説明

新規なクルクミン類似体およびその使用

本発明は、アンドロゲン受容体として作用することのできる化合物、アンタゴニスト、それを含有する医薬製剤、およびその使用方法に関する。このような使用としては、限定されるものではないが、特に、結腸癌、皮膚癌および前立腺癌などの癌の治療のための抗腫瘍剤としての使用、ならびにアンドロゲンに関連する病気に罹患している被検体においてアンドロゲン受容体アンタゴニスト活性を誘導することが挙げられる。アンドロゲンに関連する病気の例としては、限定されるものではないが、脱毛症、多毛症、行動障害、座瘡、および精子形成の抑制が望まれる場合の抑制されない精子形成が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年3月27日出願、2003年10月30日に英語で公開されたPCT国際出願番号PCT/US2003/009350、表題Novel Curcumin Analogues and Uses Thereofの一部継続出願であり、現在米国特許第6,790,979号として公開されている2002年4月17日出願の米国特許出願第10/124,642号、表題Novel Curcumin Analogues and Uses Thereofからの優先権を主張する。それらの開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
連邦支援の記載
本発明は、助成金番号CA−17625および助成金番号CA−55639の下での政府支援をもってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、アンドロゲン受容体アンタゴニストとして作用することの可能な化合物、それを含有する医薬製剤、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
アンドロゲン受容体(AR)は、ステロイド受容体スーパーファミリーとして知られるリガンド依存性転写因子の大きなファミリーのメンバーである。Chang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,7211−7215(1988)。Beato,M.,Cell,56,335−344(1989)。アンドロゲンおよびARは、正常な前立腺の発達および前立腺癌の増殖に重要な役割を果たす。前立腺癌は、米国で最も一般的な男性悪性腫瘍である。Landis et al.,Cancer J.Clin.,48,6−29(1998)。近年、ヒドロキシフルタミド(HF)などの抗アンドロゲンが外科もしくは内科的去勢との併用で前立腺癌の治療に広く用いられている。Crawford et al.,New Engl.J.Med.,321,419−424(1989)。シプロステロン(cyprosterone)、HF、およびビカルタミド(下記参照)を含む数種類の化合物が、臨床的に前立腺癌の治療に用いられている。
【化1】

【0005】
合成ステロイド性抗アンドロゲンシプロステロンは、ヨーロッパで最初に臨床に用いられた抗アンドロゲンの1種(McLeod,D.,G.,Cancer,71,1046−1049(1993))であるが、多くの副作用がある。Neumann et al,J.Clin.Oncol,1,41−65(1982)。HFおよびビカルタミドは両方とも非ステロイド性抗アンドロゲンである。ビカルタミドは、当初アゴニスト活性のない純粋な抗アンドロゲン活性を有すると考えられていた新しい非ステロイド性抗アンドロゲンである。その半減期は長く(6日)、ARに対してHFよりも高い結合親和性を有する。Verhelst et al.,Clin.Endocrinol.,41,525−530(1994)。(a) Kelly et al.,J.Urol.(1993),149,607−609;(b) Scher et al.,Prostate Cancer.J.Clin.Oncol,11,1566−1572(1993)。
【0006】
抗アンドロゲンホルモン療法は前立腺癌の治療に広く用いられているが、いくつかの抗アンドロゲンはARアゴニストとして作用し、その結果「抗アンドロゲン除去症候群」をもたらす可能性がある。Miyamoto et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,7379−7384(1998)。現在受け入れられている仮説は、アンドロゲン受容体における突然変異が、フルタミドの活性代謝物であるHFがなぜアンドロゲン受容体標的遺伝子を活性化させ、前立腺癌の増殖を促進できるのかの説明となり得るということを前提にしている。Miyamoto et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,7379−7384(1998)。同じ機構を用いて、フルタミドを服用している間、前立腺特異的抗原(PSA)の増加している患者のPSAが治療中止後に減少する、「フルタミド除去症候群」が説明される。実際、HFは、最初に同定されたアンドロゲン受容体共役因子であるARA70の存在下で、PSAおよびMMTV−LTR(アンドロゲン応答配列を発現するリポーター遺伝子)などのアンドロゲン受容体標的遺伝子を活性化することができる。Yeh et al.,The Lancet,349,852−853(1997)。この症候群がアンドロゲン除去療法の失敗につながることが多いので、アゴニスト活性のない、より優れた抗アンドロゲンを開発することが望ましい。
【0007】
フェノール性のジアリールヘプタノイドのクルクミン(1)は、ターメリックの主な色素である。クルクミンおよびその類似体は有力な抗酸化作用、抗炎症作用、Nurfina et al.,Eur.J.Med.Chem.,32,321−328(1997)、腫瘍細胞に対する細胞毒性、Syu et al.,J Nat.Prod,61,1531−1534(1998)、抗腫瘍増強作用、Sugiyama et al.,Biochem.Pharmacol,52,519−525(1996).Ruby et al.,Cancer Lett,94,79−83(1995)ならびに抗血管新生作用(J.L.Arbiser et al.Mol.Med.4: 376(1998))を示す。
【0008】
DMBAに惹起され、TPAに誘導されるマウス皮膚の発癌に有力な抗腫瘍増強効果を示す、2種類の環状ジアリールヘプタノイド、13−オキソミリカノール(oxomyricanol)およびミリカノン(myricanone)が報告されている。Ishida et al.,Cancer Lett,159.135−140(2000)。本研究では、多数の新規なクルクミン類似体を調製し、2種類のヒト前立腺癌細胞系統、PC−3およびDU−145を用いて、アンドロゲン受容体共役因子、ARA70の存在下、ARに対するアンタゴニスト活性について評価した。PC−3細胞は、機能的ARを発現しないアンドロゲン非依存性腫瘍細胞である。DU−145細胞も、機能的ARを発現しないアンドロゲン非依存性腫瘍細胞である。
【発明の開示】
【0009】
本発明の実施形態によれば、本発明は、式Iの化合物に関する。
【0010】
本発明の第1の態様は、式IまたはIa:
【化2】

(式中、
R’およびR”は、各々独立に、H、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され;
aおよびRbは、各々独立に、H、アルキルおよびハロからなる群から選択され;
1およびR2は、各々独立に、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、アミノおよびジアルキルアミノからなる群から選択され;
3およびR4は、各々独立に、H、ヒドロキシ、ハロ、アルコキシ、および−OR7C(O)R8(式中、R7は低級アルキレンであり、R8はアルコキシである)からなる群から選択され;
あるいは、R1およびR3は、ともにアルキレンジオキシであり;
あるいは、R2およびR4は、ともにアルキレンジオキシであり;
5およびR6は、各々独立に、H、ハロゲン、ニトロおよびアルコキシからなる群から選択され;
1はNであるか、またはX1は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCであり;かつ
2はNであるか、またはX2は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCである;
但し、クルクミンはそれから除外される)の化合物;あるいはその製薬上許容される塩である。
【0011】
本発明のさらなる態様は、式II:
【化3】

(式中、
11およびR12は、各々独立に、アルコキシ、ニトロ、アミノ、およびジアルキルアミノからなる群から選択され;
13およびR14は、各々独立に、ヒドロキシ、アルコキシ、−OR18C(O)R19(式中、R18は低級アルキレンもしくはアルケニレンであり、R19はアルコキシである)、およびテトラヒドロピラニルからなる群から選択され;
あるいは、R11およびR13は、ともにアルキレンジオキシであり;
あるいは、R12およびR14は、ともにアルキレンジオキシであり;
15およびR16は、各々独立に、H、ハロゲン、およびニトロからなる群から選択され;
17は、−R20C(O)OR21(式中、R20はアルキレンまたはアルケニレンであり、R21はHまたはアルキルである)であり;
3はNであるか、またはX3は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCであり;かつ
4はNであるか、またはX4は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCである)の化合物;
あるいはその製薬上許容される塩である。
【0012】
さらに他の本発明の実施形態によれば、本発明は、式III:
【化4】

(式中、
25およびR26は、各々独立に、Hまたは低級アルキルであり;
27、R28、R29およびR30は、各々アルコキシであり;
31は、Hまたは低級アルキルである)の化合物;
あるいはその製薬上許容される塩に関する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、式IV:
【化5】

(式中、
41およびR42は、各々独立に、ヒドロキシまたはアルコキシであり;かつ
43およびR44は、各々独立に、ヒドロキシまたはアルコキシである)の化合物;
あるいはその製薬上許容される塩である。
【0014】
本発明のさらなる態様は、式:
【化6】

の化合物あるいはその製薬上許容される塩である。
【0015】
さらに他の本発明の実施形態によれば、本発明は、治療を必要とする被検体に、治療有効量の上記式の化合物またはクルクミンを投与することを含む、癌を治療する方法に関する。治療され得る癌の例としては、限定されるものではないが、皮膚癌、小細胞肺癌、精巣癌、リンパ腫、白血病、食道癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、中枢神経系癌、肝臓癌および前立腺癌が挙げられる。
【0016】
さらに他の本発明の実施形態によれば、本発明は、癌細胞と、上記式の化合物またはクルクミンのアンドロゲン受容体アンタゴニスト有効量とを接触させることを含む、アンドロゲン受容体アンタゴニスト活性を誘導する方法に関する。
【0017】
他の本発明の実施形態によれば、本発明は、上記式の化合物またはクルクミンを投与することにより、アンドロゲンに関連する病気に罹患している被験体においてアンドロゲン受容体アンタゴニスト活性を誘導する方法に関する。アンドロゲンに関連する病気の例としては、限定されるものではないが、脱毛症、多毛症、行動障害、座瘡、および、精子形成の抑制が望ましい場合の無抑制の精子形成が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書に記載の本発明をさらに説明する添付の図面を参照して、本発明を以下により十分に説明する。しかし、本発明は異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に示す実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0019】
本明細書において本発明の説明に用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、本発明を限定することを目的としているのではない。本発明および添付の請求項の説明に用いられる単数形の「a」、「an」および「the」は、文中に別に明示されている場合を除いて、同様に複数形態も含むことを意図する。
【0020】
別に定義されていなければ、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0021】
本明細書において用いられる用語「アルキル」または「低級アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であってよく、飽和または不飽和であってよい、C1〜C4、C6またはC8アルキルをさす。
【0022】
本明細書において用いられる「クルクミン」とは、式:
【化7】

の化合物をさす。クルクミン、あるいはその製薬上許容される塩を用いて、本明細書に記載される方法を実施することができる。
【0023】
「シクロアルキル」はそれ自体明確に特定されており、典型的にはC3、C4またはC5〜C6またはC8シクロアルキルである。
【0024】
本明細書において用いられる「アルケニル」または「低級アルケニル」は、同様にC1〜C4アルケニルをさし、本明細書において用いられるアルコキシまたは低級アルコキシは、同様にC1〜C4アルコキシをさす。
【0025】
本明細書において用いられる「アルコキシ」とは、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和のオキソ−炭化水素鎖をさし、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、およびt−ブトキシが挙げられる。
【0026】
本明細書において用いられる用語「アリール」とは、C3〜C10の環状芳香族基、例えばフェニル、ナフチルなどをさし、トリルなどの置換アリール基を含む。
【0027】
本明細書において用いられる「ハロ」とは、任意のハロゲン基、例えばクロロ、フルオロ、ブロモ、またはヨードをさす。いくつかの実施形態では、ハロは好ましくは、フルオロである。
【0028】
本明細書において用いられる用語「ヒドロキシアルキル」とは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のヒドロキシ置換アルキル、すなわち−CH2OH、−(CH22OHなどをさす。
【0029】
本明細書において用いられる用語「アミノアルキル」とは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のアミノ置換アルキルをさす(この際の用語「アミノ」とは基NR’R”をさし、この際のR’およびR”は、独立にHまたは上記に定義される低級アルキル、すなわち−NH2、−NHCH3、−N(CH32等から選択される)。
【0030】
用語「テトラヒドロピラニル」とは、式:
【化8】

の基をさす。
【0031】
本明細書において用いられる用語「オキシアルキル」とは、C1〜C4の酸素置換アルキル、すなわち−OCH3をさし、本明細書において用いられる用語「オキシアリール」とは、C3〜C10の酸素置換環状芳香族基をさす。
【0032】
用語「アルキレンジオキシ」とは、各RNが独立にアルキルである、一般式、−ORNO−、−ORNORN−、または−RNORNORN−の基をさす。
【0033】
本明細書において用いられる「治療」または「治療すること」とは、疾患に罹患している患者へ利益を付与する、任意の種類の治療をさし、患者の状態の(例えば、1以上の症状の)改善、疾患の進行の遅延、疾患の発病の予防または遅延等が含まれる。
【0034】
本明細書において用いられる「製薬上許容される」とは、本明細書に記載される治療を達成するために、疾患の重篤度および治療の必要性に鑑みて過度に有害な副作用なく、化合物または組成物が被験体への投与に適していることを意味する。
【0035】
本明細書において用いられる「阻害する」とは、起こり得る効果が部分的にまたは完全に排除されることを意味する。
【0036】
本明細書において用いられる「アンドロゲン」とは、当業者に一般に既知の性ホルモンをさし、限定されるものではないが、テストステロン、ジヒドロテストステロン、およびアンドロステンジオン、ならびにアンドロゲン受容体アゴニストなどのアンドロゲンに似た機構で作用することが知られている化合物が挙げられる。「アンドロゲン」は、ホルモンまたは化合物、あるいはそれらの組合せに関する。
【0037】
本明細書において用いられる「抗アンドロゲン除去症候群」とは、抗アンドロゲン療法の投与において血清前立腺特異的抗原(PSA)濃度に変化も減少もないこと、および抗アンドロゲン療法の中止後に観察されるPSA濃度がその後に低下することを特徴とする事象をさす。
【0038】
本明細書において用いられる「アンドロゲン受容体アンタゴニスト」とは、アンドロゲン受容体アゴニストの活性を部分的にまたは完全に阻害する化合物をさす。
【0039】
本明細書において用いられる「アンドロゲンに関連する病気」とは、アンドロゲンまたは複数のアンドロゲンの組合せが、観察される状態に影響を与える状態をさす。
【0040】
本発明は、主としてヒト被検体の治療に関するが、獣医学目的の他の動物被験体(すなわち哺乳類、鳥類)の治療に用いてもよい。哺乳類が好ましく、ヒトが特に好ましい。
【0041】
上に述べたとおり、本発明の第1の態様は、式IまたはIa:
【化9】

(式中、
R’およびR”は、各々独立に、H、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され;
aおよびRbは、各々独立に、H、アルキルおよびハロからなる群から選択され;
1およびR2は、各々独立に、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、アミノおよびジアルキルアミノからなる群から選択され;
3およびR4は、各々独立に、H、ヒドロキシ、ハロ、アルコキシ、および−OR7C(O)R8(式中、R7が低級アルキレンであり、R8がアルコキシである)からなる群から選択され;
あるいは、R1およびR3は、ともにアルキレンジオキシであり;
あるいは、R2およびR4は、ともにアルキレンジオキシであり;
5およびR6は、各々独立に、H、ハロゲン、ニトロおよびアルコキシからなる群から選択され;
1はNであるか、またはX1は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCであり;かつ
2はNであるか、またはX2は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCである;
但し、クルクミンはそれから除外される)の化合物;あるいはその製薬上許容される塩である。
【0042】
式IおよびIaの化合物のいくつかの特定の実施形態では、少なくとも1つのR’およびR”は、アルコキシまたはハロである。
【0043】
式IおよびIaの化合物のいくつかの特定の実施形態では、Raはハロであり、RbはH、アルキルまたはハロ、好ましくは、アルキルである。
【0044】
式IおよびIaの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R1およびR2は、各々独立に、アルコキシ、ニトロ、アミノ、およびジメチルアミノからなる群から選択される。
【0045】
式IおよびIaの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R1およびR3は、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。
【0046】
式IおよびIaの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R2およびR4は、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。
【0047】
式IおよびIaの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R5およびR6は、各々独立に、H、F、およびニトロからなる群から選択される。
【0048】
本発明のさらなる態様は、式II:
【化10】

(式中、
11およびR12は、各々独立に、アルコキシ、ニトロ、アミノ、およびジアルキルアミノからなる群から選択され;
13およびR14は、各々独立に、ヒドロキシ、アルコキシ、−OR18C(O)R19(式中、R18は低級アルキレンもしくはアルケニレンであり、R19はアルコキシである)、およびテトラヒドロピラニルからなる群から選択され;
あるいは、R11およびR13は、ともにアルキレンジオキシであり;
あるいは、R12およびR14は、ともにアルキレンジオキシであり;
15およびR16は、各々独立に、H、ハロゲン、およびニトロからなる群から選択され;
17は、−R20C(O)OR21(式中、R20はアルキレンまたはアルケニレンであり、R21はHまたはアルキルである)であり;
3はNであるか、またはX3は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCであり;かつ
4はNであるか、またはX4は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCである)の化合物;
あるいはその製薬上許容される塩である。
【0049】
式IIの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R20はアルケニレンである。
【0050】
式IIの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R13およびR14は、テトラヒドロピラニルである。
【0051】
式IIの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R11およびR12は、各々独立に、アルコキシ、ニトロ、アミノ、およびジメチルアミノからなる群から選択される。
【0052】
式IIの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R11およびR13は、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。
【0053】
式IIの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R12およびR14は、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。
【0054】
式IIの化合物のいくつかの特定の実施形態では、R15およびR16は、各々独立に、H、F、およびニトロからなる群から選択される。
【0055】
本発明のさらに他の実施形態によれば、本発明は、式III:
【化11】

(式中、
25およびR26は、各々独立に、Hまたは低級アルキルであり;
27、R28、R29およびR30は、各々アルコキシであり;
31は、Hまたは低級アルキルである)の化合物;
あるいはその製薬上許容される塩に関する。
【0056】
本発明のさらなる態様は、式IV:
【化12】

(式中、
41およびR42は、各々独立に、ヒドロキシまたはアルコキシであり;かつ
43およびR44は、各々独立に、ヒドロキシまたはアルコキシである)の化合物;
あるいはその製薬上許容される塩である。
【0057】
本発明のさらなる態様は、式:
【化13】

の化合物またはその製薬上許容される塩である。
【0058】
A.具体的な化合物
本発明の範囲内の具体的な化合物としては、
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

が挙げられるが、これらには限定されない。本発明の化合物のさらなる例を下に説明する。
【0059】
B.化合物の合成
以下の一般的な合成方法の変形方法は、当業者に容易に明らかであり、それらも本発明の範囲内にあると見なされる。
【0060】
図1および2は、クルクミン類似体の構造および1,3−ジアリール−1,3−ジケトプロパン誘導体を示す。クルクミン(1)、デメトキシクルクミン(2)およびビスデメトキシクルクミン(3)は、2および3を微量成分として含有する市販のクルクミン(Aldrich)のカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3−MeOH)により得た。1のジアゾメタンでの処理により、ジメチル化されたクルクミン(4)およびモノメチル化されたクルクミン(9)を得た。ヨウ化メチルおよびK2CO3での1のメチル化により、メチル基もC−4位に導入されている、トリメチル化された誘導体10を得た。化合物5〜8は、1−4をヒスチジンヒドラジド、AcOHおよびp−TsOHとともに一晩加熱することにより合成した。1の10%Pd−Cでの水素化により、11〜13の混合物を得た。同様に、化合物14〜16および17〜18を、それぞれ4、および10の水素化によって得た。1をアセトン中のクロロ酢酸メチル、NaIおよびK2CO3とともに加熱することにより、モノメトキシカルボニルメチルエーテル18およびビス−メトキシカルボニルメチルエーテル19の混合物がもたらされ、それを分取TLC(PLC)により分離した。化合物21〜23を、ベンゼンまたはバニリンおよび4−アセチル−5−オキソヘキサン酸エチルから当分野で公知の方法により調製した。Pedersen et al,Liebigs Ann.Chem.,1557−1569(1985)。化合物21〜23は、ケト−エノール互変異性体の分離不可能な混合物を構成する。24〜38の合成は、本発明者らの過去の論文に記載されている。Ishida et al.,Cancer Lett,159.135−140(2000)。 Ishida et al.,Synthesis and evaluation of Curcumin Analogues as Cytotoxic Agents。非公開データ。化合物39〜44はAldrich,Inc(Milwaukee,WI)から購入した。
【0061】
C.製薬上許容される塩
本明細書において用いられる用語「活性物質」には、化合物の製薬上許容される塩が含まれる。製薬上許容される塩とは、親化合物の所望の生物活性を保持し、かつ望ましくない毒物学的効果は付与しない塩である。このような塩の例は、(a)無機酸の形態の酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など;ならびに有機酸の形態の塩、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸など;ならびに(b)元素の陰イオンから形成された塩、例えば、塩素、臭素、およびヨウ素である。
【0062】
本発明の組成物を調製するために用いられる活性物質は、あるいは、製薬上許容される活性物質の遊離塩基の形態であってもよい。化合物の遊離塩基は塩よりも可溶性が低いため、遊離塩基組成物は、活性物質の標的領域へのより持続的な放出をもたらすために用いられる。標的領域に存在するまだ溶液となっていない活性物質は、生理反応を誘導するために利用できないが、徐々に溶液となる、生物学的に利用可能な薬剤の貯蔵物として役立つ。
【0063】
D.医薬製剤
本発明のクルクミンおよびクルクミン類似体は薬理活性物質として有用であり、塊状で利用してもよい。しかし、これらの化合物は投与用の医薬製剤に処方されることがより好ましい。多数の適した医薬製剤のいずれかを、本発明の化合物の投与のための媒体として利用してもよい。
【0064】
本発明の化合物は、種々の状態の治療のための投与用に処方することができる。本発明の医薬製剤の製造において、本発明の化合物およびその生理学的に許容される塩、またはいずれかの酸誘導体(以降、「活性化合物」と呼ぶ)は、一般に、とりわけ許容される担体と混合される。当然、担体は製剤中の任意の他の成分と適合するという意味において許容されるものでなくてはならず、患者に対して有害であってはならない。担体は、固体もしくは液体、あるいは両方であってよく、単位用量製剤、例えば0.5重量%〜95重量%の活性化合物を含有し得る錠剤として化合物とともに処方されるのが好ましい。各々の活性化合物のうちの1種類以上を本発明の製剤中に組み込んでよく、その製剤は、基本的に成分を混合することからなる、周知の製薬技法により調製することができ、所望により1種類以上の副成分を含有する。
【0065】
本発明の製剤としては、経口、直腸、局所、口内(例えば、舌下)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)および経皮投与に適したものが挙げられるが、いずれの所与の場合においても最も適した経路は、治療される症状の性質および重篤度、ならびに用いる特定の活性化合物の性質に依存する。
【0066】
経口投与に適した製剤は、別個の単位で、例えば各々が所定の量の活性化合物を含有するカプセル剤、サシェ剤、トローチ剤、または錠剤で;粉剤または顆粒剤として;水性または非水性の溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして提示され得る。このような製剤は、活性化合物と適した担体(上記のように1種類以上の副成分を含有し得る)を結合させるステップを含有する、任意の適した製薬法により調製してよい。
【0067】
一般に、本発明の製剤は、活性化合物と液体担体または細かく分割された固体担体、または両方を、均一に、かつ密に混合することにより調製され、その後、必要に応じて、得られる混合物を成形する。例えば、錠剤は、活性化合物を所望により1種類以上の副成分とともに含有する粉末または顆粒を圧縮または型に入れて成形することにより調製され得る。圧縮錠は、適した機械で、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈液、および/または表面活性/分散剤と混合した、粉末または顆粒などの流動性のある形態の化合物を圧縮することにより調製され得る。型成形された錠剤は、適した機械で、不活性液体結合剤で湿らせた粉末の化合物を型成形することにより製造され得る。
【0068】
口内(舌下)投与に適した製剤としては、風味のある塩基、通常スクロースおよびアラビアガムまたはトラガカントガムに活性化合物を含むトローチ剤;ならびに不活性塩基、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアガムに化合物を含む香錠が挙げられる。
【0069】
非経口投与に適した本発明の製剤は、活性化合物の滅菌水性調製物を便宜に含み、その調製物は対象とするレシピエントの血液と等張であることが好ましい。これらの調製物は、皮下、静脈内、筋肉内、または皮内注射によって投与してよい。このような調製物は、化合物と水またはグリシンバッファーを混合し、得られる溶液を滅菌し、血液と等張にすることにより、便宜に調製することができる。
【0070】
直腸投与に適した製剤は、単位用量の坐剤として提示されることが好ましい。これらは活性化合物を1種類以上の従来型の固体担体、例えばカカオバターと混合し、その後得られる混合物を成形することにより調製され得る。
【0071】
皮膚への局所適用に適した製剤は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形態をとることが好ましい。使用され得る担体としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮促進剤、およびそれらの2以上の組合せが挙げられる。
【0072】
経皮投与に適した製剤は、長期間レシピエントの表皮と緊密な接触を続けるために適した個別のパッチとして提示され得る。また、経皮投与に適した製剤は、イオン泳動(例えば、Pharmaceutical Research 3(6):318(1986)参照)により送達することができ、一般に、活性化合物の所望により緩衝された溶液の形態をとる。適した製剤はクエン酸塩またはビス/トリスバッファー(pH6)またはエタノール/水であり、0.01〜0.2Mの有効成分を含有する。
【0073】
E.使用方法
本明細書に記載される式の化合物に加えて、本発明は有用な治療方法も提供する。例えば、本発明は、腫瘍細胞に対する細胞毒性、抗腫瘍増強作用、抗炎症活性を誘導する方法を提供する。より具体的には、本発明は、アンドロゲン受容体アンタゴニスト活性を誘導する方法を提供する。アンドロゲン受容体アンタゴニスト活性は、アンドロゲン関連腫瘍または癌細胞増殖を阻害する有用な手段である。
【0074】
阻害され得る癌細胞としては、皮膚癌、小細胞肺癌、精巣癌、リンパ腫、白血病、食道癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、中枢神経系癌、肝臓癌および前立腺癌由来の細胞が挙げられる。
【0075】
本発明はまた、癌に罹患している被験体において癌を治療する方法を提供する。これらの被験体も抗アンドロゲン除去症候群に罹患している被験体に含まれる。本方法には、被験体へ癌治療有効量の本発明の式の化合物を投与することが含まれる。本方法は、種々の癌細胞の治療に有用であり、その癌には、限定されるものではないが、皮膚癌、小細胞肺癌、精巣癌、リンパ腫、白血病、食道癌、胃癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、中枢神経系癌、肝臓癌および前立腺癌が挙げられる。
【0076】
抗アンドロゲン活性をもつ化合物も、アンドロゲンにより増強される脱毛症および多毛症などの毛髪障害の治療に有用である可能性がある。抗アンドロゲン性化合物は、また、当業者には、アンドロゲンが精子形成を持続するために必要とされることが一般に知られ、理解されるように、男性避妊の一形態として治療上有用であり得る。さらに、抗アンドロゲン性活性をもつ化合物は、行動障害の治療に有用である可能性があり、その行動障害としては、限定されるものではないが、攻撃性、暴力行為および性的攻撃性が挙げられる。また、抗アンドロゲン性化合物は、座瘡障害に関連するアンドロゲンを含むホルモンのレベルを変更することにより、座瘡の治療に治療上有用であり得る。
【0077】
本発明の方法を用いて治療され得る被験体は、一般にヒト被験体であるが、本発明の方法は、獣医学目的のため、その他の被験体、特に、限定されるものではないが、ウマ、ウシ、イヌ、ウサギ、ニワトリ、ヒツジなどを含む哺乳類被験体に有用であり得る。上記のように、本発明は、本明細書に記載される式の化合物またはその製薬上許容される塩を、限定されるものではないが、経口、直腸、局所、口内、非経口、筋肉内、皮内、静脈内、および経皮投与を含む、任意の適した投与経路用の製薬上許容される担体中に含む医薬製剤を提供する。
【0078】
任意の特定の化合物の治療有効量は、化合物、患者によって多少変動し、患者の状態および送達経路によって決まる。一般的な提案としては、約0.1〜約50mg/kgの用量が治療効力を有し、さらに高い用量が経口および/またはエアゾール投与に用いられる可能性もある。高いレベルで毒性が懸念されるため、静脈内投薬量は約10mg/kg以下などのより低いレベルに制限され、全ての重量は、塩が用いられる場合を含め、活性塩基の重量に基づいて計算されている。一般に、静脈内または筋肉内投与には0.5mg/kg〜約5mg/kgの投薬量が用いられる。経口投与には約10mg/kg〜約50mg/kgの投薬量が用いられ得る。
【0079】
本発明を、以下の限定されない実施例においてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0080】
A.材料および方法
化合物1〜3を、2および3を微量成分として含有する市販のクルクミン(Aldrich)のカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3−MeOH)によって得た。化合物39〜44はAldrich,Inc(Milwaukee,WI)から購入した。
【0081】
ジメチルクルクミン(4)。Et2OおよびMeOH中のクルクミン(1)をエーテル中の過剰なジアゾメタンで24時間処理した。溶媒を真空除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびPLCにより精製して4の黄色の針状晶を得た(収率19.8%);融点129〜130℃(MeOH)(Roughley et al.,J Chem.Soc.Perkin I,2379−2388(1973))(128〜130℃);1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.93(12H,s,OCH3×4)、5.82(1H,s,1−H)、6.48(2H,d,16Hz)、6.88(2H,d,J=8Hz)、7.08(2H,bs)、7.15(2H,bd)、7.61(2H,J=16Hz);13C NMR(300MHz,CDCl3):δ55.9、56.0、101.3、109.8、111.1、122.0、122.6、128.1、140.4、149.2、151.0、183.2。
【0082】
ピラゾール誘導体(8)の調製。ブタノールおよびエタノール中の1〜4の溶液に、ヒスチジンヒドラジド(1当量)、酢酸およびp−TsOHを添加した。溶液を24時間還流した後、溶媒を真空除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびPLCにより精製した。
【0083】
化合物8。黄色の粉末(収率17.5%)、融点166〜168℃(MeOH);1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.92(6H,s,OCH3×2)、3.94(6H,s,OCH3×2)、6.62(1H,s,1−H)、6.86(2H,d,J=8Hz)、6.93(2H,d,J=16Hz)、7.04(2H,dd,J=8.2Hz)、7.06(2H,bs)、7.05(2H,d,J=16Hz);13C NMR(300MHz,CDCl3):δ 55.8、55.9、99.6、108.6、111.2、115.8、120.1、129.7、130.6、149.1、149.3;C232424・1・1/4H2Oの分析計算値:理論値:C,66.57;H,6.44;N,6.75。分析値C,66.44;H,6.19;N,6.27。
【0084】
モノメチルクルクミン(9)。MeOH中のクルクミン(1)を、Et2O中の過剰なジアゾメタンで24時間処理した。溶媒の除去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびPLCにより精製して黄色の非晶質固体を得た(収率20%);融点89〜91℃、[α]D−3.6(c=1.14,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.93(9H,s,OCH3×3)、5.81(1H,s,1−H)、5.94(1H,bs,OH)、6.49(2H,bd,J=15Hz)、6.93(1H,d,J=8Hz)、6.97(1H,d,J=8Hz)、7.10(4H,m)、7.60(2H,bd,J=15Hz);EIMS m/z 382(M*)、HRFABMS 382.1396(M+H+)(C22226の計算値:382.1416)。
【0085】
1、4および10の水素化(11〜18)。出発物質のEtOAc溶液を、Parr’s装置を用いて10%のPd−CとともにH2(45psi)下で一晩振とうした。溶液を濾過し、真空濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびPLCにより精製した。
【0086】
テトラヒドロクルクミン(11)。白色粉末、融点92〜93℃(Roughley et al.,J.Chem.Soc.Perkin I,2379−2388(1973)、95〜96℃)、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 2.53〜2.58(3H,m)、2.78〜2.88(5H,m)、3.87(6H,s,OCH3×2)、5.43(1H,s,1−H)、5.50(2H,s,ArOH)、6.65(2H,d,J=8Hz)、6.69(2H,s)、6.83(2H,d,J=8Hz);13C NMR(300MHz,CDCl3):δ 31.3、40.4、55.8、99.8、111.0、114.3、120.8、132.6、144.0、146.4および193.2。
【0087】
ヘキサヒドロクルクミン(12)。白色粉末、融点87〜88℃(Roughley,PJ.et al.,J.Chem.Soc.Perkin I,2379−2388(1973)、78〜80℃)、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.60〜1.81(2H,m)、2.53〜2.97(8H,m)、3.85(6H,s,OCH3×2)、4.06(1H,m,2−H)、6.70(4H,m)、6.80(2H,d,J=8Hz);13C NMR(300MHz,CDCl3):δ 29.7、31.7、38.8、45.8、49.8、56.3、67.4、111.5、111.6、114.8、114.9、121.2、121.4、133.0、134.2、144.2、144.5、146.9、147.9および211.9。
【0088】
オクタヒドロクルクミン(13)。無色油状物質。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.61(2H,m)、1.75(4H,m)、2.53−2.70(4H,m)、3.80(6H,s,OCH3×2)、3.91(2H,brs)、6.13(2H,s,ArOH)、6.65(2H,d,J=8Hz)、6.69(2H,bs)6.82(2H,bd,J=8Hz)、13C NMR(300MHz,アセトン−d6):δ 31.1、39.8、42.6、35.6、72.0、111.0、114.3、120.6、133.6、143.6および146.4。
【0089】
化合物14。白色粉末(収率26.0%)、融点60〜61℃、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 2.56(3H,m)、2.86(5H,m)、3.85(12H,s,OCH3×4)、5.44(1H,s,1−H)、6.71(4H,m)、6.78(2H,bd);C23286・1/4H2Oの分析計算値:理論値:C,68.21;H,7.09。分析値 C,68.25;H,7.06。
【0090】
化合物15。白色粉末(収率20.0%)、融点94〜95℃、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.65−1.80(2H,m)、2.53−2.84(8H,m)、3.85(12H,s,OCH3×4)、4.05(1H,bs,2’−H)、6.68−7.23(4H,m)、6.79(2H,bd),C23306・1/4H2Oの分析計算値:理論値:C,67.88;H,7.55。分析値 C,67.73;H,7.49。
【0091】
化合物16。無色油状物質(収率4.2%)、融点60〜61℃、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.55−1.65(4H,m)、1.73−1.82(3H,m)、2.60−2.72(3H,m)、3.86(6H,s,OCH3×2)、3.87(8H,bs,OCH3×2,2,2’−H)、6.72−6.78(4H,m)、6.79(2H,bd)、7.27(2H,s,OH×2)、EIMS m/z:404(M+)、HRFAB−MS m/z 404.219070(M+H)+(C23326の計算値:404.2198891)。
【0092】
化合物17。無色油状物質(収率5.9%)、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.10(3H,d)、1.80(1H,m)、2.43−2.82(8H,m)、3.86(6H,s,OCH3×2)、3.87(6H,s,OCH3×2)、3.94(1H,bs,2’−H)*.70−6.78(6H,m)、EIMS m/z 416(M+)。
【0093】
化合物18。無色油状物質(収率6.95%)、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 0.95(3H,d,1−CH3)、1.52(1H,m)、1.84(2H,m)、2.67(6H,m)、3.83(14H,bs,OCH3×4,2,2’−H)、6.78(6H,m);EIMS m/z:418(M+)、HRFAB−MS m/z 418.236618(M+H)+(C24346の計算値:418.2355392)。
【0094】
19および20の調製。アセトン(20mL)中のクルクミン(1,100mg,0.81mmol)とクロロ酢酸メチル(2mL)およびNaI(20mg)の混合物を、無水炭酸カリウム(176mg)で攪拌しながら24時間還流した。ろ過および溶媒の除去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して対応する酢酸エチル19および20を得た。
【0095】
化合物19:黄色の粉末(収率20.0%)、融点60〜61℃、融点66〜67℃、[α]D−2.4(c=2.08,CHCl3);1H NMR(300MHz,アセトン−d6):δ 3.73(3H,S,−COOCH3)、3.86(6H,s,OCH3×2)、4.79(2H,s,O−CH2−COO),5.99(1H,s,1−H)、6.70および6.73(両方とも1H,d,J=15.3Hz)、6.88(1H,d,J=8Hz)、6.94(1H,d,J=8Hz)、7.17(2H,m)、7.33(2H,m)、7.59および7.61(両方とも1H,d,J=15.3Hz)、13C NMR(300MHz,CDCl3):d 51.8、55.9、55.9、65.9、101.4、111.2、111.6、114.3、115.9、121.8、122.6、123.0、123.5、127.6、128.7、129.8、140.3、141.3、148.4、149.8、150.0、150.4、169.4、183.4、184.6;C24248・3/4H2Oの分析計算値:理論値:C,63.50;H,5.66。分析値 C,63.53;H,5.65。
【0096】
化合物20:黄色の粉末(収率20.0%)、融点141〜142℃(MeOH)、[α]D−0.29(c=5.86,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.80(6H,s)、3.93(6H,s)、4.73(4H,s,O−CH2−COO×2)、5.82(1H,s,1−H)、6.50(2H,d,J=16Hz)、6.79(2H,d,J=8Hz)、7.09(4H,bs)、7.58(2H,d,J=16Hz)、13C NMR(300MHz,CDCl3):d 52.3、56.0、66.0、101.4、110.7、113.6、122.0、122.7、129.5、140.1、149.0、149.7、169.0、183.1;C272810・1/2H2Oの分析計算値:理論値:C,62.18;H,5.60。分析値 C,62.31;H,5.57。
【0097】
化合物21:黄色の非晶質固体(収率3.0%)、1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 2.58(2H,m)、2.95(2H,m)、7.12(2H,d,J=15Hz)、7.40(6H,m)、7.60(4H,m)、7.81(2H,d,J=15Hz)、12.65(1H,bs);C22204の分析計算値:理論値:C,75.84、H,5.79。分析値 C,75.56,H,5.74。
【0098】
化合物22:黄色の非晶質固体(収率25.0%)、C26288の分析計算値:理論値:C,66.66、H,6.02。分析値 C,66.38、H,6.16。
【0099】
化合物23:黄色の粉末(収率45.0%)、融点144〜146℃(MeOH)(Pedersen et al,Liebigs Ann.Chem.1557−1569(1985)、71〜73℃(CH2Cl2))C24268・2・1/2H2Oの分析計算値:理論値:C,59.87;H,5.23。分析値 C,59.94;H,5.11。
【0100】
1〜4、10〜13、22、および23の構造を、それらの物理的なスペクトルデータと、文献に報告されているデータとの比較により確認した。Pedersen et al.,Liebigs Ann.Chem.1557−1569(1985),Roughley et al.,J.Chem.Soc.Perkin I,2379−2388(1973)。
【0101】
B.DHTに媒介される転写活性の抑制。
細胞培養およびトランスフェクション。ヒト前立腺癌DU145およびPC−3細胞を、ペニシリン(25単位/mL)、ストレプトマイシン(25μg/mL)、および10%ウシ胎児血清(FCS)を含有するダルベッコ最小必須培地(DMEM)中で維持した。ARトランス活性化アッセイのため、PC−3細胞にAR発現プラスミドおよびリポーター遺伝子をトランスフェクトした。内因性AR共役因子の量が少ないため、DU−145細胞にARおよびARA70の発現プラスミド、ならびにリポーター遺伝子をトランスフェクトした。Miyamoto et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,7379−7384(1998)に既に記載されている状態が僅かに変更されて起こった。
【0102】
SuperFectキットを製造業者の手順書(Qiagen,Chatsworth,CA)に従って用いてトランスフェクションを行った。手短に言えば、1×105細胞をトランスフェクションの24時間前に35mm皿に蒔き、その後、MMTV−LTRプロモーターおよびAR−結合因子を含有するリポータープラスミドであるMMTV−ルシフェラーゼをAR発現プラスミド(野生型または変異型)、またはpSG5ARA70と同時トランスフェクトした。PRL−TKをトランスフェクション効率の内部対照として用いた。全ての転写活性化アッセイにおいてDNAの合計量をpSG5で3.0gに調整した。トランスフェクションの2時間後、DMEM−10%活性炭処理(charcoal stripped)血清培地を交換し、14〜16時間後、細胞をDHT、抗アンドロゲン、または試験化合物で処理した。さらに14〜16時間後、細胞を回収し、ルシフェラーゼアッセイ(Promega,Dual Luciferase Assay System,Madison,WI)においてルシフェラーゼ活性を試験した。データを、内部ルシフェラーゼ陽性対照と比較した相対ルシフェラーゼ活性で表した。
【0103】
C.結果および考察
本研究の目的は、抗アンドロゲン受容体アンタゴニスト活性のための新規なクルクミン類似体を詳しく調べることであった。新規なクルクミン類似体の合成ならびに抗アンドロゲン受容体アンタゴニストおよび抗腫瘍剤としての評価を本明細書に報告する。
【0104】
47種類のクルクミン 誘導体(1−47)を、2種類の異なるヒト前立腺癌細胞、PC−3およびDU−145を用いてARに対するアンタゴニスト活性について試験した(図3A〜C)。親化合物であるクルクミン(1)は、いずれの場合も不活性であった。しかし、ジメチル化クルクミン(4)は、野生型ARをトランスフェクトしたPC−3細胞においてアッセイした場合、有意なアンタゴニスト活性を示し(DHTに誘導されたAR活性が70%低下)、HFよりも有力であった(HFはDHTに誘導されたAR活性が16%低下、図3A)。また、化合物4は、変異LNCaP ARおよびARA70をトランスフェクトしたDU−145細胞においてアッセイした場合、高いアンタゴニスト活性も示し(DHTに誘導されたAR活性の45%の低下を示す、図3B)、化合物4が正常および変異ARの両方に効果的なアンタゴニストであることを示す。
【0105】
この一連の化合物においてARアンタゴニスト活性の構造的な要件を決定するため、PC−3細胞アッセイ系で構造−活性相関(SAR)研究を行った。4と比較して、モノメチル化クルクミン(9)は1個のベンゼン環のp−位でO−メチル基を1個欠き、4よりも有意に活性が低かった(図3B)。従って、4のビス(3,4−ジメトキシフェニル)基は活性に重要である。4のC−4にメチル基を導入した結果(10)、活性の低下がもたらされた(図3B)。4の水素化によって得られた化合物14および15は、DHTに誘導されたAR活性が18%低下し、HFと同程度に有力であったが、4と比較して活性が相当に低かった(図3A)。4のβ−ジケトン部分を対応するピラゾール誘導体8に変換すると活性が大きく低下した。さらに、4中に見出されたビス−アリール基を含むが共役二重結合をもたない1,3−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン(39)は4よりも活性が低く(図3Aおよび3B)、共役二重結合も4の活性に寄与していることを示す。これらの知見から、ビス(3,4−ジメトキシフェニル)基および共役したβ−ジケトン部分が活性にとって重大であることが示唆される。
【0106】
図3Cのデータは、野生型ARおよびARA70をトランスフェクトしたDU−145細胞において抗アンドロゲン活性がアッセイされた、若干異なる細胞アッセイ系を示す。化合物4、20、22、23、および39は、このアッセイ系においてHFに匹敵するかまたはHFよりも有力な抗アンドロゲン活性を示した。化合物20および22はほぼ等しい効力であり(それぞれ54%および53.8%の低下)、4よりも僅かに活性が高かった(49.9%)。クルクミン(1)自体は活性でないので、フェノール性のヒドロキシル基でメトキシカルボニルメチル基を導入する(20)か、またはC−4でエトキシカルボニルエチル基を導入する(22)かのいずれかが、野生型ARおよびARA70の存在下でDU−145細胞における抗AR活性に大いに寄与する。
【0107】
この研究で、本発明者らはフルオロジアリールヘプタノイド24〜29および環状ジアリールヘプタノイド30〜38の抗アンドロゲン活性も調査した。化合物24〜29は両方のベンゼン環にフッ素またはトリフルオロメチル置換基を有するが、弱い活性を示すかまたは不活性であった。環状ジアリールヘプタノイド30〜38の中で、化合物30が最も活性が高く、HFと同程度に活性があった(図3Aおよび3C)。残りの環状ジアリールヘプタノイドは弱いアンタゴニスト活性を示した。
【0108】
結論として、本発明者らは多数のクルクミン類似体を調製し、ヒト前立腺癌細胞系統を用いて3種類の異なるアッセイ条件で見込まれるそれらの抗アンドロゲン活性を評価した。化合物4は全てのアッセイにおいて有望な抗アンドロゲン活性を示した。化合物4、20、22、23および39は、新規なクラスの抗アンドロゲン剤として同定された。SAR研究により、ビス(3,4−ジメトキシフェニル)部分である、共役したβ−ジケトン、およびC−4位のエトキシカルボニルエチル基がアンタゴニスト活性に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
【実施例2】
【0109】
さらなるクルクミン類似体の合成および特徴付け
さらなるクルクミン類似体を下の表1に示す。
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【0110】
前記の化合物は次のように合成される:
【化19】

LL−7:合成方法は、Pedersen et al.により開発された戦略から修正した。アセチルアセトン(0.2ml、2mmol)および無水ホウ酸(100mg、1.4mmol)を15mlの酢酸エチルに溶かした。溶液を70℃にて0.5時間攪拌した。5−ヒドロキシメチルフラン(506mg、4mmol)およびホウ酸トリブチル(1.08ml、4mmol)を添加した。混合物を30分間攪拌した。次に、4mlのEtOAcに溶かしたブチルアミン(0.3ml、3mmol)を15分間滴下した。攪拌を85℃にて5時間継続した。次に、混合物を8mlの1NのHClを添加すること、および60℃にて0.5時間攪拌することにより加水分解した。有機層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。混合した有機層を中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空除去した。粗生成物を、ヘキサン−EtOAcで溶出するCombiFlash(登録商標)カラムクロマトグラフィーにより精製した。68mgの赤色の粉末が12%の収率で得られた。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 4.67(4H,s)、5.74(H,s)、6.40(2H,d,J=3.3Hz)、6.53(2H,d,J=15.3Hz)、6.58(2H,d,J=3.3Hz)、7.43(2H,d,J=15.6Hz)。
【0111】
【化20】

LL−10:バニリン(1.52g、10mmol)およびホウ酸トリブチル(2.7ml、10mmol)を8ml酢酸エチルに溶かした。この攪拌溶液に、アセトン(0.37ml、5mmol)を添加した。溶液を10分間攪拌した。5mlEA中のブチルアミン(1ml、10mmol)を滴下した。溶液を50℃にて数時間攪拌した。7mlの1N HClを添加した。混合物を50℃にて0.5時間攪拌した。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.94(6H,s)、6.90(2H,d,J=8.4Hz)、6.95(2H,d,J=15.6Hz)、7.11(2H,d,J=1.8Hz)、7.20(2H,dd,J=1.8Hz,J=8.4Hz)、7.68(2H,d,J=15.6Hz)。
【0112】
【化21】

LL−1:アセチルアセトン(3.1ml、30mmol)および無水ホウ酸(1.5g、21mmol)を20mlの酢酸エチルに溶かした。溶液を70℃にて1時間攪拌した。この溶液にバニリン(1.52g、10mmol)およびホウ酸トリブチル(2.7ml、10mmol)を添加した。混合物を30分間攪拌した。85℃にて、7mlのEtOAcに溶かしたブチルアミン(1ml、10mmol)を15分間滴下した。攪拌を100℃にて1時間継続した。次に、20mlの1N HClを50℃にて添加し、50℃にて0.5時間攪拌することにより、混合物を加水分解した。有機層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。混合した有機層を中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を真空除去した。粗生成物を、ヘキサン−EtOAcで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。黄色の粉末が収率49%で得られた。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 2.16(3H,s)、3.94(3H,s)、5.63(H,s)、6.33(H,d,J=15.9Hz)、6.92(H,d,J=8.1Hz)、7.01(H,d,J=1.8Hz)、7.10(H,dd,J=8.1Hz,J=1.8Hz)、7.53(H,d,J=15.9Hz)。
【0113】
LL−17:80℃にて、LL−1(468.2mmol)および無水ホウ酸(100mg、1.4mmol)を10mlのEtOAcに溶かした。溶液を1時間攪拌した。この混合物に、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド(365mg、2.2mmol)およびホウ酸トリブチル(0.54ml、2mmol)を含む10mlのEtOAc溶液を添加した。0.5時間攪拌した後、ピペリジン(0.08ml)を混合物に添加した。2時間攪拌した後、4mlの0.4N HClを50℃にて添加した。混合物を50℃にて0.5時間激しく攪拌した。混合した有機層を中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空除去した。粗生成物を精製して67.2mgのLL−17を収率8.8%で得られた。ESI−MS m/z 381.1(M−1)+ 1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.94(9H,s)、5.81(H,s)、6.48(2H,d,J=12.6Hz)、6.87−7.14(6H,m)、7.60(2H,d,J=12.6Hz)。
【0114】
【化22】

LL−18:LL−17の調製と同一手順。収率50%(LL−1および4−ヒドロキシベンズアルデヒドから出発)。橙色の粉末。ESI−MS m/z 337.1(M−1)+1H NMR(300MHz,CD3COCD3):δ 3.93(3H,s)、5.98(H,s)、6.70(2H,d,J=15.9Hz)、6.87−6.92(3H,m)、7.19(H,dd,J=8.4Hz,J=1.8Hz)、7.35(H,d,J=1.8Hz)、7.56−7.64(4H,m)。
【0115】
【化23】

LL−27−B:アセチルアセトン(3.1ml、30mmol)および無水ホウ酸(1.5g、21mmol)を20mlの酢酸エチルに溶かした。溶液を70℃にて0.5時間攪拌した。3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(1.52g、10mmol)およびホウ酸トリブチル(2.7ml、10mmol)を添加した。混合物を70℃にて30分間攪拌した。次に、7mlのEtOAcに溶かしたブチルアミン(1ml、10mmol)を85℃にて15分間滴下した。攪拌を100℃にて1時間継続した。次に、20mlの1N HClを添加し、50℃にて0.5時間攪拌することにより、混合物を加水分解した。有機層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。混合した有機層を中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空除去した。粗生成物を精製した。1.04gのLL−27−Aおよび248mgのLL−27−Bが得られた。ESI−MS m/z 367.1(M−1)+1H NMR(300MHz,CD3COCD3):δ 4.01(6H,s)、6.01(H,s)、6.66(2H,d,J=15.6Hz)、7.03(2H,d,J=8.1Hz)、7.20(2H,dd,J=2.1Hz,J=8.1Hz)、7.26(2H,d,J=2.1Hz)、7.65(2H,d,J=15.3Hz)。
【0116】
【化24】

LL−32−B:アセチルアセトン(3.1ml、30mmol)および無水ホウ酸(1.5g、21mmol)を20mlの酢酸エチルに溶かした。溶液を70℃にて0.5時間攪拌した。2,3,4−トリメトキシベンズアルデヒド(1.96g、10mmol)およびホウ酸トリブチル(2.7ml、10mmol)を添加した。混合物を70℃にて30分間攪拌した。次に、7mlのEtOAcに溶かしたブチルアミン(1ml、10mmol)を85℃にて15分間滴下した。攪拌を100℃にて1時間継続した。次に、20mlの1N HClを添加し、50℃にて0.5時間攪拌することにより、混合物を加水分解した。有機層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した。混合した有機層を中性になるまで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空除去した。粗生成物を精製した。1.25gのLL−32−Aおよび150mgのLL−32−Bが得られた。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.89(6H,s)、3.90(6H,s)、3.94(6H,s)、5.83(H,s)、6.64(2H,d,J=15.9Hz)、6.71(2H,d,J=9Hz)、7.31(2H,d,J=8.7Hz)、7.85(2H,d,J=16.2Hz)。
【0117】
【化25】

LL−35:LL−17の調製と同一手順。収率55%(LL−32−Aおよび3,4−ジメトキシベンズアルデヒドから出発)。ESI−MS m/z 427.2(M+1)+、449.3(M+Na)+1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.89(3H,s)、3.91(3H,s)、3.93(3H,s)、3.94(6H,s)、5.83(H,s)、6.51(H,d,J=15.9Hz)、6.63(H,d,J=15.9Hz)、6.71(H,d,J=8.7Hz)、6.89(H,d,J=8.4Hz)、7.09(H,d,J=2.1Hz)、7.15(H,dd,J=1.8Hz,J=8.7Hz)、7.31(H,d,J=8.7Hz)、7.61(H,d,J=15.9Hz)、7.85(H,d,J=16.2Hz)。
【0118】
【化26】

LL−36:LL−17の調製と同一手順。収率48%(LL−33−Aおよび3,4−ジメトキシベンズアルデヒドから出発)。ESI−MS m/z 427.2(M+1)+、449.3(M+Na)+1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 3.89(3H,s)、3.90(3H,s)、3.93(3H,s)、3.94(3H,s)3.95(3H,s)、5.84(H,s)、6.50(H,d,J=15.6Hz)、6.51(H,s)、6.57(H,d,J=16.2Hz)、6.88(H,d,J=8.1Hz)、7.06(H,s)、7.08(H,d,J=2.1Hz)、7.14(H,dd,J=2.1Hz,J=8.1Hz)、7.60(H,d,J=15.9Hz)、7.96(H,d,J=15.9Hz)。
【0119】
【化27】

LL−41:アセトン(0.36ml、5mmol)および3,4−ジメトキシベンズアルデヒド(1.66g、10ml)の0.25M NaOH水溶液50ml溶液に、1.5mlの臭化セチルトリメチルアンモニウム25% w/w水溶液を添加した。混合物を室温にて20時間激しく攪拌させておき、ブラインで希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィーに付した。1.34gの鮮黄色の粉末が得られた。収率75%。ESI−MS m/z 355.2(M+1)+1H NMR(300MHz,CD3COCD3):δ 3.94(6H,s)、3.96(6H,s)、6.90(2H,d,J=8.4Hz)、6.95(2H,d,J=15.9Hz)、7.15(2H,d,J=1.8Hz)、7.20(2H,dd,J=1.8Hz,J=8.4Hz)、7.69(2H,d,J=15.9Hz)。
【0120】
【化28】

LL−46:LL−17の調製と同一手順。収率38%(LL−40および3,4−ジメトキシベンズアルデヒドから出発)。ESI−MS m/z 483.4(M+1)+1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.25(3H,t,J=7.2Hz)、2.32−2.37(2H,m)、2.55(2H,t,J=7.8Hz)、2.95(0.5H,t,J=7.8Hz)、3.91−3.97(9H,m)、4.14(2H,q,J=7.2Hz)、6.70(H,dd,J=4.2Hz,J=15.6Hz)、6.84−7.19(7H,m)、7.62−7.76(2H,m);
【化29】

LL−55:3mlのTHF中のLDA(0.29ml、2M hex/THF、0.58mmol)の攪拌溶液に、−78℃にて3,4−ジメトキシシンナモン(dimethyoxycinnamone)(100mg、0.48mmol)のTHF(3ml)溶液に添加した。15分後、3,4−ジメトキシシンナムアルデヒド(85mg、0.44mmol)THF(3ml)を添加した。混合物を−78℃にて20分間攪拌した。さらに次に、混合物を飽和NH4Clでクエンチした。溶液を周囲温度となるまで置き、酢酸エチルで抽出した。22mgのLL−55がカラムクロマトグラフィーによって得られた。収率13%。1H NMR(300MHz,CD3COCD3):δ 2.93(2H,d)、3.80(6H,s)、3.85(6H,s)、4.13(H,d)、6.25(H,dd,J=6Hz,J=15.9Hz)、6.58(H,d,J=15.9Hz)、6.80(H,d,J=16.2Hz)、6.88(H,d,J=8.7Hz)、6.90(H,dd,J=0.9Hz,J=8.7Hz)、7.00(H,d,J=8.4Hz)、7.04(H,d,J=0.9Hz)、7.25(H,dd,J=0.9Hz,J=8.7Hz)、7.34(H,d,J=0.9Hz)、7.61(1H,d,J=16.2Hz)。
【0121】
【化30】

LL−61:4−トキシカルボニルエチルクルクミン(153.1mg、0.33mmol)およびジヒドロピラン(0.73mL、7.32mmol)を、PPTS(8.3mg、0.033mmol)を含有する無水ジクロロメタン3mLに溶かした。溶液を室温にて48時間攪拌した。次に、溶液を水で洗浄した。溶媒を真空除去した。粗生成物を、ヘキサン−EtOAcで溶出するCombiFlash(登録商標)クロマトグラフィーにより精製してLL−61(134mg)、収率59%、黄色の粉末、融点60〜61℃を得た;ESI MS m/z 635.2(M−1)+1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.25(3H,t)、1.57−2.17(12H,m)、2.96(0.57H,t)、3.62(4H,t)、3.91(6H,s)、4.13(2H,q)、5.47(2H,t)、6.72(2H,d,J=I5.6Hz)、6.90−7.18(6H,m)、7.44(2H,d,J=15.6Hz);
【化31】

LL−62:1,7−ビス−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−メチル−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン(50.3mg、0.12mmol)のDMF溶液(2mL)を、DMF(2mL)中のNaH(10mgの60%、6mg、0.4mmol)の油を含まない懸濁液に窒素下0℃にて添加した。溶液を0℃にて30分間攪拌した後、室温にて2時間攪拌した。ナトリウム塩溶液に、DMF(2mL)中のSelectfluoro(商標)(86.7mg、0.25mmol)を添加した。2時間攪拌した後、溶液をEtOAcで抽出し、5% H2SO4(10mL)、その後飽和NaHCO3溶液(10mL)で洗浄した。次に、溶媒を真空蒸発した。粗生成物を、ヘキサン−EtOAcで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製してLL−62(25mg)を収率49%の黄色の粉末で得た。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.97(3H,s)、3.90(6H,s)、3.95(6H,s)、6.83(2H,d,J=7.8Hz)、6.87(2H,dd,J=3Hz,J=15.6Hz)、6.90(2H,d,J=1.8Hz)、6.95(2H,dd,J=1.8Hz,J=7.8Hz)、7.75(2H,d,J=15.6Hz);
【化32】

クルクミン
LL−64B:再結晶化したクルクミン(1.08g、2.94mmol)およびジヒドロピラン(2mL、20mmol)を、PPTS(74mg、0.29mmol)を含む30mLの無水ジクロロメタンに溶かした。溶液を室温にて24時間攪拌した。次に、溶液を水で洗浄した。溶媒を真空除去した。粗生成物を、ヘキサン−EtOAcで溶出するCombiFlash(登録商標)クロマトグラフィーにより精製してLL−64B(1.12g)、収率66.8%、黄色の粉末を得た;ESI MS m/z 535.0(M−1)+1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.57−2.17(12H,m)、3.62(4H,t)、3.91(6H,s)、5.47(2H,t)、5.83(1H,s)、6.50(2H,d,J=I5.9Hz)、7.09−7.16(6H,m)、7.60(2H,d,J=I5.9Hz);C31368・1/4H2Oの分析計算値(理論上):C,68.81;H,6.80。分析値:C,68.86;H,6.83。
【0122】
LL−65:LL−64B(55mg、0.10mmol)のTHF溶液(3mL)を、THF(2mL)中のNaH(7mgの60%、4.2mg、0.17mmol)の油を含まない懸濁液に窒素下0℃にて添加した。溶液を0℃にて30分間攪拌した後、室温にて2時間攪拌した。ナトリウム塩溶液に、プロピオル酸エチル(0.02mL、mmol)を添加した。2時間攪拌した後、溶液をEtOAcで抽出し、5% H2SO4(10mL)、その後飽和NaHCO3溶液(10mL)で洗浄した。次に、溶媒を真空蒸発した。粗生成物を、ヘキサン−EtOAcで溶出するCombiFlash(登録商標)クロマトグラフィーにより精製してLL−65(39.4mg)収率62%、橙色粉末を得た;融点72〜73℃;ESI MS m/z 634.7M+1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.34(3H,t)、1.5−2.2(12H,m)、3.62(4H,t)、3.92(6H,s)、4.28(2H,q)、5.49(2H,t)5.96(H,d,J=15.6Hz)、7.00(2H,d,J=15.6Hz)、7.08−7.16(6H,m)、7.76(2H,d,J=15.3Hz)、7.83(H,d,J=15.9Hz);C364210の分析計算値(理論上):C,68.12;H,6.67。分析値:C,67.82;H,6.73。
【0123】
LL−66:LL−65(14.8mg、0.023mmol)およびPPTS(5mg、0.02mmol)のEtOH(2.5mL)溶液を室温にて3時間攪拌した。溶液を真空蒸発させた。ヘキサン−EtOAcで溶出するCombiFlash(登録商標)クロマトグラフィーによりLL−66(10mg)が得られた。収率93%、橙色粉末、融点106〜106.5℃;ESI MS m/z 465.2(M−1)+1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.34(3H,t)、3.95(6H,s)、4.29(2H,quart)、5.96(2H,d,J=15.6Hz)、6.95(2H,d,J=8.2Hz)、6.96(1H,d,J=15.6Hz)、7.05(2H,d,J=2.1Hz)、7.17(2H,dd,J=8.2Hz,J=2.1Hz)、7.75(2H,d,J=15.3Hz)、7.90(1H,d,J=15.9Hz)。
【0124】
【化33】

LL−80:LL−66の調製と同一手順。収率62%(1,7−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−1,6−ペンタジエン−3,6−ジオンから出発)。赤色粉末。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 1.34(3H,t)、3.95(12H,s)、4.29(2H,quart)、5.98(2H,d,J=15.6Hz)、6.95(2H,d,J=8.4Hz)、7.00(1H,d,J=15.6Hz)、7.08(2H,d,J=1.8Hz)、7.22(2H,dd,J=8.4Hz,J=1.8Hz)、7.77(2H,d,J=15.3Hz)、7.91(1H,d,J=15.6Hz)。
【0125】
HOJ−7:収率3%(5mmolの2,4−ジフルオロベンズアルデヒドから出発)、黄色の粉末、融点155.5〜156℃(n−ヘキサン−EtOAc)。1H NMR(CDCl3)δ5.86(1H,s)、6.68(2H,d,J=16.0Hz)、6.84−6.96(4H,m)、7.56(2H,m)、7.71(2H,d,J=16.0Hz)。ESI−MS m/z 347[M−1]+。C191242の分析計算値:C,65.52;H,3.47。分析値:C,65.66;H,3.57。
【0126】
HOJ−9:収率10%(5mmolの2−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒドから出発)、黄色の粉末、融点163〜165℃(n−ヘキサン−EtOAc)。1H NMR(CDCl3)δ3.84(6H,s)、5.82(1H,s)、6.62(2H,d,J=16.0Hz)、6.70(4H,m)、7.48(2H,1,J=8.7Hz)、7.71(2H,d,J=16.0Hz)。ESI−MS m/z 371[M−1]+。C211824の分析計算値:C,67.74;H,4.87。分析値:C,67.58;H,4.92。
【0127】
HOJ−10:収率9%(5mmolの2−フルオロ−6−メトキシベンズアルデヒドから出発)、黄色の針状晶、融点144〜145℃(n−ヘキサン−EtOAc)。1H NMR(CDCl3)δ3.82(6H,s)、5.90(1H,s)、6.72(2H,d,J=16.0Hz)、6.88(2H,m)、7.56(2H,m)、7.00−7.07(4H,m)、7.74(2H,d,J=16.0Hz)。ESI−MS m/z 371[M−1]+。C211824の分析計算値:C,67.74;H,4.87。分析値:C,67.60;H,4.95。
【0128】
生物活性。上に示した化合物は以下のようにスクリーニングされ、下の表2に示されるように、抗癌活性および抗アンドロゲン受容体活性を有することが見出された。
【0129】
細胞培養およびトランスフェクション―ヒト前立腺癌LNCaPおよびPC−3細胞を、それぞれRPMI培地およびダルベッコ最小必須培地(DMEM)中で維持した。両方の培地は、ペニシリン(25単位/mL)、ストレプトマイシン(25μg/mL)、および10%ウシ胎児血清で増強した。可能性のある抗アンドロゲンの同定のため、アンドロゲン受容体トランス活性化アッセイ、アンドロゲン依存性リポーター遺伝子転写試験を一次スクリーニングとして用いた。このアッセイは、最初に、臨床的に関連する変異ARを発現するLNCaP細胞で行った。LNCaP ARトランス活性化アッセイにより可能性のある化合物が示されると、野生型ARに対して可能性のある活性についてそれらを再試験した。野生型ARトランス活性化アッセイは、内因性の機能的ARを欠くPC−3宿主細胞で行った。
【0130】
本発明者らが既に記載した細胞トランスフェクションの条件に従った(Ohtsu et al,J Medicinal Chem 45: 5037−5042(2002);Ohtsu et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:5083−5090(2003))。手短に言えば、細胞を24ウェルまたは48ウェルの組織培養皿に、トランスフェクションの24時間前(PC−3細胞)または48時間前に(LNCaP細胞)蒔いた。その後、LNCaP細胞にMMTV−LTRプロモーターおよびアンドロゲン受容体結合因子を含むリポーター遺伝子であるMMTV−ルシフェラーゼ、ならびにトランスフェクション効率の内部対照として働くPRL−SV40をトランスフェクトした。PC−3細胞に野生型AR発現プラスミドであるpSG5AR、を上述のMMTV−ルシフェラーゼリポーター遺伝子およびPRL−SV40内部対照に加えてトランスフェクトした。SuperFect(Qiagen,Chatsworth,CA)を、製造業者の推奨に従ってトランスフェクション試薬として用いた。5時間のトランスフェクションの終わりに、培地を10%活性炭−デキストラン処理した(charcoal dextran−stripped)アンドロゲン除去血清を補給したDMEMまたはRPMIに交換した。24時間後、細胞を1nMのDHTおよび/または指定された濃度の試験化合物でさらに24時間処理した。デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega,Madison,WI)を用いるルシフェラーゼ活性測定のために細胞を回収した。生成されたデータを、内部ルシフェラーゼ対照に標準化した相対ルシフェラーゼ活性として表した。DHTインキュベーションは、リポーター遺伝子の顕著な発現を誘導した。このアンドロゲン誘導性リポーター遺伝子発現を有意に抑制することのできる試験化合物を可能性のある抗アンドロゲン物質として同定した。
【0131】
LNCaP細胞増殖アッセイ:上に述べたように、LNCaP細胞は相当量の変異ARを含み、従ってこれらの細胞の増殖は、アンドロゲンインキュベーションにより有意に活性化され得る。従ってLNCaP細胞増殖アッセイを上述のARトランス活性化アッセイにより同定された可能性のある抗アンドロゲンを確認するための代替法として用いた。ミトコンドリア脱水素酵素による無色の基質から還元したテトラゾリウムへの変換を基にする、MTT分析を用いた。実験条件は他の場所に詳述されている(Ohtsu et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry 11 :5083−5090(2003))。手短に言えば、細胞を96ウェル組織培養プレートに蒔いた後、1nMのDHTおよび/または10%活性炭−デキストラン処理血清含有RPMI中の試験化合物の存在下で5日間連続してインキュベートする。インキュベーションの終わりに、細胞にMTT(PBS中5mg/ml)を37℃にて3時間与えた。生じる沈殿を溶解バッファーに溶かした後、マイクロプレートリーダーを用いて波長595nmにて定量した。MTT分析から生成されたデータの精度を確認するため、2通りの試料を用いて細胞計数を行った。アンドロゲン誘導性前立腺腫瘍細胞増殖に有害作用を示した試験化合物を可能性のある抗アンドロゲン物質として同定した。
【0132】
【表2】

【0133】
前記は本発明の一例となるものであり、それを限定するものと見なされるものではない。本発明を請求の範囲により定義し、請求の範囲と均等のものもその中に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】クルクミン類似体の構造を示す図である(1〜20)。
【図2】クルクミン類似体の構造を示す図である(21〜44)。
【図3】図3Aは、ヒドロキシフルタミド(HF)および選択された化合物による、DHTに媒介されるMMTV転写AR活性の抑制を示す。図3Bは、ヒドロキシフルタミド(HF)および選択された化合物による、DHTに媒介されるMMTV転写AR活性の抑制を示す。図3Cは、ヒドロキシフルタアミド(HF)および選択された化合物による、DHTに媒介されるMMTV転写AR活性の抑制を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IまたはIa:
【化1】

(式中、
R’およびR”は、各々独立に、H、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され;
aおよびRbは、各々独立に、H、アルキルおよびハロからなる群から選択され;
1およびR2は、各々独立に、H、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、アミノおよびジアルキルアミノからなる群から選択され;
3およびR4は、各々独立に、H、ヒドロキシ、ハロ、アルコキシ、および−OR7C(O)R8(式中、R7が低級アルキレンであり、R8がアルコキシである)からなる群から選択され;
あるいは、R1およびR3は、ともにアルキレンジオキシであり;
あるいは、R2およびR4は、ともにアルキレンジオキシであり;
5およびR6は、各々独立に、H、ハロゲン、ニトロおよびアルコキシからなる群から選択され;
1はNであるか、またはX1は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCであり;かつ
2はNであるか、またはX2は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCである;
但し、クルクミンはそれから除外される)の化合物;
またはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
1およびR2が、各々独立に、アルコキシ、ニトロ、アミノ、およびジメチルアミノからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1およびR3が、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
2およびR4が、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
5およびR6が、各々独立に、H、F、およびニトロからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式II:
【化2】

(式中、
11およびR12は、各々独立に、アルコキシ、ニトロ、アミノ、およびジアルキルアミノからなる群から選択され;
13およびR14は、各々独立に、ヒドロキシ、アルコキシ、−OR18C(O)R19(式中、R18は低級アルキレンもしくはアルケニレンであり、R19はアルコキシである)、およびテトラヒドロピラニルからなる群から選択され;
あるいは、R11およびR13は、ともにアルキレンジオキシであり;
あるいは、R12およびR14は、ともにアルキレンジオキシであり;
15およびR16は、各々独立に、H、ハロゲン、およびニトロからなる群から選択され;
17は、−R20C(O)OR21(式中、R20がアルキレンもしくはアルケニレンであり、R21がHもしくはアルキルである)であり、;
3はNであるか、またはX3は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCであり;かつ
4はNであるか、またはX4は、H、アルコキシもしくはニトロと結合しているCである)の化合物;
またはその製薬上許容される塩。
【請求項7】
11およびR12が、各々独立に、アルコキシ、ニトロ、アミノ、およびジメチルアミノからなる群から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
11およびR13が、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
12およびR14が、ともにメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
15およびR16が、各々独立に、H、F、およびニトロからなる群から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
式IV:
【化3】

(式中、
41およびR42は、各々独立に、ヒドロキシまたはアルコキシであり;かつ
43およびR44は、各々独立に、ヒドロキシまたはアルコキシである)の化合物;
あるいはその製薬上許容される塩。
【請求項12】
式:
【化4】

の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項13】
請求項1、6、11または12に記載の化合物を製薬上許容される担体中に含む医薬製剤。
【請求項14】
前記担体が水性担体である、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
治療を必要とする被検体に、治療有効量の請求項1、6、11、12に記載の化合物もしくはクルクミン、またはその製薬上許容される塩を投与するステップを含む、癌を治療する方法。
【請求項16】
前記癌が、皮膚癌、小細胞肺癌、精巣癌、リンパ腫、白血病、食道癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、中枢神経系癌、肝臓癌および前立腺癌からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記癌が前立腺癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が、結腸癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記被験体が抗アンドロゲン除去症候群に罹患している、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
細胞と、請求項1、6、11、12に記載の化合物もしくはクルクミン、またはその製薬上許容される塩の有効量のアンドロゲン受容体アンタゴニストとを接触させるステップを含む、アンドロゲン受容体アンタゴニスト活性を誘導する方法。
【請求項21】
前記細胞が癌細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接触させるステップがインビボで行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記接触させるステップがインビトロで行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
アンドロゲン受容体アンタゴニスト有効量の、請求項1、6、11、12に記載の化合物もしくはクルクミン、またはその製薬上許容される塩を投与するステップを含む、アンドロゲンに関連する病気に罹患している被験体においてアンドロゲン受容体アンタゴニスト活性を誘導する方法。
【請求項25】
前記被験体が脱毛症に罹患している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記被験体が多毛症に罹患している、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記被験体が行動障害に罹患している、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記被験体が座瘡に罹患している、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記被験体が男性被験体であり、前記有効量の前記アンドロゲン受容体アンタゴニストが精子形成を阻害する、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C−1】
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【図3C−2】
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【公表番号】特表2008−516954(P2008−516954A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536804(P2007−536804)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/036522
【国際公開番号】WO2006/044379
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(500282209)ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル (14)
【Fターム(参考)】