説明

新規なキンバーライト肥料生成物

新規なキンバーライト肥料生成物を、亜炭、アルカリおよび既存肥料を使用または使用しないで製造し、農作物の収穫量を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料科学の分野に関し、特にキンバーライト(Kimberlite)からの肥料の製造に関する。本発明はまた、農業に応用されるキンバーライト由来の肥料生成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素堆積物が高温・高圧に長期間曝されるとダイアモンドが形成される。地中深くには、ダイアモンドの形成を熱力学的に可能とする高温・高圧領域が存在する。ダイアモンドは、大陸地殻下において、圧力約5ギガパスカル、温度約2200°Fの深さ約90マイル地点で形成され始める。ダイアモンドは「キンバーライト・パイプ」で採鉱される。キンバーライトはカリウムおよびマグネシウムが大変豊富な火成岩であり、金剛石、カンラン石、金雲母および輝石から構成され、他に様々な微量無機物を含む。キンバーライトは「キンバーライト・パイプ」として知られる垂直に伸びる地殻構造内に存在し、インドには最も多くの原生代中期のキンバーライト族岩石が存在することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ダイアモンドを1カラット生成するには大量のキンバーライトが必要であり、数トンのキンバーライトが必要とされる。ダイアモンド除去後に適当な用途がなくなったキンバーライトが世界中から大量に入手可能であり、キンバーライトにはマグネシウム、微量金属、およびシリカが豊富に含まれている。
【0004】
したがって、本発明はキンバーライト肥料の製造方法を発明することを目的とし、本発明の第一の目的は、肥料として使用可能なキンバーライト肥料生成物を発明することである。本発明の他の目的は、キンバーライト肥料生成物の製造方法を発明することである。本発明の更に他の目的は、有機的性質を有するキンバーライト生成物を発明することである。本発明の更に他の目的は、有機キンバーライト生成物の必須な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、本発明は、シリカ、マグネシウム、微量元素を、有機物質と組み合わせるかまたは組み合わせることなく供給する栄養素としての用途を有し、かつ、他の肥料および/または植物栄養素と種々組み合わせた肥料生成物を設計できる自由度を有する、新規なキンバーライト肥料生成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】キンバーライトから様々な肥料生成物を製造するための様々なステップを示す図である。
【図2】キンバーライト;アルカリで処理したキンバーライト;硝酸、リン酸およびアンモニアで処理したキンバーライト;硝酸およびアンモニアで処理したキンバーライトのFTIR分析の比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の顕著な特徴を説明するために本発明を詳細に説明する。本発明の一実施形態では、キンバーライトをアルカリと反応および/またはブレンドしてキンバーライト肥料生成物を提供する。本発明の他の実施形態は、キンバーライトにアルカリと共に亜炭(lignite)をブレンドする、有機キンバーライト生成物の製造方法に関する。
【0008】
本発明は、好適な実施形態において、(a)キンバーライトを微細化するステップと、(b)前記キンバーライトにアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)を添加するか;前記キンバーライトに硝酸またはリン酸を添加した後、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)で中和するか;あるいは、前記キンバーライトに、フィラーとしてDAPなどの肥料や、N,P,Kのいずれかの単肥および/またはNPK複合肥料などの他の肥料を添加するステップと、(c)反応物質を完全に混合するステップと、(d)反応を最適化するために水含有量および温度を調節するか;あるいは亜炭(lignite)を添加した後、反応を最適化するために水含有量および温度を調節するステップと、(e)水分を除去して生成物をペレット化またはパウダー化するステップとを含むキンバーライト肥料生成物の製造方法を提供する。
【0009】
以下、本発明の内容および本発明の実施方法を詳細に説明する。
【0010】
図1はキンバーライトから様々な肥料生成物を製造するための様々なステップに関する。図2はキンバーライト;アルカリで処理したキンバーライト;硝酸、リン酸およびアンモニアで処理したキンバーライト;硝酸およびアンモニアで処理したキンバーライトのFTIR分析の比較に関する。処理サンプルでは、未処理サンプルの吸収ピークと異なる特徴的な吸収ピークが観察された。
【実施例】
【0011】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0012】
アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)をキンバーライトに1:3〜1:50(w/w)の割合で添加した。アルカリとキンバーライトの混合物を粉砕により適切にブレンドした後、適量の水を添加して完全に混合した。得られた物質をペレット化して肥料とした。
【0013】
硝酸またはリン酸をキンバーライトに添加(5〜50%v/w)した後、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)で中和した。
【0014】
キンバーライトに、フィラーとしてDAPなどの肥料や、N,P,Kのいずれかの単肥および/またはNPK複合肥料などの他の肥料を添加した。亜炭をキンバーライトに10:1〜1:10の割合で添加し、次いでアルカリを亜炭とキンバーライトの混合物に1:3〜1:50(w/w)の割合で添加した。アルカリと亜炭−キンバーライトとの混合物を粉砕により適切にブレンドした後、適量の水を添加して完全に混合した。
【0015】
得られたキンバーライト肥料生成物を様々な農作物に対して使用した結果、収穫量が著しく向上した。キンバーライト肥料生成物を介して農作物にシリカを供給することにより、収穫量が向上するだけでなく病気に対する耐性が付与された。
【0016】
本発明は、様々な農作物の収穫量を向上させるための様々な種類のキンバーライト肥料生成物について説明するものである。
【0017】
キンバーライト肥料生成物を使用して効率的・経済的な統合肥料管理が可能であることが本発明の結果からわかる。
【0018】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は基本的な態様の組み合わせやその実現可能な範囲に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物質または有機肥料などの植物栄養素を添加あるいは添加せずに、シリカ、マグネシウム、微量元素を供給する栄養素としての利用性を有する新規なキンバーライト肥料生成物。
【請求項2】
請求項1に記載のキンバーライト肥料生成物の製造方法であって、
(a)キンバーライトを微細化するステップと、
(b)前記キンバーライトにアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)を添加するか;前記キンバーライトに硝酸またはリン酸を添加した後、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)で中和するか;あるいは、前記キンバーライトに、フィラーとしてDAPなどの肥料や、N,P,Kのいずれかの単肥および/またはNPK複合肥料などの他の肥料を添加するステップと、
(c)反応物質を完全に混合するステップと、
(d)反応を最適化するために水含有量および温度を調節するか;あるいは亜炭を添加した後、反応を最適化するために水含有量および温度を調節するステップと、
(e)水分を除去して生成物をペレット化またはパウダー化するステップとを、one−pot法またはstep−wise法として含む、キンバーライト肥料生成物の製造方法。
【請求項3】
キンバーライト;アルカリで処理したキンバーライト;硝酸、リン酸およびアンモニアで処理したキンバーライト;硝酸およびアンモニアで処理したキンバーライトのFTIR分析の比較(図2)により示される特徴的なIR吸収ピークを示す、請求項1に記載のキンバーライト肥料生成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−509167(P2010−509167A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535827(P2009−535827)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003342
【国際公開番号】WO2008/056222
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509128111)ビジャム バイオサイエンシス プライベート リミテッド (4)
【Fターム(参考)】