説明

新規なカラーコスメチック組成物

本発明は、少なくとも2つの異なるタイプの顔料と、担体とを含む独特の化粧品組成物を提供するもので、該異なるタイプの顔料は、担体内で、個々のカプセルに入って互いからは物理的に離間されている。本発明の組成物は、肌に鮮やかな色を与えるが、伝統的な顔料粉末含有組成物で典型的に見られる灰色の感じはしない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品の分野に関わる。より詳細には、本発明は、顔料が収容されている独特の構造をもっており、その結果、独特の光学的効果が生じるカラーコスメチックに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーコスメチックにとって最も基本となることは、化粧品を塗った使用者の顔の外観が強調されるのと同時に、見えているのが、あたかも使用者の自然な美しさであるかのように見せかけることである。化粧品が使用されてきたこの何百年間にわたって、女性(あるいは男性)の好みは、使用者の顔を強調するというよりはむしろそれを隠す非常に濃厚、不透明な配合物の流行から、使用者の自然な外観を強調はするがそれを壊さないカラーコスメチックへと次第に変わってきた。皮膚の欠点を物理的に覆って隠す、例えばコンシーラーのような不透明な配合物に対する市場はなお存在するが、そのような化粧品の用途は比較的限られており、現在では、所望の自然な外観を与えるとともになお使用者の全体的な見た目を改善するメーキャップ配合物の研究が進められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを達成する上での1つの問題は、伝統的顔料それ自体の特性である。典型的には、カラーコスメチックの多くは、主に、酸化鉄や二酸化チタンなどの金属酸化物をベースにしている。天然に皮膚で見られる全色調である赤色、茶色、黒色、黄色、および白色の色合いで準備されるこれらの物質は、正しい比率で一緒に摩砕された場合、配合物に様々な皮膚色を与えることができる。これらの物質が比較的不透明であるため、これらはコンシールする(隠す)上において特に有用であり、そのため、過去においては、ファウンデーションやコンシーラーで非常に好まれて使用されてきた。金属酸化物を使用することなしにメーキャップをつくることは、現在でも、事実上考えられない。しかしながら、不透明性の低いものが好まれるという方向への流行と共に、一方では金属酸化物の有用な特性を活用しつつ他方ではその望ましくない不透明性および灰のような感じを抑える新しい方法が、常に探し求められている。今日、大半のメーキャップが目標とするところは、見た目が仮面とならない、欠点やむらを効果的に隠すコンシーラーを提供することである。本発明は、この問題を解決する新規なアプローチを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも2つの異なる顔料と、担体とを含む化粧品組成物であって、該異なるタイプの顔料が、顔料のカプセル化によって、担体中で互いから物理的に離間されていて、それぞれのカプセルが単一タイプの顔料を収容している化粧品組成物に関するものである。本発明はまた、少なくとも2つの異なる顔料と、担体とを含む化粧品組成物の製造方法であって、その方法が、(a) それぞれの異なる顔料について1つのエクステンダーを調製するステップ、および(b) 顔料を一緒に摩砕することなくそれぞれのエクステンダーを担体中にブレンドするステップを含んでなり、それによって、担体中で、異なる顔料タイプ間の物理的な接触がない方法にも関する。本発明の化粧品は優れた化粧を可能にするもので、なお且つ皮膚上では薄くまた自然に見えるのである。
【0005】
本発明の化粧品は、印象派芸術ムーブメントから閃いたものである。この画法のアプローチは、基本的には、カンバス上に個々の色の点または短い線を描くことに依存するもので、この画法は、少し離れて見た場合、密接した像がじかに接しているという印象を表出するが、同時に、濃厚に着色されているが不透明である典型的な油絵の具の顔料では達成できない妙なる美しさと彩飾の像を与える。同じように、本発明の組成物は、カラーコスメチックにおいて、その全体が、その個々の部分の合計よりも相当に多いカラーコスメチックを提供するものである。すなわち、このメーキャップを塗ると、金属酸化物の有用なカムフラージュ効果が大いに利用されて非常に効果的なコンシーラーとなり、なお同時に、薄くて且つ自然な見た目を与える。
【0006】
本発明の化粧品は、カラーコスメチックにおいてこれまでに用いられたことのない方法で伝統的な顔料を用いるものである。カラーコスメチックを製造する通常のアプローチでは、金属酸化物顔料を一緒に粉砕して、製品中に顔料が均一に混合されたものをつくる。最終製品中の顔料自体は区別できず、組成物に不透明、均質、肌色の色合いを与える。これにひきかえ本発明の組成物は、顔料を粉砕することを採用するものではない。代わりに、顔料は、個々の色素が、最終製品中および皮膚上で離間され且つ別個のままであるように、組成物に加えられる。この独特の調製物の結果、欠点をマスクするという所望の効果や、肌の色調を均一化する(evening skin tone)効果という所望の効果を達成するが、見る人には自然で、斑がなく、灰のような感じがしないように見える鮮やかな色彩も得られる。
【0007】
本発明の組成物は、それぞれの個々の色素顔料が、他のタイプの顔料からは離間してカプセル化されていることを確実なものにすることによって、この結果を達成するものである。言い換えると、黒色酸化鉄顔料のカプセルには該顔料だけが存在し、赤色酸化鉄のカプセルには該顔料だけが存在する。最終の組成物中では、異なるタイプの顔料間の直接的な物理的接触はない。このカプセル化は、様々な方法によって達成することができる。一実施形態では、それぞれの個々の顔料は、当技術分野で知られている方法で、別々に、物理的にカプセル化することができ、例えば、シリカカプセル化黒色顔料またはシリカカプセル化赤色顔料は、単純に、個々のカプセル化顔料を、化粧品担体中に、緩やかに混合することで、混ぜ合わせることができる。別の方法として、顔料は、組成物内にある個々のミセル中にカプセル化することができ、それぞれのミセル、すなわち、それぞれの個々の顔料は、組成物中で、他の顔料からは物理的に離間された状態にある。後者のアプローチは、厳密な意味でのカプセル化ではないが、個々の色素を担体中で離間された状態にすることで、同じ結果を効果的に達成するものである。つまり、本明細書および特許請求の範囲の目的のためには、「カプセル化」または「カプセル」とは、顔料を物理的なカプセル内に収容することができる伝統的なカプセル化のみならず、例えば担体内にある個別ミセルへの個々の顔料の封じ込めのような、担体内での顔料の物理的な離間、をもたらす組成物の調製方法も包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物の形態は、カラーコスメチックに典型的な形態(例えば、液体、固体、あるいは粉末)であればどのような形態にあってもよく、例えば水含有のエマルジョン(水中油もしくは水中シリコーン型、あるいは油中水もしくはシリコーン中水型、あるいは複合型のエマルジョン)、あるいは無水の配合物であってもよい。以下でより詳細に説明するものを除いて、配合物は、すべて、このタイプの標準的な製品として同じ方式で調製される。各種の担体形態を調製する方法は、当技術分野では周知であり、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」や「Harry's Cosmeticology」などの多数の書物に一般論的に説明されており、該文献の内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。しかしながら、特許請求されている配合物と、標準の配合物とは、所望の結果を得るうえで成功するための鍵が、(a) それぞれのカプセル中に唯一つの顔料タイプが存在するように、異なるタイプの顔料を個別にカプセル化することを達成するような方法;また(b) 個々の色素カプセルが担体中に組み込まれた後は、それらの合体または凝集が起こらないことを確実なものにするような方法;で組成物を配合することであるという点において異なっている。この方法の要件(a)は、様々な方法によって達成することができる。既に上記で述べたように、これを達成するひとつの比較的簡単な方法が、既に個々にカプセル化されている顔料、すなわち顔料または着色剤がそれ自体個々のケミカルシェルである顔料、あるいは顔料がケミカルシェルによって囲まれていて、その結果それぞれのカプセル内には単一タイプの顔料が存在していて、異なる色の顔料または着色剤の物理的な合体が実質的にない顔料を利用することである。このタイプでは、種々の着色剤を用いることができ、例えば、ガラスビーズ自体がケミカルシェルを形成している異なる色の個々のガラスビーズ、あるいはシリカなどのケミカルシェル中にカプセル化された顔料であり、これらは、目的とする相に分散可能とするために、さらに表面処理、すなわち水相での使用には親水処理、油もしくはシリコーン相での使用には疎水処理がされていていてもよいし、いなくてもよい。このタイプの顔料のひとつの具体的な例はシリカカプセル化顔料であり、Dominion Color Corporation (Toronto, Ontario, Canada) から入手可能である。このタイプのひとつの好ましい顔料は、約60%が金属酸化物であり、約40%がシリカである。このようなカプセル化された顔料は、粉末製品などの無水の配合物、あるいは無水ホット・ポア(anhydrous hot pour)またはエマルジョン油相のような油相で、特に使用可能である。
【0009】
顔料のカプセル化を達成するもう1つのメカニズムは、ミセル、すなわちエマルジョンの分散相を形成する油滴もしくは水滴中に、顔料粒子を包み込むことである。これは、最終の配合物で使用する顔料のそれぞれについて個々のエマルジョンを調製することで、すなわちそれぞれの個々の顔料について完全配合のエクステンダーを調製することで達成できる。この方法では、顔料は、単にエマルジョンの内部相中に、すなわち油中水型エマルジョンにあっては水相中に、水中油型エマルジョンにあっては油相中に組み込まれる。それぞれの個々の顔料エマルジョンは、次に、続いて、担体エマルジョン中に組み込まれる。それぞれの顔料タイプは、この結果、個々のミセルの境界で、他の顔料タイプからは離間された状態となる。このカプセル化法で使用される顔料は、表面処理なしでも用いることができるが、本発明においては、個々のミセルが凝集するのを防ぐためにも、顔料が組み込まれることになる相の組成に相応しい様式で表面処理されている顔料を用いるのが好ましい。例えば、油相中に組み込まれることになる顔料は、好ましくは疎水性のコーティング、例えばミリスチン酸マグネシウム、フッ素系コーティング、あるいはシリコーン系コーティング(例えばメチコン、ジメチコン、アルキルシラン、イソドデカン(Isododecane)などで、これらは、シリコーン相で使用する場合、特に有用である)で、部分的または全体的に処理しておく。同様に、水相で使用されることになる顔料は、好ましくは親水的に処理しておく。親水性の処理をするうえで有用なものの例は、ジメチコンコポリオールやレシチンである。親水性のコーティングがしてある有用な顔料の例は、Cardreから市販されているAQ Seriesの顔料である。
【0010】
本発明のこの独特の配合物を達成する上での第2の観点は、カプセルが、担体の中に組み込まれた後は、離間された状態のままであるということを確実なものにすることである。これは、色々なやり方で、達成することができる。これを達成するためのひとつの基本的なアプローチは、カプセルを組み込む方式そのものによるものである。伝統的なカラーコスメチックの調製においては、粉砕された顔料の均質な組み込みを達成するために、配合物には、確実に均一化するために、比較的高剪断、すなわち三枚プロペラミキサーで約800〜約1800rpm、好ましくは約1200〜約1800rpmの混合が加えられる。これは、粉砕された顔料が、担体全体にわたって均一に分散されるということを達成するためには極めて重要である。この場合、このようなエマルジョンの加工において避けることができない個々のミセルの合体は、問題とならない。なぜなら、第1には、伝統的なメーキャップの大抵のケースでは、顔料は、通常、分散相でなく連続相の中に組み込まれるので、そして第2には、たとえ顔料が分散相中にあったとしても、顔料は既に混ざり合っているからである。しかしながら、本発明の組成物においては、そのような激しい混合は望ましくない。なぜなら、それは、個々のミセルの融合を引き起こし、それによって所望の効果が部分的または完全になくなる可能性があるからである。物理的にカプセル化された顔料でも同じような結果が起こり得、この場合は、カプセルが破壊されて顔料粒子の混ざり合いがそのあと起こる。このように、本発明の組成物においては、顔料は、担体エマルジョン中に、緩やかに混ぜなければならない。
【0011】
緩やかな混合は、色々なやり方で行うことができる。例えば、粉末配合物では、全粉末成分を最初に一緒に粉砕し、そのあと個々のカプセル化された顔料を低速度、すなわち約500〜約800rpmで、残りの粉末成分中に混合することができる。別のやり方としては、個々のカプセル化された顔料を、別々の完全配合エクステンダー中に組み込み、そのあと混ぜ合わせて、最終製品をつくることができる。目的に応じ、粉末は、ルーズな状態のままであってもよいし、あるいは適当な方法によってプレスしてもよい。液体油相(例えば、ホット・ポアあるいはエマルジョン)に対しては、カプセル化された顔料は、単にその油相に直接加えることができる。
【0012】
エマルジョンが調製される場合、好ましい方法は、使用されるそれぞれの顔料について、別々配合のエクステンダーを調製することであり、これによって、エマルジョンの分散相中に単一タイプの顔料をそれぞれ含有しているいくつかの個々のエマルジョンが形成される。別の方法としては、異なる顔料をそれぞれ含有している個々の目標とする分散相を調製することもできる。このエクステンダー、または目標分散相は、このあと、予め製造されている担体エマルジョン、または予め製造されている目標連続相に個々に加えられ、粉末の場合と同じように、既にエクステンダー中に形成されているミセル、または目標分散相を連続相に加えたときに形成されるミセルの融合を避けるために、約500〜約1200rpmより大きくない速度で、緩やかに混合される(高い粘度の場合は、この範囲の高い方の速度が必要である)。
【0013】
非常にゆっくりとした混合速度は、それ自体、別々に顔料が入ったミセルの離間を維持する上において有効であり得るが、通常は、離間液滴の安定性を長期間にわたって維持するために、1種または複数種の乳化剤を、1つまたは複数の相の中に組み込むのが好ましい。一般には、乳化剤は、エマルジョンの特性に応じて選ばれる。すなわち、HLBが2〜6の水/油乳化剤が油中水型エマルジョンに使用され、HLBが6超の油/水乳化剤が水中油型エマルジョンに使用される。有用な水/油乳化剤の例としては、限定するものではないが、ソルビタン誘導体例えばソルビタンラウレートやソルビタンパルミテート;アルコキシル化アルコール例えばLaureth-4;高分子シリコーンのヒドロキシル化誘導体、例えばジメチコンコポリオール;ヒドロキシル化高分子シリコーンのアルキル化誘導体、例えばセチルジメチコンコポリオール;グリセリルエステル例えばポリグリセリル-4イソステアレート;蜜蝋誘導体例えばナトリウムイソステアロイル-2ラクチレート;ならびにこれらの混合物;が挙げられる。有用な油/水乳化剤の例としては、限定するものではないが、ソルビトール誘導体、例えばソルビタンモノラウレート、Polysolbate 20;エトキシル化アルコール例えばLaureth-23、エトキシル化脂肪酸例えばPEG-1000ステアレート;アミドアミン誘導体例えばステアラミドエチルジエチルアミン;スルフェートエステル例えばナトリウムラウリルスルフェート;ホスフェートエステル例えばDEAセチルホスフェート;脂肪酸アミン塩例えばTEAステアレート;ならびにこれらの混合物;が挙げられる。適切な界面活性剤または乳化剤のさらなる例は、McCutcheon's Emulsifiers & Detergents (2004年版)に記載され、この文献の内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。エマルジョンが、シリコーン中水型エマルジョンである好ましい実施形態では、使用される乳化剤は乳化性シリコーンエラストマーである。乳化性シリコーンエラストマーは、典型的には、少なくとも1個のオキシアルキレン単位をもつ架橋されたオルガノポリシロキサンである。このタイプの化合物は、米国特許第5,412,004号明細書;同5,837,793号明細書;同6,103,250号明細書;同5,919,437号明細書;および同5,811,487号明細書に開示されており、その内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。商業的に入手可能な乳化性シリコーンエラストマーの例としては、ジメチコン/ジメチコンコポリオールクロスポリマーが挙げられ、例えばShin-EtsuやDow Corningから入手可能である。特に好ましいクロスポリマーは、Shin-Etsuから、商品名KSG-210で販売されている。エマルジョン中に使用される乳化剤の量は、選択した乳化剤や製品の組成によって決まるものであるが、一般的なガイドラインとしては、乳化剤は、約0.5〜15%、好ましくは約2〜約10%の量で存在する。
【0014】
また、本組成物に、さらに安定化剤を加えてもよい。例えば、粘度増大剤は、エマルジョンを安定化させる上で、助けとなる。これらの増大剤は、エマルジョンの1つまたは複数の相に用いることができ、水可溶性または水混和性の物質は、水相に用いられ、油可溶性または油混和性の物質は、油相に用いられる。有用な増粘剤の例としては、限定するものではないが、アクリレート系のクロスポリマーおよびコポリマー、カルボマー、非乳化性シリコーンエラストマー、ポリサッカリドまたはガム、セルロース誘導体、スルホン酸ポリマー、アクリルアミドポリマー、粘土などが挙げられる。増粘性物質もよく知られており、例えば、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookに記載されている。
【0015】
水相対油相の比率は臨界的ではなく、約10:90〜90:10、好ましくは約30:70〜70:30、より好ましくは約30:70〜約50:50であってよく、望むエマルジョンのタイプおよび特性によって決まるものである。一般論としては、水のパーセントが高くなると、製品はより濃厚でよりクリーム状になり、製品中の水が少なくなると、より流動性になる。
【0016】
本発明のエマルジョン組成物についての任意付加的な構成は、分散しているミセルの径の制御である。一般論としては、ミセル径の範囲は、約1〜約400μである。この径範囲のミセルを含有する配合物は、説明したとおりの性能を出すものであるが、大きい径のミセル、すなわち平均100〜400μの範囲にあるミセルを含有する配合物は、いくぶん灰色の外観を呈する傾向がある。これは、肌に対する性能を損なうものではないが、パッケージ中での外観の魅力を低くするものである。したがって、エマルジョン配合物が、平均直径が100μ未満、好ましくは約1〜約60μの範囲、より好ましくは約5〜約20μの範囲にあるミセルを含有しているのが好ましい。小さいミセルを含有する配合物は、よりベージュ色の外観を呈するのでパッケージされた形態では、典型的なメーキャップにより似ている。ミセルの径は、配合物システム中に投入されるエネルギーの量、すなわち製品が処理される速度および/または剪断によって、制御することができる。低い速度と剪断は大きいミセルを生じ、高い速度と剪断は小さいミセルを生じる。
【0017】
本発明の概念は、どのようなタイプの顔料にも応用することができる。本発明で用いられる顔料は、好ましくは金属酸化物、特に鉄酸化物(赤色、黒色、黄色、茶色)、二酸化チタン(白色)、酸化亜鉛、酸化クロム(緑色)であるが、本発明はまた他の顔料タイプ、例えば有機染料や、例えば光拡散性粉末(つまりオキシ塩化ビスマス)のような光学的な効果を産む干渉パールおよび粉末などにも応用することができる。金属酸化物以外の顔料を利用する場合は、その粒子径をコントロールすることが重要となる。例えば、小さい干渉パール、すなわち約1〜約10μのものだけを用いることである。また、有機染料に関しては、染料がにじまないような方式で、例えば疎水性の被覆またはカプセル化で、それらを準備することが重要である。使用される顔料の量は臨界的ではなく、所望される色合いと効果によって決まるものである。しかしながら、一般には、顔料の全体量は、組成物の約0.1〜約30重量%、好ましくは約1〜約15重量%である。
【0018】
本発明の組成物は、いかなるタイプのカラーコスメチックにも、例えばファウンデーション、コンシーラー、ブロンザー、ブラッシュ(頬紅)、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、リップスティック、リップグロス、またはリップライナーとして、用いることができるが、最大の恩恵は、その製品がフェイシャル・ファウンデーションまたはボディー・ファウンデーションである場合に得られる。本技術はまた、特別の視覚効果が所望されているがそれがその製品の主要な注目点ではないスキン・ケア組成物、例えば色つきのモイスチャライザーやサンスクリーン(日焼け止め剤)、にも応用することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を、非限定的実施例により、さらに説明する。
【0020】
実施例 1
以下の配合エクステンダーを調製した。
【0021】
材料 重量%
配合 1
ジメチコン/ジメチコンPEG-10/15クロスポリマー 7.00
ジメチコン/ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー 7.00
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.50
ジメチコン 14.50
シリカ/エチレン/メタクリレートコポリマー/イソプロピルチタントリイソステアレート 2.50
カプリリルグリコール/フェノキシエタノール/ヘキシレングリコール
0.70
配合 2
精製水 33.10
配合 3
二ナトリウムEDTA 0.07
塩化ナトリウム 1.00
配合 4
ブチレングリコール 3.50
キサンタンガム 0.10
配合 5
精製水 15.50
配合 6
二ナトリウムEDTA 0.03
配合 7
ブチレングリコール 4.50
配合 8
二酸化チタン/PEG-12ジメチコン 10.00

配合8が、赤色酸化鉄か、黄色酸化鉄か、黒色酸化鉄である3つのさらなる組成物も調製した。
【0022】
組成物は、次のようにして調製する。配合2と3を一緒に混合する。配合4の成分を、それら自体混合し、そのあと2と3に加える。配合6を配合5に加え、混合し、そのあと配合7を5と6に加える。この5、6、および7の混合物に配合8を加え、次いでSilversonミキサー中で、約100〜300rpmで混合して、顔料を混合物全体にわたって分散させる。これが終わったあと、配合2と3の混合物を配合1と混ぜ合わせ、そして2800〜3400rpmで約15分間混合して初期エマルジョンを形成させる。上記配合5、6、7、および8の混合物を、所望のミセル径が達成されるように選択されている速度にあるプロペラミキサーを用いて、このエマルジョンに加える。約5〜15μのミセルを得るのには、混合速度は、約10分間にわたるプロペラ混合の条件では、約1800rpmである。個々に顔料が入ったエマルジョンのそれぞれを、このあと、ひとつずつ、他のものと混ぜ合わせ、そして500〜800rpmのプロペラ撹拌で約5分間混合して、最終製品を製造する。
【0023】

実施例 2
この実施例は、本発明の粉末組成物を説明するものである。
【0024】
材料 重量 %
配合 1
タルク 30.97
ミリスチン酸マグネシウム 4.00
オキシ塩化ビスマス 10.00
ホウ珪酸アルミニウムカルシウム 10.00
ポリエチレン 10.00
シリカカプセル化赤色酸化鉄 0.60
シリカカプセル化黄色酸化鉄 1.40
シリカカプセル化黒色酸化鉄 0.33
雲母 23.00
ポリエチレン 2.00
配合 2
オクチルドデシルステアロイルステアレート 2.00
レシチン 0.20
ビス-ジグリセリルポリアシルアジペート-2 0.70
配合 3
ペンタエリスリチルテトラオクタノエート 2.50
トウモロコシ油/レチニルパルミテート 0.10
リノレイン酸 0.20
植物スクアレン/ダイズリン脂質/植物ステロール 1.50
フェノキシエタノール/イソプロピルパラベン/イソブチルパラベン/ブチルパラベン
0.30
芳香剤 0.20
Osterizerを用いて、配合1の成分を、均質になるまで緩やかに混合した。バインダー(配合2)を一滴ずつ加え、緩やかに混合した。配合3の活性剤をこのあと加えた。この段階で、粉末はプレスされるかルーズな状態に放置される。別の調製方法は、個々の色素の配合エクステンダーを調製し、これを、そのあと、続いて一緒に混合することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なるタイプの顔料と、担体とを含むカラーコスメチック組成物であって、該異なるタイプの顔料が、担体内で、個々のカプセルに入って互いからは物理的に離間されている組成物。
【請求項2】
前記カプセルが、顔料を包含しているケミカルシェルからなる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カプセルが、着色ガラスビーズである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カプセルが、シリカシェルからなる請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記カプセルが、表面処理されている請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
無水組成物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
粉末組成物である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記カプセルが、シリカシェルからなる請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
水と油のエマルジョンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記カプセルが、ミセルである請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも2つの異なる顔料と、少なくとも2つの分散ミセル相とを含むカラーコスメチックエマルジョン組成物であって、この場合それぞれの異なる顔料が、担体内で、異なる分散相のミセル内に収容されている組成物。
【請求項12】
前記ミセルの平均径が、約1〜約400μである請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ミセルの平均径が、約100μより小さい請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ミセルの平均径が、約1〜約60μである請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記ミセルの平均径が、約5〜約20μである請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記顔料が、油相ミセル中にあり且つ疎水的に表面処理されている請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記顔料が、水相ミセル中にあり且つ親水的に表面処理されている請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも2つの異なる顔料と、担体とを含むカラーコスメチック組成物の製造方法であって、該方法が、(a) それぞれの異なる顔料について1つのエクステンダーを調製するステップ、および(b) 顔料を一緒に摩砕することなくそれぞれのエクステンダーを担体中にブレンドするステップ、を含んでなり、それによって、担体中で、異なる顔料タイプ間の物理的な接触が実質的にない組成物を得る方法。
【請求項19】
前記組成物が無水であり且つ前記ブレンドを約500〜約800rpmの速度で行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が水と油のエマルジョンであり且つ前記ブレンドを約500〜約1200rpmの速度で行う、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法によって得られる組成物。
【請求項22】
請求項19に記載の方法によって得られる組成物。
【請求項23】
粉末組成物である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項20に記載の方法によって得られる組成物。
【請求項25】
カラーコスメチック組成物の製造方法であって、ケミカルシェル中に個々にカプセル化されている少なくとも2つの異なる顔料を担体中にブレンドするステップと、該顔料を担体全体にわたって分散させるステップとを含んでなる方法。

【公表番号】特表2008−500341(P2008−500341A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515176(P2007−515176)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/017302
【国際公開番号】WO2005/115309
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】