説明

新規なカテコール誘導体、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途

【課題】 COMT阻害作用を有する新規な化合物を提供する。
【解決手段】 一般式(I):
【化1】


〔式中、RおよびRは、それぞれ水素、低級アシル、低級アルコキシカルボニル等であり;Rは、低級アルコキシカルボニル、−C(O)NR1112、−SONR1112、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル基、低級アシル等であり;R、R、R、RおよびRは、それぞれ水素、ハロゲン、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ等である〕で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途を提供する。本発明の化合物は優れたCOMT阻害作用を有するので、パーキンソン病等の治療または予防剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害作用を有する新規なカテコール誘導体、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病は中高年齢者に好発する進行性の神経変性疾患であり、高齢化社会の進展とともにその患者数が増加している。パーキンソン病は、安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などの協調性運動機能障害を主症状とする疾患であり、その病因は中脳黒質ドパミン性神経細胞の変性による線条体ドパミンの欠乏に起因すると考えられている。このようなことから、パーキンソン病の治療薬として、L−ドパおよびドパミンレセプター刺激薬などが使用されている。
【0003】
L−ドパは、ドパミンの前駆物質であり、脳内でドパミンに代謝されて効果を示す薬剤であるが、血中半減期が非常に短い欠点を有する。そのため、L−ドパは、通常L−ドパの代謝酵素阻害剤である、末梢性芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤および/またはカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤とともに使用されている。カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(以下、COMTと称する)は、その補酵素であるS−アデノシル−L−メチオニンからカテコール基質へのメチル基の転送を触媒する酵素であり、この酵素を阻害することによりL−ドパから3−O−メチル−L−ドパへの代謝が阻害され、L−ドパの血中半減期が増加し、さらには血液脳関門を透過するL−ドパ量が増加することが知られている。このようにCOMT阻害剤は、L−ドパと一緒に投与することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させ、その作用時間を延長させることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
COMT阻害剤は、また、尿中ナトリウム排泄促進作用を有するので高血圧症の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献2参照)。COMT阻害剤は、また、うつ病の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0005】
近年、種々のCOMT阻害剤が報告されている。今日まで知られている最も強力なCOMT阻害剤は、トルカポン(3,4−ジヒドロキシ−4’−メチル−5−ニトロベンゾフェノン,特許文献1参照)およびエンタカポン((E)−2−シアノ−N,N−ジエチル−3−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)アクリルアミド,特許文献2参照)であり、これら2剤がパーキンソン病患者に使用されている。しかしながら、トルカポンは、重篤な肝機能障害が認められたことから、厳重な肝機能の監視下での投与が必要とされている(例えば、非特許文献5参照)。また、エンタカポンは、トルカポンに比べて効果が弱く、さらに作用持続時間が短い問題点を有している(例えば、非特許文献6参照)。このようなことから、安全性が高く、強力なCOMT阻害作用を有する新規なCOMT阻害剤が望まれている。
【0006】
Borgulya J.らは、COMT阻害作用を有するカテコール誘導体として、5−メタンスルホニル−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールを報告している(例えば、非特許文献4参照)。しかしながら当該化合物のCOMT阻害活性は十分ではない。
【非特許文献1】Nutt J.G.ら,「Lancet」, 1998年, 351巻, 9111号, p.1221-1222
【非特許文献2】Eklof A.C.ら, 「Kidney Int.」, 1997年, 52巻, 3号, p.742-747
【非特許文献3】Moreau J.L.ら, 「Behav. Pharmacol.」, 1994年, 5巻, 3号, p.344-350
【非特許文献4】Borgulya J.ら, 「Helvetica Chimica Acta」, 1989年, 72巻, p.952-968
【非特許文献5】Benabou R.ら, 「Expert Opin. Drug Saf.」, 2003年, 2巻, 3号, p.263-267
【非特許文献6】Forsberg M.ら, 「J. Pharmacol. Exp. Ther.」, 2003年, 304巻, 2号, p.498-506
【特許文献1】欧州特許出願公開第237929号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2200109号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、強力なCOMT阻害作用を有し、好ましくは高い安全性を有する新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)で表されるカテコール誘導体が、優れたCOMT阻害作用し、さらには高い安全性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【化2】

〔式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、または−C(O)NR1112を表すか、あるいはRおよびRが一緒になって−C(O)−を形成し;
は、以下のa)〜h):
a)低級アルコキシカルボニル基、
b)−C(O)NR1112
c)−SONR1112
d)低級アルキルスルホニル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアリールスルホニル基、
f)低級アシル基、
g)シアノ基、または
h)ハロ低級アルキル基であり;
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、以下のa)〜q):
a)水素原子、
b)ハロゲン原子、
c)低級アルキル基、
d)ハロ低級アルキル基、
e)シクロアルキル基、
f)低級アルコキシ基、
g)ハロ低級アルコキシ基、
h)ヒドロキシ基、
i)ヒドロキシ低級アルキル基、
j)カルボキシ基、
k)低級アルコキシカルボニル基、
l)シクロアルキルオキシカルボニル基、
m)低級アシル基、
n)低級アルキルスルホニル基、
o)シアノ基、
p)−C(O)NR1112、または
q)−SONR1112を表すか、
あるいは、R、R、R、RおよびRのうち2つが隣接する場合、それらが結合して、−O(CHO−、−(CH−、−C(O)−NH−C(O)−、または−CH=CH−CH=CH−で表される基を形成し、
あるいは、RおよびRが、一緒になって、−C(O)−または−C(O)O−で表される基を形成し;
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基またはアラルキル基を表すか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成し;
mは、1または2であり;
nは、3または4である〕
で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩に関する。
【0010】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、一般式(I)に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤に関する。
【0012】
また、本発明は、一般式(I)に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬に関する。
【0013】
一般式(I)で表される化合物において、下記の用語は、特に断らない限り、以下の意味を有する。
【0014】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。R、R、R、RおよびRにおいては、フッ素原子または塩素原子が好適である。
【0015】
「低級アルキル基」とは、直鎖または分岐鎖状のC1−6アルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。R、R、R、R、R、R11およびR12においては、C1−4アルキルが好適であり、メチル基がさらに好適である
【0016】
「ハロ低級アルキル基」とは、1〜3個の同種または異種のハロゲン原子で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられ、好適にはジフルオロメチル基またはトリフルオロメチル基である。
【0017】
「シクロアルキル基」とは、3〜7員の飽和環状炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基が挙げられる。
【0018】
「低級アルコキシ基」とは、直鎖または分岐鎖状のC1−6アルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。R、R、R、RおよびRにおいては、C1−4アルコキシが好適であり、メトキシ基がさらに好適である。
【0019】
「ハロ低級アルコキシ基」とは、1〜3個の同種または異種のハロゲン原子で置換された低級アルコキシ基を意味し、例えば、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられる。
【0020】
「ヒドロキシ低級アルキル基」とは、水酸基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1,1−ジメチルメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
【0021】
「低級アルコキシカルボニル基」とは、(低級アルコキシ)−CO−で表される基を意味し、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。Rにおいては、メトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基が好適であり、メトキシカルボニル基がさらに好適である。
【0022】
「シクロアルキルオキシカルボニル基」とは、(シクロアルキル)−O−CO−で表される基を意味し、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などを意味する。
【0023】
「低級アシル基」とは、(低級アルキル)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基などが挙げられる。Rにおいては、アセチル基またはプロピロニルが好適であり、アセチル基がさらに好適である。
【0024】
「低級アルキルスルホニル基」とは、(低級アルキル)−SO−で表される基を意味し、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ペンタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基などが挙げられ、好適にはメタンスルホニル基である。
【0025】
「アリール基」とは、炭素数6〜10個の芳香族炭化水素を意味し、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられ、好適にはフェニル基である。
【0026】
「アラルキル基」とは、アリール基で置換された低級アルキル基を意味し、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0027】
「アリールスルホニル基」とは、(アリール)−SO−で表される基を意味し、好適にはベンゼンスルホニル基である。
【0028】
「環状アミノ基」とは、環内に−NH−、−O−または−S−を含んでもよい、5〜7員の飽和環状アミンを意味し、例えば、1−ピロリジル基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基などが挙げられる。当該環状アミノ基は、必要に応じて1〜2個の低級アルキル基で置換されてもよい。
【0029】
本発明の一般式(I)で表される化合物において1つまたはそれ以上の不斉炭素原子が存在する場合、本発明は各々の不斉炭素原子がR配置の化合物、S配置の化合物、およびそれらの任意の組み合せの化合物のいずれも包含する。またそれらのラセミ化合物、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物が本発明の範囲に含まれる。本発明の一般式(I)で表される化合物において幾何学異性が存在する場合、本発明はその幾何学異性体のいずれも包含する。本発明の一般式(I)で表される化合物においてアトロプ異性体が存在する場合、本発明はそのアトロプ異性体のいずれも包含する。さらに本発明の一般式(I)で表される化合物には、水和物やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0030】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、塩の形態で存在することができる。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の無機塩基との塩、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、リジン等の有機塩基との塩を挙げることができる。
【0031】
本発明の一般式(I)で表される化合物のひとつの実施態様において、
およびRは、好ましくは水素原子であり;
は、好ましくは低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基、シアノ基、またはハロ低級アルキル基であり、さらに好ましくは低級アルコキシカルボニル基またはシアノ基であり、なおさらに好ましくは低級アルコキシカルボニル基であり;あるいは
、R、R、RおよびRは、好ましくは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子である。
【0032】
本発明の好ましい実施態様では、
およびRは、水素原子である。
【0033】
本発明のさらに好ましい実施態様では、
およびRは、水素原子であり、
は、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基、シアノ基、またはハロ低級アルキル基である。
【0034】
本発明のなおさらに好ましい実施態様では、
およびRは、水素原子であり、
は、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アシル基、シアノ基、またはハロ低級アルキル基であり、
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基であある。
【0035】
本発明の好ましい実施態様の具体例は、以下からなる群から選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩である:
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ビス(ジエチルカルバモイルオキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−(3−クロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−(4−クロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロベンゾニトリル;
;6−(2−クロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;および
6−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロベンゾニトリル。
【0036】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、スキーム1または2に示す方法により製造することができる。
【0037】
【化3】

(式中、R、R、R、R、R、およびRは、前記と同義であり;Lは臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離基を表し;Bnはベンジル基を表し;R20は、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基または−CONR1112を表す。)
【0038】
工程1−1
化合物(X)およびアリールチオール(XI)を、不活性溶媒中、塩基、金属触媒および配位子の存在下に縮合させることにより、チオエーテル誘導体(XII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、トルエンなどが挙げられる。塩基としては、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウム、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミンなどが挙げられる。金属触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ヨウ化第一銅などが挙げられる。配位子としては、例えば、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンなどが挙げられる。その反応温度は、通常、80℃〜110℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0039】
工程1−2
チオエーテル誘導体(XII)を、適切な溶媒中、酸化剤を用いて酸化することにより、スルホン誘導体(XIII)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、アセトン、酢酸、水などが挙げられる。酸化剤としては、例えば、m−クロロ過安息香酸、オキソン(登録商標)、過酸化水素水、過ホウ酸ナトリウムなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。
【0040】
工程1−3
スルホン誘導体(XIII)のベンジル基を、不活性溶媒(例えば、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど)中、水素雰囲気下、金属触媒(例えば、パラジウム炭素、酸化白金など)の存在下に除去することにより、フェノール誘導体(XIV)が得られる。その反応温度は、通常、室温〜80℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分〜12時間である。
また、この脱ベンジル化は、スルホン誘導体(XIII)を、不活性溶媒(例えば、塩化メチレン、トルエンなど)中、酸またはルイス酸(例えば、臭化水素、塩化アルミニウム、四塩化チタンなど)を用いて処理することによっても行うこともできる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常15分〜24時間である。
【0041】
工程1−4
フェノール誘導体(XIV)を、不活性溶媒中、ニトロ化剤を用いニトロ化することにより、ニトロフェノール誘導体(XV)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、酢酸、テトラヒドロフラン、無水酢酸などが挙げられる。ニトロ化剤としては、例えば、硝酸、発煙硝酸、テトラフルオロホウ酸ニトロニウムなどが挙げられる。その反応温度は、通常、−20℃〜80℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜12時間である。
【0042】
工程1−5
ニトロフェノール誘導体(XV)を、不活性溶媒中、脱メチル化剤を用いて脱メチル化することにより、化合物(Ia)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、酢酸エチル、ピリジン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。脱メチル化剤としては、例えば、塩化アルミニウム−ピリジンなどが挙げられる。その反応温度は、通常、20℃〜120℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、1時間〜24時間である。
またこの脱メチル化は、ニトロフェノール誘導体(XV)を、酢酸溶媒中、臭化水素酸またはヨウ化水素酸で処理することによっても行うことができる。その反応温度は、通常、20℃〜還流温度であり、反応時間は、使用する原料物質、反応温度などにより異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0043】
工程1−6
化合物(Ia)を、アシル化剤を用いてアシル化することにより、化合物(Ib)が得られる。このようなアシル化は、当業者には周知であり、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.H.Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」第4版に記載された方法に従って行うことができる。
【0044】
【化4】

(式中、R、R、R、R、R、R、BnおよびLは、前記と同義であり;Lは臭素原子またはヨウ素原子を表す。)
【0045】
工程2−1
工程1−1と同様にして、化合物(XVII)およびアリールチオール(XVI)からチオエーテル誘導体(XVIII)を合成することができる。
【0046】
工程2−2
チオエーテル誘導体(XVIII)を、適切な溶媒中、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化することにより、チオエーテル誘導体(XIX)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、酢酸、アセトニトリルなどが挙げられる。ハロゲン化剤としては、例えば、臭素、ヨウ素、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミドなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。また、本反応は、必要に応じて、酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸銀などの添加剤を加えて行ってもよい。
【0047】
工程2−3
チオエーテル誘導体(XIX)を、工程1−2と同様にして酸化することにより、スルホン誘導体(XX)が得られる。
【0048】
工程2−4
スルホン誘導体(XX)と、ボロン酸誘導体(XXI)またはトリブチルスズ誘導体(XXII)とを、不活性溶媒中、塩基および金属触媒の存在下に縮合させることにより、スルホン誘導体(XIII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、エタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、トルエンなどが挙げられる。塩基としては、例えば、フッ化セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウム、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。金属触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などが挙げられる。その反応温度は、通常、80℃〜200℃であり、反応時間は、使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、5分〜24時間である。
【0049】
以下、スキーム1の工程1−3〜工程1−5と同様にして、化合物(XIII)から化合物(Ia)を合成することができる。
【0050】
上記に示したスキームは、本発明の化合物またはその製造中間体を製造するための方法のいくつかの例示であり、当業者には容易に理解され得るようにこれらのスキームの様々な改変が可能である。
【0051】
本発明の一般式(I)で表される化合物、および当該化合物を製造するために使用される中間体は、必要に応じて、当該分野の当業者には周知の単離・精製手段である溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィーなどの操作を行うことにより、単離・精製することができる。
【0052】
このようにして製造される本発明の化合物は、優れたCOMT阻害作用を有するのでパーキンソン病の治療または予防薬として有用であり、好適にはL−ドパと組み合わせて使用される。また、本発明の化合物およびL−ドパと、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤とを組み合わせて使用してもよい。本発明のCOMT阻害剤と組み合わせて使用できる芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤としては、例えば、カルビドパ、ベンセラジドなどが挙げられる。
また、必要に応じて、COMT阻害剤およびL−ドパ以外のパーキンソン治療剤をさらに組み合わせて使用してもよい。このようなパーキンソン病治療薬としては、例えば、ドロキシドパ、メレボドパ、スレオドプス;ドパミンD受容体アゴニスト(例えば、カベルゴリン、メシル酸ブロモクリプチン、テルグリド、塩酸タリペキソール、塩酸ロピニロール、メシル酸ペルゴリド、塩酸プラミペキソール、ロチゴチンなど);抗コリン剤(例えば、プロフェナミン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸マザチコール、ピペリデン、塩酸ピロヘプチン、塩酸メチキセンなど);アデノシンA2A拮抗剤(例えば、イストラデフィリンなど);NMDA拮抗剤(例えば、ブジピンなど);モノアミンオキシダーゼB阻害剤(例えば、塩酸セレギリン、メシル酸ラサギリン、メシル酸サフィナミドなど);ゾニサミド;塩酸アマンタジンなどが挙げられる。
【0053】
本発明の化合物は、また、うつ病の治療または予防薬として有用である。本発明の化合物は、また、尿中ナトリウム排泄促進作用を有するので高血圧症の治療薬として有用である。
【0054】
本発明の一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物は、用法に応じ種々の剤型のものが使用される。このような剤型としては例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤などを挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0055】
これらの医薬組成物は、その剤型に応じ製剤学的に公知の手法により、適切な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤などの医薬品添加物と適宜混合または希釈・溶解することにより調剤することができる。
【0056】
一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、経口投与の場合成人1日当たり約10mg〜約3000mgの範囲で、非経口投与の場合は、成人1日当たり約5mg〜約1000mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。
【0057】
本発明の一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬は、これらの有効成分を一緒に含有する製剤、またはこれらの有効成分の各々を別々に製剤化した製剤として投与することができる。別々に製剤化した場合、それらの製剤を別々にまたは同時に投与することができる。また、別々に製剤化した場合、それらの製剤を使用時に希釈剤などを用いて混合し、同時に投与することができる。
【0058】
本発明の一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬において、薬剤の配合比は、患者の年齢、性別、および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせなどにより、適宜選択することができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明の化合物は、強力なCOMT阻害作用を有する。また、本発明の化合物は、肝への影響が軽微であり、高い安全性を有する。従って本発明の化合物は、パーキンソン病、うつ病、高血圧症の治療または予防剤として有用であり、特に本発明の化合物と、L−ドパとを組み合わせて使用することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させることができるので、パーキンソン病の治療または予防に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明の内容を以下の参考例、実施例および試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0061】
参考例1−1
5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシベンズアルデヒド
3−ベンジルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(485mg)および塩化メチレン(8mL)の混合物に室温でトリフルオロ酢酸銀(486mg)およびよう素(558mg)を加え、その混合物を2時間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過し、塩化メチレンで洗浄した。濾液を亜硫酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し、メタノールで洗浄し、表題化合物(380mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.95(3H, s), 5.16(2H, s), 7.31-7.48(7H, m), 9.84(1H, s)
【0062】
参考例1−2
5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシ安息香酸メチル
3−ベンジルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒドの代わりに3−ベンジルオキシ−4−メトキシ安息香酸メチルを用い参考例1−1と同様の方法により表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.88(3H, s), 3.91(3H, s), 5.14(2H, s), 7.31-7.45(6H, m), 7.52(1H, s)
【0063】
参考例2−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシメトキシ安息香酸メチル
2−ヨード−4,5−ジメトキシ安息香酸メチル(10.5g)および塩化メチレン(30mL)の混合物に0℃で三臭化ほう素(1.0mol/L塩化メチレン溶液、81mL)を20分間かけて加えた。混合物を0℃で1時間、室温で20時間撹拌した。メタノール(20mL)を0℃で30分間かけて加えた後、混合物を室温で30分間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣に水(200mL)を加えた。不溶物を濾取し、水で洗浄し4,5−ジヒドロキシ−2−ヨード安息香酸メチル(7.39g)を得た。
4,5−ジヒドロキシ−2−ヨード安息香酸メチル(5.1g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(120mL)の混合物に0℃で炭酸カリウム(3.12g)およびベンジルブロミド(2.7mL)を加え、その混合物を室温で1時間撹拌した。0℃で2mol/L塩酸を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:50%酢酸エチル/ヘキサンから10%メタノール/塩化メチレン、グラジエント溶出)で精製し、4−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシ−2−ヨード安息香酸メチル(3.61g)を得た。
4−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシ−2−ヨード安息香酸メチル(1.35g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)の混合物にアルゴン雰囲気下0℃で炭酸カリウム(971mg)およびクロロメチルメチルエーテル(0.4mL)を加えた。室温で12時間撹拌した後、混合物にジエチルエーテルを加え、その混合物を水に注いだ。混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し、表題化合物(1.2g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.50(3H, s), 3.89(3H, s), 5.15(2H, s), 5.22(2H, s), 7.32-7.44(5H, m), 7.50(1H, s), 7.70(1H, s)
【0064】
参考例3−1
4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−2−フェニルスルファニル安息香酸
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(430mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(506mg)およびトルエン(40mL)の混合物に4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシメトキシ安息香酸メチル(参考例2−1)(4.02g)、ベンゼンチオール(1.2mL)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.3mL)を加え、アルゴン雰囲気下100℃で混合物を1時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチル(80mL)およびフロリジル(登録商標)(10g)を加えて、混合物を30分間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣、シリカゲル(30g)、アミノプロピルシリカゲル(30g)および塩化メチレン(150mL)の混合物を30分間撹拌した後、セライト(登録商標)層を通して濾過した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:5―25%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−2−フェニルスルファニル安息香酸メチル(3.44g)を得た。
4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−2−フェニルスルファニル安息香酸メチル(2.66g)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(10mL)、1,4−ジオキサン(30mL)およびメタノール(30mL)の混合物を50℃で3時間撹拌した。混合物に酢酸エチルおよび2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を50%ジエチルエーテル/ヘキサンで粉砕し表題化合物(2.51g)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.38(3H, s), 4.79(2H, s), 5.17(2H, s), 6.34(1H, s), 7.04-7.06(2H, m), 7.29-7.31(3H, m), 7.42-7.51(5H, m), 7.64(1H, s), 12.97(1H, br)
【0065】
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシメトキシ安息香酸メチルの代わりに対応するアリールハライドを用い参考例3−1と同様の方法により、参考例3−2〜参考例3−3を合成した。これらを表1に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
参考例3−2〜参考例3−3の物性値を以下に示した。
【0068】
参考例3−2
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.44(3H, s), 5.10(2H, s), 6.32(1H, s), 7.31-7.52(10H, m), 7.54(1H, s), 12.92(1H, br)
【0069】
参考例3−3
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.43 (3H, s), 3.77 (3H, s), 6.31 (1H, s), 7.44-7.51 (6H, m), 12.95 (1H, br)
【0070】
参考例4−1
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−5−ジフルオロメチル−2−メトキシベンゼン
5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシベンズアルデヒド(1g)、ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄三フッ化物(6.89g)および塩化メチレン(100mL)の混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を氷に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:0―50%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(994mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.90(3H, s), 5.14(2H, s), 6.82(1H, t, J=55.3Hz), 7.04(1H, s), 7.18(1H, s), 7.29-7.48(5H, m)
【0071】
参考例5−1
2−ブロモ−4,5−ジメトキシ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド
2−ブロモ−4,5−ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド(5.4g)およびテトラヒドロフラン(25mL)の混合物に氷冷下トリエチルアミン(3.6mL)および50%ジメチルアミン溶液(10mL)を加え、混合物を20分間撹拌した。混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―60%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(5.55g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:2.88(6H, s), 3.92(3H, s), 3.94(3H, s), 7.15(1H, s), 7.58(1H, s)
【0072】
参考例6−1
4−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−メトキシメトキシ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド
2−ブロモ−4,5−ジメトキシ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(参考例5−1)(3.85g)および塩化メチレン(50mL)の混合物に氷冷下、三臭化ホウ素(1mol/L塩化メチレン溶液、30mL)をゆっくり加えた。氷冷で10分間、室温で10分間撹拌した後、混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し2−ブロモ−4,5−ジヒドロキシ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(3.48g)を得た。
2−ブロモ−4,5−ジヒドロキシ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(3.48g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(80mL)の混合物に氷冷下アルゴン雰囲気下にて炭酸カリウム(2.1g)を加えた。室温でベンジルブロミド(1.8mL)を加え、混合物を1時間撹拌した。混合物に氷冷下2mol/L塩酸、水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―40%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、4−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−ヒドロキシ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(1.91g)を得た。
4−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−ヒドロキシ−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(1.91g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)の混合物に氷冷下炭酸カリウム(1.37g)およびクロロメチルメチルエーテル(0.56mL)を加え、室温で混合物を2時間撹拌した。混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し、メタノールで洗浄し、表題化合物(1.59g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:2.87(6H, s), 3.50(3H, s), 5.17(2H, s), 5.23(2H, s), 7.24(1H, s), 7.34-7.44(5H, m), 7.82(1H, s)
【0073】
参考例7−1
3−ベンジルオキシ−4−メトキシベンゼンチオール
チオシアン酸ナトリウム(2.28g)およびメタノール(60mL)の混合物に氷冷下N−クロロコハク酸イミド(4g)を加え、混合物を40分間撹拌した。氷冷下2−ベンジルオキシフェノール(4g)を加え、混合物を1時間撹拌した。混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液、ジエチルエーテルおよび水を加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、2−ベンジルオキシ−4−チオシアナトフェノールを得た。
2−ベンジルオキシ−4−チオシアナトフェノールおよびN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)の混合物にアルゴン雰囲気下0℃で炭酸カリウム(4.15g)およびヨードメタン(2.5mL)を加え、室温下混合物を6時間撹拌した。混合物に水およびジエチルエーテルを加えた。分取した有機層を2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣、シリカゲル(20g)および50%酢酸エチル/ヘキサン(80mL)の混合物を30分間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層を通し、50%酢酸エチル/ヘキサン(500mL)で溶出し、濾液を減圧下濃縮し、2−ベンジルオキシ−1−メトキシ−4−チオシアナトベンゼン(5.37g)を得た。
2−ベンジルオキシ−1−メトキシ−4−チオシアナトベンゼン(5.37g)およびエタノール(90mL)の混合物にジチオスレイトール(6.1g)および0.02mol/Lリン酸二水素カリウム水溶液(10mL)を加え、90℃で混合物を1時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した。残渣および水(80mL)の混合物を撹拌した。不溶物を濾取し、水で洗浄し、表題化合物(6.65g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.36(1H, s), 3.85(3H, s), 5.11(2H, s), 6.78(1H, d, J=8.2Hz), 6.89-6.93(2H, m), 7.29-7.44(5H, m)
【0074】
参考例7−2
4−ベンジルオキシ−3−メトキシベンゼンチオール
2−ベンジルオキシフェノールおよびヨードメタンの代わりに2−メトキシフェノールおよびベンジルブロミドを用い、参考例7−1と同様の方法により表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.04(1H, s), 3.87(3H, s), 5.11(2H, s), 6.76(1H, d, J=8.2Hz), 7.05-7.10(2H, m), 7.25-7.45(5H, m)
【0075】
参考例8−1
2−ベンジルオキシ−1−メトキシ−4−メチルスルファニルベンゼン
3−ベンジルオキシ−4−メトキシベンゼンチオール(参考例7−1)(5.67g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)の混合物に室温で炭酸カリウム(3.82g)およびヨードメタン(2.1mL)を加え、混合物を1時間撹拌した。混合物に水およびジエチルエーテルを加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:3―20%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(3.59g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:2.39(3H, s), 3.86(3H, s), 5.14(2H, s), 6.83-6.90(3H, m), 7.28-7.45(5H, m)
【0076】
参考例9−1
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−メトキシ−5−メチルスルファニルベンゼン
2−ベンジルオキシ−1−メトキシ−4−メチルスルファニルベンゼン(参考例8−1)(1.3g)、塩化メチレン(15mL)および酢酸(20mL)の混合物に室温下臭素(0.28mL)を加え、混合物を1時間撹拌した。混合物に水およびジエチルエーテル(150mL)加えた。分取した有機層を水、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をヘキサンで粉砕し、表題化合物(1.18g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:2.32(3H, s), 3.86(3H, s), 5.15(2H, s), 6.78(1H, s), 7.06(1H, s), 7.29-7.43(5H, m)
【0077】
参考例10−1
1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼン
4−ベンジルオキシ−3−メトキシベンゼンチオール(参考例7−2)(3.7g)、ヨードベンゼン(2.0mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(686mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(809mg)、カリウムtert−ブトキシド(2.53g)およびトルエン(56mL)の混合物を104℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、混合物をセライト(登録商標)層に通して濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムグラフィー(溶出溶媒:6―90%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(4.36g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.84(3H, s), 5.16(2H, s), 6.86(1H, d, J=8.5Hz), 6.95-7.05(2H, m), 7.10-7.40(8H, m), 7.40-7.50(2H, m)
【0078】
参考例10−2
1−ベンジルオキシ−4−(3,5−ジクロロフェニルスルファニル)−2−メトキシベンゼン
ヨードベンゼンの代わりに3,5−ジクロロヨードベンゼンを用い参考例10−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.88(3H, s), 5.20(2H, s), 6.90-7.00(3H, m), 7.00-7.15(3H, m), 7.25-7.50(5H, m)
【0079】
参考例11−1
5−ベンジルオキシ−4−メトキシ−2−フェニルスルファニルベンズアルデヒド
5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシベンズアルデヒド(参考例1−1)(2g)、ベンゼンチオール(0.614mL)、ヨウ化第一銅(1.04g)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(652mL)、N,N−ジイソプロピルアミン(1.15mL)および1,4−ジオキサン(30mL)の混合物をアルゴン雰囲気下100℃で30分間撹拌した。室温に冷却後、混合物を5mol/L塩酸(30mL)および氷(90g)に注いだ。混合物に酢酸エチル(50mL)を加え、その混合物をセライト(登録商標)層を通した。分取した有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し、表題化合物(807mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.82(3H, s), 5.19(2H, s), 6.88(1H, s), 7.21-7.24(3H, m), 7.28-7.47(7H, m), 7.53(1H, s), 10.38(1H, s)
【0080】
参考例12−1
4−ベンゼンスルホニル−5−ジフルオロメチル−2−メトキシフェノール
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−5−ジフルオロメチル−2−メトキシベンゼン(参考例4−1)(994mg)、ベンゼンチオール(0.357mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(146mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(168mg)、カリウムtert−ブトキシド(489mg)およびトルエン(20mL)の混合物を120℃で2時間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層に通し、減圧下濃縮し、1−ベンジルオキシ−5−ジフルオロメチル−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼンを得た。
1−ベンジルオキシ−5−ジフルオロメチル−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼンおよび塩化メチレン(20mL)の混合物にm−クロロ過安息香酸(2.3g)を加え,室温でその混合物を3時間撹拌した。混合物に亜硫酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し,無水硫酸マグネシムで乾燥後、減圧下濃縮し、1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−ジフルオロメチル−5−メトキシベンゼンを得た。
1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−ジフルオロメチル−5−メトキシベンゼンおよび塩化メチレン(10mL)の混合物に四塩化チタン(824mg)を加え、室温で混合物を10分間撹拌した。混合物に1mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―100%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し表題化合物(341mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.02(3H, s), 7.32-7.67(5H, m), 7.83-7.88(1H, m)
【0081】
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−5−ジフルオロメチル−2−メトキシベンゼンおよびベンゼンチオールの代わりに対応するアリールハライドおよびベンゼンチオールを用い参考例12−1と同様の方法により、参考例12−2〜参考例12−4を合成した。これらを表2に示した。
【0082】
【表2】

【0083】
参考例12−2〜参考例12−4の物性値を以下に示した。
【0084】
参考例12−2
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.72(3H, s), 4.05(3H, s), 7.29(1H, s), 7.40-7.45(1H, m), 7.47-7.52(2H, m), 7.99(1H, s), 8.21-8.26(1H, m)
【0085】
参考例12−3
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.84(3H, s), 4.04(3H, s), 6.18(1H, s), 7.21(1H, s), 7.41-7.48(1H, m), 7.49-7.55(1H, m), 7.69(1H, s), 7.80-7.85(1H, m), 7.87-7.91(1H, m)
【0086】
参考例12−4
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.85(3H, s), 4.03(3H, s), 6.15(1H, s), 7.19(1H, s), 7.47(2H, d, J=8.8Hz), 7.67(1H, s), 7.87(2H, d, J=8.8Hz)
【0087】
参考例13−1
4−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−5−ヒドロキシ安息香酸メチル
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシメトキシ安息香酸メチル(参考例2−1)(857mg)、3,5−ジクロロベンゼンチオール(537mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(183mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(215mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.7mL)およびトルエン(10mL)の混合物を120℃で1時間撹拌した。フロリジル(登録商標)(5g)を加え、室温で混合物を30分間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層に通してろ過し、50%酢酸エチル/ヘキサンで洗い流した後、濾液を減圧下濃縮し、4−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロフェニルスルファニル)−5−メトキシメトキシ安息香酸メチルを得た。
4−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロフェニルスルファニル)−5−メトキシメトキシ安息香酸メチルおよび塩化メチレン(15mL)の混合物に0℃でm−クロロ過安息香酸(2.1g)を加え、室温で混合物を15時間撹拌した。混合物に2mol/L水酸化ナトリウムおよび酢酸エチルを加えた。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:5―35%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、4−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−5−メトキシメトキシ安息香酸メチル(582mg)を得た。
4−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−5−メトキシメトキシ安息香酸メチル(580mg)、塩化メチレン(4mL)、水(1mL)およびトリフルオロ酢酸(4mL)の混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣にトルエンを加えて減圧下濃縮する操作を2回行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―40%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(497mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.86(3H, s), 5.29(2H, s), 6.21(1H, s), 7.25(1H, s), 7.40-7.45(5H, m), 7.51(1H, t, J=1.9Hz), 7.70(2H, d, J=1.9Hz), 7.74(1H, s)
【0088】
参考例13−2
2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシ安息香酸メチル
3,5−ジクロロベンゼンチオールの代わりにベンゼンチオールを用い参考例13−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.72(3H, s), 5.34(2H, s), 7.01(1H, s), 7.35-7.78(11H, m), 10.81(1H, s)
【0089】
参考例14−1
1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼン
1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼン(参考例10−1)(19.1g)、酢酸ナトリウム(5.4g)および酢酸(300mL)の混合物に臭素(9.96g)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、表題化合物(18.0g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.72(3H, s), 5.12(2H, s), 6.86(1H, s), 7.16(1H, s), 7.20-7.50(10H, m)
【0090】
参考例14−2
1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−4−(3,5−ジクロロフェニルスルファニル)−2−メトキシベンゼン
1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼンの代わりに1−ベンジルオキシ−4−(3,5−ジクロロフェニルスルファニル)−2−メトキシベンゼン(参考例10−2)を用い参考例14−1と同様の方法により表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.84(3H, s), 5.16(2H, s), 6.94(2H, d, J=1.9Hz), 7.08(1H, s), 7.14(1H, t, J=1.9Hz), 7.23(1H, s), 7.30-7.50(5H, m)
【0091】
参考例15−1
1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−メトキシベンゼン
1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼン(参考例14−1)(1.04g)、m−クロロ過安息香酸(2.06g)および塩化メチレン(26mL)の混合物を室温で13時間撹拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を1mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、表題化合物(1.12g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.99(3H, s), 5.14(2H, s), 7.10(1H, s), 7.30-7.45(5H, m), 7.45-7.55(2H, m), 7.55-7.65(1H, m), 7.85-7.95(3H, m)
【0092】
参考例15−2
1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−4−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−2−メトキシベンゼン
1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−2−メトキシ−4−フェニルスルファニルベンゼンの代わりに1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−4−(3,5−ジクロロフェニルスルファニル)−2−メトキシベンゼン(参考例14−2)を用い参考例15−1と同様の方法により表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.00(3H, s), 5.16(2H, s), 7.14(1H, s), 7.30-7.45(5H, m), 7.55(1H, t, J=1.9Hz), 7.79(2H, d, J=1.9Hz), 7.84(1H, s)
【0093】
参考例16−1
1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−メタンスルホニル−5−メトキシベンゼン
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(231mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(292mg)およびトルエン(15mL)の混合物をアルゴン雰囲気下室温で10分間撹拌した。混合物に1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−メトキシ−5−メチルスルファニルベンゼン(参考例9−1)(1.14g)、ベンゼンチオール(0.41mL)およびカリウムtert−ブトキシド(566mg)を加え、115℃で混合物を15時間撹拌した。室温に冷却し、トルエン(40mL)、フロリジル(登録商標)(5g)およびアミノプロピルシリカゲル(10g)を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層に通し、トルエンで溶出し、濾液を減圧下濃縮し、1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−5−メチルスルファニル−4−フェニルスルファニルベンゼンを得た。
1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−5−メチルスルファニル−4−フェニルスルファニルベンゼンおよび塩化メチレン(40mL)の混合物にm−クロロ過安息香酸(5.4g)を室温で加え、混合物を18時間撹拌した。混合物に氷冷下20%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(40mL)および酢酸エチル(100mL)を加えた。分取した有機層を2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―50%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(730mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.42(3H, s), 4.07(3H, s), 5.24(2H, s), 7.33-7.57(8H, m), 7.83(1H, s), 7.91-7.93(2H, m), 7.97(1H, s)
【0094】
参考例16−2
1,2−ビスベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンゼン
1−ベンジルオキシ−4−ブロモ−2−メトキシ−5−メチルスルファニルベンゼンの代わりに1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−メトキシベンゼン(参考例15−1)を用い、参考例16−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.06(3H, s), 5.36(2H, s), 7.30-7.60(11H, m), 7.60-7.80(2H, m), 7.80-8.00(4H, m)
【0095】
参考例17−1
5−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−4−メトキシベンゾニトリル
1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−4−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−2−メトキシベンゼン(参考例15−2)(253mg)、シアン化第一銅(72.8mg)および1−メチル−2−ピロリジノン(1mL)の混合物を撹拌しながらマイクロ波を照射し、200℃で20分間加熱した。混合物に水、28%アンモニア水(4mL)および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:16―20%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(97.8mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.06(3H, s), 5.20(2H, s), 7.21(1H, s), 7.30-7.45(5H, m), 7.59(1H, t, J=1.9Hz), 7.70(1H, s), 7.92(2H, d, J=1.9Hz)
【0096】
参考例17−2
2−ベンゼンスルホニル−5−ベンジルオキシ−4−メトキシベンゾニトリル
1−ベンジルオキシ−5−ブロモ−4−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−2−メトキシベンゼンの代わりに1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−メトキシベンゼン(参考例15−1)を用い参考例17−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.04(3H, s), 5.17(2H, s), 7.18(1H, s), 7.30-7.45(5H, m), 7.50-7.60(2H, m), 7.60-7.65(1H, m), 7.70-7.80(1H, m), 8.00-8.10(2H, m)
【0097】
参考例18−1
5−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロ−2−メトキシメトキシフェニルスルファニル)−4−メトキシ安息香酸メチル
2,4−ジクロロ−6−ヨードフェノール(3.63g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)の混合物に0℃で炭酸カリウム(4.15g)およびクロロメチルメチルエーテル(1.7mL)を加え、室温で混合物を2時間撹拌した。ジエチルエーテルを加え、混合物を水に注いだ。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣、シリカゲル(30g)、アミノプロピルシリカゲル(20g)および10%酢酸エチル/ヘキサン(100mL)の混合物を30分間撹拌した後、セライト(登録商標)層を通し、濾液を減圧下濃縮し、1,5−ジクロロ−3−ヨード−2−メトキシメトキシベンゼン(4.44g)を得た。
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(291mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(343mg)およびトルエン(20mL)の混合物にアルゴン雰囲気下室温で1,5−ジクロロ−3−ヨード−2−メトキシメトキシベンゼン(2.12g)、トリイソプロピルシランチオール(1.5mL)およびナトリウムヘキサメチルジシラジド(0.6mol/Lテトラヒドロフラン溶液、12.7mL)を加え、110℃で混合物を1時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチル(40mL)およびフロリジル(登録商標)(5g)を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)に通し、酢酸エチルで洗い流し、濾液を減圧下濃縮した。残渣、シリカゲル(50g)および20%酢酸エチル/ヘキサン(150mL)の混合物を30分間撹拌した後、セライト層を通し、20%酢酸エチル/ヘキサンで洗い流し、減圧下濃縮し、(3,5−ジクロロ−2−メトキシメトキシフェニルスルファニル)トリイソプロピルシランを得た。
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(364mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(428mg)およびトルエン(30mL)の混合物にアルゴン雰囲気下室温で5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシ安息香酸メチル(参考例1−2)(2.11g)、(3,5−ジクロロ−2−メトキシメトキシフェニルスルファニル)トリイソプロピルシラン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.8mL)およびフッ化セシウム(2.42g)を加え、125℃で混合物を2時間撹拌した。酢酸エチル(60mL)およびフロリジル(登録商標)(10g)を加え、室温で混合物を30分間撹拌した。混合物をセライト層に通し、酢酸エチルで洗い出し、濾液を減圧下濃縮した。残渣、アミノプロピルシリカゲル(30g)および塩化メチレン(150mL)の混合物を30分間撹拌し、セライト層を通し、塩化メチレンで洗い出し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:3―15%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(1.3g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.61(3H, s), 3.71(3H, s), 3.86(3H, s), 5.15(2H, s), 5.18(2H, s), 6.53(1H, s), 7.12(1H, d, J=2.5Hz), 7.31-7.46(6H, m), 7.57(1H, s)
【0098】
参考例19−1
5−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシフェニルスルファニル)−4−メトキシ安息香酸
5−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロ−2−メトキシメトキシフェニルスルファニル)−4−メトキシ安息香酸メチル(参考例18−1)(1.3g)、メタノール(10mL)およびテトラヒドロフラン(20mL)の混合物に0℃で濃塩酸(10mL)を加え、室温で混合物を20時間撹拌した。酢酸エチルを加え、混合物を水に注いだ。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し5−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシフェニルスルファニル)−4−メトキシ安息香酸メチルを得た。
5−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシフェニルスルファニル)−4−メトキシ安息香酸メチル、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(20mL)、1,4−ジオキサン(60mL)およびメタノール(10mL)の混合物を60℃で2時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した。残渣に2mol/L塩酸(100mL)および酢酸エチル(300mL)を加えた。分取した有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を50%ジエチルエーテル/ヘキサンで粉砕し、50%ジエチルエーテル/ヘキサンで洗浄し、表題化合物(4.05g)を得た。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.56(3H, s), 5.12(2H, s), 6.38(1H, s), 7.29(1H, d, J=2.5Hz), 7.32-7.45(5H, m), 7.55(1H, s), 7.61(1H, d, J=2.5Hz), 10.22(1H, br), 13.02(1H, br)
【0099】
参考例20−1
2−ベンジルオキシ−7,9−ジクロロ−5,5−ジオキシド−3−メトキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オン
5−ベンジルオキシ−2−(3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシフェニルスルファニル)−4−メトキシ安息香酸(参考例19−1)(995mg)およびベンゼン(40mL)の混合物に室温でトリフルオロ酢酸無水物(0.47mL)を加え、50℃で混合物を30分間撹拌した。混合物に水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、2−ベンジルオキシ−7,9−ジクロロ−3−メトキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オンを得た。
2−ベンジルオキシ−7,9−ジクロロ−3−メトキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オンおよび塩化メチレン(20mL)の混合物に0℃でm−クロロ過安息香酸(1.8g)を加え、室温で混合物を18時間撹拌した。混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し、メタノールで洗浄して、表題化合物(633mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.01(3H, s), 5.21(2H, s), 7.34-7.44(5H, m), 7.45(1H, s), 7.49(1H, s), 7.66(1H, d, J=2.5Hz), 7.86(1H, d, J=2.5Hz)
【0100】
参考例21−1
4,5−ジメトキシ−2−(2−メトキシフェニルスルファニル)安息香酸エチル
2−ヨード−4,5−ジメトキシ安息香酸(5g)、炭酸カリウム(3.36g)、ヨードエタン(1.9mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)の混合物を室温で60時間撹拌した。混合物に水(100mL)を加えた。不溶物を濾取し、水で洗浄し、2−ヨード−4,5−ジメトキシ安息香酸エチル(5.15g)を得た。
2−ヨード−4,5−ジメトキシ安息香酸エチル(5.1g)、2−メトキシベンゼンチオール(2.2mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(695mg)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(817mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.3mL)およびトルエン(40mL)の混合物を100℃で1時間撹拌した。酢酸エチル(50mL)およびフロリジル(登録商標)(10g)を加え、室温で混合物を30分間撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層に通してろ過し、酢酸エチルで洗い流した後、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―50%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(4.81g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:1.40(3H, t, J=7.2Hz), 3.54(3H, s), 3.81(3H, s), 3.90(3H, s), 4.40(2H, q, J=7.2Hz), 6.29(1H, s), 6.96-7.91(2H, m), 7.39-7.42(1H, m), 7.48-7.50(1H, m), 7.51(1H, s)
【0101】
参考例22−1
2,3−ジメトキシチオキサンテン−9−オン
4,5−ジメトキシ−2−フェニルスルファニル安息香酸(参考例3−3)(4g)およびトルエン(40mL)の混合物に室温で塩化チオニル(2mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(5滴)加え、60℃で混合物を1時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した。残渣にトルエンを加え、混合物を減圧下濃縮し、4,5−ジメトキシ−2−フェニルスルファニルベンゾイルクロリドを得た。
4,5−ジメトキシ−2−フェニルスルファニルベンゾイルクロリドおよび塩化メチレン(60mL)の混合物に0℃アルゴン雰囲気下で塩化アルミニウム(2.76g)をゆっくり加え、室温で混合物を30分間撹拌した。混合物に0℃で2mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し、メタノールで洗浄し、表題化合物(3.46g)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.02(3H, s), 4.03(3H, s), 6.95(1H, s), 7.47-7.51(1H, m), 7.57-7.62(2H, m), 8.07(1H, s), 8.63-8.65(1H, m)
【0102】
参考例23−1
4,5−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシフェニルスルファニル)安息香酸エチル
4,5−ジメトキシ−2−(2−メトキシフェニルスルファニル)安息香酸エチル(参考例21−1)(4.8g)および塩化メチレン(25mL)の混合物に0℃で三臭化ホウ素(1mol/L塩化メチレン溶液、55mL)をゆっくり加えた。混合物を同温度で1時間、室温で8時間撹拌した。三臭化ホウ素(1mol/L塩化メチレン溶液、14mL)を加え、混合物を室温で15時間撹拌した。エタノール(40mL)を0℃で1時間かけて加え、混合物を室温で1時間撹拌後、減圧下濃縮し、表題化合物(3.34g)を得た。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:1.30(3H, t, J=7.2Hz), 4.24(2H, q, J=7.2Hz), 6.15(1H, s), 6.85-6.88(1H, m), 6.96-6.98(1H, m), 7.28-7.33(2H, m), 7.37(1H, s), 9.20(1H, br), 9.73(2H, br)
【0103】
参考例23−2
2,3−ジヒドロキシチオキサンテン−9−オン
4,5−ジメトキシ−2−(2−メトキシフェニルスルファニル)安息香酸エチルの代わりに2,3−ジメトキシチオキサンテン−9−オン(参考例22−1)を用い、参考例23−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:7.05(1H, s), 7.51-7.54(1H, m), 7.68-7.71(1H, m), 7.75-7.76(1H, m), 7.86(1H, s), 8.42-8.43(1H, m), 9.99(1H, br), 10.48(1H, br)
【0104】
参考例24−1
2,3−ジヒドロキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オン
4,5−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシフェニルスルファニル)安息香酸エチル(参考例23−1)(1g)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(15mL)、エタノール(10mL)および1,4−ジオキサン(10mL)の混合物を室温で1時間、80℃で6時間撹拌した。混合物に酢酸エチルおよび2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を50%塩化メチレン/ヘキサンで粉砕し、50%塩化メチレン/ヘキサンで洗浄し、4,5−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシフェニルスルファニル)安息香酸(548mg)を得た。
4,5−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシフェニルスルファニル)安息香酸(1.55g)およびベンゼン(100mL)の混合物に室温でトリフルオロ酢酸無水物(1.2mL)を加えた。混合物を70℃で2時間撹拌した後、減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:50%酢酸エチル)で精製し、表題化合物(1.29g)を得た。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:6.89(1H, s), 7.18(1H, s), 7.21-7.24(1H, m), 7.34-7.36(1H, m), 7.40-7.44(1H, m), 7.61-7.63(1H, m), 10.04(2H, br)
【0105】
参考例25−1
2−ヒドロキシ−3−メトキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オン
2,3−ジヒドロキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オン(参考例24−1)(1.34g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)の混合物に炭酸カリウム(925mg)およびヨードメタン(0.42mL)をアルゴン雰囲気下0℃で加え、室温で混合物を7時間撹拌した。混合物に0℃で2mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―60%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(295mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.94(3H, s), 5.62(1H, s), 6.96(1H, s), 7.11-7.15(1H, m), 7.28-7.34(2H, m), 7.40(1H, s), 7.53-7.55(1H, m)
【0106】
参考例25−2
3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシチオキサンテン−9−オン
2,3−ジヒドロキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オンおよびヨードメタンの代わりに2,3−ジヒドロキシチオキサンテン−9−オン(参考例23−2)およびベンジルブロミドを用い、参考例25−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:5.29(2H, s), 7.35-7.45(4H, m), 7.52-7.56(3H, m), 7.70-7.73(1H, m), 7.79-7.81(1H, m), 7.90(1H, s), 8.43-8.45(1H, m), 9.96(1H, br)
【0107】
参考例26−1
2−ヒドロキシ−3−メトキシ−5,5−ジオキソ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オン
2−ヒドロキシ−3−メトキシ−10−オキサ−5−チアジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−11−オン(参考例25−1)(295mg)および塩化メチレン(10mL)の混合物にm−クロロ過安息香酸(860mg)を0℃で加え、混合物を室温で3時間撹拌した。m−クロロ過安息香酸(570mg)を加え、混合物を室温で15時間撹拌した。混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた。分取した有機層を1mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:25―65%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(257mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.94(3H, s), 7.31(1H, s), 7.36(1H, s), 7.51-7.55(2H, m), 7.79-7.82(1H, m), 7.93-7.95(1H, m), 10.98(1H, br)
【0108】
参考例27−1
3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ−10,10−ジオキソチオキサンテン−9−オン
3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシチオキサンテン−9−オン(参考例25−2)(474mg)およびN,N−ジメチルホルムアミド(8mL)の混合物にアルゴン雰囲気下0℃で炭酸カリウム(392mg)およびクロロメチルメチルエーテル(0.16mL)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物に水、酢酸エチルを加えた。分取した有機層を2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、3−ベンジルオキシ−2−メトキシメトキシチオキサンテン−9−オンを得た。
3−ベンジルオキシ−2−メトキシメトキシチオキサンテン−9−オンおよび塩化メチレン(10mL)の混合物に0℃でm−クロロ過安息香酸(1.1g)を加え、混合物を室温で12時間撹拌した。混合物に0℃で2mol/L水酸化ナトリウム水溶液および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し3−ベンジルオキシ−2−メトキシメトキシ−10,10−ジオキソチオキサンテン−9−オンを得た。
3−ベンジルオキシ−2−メトキシメトキシ−10,10−ジオキソチオキサンテン−9−オン、トリフルオロ酢酸(3mL)、水(0.65mL)および塩化メチレン(3mL)の混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣にトルエンを加えて減圧下濃縮する操作を2回行った。残渣を塩化メチレンで粉砕し、塩化メチレンで洗浄し、表題化合物(361mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:5.40(2H, s), 7.35-7.54(5H, m), 7.664(1H, s), 7.667(1H, s), 7.91-7.94(1H, m), 7.99-8.02(1H, m), 8.16-8.18(1H, m), 8.24-8.26(1H, m), 10.90(1H, br)
【0109】
参考例28−1
1−(2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシフェニル)エタノン
4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−2−フェニルスルファニル安息香酸(参考例3−1)(991mg)、ベンゾトリアゾール−1−オール(338mg)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(366mg)、トリエチルアミン(0.7mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(8mL)および塩化メチレン(2mL)の混合物に室温で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(719mg)を加え、混合物を15時間撹拌した。ジエチルエーテルを加え、混合物を2mol/L塩酸に注いだ。分取した有機層を2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、4−ベンジルオキシ−N−メトキシ−5−メトキシメトキシ−N−メチル−2−フェニルスルファニルベンズアミドを得た。
4−ベンジルオキシ−N−メトキシ−5−メトキシメトキシ−N−メチル−2−フェニルスルファニルベンズアミドおよびテトラヒドロフラン(20mL)の混合物に0℃アルゴン雰囲気下でメチルマグネシウムブロミド(3mol/Lジエチルエーテル溶液、1.5mL)を加え、混合物を50℃で1時間撹拌した。混合物に0℃で塩化アンモニウム水溶液および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10―30%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、1−(4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−2−フェニルスルファニルフェニル)エタノン(937mg)を得た。
1−(4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−2−フェニルスルファニルフェニル)エタノン(937mg)および塩化メチレン(15mL)の混合物に0℃でm−クロロ過安息香酸(1.9g)を加え、混合物を室温で12時間撹拌した。混合物に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、1−(2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシフェニル)エタノンを得た。
1−(2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシフェニル)エタノン、トリフルオロ酢酸(5mL)、水(1mL)および塩化メチレン(5mL)の混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した。トルエンを加え、混合物を減圧下濃縮した。残渣を50%塩化メチレン/ヘキサンで粉砕し、50%塩化メチレン/ヘキサンで洗浄し、表題化合物(723mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:2.48(3H, s), 5.30(2H, s), 6.91(1H, s), 7.35-7.41(3H, m), 7.47-7.48(2H, m), 7.54-7.57(3H, m), 7.62-7.66(1H, m), 7.73-7.75(2H, m), 10.69(1H, br)
【0110】
参考例29−1
2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシ−N,N−ジメチルベンズアミド
4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−2−フェニルスルファニル安息香酸(参考例3−1)(510mg)、ジメチルアミン(2.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液、1.3mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(296mg)を室温で加え、混合物を2時間撹拌した。酢酸エチルを加え、混合物を2mol/L塩酸に注いだ。有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄後、減圧下濃縮し、4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−N,N−ジメチル−2−フェニルスルファニルベンズアミドを得た。
4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−N,N−ジメチル−2−フェニルスルファニルベンズアミドおよび塩化メチレン(10mL)の混合物に0℃でm−クロロ過安息香酸(1.0g)を加え、混合物を室温で12時間撹拌した。混合物に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲル(5g)に通し、酢酸エチル(50mL)で洗い出し、濾液を減圧下濃縮し、2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−N,N−ジメチルベンズアミド(386mg)を得た。
2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシメトキシ−N,N−ジメチルベンズアミド(386mg)、トリフルオロ酢酸(3mL)、水(0.75mL)および塩化メチレン(3mL)の混合物を室温で30分撹拌した。混合物を減圧下濃縮した。トルエンを加え、混合物を減圧下濃縮した。残渣を30%塩化メチレン/ヘキサンで粉砕し、30%塩化メチレン/ヘキサンで洗浄し、表題化合物(723mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:2.67(3H, s), 2.96(3H, s), 5.25(2H, s), 6.65(1H, s), 7.33-7.64(9H, m), 7.81-7.83(2H, m), 10.65(1H, s)
【0111】
参考例30−1
4−ベンゼンスルホニル−5−メタンスルホニル−2−メトキシフェノール
1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−メタンスルホニル−5−メトキシベンゼン(参考例16−1)(730mg)および塩化メチレン(10mL)の混合物に四塩化チタン(0.28mL)を0℃でゆっくり加えた。混合物を同温度で10分撹拌した。混合物に2mol/L塩酸(20mL)および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:30―80%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製し、表題化合物(512mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.43(3H, s), 4.12(3H, s), 6.24(1H, br), 7.46-7.57(3H, m), 7.83(1H, s), 7.89-7.91(2H, m), 8.00(1H, s)
【0112】
1−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−2−メタンスルホニル−5−メトキシベンゼンの代わりに対応するベンジルエーテル用い参考例30−1と同様の方法により、参考例30−2〜参考例30−5を合成した。これらを表3に示した。
【0113】
【表3】

【0114】
参考例30−2〜参考例30−5の物性値を以下に示した。
【0115】
参考例30−2
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.96(3H, s), 7.36(1H, s), 7.39(1H, s), 7.88(1H, d, J=2.5Hz), 8.23(1H, d, J=2.5Hz), 11.13(1H, br)
【0116】
参考例30−3
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.09(3H, s), 6.17(1H, s), 7.40-7.70(6H, m), 7.80-8.10(6H, m)
【0117】
参考例30−4
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.12(3H, s), 6.23(1H, s), 7.32(1H, s), 7.60(1H, t, J=1.9Hz), 7.73(1H, s), 7.92(2H, d, J=1.9Hz)
【0118】
参考例30−5
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.09(3H, s), 6.13(1H, s), 7.27(1H, s), 7.50-7.60(2H, m), 7.60-7.70(1H, m), 7.78(1H, s), 8.00-8.10(2H, m)
【0119】
参考例31−1
3,4−ビスベンゼンスルホニル−6−メトキシ−2−ニトロフェノール
4,5−ビスベンゼンスルホニル−2−メトキシフェノール(参考例30−3)(119mg)および塩化メチレン(2.9mL)の混合物に発煙硝酸(0.014mL)を室温下ゆっくり加え、混合物を4時間撹拌した。混合物に水を加えた。分取した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、表題化合物(72mg)を得た。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.18(3H, s), 7.40-7.80(6H, m), 7.80-8.00(2H, m), 8.00-8.40(3H, m)
【0120】
4,5−ビスベンゼンスルホニル−2−メトキシフェノールの代わりに対応するフェノール用い参考例31−1と同様の方法により、参考例31−2〜参考例31−15を合成した。これらを表4に示した。
【0121】
【表4】


【0122】
参考例31−2〜参考例31−15の物性値を以下に示した。
【0123】
参考例31−2
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.76(3H, s), 5.50(2H, s), 7.37-7.81(11H, m)
【0124】
参考例31−3
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:3.99(3H, s), 7.55-7.80(5H, m), 7.95-8.10(3H, m), 11.60-12.10(1H, br)
【0125】
参考例31−4
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:4.06(3H, s), 7.50(1H, s), 7.58-7.61(1H, m), 7.70-7.72(1H, m), 7.86-7.90(1H, m), 7.99-8.01(1H, m)
【0126】
参考例31−5
MS:386(M-1)
【0127】
参考例31−6
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.18(3H, s), 7.55-7.65(2H, m), 7.65-7.75(1H, m), 8.03(1H, s), 8.05-8.10(2H, m), 9.76(1H, br)
【0128】
参考例31−7
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:4.14(3H, s), 7.58-7.79(3H, m), 7.88-7.94(2H, m), 8.07(1H, s)
【0129】
参考例31−8
MS:491(M-1)
【0130】
参考例31−9
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:4.11(3H, s), 7.82(1H, s), 8.08(2H, d, J=1.9Hz), 8.11(1H, t, J=1.9Hz)
【0131】
参考例31−10
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:4.04(3H, s), 7.44(1H, s), 7.91(1H, d, J=2.5Hz), 8.29(1H, d, J=2.5Hz)
【0132】
参考例31−11
H-NMR(DMSO-d6)δ ppm:5.57(2H, s), 7.36-7.58(5H, m), 7.87(1H, s), 7.93-7.96(1H, m), 8.02-8.05(1H, s), 8.16-8.20(2H, m)
【0133】
参考例31−12
MS:358(M-1)
【0134】
参考例31−13
H-NMR(CDCl3)δ ppm:3.87(3H, s), 4.09(3H, s), 7.96-8.01(1H, m), 8.06-8.12(2H, m), 8.20(1H, dd, J=7.9, 1.6Hz)
【0135】
参考例31−14
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.02(3H, s), 4.06(3H, s), 7.46-7.52(1H, m), 7.55-7.61(1H, m), 7.68(1H, s), 7.87-7.92(1H, m), 7.94-7.98(1H, m)
【0136】
参考例31−15
H-NMR(CDCl3)δ ppm:4.02(3H, s), 4.04(3H, s), 7.51(2H, d, J=8.5Hz), 7.67(1H, s), 7.94(2H, d, J=8.5Hz)
【0137】
実施例1−1
4,5−ビスベンゼンスルホニル−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオール(化合物1−1)
3,4−ビスベンゼンスルホニル−6−メトキシ−2−ニトロフェノール(参考例31−1)(72mg)および酢酸エチル(1.6mL)の混合物に室温で塩化アルミニウム(24mg)およびピリジン(0.043mL)を加え、混合物を還流下3時間撹拌した。室温に冷却後、混合物に2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を1mol/L塩酸、食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をヘキサン/塩化メチレン=2/1の混合溶液で粉砕し、ヘキサン/塩化メチレン=2/1の混合溶液で洗浄し、表題化合物(43mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.50-7.85(10H, m), 7.85-8.00(2H, m), 8.07(1H, s)
【0138】
実施例1−2
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル(化合物1−2)
6−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル(参考例31−2)(340mg)および塩化メチレン(10mL)の混合物に0℃で四塩化チタン(0.13mL)を加え、混合物を20分撹拌した。混合物に2mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を50%塩化メチレン/ヘキサンで粉砕した後、残渣を50%塩化メチレン/ヘキサンで洗浄し、表題化合物(228mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.74(3H, s), 7.60(1H, s), 7.65-7.76(3H, m), 7.86-7.89(2H, m), 11.61(1H, br)
【0139】
3,4−ビスベンゼンスルホニル−6−メトキシ−2−ニトロフェノールまたは6−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチルの代わりに対応する3−ニトロベンゼン−1−メトキシ−2−オールまたは1−ベンジルオキシ−3−ニトロベンゼン−2−オールを用い、実施例1−1または実施例1−2と同様の方法により、化合物1−3〜化合物1−15を合成した。これらを表5に示した。
【0140】
【表5】


【0141】
化合物1−3〜化合物1−15の物性値を以下に示した。
【0142】
化合物1−3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.50(1H, s), 7.55-7.75(4H, m), 7.90-8.05(3H, m)
【0143】
化合物1−4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.40(1H, s), 7.56-7.59(1H, m), 7.68-7.70(1H, m), 7.85-7.89(1H, m), 7.97-7.99(1H, m)
【0144】
化合物1−5
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.33(1H, s), 7.90(1H, d, J=2.5Hz), 8.27(1H, d, J=2.5Hz)
【0145】
化合物1−6
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.52(1H, s), 7.92-7.96(1H, m), 8.01-8.04(1H, m), 8.17-8.18(2H, m)
【0146】
化合物1−7
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.44(3H, s), 7.56-7.60(2H, m), 7.65-7.68(1H, m), 7.75-7.77(2H, m), 8.02(1H, s)
【0147】
化合物1−8
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.62(6H, s), 7.56-7.71(5H, m), 8.09(1H, s), 12.04(1H, br)
【0148】
化合物1−9
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.60(1H, s), 7.96(2H, d, J=1.9Hz), 8.10(1H, t, J=1.9Hz)
【0149】
化合物1−10
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.65-7.75(3H, m), 7.75-7.85(1H, m), 7.90-8.00(2H, m)
【0150】
化合物1−11
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.61-7.84(5H, m), 8.00(1H, s)
【0151】
化合物1−12
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.09-8.06(7H, m)
【0152】
化合物1−13
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.61(3H, s), 7.53-8.09(5H, m)
【0153】
化合物1−14
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.76(3H, s), 7.67(1H, s), 7.69-7.75(1H, m), 7.81-7.89(2H, m), 7.90-7.93(1H, m)
【0154】
化合物1−15
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.75(3H, s), 7.65(1H, s), 7.76(2H, d, J=8.7Hz), 7.89(2H, d, J=8.7Hz)
【0155】
実施例2−1
1−(6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)エタノン(化合物2−1)
1−(2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシフェニル)エタノン(参考例28−1)(720mg)および塩化メチレン(15mL)の混合物に0℃で発煙硝酸(0.086mL)をゆっくり加え、混合物を室温で30分撹拌した。混合物をSCXイオン交換カラム(バイオタージ社製5g)を通してろ過し、塩化メチレン(80mL)で溶出させた後、濾液を減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで粉砕し、ジエチルエーテルで洗浄し、1−(6−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−2−ニトロフェニル)エタノン(720mg)を得た。
1−(6−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−2−ニトロフェニル)エタノン(400mg)および塩化メチレン(10mL)の混合物に0℃で四塩化チタン(0.15mL)を加え、混合物を40分撹拌した。混合物に2mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を50%塩化メチレン/ヘキサンで粉砕した後、50%塩化メチレン/ヘキサンで洗浄し、表題化合物(225mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.52(3H, s), 7.41(1H, s), 7.64-7.75(3H, m), 7.81-7.83(2H, m), 11.34(1H, br)
【0156】
1−(2−ベンゼンスルホニル−4−ベンジルオキシ−5−ヒドロキシフェニル)エタノンの代わりに対応する2−ベンジルオキシフェノールを用い、実施例2−1と同様の方法により、化合物2−2〜2−3を合成した。これら構造を表6に示した。
【0157】
実施例3−1
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ビス(ジエチルカルバモイルオキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(化合物3−1)
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル(化合物1−2)(50mg)およびピリジン(2.0mL)の混合物に、ジエチルカルバミン酸クロライド(0.1mL)を室温下にて加え、混合物を室温で20分間、60℃で4時間撹拌後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:1−50%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製して,表題化合物(70mg)を得た。構造を表6に示した。
H-NMR(CDCl3)δ ppm:1.16-1.27(12H, m), 3.32-3.43(8H, m), 3.93(3H, s),7.54-7.58(2H, m), 7.61-7.66(1H, m), 7.98-8.01(2H, m), 8.30(1H, s)
【0158】
【表6】

【0159】
化合物2−2〜化合物2−3の物性値を以下に示した。
【0160】
化合物2−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.70(3H, s), 2.90(3H, s), 7.53(1H, s), 7.62-7.72(3H, m), 7.88-7.90(2H, m), 11.36(1H, br)
【0161】
化合物2−3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.75(3H, s), 7.63(1H, s), 7.90(2H, d, J=1.9Hz), 8.08(1H, t, J=1.9Hz), 11.53(1H, br)
【0162】
試験例1
ヒトCOMT阻害活性
1)組換えヒトCOMTの調製
(1)組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼの調製
完全長のヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(以下、COMT)をコードする、NCBI(National Center for Biotechnology Information)上に登録されている受入番号BC011935のDNA配列に基づき、配列番号1記載の組換えヒトCOMTをコードするDNA配列を増幅するために2つのオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。5’プライマーの配列を配列番号3に、3’プライマーの配列を配列番号4に示した。これらのプライマーは、所望のベクター中に該当PCR産物を挿入しやすくするために制限酵素部位(5’側はBamH I、3’側はEcoR I)を含んでいる。
配列番号3記載の5’プライマーおよび配列番号4記載の3’プライマーの各々を、TE緩衝液で希釈して15pmol/μL溶液とした。HO(PCR用, 34.8μL)、25mmol/L MgSO (2.0μL)、2mmol/L dNTPs (5.0μL)、10倍濃縮のDNAポリメラーゼ KOD plus緩衝液 (5.0μL、東洋紡)を混合し、PCR反応用混合物を調製した。次いでヒト肝臓cDNA(5.0μL、Clontech)、更に各々のプライマー対(1μL、15pmol)を上記混合物に加え、最後に1.0μLのKOD plus(東洋紡)を加えた。その後、PCR反応を行った。PCR反応は94℃2分間の処置後、94℃15秒間、59℃30秒間、68℃1分間でこのサイクルを40サイクル行った。次いで68℃5分間、4℃10分間で終了した。
PCR産物をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)にて精製した。所望のインサートDNAは同キットのEB緩衝液(30μL)で溶出した。
【0163】
(2)組換えヒトCOMTインサートDNAおよびpGEX−2Tベクターの二重消化
組換えヒトCOMTインサートDNA(1.5μg)に、10倍濃縮のEcoR I緩衝液 (3.0μL、New England Biolab)、HO(11.1μL)、BamH I(1.5μL、15U、10U/μL)とEcoR I(1.0μL、15U、10U/μL)を加え混合した。その混合溶液を37℃で1.5時間加熱した。更にその溶液に10倍濃縮のローディング緩衝液を加えた。混合溶液を電気泳動にて分離し、当該消化断片を有するDNAを含むゲルの部分を切り出し、MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN)を使用して精製した。 pGEX−2TベクターDNA(1.5μg、Amersham)についても同様に二重消化を行い精製した。
【0164】
(3)ライゲーションと大腸菌JM109の形質転換
二重消化したpGEX−2Tベクター(2.0μL、50ng)およびインサートDNA(1.24μL、33.4ng)を、2倍濃縮のライゲーション緩衝液(3.24μL、Promega)に加えて混合した。次いで、T4リガーゼ(1.0μL、3U/μL、Promega)を混合溶液に加え、その混合物を25℃で1時間インキュベーションした。次に、大腸菌JM109(100μL)を0℃にて溶解し、リガーゼで反応させた上記混合溶液(5μL)をJM109懸濁液に加え、穏やかに混合し、0℃で30分間静置した。この混合物に強く振盪すること無しに42℃で40秒間の熱ショックを与え、0℃で10分間冷却した。次いで、450μLのSOC溶液を熱ショック後の溶液に加え37℃で1時間振盪した。振盪後、混合溶液の50μLと200μLを、LB−アンピシリン培地のプレート上(直径9cm、アンピシリン濃度100μg/mL)にそれぞれ播種し、37℃で16時間の静置培養を行った。その結果、プレート上にはコロニーが出現していた。
【0165】
(4)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドによるJM109形質転換後のコロニーセレクション
上記の静置培養後のプレートから適当数のコロニーを選択し、それらを滅菌爪楊枝にてLB−アンピシリン液体培地(各2mL、アンピシリン濃度100μg/mL)に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。それぞれから200μLを1.5mLマイクロチューブに分取し、フェノール抽出法によってプラスミドを抽出した。抽出されたプラスミドは、TE緩衝液に再溶解し、電気泳動に供した。検出されたバンドの泳動位置が、インサートDNAのないpGEX−2Tベクターのそれと近いものを一次陽性コロニーと判定し、以下の制限酵素二重消化による再確認を行った。
上記の一次陽性コロニー由来のDNA溶液(各7μL)を、10倍濃縮のEcoR I緩衝液(0.9μL、New England Biolab)と混和し、次いでBamH I(0.5μL、10U/μL) とEcoR I(0.5μL、15U/μL)を添加した。その溶液は、37℃で1時間加温した後、電気泳動を行った。およそ670bpの位置にバンドが検出された試料が由来するコロニーを、二次陽性コロニーと判定した。
【0166】
(5)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドの大腸菌JM109からの抽出と精製
(4)で二次陽性コロニーと判定された、GST融合組換えヒトCOMTプラスミドでの形質転換JM109の培養液は、一部(100μL)をグリセロールストックとし、残りの培養液は12000rpmで10分間遠心を行い、大腸菌ペレットを得た。得られた大腸菌ペレットから、QIAGEN Plasmid mini kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを精製した。その濃度はOD260nmによって決定され247ng/μLであった。常法に従い配列確認を行ったところ、配列番号2のDNA配列が所望の位置に挿入されていた。
【0167】
(6)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドDNAの大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RPへの形質転換
(5)で精製され配列確認が終了したGST融合組換えヒトCOMTプラスミドDNA1μL(1ng/μL)を0℃で融解した大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RP細胞懸濁液50μLに加え、(3)と同様に形質転換を行い、プレート培養を行った。
【0168】
(7)GST融合組換えヒトCOMTの発現
形質転換後の大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RPのプレートからコロニーを拾い上げ、5mLのLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)に投入し、37℃にて15時間振盪培養を行った。培養液の一部50μLをグリセロールストックとし、−80℃で保存した。使用時にこのグリセロールストックの一部を150mLのLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)に植菌し、37℃にて16時間振盪培養を行った。この培養液を500mLずつ7本のLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)で希釈し、20℃にて4.5時間振盪培養を行った。培養液の600nm吸光度が0.44となっていることを確認した後、各50μLのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(1mol/L)を添加し、20℃にて18時間振盪培養を行った。この培養液を9000rpmで20分間遠心して大腸菌ペレットを回収し、4gずつ4本に分けて使用時まで−80℃で凍結保存した。
【0169】
(8)GST融合組換えヒトCOMTのトロンビン処理
(7)から得られた大腸菌ペレットに40mLのBugBuster溶液(Novagen)、30μLのBenzonase(Novagen)および1μLのrLysozyme(Novagen)を添加し、15分間室温にて穏やかに撹拌しながら処理した。得られたライゼートを12000rpm、4℃、20分間遠心し、上澄み液を回収した。次いで、予めD−PBS(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)にて平衡化し、D−PBSで50%に再懸濁させた、20mLのグルタチオン4BSepharose(レジンベッドボリューム10mL)を上記上澄み溶液に加え、得られた混合物を4℃にて1時間振盪した。振盪後の混合物をフィルターによりレジンと濾液に分別した。得られたレジンを30mLのD−PBSで5回洗浄し、30mLのトロンビン処理用緩衝液(150mmol/L NaCl、50mmol/L Tris−HCl、pH8.0、10%glycerol、2.5mmol/L CaCl、0.5% β−オクチル−D−グルコピラノシド)で3回洗浄した。次いで、レジンにトロンビン処理用緩衝液を加え30mLとし、トロンビン(アマシャムバイオサイエンス)30ユニットを加えた。レジン混合液を4℃で15時間穏やかに撹拌した後、レジンを濾過し、濾液として得られた組換えヒトCOMTの溶液を使用時まで−80℃で保管した。
【0170】
2)ヒトCOMT阻害作用の測定
ヒトCOMT阻害作用の測定は、Zurcher Gらの方法(J. Neurochem., 1982年, 38巻, P.191-195)を一部改変して実施した。1)で調製した組換えヒトCOMT(約1mg/mL)0.25μL、リン酸カリウム緩衝液(500mmol/L、pH7.6)40μL、塩化マグネシウム(100mmol/L)10μL、ジチオスレイトール(62.5mmol/L)10μL、アデノシンデアミナーゼ(2550ユニット/mL)0.5μLと試験化合物の混合物を37℃で5分間プレインキュベートした。対照サンプルは同様の方法で調製したが、試験化合物の代わりにジメチルスルホキシド(5μL)を加えた。[3H]-S-アデノシル-L-メチオニン(12.5mmol/L、1.2Ci/mol;アマシャムバイオサイエンス社製)20μLの添加後、カテコール基質(7mmol/L)25μLを加えることにより反応を開始した。反応混合液(終容量0.25mL)は、37℃で30分間インキュベートした。反応は氷冷した0.1g/Lのグアイアコールを含む1mol/L塩酸(0.25mL)を加えることで停止させた。シンチレーター(オプティフロー(登録商標)0;パッカード社製)2.5mLを加え、次いで1分間勢い良く振とうした後、パッカード社製液体シンチレーションカウンター(TRICARB 1900CA)で有機層に存在する放射活性を直接計数した。ブランクはカテコール基質の非存在下でインキュベートした(基質を反応停止後に加えた)。IC50値は酵素活性を50%阻害するのに要した濃度を示す。比較例として、トルカポン、エンタカポンおよび非特許文献4記載の5−メタンスルホニル−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオール(比較例1)を同様に試験した。これらの結果を表7に示した。
【0171】
【表7】

【0172】
試験例2
ラット肝細胞毒性
-150℃に保存されたラット凍結肝細胞3x10−6cells/vialを37℃に温め、グルコース含有thawing medium (10mL)に加えて混合した後、1000rpmで1分間遠心した。上清を除去した後、細胞沈査をWilliams E.medium (15mL)に懸濁させた。薬物はジメチルスルホキシドを用いて45、15、4.5、1.5、0.45mmol/Lに調製後、各薬物溶液およびコントロール(ジメチルスルホキシド)を2.0μLずつ試験管に分注した。この試験管に上記の細胞の懸濁液(300μL)を分注して混合させた。各懸濁液を96ウェルプレートに100μLずつ分注し、37℃にて4時間COインキュベータ中でインキュベートした。Promega社のCell Viability Assay法に従いATP活性を測定した。コントロールの50%ATP活性を示す濃度をEC50値として表した。これらの結果を表8に示した。
【0173】
【表8】

【0174】
これらの試験の結果、本発明の化合物は、極めて軽微な肝細胞毒性しか示さないことが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明の化合物は、優れたCOMT阻害作用を有するので、パーキンソン病、うつ病、高血圧症の治療または予防剤として有用である。特に本発明の化合物と、L−ドパとを組み合わせて使用することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させることができるので、パーキンソン病の治療および予防に好適である。
【配列表フリーテキスト】
【0176】
<配列番号1>
配列番号1は、組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼの配列である。
<配列番号2>
配列番号2は、配列番号1の組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼを発現するように配列番号3および4のプライマーを用いて増幅されたDNA配列である。
<配列番号3>
配列番号3は、配列番号2のDNAを増幅するために使用された5’プライマーの配列である。
<配列番号4>
配列番号4は、配列番号2のDNAを増幅するために使用された3’プライマーの配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、または−C(O)NR1112を表すか、あるいはRおよびRが一緒になって−C(O)−を形成し;
は、以下のa)〜h):
a)低級アルコキシカルボニル基、
b)−C(O)NR1112
c)−SONR1112
d)低級アルキルスルホニル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアリールスルホニル基、
f)低級アシル基、
g)シアノ基、または
h)ハロ低級アルキル基であり;
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、以下のa)〜q):
a)水素原子、
b)ハロゲン原子、
c)低級アルキル基、
d)ハロ低級アルキル基、
e)シクロアルキル基、
f)低級アルコキシ基、
g)ハロ低級アルコキシ基、
h)ヒドロキシ基、
i)ヒドロキシ低級アルキル基、
j)カルボキシ基、
k)低級アルコキシカルボニル基、
l)シクロアルキルオキシカルボニル基、
m)低級アシル基、
n)低級アルキルスルホニル基、
o)シアノ基、
p)−C(O)NR1112、または
q)−SONR1112を表すか、
あるいは、R、R、R、RおよびRのうち2つが隣接する場合、それらが結合して、−O(CHO−、−(CH−、−C(O)−NH−C(O)−、または−CH=CH−CH=CH−で表される基を形成し、
あるいは、RおよびRが、一緒になって、−C(O)−または−C(O)O−で表される基を形成し;
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基またはアラルキル基を表すか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成し;
mは、1または2であり;
nは、3または4である〕
で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
およびRが、水素原子である、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
が、以下のa)〜e):
a)低級アルコキシカルボニル基、
b)低級アルキルスルホニル基、
c)低級アシル基、
d)シアノ基、または
e)ハロ低級アルキル基である、請求項2に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基である、請求項3に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
以下からなる群:
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ビス(ジエチルカルバモイルオキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−(3−クロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−(4−クロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;
6−ベンゼンスルホニル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロベンゾニトリル;
;6−(2−クロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロ安息香酸メチル;および
6−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニル)−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロベンゾニトリル、
から選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬。

【公開番号】特開2008−308494(P2008−308494A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126729(P2008−126729)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】