説明

新規なイミダゾキノリン誘導体

【課題】膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)阻害活性を有し、炎症性疾患等のmPGES−1が関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤として有用な新規化合物を提供。
【解決手段】
式(I)の化合物又はその塩[式中、A、A及びAは、各々CX、CX及びCX等を表し、Xは、ハロゲン原子、シアノ等を表し、X、X、X、及びXは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ等を表し、Rは、水酸基、ハロゲン原子、−Y−Z等を表し、Yは、単結合、C2−3アルキニレン等を表し、ZはC3−6シクロアルキル、アリール等を表し、R及びRは、各々独立して、ハロゲン原子、ビフェニル、−Y−Z等を表し、Yは、単結合、C1−6アルキレン等を表し、Zは、アリール、C3−10シクロアルキル等を表す]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)阻害活性を有する医薬として有用な新規なイミダゾキノリン誘導体に関する。より詳しくは、炎症性疾患等のmPGES−1が関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤として有用な新規なイミダゾキノリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症の局所ではプロスタグランジン類が多量に産生され、炎症の進展に寄与している。プロスタグランジン類の産生は、まずホスホリパーゼAにより膜グリセロリン脂質からのアラキドン酸の遊離から始まる。次に遊離されたアラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ(COX)によりプロスタグランジンH(PGH)へと代謝される。そしてPGHはプロスタグランジンE(PGE)、プロスタグランジンF(PGF)、プロスタグランジンD(PGD)、プロスタグランジンI(PGI)及びトロンボキサンA(TXA)を含むプロスタグランジン類へと代謝される。これらアラキドン酸代謝産物であるプロスタグランジン類は、炎症誘導作用を含む様々な生理学的又は病態生理学的活性を有することが知られている。特に、PGEは急性炎症又は慢性炎症における強力な炎症誘導物質として、さらには発熱や痛覚過敏を誘発することが知られている。非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)及び選択的COX−2阻害剤は、COX−1及び/又はCOX−2阻害作用に基づくPGEの産生を低減することで薬効を示す。
【0003】
PGESファミリーは、細胞質型PGES(cPGES)、mPGES−1、mPGES−2の3種のサブタイプが現在までに同定されている。これらの中で、mPGES−1は膜結合型グルタチオン−S−トランスフェラーゼファミリーに属する分子量17kDaの核膜酵素であり、酵素活性発現にはグルタチオンを補因子として要求する。mPGES−1は、炎症局所において発現誘導され、さらに産生されたPGEによりオートクライン的に発現誘導が強化される。また、インターロイキン(IL)−1やリポ多糖類(LPS)などの炎症性刺激により、マクロファージ等各種細胞から発現誘導される。COX阻害作用はアラキドン酸からCOX経由で産生されるすべての代謝産物の産生を低減する。その中のいくつかの代謝産物は生体内で有益な作用を示すために必要である。従って、COX阻害作用はこれら有益なアラキドン酸代謝産物の産生を低減してしまい、その結果生体内で悪影響を与える原因となることが知られている。例えば、NSAIDsによりCOXを非選択的に阻害すると消化管に対する副作用が生じる。さらに、選択的COX−2阻害剤は消化管に対する副作用は低減するが、心筋梗塞、狭心症などの心血管系への副作用を生じる可能性がある。ものような背景から、副作用を生じることのない炎症性疾患の治療剤は有益である。特に炎症誘発時に特異的にPGHからPGEへの変換を阻害する薬剤は、生体内で有益な作用を示すアラキドン酸代謝産物の産生を低減することなく、炎症反応を鎮静化し、副作用も軽減することが期待される。PGHからPGEへの変換はプロスタグランジンE合成酵素(PGES)の作用で変換される。mPGES−1の特徴は、生体内において主に炎症誘発時に発現誘導され、さらに産生されたPGEによりオートクライン的に発現誘導が強化され、また、主にCOX−2と選択的に機能関連してPGE産生に寄与していることである。これまでに、種々の疾患の病変部位においてCOX−2とmPGES−1の共発現が確認されており、各種病態におけるPGE産生はCOX−2/mPGES−1経路が重要であることが知られている。従って、mPGES−1に対する阻害活性を示し、PGE産生を低減することができる薬剤は炎症性疾患等のmPGES−1の関与する疾患の治療に有益である。
【0004】
イミダゾキノリン誘導体としては、例えば特定のイミダゾキノリン誘導体を有効成分とする向精神薬が特許文献1に開示されているが、本願発明を示唆する記載はない。また、インターフェロンαの生合成を優位に誘導する免疫調整剤としてイミダゾキノリン誘導体が特許文献2に開示されているが、本願発明を示唆する記載はない。その他には、腫瘍壊死因子(TNF)又はIL−1の産生阻害作用を有し、ヒト又は動物におけるTNF又はIL−1等サイトカイン介在性疾患の予防又は治療のための治療薬として1H−イミダゾピリジン誘導体が特許文献3に開示されているが、本願発明を示唆する記載はない。
【0005】
【特許文献1】米国特許公報第4,753,951号
【特許文献2】国際公開第06/91567号
【特許文献3】国際公開第02/16370号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)阻害活性を有し、炎症性疾患等のmPGES−1が関与する疾患の予防剤及び/又は治療剤として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(I)で表される新規化合物が強い膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)阻害活性を有することを見出し、本発明を完成した。本発明によれば、下記式(I)で表されるイミダゾキノリン誘導体又はその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の化合物」と称することもある)が提供される。
【0008】
[項1]下記式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
は、CX又は窒素原子を表し、Aは、CX又は窒素原子を表し、Aは、CX又は窒素原子を表し、ここにおいて、Aが窒素原子のとき、A及びAの少なくとも一つが窒素原子以外の基であり、
は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリール、−NR、アリールオキシ、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ又は水酸基を表し、ここにおいて、該アルキル、アルコキシ及びアルコキシカルボニルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリール、アリールオキシ及びシクロアルキルは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、X、X、及びXは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリール、−NR、アリールオキシ、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ又は水酸基を表し、ここにおいて、該アルキル、アルコキシ及びアルコキシカルボニルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリール、アリールオキシ及びシクロアルキルは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R、−C1−6アルキレン−CO−R、−C0−6アルキレン−SOH、−C1−6アルキレン−SONR、−C1−6アルキレン−CONR又は−Y−Zを表し、
は、単結合、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−NRCO−又は−NRSO−を表し、
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ピリジル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環を表し、ここにおいて、該アルキルは、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、該アリール、シクロアルキル及びピリジルは、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、該飽和脂肪族へテロ環は、アリール、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
及びRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−NH、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R、−C1−6アルキレン−CO−R、−C0−6アルキレン−SOH、−C1−6アルキレン−SONR、−C1−6アルキレン−CONR、−C1−6アルキレン−SO−R、ビフェニリル、フェノキシフェニル、アニリノフェニル又は−Y−Zを表し、ここにおいて、Xが水素原子のとき、R、R及びRの少なくとも一つが水素原子以外の基であり、
は、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−CR(OH)−、−CO−、−NRCO−、−NRC(=O)NH−、−NRC(=S)NH−又は−NRSO−表し、
は、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール−C1−6アルキル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環(該基はアリールで置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、該アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
及びRがアリールを含む基であるとき、該基はハロゲン原子、シアノ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキルチオ、−C0−6アルキレン−NR、−C0−6アルキレン−O−R、−C0−6アルキレン−CO−R、−C0−6アルキレン−SOH、−C0−6アルキレン−SONR、−C0−6アルキレン−CONR、−C0−6アルキレン−NRCO−R、−C0−6アルキレン−SO及び−C0−6アルキレン−NRSO−Rからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
は、水素原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はフェニルを表し、
及びRは、各々独立して、水素原子、又はハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル又はC3−6シクロアルキルを表し、
は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルを表し、
nは、0、1又は2を表す]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0011】
[項2]Aが、CXであり、Aが、CX又は窒素原子であり、Aが、CXである、
項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0012】
[項3]Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R又は−Y−Zであり、
が、単結合、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−NRCO−又は−NRSO−であり、
が、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキル、又はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC3−6シクロアルキルである、
項1又は2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0013】
[項4]Rが、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、−CO又は−NRであり、ここにおいて、該アルキル及びアルコキシは、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0014】
[項5]Aが、CXであり、Aが、CXであり、Aが、CXであり、
及びXが、各々独立して、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリール、−NR、アリールオキシ、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ又は水酸基であり、ここにおいて、該アルキル、アルコキシ及びアルコキシカルボニルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリール、アリールオキシ及びシクロアルキルは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、X及びXが、水素原子である、
項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0015】
[項6]Aが、CXであり、Aが、CXであり、Aが、CXであり、
及びXが、各々独立して、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリールオキシ、−NRであり、ここにおいて、該アルキル及びアルコキシは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリールオキシは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、X及びXが、水素原子である、
項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0016】
[項7]Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH又は−Y−Zであり、
が、単結合、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−又は−CONR−であり、
が、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキル、又はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC3−6シクロアルキルである、
項1〜6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0017】
[項8]Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−NH、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R、ビフェニリル、フェノキシフェニル又は−Y−Zであり、
が、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、−CO又は−NRであり、ここにおいて、該アルキル及びアルコキシは、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
が、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−CR(OH)−、−CO−、−NRCO−、−NRC(=O)NH−、−NRC(=S)NH−又は−NRSO−であり、
が、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール−C1−6アルキル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環(該基はアリールで置換されていてもよい)であり、ここにおいて、該アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
がアリールを含む基であるとき、該基はハロゲン原子、水酸基、シアノ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、−CO及び−NRからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい、
項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0018】
[項9]Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基又は−Y−Zであり、
が、単結合、−NR−、−O−又は−S(O)−であり、
がハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルである、
項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0019】
[項10]Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−NH、水酸基、ビフェニリル、フェノキシフェニル、−CO又は−Y−Zであり、
が、水素原子、ハロゲン原子又は−NRであり、
が、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−NRCO−又は−NRC(=O)NH−であり、
が、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、C1−6アルキル、アリール−C1−6アルキル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環(該基はアリールで置換されていてもよい)であり、ここにおいて、該アルキル及びシクロアルキルは、ハロゲン原子、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
がアリールを含む基であるとき、該基はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ及び−COからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい、
項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0020】
[項11]項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【0021】
[項12]項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1の阻害剤。
【0022】
[項13]項1〜10のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの製薬学的に許容される塩を含有する膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1の阻害活性が必要とされる疾患の治療剤。
【0023】
[項14]項1〜10のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの製薬学的に許容される塩を含有する炎症疾患の治療剤。
【発明の効果】
【0024】
本発明の化合物は、膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1の阻害活性を示すので、本酵素が関与する疾患に対して有用である。該疾患としては、炎症性大腸炎、過敏性腸症候群、偏頭痛、頭痛、腰痛、繊維筋痛、筋膜障害、ウイルス感染症(例えばインフルエンザ、風邪、帯状疱疹、AIDS)、細菌感染症、真菌感染症、月経困難症、火傷、外科又は歯科処置、悪性腫瘍(例えば結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌)、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、痛風、関節炎、骨関節炎、若年性関節炎、関節リウマチ、リウマチ熱、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、脈管炎、膵炎、腎炎、滑液包炎、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷治癒、皮膚炎、湿疹、乾癬、発作、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病、多発性硬化症)、骨粗鬆症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺繊維症、又はアレルギー性疾患が挙げられる。そして、これら本発明の一群の化合物は従来の薬物治療が奏功しない上記疾患に対する予防剤及び/又は治療剤としても期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の化合物は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明の化合物に包含される。
【0026】
また、式(I)の化合物は、1個又は場合により2個以上の不斉炭素原子を有する場合があり、また幾何異性や軸性キラリティを生じることがあるので、数種の立体異性体として存在することがある。本発明においては、これらの立体異性体、それらの混合物及びラセミ体は本発明の式(I)で表される化合物に包含される。
【0027】
例えば、下式のとおり式(I)の化合物はイミダゾール環において互変異性体が存在し、これらの互変異性体は全て式(I)の化合物に含まれる。
【0028】
【化2】

【0029】
さらに、式(I)の化合物のRが水酸基である化合物[式(I−1)の化合物]には、下記の四つの互変異性体が存在し、これらの互変異性体は全て式(I)の化合物に全て含まれる。
【0030】
【化3】

【0031】
本発明の化合物であるイミダゾキノリン誘導体のイミダゾキノリン環上の置換位置は下記で表される置換位置で表す。
【0032】
【化4】

【0033】
つぎに、本明細書における用語について以下に説明する。
「アルキル」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素を意味し、例えば、「C1−3アルキル」又は「C1−6アルキル」とは炭素原子数が1〜3又は1〜6の基をそれぞれ意味する。その具体例として、「C1−3アルキル」の場合には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等が、「C1−6アルキル」の場合には、前記に加えて、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0034】
「C2−6アルケニル」とは、炭素原子数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状の1個又は2個以上の二重結合を有する炭化水素を意味し、具体的には、ビニル、1−プロペニル、アリル基、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチルアリル、1−エチルビニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル等を挙げることができる。中でも好ましくは、炭素原子数2〜4、より好ましくは2〜3のアルケニルを挙げることができる。
【0035】
「C2−6アルキニル」とは、炭素原子数2〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状の1個又は2個以上の三重結合を有する炭化水素を意味し、具体的には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、1−へキシニル等を挙げることができる。中でも好ましくは、炭素原子数2〜4、より好ましくは2〜3のアルキニルを挙げることができる。
【0036】
「C3−6シクロアルキル」又は「C3−10シクロアルキル」とは、炭素原子数が3〜6又は3〜10の単環式飽和炭化水素を意味する。その具体例として、「C3−6シクロアルキル」の場合は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられ、「C3−10シクロアルキル」の場合は、前記に加えてシクロヘプタチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも好ましくは、炭素原子数3〜6、より好ましくは4〜6の単環式飽和炭化水素を挙げることができる。また、上記シクロアルキルにアリールが縮環して、二環性化合物を形成した基も、「シクロアルキル」に含まれる。その具体例としては、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ−1H−インデニル等が挙げられる。
【0037】
「C1−3アルコキシ」又は「C1−6アルコキシ」とは、直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数が1〜3又は1〜6のアルコキシを意味する。その具体例としては、「C1−3アルコキシ」の場合は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられ、「C1−6アルコキシ」の場合は、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも好ましくは、炭素原子数1〜3、より好ましくは1〜2のアルコキシを挙げることができる。
【0038】
「C1−6アルコキシカルボニル」とは、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素原子数が1〜6のアルコキシが結合したカルボニルを意味し、具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、tert−ペンチルオキシカルボニル、1−メチルブトキシカルボニル等を挙げることができる。中でも好ましくは、炭素原子数1〜5、より好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3のアルコキシカルボニルを挙げることができる。
【0039】
「C1−6アルキルチオ」とは、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素原子数が1〜6のアルキルチオを意味し、具体的には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert−ペンチルチオ、1−メチルブチルチオ、ヘキシルチオ等を挙げることができる。中でも好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは1〜2、更に好ましくはメチルチオを挙げることができる。
【0040】
「C1−3アルキレン」又は「C1−6アルキレン」とは、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素原子数が1〜3又は1〜6のアルキレンを意味し、具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、1−メチルメチレン、1−メチルエチレン、テトラメチレン等を挙げることができる。中でも好ましくは、炭素原子数1〜3、より好ましくは1〜2のアルキレンを挙げることができる。「−C0−6アルキレン−CO」とは、1個のCOが結合している炭素数0〜6のアルキレン基を意味し、炭素数0のアルキレン(Cアルキレン)とは便宜上、単結合を示し、−COを意味する。「−C0−6アルキレン−NR」、「−C0−6アルキレン−O−R」、「−C0−6アルキレン−SOH」、「−C0−6アルキレン−SONR」、「−C0−6アルキレン−CONR」、「−C0−6アルキレン−NRCO−R」、「−C0−6アルキレン−SO」及び「−C0−6アルキレン−NRSO−R」についても同様である。
【0041】
「C2−3アルキニレン」とは、直鎖状の炭素原子数が2〜3で、1つの三重結合を有しているアルキニレンを意味し、具体的には、エチニレン、1−プロピニレン等を挙げることができる。中でも好ましくは、エチニレンである。
【0042】
「ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル」とは、上記の1個ないし5個の置換可能な水素原子がハロゲン原子で置換されたC1−6アルキルを含むアルキルを意味し、異なるハロゲン原子が置換されていてもよい。具体的には、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4−フルオロブチル、4,4,4−トリフルオロブチル等が挙げられる。中でも好ましくは、炭素原子数1〜3、より好ましくは1〜2のアルキル又はアルコキシを挙げることができ、更に好ましくは、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシを挙げることができる。
【0043】
「3〜10員の飽和脂肪族へテロ環」とは、炭素原子以外に1〜3個の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1種又は2種の原子を含む3〜10個の原子で構成される単環又は二環の飽和環を意味する。その具体例としては、ピペリジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、アゼチジン、ピロリジン、ピペラジン、アゼパン、アゾカン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、モルホリン、チオモルホリン、1−オキソチオモルホリン、1,1−ジオキソチオモルホリン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、デカヒドロキノリン、デカヒドロキノキサン、1,4−ジアザビシクロ[4.4.0]デカン、デカヒドロイソキノリン等が挙げられる。これらのうち、好ましいものは、ピペリジン、又はピペラジンであり、更に好ましいものは、ピペリジンである。
【0044】
「アリール」又は「アリールオキシ」は、それぞれフェニル、1−ナフチル若しくは2−ナフチル、又は、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ若しくは2−ナフチルを意味する。中でも好ましくは、フェニル又はフェノキシが挙げられる。
【0045】
「フェノキシフェニル」とは、2、3又は4位にフェニルオキシが置換しているフェニルを意味し、同様に「アニリノフェニル」とは、2、3又は4位にフェニルアミノが置換しているフェニルを意味する。「ビフェニリル」とは、2、3又は4位にフェニルが置換しているフェニルを意味する。
【0046】
「ヘテロアリール」とは、炭素原子以外に1〜3個の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1種又は2種の原子を含む3〜10個の原子で構成される単環又は二環の芳香環を意味する。その具体例としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、イソインドリジニル、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンズチアゾール、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、キノキサリン、プテリジン、キナゾリン、イミダゾピリジン、フタラジン、ナフチリジン、プリン等が挙げられる。好ましくは、ピリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾール、フラン又はチオフェンが挙げられる。
【0047】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0048】
上記の基がもうひとつの置換基で置換されているとき、それぞれの基の名称の間に「−」を付して当該置換基を標記することがある。例えば、「アリール−C2−6アルキニル」は、アリールで置換された炭素数が2〜6のアルキニルを意味し、また、「−C1−6アルキレン−NR−」は、炭素数が1〜6のアルキレンと−NR−が連結した基を意味し、「アリール−C1−6アルキル」は、アリールで置換されたC1−6アルキルを意味する。
【0049】
式(I)で表される本発明の化合物の中でも、A〜A、X〜X、R〜R及びnの各々の基で、好ましい基は以下のとおりであるが、本発明の技術的範囲は下記に挙げる化合物の範囲に限定されるものではない。
【0050】
、A及びAは、各々CX、CX及びCX又はCX、窒素原子及びCXの組み合わせが好ましく、各々下記式(I−2)及び下記式(I−3)で表される。より好ましくは、(I−2)で表される化合物である。
【0051】
【化5】

【0052】
(式中、R、R、R、X、X、X、X及びXは項1の定義に同じである。)
【0053】
【化6】

【0054】
(式中、R、R、R、X、X、X及びXは項1の定義に同じである。)
【0055】
及びXとして好ましくは、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリール、アリールオキシ、−NR、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、ニトロが挙げられ、より好ましくは、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリールオキシ、−NRが挙げられ、さらに好ましくは、ハロゲン原子、シアノ、アリールオキシが挙げられる。
【0056】
、X及びXとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、−NR、ニトロが挙げられ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル、シアノが挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子が挙げられ、特に好ましくは、水素原子である。
【0057】
として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基及び−Y−Zが挙げられる。さらに好ましくは、水素原子、水酸基、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基が挙げられ、特に好ましくは、水素原子、水酸基、塩素原子、トリフルオロメチル基が挙げられる。Rが−Y−Zであるとき、Yとして好ましくは、単結合、C1−3アルキレン、C2−3アルキニレン、−O−、−S−、−SO−、−NR−が挙げられ、Zとして好ましくは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ピリジルが挙げられる。Yとしてより好ましくは、−O−、−S−、−SO−、−NR−が挙げられ、Zとしてより好ましくは、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルが挙げられる。Yとしてさらに好ましくは、−O−、−S−、−SO−が挙げられ、Zとしてさらに好ましくは、C1−6アルキルが挙げられる。
【0058】
として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ビフェニリル、フェノキシフェニル又は−Y−Zが挙げられる。さらに好ましくは、ハロゲン原子又は−Y−Zが挙げられる。Rが−Y−Zであるとき、Yとして好ましくは、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−CO−、−CONR−、−NRCO−、−SO−、−S−、−NRCONH−、−NRSO−、−SONR−が挙げられ、Zとして好ましくは、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、C1−6アルキル、3〜10員の飽和脂肪族へテロ環が挙げられる。Yとしてより好ましくは、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−NRCO−、−NRCONH−が挙げられ、Zとしてより好ましくは、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、3〜10員の飽和脂肪族へテロ環が挙げられる。
【0059】
として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、−CO、アリール、アリール−C2−6アルキニル、−NRが挙げられ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−NRが挙げられる。
【0060】
として好ましくは、水素原子、C1−6アルキル、フェニルが挙げられ、より好ましくは、水素原子、C1−6アルキルが挙げられる。R及びRとして好ましくは、水素原子、C1−6アルキルが挙げられる。Rとして好ましくは、C1−6アルキルが挙げられる。nとして好ましくは、0又は2が挙げられ、より好ましくは0が挙げられる。
【0061】
式(I)の化合物におけるA〜A、X〜X、R〜R及びnの好ましい具体例としては、以下のものが例示される。A、A及びAとしては、各々CX、CX及びCXの組み合わせが好ましく; X及びXとしては、ハロゲン原子、シアノ又はアリールが好ましく;X、X及びXとしては、水素原子が好ましく;Rとしては、水素原子、フッ素原子又は塩素原子が好ましく;Rとしては、ハロゲン原子又は−Y−Zが好ましく;Rとしては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ又はC1−6アルキルが好ましく;Rとしては、水素原子又はC1−6アルキルが好ましく;R及びRとしては、水素原子又はC1−6アルキルが好ましく;Rとしては、C1−6アルキルが好ましく;nとしては、0が好ましい。これらの例示の一つ又は任意の複数の組み合わせで限定された前記の各化合物群も好ましい式(I)の化合物の一つの態様になる。
【0062】
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される塩とは、構造中に酸付加塩を形成しうる基を有する式(I)の化合物の製薬学的に許容される酸付加塩又は塩基付加塩を意味する。酸付加塩の具体例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩、及びグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩が挙げられる。塩基付加塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、ピリジン塩、トリエチルアミン塩のような有機塩基との塩、及びリジン、アルギニン等のアミノ酸との塩が挙げられる。
【0063】
なお、本明細書において記載の簡略化のために、次に挙げる略号を用いることもある。p−:para−、t−:tert−、s−:sec−、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMA:N,N−ジメチルアセトアミド、DME:エチレングリコールジメチルエーテル、NMP:N−メチル−2−ピロリジノン、DMSO:ジメチルスルホキシド、d−DMSO:重ジメチルスルホキシド、OTf:トリフルオロメタンスルホニルオキシ
【0064】
本発明化合物の製造方法
式(I)で表される本発明の化合物は、下記に示す製造法A、B、C、D、E、F又はGにより製造することができる。式(I)で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩は、新規化合物であり、例えば、以下に述べる方法、後述する実施例又は公知の方法に準じた方法によって製造することができる。
下記の製造法で用いられる化合物は、反応に支障を来たさない範囲において、塩を形成していてもよい。
[製造法A]
式(I)の化合物及び製造法B−Gの原料化合物は、下記製造法により製造することができる。
【0065】
【化7】

【0066】
(式中、X、X、A、A、A、R、R及びRは、項1の定義に同じである。)
【0067】
化合物(II)の環化反応を行うことで、化合物(I)が得られるが、本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(II)と各種置換アリールアルデヒドを、亜硫酸水素ナトリウム等を共存させて反応を行うことで達成される。
【0068】
また、化合物(I)は、適当な溶媒中で、化合物(II)と各種置換アリールカルボン酸を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド、低級アルキルエステル等)に変換し反応させ、その後加熱反応させることによっても得られる。活性エステルの具体例としては、パラ−ニトロフェニルエステル、2、4、5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。
【0069】
また、化合物(I)は、適当な溶媒中で、化合物(II)と各種置換アリールカルボン酸を縮合剤の存在下で反応させ、その後加熱反応させることによっても得られる。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、DMSO、酢酸又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
[製造法B]
【0070】
式(I)中、Rがハロゲン原子である化合物[下記式(Ib)の化合物]は、下記製造法によっても製造される。
【0071】
【化8】

【0072】
(式中、X、X、A、A、A、R及びRは、項1の定義に同じであり、R11は、ハロゲン原子である。)
【0073】
[工程1]:製造法Aで得られるRが水素原子である化合物(Ia)を過酸化物で酸化することで、化合物(III)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中で、メタクロロ過安息香酸等の過酸化物と反応させることで達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、トルエン等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−20〜80℃、好ましくは0〜50℃である。
【0074】
[工程2]:化合物(III)のハロゲン化反応を行うことで、化合物(Ib)が得られるが、本反応は常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Ib)は、適当な溶媒中もしくは無溶媒中で、化合物(III)とオキシ塩化リン、オキシ臭化リン等と反応させることで得られる。これらの反応においては、上記試薬の他にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基共存下で行う場合もある。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トルエン、THF、ジオキサン、DME等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜150℃、好ましくは30〜120℃である。
【0075】
[製造法C]
式(I)中、Rがシアノ、−Y−Z等である化合物[下記式(Id)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0076】
【化9】

【0077】
(式中、X、X、A、A、A、R及びRは、項1の定義に同じであり、R21は、臭素原子、ヨウ素原子、又はOTf等の脱離基であり、R22は、シアノ、−Y−Z等であり、Y及びZは、項1の定義に同じである。)
【0078】
製造法Aで得られるRが、臭素原子、ヨウ素原子、又はOTf等の脱離基である化合物(Ic)に対してカップリング反応を行うことで、化合物(Id)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Id)は、適当な溶媒中で、化合物(Ic)と各種置換ボロン酸等のホウ素試薬、各種置換亜鉛試薬や各種置換グリニャール試薬等の有機金属試薬、各種置換アルキルボラン試薬、各種置換アルキン試薬、各種置換アルケン試薬、各種置換アニリン試薬、各種置換フェノール試薬、各種置換チオフェノール試薬、各種置換アルコール試薬、各種置換アミン試薬、シアン化金属試薬等を、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムに代表されるパラジウム触媒やヨウ化銅に代表される銅触媒、又は亜鉛試薬、鉄キレート試薬等の存在下、2,2‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1−ビナフタレン、2−(ジ−t−ブチル)ホスフィノビフェニル等に代表されるリン触媒を加えて、クロスカップリング反応を行うことで得られる。また、適当なカップリング試薬を用いて一酸化炭素雰囲気下で行えば、カルボキシル基やエステル基を導入することができる。これらカップリング反応においては、上記試薬の他に炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)、リン酸アルカリ金属(リン酸カリウム等)、有機塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)、ハロゲン化アルカリ金属(塩化リチウム、フッ化セシウム等)又は水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム等)の共存下で行う場合もある。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMA,NMP,又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
【0079】
上記製造法Cは、7位に脱離基等を有する化合物に対するカップリング反応を示しているが、本反応は4位又は8位に脱離基を有する化合物に対しても同様に反応が進行し、対応する化合物を製造することができる。
【0080】
[製造法D]
式(I)中、Rがシアノ、−Y−Z等である化合物[下記式(If)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0081】
【化10】

【0082】
(式中、X、X、A、A、A、R及びRは、項1の定義に同じであり、R11は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はOTf等の脱離基であり、R12は、水酸基、シアノ、−Y−Z等であり、Y及びZは、項1の定義に同じである。)
【0083】
製造法Aで得られるRが、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はOTf等の脱離基である化合物(Ie)に対して求核置換反応又は加水分解反応を行うことで、化合物(If)が得られる。本反応は常法に従って行うことができる。例えば、化合物(If)は、適当な溶媒中か無溶媒中で、化合物(Ie)と各種金属アルコキシ試薬や、金属スルホニル試薬、置換アミン試薬、置換フェノール試薬、置換チオフェノール試薬、ギ酸水溶液等の酸性水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液等を反応させることで得られる。これら求核置換反応及び加水分解反応においては、上記試薬の他に炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)、リン酸アルカリ金属(リン酸カリウム等)、有機塩基(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)、その他の無機塩(塩化リチウム、フッ化セシウム等)、又は水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム等)の共存下で行う場合もある。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMA,NMP,又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
【0084】
[製造法E]
式(I)中、Rが−NRCO−Z、−NRSO−Z、−NRC(=O)NH−Z又は−NRC(=S)NH−Zである化合物[下記式(Ih)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0085】
【化11】

【0086】
(式中、X、X、A、A、A、R、R及びRは、項1の定義に同じであり、Wは、−CO−Z、−SO−Z、−C(=O)NH−Z又は−C(=S)NH−Zであり、Zは、項1の定義に同じである。)
【0087】
製造法Cで得られるRが、−NHRである化合物(Ig)に対してアミド化又はウレア化反応を行うことにより、化合物(Ih)が得られる。本反応は、常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Ih)は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(Ig)とカルボン酸誘導体及びスルホン酸誘導体から誘導される活性エステル、酸無水物、酸ハライド等と反応させることで得られる。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、2,4,5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。
【0088】
また、化合物(Ih)は、化合物(Ig)と各種カルボン酸及びスルホン酸とを縮合剤の存在下で反応させることによっても製造される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。
【0089】
また、化合物(Ih)は、化合物(Ig)とウレア化反応を行うことでも製造される。例えば、化合物(Ih)は、適当な溶媒中で、化合物(Ig)と各種置換イソシアネート化合物等を反応させることで得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMA,NMP,又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。これらの反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物の種類等により異なるが、通常、−30〜150℃、好ましくは−10〜70℃である。
【0090】
当製造法は、7位のアミノ基に対するアミド化又はウレア化反応を示しているが、8位のアミノ基に対しても同様の方法で行うことができる。
[製造法F]
式(I)中、Rが−CONR−Z又は−SO−NR−Zである化合物[下記式(Ij)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0091】
【化12】

【0092】
(式中、X、X、A、A、A、R、R、R及びZは、項1の定義に同じであり、Wは、−CO−又は−SO−である。)
【0093】
製造法Aで製造されるRが、−COH又は−SOHである化合物(Ii)に対してアミド化反応を行うことで、化合物(Ij)が得られる。本反応は、常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Ij)は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(Ii)を反応性誘導体(例えば、活性エステル、酸無水物、酸ハライド等)に変換し、各種アミンと反応させることで得られる。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、2,4,5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ピリジルチオールエステル、N−メチルイミダゾールエステル等が挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられる。混合酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、イソ吉草酸等との混合酸無水物が挙げられる。
【0094】
また、化合物(Ij)は、化合物(Ii)と各種アミンとを縮合剤の存在下で反応させることによっても製造される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメチルアミノスルホン酸クロリド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又はこれら縮合剤とN−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMA,NMP,又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。本反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物の種類等により異なるが、通常、−30〜150℃、好ましくは−10〜70℃である。
【0095】
[製造法G]
式(I)中、X及びXが、−CNである化合物[下記式(Il)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0096】
【化13】

【0097】
(式中、A、A、A、R、R及びRは、項1の定義に同じであり、X11、X21は、ハロゲン原子、又はOTf等の脱離基である。)
【0098】
製造法Aで製造されるX11、X21が、ハロゲン原子、又はOTf等の脱離基である化合物(Ik)に対して、シアノ化反応を行うことで、化合物(Il)が得られる。本化反は、常法に従って行うことができる。例えば、化合物(Il)は、適当な溶媒中で、化合物(Ik)とシアン化銅やシアン化ナトリウム等のシアノ化試薬を反応させることで得られる。さらには、シアノ化亜鉛をテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムに代表されるパラジウム触媒やヨウ化銅に代表される銅触媒、又はヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム試薬等の存在下でカップリング反応を行うことでも得られる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロエタン、トルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトニトリル、DMF、DMA、NMP、又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
【0099】
当製造法は、X11及びX21の2つの基に対するシアノ化反応を示しているが、X11、X21の一方がハロゲン原子、又はOTf等の脱離基以外の基である化合物(Ik)に相当する原料を用いると1個がシアノ基である化合物(Il)に相当する化合物が製造できる。
【0100】
次に、前記製造法Aにおける化合物(II)は、下記反応式で示される方法に従って製造される。
【0101】
【化14】

【0102】
(式中、R、R及びRは、項1の定義に同じである。)
【0103】
上記式(IV)の化合物は、公知化合物であるか、又は公知の化合物の製法に準じて製造することができる。例えば、国際公開第05/18556号、国際公開第07/109810号等に記載の方法、あるいはこれらに準じた方法に従って製造することができる。
【0104】
[工程1]:化合物(IV)をアミノ化することで、化合物(V)が得られる。本反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は、適当な溶媒中又は無溶媒下で、化合物(IV)とアンモニアを反応させることで達成される。このアミノ化反応に用いるアンモニアは、水又は有機溶媒に溶解している試薬若しくは気体であってもよい。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、THF、ジオキサン、DME、アセトン、アセトニトリル、DMF、トルエン、又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃である。
【0105】
[工程2]:化合物(V)の還元反応を行うことで、化合物(II)が得られる。本反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は、適当な溶媒中で、化合物(V)とパラジウム、プラチナ、ラネーニッケル等を含む触媒を用いる接触還元、リチウムアルミニウムヒドリド等を用いるヒドリド還元、還元鉄試薬と塩化アンモニウム等を用いる鉄還元等を行うことで達成される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
【0106】
化合物(II)のRが、臭素原子、ヨウ素原子、又はOTf等の脱離基(製造法C中のR21に相当)である場合、製造法Cと同様にカップリング反応を行うことで、Rの位置に種々の基を導入することもできる。
【0107】
また、化合物(V)中のRが臭素原子、ヨウ素原子、又はOTf等の脱離基(製造法C中のR21)である場合、製造法Cと同様にRカップリング反応が進行し、得られた化合物を工程2と同様に還元することで、化合物(II)を得ることもできる。また、本反応は、R及びRが脱離基等の化合物に対しても同様に適応でき、対応する化合物が製造できる。
【0108】
化合物(I)の別の製造法として、化合物(V)に対して、適当な溶媒中又は無溶媒中で、ハイドロサルファイトナトリウム等の還元剤の共存下、各種置換アリールアルデヒド誘導体を反応させることでも達成される。
【0109】
前記製造法Eで用いられる化合物(Ig)は、上記製造法Cで示される化合物(Id)を合成するカップリング反応と同様の方法でも製造できる。これは、8位におけるカップリング反応でも同様である。
【0110】
前記製造法Fで用いられる化合物(Ii)中の7位のWが、−CO−を示す化合物は、上記製造法Cで示される化合物(Id)を合成する方法と同様に製造される。またこれは、製造法Cで示される式(Id)においてR22が−CNである化合物を、ギ酸水溶液等の酸性水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液等を用いて加水分解反応することによっても製造できる。これは、8位における同様の加水分解反応の場合においても同様である。
【0111】
前記各製法により生成する式(I)の化合物は、クロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の常法により単離・精製することができる。また、式(II)の化合物がラセミ体である場合は、光学活性カラムを用いたクロマトグラフィーによる光学分割方法、優先晶出法、ジアステレオマー法等の常法に従って、それぞれの光学活性体へと分離・精製することができる。
【0112】
式(I)の化合物は、構造式中の存在する官能基の種類、原料化合物の選定、反応処理条件により、遊離塩基又は酸付加塩の形で得られるが、常法に従って式(I)の化合物に変換することができる。一方、式(I)の化合物は、常法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。
【0113】
本発明の新規イミダゾキノリン誘導体は、後述のとおり、強力な膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)阻害活性を有することから、mPGES−1の阻害活性が望まれる、及び/又は必要とされる疾患に対する有用な医薬品となることが期待できる。本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、通常、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01〜1000mg、さらに好ましくは約0.1〜500mgを1〜数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、通常、例えば、ヒト又は哺乳動物1kg体重当たり約0.01mg〜300mg、さらに好ましくは約1mg〜100mgを投与することができる。
【0114】
本発明の化合物は、上記のごとき医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製された製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない無毒性の物質が用いられる。具体的には、例えばクエン酸、グルタミン酸、グリシン、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、水等が挙げられる。
【0115】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤及び顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。さらに、これらの製剤は治療上価値ある他の成分を含有してもよい。
【実施例】
【0116】
以下に参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、高速液体クロマト質量分析計;LCMS、IRスペクトル、NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。
【0117】
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。
置換基として用いられる略号としては、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を意味する。
NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重の二重線、tは三重線、tdは三重線の二重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線、brtは幅広い三重線及びJは結合定数を意味する。
【0118】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をMH+で、保持時間をRt(min)で示す。
検出機器:
LC/MS−2010EV(SHIMAZU社製)
HPLC:
LC/MS−2010C HT(SHIMAZU社製)
Column:
CAPCELL PAK、C18 MGII(SHISEIDO社製)(S−3μm、 4.6x35mm)
Solvent:
A液:MeCN、B液:0.05%TFA/H
Gradient Condition:
0.0−5.0min;A/B = 10:90 → 99:1
5.0−7.0min;A/B = 99:1
7.01−10.0min;A/B = 10:90
Flow rate:
0.35mL/min
UV:
220nm
カラム温度:
40℃
【0119】
参考例1
7−フェニルキノリン−3,4−ジアミン
【0120】
【化15】

【0121】
[工程1]:7−ブロモ−4−クロロ−3−ニトロキノリン(3.1g)にアセトニトリル(50ml)を加えて、アンモニア水(6.7ml)を滴下し、35℃で5時間撹拌した。反応混合液を減圧留去し、得られた固形物を水で洗浄し、次いでヘキサン/ジイソプロピルエーテルで洗浄し、7−ブロモ−3−ニトロキノリン−4−アミン(2.7g)を固形物として得た。
【0122】
[工程2]:7−ブロモ−3−ニトロキノリン−4−アミン(1.3g)、還元鉄(2.2g)及び塩化アンモニウム(1.1g)のエタノール(65ml)/ 水(30ml)溶液を、加熱還流下で2時間撹拌した。反応液をセライトでろ過した後、ろ液を減圧留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチル(50ml×2回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、7−ブロモキノリン−3,4−ジアミン(920mg)を得た。
【0123】
[工程3]:7−ブロモキノリン−3,4−ジアミン(50.0mg)、フェニルボロン酸(38.4mg)及び炭酸ナトリウム(44.5mg)のTHF(3ml)/ 水(0.3ml)溶液に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(24.3mg)を加えて、加熱還流下で13時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシシウムで乾燥後、減圧濃縮し、7−フェニルブロモキノリン−3,4−ジアミン(49.4mg)を固形物として得た。
MS (m/z) 236 (MH+), Rt = 6.33 min.
【0124】
参考例2−11
対応する原料化合物を用い、参考例1に記載の方法と同様に反応・処理して表1に示す化合物を得た。
【0125】
【表1】

【0126】
実施例1
7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0127】
【化16】

【0128】
参考例1で得られた7−ブロモキノリン−3,4−ジアミン(335.0mg)、2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒド(334.6mg)及び亜硫酸水素ナトリウム(440.2mg)のDMF(5ml)溶液を、140℃で6時間撹拌した。反応混合物に水(30ml)を加えた後、酢酸エチル(30ml×3回)で抽出した。有機層を水(20ml×2回)、飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(205.9mg)を固形物として得た。
【0129】
1H-NMR (d6-DMSO)δ: 7.50-7.58 (m, 1H), 7.60-7.65 (m, 1H), 7.70-7.75 (m, 1H), 7.85-7.95 (m, 1H),8.26-8.44 (m, 2H), 9.28-9.35 (m, 1H), 14.33 (brs, 0.2H)
【0130】
実施例2−16
対応する原料化合物を用いて実施例1と同様に反応・処理し、表2に示す化合物を得た。
【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
【表4】

【0134】
実施例18
7−ブロモ−4−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0135】
【化17】

【0136】
[工程1]:実施例1で得られた7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(50mg)のジクロロメタン(2ml)溶液に、氷冷下でメタクロロ過安息香酸(51.4mg)を加えて3時間撹拌した。反応混合物に、チオ硫酸ナトリウム水溶液と炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、クロロホルム(20ml×5回)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン5−オキシド(41.7mg)を得た。
【0137】
MS (m/z) 394 (MH+), Rt = 7.02 min.
【0138】
[工程2]:工程1で得られた7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン5−オキシド(41.7mg)にオキシ塩化リン(1ml)を加え、100℃で30分間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、氷冷下で炭酸ナトリウム水溶液を加えて、クロロホルム(50ml×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、目的物7−ブロモ−4−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(16.8mg)を得た。
【0139】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.48-7.58 (m, 1H), 7.64 (brd, 1H, J=7.8Hz), 7.72-7.78 (m, 1H), 7.88-7.95 (m, 1H), 8.26-8.34 (m, 2H), 14.67 (brs, 0.3H)
【0140】
実施例19−24
対応する原料化合物を用いて実施例18と同様に反応・処理し、表3に示す化合物を得た。
【0141】
【表5】

【0142】
実施例25
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0143】
【化18】

【0144】
実施例1で得られた7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(32.4mg)、フェニルボロン酸(11.4mg)及び炭酸ナトリウム(9.9mg)のTHF(4ml)/ 水(0.5ml)溶液に、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(4.9mg)を加えて、加熱還流下で4時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(10.9mg)を固形物として得た。
【0145】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.44−7.46 (m, 1H), 7.56 (t, 3H, J = 7.7Hz), 7.62-7.65 (m, 1H), 7.72-7.74 (m, 1H), 7.90 (d, 2H, J = 7.6Hz), 8.05-8.10 (m, 1H), 8.41-8.43 (m, 2H), 9.29 (brs, 0.3H), 9.33 (brs, 0.7H), 13.87 (brs, 0.1H), 14.25 (brs, 0.4H)
【0146】
実施例26−50
対応する原料化合物を用いて実施例25と同様に反応・処理し、表4に示す化合物を得た。
【0147】
【表6】

【0148】
【表7】

【0149】
【表8】

【0150】
【表9】

【0151】
【表10】

【0152】
実施例51
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−(3−ピリジルエチニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0153】
【化19】

【0154】
実施例1で得られた7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(20mg)、3−ピリジルアセチレン(54.8mg)及びトリエチルアミン(0.2ml)のDMF(3ml)溶液に、ヨウ化銅(1.0mg)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(6.1mg)を加えてアルゴン置換し、60℃で4.5時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を水(10ml×2回)、次いで飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニルエチニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(12.8mg)を固形物として得た。
【0155】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.50-7.65 (m,3H), 7.70-7.80 (m,1H), 7.85-7.90 (m,1H), 8.05 (d, 1H, J = 15.4Hz), 8.50-8.69 (m, 3H), 8.90 (brs, 1H), 9.33 (brs, 0.4H), 9.37(brs, 0.6H), 13.96 (brs, 0.3H), 14.35 (brs, 0.7H)
【0156】
実施例52−58
対応する原料化合物を用いて実施例51と同様に反応・処理し、表5に示す化合物を得た。
【0157】
【表11】

【0158】
【表12】

【0159】
実施例59
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−エチル−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0160】
【化20】

【0161】
実施例19で得られた4−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(40mg)、ジクロロ[1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(16mg)及び炭酸カリウム(42mg)のTHF(1ml)溶液に、窒素置換下でジエチル亜鉛のヘキサン溶液(244μl)を加えて、40℃で3時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はヘキサン/酢酸エチル)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−エチル−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(20mg)を固形物として得た。
【0162】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 1.46 (t, 3H, J=7.2Hz), 3.30 (q, 2H, J = 7.2Hz), 7.41-7.45 (m, 1H), 7.52-7.56 (m, 3H), 7.63 (d, 1H, J = 8.0Hz), 7.70-7.76 (m, 1H), 7.89 (d, 2H, J = 8.0Hz), 7.97-8.05 (m, 1H), 8.35 (m, 1.7H), 8.48 (d, 0.3H, J = 8.0Hz), 13.8 (brs, 0.4H), 14.1 (brs, 0.6H)
【0163】
実施例60
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−シアノ−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0164】
【化21】

【0165】
実施例1で得られた7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(200mg)、シアン化亜鉛(68mg)、dppf(60mg)及び亜鉛(36mg)のDMA(3ml)溶液に、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(48mg)を加えて窒素置換し、80℃で4時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を水(10ml×2回)で洗浄し、次いで飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール及びヘキサン/酢酸エチル)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−シアノ−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(80mg)を固形物として得た。
【0166】
1H-NMR(d-DMSO)δ: 7.55 (t, 1H, J = 8.0Hz), 7.64 (d, 1H, J = 8.0Hz), 7.71-7.77 (m, 1H), 8.05 (d, 1H, J = 8.4Hz), 8.54 (d, 1H, J = 8.4Hz), 8.28-8.38 (m, 1H), 8.45-8.55 (m, 2H), 8.65 (dd, 1H, J = 1.5, 4.5Hz), 8.71 (d, 1H, J = 1.2Hz), 9.45 (s, 1H), 14.4 (brs, 0.4H)
【0167】
実施例61
対応する原料化合物を用いて実施例60と同様に反応・処理し、表6に示す化合物を得た。
【0168】
【表13】

【0169】
実施例62
2−(2−フルオロ−6−フェノキシフェニル)−7−フェノキシ−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0170】
【化22】

【0171】
実施例1で得られた7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン (20mg)、フェノール(10mg)及び炭酸セシウム(51.9mg)のNMP(2ml)溶液に、ヨウ化銅(1.0mg)を加えてアルゴン置換し、145℃で4.5時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を水(10ml×2回)、飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、2−(2−フルオロ−6−フェノキシフェニル)−7−フェノキシ−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(4.1mg)を固形物として得た。
【0172】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 6.70-6.75 (m, 2H), 7.18-7.27 (m, 2H), 7.30-7.38 (m, 1H), 7.46-7.56 (m, 9H), 7.91 (dd, 0.3H, J = 8.8, 2.0Hz), 8.40 (d, 0.3H, J = 2.0Hz), 8.49 (d, 0.3H, J = 8.5Hz), 8.56 (d, 0.7H, J = 8.5Hz), 8.91 (s, 0.6H), 8.99 (s, 0.4H), 10.45 (brs, 0.4H), 10.47 (brs, 0.2H)
【0173】
実施例63−64
対応する原料化合物を用いて実施例61と同様に反応・処理し、表7に示す化合物を得た。
【0174】
【表14】

【0175】
実施例65
7―(4−クロロアニリノ)−2−(2−フルオロ−6−フェノキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0176】
【化23】

【0177】
実施例1で得られた7−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(50mg)、4−クロロアニリン(32mg)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1−ビナフタレン (16mg)及びt−ブトキシナトリウム(48mg)のDMF(3ml)溶液に、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(12mg)を加えて窒素置換し、70℃で13時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を水(10ml×2回)、飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、 7―(4−クロロアニリノ)−2−(2−フルオロ−6−フェノキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(15.2mg)を固形物として得た。
【0178】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.24 (d, 2H, J = 9.0Hz), 7.34 (d, 2H, J = 9.0Hz), 7.43-7.54 (m, 2H), 7.60 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.66-7.72 (m, 1H), 8.22 (d, 1H, J = 8.4Hz), 8.72 (s, 1H), 9.12 (s, 1H), 13.9 (brs, 1H)
【0179】
実施例66−80
対応する原料化合物を用いて実施例65と同様に反応・処理し、表8に示す化合物を得た。
【0180】
【表15】

【0181】
【表16】

【0182】
【表17】

【0183】
実施例81
N−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−7−イル]ベンズアミド
【0184】
【化24】

【0185】
実施例68で得られた7−アミノ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン (40mg)を塩化メチレン(3ml)に溶解させ、安息香酸(15mg)、トリエチルアミン(61μl)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩(30mg)及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(21mg)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、クロロホルム(10ml×3回)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はヘキサン/酢酸エチル)で精製することで、N−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−7−イル]ベンズアミド(28.2mg)を固形物として得た。
【0186】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.45-7.74 (m, 5H), 8.03-8.13 (m, 3H), 8.20-8.45 (m, 1H), 8.68 (s, 1H), 9.25 (s, 1H), 10.6 (s, 1H), 14.1 (brs, 1H)
【0187】
実施例82
1−[2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−7−イル]−3−フェニルウレア
【0188】
【化25】

【0189】
実施例68で得られた7−アミノ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン (20mg)を塩化メチレン(2ml)に溶解させ、トリエチルアミン(61μl)及びフェニルイソシアナート(11μl)を加えて、室温で12時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はヘキサン/酢酸エチル)で精製し、1−[2−(2−クロロ−6−フェノキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−7−イル]−3−フェニルウレア(12.6mg)を固形物として得た。
【0190】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 6.98-7.03 (m, 1H), 7.29-7.34 (m, 2H), 7.50-7.58 (m, 3H), 7.60-7.63 (m, 1H), 7.68-7.78 (m, 2H), 8.29 (brs, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 9.07 (s, 1H), 9.21 (s, 1H), 14.0 (brs, 1H)
【0191】
実施例83
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−ピペリジノカルボニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0192】
【化26】

【0193】
実施例45で得られた7−カルボキシル−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン (15.0mg)を塩化メチレン(2ml)に溶解させ、ピペリジン(7.0mg)、トリエチルアミン(24mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩(17.0mg)及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(12.0mg)を加えて、室温で20時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、クロロホルム(10ml×3回)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−ピペリジノカルボニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリンを固形物として得た。
【0194】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 1.40-1.65 (m, 8H), 3.65-3.80 (m, 2H), 7.52-7.56 (m, 1H), 7.62-7.64 (m, 1H), 7.69-7.76 (m, 2H), 8.10 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 9.34 (s, 1H), 14.3 (brs, 1H)
【0195】
実施例84
対応する原料化合物を用いて実施例83と同様に反応・処理し、表9に示す化合物を得た。
【0196】
【表18】

【0197】
実施例85
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−メチルスルホニル−7-フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0198】
【化27】

【0199】
実施例19で得られた4−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(20mg)及びスルフィン酸ナトリウム(16.0mg)のDMF(2ml)溶液を、80℃で8時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はヘキサン/酢酸エチル)で精製することで、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−メチルスルホニル−7-フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(12.5mg)を固形物として得た。
【0200】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 3.66 (s, 3H)、7.45-7.53 (m, 1H), 7.52-7.69 (m, 4H), 7.70-7.83 (m, 1H), 7.95 (d, 2H, J = 8.0Hz), 8.22-8.31 (m, 1H), 8.50-8.70 (m, 2H), 14.1 (brs, 0.4H), 14.8 (brs, 0.6H)
【0201】
実施例86−91
対応する原料化合物を用いて実施例85と同様に反応・処理し、表10に示す化合物を得た。
【0202】
【表19】

【0203】
実施例92
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニル−4−トリフルオロメチル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0204】
【化28】

【0205】
実施例24で得られた4−ブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(90mg)のDMF (6.6ml)溶液に、ヘキサメチルリン酸トリアミド (69μl)、ヨウ化銅(76mg)及び2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)酢酸メチル(50μl)を加えてアルゴン置換し、120℃で4時間撹拌した。反応混合物にアンモニア水(10ml)及び水(10ml)を加えた後、酢酸エチル (30ml×2回)で抽出した。有機層を、飽和食塩水 (10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−7−フェニル−4−トリフルオロメチル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン (6.0mg)を得た。
【0206】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.48 (t, 1H, J = 7.3Hz), 7.54-7.63 (m, 3H), 7.67 (d, 1H, 7.3Hz), 7.73-7.83 (m, 1H), 7.94 (d, 2H, J = 8.0Hz), 8.29 (d, 1H, 8.0Hz), 8.51 (d, 1H, J = 8.5Hz), 8.56 (s, 1H), 14.83 (brs, 0.6H)
【0207】
実施例93
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0208】
【化29】

【0209】
実施例17で得られた4−クロロ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン (20mg)に、水(1ml)及びギ酸(2ml)を加えて、80℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(7.8mg)を固形物として得た。
【0210】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.22-7.30 (m, 1H), 7.42-7.50 (m, 3H), 7.52-7.61 (m, 1H), 7.63-7.70 (m, 1H), 7.95-8.00 (m, 0.4H), 8.05-8.10 (m, 0.3H), 11.58 (brs, 0.2H), 11.76 (brs, 0.3H), 13.92 (brs, 0.2H), 14.00 (brs, 0.3H)
【0211】
実施例94−96
対応する原料化合物を用いて実施例93と同様に反応・処理し、表11に示す化合物を得た。
【0212】
【表20】

【0213】
実施例97
2−(2、6−ジシアノフェニル)7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン
【0214】
【化30】

【0215】
実施例14で得られた2−(2、6−ジブロモフェニル)−7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(30mg)及びシアン化銅(30mg)のDMF(3.7ml)溶液を、100℃で18時間撹拌した。反応混合物に水(10ml)及びアンモニア水(5ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml×3回)で抽出した。有機層を水(10ml×2回)、飽和食塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒はクロロホルム/メタノール)で精製し、2−(2、6−ジシアノフェニル)7−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−c]キノリン(4.5mg)を固形物として得た。
【0216】
1H-NMR(d6-DMSO)δ: 7.43-7.47 (m, 1H), 7.54-7.58 (m, 3H), 8.10 (brd, 1H, J = 9.5Hz), 8.40-8.58 (m, 3 H), 9.42 (s, 1H)
【0217】
実施例98−100
対応する原料化合物を用いて実施例97と同様に反応・処理し、表12に示す化合物を得た。
【0218】
【表21】

【0219】
以下に、本発明の代表化合物の薬理試験結果を示すが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0220】
アッセイでは、ヒトmPGES−1は、基質PGHがPGEに転化される反応を触媒した。ヒトmPGES−1をHEK293(ヒト胎児腎臓細胞由来)細胞で発現させ、膜画分を、10mMのTris−HCl[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸]バッファーpH8.0に溶解させ、−80℃で保存する。アッセイでは、ヒトmPGES−1を4.5mMのグルタチオン及び0.5mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含む0.1Mのリン酸カリウムバッファーpH7.0に溶解させた。停止溶液は、二塩化スズ(12 mg/mL)及び塩酸(0.062M)を含む精製水からなり、アッセイは氷上に96ウェルプレートをおいて実施した。PGEの定量はHTRF(homogenous time-resolved fluorescence)技術に基づいて実施し、HTRF試薬はCisbio社製のものを使用した。
次のものを順に各ウェルに添加して混和した:
1.阻害剤が溶解した50%DMSO水溶液4μLを添加した。
2.グルタチオンと共にヒトmPGES−1が入ったリン酸カリウムバッファー16μL。全タンパク質濃度:0.05mg/mL。氷上で30分間、プレートをインキュベートした。
3.20μg/mLのPGH溶液20μL。氷上で6分間、プレートをインキュベートした。
4.10μLの停止溶液を添加した。
各反応終了液を0.02% BSA(ウシ血清アルブミン)を含む0.05M リン酸ナトリウムバッファーpH7.0で200倍希釈し、PGE定量時には、この200倍希釈液を用いた。
代表的化合物のmPGES−1阻害活性データを表13に示す。
【0221】
【表22】

【0222】
本発明の代表化合物を上述の生物学的試験で評価したところ、1μM又は0.1μMの濃度で、mPGES−1に対し阻害活性を示す化合物を見出した。特に、実施例19、86及び97は、0.1μMの濃度で強いmPGES−1阻害活性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0223】
以上で説明したように、本発明の化合物は、膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)の評価アッセイにおいて強い阻害活性を示す。したがって、本発明の化合物は炎症性疾患(例えば、炎症性大腸炎、頭痛、関節炎等疾患の予防剤及び/又は治療剤)として有用である。加えて、本発明の化合物は未だ薬物治療が奏功しない難治性炎症性疾患に対する予防剤及び/又は治療剤としても期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】


[式中、
は、CX又は窒素原子を表し、Aは、CX又は窒素原子を表し、Aは、CX又は窒素原子を表し、ここにおいて、Aが窒素原子のとき、A及びAの少なくとも一つが窒素原子以外の基であり、
は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリール、−NR、アリールオキシ、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ又は水酸基を表し、ここにおいて、該アルキル、アルコキシ及びアルコキシカルボニルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリール、アリールオキシ及びシクロアルキルは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、X、X、及びXは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリール、−NR、アリールオキシ、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ又は水酸基を表し、ここにおいて、該アルキル、アルコキシ及びアルコキシカルボニルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリール、アリールオキシ及びシクロアルキルは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R、−C1−6アルキレン−CO−R、−C0−6アルキレン−SOH、−C1−6アルキレン−SONR、−C1−6アルキレン−CONR又は−Y−Zを表し、
は、単結合、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−NRCO−又は−NRSO−を表し、
はC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、ピリジル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環を表し、ここにおいて、該アルキルは、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、該アリール、シクロアルキル及びピリジルは、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、該飽和脂肪族へテロ環は、アリール、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
及びRは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−NH、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R、−C1−6アルキレン−CO−R、−C0−6アルキレン−SOH、−C1−6アルキレン−SONR、−C1−6アルキレン−CONR、−C1−6アルキレン−SO−R、ビフェニリル、フェノキシフェニル、アニリノフェニル又は−Y−Zを表し、ここにおいて、Xが水素原子のとき、R、R及びRの少なくとも一つが水素原子以外の基であり、
は、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−CR(OH)−、−CO−、−NRCO−、−NRC(=O)NH−、−NRC(=S)NH−又は−NRSO−表し、
は、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール−C1−6アルキル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環(該基はアリールで置換されていてもよい)を表し、ここにおいて、該アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
及びRがアリールを含む基であるとき、該基はハロゲン原子、シアノ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキルチオ、−C0−6アルキレン−NR、−C0−6アルキレン−O−R、−C0−6アルキレン−CO−R、−C0−6アルキレン−SOH、−C0−6アルキレン−SONR、−C0−6アルキレン−CONR、−C0−6アルキレン−NRCO−R、−C0−6アルキレン−SO及び−C0−6アルキレン−NRSO−Rからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
は、水素原子、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル又はフェニルを表し、
及びRは、各々独立して、水素原子、又はハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル又はC3−6シクロアルキルを表し、
は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキルを表し、
nは、0、1又は2を表す]
で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、CXであり、Aが、CX又は窒素原子であり、Aが、CXである、
請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R又は−Y−Zであり、
が、単結合、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−NRCO−又は−NRSO−であり、
が、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキル、又はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC3−6シクロアルキルである、
請求項1又は2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、−CO又は−NRであり、ここにおいて、該アルキル及びアルコキシは、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、CXであり、Aが、CXであり、Aが、CXであり、
及びXが、各々独立して、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリール、−NR、アリールオキシ、C3−10シクロアルキル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ又は水酸基であり、ここにおいて、該アルキル、アルコキシ及びアルコキシカルボニルは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリール、アリールオキシ及びシクロアルキルは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、X及びXが、水素原子である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、CXであり、Aが、CXであり、Aが、CXであり、
及びXが、各々独立して、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アリールオキシ、−NRであり、ここにおいて、該アルキル及びアルコキシは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、該アリールオキシは、ハロゲン原子及びC1−6アルキルからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
、X及びXが、水素原子である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH又は−Y−Zであり、
が、単結合、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−又は−CONR−であり、
が、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC1−6アルキル、又はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル及びC1−3アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよいC3−6シクロアルキルである、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−NH、水酸基、−COOH、−SONH、−CONH、−C1−6アルキレン−NR、−C1−6アルキレン−O−R、ビフェニリル、フェノキシフェニル又は−Y−Zであり、
が、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、−CO又は−NRであり、ここにおいて、該アルキル及びアルコキシは、ハロゲン原子及び水酸基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
が、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−CO−、−S(O)−、−SONR−、−CONR−、−CR(OH)−、−CO−、−NRCO−、−NRC(=O)NH−、−NRC(=S)NH−又は−NRSO−であり、
が、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール−C1−6アルキル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環(該基はアリールで置換されていてもよい)であり、ここにおいて、該アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、ハロゲン原子、水酸基、シアノ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
がアリールを含む基であるとき、該基はハロゲン原子、水酸基、シアノ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、−CO及び−NRからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、水酸基又は−Y−Zであり、
が、単結合、−NR−、−O−又は−S(O)−であり、
がハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルである、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−NH、水酸基、ビフェニリル、フェノキシフェニル、−CO又は−Y−Zであり、
が、水素原子、ハロゲン原子又は−NRであり、
が、単結合、C1−6アルキレン、C2−3アルキニレン、−NR−、−O−、−NRCO−又は−NRC(=O)NH−であり、
が、アリール、C3−10シクロアルキル、ヘテロアリール、C1−6アルキル、アリール−C1−6アルキル又は3〜10員の飽和脂肪族へテロ環(該基はアリールで置換されていてもよい)であり、ここにおいて、該アルキル及びシクロアルキルは、ハロゲン原子、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよく、
がアリールを含む基であるとき、該基はハロゲン原子、水酸基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ及び−COからなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されていてもよい、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する膜結合型プロスタグランジンE合成酵素−1の阻害剤。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物、又はそれらの製薬学的に許容される塩を含有する炎症疾患の治療剤。

【公開番号】特開2010−143829(P2010−143829A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319406(P2008−319406)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】