説明

新規なカテプシンC阻害剤およびその使用

本発明は、新規なカテプシンC阻害剤およびカテプシンC酵素によって媒介される疾患の治療におけるそれらの使用に向けられる。詳細には、本発明は、式(I):


[式中、Xおよびnは下記の通りである]で示される化合物、およびその医薬上許容される塩に向けられる。本発明の化合物は、カテプシンC阻害剤であり、カテプシンC酵素によって媒介される疾患、例えば、COPDの治療において使用することができる。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物を含む医薬組成物に向けられる。本発明は、またさらに、本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物を用いるカテプシンCを阻害する方法、およびカテプシンCに関連する疾患の治療の方法に向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種の新規なカテプシンC阻害剤およびカテプシンC酵素によって媒介される疾患の治療におけるその使用に向けられる。
【背景技術】
【0002】
カテプシンは、システインプロテアーゼのパパインスーパーファミリーに包含される一連の酵素である。カテプシンB、C、F、H、K、L、S、VおよびXについては、科学文献において記載されている。カテプシンCもまた、ジペプチジルペプチダーゼIまたは「DPPI」として、文献において知られている。
【0003】
近年に発表された研究のいくつかは、ある種の炎症過程においてカテプシンCが果たす役割を記載し始めた。例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6および非特許文献7を参照のこと。これらの研究から、カテプシンCは、炎症部位へ補充された炎症細胞から放出されるある種のセリンプロテアーゼと同時発現し、これらのプロテアーゼの生理学的活性化剤として作用するようである。いったん活性化されると、これらのプロテアーゼは種々の細胞外マトリックス成分を分解することができ、それにより、組織損傷および慢性炎症を導くことができる。
【0004】
例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、カテプシンCが役割を果たしているように思われる慢性炎症性疾患である。米国胸部学会(The American Thoracic Society)は、COPDを「慢性気管支炎または気腫による気道閉塞の存在によって特徴付けられる疾患(気道閉塞は、一般に進行性であり、気道過反応性を伴っていてもよく、部分的に可逆性であってもよい)」として定義付けている(非特許文献8)。慢性気管支炎は、一般に、慢性的な痰を伴う咳を特徴とし、一方、気腫は、一般に、終末細気管支より遠位の空隙の永続的な拡大および気道壁破壊によって特徴付けられる。慢性気管支炎および気腫は、通常、COPD患者において一緒に発現する。
【0005】
喫煙は、COPD発症の重要な危険因子である。タバコの煙ならびに他の有害粒子およびガスに曝されると、肺の慢性的な炎症が生じうる。このように曝されることに応答して、CD8+ T細胞、マクロファージおよび好中球などの炎症細胞が該領域に補充される。これらの補充された炎症細胞がプロテアーゼを放出し、それが気道壁を分解することによって、その疾患の病因において重要な役割を果たすと考えられる。該過程に関与すると考えられるプロテアーゼには、セリンプロテアーゼ好中球エラスターゼ(NE)、キマーゼ(CY)、カテプシンG、プロテイナーゼ3およびグランザイム(granzymes)AおよびBがある。カテプシンCは、これらの酵素を活性化するのに関与するようである。
【0006】
関節リウマチ(RA)は、カテプシンCが役割を果たしているように思われるもう一つ別の慢性炎症性疾患である。好中球が関節炎症部位に補充され、カテプシンG、NEおよびプロテイナーゼ3を放出し、それらがRAに付随する軟骨破壊の原因であると考えられる。カテプシンCは、これらの酵素を活性化するのに関与するようである。
【0007】
カテプシンCが役割を果たしうる他の疾患には、骨関節炎、喘息および多発性硬化症がある。例えば、非特許文献9、非特許文献10を参照のこと。
【0008】
【非特許文献1】Adkisonら、The Journal of Clinical Investigation 109:363−371 (2002)
【非特許文献2】Tranら、Archives of Biochemistry and Biophysics 403:160−170 (2002)
【非特許文献3】Thieleら、The Journal of Immunology 158: 5200−5210 (1997)
【非特許文献4】Bidereら、The Journal of Biological Chemistry 277: 32339−32347 (2002)
【非特許文献5】Mabeeら、The Journal of Immunology 160: 5880−5885
【非特許文献6】McGuireら、The Journal of Biological Chemistry, 268: 2458−2467
【非特許文献7】Parisら、FEBS Letters 369: 326−330 (1995)
【非特許文献8】American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 152: S77−S120 (1995)
【非特許文献9】Matsui K. Yuyama N. Akaiwa M. Yoshida NL. Maeda M. Sugita Y. Izuhara K.,「カテプシンC/ジペプチジルペプチダーゼIの選択的スプライス変種の同定(Identification of an alternative splicing variant of cathepsin C/dipeptidyl−peptidase I)」, Gene. 293(1−2):1−7, 2002 Jun 26
【非特許文献10】Wolters PJ. Laig−Webster M. Caughey GH.,「ジペプチジルペプチダーゼIは、マトリックス関連タンパクを切断し、主に、正常なイヌ気道におけるマスト細胞によって発現される(Dipeptidyl peptidase I cleaves matrix−associated proteins and is expressed mainly by mast cells in normal dog airways)」, American Journal of Respiratory Cell&Molecular Biology. 22(2):183−90, 2000
【非特許文献11】Ohbayashi,「COPD治療としての好中球エラスターゼ阻害剤(Neutrophil elastase inhibitors as treatment for COPD)」, Expert Opin. Investig. Drugs 11(7): 965−980 (2002)
【非特許文献12】Shapiro,「好中球エラスターゼ:経路クリーナー、病原体キラー、または単なる病理か?(Neutrophil Elastase: Path Clearer, Pathogen Killer, or Just Pathologic?)」, Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 26: 266−268 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの疾患を治療するための一のアプローチは、炎症過程に関与するセリンプロテアーゼの活性、特に、NE活性を阻害することである。例えば、非特許文献11および非特許文献12を参照のこと。カテプシンCがある種のセリンプロテアーゼ、特に、NEの活性化において役割を果たすことに照らして、その活性を阻害し、それにより、セリンプロテアーゼ活性を阻害する化合物を同定することが望ましい。かくして、カテプシンCを阻害し、カテプシンCによって媒介される種々の疾患の治療において使用することのできる化合物を同定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、新規なカテプシンC阻害剤およびカテプシンC酵素によって媒介される疾患の治療におけるその使用に向けられる。詳細には、本発明は、式I:
【化1】

[式中、Xおよびnは、下記の通りである]
で示される化合物およびその医薬上許容される塩に向けられる。
【0011】
本発明の化合物は、カテプシンC阻害剤であり、カテプシンC酵素によって媒介される疾患、例えば、COPDの治療において使用することができる。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物を含む医薬組成物に向けられる。本発明は、またさらに、本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物を用いるカテプシンCを阻害する方法およびカテプシンCに関連する疾患の治療の方法に向けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明を記載するにあたり、化学元素は、元素周期表にしたがって同定される。本明細書中で使用される略語および記号は、化学および生物学分野の当業者によって一般的に使用されているような略語および記号にしたがう。
【0013】
用語および適宜
「アルキル」なる語は、特定数のメンバー原子を有する一価の飽和炭化水素鎖をいう。例えば、C1−C8アルキルは、1〜8個のメンバー原子を有するアルキル基をいう。アルキル基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。アルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよい。代表的な分枝アルキル基は、1、2または3個の分枝を有する。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、イソペンチルおよびネオペンチル)、およびヘキシルを包含する。
【0014】
「アルキレン」なる語は、特定数のメンバー原子を有する二価の飽和炭化水素鎖をいう。例えば、C1−C4アルキレンは、1〜4個のメンバー原子を有するアルキレン基をいう。アルキレン基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。アルキレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよい。代表的な分枝アルキレン基は、1、2または3個の分枝を有する。アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン(n−プロピレンおよびイソプロピレン)およびブチレン(n−ブチレン、イソブチレンおよびt−ブチレン)を包含する。
【0015】
「アルケニレン」なる語は、特定数のメンバー原子を有し、かつ、1個の炭素−炭素二重結合を鎖内に有する二価の不飽和炭化水素鎖をいう。例えば、C2−C4アルケニレンは、2〜4個のメンバー原子を有するアルケニレン基をいう。アルケニレン基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。アルケニレン基は、直鎖または分枝鎖であってもよい。代表的な分枝アルケニレン基は、1、2または3個の分枝を有する。アルケニレンは、エチレニレン、プロペニレンおよびブテニレンを包含する。
【0016】
「アリール」なる語は、一価の芳香族炭化水素環をいう。アリール基は、単環系または二環系である。単環アリール環とは、フェニルをいう。二環アリール環とは、ナフチル、ビフェニル、およびフェニルが5、6または7個のメンバー原子を有するシクロアルキルまたはシクロアルケニルに縮合した環をいう。アリール基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0017】
「シクロアルキル」なる語は、特定数のメンバー原子を有する一価の飽和または不飽和炭化水素環をいう。例えば、C3−C6シクロアルキルは、3〜6個のメンバー原子を有するシクロアルキル基をいう。シクロアルキル基は、芳香族ではない。シクロアルキル基は、単環系である。シクロアルキル基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。
【0018】
「鏡像異性的に豊富」なる語は、鏡像異性体過剰率が0より大きい生成物をいう。例えば、「鏡像異性的に豊富」というのは、その鏡像異性体過剰率が50%eeより大きい、75%eeより大きい、および90%eeより大きい生成物をいう。
【0019】
「鏡像異性体過剰率」または「ee」なる語は、1の鏡像異性体の他の鏡像異性体に対する過剰量をパーセンテージで表したものである。結果として、ラセミ混合物中には両方の鏡像異性体が等量存在するので、その鏡像異性体過剰率は0(0%ee)である。しかしながら、1の鏡像異性体が生成物の95%を構成するほど豊富であるならば、その鏡像異性体過剰率は90%ee(豊富な鏡像異性体の量95%から他の鏡像異性体の量5%を引いた値)であろう。
【0020】
「鏡像異性的に純粋」なる語は、その鏡像異性体過剰率が99%ee以上である生成物をいう。
【0021】
「半減期」なる語は、物質の量の半分がイン・ビトロまたはイン・ビボで別の化学的に別個の種に変換されるのに必要な時間をいう。
【0022】
「ハロ」なる語は、ハロゲン基、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードをいう。
【0023】
「ハロアルキル」なる語は、1以上のハロ置換基で置換されたアルキル基をいう。ハロアルキルは、トリフルオロメチルを包含する。
【0024】
「ヘテロアリール」なる語は、メンバー原子として1〜4個のヘテロ原子を環内に含有する一価の芳香環をいう。1以上のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基は、異なるヘテロ原子を含有していてもよい。ヘテロアリール基は、本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基は、単環系であるか、または縮合、スピロもしくは架橋二環系である。単環式ヘテロアリール環は、5〜7個のメンバー原子を有する。二環式ヘテロアリール環は、7〜11個のメンバー原子を有する。二環式ヘテロアリール環は、フェニルおよび単環式ヘテロシクロアルキル環が結合して縮合、スピロまたは架橋二環式環系を形成している環、および単環式ヘテロアリール環および単環式シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール環が結合して縮合、スピロまたは架橋二環式環系を形成している環を包含する。ヘテロアリールは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、フラニル、フラザニル、チエニル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、プテリジニル、シンノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチエニル、フロピリジニルおよびナフチリジニルを包含する。
【0025】
「ヘテロ原子」なる語は、窒素、硫黄または酸素原子をいう。
【0026】
「メンバー原子」なる語は、鎖または環を形成する原子をいう。1以上のメンバー原子が鎖または環内に存在する場合、各メンバー原子は、鎖または環内の隣接するメンバー原子と共有結合する。鎖または環上の置換基を形成している原子は、該鎖または環のメンバー原子ではない。
【0027】
「置換されていてもよい」なる語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールなどの基が非置換であってもよく、または本明細書中で定義される1以上の置換基で置換されていてもよいことを示す。基に関して「置換された」とは、基内のメンバー原子に結合している水素原子が置き換わっていることを示す。「置換された」なる語は、かかる置換が置換される原子および置換基の許容される原子価にしたがうこと、および該置換が安定な化合物(すなわち、転位、環化または脱離によるようなトランスフォーメーションを自発的に行わないもの)をもたらすという暗黙の条件を包含する。ある特定の具体例において、置換が許容される原子価にしたがうかぎり、1つの原子が1以上の置換基で置換されていてもよい。適当な置換基は、各置換または置換されていてもよい基について本明細書中で定義される。
【0028】
「医薬上許容される」なる語は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、妥当な利益/危険比に見合って、ヒトおよび動物の組織に接触して使用するのに適当な化合物、物質、組成物および投与形態をいう。
【0029】
化合物
本発明は、式I:
【化2】

[式中、
nは、1、2または3であり;
Xは、−C(O)R1、−C(O)OR1、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)YR2、または−C(O)OYR2であり;
R1は、C1−C8アルキルまたはC3−C6シクロアルキルであり;
R2は、アリールまたはヘテロアリールであり;
ここに、該アリールは、ハロ、C1−C3ハロアルキル、−CN、−NO、Ra、−ORa、−C(O)ORa、−C(O)Ra、−NHC(O)Ra、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択される1以上に置換基によって置換されていてもよく、ここに、該ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、ハロ、C1−C3ハロアルキル、Ra、−ORa、−C(O)ORa、−C(O)Ra、および−NHC(O)Raからなる群から独立して選択される1以上に置換基によって置換されていてもよく;ここに、該ヘテロアリールは、ハロ、C1−C3ハロアルキル、−CN、−NO、Ra、−ORa、−C(O)ORa、−C(O)Ra、および−NHC(O)Raからなる群から独立して選択される1以上に置換基によって置換されていてもよく;
Yは、C1−C4アルキレン、C2−C4アルケニレンまたは−(CH−O−(CH−であり;
lは、1、2または3であり;
mは、0、1または2であり;
l+mは、1、2、3または4であり;
Raは、C1−C3アルキルであり;
但し、nが1であって、Xが−C(O)OR1である場合、R1はt−ブチル以外の基である]
で示される化合物に向けられる。
【0030】
式Iまたはその補足式において、いずれか1つの事象におけるいずれかの官能基または置換基の意味は、別記しない限り、いずれか他の事象におけるいずれか他の官能基または置換基の意味から独立している。
【0031】
式Iの化合物は、1以上の不斉中心(キラル中心ともいう)を含有していてもよく、したがって、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、または他の立体異性形態またはその混合物として存在していてもよい。キラル中心、例えば、キラルな炭素原子は、また、アルキル基などの置換基に存在していてもよい。式Iまたは本明細書中に説明されるいずれかの化学構造に存在するキラル中心の立体化学が特定されていない場合、該構造は、いずれもの立体異性体およびその全ての混合物を包含することが意図される。かくして、1以上のキラル中心を含有する式Iの化合物は、ラセミ混合物、鏡像異性的に豊富な混合物、または鏡像異性的に純粋な個々の立体異性体として使用されてもよい。
【0032】
1以上の不斉中心を含有する式Iの化合物の個々の立体異性体は、当業者に既知の方法によって分割されうる。例えば、かかる分割は、(1)ジアステレオ異性体塩、複合体または他の誘導体の形成によって、(2)立体異性特異的試薬を用いる選択的反応によって、例えば、酵素的酸化または還元によって、または(3)キラル環境における、例えば、結合したキラルリガンドを有するか、またはキラル試薬の存在下でのシリカなどのキラル支持体上でのガス−液体または液体クロマトグラフィーによって実施されうる。当業者に明らかなように、上記の分離法の1つによって所望の立体異性体が別の化学物質に変換される場合、所望の形態を遊離させるためにさらなる工程が必要である。別法では、特異的立体異性体は、光学活性試薬、基質、触媒または溶媒を用いる不斉合成によって、または不斉トランスフォーメーションによって1のエナンチオマーを他のエナンチオマーに変換することによって、合成されうる。
【0033】
式Iの化合物は、また、二重結合または他の幾何不斉中心を含有していてもよい。式Iまたは本明細書中に説明されるいずれかの化学構造に存在する幾何不斉中心の立体化学が特定されていない場合、該構造は、トランス(E)幾何異性体、シス(Z)幾何異性体、およびその全ての混合物を包含することが意図される。
【0034】
当業者には、式Iの化合物の医薬上許容される塩が調製されうることが明らかであろう。実際、本発明のある特定の具体例において、式Iの化合物の医薬上許容される塩は、分子により大きな安定性および溶解性を付与し、それにより、投与形への処方を容易にするので、かかる塩は各遊離塩基または遊離酸よりも好ましい場合がある。したがって、本発明は、さらに、式Iの化合物の医薬上許容される塩の使用に向けられる。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容される塩」なる語は、対象化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ、最小限の望ましくない毒物学的効果を示す塩をいう。これらの医薬上許容される塩は、化合物の最終的な単離および精製の間にその場で(in situ)、または別に、遊離酸もしくは遊離塩基形態で精製された化合物を各々、適当な塩基もしくは酸と反応させることによって、調製されうる。
【0036】
ある特定の具体例において、式Iの化合物は、酸性官能基を含有しうる。適当な医薬上許容される塩は、かかる酸性官能基の塩を包含する。代表的な塩は、医薬上許容される金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛塩;医薬上許容される金属カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛の炭酸塩および重炭酸塩;脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、およびメチルアミン、エチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびシクロヘキシルアミンなどのヒドロキシアルキルアミンを包含する医薬上許容される有機第一、第二および第三アミンを包含する。
【0037】
ある特定の具体例において、式Iの化合物は、塩基性官能基を含有していてもよく、したがって、適当な酸での処理によって、医薬上許容される酸付加塩を形成することができる。適当な酸は、医薬上許容される無機酸および医薬上許容される有機酸を包含する。代表的な医薬上許容される酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、メチル硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、アクリル酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、p−アミノサリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ヘプタン酸塩、フタル酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、o−アセトキシ安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、マンデル酸塩、タンニン酸塩、ギ酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ピルビン酸塩、パモ酸塩(pamoate)、マロン酸塩、ラウリン酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、エストラート(estolate)、メタンスルホン酸塩(メシラート)、エタンスルホン酸塩(エシラート)、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシラート)、p−アミノベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩(トシラート)、およびナフタレン−2−スルホン酸塩を包含する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「本発明の化合物」なる語は、式Iの化合物およびその医薬上許容される塩の両方を意味する。「本発明の化合物」なる語は、また、本明細書中で明らかであり、式Iの化合物およびその医薬上許容される塩の両方をいう。
【0039】
本発明の化合物は、固体または液体形態で存在していてもよい。固体状態において、本発明の化合物は、結晶または非結晶形態で存在していてもよく、またはその混合物として存在していてもよい。結晶形態の本発明の化合物の場合、当業者には、結晶化の間に、溶媒分子が結晶格子中に組み込まれた医薬上許容される溶媒和物が形成されうることが明らかであろう。溶媒和物は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミンおよび酢酸エチルなどの非水性溶媒を含んでいてもよく、またはそれらは、結晶格子中に組み込まれる溶媒として水を含んでいてもよい。結晶格子中に組み込まれる溶媒が水である溶媒和物は、典型的には、「水和物」という。水和物は、化学量論量の水和物ならびに種々の量の水を含有する組成物を包含する。本発明は、かかる全ての溶媒和物を包含する。
【0040】
当業者には、さらに、種々の溶媒和物を包含する結晶形態で存在する本発明のある特定の化合物が、多形(すなわち、異なる結晶構造において出現しうる能力)を示しうることが明らかであろう。これらの異なる結晶形態は、典型的には、「多形体」という。本発明は、かかる多形体の全てを包含する。多形体は、同じ化学組成を有しているが、結晶固体状態のパッキング、幾何学的配置および他の記述的性質が異なる。したがって、多形体は、異なる物理的性質、例えば、形状、密度、硬度、変形性、安定性および溶解性を有しうる。典型的には、多形体は、同定に使用されうる融点、IRスペクトル、およびX線粉末回折パターンにおいて異なる値を示す。当業者には、異なる多形体が例えば、化合物製造に使用される反応条件または試薬を変化または調整することによって製造されうることが明らかであろう。例えば、温度、圧力または溶媒を変えると、多形体を生じうる。さらに、ある特定の条件下で、1の多形体を自発的に別の多形体に変換させてもよい。
【0041】
代表的な具体例
上記のとおり、Xは、−C(O)R1、−C(O)OR1、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)YR2、または−C(O)OYR2である。別の具体例において、Xは、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)YR2、または−C(O)OYR2である。また別の具体例において、Xは、−C(O)R2である。また別の具体例において、Xは、−C(O)OR2である、また別の具体例において、Xは、−C(O)YR2である。また別の具体例において、Xは、−C(O)OYR2である。
【0042】
上記のとおり、R2は、上記のとおり置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである。1の具体例において、Xは、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)YR2、または−C(O)OYR2であって、R2は、上記のとおり置換されていてもよいアリールである。別の具体例において、R2は、上記のとおり置換されていてもよいフェニルである。また別の具体例において、R2は、上記のとおり置換されていてもよいナフチルである。
【0043】
上記のとおり、Yは、C1−C4アルキレン、C2−C4アルケニレン、または−(CH−O−(CH−である。1の具体例において、Yは、C1−C4アルキレンまたは−(CH−O−(CH−である。別の具体例において、Yはメチレンである。
【0044】
化合物調製
式Iの化合物は、通常の有機合成を用いて調製される。適当な合成経路を、下記の一般的な反応スキームにおいて下記に説明する。
【0045】
当業者には、本明細書中に記載される置換基が本明細書中に記載される合成法に適合しない場合、該置換基を反応条件に対して安定な適当な保護基で保護してもよいことが明らかであろう。該保護基は、所望の中間体または目標化合物を得るために、一連の反応における適当な時点で除去すればよい。適当な保護基ならびにかかる適当な保護基を用いて種々の置換基を保護および脱保護する方法は、当業者によく知られている。例えば、T.GreeneおよびP.Wuts,Protecting Groups in Chemical Synthesis(第三版),John Wiley & Sons,NY(1999)において見出すことができる。ある例において、置換基は、使用される反応条件下で反応性であるように特異的に選択されうる。これらの状況下において、反応条件は、選択された置換基を、中間体化合物として有用であるか、または目標化合物における所望の置換基である別の置換基に変換する。
【0046】
スキーム1
【化3】

【0047】
市販のビス−Boc−ヒドラジンを水素化ナトリウムの存在下、1,3−ジブロモプロパンと縮合して、ビス−Boc−ピラゾリジンを形成する。同様の方法で、1,4−ジブロモブタンおよび1,5−ジブロモペンタンから各々、対応するヘキサヒドロピリダジンおよびヘキサヒドロアゼピンを調製する。HCl/ジオキサンを用いてBoc基を除去し、臭化シアンを用いてシアノ基を導入する。該中間体シアノピラゾリジンを単離することなくその場で誘導体化する。市販のクロロギ酸塩で処理することによって、カルバミン酸塩を調製する。市販されていないクロロギ酸塩は、市販のアルコールをホスゲンで処理することによって調製され、精製することなく直接使用する。市販の酸からジイソプロピルカルボジイミドを用いて、または市販の酸クロリドから、アミドを調製する。最終生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0048】
生物学的アッセイ
式Iの化合物は、カテプシンC阻害剤であり、それは、カテプシンCによって活性化されるセリンプロテアーゼ、例えば、NEの活性を間接的に阻害する。したがって、式Iの化合物は、COPD、およびカテプシンCおよび/またはかかるセリンプロテアーゼが関与する他の疾患の治療に有用である。式Iの化合物の生物学的活性は、カテプシンC阻害剤としての候補化合物の活性を決定するのに適当なアッセイか、またはある特定のセリンプロテアーゼのカテプシンC媒介性活性化を防止することのできる候補化合物の能力を決定するのに適当なアッセイ、ならびに適当な組織およびイン・ビボモデルを用いて決定できる。
【0049】
実施例7、9−21および24−50は、カテプシンC阻害剤としての活性を試験された。全ての供試化合物は、カテプシンC阻害剤であることが分かった。
【0050】
A.好中球単離:
試薬:
Histopaque−1077(Sigma H−8889)
CaClおよびMgClを含有しないダルベッコのリン酸緩衝化セーライン(DPBS)
6%デキストランT500(Pharmacia 17−0320−02または17−0320−01):
60gをCa++およびZg++を含有しない1リットルのDPBS中に溶解し、50ml管に等分し、−20℃で保管する。ろ過しない。
【0051】
方法:
[室温での血液および試薬]
・ピペットで20mlのHistopaqueを各50ml管に入れる。
・25−30mlの血液をHistopaqueの上に穏やかに層状になるように置く。
・1600rpm(400g)で30分間スピンする(ブレーキをかけない)。
・上の2層を吸引し、廃棄する。
・Ca++およびMg++を含有しないDPBSを加えて、最終容量35mlにする。
・12mlの6%デキストランを加える。
・逆さまにして混合し、45分間、静置して沈殿させる。
・最上層を吸引および廃棄し、注意深くピペットで上澄液を取って別の50ml管に移し、Ca++およびMg++を含有しないDPBSを加えて50mlにする(赤血球細胞の吸引を避ける)
・1000rpmで遠心分離する(ブレーキをかける)。
・ペレット以外の上澄液を捨てる(または吸引して残留上澄みだけを残す)
・管の底を軽くたたいてペレットを残留上澄みと混合する。
・20mlのHOを細胞に加え、混合し、40秒間静置する。
・Ca++およびMg++を含有しない10X DPBS2mlを加える。
・管に、Ca++およびMg++を含有しない1X DPBSを満たし、10分間静置する。全ての赤血球細胞がこの時点で溶解するはずである。
・1000rpmで5分間スピンする(ブレーキをかける)。
・上澄液を吸引または捨て、軽くたたいて残留上澄み中に細胞を再懸濁する。
・所望の濃度で、所望の培地(発明者らは、フェノールレッドを含有せず、0.1%BSAを含有するRPMI−1640を用いた)中に細懸濁する。
【0052】
B.ヒト好中球エラスターゼ遊離アッセイ:
試薬:
インキュベーション培地:フェノールレッドを含有しないRPMI−1640中における0.1%BSA
BSA:Sigma A−6003
PMA(ホルボール12−ミリステートアセテート):Sigma P−1585
・DMSO中における1.6mMのストック溶液を調製し、等分し、−20℃で保管する。
・最終濃度20nMで使用する(これは、最大活性化応答より小さい応答をもたらすであろう)。
基質:N−メトキシ スクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリド Sigma M−4765
NEアッセイ試薬:2mM基質,0.1MトリスHCl(pH8),0.5M NaCl
NEアッセイ試薬を2X最終濃度で調製する:1つの96ウェルプレートにつき、28.3mgの基質を200μl DMSO中に溶解し、3.4mlのHOを加え、基質が溶液中で黒色になるまで混合し、2.4mlの1MトリスHCl,pH8を加え、6.0mlの2M NaClを加える。
【0053】
方法:
・ヒト好中球をプロトコルにしたがって単離する。最終的な細胞ペレットを2x10細胞/mlでインキュベーション培地(フェノールレッドを含有しないRPMI−1640中0.1%BSA)中に再懸濁する。
注意:応答に依存して、細胞濃度を増やすことができる(0.2x10細胞〜4x10細胞/ウェル)。
【0054】
インキュベーション:
[PMAおよび薬物をインキュベーション培地中、所望濃度の4倍で調製する]
・50μlの80nM PMA(最終濃度=20nM)を96ウェル(丸底)プレートの適当なウェルに加える。
PMAの添加において細胞が活性化することを明らかにするために、PMAを含まない対照を含む。
・50μlの薬物を適当なウェルに加える。薬物は、インキュベーション培地中で所望濃度の4倍で調製する。
混合する。
・100μlの好中球懸濁を加える。
・混合する(マイクロプレートシェーカー上で5分間、穏やかに振盪)。
・空気中5%CO中で、37℃で2時間インキュベートする。
・2000−RPMで10分間、ペレット化する。
・100μlアリコートの上清を透明平底96ウェルプレートに移す。
【0055】
NEアッセイ:
透明平底96ウェルプレート中、
・100μlの上清(上記参照)
・100μlの2X NEアッセイ試薬
・マイクロプレートシェーカー上で5分間混合する。
色が現れている間、カバーをする。
・色を出現させる(通常、30−60分かかるが、必要ならば、より長時間かかってもよい。通常、一晩かける)。
・405nmで吸光度を読む。
ヒト好中球エラスターゼを該アッセイの標準または参照として加えることができる。
ヒト唾液エラスターゼ[Elastin Products Co / Catolog #SE563]
Lot #14994=87.5単位/0.1mg/バイアル
50%グリセロールおよび50%0.02MnaOAcを含有する175μlの溶液pH5.0中に溶解する(−20℃で保管)。
陽性アッセイ標準のために、〜50m単位を加える。
標準曲線のために、2.5〜50m単位を加える。
また、Keiko Fujie, Yasuhiko Shinguh, Noriaki Inamura, Ritsuko Yasumitsu, Masanori Okamoto, Masakuni Okuhara,「急性炎症における組織損傷における好中球エラスターゼの遊離およびその役割:エラスターゼ阻害剤FR134043の効果(Release of neutrophil elastase and its role in tissue injury in acute inflamation: effect of the elastase inhibitor, FR134043)」,Eur. J. Pharm. 374: 117−125, 1999、およびKazuhiko Yoshimura, Sawako Nakagawa, Sekiya Koyama, Toshio Kobayashi, and Tatsuji Homma,「ウサギにおけるロイコトリエンLTB−誘導性肺損傷における好中球エラスターゼおよびスーパーオキシドの役割(Roles of neutrophil elastase and superoxide anion in leukotriene LTB−induced lung injury in rabbit)」,J. Appl. Physiol. 76(1): 91−96, 1994を参照のこと。
【0056】
C.イン・ビトロアッセイにおける組み換えカテプシンC:
組み換えヒトカテプシンCの活性は、蛍光性基質(H−Gly−Arg)−ローダミン110の開裂によって測定する。簡単に言うと、40pMカテプシンCおよび0.01mM(H−Gly−Arg)−ローダミン110を50mM酢酸ナトリウム、30mM塩化ナトリウム、1mM CHAPS、1mMジチオトレイトール、1mM EDTA,pH5.5からなる緩衝液中、25℃で1時間インキュベートする。1/10容量の10mM 2−アルドリチオール(Aldrithiol)の添加によって反応を止める。反応生成物は、励起波長485nmおよび発光波長535nmで設定した蛍光リーダー上で測定する。
【0057】
使用方法
本発明の化合物は、カテプシンC酵素を阻害し、根本的な病因が(少なくとも、部分的に)カテプシンCの関与にある疾患、または根本的な病因が(部分的にでさえ)カテプシンCの関与はないが、カテプシンC阻害がある程度の臨床的有益性を提供する疾患の治療において有用である。かかる疾患の例は、COPD、関節リウマチ、骨関節炎、喘息および多発性硬化症を包含する。したがって、別の態様において、本発明は、かかる疾患の治療法に向けられる。
【0058】
本発明の治療法は、安全かつ有効量の本発明の化合物を治療の必要な患者に投与することを特徴とする。
本明細書中で使用する場合、疾患に関して、「治療」なる語は、(1)治療している疾患または治療している疾患の1以上の生物学的徴候の改善または予防、(2)(a)治療している疾患を導くか、またはその原因となる生物学的カスケードの1以上の時点、または(b)治療している疾患の1以上の生物学的徴候の干渉、(3)治療している疾患に関連する1以上の症状または効果の軽減を意味する。
【0059】
上記のように、疾患の「治療」は、疾患の予防を包含する。当業者には、「予防」なる語が絶対的な用語でないことが明らかであろう。医学において、「予防」は、疾患の可能性または重篤度あるいはその生物学的徴候を実質的に減少させるため、またはかかる疾患またはその生物学的徴候の発症を遅らせるための薬物の予防的投与をいう。
【0060】
本明細書中で使用される場合、本発明の化合物または他の医薬上活性な物質に関して、「安全かつ有効量」なる語は、健全な医学的判断の範囲内で、治療されるべき疾患においてプラスの修飾を有意に誘導するのに十分な化合物量であるが、深刻な副作用を(妥当な利益/危険比で)回避するほど十分に低い化合物量を意味する。本発明の化合物の安全かつ有効量は、選択される特定の化合物(例えば、化合物の強度、効力および半減期を考慮する)、選択される投与経路、治療されている疾患、治療されている疾患の重篤度、治療されている患者の年齢、大きさ、体重および物理的状態、治療されるべき患者の病歴、治療期間、併用療法の性質、所望の治療効果などの因子によって変化するが、当業者によってごく普通に決定できる。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「患者」なる語は、ヒトまたは他の動物をいう。
本発明の化合物は、全身投与および局所投与を包含するいずれかの投与経路によって投与すればよい。全身投与は、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与および吸入による投与を包含する。非経口投与は、腸、経皮または吸入による以外の投与経路をいい、典型的には、注射または点滴による。非経口投与は、静脈内、筋内、および皮下注射または点滴を包含する。吸入は、患者の肺への投与をいい、口または鼻道を介して吸入される。局所投与は、皮膚への塗布ならびに眼内、耳、膣内、および鼻腔内投与を包含する。
【0062】
本発明の化合物は、一度に、またはいくつかの投与量が所定の期間、種々の時間間隔で投与される投与方針にしたがって投与してもよい。例えば、投与量を1日に1、2、3または4回投与してもよい。投与量は、所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に投与してもよい。本発明の化合物のための適当な投与方針は、その化合物の薬物動力学的性質、例えば、吸収、分布および半減期に依存し、当業者によって決定されることができる。さらに、本発明の化合物のための適当な投与方針は、投与量およびかかる方針の期間を包含するが、当業者の知識および専門技術の範囲内で、治療している疾患、治療されている疾患の重篤度、治療されている患者の年齢および物理的状態、治療されるべき患者の病歴、併用療法の性質、選択された特定の投与経路、所望の治療効果などの因子に依存する。さらに、かかる当業者には、適当な投与方針が、該投与方針に対する個々の患者の応答に対して調整を必要としうること、または個々の患者が変化を必要とするのに応じて調整する必要がありうることが分かるであろう。
典型的な1日の投与量は、10mg〜1000mgである。
【0063】
さらに、本発明の化合物は、プロドラッグとして投与されうる。本明細書中で使用される場合、本発明の化合物の「プロドラッグ」とは、患者への投与時に、最終的にイン・ビボで本発明の化合物を遊離する化合物の機能的誘導体である。プロドラッグとしての本発明の化合物を投与することにより、当業者は、(a)化合物のイン・ビボでの発現を修飾すること、(b)化合物のイン・ビボでの作用期間を修飾すること、(c)化合物のイン・ビボでの運搬または分布を修飾すること、(d)化合物のイン・ビボでの溶解性を修飾すること、および(e)副作用または化合物により遭遇する他の困難を克服することのうち1以上を実施することができる。プロドラッグを調製するために使用される典型的な機能的誘導体は、イン・ビボで化学的または酵素的に開裂される化合物の修飾を包含する。かかる修飾は、ホスフェート、アミド、エステル、チオエステル、炭酸塩およびカルバミン酸塩の調製を包含するが、当業者によく知られている。
【0064】
組成物
本発明の化合物は、必須ではないが、通常、患者へ投与する前に医薬組成物に処方される。したがって、別の態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物に向けられる。
【0065】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効量の本発明の化合物を抽出することができ、次いで、粉末、シロップおよび注射溶液のような形態で患者に与えることができるバルク形態において調製および包装してもよい。別法では、本発明の医薬組成物は、各物理的に別個の単位が安全かつ有効量の本発明の化合物を含有する単位投与形態において調製および包装してもよい。単位投与形態に調製する場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、1mg〜1000mgを含有する。
【0066】
本発明の医薬組成物は、典型的には、1の本発明の化合物を含有する。しかしながら、ある特定の具体例において、本発明の医薬組成物は、1以上の本発明の化合物を含有する。例えば、ある特定の具体例において、本発明の医薬組成物は、2個の本発明の化合物を含有する。さらに、本発明の医薬組成物は、1以上の付加的に医薬上活性な化合物を含んでいてもよい。逆に言えば、本発明の医薬組成物は、典型的には、1以上の医薬上許容される賦形剤を含有する。しかしながら、ある特定の具体例において、本発明の医薬組成物は、1の医薬上許容される賦形剤を含有する。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容される賦形剤」なる語は、医薬組成物に形態またはコンシステンシーを与えることに関与する医薬上許容される物質、組成またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者への投与時に本発明の化合物の効力を実質的に減少させる相互作用および医薬上許容されない医薬組成物をもたらす相互作用を回避するように、混合した時に医薬組成物の他の材料と適合性でなければならない。さらに、各賦形剤は、もちろん、医薬上許容されるようにするほど十分に高い純度のものでなければならない。
【0068】
本発明の化合物および医薬上許容される賦形剤は、典型的には、所望の投与経路によって患者に投与されるのに適合した投与形態に処方される。例えば、投与形態は、(1)経口投与に適応したもの、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、丸薬、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル、懸濁液、溶液、エマルジョン、サシェ、およびカシェ、(2)非経口投与に適応したもの、例えば、滅菌溶液、懸濁液、および復元するための粉末、(3)経皮投与に適応したもの、例えば、経皮パッチ、(4)直腸投与に適応したもの、例えば、座剤、(5)吸入に適応したもの、例えば、エーロゾルおよび溶液、および(6)局所投与に適応したもの、例えば、クリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー、泡沫およびゲルを包含する。
【0069】
適当な医薬上許容される賦形剤は、選択された特定の投与形態に依存して変化する。さらに、適当な医薬上許容される賦形剤は、それらが組成物において提供しうる特定の機能に関して選択されうる。例えば、ある特定の医薬上許容される賦形剤は、一様な投与形態の製造を容易にするための能力に関して選択されうる。ある特定の医薬上許容される賦形剤は、安定な投与形態の製造を容易にするための能力に関して選択されうる。ある特定の医薬上許容される賦形剤は、いったん患者に投与された本発明の化合物を1の器官または体の一部から別の器官または体の別の部分に運搬または輸送することを容易にする能力に関して選択されうる。ある特定の医薬上許容される賦形剤は、患者のコンプライアンスを増幅させる能力に関して選択されうる。
【0070】
適当な医薬上許容される賦形剤は、下記の種類の賦形剤を包含する:希釈剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、潤滑剤、造粒剤、被覆剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味料、フレーバー剤、フレーバーマスキング剤、着色剤、アンチケーキング剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、増粘剤、抗酸化剤、保存料、安定化剤、界面活性剤および緩衝化剤。ある特定の医薬上許容される賦形剤が1以上の機能を提供することがあり、また、どれだけ多くの賦形剤が処方中に存在するか、およびどのような他の成分が処方中に存在するかにもよるが、別の機能を提供しうることは、当業者に明らかであろう。
【0071】
当業者は、本発明において使用するのに適当な量で適当な医薬上許容される賦形剤を選択することができる知識および技術を有する。さらに、医薬上許容される賦形剤を記載し、適当な医薬上許容される賦形剤の選択に有用な当業者に入手可能ないくつかの供給源がある。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives (Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients (the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)がある。
【0072】
本発明の医薬組成物は、当業者に既知の技術および方法を用いて調製される。当該分野で一般に使用される方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載される。
【0073】
1の態様において、本発明は、安全かつ有効量の本発明の化合物および希釈剤または増量剤を含む錠剤またはカプセルなどの固形経口投与形態に向けられる。適当な希釈剤および増量剤は、ラクトース、シュークロ−ス、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)、硫酸カルシウム、および第2リン酸カルシウムを包含する。経口固形投与形態は、さらに、結合剤を含んでいてもよい。適当な結合剤は、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、およびアルファ化デンプン)、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカントゴム、グアーガム、ポビドン、およびセルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)を包含する。経口投与形態は、さらに、崩壊剤を含んでいてもよい。適当な崩壊剤は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースを包含する。経口固形投与形態は、さらに、滑沢剤を含んでいてもよい。適当な滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクを包含する。
【0074】
別の態様において、本発明は、吸入によって患者に投与するのに適応させた投与形態に向けられる。例えば、本発明の化合物を乾燥粉末、エーロゾル、懸濁液または溶液として肺に吸入させてもよい。
【0075】
吸入による肺への送達のための乾燥粉末組成物は、典型的には、微粉化粉末としての本発明の化合物を微粉化粉末としての1以上の医薬上許容される賦形剤と共に含む。特に乾燥粉末における使用に適した医薬上許容される賦形剤は、当業者に知られており、ラクトース、デンプン、マンニトール、ならびに単糖類、二糖類および多糖類を包含する。
【0076】
乾燥粉末は、複数(非定量)の医薬を乾燥粉末形態で貯蔵するのに適当なリザーバーを有するリザーバー付き乾燥粉末吸入器(RDPI)を介して患者に投与してもよい。RDPIは、典型的には、各医薬投与量をリザーバーからデリバリー位置に計り取る手段を含む。例えば、定量手段は、定量カップを含んでいてもよく、それはカップがリザーバー由来の医薬で満たされうる最初の位置から、定量された医薬投与量を患者に吸入可能にする第2位置へ移動可能である。
【0077】
別法では、乾燥粉末は、カプセル(例えば、ゼラチンまたはプラスチック)、カートリッジ、または複数回投与量の乾燥粉末吸入器(MDPI)で使用するためのブリスターパック中において提供されてもよい。MDPIは、複数の所定の投与量(またはその一部)の医薬を含有する(または運搬する)複数回投与パック内に医薬が含まれている吸入器である。乾燥粉末がブリスターパックとして提供される場合、それは、乾燥粉末形態の医薬を封入するための複数のブリスターからなる。ブリスターは、典型的には、医薬の放出を容易にするように規則的に配置される。例えば、ブリスターは、円形ブリスターパック上に概ね環状に配置されていてもよく、またはブリスターは、例えば、ストリップまたはテープからなる形態において細長くてもよい。各カプセル、カートリッジまたはブリスターは、例えば、20μg〜10mgの本発明の化合物を含有しうる。
【0078】
エーロゾルは、本発明の化合物を液化プロペラント中に懸濁または溶解することによって形成されうる。適当なプロペラントは、ハロカーボン、炭化水素および他の液化ガスを包含する。代表的なプロペラントは、トリクロロフルオロメタン(プロペンラント11)、ジクロロフルオロメタン(プロペラント12)、ジクロロテトラフルオロエタン(プロペラント114)、テトラフルオロエタン(HFA−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFA−152a)、ジフルオロメタン(HFA−32)、ペンタフルオロエタン(HFA−12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA−227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタン、およびペンタンを包含する。本発明の化合物を含むエーロゾルは、典型的には、定量吸入器(MDI)を介して患者に投与される。かかる装置は、当業者に知られている。
【0079】
エーロゾルは、典型的にMDIと共に使用される付加的な医薬上許容される賦形剤、例えば、界面活性剤、滑沢剤、共溶媒、および処方の物理的安定性を改善するため、バルブ性能を改善するため、溶解性を改善するため、または味を改善するための他の賦形剤を含有していてもよい。
【0080】
本発明の化合物を含む懸濁液および溶液は、また、噴霧器を介して患者に投与されうる。噴霧化のために使用される溶媒または懸濁剤は、いずれかの医薬上許容される液体、例えば、水、水性セーライン、アルコールまたはグリコール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、またはその混合物であってもよい。セーライン溶液は、投与後に薬理学的活性をほとんど示さないか、または全く示さない塩を利用する。この目的で、有機塩、例えば、アルカリ金属またはアンモニウムハロゲン塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは有機塩、例えば、カリウム、ナトリウムおよびアンモニウム塩または有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸などのどれを用いてもよい。
【0081】
他の医薬上許容される賦形剤を懸濁液または溶液に加えてもよい。本発明の化合物は、無機酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸および/またはリン酸、有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、および酒石酸など、錯体化剤、例えば、EDTAまたはクエン酸およびその塩、または抗酸化剤、例えば、ビタミンEまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって安定化されうる。本発明の化合物を安定化するために、これらを単独または一緒に用いてもよい。塩化ベンザルコニウムまたは安息香酸およびその塩などの保存料を加えてもよい。特に、懸濁液の物理的安定性を改善するために、界面活性剤を加えてもよい。これらは、レシチン、ジオクチルスルホコハク酸2ナトリウム、オレイン酸およびソルビタンエステルを包含する。
【実施例】
【0082】
下記の実施例は、本発明を説明するものである。これらの実施例は、本発明の範囲を制限しようとするものではなく、むしろ、本発明の化合物、組成物および方法を調製および使用するための手引きを当業者に提供しようとするものである。本発明の特定の具体例を記載するが、発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更および修飾が可能であることは、当業者に明らかであろう。
【0083】
調製例
実施例1
ピラゾリジン二塩酸塩(1)
水素化ナトリウム(18.08g,60%w/w,0.452mol)を215mLの無水DMF中に懸濁し、混合物をアルゴン下、室温で2.5時間攪拌した。次いで、懸濁液を冷水浴で冷却し、360ml DMF中におけるビス−Bocヒドラジン(50.0g,0.215mol)の溶液を55分かけて滴下した。反応混合物をさらに1.5時間攪拌し、次いで、1,3−ジブロモプロパン(21.9mL,0.215mol)の70mL DMF中溶液を滴下した。反応混合物を室温に戻し、24時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷/水浴中で冷却し、215mLの水を注意深く添加することによってクエンチした。反応混合物を2150mLの水中に注ぎ入れ、酢酸エチル(1x750mL,2x650mL)で抽出した。合わせた抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固させて、粗ビス−Bocピラゾリジンを無色油として得た(88.79g)。該油をヘキサン(85mL)中における10%ジエチルエーテル中に溶解し、BioTage 75Lシリカカラム上にアプライし、4Lのヘキサン中における10%ジエチルエーテル、4Lのヘキサン中における25%ジエチルエーテル、および7.1Lのヘキサン中における30%ジエチルエーテルで連続的に溶出することによって精製した。適当なフラクションを合わせ、蒸発させて、精製したビス−Bocピラゾリジンを得た(47.0g,80.2%)。次いで、該保護した環状ヒドラジンを4N HCl/ジオキサン(800mL)中に溶解した。フラスコに栓をし、氷浴中で冷却し、次いで、一晩かけて攪拌しながら室温に温めた。24時間後、反応混合物をアルゴン下でろ過し、得られた固体を冷ジオキサン(200mL)で洗浄した。該固体を真空中、35℃で36時間乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た(24.13g,96.4%)。ESMS 72.8 (M+H
【0084】
実施例2
ヘキサヒドロピリダジン二塩酸塩(2)
実施例1の手法を用い、1,4−ジブロモブタン(25.7mL,0.215mol)を代わりに用いて、ビス−Bocヘキサヒドロピリダジンを白色固体として得(66.75g)、それは精製の必要がなかった。実施例1のようにBoc基の除去および後処理をして、標題化合物をわずかにピンク色の固体として得た(32.59g,95.3%)。ESMS87.2(M+H
【0085】
実施例3
ヘキサヒドロ−1H−1,2−ジアゼピン二塩酸塩(3)
実施例1の手法を用い、1,5−ジブロモペンタン(29.4mL,0.215mol)を代わりに用いて、粗ビス−Boc環状ヒドラジンを油として得た(80.81g)。これを実施例1のように、8.3Lのヘキサン中における10%ジエチルエーテル、次いで、4.0Lのヘキサン中における15%ジエチルエーテル、次いで、6.3Lのヘキサン中における20%ジエチルエーテルで溶出して精製した。適当なフラクションの蒸発により、精製されたビス−Boc環状ヒドラジン(52.12g,80.7%)を得た。実施例1のようにBoc基の除去および後処理をして、標題化合物をわずかにピンク色の固体として得た(28.93g,96.3%),ESMS 101.0 (M+H
【0086】
実施例4
1−シアノピラゾリジン(4)
5mlのジクロロメタン中における1(100mg,0.69mmol)の懸濁液に、室温で、ジイソプロピルエチルアミン(721μL,4.14mmol)を加え、混合物を均一溶液が得られるまで、室温で攪拌した。臭化シアン(80.4mg,0.76mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を後処理または精製することなく、直接用いた。
【0087】
実施例5
1−シアノヘキサヒドロピリダジン(5)
実施例4にしたがい、ヘキサヒドロピリダジン二塩酸塩(100mg,0.63mmol)を代わりに用い、657μLのジイソプロピルエチルアミン(3.77mmol)および100.1mgの臭化シアン(0.94mmol)を用いて調製された。反応混合物を後処理または精製することなく、直接用いた。
【0088】
実施例6
1−シアノヘキサヒドロ−1H−1,2−ジアゼピン(6)
実施例4にしたがい、ヘキサヒドロ−1H−1,2−ジアゼピン二塩酸塩(100mg,0.58mmol)を代わりに用い、606μLのジイソプロピルエチルアミン(3.48μmol)および174μLのアセトニトリル中における5M臭化シアン(0.87mmol)を用いて調製された。反応混合物を後処理または精製することなく、直接用いた。
【0089】
化合物例
実施例7
ベンジル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(7)
【化4】

4を、1(50mg,0.34mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(296μL,1.7mmol)で出発し、次いで、臭化シアン(54mg,0.51mmol)を用いる実施例4の方法によって調製した。これに、クロロギ酸ベンジル(73μL,0.51mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して7を得た(8.1mg,10%)。ESMS 232.2 (M+H).
【0090】
実施例8
ベンジル2−シアノテトラヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(8)
【化5】

5を、2(50mg,0.31mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(270μL,1.55mmol)で出発し、次いで、93μLのアセトニトリル中における5M臭化シアン(0.47mmol)を用いて、実施例5にしたがって調製した。これに、クロロギ酸ベンジル(66μL,0.47mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して8を得た(7.7mg,10%)。ESMS 246.6 (M+H).
【0091】
実施例9
ベンジル2−シアノテトラヒドロ−1H−1,2−ジアゼピン−1−カルボキシレート(9)
【化6】

6を、3(50mg,0.29mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(270μL,1.55mmol)で出発し、次いで、88μLのアセトニトリル中における5M臭化シアン(0.44mmol)を用いて、実施例6にしたがって調製した。これに、クロロギ酸ベンジル(62μL,0.44mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して9を得た(11.5mg,15.2%)。ESMS 260.2 (M+H).
【0092】
実施例10
4’−メトキシフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(10)
【化7】

4を実施例4にしたがって調製した。これに、クロロギ酸4−メトキシフェニル(104.4mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して10を得た(3.4mg,2.0%)。ESMS 248.2 (M+H
【0093】
実施例11
2’−ニトロフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(11)
【化8】

4を実施例4にしたがって調製した。これに、クロロギ酸2−ニトロフェニル(139.1mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して11を得た(5.3mg,2.9%)。ESMS 263.2 (M+H).
【0094】
実施例12
4’−メチルフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(12)
【化9】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸p−トリル(117.7mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して12を得た(4.9mg,3.1%)。ESMS 232.2 (M+H).
【0095】
実施例13
2’−メトキシフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(13)
【化10】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−メトキシフェニル(104.4mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して13を得た(72.8mg,42.6%)。ESMS 248.6 (M+H).
【0096】
実施例14
2’−クロロフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(14)
【化11】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−クロロフェニル(131.8mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して13を得た(51.4mg,29.6%)。ESMS 252.2 (M+H).
【0097】
実施例15
2’−メトキシフェニル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(15)
【化12】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−メトキシフェニル(117.6mg,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して15を得た(3.7mg,2.2%)。ESMS 262.2 (M+H
【0098】
実施例16
2’−クロロフェニル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(16)
【化13】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−クロロフェニル(120.3mg,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して16を得た(5.6mg,3.3%)。ESMS 266.2 (M+H).
【0099】
実施例17
2’−ニトロフェニル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(17)
【化14】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−ニトロフェニル(127.0mg,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して17を得た(5.5mg,3.2%)。ESMS 277.2 (M+H
【0100】
実施例18
2’−クロロベンジル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(18)
【化15】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−クロロベンジル(129.2mg,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して18を得た(10.1mg,5.7%)。ESMS 280.2 (M+H).
【0101】
実施例19
2’−ナフチル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(19)
【化16】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−ナフチル(130.2mg,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して19を得た(7.4mg,4.2%)。ESMS 282.2 (M+H).
【0102】
実施例20
1’−ナフチル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(20)
【化17】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸1−ナフチル(130.2mg,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して20を得た(6.9mg,3.9%)。ESMS 282.2 (M+H).
【0103】
実施例21
4’−[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(21)
【化18】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸4−メトキシカルボニルフェニル(135.2mg,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して21を得た(0.2mg,>1%)。ESMS290.2(M+H).
【0104】
実施例22
2’−ニトロフェニル2−シアノヘキサヒドロ−1H−1,2−ジアゼピン−1−カルボキシレート(22)
【化19】

6を174μLのアセトニトリル中における5N臭化シアン(0.87mmol)を用いて、実施例6にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−ニトロフェニル(116.9mg,0.58mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して22を得た(7.4mg,4.4%)。ESMS 291.2 (M+H).
【0105】
実施例23
2’−[(フェニルメチル)オキシ]エチル2−シアノヘキサヒドロ−1H−1,2−ジアゼピン−1−カルボキシレート(23)
【化20】

6を174μLのアセトニトリル中における5N臭化シアン(0.87mmol)を用いて、実施例6にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−(ベンジルオキシ)エチル(124.4mg,0.58mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物を逆相HPLC(10分で10%アセトニトリル/水〜90%アセトニトリル/水)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して23を得た(3.7mg,2.1%)。ESMS 304.2 (M+H).
【0106】
実施例24
フェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(24)
【化21】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸フェニル(86.6mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して24を得た(77.8mg,51.9%)。ESMS 218.4 (M+H).
【0107】
実施例25
1’−ナフチル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(25)
【化22】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸1−ナフチル(142.5mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して25を得た(74.0mg,40.1%)。ESMS 268.4 (M+H).
【0108】
実施例26
2’−ナフチル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(26)
【化23】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−ナフチル(142.5mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して26を得た(86.1mg,46.6%)。ESMS 268.4 (M+H).
【0109】
実施例27
4’−クロロフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(27)
【化24】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4−クロロフェニル(131.8mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して27を得た(55.0mg,31.6%)。ESMS 252.4 (M+H).
【0110】
実施例28
4’−メチルフェニル2−シアノヘキサヒドロピリダジン−1−カルボキシレート(28)
【化25】

5を実施例5にしたがって調製した。これにクロロギ酸p−トリル(87.7μL,0.63mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して28を得た(66.7mg,43.1%)。ESMS 246.6 (M+H).
【0111】
実施例29
4’−[(メチルオキシ)カルボニル]フェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(29)
【化26】

4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4−(メトキシカルボニル)フェニル(148.1mg,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して29を得た(85.9mg,45.2%)。ESMS 276.4 (M+H).
【0112】
実施例30
4’−(4−アセチルピペラジノ)フェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(30)
【化27】

クロロギ酸4−(4−アセチルピペラジノ)フェニルを、1−アセチル−4−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジン(152.0mg,0.69mmol)を3mLのジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4−(4−アセチルピペラジノ)フェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して30を得た(6.4mg,2.7%)。ESMS 344.4 (M+H).
【0113】
実施例31
2−ナフタレニルメチル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(31)
【化28】

クロロギ酸2−ナフタレニルメチルを、2−ナフタレンメタノール(119.0mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸2−ナフタレニルメチルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して31を得た(47.9mg,24.6%)。ESMS 282.4 (M+H).
【0114】
実施例32
(3,4−ジクロロフェニル)メチル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(32)
【化29】

クロロギ酸(3,4−ジクロロフェニル)メチルを、3,4−ジクロロベンジルアルコール(122.0mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸3,4−(ジクロロフェニル)メチルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して32を得た(57.9mg,28.0%)。ESMS 300.4 (M+H).
【0115】
実施例33
1,3−ベンゾジオキソール−5−イル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(33)
【化30】

クロロギ酸1,3−ベンゾジオキソール−5−イルを、セサモール(94.5mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸1,3−ベンゾジオキソール−5−イルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して33を得た(86.3mg,47.9%)。ESMS 262.2 (M+H).
【0116】
実施例34
(6’−シアノ)−2−ナフタレニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(34)
【化31】

クロロギ酸(6’−シアノ)−2−ナフタレニルを、6−シアノ−2−ナフトール(116.7mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸(6’−シアノ)−2−ナフタレニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して34を得た(52.3mg,25.9%)。ESMS 293.4 (M+H).
【0117】
実施例35
4’−トリフルオロメチルフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(35)
【化32】

クロロギ酸4’−トリフルオロメチルフェニルを、4−トリフルオロメチルフェノール(111.9mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4’−トリフルオロメチルフェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して35を得た(48.1mg,24.4%)。ESMS 286.2 (M+H).
【0118】
実施例36
4’−アセチルアミノフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(36)
【化33】

クロロギ酸4’−アセチルアミノフェニルを、4−アセチルアミドフェノール(104.3mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4’−アセチルアミノフェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して36を得た(9.9mg,5.2%)。ESMS 275.4 (M+H).
【0119】
実施例37
2,3−ジクロロフェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(37)
【化34】

クロロギ酸2,3−ジクロロフェニルを、2,3−ジクロロフェノール(112.5mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4’−アセチルアミノフェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して37を得た(90.1mg,45.6%)。ESMS 286.2 (M+H).
【0120】
実施例38
4’−(1−イミダゾリル)フェニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(38)
【化35】

クロロギ酸4’−(1−イミダゾリル)フェニルを4’−(1−イミダゾリル)フェノール(110.5mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4’−アセチルアミノフェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。トルエン(473μl,0.83mmol)中における20%ホスゲンのさらなるアリコートを加え、反応混合物を室温でさらに24時間攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して38を得た(13.0mg,6.7%)。ESMS 284.4 (M+H).
【0121】
実施例39
3’,4’−ジメチルフェニルメチル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(39)
【化36】

クロロギ酸3’,4’−ジメチルフェニルメチルを、3,4−ジメチルベンジルアルコール(94.0mg,0.69mmol)を3mLジクロロメタン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4’−アセチルアミノフェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して39を得た(57.0mg,31.9%)。ESMS 260.4 (M+H).
【0122】
実施例40
6−キノリニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(40)
【化37】

クロロギ酸6−キノリニルを、6−ヒドロキシキノリン(100.2mg,0.69mmol)を2mLジクロロメタン/1mL N−メチルピロリジン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4’−アセチルアミノフェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンのさらなるアリコートを加え、反応混合物を室温でさらに24時間攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して40を得た(37.6mg,20.3%)。ESMS 269.4 (M+H).
【0123】
実施例41
7−イソキノリニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(41)
【化38】

クロロギ酸7−イソキノリニルを、7−ヒドロキシイソキノリン(100.2mg,0.69mmol)を2mLジクロロメタン/1mL N−メチルピロリジン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸4’−アセチルアミノフェニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンのさらなるアリコートを加え、反応混合物を室温でさらに24時間攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して41を得た(4.2mg,2.3%)。ESMS 269.4 (M+H).
【0124】
実施例42
5−キノリニル2−シアノピラゾリジン−1−カルボキシレート(42)
【化39】

クロロギ酸5−キノリニルを、5−ヒドロキシキノリン(100.2mg,0.69mmol)を2mLジクロロメタン/1mL N−メチルピロリジン中に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(145μL,0.83mmol)を加えることによって調製した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンを滴下し、次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した。
4を実施例4にしたがって調製した。これにクロロギ酸5−キノリニルを一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。トルエン(473μL,0.83mmol)中における20%ホスゲンのさらなるアリコートを加え、反応混合物を室温でさらに24時間攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して42を得た(15.8mg,8.5%)。ESMS 269.4 (M+H).
【0125】
実施例43
2−[4’−(メチルフェニル)アセチル]−1−ピラゾリジンカルボニトリル(43)
【化40】

4を200mgのピラゾリジン二塩酸塩(1.38mmol)および1.4mLのジイソプロピルエチルアミン(8.27mmol)を用い、次いで、414μLのアセトニトリル中における5M臭化シアン(2.07mmol)を用いて、実施例4にしたがって調製した。これにp−トルエン酢酸(311.0mg,2.07mmol)、次いで、ジイソプロピルカルボジイミド(324μL,2.07mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して43を得た(31.4mg,9.9%)。ESMS 230.6 (M+H).
【0126】
実施例44
2−[(2E)−3−(2−ナフタレニル)−2−プロペノイル]−1−ピラゾリジンカルボニトリル(44)
【化41】

4を実施例4にしたがって調製した。これに3−(2−ナフタレン)アクリル酸(136.8mg,0.69mmol)、次いで、ジイソプロピルカルボジイミド(129.6μL,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して44を得た(52.3mg,52.2%)。ESMS 278.4 (M+H).
【0127】
実施例45
2−(2−ナフタレニル)アセチル−1−ピラゾリジンカルボニトリル(45)
【化42】

4を実施例4にしたがって調製した。これに2−ナフタレン酢酸(128.5mg,0.69mmol)、次いで、ジイソプロピルカルボジイミド(129.6μL,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して45を得た(107.8mg,58.9%)。ESMS 266.2 (M+H).
【0128】
実施例46
2−(1−ナフタレニル)アセチル−1−ピラゾリジンカルボニトリル(46)
【化43】

4を実施例4にしたがって調製した。これに1−ナフタレン酢酸(128.5mg,0.69mmol)、次いで、ジイソプロピルカルボジイミド(129.6μL,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して46を得た(94.5mg,51.6%)。ESMS 266.2 (M+H).
【0129】
実施例47
2−(3−フェニルプロパノイル)−1−ピラゾリジンカルボニトリル(47)
【化44】

4を実施例4にしたがって調製した。これにフェニルプロピオン酸(103.6mg,0.69mmol)、次いで、ジイソプロピルカルボジイミド(129.6μL,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して47を得た(94.5mg,59.7%)。ESMS 230.4 (M+H).
【0130】
実施例48
2−(4’−フルオロフェニルアセチル)−1−ピラゾリジンカルボニトリル(48)
【化45】

4を実施例4にしたがって調製した。これに塩化4−フルオロフェニルアセチル(94.6μL,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して48を得た(90.1mg,45.6%)。ESMS 234.4 (M+H).
【0131】
実施例49
2−(4’−メチルフェニル)カルボニル−1−ピラゾリジンカルボニトリル(49)
【化46】

4を実施例4にしたがって調製した。これに塩化p−トルイル(91.2μL,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して49を得た(50.5mg,34.0%)。ESMS 216.4 (M+H).
【0132】
実施例50
2−(1−ナフタレニル)カルボニル−1−ピラゾリジンカルボニトリル(50)
【化47】

4を実施例4にしたがって調製した。これに塩化1−ナフトイル(103.9μL,0.69mmol)を一度に加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。回転式蒸発による溶媒の除去後、標題化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(CombiFlash,10分かけて、ヘキサン中の20%酢酸エチル〜100%酢酸エチル)によって精製した。適当なフラクションを回収し、合わせ、蒸発乾固して50を得た(84.5mg,48.7%)。ESMS 252.4 (M+H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
nは、1、2または3であり;
Xは、−C(O)R1、−C(O)OR1、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)YR2、または−C(O)OYR2であり;
R1は、C1−C8アルキルまたはC3−C6シクロアルキルであり;
R2は、アリールまたはヘテロアリールであり;
ここに、該アリールは、ハロ、C1−C3ハロアルキル、−CN、−NO、Ra、−ORa、−C(O)ORa、−C(O)Ra、−NHC(O)Ra、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択される1以上に置換基によって置換されていてもよく、ここに、該ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、ハロ、C1−C3ハロアルキル、Ra、−ORa、−C(O)ORa、−C(O)Ra、および−NHC(O)Raからなる群から独立して選択される1以上に置換基によって置換されていてもよく;ここに、該ヘテロアリールは、ハロ、C1−C3ハロアルキル、−CN、−NO、Ra、−ORa、−C(O)ORa、−C(O)Ra、および−NHC(O)Raからなる群から独立して選択される1以上に置換基によって置換されていてもよく;
Yは、C1−C4アルキレン、C2−C4アルケニレンまたは−(CH−O−(CH−であり;
lは、1、2または3であり;
mは、0、1または2であり;
l+mは、1、2、3または4であり;
Raは、C1−C3アルキルであり;
但し、nが1であって、Xが−C(O)OR1である場合、R1はt−ブチル以外の基である]
で示される化合物、またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
Xが−C(O)R1または−C(O)OR1である請求項1記載の化合物または塩。
【請求項3】
Xが−C(O)R1、−C(O)OR1、−C(O)R2、−C(O)OR2、−C(O)YR2または−C(O)OYR2である請求項1記載の化合物または塩。
【請求項4】
R2がアリールである請求項3記載の化合物または塩。
【請求項5】
R2がフェニルである請求項4記載の化合物または塩。
【請求項6】
R2がナフチルである請求項4記載の化合物または塩。
【請求項7】
YがC1−C4アルキレンまたは−(CH−O−(CH−である請求項3記載の化合物または塩。
【請求項8】
YがC1−C4アルキレンである請求項3記載の化合物または塩。
【請求項9】
Yがメチレンまたはエチレンである請求項8記載の化合物または塩。
【請求項10】
Yがメチレンである請求項8記載の化合物または塩。
【請求項11】
R2がフェニルである請求項8記載の化合物または塩。
【請求項12】
R2がナフチルである請求項8記載の化合物または塩。
【請求項13】
nが1である請求項8記載の化合物または塩。
【請求項14】
nが2である請求項8記載の化合物または塩。
【請求項15】
nが3である請求項8記載の化合物または塩。
【請求項16】
Raがメチルである請求項8記載の化合物または塩。
【請求項17】
請求項1記載の化合物または塩および1以上の医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
安全かつ有効量の請求項1記載の化合物または塩を必要とする患者に投与することを特徴とするCOPDの治療法。

【公表番号】特表2008−531706(P2008−531706A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558151(P2007−558151)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/007162
【国際公開番号】WO2006/094003
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】