)。特異的抗体のスクリーニング及び単離は、当業界において周知である(Fundamental Immunology, Paul (eds.), Raven Press, 1993;Getzoff等., Adv. in Immunol.43:1-98,1988;Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Goding,J.W.(eds.),Academic Press Ltd.,1996; Benjamin 等., Ann. Rev.Immunol.2:67-101,1984参照)。かかるアッセイの代表的な例は:現行の免疫電気泳動法、ラジオイムノアッセイ、ラジオイムノ沈殿、酵素-連結免疫-吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロット又はウェスタンブロットアッセイ、阻害又は競合アッセイ、及びサンドウィッチアッセイを含む。免疫学的手順及びイムノアッセイの手順の検討は、Basic and Clinical Immunology (Stites & Terr eds., 第7版.1991参照)を参照。
【0119】
IV. 新脈管形成調節における有効性の測定方法
【0120】
本発明はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節された生理学的効果を評価するための方法を提供する。閾値の問題として、これらの方法は、安全、且つ治療効果量を決定するため、本発明の抗体を含む組成物のスクリーニングを許容する。治療の間、これらの方法のいくつかは、最適な臨床効果を提供するため進捗をモニタリングし、そして用量を調節することに応用できる。
【0121】
当該方法は、分析も治療も両方できる生育組織を提供することを含んで成る。即ち、不朽化を含み、組織が損傷した時、所望されない脈絡膜の新生血管形成反応が起こり、それが阻害又は妨げられた場合、患者の予後及び/又は損傷した組織の治癒が改善されるであろう組織を提供する。典型的な組織は、腫瘍及び眼組織、特に眼の黄斑を含む治療又は試験のために適している。用語“腫瘍”とは、任意の新規の病理学的組織成長を意味するために本明細書において広く用いられる。本発明の目的は、新脈管形成により一部分の腫瘍を特徴付けることである。腫瘍は良性、例えば、血管腫、神経膠腫、奇形腫等であってよく、又は悪性、例えば、癌腫、肉腫、神経膠芽腫、星状細胞種、神経眼腫、網膜眼腫等であってよい。用語“腫瘍”とは、一般的に良性又は悪性腫瘍を言うために使用され、そして用語“癌”とは、一般的に悪性腫瘍(転移性であってもなくてもよい)を言うために使用される。悪性腫瘍は、例えば血管を新規に形成することによるα5β1発現に関連する新脈管形成によって少なくとも一部分が特徴付けられる腫瘍を提供する肺癌、乳癌、前立腺癌、頸部癌、膵臓癌、結腸癌及び卵巣癌のような癌腫;及び骨肉種及びKapos's肉腫のような肉腫を本発明の方法を用いて診断することができる。試験のため、これらの組織は公知の手段によって単離することができ、そしてその出所は当業者に容易に入手され得る。
【0122】
本発明の治療的抗体の効果を検査するための生育組織を用いた場合、当該組織は最初に病変を作り出すため、そして脈絡膜の新生血管形成を促すために傷つけなければならない。傷をつけることは、機械的、化学的、又は生物学的手段を含む任意の適宜手段により達成され得る。傷つけることの模範的な機械的手段は、切断、貫通、又はクランプを含む。化学的手段はネクローシス、アポトーシス、又は細胞同士の接触阻止を惹起する組織への試薬の適用を含む。生物学的手段はウィルス、バクテリア、又はプリオンのような感染性試薬による処置を含む。病変を作製するための好適な方法は、レーザーの使用を通すことである。組織を傷つけることができる任意のレーザーは、好適なタイプであるCO2ガスレーザー、IRIS Medical(登録商標)Portable Slit Lamp Adaptorを有するOcuLight GL (532nm) Laser Photo-coagulatorである最適なタイプを使用する。他のレーザー源も、 約300 から約700 mワットのレーザーライトを発生できること、且つ病変が直径200μm未満、好適には100μm未満、より好適には約50から約100μm、及び最適には直径約75から25μmにできることを条件に適している。典型的には、当該レーザーライトは第二のフラクションのための組織へ適用される。通常は0.5秒未満、より好適には0.1秒未満、最適には0.05秒未満である。
【0123】
適用される抗体は、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体である。好適には、本抗体はSEQ ID NOS.:1-6、16及び20から成る群から選定されるアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有する可変重鎖領域を含み、SEQ ID NOS.:7-12、18及び 22から成る群から独立的に選定され、並びに当該群からのアミノ酸配列と65%の配列同一性、好適には75%より高い配列同一性、より好適には85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有する可変軽鎖領域を含む。最適には、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体は、SEQ ID NOS.:2-6、16、20、25、28及び31から成る群から選定された配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOS.:8-12、18、22、26及び32から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含む。
【0124】
本発明の抗体は多様な経路、例えば静脈内、経口、又は治療されるべき領域へ直接的に(例えば、新形成腫瘍中へ直接的に;眼に関与する病理学的症状への点眼により;或いは関節に関与する症状のあるところの滑液中へ)投与することができる。
【0125】
個体に投与される治療抗体の量は、診断目的か、又は治療目的であるか、に一部分依存するであろう。診断又は治療方法のために投与する薬剤の効果量を決定するための方法は、当業界において周知であり、そして第I相、第II相及び第III相臨床試験を含む。本発明の方法を用いた場合の効果量は、例えば、個々の検査対象への滴定投与、及び新脈管形成阻害の機能としてのチャート進行により決定することができる。
【0126】
医薬の総量は、ボーラス又は比較的短期間注入によるいずれかの単一投与量として対象へ投与することができ、或いはより延長した期間で投与される断片化した治療プロトコールにおける複数投与量を用いて投与することができる。上記の留意点として、当業者は、部位への効果量を供給するため要求される特別な試薬の濃度、又は多くの要因(年齢及び対象の一般的な健康状態、並びに投与経路、投与された治療薬の数、そしてその医薬の性質を含む)に依存する個体におけるα5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成の部位を知っているであろう。これらの因子の観点において、当業者は、そのリガンドとα5β1インテグリンの特異的結合を有効に妨げるための効果量を得るための特定の投与量を調整するだろう。それによって新脈管形成の減少又は阻害をもたらす。
【0127】
臨床的に関連する進捗のモリタリングは、本発明の他の観点である。モニタリングは、当業界において公知の任意の適した方法によって実施され得る。好適な方法は、顕微鏡検査、核磁気共鳴及びX線を含む。眼組織の場合において、後眼房の間接的な検眼鏡検査、及び前眼部(the anterior segment of the eye)の生体鏡実験を使用できる。脈絡膜の新生血管形成の範囲をモニタリングする好適な方法は、静脈内フルオレセイン染色及びフルオレセイン血管造影により生育組織を検査することによる。
【0128】
新生脈管形成を阻害又は妨げる抗−α5β1インテグリン抗体の効力をスクリーニングするための好適な方法は、動物の網膜内に病変を作製すること、病変に抗−α5β1インテグリン抗体を適用すること、そしてその後、損傷した組織中での新生脈管形成の進捗を、適したコントロール実験と比較してモニタリングすること、による。このアプローチは、後述の実施例6中において詳細に検討されている。これらの試験は、固体の片眼への抗−α5β1インテグリン抗体の適用は、個体の両眼に存在する病変の治療をもたらすという驚くべき発見を導いた。それは損傷した組織において新規に形成された血管が“もれやすい”ことを示唆し、そして全身血に入る片眼への抗体の適用をもたらし、もう片眼へ抗体を運搬する。抗体全体又はFabフラグメントか否は無関係であることを有すこの結果は、治療において使用される。これらの結果は、本発明の抗-α5β1インテグリン医薬抗体を、全身的に、例えば、静脈内注射により投与することによる眼の病変の新規の治療方法を示す。
【0129】
V. 医薬的使用
【0130】
本発明の更なる態様は、本明細書において発表する治療抗体を含む医薬組成物を含んで成る。これらの組成物は、炎症を減少させ、又は別の方法で局所的な苦痛の除去を提供する治療成分の取り込み又は局在化を増強させる作用物質を含んでよい。
【0131】
α5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成を減少させ、又は阻害するにおいて有用な本発明の抗体、或いは当該抗体を含む医薬組成物は、新脈管形成により、少なくとも1部分、特徴化された任意の病理学的症状を治療するために使用することができる。当業者は当該作用物質を、例えば経口又は非経口、静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、嚢内、髄液嚢内、腹腔内、槽内(intracistemally)、もしくは受動的、例えば皮膚パッチもしくは経皮イオン導入、を使用して経皮吸収を促進させることを含む多様な経路により投与することができることを知っているであろう。更に、当該抗体は注射、管移入(intubation)、坐剤、経口又局所経由により投与することができ、局所経由は、例えば、当該抗体を含む軟膏又はパウダーの直接適用による受動的なものであるか、或いは例えば、点鼻スプレー又は吸入器を使用する能動的なものでもよい。抗体は、所望されるならば組成物の1つの成分が適切なガスである局所スプレーとして投与することもできる。医薬組成物は、所望されるならば、リポソーム、ミクロスフェア又は他のポリマーマトリックス中に組み入れることもできる(参考文献により本明細書に組み入れたGregoriadis, Liposome Technology, Vol. 1 (CRC Press, Boca Raton, Fla. 1984)を参照)。例えばリン脂質、又は他の脂質から成るリポソームは、毒性がなく、生理学的に許容され、そして比較的簡単に作成及び投与される代謝され得る担体である。
【0132】
α5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成は、例えば糖尿病性網膜症で苦しんでいる個体の網膜中で局部的に発生させることができ、或いは、例えば、リウマチ性関節炎又は転移性悪性新生物で苦しんでいる個体に、より全身的に発生させることができる。 新脈管形成の領域は、局所化することができ、又はより全身的に分散させることができるので、当業者は、この要因の一部分に基づき、本発明の治療抗体の特定の投与経路及び投与方法を選定するであろう。
【0133】
例えば、糖尿病性網膜症で苦しんでいる個体において、α5β1インテグリン発現に関連する新脈管形成が網膜に位置する場合、当該作用物質を直接眼に投与することができる点眼剤として使用するために適する医薬組成物に製剤化することができる。比較して、転移性癌腫で苦しむ個体において、医薬組成物中の当該作用物質は、静脈内、経口、又は他の当該作用物質を全身的に分散させる方法によって投与することができる。このように、本発明の抗体は、多様な経路、例えば、静脈内、経口、又は処置される部位中に直接、例えば、新形成腫瘍中へ直接;眼に関与する病理学的症状への点眼経由:又は関節に関与する症状における滑液内へ、投与することができる。
【0134】
治療抗体は、個体におけるα5β1インテグリンのその特異的リガンドへの特異的結合を妨げるに十分な量である効果量を投与される。一般的にアンタゴニスト作用物質は、適用によりそれらが若干変わるにもかかわらず、約0.0001から100mg/kg体重の用量で投与される。上記で検討された有効性試験の結果に基づき、当業者は施された治療の有効量の幅を決定することができるであろう。投与量の評価は、例えば局所的に投与された作用物質に応じて調整することができる。
【0135】
本発明の抗体を投与する好適な方法は、皮下、静脈内、或いは損傷で苦しむ関節又は組織中への直接的注入、のいずれかの方1法による。例えば、網膜組織が損傷を受けた時、本発明の治療抗体は、影響を受けた眼の中へガラス体内(intravitreally)から注入することができる。本発明の驚くべき結果は、片眼へ施された処置が両眼(両眼が損傷していると思われる)への臨床的に有益な効果を導くことである。それは、新規に形成された血管は“もれやすい”ものであると考えられ、このことは第一の眼に施された抗体が血流中を通過し、そこで第二の眼に輸送されることを可能にする。このように眼に適用される場合、投与量は好適には5μM未満、より好適には0.5から2μMの間、及び最適には0.1から1.0μMの間である。示されたところでの治療は、所定の投与部位又は投与期間に応じて複数の投与形態をとることができる。複数の形態における投与量は、全て同一であってよく、又は独立して決定及び適用することができる。この結果は、治療抗体の全身的適用の効果量を含み、新脈管形成に関連する病変を治療する追加の方法も導き(例えば静脈注射により)、ここで損傷した組織の新脈管形成が阻害され、又は妨げられる。
【0136】
本明細書において引用する全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が参考文献によって組み入れられたことを詳細に及び個々に示すように、参考文献により本明細書中に組み入れた。
【0137】
上述の発明を明確にさせるため、及び理解するため、図解及び実施例により一部が詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の意図及び範囲から離れず、そこへの一定の変化及び改変を作製することができることを本発明の技術面での当業者は容易に理解するであろう。
【0138】
実施例
上記提供された開示から理解できるように、本発明は多種多様な適用を有す。従って、以下の実施例は目的を説明するために提供され、そして任意の方法において、本発明に制限を構成することを意図したものではない。当業者等は、本質的に同様の結果を生じさせるために変化又は修飾させることができる多種の非基準的パラメーターのバラエティーを容易に認識するであろう。
【実施例1】
【0139】
ネズミIIAI抗-α5β1インテグリン由来M200キメラの構築
【0140】
本実施例は、キメラ抗体M200の構築を説明する。
A.IIA1並びに200-4 VH及びVL ドメインの出発DNA配列
【0141】
マウス抗-ヒトα5β1インテグリン抗体、IIA1(Pharmingen, San Diego CA)の可変重鎖(VH)及び軽鎖(VL)ドメインは、IIA1ハイブリドーマcDNAからクローン化され、そして200-4抗体の最初の構築の部分として配列決定される。図3は、IIA1 VH (SEQ ID NO:13) 及びVL(SEQ ID NO:14)ドメインのcDNA配列を示す。IIA1由来200-4マウス/ヒトキメラIgG4抗体の構築を通じて、サイレントXhoI制限サイト(CTCGAG)(SEQ ID NO:33)を、IIA1 VH及びVLの両方のフレームワーク4領域中に導入した。DEF38IIAl/ヒトG4キメラ及びNEF5 IIA1/Kキメラ発現構築体中に見出されるものとして、それらのサイレントXhoIサイトを含む200-4 VH (SEQ ID NO:15)及びVL(SEQ ID NO:17)DNA配列を、図4に示す。これらの200-4VH及びVL配列は、出発ポイントとして、全てのサブ配列組換えDNA操作に使用した。
【0142】
B. M200 VH及びVL ミニ-エクソンのデザイン
【0143】
発現プラスミドDEF38 IIA1/ヒトG4キメラ、及びNEF5 IIA1/K キメラ中の200-4 VH及びVLドメインを、介在イントロンなしでサイレントXhoIサイトを通してそれらの連続する不変ドメインと直接融合させる。ゲノムDNAに基づく所望される抗体発現ベクターと適合性のあるこのような可変ドメインを作製するために、可変コード領域の3’末端での機能的ドナースプライスサイトを再度作り出す‘ミニ-エクソン’をデザインすることが必要であった。配列の比較では、それぞれネズミJH4及びJK1セグメントを利用したIIA1のVH及びVL領域を露出させ;その結果、当該ミニ-エクソンを、VH及びVLドメイン中の最後のアミノ酸に従う、天然のネズミJH4及びJK1ドナースプライスサイトを再度作り出すようにデザインした。更に、当該XhoIサイトを除去し、起源IIA1ハイブリドーマ中で見出されたとしてフレームワーク4配列を回復させた。 当該ミニ-エクソンには、制限サイト:VHミニ-エクソンのための5'及び3'XbaIサイト(TCTAGA)(SEQ ID NO:34)、及びVLミニ-エクソンのための 5'MluI(ACGCGT)(SEQ ID NO: 35)及び3'XbaI(TCTAGA)(SEQ ID NO: 34)、が隣接した。
【0144】
組換え抗体可変ドメインは、時々所望されない選択的(alternative) mRNAスプライスサイト(従って、選択的にスプライスされたmRNA物質を発生させることができる)を含む。かかるサイトは、理論上では、ネズミ可変ドメイン中に存在することができるが、異種の発現細胞及び/又はキメラ不変領域からの新規の受容サイトとの関係でのみ活性化し始める。コードされたアミノ酸配列が未変化のまま、潜在的な選択的スプライスサイトを除去するためにコドン縮重を利用することは、かかる所望されない選択的スプライシングを排除することができる。M200 VH及びVL ミニ-エクソン中の任意の潜在的な選択的スプライスサイトを検出するため、出発デザインはCenter for Biological Sequence Analysis from the Technical University of Denmark (http://www. cbs. dtu.dk/services/NetGene2/)製のスプライスサイト予測プログラムにより分析された。両200-Mミニ-エクソンのため、正確なドナースプライスサイトが同定されたが;潜在的な選択的ドナースプライスサイトは、VHミニ-エクソンのCDR3及びVLミニ-エクソンのCDR1の中で検出された。使用されるこれらのスプライスサイトの可能性を除去するために、一つのサイレンス塩基対の変化をミニ-エクソンデザインに作製した。VHデザインの場合において、グリシン100 (Kabat numbering)でのサイレントGGTから GGAコドンへの変化が作製され;VLデザインのためバリン29でのサイレントGTAからGTCコドンへの変化 が作製された。両ケースにおいてこれらのサイレント変化はV-遺伝子中の潜在的な第二のスプライシングドナーシグナルを排除した。
【0145】
隣接する制限サイト、ネズミドナースプライスサイトを含み、200-4XhoIサイトを除去され、そして潜在的な選択的ドナースプライスサイトの除去されたM200 VH及びVLミニ-エクソン(SEQ ID NOS:19,21)のための最終デザインを、図5に示す。
【0146】
C. M200 VHミニ-エクソン及びプラスミドp200-M-Hの構築
【0147】
図5Aに示す通り、M200 VHのためにデザインされたミニ-エクソンは、出発ポイントとして200-4発現プラスミドDEF38IIAl/ヒトG4キメラを用いたPCRに基づく突然変異誘発により構築した。簡潔には、200-4VH領域は、DEF38 IIAl/ヒトG4キメラから200-4 VHシグナル配列の5'末端をアニールし、そして Kozak配列及びXbaIサイトを付加するプライマー#110(5'- TTTTCTAGACCACCATGGCTGTCCTGGGGCTGCTT-3')(SEQ ID NO:36)、並びに200-4 VHの3'末端をアニールし、そしてXbaIサイトを付加するプライマー#104(5'-TTTTCTAGAGGTTGTGAGGAC TCACCTGAGGAGACGGTGACTGAGGT-3')(SEQ ID NO:37)を用いて増幅した。469塩基対PCRフラグメントは、pCR4Blunt-TOPOベクター(Invitrogen)中でクローン化し、そしてプラスミドp200M-VH-2.1を産していることをDNA配列により確認した。本中間体プラスミドは、その後CDR3中の潜在的な異常型スプライスサイトを除去するため、そしてVHコード領域の3’末端でネズミJH4ドナースプライスサイトを付加するために、第二のPCR突然変異誘発反応において使用された。2つの相補的プライマー、 #111(5'-TGGAACTTACTACGGAATGACTACGACGGGG-3')(SEQ ID NO:38)及び#112(5'-CCCCGTCGTAGTCATTCCGTAGTAAGTTCCA-3')(SEQ ID NO:39)は、M200VHのCDR3中におけるグリシン100(Kabatナンバリング)で、GGTをGGAコドンへ変化させることを導くようにデザインされた。プライマー#110及び#112は、M200VHのミニ-エクソンの5’末端から395bpのフラグメントを産するためPCR反応において使用され、そしてプライマー#111及び#113(5'- TTTTCTAGAGGCCATTCTTACCTGAGGAGACGGTGACTGAGGT-3')(SEQ ID NO: 40)の別個のPCR反応は、M200 VHミニ-エクソンの3’末端から101 bpのフラグメントを産する。当該2つのPCR産物は、低融点の1.5%アガロースゲル上で精製し、組合せ、そしてプライマー#110 及び#113を用いて最終的なPCR反応中で結合した。最終的な465bpのPCR産物を精製し、XbaIで消化し、そしてXbaI-消化された、且つshrimp アルカリホスファターゼ-処理されたベクターpHuHCg4.D中でクローン化した。最終的なプラスミド、p200-M-H (図6)は、XbaIサイト間の200-MVHミニ-エクソンのための正確な配列を確実にするため、及びXbaI-XbaI挿入体の正しい配向を確かめるため、DNAシーケンシングにかけた。
【0148】
D. M200VLミニ-エクソン及びプラスミドp200-M-Lの構築
【0149】
図5Bに示すように、M200 VLのためにデザインされたミニ-エクソンを、出発点として200-4発現プラスミドNEF5IIA1/Kを用いて、PCRに基づく突然変異誘発により構築した。当該VL領域を、シグナル配列の5’末端をアニールし、そしてKozak配列及びMluIサイトを付加するプライマー#101(5'-TTTACGCGTCCACCATGGATTTTCAGGTGCAGATT-3')(SEQ ID NO: 41)、並びに200-4 VLの3’末端をアニールし、そしてXbaIサイトを付加するプライマー#102(5'-TTTTCTAGATTAGGAAAG TGCACTTACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGCC-3') (SEQ ID NO: 42)を用いて、NEF5-IIA1-Kから増幅させた。当該432 bp PCRフラグメントをpCR4Blunt-TOPOベクター(Invitrogen)中でクローン化し、そしてプラスミドp200M-VL-3.3を産しているかをDNAシーケンシングにより確認した。この中間体プラスミドは、CDR1中の潜在的に異常型のスプライスサイトを除去するため、そしてVLコード領域の3’末端でネズミJK1ドナースプライスサイトを付加するために、その後第二のPCR突然変異誘発反応中で使用した。2つの相補的プライマー、#114(5'-TGCCAGTTCAAGTGTCAGTTCCAATTACTTG-3')(SEQ ID NO: 43)及び#115(5'-CAAGTAATTGGAACTGACACTTGAACTGGCA-3')(SEQ ID NO: 44)は、VLドメインのCDR1中のバリン29(Kabatナンバリング)でGTAからGTCコドンへの変化を導くようにデザインされた。プライマー#101及び#115を、VLミニ-エクソンの5’末端から182bpのフラグメントを産するためにPCR反応中で使用し、そしてプライマー#114 及び#116(5'-TTTTCTAGACTTTGGATTCTACTTACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGCC-3')(SEQ ID NO:45) による別個のPCR反応は、VLミニ-エクソンの3’末端からの280 bpフラグメントを産する。2つのPCR産物は、低融点の1.5%アガロースゲル上で精製し、組合せ、そしてプライマー#101 及び#116を用いて最終的なPCR反応中で結合させた。最終的な431 bp PCR産物を精製し、MluI及びXbaIで消化し、そしてMluI-及びXbaI-消化された軽鎖発現ベクターpHuCkappa. rgpt. dE中でクローン化した。最終的なプラスミド、p200-M-L(図7)は、MluI及びXbaIサイト間でのVLミニ-エクソンのための正確な配列を確実にするため、DNAシーケンシングへかけた。
【0150】
E. 最終的な発現プラスミドp200-Mを作製するためのプラスミドp200 M-H 及びp200-M-Lの組合せ
【0151】
一つのプラスミドからM200を発現させるためのp200-M-H及びp200-M-Lは、EcoRIによって消化され、そしてp200-M-Hから完全なIgG4重鎖遺伝子を運搬するEcoRIフラグメントを、プラスミドp200-M (図8)を産するためEcoRI-線形化p200-M-L中へ結紮した。p200-Mのエンドトキシン-不存在プラスミドの大スケールでの調製は、エンドトキシン-不存在プラスミドMaxi-prepキット(Qiagen)を使用するE. coli培養の2.5リットルから調製した。当該プラスミド構造は、酵素BamHI、XbaI、及びFspIによる制限酵素マッピングにより確認した。M200 VH、VL、Cκ、及びCγ4全体をコードする領域は、DNAシーケンシングにより確認した。完全なM200重鎖(SEQ ID NO:23)及びM200軽鎖(SEQ ID NO: 24)のDNA配列を図9に示す。M200重鎖(SEQ ID NO:25)及びM200軽鎖(SEQ ID NO:26)全体に対応するアミノ酸配列を図10に示す。
【実施例2】
【0152】
M200由来Fab フラグメントF200の作製
【0153】
本実施例はFabフラグメントF200の作製を説明する。
【0154】
Fabフラグメントは酵素的消化によりM200 IgG出発原料から作製する。出発IgGは20 mMリン酸ナトリウム、20 mM N-アセチルシステインpH 7.0中に緩衝液交換する。可溶性パパイン酵素を付加し、そして当該混合物を37℃で4時間回転させる。消化後、当該反応混合物をFcフラグメントを除去するため、プロテインAを充填したカラムに通し、そして未消化のIgGを除去する。四チオン酸ナトリウムを10 mM付加し、そして30分間室温で培養する。最終的に、本調製は、F200溶液を産するために20 mMリン酸ナトリウム、100 mM 塩化ナトリウム、pH 7.4中で緩衝液交換する。
【0155】
それはFabフラグメントであるから、当該F200軽鎖DNA及びアミノ酸配列はM200軽鎖と同一である。完全なF200重鎖DNA(SEQ ID NO:27)及びアミノ酸(SEQ ID NO:28)配列を図11に示す。
【実施例3】
【0156】
In vitroにおけるM200による内皮増殖の阻害
【0157】
本実施例は内皮増殖へのM200抗体の効果を説明する。M200はα5β1インテグリンに対するモノクローナル抗体を高特異的機能的に遮断する。
【0158】
HUVECを、図14に示す濃度で、多種の抗体(M100、M200、抗-VEGF又はコントロールIgG)の存在下において、5000細胞/ウェルの密度の96-ウェルプレート中に播種した。プレートを10 μg/mLのフィブロネクチン又は0.1%のポリ-L-リシン(PLL)のいずれかにより前処理し、そして熱変性させた2%BSAにより遮断した。細胞をおよそ2ng/mlのVEGF、bFGF又は両方を含む、血清が存在しない限定培地で生育した。プレーティング後4日間、細胞生育可能性のある合計を、テトラゾリウム塩、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムブロマイド+++)アッセイ(例えばWasserman & Twentyman,“ネズミ固形腫瘍由来細胞の放射線感受性の測定におけるcolorimetric microtiter (MTT)アッセイの使用”Int J Radiat Oncol Biol Phys. 15 (3): 699-702 (1988); Romijn, JC, Verkoelen, CF, Schroeder, FH, “in vitroにおけるヒト前立腺癌細胞株へのMTTアッセイの適用:ホルモン刺激成長及び薬剤誘導細胞増殖抑制及び細胞毒性効果の検査条件の確立並びに評価”Prostate 12(1):99-110 (1988)参照)を用いて評価した。データはバックグランドを差し引き、そして抗体を欠くコントロールへ標準化される。それぞれのデータポイントは3倍に集積され、そして示された当該データは3つの別個の実験で表される。
【0159】
図14に示すように、HUVEC成長はPLL 及びフィブロネクチン(0.40 nM;80%の最大阻害)の両方において用量依存的にM200により阻害され、一方、コントロールIgGは反応がなかった。更にM100(M200由来のマウス抗体)は、細胞成長を阻害する同一の能力を見せる。
【0160】
重要なことは、図14に示す通り、当該高-アフィニティー、抗-VEGF mAb、HuMV833(KD= 5.84×10-llnM)遮断機能は、全ての検査された条件下において(45nM;40%の最大阻害)HUVEC成長の著しく少ない阻害を発揮する。M200及びHuMV833を一緒にすることによる細胞の負荷は、阻害応答の増加をもたらさなかった。
【0161】
図15Aにおいて見られるデータは、上記の通りフィブロネクチン上のHUVEC増殖アッセイにおいてVEGF(50 ng/ml)のより高い濃度を含んだ。図15Aにおいて見られるように、VEGFにより刺激されたフィブロネクチン上でのHUVEC増殖は、HuMV833によるのと同程度にM200により阻害される。このようにM200で仲介される細胞増殖抑制剤の効果は、VEGF(50 ng/ml)の成長を刺激するレベルで上昇した場合でさえ、明白であった。
【0162】
2つの高アフィニティー抗体はM200イディオタイプ領域に対して上昇し、そしてα5β1インテグリンに対するM200の結合遮断を決定した。当該2つの抗-イディオタイプmAbs(10μg/ml)は、上記HUVEC増殖アッセイの中に含まれ、HUVEC成長のM200-依存的阻害への効果のため、評価された。両mAbsは、HUVEC増殖を阻害するため、M200 (1μg/ml)の能力を阻害することができる。15Bに示す通り、M200の阻害活性は、M200に対する抗イディオタイプmAbsにより完全に逆転させられた。
【0163】
従って、これらの結果は、抗-VEGF抗体HuMV833の重複するメカニズムを通して、更に別個のいくつかの観点も通して、M200がHUVEC増殖を阻害することを示唆する。
【実施例4】
【0164】
残存する内皮細胞へのM200の効果
【0165】
本実施例は、残存する内皮細胞へのM200抗体の効果を説明する。
【0166】
所定のインテグリンに対する抗体はin vitro及びin vivoにおいて細胞死を導くことができる。最近では、α5β1mAbを遮断する機能は、培養されたヒト内皮細胞においてアネキシンV染色、カスパーゼ-3開裂、及びDNA切断(Kim, 等., 2002)により測定されたようなアポトーシスを促進させることを示した。
【0167】
同様にアネキシンV染色は、M200又はHuMV833に曝された成長したHUVECで実施した。血清-不存在培地(ここで示されたもの以外にVEGF及びbFGFを含む)におけるHUVEC成長は、M200 (10μg/ml)、HuMV833(10μg/ml)又はスタウロスポリン(5μM;陽性コントロール)の存在下において成長した。細胞死はアネキシンV-alexa488(緑)、及びHoechst 33258(青)による染色によって評価し、蛍光顕微鏡(蛍光顕微鏡イメージは図16Aに示す)により引き続き評価した。並行して、細胞死はプレート化後、16時間フローサイトメトリーにより引き続き評価された(図16B)。
【0168】
図16A及び16Bに示す通り、細胞は、上昇したアネキシンV染色を示すM200を負荷されたが、HuMV833による負荷はなされなかった。従って、HuMV833と対比してM200は、内皮細胞中の細胞死を促進させると思われる。
【0169】
更に、増殖細胞に対するM200の老化への効果を比較した。HUVECは、血清及び成長因子の存在下でプレート化し、そして増殖を許容させ(中央パネル)、集合体を成長させ(左パネル)、又は血清及び対数増殖期後の成長因子を欠如させた(右パネル)。それぞれの場合において、細胞は未処理(コントロール)で放置されるか、又は16時間M200(10μg/ml)、又はスタウロスポリン(5μM) で培養し、そしてアネキシンV-alexa488で染色した。
【0170】
図17に示す通り、M200は分割しているHUVECの中で細胞死を引き起こすが、しかしHUVECは接触阻止又は成長因子を退けることのいずれかによる老化をもたらさない。これらの結果はM200が増殖している内皮細胞中で細胞死を選択的に促進させることを示唆する。
【実施例5】
【0171】
In vitroにおけるF200の管形成阻害
【0172】
本実施例は、in vitroでのF200による新脈管形成阻害において、管形成アッセイの論証を説明する。HUVECsは、ヒト血清及び成長因子の混合物(図18Aにおけるアッセイは、0.01mg/mlのrTGF-α及び0.lmg/mlのVEGF及びHGFの両方を補足した培地を含む;図18Bにおけるアッセイは、0.lmg/mlのVEGF単一物を補足した培地を含む;及び図18Cにおけるアッセイは、0.1mg/ml bFGF単一物を補足した培地を含む)と一緒にフィブリン塊(フィブリノゲン及びa-トロンビンから調製された)の中へ一つの細胞浮遊物として混合された。検査抗体は、示された濃度で培地へ付加した。96時間かけて、当該一つの細胞HUVECsは移動し、他の細胞及びマトリックスと接触し、コードを形成し、そして最終的に3-次元の管-様構造物を形成し始める。管形成の範囲は4%ホルムアルデヒドにより固定し、そしてAlexa488-phalloidinで染色することにより6日後に定量した。図18中に蛍光で描かれた平均値のイメージ及びグラフにより示す通り、管形成はF200の存在により著しく阻害された。管形成阻害は成長因子、VEGF、HGF及びrTGFαを有すそれら2つの混合物の存在中で観察された。
【実施例6】
【0173】
In vivoにおけるM200及びF200による霊長類動物の眼中のCNVの阻害
【0174】
本実施例は、霊長類動物の眼の黄斑へのレーザー傷害後の脈管発達 へのM200及びF200 Fabの効果を説明する。動物モデルにおける脈絡膜の新生血管形成のバックグランドの文献記載試験は:S. Ryan,“円板状の黄斑変質における網膜下の新生血管形成の実験モデルの開発,”Transactions of the American Ophthalmological Society 77:707-745(1979);S.J. Ryan,“網膜下の新生血管形成:実験モデルのnatural history,”Archives of Ophthalmology 100:1804-1809 (1982);M. J. Tolentino等.,“フルオレセイン化した抗-血管内皮成長因子抗体の血管造影、及び実験的脈絡膜の新生血管形成におけるデキストラン,”Archives of Ophthalmology118:78-84 (2000)を含む。
【0175】
A.実験デザイン
計8のサルが以下の表に示す通りの治療群に割り当てられた。
【表1】
【0176】
M200及びF200は運搬緩衝溶液中で投与された。Rituxan(登録商標)をコントロール投与として使用した。脈絡膜の新生血管形成(CNV)は、以下に記載の通りそれぞれの動物の両眼の黄斑へのレーザー処置により1日で導かれた。全ての動物に表1で示すように4週間週1回M200、F200、又はコントロールを投与した。投与初日は、1日目と称した。標準技術を用いて、動物の臨床的サイン、体重、及び他のパラメーターの変化を評価した。全ての動物を28日目で安楽死させた。
【0177】
B.脈絡膜の新生血管形成(CNV)のレーザー導入
動物はレーザー処置前に一晩断食させて投与した。動物は、レーザー処置及び投与手順のため、塩酸ケタミン(有効性のため、筋肉内投与)により、引き続き、静脈内へのケタミン及びジアゼパムの組合せ(有効性のため)により落ち着かせた。
【0178】
脈絡膜の新生血管形成(CNV)は、両眼の黄斑へのレーザー処置により導いた。病変は、レーザー[OcuLight GL (532 nm) Laser Photo-coagulator with a IRIS Medical(商標)Portable Slit Lamp Adaptor]により標準化された9-スポットグリッドパターンにおいて黄斑中に置かれた。右目中のレーザースポットは、左眼中の配置を映す。おおよそのレーザーパラメーターは以下の通り:スポットサイズ:50-100μm;レーザー強度:300-700ミリワット;暴露時間:0.1秒である。それぞれの動物のパラメーターを、レーザー処置の当日に記録した。写真はデジタルCCDカメラによりTRC-50EX 網膜カメラ及び/又はSL-4ED スリットランプを用いて撮影した。
【0179】
C.投薬
免疫グロブリン(検査) 、又はコントロール品目の硝子体内への注入はそれぞれの眼で実施した。1日目の注入に引き続き迅速にレーザー処置を施す。投薬前に、散瞳剤(1%トロピカミド)をそれぞれの眼に滴下した。眼を希釈消毒液(5%Betadine(登録商標)溶液又は相当物)でゆすぎ、当該消毒液を0.9%殺菌食塩水(又は相当物)ですすぎ、そして2滴の局所麻酔薬(プロパラカイン又は相当物)を眼中へ滴下した。目蓋鏡を処置の間、目蓋を開けたまま挿入し、そして眼球を後退(retracted)させた。 投薬シリンジの注射針を、およそ4mm後方の縁への強膜及び平面部に通した。当該注射針を、中央のガラス体中へのレンズ後方へ導いた。検査品目をガラス体中へゆっくり注入した。ピンセットは、注射針の回収前にシリンジに巻き付く結膜をつかむために使用した。結膜がピンセットでつかまれる間に、短時間で注射針を回収した。瞼鏡をその後取り外した。投与後迅速に、任意の視認できる投与後の問題を同定するために、間接的な検眼鏡により眼を検査した。局所抗生物質(Tobrex(登録商標)又は相当物)は、感染予防のために、投与後迅速に、及び投与1日経過後に、それぞれの眼に投与することができる。当該動物は麻酔から十分に回復した時、ケージに戻された。
【0180】
以下の表中のスケジュールに基づき1週間投与した:
【表2】
【0181】
示されたグラム投薬量レベルは、個々の眼のためのものである。平均2mlの眼容量と考え、片目ごとの投与量は、〜150μg/ml M200、及び〜50μg/ml F200であった。両ケースともM200又はF200のモル濃度はlμMであった。
【0182】
D. 新脈管形成阻害のモニタリング
間接的な検眼鏡検査は、後眼房(posterior chamber)を検査するために使用され、そして生体鏡検査は、眼の前部セグメントを検査するために使用された。眼は標準の手順(Robert B. Hackett及びT. O. McDonald. 1996,Dermatotoxicology.第5版Ed. By F. B. Marzulli及びH. I. Maibach. Hemisphere Publishing Corp. , Washington, D. C)を用いて記録された。
【0183】
フルオレセイン血管造影法は、病変形成の前、並びに5、12、19及び26日に続けて起こる病変時、そして治療開始時に実施した。ケタミン及びジアゼパムの組合せ物(およそ10 mg/kgケタミン及び0.5 mg/kgジアゼパムを静脈内に)は、鎮静の維持を与えることができる。目蓋鏡は目蓋を収縮させるために使用した。フルオレセイン染料の投与前、それぞれの動物を、撮影を通して頭部の位置を維持するであろう眼科の椅子に配置した。眼底(fundus)カメラ(TRC-50EX網膜カメラ)を用いて撮影した。イメージをTOPCON IMAGEnet(商標) システムを用いて取り込んだ。フルオレセイン染色(10%フルオレセインナトリウム、およそ0.1 mL/kg)を頭部又は伏在静脈を経由して注入した。CNV病変に関連したフルオレセインの漏れをモニターするために、動脈相を含む前期動静脈相及びいくかの後期動静脈相に染料注入を追跡するいくつかの時点で、カラー及び黒白写真を撮影した。未変化のイメージは記憶及び持ち運びのためにコンパクトディスクへ移転することができる。
【0184】
更に、眼を写真に撮ってよい(TRC-50EX網膜カメラ及び/又はデジタルCCDカメラによるSL-4EDスリットランプ)。動物は本手順の前に塩酸ケタミンにより軽度に鎮静化させてよく、そして散瞳させる溶液(典型的に1%トロピカミド)の数滴を、当該試験を促進させるためにそれぞれの眼の中に点眼した。
【0185】
E. 結果
フルオレセイン血管造影イメージの分析は、13日及び20日のCNVの存在を明確に示すそれらの群を使用することにより産出した。CNVは、コントロール群中(例えば、群1、4(左眼)及び5(左眼))で28日まで持続した。対照的に、当該CNVはM200及びF200で処置された眼(例えば群2,3,4 (右眼)及び5 (右眼))において著しく減少した。図19において見られるように、20日でのM200で処置した眼はコントロールのみで処置された眼と比較してCNVの徴候が殆ど見られなかった。
【0186】
図20-25は、個々のサルの右眼におけるNCV上でのM200及びF200の効果を、同じサルの左眼と13日、20日及び27日で比較した効果を示す。CNVの著しい減少が、未処置の眼と比較して、M200又はF200のいずれかで処置された個々の眼中で観察された。CNV中の相対的な減少は、F200により処理された個体の中でより大きくなると思われる。しかしながら、この明白な相違は個体の未処置の左目中へ血流を通すM200の漏れのためであると信じられている。すなわち、個々の右眼におけるM200処置は、左眼中のCNVも阻害し、両眼間での明白な相違がより少なくなる結果をもたらす。対照的に、未処置の眼を通して漏れないM200は、固体の両眼間でのCNV阻害に更に大きな相違をもたらす。
【実施例7】
【0187】
M200、F200及びヒト化変異体の結合アフィニティー
【0188】
A.表面プラスモン共鳴による動力学的分析
AABl/B2Fc及びIIA1、M200又はF200の間のアフィニティーは、BIAcore 3000及び2000(BIAcore、Sweden)を用いて分析された。IIA1、M200又はF200は標準的なアミンカップリングキット(BIAcore)を用いてPioneerF1チップ上に固定された。表面プラスモン共鳴は24℃で50ul/分の流動比率で測定した。AABl/B2Fc(会合相)の注入は、180秒かけて行う。その後3時間解離をモニターした。結合動力学はBIA評価プログラムを用いて、5つの異なる検体(320nM、160nM、80nM、40nM、20nM)の濃度で獲得されたデータから計算した。2重の参照は、コントロールのみ、参照の表面及び緩衝剤からの応答を除去するために適用した。KDは検体の一連の濃度からのセンサーグラム(sensorgram)の会合及び解離相を同時に適合させることにより得られた。M200 KDが0.367±0.132 nMになるように決定した。F200 KDが0.332±0.065nMとなるように決定した。
【0189】
B. 競合ELISAアッセイによるHuM200アフィニティー
ELISA結合競合アッセイは、IIA1及びM200を比較したHuM200の結合アフィニティーを決定するために実施してよい。
【0190】
96-ウェルELISAプレート(Nunc-Immuno MaxiSorp plate, NalgeNunc, Naperville, IL)のウェルは、4℃で一晩かけて0.2 M炭酸ナトリウム-炭酸水素ナトリウム緩衝剤(pH9.4)中において1.0μg/ml組換え可溶性組換えヒトα5β1インテグリン-Fc融合タンパク質の100μlで覆った。洗浄緩衝剤(0.1% Tween 20を含むPBS)で洗浄した後、ウェルを30分間200μlの Superblock Blocking Buffer (Pierce) で遮断し、そしてその後、洗浄緩衝剤で洗浄した。ELISA 緩衝剤中のビオチン化したネズミIIA1(0.1μg/検査)及び競合抗体(競合抗体の連続3倍に希釈した複製物を5mg/mlで出発させる)の混合物(1%BSA及び0.1%Tween 20含むPBS)をウェルごとに100μlの最終容積中でELISAプレートに適用させた。ELISAプレートを1時間室温で培養し、そして当該ウェルを洗浄緩衝剤で洗浄した。その後、ELISA緩衝剤中で100μlの1/1,000-希釈したHRPを接合させたストレプトアビジン(Pierce, Rockford, IL)をそれぞれのウェルへ適用させた。0.5時間、室温で培養した後、洗浄緩衝剤で洗浄し、100μlのTMB 基質をそれぞれのウェルに付加した。吸着をVERSAmaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Menlo Park, CA)を用いて450nmで読んだ。反応中における最終競合濃度は、450nmでの吸着に対比させてプロットした。
【0191】
HuM200は、図13(SEQ ID NOS:31及び32)に見られるように重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む。HuM200(HuM200-G4とも言われる)はIgG4由来の不変領域を含む。M200、 HuM200-g2m3Gの第二のヒト化バージョンはHuM200と同一の可変ドメインを含むが、 IgG2の不変領域を含む。
【0192】
図26において見られるように、M200抗体、HuM200-G4及びHuM200-g2m3Gの2つのヒト化バージョンは、M200とほぼ同一の結合アフィニティーカーブを見せる。更に、 HuM200-G4及びHuM200-g2m3Gは、それぞれ131.8μg/ml及び102.8μg/mlのIC50値を有す。これらの数値はM200(106.3μg/ml)のために観察されたものと比較することができ、そして IIA1(79.1 L9/Ml)よりも軽度に高い。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】ネズミ抗−α5β1インテグリン抗体(IIA1)及びネズミ由来の5つのヒト化抗体(1.0-5.0)の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NOS:1-12)を描写する。
【0194】
【図2】ネズミ由来物(IIA1)に関連する5つのヒト化抗体において、注目の配列を置き換えたアミノ酸配列(SEQ ID NOS:1-12)の整列を描く。
【0195】
【図3】(A)IIA1 VH 核酸配列(SEQ ID NO:13)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO:1);(B)IIA1 VL 核酸配列(SEQ ID NO:14)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO:7)を描写する。
【0196】
【図4】(A)抗体200-4 VH核酸配列(SEQ ID NO:15)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 16);(B)抗体200-4 VL核酸配列(SEQ ID NO:17)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 18)を描く。
【0197】
【図5】(A)M200 VH核酸配列(SEQ ID NO:19)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO:20);(B)M200 VL核酸配列(SEQ ID NO:21)及びアミノ酸配列(SEQ ID NO: 22)を描く。
【0198】
【図6】M200 重鎖の発現のために組立てられたp200-M-Hプラスミドを描く。
【0199】
【図7】M200 軽鎖の発現のために組立てられたp200-M-Lプラスミドを描く。
【0200】
【図8】M200重鎖及び軽鎖の発現のための一つのプラスミドp200-Mを描く。
【0201】
【図9】完全なM200重鎖及び軽鎖DNA配列(SEQ ID NOS:23-24)を描く。
【0202】
【図10】完全なM200重鎖及び軽鎖アミノ酸配列(SEQ ID NOS:25-26)を描く。
【0203】
【図11】完全なF200重鎖DNA及びアミノ酸配列(SEQ ID NOS:27-28)を描く。
【0204】
【図12】完全なhuM200重鎖及び軽鎖DNA配列(SEQ ID NOS:29-30)を描く。
【0205】
【図13】完全なhuM200重鎖及び軽鎖アミノ酸配列(SEQ ID NOS:31-32)を描く。
【0206】
【図14】抗-VEGF mAb、HuMV833の抗増殖特性を包含する内皮細胞成長の潜在的阻害剤であるM200の結果を図解する。
【0207】
【図15】細胞成長を誘導するVEGFを阻害するM200、及び抗−イディオタイプmAbsによるM200活性の阻害を示す結果を図解する。
【0208】
【図16】(A)アネキシン染色により視認化される細胞死を誘導するM200;(B)フローサイトメトリーによるアネキシン染色された細胞の定量を示す結果を図解する。
【0209】
【図17】老化HUVECに対し、増殖における細胞死の増加を引き起こすM200を示す結果を図解する。
【0210】
【図18】in vitroにおけるF200による新脈管形成の阻害の管形成アッセイの結果を描く。
【0211】
【図19】霊長類動物の眼球における、(A)コントロール(リツキサン(登録商標))及び(B)M200による20日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0212】
【図20】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)M200(右眼)による13日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0213】
【図21】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)M200(右眼)による20日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0214】
【図22】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)M200(右眼)による27日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0215】
【図23】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)F200(右眼)による13日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0216】
【図24】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)F200(右眼)による20日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0217】
【図25】個々の霊長類動物の左及び右眼における(A)コントロール(左眼)及び(B)F200(右眼)による27日間の処置でのレーザーで惹起される病変のフルオレセイン血管造影イメージを描く。
【0218】
【図26】マウス抗体IIA1、キメラ抗体M200(200-4 EOS)、及びM200の2つのヒト化バージョン:huM200-G4及びhuM200-g2m3Gの結合親和性を比較する競合ELISA結合アッセイの結果を描く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH感受性抗-α5β1インテグリン抗体の精製のための方法であって、以下:
(a)基質と結合した抗体アフィニティーマトリックス上へ当該抗体を吸着させ;そして
(b)約3.0 から約5.5のpHを有す溶出液を使用して当該基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから当該抗体を溶出する、を含んで成る方法。
【請求項2】
以下のステップ:
(c)前記精製した抗体を回収する、を更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶出液が約3.3から約5.5のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶出液が約3.5から約5.5のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶出液が約3.5から約4.2のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶出液が約4.2から約5.5のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、SEQ ID NOS:2-6、16及び20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOS:8-12、18及び22から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体アフィニティーマトリックスは、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、核酸アプタマー、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、ウィルス、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体から成る群から選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
塩基性溶液により溶出された抗体を含む前記溶出溶液を中和するステップを更に含んで成り、それによって当該中和された溶液のpHが約6.0から約8.0の間になる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的な影響を評価するための方法であって、当該方法は以下:
(a)脈管再生可能な生育組織サンプルを提供し;
(b)脈絡膜の新生血管形成を生み出すために十分な生育組織中で病変を作り出し;
(c)生育組織へキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の1以上の投与量を適用し;そして
(d)当該投与された再血管形成のための生育組織をモニタリングすること
を含んで成る方法。
【請求項11】
ステップ(a)の前記生育組織が眼組織である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記眼組織が生きている霊長類動物の目の一部分である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(c)の適用が、ヒト化された抗-α5β1インテグリン抗体をガラス体内へ注入することを含んで成る、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生育組織が眼の黄斑である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記作製ステップが、レーザー光により前記生育組織を接触させることを含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザー光が約300から約700mワットであり、暴露時間がわずか0.1秒である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(b)の病変が、直径約50から約100μmである、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記モニタリングステップが、ステップ(c)において投与された病変を定期的に撮影することを含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記モニタリングステップが、更に眼球の後眼房の間接的な検眼鏡検査実験、及び前眼部の生体顕微鏡検査実験を含んで成る、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記モニタリングステップは、フルオレセイン染色を静注すること、及びフルオレセイン血管造影法により生育組織を調査することを含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(c)の前記キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体が、抗体又はFabフラグメントである、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(c)の前記ヒト化抗-α5β1インテグリン抗体が、SEQ ID NOS:2-6、16及び20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOS:8-12、18及び 22から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体のポリペプチドをコードする核酸であって、SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項24】
前記ポリペプチドが一本鎖抗体又はFabである、請求項23に記載の核酸。
【請求項25】
前記ポリペプチドがSEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項24に記載の核酸。
【請求項26】
前記ポリペプチドがSEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項23に記載の核酸。
【請求項27】
前記ポリペプチドがSEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項23に記載の核酸。
【請求項28】
SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定される1以上のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド。
【請求項29】
アミノ酸配列SEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
アミノ酸配列SEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項31】
アミノ酸配列SEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項32】
SEQ ID NOS.:15、17、19、21、23、24、27、29及び32から成る群から選定される1以上の核酸を含んで成るベクター。
【請求項33】
前記核酸がSEQ ID NOS:19及び21を含んで成る、請求項32に記載のベクター。
【請求項34】
SEQ ID NOS:15、17、19、21、23、24、27、29及び32から成る群から選定される1以上の核酸を含んで成る発現ベクターにより形質転換された細胞。
【請求項35】
前記ベクターが核酸SEQ ID NOS.:19及び21を含んで成る、請求項34に記載の細胞。
【請求項36】
以下:
(a)SEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定された1以上のアミノ酸配列を含む第一の出所からの第一のポリペプチド配列;及び
(b)第二の出所の抗体の不変領域配列を含む第二の出所からの第二のポリペプチド、を含んで成る、キメラ抗-α5β1インテグリン抗体であり、ここで第一及び第二のポリペプチド配列は、α5β1インテグリンと免疫反応性であるタンパク質複合体を形成する抗体。
【請求項37】
前記第一のポリペプチド配列がSEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項36に記載のキメラ抗体。
【請求項38】
前記第一のポリペプチド配列がSEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項36に記載のキメラ抗体。
【請求項39】
前記第一のポリペプチド配列がSEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項36に記載のキメラ抗体。
【請求項40】
前記抗体がSEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されたアミノ酸配列を含む、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体を含んで成る医薬組成物。
【請求項41】
前記抗体がアミノ酸配列SEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記抗体がアミノ酸配列SEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記抗体がアミノ酸配列SEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項44】
損傷した組織にキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の1回以上の投与を適用させることを含んで成る、損傷した組織中の血管形成を調節する方法。
【請求項45】
前記キメラ化又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体がSEQ ID NOS:20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されるアミノ酸を含んで成る、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
以下:
(a)SEQ ID NOS:2-6、16、20から成る群から選定される可変重鎖領域、及びSEQ ID NOS.:8-12、18、22から成る群から独立的に選定された可変軽鎖領域を含んで成る治療抗体を含む医薬を提供し、
(b)損傷した組織に治療抗体を適応し、ここで当該損傷した組織が新生血管形成を通してその血流を増加させることにより損傷に応答し、そして当該治療抗体が前記新生血管形成を阻害する、
を含んで成る治療抗体を投与する方法。
【請求項47】
前記医薬が注入可能なものである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記適用ステップが全身的に医薬を注入することを含んで成る、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記損傷した組織が片眼又は両眼である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記損傷した組織が、個体の両眼であり、そして当該適用ステップでは片眼に医薬を注入し、それによって当該医薬が両目に接触することにより損傷した組織における新生血管形成を阻害する、を含んで成る、請求項46に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体であって、以下:
SEQ ID NOs:1及び16から成る群から選定される配列と少なくとも95%配列同一性を有すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
SEQ ID NOs:7及び18から成る群から選定される配列と少なくとも95%配列同一性を有すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んで成り;そして
不変領域の起源がヒトIgGである、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項2】
前記不変領域の起源がヒトIgG4又はIgG2M3である、請求項1に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項3】
前記不変領域の起源がヒトIgG4である、請求項2に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項4】
前記重鎖可変領域配列がSEQ ID NO:1を含み、且つ前記軽鎖可変領域配列がSEQ ID NO:7を含む、請求項2に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項5】
抗−α5β1インテグリン抗体であって、以下:
SEQ ID NOs:1、16、20、25、28及び31から成る群から選定させる配列と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖;
SEQ ID NOs:7、18、22、26及び32から成る群から選定させる配列と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含んで成り;そして
前記抗体がVEGFによって刺激される新脈管形成を阻害する、抗−α5β1インテグリン抗体。
【請求項6】
前記軽鎖及び重鎖ポリペプチド配列が、SEQ ID NOs:26及び25と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、請求項5に記載の抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項7】
前記軽鎖及び重鎖ポリペプチド配列が、SEQ ID NOs:28及び26と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、請求項5に記載の抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項8】
前記軽鎖及び重鎖ポリペプチド配列が、SEQ ID NOs:32及び31と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、請求項5に記載の抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項9】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体であって、以下:
SEQ ID NOs:20、25、28、及び31から成る群から選定されるアミノ酸配列を含む重鎖;並びに
SEQ ID NOs:22、26、及び32から成る群から選定されるアミノ酸配列を含む軽鎖;
を含んで成るキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項10】
前記重鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:25を含んで成り、及び前記軽鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:26を含んで成る、請求項9に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項11】
前記重鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:28を含んで成り、及び前記軽鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:26を含んで成る、請求項9に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項12】
前記重鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:31を含んで成り、及び前記軽鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:32を含んで成る、請求項9に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の抗-α5β1インテグリン抗体、及び生理学的に許容され得る担体を含んで成る医薬組成物。
【請求項14】
血管新生をもたらす眼疾患の治療のために医薬を調製するための、請求項1から12のいずれか1項に記載の抗-α5β1インテグリン抗体の使用。
【請求項15】
前記眼疾患が、黄斑変質、糖尿病性網膜病及び脈絡膜の新血管形成から成る群から選定される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記眼疾患が黄斑変質である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記眼疾患がVEGFの分泌に関連する、請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記治療が静脈内注射を含んで成る、請求項14に記載の使用。
【請求項19】
前記治療がガラス体内注射を含んで成る、請求項14に記載の使用。
【請求項20】
前記治療が片眼へのガラス体内注射を含んで成り、それにより前記抗体が両眼に接触する、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
SEQ ID NOs:2-6、8-12、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸。
【請求項22】
SEQ ID NOs.:15、17、19、21、23、24、27、29及び30から成る群から選定される配列を含む1以上の核酸を含んで成るベクター。
【請求項23】
前記核酸配列がSEQ ID NOs:23及び24を含んで成る、請求項22に記載のベクター。
【請求項24】
前記核酸配列がSEQ ID NOs:27及び24を含んで成る、請求項22に記載のベクター。
【請求項25】
前記核酸配列がSEQ ID NOs:29及び30を含んで成る、請求項22に記載のベクター。
【請求項26】
SEQ ID NOs:15、17、19、21、23、24、27、29及び30から成る群から選定される配列を含む1以上の核酸を含んで成る発現ベクターにより形質転換された細胞。
【請求項27】
pH感受性抗-α5β1インテグリン抗体の精製のための方法であって、以下:
(a)基質と結合した抗体アフィニティーマトリックス上へ当該抗体を吸着させ;そして
(b)約3.0 から約5.5のpHを有す溶出液を使用して当該基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから当該抗体を溶出する、を含んで成る方法。
【請求項28】
以下のステップ:
(c)前記精製した抗体を回収する、を更に含んで成る、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記溶出液が約3.3から約5.5のpHを有す、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
塩基性溶液により溶出された抗体を含む前記溶出液を中和するステップを更に含んで成り、それによって当該中和された溶液のpHが約6.0から約8.0の間になる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体アフィニティーマトリックスが、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、核酸アプタマー、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、ウィルス、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体から成る群から選定される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記抗体が、SEQ ID NOs:2-6、16及び20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOs:8-12、18及び22から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含んで成る、請求項27に記載の方法。
【請求項1】
pH感受性抗-α5β1インテグリン抗体の精製のための方法であって、以下:
(a)基質と結合した抗体アフィニティーマトリックス上へ当該抗体を吸着させ;そして
(b)約3.0 から約5.5のpHを有す溶出液を使用して当該基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから当該抗体を溶出する、を含んで成る方法。
【請求項2】
以下のステップ:
(c)前記精製した抗体を回収する、を更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶出液が約3.3から約5.5のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶出液が約3.5から約5.5のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶出液が約3.5から約4.2のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶出液が約4.2から約5.5のpHを有す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、SEQ ID NOS:2-6、16及び20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOS:8-12、18及び22から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体アフィニティーマトリックスは、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、核酸アプタマー、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、ウィルス、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体から成る群から選定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
塩基性溶液により溶出された抗体を含む前記溶出溶液を中和するステップを更に含んで成り、それによって当該中和された溶液のpHが約6.0から約8.0の間になる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体により調節される生理学的な影響を評価するための方法であって、当該方法は以下:
(a)脈管再生可能な生育組織サンプルを提供し;
(b)脈絡膜の新生血管形成を生み出すために十分な生育組織中で病変を作り出し;
(c)生育組織へキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の1以上の投与量を適用し;そして
(d)当該投与された再血管形成のための生育組織をモニタリングすること
を含んで成る方法。
【請求項11】
ステップ(a)の前記生育組織が眼組織である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記眼組織が生きている霊長類動物の目の一部分である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(c)の適用が、ヒト化された抗-α5β1インテグリン抗体をガラス体内へ注入することを含んで成る、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生育組織が眼の黄斑である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記作製ステップが、レーザー光により前記生育組織を接触させることを含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザー光が約300から約700mワットであり、暴露時間がわずか0.1秒である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(b)の病変が、直径約50から約100μmである、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記モニタリングステップが、ステップ(c)において投与された病変を定期的に撮影することを含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記モニタリングステップが、更に眼球の後眼房の間接的な検眼鏡検査実験、及び前眼部の生体顕微鏡検査実験を含んで成る、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記モニタリングステップは、フルオレセイン染色を静注すること、及びフルオレセイン血管造影法により生育組織を調査することを含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(c)の前記キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体が、抗体又はFabフラグメントである、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(c)の前記ヒト化抗-α5β1インテグリン抗体が、SEQ ID NOS:2-6、16及び20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOS:8-12、18及び 22から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体のポリペプチドをコードする核酸であって、SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されるアミノ酸配列を含む前記ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項24】
前記ポリペプチドが一本鎖抗体又はFabである、請求項23に記載の核酸。
【請求項25】
前記ポリペプチドがSEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項24に記載の核酸。
【請求項26】
前記ポリペプチドがSEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項23に記載の核酸。
【請求項27】
前記ポリペプチドがSEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項23に記載の核酸。
【請求項28】
SEQ ID NOS:2-6、8-12、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定される1以上のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド。
【請求項29】
アミノ酸配列SEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
アミノ酸配列SEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項31】
アミノ酸配列SEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項32】
SEQ ID NOS.:15、17、19、21、23、24、27、29及び32から成る群から選定される1以上の核酸を含んで成るベクター。
【請求項33】
前記核酸がSEQ ID NOS:19及び21を含んで成る、請求項32に記載のベクター。
【請求項34】
SEQ ID NOS:15、17、19、21、23、24、27、29及び32から成る群から選定される1以上の核酸を含んで成る発現ベクターにより形質転換された細胞。
【請求項35】
前記ベクターが核酸SEQ ID NOS.:19及び21を含んで成る、請求項34に記載の細胞。
【請求項36】
以下:
(a)SEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定された1以上のアミノ酸配列を含む第一の出所からの第一のポリペプチド配列;及び
(b)第二の出所の抗体の不変領域配列を含む第二の出所からの第二のポリペプチド、を含んで成る、キメラ抗-α5β1インテグリン抗体であり、ここで第一及び第二のポリペプチド配列は、α5β1インテグリンと免疫反応性であるタンパク質複合体を形成する抗体。
【請求項37】
前記第一のポリペプチド配列がSEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項36に記載のキメラ抗体。
【請求項38】
前記第一のポリペプチド配列がSEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項36に記載のキメラ抗体。
【請求項39】
前記第一のポリペプチド配列がSEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項36に記載のキメラ抗体。
【請求項40】
前記抗体がSEQ ID NOS:1、7、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されたアミノ酸配列を含む、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体を含んで成る医薬組成物。
【請求項41】
前記抗体がアミノ酸配列SEQ ID NOS:25及び26を含んで成る、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記抗体がアミノ酸配列SEQ ID NOS:26及び28を含んで成る、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記抗体がアミノ酸配列SEQ ID NOS:31及び32を含んで成る、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項44】
損傷した組織にキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体の1回以上の投与を適用させることを含んで成る、損傷した組織中の血管形成を調節する方法。
【請求項45】
前記キメラ化又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体がSEQ ID NOS:20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されるアミノ酸を含んで成る、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
以下:
(a)SEQ ID NOS:2-6、16、20から成る群から選定される可変重鎖領域、及びSEQ ID NOS.:8-12、18、22から成る群から独立的に選定された可変軽鎖領域を含んで成る治療抗体を含む医薬を提供し、
(b)損傷した組織に治療抗体を適応し、ここで当該損傷した組織が新生血管形成を通してその血流を増加させることにより損傷に応答し、そして当該治療抗体が前記新生血管形成を阻害する、
を含んで成る治療抗体を投与する方法。
【請求項47】
前記医薬が注入可能なものである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記適用ステップが全身的に医薬を注入することを含んで成る、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記損傷した組織が片眼又は両眼である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記損傷した組織が、個体の両眼であり、そして当該適用ステップでは片眼に医薬を注入し、それによって当該医薬が両目に接触することにより損傷した組織における新生血管形成を阻害する、を含んで成る、請求項46に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体であって、以下:
SEQ ID NOs:1及び16から成る群から選定される配列と少なくとも95%配列同一性を有すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
SEQ ID NOs:7及び18から成る群から選定される配列と少なくとも95%配列同一性を有すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んで成り;そして
不変領域の起源がヒトIgGである、キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項2】
前記不変領域の起源がヒトIgG4又はIgG2M3である、請求項1に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項3】
前記不変領域の起源がヒトIgG4である、請求項2に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項4】
前記重鎖可変領域配列がSEQ ID NO:1を含み、且つ前記軽鎖可変領域配列がSEQ ID NO:7を含む、請求項2に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項5】
抗−α5β1インテグリン抗体であって、以下:
SEQ ID NOs:1、16、20、25、28及び31から成る群から選定させる配列と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖;
SEQ ID NOs:7、18、22、26及び32から成る群から選定させる配列と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含んで成り;そして
前記抗体がVEGFによって刺激される新脈管形成を阻害する、抗−α5β1インテグリン抗体。
【請求項6】
前記軽鎖及び重鎖ポリペプチド配列が、SEQ ID NOs:26及び25と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、請求項5に記載の抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項7】
前記軽鎖及び重鎖ポリペプチド配列が、SEQ ID NOs:28及び26と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、請求項5に記載の抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項8】
前記軽鎖及び重鎖ポリペプチド配列が、SEQ ID NOs:32及び31と少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、請求項5に記載の抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項9】
キメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体であって、以下:
SEQ ID NOs:20、25、28、及び31から成る群から選定されるアミノ酸配列を含む重鎖;並びに
SEQ ID NOs:22、26、及び32から成る群から選定されるアミノ酸配列を含む軽鎖;
を含んで成るキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項10】
前記重鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:25を含んで成り、及び前記軽鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:26を含んで成る、請求項9に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項11】
前記重鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:28を含んで成り、及び前記軽鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:26を含んで成る、請求項9に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項12】
前記重鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:31を含んで成り、及び前記軽鎖ポリペプチド配列がSEQ ID NO:32を含んで成る、請求項9に記載のキメラ又はヒト化抗-α5β1インテグリン抗体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の抗-α5β1インテグリン抗体、及び生理学的に許容され得る担体を含んで成る医薬組成物。
【請求項14】
血管新生をもたらす眼疾患の治療のために医薬を調製するための、請求項1から12のいずれか1項に記載の抗-α5β1インテグリン抗体の使用。
【請求項15】
前記眼疾患が、黄斑変質、糖尿病性網膜病及び脈絡膜の新血管形成から成る群から選定される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記眼疾患が黄斑変質である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記眼疾患がVEGFの分泌に関連する、請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記治療が静脈内注射を含んで成る、請求項14に記載の使用。
【請求項19】
前記治療がガラス体内注射を含んで成る、請求項14に記載の使用。
【請求項20】
前記治療が片眼へのガラス体内注射を含んで成り、それにより前記抗体が両眼に接触する、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
SEQ ID NOs:2-6、8-12、16、18、20、22、25、26、28、31及び32から成る群から選定されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸。
【請求項22】
SEQ ID NOs.:15、17、19、21、23、24、27、29及び30から成る群から選定される配列を含む1以上の核酸を含んで成るベクター。
【請求項23】
前記核酸配列がSEQ ID NOs:23及び24を含んで成る、請求項22に記載のベクター。
【請求項24】
前記核酸配列がSEQ ID NOs:27及び24を含んで成る、請求項22に記載のベクター。
【請求項25】
前記核酸配列がSEQ ID NOs:29及び30を含んで成る、請求項22に記載のベクター。
【請求項26】
SEQ ID NOs:15、17、19、21、23、24、27、29及び30から成る群から選定される配列を含む1以上の核酸を含んで成る発現ベクターにより形質転換された細胞。
【請求項27】
pH感受性抗-α5β1インテグリン抗体の精製のための方法であって、以下:
(a)基質と結合した抗体アフィニティーマトリックス上へ当該抗体を吸着させ;そして
(b)約3.0 から約5.5のpHを有す溶出液を使用して当該基質−結合抗体アフィニティーマトリックスから当該抗体を溶出する、を含んで成る方法。
【請求項28】
以下のステップ:
(c)前記精製した抗体を回収する、を更に含んで成る、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記溶出液が約3.3から約5.5のpHを有す、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
塩基性溶液により溶出された抗体を含む前記溶出液を中和するステップを更に含んで成り、それによって当該中和された溶液のpHが約6.0から約8.0の間になる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体アフィニティーマトリックスが、ポリペプチド、ポリサッカライド、脂肪酸、脂質、核酸アプタマー、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、マルチタンパク質複合体、生物学的膜、ウィルス、プロテインA、プロテインG、レクチン、及びFc受容体から成る群から選定される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記抗体が、SEQ ID NOs:2-6、16及び20から成る群から選定される配列を有する可変重鎖領域、並びにSEQ ID NOs:8-12、18及び22から成る群から独立的に選定される可変軽鎖領域を含んで成る、請求項27に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2006−516098(P2006−516098A)
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562249(P2004−562249)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/038172
【国際公開番号】WO2004/056308
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(500533422)プロテイン デザイン ラブス インコーポレイティド (18)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/038172
【国際公開番号】WO2004/056308
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(500533422)プロテイン デザイン ラブス インコーポレイティド (18)
【Fターム(参考)】
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