説明

新規なアルキルパーフルオロアルケンエーテルおよびその使用

開示されているのは、式CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。同じく開示されているのは、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される不飽和フルオロエーテルである。同じく本明細書に開示されているのは、新規な溶剤、キャリア流体、脱水剤、脱脂溶剤またはフラックス除去溶剤として少なくとも1つの上述した化合物を含む組成物を用いる新規な方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年2月16日出願の米国特許出願第61/152,803号明細書および2009年12月17日出願の米国仮特許出願第61/287,275号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、不飽和フルオロカーボンエーテルを含む洗浄組成物に関する。本発明は、フッ素潤滑剤を、清浄にし、脱脂し、フラックス除去し、脱水し、堆積する方法に前記洗浄組成物を用いることにさらに関する。本発明は、新規な不飽和フルオロカーボンエーテル、および洗浄組成物としてのその使用および上記の方法におけるその使用にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
クロロフルオロカーボン(CFC)化合物は、磁気ディスク媒体等の表面を清浄にするために、半導体製造分野において広く用いられてきた。しかしながら、CFC化合物等の塩素含有化合物は、地球のオゾン層に有害であると考えられている。また、CFC化合物に代えて用いられるハイドロフルオロカーボンの多くが、地球温暖化に寄与することが分かってきた。従って、残渣フラックス、潤滑剤または油汚染物質およびパーティクルを除去するような洗浄用途について、環境に安全な新たな溶剤を特定する必要がある。また、フッ素潤滑剤を堆積させ、水溶液で処理された基板の乾燥または脱水のための新たな溶剤を特定する必要もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、不飽和フルオロカーボンエーテルを含む新たな組成物およびかかる不飽和フルオロカーボンエーテルの製造方法を提供する。これらの組成物は、CFC化合物により以前使われていた多くの用途において有用性がある。本発明の組成物は、環境への影響がほとんど、または全くない、油、グリースまたは潤滑剤(特に、フッ素含有潤滑剤)を溶解する能力がある、不燃性である、乾燥または脱水方法に用いる界面活性剤化合物を溶解する能力があるという所望の特性の一部または全てを備えている。
【0005】
一実施形態において、本明細書に開示されているのは、式CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。
【0006】
他の実施形態において、本明細書に開示されているのは、式CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。
【0007】
他の実施形態において、本明細書に開示されているのは、式CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。
【0008】
さらに他の実施形態において、本明細書に開示されているのは、式CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。
【0009】
さらに他の実施形態において、本明細書に開示されているのは、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フルオロエーテルを含む組成物を用いる新規な方法である。
【0010】
さらに他の実施形態において、本明細書に開示されているのは、上記したものを含むフルオロカーボンエーテルを製造する新規な方法である。
【0011】
前述の概要および以下の詳細な説明は例示で、説明のためのみであり、添付の請求項に定められる本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示されているのは、式CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。同じく、本明細書に開示されているのは、式CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。同じく、本明細書に開示されているのは、式CF3CF=CFCF(OR)(CF2y(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。同じく、本明細書に開示されているのは、式CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。
【0013】
同じく、本明細書に開示されているのは、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)を有する化合物ならびに式CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)を有する化合物を含む組成物である。
【0014】
一実施形態において、組成物の化合物は、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)からなる群から選択される。
【0015】
他の実施形態において、本明細書に開示されているのは、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フルオロエーテルを含む組成物を用いる新規な方法である。
【0016】
多くの態様および実施形態を上述してきたが、それらは例示に過ぎず、限定するものではない。本明細書を読めば、当業者であれば、発明の範囲から逸脱せずに、他の態様および実施形態が可能であることが理解される。実施形態のいずれか1つ以上のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかとなるであろう。
【0017】
後述する実施形態の詳細を記す前に、いくつかの用語を定義または明確化しておく。
【0018】
本発明において、相間移動触媒とは、イオン化合物(例えば、反応物質または成分)を、有機相に移動するのを促す物質である。相間移動触媒は、これらの異なる非相溶性の成分の反応を促す。様々な相間移動触媒が、異なるやり方で機能し得るが、それらの作用の機構は、本方法における有用性を決定づけるものではない。
【0019】
一実施形態において、本明細書に開示された化合物は、新規な溶剤、キャリア流体、脱水剤、脱脂溶剤またはフラックス除去溶剤として有用な不飽和フルオロエーテルである。
【0020】
一実施形態において、本発明の不飽和フルオロエーテルは、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)からなる群から選択される式を有する化合物を表わす。
【0021】
一実施形態において、本明細書に開示されている組成物は、パーフルオロアルケン、例えば、パーフルオロ−3−ヘプテン、パーフルオロ−2−ヘプテン、パーフルオロ−2−ヘキセン、パーフルオロ−3−ヘキセンまたはパーフルオロ−2−ペンテンを、強塩基を存在させて、アルコールと接触させることにより調製することができる。例えば、パーフルオロ−3−ヘプテンを、アルコール、例えば、メタノールまたはエタノールまたはこれらの混合物と、強塩基の水溶液を存在させて、反応させて、不飽和フルオロエーテルを生成することができる。以降、アルコールまたは「1つのアルコール」は、複数のアルコール、例えば、メタノールまたはエタノールおよびこれらの混合物を称するものとする。
【0022】
一実施形態において、パーフルオロ−3−ヘプテンとメタノールの反応からの生成物は、5−メトキシパーフルオロ−3−ヘプテン、3−メトキシパーフルオロ−3−ヘプテン、4−メトキシパーフルオロ−2−ヘプテンおよび3−メトキシパーフルオロ−2−ヘプテンを含む。
【0023】
一実施形態において、パーフルオロ−2−ペンテンとメタノールの反応からの生成物は、4−メトキシパーフルオロ−2−ペンテン、2−メトキシパーフルオロ−2−ペンテン、3−メトキシパーフルオロ−2−ペンテンおよび2−メトキシパーフルオロ−3−ペンテンを含む。
【0024】
一実施形態において、パーフルオロ−2−オクテンとメタノールの反応からの生成物は、シス−およびトランス−2−メトキシパーフルオロ−2−オクテンおよび2−メトキシパーフルオロ−3−オクテンを含む。
【0025】
一実施形態において、強塩基は、アルコールと反応して、塩基とそのアルコールの配合によりアルコキシドを生成する塩基である。かかるアルコキシドを形成するのに用いることのできる塩基としては、アルキル金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0026】
一実施形態において、強塩基は、10重量%〜45重量%の濃度のアルカリ金属水酸化物を有する水溶液の形態で存在する。一実施形態において、アルコール1モル当たり、アルキル金属水酸化物1モルを用いて、アルコキシドを生成する。他の実施形態において、アルコール1モル当たり、アルキル金属水酸化物1.1モルを用いる。さらに他の実施形態において、アルコール1モル当たり、アルキル金属水酸化物約0.9モルを用いる。
【0027】
一実施形態において、パーフルオロアルケン1モル当たり、アルキル金属水酸化物1モルを用いる。他の実施形態において、パーフルオロアルケン1モル当たり、アルキル金属水酸化物約1.1モルを用いる。さらに他の実施形態において、パーフルオロアルケン1モル当たり、アルキル金属水酸化物約1.05モルを用いる。
【0028】
一実施形態において、アルキル金属水酸化物を、パーフルオロアルケンと配合してから、アルコールおよび水を、パーフルオロアルケンと塩基の混合物に添加すると、即時の発熱反応となる。他の実施形態において、アルキル金属水酸化物を水に溶解して、パーフルオロアルケンと混合する。アルコールの添加により、即時の発熱反応となって、不飽和フルオロエーテルが生成される。
【0029】
一実施形態において、アルコールは、パーフルオロアルケン、アルカリ金属水酸化物および水に一度で添加する。他の実施形態において、アルコールは、時間をかけて徐々に添加する。一実施形態において、アルコールは、1時間かけて添加する。他の実施形態において、アルコールは、2時間かけて添加する。さらに他の実施形態において、パーフルオロアルケン、アルカリ金属水酸化物およびアルコールは一緒に添加し、水は時間をかけて徐々に添加する。
【0030】
一実施形態において、パーフルオロアルケン、アルカリ金属水酸化物、アルコールおよび水は、全て、略室温で添加する。他の実施形態において、パーフルオロアルケンおよびアルカリ金属水酸化物の水溶液は、約50℃まで加熱し、アルコールは、時間をかけて徐々に添加する。
【0031】
一実施形態において、相間移動触媒は、パーフルオロアルケン、アルカリ金属水酸化物、アルコールおよび水の混合物に添加する。一実施形態において、相間移動触媒は、第4級アンモニウム塩である。一実施形態において、相間移動触媒は、Aliquat336である。一実施形態において、相間移動触媒の量は、アルカリ金属水酸化物の約1重量%〜約10重量%である。
【0032】
相間移動触媒は、イオンまたは中性とすることができ、クラウンエーテル、オニウム塩、クリプテート、ポリアルキレングリコール、およびこれらの誘導体ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。所望の反応を行うには、有効量の相間移動触媒を用いるべきである。反応物質、プロセス条件および相間移動触媒を選択したら、かかる量は、わずかな実験で求めることができる。
【0033】
クラウンエーテルは、エーテル基がジメチレン結合により連結された環状分子である。化合物は、水酸化物のアルカリ金属イオンを「受ける」または保持することができ、それによって反応が促されるものと考えられる分子構造を形成する。特に有用なクラウンエーテルとしては、18−クラウン−6、特に、水酸化カリウムと配合したもの、15−クラウン−5、特に、水酸化ナトリウムと配合したもの、12−クラウン−4、特に、水酸化リチウムと配合したものが挙げられる。上記のクラウンエーテルの誘導体も有用であり、例えば、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8および12−クラウン−4である。アルカリ金属化合物に、特に、リチウムについて、特に有用なその他のポリエーテルは、許す範囲で参考文献として援用される米国特許第4,560,759号明細書に記載されている。クラウンエーテルに類似した、同じ目的に有用なその他の化合物は、酸素原子の1つ以上が、他の種類のドナー原子、特に、NまたはS、例えば、ヘキサメチル−[14]−4,11−ジエンN4で置換されることにより異なる化合物である。
【0034】
オニウム塩としては、本発明のプロセスにおいて相間移動触媒として用いてよい第4級ホスホニウム塩および第4級アンモニウム塩が挙げられ、かかる化合物は、次式IおよびII:
1234(+)X’(-)(I)
1234(+)X’(-)(II)
で表わすことができ、式中、同一または異なっていてよいR1、R2、R3およびR4は、それぞれ、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、X’はハロゲン原子である。これらの化合物の具体例としては、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(Aliquat336およびAdogen464という商標で市販)、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化トリフェニルメチルホスホニウムおよび塩化トリフェニルメチルホスホニウムが挙げられる。中でも、強塩基条件下で用いるには、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムが好ましい。この部類の化合物のその他の有用な化合物としては、高温安定性(例えば、約200℃まで)を示すものが挙げられ、4−ジアルキルアミノピリジニウム塩、例えば、塩化テトラフェニルアルソニウム、塩化ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン]イミニウムおよび塩化テトラトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフィンイミノ]ホスホニウムが含まれる。後者の2つの化合物はまた、熱濃水酸化ナトリウムの存在下で安定であるとも報告されており、特に有用となり得る。
【0035】
相間移動触媒として有用なポリアルキレングリコール化合物は、式R6O(R5O)t7(III)により表わすことができ、式中、R5は、アルキレン基であり、同一または異なっていてよいR6およびR7は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、tは、少なくとも2の整数である。かかる化合物としては、例えば、グリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジイソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールおよびテトラメチレングリコール、モノアルキルエーテル、例えば、かかるグリコールのモノメチル、モノエチル、モノプロピルおよびモノブチルエーテル、ジアルキルエーテル、例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテルおよびペンタエチレングリコールジメチルエーテル、フェニルエーテル、ベンジルエーテル、ならびにポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール(平均分子量約300)ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール(平均分子量約300)ジブチルエーテルおよびポリエチレングリコール(平均分子量約400)ジメチルエーテルが挙げられる。中でも、R6およびR7の両方がアルキル基、アリール基またはアラルキル基である化合物が好ましい。
【0036】
クリプテートは、相間移動触媒として存在させるのに有用な化合物の他の部類である。橋頭構造を、適切な間隔のあいたドナー原子を含有する鎖により結合することにより形成された3次元ポリ大環状キレート化剤がある。例えば、二環式分子は、窒素橋頭を、(−−OCH2CH2−−)基の鎖により結合することから、2.2.2−クリプテート(4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ−(8.8.8)ヘキサコサン、cryptand222およびKryptofix222)として得られる。ブリッジのドナー原子は全てO、NまたはSであってよい、または化合物は、ブリッジストランドが、かかるドナー原子の組み合わせを含有する混合ドナー大員環であってよい。
【0037】
上述したグループの1つの組み合わせ、2つ以上のグループからの組み合わせまたは混合、例えば、クラウンエーテルとオニウム、あるいは3つ以上のグループからの組み合わせまたは混合、例えば、第4級ホスホニウム塩、第4級アンモニウム塩、クラウンエーテルおよびポリアルキレングリコールの相間移動触媒も有用であろう。
【0038】
一実施形態において、数時間後、反応混合物は周囲温度まで冷やして、分液漏斗に注ぐ。有機下層を、無機塩を含有する水性層から分離する。有機層を乾燥させたら、蒸留によりさらに精製することができる。一実施形態において、有機層は、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。他の実施形態において、有機層は、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。パーフルオロヘプテンエーテルの調製の一実施形態において、アリルおよびビニルパーフルオロアルケンアルキルエーテルの混合物を含むメチルまたはエチルエーテルを調製するのに応じて、108℃〜122℃の蒸留物から留分を集める。
【0039】
一実施形態において、本発明の組成物は、噴射剤をさらに含んでいてもよい。エアロゾル噴射剤は、本発明の組成物を、貯蔵容器から表面まで、エアロゾルの形態で分配するのを補助することができる。エアロゾル噴射剤は、合計組成物の約25重量パーセントまで、本発明の組成物に任意で含まれている。代表的なエアロゾル噴射剤は、空気、窒素、二酸化炭素、ジフルオロメタン(CF22、HFC−32)、トリフルオロメタン(CF3H、HFC−23)、ジフルオロエタン(CHF2CH3、HFC−152a)、トリフルオロエタン(CH3CF3、HFC−143aまたはCHF2CH2F、HFC−143)、テトラフルオロエタン(CF3CH2F、HFC−134aまたはCF2HCF2H、HFC−134)、ペンタフルオロエタン(CF3CF2H、HFC−125)、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ze)およびハイドロカーボン、例えば、プロパン、ブタンまたはペンタンあるいはジメチルエーテルを含む。
【0040】
他の実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1つの界面活性剤をさらに含んでいてもよい。本発明の界面活性剤は、基板の脱水または乾燥の当該技術分野において公知の全ての界面活性剤が含まれる。代表的な界面活性剤としては、アルキルホスフェートアミン塩(2−エチルヘキシルアミンとイソオクチルホスフェートの1:1塩等)、エトキシル化アルコール、メルカプタンまたはアルキルフェノール、アルキルホスフェートの第4級アンモニウム塩(アンモニウムまたはホスフェート基のいずれかにフルオロアルキル基を有する)およびフッ素化アミンのモノ−またはジ−アルキルホスフェートが挙げられる。追加のフッ素化界面活性剤化合物は、参考文献として援用される米国特許第5,908,822号明細書に記載されている。
【0041】
本発明の脱水組成物に含まれる界面活性剤の量は、その組成物が用いられるであろう特定の乾燥用途に応じて大きく異なり得るが、当業者であればすぐに分かる。一実施形態において、不飽和フッ素化エーテル溶剤に溶解した界面活性剤の量は、界面活性剤/溶剤組成物の総重量を基準として、約1重量パーセント以下である。他の実施形態において、組成物による処理後、乾燥させる基材を、界面活性剤を含有しない、または最小量の界面活性剤を含有する溶剤で後に処理する場合は、多めの量の界面活性剤を用いることができる。一実施形態において、界面活性剤の量は、少なくとも約50百万分率(ppm、重量基準で)である。他の実施形態において、界面活性剤の量は、約100〜約5000ppmである。さらに他の実施形態において、用いる界面活性剤の量は、脱水組成物の総重量を基準として、約200〜約2000ppmである。
【0042】
任意で、その他の添加剤を、脱水に用いる溶剤および界面活性剤を含む本発明の組成物に含めてもよい。かかる添加剤としては、帯電防止特性、ガラスおよびシリカ等の非導電性基材からの正電荷を消失させる能力を有する化合物が挙げられる。本発明の脱水組成物に帯電防止添加剤を用いることは、ガラスレンズおよびミラー等の非導電性部品から水または水溶液を乾燥させるときのスポットや染みを防ぐのに必要となる場合がある。本発明のたいていの不飽和フルオロエーテル溶剤はまた、誘電性流体としても有用性がある。すなわち、それらは、電流の不良導体で、静電荷を容易に消失しない。従来の乾燥および洗浄機器の脱水組成物の沸騰および大循環により、特に、水の大半が基板から除去された乾燥プロセスの後の段階において静電荷が形成される可能性がある。かかる静電荷は、基板の非導電性表面で集まり、水が表面から放出されるのを阻害する。残留水は、そこで乾燥し、基板上に望ましくないスポットやしみを生じる。基板に残る静電荷は、洗浄プロセスからの不純物を持ち込んだり、空気からの埃等の不純物を引き寄せる恐れがあり、洗浄性能を許容できないものとする。一実施形態において、望ましい帯電防止添加剤は、極性化合物であり、本発明の不飽和フッ素化エーテル溶剤に可溶で、不飽和フッ素化エーテル溶剤の導電性が増大する結果、基板からの静電荷を消失させる。他の実施形態において、帯電防止添加剤は、不飽和フッ素化エーテル溶剤と近い標準沸点を有しており、水中溶解度が最少である。さらに他の実施形態において、帯電防止添加剤は、約0.5重量パーセント未満の水中溶解度を有している。一実施形態において、帯電防止剤の溶解度は、不飽和フッ素化エーテル溶剤中少なくとも0.5重量パーセントである。一実施形態において、帯電防止添加剤は、ニトロメタン(CH3NO2)である。
【0043】
一実施形態において、帯電防止添加剤を含む本発明の脱水組成物は、後述するとおり、基板の脱水または乾燥方法の脱水、乾燥、濯ぎ工程のいずれにも有効である。
【0044】
他の実施形態は、
a)基板を、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される化合物を含む組成物と接触させて、基板を脱水する工程と、
b)組成物から、脱水した基板を回収する工程と
を含む、基板を脱水または乾燥する方法に関する。
【0045】
多くの産業で、金属、セラミック、ガラスおよびプラスチックの表面処理用の水性組成物が用いられている。コーティングの洗浄、めっきおよび堆積は、水性媒体中で行われることが多く、残留水が除去される工程が後に続くのが通常である。温風乾燥、遠心分離乾燥および溶剤系水置換が、かかる残留水を除去するのに用いる方法である。
【0046】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、乾燥または脱水用途に以前用いられていたCFC溶剤に代わるものとして提案されてきたが、多くのHFCは水への溶解度が限られている。従って、基板から水を除去するのを補助する界面活性剤の使用が、多くの乾燥または脱水方法において必要である。基板からの水を置換するために、疎水性界面活性剤が脱水または乾燥溶剤に添加されてきた。
【0047】
脱水または乾燥組成物における脱水または乾燥溶剤(不飽和フッ素化エーテル溶剤)の主な機能は、乾燥させる基板の表面の水の量を減じることである。界面活性剤の主な機能は、基板の表面から残った水がある場合にはこれを置換することである。不飽和フッ素化エーテル溶剤と界面活性剤を配合すると、高効率な置換乾燥組成物が得られる。
【0048】
一実施形態において、脱水および乾燥用界面活性剤は、合計溶剤/界面活性剤組成物重量を基準として少なくとも1重量パーセントまで可溶である。
【0049】
一実施形態において、本開示の脱水または乾燥方法は、タングステン、銅、金、ベリリウム、ステンレス鋼、アルミニウム合金、黄銅等の金属、ガラス、サファイア、ホウケイ酸ガラス、アルミナ、電子回路に用いられるシリコンウェハ等のシリカ、焼成アルミナ等のガラスおよびセラミック表面、ポリオレフィン(「Alathon」、Rynite(登録商標)、「Tenite」)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン(Styron)、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー(Tefzel(登録商標))、ポリフッ化ビニリデン(「Kynar」)、イオノマー(Surlyn(登録商標))、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(Kralac(登録商標))、フェノール−ホルムアルデヒドコポリマー、セルロース(「Ethocel」)、エポキシ樹脂、ポリアセタール(Delrin(登録商標))、ポリ(p−フェニレンオキシド)(Noryl(登録商標))、ポリエーテルケトン(「Ultrapek」)、ポリエーテルエーテルケトン(「Victrex」)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(「Valox」)、ポリアリーレート(Arylon(登録商標))、液晶ポリマー、ポリイミド(Vespel(登録商標))、ポリエーテルイミド(「Ultem」)、ポリアミドイミド(「Torlon」)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)(「Rython」)、ポリスルホン(「Udel」)およびポリアリールスルホン(「Rydel」)等のプラスチックをはじめとする広範囲な基板から水を置換するのに非常に有効である。他の実施形態において、本発明の脱水または乾燥方法に用いる組成物はエラストマーと相溶性がある。
【0050】
一実施形態において、開示は、水の少なくとも一部を、湿潤基板の表面から、除去、すなわち、脱水するプロセスに係り、基板を上述した脱水組成物と接触させてから、基板の脱水組成物との接触を外すことを含む。一実施形態において、基板の表面に元々結合していた水は、溶剤および/または界面活性剤により置換されて、脱水組成物が残る。「水の少なくとも一部」とは、基板の表面の水の少なくとも約75重量パーセントが、浸漬サイクル1回で除去されることを意味する。「浸漬サイクル」とは、基板が本発明の脱水組成物に浸漬される工程が少なくとも1つ含まれる1サイクルを意味する。任意で、基板に付着して残った最小量の界面活性剤は、基板を界面活性剤フリーのハロカーボン溶剤と接触させることにより、さらに除去することができる。物品を溶剤蒸気またはフラックス除去溶剤中に保持すると、基板に残る界面活性剤の存在をさらに減じるであろう。基板の表面に付着した溶剤の除去は、蒸発によりなされる。大気圧または大気圧より低い圧力での溶剤の蒸発を利用することができ、ハロカーボン溶剤の沸点より高い、および低い温度を用いることができる。
【0051】
基板を脱水組成物と接触させる方法は、重要でなく、幅広く変えることができる。例えば、基板を組成物に浸漬することができる。または、従来の機器を用いて、基板に組成物をスプレーすることができる。概して、組成物と基板の全露出表面の間の接触が確保されるため、基板は完全に浸漬するのが好ましい。しかしながら、かかる完全な接触を容易に行える他の何らかの方法を用いてもよい。
【0052】
基板と脱水組成物を接触させる時間は、広く変えることができる。通常、接触時間は、約5分までであるが、必要に応じて、これより長い時間を用いてもよい。脱水プロセスの一実施形態において、接触時間は、約1秒〜約5分である。他の実施形態において、脱水プロセスの接触時間は、約15秒〜約4分である。
【0053】
接触温度も、組成物の沸点に応じて、広く変えることができる。概して、接触温度は、組成物の標準沸点に等しい、またはそれ未満である。
【0054】
一実施形態において、本開示の組成物は、共溶媒をさらに含有していてもよい。かかる共溶媒は、従来のプロセス残渣を基板から洗浄する、例えば、はんだフラックスを除去し、本発明の基板を含む機械部品を脱脂するのに本発明の組成物を用いる場合、望ましい。かかる共溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルターシャリー−ブチルエーテル)、ケトン(例えば、アセトン)、エステル(例えば、酢酸エチル、ドデカン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピルおよびコハク、グルタルまたはアジピン酸のジメチルまたはジイソブチルエステルあるいはこれらの混合物)、エーテルアルコール(プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ハイドロカーボン(例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン)およびハイドロクロロカーボン(例えば、トランス−1,2−ジクロロエチレン)が挙げられる。かかる共溶媒を、基板脱水または洗浄のための本発明の組成物と共に用いるときは、組成物全体の重量を基準として、約1重量パーセント〜約50重量パーセントの量で存在させればよい。
【0055】
蒸気脱脂および蒸気フラックス除去機器を含む洗浄装置において、組成物は、シャフトシール、ホース接続部、はんだジョイントおよび破損ラインにおける漏れによって、操作中に失われる恐れがある。また、作用組成物は、機器の保守手順中に雰囲気に放出される恐れがある。組成物が純粋な成分でない場合には、機器から雰囲気へ漏れたり、放出されると、組成物は変化する可能性があり、機器に残る組成物が許容できない性能を示すようになる恐れがある。従って、単一の不飽和フッ素化エーテルを含む洗浄組成物として用いるのが望ましい。
【0056】
一実施形態において、本明細書に記載した不飽和フルオロエーテルは、エポキシドを酸促進剤としてさらに含む。一実施形態において、かかるエポキシドの濃度は、少なくとも0.001重量パーセント〜1.0重量パーセント以下の範囲であってよい。他の実施形態において、濃度は、0.02重量パーセント〜0.5重量パーセント以下である。さらに他の実施形態において、合計組成物の0.2重量パーセント以下の濃度で用いる。エポキシドの量は、挙げた値を含めたこれらの値の任意の組み合わせの範囲とすることができる。
【0057】
好適なエポキシドとしては、脂肪族および芳香族エポキシドが例示され、エピクロロヒドリン、2−ヘキセンエポキシド、3−ヘキセンエポキシド、グリシドール、プロピレンオキシド、シス−2,3−ペンテンオキシド、2−メチル−2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシシクロペンテン、2,3−ジメチル−2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドから選択されるものが含まれる。他の実施形態において、エポキシドは、3〜8個の炭素原子を含む飽和モノエポキシドである。
【0058】
他の実施形態は、
a.表面を、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フルオロエーテルを含む組成物と接触させる工程と、
b.組成物から、表面を回収する工程と
を含む、表面を洗浄する方法に関する。
【0059】
一実施形態において、本開示の組成物は、洗浄組成物、洗浄剤、堆積溶剤および脱水または乾燥溶剤として有用である。使用に際して適切に操作するには、マイクロエレクトロニクス部品から、製造完了後、表面を汚染する恐れのあるフラックス残渣、油、グリースおよび微粒子を落とさなければならない。他の実施形態において、本開示は、表面または基板を、本発明の洗浄組成物または洗浄剤と接触させて、任意で、洗浄組成物または洗浄剤から、実質的に残渣のない表面または基板を回収することを含む、表面または基板から残渣を除去するプロセスに関する。
【0060】
さらに他の実施形態において、本開示は、汚染物質を表面から除去することにより、表面を洗浄する方法に関する。汚染物質を表面から除去する方法は、汚染物質を有する表面を、本発明の洗浄組成物と接触させて、汚染物質を溶解し、任意で、洗浄組成物から表面を回収することを含む。すると、表面は実質的に汚染物質フリーである。
【0061】
前述したとおり、本方法により除去できる汚染物質または残渣としては、これらに限られるものではないが、油、グリース、フラックス残渣および微粒子汚染物質が挙げられる。
【0062】
本方法の一実施形態において、接触は、基板、例えば、洗浄組成物がついた雑巾または紙でスプレー、フラッシング、拭き取ることにより行ってよい。本方法の他の実施形態において、接触は、ディスクを、洗浄組成物の浴に、浸漬または浸すことにより行ってよい。
【0063】
本方法の一実施形態において、回収は、洗浄組成物浴から、接触させた表面を取り出すことによる(後述するとおり、表面にフッ素潤滑剤を堆積する方法について説明したのと同様のやり方で)。本方法の他の実施形態において、回収は、ディスクでスプレー、フラッシュまたは拭いた洗浄組成物を流出させることによる。さらに、前の工程の完了後に残る可能性のある残渣の線上組成物がある場合には、堆積方法についてのものと同様にして蒸発させてもよい。
【0064】
表面を洗浄する方法は、後述するとおり、堆積方法と同種の表面に適用することができる。シリカ、ガラス、金属、金属酸化物またはカーボンの半導体表面または磁気媒体ディスクは、本方法により除去される汚染物質を含む場合がある。上述した方法において、汚染物質は、ディスクを洗浄組成物と接触させ、洗浄組成物から、ディスクを回収することにより、ディスクから除去することができる。
【0065】
さらに他の実施形態において、本方法はまた、物品を、本発明の洗浄組成物と接触させることにより、製品、パーツ、部品、基板または任意のその他物品またはその一部から、汚染物質を除去する方法も提供する。便宜上、「物品」という用語は、かかる製品、パーツ、部品、基板等を全て指すのに本明細書で用いられ、さらに、任意の表面またはその一部を指すものとされる。また、「汚染物質」という用語は、たとえ、物品に意図的に配置されていたとしても、物品に存在する何らかの望ましくない材料または物質を指す。例えば、半導体デバイスの製造においては、フォトレジスト材料を基板に堆積して、エッチング操作のマスクを形成し、その後、フォトレジスト材料を基板から除去するのが一般的である。本明細書で用いる「汚染物質」という用語は、かかるフォトレジスト材料をカバーし、包含するものとする。ハイドロカーボン系の油およびグリースならびにジオクチルフタレートは、カーボンコートディスクにあるであろう汚染物質の例である。
【0066】
一実施形態において、本方法は、蒸気脱脂および溶剤洗浄方法において、物品を本発明の洗浄組成物と接触させることを含む。かかる一実施形態において、蒸気脱脂および溶剤洗浄方法は、物品を、好ましくは、室温で、沸騰洗浄組成物の蒸気に露出することからなる。対象物に凝縮する蒸気には、比較的清浄な蒸留洗浄組成物を与えて、グリースまたはその他汚染物質を洗い流すという利点がある。かかるプロセスには、対象物からの本発明の洗浄組成物の最終蒸発によって、対象物を液体洗浄組成物で単に洗浄する場合に比べて、比較的僅かな残渣しか残らないという点でさらなる利点を有する。
【0067】
他の実施形態において、除去の難しい汚染物質を物品が含む用途について、本方法には、周囲より高い、またはかかる用途に有効な任意のその他の温度まで、洗浄組成物の温度を上げて、洗浄組成物の洗浄作用を大幅に改善することが含まれる。かかる一実施形態において、かかるプロセスはまた、物品、特に、金属パーツおよび組立体の洗浄を効率的かつ迅速に行わなければならない大量組立ライン操作にも一般的に用いられる。
【0068】
一実施形態において、本発明の洗浄方法は、清浄にする物品を、高温で、液体洗浄組成物に浸漬することを含む。他の実施形態において、本発明の洗浄方法は、清浄にする物品を、洗浄組成物の略沸点で、液体洗浄組成物に浸漬することを含む。かかる一実施形態において、この工程は、大量の目的とする汚染物質を物品から除去する。さらに他の実施形態において、この工程は、大部分の目的とする汚染物質を物品から除去する。一実施形態において、この工程に続いて、前の浸漬工程における液体洗浄組成物の温度より低い温度で、新たに蒸留した洗浄組成物に物品を浸漬する。かかる一実施形態において、新たに蒸留した洗浄組成物は、略周囲または室温である。さらに他の実施形態において、本方法はまた、既述の第1の浸漬工程に関連した熱/沸点洗浄組成物から出た蒸気に物品を露出することにより、洗浄組成物の比較的熱い蒸気と物品を接触させる工程を含む。かかる一実施形態において、これによって、物品の洗浄組成物蒸気が凝縮する。ある好ましい実施形態において、最終濯ぎの前に、物品に蒸留洗浄組成物をスプレーしてもよい。
【0069】
本方法に関して用いるのに、数多くの様々な種類の蒸気脱脂機器が適用可能であるものと考えられる。かかる機器およびその操作の一例は、参考文献として援用される米国特許第3,085,918号明細書に開示されている。そこに開示された機器は、洗浄組成物を含む沸騰槽、蒸留した洗浄組成物を含むクリーン槽、水分離器およびその他補助機器を有している。
【0070】
本洗浄方法はまた、コールドクリーニングも含んでよく、コールドクリーニングにおいては、汚染した物品を、本発明の流体洗浄組成物に、周囲または室温条件下で浸漬するか、または、洗浄組成物に浸したぼろ布または同様の物体で、かかる条件下で拭く。
【0071】
フッ素潤滑剤と、CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3、CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3、CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3、CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フルオロエーテルを含む溶剤を配合して、潤滑剤−溶剤の配合物を形成する工程と、潤滑剤−溶剤の配合物を表面と接触させる工程と、溶剤を表面から蒸発させて、表面にフッ素潤滑剤コーティングを形成する工程とを含む、表面にフッ素潤滑剤を堆積させる方法に関する。
【0072】
デジタル情報を記憶する最先端の高記録密度かつ低コストの方法には、磁気材料でコートされた回転ディスクから磁束パターンを読み書きすることが含まれる。ビットの形態で情報が記憶される磁気層は、金属支持構造にスパッタされる。次に、オーバーコート、通常は、カーボン系材料が、保護のために、磁気層の上部に配置され、最後に、潤滑剤がオーバーコートに適用される。読み取り/書き込みヘッドが、潤滑剤上をフライングして、ヘッドと磁気層間で情報が交換される。情報転送の効率を徹底的に上げようとして、ハードドライブメーカーは、ヘッドと磁気層またはフライ高さ間の距離を、100オングストローム未満まで減じてきた。
【0073】
常に、通常のディスクドライブ適用中、ヘッドとディスク表面は接触するであろう。滑りとフライング接触の両方によるディスクでの摩耗を減じるために、潤滑しなければならない。
【0074】
フッ素潤滑剤は、ヘッドとディスク間の摩擦を減じる、すなわち、摩耗を減じて、ディスク破損の可能性を最少にするために、磁気ディスクドライブ業界において潤滑剤として広く使われている。
【0075】
フッ素潤滑剤を堆積する改善された方法が業界においては必要とされている。特定の溶剤、例えば、CFC−113およびPFC−5060を用いることは、環境への影響のため規制されてきた。従って、この用途に用いられるであろう溶剤については、環境に与える影響を考慮しなければならない。また、かかる溶剤は、フッ素潤滑剤を溶解して、フッ素潤滑剤の実質的に均一または均一なコーティングを形成するものでなければならない。さらに、既存の溶剤は、ある厚さのコーティングを生成し、フッ素潤滑剤コーティングの均一さが不規則になるために、高濃度のフッ素潤滑剤を必要とすることが分かっている。
【0076】
一実施形態において、本開示のフッ素潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)化合物、またはホスファゼン含有ディスク潤滑剤であるX−1P(登録商標)を含む潤滑剤を含む。これらのパーフルオロポリエーテル化合物は、パーフルオロアルキルエーテル(PFAE)またはパーフルオロポリアルキルエーテル(PFPAE)と呼ばれることもある。これらのPFPE化合物は、単純な過フッ素化エーテルポリマーから、官能化過フッ素化エーテルポリマーまで及ぶ。本発明においてフッ素潤滑剤として有用となり得る異なる種類のPFPE化合物は、いくつかの源より入手可能である。他の実施形態において、本発明の方法に有用なフッ素潤滑剤としては、これらに限られるものではないが、Krytox(登録商標)GLP100、GLP105またはGLP160(E.I.du Pont de Nemours&Co.,Fluoroproducts,Wilmington,DE,19898,USA)、Fomblin(登録商標)Z−Dol2000,2500または4000、Z−TetraolまたはFomblin(登録商標)AM2001またはAM3001(Solvay Solexis S.p.A.,Milan,Italyより販売)、Demnum(登録商標)LR−200またはS−65(Daikin America,Inc.,Osaka,Japanより提供)、X−1P(登録商標)(Dow Chemical Co,Midland,MIの子会社であるQuixtor Technologies Corporationより入手可能な部分フッ素化ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼンディスク潤滑剤)およびこれらの混合物が挙げられる。Krytox(登録商標)潤滑剤は、一般構造F(CF(CF3)CF2O)n−CF2CF3(式中、nは10〜60)を有するパーフルオロアルキルポリーエテルである。Fomblin(登録商標)潤滑剤は、分子量が500〜4000原子質量単位で、一般式X−CF2−O(CF2−CF2−O)p−(CF2O)q−CF2−X(式中、Xは、−CH2OH、CH2(O−CH2−CH2nOH、CH2OCH2CH(OH)CH2OHまたは−CH2O−CH2−ピペロニルであってよい)を有する官能化パーフルオロポリエーテルである。Demnum(登録商標)油は、分子量が2700〜8400原子質量単位の範囲のパーフルオロポリエーテル系油である。さらに、本発明の方法に有用となり得るMoresco(Thailand)Co.,Ltd製のもの等新たな潤滑剤が開発されている。
【0077】
本発明のフッ素潤滑剤は、フッ素潤滑剤の特性を改善する添加剤をさらに含んでいてもよい。PFPE劣化に関与するディスク表面のルイス酸部位をパッシベートすることにより、ディスクドライブの耐久性を増大するために、潤滑剤自体として機能し得るX−1P(登録商標)が他の低コストフッ素潤滑剤に添加されることが多い。
【0078】
他の一般的な潤滑添加剤を、本発明の方法のフッ素潤滑剤に用いてもよい。
【0079】
本発明のフッ素潤滑剤は、Z−DPA(Hitachi Global Storage Technologies,San Jose,CA)、ジアルキルアミン末端基で終端したPFPEをさらに含んでいてもよい。求核末端基は、X1P(登録商標)と同じ目的で作用し、添加剤を全く加えずに、同じ安定性を与える。
【0080】
フッ素潤滑剤が堆積し得る表面は、潤滑による利点を得ることのできる任意の固体表面である。シリカディスク、金属または金属酸化物表面、蒸着カーボン表面またはガラス表面等の半導体材料は、本発明の方法が有用な表面の種類の代表例である。本発明の方法は、コンピュータドライブハードディスク等の磁気媒体のコーティングに特に有用である。コンピュータディスクの製造において、表面は、アモルファス水素化または窒素化カーボンの薄層(10〜50オングストローム)の蒸着によりコートもされた磁気媒体層を備えたガラスまたはアルミニウム基板であってよい。フッ素潤滑剤をディスクのカーボン層に間接的に適用することにより、フッ素潤滑剤を表面ディスクに堆積してもよい。
【0081】
フッ素潤滑剤と溶剤を配合する第1の工程は、堆積法の浴として用いてよいビーカーまたはその他容器等の好適な容器において混合する等任意の好適なやり方で行えばよい。不飽和フッ素化エーテル溶剤中のフッ素潤滑剤の濃度は、約0.010パーセント(wt/wt)〜約0.50パーセント(wt/wt)であってよい。
【0082】
フッ素潤滑剤と溶剤のこの配合物を、表面と接触させる工程は、この表面に適切な任意のやり方で行ってよい(表面のサイズおよび形状を考慮して)。ハードドライブディスクは、ディスク中心の穴を通り抜けることのできるマンドレルまたはその他支持体等何らかのやり方で支持されなければならない。このように、ディスクは、ディスクの面が溶剤浴に垂直になるように、水平に保持されるであろう。マンドレルは、これらに限られるものではないが、円柱バーまたはV形バーをはじめとする異なる形状を有していてよい。マンドレル形状によって、ディスクとの接触面積が決まるであろう。マンドレルは、これらに限られるものではないが、金属、金属合金、プラスチックまたはガラスをはじめとするディスクを保持するのに十分な材料強度で構築すればよい。さらに、ディスクは、織かごに直立に支持しても、または外縁で1つ以上の留め具により垂直位置に留めてもよい。支持体は、金属、金属合金、プラスチックまたはガラス等、ディスクを保持する強度を備えた任意の材料で構築してよい。ただし、ディスクは支持されると、ディスクは、フッ素潤滑剤/溶剤の配合物の浴を保持する容器へと下げられる。浴は、室温に保持する、あるいは約0℃〜約50℃に及ぶ温度まで加熱または冷却してよい。
【0083】
あるいは、ディスクは、上述したとおりに支持し、浴を上げて、ディスクを浸漬してもよい。いずれの場合においても、ディスクは浴から取り出すことができる(浴を下げるか、ディスクを上げるかのいずれかにより)。過剰のフッ素潤滑剤/溶剤の配合物は浴へ流出させることができる。
【0084】
ディスクを浴に下げるか、浴を上げるかのいずれかによってディスクを浸漬させるものである、フッ素潤滑剤/溶剤の配合物をディスク表面と接触させる方法はいずれも、ディップコーティングと一般的に呼ばれている。スプレーまたはスピンコーティングをはじめとするディスクをフッ素潤滑剤/溶剤の配合物と接触させる他の方法を、本発明の方法に用いてもよい。
【0085】
ディスクを浴から取り出すとき、ディスクは、フッ素潤滑剤と残渣溶剤(不飽和フッ素化エーテル)のコーティングをその表面に有するであろう。残渣溶剤は蒸発する可能性がある。蒸発は、通常、室温でなされる。しかしながら、室温より高い温度と低い温度の両方の他の温度を蒸発工程に用いてもよい。約0℃〜約100℃の範囲の温度を蒸発に用いてよい。
【0086】
表面、または表面がディスクの場合にはディスクには、コーティング法の完了後、実質的に溶剤フリーのフッ素潤滑剤の実質的に均一または均一なコーティングが残るであろう。フッ素潤滑剤は、約300nm未満の厚さまで、あるいは、約100〜約300nmの厚さまで適用してよい。
【0087】
ディスクの適正な機能のためには、均一なフッ素潤滑剤コーティングが望ましく、ディスク表面に異なる厚さのフッ素潤滑剤領域は望ましくない。同じサイズのディスクにより多くの情報が記憶されればされるほど、読み取り/書き込みヘッドは、適正に機能するためには、ディスクにますます近づいていかなければならない。コーティング厚さの不規則性がディスク表面の存在する場合には、ディスクにこれらの領域のあるヘッドの接触の可能性がはるかに大きくなる。ヘッド接触またはその他手段により除去される可能性のある領域に、十分なフッ素潤滑剤をディスク上に流す必要があるが、コーティングが厚すぎると、「汚れ」て、読み取り/書き込みヘッドが過剰のフッ素潤滑剤を拾ってしまうことに関連する問題を生じる可能性がある。
【0088】
業界で観察されるある具体的なコーティング厚さの不規則性は、「ラビットイヤー」効果として知られたものである。これらの不規則性は、既存の溶剤系を用いてフッ素潤滑剤の堆積後、ディスク表面で目視により検出される。ディスクを、溶剤中フッ素潤滑剤の溶液と接触させ、溶液から取り出すと、溶液が堆積して流れない点になると、容易に流れ落ちない溶液の液滴が容易に形成される。液滴形成のかかる点は、マンドレルまたはその他支持装具とディスクの接触点(1点または複数の点)である。V形マンドレルを用いるときは、マンドレルがディスクの内側端部と接触する2つの接触点がある。フッ素潤滑剤の溶液が、浴から取り出したときに流れ落ちないこれらの位置で液滴を形成するときは、溶剤蒸発時にフッ素潤滑剤の厚い領域が形成される。ディスクとの2つの接触点で、「ラビットイヤー」効果として知られているものが得られる。フッ素潤滑剤の厚い領域が、ディスク表面で目視により検出可能なラビットイヤーに似たパターンを生成するからである。
【0089】
ディップコーティングを、表面にフッ素潤滑剤を堆積するのに用いるとき、引き上げ速度(ディスクを浴から取り出す速度)、フッ素潤滑剤の密度および表面張力が、フッ素潤滑剤の得られるフィルム厚さを決めるのに関係している。所望のフィルム厚さを得るためのこれらのパラメータを把握する必要がある。これらのパラメータのコーティングに与える影響の詳細については、「Dip−Coating of Ultra−Thin Liquid Lubricant and its Control for Thin−Film Magnetic Hard Disks」、IEEE Transactions on Magnetics、vol.31,no.6,1995年11月にある。
【0090】
本明細書で用いる「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「持つ」、「持っている」またはその他変形の用語は、非排他的な包括をカバーするものである。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの要素に必ずしも限定されず、明示的にリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素も含まれていてよい。さらに、明示的にそれには反するとした場合を除き、「または」は、包括的なまたはであり、排他的なまたはでない。例えば、条件AまたはBを満足するのは次のうちのいずれかである。Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0091】
単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要素および成分を記載するために使用される。これは、単に便宜上のために、かつ本発明の一般的な意味を与えるために使用される。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含めるように読まれるべきであり、他の意味であることが明白でない限り、単数形には複数形も含まれる。
【0092】
元素周期表の列に対応する属数は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,第81版(2000−2001年)にある「新表記」規則を用いている。
【0093】
別記しない限り、本明細書で用いる科学技術用語は全て、本発明の属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を持つ。本明細書に記載されたものと同様または等価の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は後述する。本明細書で言及した出版物、特許出願、特許およびその他参考文献は全て、別記しない限り、その全内容が、参考文献として組み込まれる。不一致がある場合には、定義を含め本明細書が支配する。また、材料、方法および実施例は例示のためのみであり、限定しようとするものではない。
【実施例】
【0094】
本明細書に記載した概念を、以下の実施例でさらに説明していく。それらは、請求項に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0095】
実施例1
実施例1は、メタノールと、パーフルオロ−3−ヘプテンとの反応を示すものである。
【0096】
250mLの三つ口RBフラスコを、オーバーヘッドメカニカルスターラー、還流冷却器および熱電対さやと50mLの添加漏斗を備えたクライゼンと共にセットアップした。200g(125mL、約0.57モル)のパーフルオロ−3−ヘプテンおよび37.7g(0.67モル)の粉末KOHをフラスコに添加した。18.3g(0.57モル)のメタノールを添加漏斗により徐々に添加した。小さな発熱反応があった。30分攪拌後、少量の水(約20mL)を冷却器から添加したところ、温度が60〜70℃まで上がった大きな発熱反応があった。
【0097】
2時間攪拌後、反応混合物を、真空(100mmHg)下で、ドライアイスで冷やしたフラスコへフラッシュ蒸留した。粗蒸留物を、250mLの分液漏斗で、水からさらに分離して、硫酸マグネシウムで乾燥した。スピンバンド蒸留により、主に、54〜74℃で沸騰する前留分約60mLが得られた。95℃で始まるが、主に、108〜114℃で沸騰する第2の生成物留分(約40mL)を集めた。第2の留分を、GC−MSにより分析したところ、大半が、アリルとビニルメチルパーフルオロヘプテンエーテルの混合物で構成されていた。約14%の飽和メチルモノヒドロフルオロヘプタンエーテル生成物もまた、混合物の一部であった。残りのパーフルオロ−3−ヘプテンは、蒸留混合物の約1%を構成していた。
【0098】
実施例2
実施例2は、メタノールと、パーフルオロ−3−ヘプテンとの反応を示すものである。
【0099】
メタノールと、パーフルオロ−3−ヘプテンとの第2の反応は、実施例1と実質的に同様のやり方で行った。200g(125mL、約0.57モル)のパーフルオロ−3−ヘプテン、35.3g(0.63モル)の粉末KOH、20mLの水および約約1gのAliquat(登録商標)336をフラスコに添加した。メタノールの添加により、温度が60〜70℃まで上がった即時の大きな発熱反応があった。添加後、攪拌および60〜70℃までの加熱を2時間続けた。略周囲温度まで冷やした後、反応混合物を分液漏斗に注いだ。水性上層に残る大量の沈殿塩があった。下層(約120mL)を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0100】
実施例3
メタノールとパーフルオロ−3−ヘプテンとの反応
メタノールと、パーフルオロ−3−ヘプテンとの第3の反応は、実施例1と実質的に同様のやり方で行った。200g(125mL、約0.57モル)のパーフルオロ−3−ヘプテン、78.3g(0.63モル)の45%水性KOHおよび1gのAliquat(登録商標)336を500mLのフラスコに添加した。メタノールの添加により、温度が60〜70℃まで上がった即時の大きな発熱反応があった。添加後、攪拌および60〜70℃までの加熱を2時間続けた。略周囲温度まで冷やした後、反応混合物を分液漏斗に注いだ。水性層に残る沈殿塩はなかった。下層(約120mL)を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0101】
実施例4
メチルパーフルオロヘプテンエーテルの蒸留
実施例2および3からの粗メチルパーフルオロヘプテンエーテル生成物を結合し、ろ過し、スピンバンドにより蒸留した。第1の留分18mLを、54〜74℃で集めた。中間の留分4mLを、74℃〜106℃で集めた。108℃〜114℃で主に蒸留された106℃で始まる主留分180mLを集めた。スチルポット留分35mLが残った。これは、後のGC−MSにより、高メタノール付加生成物から主になることが確認された。0.1%未満のパーフルオロヘプテンが主留分に残った。25mLの試料を単蒸留により再蒸留した。観察された蒸気温度範囲は、107〜112℃であった。観察されたスチルポット温度は、110〜112℃であった。
【0102】
実施例5
メタノールとパーフルオロ−2−ペンテンとの反応
1Lの三つ口RBフラスコを、オーバーヘッドメカニカルスターラー、水氷還流冷却器、マントルヒーターおよび熱電対さやと125mLの添加漏斗を備えたクライゼンと共にセットアップした。382g(約240mL、約1.53モル)のパーフルオロ−2−ペンテンおよび219g(1.76モル)の水性45%KOHおよび約1gのAliquat(登録商標)336をフラスコに添加した。53.8g(1.68モル)のメタノールを添加漏斗により徐々に添加した。反応混合物を還流させる発熱反応があった。反応温度を、約24℃から60℃まで、メタノール添加中、徐々に上げた。添加後、攪拌を2時間続けた。略周囲温度まで冷却した後、反応混合物を、分液漏斗へ注ぎ、2層を0.5時間にわたって徐々に分離した。下層(約240mL)を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0103】
実施例6
エタノールとパーフルオロ−3−ヘプテンとの反応
250mLの三つ口RBフラスコを、オーバーヘッドメカニカルスターラー、還流冷却器、マントルヒーターおよび熱電対さやと50mLの添加漏斗を備えたクライゼンと共にセットアップした。40g(0.32モル)の水性KOHおよび100g(0.29モル)のパーフルオロ−3−ヘプテンをフラスコに添加した。混合物を攪拌しながら、50℃まで加熱した。その温度で、16.4g(0.36モル)のエタノールを添加漏斗により徐々に添加した。発熱反応が生じ、反応混合物の温度が約70℃まで上がった。エタノール添加後、反応混合物をさらに1時間加熱して、温度を70℃またはその近くに維持した。1時間後加熱を止め、反応物を攪拌しながら、略周囲温度まで冷やした。反応混合物を分液漏斗へ注いだ。下層(約120mL)を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0104】
実施例7:
エチルパーフルオロヘプテンエーテルの蒸留
実施例6からの粗エチルパーフルオロヘプテンエーテル生成物を、ろ過し、スピンバンドにより蒸留した。第1の留分7.5gを、約70〜72℃で集めた。120℃〜122℃で主に蒸留された110℃で始まる主留分73.5gを集めた。スチルポット留分5.2gが残った。主留分のGC−MSによれば、約62.8%のアリルエチルパーフルオロヘプテンエーテル、約29.7%のビニルエチルパーフルオロヘプテンエーテル、7.2%のエチルモノヒドロパーフルオロヘプタンエーテルおよび0.3%のパーフルオロ−3−ヘプテンからなることが示された。
【0105】
実施例8
エタノールとパーフルオロ−3−ヘプテンとの反応
エタノールとパーフルオロ−3−ヘプテンとの第2の反応を、26.3g(0.57モル)のエタノールを用い、エタノール添加前に、反応物を加熱しなかった以外は、実施例6と実質的に同じやり方で行った。メタノールの添加により、温度が60〜70℃まで上がった即時の大きな発熱反応があった。添加後、攪拌および60〜70℃までの加熱を2時間続けた。略周囲温度まで冷やした後、反応混合物を分液漏斗に注いだ。下層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0106】
実施例9
エチルパーフルオロヘプテンエーテルの蒸留
実施例8からの粗エチルパーフルオロヘプテンエーテル生成物および実施例7からの蒸留生成物を、結合し、ろ過し、スピンバンドにより蒸留した。123℃まで、118℃で始まる主留分を集めた。GC−MSによれば、60.0%のアリルエチルパーフルオロヘプテンエーテル、33.1%のビニルエチルパーフルオロヘプテンエーテル、6.4%のエチルモノヒドロパーフルオロヘプタンエーテル、0.4%の未知のものおよび0.05%のパーフルオロ−3−ヘプテンからなることが示された。
【0107】
実施例10
メタノールとパーフルオロ−2−オクテンとの反応
250mLの三つ口RBフラスコを、オーバーヘッドメカニカルスターラー、還流冷却器、マントルヒーター、熱電対さやを備えたクライゼン、および25ccガラスシリンジおよびシリンジポンプに接続されたPFAフルオロポリマー可撓性ニードルと共にセットアップした。64.6g(162ミリモル)のパーフルオロ−2−オクテン、5.18g(162ミリモル)のメタノールおよび0.5gのAliquat(登録商標)336をフラスコに添加した。400rpmの攪拌により、45%水性KOH溶液(20.15g、162ミリモル)を、シリンジポンプにより、0.5mL/分で徐々に添加した。反応は発熱で、反応温度は約50℃まで上がった。KOH添加完了後、外部加熱を2時間行って加熱し、内容物を約85℃に維持した。反応物を略周囲温度まで冷やし、粗生成物(下層、64.7g)を50mL漏斗で分離した。粗生成物のガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)によれば、組成は、6.3%のパーフルオロ−2−オクテン、92.3%の不飽和および飽和エーテルおよび1.4%の高メタノール付加物であることが示された。
【0108】
実施例11
メチルパーフルオロオクテンエーテルの蒸留
実施例10からの粗生成物を、硫酸マグネシウムで乾燥し、250mLのスチルポットへ、ポリプロピレンろ布を用いてろ過した。粗生成物を、小スピンバンドカラムを用いて、手動のバルブ制御により蒸留した。第1の留分約5mLを、85℃〜115℃で集めてから、115℃で始まるが、130℃まで即時に上昇し、133℃〜135℃で主に沸騰する主留分(48.7g)を集めた。GC/MSによれば、主留分は、主として不飽和エーテルといくらかの飽和エーテルの98.2%混合物であったことが示された。1.8%が、パーフルオロ−2−オクテンであった。1H NMRによれば、飽和エーテル含量は4.0%であった。19F NMRによれば、不飽和エーテルは、主に、トランス−2−メトキシ−パーフルオロ−2−オクテン(44.8%)、2−メトキシ−パーフルオロ−3−オクテン(34.5%)およびシス−2−メトキシ−パーフルオロ−2−オクテン(5.9%)であった。
【0109】
実施例12
フッ素潤滑剤を堆積するための溶剤は、約45%のCF3CF2CF=CFCF(OCH3)CF2CF3、25%のCF3CF2C(OCH3)=CFCF2CF2CF3とCF3CF2CF=C(OCH3)CF2CF2CF3、15%のCF3CF=CFCF(OCH3)CF2CF2CF3および15%のCF3CF2CF(OCH3)CFHCF2CF2CF3を含む。この混合物を溶剤No.1とする。
【0110】
溶剤No.1のフッ素化油を溶解する能力を、混合物が混濁する、または2相に分かれるまで、ある量の油を溶剤に添加することにより求める。表1の結果によれば、溶剤No.1はフッ素化油を溶解する優れた能力を有することが分かる。また、油の0.5重量%の溶液を調製する。予め秤量しておいた金属片を溶液に浸し、溶剤を蒸発し、片を再秤量する。表1に、このディップコーティングプロセスにより得られた平均コーティングを示す。記録されたコーティング重量は、3つの試料の平均である。このように、溶剤No.1は、フッ素化油を基板に堆積するためのキャリア流体として用いることができる。
【0111】
【表1】

【0112】
実施例13
洗浄溶剤は、約40%CF3CF2CF=CFCF(OCH2CH3)CF2CF3、35%CF3CF2C(OCH2CH3)=CFCF2CF2CF3とCF3CF2CF=C(OCH2CH3)CF2CF2CF3、18%CF3CF=CFCF(OCH2CH3)CF2CF2CF3および7%CF3CF2CF(OCH2CH3)CFHCF2CF2CF3を含む。この混合物を溶剤No.2とする。
【0113】
溶剤No.2が、基板からフッ素化油を落とす能力を、Krytox GPL106油でコートした金属片を作製し、片を清浄にすることにより求める。片を油でコーティングした後、約120℃の温度で、5分間、溶剤No.2に片を浸漬した。洗浄前後の片の重量を測定し、除去された油%を計算する。表2の結果は、油を除去する溶剤の能力を示しており、溶剤は有効な洗浄剤となる。
【0114】
【表2】

【0115】
実施例14
メチルパーフルオロヘプテンエーテル(MPHE)が、フッ素化油を溶解する能力は、混合物が混濁する、または2相に分かれるまで、増量の油をMPHEに添加することにより求めた。試験によれば、油は溶剤に全比率で混和性であり、混濁は観察されなかった。これを表3に示す。また、油の5重量%溶液をMPHE中で調製した。予め秤量しておいた表面積38.7cm2の金属片を溶液に浸し、溶剤を蒸発し、片を再秤量する。表1に、このディップコーティングプロセスにより得られた3つのコーティングの平均を示す。このように、MPHEは、フッ素化油を基板に堆積するためのキャリア流体として用いることができる。
【0116】
【表3】

【0117】
実施例15
メチルパーフルオロペンテンエーテル(MPPE)が、フッ素化油を溶解する能力は、混合物が混濁する、または2相に分かれるまで、増量の油をMPPEに添加することにより求めた。試験によれば、油は溶剤に全比率で混和性であり、混濁は観察されなかった。これを表4に示す。また、油の5重量%溶液をMPPE中で調製した。予め秤量しておいた表面積38.7cm2の金属片を溶液に浸し、溶剤を蒸発し、片を再秤量した。表4に、このディップコーティングプロセスにより得られた3つのコーティングの平均を示す。このように、MPPEは、フッ素化油を基板に堆積するためのキャリア流体として用いることができる。
【0118】
【表4】

【0119】
実施例16
MPPEによる金属洗浄
Krytox GPL106油を、既知の重量の清浄な金属片を綿棒で擦りつけた。片の重量を記録してから、片を、室温でMPPEに浸漬することにより洗浄した。片を1分間浸漬してから、空気乾燥した。片を再秤量し、除去された油のパーセントを求めた。表5の結果によれば、溶剤は、フッ素化油を洗浄するのに優れた効率を有することが分かる。
【0120】
【表5】

【0121】
実施例17
MPHEによる金属洗浄
Krytox GPL106油を、既知の重量の清浄な金属片を綿棒で擦りつけた。片の重量を記録してから、片を、室温でMPHEに浸漬することにより洗浄した。片を1分間浸漬してから、空気乾燥した。片を再秤量し、除去された油のパーセントを求めた。表6のこれらの結果によれば、溶剤は、フッ素化油を洗浄するのに優れた効率を有することが分かる。
【0122】
【表6】

【0123】
概要または実施例に上述した動作の全てが必要ではないこと、特定の動作の一部が必要ない場合もあること、そして1つ以上のさらなる動作を、記載したものに加えて行うことができることを記しておく。さらに、動作を示した順番は、必ずしも、それらを行う順番ではない。
【0124】
前述の明細書において、特定の実施形態を参照して、概念を説明してきた。しかしながら、当業者には、以下の請求項に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行えることは明らかである。従って、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示とみなすべきであり、かかる修正は全て、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0125】
利点、その他長所および問題解決策を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、利点、長所、問題解決策、および利点、長所または解決策のいずれかが生じる、またはより顕著となる任意の特徴は、いずれか、または全ての請求項の重要な、必要な、または必須の特徴と解釈されるべきでない。
【0126】
特定の特徴は、明確にするために、個別の実施形態で記載された特定の特徴は、単一の実施形態の組み合わせで提供されてもよいものと考えるべきである。反対に、簡潔にするために、単一の実施形態で記載された様々な特徴も、個別に、または任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲で記した値の参照には、その範囲内のありとあらゆる値が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3
CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3
CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3
CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)からなる群から選択される式を有する少なくとも1つの不飽和フルオロエーテルを含む組成物。
【請求項2】
前記不飽和フルオロエーテルが、式CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物をさらに含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記不飽和フルオロエーテルが、式CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記不飽和フルオロエーテルが、式CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記不飽和フルオロエーテルが、式CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3(式中、Rは、CH3もしくはC25またはこれらの混合物であり、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=1、2または3である)を有する化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Rが、C25である請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
Rが、CH3である請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
パーフルオロペンテン、パーフルオロヘキセン、パーフルオロヘプテンまたはパーフルオロオクテンを、アルコールおよび強塩基と、水溶液中で接触させて、フルオロカーボンエーテル層と水性層を提供する工程と、前記フルオロカーボンエーテル層を前記水性層から分離して、フルオロカーボンエーテル生成物を提供する工程とを含むフルオロカーボンエーテルを製造する方法。
【請求項10】
前記接触工程が、相間移動触媒をさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記相間移動触媒が、クラウンエーテル、オニウム塩、クリプテート、ポリアルキレングリコール、およびこれらの誘導体ならびにこれらの混合物からなる群から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記強塩基が、アルコールと反応すると、前記塩基と前記アルコールの化合により、アルコキシドを生成する塩基である請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記強塩基が、アルカリ金属水酸化物である請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記アルコールが、メタノールまたはエタノールである請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記パーフルオロペンテン、パーフルオロヘキセン、パーフルオロヘプテンまたはパーフルオロオクテンが、パーフルオロ−2−ペンテン、パーフルオロ−2−ヘキセン、パーフルオロ−3−ヘキセン、パーフルオロ−2−ヘプテン、パーフルオロ−3−ヘプテン、パーフルオロ−2−オクテン、パーフルオロ−3−オクテンおよびパーフルオロ−4−オクテンからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項16】
a.表面を、
CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3
CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3
CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3
CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フルオロエーテルを含む組成物と接触させる工程と、
b.前記表面を前記組成物から回収する工程と
を含む、表面から残渣を除去する方法。
【請求項17】
前記組成物が、噴射剤をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記噴射剤が、空気、窒素、二酸化炭素、ジフルオロメタン(CF22、HFC−32)、トリフルオロメタン(CF3H、HFC−23)、ジフルオロエタン(CHF2CH3、HFC−152a)、トリフルオロエタン(CH3CF3、HFC−143aまたはCHF2CH2F、HFC−143)、テトラフルオロエタン(CF3CH2F、HFC−134aまたはCF2HCF2H、HFC−134)、ペンタフルオロエタン(CF3CF2H、HFC−125)、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(HFO−1234yf)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ze)、ハイドロカーボンおよびジメチルエーテルからなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記接触が、蒸気脱脂により行われる請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記蒸気脱脂が、
a.前記組成物を沸騰し、
b.物品を、沸騰洗浄組成物の蒸気に露出すること
により行われる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接触が、前記物品を前記組成物に浸漬することにより行われ、前記組成物が、周囲または室温より高い温度である請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、前記組成物の略沸点の温度である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記物品を前記組成物に浸漬した後、前記物品を前記組成物に浸漬する工程をさらに含み、前記組成物が、前記第1の浸漬工程よりも低い温度である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の浸漬工程の前記組成物が、周囲または室温である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の浸漬工程の後、前記組成物を沸騰し、前記物品を前記沸騰組成物の蒸気に露出する工程をさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、周囲または室温である請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記接触が、前記組成物に浸した物体で前記物品を拭くことにより行われる請求項16に記載の方法。
【請求項29】
a.フッ素潤滑剤と、
CF3(CF2xCF=CFCF(OR)(CF2yCF3
CF3(CF2xC(OR)=CFCF2(CF2yCF3
CF3CF=CFCF(OR)(CF2x(CF2yCF3
CF3(CF2xCF=C(OR)CF2(CF2yCF3およびこれらの混合物(式中、Rは、CH3、C25またはこれらの混合物のいずれかとすることができ、xおよびyは、独立に、0、1、2または3であり、x+y=0、1、2または3である)からなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フルオロエーテルを含む溶剤を配合して、潤滑剤−溶剤の配合物を形成する工程と、
b.前記潤滑剤−溶剤の配合物を表面と接触させる工程と、
c.前記溶剤を前記表面から蒸発させて、前記表面にフッ素潤滑剤コーティングを形成する工程と
を含む、表面にフッ素潤滑剤を堆積させる方法。
【請求項30】
前記表面が、半導体材料、金属、金属酸化物、蒸着カーボンまたはガラスの表面である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記表面が、磁気媒体の表面である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記磁気媒体が、コンピュータディスクである請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記接触工程が、前記表面を、前記フッ素潤滑剤を含む浴に浸漬または浸すことにより行われる請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記接触工程が、前記表面を、フッ素潤滑剤でスプレーまたはスピンコートすることにより行われる請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記潤滑剤−溶剤の配合物中の前記フッ素潤滑剤濃度が、約0.02重量パーセント〜約0.5重量パーセントである請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記蒸発工程が、約10℃〜約40℃の温度で行われる請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記フッ素潤滑剤が、パーフルオロポリエーテルを含む請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記フッ素潤滑剤が、パーフルオロポリエーテルおよびその混合物からなる群から選択される請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2012−518010(P2012−518010A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550306(P2011−550306)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/024259
【国際公開番号】WO2010/094019
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】