説明

新規なアビエタンジテルペノイド系化合物、及び榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物

【課題】本発明は、榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物に関するものである。
【解決手段】
本発明の榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性が優秀なだけではなく、ACATに対する活性を効果的に抑制する。また、本発明の榧抽出物は、血清LDLを減少させると同時に血中コレステロールを下げる。
したがって、本発明の組成物は、コレステリルエステルの合成及び蓄積により誘発される高脂血症及び動脈硬化症のような心臓循環系疾患の予防及び治療に有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアビエタンジテルペノイド系化合物、及び榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、成人病の増加とともに動脈硬化症等の血管障害疾患が徐々に増加している。動脈硬化は、脳動脈または冠状動脈で起きやすく、脳動脈硬化症の場合には頭痛、めまい、精神障害を起こして脳軟化症の原因になり、冠状動脈硬化症の場合には心臓部に疼痛や不整脈を起こして狭心症、心筋梗塞等の原因になることが知られている。また、それによって高血圧、心臓病、脳溢血等が誘発され、動脈硬化症による疾病が現代社会において、特に50〜60代の男性の最大の死亡要因として注目されている。
【0003】
血中コレステロール濃度が高ければ冠状動脈性心血管疾患が誘発されやすく、血中コレステロール濃度を減らすためには、コレステロール及び脂肪の摂取を減らす食事療法を行なったり脂質代謝に関係する酵素を阻害することにより、コレステロールの吸収を抑制しなければならない。
【0004】
したがって、このような疾病を予防する目的で、従来からコレステロール吸収の抑制と生合成の阻害を通じた血漿低密度脂質タンパク質(low−density lipoprotein;LDL)量を減少させようとする試みが進められて来た(非特許文献1及び2)。
【0005】
最近では、動脈硬化症(atherosclerosis)の要因として、血液内LDL酸化物の生成が主な関心対象になっていて(非特許文献3及び4)、特に、LDLの過度な酸化と構造の変形を通じて生成されたHM−LDL(highly modified LDL)の大食細胞(macrophage)への流入による泡沫細胞(foam cell)生成が明らかにされることによってLDLペルオキシドの生成要因と除去に関する研究が活発に進められている(非特許文献5)。
【0006】
血管壁内におけるプラク(plaque)形成と破裂は、心筋梗塞の発病の主な要因であり、動脈硬化は血管壁の損傷に対する慢性炎症過程で、損傷機序よりはむしろ防御機序として提示されている(非特許文献6)。
【0007】
アシル−CoA:コレステロール転移酵素(acyl−CoA:cholesterol acyltransferase;ACAT)は、一般的にコレステロールをエステル化する酵素として、その作用機序は大きく分けて体内の三つの部位(腸、肝臓、そして血管壁細胞)で起きる。
【0008】
第一に、ACATは腸で摂取されたコレステロールをエステルの形態に変えて腸内で吸収することを促進させる。第二に、外部から吸収されたり体内で生合成されたコレステロールは肝臓でVLDL(very low−density lipoprotein)という運搬体中に蓄積された後、血管を通じて身体各器官に供給されるが、その時、ACATによってコレステロールがコレステリルエステル形態に転換されることにより、運搬体内にコレステロールの蓄積が可能になる。第三に、動脈血管壁を成す細胞内でACATは、コレステロールをそのエステル形態に転換させて細胞内にコレステロールが蓄積することを促進させる。これは動脈硬化を起こす直接的な原因になる。
【0009】
また、ACAT活性によって泡沫細胞がコレステロールから誘導された多量のコレステリルエステルを含むため、実験的、臨床的な側面で大食細胞と平滑筋細胞から誘導された泡沫細胞の形成は、非常に重要である。血管壁内の泡沫細胞の増殖は、ACAT活性増加と直接的に関連しているので強力な抗動脈硬化剤として、ACAT阻害剤の開発が好ましい。
【0010】
したがって、ACATの活性を抑制する薬物は、第一に、腸内コレステロールの吸収を抑制して体内に流入するコレステロールの量を減少させることができ、第二に、肝臓で血管内にコレステロールが放出されることを抑制して血中コレステロール濃度を減少させることができ、第三に、血管壁細胞にコレステロールが蓄積することを防止して直接的に動脈硬化を予防することができることが期待される。
【0011】
今まで報告されたACAT活性阻害剤は、ネズミの肝臓ミクロゾームACATまたはネズミの肝臓大食細胞(J774)ACATに対する活性阻害剤である。
【0012】
ヒトのACATは、ヒトACAT−1及びヒトACAT−2があり、ヒトACAT−1(50kDa)は大人の肝臓、副腎、大食細胞、腎臓で主に作用し、ヒトACAT−2(46kDa)は小腸で作用する(非特許文献7)。ヒトACAT活性を阻害する物質は、食物から流入するコレステロールの吸収を抑制して、血管内壁でのコレステリルエステルの蓄積を抑制する機序を通じて、高コレステロール症、コレステロール結石または動脈硬化予防及び治療剤の標的になっている(非特許文献8)。
【0013】
現在、高脂血症治療剤に使用されているプロブコール(Probucol)、N,N’−ジフェニレンジアミン(N,N’−diphenylenediamine)、フェノール系合成抗酸化剤であるBHA(butylatedhydroxyanisol)とBHT(butylated hydroxy toluene)は、LDLコレステロールを減少させて、酸化程度を弱化させて病変形成を減少させ、抗酸化力は優秀であるが、副作用が多くて使用が制限されている。
【0014】
したがって、高脂血症や動脈硬化患者においてLDL抗酸化剤と共に脂質降下剤を並行投与する療法に対する関心度が高まっている。
【0015】
一方、榧(Torreya nucifera)はイチイ科(Taxaceae)に属する常緑針葉喬木で全世界的に韓国と日本にだけ分布する。榧は、食用、観賞用、工業用、薬用に使用され、種子は食べたり油を絞り出したりして利用する。また、漢方や民間療法では、果実を駆虫、発毛、健胃、調経、膓出血等に薬剤として利用している。木材は、建築材、器具材、船舶用材等に使用する。榧の葉と種子から分離して報告された成分としては、セスキテルペノイド(sesquiterpenoids,非特許文献9)、ラブダン(labdane)系列とアビエタン(abietane)系列ジテルペノイド(diterpenoids,非特許文献10及び11)、及びフラボノイド(flavonoids,非特許文献12)等がある。
【0016】
以上のことに鑑みて、本発明者等は副作用が少ない新しい高脂血症、動脈硬化症治療剤を天然物から探索する中で、榧抽出物またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物において、低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性及びACAT酵素に対する優秀な阻害活性があることを確認して本発明を完成した。
【非特許文献1】Principles in Biochemistry、lipid biosynthesis、770−817頁,3rd Edition,2000年 Worth Publishers,New York
【非特許文献2】Steinberg, N. Engl. J. Med., 1989年, 第320巻, 915−924頁
【非特許文献3】Circulation,1995年,第91巻,2488−2496頁
【非特許文献4】Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol.,1997年,第17巻,3338−3346頁
【非特許文献5】Curr. Atheroscler. Res.,2000年,第2巻,363−372頁
【非特許文献6】Circ. Res. 2001年, 第89巻, 298−304頁
【非特許文献7】Rudel, L. L. 等., Curr. Opin. Lipidol 12,2001年,121−127頁
【非特許文献8】Buhman, K. K.等., Nature Medicine 6,2000年,1341−1347頁
【非特許文献9】Sakai, T.等, Bull. Chem. Soc. Japan, 1965年, 第38巻, 381頁
【非特許文献10】Sayama, Y.等, Agric. Bio. Chem.,1971年,第35巻,1068頁
【非特許文献11】Harrison, L. and Asakawa, Y.,Phytochemistry,1987年,第26巻,1211頁
【非特許文献12】Ahmad, I.等, Phytchemistry, 1981年,第20巻,1169頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、新規なアビエタンジテルペノイド系化合物を提供する。
【0018】
また、本発明は榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、新規なアビエタンジテルペノイド系化合物、及び榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物を提供する。
【0020】
本発明の組成物は、心臓循環系疾患の予防及び治療に有用な製薬組成物及び健康食品組成物を含む。
【0021】
以下、本発明に対して詳しく説明する。
本発明は、下記化学式1で表される新規なアビエタンジテルペノイド系化合物を提供する。
【0022】
【化1】

【0023】
(式中、Rは、ジメトキシメチルである。)
【0024】
前記化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物は、12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−ジメチルアセタルである。
【0025】
また、本発明は榧抽出物、またはそれから分離した下記化学式1で表されるアビエタンジテルペノイド系化合物または下記化学式2ないし化学式5で表されるテルペノイド系化合物の中から選択される、いずれか一つの化合物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物を提供する。
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、Rはメチル、ヒドロキシメチル、アルデヒド、メチルエステルまたはジメトキシメチルである。)
【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

【0032】
前記化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物の中でフェルギノール(ferruginol、R=メチル)、18−ヒドロキシフェルギノール(18−hydroxyferruginol、R=ヒドロキシメチル)、18−オキソフェルギノール(18−oxoferruginol、R=アルデヒド)、及び12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−オイック酸メチルエステル(R=メチルエステル)を含む。化学式2及び3の化合物は、アビエタンジテルペノイド系化合物であるイソピマル酸(isopimaric acid)及びデヒドロアビエチノール(dehydroabietinol)で、化学式4の化合物はラブダンジテルペノイド系化合物であるカヤジオール(kayadiol)で、かつ、化学式5の化合物はセスキテルペノイド系化合物であるデルタ−カジノール(δ−cadinol)である。
【0033】
前記化学式1ないし5の化合物等は、製薬的に許容される塩の形態で使用することができ、通常の方法によって製造されるすべての塩、水和物及び溶媒化物が含まれる。
【0034】
本発明で使用する榧抽出物は、榧の葉、枝または種子を水、アルコールまたはその混合溶液で抽出して使用する。ここで、アルコールは、メタノール、エチルアルコール及びブタノールの中から選択したものを使用する。
【0035】
また、榧抽出物から分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、通常の方法によって得ることができ、市販されている試薬を使用することができる。
【0036】
本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物の抽出、分離及び精製方法を下記に示す。
【0037】
乾燥した榧の葉(枝または種子)に水を加えて40〜120℃で2〜24時間煮た後、ろ過して抽出液及び固体状残留物を得る。取得した抽出液を減圧濃縮して榧の葉(枝または種子)熱水抽出物を得る。
【0038】
または、乾燥した榧の葉(枝または種子)をメタノール(またはエチルアルコール)中に3週間放置してろ過した後、ろ過液に炭を入れて12時間室温で撹拌する。この溶液をろ過して濃縮した後、そこに水を入れて懸濁させてもう一度ろ過する。前記で得た上層を酢酸エチルで溶解して、濃縮して黄色の油性物質を得る。前記で得た濃縮液をジクロロメタンに溶解した後、n−ヘキサンをゆっくり加えて再結晶をした後、ガラスフィルターを利用してろ過して、液相を濃縮して油性物質を得る。
【0039】
ここで、得たオイル分画について低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性及びヒトアシルコA:コレステロール転移酵素1と2に対する抑制能を測定した結果、二重性阻害効果を示す。
【0040】
前記で得た酢酸エチルオイル分画をn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離する。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=98:2、97:3、95:5、10:1、5:1、3:1、1:1及び酢酸エチル100%(v/v)の移動相溶媒条件にして17個の分画物(分画1〜17)に分離する。
【0041】
この中で一番優秀な抗酸化活性を示す分画8(593mg)をn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離する。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=98:2、95:5、10:1、5:1、3:1、1:1及び酢酸エチル100%(v/v)の移動相溶媒条件にして、11個の分画物(分画8−1〜8−17)に分離する。この中で抗酸化活性が一番優秀な分画8−8〜8−10の混合物(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1ないし1:1溶媒条件、149mg)は、分取用TLC(CHCl/MeOH=80:1の移動相溶媒条件)及びセパデックスLH−20カラム(CHCl/MeOH=1:1の溶媒条件)を利用して精製された二つの化合物を得る。すなわち、化学式1の化合物の中で12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−ジメチルアセタル(R=ジメトキシメチル、18mg)と12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−オイック酸メチルエステル(R=メチルエステル、17.5mg)を得る。
【0042】
また、前記で得た酢酸エチルオイル分画を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離する。ここで、移動相溶媒は、酢酸エチル:n−ヘキサン=10〜20:90〜80(v/v)溶媒を使用するのが好ましい。前記のような方法によって、乾燥した榧の葉1kg当たり純粋活性物質である化学式1の化合物中でフェルギノール(R=メチル、22mg)、18−ヒドロキシフェルギノール(R=ヒドロキシメチル、307mg)及び18−オキソフェルギノール(R=アルデヒド、62mg)を得る。
【0043】
また、前記で得た酢酸エチルオイル分画を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離する。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1、5:1、3:1、1:1(v/v)及び酢酸エチル100%の移動相溶媒条件にして、11個の分画物(分画1〜11)に分離する。
【0044】
この中で阻害活性が強い分画5をn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離する。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=7:1(v/v)の移動相溶媒条件で展開させて、7個の分画物(分画5−1〜5−7)に分離する。ACAT阻害活性がすぐれた分画5−4をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離する。ここで、クロロホルム100%の移動相溶媒条件にして4個の分画物(分画5−4−1〜5−4−4)に分離する。分画5−4−1で純粋活性物質である化学式2の化合物(イソピマル酸、76mg)を得る。
【0045】
前記で実施した一番目のカラムで得た分画10を塩化メチレン:メタノール=50:1(v/v)の移動相溶媒条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施して14個の分画物(分画10−1〜10−14)に分離する。ここで活性分画10−4をメタノール:水=15:1の移動相溶媒条件でC18逆相カラムクロマトグラフィーを実施して11個の分画物(分画10−4−1〜10−4−11)に分離する。この中で阻害活性が強い分画10−4−5をn−ヘキサン:酢酸エチル=50:1、30:1、10:1、1:1(v/v)及び酢酸エチル100%を移動相溶媒条件にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを実施して5個の分画物(10−4−5−1〜10−4−5−5)に分離する。分画10−4−5−2から純粋活性物質である化学式3の化合物(デヒドロアビエチノール、25mg)を得る。
【0046】
また、一番目のカラムで得た分画11を再結晶溶媒であるn−ヘキサン:酢酸エチル=5:1(v/v)を利用して純粋活性物質である化学式4の化合物(カヤジオール、40mg)を得る。
【0047】
前記で実施した二番目のカラムで14個の分画中の活性分画である分画10−6をメタノール:水=10:1(v/v)を移動相溶媒にしてC18逆相カラムクロマトグラフィーを実施した結果、12個の分画物(分画10−6−1〜10−6−12)に分離する。この中の活性分画10−6−3をn−ヘキサン:酢酸エチル=15:1、10:1、5:1、1:1(v/v)及び酢酸エチル100%を移動相溶媒条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して、5個の分画物(分画10−6−3−1〜10−6−3−5)に分離する。分画10−6−3−1から純粋活性物質である化学式5の化合物(デルタ−カジノール、15mg)を得る。
【0048】
本発明の榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物は、IC50値が低く現れ、低密度脂質タンパク質に対して優秀な抗酸化活性を示す。
【0049】
また、本発明の榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、hACAT−1及びhACAT−2でACATに対する活性を効果的に抑制する。
【0050】
また、本発明の榧抽出物は、血清LDLを減少させると同時に血中コレステロールを下げる作用をする。
【0051】
したがって、本発明の組成物は、コレステリルエステルの合成及び蓄積に誘発される高脂血症及び動脈硬化症のような心臓循環系疾患の予防及び治療に有用に使用することができる。
【0052】
本発明の組成物は、前記榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物に同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上追加して含むことができる。
【0053】
本発明の組成物は、投与のために前記記載した有効成分以外に薬剤学的に許容可能な運搬体をさらに1種以上含んで製造することができる。薬剤学的に許容可能な運搬体としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストローズ溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エチルアルコール及びこれら成分の中から1成分以上を混合して使用することができ、必要によって抗酸化剤、緩衝液、整菌剤等他の通常の添加剤を添加することができる。また希薄剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液等のような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。さらに、当分野の適正な方法で、またはレミングストンの製剤科学(Remington’s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PA)最近版に開示されている方法を使用して、各疾患または成分に合わせて製剤化することができる。
【0054】
本発明の組成物は、目的と方法によって非経口投与(例えば静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)又は経口投与することができ、投与量は患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度等によってその範囲が多様である。一日の投与量は、榧抽出物の場合10〜2,000mg/kgであり、好ましくは50〜500mg/kgである。また、前記化学式1ないし5の化合物の場合0.1〜100mg/kgで、好ましくは0.5〜10mg/kgであり、一日に一回ないし数回に分けて投与することがさらに好ましい。
【0055】
本発明の榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物をマウスに経口投与して毒性実験を遂行した結果、経口投与毒性試験による50%致死量(LD50)が、少なくとも1,000mg/kg以上の安全な物質であると判断された。
【0056】
本発明の組成物は、心臓循環系疾患の予防及び治療のために単独で、または手術、ホルモン治療、薬物治療及び生物学的反応調節剤を使用する方法等と併用して使用することができる。
【0057】
本発明の組成物は、心臓循環系疾患の改善を目的に健康食品に添加することができる。本発明の榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物を食品添加物として使用する場合、前記榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物をそのまま添加したり他の食品または食品成分と共に使用することができ、通常の方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)によって適合するように決めることができる。一般的に、食品または飲料の製造時には本発明の榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、原料に対して1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の量で添加する。しかし、健康及び衛生を目的とするまたは健康調節を目的にする長期間の摂取の場合には、前記量は前記範囲以下であり得て、安全性面で何らの問題がないので有効成分は前記範囲以上の量でも使用することができる。
【0058】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記物質を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤等があり、通常の意味での健康食品を全て含む。
【0059】
本発明の健康飲料組成物は、通常の飲料と同様に様々な香味料または天然炭水化物等を追加成分として含むことができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、及びデキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコールである。甘味料としてはタウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味料や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味料等を使用することができる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100ml当たり一般的に約0.01〜0.04g、好ましくは約0.02〜0.03gである。
【0060】
前記以外に本発明の組成物は、さまざまな栄養剤、ビタミン、電解質、風味料、着色料、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤等を含むことができる。その他に本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は、独立的にまたは組み合わせて使用することができる。このような添加剤の割合は、それほど重要ではないが本発明の組成物100重量部当たり0.01〜0.1重量部の範囲で選択することが一般的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例及び実験例を提示する。しかし、下記の実施例及び実験例は本発明をより易しく理解するために提供するだけのものであり、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例1】
【0062】
榧からのアビエタンジテルペノイド系化合物の抽出、分離及び精製
1.榧の葉からの熱水抽出物の製造
大韓民国済州島で購入した榧の葉1kgを洗浄して乾燥させた。乾燥した榧の葉250gに1000mlの水を加えて90℃で4時間煮た後、ろ過して抽出液及び固相残留物を得た。取得した抽出液を減圧濃縮して30gの榧の葉熱水抽出物を得た。
【0063】
2.榧種子からの熱水抽出物の製造
堅い皮を除去して、粉砕機を利用して粉砕した榧の種子120gに500mlの水を加えて90℃で4時間煮た後、ろ過して抽出液及び固相残留物を得た。取得した抽出液を減圧濃縮して9gの榧種子熱水抽出物を得た。
【0064】
3.榧の葉からのアルコール抽出物の製造
大韓民国済州島で購入した榧の葉2.16kgを洗浄して乾燥させた。乾燥した榧の葉を100%エチルアルコール18lに入れて常温で3週間放置してろ紙でろ過した後、ろ過液に炭を入れて室温で12時間撹拌した。この溶液をろ過して減圧下で濃縮して黄色の油性物質を得た。
【0065】
4.榧抽出物からのアビエタンジテルペノイド系化合物の分離及び精製
前記3で得た黄色の油性物質に水1000mlを加えて懸濁させて、n−ヘキサン、クロロホルム及び酢酸エチルの順に分画して、n−ヘキサン可溶抽出物75g、クロロホルム可溶抽出物37g及び酢酸エチル可溶抽出物18gをそれぞれ取得した。
【0066】
酢酸エチル層から得た黄色い油性物質の脂質タンパク質に対する抗酸化効果を観察した結果、低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性が優れていることを確認した。
【0067】
前記で得た酢酸エチルオイル分画18gをn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merk、Art 9385、カラムサイズ:φ7×40cm)で分離した。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=98:2、97:3、95:5、10:1、5:1、3:1、1:1及び酢酸エチル100%(v/v)の移動相溶媒条件にそれぞれ1.5lずつを展開させて、17個の分画物(分画1〜17)に分離し、各分画物の抗酸化活性を観察した。
【0068】
この中で一番優秀な抗酸化活性を示す分画8(593mg)をn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離した。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=98:2、95:5、10:1、5:1、3:1、1:1及び酢酸エチル100%(v/v)の移動相溶媒条件にそれぞれ100mlずつを展開させて、11個の分画物(分画8−1〜8−17)に分離し、各分画物の抗酸化活性を観察した。観察の結果、抗酸化活性が一番優秀な分画8−8〜8−10の混合物(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1ないし1:1溶媒条件、149mg)を、分取用TLC(prep TLC、Silica gel 60F254、Merck、Art 5744、CHCl/MeOH=80:1の移動相溶媒条件)及びセパデックスLH−20カラム(sephadex LH−20 column、Sigma−Aldrich Co.、米国、CHCl/MeOH=1:1の溶媒条件)を利用して精製し、二つの化合物を得た。すなわち、化学式1の化合物中の二つの化合物(18mg、17.5mg)を得た。
【0069】
5.アビエタンジテルペノイド系化合物の構造分析
前記4で得た化合物は、VG高分解能GC/MS分光器(VG high resolution GC/MS spectrometer、Election Ionization MS、Autospec−ultima)を使って分子量及び分子式を決定し、旋光度は偏光器(Jasco DIP−181 digital polarimeter)を使って測定した。また核磁気共鳴(NMR)分析(Bruker AMX 300、500)を通じてH NMR、13C NMR、ホモ−コジ(HOMO−COSY)、HMQC(H−Detected heteronuclear Multiple−Quantum Coherence)、HMBC(Heteronuclear Multiple−Bond Coherence)、DEPT(Distortionless Enhancement by Polarization)スペクトルを得て、分子構造を決めた。
【0070】
測定結果は下記に示すとおりであり、発表されている文献の記録と比較分析した結果、化学式1の化合物の中で一つの化合物は、12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−ジメチルアセタルでまだ報告されていない新規な化合物であり、もう一つの化合物は、12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−オイック酸メチルエステル(Chem. Nat. Compod (Engl. Transl),1988年,第24巻,447頁)と確認した。
【0071】
[12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−ジメチルアセタル]
【0072】
【化7】

【0073】
(式中、Rは、ジメトキシメチルである。)
1) 物性:黄色油性
2) 旋光度:[α]25 −5.8°(c=0.3, CHCl
3) 分子量:346
4) 分子式:C2234
5) H NMR (CDCl, 500 MHz) δ 0.9 (s, 3H, H−19), 1.12 (s, 3H, H−20), 1.15 (d, J=7.2Hz, H−16), 1.16 (d, J=7.2Hz, H−17), 1.27 (dt, J=4.2, 12.7Hz, H−1a), 1.36−1.43 (m, 2H, H−3), 1.53−1.62 (m, 2H, H−2), 1.64−1.75 (m, 2H, H−6), 1.81 (dd, J=1.7, 12.1 Hz, H−5), 2.05 (d like, J=12.6Hz, H−1b), 6.55 (s, 1H, H−11), 6.75 (s, 1H, H−14)。
6) 13C NMR (CDCl, 125 MHz) δ 16.7 (C−19), 18.3 (C−2), 19.4 (C−6), 22.5 (C−16), 22.7 (C−17), 25.2 (C−20), 26.7 (C−15), 29.3 (C−7), 30.4 (C−3), 37.3 (C−10), 38.2 (C−1), 42.6 (C−4), 42.8 (C−5), 58.7 (C−18b), 59.0 (C−18a), 110.9 (C−11), 113.3 (C−18), 126.5 (C−14), 126.9 (C−8), 131.4 (C−13), 148.7 (C−9), 150.7 (C−12)。
7) EIMS (rel. int.) m/z [M] 59 (22%), 75 (100%), 189 (14%), 201 (10%), 346 (33%)。
【0074】
[12−ヒドロキシアビエチック−8,11,13−トリエン−18−オイック酸メチルエステル]
【0075】
【化8】

【0076】
(式中、Rは、メチルエステルである。)
1) 物性:黄色油性
2) 旋光度:[α]25 +75.7°(c=0.28, EtOH)
3) 分子量:330
4) 分子式:C2130
5) H NMR(CDCl, 500MHz) δ 1.12 (s, 3H, H−20), 1.15 (d, J=7.4 Hz, 3H, H−16), 1.16 (d, J=7.3 Hz, 3H, H−17), 1.19 (s, 3H, H−19), 1.29 (m, 1H, H−6α), 1.41 (m, 1H, H−2α), 1.55−1.77 (m, 5H, H−1α, H−2β, H−3, H−6β), 2.12 (d like, J=12.7 Hz, 1H, H−1β), 2.14 (dd, J=1.7, 12.5 Hz, 1H, H−5), 2.74 (m, 2H, H−7), 3.04 (m, 1H, H−15), 3.59 (s, 3H, COMe), 4.58 (s, −OH), 6.55 (s, 1H, H−11), 6.74 (s, 1H, H−14)。
6) 13C NMR (CDCl, 125 MHz) δ 16.5 (C−19), 18.5 (C−2), 21.8 (C−6), 22.5 (C−16), 22.7 (C−17), 25.0 (C−20), 26.8 (C−15), 29.2 (C−7), 36.6 (C−1), 36.9 (C−4), 38.0 (C−3), 44.8 (C−5), 47.7 (C−10), 51.9 (−OMe), 110.8 (C−11), 126.7 (C−14), 127.0 (C−8), 131.7 (C−13), 147.9 (C−9), 150.8 (C−12), 179.2 (C−18)。
【実施例2】
【0077】
榧からのアビエタンジテルペノイド系化合物の抽出、分離及び精製
1.榧の葉からのアルコール抽出物の製造
大韓民国済州島で購入した榧の葉1kgを洗浄して乾燥させた。乾燥した榧の葉を95%メタノール4lに入れて常温で3週間放置してろ紙でろ過した後、ろ液に炭を入れて室温で12時間撹拌した。この溶液をろ過して減圧下で濃縮して黄色の油性物質を得た。
【0078】
2.榧抽出物からのアビエタンジテルペノイド系化合物の分離及び精製
前記1で得た黄色の油性物質に水200mlを入れて懸濁させて、ろ紙を利用してろ過した。上層を酢酸エチルで溶解して、濃縮して黄色の油性物質40gを得た。前記で得た濃縮液をジクロロメタンに溶解した後、n−ヘキサンをゆっくり加えて再結晶をした後、ガラスフィルターを利用してろ過して液相を濃縮して30gの油性物質を得た。
【0079】
ここで、得たオイル分画について低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性及びヒトアシルコA:コレステロール転移酵素1と2に対する抑制能を測定した結果、二重性阻害効果を示す。
【0080】
前記で得たオイル分画30gを酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merk, Art 9385, カラムサイズ:φ7×40cm)で分離した。ここで、移動相溶媒として、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:9(v/v)溶媒を使用した場合、活性物質が最も効果的に分離した。ここで純粋活性物質であるフェルギノール(R=メチル,22mg)、18−ヒドロキシフェルギノール(R=ヒドロキシメチル,307mg)及び18−オキソフェルギノール(R=アルデヒド,62mg)を得た。
【0081】
また、無色固体の化合物18−ヒドロキシフェルギノール(R=ヒドロキシメチル)100mgをジクロロメタン5mlに溶解してn−ヘキサン10mlをゆっくり加えた。ここで、ジエチルエーテル1mlを入れて、24時間室温で放置した。このようにして得た単結晶は、X−線結晶分析法を利用して18−ヒドロキシフェルギノールの立体化学を決定することができた。
【0082】
3.アビエタンジテルペノイド系化合物の構造分析
前記2で得た物質の構造分析結果は下記に示すとおりであり、化学式2の化合物は、フェルギノール(R=メチル)、18−ヒドロキシフェルギノール(R=ヒドロキシメチル)及び18−オキソフェルギノール(R=アルデヒド)[L. J. Harrison and Y. Asakawa, Pytochemistry, 1987年, 第26巻, 1211頁]と確認した。
【0083】
[フェルギノール]
【0084】
【化9】

【0085】
(式中、Rは、メチルである。)
1) 物性:無色オイル
2) 旋光度:[α]25 +56.6°(c=0.6, CHCl
3) 分子量:286
4) 分子式:C2030
5) H−NMR(CDCl, 300MHz) δ 0.90(s, 3H, H−18), 0.93(s, 3H, H−19), 1.16 (s, 3H, H−20), 1.21(d, J=5.1Hz, 3H, H−16), 1.23(d, J=5.1Hz, 3H, H−17), 1.20(dd, J=3.0, 10.4Hz, 1H), 1.22(t like, J=5.1Hz, 6H, H−18, 19), 1.31 (dd, J=1.7, 9.3Hz, 1H), 1.38(dd, J=2.8, 10.4Hz, 1H), 1.58−1.89(m, 3H), 1.84(m, 1H), 2.15(dd like, J=0.7, 8.7Hz, 1H), 2.76(ddd, J=1.3, 5.3, 8.5Hz, 1H, H−7a), 2.85(ddd, J=1.3, 5.2, 8.6Hz, 1H, H−7b), 3.10(m, 1H, H−15), 4.49(br, 1H, −OH), 6.62(s, 1H, H−13), 6.82(s, 1H, H−10)。
6) 13C−NMR(CDCl, 75MHz) δ 19.2(C−2), 19.3(C−6), 21.6(C−19), 22.5(C−16), 22.7(C−17), 24.8(C−20), 26.8(C−15), 29.7(C−7), 33.3(C−18), 33.4(C−4), 37.5(C−10), 38.8(C−1), 41.7(C−3), 50.3(C−5), 110.9(C−11), 126.6(C−14), 127.3(C−8), 131.3(C−13), 148.7(C−9), 150.6(C−12)。
7) EIMS(rel. int.) m/z [M]+ 69(78.4), (64.5), 159.1(47.5), 175.1(90.7), 187.1(63.8), 201.1(86.0), 215.1(54.4), 229.2(56.5), 271.2(100), 286.2 (99.6)。
【0086】
[18−ヒドロキシフェルギノール]
【0087】
【化10】

【0088】
(式中、Rは、ヒドロキシメチルである。)
1) 物性:無色プリズム、融点(M.P.)=185〜187℃
2) 旋光度:[α]25 +110°(c=0.2, CHCl
3) 分子量:302
4) 分子式:C2030
5) H−NMR(MeOD, 500MHz) δ 0.84(s, 3H, H−19), 1.16(t like, J=5.7Hz, 6H, H−16, 17), 1.18(s, 3H, H−20), 1.31(m, 2H, H−3), 1.51(dt, J=3.9, 13.4Hz, 1H, H−2a), 1.65(m, 3H, H−6, H−2b), 1.79(m, 2H, H−1), 2.20(d like, J=12.7Hz, 1H, H−5), 2.75(d like, J=7.7Hz, 2H, H−7), 3.09(d, J=11.0Hz, 1H, H−18a), 3.22(m, 1H, H−15), 3.30(s, 1H, −OH), 3.41(d, J=11.0Hz, 1H, H−18b), 6.63(s, 1H, H−11), 6.78(s, 1H, H−14)。
6) 13C−NMR(MeOD, 125MHz) δ 18.0(C−19), 19.8(C−2), 20.1(C−6), 23.2(C−16, 17), 25.8(C−20), 27.7(C−15), 30.4(C−7), 36.3(C−3), 38.4(C−4), 38.9(C−10), 39.9(C−1), 45.0(C−5), 72.0(C−18), 111.6(C−11), 126.9(C−14), 127.2(C−8), 133.2 (C−13), 149.1(C−9), 153.1(C−12)。
7) EIMS(rel. int.) m/z [M]+ 147(46.5), 175(70.2), 189(78.0), 201(45.0), 227(50.7), 269(100.0), 287(60.0), 302(95.1)。
【0089】
[18−オキソフェルギノール]
【0090】
【化11】

【0091】
(式中、Rは、アルデヒドである。)
1) 物性:無色プリズム、融点(M.P.)=140〜142℃
2) 旋光度:[α]25 +61°(c=0.2, CHCl
3) 分子量:300
4) 分子式:C2028
5) H−NMR(CDCl, 300MHz) δ 1.13(s, 3H, H−19), 1.21(s, 3H, H−20), 1.22 (d, J=4.23Hz, 6H, 3H−16,17), 1.28(m, 2H), 1.44(m, 3H), 1.79(m, 3H), 2.22(m, 1H), 2.79(m, 2H, H−7), 3.09(m, 1H, H−15), 4.52(s, 1H, C12−OH), 6.62(s, 1H, H−11), 6.82(s, 1H, H−14), 9.24(s, 1H, −CHO)。
6) 13C−NMR(CDCl, 75MHz) δ 14.0(C−19), 17.8(C−2), 21.5(C−6), 22.5(C−16), 22.7(C−17), 25.0(C−20), 26.8(C−15), 29.0(C−7), 32.0(C−3), 36.2(C−10), 37.8(C−1), 42.8(C−5), 49.8(C−4), 110.8(C−11), 126.7(C−8), 126.9(C−14), 132.0(C−13), 147.2(C−9), 150.9(C−12), 206.4(C−18)。
【実施例3】
【0092】
榧からテルペノイド系化合物の抽出、分離及び精製
1.榧からの抽出、分離及び精製
大韓民国済州島で購入した榧の葉1kgを洗浄して乾燥させた。乾燥した榧の葉を100%メタノール4lに入れて常温で3週間放置してろ紙でろ過した後、ろ液に炭(100g)を入れて室温で12時間撹拌した。この溶液をろ過して減圧下で濃縮して黄色の油性物質を得た。ここに水200mlを入れて懸濁させてろ紙を利用してろ過した。前記で得た上層を酢酸エチルで溶解して、濃縮して黄色の油性物質40gを得た。前記で得た濃縮液をジクロロメタンに溶解した後、n−ヘキサンをゆっくり加えて再結晶をした後、ガラスフィルターを利用してろ過して液相を濃縮して30gの油性物質を得た。
【0093】
ここで、前記で得たオイル分画についてヒトアシルコA:コレステロールアシル転移酵素1と2に対する抑制能を測定した結果、阻害効果を示した。
【0094】
前記で得たオイル分画の一部16gを酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル : Merk, Art 9385, カラムサイズ:φ7×40cm)で分離した。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1、5:1、3:1、1:1(v/v)及び酢酸エチル100%の移動相溶媒条件にそれぞれ1000mlずつを展開させて、11個の分画物(分画1〜11)に分離し、各分画物のACAT阻害活性を観察した。
【0095】
この中で阻害活性が強い分画5(6g)をn−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を移動相にしてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ4×20cm)で分離した。ここで、n−ヘキサン:酢酸エチル=7:1(v/v)の移動相溶媒条件で展開させて、それぞれ250mlずつ7個の分画物(分画5−1〜5−7)に分離した。ACAT阻害活性が優れた分画5−4(100mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ2.5×10cm)で分離した。ここで、クロロホルム100%の移動相溶媒条件で展開させて、それぞれ50mlずつ4個の分画物(分画5−4−1〜5−4−4)に分離した。ここで、分画5−4−1から純粋活性物質である化学式2の化合物(25mg)を得た。
【0096】
前記で実施した一番目のカラムで得た分画10(1.34g)は、塩化メチレン:メタノール=50:1(v/v)の移動相溶媒条件で展開させながらシリカゲルカラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ1.5×20cm)を実施した結果、それぞれ50mlずつ14個の分画物(分画10−1〜10−14)に分離した。ここで、活性分画10−4(100mg)をメタノール:水=15:1の移動相溶媒条件で展開させながらC18逆相カラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ1.5×10cm)を実施した結果、それぞれ45mlずつ11個の分画物(分画10−4−1〜10−4−11)に分離し、各分画物のACAT阻害活性を観察した。この中で阻害活性が強い分画10−4−5(72mg)をn−ヘキサン:酢酸エチル=50:1、30:1、10:1、1:1(v/v)及び酢酸エチル100%を移動相溶媒条件で展開させながらシリカゲルカラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ1×8cm)を実施した結果、それぞれ30mlずつ5個の分画物(10−4−5−1〜10−4−5−5)に分離した。分画10−4−5−2から純粋活性物質である化学式3の化合物(76mg)を得た。
【0097】
また、一番目のカラムで得た分画11(149mg)を再結晶溶媒であるn−ヘキサン:酢酸エチル=5:1(v/v)を利用して化学式4の化合物(40mg)を得た。
【0098】
前記で実施した二番目のカラムで、14個の分画の中で活性分画である分画10−6(85mg)をメタノール:水=10:1(v/v)を移動相溶媒に使用して、C18逆相カラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ1.5×13cm)を実施した結果、45mlずつ12個の分画物(分画10−6−1〜10−6−12)に分離し、この中で活性分画10−6−3(40mg)をn−ヘキサン:酢酸エチル=15:1、10:1、5:1、1:1(v/v)及び酢酸エチル100%を移動相溶媒条件で展開させながらシリカゲルカラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ1×7cm)で分離して、それぞれ30mlずつ5個の分画物(分画10−6−3−1〜10−6−3−5)に分離した。ここで、分画10−6−3−1から純粋活性物質である化学式5の化合物(15mg)を得た。
【0099】
2.テルペノイド系化合物の構造分析
前記1で得た化合物の構造を分析した結果、化学式2はイソピマル酸(isopimaric acid)[Y.−H. Kuo and W.−C. Chen, J. Chin. Chem. Soc., 1999年, 第46巻, 819頁]、化学式3はデヒドロアビエチノール(dehydroabietinol)[H. L. Ziegler 等., Planta Med., 2002年, 第68巻, 547頁]、化学式4はカヤジオール(kayadiol)[J. D. P. Teresa 等., Argic. Biol. Chem., 1971年, 第35巻, 1068頁]、及び化学式5はデルタ−カジノール(δ−cadinol)[Bμll, Chem, Soc, Jpn. 1963年, 第37巻, 1053頁]と確認した。
【0100】
[化学式2]:イソピマル酸
【0101】
【化12】

【0102】
1) 物性:無色プリズム、融点(M.P.)=185〜187℃
2) 旋光度:[α]25 +10.5°(c=0.42, EtOH)
3) 分子量:302
4) 分子式:C2030
5) H−NMR(CDCl, 500MHz) δ 0.86 (s, 3H, H−19), 0.91 (s, 3H, H−20), 1.12 (m, 1H), 1.27 (s, 3H, H−17), 1.37 (m, 2H), 1.48 (m, 1H), 1.55 (m, 3H), 1.67−2.03 (m, 9H), 4.87 (dd, J=1.7, 10.8Hz, 1H, H−16ab, H−16ax), 4.93 (dd, J=0.6, 17.5Hz, 1H, H−16ba, H−16bx), 5.32 (d like, J=4.1Hz, 1H, H−7), 5.80 (dd, J=10.8, 17.6Hz, H−15ax, H−15bx), 12.1 (brs, 1H, −COOH)。
6) 13C−NMR(CDCl, 125MHz) δ 15.3 (C−20), 17.1 (C−19), 17.9 (C−2), 20.0 (C−17), 25.2 (C−6), 35.0 (C−10), 36.1 (C−12), 36.8 (C−3), 37.0 (C−13), 38.8 (C−1), 45.0 (C−5), 46.1 (C−4), 46.3 (C−14), 52.0 (C−9), 109.3 (C−16), 121.0 (C−7), 135.7 (C−8), 150.3 (C−15), 185.6 (C−18)。
7) EIMS(rel. int.) m/z [M] 105 (40.7), 187 (36.9), 241 (47.8), 257 (30.9), 273 (26.9), 287 (47.1), 302 (100.0)。
【0103】
[化学式3]:デヒドロアビエチノール
【0104】
【化13】

【0105】
1) 物性:粘性オイル
2) 旋光度:[α]25 +50°(c=0.24,CHCl
3) 分子量:286
4) 分子式:C2030
5) H−NMR(CDCl, 300MHz) δ 0.90 (s, 3H, H−19), 1.22 (s, 3H, H−20), 1.23 (t like, J=3.6Hz, 6H, H−16, 17), 1.34−1.50 (m, 3H, H−1α, H−3), 1.63−1.82 (m, 5H, H−2, 5, 6), 2.29 (d like, J=12.6Hz, 1H, H−1β), 2.79−2.92 (m, 3H, H−7, 15), 3.24 (d, J=11.1Hz, 1H, H−18α), 3.48 (d, J=11.1Hz, 1H, H−18β), 6.89 (s, 1H, H−14), 6.99 (d, J=8.1Hz, 1H, H−12), 7.19 (d, J=7.8Hz, 1H, H−11)。
6) 13C−NMR(CDCl, 75MHz) δ 17.4 (C−19), 18.6 (C−2), 18.8 (C−6), 24.0 (C−16, 17), 25.3 (C−20), 30.1 (C−7), 33.4 (C−15), 35.1 (C−3), 37.3 (C−10), 37.8 (C−4), 38.4 (C−1), 43.9 (C−5), 72.2 (C−18), 123.8 (C−12), 124.2 (C−11), 126.8 (C−14), 134.7 (C−8), 145.5 (C−13), 147.3 (C−9)。
7) EIMS(rel. int.) m/z [M] 159 (47.5), 173 (60.9), 185 (27.0), 253 (100), 271 (87.2), 286 (32.6)。
【0106】
[化学式4]:カヤジオール
【0107】
【化14】

【0108】
1) 物性:無定形粉末
2) 旋光度:[α]25 +18.4°(c=0.3,CHCl
3) 分子量:306
4) 分子式:C2034
5) H−NMR(CDCl, 500MHz) δ 0.72 (s, 3H, H−20), 0.75 (s, 3H, H−18), 1.02 (dt, J=4.2, 12.7Hz, 1H), 1.28 (m, 1H), 1.35 (dt, J=4.2, 12.7Hz, 1H), 1.37−1.48 (m, 4H), 1.55−1.65 (m, 5H), 1.67 (s, 3H, H−16), 1.76−1.84 (m, 2H), 2.00 (dt, J=4.6, 12.6Hz, 1H), 2.38 (m, 1H), 3.10 (d, J=10.9Hz, 1H, H−19a), 3.42 (d, J=10.9Hz, 1H, H−19b), 4.15 (d, J=6.7Hz, 2H, H−15), 4.52 (s, 1H, H−17a), 4.84 (s, 1H, H−17b), 5.39 (t, J=6.6Hz, 1H, H−14)。
6) 13C−NMR(CDCl, 125MHz) δ 15.0 (C−20), 16.4 (C−16), 17.6 (C−2), 18.7 (C−11), 21.8 (C−6), 24.2 (C−19), 35.4 (C−3), 38.0 (C−1), 38.1 (C−12), 38.4 (C−10), 38.6 (C−7), 39.5 (C−4), 48.5 (C−5), 56.2 (C−9), 59.4 (C−15), 72.0 (C−18), 105.5 (C−17), 123.1 (C−14), 140.5 (C−13), 148.3 (C−8)。
【0109】
[化学式5]:デルタ−カジノール
【0110】
【化15】

【0111】
1) 物性:白色粉末、融点(M.P.)=135.5〜136℃
2) 旋光度:[α]25 100°(c=0.24,CHCl
3) 分子量:222
4) 分子式:C1526
5) H−NMR(CDCl, 300MHz) δ 0.79 (d, J=6.9Hz, 3H, H−12 or H−13), 0.87 (d, J=6.6Hz, 3H, H−13 or H−12), 1.09 (m, 1H), 1.28 (m, 1H), 1.27 (s, 3H, H−15), 1.41−1.60 (m, 6H), 1.63 (s, 3H, H−14), 1.85−2.01 (m, 5H), 5.51 (d like, J=4.2Hz, 1H, H−7)。
6) 13C−NMR(CDCl, 75MHz) δ 15.3, 18.5, 21.5, 21.7, 23.6, 26.4, 27.9, 31.1, 35.3, 36.8, 44.1, 45.4, 72.5 (C−2), 124.6 (C−7), 134.3 (C−6)。
【0112】
実験例1:TBARS法による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物の抗酸化活性
本発明の榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物の低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性を調べるために、下記のような実験を遂行した。
【0113】
Cu2+は、低密度脂質タンパク質の酸化を誘導(Cu2+ mediated LDL−oxidation)すると知られている。したがって、本発明ではその時に生成された不飽和脂肪酸の酸化産物であるジアルデヒド(dialdehyde)をTBA(thiobarbituric acid)方法で測定して、榧抽出物またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物の抗酸化活性を調査した(Ahn, B. T. et. al., Low−density Lipoprotein−Antioxidant Constituents of Saururus Chinensis. J. Nat. Prod. 2001年, 第64巻, 1562頁)。
【0114】
ヒトの血漿300mlを超遠心分離器で100,000×gで24時間遠心分離して上層に浮遊した高密度脂質タンパク質(VLDL)/カイロミクロン(chylomicron)層を除去して残った溶液の比重を1.063g/mlに合わせた後、100,000×gで24時間遠心分離して再び上層に浮遊した低密度脂質タンパク質25ml(1.5〜2.5mgタンパク質/ml)を分離した。
【0115】
このようにして分離した低密度脂質タンパク質20μl(タンパク質濃度、50〜100μg/ml)を10mMリン酸緩衝溶液(phosphate−buffered saline,PBS)210μlと混合して、前記実施例で製造した榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物の溶液をそれぞれ10μlずつ添加した。
【0116】
榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物は、DMSO(dimethylsulfoxide)に溶解して使用し、実験に使用する前に様々な濃度に希釈した。陰性対照群には溶媒のみを添加したものを使用し、陽性対照群にはプロブコール(probucol)を添加したものを使用した。
【0117】
前記溶液に0.25mM CuSO 10μlを添加して37℃で4時間反応させて、20%トリクロロアセト酸(trichloroacetic acid,TCA)溶液1mlを添加して反応を終わらせた。0.05N NaOH溶液に溶解した0.67%TBA溶液1mlを添加して10秒間撹拌した後、95℃で5分間加熱して発色反応が起きるようにし、氷水で溶液を冷却した。この溶液を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を分離し、紫外線−可視光線分光器で540nmでの吸光度を測定して前記発色反応で生成されたマロンジアルデヒド(malondialdehyde,MDA)の量を求めた。
【0118】
一方、テトラメトキシプロパン(マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタル))[tetramethoxypropane malonaldehyde bis(dimethylacetal)]の保存溶液を利用して0〜10nmolマロンジアルデヒドを含むPBS標準溶液を250μlずつ作った。
【0119】
この標準溶液を前記のような方法で発色させて540nmでの吸光度を測定して、マロンジアルデヒドの標準曲線を求めた。
【0120】
榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物を使用した前記実験で、マロンジアルデヒドの量は、この標準曲線を利用して定量した。
【0121】
結果は、表1に示した。
【0122】
【表1】

【0123】
表1に示されたように、本発明の榧抽出物(葉、種子の熱水抽出物及びメタノール抽出物)、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物のIC50値が低く現れ、低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性が優れていることが分かる。
【0124】
したがって、本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物は、低密度脂質タンパク質が酸化して誘発されることが知られた高脂血症及び動脈硬化症のような心臓循環系疾患の予防または治療に有用に使用することができる。
【0125】
実験例2:本発明の榧抽出物またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物のACAT活性に及ぼす影響
本発明の榧抽出物またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物のACAT活性に及ぼす影響を調べるために、下記のような実験を遂行した。
【0126】
1.ACAT酵素源の製造
ヒトACAT−1及びACAT−2の活性に及ぼす影響を調べるために、バキュロウイルス発現体剤を利用してヒトACAT−1とACAT−2タンパク質を得た。
【0127】
ヒトの肝臓cDNAライブラリースクリーニング(library screening)を通じて得られたhACAT−1とhACAT−2のcDNAをバキュロウイルス伝達ベクターに挿入して、昆虫細胞であるsf9細胞に導入してウイルスを製造した。その後、プラク精製(plaque purification)方法でhACAT−1とhACAT−2の組換えウイルスを分離した後、3回の増幅過程を経てバイラルストック(viral stock)のタイター(titer)を高めた。タンパク質発現効率が良いHi5昆虫細胞に組換えウイルスを感染多重度(Mutiplicity of Infection)が1になるように感染させた後、27℃で一日の間振蕩培養した。
【0128】
培養されたhACAT−1とhACAT−2は、それぞれ過剰発現しているHi5細胞からミクロゾーム分画を分離するために、500×gで15分間遠心分離して細胞を集めて保存緩衝液(hypotonic buffer)で急冷凍急解凍方法で細胞を壊した後、100,000×gで1時間遠心分離した。
【0129】
得られたミクロゾーム分画は、タンパク質濃度が8mg/mlになるように保存緩衝液に懸濁して使用前まで低温冷凍機に保管した。
【0130】
2.ACAT活性測定
アセトンに1mg/mlの濃度に溶解したコレステロール溶液6.67μlを、アセトン中の10%トリトン(triton)WR−1339(Sigma社)6μlと混合して、窒素ガスを使用してアセトンを蒸発させて除去した。得られた混合物に蒸留水を加えてコレステロールの濃度が30mg/mlになるように調節した。
【0131】
10μlのコレステロール水溶液に、10μlの1M KHPO(pH7.4)、5μlの0.6mM牛血清アルブミン(BSA;bovine serum albumin)、前記1で得た10μlのミクロゾーム溶液、10μlの試料(榧抽出物またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物)及び45μlの蒸留水を加えた(総90μl)。混合物を37℃水浴で30分間予備反応させた。
【0132】
10μlの(1−14C)オレイル−CoA溶液(0.05μCi,最終濃度:10μM)を予備反応させた混合物に加えて、生成された混合物を37℃水浴で30分間反応させた。そこに500μlのイソプロパノール:ヘプタン混合物(4:1(v/v))、300μlのヘプタン及び200μlの0.1M KHPO(pH7.4)を加えて、混合物をボルテックス(vortex)で激しく混合した後、常温で2分間放置した。
【0133】
生成された200μlの上層液をシンチレーション瓶に入れて、シンチレーション液(Lumac)4mlを加えた。この混合物の放射線量は、1450マイクロベータ液体シンチレーション計数器(1450 Microbeta liquid scintillation counter, Wallacoy, Finland)で測定した。
【0134】
ACAT活性は、測定された放射線量から時間当りの放射線量を計算して1分間にタンパク質1mg当たりに合成されたコレステリルオレエート(ピコモル)(ピコモル/分/mgタンパク質)で計算した。
【0135】
結果は、表2に示した。
【0136】
【表2】

【0137】
表2に示されたように、本発明の榧抽出物(葉、種子の熱水抽出物及びメタノール抽出物)、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、hACAT−1及びhACAT−2でアシル−CoA:コレステロール転移酵素に対する阻害活性が非常に優れていることが分かる。
【0138】
したがって、本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、コレステリルエステルの合成及び蓄積により誘発される高脂血症及び動脈硬化症のような心臓循環系疾患の予防または治療に有用に使用することができる。
【0139】
実験例3:本発明の榧抽出物による血中コレステロール降下効果
本発明の榧抽出物の血中コレステロール降下効果を調べるために、下記のような実験を遂行した。
【0140】
6週齢の特定病原体不在(specific pathogens free)C57BL/6Jマウスのオス30匹を温度22±3℃、湿度55±10%、照明12L/12Dの動物室内で飼育した。マウスは、実験に使用する前1週間程度順化させた。7週齢(体重:20〜22g)になった時、乱塊法(ramdomized block design)によって5群に分けた。1群のマウスには高コレステロール/高脂肪食餌(CRF−1;AIN−76 実験動物用正常食餌に1.25%コレステロールと15%脂肪を含んだ食餌,Orient Yeast Co. Ltd., 日本)を、2群のマウスには高コレステロール/高脂肪食餌に1%榧の葉メタノール抽出物(または1%榧の葉熱水抽出物)を含んだ食餌を、3群のマウスには高コレステロール/高脂肪食餌に0.1%プロブコールを含んだ食餌をそれぞれ摂取させた。すべての食餌群のマウスに10日間、該当食餌を水と一緒に自由に摂取できるようにし、食餌摂取量を毎日記録して5日間隔で体重を測定した。動物飼育が終わった後、飼育日誌の資料を分析した結果、食餌摂取量と体重増加においては3群の間に有意的な差がなく、正常な成長を見せた。
【0141】
動物実験を始めてから10日後、3群すべてのマウスを致死させた後、血液を分析した。
【0142】
致死させたマウスのレトロ−オルビタルシヌス(retro−orbital sinus)でヘパリン処理された毛細管で血液を採取して、この血液を8,000×gで10分間遠心分離して上層部の血漿を分離して超低温冷凍庫に保管してから血液分析に使用した。
【0143】
総コレステロール(TC)の含量は、各実験群の血清から血液化学分析機(CIBA Corning 550 Express,米国)を使用して直接測定した。また、HDL−コレステロール(HDL)の場合は、各実験群の血清にデキストランスルファートと硫酸マグネシウムを添加してLDLとVLDLを沈澱させた後、上層液内のHDLを測定する方法(文献[(1)Stein E.A.,等,: Development and evaluation of a method for quantitation of plasma high−density−lipoprotein cholesterol. Clin. Chem. 1978年,第24巻,1112−1115頁;(2)Finley P.R.,等,: Cholesterol in high−density lipoprotein: use of Mg2+/dextran sulfate in its enzymic measurement. Clin. Chem., 1978年,第24巻,931−933頁;(3)Warnick G.R.,等 : Dextran sulfate−Mg2+ precipitation procedure for quantitation of high−density lipoprotein cholesterol. Clin. Chem. 1982年,第28巻,1379−1388頁]参照)を応用して作られたHDL測定用試薬(Chiron Diagnostics Co., 米国)を各実験群の血漿と1:10の割合で混合して20〜25℃培養器(incubator)で5分間反応させた後、8,000×gで10分間遠心分離して得られた上層液を血液化学分析機に移して測定した。コンピューター統計プログラム(マイクロソフトエクセル、バージョン7.0)を使用してそれぞれのマウスから得られた血液分析値の実験群間の有意差を分析及び検定(student t−test)した。
【0144】
測定されたすべてコレステロール及びHDL−コレステロールの濃度を表3及び表4に示した。
【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
表3に示されたように、本発明の榧の葉メタノール抽出物投与群では対照群に比べて血中総コレステロールの量が28.1%減少した。一方、陽性対照群であるプロブコールは対照群に比べて総コレステロールの量が14.5%減少した。
【0148】
また表4に示されたように、本発明の榧の葉熱水抽出物投与群では対照群に比べて血中総コレステロールの量が11.7%減少した。一方、陽性対照群であるプロブコールは対照群に比べて総コレステロールの量が11.5%減少した。
【0149】
しかし、榧抽出物と陽性対照群であるプロブコールの血中HDLの量は対照群と類似で、相対的に血中LDLの量を減少させることが分かる。
【0150】
したがって、本発明の榧抽出物は、血清LDLを減少させると同時に血中コレステロールを下げることにより、心臓循環系疾患の予防または治療に有用に使用することができる。
【0151】
実験例4:マウスに対する経口投与急性毒性実験
本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物の急性毒性を調べるために、下記のような実験を遂行した。
【0152】
4週齢の特定病原体不在(specific pathogens free)ICRマウスのメス12匹とオス12匹(オスとメスそれぞれ3匹/用量群)を温度22±3℃、湿度55±10%、照明12L/12Dの動物室内で飼育した。マウスは実験に使用する前1週間程度順化させた。実験動物用飼料((株)第一製糖、マウス及びラット用)及び飲水は滅菌後、供給して自由摂取させた。
【0153】
前記実施例で製造した榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物を0.5%Tween80を溶媒にして50mg/ml濃度で調剤した後、マウス体重20g当たり0.04ml(100mg/kg)、0.2ml(500mg/kg)、0.4ml(1,000mg/kg)ずつ経口投与した。試料は、単回経口投与して投与後7日間、次のように副作用または致死の有無を観察した。すなわち、投与当日は投与後1時間、4時間、8時間、12時間後に、そして投与翌日から7日目までは、毎日午前、午後1回以上ずつ一般症状の変化及び死亡動物の有無を観察した。
【0154】
また、投与7日目に動物を致死させて解剖した後、肉眼で内部臓器を検査した。投与当日から1日間隔で体重の変化を測定して榧抽出物またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物による動物の体重減少現象を観察した。
【0155】
試験結果、試験物質を投与したすべてのマウスで特記に値する臨床症状はなく、斃死したマウスもなかった。また、体重変化、血液検査、血液生化学検査、剖検所見等でも毒性変化は観察されなかった。
【0156】
したがって、本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、すべてのマウスで1,000mg/kgまで毒性変化を現わさなかったので、経口投与最小致死量(LD50)が少なくとも1,000mg/kg以上の安全な物質であると判断された。
【0157】
下記には、本発明の組成物のための製剤例を例示する。
製剤例1:製薬製剤の製造
本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物の中から選択して製薬製剤を製造した。
【0158】
1.散剤の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物 2g
乳糖 1g
前記の成分を混合して気密包に充填して散剤を製造した。
【0159】
2.錠剤の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物 100mg
とうもろこし澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
前記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法にしたがって打錠して錠剤を製造した。
【0160】
3.カプセル剤の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物 100mg
とうもろこし澱粉 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
前記の成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法にしたがってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0161】
4.注射液剤の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物 10μg/ml
希釈した塩酸BP pH3.5になるまで
注射用塩化ナトリウムBP 最大1ml
適当な容積の注射用塩化ナトリウムBPの中に化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物を溶解させて、生成された溶液のpHを希釈した塩酸BPを使ってpH3.5に調節して、注射用塩化ナトリウムBPを使って容積を調節して充分に混合した。溶液を透明ガラスからなる5mlタイプIアンプルの中に充填して、ガラスを融解させることにより気密封入し、120℃で15分以上オートクレーブして殺菌して注射液剤を製造した。
【0162】
製剤例2:食品の製造
本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物の中から選択して食品等を次のように製造した。
【0163】
1.料理用味付けタレの製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物0.2〜10重量%で健康増進用料理用味付けタレを製造した。
【0164】
2.トマトケチャップ及びソースの製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物0.2〜1.0重量%をトマトケチャップまたはソースに添加して、健康増進用トマトケチャップまたはソースを製造した。
【0165】
3.小麦粉食品の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物0.1〜5.0重量%を小麦粉に添加して、この混合物を利用してパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類を製造して、健康増進用食品を製造した。
【0166】
4.スープ及び肉汁(gravies)の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物0.1〜1.0重量%をスープ及び肉汁に添加して、健康増進用肉加工製品、麺類のスープ及び肉汁を製造した。
【0167】
5.牛ひき肉(ground beef)の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物10重量%を牛ひき肉に添加して、健康増進用牛ひき肉を製造した。
【0168】
6.乳製品(dairy products)の製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物0.1〜1.0重量%を牛乳に添加して、前記牛乳を利用してバター及びアイスクリームのような多様な乳製品を製造した。
【0169】
7.禅食の製造
玄米、麦、もち米、鳩麦を公知の方法でアルファ化させて乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
【0170】
黒豆、黒ごま、えごまも公知の方法で蒸して乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
【0171】
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物を真空濃縮機で減圧濃縮して、噴霧、熱風乾燥器で乾燥して得た乾燥物を粉砕機で粒度60メッシュに粉砕して乾燥粉末を得た。
【0172】
前記で製造した穀物類、種実類及び化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物の乾燥粉末を次の比率で配合して製造した。
【0173】
穀物類(玄米30重量%、鳩麦15重量%、麦20重量%)
種実類(えごま7重量%、黒豆8重量%、黒ごま7重量%)
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物の乾燥粉末(1重量%)
霊芝(0.5重量%)
地黄(0.5重量%)
【0174】
製剤例3:飲料の製造
本発明による榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物の中から選択して飲料を製造した。
【0175】
1.炭酸飲料の製造
砂糖5〜10%、クエン酸0.05〜0.3%、カラメル0.005〜0.02%、ビタミンC0.1〜1%の添加物を混合して、そこに79〜94%の蒸留水を混ぜてシロップを作り、前記シロップを85〜98℃で20〜180秒間殺菌して冷却水と1:4の割合で混合した後、炭酸ガスを0.5〜0.82%注入して化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物を含む炭酸飲料を製造した。
【0176】
2.健康飲料の製造
液状果糖(0.5%)、オリゴ糖(2%)、砂糖(2%)、食塩(0.5%)、水(75%)のような副材料と化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物を均質に配合して瞬間殺菌をした後、それをガラス瓶、ペットボトル等の小容器に包装して健康飲料を製造した。
【0177】
3.野菜ジュースの製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物0.5gをトマトまたはにんじんジュース1,000mlに加えて、健康増進用野菜ジュースを製造した。
【0178】
4.果物ジュースの製造
化学式1のアビエタンジテルペノイド系化合物0.1gをりんごまたはぶどうジュース1,000mlに加えて、健康増進用果物ジュースを製造した。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明の新規なアビエタンジテルペノイド系化合物、及び榧抽出物、またはそれから分離したアビエタンジテルペノイド系化合物またはテルペノイド系化合物は、低密度脂質タンパク質に対する抗酸化活性が優秀なだけでなく、ACATに対する活性を効果的に抑制する。また、本発明の榧抽出物は、血清LDLを減少させると同時に血中コレステロールを下げる効果がある。
【0180】
したがって、本発明の組成物は、コレステリルエステルの合成及び蓄積により誘発される高脂血症及び動脈硬化症のような心臓循環系疾患の予防及び治療に有用に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるアビエタンジテルペノイド系化合物。
【化1】

(式中、Rは、ジメトキシメチルである。)
【請求項2】
榧抽出物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物。
【請求項3】
前記榧抽出物が、榧の葉、枝または種子の中から選択して抽出したものであることを特徴とする、請求項2に記載の心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物。
【請求項4】
前記榧抽出物が、水、アルコールまたはその混合溶液により抽出したものであることを特徴とする、請求項2に記載の心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物。
【請求項5】
前記アルコールが、メタノール、エチルアルコール及びブタノールの中から選択されたことを特徴とする、請求項4に記載の心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物。
【請求項6】
下記化学式1ないし化学式5の化合物の中からいずれか一つの化合物を有効成分とする心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物。
【化2】

(式中、Rはメチル、ヒドロキシメチル、アルデヒド、メチルエステルまたはジメトキシメチルである。)
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【請求項7】
前記化学式1ないし化学式5の化合物が、榧から抽出分離精製して得たものであることを特徴とする、請求項6に記載の心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物。
【請求項8】
前記心臓循環系疾患が、高脂血症または動脈硬化症であることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の心臓循環系疾患の予防及び治療用組成物。

【公表番号】特表2007−526299(P2007−526299A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501703(P2007−501703)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000472
【国際公開番号】WO2005/084141
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(501245997)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (15)
【Fターム(参考)】